JP2004003827A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リニアコンプレッサ1aを有する冷凍サイクル装置101の冷凍能力を、負荷に応じて、高速かつ安定に制御可能とする。
【解決手段】室内の熱交換器(蒸発器)53aの周辺温度、該蒸発器53aに対して使用者が設定した目標温度、及び室外の熱交換器(凝縮器)55aの周囲温度に基づいて、本冷凍サイクル装置101に要求される冷凍能力に応じた冷媒の体積循環量Vcoを求める体積循環量指令部7と、実際に本冷凍サイクル装置101の冷媒循環経路を流れる冷媒の体積循環量Vcdを検出する体積循環量検出部8aと、リニアコンプレッサ1aを駆動する交流電流を発生するインバータ2とを備え、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう上記インバータ2を制御するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】室内の熱交換器(蒸発器)53aの周辺温度、該蒸発器53aに対して使用者が設定した目標温度、及び室外の熱交換器(凝縮器)55aの周囲温度に基づいて、本冷凍サイクル装置101に要求される冷凍能力に応じた冷媒の体積循環量Vcoを求める体積循環量指令部7と、実際に本冷凍サイクル装置101の冷媒循環経路を流れる冷媒の体積循環量Vcdを検出する体積循環量検出部8aと、リニアコンプレッサ1aを駆動する交流電流を発生するインバータ2とを備え、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう上記インバータ2を制御するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍サイクル装置に関し、特に、シリンダ内のピストンをリニアモータにより往復運動させ、冷媒の圧縮ガスを生成するリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷媒の圧縮ガスを生成する機器として、機械的な弾性部材又は圧縮ガスの弾性を利用したリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置が知られている。このような冷凍サイクル装置の具体的な適用例としては、室内の冷暖房を行って室温を快適な温度に保つ空気調和機や、庫内の冷凍により庫内を適正な低温状態に保つ冷凍冷蔵庫などが考えられる。
【0003】
図11は、このような冷凍サイクル装置に用いられる、弾性部材としてバネを用いたリニアコンプレッサを説明するための図である。
リニアコンプレッサ1は、所定の軸線に沿って並ぶシリンダ部71aと、モータ部71bとを有している。該シリンダ部71a内には、上記軸線方向に沿って摺動自在に支持されたピストン72が配置されている。シリンダ部71内には、その一端がピストン72の背面側に固定されたピストンロッド72aが配置され、ピストンロッド72aの他端側には、該ピストンロッド72aを軸線方向に付勢する支持ばね(共振ばね)81が設けられている。
【0004】
また、上記ピストンロッド72aには、マグネット73が取り付けられており、上記モータ部71bの、マグネット73に対向する部分には、アウターヨーク74aとこれに埋設されたステータコイル74bとからなる電磁石74が取り付けられている。このリニアコンプレッサ1では、電磁石74と、上記ピストンロッドに取り付けられたマグネット73とによりリニアモータ82が構成されており、この電磁石74とマグネット73との間で発生する電磁力及び上記ばね81の弾性力により、上記ピストン72がその軸線方向に沿って往復運動する。
【0005】
さらに、シリンダ部71a内には、シリンダ上部内面75、ピストン圧縮面72b、及びシリンダ周壁面71a1により囲まれた密閉空間である圧縮室76が形成されている。シリンダ上部内面75には、ガス側流通路から圧縮室76に低圧冷媒ガスを吸入するためのガス側吸入管1aの一端が開口しており、さらに上記シリンダ上部内面75には、上記圧縮室76からガス側流通路へ高圧冷媒ガスを吐出するための吐出管1bの一端が開口している。上記吸入管1a及び吐出管1bの一端には、冷媒ガスの逆流を防止する吸入弁79及び吐出弁80が取り付けられている。
【0006】
そして、リニアコンプレッサ1では、上記リニアモータ82の駆動回路(図示せず)から該リニアモータ82への駆動電流の通電により、ピストン72がその軸線方向に往復動し、圧縮室76への低圧冷媒ガスの吸入、圧縮室76での冷媒ガスの圧縮、及び圧縮された高圧冷媒ガスの圧縮室76からの排出が繰り返し行われる。
【0007】
また、冷凍サイクル装置を制御する方法として、冷凍サイクル装置の熱負荷状態に基づいて、冷凍サイクル装置を構成するコンプレッサの運転をフィードバック制御する方法が広く行われている。
【0008】
図12は、冷凍サイクル装置の一適用例を説明するための図であり、冷房用の空気調和機を示している。
この空気調和機(冷凍サイクル装置)50は、部屋の内部(室内)に配置され、室内を冷やす室内機51と、部屋の外部(室外)に配置され、熱を廃棄する室外機52とを備えている。
【0009】
室内機51は、室内の空気と冷媒の間での熱交換を行い、室内の空気から熱を吸収する室内熱交換器(蒸発器)53と、該蒸発器53に吸い込まれる空気の温度、つまり室温(蒸発器の周辺温度)を検知する室温検知器54とを有している。
【0010】
室外機52は、外気と冷媒の間で熱交換を行い、外気に熱を放出する室外熱交換器(凝縮器)55と、冷媒を蒸発器53から凝縮器55へ流すガス側流通路Gpの一部に設けられ、蒸発器53から低温低圧の冷媒ガスを吸入して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを凝縮器55に送り出すコンプレッサ56とを有している。また、室外機52は、冷媒を凝縮器55から蒸発器53へ流す液側流通路Lpの一部に配置され、冷媒がより低い温度で蒸発するよう、高圧の液冷媒を低圧の液冷媒に減圧する膨張弁57を有している。なお、図12中、Lmfは、液側流通路Lp内を冷媒液が流れる方向、Gmfは、ガス側流通路Gp内を冷媒ガスが流れる方向を示している。
【0011】
ここで、上記凝縮器55と蒸発器53の働きについて簡単に説明する。
凝縮器55では、内部を流れる高温高圧の冷媒ガスは、送り込まれる空気により熱を奪われて徐々に液化し、凝縮器55の出口付近では高圧の液冷媒となる。これは、冷媒が大気中に熱を放熱して液化することと等しい。
【0012】
また、蒸発器53には膨張弁57で低温低圧となった液冷媒が流れ込む。この状態で蒸発器53に部屋の空気が送り込まれると、液冷媒は空気から大量の熱を奪って蒸発し、低温低圧のガス冷媒に変化する。蒸発器53にて大量の熱を奪われた空気は空調機の吹きだし口から冷風となって放出される。
【0013】
以上のように、上記空気調和機50では、蒸発器53、凝縮器55、これらの間のガス側流通路Gp及び液側流通路Lp、ガス側流通路Gpに配置されたコンプレッサ56、並びに、液側流通路Lpに配置された膨張弁57により、冷媒の循環閉路が形成されており、循環閉路に封入された冷媒をコンプレッサ56により循環させることにより、冷媒の循環閉路内に周知のヒートポンプサイクルが形成される。
【0014】
ここで、冷媒の循環量を制御する方式としては、上記空気調和機に対して設定された目標温度と、実際の室温とを用いた方法が一般的である(例えば特許文献1参照。)。
【0015】
図13は、冷房用空気調和機を制御する従来の冷凍サイクル制御方法を説明するための図である。
この従来の冷凍サイクル制御方法では、空気調和機により冷房される室内の温度(室温)は、室内器吸込み温度検出器60により検出される。室温の具体的な検出方法には、熱電対などの温度センサを用いて室内空気の温度をセンシングする方法が考えられる。また、室温設定器61では、使用者の操作信号に基づいて、使用者が希望する室内温度が目標温度として設定される。この目標温度の具体的な設定方法には、空気調和機のリモコンからの操作信号をマイコンで処理して算出する方法が考えられる。そして、減算器63では、室内器吸い込み温度検出器60が検出した室内温度Tdetと、室温設定器61により設定された目標温度Tordとの温度差Tdiffが算出される。コンプレッサ回転数指令器62では、コンプレッサ56の回転数ωordが、上記温度差Tdiffに応じた回転数となるようコンプレッサに対する指令が行われる。具体的には、温度差Tdiffが大きいほどコンプレッサ回転数ωordは増加することとなる。
【0016】
【特許文献1】
特開平9−68341号公報(第1図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の冷凍サイクル制御方法は、冷房する部屋の温度とその目標温度との差分に応じてコンプレッサの回転数を変更するものであり、冷凍サイクルを循環する冷媒の循環量が、コンプレッサの回転数により一定の値に決定される冷凍サイクル装置では、高効率な冷凍サイクル制御を行うことができるが、冷媒の循環量が、コンプレッサの回転数のみにより決定されない冷凍サイクル装置では、高効率な冷凍サイクル制御を行うことが困難であるという問題がある。
【0018】
例えば、従来の回転型モータを利用したコンプレッサ(回転型コンプレッサ)、具体的にはレシプロコンプレッサ、ロータリーコンプレッサ、スクロールコンプレッサ等では、モータが一回転することにより圧縮される冷媒の容積が決まっている。このため、回転型コンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、そのコンプレッサのモータ回転数により、冷凍サイクルを循環する冷媒の循環量が一定値に決定される。このため回転型コンプレッサでは、コンプレッサの回転数を制御することにより、高効率な冷凍サイクル制御を行うことができる。
【0019】
一方、上記説明したようなリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、コンプレッサの圧縮室の容積が変動するため、一回の冷媒圧縮動作により圧縮される冷媒の容積が一意に決まらない。また、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、圧縮動作終了時に圧縮室に残存する冷媒の量が一定でないため、ピストンのストロークから冷凍サイクルでの冷媒の循環量を算出することもできない。この結果、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、コンプレッサの回転数制御により、つまり、単位時間当たりのピストンの往復運動の回数を制御することにより、高効率な冷凍サイクル制御を行うことはできない。
【0020】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、冷房あるいは暖房が行われる部屋などの実際の温度と、その目標温度との温度差に応じて、冷凍能力の制御を高効率でもって行うことができる、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明(請求項1)に係る冷凍サイクル装置は、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の体積を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の体積を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
この発明(請求項2)は、請求項1記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部とを備え、上記実循環量検出部は、検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を算出し、該容積と上記インバータの発生する交流電流の周波数との乗算により、上記実際の冷媒循環量を求めるものであることを特徴とするものである。
【0023】
この発明(請求項3)は、請求項2記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吐出側に位置する、冷媒を凝縮させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、該リニアコンプレッサが吐出する冷媒の圧力を推定する吐出圧力推定部と、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、上記リニアコンプレッサが吸入する冷媒の圧力を推定する吸入圧力推定部とを備え、上記実循環量検出部は、推定された吸入冷媒の圧力及び推定された吐出冷媒の圧力から得られる、上記循環経路における冷媒の最高圧力と最低圧力の圧力比と、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置とを用いた演算により、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を求めるものであることを特徴とするものである。
【0024】
この発明(請求項4)に係る冷凍サイクル装置は、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の重量を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の重量を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0025】
この発明(請求項5)は、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を検出する吐出冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、上記単位時間当たりにリニアコンプレッサにより吐出される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするものである。
【0026】
この発明(請求項6)は、請求項5記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出部とを備え、上記吐出冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を導出するものであることを特徴とするものである。
【0027】
この発明(請求項7)は、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を検出する吸入冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、単位時間当たりに上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするものである。
【0028】
この発明(請求項8)は、請求項7記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出部とを備え、上記吸入冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を求めるものであることを特徴とするものである。
【0029】
この発明(請求項9)は、請求項8記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器である蒸発器内の冷媒の温度を、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の飽和温度として検出する冷媒温度検出器と、上記リニアコンプレッサの運転状態に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度とその飽和温度との温度差である該冷媒の過熱度を推定する過熱度推定部とを備え、上記吸入温度検出部は、上記検出された蒸発器内の冷媒の温度と、上記推定された冷媒の過熱度とを加算して、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を求めるものであることを特徴とするものである。
【0030】
この発明(請求項10)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する空気調和機であって、上記第1の熱交換器は、室外側熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、室内側熱交換器であることを特徴とするものである。
【0031】
この発明(請求項11)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する冷蔵庫であって、上記第1の熱交換器は、熱を放出する凝縮器であり、上記第2の熱交換器は、庫内を冷却する蒸発器であることを特徴とするものである。
【0032】
この発明(請求項12)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する給湯器であって、水を貯める貯水槽を備え、上記第1の熱交換器は、上記貯水槽の水を加熱する水熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、周辺雰囲気から熱を吸収する空気熱交換器であることを特徴とするものである。
【0033】
この発明(請求項13)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する極低温冷凍装置であって、冷凍室を有し、上記第1の熱交換器は、熱を放出する放熱器であり、上記第2の熱交換器は、上記冷凍室内を冷却する蓄冷器であることを特徴とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
本発明の冷凍サイクル装置は、冷媒を循環させる手段としてリニアコンプレッサを使用するものであり、本発明の特徴は、リニアコンプレッサのピストンの動きから、冷凍サイクル装置における冷媒の循環量、つまりリニアコンプレッサの吐出あるいは吸入する冷媒の単位時間当たりの体積量あるいは重量(以下、体積循環量あるいは重量循環量ともいう。)を算出し、この算出した冷媒の体積量あるいは重量が、要求される冷凍能力に相当する値となるようリニアコンプレッサを駆動制御することにより、冷凍サイクル装置の高速かつ安定な制御を行うことである。
【0035】
ここで、上記リニアコンプレッサの制御は、リニアモータに印加する駆動電流を制御することにより行われるものであり、また、駆動電流の具体的な制御方法には、冷凍サイクル装置の凝縮器や蒸発器等の熱交換機の周辺温度と、該熱交換器に対して設定された設定温度(目標温度)との温度差が減少するよう、駆動電流の振幅や周波数、あるいは波形などを変更する方法が考えられる。
【0036】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置を説明するための図である。
本発明の実施の形態1の冷凍サイクル装置101は、室内の冷房を行う空気調和機であり、図8に示す従来の空気調和機50と同様、冷媒の循環経路(冷凍サイクル)を形成する第1の熱交換器(蒸発器)53a及び第2の熱交換器(凝縮器)55aと、該両熱交換機をつなぐガス側流通路Gpに配置されたリニアコンプレッサ1aと、該両熱交換器をつなぐ液側流通路Lpに配置された絞り装置57aとを有している。
【0037】
ここで、上記リニアコンプレッサ1aは、図7に示すリニアコンプレッサ1と同一のものであり、ピストン72を含むシリンダ部71aと該ピストン72を往復動作させるリニアモータ82を含むモータ部71bとを有し、該ピストンの往復運動により、上記冷媒の循環経路内で冷媒を循環させるものである。
【0038】
また、上記冷凍サイクル装置101は、上記リニアコンプレッサ1aのリニアモータに駆動電流Cdを供給してリニアコンプレッサ1aを駆動するコンプレッサ駆動部101aを有している。
【0039】
以下、このコンプレッサ駆動部101aについて詳述する。
このコンプレッサ駆動部101aは、この冷凍サイクル装置101にかかる負荷の状態を検出するための温度検出器3及び5を有している。該温度検出器3は、上記第2の熱交換器(凝縮器)55a周辺の雰囲気の温度(周囲温度)THdを検出し、該検出された温度(検出温度)を示す検出信号を出力する第2の熱交換器周囲温度検出器である。上記温度検出器5は、上記第1の熱交換器(蒸発器)53a周辺の雰囲気の温度(周囲温度)TLdを検出し、該検出された温度(検出温度)を示す検出信号を出力する第1の熱交換器周囲温度検出器である。
【0040】
なお、上記温度検出器3及び5は、熱交換器の周囲温度を検出して温度情報を出力するものであれば、どのようなものでもよい。例えば、このような温度検出器には、バイメタルを用いた機械式温度計、熱膨張温度計、磁気温度計、熱電対を用いた電気式温度計、抵抗温度計、サーミスタ温度計、半導体温度計、放射温度計、光温度計などが挙げられる。さらに、上記熱交換器の周囲温度を検出する温度検出器3及び5は、熱交換器周囲の雰囲気温度を検出するものに限らず、熱交換器周辺で輻射熱を検出するものであってもよい。
【0041】
上記コンプレッサ駆動部101aは、上記冷凍サイクル装置の運転状態を指令するための温度指令器4及び6を有している。該温度指令器4は、第2の熱交換器(凝縮器)55aに対して利用者が設定した目標温度(指令温度)THoを示す指令信号を出力する第2の熱交換器周囲温度指令器である。また、上記温度指令器6は、第1の熱交換器(蒸発器)53aに対して利用者が設定した目標温度(指令温度)TLoを示す指令信号を出力する第1の熱交換器周囲温度指令器である。ここで、上記凝縮器55aに対して設定された目標温度は、凝縮器の周辺温度(周囲温度)の目標値であり、上記蒸発器53aに対して設定された目標温度は、蒸発器の周辺温度(周囲温度)の目標値である。
【0042】
なお、上記冷凍サイクル装置101は、室内の冷房を行う空気調和機であるので、通常は、利用者が第2の熱交換器55aに対してその周辺温度の目標値を設定することはなく、上記温度指令器4は不要なものであるが、例えば、冷房運転時に空気調和機の第2の熱交換器から廃棄される熱(廃熱)が給湯システムで利用される場合などには、上記温度指令器4は、給湯システムにより供給される温水の目標温度(利用者の設定した温度)THoを示す指令信号を出力するものとして利用される。また、上記温度指令器6が出力する指令信号は、例えば、空気調和機のリモコンに内蔵されたマイコン(マイクロコンピュータ)が出力する、上記第1の熱交換器の設定温度(目標温度)を示すデジタル指令信号である。但し、該温度指令器6が出力する指令信号は、このようなデジタル指令信号に限らず、空気調和機に取り付けられている、温度設定を行うためのロータリースイッチが出力するアナログ指令信号であってもよい。
【0043】
上記コンプレッサ駆動部101aは、上記温度検出器3、5および温度指令器6から出力された温度情報に基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力(つまり単位時間当たりに行われるべき熱交換量)を計算し、計算された冷凍能力に応じた冷媒の体積循環量(つまりリニアコンプレッサ1aが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の体積)Vcoを示す指令信号(冷媒循環量情報)を出力する体積循環量指令部7と、実際に本冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の体積循環量(つまり実際にリニアコンプレッサ1aが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の体積)Vcdを検出し、該体積循環量を示す検出信号(冷媒循環量情報)を出力する体積循環量検出部8aとを有している。
【0044】
ここで、上記体積循環量検出部8aには、冷媒循環経路を流れる冷媒の容積流量を実測する容積流量計を用いている。
また、上記体積循環量指令部7での具体的な体積循環量の算出方法には、通常、検出温度(つまり温度検出器により検出された温度)と指令温度(つまり温度指令器からの指令信号が示す目標温度)の温度差に基づいて、冷凍サイクル装置に必要とされる冷媒の体積循環量を求める方法(第1の方法)が用いられる。
【0045】
但し、空気調和機を小さな部屋に設置した場合と大きな部屋に設置した場合とでは、実質的に必要となる冷房能力は異なる。例えば、上記温度差が同一でも、部屋が大きい場合の方が、必要とされる冷房能力は大きい。
【0046】
そこで、体積循環量の算出方法として、必要な体積循環量を算出する演算を、検出温度と指令温度の温度差の一定時間内当たりの変化量(言い換えると、検出温度の一定時間内当たりの変化量)を上記演算にフィードバックして行う第2の方法が考えられる。具体的には、この第2の方法は、上記第1の方法により求められた必要な体積循環量を、検出温度の一定時間内当たりの変化量から求められた熱負荷の大きさ(具体的には、冷房される部屋の大きさ)に応じて補正するものである。
【0047】
さらに、上記体積循環量指令部7での具体的な体積循環量の算出方法は、検出温度の値と指令温度の値との組に対して体積循環量の値が対応付けられているマトリックス状テーブルなどを用いて、上記第2の方法のようなフィードバックループではなくオープンループでもって、必要な体積循環量を算出する第3の方法でもよい。
【0048】
上記コンプレッサ駆動部101aは、リニアコンプレッサ1aのリニアモータに駆動電流として供給する交流電流Cdを作成するインバータ2と、該インバータ2の動作を、上記体積循環量指令部7からの指令信号Vcoが示す冷媒の体積循環量と、上記体積循環量検出部8aからの検出信号が示す冷媒の体積循環量Vcdの差分がゼロとなるよう制御するインバータ制御部20とを備えている。
【0049】
以下、リニアコンプレッサを駆動制御する方法について具体的に説明する。
リニアコンプレッサ1aのリニアモータは、単相の交流電流、もしくは直流が重畳された交流電流によって駆動され、また、リニアコンプレッサ1aは、バネやガスといった弾性部材の共振現象を用いて高効率に運転されるものであり、このためリニアコンプレッサの運転周波数、つまりピストン往復運動の振動数はほぼ一定である。
【0050】
そこで、リニアコンプレッサを利用した冷凍サイクル装置での冷媒循環量を調整する方法が、以下の示すとおり、いくつか考えられる。
まず、インバータ2が出力する交流電流の振幅値を変化させることにより、リニアコンプレッサ1aが吐出あるいは吸入する冷媒循環量を調整する方法がある。
【0051】
また、インバータ2の駆動電流が、直流が重畳された交流電流である場合、リニアコンプレッサ1a内のピストンの振動の中心位置がシリンダヘッドに近づくよう直流電流のレベルを調整することにより、冷媒循環量を増大させ、ピストンの振動の中心位置がシリンダヘッドから遠ざかるするよう直流電流のレベルを調整することにより、冷媒循環量を減少させる方法を用いることができる。また、交流電流の振幅と直流電流のレベルを共に変化させることによって、体積循環量を調整する方法も考えられる。
【0052】
