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JP2004002552A - 廃棄物ガス化方法、廃棄物ガス化装置及びそれを用いた廃棄物処理装置 - Google Patents

廃棄物ガス化方法、廃棄物ガス化装置及びそれを用いた廃棄物処理装置 Download PDF

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宮地 健
Juntaro Ushigoe
牛越 淳太郎
Akira Kidoguchi
木戸口 晃
Yoichi Takahashi
高橋 洋一
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Abstract

【課題】熱分解生成ガスの脱塩及び徐塵を、一般的なバグフィルタを用いて実現する。
【解決手段】竪型のガス化炉3内に廃棄物を連続的に投入して充填層を形成し、該充填層の底部の廃棄物を部分燃焼させて該底部及び上層部の廃棄物を熱分解させ、該熱分解によって生成された生成ガスの熱により上層部の廃棄物を乾燥させ、ガス化炉の頂部から減温された生成ガスを得て、この生成ガスに脱塩剤16を添加してバグフィルタ4に導いて脱塩、脱塵することにより、腐食性のない生成ガスをボイラ5に供給する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物ガス化方法、廃棄物ガス化装置及びそれを用いた廃棄物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭やオフィス等の一般ごみや産業廃棄物などの廃棄物を焼却し、その廃熱をボイラにより回収して発電することが広く行なわれている。また、廃棄物を熱分解して得られる生成ガス(熱分解ガス)をボイラの燃料とすると、高温の燃焼ガスが得られることから蒸気温度を高温化できるので、廃棄物を直接燃焼した場合よりも発電効率を向上できる。
【0003】
しかし、蒸気を高温にすることは、ボイラ伝熱管の表面温度も高くなるから、廃棄物に塩素分や重金属塩類などが含まれていると、燃焼時に発生する塩化水素等の腐食性ガスによりボイラ管の腐食が早く進むという問題がある。したがって、生成ガスに塩化水素などの腐食性ガスが含まれている場合、蒸気温度を300℃以下に抑えなければならず、発電効率の向上に限界がある。
【0004】
また、廃棄物の一部を燃焼し、その燃焼熱により残りの廃棄物を熱分解させる場合、熱分解生成ガスに飛灰や金属塩等の浮遊粉塵(以下ダストという。)が含まれ、そのダストがボイラー管に付着すると、伝熱効率が低下して発電効率を低下させる。このような問題は、ボイラに限らず、熱分解生成ガスを燃料とするガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービンなどの熱機関に共通の問題である。
【0005】
そこで、従来、熱分解生成ガスに洗浄水を噴霧して生成ガス中の塩化水素やダストを除去する湿式ガス精製をすることが行なわれている。しかし、湿式ガス精製は、生成ガスが保有する顕熱が無駄になり熱効率が低下するという問題の他に、大量の排水処理のための薬剤や処理設備が必要になり、設備費及び運転費が高くなってしまうという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するため、特開平4−121511号公報に記載された廃棄物処理装置は、廃棄物を熱分解させて生成される高温(約700℃)の熱分解ガスに脱塩・脱硫用の薬剤を添加した後、フィルタを通過させて脱塩・脱硫するとともに飛灰等のダストを捕集して熱分解ガスを精浄化している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の技術によると、フィルタの耐熱温度を700℃以上にしなければならないから、耐熱温度の高いセラミックフィルタやセラミックファイバー製のマット状のフィルタなどを用いなければならない。このようなフィルタは、高価であるだけでなく、機械的に弱いから、実用化するためには障害が多い。また、熱分解ガスに例えば塩化鉛や塩化亜鉛等の重金属の塩化物が含まれる場合は、それらの溶融温度が600〜800℃であるから、それらの溶融塩がフィルタ表面に付着すると短時間で濾過流速が低下し、かつ逆洗しても除去することが難しいという問題がある。
