JP2004006532A - 半導体レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】読み取り用の低出力の半導体レーザ装置において、特性が高く、かつ歩留まりや生産性が高い半導体レーザ装置を得る。
【解決手段】活性層104と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有するクラッド層106と、前記クラッド層上の一部に帯状に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する光導波路層108と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され前記光導波路層よりも小さい屈折率を有する電流阻止層110と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする半導体レーザ装置を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】活性層104と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有するクラッド層106と、前記クラッド層上の一部に帯状に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する光導波路層108と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され前記光導波路層よりも小さい屈折率を有する電流阻止層110と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする半導体レーザ装置を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体レーザ装置は、CD、DVDなどへの実用化が進められている。CD用の半導体レーザとしては、活性層がAlGaAsからなる波長約780nmのAlGaAs系半導体レーザが実用化されている。また、DVD用の半導体レーザとしては、活性層がInGaAlPからなる波長約650nmのInGaAlP系半導体レーザが実用化されている。
【0003】
上記のCD、DVD用の半導体レーザでは、主に、読み取り用と、書き込み用と、がある。例えば、DVD用半導体レーザでは、DVD−ROM等に用いる読み取り用と、DVD−RAM等に用いる書き込み用と、がある。このうち、読み取り用の半導体レーザは、書き込み用の半導体レーザに比べ、低出力で足りる。例えば、DVD−RAMに用いられている書き込み用半導体レーザ装置の光出力は約50mW程度必要であるのに対し、DVD−ROMに用いられる読み取り用半導体レーザ装置の光出力は約10mW程度で足りる。このため、読み取り用半導体レーザ装置では、高出力化よりも、低コスト化や高信頼性が重要となる。
【0004】
上記のようなDVDの読み取り用半導体レーザとしては、比較的製造が簡単で容易に信頼性が高い素子が得られることから、複素屈折率導波型構造が多く用いられている。しかし、この複素屈折率導波構造は、吸収損失が大きいために、閾値が高くなり高温動作に不利であるという問題がある。そこで、近年では、これを改善するために、実屈折率導波型のレーザ装置が試作されている。
【0005】
上記の従来の実屈折率導波型の半導体レーザを、図8に示す。n型GaAs基板401上には、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるn型クラッド層402、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層403、InGaP/InGaAlPからなる多重量子井戸構造の活性層404、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層405、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるp型クラッド層406、p型InGaPからなるエッチングストップ層407、が順次形成されている。このエッチングストップ層407上の一部には、順メサのリッジ状のp型のIn0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなる光導波路層408、p型InGaPからなるキャップ層409、が形成される。そして、このキャップ層409および光導波路層408を挟んでその両側には、n型のInAlPからなる電流阻止層410が形成される。この電流阻止層410およびキャップ層409上には、p型GaAsからなるコンタクト層411が形成される。
【0006】
図8の半導体レーザでは、電流阻止層410の屈折率が、p型クラッド層406および光導波路層408の屈折率よりも小さい。このような屈折率の関係にある構造は、実屈折率導波型構造と呼ばれる。この構造では、電流阻止層410のバンドギャップエネルギーが活性層404の量子井戸のバンドギャプエネルギーよりも大きく、電流阻止層410が活性層404からの光に対して透光性を有する。このため、電流阻止層410をGaAsとした前述の複素屈折率導波構造に比べ、吸収損失が少なくなり、閾値が低くなって、高温動作が可能となる。例えば、レーザの内部損失は、複素屈折率導波型では20/cmであるのに対し、図8の構造では5/cmとなる。また、閾値電流は共振器長400μmにおいて、複素屈折率導波型では25mA程度であるのに対し、図8の構造で20mA程度と改善され、高温での動作が可能となる。
【0007】
図8の半導体レーザ装置を含め、一般に、半導体レーザ装置では、特性を高くするために、キンクレベルをなるべく高くすることが好ましいと考えられている。このため、図8の半導体レーザでは、光導波路層部層構造に成立する最低次の光導波モードに対応する実効的な屈折率(以下実効屈折率という)から電流阻止層部層構造の実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnを大きくすることが好ましいと考えられている。この実効屈折率差Δnを大きくするためには、電流阻止層410と光導波路層408との屈折率差を大きくし、p型クラッド層406の膜厚hをなるべく薄くすればよい。このため、図8の半導体レーザでは、n型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P電流阻止層410のAl組成xを1として光導波路層408との屈折率差を大きくし、p型クラッド層406の膜厚hを0.1μmと薄くして、実効屈折率差Δnを約0.01としている(図4参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら発明者らが詳細に検討したとことによると、図8の従来の実屈折率構造の半導体レーザは、光学的特性に問題があり、歩留まりや生産性が悪いという問題が発生することが判明した。
【0009】
図9は、図8の実屈折率型の半導体レーザ数百個につき、出力5mWにおける遠視野像を測定したデータの一部である。正常な素子(a)に混じって、遠視野像に非対称性があるもの(b)、あるいはピークが二つにスプリットしているもの(c)、が10〜20%の割合で検出された。この不具合は、レーザの水平横モードに高次のモードが発生していることに対応している。このような不具合が生じる装置は、レーザビームの絞込みに問題が発生するため光情報処理用途には使用できない。このため、図8の半導体レーザでは、歩留まりや生産性が悪いという問題が発生する。
【0010】
上記のような光学特性の悪化は、同じ実効屈折率差Δnで設計した複素屈折率導波型の半導体レーザには見られない。もっとも、複素屈折率導波型の半導体レーザは、前述のように、閾値電流が高く、高温動作に不利であり、特性に問題が生じてしまう。
【0011】
また、図8の従来の半導体レーザで、完全に高次モードを抑制するためには、本発明者の理論計算およびこれまでの赤外レーザの経験によると、光導波路層408の底部幅Wを約2.0μm以下と極めて狭くしなければならない(図8)。しかし、光導波路層が順メサ形状であるため製造プロセスの観点から、2.0μm以下のストライプ幅を実現することは極めて困難である。また、ストライプ幅が狭くなるとレーザ装置の直列抵抗が高くなり、高周波変調をかけにくくなるという欠点もでてくる。
【0012】
以上のような課題の認識の基に、本発明者は、特性が高く、かつ歩留まりや生産性が高い半導体レーザ装置を得るべく各種の実験を繰り返した。そして、実験を繰り返すうち、キンクレベルを高くすれば出力の高低に係らず光学特性を改善できるという従来の技術常識に疑問があると考えた。その結果、従来の技術常識に反し、低出力では、上述の実効屈折率差Δnを小さくしてキンクレベルを下げた方が、光学特性を改善できることを独自に知得した。そして、この場合には、光導波路層408の底部幅Wを特に狭くしなくても、高い光学特性が得られることを知得した。
【0013】
本発明は、かかる課題の認識に基づくものであり、その目的は、読み取り用の低出力の半導体レーザ装置において、特性が高く、かつ歩留まりや生産性が高い半導体レーザ装置を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザ装置は、活性層と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有するクラッド層と、前記クラッド層上の一部に帯状に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され前記光導波路層よりも小さい屈折率を有する電流阻止層と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されInGaAlPを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されInGaAlPを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層の両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもAl組成が高く、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.15μm以上0.25μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下である、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されAlGaAsを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されAlGaAsを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層の両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもAl組成が高く、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.2μm以上0.25μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.15μm以上0.2μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下であるか、または、
