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JP2004094442A - 枚数計測方法および枚数計測装置 - Google Patents

枚数計測方法および枚数計測装置 Download PDF

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JP2004094442A
JP2004094442A JP2002252561A JP2002252561A JP2004094442A JP 2004094442 A JP2004094442 A JP 2004094442A JP 2002252561 A JP2002252561 A JP 2002252561A JP 2002252561 A JP2002252561 A JP 2002252561A JP 2004094442 A JP2004094442 A JP 2004094442A
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Hiroki Ebe
江部 宏樹
Hideki Sato
佐藤 英樹
Junichi Takahashi
高橋 淳市
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

【課題】作業性に優れ、紙の計数を正確に行うことができる枚数計測方法および枚数計測装置を提供すること。
【解決手段】紙山の高さ方向に沿ってラインCCDセンサをスキャンして得られた画像において、紙境界部を強調化するフィルタリング処理を行い、境界部分の濃淡データを境界方向に加算して濃淡データ分布を作成する。得られた濃淡データ分布に対し、濃淡データ閾値を算出し、これより明るい領域を境界として抽出する。また、前後(上下)の境界情報を基に、境界の存在を認定する補完工程によって、濃淡データ閾値以下の境界部分の本数を補完する。以上の処理によって、高精度な紙枚数の計測を実現する。
【選択図】    図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状またはフィルム状の測定対象物を計数するための枚数計測装置に関し、更に詳しくは、山状に積み上げられた紙等を正確に計数できる枚数計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紙の枚数を計測する装置とては、例えば紙幣カウンタ等のように、測定対象物を一枚ずつ繰って計数するものがある。しかし、測定対象物である紙の大きさに限度があり、例えばロールから切り出され山状に積み上げられた大判の紙の計数に用いることは不可能である。この場合、非接触で紙の枚数を計測する手法を採ることがある。
【0003】
山状に積み上げられた紙の枚数を非接触で計測する手法としては、積み上げられた紙の高さを紙一枚当たりの厚さで除して算出したり、積み上げられた紙の全重量を紙一枚当たりの重量で除して算出する等の方法がある。
しかし、前者では、一般に紙の厚さには数%のバラツキがあること、また、後者では、紙そのもののバラツキ、周囲の湿気による変化等により、何れも正確な計数を行うことが困難であった。
【0004】
一方、例えば特開平5−314259号公報には、板状の測定対象物を非接触で計数する物体検査方法が開示されている。
これは、ケース中に収納された板状の物体を、画像処理装置に接続されたTVカメラで撮像し、物体間の境界方向に垂直で物体上を通る直線上における、一定値以上の濃淡分布の数を求めることによって、ケース中の物体枚数を算出するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−314259号公報に記載の方法では、紙のように断面部に繊維が見られたり、裁断刃痕、段差による影響などにより、得られる画像の断面および境界部が不鮮明な場合には、正確な計数が不可能であるという問題がある。
【0006】
また、上記特開平5−314259号公報に記載の方法では、画像処理に必要な光学倍率においては、フォーカス合わせ機構が不可欠であり、これにより装置構成が複雑化したり、高コスト化するという問題がある。
一方、フォーカス距離の変動を抑えるためには、測定対象面を段差無く整列させる必要があり、これが原因で作業効率が悪化するという問題がある。
【0007】
このように、従来の技術においては、正確な紙の計数装置・方法は確立されておらず、正確な計数を必要とする用途では、作業者による手作業での計数が行われ、多くの工数をかける必要があった。
また、このような作業を行っても、計数ミス等の発生を完全に抑えることはできなかった。
