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JP2004079792A - 荷電粒子ビーム露光データ作成方法、半導体装置の製造方法及びプログラム - Google Patents

荷電粒子ビーム露光データ作成方法、半導体装置の製造方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】キャラクタ・プロジェクション方式の露光時、ショット間の整定待ち時間の短縮を図り、スループットの向上を図り得る露光データを作成すること。
【解決手段】一つのキャラクタパターンを露光してから次のキャラクタパターンを露光する際、CPアパーチャマスクに形成された任意のキャラクタ開口に照射しキャラクタ開口形状のキャラクタビームを生成するために荷電粒子ビームを偏向させる成形偏向器の性能と、前記キャラクタビームを試料の前記偏向領域上の任意の位置に照射するためにキャラクタビームを偏向させる対物偏向器の性能との一方をパラメータにし、前記パラメータに基づいて前記キャラクタパターンの露光順序を決定し、前記露光データを作成する。
【選択図】  図16

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャラクタ・プロジェクション方式の荷電粒子ビーム露光において、キャラクタパターンの露光順序が記述された荷電粒子ビーム露光データの作成方法、露光データを作成するプログラム、並びに作成された露光データを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビームリソグラフィ、とくに、電子ビーム直接描画技術は、生産するデバイス回路パターンを、半導体基板上のレジストに焼き付ける際に、回路パターンの原盤となるマスクを、デバイスごとに作製する必要がない。そのため、低コスト、ならびに、QTAT(Quick Turn Around Time)の試作品や研究開発などに適用されている。
【0003】
このような電子ビームリソグラフィでは、露光を行なう回路パターンを露光の単位となる基本図形に分解し、各基本図形と同じ形状および大きさの電子ビームを、複数の成形アパーチャマスクを用いて成形し、順次、レジスト上に照射していく。この、一度ずつの電子ビームの照射のことを、ショットとよぶ。
【0004】
電子ビームの成形方法として、二通りの方法がある。つまり、可変成形ビーム(VSB)方式と、キャラクタ・プロジェクション(CP)方式である。VSB方式では、第一成形アパーチャマスクで矩形形状に成形された矩形ビームを、第二成形アパーチャマスクの矩形形状の開口に部分的に照射して、任意の大きさの長方形ビームを生成する。CP方式では、第二成形アパーチャマスクに穿たれた任意の形状の開口に、第一成形アパーチャマスクにより成形された矩形ビームを照射することにより、開口と同じ形状のビームを生成する。この形状自体をキャラクタ形状の開口のことをキャラクタ開口と呼ぶ。
【0005】
また、複数のキャラクタ開口、及びVSB露光用の矩形開口を有する第2成形アパーチャマスクをキャラクタアパーチャマスク、又はCPアパーチャマスクと呼ぶ。また、第1成形アパーチャマスクで成形された電子ビームを偏向させる偏向器を成形偏向器と呼ぶ。成形偏向器で電子ビームを偏向させて、CPアパーチャマスクの任意のキャラクタ開口又は矩形開口に照射させて、電子ビームを成形する。
【0006】
CPアパーチャを通過することにより成形された電子ビームは、少なくとも主・副二つの偏向器により、露光を行なう半導体基板の指定の位置に照射される。試料への成形電子ビームの照射位置の決定は、通常、露光を行なう試料を、小領域を高速に偏向可能な副偏向器と、副偏向器よりも大きな領域を偏向可能な主偏向器の、それぞれに対応する偏向領域、すなわち、副偏向領域と主偏向領域に分割される。
【0007】
試料への電子ビームの照射位置、および、ショットする基本図形の形状の成形ビームを生成するためのキャラクタ開口の位置は、主偏向器、副偏向器、および、成形偏向器により行なわれる。これら偏向器には、各偏向器用のアンプを介して、所望の偏向量になるように、静電偏向器の場合は電圧、電磁偏向器の場合は電流が印加される。
【0008】
ここでは、静電偏向器の場合を扱うこととし、図18を参照して説明する。静電偏向器の偏向による待ち時間と偏向距離の関係を示す図である。図18(a)に示したように、電圧を印加してから、所望の偏向量に整定するまでに、ある程度の時間がかかる。たとえば、電子ビームを、副偏向領域内で、xおよびy方向にLおよびLだけ偏向したいとき、t時間経過してから電子ビームをショットした場合、図18(b)のように、現在の位置Pから所望の位置Pに正確に位置決めして、パターンを描画することができる。しかし、図18(a)のt時間(t<t)経過したときにショットすると、位置Pとはずれた位置Pに描画されてしまう。この例は、成形偏向器の場合は、選択するキャラクタ開口からビームがずれたり、VSB方式で矩形ビームを成形するときの成形ビームの大きさが変化してしまうこと、また、主偏向器の場合は、選択する副偏向領域の位置がずれてしまい、整定するまでにショットしたパターンは、副偏向領域の位置がずれている分だけ、所望の位置からずれてしまうことに対応する。
【0009】
従来の電子ビーム露光装置では、このような問題を回避して、描画精度を劣化させないために、図18(a)のtのような、各偏向器の整定待ち時間として必要な時間だけ、ショットごと(副偏向器)、副偏向領域選択ごと(主偏向器)、キャラクタビームおよび可変成形ビームの形状を変えるごと(成形偏向器)に、待ち時間を設定している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
各偏向器が電子ビームを偏向させる際の必要な待ち時間(t)は、各偏向器の偏向距離により長くなったり、短くなったりするため、偏向量に応じて整定待ち時間を変えている電子ビーム露光装置が提案されている。この場合は、待ち時間の合計を削減することができるため、一定の待ち時間を設定している場合と比べて、スループットを向上させることができる。
【0011】
そこで問題となってくるのが、基本図形パターンのショットの順番である。副偏向領域内のキャラクタパターンのショット順番を適切に決定することができれば、副偏向器の偏向量の合計を小さくすることができ、合計の露光時間を短くすることができる。
