JP2004084772A - Belt transmission system - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プーリ間に伝動ベルトを巻き掛けてなるベルト伝動装置に関し、特に、プーリ間のベルトスパンが張り側及び緩み側に逆転するものに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンの始動装置として、その始動時にエンジンのクランク軸に連結されるスタータモータを設け、このスタータモータの作動によりエンジンをクランキングして始動させることが一般的に行われているが、このスタータモータの始動音が大きくて騒音となることがある。
【0003】
そこで、この始動時の静粛性を確保するだけでなく、エンジンの燃費の向上をも併せ図る狙いから、エンジンの補機としてスタータモータの機能を持つ補機モジュールを設け、この補機モジュールを、例えば空気調和機用コンプレッサやパワーステアリング装置の油圧ポンプ等の他の補機と共に、エンジンのクランク軸に補機ベルトにより駆動連結してベルト伝動システムを構成し、エンジンの運転時には、クランク軸により補機モジュール及び他の補機を回転駆動する一方、アイドリング状態になると、エンジンを停止するアイドリングストップを行って燃費を向上させ、その停止状態からエンジンを再始動するときには、補機モジュールをスタータモータとして機能させ、この補機モジュールにより補機ベルトを介してエンジンのクランク軸を回転駆動してクランキングし、エンジンを始動させることが知られている。
【0004】
このようなベルト伝動システムにおいては、補機モジュールの補機プーリに巻き掛けられている補機ベルトの両側スパンのベルト張力がエンジンの始動前後で逆転し、エンジンの始動前では張り側にあった一方のスパンが始動後に緩み側に、また始動前に緩み側にあった他方のスパンが張り側にそれぞれ変化する。このため、1つのオートテンショナを用い、このオートテンショナによりベルトの緩み側スパンを押圧してベルト張力を調整するようにすると、この緩み側スパンが張り側スパンに変化したときにオートテンショナが張り側スパンで張力調整をするようになり、その緩み側スパンのベルト張力が低下し、最悪の状態ではベルトが緩んでスリップが発生し、伝動不良状態に陥る虞れがある。
【0005】
このように、プーリに対する駆動状態が変化してプーリ両側のベルトスパンの張り側及び緩み側が逆転しても、その緩み側スパンの張力を低下させないようにするために、従来、ドイツ特許DE19926612A1に示されるように、各々の基端部で固定体の1箇所に揺動可能に支持された1対のアームと、この各アームの先端部に回転可能に軸支され、プーリに巻き付けられたベルトの両スパンを外面側から押してベルト張力を発生させる1対のテンションプーリとを備えたオートテンショナが提案されている。
【0006】
この提案のものでは、ベルトの張り側スパンからテンションプーリが押し返されて、そのプーリを支持している張り側アームがそれ以上回動できない固着状態まで回動するときの該張り側アームの回動を利用し、この張り側アームの固着状態への回動に応じて、ベルトの緩み側スパンのテンションプーリを支持している緩み側アームをも連係して回動させて、その緩み側スパンの張力を調整するようになされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この提案例のものでは、2つのアームが一体化されていると、張り側スパンの張り側アームが固着状態となった時点で、緩み側スパンの緩み側アームも回動しない状態となるので、緩み側スパンの張力が低下し、従動側となる補機に対する駆動負荷やエンジンの始動負荷が大きいときには、緩み側張力を大に保持できずにやはり伝動不良状態に陥る虞れが生じる。
【0008】
一方、両アームが別体で各々が独立的に回動可能で、両アームをばねで回動付勢している場合には、上記の如き問題は生じず、ベルトの緩み側スパンの張力を調整してその張力を保持することはできる。
【0009】
しかし、その反面、張り側アームの固着状態では、そのベルトからプーリを経て受ける荷重方向がアーム長さ方向であり、そのアーム長さ方向とアームの回動方向とは略直交しているので、その張り側アームの回動をベルトの張力で確実に静止することが困難となる。その結果、何等かの回転変動によるベルト張り側の張力変動が生じたときには、張り側アームが回動して固着されず、緩み側スパンのベルト張力を安定して保持することができない。
【0010】
本発明の目的は、上記のようにテンショナとして1対の揺動可能なアームを用い、その先端に軸支したテンションプーリによりベルトのスパンを押圧して張力を調整するようにしたベルト伝動装置に対し、そのベルトスパンに対する各アームのレイアウトを特定することで、ベルトの緩み側スパンのベルト張力を安定して保持できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、プーリ両側のベルトスパンをそれぞれ押圧するテンションプーリを軸支した1対のアームを互いに異なる位置に支持し、両アーム同士を付勢手段で連結して各アームをテンションプーリがベルトスパンを押圧するように回動付勢し、ベルトの張り側スパンにおけるテンションプーリのベルト巻付け角が緩み側スパンにおけるテンションプーリよりも小さくなるようにして、ベルトの緩み側スパンの張力調整をするようにした。
【0012】
具体的には、請求項1の発明では、少なくとも第1及び第2の2つのプーリと、これらの両プーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトとを備え、第1又は第2プーリの一方が駆動プーリになる状態と、他方が駆動プーリになる状態とに切り換わるベルト伝動装置が対象である。
【0013】
そして、ベルトの張力を調整するオートテンショナを備え、このオートテンショナは、互いに離れた位置に各々の基端部で独立して揺動可能に支持された1対のアームと、この各アームの先端部に回転可能に軸支され、上記両プーリ間のベルトの両スパンを押圧可能なテンションプーリと、上記両アーム間に連結され、上記テンションプーリがベルトのスパンを押圧してベルト張力が発生するように両アームを回動付勢する付勢手段とを備え、上記ベルトの両スパンのうち張り側スパンを押圧するテンションプーリのベルト巻付け角が緩み側スパンを押圧するテンションプーリよりも小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によると、1対のアームは離れた位置に各々の基端部で独立して揺動可能に支持され、両アーム同士は付勢手段により連結されて、この付勢手段により、テンションプーリがベルトのスパンを押圧してベルト張力が発生するようにアームが回動付勢されているので、第1及び第2のプーリ間のベルトスパンのうち、張り側スパンのプーリがベルトから押し返されて、そのプーリを支持している張り側アームが回動したときには、それに応じて、張り側アームに付勢手段を介して連結されている緩み側アーム先端のプーリがベルトの緩み側スパンを押圧し、このことにより、ベルトの張り側スパンを押圧するテンションプーリのベルト巻付け角が緩み側スパンを押圧するテンションプーリよりも小さくなる。
【0015】
このように、張り側スパンのテンションプーリへの巻付き角が緩み側スパンのテンションプーリへの巻付き角よりも小さくなることで、ベルト伝動装置の伝動負荷の発生時に、張り側スパンのテンションプーリへの巻付き角の0への減少に伴って張り側スパンのベルト張力が無限大に増大し、緩み側スパンのベルト張力を得るための付勢手段の付勢力を決定するだけで駆動系が成立することとなる。つまり、付勢手段よるベルト張力の分担は緩み側スパンのテンションプーリで作用することとなり、付勢手段の付勢力により緩み側スパンの張力を設定するだけでよく、第1及び第2プーリ間で駆動方向が反転した場合でも、常に緩み側スパンでベルト張力の調整を行って低いベルト張力で伝動状態を確保でき、その緩み側スパンの張力を安定して保持して、ベルト張力の低下によるスリップやベルト騒音の発生を防止することができる。
【0016】
また、2つのテンションプーリの移動軌跡は両プーリを合わせて見て楕円軌道となるので、両テンションプーリ同士を軸位置で付勢手段により連結する場合に比べ、テンションプーリの移動を円運動として、スパン張力から発生する軸荷重方向とテンションプーリの移動方向とを異ならせることでテンションプーリの移動距離を少なくすることができ、自由長公差による張力変化の少ない低ばね定数の付勢手段を用いながら、ばね定数の高い付勢手段を用いたのと同様の効果が得られる。このことで、過大な負荷トルクが生じた場合の付勢手段の変形を小さくすべく、大きな付勢手段を用いてばね剛性を大きくする必要はなく、コンパクトな付勢手段を用いることができる。
【0017】
また、ベルトの有効張力は、第1及び第2のプーリ間の負荷方向の違いで大きく異なり、2つのテンションプーリ同士を直接に付勢手段で連結した場合には、負荷の大きい方の最低必要張力に付勢力を合わせる必要があるが、この発明のように支持位置の異なる2つのアームを備えているので、これらアームの支持位置を変更することで、駆動方向に対する付勢特性を任意に設定でき、最も低い適正な付勢力を設定すればよく、エンジンの軸力損失による燃費の悪化や機器寿命の向上を図ることができる。
【0018】
請求項2の発明では、上記テンションプーリはベルトの両スパンを外面側から押圧可能とされており、付勢手段は、アーム間に伸装された引張ばねとする。また、請求項3の発明では、テンションプーリはベルトの両スパンを内面側から押圧可能とされており、付勢手段は、アーム間に縮装された圧縮ばねとする。これらの発明によれば、アームのレイアウト及び付勢手段の望ましい構成が得られる。
【0019】
請求項4の発明では、上記アームの回動を減衰する減衰手段を備えたことを特徴とする。こうすると、各アームの回動を減衰でき、その過渡振動等を防止して、安定したベルト走行を確保できる。
【0020】
請求項5の発明では、アームはボス部にて軸部に回動可能に支持されており、減衰手段は、アームのボス部と軸部との間に介在されたダンパ部材とする。また、請求項6の発明では、一方のアームに第1スライド部材が、また他方のアームには、第1スライド部材と長さ方向にスライド可能に係合する第2スライド部材がそれぞれ揺動可能に支持され、減衰手段は、両スライド部材のスライドを減衰するものとする。これら発明の構成によれば、好ましい減衰手段が容易に得られる。
【0021】
