JP2004141704A - 洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超臨界流体を用いた処理のみによって、微細構造を破壊することなく被処理体を洗浄処理することができる洗浄装置および洗浄方法を提供する。
【解決手段】超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄装置であって、超臨界流体に添加する酸化剤を供給する酸化剤供給手段8,9,10を有する。半導体やマイクロマシン等の微細構造の洗浄において、超臨界状態の二酸化炭素に過酸化物を添加し、更に過酸化物自体を超臨界状態の二酸化炭素中で解離させることにより、微細な構造を破壊することなく、パターン形成時のレジストやエッチング残渣物等の汚染物質を除去する。
【選択図】図1
【解決手段】超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄装置であって、超臨界流体に添加する酸化剤を供給する酸化剤供給手段8,9,10を有する。半導体やマイクロマシン等の微細構造の洗浄において、超臨界状態の二酸化炭素に過酸化物を添加し、更に過酸化物自体を超臨界状態の二酸化炭素中で解離させることにより、微細な構造を破壊することなく、パターン形成時のレジストやエッチング残渣物等の汚染物質を除去する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体基板、液晶表示器のガラス基板、フォトマスク用の基板、光ディスク用の基板等(以下、単に基板と称する)を洗浄処理する洗浄装置および洗浄方法に関する。特に、基板上に形成される微細な構造パターンの形成のためのレジストやエッチング残渣物を除去する洗浄装置および洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に微細構造を形成するには、基板上に成膜したレジストを露光、現像処理することによりパターンを形成し、このパターンを用いて下層に形成された薄膜をエッチング処理するが、パターン形成処理後のレジストやエッチング処理により生成したエッチング残渣物を洗浄除去する必要がある。
【0003】
また、一般に、半導体装置の製造工程において、半導体基板上にパーティクル(微小粒子)が付着すると、半導体装置の誤作動や性能の劣化を引き起こすため、これが不良の原因となる。また、半導体装置の製造工程において、マスク(レチクル)を使用する露光装置を用いて半導体ウェーハ上のレジストなどを露光しパターンを形成している。この時、マスク上にパーティクルなどの異物が存在すると、レジスト上で露光されるパターンに固定欠陥生成などの悪影響を及ぼし、これも半導体装置の誤作動や不良の原因となるため、マスク上から除去する必要がある。
【0004】
前者の、パターン形成後に不要となったレジストやエッチング残渣物については、従来は以下のような処理により除去していた。(1)酸素などから生成されるプラズマに晒し、灰化により除去する方法。(2)強力な酸化または還元作用を有する溶液、例えば硫酸と過酸化水素水の混合液(硫酸過水)やオゾンを溶解させた純水(オゾン水)、アミンなどの有機アルカリ溶液、に浸漬し、分解除去する方法。(3)レジストを溶解可能な有機溶媒に浸漬し、溶解剥離する方法。
【0005】
上記(1)の方法では、レジストやエッチング残渣物を完全に除去することは困難であり、(2)または(3)の方法を組み合わせて用いられる。(2)または(3)の方法でも、単独で用いられることもあるが、(1)の方法と組み合わせて用いられることが一般的である。
【0006】
しかしながら、近年は基板上のパターンが微細化しており、MEMS(MicroElectro Mechanical System)においてはエアーブリッジなどの容易に破壊する構造が採用されており、基板を液体に浸漬させる上記の方法では、液体の表面張力の作用により、構造が破壊されてしまうことが懸念されている。
【0007】
そこで従来、超臨界流体を用いる方法が提案されており、このような超臨界流体は表面張力が極めてゼロに近いことから、微細構造を破壊することなく表面の処理を行うことができる(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0008】
また、超臨界となる物質としては、二酸化炭素、アンモニア、水、アルコール類、低分子量の脂肪族飽和炭化水素類、ベンゼン、ジエチルエーテル等、超臨界流体となることが確認されている多くの物質を利用することができる。この中でも二酸化炭素は臨界温度が31.3℃と比較的室温に近く、また臨界圧力も7.38MPaと超臨界流体の中では比較的低いことから、超臨界流体として好ましく用いられる物質である。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−220828号公報
【特許文献2】
特開平1−286314号公報
【特許文献3】
特開平9−43857号公報
【特許文献4】
特開平8−181050号公報
【特許文献5】
特開2001−165568号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、超臨界流体として一般的に用いられている二酸化炭素は、超臨界流体の状態では無極性有機溶剤と類似の性質を示すため、超臨界状態の二酸化炭素単体に溶解可能な物質は限定されてしまう。
【0011】
たとえば、露光前のフォトレジスト等の低分子の有機物は除去可能であるが、露光やイオンインプラ、ドライエッチング等により高分子化したレジストや、エッチング残渣物等の無機化合物については、除去が困難となる。
このため、超臨界状態の二酸化炭素で処理を行う前に、従来から実績のある薬液による湿式洗浄を行う必要がある。
【0012】
