【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁変換特性および走行耐久性に優れた高密度磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体は、音声、画像、文字などあらゆるデーターの記録媒体として広く用いられている。近年では記録するデーターの容量、転送速度の向上に対応して高密度記録へのニーズが高まり、高い電磁変換特性を有する磁気記録媒体が求められている。また、データーを繰り返し使用、保存した時の信頼性も同時に要求される。従って優れた電磁変換特性に加えて、磁気記録媒体には良好な走行耐久性も要求されている。このために、特にテープ媒体ではバック層を設けて走行性を改善することが行われている。従来バック層で走行性を改善するには、ベース表面に突起を設けたり、バック層に、粒径0.1μm以上の粗粒子カーボンを添加して表面を粗くすることによって走行耐久性を改善する試みがなされている。しかしながら、このような方法によってバック層の表面を粗くすると、磁気記録テープをハブに巻き上げて保存や処理を行うときにバック層と磁性層が圧接してバック層の凹凸が磁性層に写ってしまう所謂「裏写り」が生じ、その結果、電磁変換特性が低下してしまうという欠点があった。このような「裏写り」の問題を解消するために、バック層の表面を平滑化する試みがなされている。
【0003】
近年のコンピューターストレージ用テープにおいては、高容量化のためテープ全体の厚さを薄くすることが必要とされている。磁気記録テープの厚さを薄くするために、従来は可撓性支持体を薄くしたり、塗布型磁気記録テープの可撓性支持体と磁性層の間に設ける非磁性層を薄くすることが行われていた。しかしながら、ある範囲以下に媒体を薄くするとスティフネスが低下し、ヘッドタッチが劣化してスペーシングロスの増大を起こしたり、走行によるエッジダメージを起こしたりする。
【0004】
バック層を平滑にし、いわゆる裏写りを改善することによって電磁変換特性を向上させることを試みた従来の例としては、粒状酸化チタンとカーボンブラックの混合物を主体とした例が特開平11−259851に開示されている。また同公報には、針状非磁性粉末の使用も示唆されている。しかしながら、これらの粉体を用いることで平滑性が向上し裏写りが少なくなるが、粒状粉末ではスティフネス向上効果は小さく、また既存の針状粉末は長手方向のスティフネスは若干向上するものの幅方向は向上しないのでヘッドタッチやエッジダメージの改善効果が少なかった。
【0005】
このように、従来技術では電磁変換特性と走行耐久性がともに十分に良好な磁気記録テープを提供するには至っていなかった。特に、磁気記録テープ全体の厚さを薄くすることが要求されている今日では、電磁変換特性と走行耐久性が良好である磁気記録テープが求められているにもかかわらず、満足の行く磁気記録テープは提供されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術の課題を解決して、裏写りが少なく走行耐久性、ヘッドタッチが良好な高密度記録用の磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、支持体の片面に磁性層を有し、その反対面にバック層を有する磁気記録媒体において、該バック層は厚みが0.1〜1μmであり、かつ長軸長が0.05〜0.5μmであり、長軸に対して垂直な面で切断したときの断面のうち最大長(短軸長)を有する該断面のアスペクト比{長幅(短軸長)/短幅}が1.2以上の扁平針状非磁性無機粒子と結合剤を含むことで、良好な表面性を達成しかつ、バック層のスティフネスを向上することでヘッドタッチと走行耐久性を両立することを見出した。
本発明は、好ましくは、前記バック層にさらに、平均粒径が10〜50nmのカーボンフラックを前記扁平針状非磁性無機粒子/カーボンブラックの質量比60/40〜90/10で含むことで帯電を防止すると、前記の様に平滑になったバック層が張り付くことを防止できてさらに走行耐久性を改善できる。
【0008】
通常、バック層は1μm以下の厚みに設定(媒体厚を薄くするため)されるが、薄い塗布層ではカレンダーによる成形効果が小さくなるため、平滑な表面を得にくい。そこで、本発明では特定の長軸長を有して、かつ長軸に直角方向に切断した断面のアスペクト比が1以上である扁平針状非磁性粉末をバック層に用いることで、塗布層の空隙を多くして充分なカレンダー成形性を得ている。また、扁平針状にすることで流動配向しやすく、従来の針状粉末に比べて長手方向のスティフネスが高くなり、かつ幅方向にもアスペクト比があるので幅方向のスティフネスも向上する。
【0009】
本発明の磁気記録記録媒体は、可撓性支持体の一方の面に磁性層を有し、その反対面にバック層を有するものを広く含む。したがって、本発明の磁気記録媒体には、磁性層やバック層以外の層を有するものも含まれる。例えば、非磁性粉末を含む非磁性層、軟磁性粉末を含む軟磁性層、第2の磁性層、クッション層、オーバーコート層、接着層、保護層を有していてもよい。これらの層は、その機能を有効に発揮することができるように適切な位置に設けることができる。本発明の磁気記録媒体として好ましいのは、可撓性支持体と磁性層の間に、非磁性無機粉体とバインダーを含む非磁性層を有する磁気記録媒体である。層の厚さは、磁性層を例えば通常、0.01〜1μm、好ましくは0.03〜0.5μm、さらに好ましくは0.03〜0.2μmにし、非磁性層を通常、0.5〜3μm、好ましくは0.8〜3μmにすることができる。非磁性層の厚さは、磁性層よりも厚いのが好ましい。また、磁性層を2層有する磁気記録媒体も好ましい。この場合は、例えば上層を通常、0.2〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μmにし、下層を通常、0.8〜3μmにすることができる。なお、磁性層を単独で有する場合は、通常、0.1〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.1〜1.5μmにする。また、可撓性支持体と磁性層の間に軟磁性層を有する場合は、例えば磁性層を通常、0.03〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmにし、軟磁性層を通常、0.8〜3μmにすることができる。なお、磁性層については、上記のような強磁性粉末をバインダー中に分散含有する、いわゆる塗布型磁性層のみならず、真空下で蒸着またはスパッタリングにより製膜された薄膜型磁性層であってもよい。この薄膜磁性層の場合、その厚さは通常、0.05〜0.3μm、より好ましくは0.1〜0.2μmの範囲から選定される。本発明の磁気記録媒体に形成するバック層の厚さは、通常、0.05〜1.0μmの範囲内に設定する。その中でも0.1〜0.8μmの範囲内に設定するのが好ましく、0.2〜0.6μmの範囲内に設定するのがより好ましい。
【0010】
本発明の磁気記録媒体のバック層に添加される扁平針状非磁性無機粒子の長軸長は、0.05〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.4μm、より好ましくは0.07〜0.3μmである。長軸長が0.05μmより短くなると前記のカレンダーによる成形効果及び長手方向のスティフネス向上効果が損なわれる。0.5μmより大きいと表面粗さが増大して裏写りが劣化する。
また、バック層に用いられる扁平針状非磁性無機粒子は、長軸に対して垂直な面で切断したときの断面のうち最大長(短軸長)を有する該断面のアスペクト比{長幅(短軸長)/短幅}が1.2以上、好ましくは1.2〜8であり、バック層の表面性を良好に制御すると共にスティフネスを改善し、ひいてはヘッド当たりを改善することができる。ここで、短幅とは該断面の長軸に対して直角方法の最大長をいう。該アスペクト比を求める断面は、通常、粒子の中央部近傍であるが、物理的にバック層内で維持可能であれば特に制限されない。該断面形状としては、楕円状、トラック状、矩形状、菱形状等を挙げることができる。これら断面形状は粒子の長軸方向で同じ乃至相似であることが好ましいが、そうでなくともよい。本発明ではアスペクト比は、500個の粒子の平均値とする。
扁平針状非磁性無機粒子は、該アスペクト比を求める断面において、結晶子が1個見られる形状であってもよいし、2個以上長幅方向に結合して見られ、かつそれら結晶子を含む粒子が長軸方向でも結合した形態であってもよい。後者ような扁平針状非磁性無機粒子を束状粒子という。
扁平針状非磁性無機粒子は針状であるが、本発明において針状とは、針状比、即ち、粒子の(長軸長/短軸長)が3以上であることを意味し、好ましくは、4〜10である。
【0011】
これらの扁平針状非磁性無機粒子としては、酸化チタン、α−酸化鉄、SiO2、SnO2、WO3、Al2O3、ZrO2、ZnO等の金属酸化物、BaSO4、チタン酸バリウムなどの塩、Cu、Alなどの金属ウィスカーなどを用いることができる。化学的な安定性に優れた酸化物がより好ましい。これらは混合して用いることも可能である。
【0012】
本発明に用いる扁平針状非磁性無機粒子の製法に規定はないが、例としてはゲータイトの反応時に水溶性のAl塩、Si塩などを添加して製造する方法(特開平10−340805号公報)が知られている。
【0013】
バック層には、好ましい平均粒径が10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmのカーボンブラック(以下、カーボンブラックBともいう)を前記扁平針状非磁性粉末(以下、扁平針状非磁性無機粒子Aともいう)と質量比でA:B=60:40〜90:10、好ましくは70:30〜90:10の範囲で混合して用いることが好ましい。ここで、平均粒径とは、凝集のない単独の粒子の粒径の算術平均である。カーボンブラックBの平均粒径は50nmを超えると、ストラクチャーが発達しないために空隙が少なくなりカレンダーによる成形効果が劣化、また導電性も低下する傾向がある。10nmより小さいと凝集がひどくバック層表面(以下、バック面ともいう)に突起が形成され、裏写りが顕著になる。上記配合比については、上記よりAの比率が高いと成形性が劣化、帯電の問題が生じる。またAの比率が低いと分散性が劣化する。
さらに、バック層には固体潤滑剤として平均粒径80nm以上のカーボンブラックを添加することが好ましく。添加量は扁平針状非磁性無機粒子A、カーボンブラックBの合計100部に対して0.1〜10部、好ましくは0.3〜5部である。多すぎると、バック面の突起数が増加して裏写りが顕著になる。
【0014】
カ−ボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlであるのが好ましい。平均粒径10〜50nmのカーボンブラックの比表面積は通常、100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は通常、20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。本発明に用いられる平均粒径10〜50nmのカ−ボンブラックの具体例として、キャボット社製BLACK PEARL S2000、同1300、同1000、同900、同800、同880、同700、VULCAN XC−72;三菱化学(株)製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600;コロンビアンカ−ボン社製CONDUCTEXSC、RAVEN8800、同8000、同7000、同5750、同5250、同3500、同2100、同2000、同1800、同1500、同1255、同1250;アクゾー社製ケッチェンブラックECなどを挙げることができる。また、平均粒径80nm以上のカーボンブラックの比表面積は通常、5〜100m2/g、好ましくは5〜30m2/g、DBP吸油量は20〜120ml/100g、好ましくは30〜110ml/100gであり、例えば旭カーボン社製の#55、#50、#30;コロンビアカーボン社製のRAVEN450、同430;カーンカルブ社製のサーマックスMT等を挙げることができる。
【0015】
本発明のバック層用結合剤には、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用いることができる。好ましい結合剤は、塩素を含有しないニトロセルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂である。その中でも、Tgが80℃〜140℃のポリウレタン樹脂を用いるのが、保存性改善のために、より好ましい。特に好ましいポリウレタンは、ジオールと有機ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタン樹脂であって、上記ジオールとして、環状構造を有する短鎖ジオールおよびエーテル結合を有する長鎖ジオールを、ポリウレタン樹脂を基準として、それぞれ17〜40質量%および10〜50質量%含有するものからなり、かつ上記長鎖ジオール中のエーテル結合を、ポリウレタン樹脂に対して、1.0〜5.0モル/g含有するものである。以下において、このポリウレタン樹脂について説明する。
【0016】
上記短鎖ジオールは分子量が50以上500未満のものであり、より好ましくは100〜300である。具体例として、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP及びこれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の芳香族又は脂環式ジオールである。上記長鎖ジオールは分子量が500〜5000のものであって、具体例として、ビスフェノールA又は水素化ビスフェノールAの、エチレンオキシド付加物又はプロピレンオキシド付加物であって、分子量が500〜5000であるものを挙げることができる。好ましい短鎖ジオールと長鎖ジオールは、以下の式(1)で表されるものである。
【0017】
【化1】
【0018】
短鎖ジオールの場合、m及びnは短鎖ジオールの分子量が50以上500未満になるように選択され、一般に0〜3である。
また、長鎖ジオールの場合、m及びnは長鎖ジオールの分子量が500〜5000になるように選択される。一般に3〜24、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜15である。m及びnが24よりも大きくなるとバック膜が軟化し、走行耐久性が低下してしまう。
Xは、水素原子又はメチル基であるのが好ましく、メチル基がより好ましい。なお、m及びnでくくられるカッコ内のXはすべて同じである必要はなく、水素原子とメチル基が混在していてもよい。
Rは、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA等の残基である。 式(1)で表される短鎖ジオールの中で好ましいのは、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、これらのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物である。