請求項7の発明では、請求項1又は4のベルト伝動装置において、第1プーリは、エンジンの出力軸に設けられたクランクプーリとする。また、第2プーリは、エンジンの始動時にスタータモータとなる一方、始動後に補機となる補機モジュールの回転軸に設けられた補機プーリとする。さらに、ベルトは、少なくとも上記補機プーリとクランクプーリとの間に巻き掛けられた補機ベルトとし、エンジンの始動時には補機モジュールによりクランクプーリを回転させる一方、エンジンの始動後はクランクプーリにより補機プーリを駆動するように構成する。
【0022】
こうすれば、エンジンの始動時には、スタータモータとなる補機モジュールにより補機ベルトを介してエンジンのクランクプーリが回転駆動されて、エンジンがクランキングされて始動する一方、エンジンの始動後は、逆に、クランクプーリにより補機ベルトを介して補機プーリが回転駆動され、補機モジュールが作動する。
【0023】
この場合も、請求項1の発明と同様に、付勢手段の付勢力により緩み側スパンの張力を設定するだけでよく、その緩み側スパンの張力を安定して保持でき、ベルト張力の低下によるスリップやベルト騒音の発生を防止することができる。
【0024】
請求項8の発明では、上記補機モジュールは、エンジンの始動後に発電機となるモータジェネレータとする。このことで、エンジンの始動時にはスタータモータとなる一方、始動後は発電機となる補機モジュールを備えた補機駆動用のベルト伝動装置において、その緩み側スパンの張力を安定して保持することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るベルト伝動装置Aの全体構成を示し、このベルト伝動装置Aは車両に搭載されるエンジンの補機ベルト始動システムとして使用される。このシステムは、エンジン(図示せず)の始動後の運転状態ではエンジンによりその補機を駆動するとともに、アイドリングストップ等の後でエンジンを始動するときには、その一部の補機によりエンジンをクランキングして始動するように用いられている。
【0026】
すなわち、図1において、1はエンジンの出力軸としてのクランク軸(CS:クランクシャフト)、2は該クランク軸1に回転一体に取り付けられた第1プーリとしてのクランクプーリである。3はクランク軸1上側の補機モジュール(図示せず)に設けられた補機モジュール回転軸、4は該補機モジュール回転軸3に回転一体に取り付けられた第2プーリとしての補機プーリである。5はクランク軸1と略同じ高さ位置に配置されたアイドラ軸、6は該アイドラ軸5に回転可能に設けられたアイドラプーリで、これらプーリ2,4,6はいずれも例えば図1で時計回り方向に回転する。
【0027】
上記クランク軸1、補機モジュール回転軸3及びアイドラ軸5は、例えば略三角形の頂点に位置するレイアウトで互いに平行に配置されている。上記補機モジュールは、モータと発電機との2つの機能を併せ持つモータジェネレータ(MG)からなるもので、エンジンの始動時にスタータモータとなる一方、始動後の運転状態で補機としての発電機(オルタネータ)となる。
【0028】
そして、上記クランクプーリ2、補機プーリ4及びアイドラプーリ6はいずれもVリブドプーリからなり、これらプーリ2,4,6間には、伝動ベルトとしてのVリブドベルトからなる補機ベルト8が巻き掛けられており、エンジンの始動時には補機モジュールをスタータモータとして作動させ、補機プーリ4を駆動プーリに、またクランクプーリ2を従動プーリにそれぞれ切り換えて、補機モジュールの作動により補機ベルト8を介してクランクプーリ2を回転させ、エンジンをクランキングして始動させる一方、エンジンの始動後の運転状態では、補機モジュールを発電機として機能させ、上記とは逆に、クランクプーリ2を駆動プーリに、また補機プーリ4を従動プーリにそれぞれ切り換え、クランクプーリ2により補機プーリ4を回転駆動して補機モジュールを駆動し、発電させるようになっている。
【0029】
上記クランクプーリ21及びアイドラプーリ6間と、補機プーリ4との間には上記補機ベルト8の張力を調整するためのオートテンショナ11が配設されている。このオートテンショナ11は、図2〜図5に拡大詳示するように、第1及び第2のピボット位置P1,P2にそれぞれ配置される軸部としての丸棒状の第1及び第2スピンドル12,13を備えている。上記第1及び第2ピボット位置P1,P2は互いに離れた位置にあり、第1ピボット位置P1は、例えばクランク軸1及びアイドラ軸5の間の中央位置と補機モジュール回転軸3の位置とを通る上下方向の平面の一側(図1で右側)に、また第2ピボット位置P2は、同平面の他側(図1で左側)にそれぞれ該平面から同じ距離離れた同じ高さ位置に設定されている。各スピンドル12,13の基端側には周縁部に複数のボルト挿通孔14,14,…(図2及び図4参照)を有する略三角板状の取付ブラケット部12a,13aが一体に形成され、図外の取付ボルトを各ボルト挿通孔14を挿通して固定体としての例えばエンジン本体(図示せず)に螺合締結することで、各スピンドル12,13を取付ブラケット部12a,13aでエンジン本体のピボット位置P1,P2に取付固定している。
【0030】
上記第1スピンドル12には第1アーム16が、また第2スピンドル12には第1アーム16と同じアーム長の第2アーム17がそれぞれ各々の基端部のボス部18にて揺動可能に支持されている。具体的には、図3〜図5に第1アーム16について示すように(第2アーム17については同じ符号を付して説明する)、各アーム16,17のボス部18は互いに同心状に設けられた内筒19及び外筒20を有する二重円筒構造のもので、その内筒19の底部には貫通孔21が形成されており、内筒19にスピンドル12,13がその先端側から内筒19とスピンドル12,13との間にダンパ部材としての樹脂製の滑り軸受22を介して嵌合されている。このスピンドル12,13の先端部は貫通孔21から突出し、この先端部にはフロントプレート23がかしめ等により固定され、このフロントプレート23とボス部18の底壁との間には、ボス部18底面に摺接するダンパ部材としてのリング状の樹脂製のスラストワッシャ24が介在されており、上記滑り軸受22及びスラストワッシャ24により第1減衰手段25が構成され、それら滑り軸受22及びスラストワッシャ24の摩擦により各アーム16,17の回動にダンピング抵抗を付与して、その回動を減衰するようにしている。尚、この第1減衰手段25は第1及び第2アーム16,17の一方のみに設けることもできる。
【0031】
上記各アーム16,17は上記ボス部18の外筒20の底部側から半径方向に突出し、第1アーム16の先端部には第1テンションプーリ29が、また第2アーム17の先端部には第2テンションプーリ30がそれぞれ回転可能に支持されている。このテンションプーリ29,30の支持構造はいずれも同じであり、ここでは第1テンションプーリ29について説明し、第2テンションプーリ30については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0032】
すなわち、各アーム16,17の先端部にはスピンドル12と平行に延びる軸部27が形成され、この軸部27の周りには軸受28を介してテンションプーリ29,30が回転可能に支持されている。また、軸部27の中心部にはアーム16,17の前面から裏面まで貫通するねじ孔26が形成されている。31は円形皿状の軸受抑えで、この軸受抑え31を貫通したボルト32を上記ねじ孔26の中間位置まで挿通して螺合締結することで、テンションプーリ29,30がアーム16,17先端に抜け止めされて支持されている。
【0033】
そして、これら第1及び第2テンションプーリ29,30はいずれも平プーリからなり、両テンションプーリ29,30により、クランクプーリ2と補機プーリ4との間にあって補機プーリ4に出入りする2つのベルトスパン8a,8b、具体的にはアイドラプーリ6を経ていない図1で右側の第1スパン8aと、アイドラプーリ6を経由する図1で左側の第2スパン8bとをそれぞれ外面側から押してベルト張力を発生させるようにしている。
【0034】
尚、上記アーム16,17先端の各軸受28は、アンギュラ軸受(図示例のもの)又は並列軸受を用いることが望ましい。また、各テンションプーリ29,30は、プレス成形品や、熱硬化性樹脂や強化繊維入りのナイロン成形品からなる軽量のものを用いるのがよい。
【0035】
さらに、上記オートテンショナ11における両アーム16,17の先端部間には付勢手段としての引張ばね36が伸装状態で連結されており(詳しくは引張ばね36の端部は後述する各ばねガイド38,39の内底壁に係止されている)、この引張ばね36により両アーム16,17を各々の先端部が互いに近付くように、つまり第1アーム16を図1及び図2で時計回り方向に、また第2アーム17を図1及び図2で反時計回り方向にそれぞれ回動付勢し、第1及び第2テンションプーリ29,30がそれぞれベルト8の第1及び第2スパン8a,8bを押圧してベルト張力が発生するようにし、図7(b)及び(c)に示す如く、第1及び第2の両スパン8a,8bのうち張り側となるスパン8b(又は8a)を押圧するテンションプーリ30(又は29)のベルト巻付け角θ2(又はθ1)が緩み側となるスパン8a(又は8b)を押圧するテンションプーリ29(又は30)のベルト巻付け角θ1(又はθ2)よりも小さくなるようにしている。
【0036】
すなわち、第1アーム16の先端部背面には第1スライド部材としての有底円筒状の第1ばねガイド38が、また第2アーム17の先端部背面には第1ばねガイド38よりも大径の第2スライド部材としての有底円筒状の第2ばねガイド39がそれぞれ底部にて軸部27回りに回動可能に支持されている。この各ばねガイド38,39のアーム16,17先端部に対する取付構造は互いに同じであり、図3及び図4により第1アーム16の場合について説明すると(第2アーム17については同じ符号を付して説明する)、各ばねガイド38,39の内底部にはその直径方向に延びる円筒状のばね係止部42が一体に形成され、このばね係止部42内にはボルト挿通孔40が貫通形成され、このボルト挿通孔40に支持ボルト41が回転可能に挿通されている。そして、この支持ボルト41の先端ねじ部を上記アーム16,17先端のねじ孔26に裏面側から途中まで挿通して螺合締結することで、各ばねガイド38,39が底部にて支持ボルト41により回動可能に支持されている。
【0037】
さらに、上記第2ばねガイド39の開口端部には第1ばねガイド38の開口端部が摺動可能に嵌合されて、両ばねガイド38,39が中空円筒状に一体化され、両アーム16,17の先端部同士が接離して両者の間隔が変化したときに、第2ばねガイド39の開口端部内で第1ばねガイド38の開口端部がスライドすることで、両アーム16,17の先端部間の距離を吸収するようにしている。そして、上記両ばねガイド38,39の内部には上記引張ばね36が嵌装されており、この引張ばね36の一端部は上記第1ばねガイド38の内底部のばね係止部42に、また引張ばね36の他端部は第2ばねガイド39のばね係止部42にそれぞれ係止されている。