このような場合、被洗浄物が気液界面を通過することにより、液体の表面張力により構造が破壊されてしまう懸念がある。このため、湿式洗浄後の薬液からリンス液への移載やリンス液から超臨界二酸化炭素への置換を、気液界面を通過させずに行う技術があるが、工程が複雑となるという問題がある(例えば、特許文献5参照。)。
【0013】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、超臨界流体を用いた処理のみによって、微細構造を破壊することなく被処理体を洗浄処理することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の洗浄装置は、超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄装置であって、前記超臨界流体に添加する酸化剤を供給する酸化剤供給手段を有する。
【0015】
前記酸化剤が添加された前記超臨界流体にエネルギービームを照射して、前記酸化剤を解離させるエネルギービーム照射手段をさらに有する。
【0016】
前記酸化剤供給手段は、前記酸化剤として過酸化物を供給する。前記超臨界流体は、二酸化炭素である。
【0017】
上記の本発明の洗浄装置では、酸化剤供給手段により供給された酸化剤が超臨界流体中に添加されることにより、添加された酸化剤は超臨界流体中で解離した状態となる。
被処理体の汚染物質の一部は、超臨界流体に溶解する。ここで、超臨界流体単独では溶解しない汚染物質のうち、有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。また、無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。
このとき、エネルギービーム照射手段により酸化剤が添加された超臨界流体にエネルギービームを照射することにより、酸化剤の解離が促進される。
【0018】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の洗浄方法は、超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄方法であって、前記超臨界流体に酸化剤を添加することを特徴とする。
【0019】
前記酸化剤が添加された前記超臨界流体にエネルギービームを照射して、前記酸化剤を解離させる。
【0020】
前記超臨界流体に前記酸化剤として過酸化物を添加する。前記超臨界流体は、二酸化炭素である。
【0021】
上記の本発明の洗浄方法では、超臨界流体中に酸化剤が添加されることにより、添加された酸化剤は超臨界流体中で解離した状態となる。
被処理体の汚染物質の一部は、超臨界流体に溶解する。ここで、超臨界流体単独では溶解しない汚染物質のうち、有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。また、無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。
このとき、酸化剤が添加された超臨界流体にエネルギービームを照射することにより、酸化剤の解離が促進される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の洗浄装置および洗浄方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る洗浄装置の一例を示す構成図である。
図1に示すように、基板(被処理体)2を収納する処理室1が設けられ、処理室1には流体供給口3が設置されており、当該流体供給口3から供給された超臨界物質により基板2が洗浄処理される。図示はしないが、処理室1内には、基板2を保持するステージが設置されており、ステージは真空吸着あるいはメカニカルチャックにより基板2を保持する。
【0024】
流体供給口3には、混合部11、超臨界物質供給バルブ7および超臨界物質圧力・温度制御手段6を介して超臨界物質供給源5が接続されている。超臨界物質供給源5、超臨界物質圧力・温度制御手段6および超臨界物質供給バルブ7により超臨界物質供給手段が構成される。
【0025】
超臨界物質供給源5は、超臨界流体となる超臨界物質を貯蔵および供給する。超臨界流体とは次のように定義される。すなわち、物質には気体と液体とが共存できなくなる固有の臨界温度および臨界圧力をもっており、さらに物質が臨界温度、臨界圧力の状態になる点を臨界点と称されている。超臨界流体とは、物質が臨界点を越えた温度ないし圧力の領域にある状態を称して定義される。
【0026】
このように定義される超臨界流体は、液体に近い溶解力をもつが、張力や粘度は気体に近い性質を示すので、気体の状態を保った液体といえる。そして、超臨界流体は、気液界面を形成しないため表面張力はゼロになる。このような超臨界流体は、微細な部分にも浸透可能であり、拡散係数が高く、溶解した汚染物を素早く分散させることができる。また、常温、常圧にもどすことによりガス状になり、直ちに蒸発乾燥させることができるといった特徴をもつ。
【0027】
超臨界流体の選定条件としては、安全性が高いこと、取り扱い易い臨界点を有していること、安価で経済的であること等が挙げられる。これらの諸条件を満たす超臨界物質(本明細書では、超臨界流体となる物質を超臨界物質と称している)として、二酸化炭素、亜硫酸ガス、亜酸化窒素、エタン、プロパン、フロンガスといった物質が挙げられる。その中でも二酸化炭素(炭酸ガス)が最も適している。これは、二酸化炭素は生物に対してほとんど無害である上、臨界点も温度が31.3℃、圧力が7.38MPaと比較的扱い易く、さらに安価で入手が容易だからである。このような理由により、本実施形態では、超臨界物質として二酸化炭素を採用している。しかしながら、上記に挙げた二酸化炭素以外の物質でも超臨界物質として用いてもよい。
【0028】
超臨界物質圧力・温度制御手段6は、超臨界物質供給源5から供給された超臨界物質の温度および圧力を制御する。超臨界物質供給バルブ7は、超臨界物質圧力・温度制御手段6から供給された気体状の超臨界物質の混合部11への供給量を制御する。