【0012】
本発明の目的は、ショット間の整定待ち時間の短縮を図り、スループットの向上を図り得る荷電粒子ビーム露光データ作成方法、プログラム、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下のように構成されている。
【0014】
(1)本発明の一例に係わる荷電粒子ビーム露光データ作成方法は、キャラクタ・プロジェクション方式の荷電粒子ビーム露光における、試料の偏向領域内のキャラクタパターンの露光順序が記述された露光データを作成する荷電粒子ビーム露光データ作成方法であって、一つのキャラクタパターンを露光してから次のキャラクタパターンを露光する際、CPアパーチャマスクに形成された任意のキャラクタ開口に荷電粒子ビームを照射しキャラクタ開口形状のキャラクタビームを生成するために前記荷電粒子ビームを偏向させる成形偏向器の性能に関する値と、前記キャラクタビームを試料の前記偏向領域上の任意の位置に照射するためにキャラクタビームを偏向させる対物偏向器の性能に関する値との一方をパラメータとして選択し、前記選択されたパラメータに基づいて前記偏向領域内の前記キャラクタパターンの露光順序を決定し、前記露光データを作成することを特徴とする。
【0015】
(2)本発明の一例に係わるプログラムは、キャラクタ・プロジェクション方式の荷電粒子ビーム露光における、試料の偏向領域内のキャラクタパターンの露光順序が記述された露光データを作成する機能を実現させるためのプログラムであって、一つのキャラクタパターンを露光してから次のキャラクタパターンを露光する際、CPアパーチャマスクに形成された任意のキャラクタ開口に照射しキャラクタ開口形状のキャラクタビームを生成するために荷電粒子ビームを偏向させる成形偏向器の性能に関する値と、前記キャラクタビームを試料の前記偏向領域上の任意の位置に照射するためにキャラクタビームを偏向させる偏向器の性能に関する値との一方をパラメータとして選択する機能と、選択されたパラメータに基づいて、前記キャラクタパターンの露光順序を決定し、前記露光データを作成する機能とを実現させる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる電子ビーム露光装置の電子光学系の概略構成を示す図である。
この電子ビーム露光装置を用いた半導体デバイスの回路パターンの露光では、露光を行なうパターンを、微細なキャラクタパターンに分割し、試料上のそれぞれ対応する位置に、キャラクタパターンの露光を繰り返すことにより、デバイスパターンを形成する。以下に、より具体的に説明する。
【0018】
電子銃400より放出された電子ビーム401は、コンデンサレンズ402で電流密度が調整され、第1成形アパーチャマスク406を均一に照明する。電子ビームを照射しない領域への照射を防止するため、ブランキングアンプ403からブランキング偏向器404に偏向電圧を印加することより電子ビーム401が偏向され、ブランキングアパーチャマスク405で遮蔽される。
【0019】
第1成形アパーチャマスク406で矩形に成形された電子ビーム401は、投影レンズ407により、第2成形アパーチャマスク(CPアパーチャマスク)410上に結像させられる。このとき、成形偏向アンプ408から、成形偏向器409に、電子ビーム401の偏向量に対応した偏向電圧を印加することにより、所望の形状に成形する。電子ビーム401の成形方法には、可変成形ビーム(VSB)方式と、キャラクタ・プロジェクション(CP)方式とがある。
【0020】
VSB方式では、パターンを最大ビームサイズ以下の大きさの長方形の基本パターンに分割して露光する。成形偏向器409の偏向により電子ビームの照射位置を第2成形アパーチャマスク410のVSB用開孔に対してずらすことにより、任意の大きさの長方形ビームを成形し、成形されたパターンを用いて分割された各パターンを露光する。
【0021】
CP方式では、パターンから最大ビームサイズ以下の大きさのキャラクタを抽出し、キャラクタ形状のキャラクタ開口を第2成形アパーチャマスク410に配置する。複数のキャラクタ形状を使用することができ、複数配置されているキャラクタ開口のうちの所望の開口に、成形偏向器409により電子ビームを偏向して照射することにより、キャラクタ開口形状のキャラクタビームに成形する。
【0022】
成形されたキャラクタビーム401は、縮小レンズ411で縮小され、対物レンズ414を用いて試料417上に結像される。このとき、キャラクタビーム401が、主偏向アンプ415から偏向電圧が印加される主偏向器416、及び副偏向アンプ412から偏向電圧が印加される副偏向器(対物偏向器)413により偏向されることにより、試料417の所望の位置に照射される。
【0023】
キャラクタパターンの露光順序が記述された露光データに応じて、分割されたキャラクタパターンをすべて露光するまで、繰り返す。この、一回の電子ビームの露光のことを、“ショット”と呼んでいる。電子ビームのショットを行なうためには、前述のとおり、少なくとも四つの偏向器404,409,413,416を使用しており、これらへの印加電圧を、各ショットに対応して変化させる必要がある。
【0024】
これら偏向器のうちでも、主偏向器と副偏向器について見てみる。これらを用いた露光方法を示したのが図2である。試料417は、図示していないステージ上に載せられ、ステージが連続的、あるいは、ステップ式に移動しながら、電子ビームが照射されていく。この試料417がステージによって移動していく単位を、フレームと呼ぶ。図2(a)に示すように、フレーム500は、試料417に対して短冊状に設定される。すなわち、試料417は、フレーム500ごとにステージにより移動しながら露光される。
【0025】
各フレームは、さらに図2(b)に示すように、主偏向領域501ごとに露光される。主偏向領域501は、通常数百μm□〜数mm□の大きさであり、ステップ式に移動する場合は、この主偏向領域501ごとに移動することが多い。さらに、主偏向領域501は、図2(c)に示すように、副偏向領域502ごとに露光される。副偏向領域502内のパターンを露光し終わったら、主偏向器に偏向電圧を印加し、電子ビームを偏向して、次に露光を行なう副偏向領域502を選択する。副偏向領域502の大きさは、通常数十〜数百μm□であり、主偏向アンプから印加される偏向電圧の整定待ち時間は、1〜数μsであることが多い。
