JP2004019059A - 弾性編地 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表裏二枚の地編地をポリウレタン弾性繊維からなる結合糸によってタック組織で結合して構成された立体構造を有する弾性編地であって、表面と裏面の編地の少なくとも一方にポリウレタン系弾性繊維を含有し、弾性編地の経及び緯方向に特定の伸度と、特定の経及び緯方向の伸度比を有することを特徴とする。
【選択図】 選択図なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンデーション等のインナーやスポーツウエアー用途に好適な、補型機能があり、経及び緯方向の伸度比が1に近いために生地の方向を考慮しないで使用可能な弾性編地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、表裏二枚の編地を連結糸で結合した立体編地は多数提案されている。緯編機や経編機を用いた立体構造編地は、表面と裏面を結合する結合糸に、伸縮性の小さい糸(フィラメント、仮撚糸、紡績糸等の一般に使用される糸)が用いられることが多い。これらは、主として、一般資材や靴の表裏材や中敷き材、衣類の裏地等において、厚みの保持に用いられている。しかし、これらは、適当な断熱性を付与する効果はあるが、伸縮性が乏しい。
【0003】
特開平4−240252号公報には、熱融着糸を結合糸として用いる立体構造編地が提案されている。この編地は、熱融着糸の成形性を利用した成形体であり、成形性に適した熱プレス等の加圧成形には良好であるが、伸縮性はほとんど想定されていない。特開平7−316959号公報には、熱融着糸と高捲縮糸との組合せ結合糸を用いる丸編ダンボールニットが提案されている。特開平2001−164444号公報には、熱融着糸と伸縮糸(ポリウレタン系弾性繊維等)との組合せによる結合糸を用いた立体構造編地が提案されている。
【0004】
これらは、高捲縮糸や伸縮糸を結合部に用いることにより、クッション性や繰り返し荷重に対するヘタリを小さくしようとするものである。これらの立体編地は、結合糸として融着糸を用いるために、熱融着糸の軟化点が低く、そのために、染色加工時等で、生地にシワが発生し、そのシワの解消が困難であるばかりか、結合糸の融着により表裏の編地が固定される。その結果、編地の伸縮性がほとんどないものしか得られなかった。
【0005】
特開2001−348762号公報には、地組織を編成する給糸口部分と、伸度制御を目的とする給糸口部分に分け組織して、伸度を制御する部分のループを自組織部のループより小さくする方法、伸度制御する部分の組織を、ニットループとウエルトループの組合せによる方法等が提案されているが、生地の伸縮性のバランスは必ずしも均等ではない。
一方、従来の補型機能を目的とした弾性編地は、目的に応じて種々のパワーレベルのものがある。ソフトパワー特性を有する生地は、着脱時に生地が必要以上に伸びすぎる傾向があるため、所定の位置で装着できにくい欠点、体型補型効果や身体の揺れを制止性能が劣る欠点、弾性糸に対する負荷が大きく、伸縮繰り返しによる弾性糸の劣化が進みやすい欠点、指などで生地を突き破る問題などがあった。一方、ハードパワー特性を有する生地は、生地パワーが強いために身体の動作に追随しにいことから、突っ張り感や運動時のずれなどの不快感が生じやすい欠点があった。このような欠点を解消し、補形性と着用快適性を兼ね備えた弾性編地はまだ得られていない。
【0006】
例えば、ガードルとして着用した場合、かがむ動作によりガードルのウエスト部や脚の付け根部がずれたり、突っ張ったりして運動追随性に劣るという問題があった。これは、経伸度と緯伸度比の異なる生地を使用し、生地伸びが大きい経方向を人体の周方向になるように用いると、伸度の低い緯方向が身長方向になるために起こる問題である。この問題点を改良するため、これまで、2種類の弾性繊維を挿入して生地の緯伸度を高くしたラッシェル編地も提案されている。