JP2004026852A - 顔料分散液と該分散液を用いたインクジェット用インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも顔料と分散剤と水を含有する顔料分散液において、分散剤として下記一般式(1)の化合物を使用することを特徴とする顔料分散液。
【化1】
(R1はHまたは炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、kは0〜7の整数、A1はオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位またはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との混合基、A2はオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位またはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との混合基、i、jはそれぞれ0以上の整数で、i+jは31以上100以下の整数を表わす。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷物の耐光性、色調の鮮明性、液安定性、顔料粒子径安定性等の特性に優れた顔料分散液及びインクジェット用インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方式に用いるインクとしては、特開昭63−51485号公報、特開昭63−56575号公報、特開平1−198671号公報等に開示されている如く各種の水溶性染料を水単体、もしくは水と水溶性溶剤からなる溶媒中に溶解し、必要に応じて各種添加剤を添加したものが主流であった。
【0003】
しかし、このような染料系インクを用いて印字を行なった場合、被記録材上での記録画像の耐水性が悪い(水をこぼしたりすると容易に記録部分の染料のにじみが生じる)という問題や耐光性が悪い(記録部分に光があたると色調変化や濃度低下が発生する)という問題があった。
【0004】
染料系インクのこれらの問題点を改良するため、着色剤として染料のかわりにカーボンブラックや各種有機顔料を用いたいわゆる顔料系インクをインクジェット記録方式に適用することが特開昭57−10660号公報、特開昭57−10661号公報、特公平1−15542号公報、特開平2−255875号公報、特開平2−276876号公報等に開示されている。
【0005】
顔料系インクを用いて印字を行なった場合、被記録材上で乾燥したインクは着色剤が顔料であるため、水がかかっても染料のように溶解してにじみが発生することはなく、耐水性が良好である。
【0006】
また、顔料は染料に比較して光に対する反応性が低いため、顔料系インクの耐光性は染料系インクに比べ優れている。
【0007】
このような顔料系インクは一般に、顔料と液媒体と分散剤よりなる混合物をボールミル、サンドミル等の分散機で分散処理を行ない、製造した顔料分散液に必要に応じて各種添加剤を添加して製造するが、インクジェット記録用インクに使用する顔料分散液はノズル詰まり防止、印字画像の鮮明性、2次色再現性、透明性確保の為通常200nm以下、好ましくは150nm以下の粒子径レベルまで顔料分散液中の顔料粒子を微粒子化分散する必要がある。更に、工業的に安価に製造する為には短時間で微粒子化を行なう必要がある。
【0008】
また、ノズル詰まり防止上、上記微粒子化分散された顔料分散液は経時及び/又は高温、低温等の保存環境下で初期の粒子径を維持することができなければならない。
【0009】
しかしながら、従来、本分野で使用されてきた顔料分散剤には上記の如き微粒子化分散を短時間で実現でき、しかも顔料粒子径の保存時の変化を少なくし得るものはなかった。例えば、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体(特開昭56−147863等)、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(特開昭61−83267等)等の高分子分散剤を用いたインク、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル(特開平5−105837等)、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル硫酸塩(特開平10−168367等)、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルリン酸塩(特開平10−88050等)等の界面活性剤を用いたインクのいずれにおいても顔料の平均粒径が大きく、平均粒径の安定性、吐出安定性に劣るものであった。
また、分散剤と好適に併用でき、その効果を向上させる添加剤はこれまでなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特にインクジェット記録用インクに好適に使用し得る微粒子径顔料分散液を短時間で効率的に作成でき、しかも顔料粒子径の保存時の変化を少なくできる分散剤を使用した顔料分散液及び該分散液を使用したインクジェット用インクを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の分散剤を用いること、更に好ましくは特定の分散剤と特定の添加剤を併用することにより上記課題が解決できることを見出し本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明によれば第1に、少なくとも顔料と分散剤と水を含有する顔料分散液において、分散剤として下記一般式(1)で表わされる化合物の少なくとも一種を使用することを特徴とする顔料分散液が提供される。
【化5】
(R1はHまたは炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、kは0〜7の整数、A1はオキシエチレン単位またはオキシプロピレン単位またはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との混合基、A2はオキシエチレン単位またはオキシプロピレン単位またはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との混合基、i、jはそれぞれ0以上の整数で、i+jは31以上100以下の整数を表わす。)