長鎖ジオールとして好ましいのは、ビスフェノールA又は水素化ビスフェノールAから誘導される分子量500〜5000のジオールであり、特に好ましいのはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物である。短鎖ジオールの含有量はポリウレタン樹脂を基準として通常、17〜40質量%であり、好ましくは20〜30質量%である。長鎖ジオールの含有量は、通常、10〜50質量%であり、好ましくは30〜40質量%である。長鎖ジオール単位のエーテル基は、ポリウレタン樹脂中に通常、1.0〜5.0mmol/g、より好ましくは2.0〜4.0mmol/gで存在する。これにより粉体への吸着性に優れ、分散性の良好なものが得られる。しかも溶剤への溶解性にも優れる。
【0019】
上記の短鎖ジオールと長鎖ジオールの他に、他のジオールを併用することができる。具体的には、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオール、N−ジエタノールアミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等を挙げることができる。
【0020】
反応させる有機ジイソシアネート化合物の例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0021】
反応によって得られるポリウレタン樹脂は環状構造部分を有しているため、これを用いて調製したバック層の強度、ガラス転移温度及び耐久性はより高くなる。さらに分岐メチルを導入すれば、溶剤への溶解性が高まるため分散性も改善される。ポリウレタン樹脂のTgは、好ましくは、80〜140℃、更に好ましくは90〜130℃である。長鎖ジオールの環状部分が脂肪族、芳香族のいずれであっても、塗膜Tgが80〜140℃、好ましくは90〜130℃に塗膜Tgを設定でき、塗膜強度と保存性を改善できるように、バインダー組成を調整する。バック層のバインダーは、通常ポリイソシアネート化合物(硬化剤)により硬化させられる。ポリウレタン樹脂100質量部に対する硬化剤の使用量は0〜150質量部、好ましくは0〜100質量部、更に好ましくは0〜50質量部である。ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量は、1分子あたり3個〜20個であるのが好ましく、より好ましくは1分子あたり4個〜5個である。1分子あたり3個未満であるとポリイソシアネート硬化剤との反応性が低下するために、塗膜強度と耐久性が低下しやすい。また、20個より多いと、溶剤への溶解性と分散性が低下しやすい。ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量を調整するために、水酸基が3官能以上の化合物を用いることができる。具体的には、調製されたポリウレタンにトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール等の3官能以上のポリオール、あるいはジオールまたはジオール及びジカルボン酸を主体として前記ポリオールや無水トリメリット酸等の3官能以上のものを所定量用いて合成される、例えば、特公平6−64726号に記載されるような3官能以上の分岐状ポリエステルポリオール、あるいは3官能以上の分岐状の、ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリエステルポリオールを適量結合させること、あるいは前記分岐状ポリオールをポリウレタン樹脂の原料に用いることにより水酸基の含量を調整することもできる。上記3官能以上の化合物のうち、好ましいのは3官能のものであり、4官能以上になると反応過程においてゲル化しやすくなる。
【0022】
ポリウレタン樹脂は、分子中に−SO3M、−OSO3M、−COOM、−PO3MM′、−OPO3MM′、−NRR′、−N+RR′R″COO−(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムであり、R及びRは各々独立に炭素数1〜12のアルキル基、R″は炭素数1〜12のN結合アルキレン基を示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−SO3M、−OSO3Mである。これらの極性基の量は好ましくは、1×10−5〜2×10−4eq/gであり、特に好ましくは5×10−5〜1×10−4eq/gである。1×10−5eq/gより少ないと粉体への吸着が不充分となるために分散性が低下する傾向があり、2×10−4eq/gより多くなると溶剤への溶解性が低下する傾向があるので分散性が低下する傾向がある。
【0023】
ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)は5000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜50,000であり、特に好ましくは20,000〜40,000である。5000未満では、塗膜の強度や耐久性が低い。また、100,000より多いと溶剤への溶解性や分散性が低い。ポリウレタン樹脂の環状構造は剛直性に寄与し、エーテル基は柔軟性に寄与する。上述のポリウレタン樹脂は、溶解性が高く、慣性半径(分子の広がり)が大きく、粉体の分散性が良好である。また、ポリウレタン樹脂自身の硬さ(高Tg、高ヤング率)と靱性(伸び)の2つの特性を兼ね備えている。
【0024】
本発明の磁気記録媒体のバック層には、通常、融点80℃以下、好ましくは−20〜80℃、より好ましくは0〜65℃の潤滑剤を用いることができる。
例えば、脂肪酸を含有させれば繰り返し走行時の摩擦係数上昇を抑制することができる。脂肪酸の例として、炭素数8〜18の一塩基性脂肪酸を挙げることができる。これらの具体例としてはラウリン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸等が挙げられる。
また、脂肪酸エステルを含有させれば高速走行時の擦り傷を改善できる。脂肪酸エステルの例として、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらは、不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない。これらの具体例としてはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレートが挙げられる。脂肪酸または脂肪酸エステルの添加量は、扁平針状非磁性無機粒子AとカーボンブラックBの総量を100質量部としたとき、好ましくは、0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
【0025】
さらに、バック層は芳香族有機酸化合物やチタンカップリング剤を含有させて分散性を向上させ強度を上げることによって、摩擦係数上昇を抑制することもできる。また、有機質粉末を含有させて摩擦係数上昇を抑制し、写りを低減することもできる。
また、バック層は針状比が1、即ち、粒状の非磁性無機粒子を併用することもできる。
【0026】
さらに、該バック層はモース硬度9以上でかつ平均粒径がバック層厚みの10〜40%である研磨粒子を含有することが、走行耐久性をより向上出来る点で好ましい。研磨粒子としては、α−アルミナ、酸化クロム、人工ダイヤモンド、カーボン性窒化硼素(CBN)等を挙げることができる。中でも、平均粒径が0.3μm以下であり、粒径がバック層厚みの10〜40%であるものを使用するのが好ましい。10%以下だとバック層に粒子が埋没し研磨剤としての役割が少なく、40%を超えると突起が増加し裏写りが劣化する傾向がある。
バック層のガラス転移温度は好ましくは、80〜180℃、更に好ましくは90〜160℃である。
【0027】
本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いられる強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄、バリウムフェライト粉末又は強磁性金属粉末等である。強磁性粉末はSBET(BET比表面積)が通常、40〜80m2/g、好ましくは50〜70m2/gである。結晶子サイズは通常、12〜25nm、好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長軸長は通常、0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。強磁性粉末のpHは7以上が好ましい。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等の単体又は合金が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含ませることができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物又は酸化物を含むものであってもよい。これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造することができる。強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状及び板状のものなどが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。本発明においては、バインダー、硬化剤及び強磁性粉末を、通常、磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性層形成用塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。磁性層形成用塗料は、上記成分以外に、α−Al2O3、Cr2O3等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含んでいてもよい。
【0028】
次に本発明が多層構成を有する場合に存在する下層非磁性層又は下層磁性層(以下、下層非磁性層又は下層磁性層を下層ともいう)について説明する。本発明の下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性粉末を問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物や非磁性金属から選択することができる。無機化合物としては、例えば酸化チタン(TiO2、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は組合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは特開平5−182177号公報に記載の二酸化チタン、および特開平6−60362号公報、特開平9−170003号公報に記載のα−酸化鉄である。非磁性金属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。これら非磁性粉末の平均粒径は0.005〜2μmであるのが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは、平均粒径が0.01μm〜0.2μmの非磁性粉末である。非磁性粉末のpHは6〜9であるのが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmであるのが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれであっても良い。
【0029】
軟磁性粉末としては、粒状Fe、Ni、粒状マグネタイト、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Fe−Al−Co(センダスト)合金、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mg−Znフェライト、Mg−Mnフェライト、その他、近角聡信著(「強磁性体の物理(下)磁気特性と応用」(裳華房、1984年)、368〜376頁)に記載されているもの等が挙げられる。これらの非磁性粉末や軟磁性粉末の表面はその少なくとも一部がAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3、ZnOで被覆されるように表面処理しておくのが好ましい。このうち、特に良好な分散性を与えるのはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2であり、さらに好ましいのはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いてもよい。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで被覆されるべく処理した後にその表層をシリカで被覆されるべく処理する方法、又はその逆の方法を採ってもよい。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、一般に均質で密である方が好ましい。
【0030】
下層にカ−ボンブラックを混合させることによって、表面電気抵抗Rsを下げ、しかも所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。カ−ボンブラックの平均粒径は通常、5nm〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。具体的には、上述のバック層に用いることができるカーボンブラックと同じものを用いることができる。本発明の下層にはまた、無機粉末として磁性粉末を用いることもできる。磁性粉末としては、γ−Fe2O3、Co変性γ−Fe2O3、α−Feを主成分とする合金、CrO2等が用いられる。下層の磁性体は、目的に応じて選定することができ、本発明の効果は磁性体の種類には依存しない。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHcを上層磁性層のHcより低く設定するのが望ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のBrより高くするのが有効である。それ以外にも、公知の重層構成を採ることによる利点を付与させることができる。下層磁性層又は下層非磁性層のバインダー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、上記の磁性層のものを適用できる。特に、バインダー量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
【0031】