前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.1以下であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照にしつつ、本発明の実施の形態の半導体レーザ装置について説明する。本実施形態の半導体レーザ装置は、例えば図1から分かるように、光導波路層108よりも電流阻止層110の屈折率が小さい実屈折率導波型である。本実施形態の半導体レーザ装置の特徴の1つは、図1から分かるように、実効屈折率差Δnを0.007未満と小さくした点である。この結果、高出力を得ることには向かないが、低出力での光学特性を極めて高くすることができる。これにより、低出力の半導体レーザ装置において、歩留まりや生産性を高くすることができる。また、ストライプ幅を小さくする必要がないため製作も容易で、装置の直列抵抗も小さくすることができる。以下、第1の実施の形態ではDVD用の半導体レーザ装置について、第2の実施の形態ではCD用の半導体レーザ装置について、第3の実施の形態ではDVD用とCD用を組み合わせた半導体レーザ装置について、説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、図1から分かるように、InGaAlPを含む活性層104を有する、DVD用の半導体レーザ装置である。この半導体レーザ装置は、書き込み用の高出力のレーザ装置には向かないが、DVD−ROMに代表される読み取り用レーザ装置として、高い特性を得ることができる。
【0021】
図1は本発明の第1の実施例にかかわる半導体レーザ装置の断面模式図である。n型GaAs基板101上には、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるn型(第1導電型)クラッド層102、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層103、InGaAlPを含み電流注入により光を放射する多重量子井戸構造の活性層104、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層105、が順次形成されている。この上には、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなり上記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さいp型(第2導電型)クラッド層106が形成されている。このp型クラッド層106の膜厚hは、0.15μmとしている。このp型クラッド層106上には、p型InGaPからなるエッチングストップ層107、が形成されている。このエッチングソトップ層107は、後述のように、製造方法を容易にするための層であるが、省略することも可能である。このエッチングストップ107上の一部には、順メサのリッジ状(帯状)に形成され、p型のIn0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなり、上記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層108が形成される。この光導波路層108は、通常、(111)A面が露出するような反応律速性のウェットエッチングにより形成される。このため、図8のように、上部幅が狭く底部幅Wが広い台形状、つまり順メサのリッジ状になる。この光導波路層108の底部幅Wは、4.0μmとしている。この光導波路層108上にはp型InGaPからなるキャップ層109が形成される。そして、このキャップ層109および光導波路層108を挟んでその両側には、n型のIn0.5(Ga0.2Al0.8)0.5Pからなり、上記光導波路層108よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層110が形成される。この電流阻止層110およびキャップ層109上には、p型GaAsからなるコンタクト層111が形成される。
【0022】
図1の半導体レーザ装置では、p側電極112とn側電極113と、から活性層104に電流(キャリア)が注入される。この電流は、活性層104よりもバンドギャップエネルギーが大きい、n型クラッド層102、p型クラッド層106、および光導波路層108によって、活性層104に閉じ込められる。そして、この活性層104から波長約650nmの光が放射される。放射された光は、活性層104よりも屈折率が小さい、n型クラッド層102、p型クラッド層106、および光導波路層108によって、垂直方向において活性層104に閉じ込められる。そして、上記光がレーザ発振し、活性層104からレーザ光が放射される。上記の電流阻止層110は、この活性層104への電流注入の際に、光導波路層108直下に電流を狭窄する働きをする。このため、レーザ光は、光導波路層108直下付近の活性層104から放射される。また、この電流阻止層110は、光導波路層108部分の層構造と、電流阻止層110部分の層構造と、に実効屈折率差Δnを形成し、レーザ光を水平方向において光導波路層108の下部に閉じこめる働きもしている。ここで、図1の半導体レーザ装置では、電流阻止層110の屈折率が、p型クラッド層106および光導波路層108の屈折率よりも小さい。このような屈折率の関係にある構造は、実屈折率導波型構造と呼ばれる。この構造では、前述のように、電流阻止層110が活性層104からの光に対して透光性を有しするので、吸収損失が少なくなり、閾値が低くなって、高温動作が可能となる。
【0023】
図1の半導体レーザ装置の特徴の1つは、電流阻止層110およびその下部のp型クラッド層106の実効屈折率と、光導波路層108およびその下部のp型クラッド層106の実効屈折率と、を差し引いた実効屈折率差Δnを約0.003という小さい値にした点である。この実効屈折率差Δnは、p型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P(0.7≦x)電流阻止層110のAl組成xと、p型クラッド層106の厚さhと、を変えることにより制御できる。すなわち、図1の装置では、光導波路層108がp型のIn0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pであるので、電流阻止層110のAl組成xを0.7に近づけると、光導波路層108と電流阻止層110との屈折率が近くなり、実効屈折率差Δnが小さくなる。また、p型クラッド層106の厚さhを厚くすると、光導波路層108と電流阻止層110との屈折率差の影響が少なくなり、実効屈折率差Δnが小さくなる。図1の装置では、電流阻止層110のAl組成xを0.8として光導波路層108のAl組成に近づけ、p型クラッド層106の厚さhを0.15μmと厚くして、実効屈折率差Δnを約0.003という小さい値にしている(図4参照)。
【0024】
以上説明した図1の半導体レーザ装置では、上記のように実効屈折率差Δnを小さくすることで、極めて良好な光学的特性を得ることができる。これを図2に示す。図2は、図1の半導体レーザ装置数百個につき、出力5mWにおける遠視野像を測定したデータの一部である。この図2から、正常な装置(a)と、最も対象性が悪い装置(b)と、最もピーク分離が生じやすい装置(c)と、の差はほとんどないことが分かる。この図2から、図1の装置では、従来の装置(図8)と異なり、光学的特性の悪化がほとんど起こらないことが分かる。このため、図1の装置では、歩留まりや生産性を高くすることができる。
【0025】
また、図1の半導体レーザ装置では、光導波路層108の底部幅Wを4.0μmとして、底部幅Wを特に狭くすることなく、極めて高い光学的特性を得ることができる。このため、光導波路層108の製造が容易で、生産性や歩留まりをさらに高くすることができる。
【0026】
また、図1の半導体レーザ装置は、書き込み用の高出力のレーザ装置には向かないが、DVD−ROMに代表される読み出し用レーザ装置としては、十分に用いることができる。すなわち、図1の半導体レーザ装置は、上述のように実効屈折率差Δnが小さく、光導波路層108の底部幅Wが広いために、キンクが発生しやすい。このため、図1の半導体レーザ装置を、50mW程度まで安定した出力が要求される書き込み用レーザ装置に用いることは、困難である。もっとも、読み取り用レーザ装置としては、10mW程度の出力があれば十分足りる。本発明者は、図1の半導体レーザ装置を、共振波長400μm、前面反射率29%、後面反射率78%の端面コーティング膜を施して、キャンパッケージに組み込んで、特性を測定した。この結果、20mWまでキンクの発生はなかった。このことから、図1の半導体レーザ装置は、書き込み用の高出力のレーザ装置には向かないが、読み取り用レーザ装置としては、十分に用いることができることが分かる。
【0027】
また、図1の半導体レーザ装置は、前述のように実屈折率導波型なので、閾値電流を低くし、高温動作を可能にして、特性を高くすることができる。
【0028】
以上のように、本実施形態により、読み取り用の低出力の半導体レーザ装置において、光学特性を改善し、特性が高くかつ生産性や歩留まりが高い装置を提供することができる。
【0029】