【0026】
本装置では、ショット間の電子ビームの偏向距離に応じて、各偏向器の整定待ち時間を設定することができる。
以下、静電偏向型の成形偏向器409および副偏向器413を採用し、各偏向器の特性を考慮した、CP方式の電子ビーム露光でのショット順序の決定について説明する。もちろん、描画を行なうパターンには、VSB方式でショットを行なうパターンが含まれていてもよい。その場合は、キャラクタパターンを抽出して、以下の方法で露光を行なうことができる。
【0027】
CP方式の電子ビーム露光でのショット順序を決定するには、副偏向器413と成形偏向器409の特性として、各偏向器のビームの偏向距離に対する待ち時間を考慮する必要がある。
【0028】
図3には、各偏向器の偏向電圧に対する偏向距離の特性を示す。図3の偏向特性では、副偏向器413で副偏向領域の大きさLSFmaxを偏向するのに必要な偏向電圧と、成形偏向器409の最大偏向量LCPmaxを偏向するのに必要な偏向電圧とが等しく、VDEFmaxである場合を示している。なお、実際には、両者の電圧値は等しくなくてもよく、偏向電圧−偏向距離特性の傾き、すなわち、偏向感度を論じることができればよい。
【0029】
ここでは、副偏向器413の整定待ち時間と同時に、成形偏向器409の整定待ち時間を、偏向量から推測できるように、以下のように、両偏向器の特性を決定した。
【0030】
CPアパーチャマスク410で成形された単位図形ビームは、縮小レンズ411によって、倍率1/Mの大きさで、試料417に転写される。そのため、図3では、成形偏向器409の偏向距離Lcpを1/M倍して、副偏向器413の特性と同じグラフに記載した。
【0031】
偏向電圧VdefがΔVだけ変動したときの副偏向器413、及び成形偏向器409の偏向距離の変動を、それぞれ、ΔLSFおよびΔLCPとする。ΔLSF/ΔVおよびΔLCP/ΔVは、偏向感度、すなわち特性の傾きになる。
【0032】
偏向距離の変動量が大きいほど、図18(a)のような特性において、偏向器の整定待ち時間が長くなる。
【0033】
偏向器による整定待ち時間の差は、偏向感度に比例するものとする。
【0034】
以上のことから、副偏向器413の整定待ち時間tSFを、偏向距離LSFの関数f(x)として次式のように表す。
【0035】
【数1】
Figure 2004079792
【0036】
すると、成形偏向器409の整定待ち時間tCPは、整定待ち時間tSFの算出に用いた関数f(x)を用いて、
【数2】
Figure 2004079792
と表すことができる。
【0037】
ここで、αは、両者の偏向感度の比である。図3から、
【数3】
Figure 2004079792
となることが分かる。
【0038】
使用する電子ビーム露光装置の仕様では、副偏向器413による最大偏向距離ΔLSFmaxは50μm、成形偏向器409による最大偏向距離ΔLCPmaxは1.6mm、最大偏向距離ΔLSFmax,ΔLCPmaxを偏向させるのに必要な偏向電圧が等しくVDEFmaxである。従って、αは、ΔLCPmax/ΔLSFmaxで求められ、3.2となる。
【0039】
また、副偏向器413の整定待ち時間は、偏向距離に対して、図4に示すような特性であり、次式で表される。
【0040】
【数4】
Figure 2004079792
【0041】
したがって、(2),(4)式、α=3.2及び縮小倍率M=10より、本装置では、成形偏向器409の整定待ち時間tCPは、
【数5】
Figure 2004079792
になる。
【0042】
ここで、図5に示すような露光を行なうパターンを考える。このパターンは、あるロジックデバイスの回路パターンから、ある一つの副偏向領域502を抜き出したものであり、図5において、A〜Zの記号がつけられた矩形パターンは、キャラクタに対応している。これらのキャラクタはロジックデバイスで使用されているスタンダード・セルである。
【0043】
これらのキャラクタは、すべて、電子ビーム1ショットで描画できる大きさであり、各キャラクタに対応するキャラクタ開口は、図6に示すような配列で第2成形アパーチャマスク上に配置されている。つまり、この副偏向領域502のキャラクタパターンは、26種類のキャラクタを用いて、合計73ショットで露光することができる。
【0044】
図6に示すように、A〜Zの記号がつけられているブロックに、キャラクタの形状の穴が穿たれており、キャラクタ開口をなしている。また、中央部は、VSB用の開口510である。
【0045】
さて、図5に示された副偏向領域501のパターンを、CP方式で電子ビーム描画するわけだが、どのような順番でキャラクタビームをショットしていくのがよいのか、説明のために、A〜Cのキャラクタのみを抽出して説明を行なう。つまり、3キャラクタ、12ショットである。
【0046】
前述の両偏向器の偏向を行なううえでの整定待ち時間の関係から、成形偏向器409の待ち時間の方が、縮小倍率を考えても、α倍だけ長くかかるということがわかる。そこで通常は、キャラクタ種ごとに基本図形パターンのショットを行ない、一つのキャラクタ種の基本図形パターンをすべてショットし終わったら、成形偏向器409によって次のキャラクタ開口を選択し、同様に基本図形パターンのショットを繰り返していく。
【0047】
まず初めのショット順序として、図7に示す順番でショットを行ったとする。これは、デバイスパターンの設計データに出てくるキャラクタ開口の順にキャラクタパターンを選択し、同じキャラクタ開口同士では、とくにソーティングを行なわず、設計データへの出現順序でショットの順序を決定する。この条件を、ソーティング条件(A)とする。
【0048】
ソーティング条件(A)でショットの順番を決定した場合、図6に示すようなキャラクタ開口の配置では、A→B→Cという順にキャラクタが選択されることから、たまたま、キャラクタ選択偏向器の偏向距離の合計は最小となる。
【0049】
しかし、副偏向領域内のキャラクタパターンの配置には、とくに規則がない。このままのショット順序では、副偏向器413による電子ビームの偏向距離の合計が大きくなるだけでなく、一度の偏向での偏向距離が長いものが多く含まれる。そのため、副偏向器413の整定待ち時間の合計が大きくなり、描画精度が劣化するばかりでなく、大偏向時の位置精度を保証するため、装置への負荷が大きくなる。
