JP2004060065A - 染色布帛およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】海成分が易アルカリ溶解性ポリエステルであり、島成分が単繊維繊度0.5〜0.05デシテックスのポリエステルである海島型ポリエステル繊維とポリアミド繊維とを混用してなる布帛を形成した後に、ポリエステル繊維の海成分の少なくとも一部を溶解し、ベンジルアルコール溶液で収縮処理することにより、単繊維繊度が5.0〜0.5デシテックスのポリアミド繊維とした後、染色仕上げする染色布帛の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル繊維とポリアミド織物との混用した染色布帛およびその製造方法に関する。
【0002】
更に詳しくは、微毛感タッチの良好なソフト性を有しながら、極めて緻密なコンパクト感のある張り、腰のある風合いを兼備し、且つ簡単に風合いの多様性が図れる染色布帛とその製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
一般に、ポリエステル繊維は高結晶で剛性が強く、布帛にしたときはガサガサして着心地はさほど良くないものである。また、ポリアミド繊維は染色性は良いものの、ツルツルした風合いで外衣には不向きでパンストやインナーウェア用途で展開されている。従って、これらの混用した布帛はガサガサ、ツルツルした風合いとなり、婦人服に代表される高級衣服には作り得ない。
【0004】
かかる問題に対し、ポリエステル繊維では単繊維繊度を細くし、ソフトな風合いを作る試みがあるが、溶融紡糸での糸切れの問題から、せいぜい単繊維繊度は0.8デシテックス程度のものが限界であった。そこで海島型ポリエステル繊維に代表される、単繊維繊度が0.5〜0.05デシテックスの極細繊維が作られたが、これを単独で用い、構成される布帛は腰がなく、極めてタラタラしたものとなり、衣服にするには不十分であった。
【0005】
一方、ポリアミド繊維は上述したようにツルツルした風合いを改善するため、繊維の断面を三角〜五角形にしたり、酸化チタンを混入させて繊維表面の摩擦係数を上げてサラットした風合い作りを試みているが、ポリアミド繊維のヤング率が低いという本質的な物性のために、張り、腰がなく外衣にはまだ作り得ないものであった。
【0006】
近年、ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用した布帛としては、特開平2−84591、特開昭61−34276、特開昭63−6130に代表されるように、ポリエステル成分とポリアミド成分が放射状に接合された複合繊維、いわゆるフィブリル繊維が知られている。
【0007】
また、特開平2−84591ではフィブリル型複合繊維をフィブリル化することにより、単繊維繊度が1デニール以下のポリエステル繊維とポリアミド繊維が得られるフィブリル型複合繊維の製造方法が知られている。特開昭61−34276ではフィブリル化後に単繊維繊度が0.5デニール以下のポリエステル繊維とポリアミド繊維が得られるフィブリル型複合繊維の製造方法が知られている。特開昭63−6130ではモノフィラメントとフィブリル型複合繊維との交織織物の製造方法が知られている。
【0008】
これらの公知の方法はいずれもポリエステル繊維とポリアミド繊維が複合されたフィブリル型複合繊維であり、各成分がフィブリルした後は、単繊維繊度としては1.1デシテックス或いは0.5デシテックス以下の細繊維でそれなりのソフトな風合いを作り得る。
【0009】
しかしながら、該繊維は複合するポリエステル成分とポリアミド成分の繊度(単繊維繊度)が製糸の段階で決められてしまうため、布帛にしたときにいつも同じ風合いとなり、飽きられる傾向がある。風合いに多様性を持たせるために、いろいろな単繊維繊度の複合繊維を作ることも考えられるが、製造効率が悪く、実際には作り得ないのが、実状である。
【0010】
また、従来のポリエステル繊維とポリアミド繊維とを混用した布帛では、婦人服に代表される高級衣服の風合い、即ち、ソフトで、張り、腰がある風合いは得られていないという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、微毛感タッチの良好なソフト性を有しながら、極めて緻密なコンパクト感のある張り、腰のある風合いを兼備し、且つ簡単に風合いの多様性が図れるポリエステル繊維とポリアミド織物とを混用した染色布帛とその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は下記の構成を有する。