【0013】
本発明の第2は、上記第1記載の顔料分散液において、下記一般式(2)で表わされる化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする上記第1の顔料分散液にある。
【化6】
R2−(A3)m−OH 一般式(2)
(R2は炭素数8〜14のアルキル基、A3はオキシエチレン単位またはオキシプロピレン単位またはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との混合基、mは3〜16の整数を表わす。)
【0014】
本発明の第3は、上記第1〜2の顔料分散液において、下記一般式(3)で表わされる化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする顔料分散液にある。
【化7】
〔M1はH、Li、Na、K、N+R4R5R6R7(R4、R5、R6、R7はそれぞれ水素元素、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基および3−ヒドロキシプロピル基よりなる群から選ばれる)を表わし、R3は炭素数1〜20のアルキル基を表わす。〕
【0015】
本発明の第4は、上記第1〜3の顔料分散液において、下記一般式(4)で表わされる化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする顔料分散液にある。
【化8】
R8O−(A4)x−CH2COOM2 一般式(4)
〔R8は炭素数1〜20のアルキル基、A4はオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との混合基、xは1〜12の整数、M2はH、Li、Na、K、N+R9R10R11R12(R9、R10、R11、R12はそれぞれ水素元素、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基および3−ヒドロキシプロピル基よりなる群から選ばれる)を表わす。〕
【0016】
本発明の第5は、上記第1〜4の顔料分散液において、顔料としてピグメントイエロー138を用いることを特徴とする顔料分散液にある。
【0017】
本発明の第6は、上記第1〜4の顔料分散液において、顔料としてピグメントレッド122を用いることを特徴とする顔料分散液にある。
【0018】
本発明の第7は、上記第1〜4の顔料分散液において、顔料としてピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3およびピグメントブルー15:4よりなる群から選ばれた少なくとも一種を用いることを特徴とする顔料分散液にある。
【0019】
本発明の第8は、上記第1〜4の顔料分散液において、顔料としてカーボンブラックを用いることを特徴とする顔料分散液にある。
【0020】
本発明の第9は、上記第2〜8の顔料分散液において、上記一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物の含有量比率が重量比で99.99/0.01〜60/40であることを特徴とする顔料分散液にある。
【0021】
本発明の第10は、上記第3〜9の顔料分散液において、上記一般式(1)の化合物と一般式(3)の化合物の含有量比率が重量比で99.99/0.01〜60/40であることを特徴とする顔料分散液にある。
【0022】
本発明の第11は、上記第4〜10の顔料分散液において、上記一般式(1)の化合物と一般式(4)の化合物の含有量比率が重量比で99.99/0.01〜60/40であることを特徴とする顔料分散液にある。
【0023】
本発明の第12は、上記第1〜11の顔料分散液において、分散剤の比率が1/15〜1/1であることを特徴とする顔料分散液にある。
【0024】
本発明の第13は、上記第1〜12の顔料分散液において、顔料の平均粒径が20nm以上200nm以下であることを特徴とする顔料分散液にある。
【0025】
本発明の第14は、上記第1〜13の顔料分散液において、顔料濃度が5wt%以上30wt%以下であることを特徴とする顔料分散液にある。
【0026】
本発明の第15は、上記1〜14の顔料分散液において、顔料分散液に添加剤として水、水溶性有機溶剤、界面活性剤防腐剤のうち、少なくとも1種を加えて調製したものであることを特徴とするインクジェット用インクにある。
【0027】
本発明の第16は、上記15記載のインクジェット用インクにおいて、顔料の平均粒径が20nm以上200nm以下であることを特徴とするインクジェット用インクにある。
【0028】
本発明の第17は、上記15又は16記載のインクジェット用インクにおいて、顔料濃度が1wt%以上8wt%以下であることを特徴とするインクジェット用インクにある。
【0029】
本発明の第18は、上記第15〜17のいずれかのインクを用いてインクジェット方式のプリンタで印字することを特徴とする画像形成方法にある。
【0030】
本発明の第19は、イングジェット方式がピエゾ方式であるインクジェットプリンタで印字することを特徴とする上記18記載の画像形成方法にある。
【0031】
本発明の第20は、インクジェット方式がサーマル方式であるインクジェットプリンタで印字することを特徴とする上記18記載の画像形成方法が提供される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の顔料分散液は、少なくとも顔料と分散剤と水とからなり、分散剤として上記一般式(1)で示される化合物のうち、少なくとも1種を用いることを特徴とする顔料分散液である。
この顔料分散液はインクジェット用インク、塗料、オフセット印刷等の印刷用インク、ボールペン、万年筆等の筆記具用インクなどの用途に利用できるが、特にインクジェット用インクに好適に利用することができる。また本発明のインクジェット用インクは前述の顔料分散液に添加剤を加えて調製することを特徴とするインクジェット用インクである。上記分散剤を用いると、顔料の平均粒径の小さく、かつ平均粒径の安定性の優れた分散液および、平均粒径の安定性、吐出安定性の優れたインクを得ることができる。