【0050】
次に、ソーティング条件(A)と同様にキャラクタごとに基本図形ショットを繰り返していくが、各キャラクタパターンでのショットを、副偏向器413による電子ビームの偏向距離の合計がもっとも短くなるように、巡回セールスマン問題のアルゴリズムを用いてソーティングした場合を考える。これを、ソーティング条件(B)とする。ソーティング条件(B)で決定された場合のショット順序を、図8に示す。
【0051】
さらに、キャラクタ開口の選択順序を最適化して、キャラクタ開口の切り替え時に、副偏向器413の大偏向がなくなるようにする場合を、ソーティング条件(C)とする。図6に示すキャラ開口配置の場合は、ソーティング条件(B)とソーティング条件(C)とは同じ結果になる。これらのソーティング条件では、同じキャラクタ開口を用いるキャラクタパターンごとにショットを並べ替えて、偏向距離の合計が小さくなるようにしている。しかし、同じキャラクタ開口を用いるキャラクタパターンが副偏向領域内に密に配置されていないと、どうしても、副偏向器413の大偏向ショットが混在してしまう。
【0052】
また、副偏向器413の大偏向ショットを排除するため、キャラクタの種類を無視して、副偏向領域内のキャラクタパターンの配置位置のみに着目して、巡回セールスマン問題のアルゴリズムを使って、最短経路(副偏向器413による電子ビームの偏向距離の合計がもっとも短くなる順序)を求めてみる。この場合をソーティング条件(D)とする。
【0053】
ソーティング条件(D)でショット順序が決定された場合のショット順序を図9に示す。図9に示すように、経路がすっきりしていて、最短距離であることがわかる。しかし、キャラクタ開口の切り替え回数が多くなり、また、そのときの成形偏向器409の偏向量もランダムになるため、トータルの露光時間が長くなってしまうことが、容易に察しがつく。
【0054】
最後に、本提案の方法、ソーティング条件(E)について説明する。このソーティング条件(E)では、キャラクタ切り替えのタイミングに制約をなくし、上述のような副偏向器413および成形偏向器409の整定待ち時間の特性を考慮して、両偏向器のトータルの整定待ち時間がもっとも短くなるように順序を決めるものである。つまり、各ショット間の整定待ち時間を、次の条件に基づいて決定する。
【0055】
1.副偏向器413の整定待ち時間の方が成形偏向器409の待ち時間よりも長い場合は、副偏向器413の整定待ち時間をショット間の整定待ち時間とする。
【0056】
2.逆に、成形偏向器409の待ち時間の方が長い場合は、成形偏向器409の整定待ち時間をショット間の整定待ち時間とする。
【0057】
そして、巡回セールスマン問題を用いて、上記条件により決定された整定待ち時間の合計が、もっとも短くなるように、ショットの順序を決定する。ソーティング条件(E)で決定されたショット順序は、図10に示すようになる。本ソーティング条件では、副偏向器413の大偏向を必要とするショットが回避されている。また、キャラクタ開口が近くに配置されていて、成形偏向器409による電子ビームの偏向距離を短くできるような、柔軟なソーティングを行なうことができる。
【0058】
次に、それぞれのソーティング条件によりショット順序を決定した場合の、キャラクタ切り替え回数、副偏向器の偏向によるキャラクタビームの総偏向距離、副偏向器の偏向による大偏向ショット数、総ショット間整定待ち時間を表1に示す。
【0059】
なお、副偏向器の大偏向ショット数とは、副偏向器413の偏向によるキャラクタビームの偏向距離が15μmよりも長い場合のショット数のことである。また、総ショット間整定待ち時間は、ソーティング条件(E)で提案したショット間整定待ち時間の合計である。
【0060】
【表1】
Figure 2004079792
【0061】
表1に示すように、上述の各ソーティング条件の特徴がよく表れている。また、トータルの露光時間は、ソーティング条件(E)の方法がもっとも短くなることが確認できる。
【0062】
上記、ソーティング条件(A)〜(E)を、図5の一つの偏向領域すべてのキャラクタパターンを露光する場合について適用した結果を以下に示す。
図11に、ソーティング条件(B)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す。図11(a)は副偏向器の偏向によるキャラクタビームの試料上の軌跡を示す平面図、図11(b)は成形偏向器の偏向による電子ビームの第2成形アパーチャマスク上の軌跡を示す平面図である。
【0063】
図12に、ソーティング条件(C)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す。図12(a)は副偏向器の偏向によるキャラクタビームの試料上の軌跡を示す平面図、図12(b)は成形偏向器の偏向による電子ビームの第2成形アパーチャマスク上の軌跡を示す平面図である。
【0064】
図13に、ソーティング条件(D)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す。図13(a)は副偏向器の偏向によるキャラクタビームの試料上の軌跡を示す平面図、図13(b)は成形偏向器の偏向による電子ビームの第2成形アパーチャマスク上の軌跡を示す平面図である。
【0065】
図14に、ソーティング条件(E)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す。図14(a)は副偏向器の偏向によるキャラクタビームの試料上の軌跡を示す平面図、図14(b)は成形偏向器の偏向による電子ビームの第2成形アパーチャマスク上の軌跡を示す平面図である。
【0066】
以下に、各ソーティング条件での結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
Figure 2004079792
【0068】
表2に示した結果の主要なものを、図15に示す。図15は、ソーティング方法(A)〜(E)による偏向距離とショット間待ち時間の計算結果のグラフを示す図である。
【0069】