本発明に用いることのできる可撓性支持体として、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等を挙げることができる。これらの非磁性支持体は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ったものであってもよい。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は、中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて通常、0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲にあって、表面が優れた平滑性を有しているのが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。非磁性支持体の厚さは4〜15μm、好ましくは4〜9μmである。薄い場合は、バック層の凹凸がハンドリングテンションで写りやすくなるため、上述のポリウレタン樹脂を最上層に使用することによってこれを効果的に抑制することができる。厚が7μm以下の場合は、PENもしくはアラミド等の芳香族ポリアミドを使用するのが好ましい。最も好ましいのはアラミドである。
【0032】
本発明の磁気記録媒体の製造は、例えば、乾燥後の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下にある非磁性支持体の表面に塗料を蒸着または塗布してゆくことによって行うことができる。複数の磁性塗料もしくは非磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。磁性塗料を塗布するための塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。片面に2以上の層を有する磁気記録媒体を製造するときには、例えば以下の方法を用いることができる。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置によってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、上層を塗布する方法。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0033】
塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができる。磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロールなどを用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上する。このため、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
【0034】
本発明の磁気記録媒体は、平滑性が良好な表面を有しているのが好ましい。平滑性を良好にするためには、例えば上述したように特定のバインダーを選んで形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好ましくは80〜100℃にし、圧力を通常、100〜500kg/cm(98〜490kA/m)、好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kA/m)、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kA/m)にして行う。得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。カレンダー処理を経た磁気記録媒体は、熱処理するのが一般的である。最近では、高密度磁気記録テープの直線性(オフトラックマージン確保)のために、熱収縮率を下げることが重視されている。特に、狭トラック化に伴い、使用環境下でのMD方向(長手方向)の収縮率を0.07%以下に抑えることが求められている。熱収縮率低減手段として、低テンションでハンドリングしながらウエッブ状で熱処理する方法と、バルク又はカセットに組み込んだ場合のようにテープが積層した形態で熱処理する方法(サーモ処理)がある。前者を用いた場合は、バック面の凹凸が写る危険性は少ないが、熱収縮率を大きく下げることはできない。アニール温度、滞在時間及びテープ厚、ハンドリングテンションによって多少変わるが、70℃、48時間後の熱収縮率で0.1〜0.12%が限界である。後者のサーモ処理は熱収縮率を大幅に改善できるが、バック面の凹凸がかなり写ってしまうため、磁性層が面粗れして出力低下とノイズ増加を引き起こす場合がある。
【0035】
本発明の磁気記録媒体の構成を採用すれば、高弾性で塑性変形の残りにくい層形成を行うことができるため、特に、サーモ処理を伴う磁気記録テープで、高出力、低ノイズの磁気記録テープを供給することができる。これは、特に上述のポリウレタン樹脂を使用した場合に顕著である。本発明の磁気記録テープの70℃、48時間後のMD方向の熱収縮率は0.12%以下である。この熱収縮率は、8mm巾×10cmのテープ片の片側に0.2gの荷重をつけてつるし、70℃環境下に48時間保存し、保存後のテープ長変化量を保存前のテープ長(10cm)で割って求めたものである。本発明の磁気記録媒体においては、バック層の表面を平滑にすることができるため、バック層の摩擦係数を程よい大きさに設定することができる。これによってバック層と磁性層との間の層間摩擦係数が高くなるので、磁気記録媒体作製時に高速ハンドリングしてもロール、スリットパンケーキ、組込リールに巻き上げられたテープの巻姿が良好である。同様にして、ビデオカセットレコーダー(VCR)を高速で早送りしたり、巻戻したりした後のリール上のテープの巻姿も良好である。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を記載して、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に記載される成分、割合、手順等は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例に示す具体例に制限されるものではない。
実施例1
磁気記録テープの製造
表1に記載される磁性層形成用塗料のa成分をオープンニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にb成分を添加し、さらにc成分を加えて平均孔径1μmのフィルターを用いて濾過することによって磁性層形成用塗料を調製した。
表2に記載される非磁性層形成用塗料のd成分をオープンニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にe成分を添加し、さらにf成分を加えて平均孔径1μmのフィルターを用いて濾過することによって非磁性層形成用塗料を調製した。
表3に記載されるバック層形成用塗料Aのg成分を混練した後、サンドミルを用いて分散した。得られた分散液にh成分を添加して平均孔径1μmのフィルターを用いて濾過することによって本発明の実施例1のバック層用の塗布液を調製した。
厚さ5.2μmのポリエチレンナフタレート支持体(磁性層側Ra:1.4nm、バック層側Ra:3nm)上に、調製した非磁性層形成用塗料を乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し、その直後に磁性層形成用塗料を乾燥後の厚さが0.07μmになるように塗布した。磁性層形成用塗料が未乾燥の状態で、3000ガウスの磁石で磁場配向を行った後、乾燥した。バック層形成用塗料を乾燥後の厚さが表に記載される厚さになるように塗布、乾燥した。その後、金属ロールを7本積み重ねたカレンダー装置によって、金属ロールのニップ間を6回通してカレンダー処理を行った(速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃)。さらに、70℃で48時間サーモ処理して、6.35mm幅にスリットして実施例1の磁気記録テープを製造した。
【0037】
【表1】
【0038】
(注1)Fe/Co(原子比=100/30)、Fe/Al(原子比=100/11)
保磁力Hc:192kA/m(2430Oe)、結晶子サイズ:110Å、飽和磁化モーメントσs:110A・m2/kg、平均長軸長(長軸長の算術平均):0.045μm、平均針状比(針状比の算術平均):5.5
(注2)数平均分子量:36000、Tg:94℃、−SO3Na基:6μeq/g
<合成組成>
水素化ビスフェノールA:0.6mol
ビスフェノールAのポリプロピレンオキシド付加物:0.3mol
ビス(2−ヒドロキシエチル)5−スルホイソフタレートのNa塩:0.05mol
ジフェニルメタンジイソシアネート:1.0mol
トリメチロールプロパン:0.05mol
【0039】
【表2】
【0040】
(注3)平均長軸長:0.15μm、平均針状比:8
アスペクト比:2.5
表面被覆化合物:Al2O3/SiO2
SBET:70m2/g
表面被覆化合物:Al2O3/SiO2
(注4)DBP吸油量:120ml/100g
pH:8、SBET:250m2/g
【0041】
【表3】
【0042】
(注5)数平均分子量:45000、Tg:105℃、−SO3Na基:6μeq/g
<合成組成>
水素化ビスフェノールA:0.5mol
ビスフェノールAのポリプロピレンオキシド付加物:0.4mol
ビス(2−ヒドロキシエチル)5−スルホイソフタレートのNa塩:0.05mol
ジフェニルメタンジイソシアネート:1.0mol
トリメチロールプロパン:0.05mol
【0043】
実施例2〜7、比較例1〜4
表4に記載の要素を変更した以外は、実施例1に準じて各種のバック層を有する磁気テープを得た。尚、表4中、束状ヘマタイトにおいて、実施例1、5、6及び7は、表2の注3と同じである。同表中のカーボンブラックにおいて、実施例1、2、3、5、6、比較例4は、表2の注4と同じである。また、非磁性無機粒子のサイズの欄は比較例1が平均粒径、その他は平均長軸長である。
【0044】
製造した磁気記録テープのそれぞれについて、以下の試験および測定を行った。
試験および測定方法
(1)C/Nの測定
記録ヘッド(MIG、ギャップ:0.15μm、トラック幅:18μm、1.8T)と再生用MRヘッド(シールド型:シールド間gap:0.2μm、トラック幅4μm)をドラムテスターに取り付けて測定した。
ヘッド−メディア相対速度10m/minで記録波長0.2μm(50MHz)の単周波信号を記録、再生信号をシバソク製スペクトラムアナライザーにて周波数分析し前記単周波信号の出力電圧と、1MHz離れたノイズ電圧の比をC/Nとした。再生時にはMRヘッドに、再生出力が最大になる様に、バイアス電流を印可した。
(2)スティフネス
引っ張り試験器で、サンプル長50mm、引っ張り速度50mm/minの条件でテープのヤング率{MD(長手方向)とTD(幅方向)}を求めた。この値にテープ厚みの3乗をかけてスティフネスとした。
(3)走行耐久性の評価
松下電器製DVC−PRO VTRにて繰り返し1000パス走行前後のドロップアウト(1μsec/−8dB)の増加量(ケ/min)を測定した。
試験および測定結果は、以下の表に示すとおりであった。
【0045】
【表4】
【0046】
上表より、本発明の実施例は、C/Nが高く、エラーレート増加も低く、かつ保存性も良好である。比較例は、C/Nが実施例に比べて低く、エラーレート増加も高い。
【0047】
【発明の効果】
本発明はバック層に特定形状及びサイズの扁平針状非磁性無機粒子を用いることによりバック層表面を平滑にして、バック面の磁性層への裏写りを防止すると共に、磁気記録媒体の特に幅方向のスティフネスを改善することができるためにヘッドタッチが改善されC/Nの高い、しかも走行耐久性に優れる磁気記録媒体を提供することができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a high-density magnetic recording medium excellent in electromagnetic conversion characteristics and running durability.
[0002]
[Prior art]
Magnetic recording media are widely used as recording media for all kinds of data such as voice, images, and characters. In recent years, the need for high-density recording has increased in response to improvements in the capacity and transfer speed of data to be recorded, and a magnetic recording medium having high electromagnetic conversion characteristics has been demanded. In addition, reliability when data is repeatedly used and stored is also required. Therefore, in addition to excellent electromagnetic conversion characteristics, the magnetic recording medium is also required to have good running durability. For this reason, in particular, a tape layer is provided with a back layer to improve running performance. In order to improve running performance with the conventional back layer, the running durability is improved by providing protrusions on the base surface or adding coarse particle carbon having a particle size of 0.1 μm or more to the back layer to roughen the surface. Attempts have been made. However, if the surface of the back layer is roughened by such a method, the back layer and the magnetic layer are pressed against each other when the magnetic recording tape is wound around the hub for storage or processing, and the irregularities of the back layer appear in the magnetic layer. There is a drawback that so-called “show-through” occurs, and as a result, electromagnetic conversion characteristics deteriorate. Attempts have been made to smooth the surface of the back layer in order to solve such a problem of “show-through”.