【0033】
一般式(1)で示される分散剤で、R1はHまたは炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基(炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、アリール基、ハロゲン原子等で置換されているフェニル基)、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくはHまたは炭素数1〜4のアルキル基、最も好ましくはHである。また、kは好ましくは0〜7、さらに好ましくは0〜3、最も好ましくは0の整数である。R1がH以外の場合、置換基の位置として好ましいのは1、5、7、8位で、さらに好ましくは7位である。
R1の炭素数が20を超えると分散安定性が劣り、粘度も上昇する傾向がある。A1またはA2としてはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の混合のいずれも好適に使用できる。A1またはA2の置換基の位置として好ましいのは1、2、3、4位で、さらに好ましくは2、3位である。i、jはそれぞれ0以上の整数で、i+jは好ましくは31以上100以下、さらに好ましくは31以上80以下である。i+jが100を越えると分散液及びインクの粘度が高くなり、さらに平均粒径の安定性に劣る傾向がある。
【0034】
本発明において、上記一般式(1)の分散剤と併用することによって顔料の分散性を向上させられる化合物として、上記一般式(2)、(3)、(4)の界面活性剤が挙げられる。
【0035】
上記一般式(2)の化合物のR2は炭素数8〜14のアルキル基、さらに好ましくは炭素数8〜12、最も好ましくは10のアルキル基である。炭素数7以下又は15以上では平均粒径の安定性に劣る傾向がある。また、A3としてはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の混合基のいずれも好適に使用できる。mは3〜16の整数が好ましく、さらに好ましくは5〜10、最も好ましくは7の整数である。mが2以下又は17以上では粒径安定化の効果が小さい。
【0036】
一般式(3)の化合物のR3は炭素数1〜20のアルキル基、さらに好ましくは炭素数5〜20、最も好ましくは8のアルキル基である。また、R4〜R7はそれぞれ水素元素、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基または3−ヒドロキシプロピル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
R3が水素原子又は炭素数21以上のアルキル基では平均粒径の安定性に劣る傾向がある。
【0037】
一般式(4)の化合物のR8は炭素数1〜20のアルキル基、さらに好ましくは炭素数5〜8、最も好ましくは6、7のアルキル基が好ましい。R8が水素原子又は炭素数21以上のアルキル基では顔料分散液中の顔料微粒子の粒径安定化の効果が小さい。一方、A4としてはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の混合のいずれも好適に使用できる。xは好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8、最も好ましくは3の整数である。xが0または13以上では平均粒径の安定性に劣る傾向がある。また、R9〜R12はそれぞれ水素元素、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基または3−ヒドロキシプロピル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0038】
本発明において、一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物の含有量比率は、重量比で99.99/0.01〜60/40であることが好ましく、さらに好ましくは99.9/0.1〜90/10、最も好ましくは99.9/0.1〜97/3である。99.99/0.01より大きい場合は一般式(2)の添加効果がほとんど無い為、顔料分散液中の顔料微粒子の粒径安定化効果の向上の程度が小さく、60/40より小さい場合もやはり粒径安定化効果の向上の程度は小さくなる。
一般式(1)の化合物と一般式(3)の化合物の含有量比率も同上の理由から99.99/0.01〜60/40であることが好ましく、さらに好ましくは99.9/0.1〜90/10、最も好ましくは99.9/0.1〜97/3である。
一般式(1)の化合物と一般式(4)の化合物の含有量比率も同上の理由から99.99/0.01〜60/40であることが好ましく、さらに好ましくは99.9/0.1〜90/10、最も好ましくは99.9/0.1〜97/3である。
【0039】
また、本発明においては、一般式(2)、(3)、(4)の化合物の2種以上が併用されてもよい。この場合においても、一般式(1)の化合物と、一般式(2)、(3)、(4)の2種以上の化合物との含有量比率は、重量比で99.99/0.01〜60/40であることが好ましく、さらに好ましくは99.9/0.1〜90/10、最も好ましくは99.9/0.1〜97/3である。
【0040】
本発明の顔料分散液に使用される顔料は特に限定されるものではないが、例示すれば以下の如きものがある。
【0041】
黒色用としてはファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類、または銅、鉄、酸化チタン等の金属類、オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料が挙げられる。
【0042】
イエロー顔料としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
【0043】
マゼンタ顔料としては、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0044】
シアン顔料としては、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60等が挙げられる。