ここで、成形偏向器409の平均偏向距離は、CPアパーチャマスク410へのキャラクタ開口の配置ピッチで規格化してある。そのため、平均距離1開口というのは、隣のキャラクタ開口を選択していることになる。
【0070】
ソーティング条件(E)が、もっとも露光時間が短くなること、また平均の副偏向器413偏向距離も適度に短くでき、さらに、成形偏向器409の平均偏向距離を短縮することができ、ほとんど隣接するキャラクタ開口を選択していることがわかる。
【0071】
上記の結果の表、および、図15に示すグラフから、本実施形態に示したキャラクタショットのソーティング方法は、以下の作用を有する。
副偏向領域内のキャラクタパターンを露光するのに必要な総ショット待ち時間を、もっとも短くすることができる。
副偏向器413の合計偏向距離を短くすることができ、また、大偏向ショットを抑制できる。
成形偏向器409の総偏向距離は若干長くなるが、一度の偏向に要する距離は、ほぼ隣接するものとすることができる。
【0072】
以上のことから、本実施形態に示した以下の効果を示す。
【0073】
ショット間の整定待ち時間を前述したショット間整定待ち時間に応じて設定可能な露光装置の場合、露光のスループットを最大にすることができる。
ショットごとの偏向距離を短くできるため、ショットの位置ズレやビームの成形ミスなどを抑制し、描画精度を向上させ、歩留まりを向上させるだけでなく、作製する半導体デバイスの性能を向上させることができる。
【0074】
そして、大偏向を行なうことが少なくなり、各偏向器の一回の偏向距離を短くすることができるため、各偏向器へ電圧を供給する電源や、アンプなど、装置への負担が極力削減される。その結果、半導体装置開発および露光装置のメンテナンスを容易にし、半導体装置の開発コストや露光装置の維持費の削減も期待できる。
【0075】
また、本実施形態に示したような、偏向距離に応じた整定待ち時間を、各偏向器で設定できなくても、大偏向が少なくなるので、露光装置にとっては、負荷が小さくなり、おおいに有効である。
【0076】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で説明した露光データ作成方法をより具体的に説明する。
図16は、本発明の第2の実施形態に係わる露光データ作成方法のフローチャートを示す図である。
【0077】
この露光データ作成方法は、各々ハードウェア構成及び/又はソフトウェア構成により実現可能であるが、ソフトウェア構成により実現される場合、対応する機能を実現させるためのプログラムが予め記憶媒体又はネットワークからコンピュータにインストールされる。これは以下の各実施形態の各装置でも同様である。
【0078】
(ステップS101)
キャラクタパターンが抽出されたパターンデータを入力する。パターンデータは、露光を行なう半導体デバイスの回路パターンを、複数の副偏向領域に分割し、各副偏向領域に含まれるキャラクタパターンが抽出されたものである。
【0079】
(ステップS102)
入力されたパターンデータから、副偏向領域内に含まれる各キャラクタパターンの情報を抽出する。ここで抽出する情報は、少なくとも各キャラクタパターンの試料へのショット位置と、キャラクタパターンのキャラクタ開口の種類とを含む。
【0080】
(ステップS103)
一つの副偏向領域に含まれるキャラクタパターンの中から、二つのパターンを抽出する。
【0081】
(ステップS104)
ステップS103で抽出された二つのキャラクタパターンのショット位置から、一つのパターンをショットした後、次のショットを行なうのに必要となる副偏向器によるキャラクタビームの偏向距離LSFを算出する。算出された偏向距離LSFから、必要な副偏向器の整定待ち時間TSFを求める。
【0082】
(ステップS105)
ステップS102で抽出された二つのパターンが同じキャラクタで露光するパターンであるか判定する。二つのパターンが同じキャラクタで露光するパターンであると判定されればステップS106に移り、同じキャラクタではないと判定されればステップS107に移る。
【0083】
(ステップS106)
ステップS103で求められた副偏向器の整定待ち時間TSFを、ステップS103で抽出された二つのショット間に必要な整定待ち時間として、ショット間距離テーブルに登録を行なう。登録後、ステップS110に移る。
【0084】
ここで、ショット間距離テーブルとは、巡回セールスマン問題(TSP)のアルゴリズムを用いてショットのソーティングを行なうときのパラメータとなる、各ショット間に必要な整定待ち時間を、一つの副偏向領域内のショットの全組合わせについて蓄積するテーブルである。
【0085】
(ステップS107)
ステップS102で抽出されたキャラクタパターンに対応するキャラクタ開口の位置から、CPアパーチャ上で電子ビームを偏向する距離LCPを算出し、一方のキャラクタビームのショット後、次のキャラクタビームを成形するのに必要な成形偏向器の整定待ち時間TCPを求める。
【0086】
(ステップS108)
ステップS104で求められた副偏向器の整定待ち時間TSFとステップS106で求められた成形偏向器の整定待ち時間TCPの大きさを比較し、TCP<TSFであるか判定する。TCP<TSFであると判定されればステップS106に移り、TCP<TSFでないと判定されればステップS109に移る。
【0087】
(ステップS109)
ステップS108の判定の結果、TCP<TSFで無い場合、成形偏向器の待ち時間TCPの方を副偏向器の待ち時間TSFよりも長くする必要がある場合は、ステップS107で求められた成形偏向器の待ち時間TCPを、ショット間距離テーブルに登録する。登録後、ステップS110に移る。
【0088】
(ステップS110)
ショット間に必要な整定待ち時間が、全ての二つのキャラクタパターンの組み合わせについて、ショット間距離テーブルに登録されているか判定する。
登録されていない組み合わせがある場合、ステップS103に戻る。
全ての組み合わせについて、ショット間の待ち時間の登録が行われていた場合、ステップS111に移る。
【0089】
(ステップS111)
上記の各ステップを繰り返すことにより生成されたショット間距離テーブルを参照して、巡回セールスマン問題(TSP)のアルゴリズムを使用して、副偏向領域内の全ショットパターンのソーティングを行なう。このとき、TSPのアルゴリズムにより、ショット間距離テーブルに登録されている整定待ち時間を、ショットの選択順に応じて合計した時間が、もっとも短くなるように、ショットのソーティングを行う。
