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JP2004036523A - 排気処理装置 - Google Patents

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JP2004036523A
JP2004036523A JP2002195776A JP2002195776A JP2004036523A JP 2004036523 A JP2004036523 A JP 2004036523A JP 2002195776 A JP2002195776 A JP 2002195776A JP 2002195776 A JP2002195776 A JP 2002195776A JP 2004036523 A JP2004036523 A JP 2004036523A
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exhaust
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exhaust gas
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JP2002195776A
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Hiroshi Nakanishi
仲西 宏
Nagahiko Okano
岡野 祥彦
Masayoshi Hayakawa
早川 正芳
Kazuya Masuko
益子 和也
Atsushi Sugama
須鎌 淳
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、炭化水素系排気を酸化分解処理すると同時に、排気がもっている熱エネルギーをガスタービン発電により、電力に有効且つ効率的に変換し、更に、蒸気或いは温水を発生させる排気処理装置を提供することにある。
【解決手段】プロセス排気用の複数の各々単一ダクトを一つの集合チャンバー1の流入側に接続し、該集合チャンバー1と排気用冷却装置2とを接続用ダクト13を介して接続し、該排気用冷却装置2と排気用送風機3とを接続用ダクト14を介して接続し、該排気用送風機3とガス濃縮装置4とを接続用ダクト15を介して接続し、該ガス濃縮装置4とガス冷却装置5とを接続用ダクト16を介して接続し、該ガス冷却装置5と発電機7を有するガスタービン6とを接続用ダクト17を介して接続し、ガスタービン6の廃熱排出側に廃熱温水ボイラー8を設けた排気処理装置を提供することにある。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷工場における印刷・加工工程、プラスチック成形工場でのプラスチック成形・加工工程、木工・鋼板加工工場での塗装工程、化学工場における高分子化合物などの合成反応製造工程などから排出される、炭化水素系ガス物質が主体の有機性排気の酸化脱臭除去と、同時に排気が有する熱エネルギーを利用する排気処理装置に関するもので、さらに詳しくは、有機性排気中の炭化水素系ガス物質をガス濃縮装置で濃縮し、ガスタービンの吸気に空気と共に導入し、圧縮、燃焼させることで、炭化水素系ガス物質の酸化脱臭除去と、同時に排ガスがもつ熱量でガスタービン発電を行い、更にガスタービンから排出される排気廃熱をボイラーに導入し、蒸気、或いは温水を発生する排気処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷工場における印刷・加工工程、プラスチック成形工場でのプラスチック成形・加工工程、木工・鋼板加工工場での塗装工程、化学工場における高分子化合物などの合成反応製造工程などから排出される排気は、夏季に発生する光化学スモッグ発生の原因物質とされるオキシダントの元となっている炭化水素系排気が主体である。
【0003】
従来、この炭化水素系排気の処理は、主に回収装置による回収処理や排気燃焼方式によって脱臭処理されてきた。
【0004】
この回収装置による回収処理は、例えば、図4に示すような処理工程から構成されている。▲1▼排気の前処理、▲2▼排ガス中の回収対象物質の吸着物質等による分離、▲3▼吸着材破過時の加熱等による吸着材よりの離脱、▲4▼離脱回収物質の冷却凝縮、▲5▼物理・化学的方法による単一物質分離、▲6▼貯槽、からなり装置も比較的大掛かりになる傾向があった。
【0005】
前記、排気の前処理では、回収対象物質以外の不純物質(ヒュームやミストなど)や、その後の回収処理工程で影響を与える物質を予め、フィルタなどで分離除去する。
【0006】
また、その後の吸着物質などによる吸着分離工程に適した条件となるよう、温度、湿度調整も行う場合がある。
【0007】
次に、有機性排気中の有機性物質の回収は空気との混合ガス状態から、空気を取り除き対象物質の濃度を高める必要がある。
【0008】
一般的には、吸着材中に処理対象ガスを通し、その過程で対象物質を吸着材表面に吸着させ、吸着材の飽和時点で一定温度条件を加え、対象物質を吸着材から離脱させ高濃度の回収対象物質を得る。
【0009】
次に、冷却器で離脱回収物質の冷却凝縮を行い、潜熱を奪い液化させる場合もある。更に、離脱回収された物質は、混合物質が一般的であるので物理・化学的方法により、各々単一物質に分離し、純度を上げてから、貯槽する。
【0010】