【0008】
また、一般に乾式脱塩に用いられる脱塩剤の酸化カルシウム(CaO)は、ガス中の塩酸と反応して塩化カルシウム(CaCl)になるが、この反応率は温度が低いほど高い。例えば、200℃以下では100%、600℃では90%強、700℃では70%弱の反応率になる。また、800℃以上では、塩化カルシウムが完全に分解して酸化カルシウムと塩酸に逆戻りしてしまう。したがって、上記公報記載の従来技術は、酸化カルシウムを脱塩剤として用いても、実用上の脱塩効果が得られない。また、700℃の高温でも高脱塩率を期待できる水酸化ナトリウムを脱塩剤として用いることが考えられるが、薬剤費が高くなるので実用的でない。
【0009】
一方、熱分解方式を間接加熱方式に変えても、生成ガス温度は少なくとも400〜500℃以上になるから、従来の技術によれば、耐熱温度が250℃程度の一般的なバグフィルタを用いるには、減温塔を設けて散水等により生成ガスの温度を下げなければならい。その結果、生成ガスの顕熱が無駄になり、全体としての熱効率低下が避けられない。
【0010】
本発明は、熱分解生成ガスの脱塩及び徐塵を、一般的なバグフィルタを用いて行なえるようにすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の廃棄物ガス化方法は、竪型のガス化炉内に廃棄物を連続的に投入して充填層を形成し、該充填層の底部の廃棄物を部分燃焼させて該底部及び上層部の廃棄物を熱分解させ、該熱分解によって生成された生成ガスの熱により上層部の廃棄物を乾燥させ、前記ガス化炉の頂部から減温された生成ガスを得ることを特徴とする。
【0012】
すなわち、熱分解によりガス化する廃棄物は、一般に水分を含んでいることから、安定した熱分解を行なわせるために、通常はガス化炉に投入する前に所定の含水率まで乾燥させる必要がある。本発明は、これに鑑み、熱分解生成ガスの熱エネルギを廃棄物の乾燥に用いることにより、その温度を下げるようにしたのである。このように、生成ガスの顕熱を廃棄物の乾燥に利用して減温するようにしているから、一般的な耐熱温度のバグフィルタを適用して、生成ガスの脱塩及び徐塵を実現することができる。その結果、その生成ガスを燃料とする熱機関の部材の腐食を抑えることができる。特に、ボイラの場合は、蒸気温度を高めることができるから(例えば500℃以上)、蒸気タービン発電機の発電効率を向上できる。また、生成ガスの顕熱を回収していることから、全体としての熱効率を向上させることができる。
【0013】
ここで、ガス化炉から排出される生成ガスの温度は、廃棄物の含水率、廃棄物の発熱量、熱分解熱量、ガス化炉内に充填された廃棄物の充填層における乾燥領域の高さ、等の要因によって変る。したがって、生成ガスの温度を所定温度以下に保持するために、廃棄物の投入量を制御して乾燥領域の高さを変えることや、生成ガス量を調整すること等により、所望の温度(例えば150〜200℃)に制御することができる。
【0014】
このように、本発明によれば、生成ガスの温度を所定温度以下に保持できるから、耐熱温度が低い一般的なバグフィルタを適用して熱分解生成ガスの脱塩及び徐塵を実現することができる。また、脱塩剤の選択、バグフィルタの選択の自由度が向上する。そして、熱分解生成ガスを燃料とする熱機関の部材の腐食を抑えることができる。
【0015】