【0045】
この他のカラー顔料としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、ファーストイエロー10G、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、ジスアゾイエローAAOA、黄色酸化鉄、ジスアゾイエローHR、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアンファーストスカーレット、ナフトールレッド23、ピラゾロンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウムレッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボルドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、べんがら、ファナトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6Gレーキ、ファストスカイブルー、アルカリブルーRトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー2G、レフレックスブルーR、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンY、酸化鉄粉、さびこ、亜鉛華、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナ、アルミナホワイト、アルミニウム粉、ブロンズ粉、昼光蛍光顔料、パール顔料、ナフトールカーミンFB、ナフトールレッドM、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローG、ジスアゾイエローAAA、ジオキサンバイオレッド、アルカリブルーGトナー等、その他顔料表面を樹脂等で処理したグラフトカーボン等の加工顔料等が使用できる。これらは場合によっては2種類以上を混合することもできる。
【0046】
これらの中でも分散安定性、色調再現性、耐光性の点で黒色用としてはカーボンブラックが、イエロー用としてはピグメントイエロー138が、マゼンタ用としてはピグメントレッド122が、シアン用としてはピグメントブルー15:3が好ましく使用できる。さらにこのうち、ピグメントレッド122は顔料誘導体等で表面処理されたものが、分散安定性が良く、より好ましく使用できる。
【0047】
本発明における顔料分散液及び該顔料分散液を使用したインクジェット用インクに添加し得る水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類:ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類:アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類:テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が例示される。
【0048】
また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類:エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類が例示される。
【0049】
また、グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類:N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0050】
これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
この他にも、水溶性有機溶剤として、上記多価アルコールと上記アルコールを脱水縮合して得られるモノエイル誘導体及びジエーテル誘導体、モノエーテルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンなども使用することができる。
【0051】
顔料分散液は、上記の顔料、分散剤、水や水溶性有機溶剤の混合物をサンドミル、パールミル、ダイノーミル、ボールミル、ロールミル、ナノマイザー、ホモジナイザー等の公知の分散機で分散することによって得られる。またインクジェット用インクは、該顔料分散液、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を攪拌混合し、フィルター、遠心分離装置等で粗大粒子を濾過し、脱気することによって得られる。
【0052】
本発明において、一般式(2)、一般式(3)及び/又は一般式(4)の化合物は顔料分散時に分散剤と共に混合して使用しても良いし、インクジェット用インク作成時に添加しても良い。
【0053】
本発明において、顔料に対する分散剤の比率は1/15〜1/1が好ましく、さらに好ましくは1/5〜1/1、最も好ましくは1/3〜1/1である。1/15より小さいと微粒子化分散が困難な上顔料分散剤中の顔料微粒子の粒径安定化効果が小さい。1/1より大きいと顔料分散液及び該顔料分散液を使用したインクジェット用インクの粘度が高くなりすぎる結果、インクジェットプリンターでの印字が困難になる傾向がある。
【0054】
顔料分散液及びインク中の顔料の平均粒径は20〜200nmが好ましく、さらに好ましくは20〜100nm、最も好ましくは20〜50nmである。顔料の平均粒径が200nmより大きいとノズルの目詰まりが生じやすくなるばかりでなく色調の鮮明性も劣り、20nm未満では顔料の分散が困難でありコストがかかるばかりでなく保存性、耐光性に劣る傾向がある。なお、本発明における平均粒径は、日機装(株)製マイクロトラックUPAで測定した値のことである。
【0055】
顔料分散液の顔料濃度は5〜30wt%が好ましく、さらに好ましくは15〜30wt%、最も好ましくは20〜27wt%である。5wt%未満では生産性が劣り、30wt%より多いと分散液の粘度が高すぎて分散が困難になる傾向がある。
【0056】
インクジェット用インクは、前記の顔料分散液に、添加剤として、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、防腐剤のうち少なくとも1種を加えて調製される。