【0090】
(ステップS112)
以上のようにしてソーティングした露光順序を、露光データとして出力する。
【0091】
以上のようにして、露光データを生成し、作成された露光データを用いて電子ビーム露光装置により半導体デバイスパターンの露光を行うことによって、第1の実施形態で説明した作用・効果が得られる。
【0092】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で説明した、副偏向器413と成形偏向器409の、偏向距離に対する整定待ち時間の特性を利用し、別のパラメータを用いたソーティングについて述べる。
第1の実施形態の成形偏向器409の整定待ち時間tCPの特性の式から、図4に示すような1次の線形な特性をもつ偏向器においては、(2)式は、
【数6】
Figure 2004079792
となる。
【0093】
これに対応する形式で、第1の実施形態で使用した整定偏向器の整定待ち時間tCPを記述すると
【数7】
Figure 2004079792
となるのは明らかである。
【0094】
したがって、副偏向器413および成形偏向器409に対して、同じ整定待ち時間の式を用いて、
【数8】
Figure 2004079792
【0095】
と変換することができる。変換された偏向距離L’CPは、成形偏向器による偏向距離LCPが副偏向器の偏向距離LSFに換算されたものである。
その結果、両偏向器の整定待ち時間を計算して比較しなくても、副偏向器による偏向距離LSFと成形偏向器による偏向距離を換算した距離L’CPとの比較を行なえば良い。そして、比較の結果、長い方をショット間相対偏向距離とする。
【0096】
そして、LSFとL’CPをパラメータとしてソーティングした場合も、第1の実施形態と同じ作用が得られる。
【0097】
本実施形態のように、二つの偏向器の整定待ち時間に基づいた二つの偏向器によるビームの偏向距離の対応関係から、一方の偏向器に要求される偏向距離を、他方の偏向器での偏向距離に変換した、相対的な偏向距離を求めることができる。
【0098】
相対的な偏向距離と他方の偏向距離とをパラメータとして、キャラクタパターンの露光順序のソーティングを行なうことにより、計算に用いるアルゴリズムを簡略化することができ、ソーティングにかかる時間、すなわち、電子ビーム露光データの生成にかかる時間を短縮することができる。
【0099】
また、本実施形態では、二つの偏向器の整定待ち時間に基づいて二つの偏向器によるビームの偏向距離の対応関係を求めた。しかし、二つの偏向器の整定待ち時間に基づかずに、二つの偏向器によるビームの偏向距離の対応関係を求めても良い。例えば、ショット毎の偏向距離を短くすることができる。その結果、ショットの位置ズレやビームの成形ミスなどを抑制し、描画精度を向上させ、歩留まりを向上させるだけでなく、作製する半導体デバイスの性能を向上させることができる。
【0100】
また、大偏向を行なうことが少なくなるので、各偏向器に対して、過大な性能を強要することがない。その結果、半導体装置開発および露光装置のメンテナンスを容易にし、半導体装置の開発コストや露光装置の維持費の削減も期待できる。
【0101】
二つの偏向器の整定待ち時間に基づかずに、二つの偏向器によるビームの偏向距離の対応関係を求めた場合、図4の偏向距離に対する必要な整定待ち時間の特性が変わった場合でも、同じ偏向感度の比を維持していれば、ソーティング、すなわち、電子ビーム露光データの生成を繰り返す必要はないため、電子ビーム露光を行なうための時間を浪費することがなくなる。
【0102】
(第4の実施形態)
本実施形態では、第3の実施形態で説明した露光データ作成方法をより具体的に説明する。
図17は、本発明の第4の実施形態に係わる露光データ作成方法のフローチャートを示す図である。
【0103】
この露光データ作成方法は、各々ハードウェア構成及び/又はソフトウェア構成により実現可能である。ソフトウェア構成により実現される場合、対応する機能を実現させるためのプログラムが予め記憶媒体又はネットワークからコンピュータにインストールされる。これは以下の各実施形態の各装置でも同様である。
【0104】
(ステップS201)
二つの偏向器の整定待ち時間に基づいて、成形偏向器による偏向距離と副偏向器による偏向距離との対応関係を入力する。対応関係は、第3の実施形態で説明したように、次式で表される。
【0105】
【数9】
Figure 2004079792
なお、対応関係が既知でない場合は、対応関係を求めてから入力する。
【0106】
(ステップS202)
キャラクタパターンが抽出されたパターンデータをコンピュータに入力する。パターンデータは、露光を行なう半導体デバイスの回路パターンを、複数の副偏向領域に分割し、各副偏向領域に含まれるキャラクタパターンが抽出されたものである。
【0107】
(ステップS203)
入力されたパターンデータから、副偏向領域内に含まれる各キャラクタパターンの情報を抽出する。ここで抽出する情報は、少なくとも各キャラクタパターンの試料へのショット位置と、キャラクタパターンのキャラクタ開口の種類とを含む。
【0108】
(ステップS204)
一つの副偏向領域に含まれるキャラクタパターンの中から、二つのパターンを抽出する。
【0109】
(ステップS205)
ステップS204で抽出された二つのキャラクタパターンのショット位置から、一つのパターンをショットした後、次のショットを行なうのに必要となる、副偏向器が試料上で電子ビームを偏向する距離LSFを算出する。
【0110】
(ステップS206)
ステップS204で抽出された二つのパターンが同じキャラクタで露光するパターンであるか判定する。二つのパターンが同じキャラクタで露光するパターンであると判定されればステップS207に移り、同じキャラクタではないと判定されればステップS208に移る。
【0111】
(ステップS207)
ステップS206において同じキャラクタで露光されると判定された場合、成形偏向器の偏向距離LSFをショット間の相対的な偏向距離としてショット間距離テーブルに登録する。登録後、ステップS211に移る。
【0112】
(ステップS208)