[0003]
In recent computer storage tapes, it is necessary to reduce the thickness of the entire tape in order to increase the capacity. In order to reduce the thickness of the magnetic recording tape, conventionally, the flexible support is thinned, or the nonmagnetic layer provided between the flexible support of the coating type magnetic recording tape and the magnetic layer is thinned. It was done. However, if the medium is made thinner than a certain range, the stiffness is lowered, the head touch is deteriorated and the spacing loss is increased, or the edge damage due to running is caused.
[0004]
As a conventional example of trying to improve the electromagnetic conversion characteristics by smoothing the back layer and improving so-called show-through, an example mainly composed of a mixture of granular titanium oxide and carbon black is disclosed in JP-A-11-259851. It is disclosed. The publication also suggests the use of acicular nonmagnetic powder. However, using these powders improves smoothness and reduces show-through, but granular powders have little effect on improving stiffness, and existing needle-like powders have slightly improved longitudinal stiffness, but the width direction is Since it did not improve, there was little improvement effect of head touch and edge damage.
[0005]
As described above, the conventional technology has not yet provided a magnetic recording tape having sufficiently good electromagnetic characteristics and running durability. In particular, there is a demand for reducing the overall thickness of the magnetic recording tape. Today, there is a demand for a magnetic recording tape having good electromagnetic characteristics and running durability. Tape is not provided.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to provide a magnetic recording medium for high-density recording that solves the problems of the prior art and has less show-through and good running durability and head touch.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to achieve the above object, the present inventors have found that in a magnetic recording medium having a magnetic layer on one side of a support and a back layer on the opposite side, the back layer has a thickness. The cross section having a maximum length (short axis length) of 0.1 to 1 μm and having a major axis length of 0.05 to 0.5 μm and being cut by a plane perpendicular to the major axis By including flat needle-like non-magnetic inorganic particles having an aspect ratio {long width (short axis length) / short width} of 1.2 or more and a binder, good surface properties can be achieved and the back layer stiffness can be increased. It has been found that improving both head touch and running durability.
In the present invention, preferably, the back layer further includes carbon flack having an average particle diameter of 10 to 50 nm at a mass ratio of the flat needle-like nonmagnetic inorganic particles / carbon black of 60/40 to 90/10. If this is prevented, the back layer smoothened as described above can be prevented from sticking, and the running durability can be further improved.
[0008]
Usually, the back layer is set to have a thickness of 1 μm or less (in order to reduce the thickness of the medium). However, since a thin coating layer has a small molding effect, it is difficult to obtain a smooth surface. Therefore, in the present invention, a flat needle-like non-magnetic powder having a specific major axis length and having a cross-sectional aspect ratio of 1 or more cut in a direction perpendicular to the major axis is used for the back layer. Sufficient calendar moldability is obtained by increasing the gap. In addition, the flat needle shape facilitates fluid orientation, the stiffness in the longitudinal direction is higher than that of the conventional needle-like powder, and the width direction has an aspect ratio, so that the stiffness in the width direction is also improved.
[0009]
The magnetic recording medium of the present invention widely includes those having a magnetic layer on one side of a flexible support and a back layer on the opposite side. Accordingly, the magnetic recording medium of the present invention includes those having layers other than the magnetic layer and the back layer. For example, a nonmagnetic layer containing nonmagnetic powder, a soft magnetic layer containing soft magnetic powder, a second magnetic layer, a cushion layer, an overcoat layer, an adhesive layer, and a protective layer may be included. These layers can be provided at appropriate positions so that their functions can be effectively exhibited. The magnetic recording medium of the present invention is preferably a magnetic recording medium having a nonmagnetic layer containing a nonmagnetic inorganic powder and a binder between a flexible support and a magnetic layer. The thickness of the layer is usually 0.01 to 1 μm, preferably 0.03 to 0.5 μm, more preferably 0.03 to 0.2 μm for the magnetic layer, and 0.5 to 0.5 μm for the nonmagnetic layer. The thickness can be 3 μm, preferably 0.8 to 3 μm. The nonmagnetic layer is preferably thicker than the magnetic layer. A magnetic recording medium having two magnetic layers is also preferable. In this case, for example, the upper layer is usually 0.2 to 2 μm, preferably 0.2 to 1.5 μm, and the lower layer is usually 0.8 to 3 μm. In addition, when it has a magnetic layer independently, it is 0.1-5 micrometers normally, Preferably it is 0.1-3 micrometers, More preferably, it is 0.1-1.5 micrometers. Further, when a soft magnetic layer is provided between the flexible support and the magnetic layer, for example, the magnetic layer is usually 0.03 to 1 μm, preferably 0.05 to 0.5 μm, and the soft magnetic layer is usually It can be 0.8-3 μm. The magnetic layer is not limited to the so-called coating type magnetic layer in which the ferromagnetic powder as described above is dispersed in the binder, but may be a thin film type magnetic layer formed by vacuum evaporation or sputtering. Good. In the case of this thin film magnetic layer, the thickness is usually selected from the range of 0.05 to 0.3 μm, more preferably 0.1 to 0.2 μm. The thickness of the back layer formed on the magnetic recording medium of the present invention is usually set in the range of 0.05 to 1.0 μm. Among these, it is preferable to set in the range of 0.1-0.8 micrometer, and it is more preferable to set in the range of 0.2-0.6 micrometer.