さらに、リニアコンプレッサ1aの共振周波数がある一定の周波数帯域幅を有する場合、インバータ2の出力電流の周波数を変化させることにより、冷媒の体積循環量を変化させる方法を用いることができる。さらには、インバータ2の出力する交流電流の波形を変化させることにより、上記冷媒の体積循環量を変化させる方法も考えられる。
【0053】
次に動作について説明する。
インバータ2で発生された交流電流Cdがリニアコンプレッサ1aのリニアモータに印加されると、リニアモータが駆動し、ピストンの往復運動が開始する。その後、リニアコンプレッサ1aの駆動状態が安定したとき、該リニアコンプレッサ1aは、一定の負荷条件の下では、ピストン往復運動が共振状態である共振駆動状態となる。このときピストンの往復運動の振動数は、該交流電流Cdの周波数に一致する。
【0054】
このように上記リニアコンプレッサ1aが駆動され、これにより冷媒が冷凍サイクル装置の循環経路内を循環すると、第2の熱交換器(蒸発器)55aでは、冷媒の液化により該熱交換器55aから大気への熱の放出が行われ、また、第1の熱交換器(蒸発器)53aでは、冷媒の気化により周辺の空気からの熱の吸収が行われる。このとき、冷媒は、上記冷媒循環経路内を、リニアコンプレッサ1a、第2の熱交換器55a、絞り装置57a、第1の熱交換器53a及びリニアコンプレッサ1aの順に循環する。なお、図1中、Cmfは、本実施の形態1の冷凍サイクル装置101の冷房運転時に冷媒が冷媒循環経路内を循環する方向である。
【0055】
以下、冷凍サイクル装置101のリニアコンプレッサの具体的な制御について説明する。
この空気調和機(冷凍サイクル装置)101では、その運転中に、温度検出器5にて第1の熱交換器53aの周囲温度が検出され、温度検出器3にて第2の熱交換器55aの周囲温度が検出される。該各温度検出器3、5からは、該検出された周囲温度(検出温度)THd、TLdを示す検出信号が出力され、それぞれ体積循環量指令部7に入力される。また、温度指令器6からは、第1の熱交換器53aに対して設定された目標温度(指令温度)、つまり利用者が設定した室内温度TLoを示す指令信号が出力され、該指令温度TLoを示す指令信号が体積循環量指令部7に入力される。
【0056】
なお、この実施の形態1では、上述したように、第2の熱交換器55aに対して目標温度が設定されていないため、リニアコンプレッサの制御に、温度指令器4の出力は用いないが、例えば、この冷凍サイクル装置の冷房運転時に廃棄される廃熱を、給湯システムなどで利用する場合には、温度指令器4からは、給湯システムにより供給される温水の、利用者が設定した目標温度(指令温度)THoを示す指令信号が、上記体積循環量指令部7に出力されることとなる。
【0057】
上記のように、温度検出器3、5からの検出信号、及び温度指令器からの指令信号が体積循環量指令部7に入力されると、体積循環量指令部7では、上記検出温度TLdと指令温度TLoとの温度差、及び検出温度THdに基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出する演算処理が行われ、算出された体積循環量Vcoを示す指令信号(循環量情報)がインバータ制御部20に供給される。
【0058】
一般的に空気調和機の冷房運転の場合、検出温度(実際の室温)TLdが指令温度(目標温度)TLoに対して高ければ高いほど冷凍サイクルに要求される冷媒循環量は多くなる。また、空気調和機の冷房運転では、室外機(凝縮器)の周囲温度が低くなると、冷凍サイクルの負荷は小さくなって必要な冷媒循環量は少なくなり、逆に、室外機の周囲温度が高くなると、冷凍サイクルの負荷が大きくなって必要な冷媒循環量は多くなる。さらに、上述したように、冷凍サイクル装置から廃棄される廃熱が給湯システムで利用される場合には、検出温度THdが指令温度THoに対して低ければ低いほど冷凍サイクルに要求される冷媒循環量は多くなる。
【0059】
さらに、この空気調和機(冷凍サイクル装置)101の運転中には、体積循環量検出部8aにて、実際に冷媒循環経路を循環している冷媒の体積量(体積循環量)Vcdが検出され、該体積循環量Vcdを示す検出信号(循環量情報)が上記インバータ制御部20に供給される。
【0060】
そして、インバータ制御部20では、体積循環量指令部7にて算出された冷媒の体積循環量Vcoと、上記体積循環量検出部8aにて検出された冷媒の体積循環量Vcdとに基づいて制御信号Scがインバータ2に供給される。するとインバータ2では、制御信号Scに基づいて、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう、上記インバータ2の、交流電流を発生する動作が制御される。
【0061】
例えば、必要とされる冷媒の体積循環量Vcoと実際の冷媒の体積循環量Vcdとの差分が大きいほど、上記インバータ2で発生される交流電流Cdの振幅は大きなものとなり、この結果、リニアコンプレッサ1aでは、往復運動するピストンのストローク長は大きくなる。
【0062】
これにより、冷凍サイクルにおける冷媒の循環量が増大して、時間当たりの熱交換量が増加し、蒸発器53aの周囲温度TLdが、その設定温度(目標温度)TLoに近づくこととなる。
【0063】
このように本実施の形態1では、リニアコンプレッサ1aを用いた冷凍サイクル装置101において、室内の熱交換器(蒸発器)53aの周辺温度、該蒸発器53aに対して使用者が設定した目標温度、及び室外の熱交換器(凝縮器)55aの周囲温度に基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力に応じた冷媒の体積循環量Vcoを求める体積循環量指令部7と、実際に本冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の体積循環量Vcdを検出する体積循環量検出部8aとを備え、リニアコンプレッサの駆動電流(交流電流)を発生するインバータ2を、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう制御するので、室内の実際の温度と、その目標温度との差分に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を高効率でもって制御することができる。
【0064】
また、この実施の形態1では、室内の温度(第1の熱交換器53aの周囲温度)だけでなく、室外の温度(第2の熱交換器55aの周囲温度)にも基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態1では、第1及び第2の両熱交換器の周囲温度を検出する場合について説明したが、冷凍サイクル装置101は、第1の熱交換器53aの周囲温度のみを検出するものであってもよく、この場合、第2の熱交換器55aの周囲温度を検出する温度検出器3は不要となる。
【0066】
また、上記実施の形態1では、体積循環量検出部8aとして冷媒の容積流量を実測する容積流量計を用いているが、上記体積循環量検出部8aはこれに限るものではなく、例えば、冷媒循環経路を流れる冷媒中に発生する圧力差に基づいて冷媒の流量を推測する差圧流量計であってもよく、さらにその他の、面積流量計、タービン流量計、渦流量計、超音波流量計、電磁流量計などといった、流体の流量を計測する計測器であってもよい。
【0067】
また、上記実施の形態1では、冷凍サイクル装置が、冷房を行う空気調和機である場合について説明したが、冷凍サイクル装置は、暖房を行う空気調和機であってもよい。この場合、上記第1の熱交換器53aは凝縮器として動作し、第2の熱交換器55aは蒸発器として動作することとなり、使用者は、凝縮器として動作する第1の熱交換器53aの周辺温度の目標値を設定することとなる。
【0068】
以下、冷凍サイクル装置が暖房運転を行う空気調和機である場合のリニアコンプレッサの具体的な制御について簡単に説明する。但し、この場合も、第2の熱交換器55aに対しては目標温度が設定されず、温度指令器4からは、目標温度(指令温度)THoを示す指令信号が出力されないものとする。
【0069】
上記温度検出器3及び5では、上記各熱交換器53a、55aの周囲温度が検出され、検出温度THd、TLdを示す検出信号が出力され、温度指令器6からは、第1の熱交換器に対する目標温度(指令温度)、つまり、利用者が設定した部屋の温度TLoを示す指令信号が出力される。
【0070】
体積循環量指令部7では、上記検出温度TLd、THd、及び指令温度TLoに基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出する演算処理が行われ、算出された体積循環量Vcoを示す検出信号(循環量情報)がインバータ制御部20に供給される。
【0071】
このように暖房運転を行う空気調和機では、検出温度TLdが指令温度TLoに対して低ければ低いほど冷凍サイクルに要求される冷媒循環量は多くなる。また、この空気調和機では、室外機の周囲温度が高くなると、冷凍サイクルの負荷は小さくなって必要な冷媒循環量は少なくなり、逆に、室外機の周囲温度が低くなると、冷凍サイクルの負荷が大きくなって必要な冷媒循環量は多くなる。
【0072】
そして、この空気調和機(冷凍サイクル装置)では、体積循環量検出部8aにて、実際に冷媒循環経路を循環している冷媒の体積量(体積循環量)Vcdが検出され、該体積循環量Vcdを示す指令信号(循環量情報)が上記インバータ制御部20に供給され、上記インバータ2の動作が、該インバータ制御部20からの制御信号Scにより、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう制御される。
【0073】
このような暖房運転を行う空気調和機においても、上記実施の形態の冷房運転を行う空気調和機と同様、要求される冷媒の体積循環量Vcoと実際の冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう、上記リニアコンプレッサ1aの駆動電流(交流電流)を発生するインバータ2を制御するので、室内の実際の温度と、その目標温度との差分に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を高効率でもって制御することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、冷凍サイクル装置が空気調和機である場合について示したが、上記冷凍サイクル装置は、これに限るものではなく、冷蔵庫や給湯器や極低温冷凍装置などであってもよい。
【0075】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【0076】
この実施の形態2の冷凍サイクル装置102は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101におけるコンプレッサ駆動部101aに代えて、該コンプレッサ駆動部101aとは、実際の冷媒の体積循環量を検出する方法が異なるコンプレッサ駆動部102aを備えたものであり、その他の構成は実施の形態1のものと同一である。
【0077】
つまり、上記コンプレッサ駆動部102aは、実施の形態1のコンプレッサ駆動部101aと同様、第2の熱交換器周囲温度検出器3、第1の熱交換器周囲温度検出器5、第2の熱交換器周囲温度指令器4、第1の熱交換器周囲温度指令器6、体積循環量指令部7、インバータ2、及びインバータ制御部20を有している。
【0078】
そして、この実施の形態2のコンプレッサ駆動部102aは、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンのストローク長を検出し、検出したストローク長Dpsを示す検出信号(ストローク情報)を出力するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンの上死点位置、つまり、ピストンがシリンダヘッドに最も近づいたときのピストン位置Dfdを検出し、該上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)を出力する上死点位置検出部10と、上記ストローク長Dps及び上死点位置Dfdに基づいて、冷凍サイクル装置102の冷媒循環経路を流れる冷媒の実際の体積循環量Vcdを算出する体積循環量検出部8bとを有している。
【0079】
ここで、上記ストローク検出部9及び上死点位置検出部10には、接触型の位置センサを用いている。但し、上記各検出部は、接触型の位置センサに限らず、非接触型の位置センサ、例えば渦電流式のギャップセンサや2つのコイルを用いた作動トランスであってもよく、さらに、リニアコンプレッサに入力する電流と電圧の値から、上記ピストンのストローク長及び上死点位置を推測するものであってもよい。
【0080】
次に動作について説明する。
この実施の形態2の冷凍サイクル装置102では、実際の冷媒の体積循環量を求める動作のみ実施の形態1と異なっており、以下では、主に実際の冷媒の体積循環量を求める動作について説明する。
【0081】
リニアコンプレッサ1a内で冷媒が圧縮されるとき、もれ等がないと仮定した場合、その冷媒の状態変化は断熱変化である。そこで、冷媒の圧力をP、その体積をV、比熱比をγとすると、以下の式(1)が成り立つ。
P×Vγ=一定 ・・・(1)
【0082】
なお、上記比熱比γは、上記冷媒の定圧比熱CPと定積比熱CVの比であり、これは、冷媒の種類によって異なるものである。
次に、ピストンの一往復によりリニアコンプレッサ1aから吐出する冷媒の体積を、ピストンのストローク長と上死点位置から求める方法について説明する。
【0083】
図3は、シリンダ71内でのピストン72の位置を示す図であり、図3(a)は、ピストン72が上死点位置にあるとき、つまりピストンがシリンダヘッドに最も接近したときの様子を示し、図3(b)はピストン72が下死点位置にあるとき、つまりピストンがシリンダヘッドから最も遠ざかったときの様子を示している。
【0084】
図3(a)に示すように、ピストン72が上死点位置にあるとき、圧縮室76の内部の冷媒の圧力Pxは、圧力P1[Pa]となる。また、冷凍サイクル(冷媒の循環経路)内を冷媒が循環している状態で、ピストンが上死点位置にあるときは、圧縮室76の内部圧力Pxは、冷媒がリニアコンプレッサから吐出されるときの圧力(吐出圧力)Pd[Pa]まで上昇している。このため、ピストンが上死点位置にあるときの冷媒の圧力P1[Pa]は、上記吐出圧力Pd[Pa]に等しい。
【0085】
また、圧縮室76の体積Vxは、ピストン72が上死点位置にあるとき最小となり、このときの圧縮室の体積V1[m3]は、ピストン72が上死点位置にあるときのシリンダヘッド内面とピストン圧縮面との間隔x1[m]と、ピストンの断面積S[m2]の積として求めることができる。
【0086】
図3(b)に示すように、ピストン72が下死点位置にあるとき、圧縮室内部の冷媒の圧力Pxは、圧力P2[Pa]となる。また、冷凍サイクル内を冷媒が循環している状態で、ピストンが下死点位置にあるときは、圧縮室内部の圧力Pxは、冷媒がリニアコンプレッサに吸入されるときの圧力(吸入圧力)Ps[Pa]まで減少している。このため、ピストンが下死点位置にあるときの冷媒圧力P2[Pa]は、吸入圧力Ps[Pa]に等しい。
【0087】
また、圧縮室の体積Vxは、ピストン72が下死点位置にあるとき最大となり、このときの圧縮室の体積V2[m3]は、ピストン72が下死点位置にあるときのシリンダヘッド内面とピストン圧縮面との間隔x3[m]と、ピストンの断面積S[m2]との積から求めることができる。なお、ここで、上記間隔x3[m]は、間隔x1[m]とピストンストローク長x2[m]の和である。
【0088】
図3(c)に示すように、ピストンがその下死点位置からシリンダヘッド側へ移動し始めると、リニアコンプレッサは圧縮状態となる。このとき、圧縮室の体積Vxは減少し始め、圧縮室内部の圧力Pxは吸入圧力P2から上昇し始める。そして、圧縮室内部の圧力Pxが吐出圧力P1に達するまで上昇したとき、リニアコンプレッサ1aの吐出弁が開き、冷媒の吐出が開始される。このときの圧縮室の体積Vxは、体積V3である。
【0089】
リニアコンプレッサの圧縮行程で、ピストンが下死点位置(図3(b))から吐出弁が開く位置(図3(c))まで移動する間は、圧縮室内部の冷媒は断熱変化しており、以下の式(2)が成り立つ。
P2×V2γ=P1×V3γ ・・・(2)
【0090】
よって、吐出される冷媒の体積は以下の(3)により求められる。
V3−V1=(P2/P1)1/γ×V2−V1 ・・・(3)
【0091】
一方、吸入される冷媒の体積は、リニアコンプレッサの吸入行程にて圧縮室内部の圧力Pxが吸入圧力Psに達したときの圧縮室の体積をV4[m3]とすると、以下の式(4)で求められる。
V2−V4=V2−(P1/P2)1/γ×V1 ・・・(4)
【0092】
なお、この実施の形態2では、上記(3)式及び(4)式の、吐出圧と吸入圧の圧力比(P1/P2)として、冷凍サイクルを動かすときの代表的な値を用いている。
【0093】
また、リニアコンプレッサ1aでは、入力される駆動電流と同一周波数でピストンの往復運動が行われるため、単位時間に行われるピストンの往復運動の回数は、インバータの出力電流の周波数と一致する。
【0094】
従って、上記体積循環量検出部8bでは、上記(3)式により求められた、ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の体積と、インバータの周波数との乗算処理により、単位時間あたりにリニアコンプレッサが吐出する冷媒の体積が求められる。また、上記体積循環量検出部8bでは、上記(4)式により求められた、ピストンの1往復運動により吸入される冷媒の体積と、インバータ出力の周波数との乗算処理により、単位時間あたりにリニアコンプレッサに吸入される冷媒の体積が求められる。
【0095】
そして、上記体積循環量検出部8bからは、単位時間あたりにリニアコンプレッサにより吐出あるいは吸入される冷媒の体積量Vcdを実際の冷媒の循環量として示す検出信号(循環量情報)が出力され、この検出信号が上記インバータ制御部20に供給されると、該インバータ制御部20からインバータ2の制御信号Scが出力される。すると、インバータ2では、上記制御信号Scに基づいて、必要とされる冷媒の体積循環量Vcoと実際の冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう、交流電流の発生動作が制御される。
【0096】
このように本実施の形態2では、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部10とを備え、上記ピストンのストローク長、上死点位置、及びリニアコンプレッサ1aの駆動電流であるインバータ2の出力交流電流の周波数に基づいて、冷凍サイクルを循環する実際の冷媒の体積循環量を算出するので、上記実施の形態1と同様、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷房する部屋の実際の温度と、その目標温度との差分に応じて、高い効率でもって制御することができるだけでなく、実際の冷媒の体積循環量を計測する流体センサを不要とできる効果がある。
【0097】
なお、上記実施の形態2では、吐出あるいは吸入される冷媒の体積の計算には、吐出圧と吸入圧の圧力比(P1/P2)として、冷凍サイクルを動かすときの代表的な値を用いているが、この圧力比は、実際に冷媒の吐出圧力と吸入圧力を計測して求めた値としてもよい。この場合、運転条件によって圧力状態が変化し、冷媒の吐出圧と吸入圧の圧力比が変化するような冷凍サイクル装置であっても、冷媒の体積循環量に基づいて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0098】
ここで、吐出圧力の値を求める方法には、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器のうち、コンプレッサの吐出側に設置され、凝縮器として作用している熱交換器の温度から、上記吐出圧力の値を、冷媒の飽和するときの圧力として求める方法がある。また、吸入圧力の値を求める方法には、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器、及び第2の熱交換器のうち、コンプレッサの吸入側に設置され、蒸発器として作用している熱交換器の温度から、吸入圧力の値を、冷媒の飽和するときの圧力として求める方法がある。
【0099】
つまり、冷媒液を、ある一定の圧力のもとで加熱すると、その液温が上昇してある温度に達したとき、冷媒液は沸騰し始める。この状態では、さらに冷媒液を加熱しても、冷媒液がすべて蒸発するまでは温度は一定に保持される。また、冷媒ガスを、ある一定の圧力のもとで冷却すると、そのガス温が低下してある温度に達したとき、冷媒ガスは凝縮し始める。この状態では、さらに冷媒ガスを冷却しても、冷媒ガスがすべて凝縮するまでは温度は一定に保持される。このように冷媒を加熱あるいは冷却しても温度が一定に保持される状態での冷媒の温度が飽和温度であり、そのときの冷媒の圧力が飽和圧力である。通常、蒸発器あるいは凝縮器の内部では、冷媒の圧力が一定に保たれており、冷媒はその液とその蒸気が混在した状態での飽和状態にある。また、飽和状態にあるときの温度(飽和温度)と圧力(飽和圧力)の関係は冷媒によって決まっている。従って、冷媒の飽和温度が測定できれば、飽和圧力を求めることができる。
【0100】
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図であり、該冷凍サイクル装置を構成するリニアコンプレッサ駆動部を示している。
【0101】
この実施の形態3の冷凍サイクル装置103は、実施の形態1における、冷媒の単位時間当たりの体積循環量(以下、単に体積循環量ともいう。)に基づいてリニアコンプレッサ1aを駆動制御するリニアコンプレッサ駆動部101aに代えて、冷媒の単位時間当たりの重量循環量(以下、単に重量循環量ともいう。)に基づいてリニアコンプレッサ1aを駆動制御するリニアコンプレッサ駆動部103aを備えたものであり、その他の構成は実施の形態1の冷凍サイクル装置101におけるものと同一である。
【0102】
つまり、上記冷凍サイクル装置103は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101と同様、室内の冷房を行う空気調和機であり、冷媒の循環経路(冷凍サイクル)を形成する第2の熱交換器(凝縮器)55a及び第1の熱交換器(蒸発器)53aと、該両熱交換機をつなぐガス側流通路Gpに配置されたリニアコンプレッサ1aと、該両熱交換器をつなぐ液側流通路Lpに配置された膨張弁57aとを有している。
【0103】
上記リニアコンプレッサ駆動部103aは、実施の形態1の冷凍サイクル装置101のリニアコンプレッサ駆動部101aと同様、リニアコンプレッサの駆動電流である交流電流を発生するインバータ2と、第2の熱交換器の周囲温度を検出する温度検出器3と、第2の熱交換器の周囲温度を指令する温度指令器4と、第1の熱交換器の周囲温度を検出する温度検出器5と、第1の熱交換器の周囲温度を指令する温度指令器6とを有している。
【0104】
そして、上記リニアコンプレッサ駆動部103aは、上記各温度検出器3、5及び温度指令器4の出力に基づいて、冷凍サイクルに要求される冷凍能力を計算し、該計算された冷凍能力に応じた冷媒の重量循環量Wcoを示す指令信号(循環量情報)を出力する重量循環量指令部11と、実際に冷凍サイクル(冷媒循環経路)を流れる冷媒の重量循環量を検出して、実際の冷媒の重量循環量Wcdを示す検出信号(循環量情報)を出力する重量循環量検出部12cと、上記実際の循環量Wcdと上記要求される循環量Wcoの差分がゼロとなるよう、上記リニアコンプレッサ1aの駆動電流(交流電流)Idを発生するインバータ2を制御するインバータ制御部21とを有している。ここで、上記重量循環量検出部12cには、質量流量(つまり単位時間当たりに冷凍サイクルを流れる冷媒の質量)を計測するコリオリ質量流量計を用いている。
【0105】
なお、この実施の形態3では、上記実施の形態1と同様、第2の熱交換器55aに対して目標温度が設定されず、このため、リニアコンプレッサの制御に、温度指令器4の出力は用いない。但し、例えば、この冷凍サイクル装置の冷房運転時に廃棄される廃熱を、給湯システムなどで利用する場合には、温度指令器4からは、給湯システムにより供給される温水の、利用者が設定した目標温度(指令温度)HLoを示す指令信号が、上記重量循環量指令部11に出力されることとなる。
【0106】
次に動作について説明する。
この実施の形態3の冷凍サイクル装置103では、冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力が、実施の形態1のように冷媒の体積循環量に基づいて制御されるではなく、冷媒の重量循環量に基づいて制御される。従って、以下では、主に冷媒の重量循環量に基づいて、冷凍サイクル装置のリニアコンプレッサを駆動制御する動作について説明する。
【0107】
リニアコンプレッサ1aがリニアコンプレッサ駆動部103aにより駆動され、冷媒循環経路内を冷媒が循環し、各熱交換器にて熱交換が行われている状態で、各温度検出器3、5では、第2の熱交換器(凝縮器)55a及び第1の熱交換器(蒸発器)53aの周囲温度が検出され、該検出された周囲温度を示す検出信号(温度情報)が重量循環量指令部11に供給される。また、温度指令器6からは、第1の熱交換器(蒸発器)53aに対して、使用者が設定した目標温度(つまり、蒸発器の周囲温度の目標値)を示す指令信号(温度情報)が出力され、上記重量循環量指令部11に供給される。
【0108】
そして、上記重量循環量指令部11では、温度検出器3、5からの温度情報(検出信号)と、温度指令器6からの温度情報(指令信号)とに基づいて、本冷凍サイクル装置103に要求される冷媒の重量循環量を算出する演算が行われ、算出された冷媒の重量循環量Wcoを示す指令信号(循環量情報)がインバータ制御部21に出力される。ここで、上記重量循環量指令部11では、重量循環量を算出する演算処理は、検出温度TLdと指令温度TLoの温度差の一定時間当たりの変化量をフィードバックして行われている。つまり、検出温度TLdと指令温度TLoの差、及び検出温度THdに基づいて、必要とされる重量循環量が一意的に算出され、該算出された重量循環量が、検出温度TLdと指令温度TLoの温度差の一定時間当たりの変化量に基づいて補正される。この補正された冷媒の重量循環量を示す指令信号が上記インバータ制御部21に供給される。
【0109】
また、上記重量循環量検出部12では、上記循環経路を流れる冷媒の実際の重量循環量がコリオリ質量流量計などの計測器により測定され、測定された冷媒の実際の重量循環量を示す検出信号(循環量情報)が、上記インバータ制御部21に出力される。
【0110】
すると、上記インバータ制御部21からはインバータ2にその制御信号Scが供給され、インバータ2では、冷媒の重量循環量Wcoと冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、制御信号Scに基づいて交流電流の発生動作が制御される。
【0111】