【0029】
混合部11には、さらに酸化剤供給バルブ10および酸化剤圧力・温度制御手段9を介して酸化剤供給源8が接続されている。酸化剤供給源8、酸化剤圧力・温度制御手段9および酸化剤供給バルブ10により、酸化剤供給手段が構成される。
【0030】
酸化剤供給源8は、酸化剤を貯蔵および供給する。本実施形態では、酸化剤として例えば過酸化物を用いる。過酸化物の具体例としては、オゾンガス溶解水、過酸化水素水、過塩素酸、過硫酸、過リン酸等の無機のオキソ酸のうち−O−O−結合を含む酸や、過ギ酸、過酢酸等のRCO3 Hであらわされる有機過酸化物や、過酸化ベンゾイル等のラジカル重合開始剤や、アジピン酸ジビニルなどの架橋剤等がある。このような過酸化物は、超臨界流体に添加することにより、溶媒を用いずに超臨界流体中で解離される。このとき、相溶剤を添加する必要はない。
【0031】
超臨界物質として二酸化炭素を用いた場合には、超臨界流体の状態では無極性有機溶剤と類似の性質を示す。汚染物質の一部は、超臨界流体に溶解する。ここで、例えば、エッチング等により高分子化したレジストのように、無極性溶剤に溶解されない有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した過酸化物(ラジカル種)の酸化作用により酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解可能となる。
また、レジスト残渣物のように、無極性溶剤に溶解されない無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。
【0032】
酸化剤圧力・温度制御手段9は、酸化剤供給源8から供給された酸化剤の温度および圧力を制御する。酸化剤供給バルブ10は、酸化剤圧力・温度制御手段9から供給された気体状の酸化剤の混合部11への供給量を制御する。
【0033】
混合部11は、超臨界物質供給手段から供給された超臨界物質および酸化剤供給手段から供給された酸化剤を混合する。混合された超臨界物質および酸化剤は、流体供給口3を通って処理室1に供給される。
【0034】
処理室1には、流体排出口4が設置されており、流体排出口4には圧力調整弁12が接続され、圧力調整弁12には排出気液分離手段13が接続されており、排出気液分離手段13には排気ライン14および排液ライン15が接続されておいる。圧力調整弁12、排出気液分離手段13、排気ライン14および排液ライン15により排出手段が構成されている。
【0035】
圧力調整弁12の作用により処理室1内が所定の圧力になるようにコントロールされる。排出気液分離手段13の作用により排出された超臨界物質、酸化剤および汚染物質のうち、常温常圧で気体となる物質は排気ライン14により排気され、液体となるものについては排液ライン15により排液される。
なお、この時排気ライン14および排液ライン15から排出された流体は、回収装置(図示せず)により回収し、再利用することも可能である。
【0036】
処理室1には、例えばヒータからなる処理室温度制御手段16が接続されている。処理室温度制御手段16は、処理室1内に供給された超臨界物質を超臨界流体とすべく、処理室1内の温度を臨界点以上の温度に制御する。
【0037】
処理室1には、石英等からなる光学窓17が設置されており、更に処理室1に設置された光学窓17を通して、処理室1内の超臨界流体にエネルギービーム19を照射するエネルギービーム照射手段18が設けられている。エネルギービーム照射手段18は、例えばUVランプからなり、エネルギービーム19として紫外光を処理室1内に照射する。このように、エネルギービーム照射手段18を設けているのは、超臨界流体中に添加された過酸化物の解離を促進して、酸化力を向上させるためである。
【0038】
図2は、本実施形態における洗浄処理の対象となる基板の一例を示す断面図である。
基板2には、パターン加工された被加工膜21が形成されている。通常、被加工膜21を加工するには、被加工膜21上に所定パターンのレジスト22を露光および現像により形成し、当該レジスト22をマスクとしてエッチングすることにより形成される。従って、エッチング後の被加工膜21上にはレジスト22が残っている。また、被加工膜21のパターンにはエッチング残渣物23が残存している。
【0039】
エッチング残渣物23は、レジスト22をマスクに被加工膜21がエッチングされることにより基板1上に残る物質と定義される。エッチング残渣物23の生成原因としては、プラズマ重合物等の低揮発性の反応生成物、スパッタ分解物、あるいは被加工膜21中の低揮発性物質等が核となって生じる。一般に、エッチング残渣物は無機化合物である。
【0040】
本実施形態では、一例として、基板上の被加工膜21にパターン形成した後のレジスト22やエッチング残渣物23(以下、汚染物質と称する)を除去する例について説明する。但し、これ以外にも、基板上のパーティクルの除去にも適用可能である。また、基板2は、シリコン等の半導体基板の他、液晶表示器のガラス基板、フォトマスク用基板および光ディスク用基板であってもよい。
【0041】
次に、上記の洗浄装置を用いた基板洗浄方法について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
まず、基板2を処理室1に収納し、超臨界物質供給バルブ7を調整し、超臨界物質圧力・温度制御手段6により温度および圧力を制御しつつ、超臨界物質供給源5から気体状の超臨界物質を処理室1に導入する(ステップST1)。
【0043】
そして、供給された超臨界物質が液体とならないように、超臨界物質圧力・温度制御手段6および処理室温度制御手段16により処理室1内の温度を臨界温度以上に制御したまま、超臨界物質を導入し続ける。
これにより、処理室1内の圧力が臨界圧力以上になり、処理室1内の超臨界物質は気体から直接超臨界流体となり、微細構造が形成された基板2を気液界面に曝すことなく、処理室1内を超臨界流体で満たすことができる(ステップST2)。例えば、超臨界物質が二酸化炭素の場合、温度は31.3℃以上に制御し、処理室1の圧力が7.38MPa以上になることで、気体から直接超臨界流体となる。