さらに、ガス化炉内の廃棄物の充填層の底部、つまり燃焼域の近傍に水性ガス化剤を供給し、熱分解により生成される可燃性固形物と反応させて水性ガスを生成し、これを熱分解ガスとともに生成ガスとしてガス化炉の頂部から排出させるようにすることが好ましい。これによれば、廃棄物を熱分解して生成される固定炭素(チャー)に水蒸気などの水性化剤を作用させて、熱量の高い生成ガスを得ることができるだけでなく、チャーをガス状にできるから、取扱いが容易になる。
【0016】
本発明の廃棄物ガス化装置は、炉頂部に廃棄物が投入される投入口を有する竪型のガス火炉と、該ガス化炉の炉低部に空気を供給する空気供給手段と、前記ガス化炉の炉低部に水性ガス化剤を供給する水性ガス化剤供給手段と、前記ガス化炉の炉頂部に生成ガスを排出する排出口とを備え、前記空気供給手段は、前記炉底部に供給する空気量を制御して前記ガス化炉の炉底部に燃焼層を形成し、該燃焼層の上層に熱分解層を形成し、該熱分解層の上層に前記廃棄物の乾燥層を形成するものとすることにより実現できる。
【0017】
また、本発明の廃棄物ガス化装置から排出される生成ガスに脱塩剤を添加してバグフィルタに導き、該バグフィルタから排出される生成ガスを熱機関の燃料として供給することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の廃棄物ガス化方法を適用した好適な一実施形態のガス化炉を用い、廃棄物処理装置を構成した系統構成図を示している。同図に示すように、本実施形態の廃棄物処理装置は、都市ごみなどの廃棄物を一旦貯留して、ある程度乾燥させる乾燥塔1を備えている。乾燥塔1から切り出される廃棄物は、スクリューコンベア2により搬送されて、廃棄物を熱分解してガス化するガス化炉3に供給される。ガス化炉3により生成される生成ガスは、脱塩剤16が投入されてバグフィルタ4に導かれ、脱塩及び除塵される。バグフィルタ4から排出される生成ガスはボイラ5に導かれて燃焼される。ボイラ5により発生した蒸気は蒸気タービン発電機6を駆動して発電する。ボイラ5から排出される排ガスは、排ガス処理系21を介し、図示していない誘引ファンにより誘引されて煙突から排気される。
【0019】
乾燥塔1は、筒状竪型の容器の底部から高温空気(例えば、200℃)11を供給して、廃棄物中の含有水分の10%程度を減少させるようになっている。また、高温空気11は、図示しない熱風炉などから供給されるようになっている。この乾燥により発生した蒸気を含む空気は、塔頂部から抜き出されてボイラ5の燃焼器5aに燃焼用空気として送られる。なお、廃棄物の水分含有量によっては、乾燥塔1を設けなくてもよい。
【0020】
ガス化炉3は、筒状竪型に形成され、頂部に廃棄物の投入口12が設けられ、炉底部には燃焼用の空気を供給する空気供給手段13と、水性ガス化剤である水蒸気を供給する水蒸気供給手段14が連結されている。ガス化炉3の頂部に生成ガス排出口15が設けられている。
【0021】
バグフィルタ4は、耐熱温度が例えば250℃程度の筒状の濾布を用いて形成されている。また、バグフィルタ4に供給される生成ガスに、脱塩剤16が投入されるようになっている。ボイラ5は、通常のボイラを適用することができ、燃焼器5a、蒸気発生部5b、エコノマイザ5cなどを備えて構成されている。
【0022】
次に、図1のように構成される廃棄物処理装置の動作について、本発明の特徴部であるガス化炉を中心に説明する。まず、廃棄物がある程度乾燥されて投入口12からガス化炉3に連続的に投入されると、廃棄物は底部から筒状の炉内に充填されて充填層を形成する。廃棄物の投入量は、少なくとも、ガス化炉3の頂部に空間を形成するように調整される。
【0023】