このように本実施の形態3では、リニアコンプレッサ1aを用いた冷凍サイクル装置103において、室内の熱交換器(蒸発器)53aの周囲温度、使用者が設定した室内の目標温度、及び室外の熱交換器(凝縮器)55aの周囲温度に基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力に応じた冷媒の重量循環量Wcoを求める重量循環量指令部11と、実際に本冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の重量循環量Wcdを検出する重量循環量検出部12cと、リニアコンプレッサ1aを駆動する交流電流を発生するインバータ2とを備え、上記冷媒の重量循環量Wcoと冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、上記インバータ2を制御するので、冷房する部屋の実際の温度と、その目標温度との温度差に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。しかも、この実施の形態3では、冷凍サイクル装置の冷凍能力の制御を、該装置の負荷とより密接に関連している冷媒の重量循環量に基づいて行っているので、冷凍能力の制御をより応答性よく安定に行うことができる。
【0112】
また、この実施の形態3では、室内の温度(蒸発器の周囲温度)だけでなく、室外の温度(凝縮器の周囲温度)にも基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の重量循環量Wcoを算出しているので、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の重量循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0113】
なお、上記実施の形態3では、上記重量循環量指令部11として、検出温度と指令温度の温度差の変化をフィードバックして必要な重量循環量を算出するものを示したが、上記重量循環量指令部11は、検出温度の値と指令温度の値の組に重量循環量の値が対応付けられているマトリックス状テーブルなどを用いて、上記のようなフィードバックループではなくオープンループでもって、必要な重量循環量を算出するものであってもよい。
【0114】
また、上記実施の形態3では、重量循環量検出部12cが、質量流量を計測するコリオリ質量流量計である場合について示したが、重量循環量検出部12cには、熱式質量流量計などといった計測器を用いてもよく、この場合も上記実施の形態3と同様な効果が得られる。
【0115】
また、本実施の形態では、冷凍サイクル装置が室内の冷房を行う空気調和機である場合について説明したが、この実施の形態3の冷凍サイクル装置は、実施の形態1で説明しように、室内の暖房を行う空気調和機であっても、あるいは冷蔵庫や給湯器や極低温冷凍装置などであってもよい。
【0116】
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【0117】
この実施の形態4の冷凍サイクル装置104は、実施の形態3のコンプレッサ駆動部103aに代えて、該コンプレッサ駆動部103aとは、冷媒の重量循環量を検出する方法が異なるコンプレッサ駆動部104aを備えたものであり、その他の構成は実施の形態3のものと同一である。
【0118】
つまり、上記コンプレッサ駆動部104aは、実施の形態3のコンプレッサ駆動部103aと同様、第2の熱交換器周囲温度検出器3、第1の熱交換器周囲温度検出器5、第2の熱交換器周囲温度指令器4、第1の熱交換器周囲温度指令器6、重量循環量指令部11、インバータ2、及びインバータ制御部21とを有している。
【0119】
そして、この実施の形態4のコンプレッサ駆動部104aは、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンのストローク長を検出し、検出したストローク長Dpsを示す検出信号(ストローク情報)を出力するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンの上死点位置、つまり、ピストンがシリンダヘッドに最も近づいたときのピストン位置Dfdを検出し、該上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)を出力する上死点位置検出部10と、リニアコンプレッサ1aから吐出される冷媒の密度Dmd1を検出する吐出冷媒密度検出部13と、上記ストローク長Dps、上死点位置Dfd、及び冷媒密度Dmd1に基づいて、冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の実際の重量循環量Wcdを算出する重量循環量検出部12dとを有している。ここでは、吐出冷媒密度検出部13には、光ファイバを用いた密度センサを用いている。また、上記ストローク検出部9及び上死点位置検出部10には、上記実施の形態2と同様、接触型の位置センサを用いている。但し、上記各検出部は、接触型の位置センサに限らず非接触型の位置センサ、例えば渦電流式のギャップセンサや2つのコイルを用いた作動トランスを用いてもよく、またリニアコンプレッサに入力する電流と電圧の値から、上記ピストンのストローク長及び上死点位置を推測するものであってもよい。
【0120】
次に動作について説明する。
この実施の形態4の冷凍サイクル装置104では、冷媒循環経路を流れる冷媒の実際の重量循環量を算出する動作のみ実施の形態3と異なっており、以下では、主に上記冷媒の重量循環量の算出動作について説明する。
【0121】
ストローク検出部9では、運転中のリニアコンプレッサ1aにおけるピストンストローク長Dpsが検出され、ストローク長を示す検出信号(ストローク情報)が重量循環量検出部12dに出力される。また、上死点位置検出部10では、運転中のリニアコンプレッサにおけるピストン上死点位置Dfdが検出され、上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)が重量循環量検出部12dに出力される。また、吐出冷媒密度検出部13では、リニアコンプレッサ1から吐出された冷媒の密度Dmd1が検出され、冷媒密度を示す検出信号(密度情報)が上記重量循環量検出部12dに出力される。
【0122】
すると、上記重量循環量検出部12dでは、実施の形態2の冷凍サイクル装置102における体積循環量検出部8bと同様にして、ピストンストローク長Dpsと上死点位置Dfdに基づいて、リニアコンプレッサ1aがピストン1往復当たりに吐出する冷媒の体積が求められる。この重量循環量検出部12dでは、さらに、上記求められた、ピストン1往復当たりの吐出冷媒の体積と、吐出冷媒密度検出部13によって検出された吐出冷媒密度Dms1との乗算処理が行われ、ピストンの1往復運動により吐出される冷媒重量が算出される。そして、この重量循環量検出部12dでは、ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の重量に、インバータの周波数を乗算する処理が行われ、単位時間あたりにリニアコンプレッサが吐出する冷媒の重量Wcdが求められ、この吐出冷媒重量を示す検出信号(循環量情報)が上記インバータ制御部21に供給される。すると、該インバータ制御部21からインバータ2にその制御信号Scが供給され、インバータ2では、要求される冷媒の重量循環量Wcoと実際の冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、上記制御信号Scに基づいて上記交流電流の発生動作が制御される。
【0123】
このように本実施の形態4では、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部10と、リニアコンプレッサ1から吐出される冷媒の密度を検出する吐出冷媒密度検出部13とを備え、上記ピストンのストローク長、上死点位置、リニアコンプレッサ1aから吐出される冷媒の密度、及びリニアコンプレッサ1aの駆動電流であるインバータ2の出力交流電流の周波数に基づいて、冷凍サイクルを循環する実際の冷媒の重量循環量を算出するので、上記実施の形態3と同様、リニアコンプレッサを用いた、室内の冷房を行う空気調和機である冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷房する部屋の実際の温度とその目標温度との温度差に応じて、高効率でもって制御することができる効果に加えて、実際の冷媒の重量循環量を計測する流体センサを不要とできる効果がある。
【0124】
なお、上記実施の形態4では、吐出冷媒密度検出部13が、光ファイバを用いた密度センサである場合について示したが、上記吐出冷媒密度検出部13は、吐出冷媒の温度と吐出冷媒の圧力から、吐出冷媒の密度を求めるものであってもよい。この場合、吐出冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0125】
また、吐出冷媒の密度を吐出冷媒の温度と吐出冷媒の圧力から求める具体的な方法としては、冷媒の状態方程式から算出する方法や、冷媒の温度の値とその圧力の値の組に冷媒の密度を対応付けるテーブルから求める方法がある。ここで、吐出冷媒の温度は、一般にリニアコンプレッサ1aの保護用センサとしてリニアコンプレッサ1aの吐出口に取り付けられている温度センサの出力から求めることができ、また、吐出冷媒の圧力は、リニアコンプレッサ1aの吐出側に取り付けられている圧力センサの出力から求めることができる。さらに、吐出冷媒の圧力は、実施の形態2でも説明したように、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器、及び第2の熱交換器のうち、リニアコンプレッサ1aの吐出側に設置された、凝縮器として作用している熱交換器の温度から、冷媒の飽和するときの圧力として求めることもできる。
【0126】
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態5の冷凍サイクル装置105は、上記実施の形態4の、実際の冷媒の重量循環量を、リニアコンプレッサ1aから吐出される冷媒の密度に基づいて算出するリニアコンプレッサ駆動部104aに代えて、実際の冷媒の重量循環量を、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度に基づいて算出するリニアコンプレッサ駆動部105aを備えたものであり、その他の構成は、実施の形態4におけるものと同一である。
【0127】
つまり、このリニアコンプレッサ駆動部105aは、上記実施の形態4と同様、第2の熱交換器周囲温度検出器3、第1の熱交換器周囲温度検出器5、第2の熱交換器周囲温度指令器4、第1の熱交換器周囲温度指令器6、ストローク検出部9、上死点位置検出部10、重量循環量指令部11、インバータ2、及びインバータ制御部21を有している。
【0128】
そして、この実施の形態5のコンプレッサ駆動部105aは、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度Dmd2を検出する吸入冷媒密度検出部14と、ピストンストローク長Dps、上死点位置Dfd、及び吸入冷媒密度Dmd2に基づいて、リニアコンプレッサ1aにおける実際の冷媒の重量循環量Wcdを算出する重量循環量検出部12eとを有している。ここで、上記吸入冷媒密度検出部14は、光ファイバを用いた密度センサ等を用いている。
【0129】
次に動作について説明する。
この実施の形態5の冷凍サイクル装置105では、実際の冷媒の重量循環量を算出する動作のみ実施の形態4と異なっており、以下では、主に冷媒の重量循環量の算出動作について説明する。
【0130】
リニアコンプレッサ1aが駆動され、冷媒が循環経路内を循環している状態で、ストローク検出部9では、運転中のリニアコンプレッサ1aにおけるピストンストローク長Dpsが検出され、ストローク長を示す検出信号(ストローク情報)が重量循環量検出部12eに出力される。また、上死点位置検出部10では、運転中のリニアコンプレッサにおけるピストン上死点位置Dfdが検出され、上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)が重量循環量検出部12eに出力される。また、吸入冷媒密度検出部14では、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度Dmd2が検出され、冷媒密度を示す検出信号(密度情報)が上記重量循環量検出部12eに出力される。
【0131】
すると、上記重量循環量検出部12eでは、実施の形態2の冷凍サイクル装置102における体積循環量検出部8bと同様にして、ピストンストローク長と上死点位置に基づいて、リニアコンプレッサ1aがピストン1往復当たりに吸入する冷媒の体積が求められる。この重量循環量検出部12eでは、さらに、上記求められた、ピストン1往復当たりの吸入冷媒の体積量と、吸入冷媒密度検出部14によって検出された吸入冷媒の密度との乗算処理が行われ、ピストンの1往復運動により吸入される冷媒の重量が算出される。そして、この重量循環量検出部12eでは、ピストンの1往復運動により吸入される冷媒の重量に、インバータの出力電流の周波数を乗算する処理が行われ、単位時間あたりにリニアコンプレッサが吸入する冷媒の重量Wcd2が求められ、この吸入冷媒重量を示す検出信号(循環量情報)が上記インバータ制御部21に供給される。
【0132】
すると、該インバータ制御部21からインバータ2にその制御信号Scが供給され、インバータ2では、冷媒の重量循環量Wcoと冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、制御信号Scに基づいて上記交流電流の発生動作が制御される。
【0133】
このように本実施の形態5では、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンのストローク長Dpsを検出するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンの上死点位置Dfdを検出する上死点位置検出部10と、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度Dmd2を検出する吸入冷媒密度検出部14とを備え、上記ピストンのストローク長、上死点位置、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度、及びリニアコンプレッサ1aの駆動電流であるインバータ2の出力交流電流の周波数に基づいて、冷凍サイクルを循環する実際の冷媒の重量循環量を算出するので、上記実施の形態3と同様、リニアコンプレッサを用いた、室内を冷房する空気調和機である冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷房する部屋の実際の温度とその目標温度との温度差に応じて、高効率でもって制御することができる効果に加えて、実際の冷媒の重量循環量を計測する流体センサを不要とできる効果がある。例えば、吐出冷媒の圧力が高すぎて吐出冷媒の密度が検出できない場合、重量循環量を計測するセンサを用いることなく、吸入冷媒の密度を計測するセンサだけを用いて、冷媒の重量循環量に基づいて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0134】
なお、上記実施の形態5では、吸入冷媒密度検出部14が、光ファイバを用いた密度センサである場合について示したが、上記吸入冷媒密度検出部14は、吸入冷媒の温度と吸入冷媒の圧力から吸入冷媒の密度を求めるものであってもよい。
【0135】
この場合も、吐出冷媒の圧力が高すぎて吐出冷媒の圧力が検出できない状態では、吸入冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく、冷媒の重量循環量に基づいて冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0136】
また、吸入冷媒の密度を吸入冷媒の温度と吸入冷媒の圧力から求める方法としては、冷媒の状態方程式を用いる方法や、冷媒の温度の値とその圧力の値の組にその密度を対応付けるテーブルを用いる方法がある。
【0137】
ここで、吸入冷媒の温度は、リニアコンプレッサ1aの吸入口に取り付けられている温度センサの出力から求めることができ、また、吸入冷媒の圧力は、リニアコンプレッサ1aの吸入側に備えられた圧力センサの出力から求めることができる。さらに、吸入冷媒の圧力は、実施の形態2でも説明したように、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器のうちの、リニアコンプレッサ1aの吸入側に設置された、蒸発器として作用している熱交換器の温度から、冷媒の飽和するときの圧力として求めることができる。さらに、吸入冷媒の温度の検出方法は、リニアコンプレッサ1aの吸入口に付いている温度センサにより検出する方法に限らず、例えば、冷凍サイクルに関する過熱度(つまりリニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度とその飽和温度との温度差)を推測し、その過熱度と、蒸発器として作用している熱交換器の温度との和から吸入冷媒の温度を推測するようにしてもよい。この場合、吐出冷媒の圧力が高すぎて吐出冷媒の圧力が検出できないときでも、吸入冷媒の密度を計測するセンサ、及び吸入冷媒の温度を測定するセンサを用いることなく、冷凍サイクル装置の負荷により密接に関連している冷媒の重量循環量に基づいて、冷凍サイクル装置の能力制御を、効率よく制御することができる。
【0138】
(実施の形態6)
図7は本発明の実施の形態6による空気調和機を説明するブロック図である。この実施の形態6の空気調和機106は、室内機114及び室内機115を有し、冷暖房を行う空気調和機であり、実施の形態1の空気調和機101とは、主に、冷媒循環経路内で冷媒が流れる方向を切り替える四方弁113を有する点で異なっている。
【0139】
すなわち、実施の形態6の空気調和機106は、実施の形態1の空気調和機101aと同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1b,絞り装置57b,第1の熱交換器111及び第2の熱交換器112を有するとともに、該リニアコンプレッサ1bを駆動するコンプレッサ駆動部101bを有している。ここで、第1の熱交換器111は上記室内機114を構成しており、絞り装置57b,第2の熱交換器112,リニアコンプレッサ1b,四方弁113及びコンプレッサ駆動部101bは上記室外機115を構成している。また、上記リニアコンプレッサ1b,コンプレッサ駆動部101b,及び絞り装置57bはそれぞれ、実施の形態1の冷凍サイクル装置(空気調和機)101aを構成するリニアコンプレッサ1a,コンプレッサ駆動部101a,及び絞り装置57aと同一のものである。
【0140】
また、上記第1の熱交換器111は、室内に配置された室内側熱交換器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第1の熱交換器(蒸発器)53aに相当するものである。上記第2の熱交換器112は、室外に配置された室外側熱交換器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第2の熱交換器(凝縮器)55aに相当するものである。ここで、上記室内側熱交換器111は、熱交換の能力を上げるための送風機111aと、該熱交換器111の温度もしくはその周辺温度を測定する温度センサ111bとを有しており、該温度センサ111bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。上記室外側熱交換器112は、熱交換の能力を上げるための送風機112aと、該熱交換器112の温度もしくはその周辺温度を測定する温度センサ112bとを有しており、該温度センサ112bは、実施の形態1の第2の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0141】
そして、この実施の形態6では、上記第1の熱交換器111と第2の熱交換器112との間の冷媒経路には、コンプレッサ1b及び四方弁113が配置されている。つまりこの空気調和機106は、第2の熱交換器112を通過した冷媒がコンプレッサ1bに吸入され、コンプレッサ1bから吐出された冷媒が第1の熱交換器111へ供給される状態(つまり冷媒が矢印Aの方向に流れる状態)と、第1の熱交換器111を通過した冷媒がコンプレッサ1bに吸入され、コンプレッサ1bから吐出された冷媒が第2の熱交換器112へ供給される状態(つまり冷媒が矢印Bの方向に流れる状態)とが、上記四方弁113により切り替えられるものである。
【0142】
また、上記絞り装置57bは、実施の形態1のものと同様、循環する冷媒の流量を絞る絞り作用と、冷媒の流量を自動調整する弁(自動調製弁)の作用とをあわせ持つものである。つまり、絞り装置57bは、冷媒が冷媒循環経路を循環している状態で、凝縮器から蒸発器へ送り出された液冷媒の流量を絞って該液冷媒を膨張させるとともに、蒸発器に必要とされる量の冷媒を過不足なく供給するものである。
【0143】
次に動作について説明する。
この実施の形態6の空気調和機106では、コンプレッサ駆動部101bからリニアコンプレッサ1bに駆動電流Cdが印加されると、冷媒循環経路内で冷媒が循環し、室内機114の第1の熱交換器111及び室外機115の第2の熱交換器112にて熱交換が行われる。これにより、室内の暖房あるいは冷房が行われる。
【0144】
例えば、空気調和機116の暖房運転を行う場合、ユーザの操作により、上記四方弁113は、冷媒が矢印Aで示す方向に流れるよう設定される。この場合、上記冷媒循環経路での冷媒の循環により、、第1の熱交換器(室内側熱交換器)111は凝縮器として動作し、熱を放出する。これにより室内が暖められる。
【0145】
逆に、空気調和機116の冷房運転を行う場合、ユーザの操作により、上記四方弁113は、冷媒が矢印Bで示す方向に流れるよう設定される。この場合、上記冷媒循環経路での冷媒の循環により、第1の熱交換器(室内側熱交換器)111は蒸発器として動作し、周辺空気の熱を吸収する。これにより室内が冷やされる。
【0146】
このように本実施の形態6の空気調和機106では、実施の形態1の空気調和機101と同様、室内の温度(第1の熱交換器111の周囲温度)だけでなく、室外の温度(第2の熱交換器112の周囲温度)にも基づいて、本空気調和機に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0147】
つまり、空気調和機が室内を冷やしすぎる、あるいは暖めすぎるといった快適性を阻害する運転状態となるのを回避することができ、例えば、室内温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0148】
しかも、この実施の形態6の空気調和機106では、上記のような快適性を阻害する運転状態が回避されることから、空気調和機の運転に無駄な電力(動力)が使用されることがなく、より高効率な運転が可能となる。
【0149】
(実施の形態7)
図8は本発明の実施の形態7による冷蔵庫を説明するブロック図である。
この実施の形態7の冷蔵庫107は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101を用いたものであり、実施の形態1と同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1c,絞り装置57c,第1の熱交換器122及び第2の熱交換器121を有するとともに、上記リニアコンプレッサ1cを駆動するコンプレッサ駆動部101cを有している。
【0150】
つまり、上記絞り装置57c,リニアコンプレッサ1c,及びコンプレッサ駆動部101cは、実施の形態1の絞り装置57a,リニアコンプレッサ1a,及びコンプレッサ駆動部101aと同一のものである。
【0151】
また、上記第2の熱交換器121は、大気中に熱を放出する凝縮器で、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第2の熱交換器(凝縮器)55aに相当するものである。上記第1の熱交換器122は、冷蔵庫内を冷却する冷蔵室蒸発器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第1の熱交換器(蒸発器)53aに相当するものである。ここで、上記冷蔵室蒸発器122は、熱交換の能力を上げるための送風機122aと、該冷蔵庫内の温度を検出する温度センサ122bとを有しており、該温度センサ122bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0152】
次に動作について説明する。
この実施の形態7の冷蔵庫107では、コンプレッサ駆動部101cからリニアコンプレッサ1cに駆動電流Cdが印加されると、冷媒循環経路内で冷媒が矢印Cの方向に循環し、凝縮器121及び冷蔵室蒸発器122にて熱交換が行われる。これにより、冷蔵室内が冷却される。
【0153】
つまり、第2の熱交換器(凝縮器)121で液状となった冷媒は、絞り装置57cにてその流量が絞られることにより膨張して、低温の冷媒液となる。そして、第1の熱交換器(冷蔵室蒸発器)122へ低温の液冷媒が送り込まれると、第1の熱交換器(冷蔵室蒸発器)122では、低温の冷媒液が蒸発して、冷蔵室の冷却が行われる。このとき、熱交換器122には、送風機122aにより強制的に冷蔵室内の空気が送り込まれており、熱交換器122では、効率よく熱交換が行われる。また、このとき、庫内の温度が温度センサ122bにより検出され、検出信号が上記コンプレッサ駆動部101cに出力される。コンプレッサ駆動部101cは、温度センサ122bにより検出された温度情報に基づいて、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出し、該算出された冷媒の体積循環量に基づいてリニアコンプレッサ1cを駆動制御する。
【0154】
このように本実施の形態7の冷蔵庫107では、実施の形態1の空気調和機101と同様、冷蔵庫内の温度(第1の熱交換器122の周囲温度)に基づいて、本冷蔵庫に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0155】
つまり、この実施の形態7では、冷蔵庫内が冷やしすぎとなるといった効率の悪い運転状態を回避することができ、例えば、冷蔵庫内の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0156】
(実施の形態8)
図9は本発明の実施の形態8による給湯器を説明するブロック図である。
この実施の形態8の給湯器108は、供給された水を加熱して温水を排出する冷凍サイクル装置142と、冷凍サイクル装置142から排出された温水を貯める貯湯槽141とを有している。
【0157】
上記冷凍サイクル装置142は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101と同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1d,絞り装置57d,第1の熱交換器132,及び第2の熱交換器135を有するとともに、上記リニアコンプレッサ1dを駆動するコンプレッサ駆動部101dを有している。