この編地は、従来品に比して、上記の問題点は若干改善されているものの、着用快適性はまだ不十分なもであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、ファンデーション等のインナーやスポーツウエアー用途に好適な補型機能があり、着脱しやすく、運動追随性及び着用感に優れた弾性編地を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み、人の動作による皮膚の伸びに追随する生地の伸長特性について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、表裏二枚の地編地をポリウレタン弾性繊維からなる結合糸によってタック組織で結合して構成された立体構造を有する弾性編地であって、表面と裏面の編地の少なくとも一方にポリウレタン系弾性繊維を含有し、弾性編地の経及び緯方向のそれぞれの伸度が、3.5N/cmの荷重下で80〜150%、9.8N/cmの荷重下で100〜200%であり、下記式(1)及び(2)で表される経及び緯方向の伸度比(A)及び伸度比(B)がいずれも0.8〜1.2の範囲であることを特徴とする弾性編地である。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における弾性編地の編組織は、経編地、丸編地、横編地等、どのようなものでもよく、限定されない。
人体の身長方向の動きに追随して生地を伸長させた際に、伸長方向の応力と人体の周方向における生地の応力が、着用感に大きく影響を及ぼす。本発明の弾性編地は、編地の経及び緯方向に、ともに所定の伸長を有するために、運動追随性や着脱性に優れ、着用した際の快適性に優れる。また、生地の不必要な伸度が抑制されるために、生地の耐久性を向上させることができる。
【0010】
本発明の立体構造を有する弾性編地の経及び緯方向のそれぞれの伸度は、3.5N/cmの荷重下で80〜150%、好ましくは100〜140%であり、9.8N/cmの荷重下で100〜200%、好ましくは120〜180%である。そして、同時に、下記式(1)及び(2)で表される3.5N/cmの荷重下の伸度比(A)及び9.8N/cmの荷重下の伸度比(B)がいずれも0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1である。
【0011】
本発明における伸度とは、通常の伸長試験機による測定とは異なり、後で詳しく述べるように、一軸固定二軸伸張試験機(STRIP BIAIAL TENSILTESTER KES―G2−SB1(商標)、カトーテック社製)により測定した値をいう。この試験機を用いて、生地の一方向を拘束して、他の方向の生地伸度を測定することにより、実用に即した伸度の測定が可能となる。なお、従来の伸度の測定法は、伸長方向のみを固定し、他の方向は拘束されていない状態で測定する方法であるため、把持間中央部で生地幅が変化することから、着用時の布帛に掛かる2方向の応力変化を測定できず、実用的な布帛特性には対応しない。
【0012】
本発明において、3.5N/cmの荷重は、平均的な人の力で引っ張りうる力に相当する。3.5N/cmの荷重下における弾性編地の経方向の伸度が80%未満では、生地の伸びが足りず、着脱に余分な力が必要となる。一方、経方向及び緯方向の伸度が80%未満では、かがむ動作において、人体の伸長方向における皮膚伸びが最大50%となることから、突っ張り感が生じ、またガードルとして着用した場合にはウエストラインや大腿部の裾部がずれるという不快感が生じる。弾性編地の経及び緯方向のそれぞれの伸度が3.5N/cmの荷重下において150%を越えると、弾性糸の伸縮疲労が大きくなり、耐久性が低下し、生地の強度が低下する。
【0013】
9.8N/cmの荷重は、生地の伸びきり伸度に相当し、指等で押した時に生地を突き破る可能性がある応力に相当する。このような現象を予防するためには、経及び緯方向とも伸度を200%以下に抑え、生地の粗化を回避する必要がある。この点から見ると、9.8N/cm荷重下の伸度は小さい方がよいことになるが、着脱時の快適性を確保するためには、9.8N/cm荷重下で100%以上の伸度が必要である。
【0014】