[0010]
The major axis length of the flat needle-like nonmagnetic inorganic particles added to the back layer of the magnetic recording medium of the present invention is 0.05 to 0.5 μm, preferably 0.05 to 0.4 μm, more preferably 0.07. ~ 0.3 μm. When the long axis length is shorter than 0.05 μm, the molding effect and the longitudinal stiffness improving effect by the calender are impaired. If it is larger than 0.5 μm, the surface roughness increases and the show-through deteriorates.
Further, the flat needle-like nonmagnetic inorganic particles used for the back layer have an aspect ratio {long width (long width) having the maximum length (short axis length) among the cross sections when cut along a plane perpendicular to the long axis. (Short axis length) / short width} is 1.2 or more, preferably 1.2 to 8, and the surface property of the back layer can be well controlled, the stiffness can be improved, and the head contact can be improved. Here, the short width means the maximum length of the method perpendicular to the major axis of the cross section. The cross section for obtaining the aspect ratio is usually near the center of the particle, but is not particularly limited as long as it can be physically maintained in the back layer. Examples of the cross-sectional shape include an elliptical shape, a track shape, a rectangular shape, and a rhombus shape. These cross-sectional shapes are preferably the same or similar in the major axis direction of the particles, but this need not be the case. In the present invention, the aspect ratio is an average value of 500 particles.
The flat needle-like nonmagnetic inorganic particles may have a shape in which one crystallite is seen in a cross section for obtaining the aspect ratio, or two or more crystals are seen bonded in the longitudinal direction, and the crystallites are It may be in a form in which the contained particles are bonded in the major axis direction. The latter flat needle-like nonmagnetic inorganic particles are called bundle particles.
The flat needle-like nonmagnetic inorganic particles are acicular, but in the present invention, acicular means that the acicular ratio, that is, the (major axis length / minor axis length) of the particle is 3 or more, preferably Is 4-10.
[0011]
These flat needle-like nonmagnetic inorganic particles include titanium oxide, α-iron oxide, SiO 2 , SnO 2 , WO 3 , Al 2 O 3 , ZrO 2 , ZnO and other metal oxides, BaSO 4 , barium titanate. A metal whisker such as a salt such as Cu or Al can be used. An oxide having excellent chemical stability is more preferable. These can also be used as a mixture.
[0012]
The method for producing the flat needle-like nonmagnetic inorganic particles used in the present invention is not specified, but as an example, a method of producing by adding a water-soluble Al salt, Si salt or the like during the reaction of goethite (Japanese Patent Laid-Open No. 10-340805) )It has been known.
[0013]
For the back layer, carbon black (hereinafter also referred to as carbon black B) having a preferable average particle diameter of 10 to 50 nm, more preferably 10 to 40 nm is made of the above flat needle-like nonmagnetic powder (hereinafter referred to as flat needle-like nonmagnetic inorganic particles). A) and a mass ratio of A: B = 60: 40 to 90:10, preferably 70:30 to 90:10. Here, the average particle diameter is an arithmetic average of the particle diameters of single particles without aggregation. When the average particle size of the carbon black B exceeds 50 nm, the structure does not develop, so that the voids are reduced, the molding effect by the calendar is deteriorated, and the conductivity tends to be lowered. When the thickness is smaller than 10 nm, the aggregation is severe and protrusions are formed on the surface of the back layer (hereinafter also referred to as the back surface), and show-through becomes remarkable. As for the blending ratio, if the ratio of A is higher than the above, the moldability deteriorates and charging problems occur. If the ratio of A is low, dispersibility deteriorates.
Furthermore, it is preferable to add carbon black having an average particle size of 80 nm or more as a solid lubricant to the back layer. The addition amount is 0.1 to 10 parts, preferably 0.3 to 5 parts, with respect to 100 parts in total of the flat needle-like nonmagnetic inorganic particles A and carbon black B. If the amount is too large, the number of protrusions on the back surface increases and show-through becomes noticeable.
[0014]
Carbon black preferably has a pH of 2 to 10, a water content of 0.1 to 10%, and a tap density of 0.1 to 1 g / ml. The specific surface area of the carbon black having an average particle size 10~50nm usually, 100~500m 2 / g, preferably 150~400m 2 / g, DBP oil absorption amount is usually, 20 to 400 ml / 100 g, preferably 30 to 200 ml / 100 g It is. Specific examples of carbon black having an average particle diameter of 10 to 50 nm used in the present invention include BLACK PEARL S2000, 1300, 1000, 900, 800, 880, 700, VULCAN XC-72 manufactured by Cabot Corporation. Manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation # 3050B, # 3150B, # 3250B, # 3750B, # 3950B, # 950, # 650B, # 970B, # 850B, MA-600; CONDUCTEXSC, RAVEN8800, 8000 manufactured by Columbian Carbon 7000, 5750, 5250, 3500, 2100, 2000, 1800, 1500, 1255, 1250; Ketjen Black EC manufactured by Akzo Corporation. The specific surface area of carbon black having an average particle size of 80 nm or more is usually 5 to 100 m 2 / g, preferably 5 to 30 m 2 / g, and the DBP oil absorption is 20 to 120 ml / 100 g, preferably 30 to 110 ml / 100 g. Yes, for example, # 55, # 50, # 30 manufactured by Asahi Carbon Co., Ltd., RAVEN450 manufactured by Columbia Carbon Co., Ltd., and 430;
[0015]
For the binder for the back layer of the present invention, conventionally known thermoplastic resins, thermosetting resins, reactive resins and the like can be used. Preferred binders are fiber-based resins such as nitrocellulose that do not contain chlorine, phenoxy resins, and polyurethane resins. Among these, it is more preferable to use a polyurethane resin having a Tg of 80 ° C. to 140 ° C. in order to improve storage stability. A particularly preferred polyurethane is a polyurethane resin obtained by a reaction between a diol and an organic diisocyanate, and as the diol, a short-chain diol having a cyclic structure and a long-chain diol having an ether bond are respectively 17 on the basis of the polyurethane resin. It consists of what contains -40 mass% and 10-50 mass%, and contains 1.0-5.0 mol / g of ether bonds in the said long-chain diol with respect to a polyurethane resin. Hereinafter, this polyurethane resin will be described.
[0016]
The short chain diol has a molecular weight of 50 or more and less than 500, more preferably 100 to 300. Specific examples include cyclohexane-1,4-diol, cyclohexane-1,4-dimethanol, bisphenol A, hydrogenated bisphenol A, bisphenol S, bisphenol P and their ethylene oxide, propylene oxide adduct, cyclohexane dimethanol, cyclohexanediol. Aromatic or alicyclic diol. The long-chain diol has a molecular weight of 500 to 5000, and as a specific example, an ethylene oxide adduct or a propylene oxide adduct of bisphenol A or hydrogenated bisphenol A having a molecular weight of 500 to 5000. Can be mentioned. Preferred short-chain diols and long-chain diols are those represented by the following formula (1).
[0017]
[Chemical 1]
[0018]
In the case of a short-chain diol, m and n are selected such that the molecular weight of the short-chain diol is 50 or more and less than 500, and is generally 0-3.
In the case of a long-chain diol, m and n are selected so that the molecular weight of the long-chain diol is 500 to 5000. Generally it is 3-24, Preferably it is 3-20, More preferably, it is 4-15. When m and n are larger than 24, the back film is softened and the running durability is lowered.
X is preferably a hydrogen atom or a methyl group, and more preferably a methyl group. Note that X in parentheses enclosed by m and n need not all be the same, and a hydrogen atom and a methyl group may be mixed.
R is a residue such as bisphenol A or hydrogenated bisphenol A. Among the short chain diols represented by the formula (1), bisphenol A, hydrogenated bisphenol A, and their ethylene oxide or propylene oxide adducts are preferred.
Preferred as the long-chain diol is a diol having a molecular weight of 500 to 5000 derived from bisphenol A or hydrogenated bisphenol A, and particularly preferred is a propylene oxide adduct of bisphenol A. The content of the short-chain diol is usually 17 to 40% by mass, preferably 20 to 30% by mass, based on the polyurethane resin. The content of the long-chain diol is usually 10 to 50% by mass, preferably 30 to 40% by mass. The ether group of the long-chain diol unit is usually present in the polyurethane resin at 1.0 to 5.0 mmol / g, more preferably 2.0 to 4.0 mmol / g. As a result, a powder having excellent adsorptivity to powder and good dispersibility can be obtained. Moreover, it has excellent solubility in solvents.