以上のように、回収装置による回収処理方式は、比較的大掛かりになる傾向があり、設備設置費と運転回収費も相対的に高めで、回収物質の新規購入単価が回収装置によって得られた物質の回収費用と設備設置費などの諸費用の合計に比べ、下回るようであるなら炭化水素などの大気放出抑制としての意義はあるものの有価物回収装置としての意義はうすれる。
【0011】
従って、回収対象物質の購入単価と、回収に要する諸費用が回収処理方式を選択するうえでの鍵である。
【0012】
そこで炭化水素系を主体とする有機性排気の回収処理方式における回収対象物質の購入単価が低い場合は、排気燃焼処理方式が主たる方法となる。
【0013】
前記排気燃焼処理方式は、具体的には、排気を燃焼炉内の燃焼バーナーなどで800℃以上2秒程度加熱し、酸化分解させて、最終的には炭酸ガスと水にして安定化させ、大気中に排出している。
【0014】
従来、この際発生した高温の排気を有効利用する目的で廃熱ボイラーを設け、蒸気を発生させ工場プロセスに使用したり、暖房の熱源に利用していた。
【0015】
また、蓄熱材に排気の熱を蓄積させ熱飽和した段階で排ガスのフローを反転させ、排ガスを加熱された蓄熱材中を通過させることで予熱させ燃費の節減を図る方法も考案されている。
【0016】
特に、排気燃焼処理方式の中でも、排気を直接燃焼する直接燃焼方式が従来より導入されてきた。排ガスを700℃以上で燃焼し、装置の構造が比較的簡単で適用ガスの種類も広く汎用性があるが、排気の発熱量が低い場合、運転コストがかかる難点があった。
【0017】
このような直接燃焼方式の問題点を改善するため廃熱を回収する目的でボイラーを付設し、蒸気を発生させることもできるが熱回収率としては、約50%程度であり、あまり高くはない。
【0018】
そこで燃焼温度を低くおさえた処理方式として触媒燃焼方式がある。燃焼温度は350℃程度で運転費も直接燃焼方式に比べ同一ガス条件で約半分程度となる。
【0019】
排気の熱は、主に排ガスの予熱や温水ボイラーなどに利用できる。しかしながら、触媒を利用しているため、触媒には寿命があり、排気の成分によっては寿命が極端に短くなる欠点がある。特にハロゲン物質を含有する場合はこの触媒方式は適当ではない。
【0020】
そこで前記直接燃焼方式の利点を生かしつつ熱効率を上げた方式に蓄熱直接燃焼方式がある。この方式は廃熱をセラミック磁器に蓄熱させ、排ガスフローの切り替えにより、排ガス予熱をする方式で熱交換効率も90%以上確保することができる。
【0021】
更に、前記蓄熱直接燃焼方式と前記触媒燃焼方式を組み合わせることで運転経費をさらに軽減できるが、触媒を使用することによる排ガス制約や、触媒に悪影響を及ぼす高沸点物質やハロゲン化物が排気中に含まれていると触媒の性能保持時間の低下をともなう。
【0022】
くわえて効率のよい蓄熱直接燃焼方式についても、排気中の発熱量のみの運転、即ち燃料供給の伴わない自燃状態にあっても、排ガスの持っている酸化の際発生する発熱量と排気の廃熱量と装置よりの放熱量の三者の均衡が取れているに過ぎず、排気の持っている熱エネルギーをより有効に取り出してはいない。
【0023】
このように運転燃費や方式による特性を考慮しつつ処理方式の検討はされてきているが、いずれも排ガス中に含まれている発熱量を酸化脱臭処理自身に生かしたり、廃熱を利用した低効率のボイラーによる蒸気熱源のみで、排気に含まれる熱源を効果的、且つ効率的に利用していない。
【0024】
このように、いまだに有機性排気の処理にあたっては、回収装置を用いた回収処理方式、或いは排気燃焼処理方式が主流である。
【0025】
前記回収処理方式は回収対象物質の購入単価がある程度高価であれば、回収処理に必要なコストがまかなわれるが、釣り合いがとり難いようであれば、大気放出抑制としては意義はあるが、経済的な面での回収処理の意義は薄くなってしまう。
【0026】
一方、排気燃焼処理方式については、上記のように、蒸気発生を行っても蒸気が余剰であったり、はじめから蒸気を必要とする生産工程などがなかったりする場合がある。
【0027】
或いは、せっかく蒸気発生を行ってもボイラー効率の点や、使用とする負荷側までの距離が非常にある場合などの放熱ロスにより、十分な効率が得られない場合もある。
【0028】
更に、燃焼処理装置自身の排ガスを予熱とする蓄熱燃焼処理においても、燃焼脱臭処理を行うだけで有機性排気の持っている燃焼発熱量を排気処理目的以外の有効エネルギーとしては取り出していないのが現状である。
【0029】
以上のように、炭化水素系ガスを主体とした有機性排気の処理にあたっては、その持っている熱源に関しての汎用的、効率的な利用方法がいまだに確立されていないのが実状である。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る従来技術の問題点を解決するものであり、炭化水素系排気を主体とする有機性排気の排ガス成分を酸化分解処理すると同時に、排気がもっている熱エネルギーをガスタービン発電により、電力に有効、且つ効率的に変換し、更にガスタービン排気の廃熱を廃熱ボイラー、又は温水ボイラーに導入し、蒸気、或いは温水を発生させる排気処理装置を提供することにある。
【0031】