このようにして廃棄物が充填されたガス化炉3に空気供給手段13から燃焼用に空気を送るとともに、炉底部の廃棄物に図示していない始動用の着火バーナを用いて着火する。燃焼用空気量を調整して、主として炉底部の廃棄物のみを燃焼させて燃焼層を形成する。この燃焼熱により、炉底部及び炉底部の上層の廃棄物が熱分解され、発生した熱分解ガスは充填された廃棄物の隙間を通ってガス化炉内を上昇して排出口15から排出される。
【0024】
廃棄物の部分燃焼及び熱分解が安定する定常状態になると、炉底部近傍に安定した燃焼域3aが形成され、その上部には熱分解域3bが形成され、さらに上部に廃棄物の乾燥域3cが形成される。廃棄物は、例えば約450℃以上に達すると熱分解されることから、その温度域を超えた廃棄物の充填層の領域が熱分解域3bになる。熱分解域3bでは、廃棄物が分解されて可燃性の熱分解ガス及び炭素(チャー)と、不燃性の熱分解残渣が生成される。ここで生成されたチャーは、燃焼域3aに流下して燃焼され、燃焼域3aの温度は約1000℃以上になる。また、熱分解域3bで生成されたチャーの一部は、水蒸気供給手段14から供給される水蒸気と反応して水性ガス(CO、H)が生成される。なお、供給する空気量と水蒸気量は、生成されたチャーのほとんどが燃焼ガスと水性ガスとなるように、空気供給手段13と水蒸気供給手段14により調整されるようになっている。
【0025】
このようにして生成された熱分解ガスと水性ガスが混合された高温(例えば、約450℃)の生成ガスは、上層の廃棄物の隙間を通流する間に、廃棄物を乾燥する乾燥域3cを形成する。廃棄物を乾燥することにより減温(例えば150〜200℃)され、水蒸気を含んだ生成ガスとなり、ガス化炉3の頂部に形成された空間を介して排出口15から排出される。また、燃焼域3aで発生する飛灰が生成ガスに同伴しても、乾燥域3cに充填された廃棄物の層がフィルタの役目をして捕集し、排出口15から流出する飛灰の量を低減できる。一方、乾燥域3cで乾燥された廃棄物は、徐々に熱分解域3bに移動し連続して熱分解処理される。ガス化炉3から排出する生成ガスの温度は、廃棄物の含水率、廃棄物の発熱量、熱分解熱量、ガス化炉内に充填された廃棄物の充填層における乾燥域の高さ、等の要因によって変る。したがって、生成ガスの温度を所定温度以下に保持するために、廃棄物の投入量を制御したり、乾燥域の高さを調節したり、生成ガス量を調整すること等により、所望の温度(例えば150〜200℃)に制御する。
【0026】
ガス化炉3から排出される減温された生成ガスは、バグフィルタ4に流入される流路において脱塩剤16が投入される。脱塩剤16は、一般に乾式脱塩に用いられる例えば酸化カルシウム(CaO)を用いる。脱塩剤16が投入された生成ガスは、バグフィルタ4に流入し、生成ガス中に含まれる飛灰や金属塩などのダストが濾布面に捕集される。また、脱塩剤16も濾布面に捕集されて脱塩剤を含んだ層を形成し、この層を通過する生成ガス中の塩素ガスと反応して脱塩生成物(例えば、CaCl等)が濾布面に堆積する。濾布面に堆積したダストと脱塩残渣は、逆洗により適宜払い落され排出口20から、図示していない処理装置に排出される。
【0027】
このようにしてバグフィルタ4により脱塩及び除塵された生成ガスは、伝熱管を高温腐食するおそれがないことから、ボイラ5の燃焼機5aに導かれ、乾燥塔1から排出される空気及び別途供給される空気を燃焼用空気として高温燃焼(例えば、1000℃)され、その燃焼ガスが蒸気発生部5bに導かれて、高温の蒸気(例えば、500℃)を発生する。そして、発生された高温の蒸気により蒸気タービン発電機6が駆動されて高い熱効率で発電する。なお、蒸気発生部5bから排出される燃焼排ガスは、エコノマイザー5cにおいて溶融炉18から流入される排ガスとともにボイラ給水を加熱した後、排ガス処理系21に送られる。
【0028】