[0019]
In addition to the above short-chain diol and long-chain diol, other diols can be used in combination. Specifically, ethylene glycol, 1,3-propylene diol, 1,2-propylene glycol, 1,4-butanediol, 1,5-pentanediol, 1,6-hexanediol, 2,2-dimethylpropanediol 1,8-octanediol, 1,9-nonanediol, aliphatic diols such as diethylene glycol, ethylene oxide or propylene oxide adducts of N-diethanolamine, and the like.
[0020]
Examples of the organic diisocyanate compound to be reacted include 2,4-tolylene diisocyanate, 2,6-tolylene diisocyanate, xylene-1,4-diisocyanate, xylene-1,3-diisocyanate, 4,4′-diphenylmethane diisocyanate, 4,4-diphenyl ether diisocyanate, 2-nitrodiphenyl-4,4′-diisocyanate, 2,2′-diphenylpropane-4,4′-diisocyanate, 4,4′-diphenylpropane diisocyanate, m-phenylene diisocyanate, p- Aromatic diisocyanates such as phenylene diisocyanate, naphthylene-1,4-diisocyanate, naphthylene-1,5-diisocyanate, 3,3′-dimethoxydiphenyl-4,4′-diisocyanate, lysine diisocyanate Aliphatic diisocyanates such as carbonate, alicyclic diisocyanates such as isophorone diisocyanate, hydrogenated tolylene diisocyanate, and hydrogenated diphenylmethane diisocyanate.
[0021]
Since the polyurethane resin obtained by the reaction has a cyclic structure portion, the strength, glass transition temperature and durability of the back layer prepared using the same are further increased. If branched methyl is further introduced, the solubility in a solvent is increased, so that dispersibility is also improved. The Tg of the polyurethane resin is preferably 80 to 140 ° C, more preferably 90 to 130 ° C. Whether the cyclic part of the long-chain diol is aliphatic or aromatic, the coating film Tg can be set to 80 to 140 ° C., preferably 90 to 130 ° C., and the coating film strength and storage stability are improved. The binder composition is adjusted so that it is possible. The binder of the back layer is usually cured with a polyisocyanate compound (curing agent). The usage-amount of the hardening | curing agent with respect to 100 mass parts of polyurethane resins is 0-150 mass parts, Preferably it is 0-100 mass parts, More preferably, it is 0-50 mass parts. The content of hydroxyl groups in the polyurethane resin is preferably 3 to 20 per molecule, more preferably 4 to 5 per molecule. Since the reactivity with a polyisocyanate hardening agent falls that it is less than 3 per molecule, the coating film strength and durability tend to be lowered. On the other hand, when the number is more than 20, the solubility and dispersibility in a solvent tend to be lowered. In order to adjust the content of the hydroxyl group in the polyurethane resin, a compound having a hydroxyl group of three or more functional groups can be used. Specifically, the prepared polyurethane is a trifunctional or higher functional polyol such as trimethylolethane, trimethylolpropane, glycerin, pentaerythritol, hexanetriol, or the above-mentioned polyol or trimellitic anhydride mainly composed of diol or diol and dicarboxylic acid. For example, a trifunctional or higher functional branched polyester polyol as described in JP-B-6-64726, or a trifunctional or higher functional branched polyether is synthesized. It is possible to adjust the content of the hydroxyl group by bonding an appropriate amount of polyol or polyether polyester polyol, or by using the branched polyol as a raw material for the polyurethane resin. Of the above trifunctional or higher functional compounds, trifunctional ones are preferred. When the functional group is higher than tetrafunctional, gelation tends to occur in the reaction process.
[0022]
Polyurethane resin, -SO 3 M in the molecule, -OSO 3 M, -COOM, -PO 3 MM ', - OPO 3 MM', - NRR ', - N + RR'R "COO - ( wherein, M And M ′ are each independently a hydrogen atom, an alkali metal, an alkaline earth metal, or ammonium, R and R are each independently an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, and R ″ is an N bond having 1 to 12 carbon atoms. It preferably contains at least one polar group selected from (which represents an alkylene group), particularly preferably —SO 3 M or —OSO 3 M. The amount of these polar groups is preferably 1 × 10 −5 to 2 × 10 −4 eq / g, particularly preferably 5 × 10 −5 to 1 × 10 −4 eq / g. If the amount is less than 1 × 10 −5 eq / g, the powder tends to be insufficiently adsorbed, so that the dispersibility tends to decrease. If the amount exceeds 2 × 10 −4 eq / g, the solubility in the solvent decreases. Therefore, dispersibility tends to decrease.
[0023]
The number average molecular weight (Mn) of the polyurethane resin is preferably 5,000 to 100,000, more preferably 10,000 to 50,000, and particularly preferably 20,000 to 40,000. If it is less than 5000, the strength and durability of the coating film are low. Moreover, when more than 100,000, the solubility to a solvent and a dispersibility are low. The cyclic structure of the polyurethane resin contributes to rigidity, and the ether group contributes to flexibility. The above-mentioned polyurethane resin has high solubility, large radius of inertia (molecular spread), and good dispersibility of the powder. In addition, the polyurethane resin itself has two characteristics of hardness (high Tg, high Young's modulus) and toughness (elongation).
[0024]
In the back layer of the magnetic recording medium of the present invention, a lubricant having a melting point of 80 ° C. or lower, preferably −20 to 80 ° C., more preferably 0 to 65 ° C. can be used.
For example, if a fatty acid is contained, an increase in friction coefficient during repeated running can be suppressed. Examples of the fatty acid include monobasic fatty acids having 8 to 18 carbon atoms. Specific examples thereof include lauric acid, caprylic acid, myristic acid, palmitic acid, stearic acid, oleic acid, linoleic acid, linolenic acid, and elaidic acid.
Further, if a fatty acid ester is contained, scratches during high-speed running can be improved. As an example of the fatty acid ester, a monofatty acid composed of a monobasic fatty acid having 10 to 24 carbon atoms and any one of monovalent, divalent, trivalent, tetravalent, pentavalent, and hexavalent alcohols having 2 to 12 carbon atoms. Examples thereof include esters, difatty acid esters, and trifatty acid esters. These may contain an unsaturated bond or may be branched. Specific examples thereof include butyl stearate, octyl stearate, amyl stearate, isooctyl stearate, octyl myristate, butoxyethyl stearate, anhydrosorbitan monostearate, anhydrosorbitan distearate, anhydrosorbitan tristearate. Rate. The addition amount of the fatty acid or fatty acid ester is preferably 0.1 to 5 parts by mass, more preferably 0.1 to 3 parts, when the total amount of the flat needle-like nonmagnetic inorganic particles A and the carbon black B is 100 parts by mass. Part by mass.
[0025]
Further, the back layer can contain an aromatic organic acid compound or a titanium coupling agent to improve dispersibility and increase strength, thereby suppressing an increase in friction coefficient. Moreover, an organic powder can be contained to suppress an increase in the coefficient of friction and to reduce the reflection.
In addition, the back layer can be used in combination with acicular ratio 1, that is, granular nonmagnetic inorganic particles.
[0026]
Further, it is preferable that the back layer contains abrasive particles having a Mohs hardness of 9 or more and an average particle diameter of 10 to 40% of the back layer thickness from the viewpoint of further improving running durability. Examples of the abrasive particles include α-alumina, chromium oxide, artificial diamond, and carbonaceous boron nitride (CBN). Among them, it is preferable to use those having an average particle size of 0.3 μm or less and a particle size of 10 to 40% of the back layer thickness. If it is 10% or less, particles are buried in the back layer and have little role as an abrasive, and if it exceeds 40%, protrusions increase and show-through tends to deteriorate.
The glass transition temperature of the back layer is preferably 80 to 180 ° C, more preferably 90 to 160 ° C.
[0027]
The ferromagnetic powder used in the magnetic layer of the magnetic recording medium of the present invention is ferromagnetic iron oxide, cobalt-containing ferromagnetic iron oxide, barium ferrite powder or ferromagnetic metal powder. The ferromagnetic powder usually has an S BET (BET specific surface area) of 40 to 80 m 2 / g, preferably 50 to 70 m 2 / g. The crystallite size is usually 12 to 25 nm, preferably 13 to 22 nm, and particularly preferably 14 to 20 nm. The major axis length is usually 0.05 to 0.25 μm, preferably 0.07 to 0.2 μm, and particularly preferably 0.08 to 0.15 μm. The pH of the ferromagnetic powder is preferably 7 or more. Examples of the ferromagnetic metal powder include a simple substance or an alloy such as Fe, Ni, Fe—Co, Fe—Ni, Co—Ni, and Co—Ni—Fe, and within a range of 20% by mass or less of the metal component, aluminum, Silicon, sulfur, scandium, titanium, vanadium, chromium, manganese, copper, zinc, yttrium, molybdenum, rhodium, palladium, gold, tin, antimony, boron, barium, tantalum, tungsten, rhenium, silver, lead, phosphorus, lanthanum, Cerium, praseodymium, neodymium, tellurium, bismuth, and the like can be included. Further, the ferromagnetic metal powder may contain a small amount of water, hydroxide or oxide. Methods for producing these ferromagnetic powders are already known, and the ferromagnetic powders used in the present invention can also be produced according to known methods. There are no particular restrictions on the shape of the ferromagnetic powder, but needle-shaped, granular, dice-shaped, rice-grained and plate-shaped ones are usually used. It is particularly preferable to use acicular ferromagnetic powder. In the present invention, a binder, a curing agent, and a ferromagnetic powder are kneaded and dispersed together with a solvent such as methyl ethyl ketone, dioxane, cyclohexanone, and ethyl acetate usually used in the preparation of a magnetic paint, To do. The kneading and dispersing can be performed according to a usual method. In addition to the above components, the coating material for forming the magnetic layer includes an abrasive such as α-Al 2 O 3 and Cr 2 O 3, an antistatic agent such as carbon black, a lubricant such as fatty acid, fatty acid ester, and silicone oil, and a dispersant. Or the like or a commonly used additive or filler.