【0158】
つまり、上記絞り装置57d,リニアコンプレッサ1d,及びコンプレッサ駆動部101dは、実施の形態1の絞り装置57a,リニアコンプレッサ1a,及びコンプレッサ駆動部101aと同一のものである。
【0159】
上記第2の熱交換器135は、冷凍サイクル装置142に供給された水を加熱する水熱交換器で、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第2の熱交換器(凝縮器)55aに相当するものである。上記第1の熱交換器132は、周辺雰囲気から熱を吸収する空気熱交換器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第1の熱交換器(蒸発器)53aに相当するものである。ここで、上記水熱交換器135は、加熱された水(温水)の温度を検出する温度センサ135aを有しており、該温度センサ135aは、実施の形態1の第2の熱交換器周囲温度検出器5に相当するものである。上記空気熱交換器132は、熱交換の能力を上げるための送風機132aと、該周辺温度を検出する温度センサ132bとを有している。該温度センサ132bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0160】
なお、図中、131は、上記冷媒を、リニアコンプレッサ1d,第1の熱交換器132,絞り装置57d,及び第2の熱交換器135により形成される冷媒循環経路に沿って循環させる冷媒配管である。該冷媒配管131には、コンプレッサ1dから吐出された冷媒を、第2の熱交換器135及び絞り装置57dをバイパスして第1の熱交換器132に供給するバイパス配管(除霜バイパス路)133が接続されており、該バイパス配管133の一部には弁(除霜バイパス弁)134が設けられている。
【0161】
上記貯湯槽141は、水あるいは温水を貯める貯湯タンク138を有している。該貯湯タンク138の受水口138cには、該貯湯タンク138内へ水を外部から供給する配管(給水管)140が接続され、上記貯湯タンク138の湯出口138dには、該貯湯タンク138から浴槽(風呂)へ湯を供給する配管(浴槽給湯管)140が接続されている。また、上記貯湯タンク138の水出入口138aには、該タンク138に貯められた湯を外部に供給する給湯管139が接続されている。
【0162】
上記貯湯タンク138と冷凍サイクル装置142の水熱交換器135とは、配管136a,136b,146a,及び146bにより接続されており、貯湯タンク138と水熱交換器135との間には水の循環路が形成されている。
【0163】
ここで、水配管136bは、水を貯湯タンク138から水熱交換器135へ供給する配管であり、その一端は、貯湯タンク138の水出口138bに接続され、その他端は、ジョイント部分143bを介して、水熱交換器135の入水側配管146bに接続されている。また、この水配管136bの一端側には、貯湯タンク138内の水あるいは温水を排出するための排水弁144が取り付けられている。上記水配管136aは、水を水熱交換器135から貯湯タンク138へ戻す配管であり、その一端は、貯湯タンク138の水出入口138aに接続され、その他端は、ジョイント部分143aを介して水熱交換器135の排出側配管146aに接続されている。
そして、水熱交換器135の入側配管146bの一部には、上記水循環路内で水を循環させるポンプ137が設けられている。
【0164】
次に動作について説明する。
リニアコンプレッサ1dにコンプレッサ駆動部101dから駆動電流Cdが印加され、リニアコンプレッサ1dが駆動すると、リニアコンプレッサ1dにより圧縮された高温冷媒は、矢印Dの方向に循環し、つまり冷媒配管131を通り、第2の熱交換器(水熱交換器)135に供給される。また、水循環路のポンプ137が駆動すると、貯湯タンク138から水が第2の熱交換器135に供給される。
【0165】
すると、第2の熱交換器(水熱交換器)135では、冷媒と貯湯タンク138から供給された水との間で熱交換が行われ、熱が冷媒から水へ移動する。つまり供給された水が加熱され、加熱された水(温水)は、貯湯タンク138へ供給される。このとき、加熱された水(温水)の温度は凝縮温度センサ135aにて監視されている。
【0166】
また、第2の熱交換器(水熱交換器)135では、冷媒は上記熱交換により凝縮し、凝縮した液冷媒は、その流量が絞り装置57dにより絞られることにより膨張し、第1の熱交換器(空気熱交換器)132に送り込まれる。この給湯器108では、該第1の熱交換器(空気熱交換器)132は、蒸発器として働く。つまり、該空気熱交換器132は、送風機132bにより送り込まれた外気から熱を吸収し、低温の冷媒液を蒸発させる。このとき、上記空気熱交換器132の周辺雰囲気の温度は温度センサ132bにより監視されている。
【0167】
また、冷凍サイクル装置142では、第1の熱交換器(空気熱交換器)132に霜がついた場合は、除霜バイパス弁134が開き、高温の冷媒が除霜バイパス路133を介して第1の熱交換器(空気熱交換器)132に供給される。これにより第2の熱交換器(空気熱交換器)132の除霜が行われる。
【0168】
一方、貯湯槽141には、冷凍サイクル装置108の水熱交換器135から温水が配管146a及び136aを介して供給され、供給された温水が貯湯タンク138に貯められる。貯湯タンク138内の温水は、必要に応じて、給湯管139を通して外部に供給される。特に、浴槽へ給湯する場合は、貯湯タンク内の温水は浴槽用給湯管140を通して浴槽に供給される。
【0169】
また、貯湯タンク138内の水あるいは温水の貯蓄量が一定量以下となった場合には、外部から給水管140を介して水が補給される。
【0170】
このように本実施の形態8の給湯器108では、実施の形態1の空気調和機101と同様、温度センサ135aにより検出された、給湯器108から供給される温水の温度に基づいて、給湯器の冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、給湯器の運転状態により適した値とすることができる。
【0171】
つまり、給湯器が水を温めすぎるといった効率の悪い運転状態となるのを回避することができ、例えば、給湯器から供給される温水の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0172】
(実施の形態9)
図10は本発明の実施の形態9による極低温冷凍装置を説明するブロック図である。
この実施の形態9の極低温冷凍装置109は、冷凍室を有し、該冷凍室内部を極低温状態(−50°C以下)となるよう冷却するものであり、この極低温冷凍装置109を用いて冷却する物(冷却対象物)には、超電導用の素子(抵抗,コイル,磁石などの電気磁気回路素子)、赤外線センサ用の低温参照部などの電子部品、血液や内臓といった医療用のもの、さらに、冷凍マグロなど冷凍食品がある。
【0173】
電子部品を極低温状態にするのは、動作効率アップ,あるいは熱雑音の除去による感度アップのためであり、食料品などでは、生鮮食品を輸送したり、鮮度維持や乾燥を行ったりするためである。
【0174】
また、この極低温冷凍装置の冷却温度は、高温超電導の用途では、50から100K(K:絶対温度)程度に、通常の超電導の用途では、0〜50K程度の極低温状態に設定される。また、食品などの生鮮維持に用いられる場合は、この極低温冷凍装置の冷却温度は−50°C弱(摂氏)に設定される。
【0175】
以下、具体的に説明する。
この実施の形態9の極低温冷凍装置109は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101を用いたものであり、実施の形態1と同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1e,絞り装置57e,第1の熱交換器152,及び第2の熱交換器151を有するとともに、上記リニアコンプレッサ1eを駆動するコンプレッサ駆動部101eを有している。
【0176】
つまり、上記絞り装置57e,リニアコンプレッサ1e,及びコンプレッサ駆動部101eは、実施の形態1の絞り装置57a,リニアコンプレッサ1a,及びコンプレッサ駆動部101aと同一のものである。
【0177】
また、上記第2の熱交換器151は、大気中に熱を放出する放熱器で、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの凝縮器55aに相当するものである。上記第1の熱交換器152は、冷凍室内を冷却する蓄冷器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの蒸発器53aに相当するものである。ここで、上記放熱器152は、熱交換の能力を上げるための送風機152aと、冷凍室内の温度を検出する温度センサ152bとを有しており、該温度センサ152bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0178】
次に動作について説明する。
この実施の形態9の極低温冷凍装置109では、コンプレッサ駆動部101eからリニアコンプレッサ1eに駆動電流Cdが印加されると、冷媒循環経路内で冷媒が、矢印Eの方向に循環し、放熱器151及び蓄冷器152にて熱交換が行われる。これにより、冷凍室が冷却される。
【0179】
つまり、第2の熱交換器(放熱器)151で液状となった冷媒は、絞り装置57eにてその流量が絞られることにより膨張して低温の冷媒液となる。そして、第1の熱交換器(蓄冷器)152へ低温の液冷媒が送り込まれると、第1の熱交換器(蓄冷器)152では、低温の冷媒液が蒸発して、冷凍室の冷却が行われる。このとき、蓄冷器152には、送風機152aにより強制的に冷凍室内の空気が送り込まれており、蓄冷器152では、効率よく熱交換が行われる。また、このとき、冷凍室内の温度が温度センサ152bにより検出され、検出信号が上記コンプレッサ駆動部101eに出力される。コンプレッサ駆動部101eは、温度センサ152bにより検出された温度情報に基づいて、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出し、該算出された冷媒の体積循環量に基づいてリニアコンプレッサ1eを駆動制御する。
【0180】
このように本実施の形態9の極低温冷凍装置109では、実施の形態1の空気調和機101と同様、冷凍室内の温度(つまり、冷凍の対象物の温度)に基づいて、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、極低温冷凍装置の運転状態により適した値とすることができ、これにより冷凍対象物の温度を精度よく制御することができるといった効果がある。
【0181】
なお、上記実施の形態6〜9では、コンプレッサ駆動部として、実施の形態1の冷凍サイクル装置101のコンプレッサ駆動部101aと同一のものを用いているが、実施の形態6〜9のコンプレッサ駆動部は、実施の形態1のものに限らず、実施の形態2〜5のいずれのもの(コンプレッサ駆動部102a〜105a)を用いてもよい。
【0182】
【発明の効果】
以上のように本発明(請求項1)に係る冷凍サイクル装置によれば、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内で冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の体積を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の体積を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう、上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするので、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置の冷凍能力の制御を、従来の回転型コンプレッサを用いた冷凍サイクル装置と同様に、冷媒の体積循環量に基づいて高効率でもって行うことができる。
【0183】
本発明(請求項2)によれば、請求項1記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部とを備え、上記実循環量検出部は、検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を算出し、該容積と上記インバータの発生する交流電流の周波数との乗算により、上記実際の冷媒循環量を求めるものであることを特徴とするので、冷凍サイクル装置の冷凍能力を、体積循環量を計測するセンサを用いることなく効率よく制御することができる。
【0184】
本発明(請求項3)によれば、請求項2記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吐出側に位置する、冷媒を凝縮させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、該リニアコンプレッサが吐出する冷媒の圧力を推定する吐出圧力推定部と、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、上記リニアコンプレッサが吸入する冷媒の圧力を推定する吸入圧力推定部とを備え、上記実循環量検出部は、推定された吸入冷媒の圧力及び推定された吐出冷媒の圧力から得られる、上記循環経路における冷媒の最高圧力と最低圧力の圧力比と、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置とを用いた演算により、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を求めるものであることを特徴とするので、運転条件によって圧力状態が変化し、冷媒の吐出圧と吸入圧の圧力比が変化するような冷凍サイクル装置であっても、冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷媒の体積循環量に基づいて効率よく制御することができる。
【0185】
本発明(請求項4)に係る冷凍サイクル装置によれば、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の重量を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の重量を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう、上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするので、冷房する部屋の実際の温度と、その目標温度との温度差に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができ、しかも、冷凍サイクル装置の冷凍能力を、該装置の負荷とより密接に関連している冷媒の重量循環量に基づいて行っているので、冷凍能力の制御をより応答性よく安定に行うことができる。
【0186】
本発明(請求項5)によれば、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を検出する吐出冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、上記単位時間当たりにリニアコンプレッサにより吐出される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、冷媒の重量循環量を計測するセンサを用いることなく、吐出冷媒の密度を計測するセンサだけを用いて行うことができる。
【0187】
本発明(請求項6)によれば、請求項5記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出部とを備え、上記吐出冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を導出するものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、吐出冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく行うことができる。
【0188】
本発明(請求項7)によれば、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を検出する吸入冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、単位時間当たりに上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、重量循環量を計測するセンサを用いることなく、吸入冷媒の密度を計測するセンサだけを用いて行うことができる。
【0189】
本発明(請求項8)によれば、請求項7記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出部とを備え、上記吸入冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、吸入冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく行うことができる。
【0190】
本発明(請求項9)によれば、請求項8記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器である蒸発器内の冷媒の温度を、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の飽和温度として検出する冷媒温度検出器と、上記リニアコンプレッサの運転状態に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度とその飽和温度との温度差である該冷媒の過熱度を推定する過熱度推定部とを備え、上記吸入温度検出部は、上記検出された蒸発器内の冷媒の温度と、上記推定された冷媒の過熱度とを加算して、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、吸入冷媒の密度を計測するセンサ及び吸入冷媒の温度を測定するセンサを用いることなく行うことができる。
【0191】
本発明(請求項10)にかかる空気調和機によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する空気調和機であって、上記第1の熱交換器は、室外側熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、室内側熱交換器であることを特徴とするものであるので、冷やしすぎる、暖めすぎるといった快適性を阻害する運転を防止することができ、例えば、室内温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。また、上記のような空気調和機の運転では、無駄な電力(動力)を使用しないことから、空気調和機のより高効率な運転が可能となる。
【0192】
本発明(請求項11)にかかる冷蔵庫によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する冷蔵庫あって、上記第1の熱交換器は、熱を放出する凝縮器であり、上記第2の熱交換器は、庫内を冷却する蒸発器であることを特徴とするものであるので、冷蔵庫内を冷やしすぎるといった効率の悪い運転状態となるのを回避することができ、例えば、冷蔵庫内の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0193】
本発明(請求項12)にかかる給湯器によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する給湯器であって、水を貯める貯水槽を備え、上記第1の熱交換器は、上記貯水槽の水を加熱する水熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、周辺雰囲気から熱を吸収する空気熱交換器であることを特徴とするものであるので、給湯器が水を温めすぎるといった効率の悪い運転状態となるのを回避することができ、例えば、給湯器から供給される温水の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0194】
本発明(請求項13)にかかる極低温冷凍装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する極低温冷凍装置であって、冷凍室を有し、上記第1の熱交換器は、熱を放出する放熱器であり、上記第2の熱交換器は、上記冷凍室内を冷却する蓄冷器であることを特徴とするものであるので、精度の高い温度制御が可能な極低温冷凍装置を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図3】上記実施の形態2の冷凍サイクル装置で、リニアコンプレッサにおけるピストンの上死点位置とストロークから冷媒循環量を算出する方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態3による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態4による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態5による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態6による空気調和機を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態7による冷蔵庫を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態8による給湯器を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態9による極低温冷凍装置を示す模式図である。
【図11】従来のリニアコンプレッサを説明するための断面図である。
【図12】一般的な冷凍サイクル装置を説明するためのシステム図である。
【図13】従来のリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置の冷凍能力を制御するシステムを説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d,1e リニアコンプレッサ
2 インバータ
3 第2の熱交換器周囲温度検出器
4 第2の熱交換器周囲温度指令器
5 第1の熱交換器周囲温度検出器
6 第1の熱交換器周囲温度指令器
7 体積循環量指令部
8a、8b 体積循環量検出部
9 ストローク検出部
10 上死点位置検出部
11 重量循環量指令部
12c、12d、12e 重量循環量検出部
13 吐出冷媒密度検出部
14 吸入冷媒密度検出部
20、21 インバータ制御部
53a,111,122,132,152 第1の熱交換器(蒸発器)
55a,112,121,131,151 第2の熱交換器(凝縮器)
57a,57b,57c,57d,57e 絞り装置
101〜105 冷凍サイクル装置
101a,102a,103a,104a,105a,101b,101c,101d,101e リニアコンプレッサ駆動部
106 空気調和機
107 冷蔵庫
108 給湯器
109 極低温冷凍装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍サイクル装置に関し、特に、シリンダ内のピストンをリニアモータにより往復運動させ、冷媒の圧縮ガスを生成するリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷媒の圧縮ガスを生成する機器として、機械的な弾性部材又は圧縮ガスの弾性を利用したリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置が知られている。このような冷凍サイクル装置の具体的な適用例としては、室内の冷暖房を行って室温を快適な温度に保つ空気調和機や、庫内の冷凍により庫内を適正な低温状態に保つ冷凍冷蔵庫などが考えられる。
【0003】
図11は、このような冷凍サイクル装置に用いられる、弾性部材としてバネを用いたリニアコンプレッサを説明するための図である。
リニアコンプレッサ1は、所定の軸線に沿って並ぶシリンダ部71aと、モータ部71bとを有している。該シリンダ部71a内には、上記軸線方向に沿って摺動自在に支持されたピストン72が配置されている。シリンダ部71内には、その一端がピストン72の背面側に固定されたピストンロッド72aが配置され、ピストンロッド72aの他端側には、該ピストンロッド72aを軸線方向に付勢する支持ばね(共振ばね)81が設けられている。
【0004】
また、上記ピストンロッド72aには、マグネット73が取り付けられており、上記モータ部71bの、マグネット73に対向する部分には、アウターヨーク74aとこれに埋設されたステータコイル74bとからなる電磁石74が取り付けられている。このリニアコンプレッサ1では、電磁石74と、上記ピストンロッドに取り付けられたマグネット73とによりリニアモータ82が構成されており、この電磁石74とマグネット73との間で発生する電磁力及び上記ばね81の弾性力により、上記ピストン72がその軸線方向に沿って往復運動する。
【0005】
さらに、シリンダ部71a内には、シリンダ上部内面75、ピストン圧縮面72b、及びシリンダ周壁面71a1により囲まれた密閉空間である圧縮室76が形成されている。シリンダ上部内面75には、ガス側流通路から圧縮室76に低圧冷媒ガスを吸入するためのガス側吸入管1aの一端が開口しており、さらに上記シリンダ上部内面75には、上記圧縮室76からガス側流通路へ高圧冷媒ガスを吐出するための吐出管1bの一端が開口している。上記吸入管1a及び吐出管1bの一端には、冷媒ガスの逆流を防止する吸入弁79及び吐出弁80が取り付けられている。
【0006】
そして、リニアコンプレッサ1では、上記リニアモータ82の駆動回路(図示せず)から該リニアモータ82への駆動電流の通電により、ピストン72がその軸線方向に往復動し、圧縮室76への低圧冷媒ガスの吸入、圧縮室76での冷媒ガスの圧縮、及び圧縮された高圧冷媒ガスの圧縮室76からの排出が繰り返し行われる。
【0007】
また、冷凍サイクル装置を制御する方法として、冷凍サイクル装置の熱負荷状態に基づいて、冷凍サイクル装置を構成するコンプレッサの運転をフィードバック制御する方法が広く行われている。
【0008】
図12は、冷凍サイクル装置の一適用例を説明するための図であり、冷房用の空気調和機を示している。
この空気調和機(冷凍サイクル装置)50は、部屋の内部(室内)に配置され、室内を冷やす室内機51と、部屋の外部(室外)に配置され、熱を廃棄する室外機52とを備えている。
【0009】
