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JP2004143324A - 制振性樹脂組成物 - Google Patents

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JP2004143324A
JP2004143324A JP2002311175A JP2002311175A JP2004143324A JP 2004143324 A JP2004143324 A JP 2004143324A JP 2002311175 A JP2002311175 A JP 2002311175A JP 2002311175 A JP2002311175 A JP 2002311175A JP 2004143324 A JP2004143324 A JP 2004143324A
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vibration damping
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vibration
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Takeo Hayashi
林 武夫
Satoshi Yoshinaka
芳仲 聰
Takashi Ogawa
小川 俊
Masahiro Kurokawa
黒川 正弘
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

【課題】制振性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタンより選ばれた1種もしくは2種以上の樹脂粉末を高分子材料に分散させることにより、制振性に優れた樹脂組成物が得られた。さらに導電性材料を添加すると、その効果はさらに大きなものとなった。

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、制振性に優れた樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、制振材のような振動エネルギーを吸収する材料として、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加した軟質の塩化ビニル系樹脂が知られている。この軟質塩化ビニル系樹脂は、振動エネルギーを樹脂内部において摩擦熱として消費することで、その減衰が計られるようになっていたが、十分な振動の吸収、減衰ができなかった。
【0003】
また制振材料としては、加工性、機械的強度、材料コストの面から優れるブチルゴムやNBRなどのゴム材料が多く用いられている。ところがこれらのゴム材料は、一般の高分子の中では最も減衰性(振動エネルギーの伝達絶縁性能、あるいは伝達緩和性能)に優れてはいるものの、ゴム材料単独で制振材料として使用するには減衰性が低く、例えば建造物や機器類の防振構造には、ゴム材料と鋼板とを積層した積層体、あるいはこれに塑性変形して振動エネルギーを吸収する鉛コアやオイルダンパーを組み合わせたものという複合形態で使用されていた。
【0004】
従来の制振材料としてのゴム材料は、上記の如く単独では使用できず、複合化を余儀なくされていたので、必然的にその防振構造も複雑なものとなってしまうことから、制振材料自身、ゴム材料自身の高減衰性が求められていた。
【0005】
また、高分子材料と圧電粉末材料とを主成分とした組成物が開示されている(例えば特許文献1参照。)。これらは圧電材料の電気機械変換作用によって振動エネルギーを電気エネルギーに変換して放散させ、それにより振動を吸収、減衰させるものである。ところが、この組成物においては圧電性粒子を50質量%以上含むように配合しないと十分な効果が得られない。しかし、そのように配合すると溶融状態での流動性が低くなり、混練や成形が難しくなる。また、圧電性粒子にジルコン酸チタン酸鉛やチタン酸バリウムなどのセラミックスを用いているため、質量が大きくなるという欠点があった。
【0006】
また、高分子母材中に双極子モーメント量を増加させる活性成分が含まれる制振材料が開示されている(例えば特許文献2参照。)。ところが、この材料で用いられる活性成分は低分子化合物であり、使用中に母材から滲みだして性能が低下するという欠点があった。
【0007】
【特許文献1】特開昭60−51750号公報
【特許文献2】特開平9−302139号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高分子材料を主体とした、簡便に製造可能で、軽量で、より優れた制振性を有する材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、高分子材料からなる母材中に特定の種類の樹脂粉末物を分散させることにより、上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、高分子材料からなる母材中にポリアミド,ポリエステル,ポリウレア,ポリウレタンより選ばれる1種若しくは2種以上からなる樹脂粉末物を分散させてなる制振性樹脂組成物である。以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する母材は高分子材料であり、特に限定されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が使用できる。例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、セルロース、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレゴム(IR)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを使用することができる。尚、制振材料における母材の選択に際しては、当該制振材料の適用される用途や使用形態に応じて、取り扱い性、成形性、入手容易性、温度性能(耐熱性や耐寒性)、耐候性、価格なども考慮するのが望ましい。
【0012】
本発明で使用する樹脂粉末物を形成する樹脂は、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタンより選ばれる1種若しくは2種以上からなるものである。中でもカルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリマーが好ましく、下記(1)式の1,3−フェニレン構造、下記(2)式の1,3−シクロヘキシレン構造を含むポリマーが特に好ましい。
【0013】
【化3】
Figure 2004143324
(1)
【化4】
Figure 2004143324
(2)
ここでカルボニル基間の主鎖中の原子数とは、カルボニル基から最も近いカルボニル基まで、結合に沿った最短経路上に存在する原子数である。
【0014】
ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタンはいずれも既知の方法によって重縮合あるいは重付加することにより製造できる。カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を形成するモノマーを一部に使用することが好ましい。
【0015】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリアミドを形成するモノマーとしては、マロン酸、ジメチルマロン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンなどのジアミン、3−アミノプロパン酸、5−アミノペンタン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸などのアミノカルボン酸あるいはこれらのラクタムが例示できる。
【0016】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリエステルを形成するモノマーとしては、マロン酸、ジメチルマロン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸あるいはこれらのエステル、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、メタキシリレングリコール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどのジオールが例示できる。