もっとも、通常の技術者にとっては、図1の半導体レーザ装置のように実効屈折率差Δnを小さくすることは思いもよらないことである。なぜなら、従来は、実効屈折率差Δnを小さくすれば、出力の上昇とともに水平横モードが不安定となり、図9(b)のようなピークの非対称や、図9(c)のようなピークの分離が起こり易くなると考えられていたからである。しかしながら、本発明者の実験によれば、ストライプ幅が2μmを越える領域では、従来の技術常識に反し、実効屈折率差Δnを小さくすることで、低出力での光学特性が大幅に改善されることが分かった。この理由について、本発明者は、従来の技術常識とは異なり、低出力での光学特性の悪化と、キンクレベルの高さと、に直接的な関係がないからではないかと考えている。すなわち、従来は、高次モードが発生する原因は、キンクにあると考えられていた。このため、キンクレベルが低くなれば、高次モードが発生しやすくなり、光学特性が悪化することが避けられないと考えられていた。しかし、本発明者は、低出力での高次モードは、キンクとは異なる原因で発生すると考えている。そして、図9(b)、図9(c)のような光学特性の悪化は、このキンクとは異なる原因による高次モードにより起こると考えられる。つまり、低出力での光学特性の悪化は、キンクレベルの高さと直接的な関係がない。このため、キンクレベルを下げたにもかかわらず、光学特性が改善すると考えている。
【0030】
次に、光導波路層108の底部幅W、および上記の実屈折率差Δn、の範囲について検討する。すなわち、図1の半導体レーザ装置では、底部幅Wを4μm、実屈折率差Δnを0.003、としたがこれらを他の値にすることもできるので、この範囲について検討する。
【0031】
まず、光導波路層108の底部幅Wの範囲について検討する。前述のように、底部幅Wを4.0μmとした場合は、20mWまでキンクの発生がなく、図2のような良好な遠視野像が得られた。本発明者の実験によれば、底部幅Wを3.5μm〜4.5μmとしても、同様の良好な結果が得られた。しかし、底部幅Wを4.5μmよりも広くすると、徐々にキンクレベルが低下した。そして、底部幅Wを5.0μmとしてI−L特性を調べたところ、8mW程度でキンクが発生した。もっとも、底部幅Wが5.0μm以下であれば、光学特性は良好であり、低出力の装置としては、十分に用いることができた。一方、底部幅Wを3.5μm未満にすると、閾値電流の上昇や動作電圧の上昇等の不具合が起こった。このように、キンク等の観点から、底部幅Wは、3.5μm以上5.0μm以下、好ましくは3.5μm以上4.5μm以下、とすると良いことが分かる。他方、本発明者は、底部幅Wと、水平方向の広がり角の半値全幅と、の関係を調べたところ図3の結果が得られた。この図3から、広がり角は、複素屈折率導波型に比べて小さめで、底部幅Wが3.5μm以上5.0μm以下であれば、変化が比較的緩やかであることが分かる。つまり、広がり角の観点からも、底部幅Wは、3.5μm以上5.0μm以下とすれば良いことが分かる。以上から、光導波路層408の底部幅Wは、3.5μm以上5.0μm以下、好ましくは3.5μm以上4.5μm以下が良い。
【0032】
次に、実効屈折率差Δnの範囲について検討する。図6は、n型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P電流阻止層110のAl組成xが1、0.8、0.7の場合の、p型クラッド層106の厚さhと、実屈折率差Δnと、の関係を示す図である。ここで、光導波路層108はp型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pである。このため、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差は、電流阻止層110のAl組成xを1とした場合には0.3、Al組成xを0.8とした場合には0.1、Al組成xを0.7とした場合には0、になる。図6から分かるように、実効屈折率差Δnは、この電流阻止層110のAl組成xと、p型クラッド層106の厚さhと、を変えることにより制御できる。本発明者は、この図6のデータを基にして、実効屈折率差Δnを変化させて、半導体レーザ装置の特性を調べた。まず、前述のように図1の装置では、Al組成x=0.8、厚さh=0.15、実屈折率差Δn=0.003で、良好な結果が得られた。次に、Δnが0.002以上0.006以下では、図1の装置と略同様の良好な結果が得られた。次に、Δnを0.002より小さくすると遠視野像の両サイドにサイドピークが見られる場合が生じるようになり、Δnを0.0007と小さく設定したところ一定のサンプルで遠視野像の両サイドに若干のサイドピークが見られた。これは、いわゆる反導波作用の結果であると考えられる。もっとも、実用上支障はない程度であった。他方、Δnを0.006より大きくすると遠視野像に若干の乱れが見られる場合が生じるようになり、Δnを0.007より大きくすると一定のサンプルで遠視野像に若干の乱れが見られ、Δnが0.01以上では前述のとおり遠視野像不良により歩留まりが悪化した。以上から、実屈折率差Δnは、0〜0.007の範囲、好ましくは0.002以上0.006以下の範囲が良い。
【0033】
以上説明した図1の半導体レーザ装置で、Δnを上記の範囲にするためには、図4から分かるように、p型クラッド層106の膜厚hを0.15μm以上0.25μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0.05以上0.3以下とすると良い。または、p型クラッド層106の膜厚hを0.1μm以上0.15μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0以上0.2以下とすると良い。
【0034】
次に、図1の半導体レーザ装置の製造方法について簡単に説明する。
【0035】
図1の半導体レーザの製造方法の特徴の1つは、光導波路層108ウェットエッチングにより形成した点である。
【0036】
(1)まず、(100)面を主面とする直径2インチのn型GaAs基板101上に、MOCVD法により、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるn型クラッド層102、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層103、InGaP/InGaAlPからなる多重量子井戸構造の活性層104、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層105、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるp型クラッド層106、p型InGaPからなるエッチングストップ層107、を順次形成する。
【0037】
(2)次に、エッチングストップ層107上に、p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5P層108A、p型InGaP層109A、を形成し、MOCVD結晶成長装置から積層基板を取り出す。その後、p型InGaP層109A上に、フォトリソグラフィー技術を用いて帯状のSiO2膜を形成する。そして、このSiO2膜をマスクとして、p型InGaP層109Aをエッチングして、p型のInGaP層からなるキャップ層109を形成する。さらに、このキャップ層109およびSiO2膜をマスクにして、p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5P層108Aをウェットエッチングして、側面に(111)A面が露出した順メサのリッジ状の光導波路層108を形成する。このウェットエッチングでは、エッチングストップ層107によってエッチングの終点が決定され、再現性のよい光導波路層108の形成が行える。なお、エッチング時間を制御すれば、エッチングストップ層107を設けないこともできる。
【0038】
(3)次に、MOCVD法により、上記のSiO2膜をマスクとして、光導波路層108およびキャップ層109を挟んでその両側に、n型のIn0.5(Ga0.2Al0.8)0.5Pからなる電流阻止層110を形成する。
【0039】
(4)次に、上記のSiO2膜を除去する。具体的には、電流阻止層110の成長後、積層基板をMOCVD装置から取り出し、SiO2膜をエッチング除去する。
【0040】
(5)次に、電流阻止層110およびキャップ層109上に、p型GaAsからなるコンタクト層111を形成する。そして、n側電極113及びp側電極112を形成し、図1の半導体レーザ装置が得られる。
【0041】
以上説明した本実施形態の半導体レーザの製造方法では、光導波路層110をウェットエッチングにより形成したので、この光導波路層110の両脇の側面の結晶性を良好にし、電流阻止層110の結晶成長を良好にすることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の半導体レーザ装置は、図5に示すように、活性層204の井戸層にAl0.1Ga0.9Asを用いた、波長780nmの、CD用の読み取り用の装置である。
【0043】
図2は本発明の第2の実施の形態にかかわる半導体レーザ装置の断面模式図である。図2の半導体レーザ装置は第1の実施の形態の半導体レーザ装置(図1)の多重量子井戸活性層104及び光ガイド層103、105を、Al0.1Ga0.9As活性層204に置き換えたものである。また、電流阻止層210としては、InAlPを用いている。他の主な構造は、第1の実施の形態(図1)と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0044】
図2の装置では、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるp型クラッド層106の厚さhは0.2μm、実効屈折率差Δnは0.006に設計した(図6)。ストライプ幅Wは4.0μmとした。共振器長400μm、前面反射率29%、後面反射率78%の端面コーティング膜を施してキャンパッケージに組み込んだ。数百個のサンプルについて水平方向の遠視野像を確認したところ、図9(b)、図9(c)のような異常は確認されなかった。またI−L特性は光出力15mWまででキンクは発生していなかった。図2の装置では、活性層204とクラッド層102、106とのバンドキャップ不連続が大きいため、活性層204への電流の閉じ込めが良好になり、高温動作が可能となるという特長もある。本発明者の実験では、170℃まで良好にレーザ発振することを確認できた。
【0045】
図6は、図5のレーザ装置において、n型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P電流阻止層210のAl組成xを0.7〜1に変化させた場合の、p型クラッド層106の膜厚hと、実効屈折率差Δnと、の関係を示す図である。本発明者は、この図6のデータを基にして、実効屈折率差Δnと、半導体レーザ装置の特性と、の関係を調べた。その結果、図5の半導体レーザ装置でも、第1の実施の形態と同様に、実屈折率差Δnを、0〜0.007の範囲、好ましくは0.002以上0.006以下の範囲とすると、良好な結果が得られた。