【0013】
すなわち、本発明は、海成分が易アルカリ溶解性ポリエステルであり、島成分が単繊維繊度0.5〜0.05デシテックスのポリエステルである海島型ポリエステル繊維とポリアミド繊維とを混用してなる布帛を形成した後に、ポリエステル繊維の海成分の少なくとも一部を溶解し、ベンジルアルコール溶液で収縮処理することにより、単繊維繊度が5.0〜0.5デシテックスのポリアミド繊維とした後、染色仕上げする染色布帛の製造方法、
上記方法により得られた染色布帛の製造方法、
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明でいう海島型ポリエステル繊維とは海成分に易アルカリ溶解性ポリエステルを、島成分に単繊維繊度が0.5〜0.05デシテックスのポリエステル繊維を海島状に複合した複合繊維である。
【0016】
本発明の海成分の易アルカリ溶解性ポリエステルは、島成分のポリエステルに対して、3%苛性ソーダ溶液で98℃×60分間処理したときのアルカリ溶解(減量)速度が30倍〜200倍速く溶解するポリエステルと定義される。すなわち、熱アルカリ液で海成分を選択的に溶解させ、相対的に溶解速度の遅い島成分のみを残して極細のポリエステルを布帛とした後に作り得るものである(脱海処理)。
【0017】
アルカリ溶解速度が30倍未満の海成分では溶解速度が遅すぎて、島成分が残存し、風合いが硬くなるので、好ましくない。また、200倍を越える海成分はポリマーの融点が低くなり、複合繊維の紡糸或いは延伸工程で糸切れが多くなり、製糸が困難となり好ましくない。ソフトな風合いと製糸性との兼ね合いから、好ましくは30倍〜200倍の溶解速度を持つ海成分であり、更に好ましくは50〜150倍のものが良い。
【0018】
かかる易アルカリ溶解性ポリエステル成分としては、具体例を示すならば、ポリエステルにスルホイソフタル酸を4.0〜10.0モル共重合した共重合ポリエステル、スルホイソフタル酸にポリエチレングリコールを1〜10wt%さらに共重合した共重合ポリエステル等である。また、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等の酸成分およびポリプロピレングリコールなどのジオールを適量、共重合させたものも用いることができる。
【0019】
島成分のポリエステルは上記アルカリ溶解速度の相対的に遅い、通常のホリエチレンテレフタレート等を用いることが好ましい。海成分が速く溶けて、島成分の極細糸を簡単に得られるからである。
【0020】
島成分の単繊維繊度は0.5〜0.05デシテックスであるが、0.5デシテックスを越える太繊度のものは風合いが硬くなり、好ましくない。また、0.05デシテックスの未満の細繊度糸では風合いがタラタラ過ぎて腰がなくなることおよび製糸で糸切れが発生しやすくなり、好ましくない。
【0021】
かかる海島型ポリエステル繊維は別々に溶融された海成分と島成分ポリマーが同一の口金の中で接合する、通常の複合紡糸装置で1100〜1400m/分の紡糸速度で紡糸できる。紡糸後は3.5〜4.0倍に延伸し、延伸糸を得る。
【0022】
延伸糸の総繊度は、例えば40〜300デシテックス、フィラメント数は5〜50フィラメントで、1フィラメントあたり島本数が40〜90島であることが好ましい。また、海成分と島成分の複合比率は海成分は8〜30wt%の割合で複合しているものが好ましい。
【0023】
かかる延伸糸を用いて布帛とした後に、海成分を溶解、除去して、島成分の単繊維繊度が0.5〜0.05デシテックスのポリエステル繊維を得る。
【0024】
本発明でいうポリアミド繊維とは、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維である。
【0025】
ポリアミド繊維の単繊維繊度は5.0〜0.5デシテックスであり、上記の島成分のポリエステルより全体に太めの繊度である。これはポリアミド繊維はポリエステル繊維に比べてヤング率が低く、腰がない風合いになるため、ポリエステルと混用したときに少しでも太い繊度にして腰を強くするためである。また、ベンジルアルコール処理でポリアミドを収縮させて腰のある風合いを得るための風合いバランスを考慮した単繊維繊度に設定している。