【0038】
さらに、上記各アーム16,17の回動を減衰する第2減衰手段45が設けられている。すなわち、上記大径側の第2ばねガイド39の開口端部内周面には、複数条(図示例では4条)のリング溝46,46,…が第2ばねガイド39の長さ方向に間隔をあけて凹設され、この各リング溝46にはそれぞれ樹脂製のリング状のダンパ47が嵌合されており、両ばねガイド38,39がスライドして伸縮するときに、各ダンパ47を第1ばねガイド38の開口端部外周面に摺接させて、そのスライド移動を減衰させるようにしている。
【0039】
尚、図2中、49は両ばねガイド38,39の先端部の壁部間を半径方向に貫通した状態で係合されたストッパピンで、オートテンショナ11の組付時、予めストッパピン49を係合状態として両ばねガイド38,39の伸縮スライドを規制しておき、組付後にストッパピン39を引き抜くことで、引張ばね36のばね力を働かせて両ばねガイド38,39を伸縮を許容し、テンションプーリ29,30にベルトスパン8a,8bを押圧させるようにしている。
【0040】
したがって、上記実施形態においては、クランクプーリ2、補機プーリ4及びアイドラプーリ6間にオートテンショナ11が配置され、このオートテンショナ11の1対のアーム16,17が互いに離れたピボット位置P1,P2に各々の基端部で独立して揺動可能に支持され、両アーム16,17の先端部同士が引張ばね36により連結されて、各アーム16,17が回動付勢されているので、このアーム16,17先端の2つのテンションプーリ29,30により、補機プーリ4両側の補機ベルト8のスパン8a,8bが外面から押圧されてベルト張力が付与される。
【0041】
具体的に、例えばエンジンの燃費向上のために、車両の信号待ち等でエンジンがアイドリング状態になると、アイドリングストップが行われてエンジンが停止し、無負荷状態となる。このエンジンの停止状態では、図6(a)及び図7(a)に示すように、補機ベルト8の第1及び第2スパン8a,8bのベルト張力T1,T2は互いに同じ(T1=T2)で、第1テンションプーリ29に対する第1スパン8aの巻付け角度θ1と第2テンションプーリ30に対する第2スパン8bの巻付け角度θ2とは同じであり(θ1=θ2)、さらに、各アーム16,17先端のテンションプーリ29,30をベルトスパン8a,8bが押すプーリ押圧力F1,F2も互いに同じである(F1=F2)。
【0042】
この後にエンジンを始動するときには、補機モジュールに通電されてそれがスタータモータとして作動し、この補機モジュールの回転軸3上の補機プーリ4が駆動プーリとなり、エンジンのクランク軸1上のクランクプーリ2が従動プーリとなって、上記補機モジュールの作動により補機ベルト8を介してクランクプーリ2が回転駆動され、エンジンのクランク軸1がクランキングされてエンジンが始動される。
【0043】
このエンジンの始動クランキング状態では、図6(b)に示すように、クランクプーリ2と補機プーリ4との間のベルト8の2つのスパン8a,8bのうち、アイドラプーリ6を経由する第2スパン8b(図1で左側のスパン)が張り側スパンに、またアイドラプーリ6を経ていない第1スパン8a(図1で右側のスパン)が緩み側スパンにそれぞれなり、この張り側スパンとなった第2スパン8bから第2テンションプーリ30が押し返され、この第2テンションプーリ30を支持している第2アーム17(張り側アーム)が第2スピンドル13回りに図1及び図6で時計回り方向に回動する。この第2アーム17の回動に伴い、先端部が第2アーム17の先端部に引張ばね36により連結されている第1アーム16(緩み側アーム)も該引張ばね36の収縮ばね力により同方向に回動し、それに応じて第1アーム16先端の第1テンションプーリ29がベルト8の緩み側スパンたる第1スパン8aを押圧することとなる。このことで、その緩み側スパン8aの張力が調整されて保持される。
【0044】
このとき、図7(b)に示すように、補機ベルト8の第2スパン8bのベルト張力T2が第1スパン8aのベルト張力T1よりも大きくなり(T2>T1)、第1テンションプーリ29に対する第1スパン8aの巻付け角度θ1は第2テンションプーリ30に対する第2スパン8bの巻付け角度θ2よりも大きく(θ1>θ2)、さらに、各アーム16,17先端のテンションプーリ29,30をベルトスパン8a,8bが押すプーリ押圧力F1,F2は互いに同じとなる(F1=F2)。そして、始動負荷が最大のときには、図7(c)に示す如く、第2スパン8bのベルト張力T2が第1スパン8aのベルト張力T1よりもさらに大きくなり(T2≫T1)、第2テンションプーリ30に対する第2スパン8bの巻付け角度θ2が0に近くなるようにさらに変化する。
【0045】
エンジンが始動されて運転状態になると、その運転状態では、補機モジュールが発電機として機能し、上記とは逆に、クランクプーリ2が駆動プーリに、また補機プーリ4が従動プーリにそれぞれ切り換えられ、クランクプーリ2により補機プーリ4が回転して補機モジュールが駆動され、この補機モジュールにより発電される。
【0046】
このエンジンの運転状態では、クランクプーリ2と補機プーリ4との間の2つのベルトスパン8a,8bのうち、アイドラプーリ6を経ていない第1スパン8aが張り側スパンに、またアイドラプーリ6を経由する第2スパン8bが緩み側スパンにそれぞれなり、この張り側スパンとなった第1スパン8aから第1テンションプーリ29が押し返され、この第1テンションプーリ29を支持している第1アーム16(張り側アーム)が第1スピンドル12回りに図1で反時計回り方向に回動する。この第1アーム16の回動に伴い、引張ばね36で連結されている第2アーム17(緩み側アーム)も同方向に回動し、それに応じて第2アーム17先端の第2テンションプーリ30がベルト8の緩み側スパンたる第2スパン8bを押圧する。このことで、その緩み側スパン8bの張力が調整されて保持される。
【0047】
このとき、補機ベルト8の第1スパン8aのベルト張力T1が第2スパン8bのベルト張力T2よりも大きくなり(T1>T2)、第2テンションプーリ30に対する第2スパン8bの巻付け角度θ2は第1テンションプーリ29に対する第1スパン8aの巻付け角度θ1よりも大きく(θ2>θ1)、さらに、各アーム16,17先端のテンションプーリ29,30をベルトスパン8a,8bが押すプーリ押圧力F1,F2は同じとなる(F1=F2)。そして、補機モジュールの負荷が最大となると、第1スパン8aのベルト張力T1が第2スパン8bのベルト張力T2よりもさらに大きくなり(T1≫T2)、第1テンションプーリ29に対する第1スパン8aの巻付け角度θ1が0に近くなるように変化する。
【0048】
このように、クランクプーリ2及び補機プーリ4間のベルト8のスパン8a,8bのうち、張り側スパンのプーリ30(又は29)がベルト8から押し返されて、そのプーリ30(又は29)を支持している張り側アーム17(又は16)が回動したときには、それに応じて、張り側アーム17(又は16)に引張ばね36を介して連結されている緩み側アーム16(又は17)先端のプーリ29(又は30)がベルト8の緩み側スパンを押圧するので、ベルト8の張り側スパンを押圧するテンションプーリ30(又は29)のベルト巻付け角θ2(又はθ1)が緩み側スパンを押圧するテンションプーリ29(又は30)よりも小さくなり、このことで、ベルト伝動装置Aの伝動負荷の発生時に、張り側スパンのプーリ30(又は29)への巻付き角θ2(又はθ1)の0への減少に伴って張り側スパンのベルト張力T2(又はT1)が無限大に増大し、緩み側スパンのベルト張力T1(又はT2)を得るための引張ばね36の付勢力を決定するだけで駆動系が成立することとなる。つまり、引張ばね36によるベルト張力の分担は緩み側スパンのテンションプーリ29(又は30)で作用することとなり、引張ばね36の付勢力により緩み側スパンの張力を設定するだけでよく、クランクプーリ2及び補機プーリ4間で駆動方向が反転した場合でも、常に緩み側スパンでベルト張力の調整を行って低いベルト張力で伝動状態を確保でき、その緩み側スパンの張力を安定して保持して、ベルト張力の低下によるスリップやベルト騒音の発生を防止することができる。
【0049】
また、2つのテンションプーリ29,30の移動軌跡は両プーリ29,30を合わせて見て楕円軌道となるので、両テンションプーリ29,30同士を軸位置で引張ばねにより連結する場合に比べ、テンションプーリ29,30の移動を円運動として、スパン張力から発生する軸荷重方向とテンションプーリ29,30の移動方向とを異ならせることでテンションプーリ29,30の移動距離を少なくすることができ、自由長公差による張力変化の少ない低ばね定数の引張ばね36を用いながら、ばね定数の高い引張ばねを用いたのと同様の効果が得られる。このことで、過大な負荷トルクが生じた場合の引張ばね36の変形を小さくすべく、大きな引張ばね36を用いてばね剛性を大きくする必要はなく、コンパクトな引張ばね36を用いることができる。
【0050】
また、負荷に対する最低必要なベルト張力を満たすように緩み側スパンの張力が負荷に応じて増加するので、補機モジュールの負荷に応じてベルト張力を適正に調整でき、エンジンの燃費向上や補機モジュールの回転軸3やクランク軸1の各軸受部の高寿命化を図ることができる。
【0051】
さらに、上記アーム16,17の回動を減衰する第1及び第2減衰手段25,45が設けられているので、第1減衰手段25においては、アーム16,17の回動が滑り軸受22及びスラストワッシャ24の摩擦抵抗により減衰される。一方、第2減衰手段45にあっては、アーム16,17の回動に伴って引張ばね36が伸縮し、それに応じて両ばねガイド38,39がスライドするとき、このばねガイド38,39のスライドがダンパ47,47,…により抵抗を受け、各アーム16,17の回動が減衰される。これら2つの減衰手段25,45により、その過渡振動等を防止して、安定したベルト走行を確保できる。
【0052】
また、第1及び第2の両アーム16,17間に引張ばね36が介在されているので、エンジンの運転時に駆動プーリとなるクランクプーリ2にエンジンの周期燃焼による大きな回転変動が生じたとしても、その回転変動をベルト8の張り側スパンとなる第1スパン8aの第1アーム16の揺動によって吸収でき、クランクプーリ2の回転変動による変動負荷を張り側アームたる第1アーム16の回動で、また従動プーリたる補機プーリ4の定常負荷を緩み側アームたる第2アーム17の回動でそれぞれ分離して調整することができる。
【0053】
(実施形態2)