さらに、前記2種類の荷重下における伸度の経緯比が0.8〜1.2の範囲にある編地であれば、着用感が優れる。3.5N/cm荷重下の伸度比(A)及び9.8N/cm荷重下の伸度比(B)のいずれかが0.8未満であると、緯方向の伸びが経方向の伸びに比べ大きい、また、いずれかが1.2を越えると経方向の伸びが緯方向の伸びに比べ大きいため、運動追随性や着脱性において快適な着用感が得られない。
【0015】
本発明の弾性編地は、表面の編地と裏面の編地を結合する糸にポリウレタン系弾性繊維を用い、表裏両方ともタック組織で結合されている。従来の立体編地は、経及び緯方向のパワーに差があるものしか得られなかったが、本発明は、結合糸にポリウレタン系弾性繊維を用い、タック組織で編成するために、コース方向にパワーアップが可能となり、3.5N/cm荷重下の伸度比(A)及び9.8N/cm荷重下の伸度比(B)を0.8〜1.2に調節することができる。これにより、着脱性、着用感に優れ、カットした時に耳部が巻き上がるカーリング現象がない、安定性に優れた編地となる。
【0016】
表裏地編地の少なくとも一方に含有されるポリウレタン弾性繊維の割合は、ポリウレタン弾性繊維が含有されている、その地編地を形成する非弾性糸に対して、質量比で2%以上が好ましい。2質量%未満では、編地全体に十分なストレッチ性能が付与できないからである。より好ましくは10質量%以上含有されていると、経方向と緯方向の伸度比バランスが均等となる。
本発明の弾性編地は、表面の編地と裏面の編地の少なくとも一方に、ポリウレタン弾性繊維を含有する。好ましくは表面と裏面の両方にポリウレタン弾性繊維を含有する。従来の立体編地は、表面と裏面の編地自体の伸縮性が小さく、3.5N/cm及び9.8N/cmの荷重下の伸度を本発明の範囲内に設定することは困難であった。本発明は、地編地にポリウレタン弾性繊維を用いることにより、3.5N/cmの荷重下の伸度を80〜150%、9.8N/cmの荷重下の伸度を100〜200%に調整することができる。これにより、着脱性、着用感に優れ、耐久性のある弾性編地となる。
【0017】
本発明に用いるポリウレタン系弾性繊維としては、例えば、乾式紡糸又は溶融紡糸により製造したものが挙げられる。ポリマーの種類や紡糸方法には限定されない。ポリウレタン系弾性繊維の繊度は5〜1000デシテックスが好ましく、19〜460デシテックスがより好ましい。ポリウレタン系弾性繊維の破断伸度は400〜1000%が好ましく、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度180℃近辺で伸縮性を損なわないものが好ましい。連結部に使用するポリウレタン系弾性繊維の繊度は、22〜1000デシテックスが好ましく、表裏の地組織と同じでも、異なっていてもよい。要求される生地パワーにより適宜選択することができる。
【0018】
ポリウレタン系弾性繊維は、ポリウレタン重合体を溶融又は溶媒に溶解させて紡糸原液とし、かかるポリウレタン溶液を溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法等により紡出し、粘着防止剤や平滑性促進剤などの添加物を含む鉱物系又はシリコン系、さらには、これらの混合物の油剤を、糸条の表面に適宜付着させた後、巻き取り機で巻き取ることによって得ることができる。
ポリウレタン重合体は、2種類の型のセグメント;(a)長鎖のポリエーテル、ポリエステルセグメントであるソフトセグメントと、(b)イソシアネートとジアミン又はジオール鎖伸長剤との反応により誘導された比較的短鎖のセグメントであるハードセグメントとを含有する。このポリウレタン重合体はヒドロキシン末端ソフトセグメント前駆体を有機ジイソシアネートでキャッピングすることによって得られるプレポリマ生成物をジアミン又はジオールで鎖伸長させて製造することができる。
【0019】
ポリウレタン系弾性繊維は、例えば、共重合ポリアルキレンエーテルジオール、主として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートからなる芳香族ジイソシアネート、及び二官能性ジアミンから得られるポリウレタンからなり、ポリウレタンにおけるウレタン部分の数平均分子量が6000〜9500、ウレア部分の数平均分子量が650〜950であるポリウレタン弾性繊維が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明の表面と裏面の編地を構成する非弾性糸は、フィラメント糸又は紡績糸のいずれであってもよい。具体的には、フィラメント糸としては、レーヨン、アセテート繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維等の化合繊からなるものが好ましい。