【0057】
インクの顔料濃度は1〜8wt%が好ましく、さらに好ましくは2〜7wt%、最も好ましくは3〜7wt%である。1wt%未満では画像濃度が低いため印字の鮮明さに欠け、8wt%より多いとインクの粘度が高くなる傾向があるばかりでなくノズルの目詰まりが発生しやすくなる。
【0058】
インクヘの添加剤としては、上記顔料分散液における添加剤として記載した材料と同様の材料が挙げられる。また、防腐剤としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ソジウムピリジンチオール−1−オキシド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、ソジウムオマジン、ハロゲン化ニトロプロパン化合物等が挙げられる。
なお、水溶性有機溶剤の含有量としては、記録液全量に対して0〜50wt%が好ましく、さらに好ましくは5〜40wt%、最も好ましくは10〜30wt%である。
【0059】
上記のインクを印字する方法としては連続噴射型あるいはオンデマンド型が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、静電方式等が挙げられる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されないものである。なお実施例中の部数は重量部を表すものである。
【0061】
(実施例1)
処方1
ピグメントレッド122
(クラリアント社製、トナーマゼンタE02) 30部
β−ナフトールPO6molEO54mol付加物(ブロックタイプ)
〔一般式(1)の化合物のうち、k=0、i=6、
j=54、A1=オキシプロピレン単位、A2=
オキシエチレン単位の化合物〕 15部
ヘプタエチレングリコールモノ(5−トリデシル)エーテル
(一般式(2)の化合物のうち、R2が炭素数10の分岐
アルキル基、A3がオキシエチレン単位、mが7の化合物) 0.2部
蒸留水 155部
上記の混合物をプレミックス後1リットルのベッセルに入れ、直径0.3mmのジルコニアビーズを9009加え、カンペ社製バッチ式卓上サンドミルで48時間分散し、顔料分散液(A)を得た。
【0062】
(実施例2)
実施例1において、下記処方2に変更した他は実施例1と同様にして顔料分散液(B)を得た。
処方2
ピグメントブルー15:3(東洋インキ製造社製、
LIONOL BLUE FG−7351) 30部
β−ナフトールPO6molEO30mol付加物(ブロックタイプ)
〔一般式(1)の化合物のうち、k=0、i=6、
j=30、A1=オキシプロピレン単位、A2=
オキシエチレン単位の化合物〕 15部
ジオクチルスルホサクシネートNa
(一般式(3)の化合物のうち、M1がNa、
R3が炭素数8の分岐アルキル基の化合物) 0.2部
蒸留水 155部
【0063】
(実施例3)
実施例1において、下記処方3に変更した他は実施例1と同様にして顔料分散液(C)を得た。
処方3
ピグメントイエロー138(東洋インキ製造社製、
LIONOGEN YELLOW 1010) 30部
β−ナフトールPO12molEO48mol付加物(ブロックタイプ)
〔一般式(1)の化合物のうち、k=0、i=12、j=48、A1=オキシプロピレン単位、A2=
オキシエチレン単位の化合物〕 15部
ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)
エーテル酢酸ナトリウム
(一般式(4)の化合物のうち、R8が炭素数13の
直鎖アルキル基、A4がオキシエチレン単位、
xが3、M2がNaの化合物) 0.2部
蒸留水 115部
【0064】
(実施例4)
実施例1において、下記処方4に変更した他は実施例1と同様にして顔料分散液(D)を得た。
処方4
ピグメントイエロー138(東洋インキ製造社製、
LIONOGEN YELLOW 1010) 30部
β−ナフトールPO8molEO32mol付加物(ブロックタイプ)
〔一般式(1)の化合物のうち、k=0、i=8、
j=32、A1=オキシプロピレン単位、A2=
オキシエチレン単位の化合物〕 15部
蒸留水 115部
【0065】
(実施例5)
実施例1においてピグメントレッド122の部数を15部、蒸留水の部数を170部に変更した他は実施例1と同様にして顔料分散液(E)を得た。
【0066】
(実施例6)
実施例1において、ピグメントレッド122の部数を50部、一般式(1)の化合物の部数を12部、蒸留水の部数を138部に変更した他は実施例1と同様にして顔料分散液(F)を得た。
【0067】
(比較例1)
実施例1において下記処方5に変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(G)を得た。
処方5
ピグメントレッド122
(クラリアント社製、トナーマゼンタE02) 30部
ポリビニルピロリドン(平均分子量25000) 15部
ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)
エーテル酢酸ナトリウム
(一般式(4)の化合物のうち、R8が炭素数13の
直鎖アルキル基、A4がオキシエチレン単位、
xが3、M2がNaの化合物) 0.2部
蒸留水 155部
【0068】
(比較例2)
実施例1において下記処方6に変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(H)を得た。
処方6
ピグメントレッド122
(クラリアント社製、トナーマゼンタE02) 30部
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル
(第一工業製薬社製、プライサーフA219B) 15部
蒸留水 155部
【0069】
(比較例3)
実施例1において下記処方7に変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(I)を得た。
処方7
ピグメントレッド122
(クラリアント社製、トナーマゼンタE02) 30部
β−ナフトールPO6molEO54mol付加物(ブロックタイプ)
〔一般式(1)の化合物のうち、k=0、i=10、