図8は本発明の実施形態2を示し(尚、以下の各実施形態では、図1〜図7と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、オートテンショナ11の2つのアーム16,17のピボット位置P1,P2を変更したものである。
【0054】
すなわち、この実施形態においては、第1及び第2ピボット位置P1,P2は、例えばクランク軸1及びアイドラ軸5の間の中央位置と補機モジュール回転軸3の位置とを通る上下方向平面の両側に同じ高さ位置に配置されているが、上記上下方向の平面との第1ピボット位置P1の距離は第2ピボット位置P2の距離よりも大きく設定されている。両アーム16,17の長さは互いに同じである。その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0055】
したがって、この実施形態においては、上記実施形態1に比べ、エンジンの始動時の張り側スパンとなる第2スパン8bの張力、及び緩み側スパンとなる第1スパン8aの張力をいずれも大きくすることができる。尚、エンジン始動後の運転時には、実施形態1に比べ、張り側スパンとなる第1スパン8aの張力、及び緩み側スパンとなる第2スパン8bの張力はいずれも小さくなる。
【0056】
また、各アーム16,17の長さ方向(その中心線)と、各アーム16,17先端のテンションプーリ29,30をベルトスパン8a,8bが押すプーリ押圧力F1,F2の方向とのなすハブロード角θh1,θh2についてみると、上記実施形態1では、エンジン停止時の無負荷状態で両ハブロード角θh1,θh2を同じにできるのに対し、この実施形態2においては、エンジン停止時の無負荷状態で、第2テンションプーリ30側のハブロード角θh2を第1テンションプーリ29側のハブロード角θh1(<θh2)よりも大きくすることができる。
【0057】
これらのことから、実施形態1と同様にベルト張力を任意に変量設定できるばかりでなく、この実施形態では、エンジン始動時及び始動後の運転時のベルト張力を初期状態(無負荷状態)を基準として非対称な特性に設定することができる。
【0058】
(実施形態3)
図9〜図11は実施形態3を示し、オートテンショナ11におけるアーム16にその回動を減衰する第1減衰手段25を変更したものである。
【0059】
すなわち、この実施形態においては、第1アーム16のボス部18における内筒19及び外筒20間に捩りコイルばね52が内筒19を取り巻くように収容されている。図10に示すように、この捩りコイルばね52の一端部は第1スピンドル12の取付ブラケット12aに設けた切欠部53に、また他端部はボス部18の外筒20に開口したばね止め孔54にそれぞれ係合されており、この捩りコイルばね52の捩りばね力により第1アーム16を例えば図9で時計回り方向に回動付勢している。
【0060】
また、この捩りコイルばね52と内筒19との間にはダンパ部材としての樹脂製のスプリングサポート56が介在され、このスプリングサポート56は、内筒19の周りに位置する円筒部56aと、この円筒部56aの一端から半径方向外側に突出し、スピンドル12の取付ブラケット12aに摺接するフランジ部56bとからなる。第1アーム16の回動に伴って捩りコイルばね52の径が拡大又は縮小したときにスプリングサポート56の内筒19に対する押付け力を変更しながら、そのアーム16の回動を減衰するようにしている。
【0061】
したがって、この実施形態の場合、アーム16の回動を減衰する第1減衰手段25として、捩りコイルばね52及びスプリングサポート56が設けられているので、アーム16の回動に伴って引張ばね36が伸縮したとき、その各アーム16の回動がさらに有効に減衰される。このことで、第1減衰手段45と協働して、その過渡振動等を防止でき、より一層安定したベルト走行を確保できる。
【0062】
(他の実施形態)
尚、上記各実施形態では、クランクプーリ2、補機プーリ4及びアイドラプーリ6に補機ベルト8を巻き掛け、補機を1つとしたエンジンの補機ベルト始動システム(ベルト伝動装置A)について説明しているが、この他、エンジンの補機として、空気調和機用のコンプレッサ、パワーステアリング装置の油圧ポンプ、ウォータポンプ等を設けて、それらを補機ベルト8を介して駆動するようにしてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態では、アーム16,17の先端部間に引張ばね36を連結しているが、アーム16,17においてボス部18以外の中間部に連結してもよい。また、上記実施形態では、テンションプーリ29,30でベルト8の両スパン8a,8bを外面側から押圧可能とし、付勢手段は、アーム16,17間に伸装された引張ばね36としているが、テンションプーリ16,17でベルト8の両スパン8a,8bを内面側から押圧可能とし、付勢手段は、アーム16,17間に縮装された圧縮ばねを用いることもできる。
【0064】
さらに、上記各実施形態では、エンジンの補機ベルト始動システムに適用しているが、本発明はその他のベルト伝動装置にも適用することができ、少なくとも2つのプーリと、これら両プーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトとを備えていて、両プーリの一方が駆動プーリになる状態と、他方が駆動プーリになる状態とに切り換わるベルト伝動装置であればよい。
【0065】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。上記実施形態1の構成を持つベルト伝動装置A(図1参照)を実施例1とし、150mmのプーリ径を持つクランクプーリ2及びアイドラプーリ6と、60mmのプーリ径を持つ補機プーリ4とを用意し、各々の配置レイアウトを2次元のXY座標上に設定した。クランクプーリ2の軸心は座標(0mm,0mm)に、またアイドラプーリ6の軸心は座標(−300mm,0mm)に、さらに補機プーリ4の軸心をX座標(−150mm)上にそれぞれ配置し、これらプーリ2,4,6に周長1740mm、リブ数10のVリブドベルト8(仕様「RT2700」)を巻き掛けた。さらに、オートテンショナ11の第1ピボット位置P1を座標(−49mm,295mm)とし、第2ピボット位置P2を座標(−251mm,295mm)とし、その第1及び第2のアーム16,17の各長さをいずれも同じ75mmとし、第1アーム16先端にプーリ径75mmの第1テンションプーリ29を、また第2アーム17先端に同じプーリ径75mmの第2テンションプーリ30をそれぞれ軸支し、両アーム16,17の先端部間にばね長さ200mm、ばね定数7.45N/mmの引張ばね36を伸装した。
【0066】
一方、実施形態2のベルト伝動装置A(図8参照)を実施例2とし、そのオートテンショナ11の第1ピボット位置P1を座標(−49mm,295mm)とし、第2ピボット位置P2を座標(−251mm,295mm)とした。その他は実施例1と同様である。
【0067】
そして、無負荷の初期状態からエンジンが始動されてベルト8の第2スパン8bの張力が第1スパン8aよりも高くなる始動状態と、逆に第1スパン8aの張力が第2スパン8bよりも高くなるエンジンの運転状態とについて、張り側スパン張力Tt及び緩み側スパン張力Tsの差である有効張力Tt−Tsと、両スパン張力Tt,Tsとの関係を調べたところ、実施例1については図12の結果が、また実施例2については図13の結果が得られた。
【0068】
これらの結果を見ると、実施例1及び実施例2のいずれにおいても、ベルト8の緩み側スパン8a,8bの張力は常にプラス値となっているとともに、ベルト張力を任意に変量設定できることが判る。
【0069】
また、実施例1及び2について、有効張力Tt−Tsとハブロード角θh1,θh2(図8参照)との関係を調べたところ、実施例1については図14の関係が、実施例2については図15の関係がそれぞれ得られた。この結果から、実施例2のように各アーム16,17の支点であるピボット位置P1,P2を変えることで、エンジン始動時及び始動後の運転時のベルト張力を初期状態(無負荷状態)を基準として非対称な特性に設定できることが判る。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明では、少なくとも第1及び第2の2つのプーリと、これらの両プーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトとを備え、第1又は第2プーリの一方が駆動プーリになる状態と、他方が駆動プーリになる状態とに切り換わるベルト伝動装置に対し、ベルトの張力を調整するオートテンショナとして、プーリ両側のベルトスパンをそれぞれ押圧するテンションプーリを軸支した1対のアームを互いに離れた位置に揺動可能に支持し、両アーム間を付勢手段で連結して、テンションプーリがベルトスパンを押圧してベルト張力が発生するように両アームを回動付勢し、ベルトの張り側スパンを押圧するテンションプーリのベルト巻付け角が緩み側スパンを押圧するテンションプーリよりも小さくなるようにしたことにより、付勢手段よるベルト張力の分担を緩み側スパンのテンションプーリで作用させて、付勢手段の付勢力により緩み側スパンの張力を設定するだけでよく、第1及び第2プーリ間で駆動方向が反転した場合でも、常に緩み側スパンでベルト張力の調整を行って低いベルト張力で伝動状態を確保でき、その緩み側スパンの張力を安定保持して、ベルト張力の低下によるスリップやベルト騒音の発生を防止することができる。また、2つのテンションプーリの移動軌跡は両プーリを合わせて見て楕円軌道となるので、スパン張力から発生する軸荷重方向とテンションプーリの移動方向とを異ならせることでテンションプーリの移動距離を少なくすることができ、自由長公差による張力変化の少ない低ばね定数の付勢手段を用いながら、ばね定数の高い付勢手段を用いたのと同様の効果が得られ、コンパクトな付勢手段を用いることができる。さらに、アームの支持位置の変更により、最も低い適正な付勢力を設定でき、エンジンの軸力損失による燃費の悪化や機器寿命の向上を図ることができる。
【0071】
請求項2の発明では、テンションプーリによりベルトスパンを外面側から押圧するようにし、付勢手段は、アーム間に伸装された引張ばねとした。また、請求項3の発明では、テンションプーリはベルトスパンを内面側から押圧するようにし、付勢手段は、アーム間に縮装された圧縮ばねとした。これらの発明によると、アームのレイアウト及び付勢手段の望ましい構成が得られる。
【0072】
請求項4の発明によると、アームの回動を減衰する減衰手段を設けたことにより、各アームの過渡振動等を防止して、安定したベルト走行を確保できる。
【0073】