【0046】
以上説明した図5の半導体レーザ装置で、Δnを上記の範囲にするためには、図6から分かるように、p型クラッド層106の膜厚hを0.2μm以上0.25μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0.05以上0.3以下とすると良い。または、p型クラッド層106の膜厚hを0.15μm以上0.2μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0以上0.2以下とすると良い。または、p型クラッド層106の膜厚hを0.1μm以上0.15μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0以上0.1以下とすると良い。
【0047】
(第3の実施の形態)
図7は第3の実施例に係る半導体レーザ装置の断面模式図である。この半導体レーザ装置は、2波長半導体レーザ装置であり、第1の実施の形態のDVD用レーザと、第2の実施の形態のCD用レーザと、をモノリシックに集積している。p型クラッド層106に同じ組成を持った材料In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pを用い、さらに電流阻止層210、コンタクト層111を共通化している。共通の電流阻止層210はInAlPとした。DVD側ストライプ幅W1、CD側ストライプ幅W2は、それぞれ3.5μm、4.0μmに設定した。p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層106の厚さは、DVD、CDそれぞれ0.15μm、0.2μmに設定することによって、実効屈折率差Δnは両者ともに0.006になるようにした。
【0048】
図7の半導体レーザ装置では、p型クラッド層106、電流阻止層210、コンタクト層111、を共通化したので、容易に異なる波長のレーザを集積できる。そして、これらの異なる波長のレーザは、いずれも、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で述べたように、極めて良好な光学特性を有するものとすることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、活性層と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有するクラッド層と、前記クラッド層上の一部に帯状に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され前記光導波路層よりも小さい屈折率を有する電流阻止層と、を備える実屈折率導波構造の半導体レーザ装置において、前記電流阻止層およびその下部の前記クラッド層の実効屈折率と、前記光導波路層およびその下部の前記クラッド層の実効屈折率と、を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすようにしたので、低出力での光学特性を改善し、特性が高く、かつ歩留まりや生産性が高い低出力用の半導体レーザ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置の光学特性を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置の、光導波路層108の底部幅Wと、遠視野像半値全幅と、の関係を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置における、電流阻止層110のAl組成xを0.7〜1に変化させた場合の、p型クラッド層106の膜厚hと、実効屈折率差Δnと、の関係を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の半導体レーザ装置における、電流阻止層110のAl組成xを0.7〜1に変化させた場合の、p型クラッド層106の膜厚hと、実効屈折率差Δnと、の関係を示す図。
【図7】本発明の第3の実施の形態の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図8】従来の実屈折率導波型の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図9】従来の実屈折率導波型の半導体レーザ装置の光学特性を示す図。
【符号の説明】
101 GaAs基板
102 n型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層
103 アンドープIn0.5(Ga0.5Al0.5)0.5P光ガイド層
104 アンドープInGaP/InGaAlP多重量子井戸活性層
105 アンドープIn0.5(Ga0.5Al0.5)0.5P光ガイド層
106 p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層
107 p型InGaPエッチングストップ層
108 p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5P光導波路層
109 p型InGaPキャップ層
110 n型InGaAlP電流阻止層
111 p型GaAsコンタクト層
112 p側電極
113 n側電極
204 アンドープAl0.1Ga0.9As活性層
210 n型InAlP電流阻止層
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体レーザ装置は、CD、DVDなどへの実用化が進められている。CD用の半導体レーザとしては、活性層がAlGaAsからなる波長約780nmのAlGaAs系半導体レーザが実用化されている。また、DVD用の半導体レーザとしては、活性層がInGaAlPからなる波長約650nmのInGaAlP系半導体レーザが実用化されている。
【0003】
上記のCD、DVD用の半導体レーザでは、主に、読み取り用と、書き込み用と、がある。例えば、DVD用半導体レーザでは、DVD−ROM等に用いる読み取り用と、DVD−RAM等に用いる書き込み用と、がある。このうち、読み取り用の半導体レーザは、書き込み用の半導体レーザに比べ、低出力で足りる。例えば、DVD−RAMに用いられている書き込み用半導体レーザ装置の光出力は約50mW程度必要であるのに対し、DVD−ROMに用いられる読み取り用半導体レーザ装置の光出力は約10mW程度で足りる。このため、読み取り用半導体レーザ装置では、高出力化よりも、低コスト化や高信頼性が重要となる。
【0004】
上記のようなDVDの読み取り用半導体レーザとしては、比較的製造が簡単で容易に信頼性が高い素子が得られることから、複素屈折率導波型構造が多く用いられている。しかし、この複素屈折率導波構造は、吸収損失が大きいために、閾値が高くなり高温動作に不利であるという問題がある。そこで、近年では、これを改善するために、実屈折率導波型のレーザ装置が試作されている。
【0005】
上記の従来の実屈折率導波型の半導体レーザを、図8に示す。n型GaAs基板401上には、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるn型クラッド層402、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層403、InGaP/InGaAlPからなる多重量子井戸構造の活性層404、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層405、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるp型クラッド層406、p型InGaPからなるエッチングストップ層407、が順次形成されている。このエッチングストップ層407上の一部には、順メサのリッジ状のp型のIn0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなる光導波路層408、p型InGaPからなるキャップ層409、が形成される。そして、このキャップ層409および光導波路層408を挟んでその両側には、n型のInAlPからなる電流阻止層410が形成される。この電流阻止層410およびキャップ層409上には、p型GaAsからなるコンタクト層411が形成される。
【0006】
図8の半導体レーザでは、電流阻止層410の屈折率が、p型クラッド層406および光導波路層408の屈折率よりも小さい。このような屈折率の関係にある構造は、実屈折率導波型構造と呼ばれる。この構造では、電流阻止層410のバンドギャップエネルギーが活性層404の量子井戸のバンドギャプエネルギーよりも大きく、電流阻止層410が活性層404からの光に対して透光性を有する。このため、電流阻止層410をGaAsとした前述の複素屈折率導波構造に比べ、吸収損失が少なくなり、閾値が低くなって、高温動作が可能となる。例えば、レーザの内部損失は、複素屈折率導波型では20/cmであるのに対し、図8の構造では5/cmとなる。また、閾値電流は共振器長400μmにおいて、複素屈折率導波型では25mA程度であるのに対し、図8の構造で20mA程度と改善され、高温での動作が可能となる。
【0007】
図8の半導体レーザ装置を含め、一般に、半導体レーザ装置では、特性を高くするために、キンクレベルをなるべく高くすることが好ましいと考えられている。このため、図8の半導体レーザでは、光導波路層部層構造に成立する最低次の光導波モードに対応する実効的な屈折率(以下実効屈折率という)から電流阻止層部層構造の実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnを大きくすることが好ましいと考えられている。この実効屈折率差Δnを大きくするためには、電流阻止層410と光導波路層408との屈折率差を大きくし、p型クラッド層406の膜厚hをなるべく薄くすればよい。このため、図8の半導体レーザでは、n型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P電流阻止層410のAl組成xを1として光導波路層408との屈折率差を大きくし、p型クラッド層406の膜厚hを0.1μmと薄くして、実効屈折率差Δnを約0.01としている(図4参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら発明者らが詳細に検討したとことによると、図8の従来の実屈折率構造の半導体レーザは、光学的特性に問題があり、歩留まりや生産性が悪いという問題が発生することが判明した。
【0009】