【発明を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたもので、本発明の請求項1に係る発明は、多系統のプロセス排気用の複数の各々単一ダクトを一つの集合チャンバー1の流入側に接続し、該集合チャンバー1と排気用冷却装置2とを接続用ダクト13を介して接続し、該排気用冷却装置2と排気用送風機3とを接続用ダクト14を介して接続し、該排気用送風機3とガス濃縮装置4とを接続用ダクト15を介して接続し、該ガス濃縮装置4とガス冷却装置5とを接続用ダクト16を介して接続し、該ガス冷却装置5と発電機7を有するガスタービン6とを接続用ダクト17を介して設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0032】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の排気処理装置において、前記排気用送風機3と前記ガス濃縮装置4とを接続している前記接続用ダクト15の任意の位置に前記ガス冷却装置5と接続する接続用ダクト18を設け、該ガス冷却装置5と前記ガスタービン6とを接続する接続用ダクト19を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0033】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の排気処理装置において、円筒ロータ4aに吸着材を充填し、該円筒ロータ4a内は、吸着工程部4bと離脱再生工程部4c及び冷却工程部4dからなり、プロセス排気中の炭化水素系ガス物質を濃縮処理するガス濃縮装置4を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0034】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の排気処理装置において、ガスタービン6の廃熱排出側に廃熱温水ボイラー8を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0035】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の排気処理装置において、廃熱温水ボイラー8の排気排出側にガスタービン6で発生した窒素酸化物の除去の為、触媒反応装置9を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0036】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1又は3記載の排気処理装置において、ガスタービン6の廃熱排出側に廃熱高圧ボイラー36を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0037】
本発明の請求項7に係る発明は、請求項6記載の排気処理装置において、前記廃熱高圧ボイラー36の高圧蒸気排出側に発電機39を有する復水蒸気タービン38を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0038】
本発明の請求項8に係る発明は、請求項7記載の排気処理装置において、前記廃熱高圧ボイラー36の排気排出側に温水ボイラー44を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0039】
本発明の請求項9に係る発明は、請求項8記載の排気処理装置において、前記復水蒸気タービン38の蒸気ドレン排出側に熱交換器(復水器)41を設けたことを特徴とする排気処理装置である。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1から図3にもとづいて詳細に説明する。
【0041】
図1に示すように、本発明の排気処理装置Aは、多系統の炭化水素系排気を主体とする有機性排気を、集合チャンバー1に流入させる為のプロセス1用排気導入用ダクト10、プロセス2用排気導入用ダクト11、プロセス3用排気導入用ダクト12を集合チャンバー1の排気流入側に設けている。
【0042】
該排気処理装置Aは、前記集合チャンバー1と排気用冷却装置2とを接続用ダクト13を介して接続し、該排気用冷却装置2と排気用送風機3とを接続用ダクト14を介して接続し、該排気用送風機3とガス濃縮装置4とを接続用ダクト15を介して接続し、該ガス濃縮装置4とガス冷却装置5とを接続用ダクト16を介して接続し、該ガス冷却装置5と発電機7を有するガスタービン6とを接続用ダクト17を介して接続する。
【0043】
前記排気用送風機3と前記ガス濃縮装置4とを接続している前記接続用ダクト15の任意の位置に前記ガス冷却装置5と接続する接続用ダクト18を設け、該ガス冷却装置5と前記ガスタービン6とを接続する接続用ダクト19を設ける。
【0044】
前記ガスタービン6の廃熱排出側に廃熱温水ボイラー8を設け、該廃熱温水ボイラー8の排気排出側にガスタービン6で発生した窒素酸化物の除去の為、触媒反応装置9を設ける。
【0045】
前記ガス濃縮装置4は、図3に示すように、いくつか考えられるが、代表的なものに円筒ロータ4aに吸着材を充填し、該円筒ロータ4a内は、吸着工程部4bと離脱再生工程部4c及び冷却工程部4dから構成されている。
【0046】
前記吸着工程部4bは、複数のプロセス有機性排気をプロセス排気導入口4eより導入し、有機性排気中の炭化水素系ガス物質を吸着材に吸着させる。吸着量が飽和状態に達した時点で、離脱再生用熱風導入口4fより導入される離脱再生用熱風により、離脱再生工程部4cで吸着材から離脱させ、更に、冷却工程部4dで濃縮処理し、濃縮ガス排出口4gから排出する。
【0047】
また、前記プロセス排気導入口4eより導入され、ガス濃縮装置4で濃縮されなかった清浄排気は、清浄排気排出口4hより、外部へ排出される。
【0048】