ステップS206において同じキャラクタで露光されると判定されなかった場合、ステップS204で抽出されたキャラクタパターンに対応するキャラクタ開口の位置から、成形偏向器がCPアパーチャ上で電子ビームを偏向する距離LCPを算出する。そして、距離LCPを(8)式で距離L’CPに換算する。
【0113】
【数10】
Figure 2004079792
【0114】
(ステップS209)
ステップS205で求められた偏向距離LSFとステップS208で求められた偏向距離L’CPの大きさを比較し、L’CP<LSFであるか判定する。L’CP<LSFであると判定されればステップS207に移り、L’CP<LSFでないと判定されればステップS210に移る。
【0115】
(ステップS210)
ステップS208でL’CP<LSFでないと判定された場合、ステップS208で求められた偏向距離L’CPをショット間相対偏向距離としてショット間距離テーブルに登録する。登録後、ステップS211に移る。
【0116】
(ステップS211)
全ての二つのキャラクタパターンの組み合わせについて、ショット間相対偏向距離がショット間距離テーブルに登録されているか判定する。
登録されていない組み合わせがある場合、ステップS204に戻る。
全ての組み合わせについて、ショット間相対偏向距離の登録が行われていた場合、ステップS212に移る。
【0117】
(ステップS212)
上記の各ステップを繰り返すことにより生成したショット間距離テーブルを参照して、巡回セールスマン問題(TSP)のアルゴリズムを使用して、副偏向領域内の全ショットパターンのソーティングを行なう。このとき、TSPのアルゴリズムにより、ショット間距離テーブルに登録されているショット間相対偏向距離をショットの選択順に応じて合計した距離が、もっとも短くなるように、ショットのソーティングを行う。
【0118】
(ステップS213)
以上のようにしてソーティングした露光順序を、露光データとして出力する。
【0119】
以上のようにして、露光データを生成することができる。
【0120】
以上のようにして、露光データを生成し、作成された露光データを用いて電子ビーム露光装置により半導体デバイスパターンの露光を行うことによって、第1及び第3の実施形態で説明した作用・効果が得られる。
【0121】
なお、上記各実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0122】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
【0123】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0124】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0125】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
【0126】
尚、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
【0127】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0128】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0129】
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0130】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ショット待ち時間の合計をもっとも短くすることができるため、偏向距離に応じて整定待ち時間を設定できる偏向器を使用した場合は、露光時間を短縮し、スループットを向上することができる。さらに、ショットごとに電子ビームの大偏向を行なう割合を削減できるため、ショットの位置ズレやビームの成形ミスなどを抑制し、描画精度を向上させ、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる電子ビーム露光装置の電子光学系の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示された露光装置における露光領域とショットの関係を示す模式図。
【図3】各偏向器の偏向電圧に対する偏向距離の特性を示す図。
【図4】偏向距離に対する副偏向器の整定待ち時間を示す特性図。
【図5】デバイスパターンのひとつの副偏向領域のパターンを示す模式図。
【図6】図5に示すパターンを電子ビーム露光するのに用いるCPアパーチャマスクのキャラクタ開口配置を示す平面図。
【図7】ソーティング条件(A)でのキャラクタパターンのショット順序を示す図。
【図8】ソーティング条件(B),(c)でのキャラクタパターンのショット順序を示す図。
【図9】ソーティング条件(D)でのキャラクタパターンのショット順序を示す図。
【図10】ソーティング条件(E)でのキャラクタパターンのショット順序を示す図。
【図11】ソーティング条件(B)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す図。
【図12】ソーティング条件(C)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す図。
【図13】ソーティング条件(D)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す図。
【図14】ソーティング条件(E)での、副偏向器及び成形偏向器の偏向による電子ビームの軌跡を示す図。
【図15】ソーティング方法(A)〜(E)による偏向距離とショット間待ち時間の計算結果のグラフを示す図。
【図16】第2の実施形態に係わる露光データ作成方法のフローチャートを示す図。
【図17】第4の実施形態に係わる露光データ作成方法のフローチャートを示す図。
【図18】静電偏向器の偏向による待ち時間と偏向距離の関係を示す図。
【符号の説明】
400…電子銃
401…電子ビーム(キャラクタビーム)
402…コンデンサレンズ
403…ブランキングアンプ
404…ブランキング偏向器
405…ブランキングアパーチャマスク
406…第1成形アパーチャマスク