j=10、A1=オキシプロピレン単位、A2=
オキシエチレン単位の化合物〕 15部
ヘプタエチレングリコールモノ(5−トリデシル)エーテル
(一般式(2)の化合物のうち、R2が炭素数10の分岐
アルキル基、A3がオキシエチレン単位、mが7の化合物) 0.2部
蒸留水 155部
【0070】
(比較例4)
実施例1において下記処方8に変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(J)を得た。
処方8
ピグメントレッド122
(クラリアント社製、トナーマゼンタE02) 30部
β−ナフトールPO6molEO54mol付加物(ブロックタイプ)
〔一般式(1)の化合物のうち、k=0、i=80、
j=50、A1=オキシプロピレン単位、A2=
オキシエチレン単位の化合物〕 15部
ヘプタエチレングリコールモノ(5−トリデシル)エーテル
(一般式(2)の化合物のうち、R2が炭素数10の分岐
アルキル基、A3がオキシエチレン単位、mが7の化合物) 0.2部
蒸留水 155部
【0071】
上記の方法で得られた顔料分散液(A)〜(J)を用いて下記インク処方1によりインクを調製し、30分攪拌後孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過、真空脱気してインク(a)〜(j)を得た。ただし、ろ過不可能なサンプルについては未ろ過のまま評価した。
インク処方1
顔料分散液 40.00部
グリセリン 7.50部
ジエチレングリコール 22.50部
2−ピロリドン 3.00部
ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)
エーテル酢酸ナトリウム 0.45部
蒸留水 76.55部
【0072】
上記の分散液(A)−(J)及びインク(a)−(j)に含まれる顔料の平均粒径、及び70℃で7日放置した後の平均粒径を測定した。さらに高温試験後のインクをEPSON社製インクジェットプリンタMJ−930C(ピエゾ方式)およびHP杜のインクジェットプリンタDeskJet880C(サーマル方式)で印字し、吐出安定性を評価した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
吐出安定性
○:ヘッドの目詰まりなし
×:ヘッドの目詰まりあり
【0075】
【発明の効果】
本発明は、特にインクジェット記録用インクに好適に使用し得る微粒子径顔料分散液を短時間で効率的に作成でき、しかも顔料粒子径の保存時の変化を少なくできる分散剤を使用した顔料分散液及び該分散液を使用したインクジェット用インクを提供できる。本発明の顔料分散液及びインクは、含まれる顔料の平均粒径が小さく、吐出安定性や色調の優れるものである。
Claims (20)
- 顔料としてピグメントイエロー138を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顔料分散液。
- 顔料としてピグメントレッド122を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顔料分散液。
- 顔料としてピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3およびピグメントブルー15:4よりなる群から選ばれた少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顔料分散液。
- 顔料としてカーボンブラックを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顔料分散液。
- 一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物の含有量比率が重量比で99.99/0.01〜60/40であることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の顔料分散液。
- 一般式(1)の化合物と一般式(3)の化合物の含有量比率が重量比で99.99/0.01〜60/40であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の顔料分散液。
- 一般式(1)の化合物と一般式(4)の化合物の含有量比率が重量比で99.99/0.01〜60/40であることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の顔料分散液。
- 顔料に対する分散剤の比率が1/15〜1/1であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の顔料分散液。
- 顔料の平均粒径が20nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の顔料分散液。
- 顔料濃度が5wt%以上30wt%以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の顔料分散液。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の顔料分散液に添加剤として水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、防腐剤のうち、少なくとも1種を加えて調製したものであることを特徴とするインクジェット用インク。
- 顔料の平均粒径が20nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項15記載のインクジェット用インク。
- 顔料濃度が1wt%以上8wt%以下であることを特徴とする請求項15又は16記載のインクジェット用インク。
- 請求項15〜17のいずれかに記載のインクを用いてインクジェット方式のプリンタで印字することを特徴とする画像形成方法。
- イングジェット方式がピエゾ方式であるインクジェットプリンタで印字することを特徴とする請求項18記載の画像形成方法。
- インクジェット方式がサーマル方式であるインクジェットプリンタで印字することを特徴とする請求項18記載の画像形成方法。
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