【0044】
このように、処理室1内を超臨界流体で満たした状態で、酸化剤供給バルブ10を調整し、酸化剤圧力・温度制御手段9により温度および圧力を制御しつつ、酸化剤供給源8から気体状の酸化剤を混合部11へ送る。混合部11において超臨界物質と酸化剤が混合し、これらが処理室に供給される(ステップST3)。
【0045】
すると、これまで超臨界流体で満たされていた処理室1は、酸化剤が添加された超臨界流体に置換され、基板2は洗浄処理される(ステップST4)。すなわち、超臨界流体単独では溶解しない汚染物質のうち、レジスト等の有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解する。また、エッチング残渣物等の無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解する。
ここで添加される酸化剤は、上述したように、オゾンガス溶解水や過酸化水素等の過酸化物である。
【0046】
また、この時、エネルギービーム照射手段18から処理室1に設けられた光学窓17を通して、エネルギービーム19として例えば紫外光を超臨界流体に照射することにより、超臨界流体に添加された過酸化物の解離が促進される。これにより、基板2上の汚染物質の除去効果を向上させることが可能である。
【0047】
以上の洗浄処理が終了したのち、酸化剤供給バルブ10を調整し、酸化剤の供給を停止させ、処理室1内を酸化剤のない超臨界流体で置き換える(ステップST5)。これにより、基板2は超臨界流体によりリンスされる。
【0048】
処理室1内が超臨界流体のみに置換されている間、流体排出口4から排出された超臨界物質と酸化剤、汚染物質の混合物は、排出気液分離手段13により酸化剤と汚染物質の混合物と、気体となった超臨界物質とに分離され、排液ライン15および排気ライン14から、それぞれ排出または回収される。
【0049】
その後、超臨界物質供給バルブ7を調整し、超臨界物質の処理室1への供給を停止し(ステップST6)、処理室温度制御手段16および圧力調整弁12を調整して、処理室1内の温度および圧力をそれぞれ臨界温度および臨界圧力以下に下げることにより、処理室1内の超臨界物質を気体状態とする。これにより、基板2は乾燥処理される(ステップST7)。
以上により、基板の洗浄処理が完了する。
【0050】
本実施形態に係る洗浄装置および洗浄方法によれば、超臨界流体に酸化剤を添加し、更に酸化剤自体を超臨界流体中で解離させることにより、基板2の微細な構造を破壊することなく、パターン形成時のレジストやエッチング残渣物等の汚染物質を、超臨界流体のみで洗浄除去することができる。
このように、薬液による湿式洗浄を行う必要がなくなるため、工程を複雑化せずに微細構造体をもつ基板を洗浄することが可能となる。
【0051】
また、超臨界流体中に添加された酸化剤の解離を促進させるエネルギービームを照射することにより、酸化剤による汚染物質の除去効率をさらに向上させることができる。
【0052】
また、超臨界流体に添加する酸化剤を供給する酸化剤供給手段を設けるのみで、上記のような洗浄が可能となることから、装置コストの増加もない。
【0053】
このように、工程が簡素化されることから、被処理体の洗浄処理に要する実行時間が短縮され、少ない設備台数でも要求される洗浄処理を達成することができる。
【0054】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、図4に示すように、混合部11を設けずに、処理室1に超臨界物質供給口3aと酸化剤供給口3bとを別々に設け、酸化剤供給口3bから酸化剤のみを処理室1に供給することにより、処理室1内の超臨界流体に酸化剤を添加するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、基板2上のレジストやエッチング残渣物等の汚染物質を除去する例について説明したが、洗浄対象はこれに限定されるものではない。例えば、金属物質からなる汚染物質であっても、酸化剤による酸化作用によりイオン化されて超臨界流体中もしくは酸化剤に溶解される。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明の洗浄装置によれば、超臨界流体を用いた処理のみによって、微細構造を破壊することなく被処理体を洗浄処理することができるため、被処理体の洗浄処理に要する実行時間が短縮され、少ない設備台数でも要求される洗浄処理を達成することができる。
【0057】
本発明の洗浄方法によれば、超臨界流体を用いた処理のみによって、微細構造を破壊することなく被処理体を洗浄処理することができるため、被処理体の洗浄処理に要する実行時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る洗浄装置の一例を示す構成図である。
【図2】本実施形態における洗浄処理の対象となる基板の一例を示す断面図である。