フィラメント糸の形態は、原糸(未加工糸)、仮撚加工糸、先染糸等のいずれであってもよく、また、これらの複合糸であってもよい。これらは、いずれも撚糸加工のしやすい、安定した糸条が好ましい。
紡績糸としては、木綿、羊毛、麻等の天然繊維、レーヨン、アセテート、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、塩化ビニル系繊維等の化合繊からなるものが好ましく、これらは単独又は混紡されたもの等、いずれであってもよい。
ポリウレタン系弾性繊維との混用方法は合撚、カバーリング、エアー加工、引き揃え編み立て等の方法で行うことができる。
【0021】
本発明の表面と裏面の編地に使用する非弾性糸の総繊度は22〜1220デシテックスが好ましく、34〜310デシテックスがより好ましい。単糸の繊度は0.1〜610デシテックスが好ましく、1〜100デシテックスがより好ましい。ポリウレタン弾性繊維の混率は限定されないが、5〜60質量%が好ましい。
本発明の表面及び裏面の編地に使用可能な編成組織としては、平編の基本組織、タック編、浮編、片畦編、レース編、添糸編、ジャガード編等、任意の組織用いられ、なかでも、平編組織が好ましい。
【0022】
本発明の弾性編地の製造方法を具体例により説明する。
編機としては、二列針床を有する、通常のダブルニット丸編機、ダブルラッシェル経編機及び横編機を使用することができるが、給糸口数が多数あり、同時に複数本の糸を供給し得るフィーダーのあるダブル丸編機が好ましい。編機のゲージは5〜40ゲージが使用可能であり、使用目的によって適宜選定すればよい。ループ長は、単位ループあたりの糸の長さであり、便宜上、機械一周の糸長比で表すことができる。
【0023】
本発明の立体構造を有する弾性編地において、表面を構成するシリンダーの編目のループ長、又は裏面を構成するダイヤルのループ長のいずれか短い方のループ長に対し、結合糸のループ長比が0.10〜2.30の範囲であることが好ましい。この比が0.10未満の場合、得られる弾性編地の伸度が低下することがあり、2.30を越えると、結合糸のポリウレタン弾性繊維が生地中で弛み、表裏面の編地から突出する場合がある。
【0024】
本発明の弾性編地において、表面と裏面を結合する数は、得ようとする構造体の安定性及び機能性の点から、表面と裏面のコース方向又はウエル方向の全ループの4分の1以上であることが好ましい。通常のインターロック丸編機であれば、ロングニードルとショートニードルの組合せにより編機針が選針されているので好ましい。
【0025】
例えば、2コース毎でロングニードルのみで結合糸の弾性繊維を結合させれば、4分の1の結合(4分の1結合とは、第1フィーダでダイヤル側ロング針とシリンダー側ロング針にてタック結合し、第2フィーダでは全てウエルトとする事を繰り返し行う事で丸編機の全ての針の内4分の1にのみ結合した事となる。)となり、各コースでロングニードルとショートニードルを繰り返し結合させると2分の1の結合となり、各コースでロングニードル、ショートニードルとも結合させれば全結合(全結合とは、ダイヤル側針及びシリンダー側針の全てをタック結合する事で丸編機の全ての針に結合した事となる。)となる。伸縮性及び風合いを向上させる上で3分の2以上を結合させることが好ましい。
【0026】
本発明の弾性編地は、生機を開反し、リラックス処理を施した後、染色工程を経て、樹脂加工を含めた仕上げセットを行う一般的な染色工程を使用することができる。得られた弾性編地は、ソフトからハードのいずれのパワーレベルにおいても着脱しやすく、運動追随性及び着用感に優れ、ファンデーション等のインナー用途やスポーツウエアー等のアウター用途に好適である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により説明する。