【0008】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、作業性に優れ、紙の計数を正確に行うことができる枚数計測方法および枚数計測装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の枚数計測方法は、積み上げられた測定対象物の全高にわたって、測定対象物間のそれぞれの境界部分の画像を取得する画像取得工程と、取得した画像に基づき、各々の境界部分の濃淡データを加算することによって境界部分を抽出する画像処理工程と、境界部分の計数結果に基づいて、測定対象物の枚数を計測する計数工程とを有する。
【0010】
測定対象物間の境界部分の濃淡データを加算することによって、境界情報をより強める一方で、方向性をもたないノイズ成分の情報を弱めることができる。これにより境界部検出を容易にして正確の計数を実現することができる。
【0011】
好適には、画像処理工程における境界部分の抽出を、取得された測定対象物の原画像をフィルタリング処理して境界部分を強調した画像に基づいて行う。これにより、境界部分を強調化でき、演算に必要な濃淡データを抽出することができる。
更に好適には、計数工程の後、隣接する境界部分間の距離が一定以上の場合に、当該隣接する境界部分間に更に境界部分の存在を認定する補完工程を行う。これにより、更に高精度に測定対象物の枚数計測を実現することができる。
【0012】
また、以上の課題を解決するに当たり、本発明の枚数計測装置は、積み上げられた測定対象物の側部に配置され、積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像手段と、撮像手段の出力に基づいて境界部分を計数し、測定対象物の枚数を計測する計数手段とを備え、撮像手段には、積み上げられた測定対象物に対するフォーカス距離を一定に保持する保持手段が設けられ、計数手段が、取得したデータに基づき、各々の境界部分の濃淡データを加算することによって境界部分を抽出する機能を有している。
【0013】
撮像手段には、積み上げられた測定対象物に対するフォーカス距離を一定に保持する保持手段が設けられているので、測定対象物の厳密な姿勢修正を不要とし、これにより作業効率の向上が図られる。
また、計数手段が、撮像手段が取得したデータに基づき、各々の境界部分の濃淡データを加算することによって境界部分を抽出するようにしているので、高精度な枚数計測を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態では、ロール状態から切り出され山状に積み上げられた紙(以下「紙山」と称する。)を測定対象物として、本発明を適用した例について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態による枚数計測装置の概要を示す全体図である。枚数計測装置1は、紙山5の一側面に対向して配置される撮像ユニット2と、撮像ユニット2を紙山5の高さ方向へ移動させる駆動モータ3と、撮像ユニット2によって取得された紙山5の画像データを表示したり、各種パラメータを入力するためのキーボードやマウスを備えたモニタ4と、装置全体を制御する制御部40(図6)が収容される制御ボックス7とを備えている。
【0016】
紙山5は、ロール状態から切り出された紙をパレット6に積み上げたもので、その形状は、例えば、幅1120mm、奥行き760mm、高さ1130mmである。
なお、紙山5を構成する個々の紙は同一の種類のもので、本実施の形態では、横(幅)1120mm、縦(奥行き)760mm、厚さ210μmのインクジェット用プリンタ用紙が適用されている。
【0017】
紙山5は、運搬等の利便性から、パレット6上に積み上げられている。紙山5の理想的な姿勢は、図2Aに示すように外形が略直方体のものであるが、実際は、図2Bに示すように、紙境界部分5Bを境にして、紙山5を構成する紙5Aが側面に並行してずれる「うねり」と、回転してずれる「ねじれ」があり、これらが組み合わされた姿勢となっている。
一方、紙山5が理想的な姿勢であっても、図2Bに模式的に示すように、紙5Aの端面間で長短のずれ(以下「長短ずれ」と称する。)が生じている。通常、紙山5は、複数のロールから同時に切り出された個々の紙で形成されるが、裁断時における同時カットずれ、個々のロールの張力差などにより、紙を同じ位置で切り出すことができないために「長短ずれ」が発生する。「長短ずれ」の大きさは、通常、最大でも1mm程度ある。
「うねり」および「ねじれ」は、作業者によりある程度の修正が可能である。しかし、「長短ずれ」の修正は困難である。