【図3】本実施形態に係る洗浄処理のフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る洗浄装置の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…処理室、2…基板、3…流体供給口、3a…超臨界物質供給口、3b…酸化剤供給口、4…流体排出口、5…超臨界物質供給源、6…超臨界物質圧力・温度制御手段、7…超臨界物質供給バルブ、8…酸化剤供給源、9…酸化剤圧力・温度制御手段、10…酸化剤供給バルブ、11…混合部、12…圧力調整弁、13…排出気液分離手段、14…排気ライン、15…排液ライン、16…処理室温度制御手段、17…光学窓、18…エネルギービーム照射手段、19…エネルギービーム、21…被加工膜、22…レジスト、23…エッチング残渣物。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体基板、液晶表示器のガラス基板、フォトマスク用の基板、光ディスク用の基板等(以下、単に基板と称する)を洗浄処理する洗浄装置および洗浄方法に関する。特に、基板上に形成される微細な構造パターンの形成のためのレジストやエッチング残渣物を除去する洗浄装置および洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に微細構造を形成するには、基板上に成膜したレジストを露光、現像処理することによりパターンを形成し、このパターンを用いて下層に形成された薄膜をエッチング処理するが、パターン形成処理後のレジストやエッチング処理により生成したエッチング残渣物を洗浄除去する必要がある。
【0003】
また、一般に、半導体装置の製造工程において、半導体基板上にパーティクル(微小粒子)が付着すると、半導体装置の誤作動や性能の劣化を引き起こすため、これが不良の原因となる。また、半導体装置の製造工程において、マスク(レチクル)を使用する露光装置を用いて半導体ウェーハ上のレジストなどを露光しパターンを形成している。この時、マスク上にパーティクルなどの異物が存在すると、レジスト上で露光されるパターンに固定欠陥生成などの悪影響を及ぼし、これも半導体装置の誤作動や不良の原因となるため、マスク上から除去する必要がある。
【0004】
前者の、パターン形成後に不要となったレジストやエッチング残渣物については、従来は以下のような処理により除去していた。(1)酸素などから生成されるプラズマに晒し、灰化により除去する方法。(2)強力な酸化または還元作用を有する溶液、例えば硫酸と過酸化水素水の混合液(硫酸過水)やオゾンを溶解させた純水(オゾン水)、アミンなどの有機アルカリ溶液、に浸漬し、分解除去する方法。(3)レジストを溶解可能な有機溶媒に浸漬し、溶解剥離する方法。
【0005】
上記(1)の方法では、レジストやエッチング残渣物を完全に除去することは困難であり、(2)または(3)の方法を組み合わせて用いられる。(2)または(3)の方法でも、単独で用いられることもあるが、(1)の方法と組み合わせて用いられることが一般的である。
【0006】
しかしながら、近年は基板上のパターンが微細化しており、MEMS(MicroElectro Mechanical System)においてはエアーブリッジなどの容易に破壊する構造が採用されており、基板を液体に浸漬させる上記の方法では、液体の表面張力の作用により、構造が破壊されてしまうことが懸念されている。
【0007】
そこで従来、超臨界流体を用いる方法が提案されており、このような超臨界流体は表面張力が極めてゼロに近いことから、微細構造を破壊することなく表面の処理を行うことができる(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0008】
また、超臨界となる物質としては、二酸化炭素、アンモニア、水、アルコール類、低分子量の脂肪族飽和炭化水素類、ベンゼン、ジエチルエーテル等、超臨界流体となることが確認されている多くの物質を利用することができる。この中でも二酸化炭素は臨界温度が31.3℃と比較的室温に近く、また臨界圧力も7.38MPaと超臨界流体の中では比較的低いことから、超臨界流体として好ましく用いられる物質である。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−220828号公報
【特許文献2】
特開平1−286314号公報
【特許文献3】
特開平9−43857号公報
【特許文献4】
特開平8−181050号公報
【特許文献5】
特開2001−165568号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、超臨界流体として一般的に用いられている二酸化炭素は、超臨界流体の状態では無極性有機溶剤と類似の性質を示すため、超臨界状態の二酸化炭素単体に溶解可能な物質は限定されてしまう。
【0011】
たとえば、露光前のフォトレジスト等の低分子の有機物は除去可能であるが、露光やイオンインプラ、ドライエッチング等により高分子化したレジストや、エッチング残渣物等の無機化合物については、除去が困難となる。
このため、超臨界状態の二酸化炭素で処理を行う前に、従来から実績のある薬液による湿式洗浄を行う必要がある。
【0012】
このような場合、被洗浄物が気液界面を通過することにより、液体の表面張力により構造が破壊されてしまう懸念がある。このため、湿式洗浄後の薬液からリンス液への移載やリンス液から超臨界二酸化炭素への置換を、気液界面を通過させずに行う技術があるが、工程が複雑となるという問題がある(例えば、特許文献5参照。)。
【0013】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、超臨界流体を用いた処理のみによって、微細構造を破壊することなく被処理体を洗浄処理することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の洗浄装置は、超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄装置であって、前記超臨界流体に添加する酸化剤を供給する酸化剤供給手段を有する。
【0015】
前記酸化剤が添加された前記超臨界流体にエネルギービームを照射して、前記酸化剤を解離させるエネルギービーム照射手段をさらに有する。
【0016】
前記酸化剤供給手段は、前記酸化剤として過酸化物を供給する。前記超臨界流体は、二酸化炭素である。
【0017】
上記の本発明の洗浄装置では、酸化剤供給手段により供給された酸化剤が超臨界流体中に添加されることにより、添加された酸化剤は超臨界流体中で解離した状態となる。
