JP2004090757A - 折り畳み可能な手押し車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】手押し車は、四節回転連鎖機構を形成する前輪用フレーム部材1、後輪用フレーム部材2、前方下側リンク部材10および後方下側リンク部材11を備える。前方下側リンク部材10および後方下側リンク部材11間には引っ張りコイルバネ15が設けられている。バネ15の力によって、四節回転連鎖機構を有する手押し車は自動的に折り畳まれる。作動用リンク部材17が、下端を後方下側リンク部材11に枢着されている。レバー部材23が、前輪用フレーム部材1の上方延長部である直立フレーム部材6に内端を枢着されている。レバー部材23の中間部と作動用リンク部材17の上端とが枢着されている。レバー部材23を上方に枢動させると、フック部材27と係止用ピン26とが係止状態となる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳み可能な手押し車に関する。手押し車には、乳母車、介護用車椅子、シルバーカー(足腰の弱い主に年輩者が買い物や散策のときの歩行補助具として押して歩く四輪車)など、人が後ろからハンドルを持って押す車が含まれる。
【0002】
【従来の技術】
上述したような手押し車は、不使用時には場所をとらないようにコンパクトに折り畳めると便利である。自動車に積むとき、電車に乗るときなども同様であり、しかも簡単かつ迅速に折り畳んだり展開できたりすると便利である。特にシルバーカーの場合、運動能力が衰えかけているお年寄りが使用するため、力をかけずに簡単な操作で迅速な折り畳みおよび展開ができることが望まれる。しかしながら、このような要求を満たす手押し車はまだ実現されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、力をかけずに簡単な操作で迅速な折り畳みおよび展開ができる手押し車を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によれば、
左右一対の前輪用フレーム部材および左右一対の後輪用フレーム部材にして、それぞれの下端に車輪を設けられ、左右それぞれの側における前輪用フレーム部材および後輪用部フレーム部材の上端どうしを互いに枢軸連結されている、前輪用フレーム部材および後輪用フレーム部材と、
前記左右一対の前輪用フレーム部材間および前記左右一対の後輪用フレーム部材間を連結する前後一対の連結フレーム部材と、
前記前輪用フレーム部材または前記後輪用フレーム部材の上方延長部として形成される左右一対の直立フレーム部材と、
左右一対の前方下側リンク部材および左右一対の後方下側リンク部材にして、左右それぞれの側における前方下側リンク部材および後方下側リンク部材の外端が前記前輪用フレーム部材および前記後輪用フレーム部材にそれぞれ枢軸連結されており且つ内端どうしが互いに枢軸連結されている、前方下側リンク部材および後方下側リンク部材と、
前記前方下側リンク部材と前記後方下側リンク部材との間に設けられた左右一対の引っ張りコイルバネにして、前記前輪用フレーム部材と前記後輪用フレーム部材と前記前方下側リンク部材と前記後方下側リンク部材とから形成される左右一対の四節回転連鎖機構のそれぞれを前後に折り畳むように作用するコイルバネと、
左右一対の作動用リンク部材にして、下端が前記前方下側リンク部材および前記後方下側リンク部材のうちの一方に枢軸連結され且つ上方に延びている作動用リンク部材と、
ハンドルフレーム部材にして、前記作動用リンク部材の上方延長部として形成される左右一対の直立部を有するハンドルフレーム部材と、
左右一対の上側リンク部材にして、前端が前記前輪用フレーム部材もしくは前記後輪用フレーム部材または前記直立フレーム部材に枢軸連結され、後端が前記作動用リンク部材の上端に枢軸連結されている上側リンク部材と、
レバー部材にして、前記上側リンク部材の後方延長部として形成される左右一対の側部と該一対の側部の後端間を連結する水平部とを有し、操作することにより前記作動用リンク部材および前記上側リンク部材が動かされ、それによって前記左右一対の四節回転連鎖機構のそれぞれを前記コイルバネの力に抗して前後に展開するようになされている、レバー部材と、
前記左右一対の作動用リンク部材または前記ハンドルフレーム部材の前記左右一対の直立部に設けられた左右一対の係止用ピンと、
前記左右一対の直立フレーム部材に取り付けられたフック部材にして、係止位置と係止解除位置との間を枢動可能であり、前記係止位置にあるときに前記係止用ピンと相互係止可能な左右一対のフック部材と、
前記フック部材を前記係止位置へと付勢する付勢手段と、