【0018】
次に、撮像ユニット2の構成について図3および図4を参照して説明する。
ここで、図3は撮像ユニット2の平面図、図4は撮像ユニット2の側面図である。
【0019】
撮像ユニット2は、基台17に対して相対移動可能な支持プレート16の上にラインCCD(Charge Coupled Device)センサ8を搭載している。このラインCCDセンサ8は、紙山5の紙境界方向に画素が配列されており、紙山5の高さ方向へのスキャンによって紙山5の側面の画像を取得する。ラインCCDセンサ8は、本発明の「撮像手段」の一具体例である。
【0020】
ラインCCDセンサ8の受光面側には対物レンズ9が設けられ、この対物レンズ9の前方位置における支持プレート16の端部には、リング照明10が取り付けられている。支持プレート16は、本発明の「支持部材」に対応する。
本実施の形態においては、対物レンズ9の光学倍率系は、紙山5の「長短ずれ」の大きさ(1mm程度)を吸収できる程度の被写界深度あるいは焦点深度(例えば2.5mm)を有している。また、リング照明10は青色発光ダイオードで構成され、可視光の単一波長に近い光源を、紙山5撮像部に対して全方位から均一に照射できるようにしている。
【0021】
支持プレート16の前方側端部には、リング照明10を挟むように一対のアーム部材19a,19bが設けられている。これらアーム部材19a,19bの先端部には、紙山5の側面に転接するタッチローラ11a,11bがそれぞれ回転可能に取り付けられている。
【0022】
支持プレート16の底面には、リニアガイド18の延在方向に沿ってスライド可能なリニアスライド12が取り付けられている。リニアガイド18は、支持プレート16を対物レンズ9の光軸方向に沿って移動させる方向に延在している。
支持プレート16とリニアガイド18との間には、ポスト21,22を介してコイルバネからなる第1バネ13が設けられており、この第1バネ13のバネ力で支持プレート16を紙山5側に付勢している。その結果、タッチローラ11a,11bが紙山5の側面に弾接し、紙山5と対物レンズ9との間の距離を一定に保持するようにしている。
【0023】
リニアガイド18は、回転ガイド14を介して、基台17に取り付けられている。回転ガイド14は、リニアガイド18を基台17に対して回動可能に支持している。
リニアガイド18と基台17との間には、ポスト23a,23bを介してコイルバネからなる一対の第2バネ15a,15bが設けられている。これら第2バネ15a,15bは、回転ガイド14に関しての支持プレート16の回動動作に対しての戻りバネとして機能する。
【0024】
以上、回転ガイド14および第2バネ15a,15bにより本発明の「首振り機構」が構成される。また、この首振り機構と、タッチローラ11a,11b、リニアガイド12、第1バネ13、リニアスライド18等により、本発明の「保持手段」が構成される。タッチローラ11a,11bは、撮像ユニット2を紙山5の側面の形状にならいながら弾接する「ガイド手段」として構成される。
【0025】
基台17は、例えばパルスモータ等からなる駆動モータ3(図1,図6)の駆動によって上下方向へ移動可能に構成されている。基台17には、図3に示すように、駆動モータ3に連結されるボールネジ25(図1)が螺合するネジ孔26と、基台17の上下移動をガイドする4本のガイドロッド27(図1)が挿通されるガイド孔28とが、それぞれ設けられている。図1に示すように、ガイドロッド27の上端は、駆動モータ3を支持する取付板29に取り付けられている。ガイドロッド27の下端は、架台31に対して水平方向(X−Y方向)へ移動可能なX−Yテーブル30に固定されている。
【0026】
撮像ユニット2は、X−Yテーブル30によって、図5に示すように、紙山5の側面に対向する方向(Y方向)とこれに直交する方向(X方向)へそれぞれ送り駆動されるようになっている。
【0027】
以上の構成により、撮像ユニット2は、紙山5の側面に沿って、その高さ方向に移動可能とされる。撮像ユニット2の上限位置および下限位置は、リミットスイッチ32U,32L(図1)の配設位置によってそれぞれ規制される。
【0028】
撮像ユニット2は、紙山5の側面に沿った移動過程において、紙山5の「ねじれ」や「うねり」に追従してタッチローラ11a,11bが紙山5の側面にならって揺動(首振り)し、常に、ラインCCDセンサ8に関して一定のフォーカス距離が保持されるようになっている。
【0029】
図1を参照して、紙山5は、パレット6を介して専用ステージ34に載置されている。紙山5の最上層および最下層には、紙山5の整列姿勢を維持するための整列用プレート36A,36Bがそれぞれ載置されている。