被処理体の汚染物質の一部は、超臨界流体に溶解する。ここで、超臨界流体単独では溶解しない汚染物質のうち、有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。また、無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。
このとき、エネルギービーム照射手段により酸化剤が添加された超臨界流体にエネルギービームを照射することにより、酸化剤の解離が促進される。
【0018】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の洗浄方法は、超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄方法であって、前記超臨界流体に酸化剤を添加することを特徴とする。
【0019】
前記酸化剤が添加された前記超臨界流体にエネルギービームを照射して、前記酸化剤を解離させる。
【0020】
前記超臨界流体に前記酸化剤として過酸化物を添加する。前記超臨界流体は、二酸化炭素である。
【0021】
上記の本発明の洗浄方法では、超臨界流体中に酸化剤が添加されることにより、添加された酸化剤は超臨界流体中で解離した状態となる。
被処理体の汚染物質の一部は、超臨界流体に溶解する。ここで、超臨界流体単独では溶解しない汚染物質のうち、有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。また、無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。
このとき、酸化剤が添加された超臨界流体にエネルギービームを照射することにより、酸化剤の解離が促進される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の洗浄装置および洗浄方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る洗浄装置の一例を示す構成図である。
図1に示すように、基板(被処理体)2を収納する処理室1が設けられ、処理室1には流体供給口3が設置されており、当該流体供給口3から供給された超臨界物質により基板2が洗浄処理される。図示はしないが、処理室1内には、基板2を保持するステージが設置されており、ステージは真空吸着あるいはメカニカルチャックにより基板2を保持する。
【0024】
流体供給口3には、混合部11、超臨界物質供給バルブ7および超臨界物質圧力・温度制御手段6を介して超臨界物質供給源5が接続されている。超臨界物質供給源5、超臨界物質圧力・温度制御手段6および超臨界物質供給バルブ7により超臨界物質供給手段が構成される。
【0025】
超臨界物質供給源5は、超臨界流体となる超臨界物質を貯蔵および供給する。超臨界流体とは次のように定義される。すなわち、物質には気体と液体とが共存できなくなる固有の臨界温度および臨界圧力をもっており、さらに物質が臨界温度、臨界圧力の状態になる点を臨界点と称されている。超臨界流体とは、物質が臨界点を越えた温度ないし圧力の領域にある状態を称して定義される。
【0026】
このように定義される超臨界流体は、液体に近い溶解力をもつが、張力や粘度は気体に近い性質を示すので、気体の状態を保った液体といえる。そして、超臨界流体は、気液界面を形成しないため表面張力はゼロになる。このような超臨界流体は、微細な部分にも浸透可能であり、拡散係数が高く、溶解した汚染物を素早く分散させることができる。また、常温、常圧にもどすことによりガス状になり、直ちに蒸発乾燥させることができるといった特徴をもつ。
【0027】
超臨界流体の選定条件としては、安全性が高いこと、取り扱い易い臨界点を有していること、安価で経済的であること等が挙げられる。これらの諸条件を満たす超臨界物質(本明細書では、超臨界流体となる物質を超臨界物質と称している)として、二酸化炭素、亜硫酸ガス、亜酸化窒素、エタン、プロパン、フロンガスといった物質が挙げられる。その中でも二酸化炭素(炭酸ガス)が最も適している。これは、二酸化炭素は生物に対してほとんど無害である上、臨界点も温度が31.3℃、圧力が7.38MPaと比較的扱い易く、さらに安価で入手が容易だからである。このような理由により、本実施形態では、超臨界物質として二酸化炭素を採用している。しかしながら、上記に挙げた二酸化炭素以外の物質でも超臨界物質として用いてもよい。
【0028】
超臨界物質圧力・温度制御手段6は、超臨界物質供給源5から供給された超臨界物質の温度および圧力を制御する。超臨界物質供給バルブ7は、超臨界物質圧力・温度制御手段6から供給された気体状の超臨界物質の混合部11への供給量を制御する。
【0029】
混合部11には、さらに酸化剤供給バルブ10および酸化剤圧力・温度制御手段9を介して酸化剤供給源8が接続されている。酸化剤供給源8、酸化剤圧力・温度制御手段9および酸化剤供給バルブ10により、酸化剤供給手段が構成される。
【0030】
酸化剤供給源8は、酸化剤を貯蔵および供給する。本実施形態では、酸化剤として例えば過酸化物を用いる。過酸化物の具体例としては、オゾンガス溶解水、過酸化水素水、過塩素酸、過硫酸、過リン酸等の無機のオキソ酸のうち−O−O−結合を含む酸や、過ギ酸、過酢酸等のRCO3 Hであらわされる有機過酸化物や、過酸化ベンゾイル等のラジカル重合開始剤や、アジピン酸ジビニルなどの架橋剤等がある。このような過酸化物は、超臨界流体に添加することにより、溶媒を用いずに超臨界流体中で解離される。このとき、相溶剤を添加する必要はない。
【0031】
超臨界物質として二酸化炭素を用いた場合には、超臨界流体の状態では無極性有機溶剤と類似の性質を示す。汚染物質の一部は、超臨界流体に溶解する。ここで、例えば、エッチング等により高分子化したレジストのように、無極性溶剤に溶解されない有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した過酸化物(ラジカル種)の酸化作用により酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解可能となる。