なお、ガス化炉3の燃焼域3aで発生した熱分解残渣の金属及び瓦礫等は、炉底部の排出口17から排出され、例えば、図示しない篩い、磁気選別機、アルミ選別機などによって、分別回収される。また、燃焼域3aで発生した灰分及び残ったチャーは、ガス化炉の炉底部の排出口から溶融炉18に送られ、高温燃焼により溶融されてスラグ19として排出される。また、溶融炉18から排出される排ガスはエコノマイザー5cに送られ、蒸気発生部5bの給水を加熱するようになっている。
【0029】
以上説明したように、図1の実施の形態によれば、熱分解及び水性ガス化により生成される高温の生成ガスを、ガス化炉内に充填された廃棄物の水分を蒸発させて乾燥させる熱源として用いていることから、生成ガスが保有する顕熱を有効に回収でき、かつ生成ガスを十分に減温(例えば、250℃以下)できる。
【0030】
その結果、脱塩及び除塵に用いるバグフィルタとして、耐熱温度(例えば、250℃以下)が低い一般的なバグフィルタを用いることができるから、ボイラの高温腐食を抑えて、ボイラの蒸気温度を高めることを実用上も可能にすることができる。つまり、高温腐食し難い材質の伝熱管を使用しなくてよい。また、高温蒸気をつくることができるから発電効率を向上させることができる。
【0031】
しかも、図1の実施の形態によれば、例えば250℃以下にて脱塩処理を可能にするから、脱塩剤として薬剤費の安い酸化カルシウムを用いることができる。このことを図2を用いて詳細に説明する。図2は、燃焼排ガスの塩素ガスと酸化カルシウムの反応と温度との関係を説明する線図であり、窒素81vol%、二酸化炭素10vol%、水蒸気5vol%、酸素4vol%、塩化水素1000ppmの試料ガスに、3当量の酸化カルシウムCaOを添加した場合の熱平衡を計算した結果を現した図である。図からわかるように、200℃以下では塩化水素はすべてCaOと反応してCaClとなっている。しかし、600℃では1割弱、700℃では3割強の塩化水素が反応されずに残っている。このことは、特開平4−121511に提案された従来装置の高温の熱分解ガス(600から800℃、最低でも450℃以上)に酸化カルシウムを脱塩剤として投入しても、ガス中に多量の塩化水素が残ることになる。なお、脱塩剤としてより強力な水酸化ナトリウムなどを用いれば、高温下でも塩素の大部分を固定できなくはないが、薬剤費が高くなるので実用的でない。
【0032】
さらに、図1に実施形態によれば、ガス化炉3において生成ガスの熱により廃棄物を乾燥させていることから、乾燥塔1の乾燥負荷を軽減することができ、乾燥塔1の高温空気11を生成する熱エネルギを節減できる。同様に、生成ガスの温度を下げる減温塔を設ける必要がないから熱エネルギの損失を低減できる。
【0033】
また、ガス化炉3内の廃棄物中を生成ガスが通流することにより、廃棄物がフィルタの役割をしてガス中に含まれる飛灰等のダストを除去するから、バグフィルタ4の負荷を軽減できる。
【0034】
また、図1に実施形態において、ガス化炉3の頂部に設けた投入口12から、図示していないスクリューコンベアにより不燃性のペレットを連続的に供給することが好ましい。これによれば、不燃ペレットが廃棄物とともにガス化炉3内を流下し、熱分解残渣層に達した際に通気流路を確保するように作用する。不燃ペレットの材質は、SiO2やAl2O3などを主成分とし、融点が1300℃以上の固体が好ましい。また、形状は、球形、円柱、円筒など、不燃ペレット同士が絡まない形状が好ましい。不燃ペレットの大きさは、上述した通気流路を確保するのに好適なサイズを選定するが、例えばガス化炉の内径の1/10〜1/20程度とすることができる。また、投入量は廃棄物の灰分割合に依存するが、処理廃棄物量の半分以下である。
【0035】
投入された不燃ペレットは、熱分解残渣層に達した後、熱分解残渣とともにガス化炉3の底部から排出されて分別される。分別された不燃ペレットは、再び投入口12からガス化炉3内に投入され、循環使用される。なお、不燃ペレットとしては、上述した例の他、ガス化炉3の底部から排出された不燃性の熱分解残渣を押し固めてブロック状にしたもの、あるいは熱分解残渣を溶融設備により溶融させてできるスラグなどを徐冷して岩石状の徐冷スラグを用いてもよい。