を備え、
前記フック部材がカム面を有しており、該カム面は、前記四節回転連鎖機構が前記コイルバネの力に抗して前後に展開されるときに前記係止用ピンに近づいて該係止用ピンと係合して前記フック部材を自動的に前記係止位置へと導いて前記係止用ピンと相互係止させるようになされている、
折り畳み可能な手押し車が提供される。
【0005】
上記手押し車は、前記左右一対のフック部材間に設けられて水平に延びるバー部材にして、操作することにより前記左右一対のフック部材を前記付勢手段の力に抗して前記係止位置から前記係止解除位置へと同期して枢動させることができるようになされているバー部材をさらに備えることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による折り畳み可能な手押し車の一実施例の側面図であり、手押し車は展開状態に係止されている。図2はフック部材による係止が解除されて手押し車が展開状態から折り畳み状態へと移行する途中の斜視図、図3は係止を解除されたフック部材とその周辺機構とを示す拡大斜視図、図4は折り畳み状態の手押し車を示す側面図である。図示された本発明の手押し車の実施例は、シルバーカーである。機構をわかりやすく説明するため、骨組み以外の部材、例えば座面や収納部、背当て部などは省略してある。
【0007】
手押し車は、左右一対の前輪用フレーム部材1および左右一対の後輪用フレーム部材2を備える。前輪用フレーム部材1および後輪用フレーム部材2のそれぞれの下端には車輪Wが設けられている。左右それぞれの側において、前輪用フレーム部材1および後輪用部フレーム部材2の上端どうしはピン3によって互いに枢軸連結されている。
【0008】
左右一対の前輪用フレーム部材1間および左右一対の後輪用フレーム部材2間は、前後一対の連結フレーム部材4,5(図2参照)によってそれぞれ連結されている。
【0009】
ピン3で連結された前輪用フレーム部材1および後輪用フレーム部材2の上端の上方には、直立フレーム部材6が設けられている。図示実施例では、直立フレーム部材6は前輪用フレーム部材1の上方延長部として一体に形成されている。しかしながら、直立フレーム部材6は後輪用フレーム部材2の上方延長部として一体に形成してもよいし、あるいはまた、前輪用フレーム部材1または後輪用フレーム部材2の上端に固着することにより、これらの上方延長部としてもよい。左右一対の直立フレーム部材6の上端を水平部材で連結して逆U字形のフレームを形成してもよい。
【0010】
左右一対の前輪用フレーム部材1間には、前方が閉じたU字形をした座部用フレーム部材7がピン8によって枢軸連結されている。座部用フレーム部材7の前方への枢動は、座部用フレーム部材7に取り付けたストッパ9が前輪用フレーム部材1に当接することにより停止せしめられる。座部用フレーム部材7は、シルバーカー使用者が休憩時に腰掛ける時の座面を取り付けるための部材となる。また、座部用フレーム部材7を座面とともに後方に枢動させることにより、座面下方の空所に買い物の荷物などを収容することができる。なお、左右一対の直立フレーム部材6は、シルバーカー使用者が座面に腰掛けるときの背当ての布地を取り付ける部材となる。
【0011】
左右それぞれの側において、前輪用フレーム部材1と後輪用フレーム部材2との間には、前方下側リンク部材10および後方下側リンク部材11が設けられている。前方下側リンク部材10および後方下側リンク部材11の外端は、前輪用フレーム部材1および後輪用フレーム部材2にそれぞれピン12,13によって枢軸連結されている。また、内端どうしはピン14によって互いに枢軸連結されている。
【0012】
左右それぞれの側において、前方下側リンク部材10と後方下側リンク部材11との間には引っ張りコイルバネ15が設けられている。このバネ15は、手押し車を折り畳むように力を作用させる。すなわち、前輪用フレーム部材1と後輪用フレーム部材2と前方下側リンク部材10と後方下側リンク部材11とから左右一対の四節回転連鎖機構が形成されるが、引っ張りコイルバネ15は、これらの四節回転連鎖機構のそれぞれを前後に折り畳むように作用する力を与える。
【0013】
左右それぞれの側において、下端が後方下側リンク部材11の中間部にピン16によって枢軸連結され、上方に延びている作動用リンク部材17が設けられる。図示実施例では作動用リンク部材17まっすぐな形状をしているが、下端部分を前方に向けて屈曲させ、下端を前方下側リンク部材10に枢軸連結するようにしてもよい。
【0014】