専用ステージ34は、架台35に対して、紙山5を図5に示す方向(Y方向)に移動可能に構成されている。また、図示せずとも、専用ステージ34は、紙山5を水平面内で回転させる方向へも移動可能となっている。ここで、図5において符号38a,38bは、紙山5に当接して所定の測定位置へ位置決めするための受けピンである。
【0030】
続いて、図6を参照して、本実施の形態の枚数計測装置1の制御系の詳細について説明する。
【0031】
駆動モータ3、ラインCCDセンサ8およびリング照明10は、コンピュータで構成される制御部40によって制御される。
ラインCCDセンサ8およびリング照明10は、それぞれ、ラインCCDセンサ電源43および照明電源44から必要な電源が供給される。リング照明10の照度は、制御部40のアナログ出力ボード48によって調整可能とされている。
【0032】
駆動モータ3およびラインCCDセンサ8は、制御部40からの制御信号が供給されるインターフェース回路41の出力に基づいて駆動される。インターフェース回路41は、ラインCCDセンサ8の画像取込周期と駆動モータ3による送り速度とを同調させるための回路であり、パルス発生器46およびデジタル入出力ボード47から供給される駆動モータ(パルスモータ)3およびラインCCDセンサ8の制御パルスを、モータドライバ42およびラインCCDセンサ8へ出力する。
【0033】
駆動モータ3の駆動速度は、ラインCCDセンサ8による画像取得領域が常に一定の間隔となるように制御される。インターフェース回路41は、その同期情報を画像処理ボード45へ出力する。ラインCCDセンサ8からの取得画像情報は、画像処理ボード45に対して、一定周期で出力される。駆動モータ3は、ラインCCDセンサ8を例えば上方へ一定速度で滑らかに移動させることにより、ラインCCDセンサ8が一定間隔で紙山5の画像データを取り込むことができるようになっている。
【0034】
画像処理ボード45は、ラインCCDセンサ8の取得画像情報と、ラインCCDセンサ8の移動情報から、一定間隔でラインCCDセンサ8による取得画像情報が連なる画像を合成する。撮像ユニット2が紙山5の高さ方向に連続して移動し、その間データを取得し続けることにより、紙山5の測定面を1枚の画像として取得する。2次元の画像として、周囲の画像情報と組み合わせて処理を行うことでより精度の高い処理を行う。これにより、紙山5の側面の切れ目のない連続した画像を得ることができる。
【0035】
例えば、図7は、ラインCCDセンサが撮像したn番目からn+9番目までの線状の画像を順番に組み合わせて1つの面状の画像(文字A)を合成する様子を示している。本実施の形態では、ラインCCDセンサ8は、紙山5の測定面を撮像し、駆動モータ3によって紙山5の高さ方向へ移動(スキャン)しながら、紙山5の全高にわたって各層の全ての紙境界部分5Bの画像を取得する。各層の画像データは、画像処理ボード45によって、紙山5の高さ方向へ組み合わされた1つの面状の画像に合成される。
このように、ラインCCDセンサ8が撮像した線状の画像を面状の画像に合成することによって、紙山5の全高にわたって各層全ての紙境界部分5Bの画像を取得するようにしている。
【0036】
なお、本実施の形態では、撮像手段としてラインCCDセンサ8を用いているが、エリアCCDセンサを用いることも可能である。ただし、処理に必要な光学倍率では、エリアCCDセンサを用いても紙山全体を捉えることができず、結果的に複数回の画像取込処理が必要になるので、画像間のつなぎ目の処理を考慮すると、ラインCCDセンサ8の方が処理技術上有利である。
【0037】
合成された1枚の画像からは、測定に必要な部分(紙山5の紙境界方向の一部分)が切り出される。あるいは、予め測定に必要な部分のみ画像の合成処理が行われる。これは、対象紙とラインCCDセンサ8の画素配列方向の角度ずれによる影響を避けるとともに、処理時間短縮と計数時(後述)のメモリ節約等を図るためである。
【0038】
画像処理ボード45で処理された紙山5の画像は、制御部40内の計数器49によって紙境界部分5Bの計数が行われるようになっている。計数器49における紙境界部分5Bの計数処理のために、測定対象の紙厚み領域の画像を複数回に分けて取得する必要がある。本実施の形態では、ラインCCDセンサ8のスキャン時間間隔を一定とし、対象となる紙厚みに対して、適当数の画像取得回数(例えば紙1枚あたり10〜20回)が得られるように駆動モータ3による送り速度が設定されている。
【0039】