室内機51は、室内の空気と冷媒の間での熱交換を行い、室内の空気から熱を吸収する室内熱交換器(蒸発器)53と、該蒸発器53に吸い込まれる空気の温度、つまり室温(蒸発器の周辺温度)を検知する室温検知器54とを有している。
【0010】
室外機52は、外気と冷媒の間で熱交換を行い、外気に熱を放出する室外熱交換器(凝縮器)55と、冷媒を蒸発器53から凝縮器55へ流すガス側流通路Gpの一部に設けられ、蒸発器53から低温低圧の冷媒ガスを吸入して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを凝縮器55に送り出すコンプレッサ56とを有している。また、室外機52は、冷媒を凝縮器55から蒸発器53へ流す液側流通路Lpの一部に配置され、冷媒がより低い温度で蒸発するよう、高圧の液冷媒を低圧の液冷媒に減圧する膨張弁57を有している。なお、図12中、Lmfは、液側流通路Lp内を冷媒液が流れる方向、Gmfは、ガス側流通路Gp内を冷媒ガスが流れる方向を示している。
【0011】
ここで、上記凝縮器55と蒸発器53の働きについて簡単に説明する。
凝縮器55では、内部を流れる高温高圧の冷媒ガスは、送り込まれる空気により熱を奪われて徐々に液化し、凝縮器55の出口付近では高圧の液冷媒となる。これは、冷媒が大気中に熱を放熱して液化することと等しい。
【0012】
また、蒸発器53には膨張弁57で低温低圧となった液冷媒が流れ込む。この状態で蒸発器53に部屋の空気が送り込まれると、液冷媒は空気から大量の熱を奪って蒸発し、低温低圧のガス冷媒に変化する。蒸発器53にて大量の熱を奪われた空気は空調機の吹きだし口から冷風となって放出される。
【0013】
以上のように、上記空気調和機50では、蒸発器53、凝縮器55、これらの間のガス側流通路Gp及び液側流通路Lp、ガス側流通路Gpに配置されたコンプレッサ56、並びに、液側流通路Lpに配置された膨張弁57により、冷媒の循環閉路が形成されており、循環閉路に封入された冷媒をコンプレッサ56により循環させることにより、冷媒の循環閉路内に周知のヒートポンプサイクルが形成される。
【0014】
ここで、冷媒の循環量を制御する方式としては、上記空気調和機に対して設定された目標温度と、実際の室温とを用いた方法が一般的である(例えば特許文献1参照。)。
【0015】
図13は、冷房用空気調和機を制御する従来の冷凍サイクル制御方法を説明するための図である。
この従来の冷凍サイクル制御方法では、空気調和機により冷房される室内の温度(室温)は、室内器吸込み温度検出器60により検出される。室温の具体的な検出方法には、熱電対などの温度センサを用いて室内空気の温度をセンシングする方法が考えられる。また、室温設定器61では、使用者の操作信号に基づいて、使用者が希望する室内温度が目標温度として設定される。この目標温度の具体的な設定方法には、空気調和機のリモコンからの操作信号をマイコンで処理して算出する方法が考えられる。そして、減算器63では、室内器吸い込み温度検出器60が検出した室内温度Tdetと、室温設定器61により設定された目標温度Tordとの温度差Tdiffが算出される。コンプレッサ回転数指令器62では、コンプレッサ56の回転数ωordが、上記温度差Tdiffに応じた回転数となるようコンプレッサに対する指令が行われる。具体的には、温度差Tdiffが大きいほどコンプレッサ回転数ωordは増加することとなる。
【0016】
【特許文献1】
特開平9−68341号公報(第1図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の冷凍サイクル制御方法は、冷房する部屋の温度とその目標温度との差分に応じてコンプレッサの回転数を変更するものであり、冷凍サイクルを循環する冷媒の循環量が、コンプレッサの回転数により一定の値に決定される冷凍サイクル装置では、高効率な冷凍サイクル制御を行うことができるが、冷媒の循環量が、コンプレッサの回転数のみにより決定されない冷凍サイクル装置では、高効率な冷凍サイクル制御を行うことが困難であるという問題がある。
【0018】
例えば、従来の回転型モータを利用したコンプレッサ(回転型コンプレッサ)、具体的にはレシプロコンプレッサ、ロータリーコンプレッサ、スクロールコンプレッサ等では、モータが一回転することにより圧縮される冷媒の容積が決まっている。このため、回転型コンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、そのコンプレッサのモータ回転数により、冷凍サイクルを循環する冷媒の循環量が一定値に決定される。このため回転型コンプレッサでは、コンプレッサの回転数を制御することにより、高効率な冷凍サイクル制御を行うことができる。
【0019】
一方、上記説明したようなリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、コンプレッサの圧縮室の容積が変動するため、一回の冷媒圧縮動作により圧縮される冷媒の容積が一意に決まらない。また、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、圧縮動作終了時に圧縮室に残存する冷媒の量が一定でないため、ピストンのストロークから冷凍サイクルでの冷媒の循環量を算出することもできない。この結果、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置では、コンプレッサの回転数制御により、つまり、単位時間当たりのピストンの往復運動の回数を制御することにより、高効率な冷凍サイクル制御を行うことはできない。
【0020】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、冷房あるいは暖房が行われる部屋などの実際の温度と、その目標温度との温度差に応じて、冷凍能力の制御を高効率でもって行うことができる、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明(請求項1)に係る冷凍サイクル装置は、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の体積を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の体積を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
この発明(請求項2)は、請求項1記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部とを備え、上記実循環量検出部は、検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を算出し、該容積と上記インバータの発生する交流電流の周波数との乗算により、上記実際の冷媒循環量を求めるものであることを特徴とするものである。
【0023】
この発明(請求項3)は、請求項2記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吐出側に位置する、冷媒を凝縮させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、該リニアコンプレッサが吐出する冷媒の圧力を推定する吐出圧力推定部と、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、上記リニアコンプレッサが吸入する冷媒の圧力を推定する吸入圧力推定部とを備え、上記実循環量検出部は、推定された吸入冷媒の圧力及び推定された吐出冷媒の圧力から得られる、上記循環経路における冷媒の最高圧力と最低圧力の圧力比と、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置とを用いた演算により、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を求めるものであることを特徴とするものである。
【0024】
この発明(請求項4)に係る冷凍サイクル装置は、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の重量を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の重量を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0025】
この発明(請求項5)は、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を検出する吐出冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、上記単位時間当たりにリニアコンプレッサにより吐出される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするものである。
【0026】
この発明(請求項6)は、請求項5記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出部とを備え、上記吐出冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を導出するものであることを特徴とするものである。
【0027】
この発明(請求項7)は、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を検出する吸入冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、単位時間当たりに上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするものである。
【0028】
この発明(請求項8)は、請求項7記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出部とを備え、上記吸入冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を求めるものであることを特徴とするものである。
【0029】
この発明(請求項9)は、請求項8記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器である蒸発器内の冷媒の温度を、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の飽和温度として検出する冷媒温度検出器と、上記リニアコンプレッサの運転状態に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度とその飽和温度との温度差である該冷媒の過熱度を推定する過熱度推定部とを備え、上記吸入温度検出部は、上記検出された蒸発器内の冷媒の温度と、上記推定された冷媒の過熱度とを加算して、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を求めるものであることを特徴とするものである。
【0030】
この発明(請求項10)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する空気調和機であって、上記第1の熱交換器は、室外側熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、室内側熱交換器であることを特徴とするものである。
【0031】
この発明(請求項11)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する冷蔵庫であって、上記第1の熱交換器は、熱を放出する凝縮器であり、上記第2の熱交換器は、庫内を冷却する蒸発器であることを特徴とするものである。
【0032】
この発明(請求項12)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する給湯器であって、水を貯める貯水槽を備え、上記第1の熱交換器は、上記貯水槽の水を加熱する水熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、周辺雰囲気から熱を吸収する空気熱交換器であることを特徴とするものである。
【0033】
この発明(請求項13)は、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する極低温冷凍装置であって、冷凍室を有し、上記第1の熱交換器は、熱を放出する放熱器であり、上記第2の熱交換器は、上記冷凍室内を冷却する蓄冷器であることを特徴とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
本発明の冷凍サイクル装置は、冷媒を循環させる手段としてリニアコンプレッサを使用するものであり、本発明の特徴は、リニアコンプレッサのピストンの動きから、冷凍サイクル装置における冷媒の循環量、つまりリニアコンプレッサの吐出あるいは吸入する冷媒の単位時間当たりの体積量あるいは重量(以下、体積循環量あるいは重量循環量ともいう。)を算出し、この算出した冷媒の体積量あるいは重量が、要求される冷凍能力に相当する値となるようリニアコンプレッサを駆動制御することにより、冷凍サイクル装置の高速かつ安定な制御を行うことである。
【0035】
ここで、上記リニアコンプレッサの制御は、リニアモータに印加する駆動電流を制御することにより行われるものであり、また、駆動電流の具体的な制御方法には、冷凍サイクル装置の凝縮器や蒸発器等の熱交換機の周辺温度と、該熱交換器に対して設定された設定温度(目標温度)との温度差が減少するよう、駆動電流の振幅や周波数、あるいは波形などを変更する方法が考えられる。
【0036】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置を説明するための図である。
本発明の実施の形態1の冷凍サイクル装置101は、室内の冷房を行う空気調和機であり、図8に示す従来の空気調和機50と同様、冷媒の循環経路(冷凍サイクル)を形成する第1の熱交換器(蒸発器)53a及び第2の熱交換器(凝縮器)55aと、該両熱交換機をつなぐガス側流通路Gpに配置されたリニアコンプレッサ1aと、該両熱交換器をつなぐ液側流通路Lpに配置された絞り装置57aとを有している。
【0037】
ここで、上記リニアコンプレッサ1aは、図7に示すリニアコンプレッサ1と同一のものであり、ピストン72を含むシリンダ部71aと該ピストン72を往復動作させるリニアモータ82を含むモータ部71bとを有し、該ピストンの往復運動により、上記冷媒の循環経路内で冷媒を循環させるものである。
【0038】
また、上記冷凍サイクル装置101は、上記リニアコンプレッサ1aのリニアモータに駆動電流Cdを供給してリニアコンプレッサ1aを駆動するコンプレッサ駆動部101aを有している。
【0039】
以下、このコンプレッサ駆動部101aについて詳述する。
このコンプレッサ駆動部101aは、この冷凍サイクル装置101にかかる負荷の状態を検出するための温度検出器3及び5を有している。該温度検出器3は、上記第2の熱交換器(凝縮器)55a周辺の雰囲気の温度(周囲温度)THdを検出し、該検出された温度(検出温度)を示す検出信号を出力する第2の熱交換器周囲温度検出器である。上記温度検出器5は、上記第1の熱交換器(蒸発器)53a周辺の雰囲気の温度(周囲温度)TLdを検出し、該検出された温度(検出温度)を示す検出信号を出力する第1の熱交換器周囲温度検出器である。
【0040】
なお、上記温度検出器3及び5は、熱交換器の周囲温度を検出して温度情報を出力するものであれば、どのようなものでもよい。例えば、このような温度検出器には、バイメタルを用いた機械式温度計、熱膨張温度計、磁気温度計、熱電対を用いた電気式温度計、抵抗温度計、サーミスタ温度計、半導体温度計、放射温度計、光温度計などが挙げられる。さらに、上記熱交換器の周囲温度を検出する温度検出器3及び5は、熱交換器周囲の雰囲気温度を検出するものに限らず、熱交換器周辺で輻射熱を検出するものであってもよい。
【0041】
上記コンプレッサ駆動部101aは、上記冷凍サイクル装置の運転状態を指令するための温度指令器4及び6を有している。該温度指令器4は、第2の熱交換器(凝縮器)55aに対して利用者が設定した目標温度(指令温度)THoを示す指令信号を出力する第2の熱交換器周囲温度指令器である。また、上記温度指令器6は、第1の熱交換器(蒸発器)53aに対して利用者が設定した目標温度(指令温度)TLoを示す指令信号を出力する第1の熱交換器周囲温度指令器である。ここで、上記凝縮器55aに対して設定された目標温度は、凝縮器の周辺温度(周囲温度)の目標値であり、上記蒸発器53aに対して設定された目標温度は、蒸発器の周辺温度(周囲温度)の目標値である。
【0042】
なお、上記冷凍サイクル装置101は、室内の冷房を行う空気調和機であるので、通常は、利用者が第2の熱交換器55aに対してその周辺温度の目標値を設定することはなく、上記温度指令器4は不要なものであるが、例えば、冷房運転時に空気調和機の第2の熱交換器から廃棄される熱(廃熱)が給湯システムで利用される場合などには、上記温度指令器4は、給湯システムにより供給される温水の目標温度(利用者の設定した温度)THoを示す指令信号を出力するものとして利用される。また、上記温度指令器6が出力する指令信号は、例えば、空気調和機のリモコンに内蔵されたマイコン(マイクロコンピュータ)が出力する、上記第1の熱交換器の設定温度(目標温度)を示すデジタル指令信号である。但し、該温度指令器6が出力する指令信号は、このようなデジタル指令信号に限らず、空気調和機に取り付けられている、温度設定を行うためのロータリースイッチが出力するアナログ指令信号であってもよい。
【0043】
上記コンプレッサ駆動部101aは、上記温度検出器3、5および温度指令器6から出力された温度情報に基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力(つまり単位時間当たりに行われるべき熱交換量)を計算し、計算された冷凍能力に応じた冷媒の体積循環量(つまりリニアコンプレッサ1aが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の体積)Vcoを示す指令信号(冷媒循環量情報)を出力する体積循環量指令部7と、実際に本冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の体積循環量(つまり実際にリニアコンプレッサ1aが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の体積)Vcdを検出し、該体積循環量を示す検出信号(冷媒循環量情報)を出力する体積循環量検出部8aとを有している。
【0044】
ここで、上記体積循環量検出部8aには、冷媒循環経路を流れる冷媒の容積流量を実測する容積流量計を用いている。
また、上記体積循環量指令部7での具体的な体積循環量の算出方法には、通常、検出温度(つまり温度検出器により検出された温度)と指令温度(つまり温度指令器からの指令信号が示す目標温度)の温度差に基づいて、冷凍サイクル装置に必要とされる冷媒の体積循環量を求める方法(第1の方法)が用いられる。
【0045】
但し、空気調和機を小さな部屋に設置した場合と大きな部屋に設置した場合とでは、実質的に必要となる冷房能力は異なる。例えば、上記温度差が同一でも、部屋が大きい場合の方が、必要とされる冷房能力は大きい。
【0046】
そこで、体積循環量の算出方法として、必要な体積循環量を算出する演算を、検出温度と指令温度の温度差の一定時間内当たりの変化量(言い換えると、検出温度の一定時間内当たりの変化量)を上記演算にフィードバックして行う第2の方法が考えられる。具体的には、この第2の方法は、上記第1の方法により求められた必要な体積循環量を、検出温度の一定時間内当たりの変化量から求められた熱負荷の大きさ(具体的には、冷房される部屋の大きさ)に応じて補正するものである。
【0047】
さらに、上記体積循環量指令部7での具体的な体積循環量の算出方法は、検出温度の値と指令温度の値との組に対して体積循環量の値が対応付けられているマトリックス状テーブルなどを用いて、上記第2の方法のようなフィードバックループではなくオープンループでもって、必要な体積循環量を算出する第3の方法でもよい。
【0048】
上記コンプレッサ駆動部101aは、リニアコンプレッサ1aのリニアモータに駆動電流として供給する交流電流Cdを作成するインバータ2と、該インバータ2の動作を、上記体積循環量指令部7からの指令信号Vcoが示す冷媒の体積循環量と、上記体積循環量検出部8aからの検出信号が示す冷媒の体積循環量Vcdの差分がゼロとなるよう制御するインバータ制御部20とを備えている。
【0049】
以下、リニアコンプレッサを駆動制御する方法について具体的に説明する。
リニアコンプレッサ1aのリニアモータは、単相の交流電流、もしくは直流が重畳された交流電流によって駆動され、また、リニアコンプレッサ1aは、バネやガスといった弾性部材の共振現象を用いて高効率に運転されるものであり、このためリニアコンプレッサの運転周波数、つまりピストン往復運動の振動数はほぼ一定である。
【0050】
そこで、リニアコンプレッサを利用した冷凍サイクル装置での冷媒循環量を調整する方法が、以下の示すとおり、いくつか考えられる。
まず、インバータ2が出力する交流電流の振幅値を変化させることにより、リニアコンプレッサ1aが吐出あるいは吸入する冷媒循環量を調整する方法がある。
【0051】
また、インバータ2の駆動電流が、直流が重畳された交流電流である場合、リニアコンプレッサ1a内のピストンの振動の中心位置がシリンダヘッドに近づくよう直流電流のレベルを調整することにより、冷媒循環量を増大させ、ピストンの振動の中心位置がシリンダヘッドから遠ざかるするよう直流電流のレベルを調整することにより、冷媒循環量を減少させる方法を用いることができる。また、交流電流の振幅と直流電流のレベルを共に変化させることによって、体積循環量を調整する方法も考えられる。
【0052】
さらに、リニアコンプレッサ1aの共振周波数がある一定の周波数帯域幅を有する場合、インバータ2の出力電流の周波数を変化させることにより、冷媒の体積循環量を変化させる方法を用いることができる。さらには、インバータ2の出力する交流電流の波形を変化させることにより、上記冷媒の体積循環量を変化させる方法も考えられる。
【0053】
次に動作について説明する。
インバータ2で発生された交流電流Cdがリニアコンプレッサ1aのリニアモータに印加されると、リニアモータが駆動し、ピストンの往復運動が開始する。その後、リニアコンプレッサ1aの駆動状態が安定したとき、該リニアコンプレッサ1aは、一定の負荷条件の下では、ピストン往復運動が共振状態である共振駆動状態となる。このときピストンの往復運動の振動数は、該交流電流Cdの周波数に一致する。
【0054】
このように上記リニアコンプレッサ1aが駆動され、これにより冷媒が冷凍サイクル装置の循環経路内を循環すると、第2の熱交換器(蒸発器)55aでは、冷媒の液化により該熱交換器55aから大気への熱の放出が行われ、また、第1の熱交換器(蒸発器)53aでは、冷媒の気化により周辺の空気からの熱の吸収が行われる。このとき、冷媒は、上記冷媒循環経路内を、リニアコンプレッサ1a、第2の熱交換器55a、絞り装置57a、第1の熱交換器53a及びリニアコンプレッサ1aの順に循環する。なお、図1中、Cmfは、本実施の形態1の冷凍サイクル装置101の冷房運転時に冷媒が冷媒循環経路内を循環する方向である。
【0055】
以下、冷凍サイクル装置101のリニアコンプレッサの具体的な制御について説明する。
この空気調和機(冷凍サイクル装置)101では、その運転中に、温度検出器5にて第1の熱交換器53aの周囲温度が検出され、温度検出器3にて第2の熱交換器55aの周囲温度が検出される。該各温度検出器3、5からは、該検出された周囲温度(検出温度)THd、TLdを示す検出信号が出力され、それぞれ体積循環量指令部7に入力される。また、温度指令器6からは、第1の熱交換器53aに対して設定された目標温度(指令温度)、つまり利用者が設定した室内温度TLoを示す指令信号が出力され、該指令温度TLoを示す指令信号が体積循環量指令部7に入力される。
【0056】
なお、この実施の形態1では、上述したように、第2の熱交換器55aに対して目標温度が設定されていないため、リニアコンプレッサの制御に、温度指令器4の出力は用いないが、例えば、この冷凍サイクル装置の冷房運転時に廃棄される廃熱を、給湯システムなどで利用する場合には、温度指令器4からは、給湯システムにより供給される温水の、利用者が設定した目標温度(指令温度)THoを示す指令信号が、上記体積循環量指令部7に出力されることとなる。
【0057】
上記のように、温度検出器3、5からの検出信号、及び温度指令器からの指令信号が体積循環量指令部7に入力されると、体積循環量指令部7では、上記検出温度TLdと指令温度TLoとの温度差、及び検出温度THdに基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出する演算処理が行われ、算出された体積循環量Vcoを示す指令信号(循環量情報)がインバータ制御部20に供給される。
【0058】
一般的に空気調和機の冷房運転の場合、検出温度(実際の室温)TLdが指令温度(目標温度)TLoに対して高ければ高いほど冷凍サイクルに要求される冷媒循環量は多くなる。また、空気調和機の冷房運転では、室外機(凝縮器)の周囲温度が低くなると、冷凍サイクルの負荷は小さくなって必要な冷媒循環量は少なくなり、逆に、室外機の周囲温度が高くなると、冷凍サイクルの負荷が大きくなって必要な冷媒循環量は多くなる。さらに、上述したように、冷凍サイクル装置から廃棄される廃熱が給湯システムで利用される場合には、検出温度THdが指令温度THoに対して低ければ低いほど冷凍サイクルに要求される冷媒循環量は多くなる。
【0059】
さらに、この空気調和機(冷凍サイクル装置)101の運転中には、体積循環量検出部8aにて、実際に冷媒循環経路を循環している冷媒の体積量(体積循環量)Vcdが検出され、該体積循環量Vcdを示す検出信号(循環量情報)が上記インバータ制御部20に供給される。
【0060】
そして、インバータ制御部20では、体積循環量指令部7にて算出された冷媒の体積循環量Vcoと、上記体積循環量検出部8aにて検出された冷媒の体積循環量Vcdとに基づいて制御信号Scがインバータ2に供給される。するとインバータ2では、制御信号Scに基づいて、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう、上記インバータ2の、交流電流を発生する動作が制御される。
【0061】
例えば、必要とされる冷媒の体積循環量Vcoと実際の冷媒の体積循環量Vcdとの差分が大きいほど、上記インバータ2で発生される交流電流Cdの振幅は大きなものとなり、この結果、リニアコンプレッサ1aでは、往復運動するピストンのストローク長は大きくなる。
【0062】
これにより、冷凍サイクルにおける冷媒の循環量が増大して、時間当たりの熱交換量が増加し、蒸発器53aの周囲温度TLdが、その設定温度(目標温度)TLoに近づくこととなる。
【0063】