[0028]
Next, the lower nonmagnetic layer or the lower magnetic layer (hereinafter, the lower nonmagnetic layer or the lower magnetic layer is also referred to as the lower layer) existing when the present invention has a multilayer structure will be described. The inorganic powder used for the lower layer of this invention does not ask | require magnetic powder and nonmagnetic powder. For example, in the case of nonmagnetic powder, it can be selected from inorganic compounds such as metal oxides, metal carbonates, metal sulfates, metal nitrides, metal carbides, metal sulfides, and nonmagnetic metals. As an inorganic compound, for example, titanium oxide (TiO 2 , TiO), α-alumina, β-alumina, γ-alumina, α-iron oxide, chromium oxide, zinc oxide, tin oxide, oxidized with an α conversion rate of 90-100% Tungsten, vanadium oxide, silicon carbide, cerium oxide, corundum, silicon nitride, titanium carbide, silicon dioxide, magnesium oxide, zirconium oxide, boron nitride, calcium carbonate, calcium sulfate, barium sulfate, molybdenum disulfide, goethite, hydroxide Aluminum or the like can be used alone or in combination. Particularly preferred are titanium dioxide, zinc oxide, iron oxide and barium sulfate, and more preferred are titanium dioxide described in JP-A-5-182177, and JP-A-6-60362 and JP-A-9-170003. Α-iron oxide described in the publication. Nonmagnetic metals include Cu, Ti, Zn, Al and the like. The average particle size of these nonmagnetic powders is preferably 0.005 to 2 μm. However, if necessary, nonmagnetic powders having different average particle sizes may be combined, or even a single nonmagnetic powder may have a wide particle size distribution. The same effect can be given. Particularly preferred is a nonmagnetic powder having an average particle size of 0.01 μm to 0.2 μm. The pH of the nonmagnetic powder is particularly preferably 6-9. The specific surface area of the nonmagnetic powder is 1 to 100 m 2 / g, preferably 5 to 50 m 2 / g, more preferably 7 to 40 m 2 / g. The crystallite size of the nonmagnetic powder is preferably 0.01 μm to 2 μm. The oil absorption using DBP is 5 to 100 ml / 100 g, preferably 10 to 80 ml / 100 g, and more preferably 20 to 60 ml / 100 g. The specific gravity is 1 to 12, preferably 3 to 6. The shape may be any of a needle shape, a spherical shape, a polyhedron shape, and a plate shape.
[0029]
As soft magnetic powders, granular Fe, Ni, granular magnetite, Fe-Si, Fe-Al, Fe-Ni, Fe-Co, Fe-Co-Ni, Fe-Al-Co (Sendust) alloy, Mn-Zn ferrite Ni-Zn Ferrite, Mg-Zn Ferrite, Mg-Mn Ferrite, and others, N. Kakunobu, “Physics of Ferromagnetic Materials (below) Magnetic Properties and Applications” (Yuhuabo, 1984), 368-376) And the like described in. The surface of these nonmagnetic powders and soft magnetic powders is surface-treated so that at least a part thereof is coated with Al 2 O 3 , SiO 2 , TiO 2 , ZrO 2 , SnO 2 , Sb 2 O 3 , ZnO. It is preferable to leave. Of these, particularly providing good dispersibility is Al 2 O 3, SiO 2, TiO 2, ZrO 2, further preferred is Al 2 O 3, SiO 2, ZrO 2. These may be used in combination or may be used alone. Further, a surface-treated layer co-precipitated depending on the purpose may be used, or a method of first treating the surface layer with alumina and then treating the surface layer with silica, or vice versa. May be. The surface treatment layer may be a porous layer depending on the purpose, but it is generally preferable that the surface treatment layer is homogeneous and dense.
[0030]
By mixing carbon black in the lower layer, the surface electrical resistance Rs can be lowered and the desired micro Vickers hardness can be obtained. The average particle size of carbon black is usually 5 nm to 80 nm, preferably 10 to 50 nm, and more preferably 10 to 40 nm. Specifically, the same carbon black that can be used for the above-described back layer can be used. In the lower layer of the present invention, a magnetic powder can also be used as the inorganic powder. As the magnetic powder, γ-Fe 2 O 3 , Co-modified γ-Fe 2 O 3 , an alloy containing α-Fe as a main component, CrO 2 or the like is used. The lower layer magnetic body can be selected according to the purpose, and the effect of the present invention does not depend on the type of the magnetic body. However, it is known that the performance is changed in the upper and lower layers according to the purpose. For example, in order to improve the long wavelength recording characteristics, it is desirable to set the Hc of the lower magnetic layer lower than the Hc of the upper magnetic layer, and to set Br of the lower magnetic layer higher than Br of the upper magnetic layer. It is valid. In addition, the advantage by taking a well-known multilayer structure can be provided. As the binder, lubricant, dispersant, additive, solvent, dispersion method and the like of the lower magnetic layer or the lower nonmagnetic layer, those of the above magnetic layer can be applied. In particular, with respect to the binder amount, type, additive, dispersant addition amount, type, known techniques relating to the magnetic layer can be applied.
[0031]
As a flexible support that can be used in the present invention, biaxially stretched polyethylene naphthalate (PEN), polyethylene terephthalate (PET), polyamide, polyimide, polyamideimide, aromatic polyamide, polybenzoxidazole, etc. Can be mentioned. These nonmagnetic supports may have been subjected to corona discharge, plasma treatment, easy adhesion treatment, heat treatment, and the like in advance. Further, the nonmagnetic support that can be used in the present invention has a center surface average surface roughness of usually 0.1 to 20 nm, preferably 1 to 10 nm at a cutoff value of 0.25 mm, and has an excellent surface. It is preferable to have smoothness. These non-magnetic supports preferably have not only a small center line average surface roughness but also no coarse protrusions of 1 μm or more. The thickness of the nonmagnetic support is 4 to 15 μm, preferably 4 to 9 μm. When it is thin, the unevenness of the back layer is easily captured by handling tension, and this can be effectively suppressed by using the above-mentioned polyurethane resin as the uppermost layer. When the thickness is 7 μm or less, it is preferable to use an aromatic polyamide such as PEN or aramid. Most preferred is aramid.
[0032]
The magnetic recording medium of the present invention can be produced, for example, by depositing or applying a paint on the surface of the non-magnetic support under running so that the layer thickness after drying is within the predetermined range described above. It can be carried out. A plurality of magnetic paints or non-magnetic paints may be applied successively or simultaneously. As an application machine for applying magnetic paint, air doctor coat, blade coat, rod coat, extrusion coat, air knife coat, squeeze coat, impregnation coat, reverse roll coat, transfer roll coat, gravure coat, kiss coat, cast coat, Spray coating, spin coating, etc. can be used. As for these, for example, “Latest Coating Technology” (May 31, 1983) issued by General Technology Center Co., Ltd. can be referred to. When manufacturing a magnetic recording medium having two or more layers on one side, for example, the following method can be used.
(1) First, the lower layer is first applied by a coating apparatus such as a gravure, roll, blade, or extrusion, which is generally applied in the application of magnetic paint, and before the lower layer is dried, Japanese Patent Publication No. 1-44686, A method of coating the upper layer using a support pressure type extrusion coating apparatus or the like disclosed in JP-A-60-238179, JP-A-2-265672, and the like.
(2) Using a single coating head having two coating liquid passage slits disclosed in JP-A-63-88080, JP-A-2-17971, and JP-A-2-265672, A method of applying the lower layer almost simultaneously.
(3) A method of applying the upper and lower layers almost simultaneously using an extrusion coating apparatus with a backup roll disclosed in JP-A-2-174965.
[0033]
The applied magnetic layer is dried after the magnetic powder orientation treatment of the ferromagnetic powder contained in the magnetic layer. The magnetic field orientation treatment can be appropriately performed by a method well known to those skilled in the art. The magnetic layer is subjected to a surface smoothing treatment using a super calender roll or the like after drying. By performing the surface smoothing treatment, voids generated by the removal of the solvent at the time of drying disappear and the filling rate of the ferromagnetic powder in the magnetic layer is improved. For this reason, a magnetic recording medium having high electromagnetic conversion characteristics can be obtained. As the calendering roll, a heat-resistant plastic roll such as epoxy, polyimide, polyamide, polyamideimide or the like is used. Moreover, it can also process with a metal roll.