図9は、図8の実屈折率型の半導体レーザ数百個につき、出力5mWにおける遠視野像を測定したデータの一部である。正常な素子(a)に混じって、遠視野像に非対称性があるもの(b)、あるいはピークが二つにスプリットしているもの(c)、が10〜20%の割合で検出された。この不具合は、レーザの水平横モードに高次のモードが発生していることに対応している。このような不具合が生じる装置は、レーザビームの絞込みに問題が発生するため光情報処理用途には使用できない。このため、図8の半導体レーザでは、歩留まりや生産性が悪いという問題が発生する。
【0010】
上記のような光学特性の悪化は、同じ実効屈折率差Δnで設計した複素屈折率導波型の半導体レーザには見られない。もっとも、複素屈折率導波型の半導体レーザは、前述のように、閾値電流が高く、高温動作に不利であり、特性に問題が生じてしまう。
【0011】
また、図8の従来の半導体レーザで、完全に高次モードを抑制するためには、本発明者の理論計算およびこれまでの赤外レーザの経験によると、光導波路層408の底部幅Wを約2.0μm以下と極めて狭くしなければならない(図8)。しかし、光導波路層が順メサ形状であるため製造プロセスの観点から、2.0μm以下のストライプ幅を実現することは極めて困難である。また、ストライプ幅が狭くなるとレーザ装置の直列抵抗が高くなり、高周波変調をかけにくくなるという欠点もでてくる。
【0012】
以上のような課題の認識の基に、本発明者は、特性が高く、かつ歩留まりや生産性が高い半導体レーザ装置を得るべく各種の実験を繰り返した。そして、実験を繰り返すうち、キンクレベルを高くすれば出力の高低に係らず光学特性を改善できるという従来の技術常識に疑問があると考えた。その結果、従来の技術常識に反し、低出力では、上述の実効屈折率差Δnを小さくしてキンクレベルを下げた方が、光学特性を改善できることを独自に知得した。そして、この場合には、光導波路層408の底部幅Wを特に狭くしなくても、高い光学特性が得られることを知得した。
【0013】
本発明は、かかる課題の認識に基づくものであり、その目的は、読み取り用の低出力の半導体レーザ装置において、特性が高く、かつ歩留まりや生産性が高い半導体レーザ装置を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザ装置は、活性層と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有するクラッド層と、前記クラッド層上の一部に帯状に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され前記光導波路層よりも小さい屈折率を有する電流阻止層と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されInGaAlPを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されInGaAlPを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層の両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもAl組成が高く、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.15μm以上0.25μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下である、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されAlGaAsを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の半導体レーザ装置は、GaAs基板と、前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成されAlGaAsを含み電流注入により光を放射する活性層と、前記活性層上に形成されInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、前記光導波路層の両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもAl組成が高く、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、を備え、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.2μm以上0.25μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.15μm以上0.2μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下であるか、または、
前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.1以下であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照にしつつ、本発明の実施の形態の半導体レーザ装置について説明する。本実施形態の半導体レーザ装置は、例えば図1から分かるように、光導波路層108よりも電流阻止層110の屈折率が小さい実屈折率導波型である。本実施形態の半導体レーザ装置の特徴の1つは、図1から分かるように、実効屈折率差Δnを0.007未満と小さくした点である。この結果、高出力を得ることには向かないが、低出力での光学特性を極めて高くすることができる。これにより、低出力の半導体レーザ装置において、歩留まりや生産性を高くすることができる。また、ストライプ幅を小さくする必要がないため製作も容易で、装置の直列抵抗も小さくすることができる。以下、第1の実施の形態ではDVD用の半導体レーザ装置について、第2の実施の形態ではCD用の半導体レーザ装置について、第3の実施の形態ではDVD用とCD用を組み合わせた半導体レーザ装置について、説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、図1から分かるように、InGaAlPを含む活性層104を有する、DVD用の半導体レーザ装置である。この半導体レーザ装置は、書き込み用の高出力のレーザ装置には向かないが、DVD−ROMに代表される読み取り用レーザ装置として、高い特性を得ることができる。
【0021】
図1は本発明の第1の実施例にかかわる半導体レーザ装置の断面模式図である。n型GaAs基板101上には、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるn型(第1導電型)クラッド層102、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層103、InGaAlPを含み電流注入により光を放射する多重量子井戸構造の活性層104、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層105、が順次形成されている。この上には、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなり上記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さいp型(第2導電型)クラッド層106が形成されている。このp型クラッド層106の膜厚hは、0.15μmとしている。このp型クラッド層106上には、p型InGaPからなるエッチングストップ層107、が形成されている。このエッチングソトップ層107は、後述のように、製造方法を容易にするための層であるが、省略することも可能である。このエッチングストップ107上の一部には、順メサのリッジ状(帯状)に形成され、p型のIn0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなり、上記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層108が形成される。この光導波路層108は、通常、(111)A面が露出するような反応律速性のウェットエッチングにより形成される。このため、図8のように、上部幅が狭く底部幅Wが広い台形状、つまり順メサのリッジ状になる。この光導波路層108の底部幅Wは、4.0μmとしている。この光導波路層108上にはp型InGaPからなるキャップ層109が形成される。そして、このキャップ層109および光導波路層108を挟んでその両側には、n型のIn0.5(Ga0.2Al0.8)0.5Pからなり、上記光導波路層108よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層110が形成される。この電流阻止層110およびキャップ層109上には、p型GaAsからなるコンタクト層111が形成される。
【0022】
図1の半導体レーザ装置では、p側電極112とn側電極113と、から活性層104に電流(キャリア)が注入される。この電流は、活性層104よりもバンドギャップエネルギーが大きい、n型クラッド層102、p型クラッド層106、および光導波路層108によって、活性層104に閉じ込められる。そして、この活性層104から波長約650nmの光が放射される。放射された光は、活性層104よりも屈折率が小さい、n型クラッド層102、p型クラッド層106、および光導波路層108によって、垂直方向において活性層104に閉じ込められる。そして、上記光がレーザ発振し、活性層104からレーザ光が放射される。上記の電流阻止層110は、この活性層104への電流注入の際に、光導波路層108直下に電流を狭窄する働きをする。このため、レーザ光は、光導波路層108直下付近の活性層104から放射される。また、この電流阻止層110は、光導波路層108部分の層構造と、電流阻止層110部分の層構造と、に実効屈折率差Δnを形成し、レーザ光を水平方向において光導波路層108の下部に閉じこめる働きもしている。ここで、図1の半導体レーザ装置では、電流阻止層110の屈折率が、p型クラッド層106および光導波路層108の屈折率よりも小さい。このような屈折率の関係にある構造は、実屈折率導波型構造と呼ばれる。この構造では、前述のように、電流阻止層110が活性層104からの光に対して透光性を有しするので、吸収損失が少なくなり、閾値が低くなって、高温動作が可能となる。
【0023】