請求項5の発明では、アームをボス部にて軸部に回動可能に支持し、減衰手段は、アームのボス部と軸部との間に介在されたダンパ部材とした。また、請求項6の発明では、一方のアームに第1スライド部材を、また他方のアームに、第1スライド部材と長さ方向にスライド可能に係合する第2スライド部材をそれぞれ揺動可能に支持し、減衰手段は、両スライド部材のスライドを減衰するものとした。これら発明の構成によれば、好ましい減衰手段が容易に得られる。
【0074】
請求項7の発明によると、第1プーリは、エンジンの出力軸に設けられたクランクプーリとし、第2プーリは、エンジンの始動時にスタータモータとなる一方、始動後に補機となる補機モジュールの回転軸に設けられた補機プーリとし、ベルトは、少なくとも補機プーリとクランクプーリとの間に巻き掛けられた補機ベルトとして、エンジンの始動時に補機モジュールによりクランクプーリを回転させる一方、エンジンの始動後はクランクプーリにより補機プーリを駆動するようにした。また、請求項8の発明では、補機モジュールは、エンジンの始動後に発電機となるモータジェネレータとした。これらの発明によると、エンジンの始動時に補機モジュールにより補機ベルトを介してエンジンをクランキングして始動する一方、エンジンの始動後は、逆に、クランクプーリにより補機ベルトを介して補機モジュールを駆動させる補機駆動用のベルト伝動装置において、付勢手段の付勢力により緩み側スパンの張力を設定するだけでよく、その緩み側スパンの張力を安定して保持でき、ベルト張力の低下によるスリップやベルト騒音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るベルト伝動装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】オートテンショナを一部破断して示す拡大正面図である。
【図3】オートテンショナを一部破断して示す拡大側面図である。
【図4】オートテンショナを一部破断して示す拡大背面図である。
【図5】図2ののV−V線断面図である。
【図6】無負荷状態から補機モジュールによるエンジン始動時の最大負荷状態に変化したときの動きを示す図1相当図である。
【図7】ベルトの各スパンの張力とテンションプーリへの巻付き角との関係を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態2を示す図1相当図である。
【図9】本発明の実施形態3を示す図2相当図である。
【図10】実施形態3を示す図3相当図である。
【図11】実施形態3を示す図5相当図である。
【図12】実施例1において、ベルトスパンの有効張力に対する張り側スパン及び緩み側スパンのベルト張力の関係を示す特性図である。
【図13】実施例2において、ベルトスパンの有効張力に対する張り側スパン及び緩み側スパンのベルト張力の関係を示す図12相当図である。
【図14】実施例1において、ベルトスパンの有効張力に対する各プーリのハブロード角の関係を示す特性図である。
【図15】実施例2において、ベルトスパンの有効張力に対する各プーリのハブロード角の関係を示す図14相当図である。
【符号の説明】
A ベルト伝動装置
1 クランク軸
2 クランクプーリ(第1プーリ)
3 補機モジュール回転軸
4 補機プーリ(第2プーリ)
8 補機ベルト(伝動ベルト)
8a 第1スパン
8b 第2スパン
11 オートテンショナ
12 第1スピンドル(軸部)
13 第2スピンドル(軸部)
16 第1アーム
17 第2アーム
18 ボス部
22 滑り軸受(ダンパ部材)
24 スラストワッシャ(ダンパ部材)
25 第1減衰手段
29 第1テンションプーリ
30 第2テンションプーリ
36 引張ばね(付勢手段)
38 第1ばねガイド(第1スライド部材)
39 第2ばねガイド(第2スライド部材)
45 第2減衰手段
47 ダンパ
52 捩りコイルばね
56 スプリングサポート(ダンパ部材)
P1 第1ピボット位置
P2 第2ピボット位置
θ1,θ2 ベルト巻付け角[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a belt transmission device in which a transmission belt is wound between pulleys, and particularly to a technical field related to a belt transmission device in which a belt span between pulleys reverses to a tight side and a loose side.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, as a starting device for an engine, a starter motor connected to a crankshaft of the engine at the time of starting the engine is provided, and the operation of the starter motor cranks and starts the engine. The starter motor startup noise may be loud and cause noise.
[0003]
Therefore, in order to not only ensure quietness at the time of starting, but also to improve the fuel efficiency of the engine, an auxiliary machine module with the function of a starter motor is provided as an auxiliary machine of the engine, and this auxiliary machine module is For example, a belt transmission system is constructed by driving and connecting the engine crankshaft with an accessory belt together with other accessories such as a compressor for an air conditioner and a hydraulic pump for a power steering device. When the engine module and other auxiliary equipment are driven to rotate, idling is stopped to stop the engine to improve fuel economy.When the engine is restarted from the stopped state, the auxiliary equipment module is used as a starter motor. Function, and this accessory module allows the engine By rotating the shaft cranking, it is known to start the engine.
[0004]
In such a belt transmission system, the belt tension of both sides of the accessory belt wound around the accessory pulley of the accessory module was reversed before and after the engine was started, and was on the tight side before the engine was started. One of the spans changes to the loose side after the start, and the other span, which was on the loose side before the start, changes to the tight side. For this reason, if one auto tensioner is used and the belt tension is adjusted by pressing the loose side span of the belt with the auto tensioner, when the loose side span changes to the tight side span, the auto tensioner is turned on the tight side. The tension is adjusted in the span, and the belt tension in the loose side span is reduced. In the worst case, the belt is loosened and slip occurs, which may cause a transmission failure.
[0005]
Thus, even if the driving state of the pulley changes and the tension side and the loose side of the belt span on both sides of the pulley reverse, the tension on the loose side is not reduced. And a pair of arms pivotally supported at one base of each fixed body at each base end, and a belt rotatably supported at the distal end of each arm and wound around a pulley. There has been proposed an automatic tensioner including a pair of tension pulleys that generate a belt tension by pressing both spans from the outer surface side.
[0006]