[0034]
The magnetic recording medium of the present invention preferably has a surface with good smoothness. In order to improve the smoothness, for example, it is effective to subject the magnetic layer formed by selecting a specific binder as described above to the calendar treatment. In the calendar treatment, the temperature of the calendar roll is set to 60 to 100 ° C., preferably 70 to 100 ° C., particularly preferably 80 to 100 ° C., and the pressure is usually 100 to 500 kg / cm (98 to 490 kA / m), preferably 200 450 kg / cm (196 to 441 kA / m), particularly preferably 300 to 400 kg / cm (294 to 392 kA / m). The obtained magnetic recording medium can be cut into a desired size using a cutting machine or the like. The magnetic recording medium that has undergone the calendar process is generally heat-treated. Recently, it has been emphasized to lower the thermal shrinkage rate for the linearity of the high-density magnetic recording tape (to ensure off-track margin). In particular, as the track becomes narrower, the shrinkage rate in the MD direction (longitudinal direction) under the use environment is required to be suppressed to 0.07% or less. As a means for reducing the heat shrinkage rate, there are a method in which heat treatment is performed in a web shape while handling at a low tension, and a method in which heat treatment is performed in a form in which tapes are laminated as in a bulk or cassette (thermo treatment). When the former is used, there is little risk of unevenness on the back surface, but the heat shrinkage rate cannot be greatly reduced. Although it varies somewhat depending on the annealing temperature, staying time, tape thickness, and handling tension, 0.1 to 0.12% is the limit of the thermal shrinkage after 48 hours at 70 ° C. The latter thermo-treatment can greatly improve the heat shrinkage ratio, but the unevenness of the back surface is considerably reflected, so that the magnetic layer may become rough and cause a decrease in output and an increase in noise.
[0035]
By adopting the configuration of the magnetic recording medium of the present invention, it is possible to form a layer that is highly elastic and hardly remains plastically deformed. Therefore, particularly in a magnetic recording tape with a thermo process, a high-output, low-noise magnetic recording tape Can be supplied. This is particularly noticeable when the above-mentioned polyurethane resin is used. The thermal shrinkage in the MD direction after 70 hours at 70 ° C. of the magnetic recording tape of the present invention is 0.12% or less. This heat shrinkage rate is obtained by hanging a load of 0.2 g on one side of a tape piece of 8 mm width × 10 cm, storing it in a 70 ° C. environment for 48 hours, and changing the tape length after storage to the tape length before storage ( Divided by 10 cm). In the magnetic recording medium of the present invention, since the surface of the back layer can be smoothed, the friction coefficient of the back layer can be set to a moderate level. This increases the inter-layer friction coefficient between the back layer and the magnetic layer, so that the tape wound up on the roll, slit pancake, or built-in reel is good even when handled at a high speed during the production of the magnetic recording medium. . Similarly, the tape on the reel after the video cassette recorder (VCR) is fast-forwarded or rewinded at high speed is also good.
[0036]
【Example】
The present invention will be described more specifically with reference to the following examples. The components, ratios, procedures, and the like described in the following examples can be appropriately changed without departing from the gist of the present invention. Therefore, the scope of the present invention is not limited to the specific examples shown in the following examples.
Example 1
Production of Magnetic Recording Tape The component a of the magnetic layer forming paint described in Table 1 was kneaded with an open kneader and then dispersed using a sand mill. The component b was added to the obtained dispersion, the component c was further added, and the mixture was filtered using a filter having an average pore size of 1 μm to prepare a coating material for forming a magnetic layer.
The component d of the coating composition for forming a nonmagnetic layer shown in Table 2 was kneaded with an open kneader, and then dispersed using a sand mill. The component e was added to the obtained dispersion, the component f was further added, and the mixture was filtered using a filter having an average pore size of 1 μm to prepare a nonmagnetic layer-forming coating material.
The k component of the coating material A for back layer formation described in Table 3 was kneaded and then dispersed using a sand mill. The coating liquid for the back layer of Example 1 of this invention was prepared by adding h component to the obtained dispersion liquid, and filtering using a filter with an average hole diameter of 1 micrometer.
On the polyethylene naphthalate support (magnetic layer side Ra: 1.4 nm, back layer side Ra: 3 nm) having a thickness of 5.2 μm, the prepared nonmagnetic layer-forming coating material has a thickness after drying of 1.5 μm. Immediately thereafter, the magnetic layer-forming coating material was applied so that the thickness after drying was 0.07 μm. The magnetic layer forming paint was dried, and magnetic field orientation was performed with a 3000 gauss magnet, followed by drying. The coating material for forming the back layer was applied and dried so that the thickness after drying was the thickness described in the table. Thereafter, a calendering process was performed by passing through the nips of the metal rolls six times by a calender device in which seven metal rolls were stacked (speed 100 m / min, linear pressure 300 kg / cm, temperature 90 ° C.). Furthermore, the magnetic recording tape of Example 1 was manufactured by thermo-treating at 70 ° C. for 48 hours and slitting to 6.35 mm width.
[0037]
[Table 1]
[0038]
(Note 1) Fe / Co (atomic ratio = 100/30), Fe / Al (atomic ratio = 100/11)
Coercive force Hc: 192 kA / m (2430 Oe), crystallite size: 110 mm, saturation magnetization moment σs: 110 A · m 2 / kg, average major axis length (arithmetic average of major axis length): 0.045 μm, average needle ratio (Arithmetic mean of needle ratio): 5.5
(Note 2) Number average molecular weight: 36000, Tg: 94 ° C., —SO 3 Na group: 6 μeq / g
<Synthetic composition>
Hydrogenated bisphenol A: 0.6 mol
Polypropylene oxide adduct of bisphenol A: 0.3 mol
Na salt of bis (2-hydroxyethyl) 5-sulfoisophthalate: 0.05 mol
Diphenylmethane diisocyanate: 1.0 mol
Trimethylolpropane: 0.05 mol
[0039]
[Table 2]
[0040]
(Note 3) Average major axis length: 0.15 μm, average needle ratio: 8
Aspect ratio: 2.5
Surface coating compound: Al 2 O 3 / SiO 2
S BET : 70 m 2 / g
Surface coating compound: Al 2 O 3 / SiO 2
(Note 4) DBP oil absorption: 120ml / 100g
pH: 8, S BET : 250 m 2 / g
[0041]
[Table 3]
[0042]
(Note 5) Number average molecular weight: 45000, Tg: 105 ° C., —SO 3 Na group: 6 μeq / g
<Synthetic composition>
Hydrogenated bisphenol A: 0.5 mol
Polypropylene oxide adduct of bisphenol A: 0.4 mol
Na salt of bis (2-hydroxyethyl) 5-sulfoisophthalate: 0.05 mol
Diphenylmethane diisocyanate: 1.0 mol
Trimethylolpropane: 0.05 mol
[0043]
Examples 2-7, Comparative Examples 1-4
A magnetic tape having various back layers was obtained according to Example 1 except that the elements listed in Table 4 were changed. In Table 4, in bundled hematite, Examples 1, 5, 6 and 7 are the same as Note 3 in Table 2. In the carbon black in the table, Examples 1, 2, 3, 5, 6 and Comparative Example 4 are the same as Note 4 in Table 2. In the column of the size of the nonmagnetic inorganic particles, Comparative Example 1 shows the average particle diameter, and the others are the average major axis length.
[0044]
The following tests and measurements were performed on each of the manufactured magnetic recording tapes.
Test and measurement method (1) C / N measurement Recording head (MIG, gap: 0.15 μm, track width: 18 μm, 1.8T) and reproducing MR head (shield type: gap between shields: 0.2 μm, track) (4 μm width) was attached to a drum tester and measured.
A single frequency signal with a recording wavelength of 0.2 μm (50 MHz) is recorded at a head-medium relative speed of 10 m / min, and the reproduced signal is frequency-analyzed with a spectrum analyzer manufactured by Shiba-Soku, and the output voltage of the single frequency signal and a noise voltage 1 MHz apart The ratio was C / N. During reproduction, a bias current was applied to the MR head so that the reproduction output was maximized.
(2) The Young's modulus {MD (longitudinal direction) and TD (width direction)} of the tape was determined with a stiffness tensile tester under the conditions of a sample length of 50 mm and a tensile speed of 50 mm / min. This value was multiplied by the cube of the tape thickness to obtain stiffness.
(3) Evaluation of running durability The amount of increase (ke / min) of dropout (1 μsec / -8 dB) before and after 1000 passes was repeatedly measured with a DVC-PRO VTR manufactured by Matsushita Electric.
The test and measurement results were as shown in the following table.
[0045]
[Table 4]
[0046]
From the above table, the embodiment of the present invention has a high C / N, a low error rate increase, and a good storage stability. In the comparative example, C / N is lower than that in the example, and the error rate increase is also high.
[0047]
【The invention's effect】
The present invention smoothes the surface of the back layer by using flat needle-like nonmagnetic inorganic particles having a specific shape and size for the back layer, prevents the back surface from being exposed to the magnetic layer, and particularly the width of the magnetic recording medium. Since the direction stiffness can be improved, it is possible to provide a magnetic recording medium with improved head touch, high C / N, and excellent running durability.