図1の半導体レーザ装置の特徴の1つは、電流阻止層110およびその下部のp型クラッド層106の実効屈折率と、光導波路層108およびその下部のp型クラッド層106の実効屈折率と、を差し引いた実効屈折率差Δnを約0.003という小さい値にした点である。この実効屈折率差Δnは、p型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P(0.7≦x)電流阻止層110のAl組成xと、p型クラッド層106の厚さhと、を変えることにより制御できる。すなわち、図1の装置では、光導波路層108がp型のIn0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pであるので、電流阻止層110のAl組成xを0.7に近づけると、光導波路層108と電流阻止層110との屈折率が近くなり、実効屈折率差Δnが小さくなる。また、p型クラッド層106の厚さhを厚くすると、光導波路層108と電流阻止層110との屈折率差の影響が少なくなり、実効屈折率差Δnが小さくなる。図1の装置では、電流阻止層110のAl組成xを0.8として光導波路層108のAl組成に近づけ、p型クラッド層106の厚さhを0.15μmと厚くして、実効屈折率差Δnを約0.003という小さい値にしている(図4参照)。
【0024】
以上説明した図1の半導体レーザ装置では、上記のように実効屈折率差Δnを小さくすることで、極めて良好な光学的特性を得ることができる。これを図2に示す。図2は、図1の半導体レーザ装置数百個につき、出力5mWにおける遠視野像を測定したデータの一部である。この図2から、正常な装置(a)と、最も対象性が悪い装置(b)と、最もピーク分離が生じやすい装置(c)と、の差はほとんどないことが分かる。この図2から、図1の装置では、従来の装置(図8)と異なり、光学的特性の悪化がほとんど起こらないことが分かる。このため、図1の装置では、歩留まりや生産性を高くすることができる。
【0025】
また、図1の半導体レーザ装置では、光導波路層108の底部幅Wを4.0μmとして、底部幅Wを特に狭くすることなく、極めて高い光学的特性を得ることができる。このため、光導波路層108の製造が容易で、生産性や歩留まりをさらに高くすることができる。
【0026】
また、図1の半導体レーザ装置は、書き込み用の高出力のレーザ装置には向かないが、DVD−ROMに代表される読み出し用レーザ装置としては、十分に用いることができる。すなわち、図1の半導体レーザ装置は、上述のように実効屈折率差Δnが小さく、光導波路層108の底部幅Wが広いために、キンクが発生しやすい。このため、図1の半導体レーザ装置を、50mW程度まで安定した出力が要求される書き込み用レーザ装置に用いることは、困難である。もっとも、読み取り用レーザ装置としては、10mW程度の出力があれば十分足りる。本発明者は、図1の半導体レーザ装置を、共振波長400μm、前面反射率29%、後面反射率78%の端面コーティング膜を施して、キャンパッケージに組み込んで、特性を測定した。この結果、20mWまでキンクの発生はなかった。このことから、図1の半導体レーザ装置は、書き込み用の高出力のレーザ装置には向かないが、読み取り用レーザ装置としては、十分に用いることができることが分かる。
【0027】
また、図1の半導体レーザ装置は、前述のように実屈折率導波型なので、閾値電流を低くし、高温動作を可能にして、特性を高くすることができる。
【0028】
以上のように、本実施形態により、読み取り用の低出力の半導体レーザ装置において、光学特性を改善し、特性が高くかつ生産性や歩留まりが高い装置を提供することができる。
【0029】
もっとも、通常の技術者にとっては、図1の半導体レーザ装置のように実効屈折率差Δnを小さくすることは思いもよらないことである。なぜなら、従来は、実効屈折率差Δnを小さくすれば、出力の上昇とともに水平横モードが不安定となり、図9(b)のようなピークの非対称や、図9(c)のようなピークの分離が起こり易くなると考えられていたからである。しかしながら、本発明者の実験によれば、ストライプ幅が2μmを越える領域では、従来の技術常識に反し、実効屈折率差Δnを小さくすることで、低出力での光学特性が大幅に改善されることが分かった。この理由について、本発明者は、従来の技術常識とは異なり、低出力での光学特性の悪化と、キンクレベルの高さと、に直接的な関係がないからではないかと考えている。すなわち、従来は、高次モードが発生する原因は、キンクにあると考えられていた。このため、キンクレベルが低くなれば、高次モードが発生しやすくなり、光学特性が悪化することが避けられないと考えられていた。しかし、本発明者は、低出力での高次モードは、キンクとは異なる原因で発生すると考えている。そして、図9(b)、図9(c)のような光学特性の悪化は、このキンクとは異なる原因による高次モードにより起こると考えられる。つまり、低出力での光学特性の悪化は、キンクレベルの高さと直接的な関係がない。このため、キンクレベルを下げたにもかかわらず、光学特性が改善すると考えている。
【0030】
次に、光導波路層108の底部幅W、および上記の実屈折率差Δn、の範囲について検討する。すなわち、図1の半導体レーザ装置では、底部幅Wを4μm、実屈折率差Δnを0.003、としたがこれらを他の値にすることもできるので、この範囲について検討する。
【0031】
まず、光導波路層108の底部幅Wの範囲について検討する。前述のように、底部幅Wを4.0μmとした場合は、20mWまでキンクの発生がなく、図2のような良好な遠視野像が得られた。本発明者の実験によれば、底部幅Wを3.5μm〜4.5μmとしても、同様の良好な結果が得られた。しかし、底部幅Wを4.5μmよりも広くすると、徐々にキンクレベルが低下した。そして、底部幅Wを5.0μmとしてI−L特性を調べたところ、8mW程度でキンクが発生した。もっとも、底部幅Wが5.0μm以下であれば、光学特性は良好であり、低出力の装置としては、十分に用いることができた。一方、底部幅Wを3.5μm未満にすると、閾値電流の上昇や動作電圧の上昇等の不具合が起こった。このように、キンク等の観点から、底部幅Wは、3.5μm以上5.0μm以下、好ましくは3.5μm以上4.5μm以下、とすると良いことが分かる。他方、本発明者は、底部幅Wと、水平方向の広がり角の半値全幅と、の関係を調べたところ図3の結果が得られた。この図3から、広がり角は、複素屈折率導波型に比べて小さめで、底部幅Wが3.5μm以上5.0μm以下であれば、変化が比較的緩やかであることが分かる。つまり、広がり角の観点からも、底部幅Wは、3.5μm以上5.0μm以下とすれば良いことが分かる。以上から、光導波路層408の底部幅Wは、3.5μm以上5.0μm以下、好ましくは3.5μm以上4.5μm以下が良い。
【0032】
次に、実効屈折率差Δnの範囲について検討する。図6は、n型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P電流阻止層110のAl組成xが1、0.8、0.7の場合の、p型クラッド層106の厚さhと、実屈折率差Δnと、の関係を示す図である。ここで、光導波路層108はp型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pである。このため、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差は、電流阻止層110のAl組成xを1とした場合には0.3、Al組成xを0.8とした場合には0.1、Al組成xを0.7とした場合には0、になる。図6から分かるように、実効屈折率差Δnは、この電流阻止層110のAl組成xと、p型クラッド層106の厚さhと、を変えることにより制御できる。本発明者は、この図6のデータを基にして、実効屈折率差Δnを変化させて、半導体レーザ装置の特性を調べた。まず、前述のように図1の装置では、Al組成x=0.8、厚さh=0.15、実屈折率差Δn=0.003で、良好な結果が得られた。次に、Δnが0.002以上0.006以下では、図1の装置と略同様の良好な結果が得られた。次に、Δnを0.002より小さくすると遠視野像の両サイドにサイドピークが見られる場合が生じるようになり、Δnを0.0007と小さく設定したところ一定のサンプルで遠視野像の両サイドに若干のサイドピークが見られた。これは、いわゆる反導波作用の結果であると考えられる。もっとも、実用上支障はない程度であった。他方、Δnを0.006より大きくすると遠視野像に若干の乱れが見られる場合が生じるようになり、Δnを0.007より大きくすると一定のサンプルで遠視野像に若干の乱れが見られ、Δnが0.01以上では前述のとおり遠視野像不良により歩留まりが悪化した。以上から、実屈折率差Δnは、0〜0.007の範囲、好ましくは0.002以上0.006以下の範囲が良い。
【0033】
以上説明した図1の半導体レーザ装置で、Δnを上記の範囲にするためには、図4から分かるように、p型クラッド層106の膜厚hを0.15μm以上0.25μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0.05以上0.3以下とすると良い。または、p型クラッド層106の膜厚hを0.1μm以上0.15μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0以上0.2以下とすると良い。
【0034】
次に、図1の半導体レーザ装置の製造方法について簡単に説明する。
【0035】
図1の半導体レーザの製造方法の特徴の1つは、光導波路層108ウェットエッチングにより形成した点である。
【0036】
(1)まず、(100)面を主面とする直径2インチのn型GaAs基板101上に、MOCVD法により、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるn型クラッド層102、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層103、InGaP/InGaAlPからなる多重量子井戸構造の活性層104、In0.5(Ga0.5Al0.5)0.5Pからなる光ガイド層105、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるp型クラッド層106、p型InGaPからなるエッチングストップ層107、を順次形成する。
【0037】