407…投影レンズ
408…成形偏向アンプ
409…成形偏向器
410…第2成形アパーチャマスク(CPアパーチャマスク)
411…縮小レンズ
412…副偏向アンプ
413…副偏向器(対物偏向器)
414…対物レンズ
415…主偏向アンプ
416…主偏向器
417…試料

Claims (12)

  1. キャラクタ・プロジェクション方式の荷電粒子ビーム露光における、試料の偏向領域内のキャラクタパターンの露光順序が記述された露光データを作成する荷電粒子ビーム露光データ作成方法であって、
    一つのキャラクタパターンを露光してから次のキャラクタパターンを露光する際、CPアパーチャマスクに形成された任意のキャラクタ開口に荷電粒子ビームを照射しキャラクタ開口形状のキャラクタビームを生成するために前記荷電粒子ビームを偏向させる成形偏向器の性能に関する値と、前記キャラクタビームを試料の前記偏向領域上の任意の位置に照射するためにキャラクタビームを偏向させる対物偏向器の性能に関する値との一方をパラメータとして選択し、
    前記選択されたパラメータに基づいて前記偏向領域内の前記キャラクタパターンの露光順序を決定し、前記露光データを作成することを特徴とする荷電粒子ビーム露光データ作成方法。
  2. 前記成形偏向器の整定待ち時間と前記対物偏向器の整定待ち時間とを比較して長い方を前記パラメータとして選択し、
    前記偏向領域内の全キャラクタパターンを露光する際、選択された整定待ち時間の合計が最も短くなるようにキャラクタパターンの露光順序が決定されることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム露光データ作成方法。
  3. 巡回セールスマン問題のアルゴリズムを用いて、選択された整定待ち時間の合計が最も短くなるキャラクタパターンの露光順序が決定されることを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子ビーム露光データ作成方法。
  4. 前記成形偏向器による前記荷電粒子ビームのCPアパーチャマスク上での偏向距離と、前記対物偏向器による前記キャラクタビームの試料上での偏向距離との対応関係を求め、
    一方の偏向器によるビームの第1の偏向距離と、他方の偏向器によるビームの偏向距離を前記対応関係に基づいて一方の偏向器による偏向距離に換算した第2の偏向距離とを比較した場合に長い方を前記パラメータとして選択し、
    前記偏向領域内の全キャラクタパターンを露光する際、選択された偏向距離の合計が最も短くなるようにキャラクタパターンの露光順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム露光データ作成方法。
  5. 前記対応関係は、前記成形偏向器及び対物偏向器の整定待ち時間に基づいて、求められることを特徴とする請求項4に記載の荷電ビーム露光データ作成方法。
  6. 巡回セールスマン問題のアルゴリズムを用いて、選択された偏向距離の合計が最も短くなるキャラクタパターンの露光順序が決定されることを特徴とする請求項4又は5に記載の荷電粒子ビーム露光データ作成方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載された荷電粒子ビーム露光データ作成方法により作成された露光データを使用して、半導体デバイスパターンの荷電粒子ビーム露光を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. コンピュータに、キャラクタ・プロジェクション方式の荷電粒子ビーム露光における、試料の偏向領域内のキャラクタパターンの露光順序が記述された露光データを作成する機能を実現させるためのプログラムであって、
    一つのキャラクタパターンを露光してから次のキャラクタパターンを露光する際、CPアパーチャマスクに形成された任意のキャラクタ開口に照射しキャラクタ開口形状のキャラクタビームを生成するために荷電粒子ビームを偏向させる成形偏向器の性能に関する値と、前記キャラクタビームを試料の前記偏向領域上の任意の位置に照射するためにキャラクタビームを偏向させる対物偏向器の性能に関する値との一方をパラメータとして選択する機能と、
    選択されたパラメータに基づいて、前記キャラクタパターンの露光順序を決定し、前記露光データを作成する機能とを実現させるためのプログラム。
  9. 前記成形偏向器の整定待ち時間と前記対物偏向器の整定待ち時間とを比較して長い方を前記パラメータとして選択し、
    前記偏向領域内の全キャラクタパターンを露光する際、選択された整定待ち時間の合計が最も短くなるようにキャラクタパターンの露光順序が決定されることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
  10. 巡回セールスマン問題のアルゴリズムを用いて、選択された整定待ち時間の合計が最も短くなるキャラクタパターンの露光順序が決定されることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
  11. 前記成形偏向器による前記荷電粒子ビームのCPアパーチャマスク上での偏向距離と、前記対物偏向器による前記キャラクタビームの試料上での偏向距離との対応関係が予め求められ、
    二つのキャラクタパターンを順次露光する場合における、一方の偏向器によるビームの第1の偏向距離と、他方の偏向器によるビームの偏向距離を前記対応関係に基づいて一方の偏向器による偏向距離に換算した第2の偏向距離とを比較した場合に、長い方を前記パラメータとして選択し、
    前記偏向領域内の全キャラクタパターンを露光する際、選択された偏向距離の合計が最も短くなるようにキャラクタパターンの露光順序を決定することを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
  12. 巡回セールスマン問題のアルゴリズムを用いて、選択された偏向距離の合計が最も短くなるキャラクタパターンの露光順序が決定されることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
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