このように本実施の形態1では、リニアコンプレッサ1aを用いた冷凍サイクル装置101において、室内の熱交換器(蒸発器)53aの周辺温度、該蒸発器53aに対して使用者が設定した目標温度、及び室外の熱交換器(凝縮器)55aの周囲温度に基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力に応じた冷媒の体積循環量Vcoを求める体積循環量指令部7と、実際に本冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の体積循環量Vcdを検出する体積循環量検出部8aとを備え、リニアコンプレッサの駆動電流(交流電流)を発生するインバータ2を、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう制御するので、室内の実際の温度と、その目標温度との差分に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を高効率でもって制御することができる。
【0064】
また、この実施の形態1では、室内の温度(第1の熱交換器53aの周囲温度)だけでなく、室外の温度(第2の熱交換器55aの周囲温度)にも基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態1では、第1及び第2の両熱交換器の周囲温度を検出する場合について説明したが、冷凍サイクル装置101は、第1の熱交換器53aの周囲温度のみを検出するものであってもよく、この場合、第2の熱交換器55aの周囲温度を検出する温度検出器3は不要となる。
【0066】
また、上記実施の形態1では、体積循環量検出部8aとして冷媒の容積流量を実測する容積流量計を用いているが、上記体積循環量検出部8aはこれに限るものではなく、例えば、冷媒循環経路を流れる冷媒中に発生する圧力差に基づいて冷媒の流量を推測する差圧流量計であってもよく、さらにその他の、面積流量計、タービン流量計、渦流量計、超音波流量計、電磁流量計などといった、流体の流量を計測する計測器であってもよい。
【0067】
また、上記実施の形態1では、冷凍サイクル装置が、冷房を行う空気調和機である場合について説明したが、冷凍サイクル装置は、暖房を行う空気調和機であってもよい。この場合、上記第1の熱交換器53aは凝縮器として動作し、第2の熱交換器55aは蒸発器として動作することとなり、使用者は、凝縮器として動作する第1の熱交換器53aの周辺温度の目標値を設定することとなる。
【0068】
以下、冷凍サイクル装置が暖房運転を行う空気調和機である場合のリニアコンプレッサの具体的な制御について簡単に説明する。但し、この場合も、第2の熱交換器55aに対しては目標温度が設定されず、温度指令器4からは、目標温度(指令温度)THoを示す指令信号が出力されないものとする。
【0069】
上記温度検出器3及び5では、上記各熱交換器53a、55aの周囲温度が検出され、検出温度THd、TLdを示す検出信号が出力され、温度指令器6からは、第1の熱交換器に対する目標温度(指令温度)、つまり、利用者が設定した部屋の温度TLoを示す指令信号が出力される。
【0070】
体積循環量指令部7では、上記検出温度TLd、THd、及び指令温度TLoに基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出する演算処理が行われ、算出された体積循環量Vcoを示す検出信号(循環量情報)がインバータ制御部20に供給される。
【0071】
このように暖房運転を行う空気調和機では、検出温度TLdが指令温度TLoに対して低ければ低いほど冷凍サイクルに要求される冷媒循環量は多くなる。また、この空気調和機では、室外機の周囲温度が高くなると、冷凍サイクルの負荷は小さくなって必要な冷媒循環量は少なくなり、逆に、室外機の周囲温度が低くなると、冷凍サイクルの負荷が大きくなって必要な冷媒循環量は多くなる。
【0072】
そして、この空気調和機(冷凍サイクル装置)では、体積循環量検出部8aにて、実際に冷媒循環経路を循環している冷媒の体積量(体積循環量)Vcdが検出され、該体積循環量Vcdを示す指令信号(循環量情報)が上記インバータ制御部20に供給され、上記インバータ2の動作が、該インバータ制御部20からの制御信号Scにより、冷媒の体積循環量Vcoと冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう制御される。
【0073】
このような暖房運転を行う空気調和機においても、上記実施の形態の冷房運転を行う空気調和機と同様、要求される冷媒の体積循環量Vcoと実際の冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう、上記リニアコンプレッサ1aの駆動電流(交流電流)を発生するインバータ2を制御するので、室内の実際の温度と、その目標温度との差分に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を高効率でもって制御することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、冷凍サイクル装置が空気調和機である場合について示したが、上記冷凍サイクル装置は、これに限るものではなく、冷蔵庫や給湯器や極低温冷凍装置などであってもよい。
【0075】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【0076】
この実施の形態2の冷凍サイクル装置102は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101におけるコンプレッサ駆動部101aに代えて、該コンプレッサ駆動部101aとは、実際の冷媒の体積循環量を検出する方法が異なるコンプレッサ駆動部102aを備えたものであり、その他の構成は実施の形態1のものと同一である。
【0077】
つまり、上記コンプレッサ駆動部102aは、実施の形態1のコンプレッサ駆動部101aと同様、第2の熱交換器周囲温度検出器3、第1の熱交換器周囲温度検出器5、第2の熱交換器周囲温度指令器4、第1の熱交換器周囲温度指令器6、体積循環量指令部7、インバータ2、及びインバータ制御部20を有している。
【0078】
そして、この実施の形態2のコンプレッサ駆動部102aは、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンのストローク長を検出し、検出したストローク長Dpsを示す検出信号(ストローク情報)を出力するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンの上死点位置、つまり、ピストンがシリンダヘッドに最も近づいたときのピストン位置Dfdを検出し、該上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)を出力する上死点位置検出部10と、上記ストローク長Dps及び上死点位置Dfdに基づいて、冷凍サイクル装置102の冷媒循環経路を流れる冷媒の実際の体積循環量Vcdを算出する体積循環量検出部8bとを有している。
【0079】
ここで、上記ストローク検出部9及び上死点位置検出部10には、接触型の位置センサを用いている。但し、上記各検出部は、接触型の位置センサに限らず、非接触型の位置センサ、例えば渦電流式のギャップセンサや2つのコイルを用いた作動トランスであってもよく、さらに、リニアコンプレッサに入力する電流と電圧の値から、上記ピストンのストローク長及び上死点位置を推測するものであってもよい。
【0080】
次に動作について説明する。
この実施の形態2の冷凍サイクル装置102では、実際の冷媒の体積循環量を求める動作のみ実施の形態1と異なっており、以下では、主に実際の冷媒の体積循環量を求める動作について説明する。
【0081】
リニアコンプレッサ1a内で冷媒が圧縮されるとき、もれ等がないと仮定した場合、その冷媒の状態変化は断熱変化である。そこで、冷媒の圧力をP、その体積をV、比熱比をγとすると、以下の式(1)が成り立つ。
P×Vγ=一定 ・・・(1)
【0082】
なお、上記比熱比γは、上記冷媒の定圧比熱CPと定積比熱CVの比であり、これは、冷媒の種類によって異なるものである。
次に、ピストンの一往復によりリニアコンプレッサ1aから吐出する冷媒の体積を、ピストンのストローク長と上死点位置から求める方法について説明する。
【0083】
図3は、シリンダ71内でのピストン72の位置を示す図であり、図3(a)は、ピストン72が上死点位置にあるとき、つまりピストンがシリンダヘッドに最も接近したときの様子を示し、図3(b)はピストン72が下死点位置にあるとき、つまりピストンがシリンダヘッドから最も遠ざかったときの様子を示している。
【0084】
図3(a)に示すように、ピストン72が上死点位置にあるとき、圧縮室76の内部の冷媒の圧力Pxは、圧力P1[Pa]となる。また、冷凍サイクル(冷媒の循環経路)内を冷媒が循環している状態で、ピストンが上死点位置にあるときは、圧縮室76の内部圧力Pxは、冷媒がリニアコンプレッサから吐出されるときの圧力(吐出圧力)Pd[Pa]まで上昇している。このため、ピストンが上死点位置にあるときの冷媒の圧力P1[Pa]は、上記吐出圧力Pd[Pa]に等しい。
【0085】
また、圧縮室76の体積Vxは、ピストン72が上死点位置にあるとき最小となり、このときの圧縮室の体積V1[m3]は、ピストン72が上死点位置にあるときのシリンダヘッド内面とピストン圧縮面との間隔x1[m]と、ピストンの断面積S[m2]の積として求めることができる。
【0086】
図3(b)に示すように、ピストン72が下死点位置にあるとき、圧縮室内部の冷媒の圧力Pxは、圧力P2[Pa]となる。また、冷凍サイクル内を冷媒が循環している状態で、ピストンが下死点位置にあるときは、圧縮室内部の圧力Pxは、冷媒がリニアコンプレッサに吸入されるときの圧力(吸入圧力)Ps[Pa]まで減少している。このため、ピストンが下死点位置にあるときの冷媒圧力P2[Pa]は、吸入圧力Ps[Pa]に等しい。
【0087】
また、圧縮室の体積Vxは、ピストン72が下死点位置にあるとき最大となり、このときの圧縮室の体積V2[m3]は、ピストン72が下死点位置にあるときのシリンダヘッド内面とピストン圧縮面との間隔x3[m]と、ピストンの断面積S[m2]との積から求めることができる。なお、ここで、上記間隔x3[m]は、間隔x1[m]とピストンストローク長x2[m]の和である。
【0088】
図3(c)に示すように、ピストンがその下死点位置からシリンダヘッド側へ移動し始めると、リニアコンプレッサは圧縮状態となる。このとき、圧縮室の体積Vxは減少し始め、圧縮室内部の圧力Pxは吸入圧力P2から上昇し始める。そして、圧縮室内部の圧力Pxが吐出圧力P1に達するまで上昇したとき、リニアコンプレッサ1aの吐出弁が開き、冷媒の吐出が開始される。このときの圧縮室の体積Vxは、体積V3である。
【0089】
リニアコンプレッサの圧縮行程で、ピストンが下死点位置(図3(b))から吐出弁が開く位置(図3(c))まで移動する間は、圧縮室内部の冷媒は断熱変化しており、以下の式(2)が成り立つ。
P2×V2γ=P1×V3γ ・・・(2)
【0090】
よって、吐出される冷媒の体積は以下の(3)により求められる。
V3−V1=(P2/P1)1/γ×V2−V1 ・・・(3)
【0091】
一方、吸入される冷媒の体積は、リニアコンプレッサの吸入行程にて圧縮室内部の圧力Pxが吸入圧力Psに達したときの圧縮室の体積をV4[m3]とすると、以下の式(4)で求められる。
V2−V4=V2−(P1/P2)1/γ×V1 ・・・(4)
【0092】
なお、この実施の形態2では、上記(3)式及び(4)式の、吐出圧と吸入圧の圧力比(P1/P2)として、冷凍サイクルを動かすときの代表的な値を用いている。
【0093】
また、リニアコンプレッサ1aでは、入力される駆動電流と同一周波数でピストンの往復運動が行われるため、単位時間に行われるピストンの往復運動の回数は、インバータの出力電流の周波数と一致する。
【0094】
従って、上記体積循環量検出部8bでは、上記(3)式により求められた、ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の体積と、インバータの周波数との乗算処理により、単位時間あたりにリニアコンプレッサが吐出する冷媒の体積が求められる。また、上記体積循環量検出部8bでは、上記(4)式により求められた、ピストンの1往復運動により吸入される冷媒の体積と、インバータ出力の周波数との乗算処理により、単位時間あたりにリニアコンプレッサに吸入される冷媒の体積が求められる。
【0095】
そして、上記体積循環量検出部8bからは、単位時間あたりにリニアコンプレッサにより吐出あるいは吸入される冷媒の体積量Vcdを実際の冷媒の循環量として示す検出信号(循環量情報)が出力され、この検出信号が上記インバータ制御部20に供給されると、該インバータ制御部20からインバータ2の制御信号Scが出力される。すると、インバータ2では、上記制御信号Scに基づいて、必要とされる冷媒の体積循環量Vcoと実際の冷媒の体積循環量Vcdとの差分が減少するよう、交流電流の発生動作が制御される。
【0096】
このように本実施の形態2では、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部10とを備え、上記ピストンのストローク長、上死点位置、及びリニアコンプレッサ1aの駆動電流であるインバータ2の出力交流電流の周波数に基づいて、冷凍サイクルを循環する実際の冷媒の体積循環量を算出するので、上記実施の形態1と同様、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷房する部屋の実際の温度と、その目標温度との差分に応じて、高い効率でもって制御することができるだけでなく、実際の冷媒の体積循環量を計測する流体センサを不要とできる効果がある。
【0097】
なお、上記実施の形態2では、吐出あるいは吸入される冷媒の体積の計算には、吐出圧と吸入圧の圧力比(P1/P2)として、冷凍サイクルを動かすときの代表的な値を用いているが、この圧力比は、実際に冷媒の吐出圧力と吸入圧力を計測して求めた値としてもよい。この場合、運転条件によって圧力状態が変化し、冷媒の吐出圧と吸入圧の圧力比が変化するような冷凍サイクル装置であっても、冷媒の体積循環量に基づいて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0098】
ここで、吐出圧力の値を求める方法には、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器のうち、コンプレッサの吐出側に設置され、凝縮器として作用している熱交換器の温度から、上記吐出圧力の値を、冷媒の飽和するときの圧力として求める方法がある。また、吸入圧力の値を求める方法には、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器、及び第2の熱交換器のうち、コンプレッサの吸入側に設置され、蒸発器として作用している熱交換器の温度から、吸入圧力の値を、冷媒の飽和するときの圧力として求める方法がある。
【0099】
つまり、冷媒液を、ある一定の圧力のもとで加熱すると、その液温が上昇してある温度に達したとき、冷媒液は沸騰し始める。この状態では、さらに冷媒液を加熱しても、冷媒液がすべて蒸発するまでは温度は一定に保持される。また、冷媒ガスを、ある一定の圧力のもとで冷却すると、そのガス温が低下してある温度に達したとき、冷媒ガスは凝縮し始める。この状態では、さらに冷媒ガスを冷却しても、冷媒ガスがすべて凝縮するまでは温度は一定に保持される。このように冷媒を加熱あるいは冷却しても温度が一定に保持される状態での冷媒の温度が飽和温度であり、そのときの冷媒の圧力が飽和圧力である。通常、蒸発器あるいは凝縮器の内部では、冷媒の圧力が一定に保たれており、冷媒はその液とその蒸気が混在した状態での飽和状態にある。また、飽和状態にあるときの温度(飽和温度)と圧力(飽和圧力)の関係は冷媒によって決まっている。従って、冷媒の飽和温度が測定できれば、飽和圧力を求めることができる。
【0100】
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図であり、該冷凍サイクル装置を構成するリニアコンプレッサ駆動部を示している。
【0101】
この実施の形態3の冷凍サイクル装置103は、実施の形態1における、冷媒の単位時間当たりの体積循環量(以下、単に体積循環量ともいう。)に基づいてリニアコンプレッサ1aを駆動制御するリニアコンプレッサ駆動部101aに代えて、冷媒の単位時間当たりの重量循環量(以下、単に重量循環量ともいう。)に基づいてリニアコンプレッサ1aを駆動制御するリニアコンプレッサ駆動部103aを備えたものであり、その他の構成は実施の形態1の冷凍サイクル装置101におけるものと同一である。
【0102】
つまり、上記冷凍サイクル装置103は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101と同様、室内の冷房を行う空気調和機であり、冷媒の循環経路(冷凍サイクル)を形成する第2の熱交換器(凝縮器)55a及び第1の熱交換器(蒸発器)53aと、該両熱交換機をつなぐガス側流通路Gpに配置されたリニアコンプレッサ1aと、該両熱交換器をつなぐ液側流通路Lpに配置された膨張弁57aとを有している。
【0103】
上記リニアコンプレッサ駆動部103aは、実施の形態1の冷凍サイクル装置101のリニアコンプレッサ駆動部101aと同様、リニアコンプレッサの駆動電流である交流電流を発生するインバータ2と、第2の熱交換器の周囲温度を検出する温度検出器3と、第2の熱交換器の周囲温度を指令する温度指令器4と、第1の熱交換器の周囲温度を検出する温度検出器5と、第1の熱交換器の周囲温度を指令する温度指令器6とを有している。
【0104】
そして、上記リニアコンプレッサ駆動部103aは、上記各温度検出器3、5及び温度指令器4の出力に基づいて、冷凍サイクルに要求される冷凍能力を計算し、該計算された冷凍能力に応じた冷媒の重量循環量Wcoを示す指令信号(循環量情報)を出力する重量循環量指令部11と、実際に冷凍サイクル(冷媒循環経路)を流れる冷媒の重量循環量を検出して、実際の冷媒の重量循環量Wcdを示す検出信号(循環量情報)を出力する重量循環量検出部12cと、上記実際の循環量Wcdと上記要求される循環量Wcoの差分がゼロとなるよう、上記リニアコンプレッサ1aの駆動電流(交流電流)Idを発生するインバータ2を制御するインバータ制御部21とを有している。ここで、上記重量循環量検出部12cには、質量流量(つまり単位時間当たりに冷凍サイクルを流れる冷媒の質量)を計測するコリオリ質量流量計を用いている。
【0105】
なお、この実施の形態3では、上記実施の形態1と同様、第2の熱交換器55aに対して目標温度が設定されず、このため、リニアコンプレッサの制御に、温度指令器4の出力は用いない。但し、例えば、この冷凍サイクル装置の冷房運転時に廃棄される廃熱を、給湯システムなどで利用する場合には、温度指令器4からは、給湯システムにより供給される温水の、利用者が設定した目標温度(指令温度)HLoを示す指令信号が、上記重量循環量指令部11に出力されることとなる。
【0106】
次に動作について説明する。
この実施の形態3の冷凍サイクル装置103では、冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力が、実施の形態1のように冷媒の体積循環量に基づいて制御されるではなく、冷媒の重量循環量に基づいて制御される。従って、以下では、主に冷媒の重量循環量に基づいて、冷凍サイクル装置のリニアコンプレッサを駆動制御する動作について説明する。
【0107】
リニアコンプレッサ1aがリニアコンプレッサ駆動部103aにより駆動され、冷媒循環経路内を冷媒が循環し、各熱交換器にて熱交換が行われている状態で、各温度検出器3、5では、第2の熱交換器(凝縮器)55a及び第1の熱交換器(蒸発器)53aの周囲温度が検出され、該検出された周囲温度を示す検出信号(温度情報)が重量循環量指令部11に供給される。また、温度指令器6からは、第1の熱交換器(蒸発器)53aに対して、使用者が設定した目標温度(つまり、蒸発器の周囲温度の目標値)を示す指令信号(温度情報)が出力され、上記重量循環量指令部11に供給される。
【0108】
そして、上記重量循環量指令部11では、温度検出器3、5からの温度情報(検出信号)と、温度指令器6からの温度情報(指令信号)とに基づいて、本冷凍サイクル装置103に要求される冷媒の重量循環量を算出する演算が行われ、算出された冷媒の重量循環量Wcoを示す指令信号(循環量情報)がインバータ制御部21に出力される。ここで、上記重量循環量指令部11では、重量循環量を算出する演算処理は、検出温度TLdと指令温度TLoの温度差の一定時間当たりの変化量をフィードバックして行われている。つまり、検出温度TLdと指令温度TLoの差、及び検出温度THdに基づいて、必要とされる重量循環量が一意的に算出され、該算出された重量循環量が、検出温度TLdと指令温度TLoの温度差の一定時間当たりの変化量に基づいて補正される。この補正された冷媒の重量循環量を示す指令信号が上記インバータ制御部21に供給される。
【0109】
また、上記重量循環量検出部12では、上記循環経路を流れる冷媒の実際の重量循環量がコリオリ質量流量計などの計測器により測定され、測定された冷媒の実際の重量循環量を示す検出信号(循環量情報)が、上記インバータ制御部21に出力される。
【0110】
すると、上記インバータ制御部21からはインバータ2にその制御信号Scが供給され、インバータ2では、冷媒の重量循環量Wcoと冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、制御信号Scに基づいて交流電流の発生動作が制御される。
【0111】
このように本実施の形態3では、リニアコンプレッサ1aを用いた冷凍サイクル装置103において、室内の熱交換器(蒸発器)53aの周囲温度、使用者が設定した室内の目標温度、及び室外の熱交換器(凝縮器)55aの周囲温度に基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷凍能力に応じた冷媒の重量循環量Wcoを求める重量循環量指令部11と、実際に本冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の重量循環量Wcdを検出する重量循環量検出部12cと、リニアコンプレッサ1aを駆動する交流電流を発生するインバータ2とを備え、上記冷媒の重量循環量Wcoと冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、上記インバータ2を制御するので、冷房する部屋の実際の温度と、その目標温度との温度差に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。しかも、この実施の形態3では、冷凍サイクル装置の冷凍能力の制御を、該装置の負荷とより密接に関連している冷媒の重量循環量に基づいて行っているので、冷凍能力の制御をより応答性よく安定に行うことができる。
【0112】
また、この実施の形態3では、室内の温度(蒸発器の周囲温度)だけでなく、室外の温度(凝縮器の周囲温度)にも基づいて、本冷凍サイクル装置に要求される冷媒の重量循環量Wcoを算出しているので、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の重量循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0113】
なお、上記実施の形態3では、上記重量循環量指令部11として、検出温度と指令温度の温度差の変化をフィードバックして必要な重量循環量を算出するものを示したが、上記重量循環量指令部11は、検出温度の値と指令温度の値の組に重量循環量の値が対応付けられているマトリックス状テーブルなどを用いて、上記のようなフィードバックループではなくオープンループでもって、必要な重量循環量を算出するものであってもよい。
【0114】
また、上記実施の形態3では、重量循環量検出部12cが、質量流量を計測するコリオリ質量流量計である場合について示したが、重量循環量検出部12cには、熱式質量流量計などといった計測器を用いてもよく、この場合も上記実施の形態3と同様な効果が得られる。
【0115】
また、本実施の形態では、冷凍サイクル装置が室内の冷房を行う空気調和機である場合について説明したが、この実施の形態3の冷凍サイクル装置は、実施の形態1で説明しように、室内の暖房を行う空気調和機であっても、あるいは冷蔵庫や給湯器や極低温冷凍装置などであってもよい。
【0116】
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【0117】
この実施の形態4の冷凍サイクル装置104は、実施の形態3のコンプレッサ駆動部103aに代えて、該コンプレッサ駆動部103aとは、冷媒の重量循環量を検出する方法が異なるコンプレッサ駆動部104aを備えたものであり、その他の構成は実施の形態3のものと同一である。
【0118】
つまり、上記コンプレッサ駆動部104aは、実施の形態3のコンプレッサ駆動部103aと同様、第2の熱交換器周囲温度検出器3、第1の熱交換器周囲温度検出器5、第2の熱交換器周囲温度指令器4、第1の熱交換器周囲温度指令器6、重量循環量指令部11、インバータ2、及びインバータ制御部21とを有している。
【0119】
そして、この実施の形態4のコンプレッサ駆動部104aは、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンのストローク長を検出し、検出したストローク長Dpsを示す検出信号(ストローク情報)を出力するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内で往復運動するピストンの上死点位置、つまり、ピストンがシリンダヘッドに最も近づいたときのピストン位置Dfdを検出し、該上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)を出力する上死点位置検出部10と、リニアコンプレッサ1aから吐出される冷媒の密度Dmd1を検出する吐出冷媒密度検出部13と、上記ストローク長Dps、上死点位置Dfd、及び冷媒密度Dmd1に基づいて、冷凍サイクル装置の冷媒循環経路を流れる冷媒の実際の重量循環量Wcdを算出する重量循環量検出部12dとを有している。ここでは、吐出冷媒密度検出部13には、光ファイバを用いた密度センサを用いている。また、上記ストローク検出部9及び上死点位置検出部10には、上記実施の形態2と同様、接触型の位置センサを用いている。但し、上記各検出部は、接触型の位置センサに限らず非接触型の位置センサ、例えば渦電流式のギャップセンサや2つのコイルを用いた作動トランスを用いてもよく、またリニアコンプレッサに入力する電流と電圧の値から、上記ピストンのストローク長及び上死点位置を推測するものであってもよい。
【0120】
次に動作について説明する。
この実施の形態4の冷凍サイクル装置104では、冷媒循環経路を流れる冷媒の実際の重量循環量を算出する動作のみ実施の形態3と異なっており、以下では、主に上記冷媒の重量循環量の算出動作について説明する。