前記ガス濃縮装置4は、各プロセスガスの濃度が低い場合、10倍から20倍程度に濃縮処理し、風量を低下させ設備設置規模の抑制を図り、あわせて設備の運転費の軽減と効率向上を図る。
【0049】
前記ガス濃縮装置4に使用される吸着材には、活性炭やゼオライトなど炭化水素系ガス物質の吸着に適した材料を用いる。
【0050】
前記活性炭は、椰子殻、木炭などを焼成・炭化し、細孔をもつ構造を発達させて多孔質にしたもので吸着能力を強めた炭素物質である。
【0051】
また形状によって粒状、粉末状、破砕状と数多くの種類があるが、いずれも多孔質で表面活性を有している。孔の大きさは、1nmから10,000nmの分布があり、細孔と粗孔には吸着特性の差もある。活性炭は通常700m2 /gから1,800m2 /gという膨大な表面積を持っている。
【0052】
活性炭の用途は、活性炭の形状により、大きく異なる。ガス吸着、溶剤回収、脱臭、空気浄化、触媒、浄水、排水処理などの用途には、粒状活性炭が主に用いられる。また、粉末状活性炭は工業薬品、醸造用、浄水、排水処理などに用いられる。
【0053】
前記ガス濃縮装置4に使用される吸着材による吸着現象には、物理吸着と化学吸着の2現象があるが、物理吸着はファンデルワールス吸着ともいわれ、吸着材と被吸着物質との間における吸着力にもとづいて起こる可逆現象である。したがって、再度、吸着物質が気相へ戻ることを脱着現象という。
【0054】
ガス吸着の場合は、物理的吸着要素が強い。ガス分子間における相互引力よりも固体表面(例えば、活性炭表面)との引力が大きければ、ガスは吸着材表面に凝縮する。平衡状態において、吸着材上の吸着質の分圧は接触するガスのそれに等しく、ガス相の分圧が下がれば、或いは温度が上昇すれば、吸着されていたガスはそのままの形で脱着される。
【0055】
吸着においては、被吸着物質が流体中から、活性炭粒子表面に移動したのち、拡散によって内部表面に到達して吸着される。この際、▲1▼活性炭表面に被吸着物質が移動する速度、▲2▼活性炭粒子内の細孔への拡散速度、▲3▼活性炭内部表面での吸着反応速度、などの吸着速度が関係するが、これらの速度の内、最も遅い速度により全体の速度が支配される。上記の各種速度で前記▲3▼の活性炭内部表面での吸着反応速度は、一般的に問題にはならない。
【0056】
吸着現象は、常に熱発生をともなう。吸着にともなう発熱量を吸着熱といい、これは吸着した物質の量によって異なる。
【0057】
単位重量の固体に取り除かれた物質量、或いは単位面積当たりに取り除かれた物質量を、吸着量と称し、吸着量1mol当たりの発熱量をもって吸着熱として表す。一般的に吸着熱は、5kcal/mol程度以下である。
【0058】
工業的なガス吸着の操作では、有機溶剤の回収ができることや活性炭の再生ができることなどはこのためである。
【0059】
活性炭を長く使用していると、吸着された有機物などが少しずつ孔の中に溜まり、やがて孔が満たされる。このことを飽和、或いは破過したという。飽和になるまでの時間を活性炭の寿命といっている。
【0060】
飽和した活性炭は、元の活性炭の吸着能力を有するように再生される。再生方法には、脱着再生法と薬品再生法がある。
【0061】
脱着再生法には、加熱脱着(熱スイング法)と非加熱脱着(圧力スイング法)及び両法を組み合わせた方法がある。
【0062】
気相における物理吸着を行った活性炭においては、加熱脱着(熱スイング法)が用いられる。熱風や120℃から150℃の過熱水蒸気などにより、脱着、乾燥し、再生され繰り返し使用される。
【0063】
次に、該ガス濃縮装置に使用する吸着材としてはゼオライトがある。この材料は、沸石(カルシウム・ナトリウム・アルミニウムなどの含水珪酸塩鉱物)を加熱して水を放出し、すきまのある結晶となったものである。
【0064】
ゼオライトは、主としてアルカリ、又はアルカリ土類金属のアルミノ珪酸塩からなっている。これらはメタン型構造のSiO四面体とAlO四面体が互いに1個ずつの酸素原子を共有したかたちの規則性ある大きな空洞をもった三次元の骨格構造を形成している。
【0065】
ゼオライト骨格を形成している酸素の環状構造により、ゼオライトは、3Åから10Å(オングストローム:10−8cm)の範囲の一定した孔径であり、分子ふるいの性能を有している。
【0066】
ゼオライトの主な特性は、▲1▼ガス吸着能、▲2▼分子ふるい効果、▲3▼イオン交換性、▲4▼触媒能を有することである。
【0067】
ゼオライトのガス吸着能とは、その結晶構造内にある陽イオンの作用により、不飽和炭化水素(アセチレン、エチレン、プロピレンなど)や極性物質(水、硫化水素、炭酸ガス、亜硫酸ガスなど)を選択的に強く吸着する性質である。
【0068】
ゼオライトは、疎水性が強く、プロセス排気中の水分を除外し、炭化水素成分を選択的に吸着し、水分の除外効果は活性炭を上回る。
【0069】
次に、ゼオライトの分子ふるい効果とは、一定した大きさの均一な細孔径をもっているため、それより小さい分子を選択的に通過させ吸着することができる効果である。
【0070】
また、ゼオライトのイオン交換性とは、結晶構造内に交換可能な陽イオンを含んでおり、これは容易に他の陽イオンと自由に交換される。この性質を用いて有害金属の除去、有用成分の濃縮・回収ができる。
【0071】
更に、ゼオライトの触媒能とは、水素イオンや多価の金属イオンとの交換により、強力な固体酸触媒とすることができる。従来から、固体酸としては、シリカ、アルミナ系が代表的であるが、これらよりも強い酸性を示す。
【0072】