In this proposal, when the tension pulley is pushed back from the tension side span of the belt and the tension side arm supporting the pulley rotates to a fixed state where it cannot be further rotated, the tension side arm rotates. In response to the rotation of the tension side arm to the fixed state, the loose side arm supporting the tension pulley of the loose side span of the belt is also rotated in cooperation with the tension side arm, and the loose side span is rotated. The tension is adjusted.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the case of the proposed example, when the two arms are integrated, the loose arm in the loose span does not rotate when the tight arm in the tight span is fixed. Therefore, when the tension of the loose side span is reduced and the driving load on the driven auxiliary machine or the starting load of the engine is large, the loose side tension cannot be maintained at a high level, and the transmission may still be in a poor transmission state.
[0008]
On the other hand, if both arms are separate and can be independently rotated, and both arms are biased by a spring, the above-mentioned problem does not occur, and the tension on the loose side span of the belt is reduced. It can be adjusted to maintain that tension.
[0009]
However, on the other hand, in the fixed state of the tension arm, the load direction received from the belt via the pulley is the arm length direction, and the arm length direction and the rotation direction of the arm are substantially orthogonal, so that It is difficult to reliably stop the rotation of the tension side arm by the tension of the belt. As a result, when a tension fluctuation on the belt tension side occurs due to any rotation fluctuation, the tension arm is rotated and not fixed, and the belt tension on the loose side span cannot be stably held.
[0010]
An object of the present invention is to provide a belt transmission device that uses a pair of swingable arms as a tensioner as described above, and adjusts the tension by pressing the span of the belt with a tension pulley that is pivotally supported at its tip. On the other hand, by specifying the layout of each arm with respect to the belt span, it is possible to stably maintain the belt tension on the loose side span of the belt.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, according to the present invention, a pair of arms supporting a tension pulley for pressing the belt spans on both sides of the pulley are supported at different positions, and the two arms are connected by urging means. By rotating each arm so that the tension pulley presses the belt span, the belt winding angle of the tension pulley on the tension side span of the belt is smaller than that of the tension pulley on the loose side span. The tension of the loose side span is adjusted.
[0012]
Specifically, according to the first aspect of the present invention, at least two pulleys, a first and a second pulley, and a transmission belt wound between the two pulleys are provided, and one of the first and the second pulleys is driven. The present invention is directed to a belt transmission that switches between a pulley state and a drive pulley state.
[0013]
An auto-tensioner for adjusting the tension of the belt is provided. The auto-tensioner has a pair of arms independently swingably supported at respective base ends at positions separated from each other, and a tip of each arm. A tension pulley rotatably supported by a portion and capable of pressing both spans of the belt between the two pulleys; and a tension pulley connected between the two arms. The tension pulley presses the span of the belt to generate belt tension. Biasing means for rotating and urging both arms so that the tension winding pulley pressing the tension side span of both the belts has a smaller belt winding angle than the tension pulley pressing the loose side span. It is characterized by having such a configuration.
[0014]
According to the above configuration, the pair of arms are independently and swingably supported at their base ends at separate positions, and the arms are connected to each other by the urging means. Since the arm is rotationally urged so that the pulley presses the belt span to generate belt tension, of the belt span between the first and second pulleys, the pulley on the tension side span is pushed from the belt. In return, when the tension arm supporting the pulley rotates, the pulley at the tip of the loose arm connected to the tension arm via the urging means responds accordingly. As a result, the belt winding angle of the tension pulley that presses the tension side span of the belt becomes smaller than that of the tension pulley that presses the loose side span.