また、レジスト残渣物のように、無極性溶剤に溶解されない無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解することとなる。
【0032】
酸化剤圧力・温度制御手段9は、酸化剤供給源8から供給された酸化剤の温度および圧力を制御する。酸化剤供給バルブ10は、酸化剤圧力・温度制御手段9から供給された気体状の酸化剤の混合部11への供給量を制御する。
【0033】
混合部11は、超臨界物質供給手段から供給された超臨界物質および酸化剤供給手段から供給された酸化剤を混合する。混合された超臨界物質および酸化剤は、流体供給口3を通って処理室1に供給される。
【0034】
処理室1には、流体排出口4が設置されており、流体排出口4には圧力調整弁12が接続され、圧力調整弁12には排出気液分離手段13が接続されており、排出気液分離手段13には排気ライン14および排液ライン15が接続されておいる。圧力調整弁12、排出気液分離手段13、排気ライン14および排液ライン15により排出手段が構成されている。
【0035】
圧力調整弁12の作用により処理室1内が所定の圧力になるようにコントロールされる。排出気液分離手段13の作用により排出された超臨界物質、酸化剤および汚染物質のうち、常温常圧で気体となる物質は排気ライン14により排気され、液体となるものについては排液ライン15により排液される。
なお、この時排気ライン14および排液ライン15から排出された流体は、回収装置(図示せず)により回収し、再利用することも可能である。
【0036】
処理室1には、例えばヒータからなる処理室温度制御手段16が接続されている。処理室温度制御手段16は、処理室1内に供給された超臨界物質を超臨界流体とすべく、処理室1内の温度を臨界点以上の温度に制御する。
【0037】
処理室1には、石英等からなる光学窓17が設置されており、更に処理室1に設置された光学窓17を通して、処理室1内の超臨界流体にエネルギービーム19を照射するエネルギービーム照射手段18が設けられている。エネルギービーム照射手段18は、例えばUVランプからなり、エネルギービーム19として紫外光を処理室1内に照射する。このように、エネルギービーム照射手段18を設けているのは、超臨界流体中に添加された過酸化物の解離を促進して、酸化力を向上させるためである。
【0038】
図2は、本実施形態における洗浄処理の対象となる基板の一例を示す断面図である。
基板2には、パターン加工された被加工膜21が形成されている。通常、被加工膜21を加工するには、被加工膜21上に所定パターンのレジスト22を露光および現像により形成し、当該レジスト22をマスクとしてエッチングすることにより形成される。従って、エッチング後の被加工膜21上にはレジスト22が残っている。また、被加工膜21のパターンにはエッチング残渣物23が残存している。
【0039】
エッチング残渣物23は、レジスト22をマスクに被加工膜21がエッチングされることにより基板1上に残る物質と定義される。エッチング残渣物23の生成原因としては、プラズマ重合物等の低揮発性の反応生成物、スパッタ分解物、あるいは被加工膜21中の低揮発性物質等が核となって生じる。一般に、エッチング残渣物は無機化合物である。
【0040】
本実施形態では、一例として、基板上の被加工膜21にパターン形成した後のレジスト22やエッチング残渣物23(以下、汚染物質と称する)を除去する例について説明する。但し、これ以外にも、基板上のパーティクルの除去にも適用可能である。また、基板2は、シリコン等の半導体基板の他、液晶表示器のガラス基板、フォトマスク用基板および光ディスク用基板であってもよい。
【0041】
次に、上記の洗浄装置を用いた基板洗浄方法について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
まず、基板2を処理室1に収納し、超臨界物質供給バルブ7を調整し、超臨界物質圧力・温度制御手段6により温度および圧力を制御しつつ、超臨界物質供給源5から気体状の超臨界物質を処理室1に導入する(ステップST1)。
【0043】
そして、供給された超臨界物質が液体とならないように、超臨界物質圧力・温度制御手段6および処理室温度制御手段16により処理室1内の温度を臨界温度以上に制御したまま、超臨界物質を導入し続ける。
これにより、処理室1内の圧力が臨界圧力以上になり、処理室1内の超臨界物質は気体から直接超臨界流体となり、微細構造が形成された基板2を気液界面に曝すことなく、処理室1内を超臨界流体で満たすことができる(ステップST2)。例えば、超臨界物質が二酸化炭素の場合、温度は31.3℃以上に制御し、処理室1の圧力が7.38MPa以上になることで、気体から直接超臨界流体となる。
【0044】
このように、処理室1内を超臨界流体で満たした状態で、酸化剤供給バルブ10を調整し、酸化剤圧力・温度制御手段9により温度および圧力を制御しつつ、酸化剤供給源8から気体状の酸化剤を混合部11へ送る。混合部11において超臨界物質と酸化剤が混合し、これらが処理室に供給される(ステップST3)。
【0045】
すると、これまで超臨界流体で満たされていた処理室1は、酸化剤が添加された超臨界流体に置換され、基板2は洗浄処理される(ステップST4)。すなわち、超臨界流体単独では溶解しない汚染物質のうち、レジスト等の有機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、酸化分解されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解する。また、エッチング残渣物等の無機系汚染物質は、超臨界流体中で解離した酸化剤の酸化作用により、イオン化されて超臨界流体もしくは酸化剤に溶解する。
ここで添加される酸化剤は、上述したように、オゾンガス溶解水や過酸化水素等の過酸化物である。
【0046】