本発明で用いる物性は、以下の方法で測定する。
(1)目付
JIS―L―1018の平方メートル面積当たりの質量試験方法に準じて測定する。
(2)厚み
JIS―L―1018のピーコック試験機の厚さ試験方法に準じて測定する。
【0028】
(3)伸度及び伸度比
試料を140mm×165mm(引張側×拘束側)に裁断し、一軸固定二軸伸張試験機(STRIP BIAXIAL TENSILETESTER KES−G2−SB1カトーテック社製)に取り付ける。このとき、応力がかかる試料の有効寸法は100mm×100mmである。引張速度300mm/分で10N/cmの荷重になるまで伸張を行い、得られた伸長データーより、3.5N/cm及び9.8N/cm荷重における伸長量から伸度(%)を算出する。任意に採取した2点の試料の測定値の平均値を求める。
伸度比は下式(1)及び(2)によって求める。
【0029】
【実施例1】
弾性編地の表面の編地と裏面の編地に、56デシテックス/17フィラメントのナイロン66原糸(レオナ(登録商標)、旭化成(株)製)とポリウレタン弾性繊維22デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用いて2本引き揃えた天竺組織による編地を用いた。結合糸として、ポリウレタン弾性繊維22デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用いた。28ゲージ、30インチ径、60口のインターロック両面丸編機(福原精機(株)製、機種タイプV−LEC6)で編成し、釜間を1.25mmにて丸編地を作成した。この時のポリウレタン弾性繊維のループ長は230cmであった。表面と裏面を構成する編地ナイロン原糸のループ長は740cmであり、その結果、ループ長比は0.31であった。
【0030】
得られた丸編生機を開反し、液流染色機で80℃×30分の条件で精練し、プレセットとしてテンター仕上げ機で幅方向に5%幅出しさせながら温度190℃、時間60秒で熱処理した。次いで、高圧液流染色機を用いて130℃×60分の条件で染色した。仕上げセットとして、テンター仕上げ機を用いて、幅方向に3%幅出しさせながら、熱処理条件170℃×45秒で処理して、染上反を得た。
【0031】
この時の編成内容と編地特性、3.5N/cm及び9.8N/cm荷重下の伸度を表1に示す。得られた弾性編地は、目付225g/m2、厚み0.62mm、伸度比0.869〜0.914であり、均等な伸びバランスを有し、風合いの良好な弾性編地であった。この弾性編地は、インナー用途、アウター用途等に極めて適したものであった。
【0032】
【実施例2】
弾性編地の表面の編地と裏面の編地を、実施例1と同様に編成し、表裏の編地を結合する糸条として、ポリウレタン繊維系弾性裸糸155デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用いた。得られた編地に、実施例1と同様の処理を施した。
この時の編成内容と編地特性、3.5N/cm及び9.8N/cm荷重下の伸度を表1に示す。得られた弾性編地は、目付275g/m2、厚み0.62mm、伸度比0.935〜1.056であり、均等な伸びバランスを有し、風合いの良好な弾性編地であった。この弾性編地は、インナー用途、アウター用途等に極めて適したものであった。
【0033】
【実施例3】
弾性編地の表面の編地と裏面の編地に使用する糸として、84デシテックス/30フィラメントのポリエステル仮撚糸(テクノファイン(登録商標)、旭化成(株)製)とポリウレタン系弾性繊維裸糸44デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用いて2本引き揃えて天竺組織にて編地を形成した。表裏の編地を結合する糸条として、ポリウレタン系弾性繊維裸糸155デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用いて、28ゲージ、30インチ径、60口のインターロック両面丸編機(福原精機(株)製、機種タイプV−LEC6)で編成し、釜間を4.00mm、総針の1/2で結合させ編成した。