【0036】
また、図1の実施形態では、乾燥塔1からガス化炉4に廃棄物を供給するのにスクリューフィーダを用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、ピストン等を用いて廃棄物を押し出す形式の供給装置を用いることができる。これによれば、乾燥塔1とガス化炉3との間の圧力に差がある場合に、それらの間のシールをすることができ、例えば乾燥塔1から空気がガス化炉3内に漏れ込み、生成ガスを希釈するのを防止できる。なお、スクリューコンベアを用いる場合は、必要に応じて、二重ダンパなどのシール機構を設けることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の廃棄物ガス化法及び装置によれば、熱分解生成ガスの脱塩及び徐塵を一般的なバグフィルタを適用して実現できる。その結果、その生成ガスを燃料とする熱機関の腐食を抑えることができる。特に、熱機関としてボイラを適用した場合には、蒸気温度を高めて蒸気タービン発電機の発電効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃棄物ガス化方法を適用した好適な一実施形態のガス化炉を用い、廃
棄物発電装置を構成した系統構成図を示している。
【図2】燃焼排ガスの塩素ガスと酸化カルシウムの反応と温度との関係を説明する線図
である。
【符号の説明】
1 乾燥塔
2 スクリューコンベア
3 ガス化炉
3a 燃焼域
3b 熱分解域
3c 乾燥域
4 バグフィルタ
5 ボイラ
6 蒸気タービン発電機
13 空気供給手段
14 水蒸気供給手段
16 脱塩剤

Claims (6)

  1. 竪型のガス化炉内に廃棄物を連続的に投入して充填層を形成し、該充填層の底部の廃棄物を部分燃焼させて該底部及び上層部の廃棄物を熱分解させ、該熱分解によって生成された生成ガスの熱により上層部の廃棄物を乾燥させ、前記ガス化炉の頂部から減温された生成ガスを得る廃棄物ガス化方法。
  2. 前記充填層の底部に水性ガス化剤を供給し、熱分解により生成される可燃性固形物と反応させて水性ガスを生成し、前記生成ガスとともに前記ガス化炉の頂部から排出させることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物ガス化方法。
  3. 前記ガス化炉頂部から排出される前記生成ガス及び/又は前記水性ガスに脱塩剤を添加してバグフィルタで濾過することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物ガス化方法。
  4. 炉頂部に廃棄物が投入される投入口を有する竪型のガス火炉と、該ガス化炉の炉底部に空気を供給する空気供給手段と、前記ガス化炉の炉底部に水性ガス化剤を供給する水性ガス化剤供給手段と、前記ガス化炉の炉頂部に生成ガスを排出する排出口とを備えてなり、
    前記空気供給手段は、前記炉底部に供給する空気量を制御して前記ガス化炉の炉底部に燃焼層を形成し、該燃焼層の上層に熱分解層を形成し、該熱分解層の上層に前記廃棄物の乾燥層を形成するものである廃棄物ガス化装置。
  5. 前記廃棄物とともに前記ガス化炉に不燃性ペレットを連続的に投入する不燃ペレット供給手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の廃棄物ガス化装置。
  6. 請求項4又は5に記載の廃棄物ガス化装置から排出される生成ガスに脱塩剤を添加してバグフィルタに導き、該バグフィルタから排出される生成ガスを燃料として供給することを特徴とする廃棄物処理装置。
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