[0015]
Since the winding angle of the tension side span to the tension pulley is smaller than the winding angle of the loose side span to the tension pulley, when the transmission load of the belt transmission device occurs, the tension side The belt tension of the tension side span increases to infinity with the decrease of the winding angle to zero, and the drive system is determined only by determining the biasing force of the biasing means for obtaining the belt tension of the loose side span. It will be established. In other words, the sharing of the belt tension by the biasing means is effected by the tension pulley on the loose side, and only the tension on the loose side is set by the biasing force of the biasing means, and between the first and second pulleys. Even if the driving direction is reversed, the belt tension is always adjusted on the loose side span to ensure the transmission state with a low belt tension. And belt noise can be prevented.
[0016]
In addition, since the movement trajectory of the two tension pulleys is an elliptical trajectory when the two pulleys are combined, the movement of the tension pulleys is defined as a circular motion as compared with the case where both tension pulleys are connected to each other at the axial position by the urging means. By making the direction of the axial load generated from the span tension different from the direction of movement of the tension pulley, the movement distance of the tension pulley can be reduced, and while using a low spring constant biasing means with little change in tension due to free length tolerance. The same effect as when using the biasing means having a high spring constant can be obtained. Thus, it is not necessary to use a large urging means to increase the spring rigidity in order to reduce the deformation of the urging means when an excessive load torque is generated, and it is possible to use a compact urging means.
[0017]
In addition, the effective tension of the belt greatly differs depending on the difference in the load direction between the first and second pulleys, and when the two tension pulleys are directly connected to each other by the urging means, the minimum required of the larger load is required. Although it is necessary to adjust the urging force to the tension, two arms having different support positions are provided as in the present invention. By changing the support positions of these arms, the urging characteristics in the driving direction can be set arbitrarily. It is only necessary to set the lowest appropriate biasing force, and it is possible to reduce the fuel consumption due to the loss of the axial force of the engine and improve the life of the device.
[0018]
In the invention of
[0019]
A fourth aspect of the present invention is characterized in that a damping means for damping the rotation of the arm is provided. In this case, the rotation of each arm can be attenuated, the transient vibration and the like can be prevented, and stable belt running can be ensured.
[0020]
According to the fifth aspect of the present invention, the arm is rotatably supported on the shaft by the boss, and the damping means is a damper member interposed between the boss of the arm and the shaft. According to the invention of
[0021]
In the invention according to
[0022]
With this configuration, at the time of starting the engine, the crank pulley of the engine is rotationally driven via the accessory belt by the accessory module serving as a starter motor, and the engine is cranked and started. Then, the auxiliary pulley is rotationally driven by the crank pulley via the auxiliary belt, and the auxiliary module is operated.
[0023]
Also in this case, similarly to the first aspect of the invention, it is only necessary to set the tension of the loose side span by the urging force of the urging means, and it is possible to stably maintain the tension of the loose side span, and to reduce the belt tension. Generation of slip and belt noise can be prevented.
[0024]
In the invention according to
[0025]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
(Embodiment 1)
FIG. 1 shows an overall configuration of a belt transmission A according to a first embodiment of the present invention. This belt transmission A is used as an auxiliary belt start system for an engine mounted on a vehicle. This system drives the auxiliary equipment by the engine in an operating state after the start of the engine (not shown), and cranks the engine by some of the auxiliary equipment when the engine is started after an idling stop or the like. It is used to start.
[0026]
That is, in FIG. 1,
[0027]
The
[0028]
The
[0029]
An auto-
[0030]
The
[0031]
Each of the
[0032]
That is, a
[0033]
Each of the first and second tension pulleys 29 and 30 is a flat pulley, and two tension pulleys 29 and 30 are provided between the
[0034]
It is desirable to use an angular bearing (shown in the figure) or a parallel bearing for each of the
[0035]
Further, a
[0036]
That is, a bottomed cylindrical
[0037]
Further, the open end of the
[0038]
Further, a second damping means 45 for damping the rotation of each of the
[0039]
In FIG. 2,
[0040]
Therefore, in the above embodiment, the
[0041]
Specifically, for example, when the engine enters an idling state at a signal waiting of a vehicle or the like in order to improve the fuel efficiency of the engine, the idling stop is performed, the engine stops, and the engine enters a no-load state. In the stopped state of the engine, as shown in FIGS. 6A and 7A, the belt tensions T1 and T2 of the first and
[0042]
Thereafter, when the engine is started, the auxiliary module is energized and operates as a starter motor, and the
[0043]
In the starting cranking state of the engine, as shown in FIG. 6B, of the two
[0044]
At this time, as shown in FIG. 7 (b), the belt tension T2 of the
[0045]
When the engine is started and is in an operating state, in the operating state, the auxiliary module functions as a generator, and conversely, the
[0046]
In this operating state of the engine, of the two belt spans 8a and 8b between the
[0047]
At this time, the belt tension T1 of the
[0048]
As described above, of the
[0049]
Further, the movement trajectory of the two tension pulleys 29 and 30 is an elliptical trajectory when the two
[0050]
Also, the tension on the loose side span increases according to the load so as to satisfy the minimum required belt tension for the load, so that the belt tension can be properly adjusted according to the load of the accessory module to improve the fuel efficiency of the engine and the auxiliary equipment. The life of each bearing of the
[0051]
Further, since the first and second damping means 25 and 45 for damping the rotation of the
[0052]
Further, since the
[0053]
(Embodiment 2)
FIG. 8 shows a second embodiment of the present invention (in the following embodiments, the same parts as those in FIGS. 1 to 7 are denoted by the same reference numerals, and detailed description thereof is omitted). The pivot positions P1 and P2 of the two
[0054]
That is, in this embodiment, the first and second pivot positions P1 and P2 are, for example, both sides of a vertical plane passing through the center position between the
[0055]
Therefore, in this embodiment, the tension of the
[0056]
Further, a hub load formed by the length direction (center line) of each of the
[0057]
From these facts, not only can the belt tension be arbitrarily set in the same manner as in the first embodiment, but also in this embodiment, the belt tension at the start of the engine and at the time of operation after the start is based on the initial state (no load state). As an asymmetric characteristic.
[0058]
(Embodiment 3)
9 to 11 show the third embodiment, in which the first damping means 25 for damping the rotation of the
[0059]
That is, in this embodiment, the
[0060]
A
[0061]
Therefore, in the case of this embodiment, since the
[0062]
(Other embodiments)
In each of the above embodiments, an accessory belt starting system (belt transmission device A) for an engine in which an
[0063]
In each of the above embodiments, the
[0064]
Furthermore, in each of the embodiments described above, the present invention is applied to the auxiliary belt starting system of the engine. However, the present invention can be applied to other belt transmissions, and includes at least two pulleys and a winding between these pulleys. Any belt transmission device that includes a transmission belt that is hung and that switches between a state in which one of the pulleys is a drive pulley and a state in which the other is a drive pulley is sufficient.
[0065]
【Example】
Next, a specific embodiment will be described. Example 1 is a belt transmission device A (see FIG. 1) having the configuration of the first embodiment, and includes a
[0066]
On the other hand, the belt transmission A of Embodiment 2 (see FIG. 8) is Example 2, the first pivot position P1 of the
[0067]
Then, the engine is started from the initial state of no load and the tension of the
[0068]
From these results, it can be seen that in each of Example 1 and Example 2, the tension of the slack side spans 8a and 8b of the
[0069]
Further, the relationship between the effective tension Tt-Ts and the hub load angles θh1 and θh2 (see FIG. 8) was examined for Examples 1 and 2, and the relationship of FIG. Fifteen relationships were each obtained. From this result, by changing the pivot positions P1 and P2, which are the fulcrums of the
[0070]
【The invention's effect】
As described above, according to the first aspect of the present invention, there are provided at least two pulleys, the first and second pulleys, and the transmission belt wound around the two pulleys, and one of the first and second pulleys is provided. For a belt transmission device that switches between a driving pulley state and a driving pulley state, a tension pulley that presses a belt span on both sides of the pulley as an auto tensioner that adjusts belt tension is supported. A pair of arms are swingably supported at positions separated from each other, and both arms are connected by urging means, and both arms are rotated so that the tension pulley presses the belt span and belt tension is generated. The tension wrap of the tension pulley that presses the tension side span of the belt is smaller than that of the tension pulley that presses the loose side span. All that is necessary is to apply the belt tension distribution by the biasing means to the tension pulleys on the loose side and to set the tension on the loose side by the biasing force of the biasing means. Even if is reversed, the belt tension is always adjusted on the loose side span to ensure the transmission state with low belt tension, and the loose side span tension is stably maintained to reduce slip and belt noise due to a decrease in belt tension. Occurrence can be prevented. Also, since the movement trajectory of the two tension pulleys is an elliptical trajectory when the two pulleys are combined, the moving distance of the tension pulley is reduced by making the direction of the axial load generated from the span tension different from the direction of the movement of the tension pulley. It is possible to obtain the same effect as using a biasing means having a high spring constant while using a biasing means having a low spring constant with a small change in tension due to free length tolerance, and using a compact biasing means. be able to. Further, by changing the support position of the arm, it is possible to set the lowest appropriate biasing force, and it is possible to reduce the fuel consumption due to the loss of the axial force of the engine and improve the life of the equipment.