また、画像処理ボード45は、計数器49における紙境界部分5Bの計数を精度良く行うために、取得した画像中の紙境界部分5Bを強調して顕在化させる処理を行う。紙境界部分5Bの強調化処理は、合成された画像の画素毎に上下左右の画素分布から、画像横方向につながり縦方向に輝度変化のあるものを強調する演算によって行われる。以下、この処理を「紙境界部強調フィルタリング」と称する。
【0040】
図8Aは、ラインCCDセンサ8による取得画像の紙山高さ方向への合成画像(原画像)を示している。この画像情報からでは、紙境界が必ずしも明確に現れているとは言い難い。そこで、上述の紙境界部強調フィルタリングを行うと、図8Bに示すように、原画像の明るさに依らず、紙境界が明るい横線となり、それ以外は暗くなる。紙境界部強調フィルタリングにより、明瞭な紙境界部分はより明るく太い横線に変換される。
図8Bは、原画像(図8A)に対して、紙境界部強調フィルタリング処理を施して紙境界部分(エッジ)を抽出した画像であり、本実施の形態ではそのフィルタリングの手法として微分フィルタの一種である公知のソベル(Sobel)フィルタが採用されている。
【0041】
また、紙境界部強調フィルタリング後でも、紙繊維、裁断刃の跡、ごみ等が、紙境界にノイズとして残存する。上述した従来の技術においては、合成画像を縦に検索して濃淡のピークを数えて計数していたので、紙のような対象物の場合には、このノイズの影響等により正確な枚数を検出することができなかった。
【0042】
そこで、本実施の形態では、このノイズを除去する目的で、図8Bに示した紙境界部強調フィルタリング後の画像の濃淡データを、画像で横方向(紙境界方向)に加算する。横方向に加算することにより、この方向に特徴をもつ境界情報はより強められる一方で、紙繊維、断面不均一性、凹凸やごみなどの方向性をもたないノイズ成分の情報は弱められる。
加算処理後の濃淡データをグラフ化した例を図8Cに示す。
【0043】
計数器49は、図8Cに示した濃淡(明暗)データに基づいて、紙境界を認識し計数する。紙境界の認識方法としては、横方向に加算した濃淡データ計算後、濃淡データ閾値を計算し、当該閾値よりも明るい部分を一つの塊として紙境界と認識するようにしている。また、紙境界と認識した塊の中心値は、紙境界座標とする。
【0044】
濃淡データ閾値は、評価する紙境界座標の前後(上下)区間の最大最小値から計算する、または、濃淡データの移動平均により計算する。すなわち、紙山5の高さが高く、長い画像を取り込む場合等、全体に明るさが変化する場合に対応するため、画像全体から閾値を計算する場合と、一定区間での移動平均などにより計算する場合がある。画像濃淡の分布により、より有利な方法を選択するが、本実施の形態では後者の一定区間内での移動平均を採用している。
【0045】
測定対象の紙の厚さは、隣接する境界間距離に相当する。測定に先立ち、対象となる紙の厚さにより、境界間距離の指標を与える。境界の座標間隔がこの指標に対し、明らかに小さい場合には誤認識として処理する。前後の境界の評価値と間隔情報により、誤検出分を取り除く処理を行う。この際、どの程度まで許容するかをパラメータとして予め設定しておく。
例えば、境界間距離すなわち紙厚さを210μmとし、150μm以上の座標間隔があれば次のエッジとし、それ以下の場合は誤検出と判断させる。
このような手順により、単純な手法で高い効果を実現できる。
【0046】
上述のように、濃淡データ閾値よりも明るい濃淡データ部分を一つの塊として紙境界と認識する。ここでは、当該塊の大きさ(面積)を計算し、これを評価の尺度(評価値)としている。
例えば、図8Cにおいて、境界Aよりも境界Bの方が、濃淡データ閾値よりも明るい部分の面積が大きく、より境界らしいと評価する。近傍に境界が存在する場合等に、前後の位置関係とその評価値により、優位性を判断するようにしている。この処理は、例えばカーボン紙等のように異種層が存在する品種の紙の境界検出に顕著な効果を発揮する。
【0047】
境界検索の結果、濃淡データ閾値に足りず認識できない境界部が存在する場合がある。例えば、図8Cにおける境界Dがこれに相当する。この場合には、前後の境界と座標間隔から、中間に境界が存在することを認定し、その本数を計算する補完処理が行われる。
【0048】
補完処理の一例を図9に示す。図9は、補完処理前の境界間隔データを、境界間隔とその発生回数で示した度数分布表である。この例では、境界間隔データを群1、群2および群3に分けて示している。群2は境界本数を1本補完、群3は境界本数を2本補完して処理される。群と群との間隔が十分空いている場合は、処理が正常に行われると評価し、補完処理を行う。
例えば、図8Cにおいて、境界Cと境界Eを基に、この間に境界Dが1本存在すると計算する。この例では、補完境界が1本であるが、これが複数本の場合も同様の処理が可能である。
【0049】