また、細孔分布も鋭く一定の開口孔のバラツキが小さい。加えて耐熱性が高く、200℃程度の高沸点物質の吸着、離脱再生処理も可能で、この点も沸点130℃程度までの活性炭に比べ上回っている。
【0073】
ガスタービンの運転にとって吸気の乾き度が高いほうが好ましい為、排気の乾き度がより高いゼオライトによるガス濃縮装置の方がより好ましい。
【0074】
該ガス濃縮装置4の仕組みは、直径と厚さが1mから5m程度の円筒ロータ4aに吸着材を充填し、一定速度(概ね1時間に2乃至6回転)で回転させながら、吸着・離脱再生・冷却を繰り返していく。
【0075】
この場合、濃縮ガスの取り出しは、吸着量が破過した時点で200℃程度の熱風(活性炭の場合は、105℃から130℃)で離脱再生させる。また、冷却工程で使用した冷却ガスは、再度プロセス排気に戻され再吸着される。
【0076】
次に、濃縮ガス装置4から、排出される濃縮ガスは、温度が高いため、ガスタービン6の効率低下を招かないようにする必要がある。そこで濃縮ガス装置4から排出された濃縮ガスを該濃縮ガス装置4と該ガスタービン6との間に設けた、ガス冷却装置5に導入し、高温になっている濃縮ガスを所定の温度に冷却し、低温状態の濃縮ガスにする。
【0077】
該ガス冷却装置5の冷却媒体には、冷却水、或いは外気を、冷却水導入管、又は外気導入ダクト20から該ガス冷却装置5内に流入させ、具体的には濃縮ガスを35℃以下まで冷却する。
【0078】
該ガス冷却装置5である熱交換器には、高温側の流体と低温側の流体が直接接触しない隔板式と2種類の流体が直接接触する直接接触式がある。一般的には、隔板が金属製の二重管方式のものが多い。
【0079】
次に、該ガスタービン6は、主燃料を炭化水素を主成分とする天然ガス(LNG)などの気体燃料や重油、軽油などの液体燃料が使用され、燃料導入管27より導入する。
【0080】
該ガスタービン6の基本構造は、一般的に圧縮機、燃焼器、タービンなどから構成されている。空気を吸入し、圧縮機で空気を圧縮し、燃焼器に燃料を吹き込み燃焼させ、得られた高圧高温の燃焼ガスをタービンで膨張させ、排気ガスを放出する。
【0081】
タービンで発生した動力より、圧縮機を駆動する動力を差し引いた残りの動力が、該ガスタービン6の発生動力となり、同軸の発電機7で発電される仕組みである。
【0082】
該ガスタービン6の最大出力時では、一般にタービン出力の約2/3が圧縮機用に使われ、残りの約1/3が、機関の正味の出力となる。
【0083】
タービン出力は、タービン入口温度が高いほど大きいので、機関出力を増大させるため、タービン温度は800℃以上の高温となり、このためタービン部には高級な耐熱材料が用いられる。
【0084】
また、機関出力は、機関を通過する空気流量に比例するので、圧縮機、タービンともに容積あたり処理流量の多い形式である軸流圧縮機や軸流タービンが主に選択される。
【0085】
該ガスタービン6での定格出力を得るに当たって濃縮ガスを吸気より導入する運転(濃縮ガス運転)時は、吸気の比エンタルピが濃縮ガスの持っている比発熱量分上昇するため燃焼膨張工程でのLNG、軽油などの燃料使用量の軽減が図られる。
【0086】
また、多系統の各プロセス排気の排ガス風量と濃度(概ね1,000ppm程度)が均一、且つ一定以上で発熱量が一定以上有する場合には、排出された排気を濃縮する必要がなく、従って濃縮ガス装置4を通さず、そのまま接続用ダクト18を介して、直接にガス冷却装置5に導入し、冷却を行った後、ガスタービン6に導入する。
【0087】
該ガスタービン6の廃熱排気は、ガスタービン6と廃熱温水ボイラー8とを接続している接続用ダクト26を通じて、該廃熱温水ボイラー8に導入される。また、該廃熱温水ボイラー8で温水を発生させる為に必要な該廃熱温水ボイラー8への冷水供給は冷水導入管35を通して行われる。
【0088】
該ガスタービン6内で発生した廃熱排気は、300℃から400℃程度の熱風であり、前記廃熱温水ボイラー8で熱交換し、温水を発生させ、温水、又は蒸気排出管28を通じて排出される。
【0089】
該廃熱温水ボイラー8での温水発生後の排気温度は、100℃から160℃程度になる。この排気の一部を切り替えダンパ31を任意の位置に設けた接続用ダクト29、及び該接続用ダクト29とガス濃縮装置4との間に設けた離脱再生用熱風送風機23によって、接続用ダクト30を通じて、該ガス濃縮装置4の破過した吸着材の離脱再生工程4cに離脱再生用熱風導入口4fより導入する。離脱再生用熱風温度は吸着材の特性に合わせて調整する。
【0090】
活性炭の場合は、100℃から130℃程度の沸点物質まで適用される。一方ゼオライトの場合は200℃程度までの高沸点物質の適用ができる。
【0091】
この場合の濃縮装置4での離脱再生工程4cには、該ガスタービン6と該廃熱温水ボイラー8とを接続している接続用ダクト26の任意の位置と、該廃熱温水ボイラー8とガス濃縮装置4とを接続している接続用ダクト29の任意の位置とを接続する切換えダンパー25を任意の位置に設けた接続用ダクト24を通じて排出するガスタービン6の廃熱排気と、該廃熱温水ボイラー8の排気排出側に接続した接続用ダクト29を通じて、廃熱温水ボイラー8から排出された一部の排気とを混合調和し適当な温度にした熱風を使用する。
【0092】
この時に発生する濃縮された炭化水素系ガスの濃度、風量の調整は、該ガス冷却装置5で冷却の後、吸気として取り込む該ガスタービン6の定格値によって決定され、必要に応じ吸着材の破過前の離脱再生による濃縮程度の調整を行う必要がある。
【0093】