【0026】
かかるポリアミド繊維の単繊維繊度は5、0デシテックスを越える太繊度のものは風合いが硬くなり、好ましくない。また、0.05デシテックス未満の細繊度糸では風合いがソフトになり過ぎて腰がなくなることから、好ましくない。
【0027】
上記海島型ポリエステル繊維とポリアミド繊維の糸形態としては、糸形態はマルチフィラメント、紡績糸のいずれでも限定するものではないが、風合いを簡単に創出できることおよび風合いを制御しやすいことことから、マルチフィラメントが好ましい。
【0028】
かかるマルチフィラメントで混用する利点は、ポリアミド繊維は原糸品種が多く、単繊維繊度が極めて多様なものがあり、従って、海島型ポリエステル繊維と混用することにより、簡単に多様な風合いが得られやすいことである。
【0029】
かかるマルチフィラメント同士で混繊したものとしてはエアー混繊糸、仮撚り混繊糸、タスラン混繊糸が良い。これは混繊加工した後、布帛に形成後にポリアミド繊維がベンジルアルコール溶液処理を受けて、大きく収縮して混繊糸の中心部(芯部)に入り適度な腰のある風合いを付与し、一方の極細のポリエステルが混繊糸の表面(鞘部)に浮かびあがり、微毛タッチの絶妙な風合いが得られ、好ましい布帛を創出できるからである。
【0030】
具体的には、エアー混繊は通常の方法で上記芯/鞘構造が作ることができる。仮撚り混繊は嵩高の風合いが得られるが、更に風合いを高質なものとするには、布帛形成後のベンジルアルコール処理で更に大きく収縮させるように、通常の仮撚り加工温度より低めの140〜180℃の低温領域で仮撚りすることが好ましい。また、タスラン混繊加工によれば、ポリアミド繊維に対し、海島型ポリエステル繊維側にオーバーフィードをかけて混繊加工することにより、布帛とした後のベンジルアルコール処理でポリアミド繊維(芯)とポリエステル繊維(鞘)との糸長差を極めて大きくでき、膨らみのある風合いが得られることから、最も好ましい方法である。
【0031】
一方、かかる混繊加工することなく、上記海島型ポリエステル繊維とポリアミド繊維をそれぞれ単独に用いた織物も、本発明の特徴ある風合いが得られるので好ましい。ポリエステル繊維とポリアミド繊維のどちらか一方を織物の経糸あるいは緯糸として交織されたものであり、更にはポリエステル繊維を経糸とし、ポリアミド繊維を緯糸として交織されているものは、織物の収縮バランスがとれてコナレのある風合いとなり、より好ましい布帛である。
【0032】
続いて、混繊糸あるいは海島型ポリエステル、ポリアミドをそれぞれ単独に用いて、通常の方法で交織、交編、製布する。
【0033】
製織方法としては、従来の公知の方法がいずれも使用できる。織機としては、フライシャットル式、エア−ジェット式、ウォ−タ−ジェット式、レピア式、スルザ−式の何れの方式の織機を使用しても良いが効率的な製織を行えることから、エア−ジェット式、ウォ−タ−ジェット式、レピア式、スルザ−式が特に好ましい。また、織物の組織としては、限定することはないが、平織、ツイル、繻子織り、二重織、リップストップ組織が本発明の特徴が発揮できるので好ましい。
【0034】
編み物では製編方法としては、従来の公知の方法がいずれも使用できる。編み物の形態は丸編み地、経て編み地、横編み地等であり、編み物の組織としては、限定することはないが、スムース、天竺、ミラノリブ組織が本発明の特徴を特に発揮できるので好ましい。また、不織布であってもよい。
【0035】
次いで布帛の染色加工について説明する。
【0036】
布帛形成した生機を、通常の方法で精練し、次いで、海島型ポリエステル繊維の海成分を熱アルカリ液で溶解、除去する。溶解条件としては限定しないが、80〜110℃の比較的低温領液で処理すると、海成分を選択的に溶解除去できるので、好ましい。
【0037】
次いで、ポリアミド繊維側をベンジルアルコール溶液で加熱しながら収縮処理するものであり、収縮を十分にさせるため、少なくとも80℃に加熱しながら収縮処理することが好ましい。処理方法としては連続処理或いは液流染色機のバッチ方法が適用できるが、本発明では極細のポリエステルを用いていることおよびポリアミド繊維側がベンジルアルコール溶液で大きく収縮するので、加工シワが発生しやすく、これを防止できることから、連続処理方法が好ましい。
液流染色機のバッチ方法では加工シワ、特にロープ状の加工シワが発生しやすい傾向がある。