【0034】
この時のポリウレタン系弾性繊維裸糸のループ長は800cmであった。表面と裏面を構成する編地のポリエステル仮撚糸のループ長は827cmであり、その結果、ループ長比は0.97である。
得られた丸編生機を実施例1と同様な処理を行った。得られた弾性編地は、目付360g/m2、厚み2.52mm、伸度バランス0.810〜0.912であり、均等な伸びバランスを有し、風合いの良好な弾性編地であった。この弾性編地は、インナー用途、アウター用途等に極めて適したものであった。
【0035】
【比較例1】
丸編地の表面の編地と裏面の編地を実施例1と同様に編成し、表裏の編地を結合する糸条として、22デシテックス/6フィラメントのポリエステル原糸(旭化成(株)製)を用いた。得られた編地に、実施例1と同様の処理を施した。この時の編成内容と編地特性、3.5N/cm及び9.8N/cm荷重下の伸度を表1に示す。得られた丸編地は、目付230g/m2、厚み0.75mm、経及び緯方向の伸張率80%未満であり、伸びの小さい生地で、インナー用途、アウター用途等には適さない生地であった。
【0036】
【比較例2】
シングル丸編機にて、市販されている56デシテックス/17フィラメントのナイロン原糸とポリウレタン繊維系弾性裸糸44デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を2本引き揃えて用いて天竺組織にて編地を形成した一般的なベア天竺編地を得た。得られた編地に実施例1と同様の処理を施した。
この時の編成内容と編地特性、3.5N/cm及び9.8N/cm荷重下の伸度を表1に示す。得られた弾性編地は、目付130g/m2、厚み0.34mm、伸度バランスが1.189〜1.213と経方向に伸びが大きい生地であった。
【0037】
【比較例3】
カールマイヤー社製、28ゲージトリコット編機を用いて、フロント筬に市販されている56デシテックス/17フィラメントのナイロン原糸を用い、バック筬にポリウレタン繊維系弾性裸糸44デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用いてツーウエイトリコット経編地を形成した。得られた編地は実施例1と同様の処理を施した。
この時の編成内容と編地特性、3.5N/cm及び9.8N/cm荷重下の伸度を表1に示す。得られた弾性編地は、目付210g/m2、厚み0.67mm、伸度バランス1.008〜1.292であり、経方向に伸びの大きい生地であった。
【0038】
【比較例4】
カールマイヤー社製、28ゲージラッシェル編機を用いて、フロント筬に市販されている56デシテックス/17フィラメントのナイロン原糸を用い、バック筬にポリウレタン繊維系弾性裸糸310デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用いて6コースサテンネット経編地を形成した。得られた編地は実施例1と同様の処理を施した。
この時の編成内容と編地特性、3.5N/cm及び9.8N/cm荷重下の伸度を表1に示す。得られた編地は、目付190g/m2、厚み0.47mm、伸度バランス1.979〜2.784であり、経方向に伸びるが、緯方向には伸びない生地であった。
【0039】
【表1】
【0040】
注)表中の結合糸の素材は、PU:ポリウレタン系弾性繊維裸糸、PET:ポ
リエステル仮撚加工糸
ループ長比は、タック結合糸のループ長/(表裏を構成する編み目のルー
プのうち短い方のループ長)
タック結合数は、表面と裏面のコース方向・ウエル方向全ループにおける
タック結合比率。
【0041】
【発明の効果】
本発明の弾性編地は、ファンデーション等のインナーやスポーツウエアー用途に好適な補型機能があり、着脱しやすく、運動追随性及び着用感に優れる。
Claims (2)
- 一方の面を構成するシリンダー編み目のループ長、及び他方の面を構成するダイヤル編み目のループ長のいずれか短い方のループ長に対し、タック連結のループ長比が0.10〜2.30であることを特徴とする請求項1記載の弾性編地。
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