これにはプロセス排気濃度を連続的に測定し、吸着時間と濃度及び吸着材の吸着率により、離脱再生時の濃縮ガスの濃度を制御することができる。
【0094】
また、吸着材を詰めた固定吸着層をいくつか設け、各吸着層にプロセス排気を均等に導入し、吸着材が飽和した層より、順次熱風による吸着物質の離脱再生工程を行うこともできる。
【0095】
離脱再生工程に進むべき時の感知方法としては、対象となる物質が炭化水素であるため、排気の濃度を測定し、規定の濃度以上になった場合、離脱再生工程を行い熱風を導入し吸着材よりの離脱を行う。
【0096】
離脱させたガスは高濃度であり、爆発下限界に注意し該ガスタービン6に導入する。その際、状況によっては、該ガスタービン6効率を上げるため濃縮ガスを冷却することも必要となる。タービンの出力を一定に保ちつつ濃縮ガスの導入により燃費が低下する。
【0097】
このように排気の持つ発熱量を該ガスタービン6で燃焼させることにより有効にエネルギーを取り出すことができる。
【0098】
次に、該廃熱温水ボイラー8の排気排出側に切り替えダンパ32を設けた排気用接続ダクト33を介して、該ガスタービン6で発生した窒素酸化物の除去の為、触媒装置9を設けている。
【0099】
窒素酸化物の除去方法は、アンモニアなどの還元剤を注入する高温無触媒脱硝法や触媒脱硝法がある。触媒脱硝法では、窒素酸化物除去率を95%以上とすることも可能である。
【0100】
次に、図2に示す排気処理装置Bは、図1の排気処理装置Aとガスタービン6までの装置構成は同じであるが、該ガスタービン6の排気排出側以後の装置構成が異なっている。即ち、該ガスタービン6の排気排出側に接続用ダクト26を介して、廃熱高圧ボイラ36を設ける。
【0101】
該廃熱高圧ボイラー36と切り替えダンパー49を任意の位置に設けた排気用接続ダクト50を介して、温水ボイラー44を設け、更に切り替えダンパー48を任意の位置に設けた接続用ダクト51及び離脱再生用熱風送風機23、更に接続用ダクト30を介して該ガス濃縮装置4に接続している。
【0102】
該廃熱高圧ボイラー36の排気排出側に排気用接続ダクト50を介して設けた、該温水ボイラー44には、冷水導入管43を通じて冷水を導入する。該温水ボイラー44と該廃熱高圧ボイラー36とを温水排出管45、及び該廃熱高圧ボイラー36に温水を導入する温水導入管46を介して接続する。また、該温水ボイラー44から排出される排気は排気用排出ダクト47を通じて排出される。
【0103】
更に、前記廃熱高圧ボイラー36の高圧蒸気排出側に高圧蒸気接続管37を介して、復水蒸気タービン38を設け、該復水蒸気タービン38と同軸に発電機39を設ける。該発電機39で発電を行う。
【0104】
該復水蒸気タービン38から発生する蒸気ドレンは、該復水蒸気タービン38と蒸気ドレン管40を介して設けられた空気や冷却水で凝縮させる方式の熱交換器(復水器)41により、蒸気温度は常温まで下がる。
【0105】
次に、常温に下がった蒸気ドレンは、冷水導入管42を通じて前記廃熱高圧ボイラ36に戻され、再度高圧蒸気発生に寄与する。
【0106】
このような排気処理装置Bは、熱電負荷比の小さな場合に好適で熱源を効果的に電力に変換できる。
【0107】
【実施例】
上記発明の排気処理装置Aを用いて、印刷工程などのプロセスから排出された各種有機性排気をガス濃縮装置4で処理した後、該濃縮ガスをガスタービン6の吸気に空気と共に導入し、圧縮し燃焼させることで排ガスである炭化水素を酸化脱臭除去し、同時に排気のもっている熱エネルギーをガスタービン6に接続された発電機7により、電力を取り出し、更に蒸気などを発生する効果的、且つ効率的な排気処理方法を実施例に基づいて説明する。
【0108】
<実施例1>
実施例1として、グラビアフィルム印刷機2台より発生した酢酸エチルとトルエンを成分とする混合排気を図1に示すように、集合チャンバー1の排気流入側に設けられた、プロセス1用排気導入用ダクト10とプロセス2用排気導入用ダクト11から、一度集合チャンバー1内に集合させ、各プロセスの稼働率の変動を抑制し、プロセス導入排気を平準化させた。
【0109】
次に、前記集合チャンバー1と排気用冷却装置2とを接続用ダクト13を介して接続し、該排気用冷却装置2と排気用送風機3とを接続用ダクト14を介して接続し、該排気用送風機3とガス濃縮装置4とを接続用ダクト15を介して接続し、該ガス濃縮装置4とガス冷却装置5とを接続用ダクト16を介して接続し、該ガス冷却装置5と発電機7を有するガスタービン6とを接続用ダクト17を介して接続する。
【0110】
更に、前記排気用送風機3と前記ガス濃縮装置4とを接続している前記接続用ダクト15の任意の位置に前記ガス冷却装置5と接続する接続用ダクト18を設け、該ガス冷却装置5と前記ガスタービン6とを接続する接続用ダクト19を設けた。
【0111】
次に、図3に示すように、前記ガス濃縮装置4は、円筒ロータ4aにゼオライトを充填し、該円筒ロータ4a内は、吸着工程部4bと離脱再生工程部4c及び冷却工程部4dから構成されている。
【0112】
次に、該ガスタービン6の廃熱排出側に該廃熱温水ボイラー8、更に廃熱温水ボイラー8の排気排出側にガスタービン6で発生した窒素酸化物の除去の為、触媒反応装置9を設けた排気処理装置Aによって排気処理を行った。
【0113】
前記グラビア印刷機2台より発生した酢酸エチルとトルエンを成分とする混合排気の排気条件は、プロセス1用排気導入用ダクト10から350m3 N/分と、プロセス2用排気導入用ダクト11から450m3 N/分の排気があった。