[0071]
According to the second aspect of the present invention, the belt span is pressed from the outer surface side by the tension pulley, and the urging means is a tension spring extended between the arms. Further, in the invention of
[0072]
According to the fourth aspect of the present invention, the provision of the damping means for damping the rotation of the arm prevents transient vibration of each arm and the like, thereby ensuring stable belt running.
[0073]
According to the fifth aspect of the invention, the arm is rotatably supported on the shaft by the boss, and the damping means is a damper member interposed between the boss of the arm and the shaft. According to the invention of
[0074]
According to the invention of
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram schematically illustrating an overall configuration of a belt transmission according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is an enlarged front view showing the auto tensioner partially broken away.
FIG. 3 is an enlarged side view showing the auto tensioner partially broken away.
FIG. 4 is an enlarged rear view showing the auto tensioner partially cut away.
FIG. 5 is a sectional view taken along line VV of FIG. 2;
FIG. 6 is a view corresponding to FIG. 1 showing a movement when the load changes from a no-load state to a maximum load state when the engine is started by the accessory module.
FIG. 7 is an explanatory diagram showing a relationship between tension of each span of a belt and a winding angle around a tension pulley.
FIG. 8 is a diagram corresponding to FIG. 1 showing a second embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a diagram corresponding to FIG. 2, showing a third embodiment of the present invention.
FIG. 10 is a diagram corresponding to FIG. 3, showing a third embodiment.
FIG. 11 is a diagram corresponding to FIG. 5, showing the third embodiment.
FIG. 12 is a characteristic diagram showing a relationship between the effective tension of the belt span and the belt tension of the tension side span and the loose side span in Example 1.
FIG. 13 is a diagram corresponding to FIG. 12, showing the relationship between the effective tension of the belt span and the belt tension of the tension side span and the loose side span in Example 2.
FIG. 14 is a characteristic diagram showing a relationship between a hub load angle of each pulley and an effective tension of a belt span in the first embodiment.
FIG. 15 is a diagram corresponding to FIG. 14 showing a relationship between the effective tension of the belt span and the hub load angle of each pulley in the second embodiment.
[Explanation of symbols]
A belt transmission
1 crankshaft
2 Crank pulley (first pulley)
3 Auxiliary module rotation axis
4 Auxiliary pulley (second pulley)
8 Auxiliary equipment belt (transmission belt)
8a 1st span
8b 2nd span
11 Auto tensioner
12 1st spindle (shaft)
13 Second spindle (shaft)
16 1st arm
17 Second arm
18 Boss
22 Sliding bearing (damper member)
24 Thrust washer (damper member)
25 First damping means
29 1st tension pulley
30 2nd tension pulley
36 Tension spring (biasing means)
38 1st spring guide (1st slide member)
39 second spring guide (second slide member)
45 Second damping means
47 Damper
52 torsion coil spring
56 Spring support (damper member)
P1 1st pivot position
P2 2nd pivot position
θ1, θ2 Belt wrap angle
Claims (8)
上記両プーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトとを備え、
上記第1又は第2プーリの一方が駆動プーリになる状態と、他方が駆動プーリになる状態とに切り換わるベルト伝動装置であって、
上記ベルトの張力を調整するオートテンショナを備え、
上記オートテンショナは、互いに離れた位置に各々の基端部で独立して揺動可能に支持された1対のアームと、
上記各アームの先端部に回転可能に軸支され、上記両プーリ間のベルトの両スパンを押圧可能なテンションプーリと、
上記両アーム間に連結され、上記テンションプーリがベルトのスパンを押圧してベルト張力が発生するように両アームを回動付勢する付勢手段とを備え、
上記ベルトの両スパンのうち張り側スパンを押圧するテンションプーリのベルト巻付け角が緩み側スパンを押圧するテンションプーリよりも小さくなるように構成されていることを特徴とするベルト伝動装置。At least first and second two pulleys;
A transmission belt wound between the two pulleys,
A belt transmission device that switches between a state in which one of the first or second pulley becomes a driving pulley and a state in which the other becomes a driving pulley,
Equipped with an auto tensioner to adjust the tension of the belt,
The auto-tensioner includes a pair of arms independently and oscillatably supported at respective base ends at positions separated from each other;
A tension pulley rotatably supported at the tip of each of the arms and capable of pressing both spans of the belt between the pulleys;
Biasing means connected between the two arms, the tension pulley presses the span of the belt, and biases both the arms so as to generate a belt tension;
A belt transmission device characterized in that a belt winding angle of a tension pulley that presses a tension side span among both spans of the belt is smaller than a tension pulley that presses a loose side span.
テンションプーリはベルトの両スパンを外面側から押圧可能とされており、
付勢手段は、アーム間に伸装された引張ばねであることを特徴とするベルト伝動装置。The belt transmission according to claim 1,
The tension pulley is capable of pressing both spans of the belt from the outer surface,
The urging means is a tension spring extended between the arms.
テンションプーリはベルトの両スパンを内面側から押圧可能とされており、
付勢手段は、アーム間に縮装された圧縮ばねであることを特徴とするベルト伝動装置。The belt transmission according to claim 1,
The tension pulley is capable of pressing both spans of the belt from the inside,
The urging means is a compression spring compressed between the arms.
アームの回動を減衰する減衰手段を備えたことを特徴とするベルト伝動装置。The belt transmission according to any one of claims 1 to 3,
A belt transmission device comprising damping means for damping rotation of an arm.
アームはボス部にて軸部に回動可能に支持されており、
減衰手段は、アームのボス部と軸部との間に介在されたダンパ部材であることを特徴とするベルト伝動装置。The belt transmission according to claim 4,
The arm is rotatably supported on the shaft by the boss,
The damping means is a damper member interposed between a boss portion and a shaft portion of the arm, wherein the belt transmission device is provided.
一方のアームには第1スライド部材が、また他方のアームには、第1スライド部材と長さ方向にスライド可能に係合する第2スライド部材がそれぞれ揺動可能に支持されており、
減衰手段は、両スライド部材のスライドを減衰するものであることを特徴とするベルト伝動装置。The belt transmission according to claim 4,
A first slide member is supported on one arm, and a second slide member that slidably engages with the first slide member in the length direction is swingably supported on the other arm, respectively.
The belt transmission device is characterized in that the damping means attenuates the slide of both slide members.
第1プーリは、エンジンの出力軸に設けられたクランクプーリであり、
第2プーリは、エンジンの始動時にスタータモータとなる一方、始動後に補機となる補機モジュールの回転軸に設けられた補機プーリであり、
ベルトは、少なくとも上記補機プーリとクランクプーリとの間に巻き掛けられた補機ベルトであり、
エンジンの始動時には補機モジュールによりクランクプーリを回転させる一方、エンジンの始動後はクランクプーリにより補機プーリを駆動するように構成されていることを特徴とするベルト伝動装置。The belt transmission according to claim 1 or 4,
The first pulley is a crank pulley provided on the output shaft of the engine,
The second pulley is an auxiliary pulley provided on a rotating shaft of an auxiliary module serving as an auxiliary machine after the start while the starter motor is used when the engine is started,
The belt is an accessory belt wound around at least the accessory pulley and the crank pulley,
A belt transmission device configured to rotate a crank pulley by an accessory module when the engine is started, and to drive the accessory pulley by the crank pulley after the engine is started.
補機モジュールは、エンジンの始動後に発電機となるモータジェネレータであることを特徴とするベルト伝動装置。The belt transmission according to claim 7,
A belt transmission device, wherein the auxiliary module is a motor generator that becomes a generator after the engine is started.
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