【0121】
ストローク検出部9では、運転中のリニアコンプレッサ1aにおけるピストンストローク長Dpsが検出され、ストローク長を示す検出信号(ストローク情報)が重量循環量検出部12dに出力される。また、上死点位置検出部10では、運転中のリニアコンプレッサにおけるピストン上死点位置Dfdが検出され、上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)が重量循環量検出部12dに出力される。また、吐出冷媒密度検出部13では、リニアコンプレッサ1から吐出された冷媒の密度Dmd1が検出され、冷媒密度を示す検出信号(密度情報)が上記重量循環量検出部12dに出力される。
【0122】
すると、上記重量循環量検出部12dでは、実施の形態2の冷凍サイクル装置102における体積循環量検出部8bと同様にして、ピストンストローク長Dpsと上死点位置Dfdに基づいて、リニアコンプレッサ1aがピストン1往復当たりに吐出する冷媒の体積が求められる。この重量循環量検出部12dでは、さらに、上記求められた、ピストン1往復当たりの吐出冷媒の体積と、吐出冷媒密度検出部13によって検出された吐出冷媒密度Dms1との乗算処理が行われ、ピストンの1往復運動により吐出される冷媒重量が算出される。そして、この重量循環量検出部12dでは、ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の重量に、インバータの周波数を乗算する処理が行われ、単位時間あたりにリニアコンプレッサが吐出する冷媒の重量Wcdが求められ、この吐出冷媒重量を示す検出信号(循環量情報)が上記インバータ制御部21に供給される。すると、該インバータ制御部21からインバータ2にその制御信号Scが供給され、インバータ2では、要求される冷媒の重量循環量Wcoと実際の冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、上記制御信号Scに基づいて上記交流電流の発生動作が制御される。
【0123】
このように本実施の形態4では、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部10と、リニアコンプレッサ1から吐出される冷媒の密度を検出する吐出冷媒密度検出部13とを備え、上記ピストンのストローク長、上死点位置、リニアコンプレッサ1aから吐出される冷媒の密度、及びリニアコンプレッサ1aの駆動電流であるインバータ2の出力交流電流の周波数に基づいて、冷凍サイクルを循環する実際の冷媒の重量循環量を算出するので、上記実施の形態3と同様、リニアコンプレッサを用いた、室内の冷房を行う空気調和機である冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷房する部屋の実際の温度とその目標温度との温度差に応じて、高効率でもって制御することができる効果に加えて、実際の冷媒の重量循環量を計測する流体センサを不要とできる効果がある。
【0124】
なお、上記実施の形態4では、吐出冷媒密度検出部13が、光ファイバを用いた密度センサである場合について示したが、上記吐出冷媒密度検出部13は、吐出冷媒の温度と吐出冷媒の圧力から、吐出冷媒の密度を求めるものであってもよい。この場合、吐出冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0125】
また、吐出冷媒の密度を吐出冷媒の温度と吐出冷媒の圧力から求める具体的な方法としては、冷媒の状態方程式から算出する方法や、冷媒の温度の値とその圧力の値の組に冷媒の密度を対応付けるテーブルから求める方法がある。ここで、吐出冷媒の温度は、一般にリニアコンプレッサ1aの保護用センサとしてリニアコンプレッサ1aの吐出口に取り付けられている温度センサの出力から求めることができ、また、吐出冷媒の圧力は、リニアコンプレッサ1aの吐出側に取り付けられている圧力センサの出力から求めることができる。さらに、吐出冷媒の圧力は、実施の形態2でも説明したように、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器、及び第2の熱交換器のうち、リニアコンプレッサ1aの吐出側に設置された、凝縮器として作用している熱交換器の温度から、冷媒の飽和するときの圧力として求めることもできる。
【0126】
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
この実施の形態5の冷凍サイクル装置105は、上記実施の形態4の、実際の冷媒の重量循環量を、リニアコンプレッサ1aから吐出される冷媒の密度に基づいて算出するリニアコンプレッサ駆動部104aに代えて、実際の冷媒の重量循環量を、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度に基づいて算出するリニアコンプレッサ駆動部105aを備えたものであり、その他の構成は、実施の形態4におけるものと同一である。
【0127】
つまり、このリニアコンプレッサ駆動部105aは、上記実施の形態4と同様、第2の熱交換器周囲温度検出器3、第1の熱交換器周囲温度検出器5、第2の熱交換器周囲温度指令器4、第1の熱交換器周囲温度指令器6、ストローク検出部9、上死点位置検出部10、重量循環量指令部11、インバータ2、及びインバータ制御部21を有している。
【0128】
そして、この実施の形態5のコンプレッサ駆動部105aは、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度Dmd2を検出する吸入冷媒密度検出部14と、ピストンストローク長Dps、上死点位置Dfd、及び吸入冷媒密度Dmd2に基づいて、リニアコンプレッサ1aにおける実際の冷媒の重量循環量Wcdを算出する重量循環量検出部12eとを有している。ここで、上記吸入冷媒密度検出部14は、光ファイバを用いた密度センサ等を用いている。
【0129】
次に動作について説明する。
この実施の形態5の冷凍サイクル装置105では、実際の冷媒の重量循環量を算出する動作のみ実施の形態4と異なっており、以下では、主に冷媒の重量循環量の算出動作について説明する。
【0130】
リニアコンプレッサ1aが駆動され、冷媒が循環経路内を循環している状態で、ストローク検出部9では、運転中のリニアコンプレッサ1aにおけるピストンストローク長Dpsが検出され、ストローク長を示す検出信号(ストローク情報)が重量循環量検出部12eに出力される。また、上死点位置検出部10では、運転中のリニアコンプレッサにおけるピストン上死点位置Dfdが検出され、上死点位置を示す検出信号(上死点位置情報)が重量循環量検出部12eに出力される。また、吸入冷媒密度検出部14では、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度Dmd2が検出され、冷媒密度を示す検出信号(密度情報)が上記重量循環量検出部12eに出力される。
【0131】
すると、上記重量循環量検出部12eでは、実施の形態2の冷凍サイクル装置102における体積循環量検出部8bと同様にして、ピストンストローク長と上死点位置に基づいて、リニアコンプレッサ1aがピストン1往復当たりに吸入する冷媒の体積が求められる。この重量循環量検出部12eでは、さらに、上記求められた、ピストン1往復当たりの吸入冷媒の体積量と、吸入冷媒密度検出部14によって検出された吸入冷媒の密度との乗算処理が行われ、ピストンの1往復運動により吸入される冷媒の重量が算出される。そして、この重量循環量検出部12eでは、ピストンの1往復運動により吸入される冷媒の重量に、インバータの出力電流の周波数を乗算する処理が行われ、単位時間あたりにリニアコンプレッサが吸入する冷媒の重量Wcd2が求められ、この吸入冷媒重量を示す検出信号(循環量情報)が上記インバータ制御部21に供給される。
【0132】
すると、該インバータ制御部21からインバータ2にその制御信号Scが供給され、インバータ2では、冷媒の重量循環量Wcoと冷媒の重量循環量Wcdとの差分が減少するよう、制御信号Scに基づいて上記交流電流の発生動作が制御される。
【0133】
このように本実施の形態5では、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンのストローク長Dpsを検出するストローク検出部9と、リニアコンプレッサ1a内を往復運動するピストンの上死点位置Dfdを検出する上死点位置検出部10と、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度Dmd2を検出する吸入冷媒密度検出部14とを備え、上記ピストンのストローク長、上死点位置、リニアコンプレッサ1aに吸入される冷媒の密度、及びリニアコンプレッサ1aの駆動電流であるインバータ2の出力交流電流の周波数に基づいて、冷凍サイクルを循環する実際の冷媒の重量循環量を算出するので、上記実施の形態3と同様、リニアコンプレッサを用いた、室内を冷房する空気調和機である冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷房する部屋の実際の温度とその目標温度との温度差に応じて、高効率でもって制御することができる効果に加えて、実際の冷媒の重量循環量を計測する流体センサを不要とできる効果がある。例えば、吐出冷媒の圧力が高すぎて吐出冷媒の密度が検出できない場合、重量循環量を計測するセンサを用いることなく、吸入冷媒の密度を計測するセンサだけを用いて、冷媒の重量循環量に基づいて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0134】
なお、上記実施の形態5では、吸入冷媒密度検出部14が、光ファイバを用いた密度センサである場合について示したが、上記吸入冷媒密度検出部14は、吸入冷媒の温度と吸入冷媒の圧力から吸入冷媒の密度を求めるものであってもよい。
【0135】
この場合も、吐出冷媒の圧力が高すぎて吐出冷媒の圧力が検出できない状態では、吸入冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく、冷媒の重量循環量に基づいて冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができる。
【0136】
また、吸入冷媒の密度を吸入冷媒の温度と吸入冷媒の圧力から求める方法としては、冷媒の状態方程式を用いる方法や、冷媒の温度の値とその圧力の値の組にその密度を対応付けるテーブルを用いる方法がある。
【0137】
ここで、吸入冷媒の温度は、リニアコンプレッサ1aの吸入口に取り付けられている温度センサの出力から求めることができ、また、吸入冷媒の圧力は、リニアコンプレッサ1aの吸入側に備えられた圧力センサの出力から求めることができる。さらに、吸入冷媒の圧力は、実施の形態2でも説明したように、冷凍サイクルを構成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器のうちの、リニアコンプレッサ1aの吸入側に設置された、蒸発器として作用している熱交換器の温度から、冷媒の飽和するときの圧力として求めることができる。さらに、吸入冷媒の温度の検出方法は、リニアコンプレッサ1aの吸入口に付いている温度センサにより検出する方法に限らず、例えば、冷凍サイクルに関する過熱度(つまりリニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度とその飽和温度との温度差)を推測し、その過熱度と、蒸発器として作用している熱交換器の温度との和から吸入冷媒の温度を推測するようにしてもよい。この場合、吐出冷媒の圧力が高すぎて吐出冷媒の圧力が検出できないときでも、吸入冷媒の密度を計測するセンサ、及び吸入冷媒の温度を測定するセンサを用いることなく、冷凍サイクル装置の負荷により密接に関連している冷媒の重量循環量に基づいて、冷凍サイクル装置の能力制御を、効率よく制御することができる。
【0138】
(実施の形態6)
図7は本発明の実施の形態6による空気調和機を説明するブロック図である。この実施の形態6の空気調和機106は、室内機114及び室内機115を有し、冷暖房を行う空気調和機であり、実施の形態1の空気調和機101とは、主に、冷媒循環経路内で冷媒が流れる方向を切り替える四方弁113を有する点で異なっている。
【0139】
すなわち、実施の形態6の空気調和機106は、実施の形態1の空気調和機101aと同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1b,絞り装置57b,第1の熱交換器111及び第2の熱交換器112を有するとともに、該リニアコンプレッサ1bを駆動するコンプレッサ駆動部101bを有している。ここで、第1の熱交換器111は上記室内機114を構成しており、絞り装置57b,第2の熱交換器112,リニアコンプレッサ1b,四方弁113及びコンプレッサ駆動部101bは上記室外機115を構成している。また、上記リニアコンプレッサ1b,コンプレッサ駆動部101b,及び絞り装置57bはそれぞれ、実施の形態1の冷凍サイクル装置(空気調和機)101aを構成するリニアコンプレッサ1a,コンプレッサ駆動部101a,及び絞り装置57aと同一のものである。
【0140】
また、上記第1の熱交換器111は、室内に配置された室内側熱交換器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第1の熱交換器(蒸発器)53aに相当するものである。上記第2の熱交換器112は、室外に配置された室外側熱交換器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第2の熱交換器(凝縮器)55aに相当するものである。ここで、上記室内側熱交換器111は、熱交換の能力を上げるための送風機111aと、該熱交換器111の温度もしくはその周辺温度を測定する温度センサ111bとを有しており、該温度センサ111bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。上記室外側熱交換器112は、熱交換の能力を上げるための送風機112aと、該熱交換器112の温度もしくはその周辺温度を測定する温度センサ112bとを有しており、該温度センサ112bは、実施の形態1の第2の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0141】
そして、この実施の形態6では、上記第1の熱交換器111と第2の熱交換器112との間の冷媒経路には、コンプレッサ1b及び四方弁113が配置されている。つまりこの空気調和機106は、第2の熱交換器112を通過した冷媒がコンプレッサ1bに吸入され、コンプレッサ1bから吐出された冷媒が第1の熱交換器111へ供給される状態(つまり冷媒が矢印Aの方向に流れる状態)と、第1の熱交換器111を通過した冷媒がコンプレッサ1bに吸入され、コンプレッサ1bから吐出された冷媒が第2の熱交換器112へ供給される状態(つまり冷媒が矢印Bの方向に流れる状態)とが、上記四方弁113により切り替えられるものである。
【0142】
また、上記絞り装置57bは、実施の形態1のものと同様、循環する冷媒の流量を絞る絞り作用と、冷媒の流量を自動調整する弁(自動調製弁)の作用とをあわせ持つものである。つまり、絞り装置57bは、冷媒が冷媒循環経路を循環している状態で、凝縮器から蒸発器へ送り出された液冷媒の流量を絞って該液冷媒を膨張させるとともに、蒸発器に必要とされる量の冷媒を過不足なく供給するものである。
【0143】
次に動作について説明する。
この実施の形態6の空気調和機106では、コンプレッサ駆動部101bからリニアコンプレッサ1bに駆動電流Cdが印加されると、冷媒循環経路内で冷媒が循環し、室内機114の第1の熱交換器111及び室外機115の第2の熱交換器112にて熱交換が行われる。これにより、室内の暖房あるいは冷房が行われる。
【0144】
例えば、空気調和機116の暖房運転を行う場合、ユーザの操作により、上記四方弁113は、冷媒が矢印Aで示す方向に流れるよう設定される。この場合、上記冷媒循環経路での冷媒の循環により、、第1の熱交換器(室内側熱交換器)111は凝縮器として動作し、熱を放出する。これにより室内が暖められる。
【0145】
逆に、空気調和機116の冷房運転を行う場合、ユーザの操作により、上記四方弁113は、冷媒が矢印Bで示す方向に流れるよう設定される。この場合、上記冷媒循環経路での冷媒の循環により、第1の熱交換器(室内側熱交換器)111は蒸発器として動作し、周辺空気の熱を吸収する。これにより室内が冷やされる。
【0146】
このように本実施の形態6の空気調和機106では、実施の形態1の空気調和機101と同様、室内の温度(第1の熱交換器111の周囲温度)だけでなく、室外の温度(第2の熱交換器112の周囲温度)にも基づいて、本空気調和機に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0147】
つまり、空気調和機が室内を冷やしすぎる、あるいは暖めすぎるといった快適性を阻害する運転状態となるのを回避することができ、例えば、室内温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0148】
しかも、この実施の形態6の空気調和機106では、上記のような快適性を阻害する運転状態が回避されることから、空気調和機の運転に無駄な電力(動力)が使用されることがなく、より高効率な運転が可能となる。
【0149】
(実施の形態7)
図8は本発明の実施の形態7による冷蔵庫を説明するブロック図である。
この実施の形態7の冷蔵庫107は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101を用いたものであり、実施の形態1と同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1c,絞り装置57c,第1の熱交換器122及び第2の熱交換器121を有するとともに、上記リニアコンプレッサ1cを駆動するコンプレッサ駆動部101cを有している。
【0150】
つまり、上記絞り装置57c,リニアコンプレッサ1c,及びコンプレッサ駆動部101cは、実施の形態1の絞り装置57a,リニアコンプレッサ1a,及びコンプレッサ駆動部101aと同一のものである。
【0151】
また、上記第2の熱交換器121は、大気中に熱を放出する凝縮器で、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第2の熱交換器(凝縮器)55aに相当するものである。上記第1の熱交換器122は、冷蔵庫内を冷却する冷蔵室蒸発器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第1の熱交換器(蒸発器)53aに相当するものである。ここで、上記冷蔵室蒸発器122は、熱交換の能力を上げるための送風機122aと、該冷蔵庫内の温度を検出する温度センサ122bとを有しており、該温度センサ122bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0152】
次に動作について説明する。
この実施の形態7の冷蔵庫107では、コンプレッサ駆動部101cからリニアコンプレッサ1cに駆動電流Cdが印加されると、冷媒循環経路内で冷媒が矢印Cの方向に循環し、凝縮器121及び冷蔵室蒸発器122にて熱交換が行われる。これにより、冷蔵室内が冷却される。
【0153】
つまり、第2の熱交換器(凝縮器)121で液状となった冷媒は、絞り装置57cにてその流量が絞られることにより膨張して、低温の冷媒液となる。そして、第1の熱交換器(冷蔵室蒸発器)122へ低温の液冷媒が送り込まれると、第1の熱交換器(冷蔵室蒸発器)122では、低温の冷媒液が蒸発して、冷蔵室の冷却が行われる。このとき、熱交換器122には、送風機122aにより強制的に冷蔵室内の空気が送り込まれており、熱交換器122では、効率よく熱交換が行われる。また、このとき、庫内の温度が温度センサ122bにより検出され、検出信号が上記コンプレッサ駆動部101cに出力される。コンプレッサ駆動部101cは、温度センサ122bにより検出された温度情報に基づいて、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出し、該算出された冷媒の体積循環量に基づいてリニアコンプレッサ1cを駆動制御する。
【0154】
このように本実施の形態7の冷蔵庫107では、実施の形態1の空気調和機101と同様、冷蔵庫内の温度(第1の熱交換器122の周囲温度)に基づいて、本冷蔵庫に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、運転状態により適した値とすることができる。
【0155】
つまり、この実施の形態7では、冷蔵庫内が冷やしすぎとなるといった効率の悪い運転状態を回避することができ、例えば、冷蔵庫内の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0156】
(実施の形態8)
図9は本発明の実施の形態8による給湯器を説明するブロック図である。
この実施の形態8の給湯器108は、供給された水を加熱して温水を排出する冷凍サイクル装置142と、冷凍サイクル装置142から排出された温水を貯める貯湯槽141とを有している。
【0157】
上記冷凍サイクル装置142は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101と同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1d,絞り装置57d,第1の熱交換器132,及び第2の熱交換器135を有するとともに、上記リニアコンプレッサ1dを駆動するコンプレッサ駆動部101dを有している。
【0158】
つまり、上記絞り装置57d,リニアコンプレッサ1d,及びコンプレッサ駆動部101dは、実施の形態1の絞り装置57a,リニアコンプレッサ1a,及びコンプレッサ駆動部101aと同一のものである。
【0159】
上記第2の熱交換器135は、冷凍サイクル装置142に供給された水を加熱する水熱交換器で、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第2の熱交換器(凝縮器)55aに相当するものである。上記第1の熱交換器132は、周辺雰囲気から熱を吸収する空気熱交換器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの第1の熱交換器(蒸発器)53aに相当するものである。ここで、上記水熱交換器135は、加熱された水(温水)の温度を検出する温度センサ135aを有しており、該温度センサ135aは、実施の形態1の第2の熱交換器周囲温度検出器5に相当するものである。上記空気熱交換器132は、熱交換の能力を上げるための送風機132aと、該周辺温度を検出する温度センサ132bとを有している。該温度センサ132bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0160】
なお、図中、131は、上記冷媒を、リニアコンプレッサ1d,第1の熱交換器132,絞り装置57d,及び第2の熱交換器135により形成される冷媒循環経路に沿って循環させる冷媒配管である。該冷媒配管131には、コンプレッサ1dから吐出された冷媒を、第2の熱交換器135及び絞り装置57dをバイパスして第1の熱交換器132に供給するバイパス配管(除霜バイパス路)133が接続されており、該バイパス配管133の一部には弁(除霜バイパス弁)134が設けられている。
【0161】
上記貯湯槽141は、水あるいは温水を貯める貯湯タンク138を有している。該貯湯タンク138の受水口138cには、該貯湯タンク138内へ水を外部から供給する配管(給水管)140が接続され、上記貯湯タンク138の湯出口138dには、該貯湯タンク138から浴槽(風呂)へ湯を供給する配管(浴槽給湯管)140が接続されている。また、上記貯湯タンク138の水出入口138aには、該タンク138に貯められた湯を外部に供給する給湯管139が接続されている。
【0162】
上記貯湯タンク138と冷凍サイクル装置142の水熱交換器135とは、配管136a,136b,146a,及び146bにより接続されており、貯湯タンク138と水熱交換器135との間には水の循環路が形成されている。
【0163】
ここで、水配管136bは、水を貯湯タンク138から水熱交換器135へ供給する配管であり、その一端は、貯湯タンク138の水出口138bに接続され、その他端は、ジョイント部分143bを介して、水熱交換器135の入水側配管146bに接続されている。また、この水配管136bの一端側には、貯湯タンク138内の水あるいは温水を排出するための排水弁144が取り付けられている。上記水配管136aは、水を水熱交換器135から貯湯タンク138へ戻す配管であり、その一端は、貯湯タンク138の水出入口138aに接続され、その他端は、ジョイント部分143aを介して水熱交換器135の排出側配管146aに接続されている。
そして、水熱交換器135の入側配管146bの一部には、上記水循環路内で水を循環させるポンプ137が設けられている。
【0164】
次に動作について説明する。
リニアコンプレッサ1dにコンプレッサ駆動部101dから駆動電流Cdが印加され、リニアコンプレッサ1dが駆動すると、リニアコンプレッサ1dにより圧縮された高温冷媒は、矢印Dの方向に循環し、つまり冷媒配管131を通り、第2の熱交換器(水熱交換器)135に供給される。また、水循環路のポンプ137が駆動すると、貯湯タンク138から水が第2の熱交換器135に供給される。
【0165】
すると、第2の熱交換器(水熱交換器)135では、冷媒と貯湯タンク138から供給された水との間で熱交換が行われ、熱が冷媒から水へ移動する。つまり供給された水が加熱され、加熱された水(温水)は、貯湯タンク138へ供給される。このとき、加熱された水(温水)の温度は凝縮温度センサ135aにて監視されている。
【0166】
また、第2の熱交換器(水熱交換器)135では、冷媒は上記熱交換により凝縮し、凝縮した液冷媒は、その流量が絞り装置57dにより絞られることにより膨張し、第1の熱交換器(空気熱交換器)132に送り込まれる。この給湯器108では、該第1の熱交換器(空気熱交換器)132は、蒸発器として働く。つまり、該空気熱交換器132は、送風機132bにより送り込まれた外気から熱を吸収し、低温の冷媒液を蒸発させる。このとき、上記空気熱交換器132の周辺雰囲気の温度は温度センサ132bにより監視されている。
【0167】
また、冷凍サイクル装置142では、第1の熱交換器(空気熱交換器)132に霜がついた場合は、除霜バイパス弁134が開き、高温の冷媒が除霜バイパス路133を介して第1の熱交換器(空気熱交換器)132に供給される。これにより第2の熱交換器(空気熱交換器)132の除霜が行われる。
【0168】
一方、貯湯槽141には、冷凍サイクル装置108の水熱交換器135から温水が配管146a及び136aを介して供給され、供給された温水が貯湯タンク138に貯められる。貯湯タンク138内の温水は、必要に応じて、給湯管139を通して外部に供給される。特に、浴槽へ給湯する場合は、貯湯タンク内の温水は浴槽用給湯管140を通して浴槽に供給される。