(2)次に、エッチングストップ層107上に、p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5P層108A、p型InGaP層109A、を形成し、MOCVD結晶成長装置から積層基板を取り出す。その後、p型InGaP層109A上に、フォトリソグラフィー技術を用いて帯状のSiO2膜を形成する。そして、このSiO2膜をマスクとして、p型InGaP層109Aをエッチングして、p型のInGaP層からなるキャップ層109を形成する。さらに、このキャップ層109およびSiO2膜をマスクにして、p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5P層108Aをウェットエッチングして、側面に(111)A面が露出した順メサのリッジ状の光導波路層108を形成する。このウェットエッチングでは、エッチングストップ層107によってエッチングの終点が決定され、再現性のよい光導波路層108の形成が行える。なお、エッチング時間を制御すれば、エッチングストップ層107を設けないこともできる。
【0038】
(3)次に、MOCVD法により、上記のSiO2膜をマスクとして、光導波路層108およびキャップ層109を挟んでその両側に、n型のIn0.5(Ga0.2Al0.8)0.5Pからなる電流阻止層110を形成する。
【0039】
(4)次に、上記のSiO2膜を除去する。具体的には、電流阻止層110の成長後、積層基板をMOCVD装置から取り出し、SiO2膜をエッチング除去する。
【0040】
(5)次に、電流阻止層110およびキャップ層109上に、p型GaAsからなるコンタクト層111を形成する。そして、n側電極113及びp側電極112を形成し、図1の半導体レーザ装置が得られる。
【0041】
以上説明した本実施形態の半導体レーザの製造方法では、光導波路層110をウェットエッチングにより形成したので、この光導波路層110の両脇の側面の結晶性を良好にし、電流阻止層110の結晶成長を良好にすることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の半導体レーザ装置は、図5に示すように、活性層204の井戸層にAl0.1Ga0.9Asを用いた、波長780nmの、CD用の読み取り用の装置である。
【0043】
図2は本発明の第2の実施の形態にかかわる半導体レーザ装置の断面模式図である。図2の半導体レーザ装置は第1の実施の形態の半導体レーザ装置(図1)の多重量子井戸活性層104及び光ガイド層103、105を、Al0.1Ga0.9As活性層204に置き換えたものである。また、電流阻止層210としては、InAlPを用いている。他の主な構造は、第1の実施の形態(図1)と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0044】
図2の装置では、In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pからなるp型クラッド層106の厚さhは0.2μm、実効屈折率差Δnは0.006に設計した(図6)。ストライプ幅Wは4.0μmとした。共振器長400μm、前面反射率29%、後面反射率78%の端面コーティング膜を施してキャンパッケージに組み込んだ。数百個のサンプルについて水平方向の遠視野像を確認したところ、図9(b)、図9(c)のような異常は確認されなかった。またI−L特性は光出力15mWまででキンクは発生していなかった。図2の装置では、活性層204とクラッド層102、106とのバンドキャップ不連続が大きいため、活性層204への電流の閉じ込めが良好になり、高温動作が可能となるという特長もある。本発明者の実験では、170℃まで良好にレーザ発振することを確認できた。
【0045】
図6は、図5のレーザ装置において、n型In0.5(Ga1−xAlx)0.5P電流阻止層210のAl組成xを0.7〜1に変化させた場合の、p型クラッド層106の膜厚hと、実効屈折率差Δnと、の関係を示す図である。本発明者は、この図6のデータを基にして、実効屈折率差Δnと、半導体レーザ装置の特性と、の関係を調べた。その結果、図5の半導体レーザ装置でも、第1の実施の形態と同様に、実屈折率差Δnを、0〜0.007の範囲、好ましくは0.002以上0.006以下の範囲とすると、良好な結果が得られた。
【0046】
以上説明した図5の半導体レーザ装置で、Δnを上記の範囲にするためには、図6から分かるように、p型クラッド層106の膜厚hを0.2μm以上0.25μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0.05以上0.3以下とすると良い。または、p型クラッド層106の膜厚hを0.15μm以上0.2μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0以上0.2以下とすると良い。または、p型クラッド層106の膜厚hを0.1μm以上0.15μm以下とし、電流阻止層110と光導波路層108とのAl組成の差を0以上0.1以下とすると良い。
【0047】
(第3の実施の形態)
図7は第3の実施例に係る半導体レーザ装置の断面模式図である。この半導体レーザ装置は、2波長半導体レーザ装置であり、第1の実施の形態のDVD用レーザと、第2の実施の形態のCD用レーザと、をモノリシックに集積している。p型クラッド層106に同じ組成を持った材料In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pを用い、さらに電流阻止層210、コンタクト層111を共通化している。共通の電流阻止層210はInAlPとした。DVD側ストライプ幅W1、CD側ストライプ幅W2は、それぞれ3.5μm、4.0μmに設定した。p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層106の厚さは、DVD、CDそれぞれ0.15μm、0.2μmに設定することによって、実効屈折率差Δnは両者ともに0.006になるようにした。
【0048】
図7の半導体レーザ装置では、p型クラッド層106、電流阻止層210、コンタクト層111、を共通化したので、容易に異なる波長のレーザを集積できる。そして、これらの異なる波長のレーザは、いずれも、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で述べたように、極めて良好な光学特性を有するものとすることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、活性層と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有するクラッド層と、前記クラッド層上の一部に帯状に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する光導波路層と、前記光導波路層を挟んでその両側に形成され前記光導波路層よりも小さい屈折率を有する電流阻止層と、を備える実屈折率導波構造の半導体レーザ装置において、前記電流阻止層およびその下部の前記クラッド層の実効屈折率と、前記光導波路層およびその下部の前記クラッド層の実効屈折率と、を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすようにしたので、低出力での光学特性を改善し、特性が高く、かつ歩留まりや生産性が高い低出力用の半導体レーザ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置の光学特性を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置の、光導波路層108の底部幅Wと、遠視野像半値全幅と、の関係を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の半導体レーザ装置における、電流阻止層110のAl組成xを0.7〜1に変化させた場合の、p型クラッド層106の膜厚hと、実効屈折率差Δnと、の関係を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の半導体レーザ装置における、電流阻止層110のAl組成xを0.7〜1に変化させた場合の、p型クラッド層106の膜厚hと、実効屈折率差Δnと、の関係を示す図。
【図7】本発明の第3の実施の形態の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図8】従来の実屈折率導波型の半導体レーザ装置の断面模式図。
【図9】従来の実屈折率導波型の半導体レーザ装置の光学特性を示す図。
【符号の説明】
101 GaAs基板
102 n型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層
103 アンドープIn0.5(Ga0.5Al0.5)0.5P光ガイド層
104 アンドープInGaP/InGaAlP多重量子井戸活性層
105 アンドープIn0.5(Ga0.5Al0.5)0.5P光ガイド層
106 p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層
107 p型InGaPエッチングストップ層
108 p型In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5P光導波路層
109 p型InGaPキャップ層
110 n型InGaAlP電流阻止層
111 p型GaAsコンタクト層
112 p側電極
113 n側電極
204 アンドープAl0.1Ga0.9As活性層
210 n型InAlP電流阻止層
Claims (11)
- 活性層と、
前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有するクラッド層と、
前記クラッド層上の一部に帯状に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する光導波路層と、
前記光導波路層を挟んでその両側に形成され前記光導波路層よりも小さい屈折率を有する電流阻止層と、
を備え、
前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする半導体レーザ装置。 - GaAs基板と、
前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層上に形成されInGaAlPを含み電流注入により光を放射する活性層と、
前記活性層上に形成されInGaAlPからなり前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、
前記光導波路層を挟んでその両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、
を備え、
前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記実効屈折率差Δnが、0.002以上0.006以下であることを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ装置。