一方、群の間隔が空いていない場合や、指標となる境界間隔の正数倍の中間部に位置する場合には、条件により以下の処理を行う。
(1)その境界を無効として、前後の境界から補完処理を行う。
(2)警告を出し、作業者に判断を仰ぐ。
(3)エラーとして再測定する。
(4)エラーとして処理を中断する。
【0050】
図9において、基準となる紙厚さに相当する境界の間隔をRd、枚数をmとしたとき、Rd×m(図ではm=1〜3)の近傍にあるもののみをm枚分として処理する。この範囲外の場合は、警告あるいはエラーとして再測定などの処理を行う。どこからエラーとして処理するかも、測定に先立ち、パラメータとして入力しておく。
境界の評価値の低い紙境界に対しては、その前後の高い評価値の紙境界により、積極的に補完するようにもしている。
【0051】
以上、制御部40内の画像処理ボード45および計数器49により、本発明の「計数手段」が構成される。
【0052】
次に、以上のように構成される本実施の形態の枚数計測装置1の作用について説明する。図10は、枚数計測装置1の作用を説明するフロー図である。
【0053】
紙山5は、パレット6および整列用プレート36A,36Bとともに、例えばフォークリフトによって専用ステージ34上へ移載される。専用ステージ34は最初、装置から引き出されており、紙山5の移載後、図1に示す測定位置へ移動される(ステップS1)。紙山5の測定位置への位置決めは、紙山5の側面に接触する受けピン38a,38b(図5)によってなされる。
【0054】
紙山5の運搬前後いずれかで、必要に応じ、紙山5の姿勢が修正される。本実施の形態では、紙山5の姿勢は、例えば、うねりが±25mm以内、ねじれが±5度以内、長短ずれが1mm以内としている。これらの修正基準は、作業者による通常の作業で容易に達成することができ、また、装置機構部にも負担の少ない条件である。
【0055】
測定に先立ち、測定対象の品種を設定する(ステップS2)。この品種を設定することにより、測定時に使用するパラメータが決まる。測定に関するパラメータとしては、基準となる紙厚、境界検出時における最低限必要な境界間隔、境界間隔の度数分布で群間の最低間隔、最大補完処理間隔(これ以上は警告・エラーとする)、再測定回数および撮像ユニット2のX方向移動量(図5)などが挙げられる。
【0056】
次に、撮像ユニット2を紙山5の測定面にセットして、測定の準備を行う(ステップS3)。この工程では、測定位置にセットされた紙山5に対し、撮像ユニット2を支持するX−Yテーブル30がY方向(図5参照)に移動され、撮像ユニット2のタッチローラ11a,11bが図3および図4に示すように紙山5に押し当てられる。このとき、撮像ユニット2の第1バネ13に所定の付勢力が発揮されるまでにX−Yテーブル30が移動され、その結果、紙山5に対してタッチローラ11a,11bが所望とする圧力で弾接される。撮像ユニット2は、リミットスイッチ32Lで規定される紙山5の底部に位置している。
【0057】
続いて、ラインCCDセンサ8を動作させるとともに、リング照明10を発光させる。そして、駆動モータ3を定速度で回転させることによって撮像ユニット2を一定速度で上昇させ、紙山5の測定面をスキャニングし画像を取得する(ステップS4)。ラインCCDセンサ8によって連続的に取り込まれた一次元画像は、制御部40内の画像処理ボード45(図6)によって二次元画像に合成される。
【0058】
駆動モータ3の駆動により、撮像ユニット2が上昇する際は、撮像ユニット2の第1バネ13および第2バネ15a,15bの付勢によって、タッチローラ11a,11bが紙山5のうねりやねじれに追従して転動するために、対物レンズ9と紙山5との間の距離が一定に保持される。これにより、CCDラインセンサ8のフォーカス距離が不変とされ、紙山5の長短ずれを吸収しながら高精度な画像を取得することができる。
【0059】
合成された二次元画像は図8Bに示したように紙境界部強調フィルタリング処理され、その後、横方向加算によるノイズ除去がなされ、図8Cに示したように紙山5の全高にわたっての濃淡データ分布が取得される(ステップS5)。
本実施の形態では、ラインCCDセンサ8は5000画素数であり、このうち処理に必要な幅は数百画素分であるので、合成された画像から必要部分のみ切り出して処理している。他方、最初からラインCCDセンサ8で画像を取り込む際に、必要な部分のみ取り出して画像に合成するようにしてもよい。
【0060】
次に、得られた濃淡データに対して濃淡データ閾値を算出し、当該閾値より明るい濃淡データ部分を紙境界として認識し抽出する。また、得られた境界情報を評価し、予め設定された基準紙厚さおよび最低境界間隔情報に関する指標(パラメータ)、ならびに前後の座標間隔を参照して、紙境界と認められる部分の取捨選択を行う(ステップS6)。