【0114】
各々の排気を一度集合チャンバー1内に集合させ、次に排気用冷却装置2を通じて、排気用送風機3によりガス濃縮装置4に送出し、トルエン150ppmから220ppm、酢酸エチル95ppmから120ppmで40℃の混合排気をゼオライト式吸着材濃縮装置4に吸着させた後、風量30m3 N/分で85℃に濃縮した。
【0115】
これを更に、前記ガス冷却装置5で35℃まで冷却し、トルエンは、4,800ppmから5,200ppm、及び酢酸エチルは、2,700ppmから3,400ppmに濃縮した。
【0116】
この濃縮混合ガスを1,000kwの発電出力のガスタービン6の吸気に取り入れ、1,000kwの発電ができた。
【0117】
更に、該ガスタービン6の廃熱を廃熱温水ボイラー8に導入し、2.8t/hの蒸気を発生させた。
【0118】
該ガスタービン6の吸気に濃縮ガスが含まれているので、従来の大気吸引時だけに比べ、燃料のLNG(11,000kcal/mN)の消費量が、12%低下し、合わせて大気に放出していた炭化水素量を99%(メタン換算)以上除去できた。
【0119】
<実施例2>
次に、実施例2として、グラビア印刷機1台より発生したトルエンを成分とする単体排気について、実施例1と同様に排気処理装置Aで実施した。排気条件は、プロセス1用排気導入用ダクト10から600m3 N/分の排気があった。
【0120】
その排気を一度集合チャンバー1内に導入させ、次に排気用冷却装置2を通じて、排気用送風機3によりガス濃縮装置4に送出し、トルエン550ppmから650ppmで70℃の単体排気をゼオライト式吸着材濃縮装置4に吸着させた後、風量52m3 N/分で85℃に濃縮した。
【0121】
これを更に、前記ガス冷却装置5で35℃まで冷却し、トルエンは、6,500ppmから7,000ppmに濃縮した。
【0122】
この濃縮混合ガスを1,000kwの発電出力のガスタービン6の吸気に取り入れ、1,000kwの発電ができた。
【0123】
更に、該ガスタービン6の廃熱を廃熱温水ボイラー8に導入し、2.5t/hの蒸気を発生させた。
【0124】
該ガスタービン6の吸気に濃縮ガスが含まれているので、従来の大気吸引時だけに比べ、燃料のLNG(11,000kcal/mN)の消費量が、19%低下し、合わせて大気に放出していた炭化水素量を99%(メタン換算)以上除去できた。
【0125】
次に、排気中の窒素酸化物濃度が未処理状態で150ppm程度あるため、低減措置として触媒反応装置9により処理し、最終大気排出濃度を10ppmから15ppmに低減することができた。尚、印刷工程から排出された排気中の窒素酸化物濃度は濃縮ガス装置4の導入前後で変化はなかった。
【0126】
<実施例3>
次に、実施例3として、メタクリル酸系樹脂の塗工乾燥硬化ライン1ラインから発生した溶剤と樹脂低分子成分の混合排気について実施例1と同様に排気処理装置Aで実施した。
【0127】
排気条件は、プロセス1用排気導入用ダクト10から1,000m3 N/分のトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、及び樹脂中低分子成分の混合ガス100℃の排気があった。
【0128】
その混合排気を一度集合チャンバー1内に導入させ、次に排気用冷却装置2を通じて、排気用送風機3によりガス濃縮装置4に送出し、ゼオライト式吸着材濃縮装置4に吸着させた後、濃縮した。
【0129】
これを更に、前記ガス冷却装置5で40℃まで冷却し、60m3 N/分、発熱量210kcal/m3 Nの濃縮混合ガスにした。
【0130】
該濃縮混合ガスを1,000kwの発電出力のガスタービン6の吸気に取り入れ、1,000kwの発電ができた。
【0131】
更に、該ガスタービン6の廃熱を廃熱温水ボイラー8に導入し、2.5t/hの蒸気を発生させた。
【0132】
該ガスタービン6の吸気に濃縮ガスが含まれているので、従来の大気吸引時だけに比べ、燃料のLNG(11,000kcal/mN)の消費量が、15%低下し、合わせて従来、導入処理していた脱臭装置を停止させることができた。
【0133】
該脱臭装置に費やしていた燃料代、電気代、保守維持費などの運転経費の削減に役立った。
【0134】
次に、排気中の窒素酸化物濃度は、未処理状態で190ppmから220ppm程度あるため、窒素酸化物除去目的の触媒反応装置9により、最終大気排出濃度を10ppmから15ppmに低減させた。
【0135】
尚、塗工乾燥硬化ラインから排出された排気中の窒素酸化物濃度は濃縮ガス装置4の導入前後で変化はなかった。また、ライン排気中に硫黄分もないため、硫黄酸化物の発生もなかった。
【0136】
<実施例4>
次に、実施例4として、有機化学合成工程1ラインから発生した炭化水素系排気を活性炭を使ったガス濃縮装置4で濃縮した。
【0137】
その他は、実施例1と同様に排気処理装置Aで実施した。排気条件は、プロセス1用排気導入用ダクト10から排気流量250m3 N/分のアセトン、シクロヘキサン、キシレンの平均濃度は、アセトン830ppm、シクロヘキサン600ppm、キシレン100ppmの混合排気を一度、集合チャンバー1内に導入した。
【0138】
次に、該混合排気を排気用冷却装置2を通じて、排気用送風機3により該ガス濃縮装置4に送出し、ゼオライト式吸着材濃縮装置4に吸着させた後、10倍に濃縮した。
【0139】
これを更に、前記ガス冷却装置5で35℃まで冷却し、この濃縮混合ガスを定格出力1,000kwのガスタービン6の吸気に取り入れ、1,000kwの発電ができた。