- GaAs基板と、
前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層上に形成されInGaAlPを含み電流注入により光を放射する活性層と、
前記活性層上に形成されInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、
前記光導波路層の両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもAl組成が高く、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、
を備え、
前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.15μm以上0.25μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、
前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下である、
ことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記光導波層の底部幅が、3.5μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
- GaAs基板と、
前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層上に形成されAlGaAsを含み電流注入により光を放射する活性層と、
前記活性層上に形成されInGaAlPからなり前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、
前記光導波路層を挟んでその両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、
を備え、
前記光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たすことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記実効屈折率差Δnが、0.002以上0.006以下であることを特徴とする請求項6記載の半導体レーザ装置。
- GaAs基板と、
前記GaAs基板上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層上に形成されAlGaAsを含み電流注入により光を放射する活性層と、
前記活性層上に形成されInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層上の一部に順メサのリッジ状に形成され、第2導電型のInGaAlPからなり、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい光導波路層と、
前記光導波路層の両側に形成され、第1導電型のInGaAlPまたはInAlPからなり、前記光導波路層よりもAl組成が高く、前記光導波路層よりもバンドギャップエネルギーが大きく屈折率が小さい電流阻止層と、
を備え、
前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.2μm以上0.25μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、
前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.15μm以上0.2μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下であるか、または、
前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.1以下であることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記光導波層の底部幅が、3.5μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
- 同一のGaAs基板に、電流注入により第1の波長の光を放射する第1の半導体レーザ装置と、電流注入により第2の波長の光を放射する第2の半導体レーザ装置と、を有する2波長の半導体レーザ装置であって、
前記第1の半導体レーザ装置は、前記GaAs基板と、前記GaAss基板上に形成されInGaAlPを含み電流注入により前期第1の波長の光を放射する第1の活性層と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する第1のクラッド層と、前記第1のクラッド層上の一部に帯状に形成され前記第1の活性層よりも小さい屈折率を有する第1の光導波路層と、前記第1の光導波路層を挟んでその両側に形成され前記第1の光導波路層よりも小さい屈折率を有する第1の電流阻止層と、を備え、前記第1の光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記第1の電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たす半導体レーザ装置であり、
前記第2の半導体レーザ装置は、前記GaAs基板と、前記GaAss基板上に形成されAlGaAsを含み電流注入により前期第2の波長の光を放射する第2の活性層と、前記活性層上に形成され前記第1のクラッド層と同一の材料からなる第2のクラッド層と、前記第2のクラッド層上の一部に帯状に形成され前記第1のクラッド層と同一の材料からなる第2の光導波路層と、前記第1の光導波路層を挟んでその両側に形成され前記第1の電流阻止層と同一の材料からなる第2の電流阻止層と、を備え、前記第2の光導波路層部分の層構造で決まる実効屈折率から前記第2の電流阻止層部分の層構造で決まる実効屈折率を差し引いた実効屈折率差Δnが、0<Δn<0.007を満たす半導体レーザ装置
であることを特徴とする、2波長の半導体レーザ装置。 - 同一のGaAs基板に、電流注入により第1の波長の光を放射する第1の半導体レーザ装置と、電流注入により第2の波長の光を放射する第2の半導体レーザ装置と、を有する2波長の半導体レーザ装置であって、
前記第1の半導体レーザ装置は、前記GaAs基板と、前記GaAss基板上に形成されInGaAlPを含み電流注入により前期第1の波長の光を放射する第1の活性層と、前記活性層上に形成され前記活性層よりも小さい屈折率を有する第1のクラッド層と、前記第1のクラッド層上の一部に帯状に形成され前記第1の活性層よりも小さい屈折率を有する第1の光導波路層と、前記第1の光導波路層を挟んでその両側に形成され前記第1の光導波路層よりも小さい屈折率を有する第1の電流阻止層と、を備え、前記第1のクラッド層の膜厚が0.15μm以上0.25μm以下で、かつ前記第1の電流阻止層と前記第1の光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、前記第1のクラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記第1の電流阻止層と前記第1の光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下である半導体レーザ装置であり、
前記第2の半導体レーザ装置は、前記GaAs基板と、前記GaAss基板上に形成されAlGaAsを含み電流注入により前期第2の波長の光を放射する第2の活性層と、前記活性層上に形成され前記第1のクラッド層と同一の材料からなる第2のクラッド層と、前記第2のクラッド層上の一部に帯状に形成され前記第1のクラッド層と同一の材料からなる第2の光導波路層と、前記第1の光導波路層を挟んでその両側に形成され前記第1の電流阻止層と同一の材料からなる第2の電流阻止層と、を備え、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.2μm以上0.25μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0.05以上0.3以下であるか、または、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.15μm以上0.2μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.2以下であるか、または、前記第2導電型クラッド層の膜厚が0.1μm以上0.15μm以下で、かつ前記電流阻止層と前記光導波路層とのAl組成の差が0以上0.1以下である半導体レーザ装置
であることを特徴とする、2波長の半導体レーザ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002160478A JP2004006532A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 半導体レーザ装置 |
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Cited By (4)
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---|---|---|---|---|
JP2005197414A (ja) * | 2004-01-06 | 2005-07-21 | Sony Corp | 半導体発光装置及び半導体発光装置の製造方法 |
JP2006148006A (ja) * | 2004-11-24 | 2006-06-08 | Sharp Corp | 半導体レーザ素子 |
JP2009224480A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Panasonic Corp | 2波長半導体レーザ装置 |
JP2012156397A (ja) * | 2011-01-27 | 2012-08-16 | Rohm Co Ltd | 半導体レーザ素子 |
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- 2002-05-31 JP JP2002160478A patent/JP2004006532A/ja active Pending
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