同様に、得られた紙境界情報から境界間隔の分布を調べ(図9)、分布(群)の間隔が十分に空いている場合には補完処理を行う(ステップS7)。
【0061】
以上の処理が正常に終了した後は、制御部40内の計数器49によって補完済の境界情報に基づいて紙境界部分を計数し、紙の計数値(枚数)をモニタ4へ表示する(ステップS8,S9)。
【0062】
逆に、境界間隔の分布(群)の間隔が十分に空いていない等、境界分布に問題がある場合は、問題部分の境界前後情報から補完処理を試みる。最大補完処理間隔を超えての補完等、通常の処理で判断できない場合には、警告あるいはエラーとして処理する。警告あるいはエラーの場合には、問題となる部分の画像をモニタ4に表示し、作業者による枚数の判定や、測定中断、再測定などの判断を仰ぐ(ステップS8,S10)。
【0063】
再測定の場合は、測定個所を変えての再測定も可能である(ステップS11)。通常処理で終了した場合と、作業者による枚数判定を行った場合は、結果を表示して終了する。再測定条件を超えての回数や、作業者による中断などの場合は、その内容を表示して測定を終了する(ステップS12)。
【0064】
以上のように、本実施の形態によれば、撮像ユニット2のフォーカス距離を一定に保持して紙山5の画像を取り込むことができるので、紙山5の姿勢整列作業の負担を大幅に減らし、作業効率の向上を図ることができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、取得した画像情報のフィルタリングと加算処理により、紙断面の状態とごみ等のノイズ成分に強く、正確な紙枚数の計測を行うことができる。しかも、紙境界の評価関数による評価値と紙境界座標間隔とを併せた評価により、誤検出防止効果を得ることができる。
【0066】
更に、本実施の形態によれば、計数補完処理工程(ステップS7)が設けられているので、認識できない紙境界部分の存在を認定して計数精度の向上を図ることができる。また、これに伴って、境界間隔の分布から誤補完を防止することができる。
【0067】
本発明の原理を具現化した試作装置を製作し、基準厚さ210μm程度の紙を200mm程度に積み上げた紙山を用いて実際に20山分の枚数計測を行い、合成された画像と、処理結果の画像を比較し、その処理結果を評価したところ、全測定において誤差なく測定できることが確認できた。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0069】
例えば以上の実施の形態では、駆動モータ3としてパルスモータを用いたが、これに限らず、エンコーダによって回転角を検出可能とすれば汎用のモータを使用することも可能である。
【0070】
また、以上の実施の形態では、測定対象紙をインクジェット用のプリンタ用紙を例に挙げて説明したが、これに限らず、普通紙、上質紙、葉書などの他品種の紙であっても勿論、本発明は適用可能である。また、測定対象物はこれらシート状の紙だけに限らず、ゴムシートやプラスチックシート、更には、フィルム状の各種材料の計数にも、本発明は適用可能である。
【0071】
厚みの異なる対象紙に対しては、処理時の境界基準距離が変化しないように測定部の送り速度を変化させる方法と、処理時の境界基準距離を変更する方法が採用可能である。前者では、画像を展開する量が多くなる反面、境界部強調フィルタリング等の測定パラメータを変更しないで適用できるメリットがある。境界部強調フィルタリングを効果的に行うためには、紙境界間の取込画像を多くする必要がある。測定対象により両方法を選択できる制御ソフト構成とすることで、より柔軟に対応することができる。
【0072】
また、大きな打痕等の影響により、正常に計数できない場合は、ラインCCDセンサの画像取込範囲内で別な部分から画像を切り出す、又は、撮像ユニットを横(図5においてX軸方向)に動かし新たに画像を得るなど、再計数の実行や、計数結果確認を行うことができる。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の枚数計測方法によれば、例えば紙などの境界部分の明瞭でない測定対象物を、高精度に計数することができる。
【0074】
また、本発明の枚数計測装置によれば、積み上げられた測定対象物に対するフォーカス距離を一定に保持する保持手段が設けられているので、測定前の測定対象物の厳密な姿勢修正作業を不要として作業効率の向上を図ることができるとともに、高精度な枚数計測を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による枚数計測装置の構成を示す側面図である。