また、この時、エネルギービーム照射手段18から処理室1に設けられた光学窓17を通して、エネルギービーム19として例えば紫外光を超臨界流体に照射することにより、超臨界流体に添加された過酸化物の解離が促進される。これにより、基板2上の汚染物質の除去効果を向上させることが可能である。
【0047】
以上の洗浄処理が終了したのち、酸化剤供給バルブ10を調整し、酸化剤の供給を停止させ、処理室1内を酸化剤のない超臨界流体で置き換える(ステップST5)。これにより、基板2は超臨界流体によりリンスされる。
【0048】
処理室1内が超臨界流体のみに置換されている間、流体排出口4から排出された超臨界物質と酸化剤、汚染物質の混合物は、排出気液分離手段13により酸化剤と汚染物質の混合物と、気体となった超臨界物質とに分離され、排液ライン15および排気ライン14から、それぞれ排出または回収される。
【0049】
その後、超臨界物質供給バルブ7を調整し、超臨界物質の処理室1への供給を停止し(ステップST6)、処理室温度制御手段16および圧力調整弁12を調整して、処理室1内の温度および圧力をそれぞれ臨界温度および臨界圧力以下に下げることにより、処理室1内の超臨界物質を気体状態とする。これにより、基板2は乾燥処理される(ステップST7)。
以上により、基板の洗浄処理が完了する。
【0050】
本実施形態に係る洗浄装置および洗浄方法によれば、超臨界流体に酸化剤を添加し、更に酸化剤自体を超臨界流体中で解離させることにより、基板2の微細な構造を破壊することなく、パターン形成時のレジストやエッチング残渣物等の汚染物質を、超臨界流体のみで洗浄除去することができる。
このように、薬液による湿式洗浄を行う必要がなくなるため、工程を複雑化せずに微細構造体をもつ基板を洗浄することが可能となる。
【0051】
また、超臨界流体中に添加された酸化剤の解離を促進させるエネルギービームを照射することにより、酸化剤による汚染物質の除去効率をさらに向上させることができる。
【0052】
また、超臨界流体に添加する酸化剤を供給する酸化剤供給手段を設けるのみで、上記のような洗浄が可能となることから、装置コストの増加もない。
【0053】
このように、工程が簡素化されることから、被処理体の洗浄処理に要する実行時間が短縮され、少ない設備台数でも要求される洗浄処理を達成することができる。
【0054】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、図4に示すように、混合部11を設けずに、処理室1に超臨界物質供給口3aと酸化剤供給口3bとを別々に設け、酸化剤供給口3bから酸化剤のみを処理室1に供給することにより、処理室1内の超臨界流体に酸化剤を添加するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、基板2上のレジストやエッチング残渣物等の汚染物質を除去する例について説明したが、洗浄対象はこれに限定されるものではない。例えば、金属物質からなる汚染物質であっても、酸化剤による酸化作用によりイオン化されて超臨界流体中もしくは酸化剤に溶解される。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明の洗浄装置によれば、超臨界流体を用いた処理のみによって、微細構造を破壊することなく被処理体を洗浄処理することができるため、被処理体の洗浄処理に要する実行時間が短縮され、少ない設備台数でも要求される洗浄処理を達成することができる。
【0057】
本発明の洗浄方法によれば、超臨界流体を用いた処理のみによって、微細構造を破壊することなく被処理体を洗浄処理することができるため、被処理体の洗浄処理に要する実行時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る洗浄装置の一例を示す構成図である。
【図2】本実施形態における洗浄処理の対象となる基板の一例を示す断面図である。
【図3】本実施形態に係る洗浄処理のフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る洗浄装置の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…処理室、2…基板、3…流体供給口、3a…超臨界物質供給口、3b…酸化剤供給口、4…流体排出口、5…超臨界物質供給源、6…超臨界物質圧力・温度制御手段、7…超臨界物質供給バルブ、8…酸化剤供給源、9…酸化剤圧力・温度制御手段、10…酸化剤供給バルブ、11…混合部、12…圧力調整弁、13…排出気液分離手段、14…排気ライン、15…排液ライン、16…処理室温度制御手段、17…光学窓、18…エネルギービーム照射手段、19…エネルギービーム、21…被加工膜、22…レジスト、23…エッチング残渣物。
Claims (8)
- 超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄装置であって、
前記超臨界流体に添加する酸化剤を供給する酸化剤供給手段を有する
洗浄装置。 - 前記酸化剤が添加された前記超臨界流体にエネルギービームを照射して、前記酸化剤を解離させるエネルギービーム照射手段をさらに有する
請求項1記載の洗浄装置。 - 前記酸化剤供給手段は、前記酸化剤として過酸化物を供給する
請求項1記載の洗浄装置。 - 前記超臨界流体は、二酸化炭素である
請求項1記載の洗浄装置。 - 超臨界流体を被処理体に供給して洗浄処理を行う洗浄方法であって、
前記超臨界流体に酸化剤を添加する
洗浄方法。 - 前記酸化剤が添加された前記超臨界流体にエネルギービームを照射して、前記酸化剤を解離させる
請求項5記載の洗浄方法。 - 前記超臨界流体に前記酸化剤として過酸化物を添加する
請求項5記載の洗浄方法。 - 前記超臨界流体は、二酸化炭素である
請求項5記載の洗浄方法。
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