作動用リンク部材17は上方に延長されており、この上方延長部がハンドルフレーム部材18の直立部を形成している。ハンドルフレーム部材18の直立部は、内管と外管とが入れ子式に組み合わされたものとし、これらの相対位置を変えることによりハンドルの高さを調整できるようにしてもよい。ハンドルフレーム部材18の左右一対の直立部の上端どうしを水平部材で連結し、使用者がハンドルにつかまりやすくしてもよい。
【0015】
左右それぞれの側において、上側リンク部材19が設けられる。上側リンク部材19の前端は、ピン20によって、直立フレーム部材6のタブ21に枢軸連結されている。上側リンク部材19の後端は、ピン22によって、作動用リンク部材17の上端に枢軸連結されている。設計上の変更によって、作動用リンク部材17の前端は、前輪用フレーム部材1もしくは後輪用フレーム部材2の上方部分に枢軸連結されるようにしてもよい。
【0016】
上側リンク部材19の延長上にレバー部材23が設けられている。レバー部材23は、上側リンク部材19の後方延長部として形成される左右一対の側部24と、これら一対の側部24の後端間を連結する水平部25とを有して成るU字形をしている。
【0017】
手押し車を図1に示すような展開状態に保持するため、左右それぞれの側に係止用ピン26とフック部材27とが設けられる。係止用ピン26は、図示実施例では作動用リンク部材17に取り付けられたタブ28に設けられている。設計上の都合により、係止用ピン26を設けるタブを、ハンドルフレーム部材18の直立部に取り付けてもよい。
【0018】
フック部材27は、ピン29によって直立フレーム部材6に枢動可能に取り付けられる。フック部材27は、下方の係止位置と上方の係止解除位置との間を枢動可能であり、係止位置にあるときに係止用ピン26と相互係止可能となる。
【0019】
フック部材27を係止位置へと付勢するための付勢手段として、引っ張りコイルバネ30が設けられる。
フック部材27はカム面31を有している。このカム面31は、手押し車が図4に示す折り畳み状態から前後に展開された状態になるとき、係止用ピン26に近づいて該係止用ピン26と係合し、フック部材27をバネ30の付勢力に抗していったん上方へと枢動させたのち、一転してバネ30の付勢力で下方へと枢動させて自動的に係止位置へと導くよう形状づけられている。係止位置となったフック部材27は、その溝32内に係止用ピン26を入り込ませて相互係止状態となる。
【0020】
図2に示すように、左右一対のフック部材27間に水平に延びるバー部材33を設けると便利である。バー部材33をつかんで上下に動かすことにより、左右のフック部材27の枢動を容易に同期させて行うことができるからである。
【0021】
本発明による手押し車の展開および折り畳みの方法について説明する。図4に示すような折り畳み状態にある手押し車のレバー部材23を片手で持って矢印Aのように上方へと枢動させる。このとき、反対側の手は直立フレーム部材6または直立フレーム部材6の上端間に延びる水平部材に添えるとよい。レバー部材23の上方への枢動により、作動用リンク部材17が持ち上げられ、後方下側リンク部材11がピン13を中心として図で時計方向に枢動する。このときまた、レバー部材23と一体となった上側リンク部材19は、ピン3の位置を前方へ押しやるように作用する。このようにして、前輪用フレーム部材1と後輪用フレーム部材2と前方下側リンク部材10と後方下側リンク部材11とからなる左右一対の四節回転連鎖機構は、引っ張りコイルバネ15の力に抗して前後に展開する。
【0022】
図2の手押し車は、まだ完全に展開した状態ではない。図2の状態からさらにレバー部材18を上方に枢動させると、係止用ピン26とフック部材27とが互いに近づく。その後は前述したようにフック部材27のカム面31と係止用ピン26との係合が始まり、フック部材27がバネ30の付勢力に抗して上方に枢動したのち下方に枢動し、係止用ピン26がフック部材27の溝32内に係止せしめられる。このようにして完全に展開した状態の手押し車を図1に示す。
【0023】
手押し車を折り畳むには、フック部材26間に延びるバー部材33(図2)をつかんで上方に枢動させる。すると係止用ピン26はフック部材27の溝32内から外れる。バー部材33が無い場合は、左右のフック部材27を両手で同時に上方に枢動させる。フック部材27と係止用ピン26との係止状態が解除されると、前輪用フレーム部材1と後輪用フレーム部材2と前方下側リンク部材10と後方下側リンク部材11とからなる左右一対の四節回転連鎖機構は、引っ張りコイルバネ15の力により前後方向に折り畳まれる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の手押し車は、コイルバネやレバー部材の働きにより、力をかけずに簡単な操作で迅速な折り畳みおよび展開ができる。