【0169】
また、貯湯タンク138内の水あるいは温水の貯蓄量が一定量以下となった場合には、外部から給水管140を介して水が補給される。
【0170】
このように本実施の形態8の給湯器108では、実施の形態1の空気調和機101と同様、温度センサ135aにより検出された、給湯器108から供給される温水の温度に基づいて、給湯器の冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、給湯器の運転状態により適した値とすることができる。
【0171】
つまり、給湯器が水を温めすぎるといった効率の悪い運転状態となるのを回避することができ、例えば、給湯器から供給される温水の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0172】
(実施の形態9)
図10は本発明の実施の形態9による極低温冷凍装置を説明するブロック図である。
この実施の形態9の極低温冷凍装置109は、冷凍室を有し、該冷凍室内部を極低温状態(−50°C以下)となるよう冷却するものであり、この極低温冷凍装置109を用いて冷却する物(冷却対象物)には、超電導用の素子(抵抗,コイル,磁石などの電気磁気回路素子)、赤外線センサ用の低温参照部などの電子部品、血液や内臓といった医療用のもの、さらに、冷凍マグロなど冷凍食品がある。
【0173】
電子部品を極低温状態にするのは、動作効率アップ,あるいは熱雑音の除去による感度アップのためであり、食料品などでは、生鮮食品を輸送したり、鮮度維持や乾燥を行ったりするためである。
【0174】
また、この極低温冷凍装置の冷却温度は、高温超電導の用途では、50から100K(K:絶対温度)程度に、通常の超電導の用途では、0〜50K程度の極低温状態に設定される。また、食品などの生鮮維持に用いられる場合は、この極低温冷凍装置の冷却温度は−50°C弱(摂氏)に設定される。
【0175】
以下、具体的に説明する。
この実施の形態9の極低温冷凍装置109は、実施の形態1の冷凍サイクル装置101を用いたものであり、実施の形態1と同様、冷媒循環経路を形成するリニアコンプレッサ1e,絞り装置57e,第1の熱交換器152,及び第2の熱交換器151を有するとともに、上記リニアコンプレッサ1eを駆動するコンプレッサ駆動部101eを有している。
【0176】
つまり、上記絞り装置57e,リニアコンプレッサ1e,及びコンプレッサ駆動部101eは、実施の形態1の絞り装置57a,リニアコンプレッサ1a,及びコンプレッサ駆動部101aと同一のものである。
【0177】
また、上記第2の熱交換器151は、大気中に熱を放出する放熱器で、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの凝縮器55aに相当するものである。上記第1の熱交換器152は、冷凍室内を冷却する蓄冷器であり、実施の形態1の冷房を行う空気調和機101aの蒸発器53aに相当するものである。ここで、上記放熱器152は、熱交換の能力を上げるための送風機152aと、冷凍室内の温度を検出する温度センサ152bとを有しており、該温度センサ152bは、実施の形態1の第1の熱交換器周囲温度検出器3に相当するものである。
【0178】
次に動作について説明する。
この実施の形態9の極低温冷凍装置109では、コンプレッサ駆動部101eからリニアコンプレッサ1eに駆動電流Cdが印加されると、冷媒循環経路内で冷媒が、矢印Eの方向に循環し、放熱器151及び蓄冷器152にて熱交換が行われる。これにより、冷凍室が冷却される。
【0179】
つまり、第2の熱交換器(放熱器)151で液状となった冷媒は、絞り装置57eにてその流量が絞られることにより膨張して低温の冷媒液となる。そして、第1の熱交換器(蓄冷器)152へ低温の液冷媒が送り込まれると、第1の熱交換器(蓄冷器)152では、低温の冷媒液が蒸発して、冷凍室の冷却が行われる。このとき、蓄冷器152には、送風機152aにより強制的に冷凍室内の空気が送り込まれており、蓄冷器152では、効率よく熱交換が行われる。また、このとき、冷凍室内の温度が温度センサ152bにより検出され、検出信号が上記コンプレッサ駆動部101eに出力される。コンプレッサ駆動部101eは、温度センサ152bにより検出された温度情報に基づいて、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出し、該算出された冷媒の体積循環量に基づいてリニアコンプレッサ1eを駆動制御する。
【0180】
このように本実施の形態9の極低温冷凍装置109では、実施の形態1の空気調和機101と同様、冷凍室内の温度(つまり、冷凍の対象物の温度)に基づいて、冷凍サイクル装置に要求される冷媒の体積循環量Vcoを算出しているので、要求される冷媒の体積循環量の算出値を、極低温冷凍装置の運転状態により適した値とすることができ、これにより冷凍対象物の温度を精度よく制御することができるといった効果がある。
【0181】
なお、上記実施の形態6〜9では、コンプレッサ駆動部として、実施の形態1の冷凍サイクル装置101のコンプレッサ駆動部101aと同一のものを用いているが、実施の形態6〜9のコンプレッサ駆動部は、実施の形態1のものに限らず、実施の形態2〜5のいずれのもの(コンプレッサ駆動部102a〜105a)を用いてもよい。
【0182】
【発明の効果】
以上のように本発明(請求項1)に係る冷凍サイクル装置によれば、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内で冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の体積を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の体積を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう、上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするので、リニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置の冷凍能力の制御を、従来の回転型コンプレッサを用いた冷凍サイクル装置と同様に、冷媒の体積循環量に基づいて高効率でもって行うことができる。
【0183】
本発明(請求項2)によれば、請求項1記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部とを備え、上記実循環量検出部は、検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を算出し、該容積と上記インバータの発生する交流電流の周波数との乗算により、上記実際の冷媒循環量を求めるものであることを特徴とするので、冷凍サイクル装置の冷凍能力を、体積循環量を計測するセンサを用いることなく効率よく制御することができる。
【0184】
本発明(請求項3)によれば、請求項2記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吐出側に位置する、冷媒を凝縮させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、該リニアコンプレッサが吐出する冷媒の圧力を推定する吐出圧力推定部と、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、上記リニアコンプレッサが吸入する冷媒の圧力を推定する吸入圧力推定部とを備え、上記実循環量検出部は、推定された吸入冷媒の圧力及び推定された吐出冷媒の圧力から得られる、上記循環経路における冷媒の最高圧力と最低圧力の圧力比と、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置とを用いた演算により、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を求めるものであることを特徴とするので、運転条件によって圧力状態が変化し、冷媒の吐出圧と吸入圧の圧力比が変化するような冷凍サイクル装置であっても、冷凍サイクル装置の冷凍能力を、冷媒の体積循環量に基づいて効率よく制御することができる。
【0185】
本発明(請求項4)に係る冷凍サイクル装置によれば、冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の重量を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の重量を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう、上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とするので、冷房する部屋の実際の温度と、その目標温度との温度差に応じて、冷凍サイクル装置の冷凍能力を効率よく制御することができ、しかも、冷凍サイクル装置の冷凍能力を、該装置の負荷とより密接に関連している冷媒の重量循環量に基づいて行っているので、冷凍能力の制御をより応答性よく安定に行うことができる。
【0186】
本発明(請求項5)によれば、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を検出する吐出冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、上記単位時間当たりにリニアコンプレッサにより吐出される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、冷媒の重量循環量を計測するセンサを用いることなく、吐出冷媒の密度を計測するセンサだけを用いて行うことができる。
【0187】
本発明(請求項6)によれば、請求項5記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度検出部と、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出部とを備え、上記吐出冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を導出するものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、吐出冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく行うことができる。
【0188】
本発明(請求項7)によれば、請求項4記載の冷凍サイクル装置において、往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を検出する吸入冷媒密度検出部とを備え、上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、単位時間当たりに上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、重量循環量を計測するセンサを用いることなく、吸入冷媒の密度を計測するセンサだけを用いて行うことができる。
【0189】
本発明(請求項8)によれば、請求項7記載の冷凍サイクル装置において、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度検出部と、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出部とを備え、上記吸入冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、吸入冷媒の密度を計測するセンサを用いることなく行うことができる。
【0190】
本発明(請求項9)によれば、請求項8記載の冷凍サイクル装置において、上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器である蒸発器内の冷媒の温度を、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の飽和温度として検出する冷媒温度検出器と、上記リニアコンプレッサの運転状態に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度とその飽和温度との温度差である該冷媒の過熱度を推定する過熱度推定部とを備え、上記吸入温度検出部は、上記検出された蒸発器内の冷媒の温度と、上記推定された冷媒の過熱度とを加算して、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を求めるものであることを特徴とするので、冷媒の重量循環量に基づいた、冷凍サイクル装置の冷凍能力の効率のよい制御を、吸入冷媒の密度を計測するセンサ及び吸入冷媒の温度を測定するセンサを用いることなく行うことができる。
【0191】
本発明(請求項10)にかかる空気調和機によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する空気調和機であって、上記第1の熱交換器は、室外側熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、室内側熱交換器であることを特徴とするものであるので、冷やしすぎる、暖めすぎるといった快適性を阻害する運転を防止することができ、例えば、室内温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。また、上記のような空気調和機の運転では、無駄な電力(動力)を使用しないことから、空気調和機のより高効率な運転が可能となる。
【0192】
本発明(請求項11)にかかる冷蔵庫によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する冷蔵庫あって、上記第1の熱交換器は、熱を放出する凝縮器であり、上記第2の熱交換器は、庫内を冷却する蒸発器であることを特徴とするものであるので、冷蔵庫内を冷やしすぎるといった効率の悪い運転状態となるのを回避することができ、例えば、冷蔵庫内の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0193】
本発明(請求項12)にかかる給湯器によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する給湯器であって、水を貯める貯水槽を備え、上記第1の熱交換器は、上記貯水槽の水を加熱する水熱交換器であり、上記第2の熱交換器は、周辺雰囲気から熱を吸収する空気熱交換器であることを特徴とするものであるので、給湯器が水を温めすぎるといった効率の悪い運転状態となるのを回避することができ、例えば、給湯器から供給される温水の温度をより短時間で設定温度にすることができるといった効果がある。
【0194】
本発明(請求項13)にかかる極低温冷凍装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する極低温冷凍装置であって、冷凍室を有し、上記第1の熱交換器は、熱を放出する放熱器であり、上記第2の熱交換器は、上記冷凍室内を冷却する蓄冷器であることを特徴とするものであるので、精度の高い温度制御が可能な極低温冷凍装置を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図3】上記実施の形態2の冷凍サイクル装置で、リニアコンプレッサにおけるピストンの上死点位置とストロークから冷媒循環量を算出する方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態3による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態4による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態5による冷凍サイクル装置を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態6による空気調和機を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態7による冷蔵庫を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態8による給湯器を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態9による極低温冷凍装置を示す模式図である。
【図11】従来のリニアコンプレッサを説明するための断面図である。
【図12】一般的な冷凍サイクル装置を説明するためのシステム図である。
【図13】従来のリニアコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置の冷凍能力を制御するシステムを説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d,1e リニアコンプレッサ
2 インバータ
3 第2の熱交換器周囲温度検出器
4 第2の熱交換器周囲温度指令器
5 第1の熱交換器周囲温度検出器
6 第1の熱交換器周囲温度指令器
7 体積循環量指令部
8a、8b 体積循環量検出部
9 ストローク検出部
10 上死点位置検出部
11 重量循環量指令部
12c、12d、12e 重量循環量検出部
13 吐出冷媒密度検出部
14 吸入冷媒密度検出部
20、21 インバータ制御部
53a,111,122,132,152 第1の熱交換器(蒸発器)
55a,112,121,131,151 第2の熱交換器(凝縮器)
57a,57b,57c,57d,57e 絞り装置
101〜105 冷凍サイクル装置
101a,102a,103a,104a,105a,101b,101c,101d,101e リニアコンプレッサ駆動部
106 空気調和機
107 冷蔵庫
108 給湯器
109 極低温冷凍装置
Claims (13)
- 冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、
上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、
上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の体積を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、
上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の体積を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、
上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項1記載の冷凍サイクル装置において、
往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、
往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部とを備え、
上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を算出し、該算出された容積と上記インバータの発生する交流電流の周波数との乗算により、上記実際の冷媒循環量を求めるものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項2記載の冷凍サイクル装置において、
上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吐出側に位置する、冷媒を凝縮させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、該リニアコンプレッサが吐出する冷媒の圧力を推定する吐出圧力推定部と、
上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器内の冷媒の温度に基づいて、上記リニアコンプレッサが吸入する冷媒の圧力を推定する吸入圧力推定部とを備え、
上記実循環量検出部は、上記推定された吸入冷媒の圧力及び推定された吐出冷媒の圧力から得られる、上記循環経路における冷媒の最高圧力と最低圧力の圧力比と、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置とを用いた演算により、上記ピストンの1往復運動により吐出もしくは吸入される冷媒の容積を求めるものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 冷媒の循環経路を形成する第1の熱交換器及び第2の熱交換器と、ピストン及びピストンを往復運動させるリニアモータを有し、該ピストンの往復運動により上記循環経路内の冷媒を循環させるリニアコンプレッサとを備えた冷凍サイクル装置であって、
上記リニアモータを駆動する交流電流を発生するインバータと、
上記ピストンの往復運動によりリニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入する冷媒の重量を示す実際の冷媒循環量を検出する実循環量検出部と、
上記第1の熱交換器および第2の熱交換器の両方あるいは一方の周辺温度と、少なくとも該両熱交換器の一方に対して設定された目標温度とに基づいて、上記リニアコンプレッサが単位時間当たりに吐出もしくは吸入すべき冷媒の重量を示す目標冷媒循環量を導出する目標循環量導出部と、
上記実際の冷媒循環量と上記目標冷媒循環量との差分が減少するよう、上記インバータを制御する制御部とを備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項4記載の冷凍サイクル装置において、
往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、
往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、
上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を検出する吐出冷媒密度検出部とを備え、
上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、上記単位時間当たりにリニアコンプレッサにより吐出される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項5記載の冷凍サイクル装置において、
上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度検出部と、
上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出部とを備え、
上記吐出冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサから吐出される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサから吐出される冷媒の密度を導出するものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項4記載の冷凍サイクル装置において、
往復運動するピストンのストローク長を検出するストローク検出部と、
往復運動するピストンの上死点位置を検出する上死点位置検出部と、
上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を検出する吸入冷媒密度検出部とを備え、
上記実循環量検出部は、上記検出されたストローク長及び上記検出された上死点位置に基づいて、上記ピストンの1往復運動により吐出される冷媒の容積を算出し、該算出された容積、上記検出された冷媒の密度、及び上記インバータの発生する交流電流の周波数から、単位時間当たりに上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の重量を求めるものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項7記載の冷凍サイクル装置において、
上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度検出部と、
上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出部とを備え、
上記吸入冷媒密度検出部は、上記検出された、リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度及び圧力に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の密度を求めるものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項8記載の冷凍サイクル装置において、
上記循環経路の、リニアコンプレッサの冷媒吸入側に位置する、冷媒を蒸発させる熱交換器である蒸発器内の冷媒の温度を、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の飽和温度として検出する冷媒温度検出器と、
上記リニアコンプレッサの運転状態に基づいて、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度とその飽和温度との温度差である該冷媒の過熱度を推定する過熱度推定部とを備え、
上記吸入温度検出部は、上記検出された蒸発器内の冷媒の温度と、上記推定された冷媒の過熱度とを加算して、上記リニアコンプレッサに吸入される冷媒の温度を求めるものであることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する空気調和機であって、
上記第1の熱交換器は、室外側熱交換器であり、
上記第2の熱交換器は、室内側熱交換器であることを特徴とする空気調和機。 - 請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する冷蔵庫であって、
上記第1の熱交換器は、熱を放出する凝縮器であり、
上記第2の熱交換器は、庫内を冷却する蒸発器であることを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する給湯器であって、
水を貯める貯水槽を備え、
上記第1の熱交換器は、上記貯水槽の水を加熱する水熱交換器であり、
上記第2の熱交換器は、周辺雰囲気から熱を吸収する空気熱交換器であることを特徴とする給湯器。 - 請求項1から9のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を有する極低温冷凍装置であって、
冷凍室を有し、
上記第1の熱交換器は、熱を放出する放熱器であり、
上記第2の熱交換器は、上記冷凍室内を冷却する蓄冷器であることを特徴とする極低温冷凍装置。
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