【0140】
更に、該ガスタービン6の廃熱を廃熱温水ボイラー8に導入し、2.5t/hの蒸気を発生させた。
【0141】
該ガスタービン6の吸気に濃縮ガスが含まれているので、従来の大気吸引時だけに比べ、燃料のLNG(11,000kcal/mN)の消費量が、約14%低下した。次に、触媒反応装置9により、煤煙、煤塵濃度は法定基準内となった。
【0142】
【発明の効果】
本発明の排気処理装置は、炭化水素系排気をガス濃縮装置で処理した後、濃縮ガスをガスタービンの吸気に空気と共に導入し、圧縮し燃焼させることで炭化水素を酸化脱臭除去し、同時に排気のもっている熱エネルギーをガスタービンに接続された発電機により、電力を取り出し、更に蒸気、或いは温水を発生する、効果的且つ効率的な排気処理を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排気処理装置Aの基本構成図である。
【図2】本発明に係る排気処理装置Bの基本構成図である。
【図3】本発明に係る排気処理装置A、又はBにおけるガス濃縮装置の拡大図である。
【図4】従来技術に係る排気処理装置のフロー図である。
【符号の説明】
A・・・本発明の排気処理装置A
B・・・本発明の排気処理装置B
1・・・集合チャンバー
2・・・排気用冷却装置
3・・・排気用送風機
4・・・ガス濃縮装置 4a・・・円筒ロータ 4b・・・吸着工程部
4c・・・離脱再生工程部 4d・・・冷却工程部 4e・・・プロセス排気導入口 4f・・・離脱再生用熱風導入口 4g・・・濃縮ガス排出口
4h・・・清浄排気排出口
5・・・ガス冷却装置
6・・・ガスタービン
7・・・発電機
8・・・廃熱温水ボイラー
9・・・触媒反応装置
10・・・プロセス1用排気導入用ダクト
11・・・プロセス2用排気導入用ダクト
12・・・プロセス3用排気導入用ダクト
13・・・接続用ダクト
14・・・接続用ダクト
15・・・接続用ダクト
16・・・接続用ダクト
17・・・接続用ダクト
18・・・接続用ダクト
19・・・接続用ダクト
20・・・冷却水導入管、又は外気導入ダクト
21・・・プロセス給気等接続用ダクト
22・・・清浄排気排出用ダクト
23・・・離脱再生用熱風送風機
24・・・接続用ダクト
25・・・切換えダンパー
26・・・接続用ダクト
27・・・燃料導入管
28・・・温水、又は蒸気排出管
29・・・接続用ダクト
30・・・接続用ダクト
31・・・切換えダンパー
32・・・切換えダンパー
33・・・排気用接続ダクト
34・・・清浄排気排出用ダクト
35・・・冷水導入管
36・・・廃熱高圧ボイラー
37・・・高圧蒸気接続管
38・・・復水蒸気タービン
39・・・発電機
40・・・蒸気ドレン管
41・・・熱交換器(復水器)
42・・・冷水導入管
43・・・冷水導入管
44・・・温水ボイラー
45・・・温水排出管
46・・・温水導入管
47・・・排気用排出ダクト
48・・・切換えダンパー
49・・・切換えダンパー
50・・・排気用接続ダクト
51・・・接続用ダクト

Claims (9)

  1. 多系統のプロセス排気用の複数の各々単一ダクトを一つの集合チャンバーの流入側に接続し、該集合チャンバーと排気用冷却装置とを接続用ダクトを介して接続し、該排気用冷却装置と排気用送風機とを接続用ダクトを介して接続し、該排気用送風機とガス濃縮装置とを接続用ダクトを介して接続し、該ガス濃縮装置とガス冷却装置とを接続用ダクトを介して接続し、該ガス冷却装置と発電機を有するガスタービンとを接続用ダクトを介して設けたことを特徴とする排気処理装置。
  2. 請求項1記載の排気処理装置において、前記排気用送風機と前記ガス濃縮装置とを接続している前記接続用ダクトの任意の位置に前記ガス冷却装置と接続する接続用ダクトを設け、該ガス冷却装置と前記ガスタービンとを接続する接続用ダクトを設けたことを特徴とする排気処理装置。
  3. 請求項1又は2記載の排気処理装置において、円筒ロータに吸着材を充填し、該円筒ロータ内は、吸着工程部と離脱再生工程部及び冷却工程部からなり、プロセス排気中の炭化水素系ガス物質を濃縮処理するガス濃縮装置を設けたことを特徴とする排気処理装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項記載の排気処理装置において、ガスタービンの廃熱排出側に廃熱温水ボイラーを設けたことを特徴とする排気処理装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の排気処理装置において、廃熱温水ボイラーの排気排出側にガスタービンで発生した窒素酸化物の除去の為、触媒反応装置を設けたことを特徴とする排気処理装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項記載の排気処理装置において、ガスタービンの廃熱排出側に廃熱高圧ボイラーを設けたことを特徴とする排気処理装置。
  7. 請求項6記載の排気処理装置において、前記廃熱高圧ボイラーの高圧蒸気排出側に発電機を有する復水蒸気タービンを設けたことを特徴とする排気処理装置。
  8. 請求項7記載の排気処理装置において、前記廃熱高圧ボイラーの排気排出側に温水ボイラーを設けたことを特徴とする排気処理装置。
  9. 請求項8記載の排気処理装置において、前記復水蒸気タービンの蒸気ドレン排出側に熱交換器(復水器)を設けたことを特徴とする排気処理装置。
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