【0025】
左右一対のフック部材間に設けられたバー部材を採用することにより、手押し車の展開状態での係止を解除することがさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による折り畳み可能な手押し車の一実施例の側面図であり、手押し車は展開状態に係止されている。
【図2】フック部材による係止が解除されて図1の手押し車が展開状態から折り畳み状態へと移行する途中の斜視図。
【図3】係止を解除されたフック部材とその周辺機構とを示す拡大斜視図。
【図4】折り畳み状態の手押し車を示す側面図。
【符号の説明】
1 前輪用フレーム部材、2 後輪用フレーム部材、3 ピン、4,5 連結フレーム部材、6 直立フレーム部材、7 座部用フレーム部材、8 ピン、9 ストッパ、10 前方下側リンク部材、11 後方下側リンク部材、12,13,14 ピン、15 引っ張りコイルバネ、16 ピン、17 作動用リンク部材、18 ハンドルフレーム部材、19 上側リンク部材、20 ピン、21 タブ、22 ピン、23 レバー部材、24 側部、25 水平部、26 係止用ピン、27 フック部材、28 タブ、29 ピン、30 引っ張りコイルバネ、31 カム面、32 溝、33 バー部材、W 車輪。
Claims (2)
- 左右一対の前輪用フレーム部材および左右一対の後輪用フレーム部材にして、それぞれの下端に車輪を設けられ、左右それぞれの側における前輪用フレーム部材および後輪用部フレーム部材の上端どうしを互いに枢軸連結されている、前輪用フレーム部材および後輪用フレーム部材と、
前記左右一対の前輪用フレーム部材間および前記左右一対の後輪用フレーム部材間を連結する前後一対の連結フレーム部材と、
前記前輪用フレーム部材または前記後輪用フレーム部材の上方延長部として形成される左右一対の直立フレーム部材と、
左右一対の前方下側リンク部材および左右一対の後方下側リンク部材にして、左右それぞれの側における前方下側リンク部材および後方下側リンク部材の外端が前記前輪用フレーム部材および前記後輪用フレーム部材にそれぞれ枢軸連結されており且つ内端どうしが互いに枢軸連結されている、前方下側リンク部材および後方下側リンク部材と、
前記前方下側リンク部材と前記後方下側リンク部材との間に設けられた左右一対の引っ張りコイルバネにして、前記前輪用フレーム部材と前記後輪用フレーム部材と前記前方下側リンク部材と前記後方下側リンク部材とから形成される左右一対の四節回転連鎖機構のそれぞれを前後に折り畳むように作用するコイルバネと、
左右一対の作動用リンク部材にして、下端が前記前方下側リンク部材および前記後方下側リンク部材のうちの一方に枢軸連結され且つ上方に延びている作動用リンク部材と、
ハンドルフレーム部材にして、前記作動用リンク部材の上方延長部として形成される左右一対の直立部を有するハンドルフレーム部材と、
左右一対の上側リンク部材にして、前端が前記前輪用フレーム部材もしくは前記後輪用フレーム部材または前記直立フレーム部材に枢軸連結され、後端が前記作動用リンク部材の上端に枢軸連結されている上側リンク部材と、
レバー部材にして、前記上側リンク部材の後方延長部として形成される左右一対の側部と該一対の側部の後端間を連結する水平部とを有し、操作することにより前記作動用リンク部材および前記上側リンク部材が動かされ、それによって前記左右一対の四節回転連鎖機構のそれぞれを前記コイルバネの力に抗して前後に展開するようになされている、レバー部材と、
前記左右一対の作動用リンク部材または前記ハンドルフレーム部材の前記左右一対の直立部に設けられた左右一対の係止用ピンと、
前記左右一対の直立フレーム部材に取り付けられたフック部材にして、係止位置と係止解除位置との間を枢動可能であり、前記係止位置にあるときに前記係止用ピンと相互係止可能な左右一対のフック部材と、
前記フック部材を前記係止位置へと付勢する付勢手段と、
を備え、
前記フック部材がカム面を有しており、該カム面は、前記四節回転連鎖機構が前記コイルバネの力に抗して前後に展開されるときに前記係止用ピンに近づいて該係止用ピンと係合して前記フック部材を自動的に前記係止位置へと導いて前記係止用ピンと相互係止させるようになされている、
折り畳み可能な手押し車。 - 前記左右一対のフック部材間に設けられて水平に延びるバー部材にして、操作することにより前記左右一対のフック部材を前記付勢手段の力に抗して前記係止位置から前記係止解除位置へと同期して枢動させることができるようになされているバー部材をさらに備える、請求項1に記載の折り畳み可能な手押し車。
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