【図2】測定対象物である紙山を説明する斜視図である。
【図3】図1に示す枚数計測装置の撮像ユニット2の構成を示す平面図である。
【図4】撮像ユニット2の側面図である。
【図5】撮像ユニット2および紙山5の送り方向を説明する要部平面図である。
【図6】図1に示した枚数計測装置の制御ブロック図である。
【図7】図6における画像処理ボード45の一作用を説明する図である。
【図8】画像処理ボード45における画像処理工程を説明する図であり、Aは合成直後の画像、Bは紙境界部強調フィルタリング後の画像、Cは境界部の濃淡データ分布をそれぞれ示している。
【図9】本発明の補完工程を説明する境界間隔の度数分布表である。
【図10】図1に示した枚数計測装置の作用を説明するフロー図である。
【符号の説明】
1…枚数計測装置、2…撮像ユニット、3…駆動モータ、4…モニタ、5…紙山、5A…紙、5B…紙境界部分、8…ラインCCDセンサ、9…対物レンズ、10…リング照明、11a,11b…タッチローラ、13…第1バネ、14…回転ガイド、15a,15b…第2バネ、16…支持プレート、18…リニアガイド、40…制御部、41…インターフェース回路、45…画像処理ボード、49…計数器。

Claims (8)

  1. 厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状またはフィルム状の測定対象物の枚数を計測する枚数計測方法であって、
    前記積み上げられた測定対象物の全高にわたって、前記測定対象物間のそれぞれの境界部分の画像を取得する画像取得工程と、
    前記取得した画像に基づき、各々の境界部分の濃淡データを加算することによって前記境界部分を抽出する画像処理工程と、
    前記境界部分の計数結果に基づいて、前記測定対象物の枚数を計測する計数工程とを有する
    ことを特徴とする枚数計測方法。
  2. 前記画像処理工程における前記境界部分の抽出が、前記取得された測定対象物の原画像をフィルタリング処理して前記境界部分を強調した画像に基づいて行われる
    ことを特徴とする請求項1に記載の枚数計測方法。
  3. 前記計数工程の後、
    隣接する前記境界部分間の距離が一定以上の場合に、前記隣接する境界部分間に更に境界部分の存在を認定する補完工程を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の枚数計測方法。
  4. 前記撮像工程が、前記積み上げられた測定対象物の全高にわたるラインCCDセンサのスキャニングによって行われる
    ことを特徴とする請求項1に記載の枚数計測方法。
  5. 厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状またはフィルム状の測定対象物の枚数を計測する枚数計測装置であって、
    前記積み上げられた測定対象物の側部に配置され、前記積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像手段と、
    前記撮像手段の出力に基づいて前記境界部分を計数し、前記測定対象物の枚数を計測する計数手段とを備え、
    前記撮像手段には、前記積み上げられた測定対象物に対するフォーカス距離を一定に保持する保持手段が設けられ、
    前記計数手段が、前記取得したデータに基づき、各々の境界部分の濃淡データを加算することによって前記境界部分を抽出する機能を有する
    ことを特徴とする枚数計測装置。
  6. 前記保持手段が、
    前記撮像手段を支持する支持部材と、
    前記支持部材に固定され前記積み上げられた測定対象物の側面に弾接するガイド手段と、
    前記積み上げられた測定対象物の側面の形状にならって前記ガイド手段を揺動させる首振り機構とを有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の枚数計測装置。
  7. 前記撮像手段が、前記積み上げられた測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされ、
    前記ガイド手段が、前記積み上げられた測定対象物の側面をその高さ方向に並行して転動する一対のローラ部材を含む
    ことを特徴とする請求項6に記載の枚数計測装置。
  8. 前記撮像手段が、ラインCCDセンサからなる
    ことを特徴とする請求項5に記載の枚数計測装置。
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