【0017】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリウレアを形成するモノマーとしては1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンなどのジアミンおよびこれらジアミンから誘導されるジイソシアネートが例示できる。
【0018】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリウレタン形成するモノマーとしては1,3−プロパンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、1,7−ヘプタンジイソシアネート、1,9−ノナンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナートフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)プロパン、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)プロパンなどのジイソシアナート、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、メタキシリレングリコール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどのジオールが例示できる。
【0019】
本発明で使用する樹脂粉末物は、平均粒径が100μm以下であるものが好ましく、なかでも平均粒径が50μm以下であるものがより好ましい。このような粉体は既知の方法を使用して製造できる。例えば、機械的な粉砕法、溶融溶液を媒体中に分散後溶媒を蒸発させる方法、溶融樹脂を媒体中に分散後冷却する方法、樹脂を超臨界相に溶解させ急速膨張させる方法などの方法が使用できる。また、上記平均粒径はレーザー回折散乱法による測定より算出することができる。
【0020】
本発明で使用する樹脂粉末物は、制振材料中5〜80質量%配合することが好ましく、この範囲で良好な制振性能が得られる。
【0021】
本発明の組成物には樹脂粉末物の他に導電性材料を分散させることが好ましい。導電性材料は既知のものを用いることができる。例えば、無機系では銀、銅、ニッケルなどの金属粉末や金属繊維、酸化すず、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属酸化物の微粒子、カーボンブラックなどの導電性カーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長黒鉛などのカーボン繊維、有機系では低分子帯電防止剤や導電性高分子などが挙げられる。これらの配合比率は、体積抵抗率が10〜1012Ω・cmになるように調整することが好ましい。
【0022】
また、母材中には、振動エネルギー吸収性能を向上させる目的で、マイカ鱗片、ガラス片、グラスファイバー、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、バライト、沈降硫酸バリウム等のフィラーを充填することもできる。
【0023】
本発明の組成物は、上記母材成分及び樹脂粉末物、導電性材料並びに必要に応じてフィラーを配合することで得られるが、その際には熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機などの既知の溶融混合する装置を用いることができる。
【0024】
本発明の組成物は、制振材料として射出成形品、シート、フィルム、繊維、容器、発泡体、拘束型制振シート、非拘束型制振シートなどの形状で用いることができる。本発明の組成物は、自動車、鉄道、建築資材、電気機器、精密機器、靴、スポーツ用品などの制振材料として使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例,および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
実施例1
ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン)を粉砕し、平均粒径30μmの粉末を得た。この粉末20質量部と80質量部のポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックHD)を2軸押出機を用いて180℃で混練し、Tダイ法で膜厚250μmのシートを作製した。作製したシートを150mm×10mmの短冊状に切出し、試料シートを得た。
【0026】
実施例2
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸を重縮合して得られたポリ(1,3−シクロヘキシレンジメチレンアジパミド)を粉砕し、平均粒径45μmの粉末を得た。この粉末10質量部と80質量部のポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックHD)と10重量部の導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル製、商品名:ケッチェンブラックEC)を2軸押出機を用いて180℃で混練し、Tダイ法で膜厚250μmのシートを作製した。作製したシートを150mm×10mmの短冊状に切出し、試料シートを得た。
【0027】
比較例1
高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名:ノバテックHD)を2軸押出機を用いて180℃で混練し、Tダイ法で膜厚250μmのシートを作製した。作製したシートを150mm×10mmの短冊状に切出し、試料シートを得た。
【0028】
(制振性能)
試料シートの制振性能を減衰時定数τを決定することにより評価した。厚み1mm、幅10mm、長さ150mmのアルミニウム板に、試料シートを貼り試験片とした。試験片は一端をクランプによって片持ち支持され、もう一端に衝撃を加えることによって振動を与え、その自由減衰の様子を加速度センサーで測定した(図1参照)。そして、自由減衰時の振動波形のピークを指数関数に近似し、振幅が1/eになる時間τを算出した(図2参照)。その結果を表1に示す。
【0029】
Figure 2004143324
【0030】
表1に示すように、樹脂粉末物が含まれていない比較例1と比較して、実施例1、2の本発明による制振材用樹脂組成物は、良好な制振性を示した。
【0031】
【発明の効果】
本発明の制振性樹脂組成物によれば、簡便に製造可能な、軽量で、より優れた制振性を有する材料を提供することが可能となり、本発明の工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の自由減衰の様子を示すグラフ
【図2】実施例の減衰時定数τの算出手順を示すグラフ

Claims (9)

  1. 高分子材料からなる母材中にポリアミド,ポリエステル,ポリウレア,ポリウレタンより選ばれる1種若しくは2種以上からなる樹脂粉末物を分散させてなる制振性樹脂組成物。
  2. 母材中に樹脂粉末物と導電性材料を分散させてなる請求項1記載の制振性樹脂組成物。
  3. 樹脂粉末物がカルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含む樹脂からなる請求項1乃至2記載の制振性樹脂組成物。
  4. 樹脂粉末物が下記(1)式および/または(2)式の構造を含む樹脂からなる請求項3記載の制振性樹脂組成物。
    Figure 2004143324
    (1)
    Figure 2004143324
    (2)
  5. 樹脂粉末物の平均粒径が100μm以下である請求項1乃至3記載の制振性樹脂組成物。
  6. 母材がポリ塩化ビニル、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、セルロース、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレゴム(IR)からなる高分子の群から選ばれる1種若しくは2種以上である請求項1乃至5記載の制振性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする制振材料。
  8. 請求項1乃至6記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする非拘束型制振材料。
  9. 繊維を構成する高分子に請求項1乃至6記載の樹脂組成物を用いたことを特徴とする制振繊維。
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