【0038】
連続処理としての一例は次のとおりである。
【0039】
15〜40%のベンジルアルコール溶液を布帛に浸漬し、これをマングルで均一に絞り、引き続き、精練槽で80℃〜98℃の熱湯水に投入、3〜5分浸漬処理する方法である。この方法は布帛を拡布状で連続して処理できるもので、処理効率が良く、処理コストも小さく、メリットが大きい方法である。このような処理設備は通常の染色加工場の設備で十分対応できるものである。
【0040】
上記のベンジルアルコール処理で、布帛は少なくとも10%以上収縮できる。これを引き続き、90℃〜130℃の温度で染色することにより、更に5%以上収縮でき、ベンジルアルコール処理と染色を合わせて15%以上収縮させることが好ましい。ここで、収縮率は、次の式で示される値であり、幅収縮率、長さ収縮率のいずれかにおいて、15%以上収縮されることが好ましい。
【0041】
A、幅収縮率(%)={生機幅(cm)−仕上げ品の幅(cm)}×100/生機幅(cm)
B、長さ収縮率(%)={生機長さ(m)−仕上げ品の長さ(m)}×100/生機長さ(m)
染色は通常の方法で染色することができ、例えば、ポリエステル側は分散染料で、ポリアミド側は酸性染料で染色することができる。染色後は通常の方法で仕上げセットし、仕上げる。
【0042】
かかる製造方法により、微毛感タッチの良好なソフト性を有しながら、極めて緻密なコンパクト感のある張り、腰のある風合いを兼備し、且つ簡単に風合いの多様性が図れるポリエステル繊維とポリアミド織物との混用した染色布帛が得られる。
【0043】
本発明の染色布帛は、かかる特徴を有することから、婦人・紳士・子供用のコート、ジャケット、ブルゾン、スラックス、ブレザー、スーツ、シャツ、ドレスシャツ、およびスポーツ用アスレチックウェア、ゴルフウェア、およびユニフォーム等として好適に用いることができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明する。なお、以下の実施例、比較例で示した評価は、次の方法で実施したものである。
【0045】
(1)布帛の繊維の単繊維繊度の測定
仕上げた染色布帛を分解して、これを走査型顕微鏡で分解糸の糸の断面10ケ所を観察し、写真に撮影する。この糸の断面のサイズから島成分のポリエステル繊維およびポリアミド繊維の単繊維繊度(平均値)を読みとる。
【0046】
(2)布帛表面のポリエステル繊維の露出面積
布帛を5.0%の黒色の金属錯塩酸性染料で染色、染色されないポリエステル繊維側を走査型顕微鏡で布帛表面を10ケ所観察し(ポリアミド繊維側は黒色に染色)、露出している面積の割合(平均値)を読みとる。
(3)ソフト感、膨らみ感
風合いを10人の風合い判定者で官能判定し、
◎ :ソフトで膨らみがあり、極めて良好
○ : 良好
△ :ソフトで膨らみがなく、 やや不良
× : 不良
(4)張り、腰
風合いを10人の風合い判定者で官能判定し、
◎ :適度な張り、腰があり、極めて良好
○ : 良好
△ :張り、腰ががなく、やや不良
× : 不良
(5)海成分の溶解性
布帛中の海島型ポリエステルの海成分含有量(海成分の複合率)がアルカリ処理で海成分含有量の少なくとも5%以上上回るように布帛が減量、溶解した状態で、このものを0.05%のカチオン染料で染色したときに布帛が殆ど染色されていないことを海成分の溶解性が良好として評価した。
(6)仕上げ加工収縮率
織、編に製布した生機に対し、アルカリ処理、ベンジルアルコール処理、染色を経て仕上げた加工布の収縮率を仕上げ加工収縮率と定義して、布帛の幅および長さ方向の収縮率を下記式で算出した。
【0047】
A、幅収縮率(%)={生機幅(cm)−仕上げ品の幅(cm)}×100/生機幅(cm)
B、長さ収縮率(%)={生機長さ(m)−仕上げ品の長さ(m)}×100/生機長さ(m)
実施例1
<製糸>
(1)海島型ポリエステル繊維
海成分として、ポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を4.8モル共重合した共重合ポリエステルを用いた。
【0048】
島成分として酸化チタンを0.4wt%添加したホモポリマーポリエステルを用い、1フィラメントあたり島本数80島で、海成分:20.0wt%、島成分:80.0wt%の比率で複合紡糸した。
【0049】
通常の複合紡糸装置で紡糸速度1400m/minで溶融紡糸し、紡糸後は3.8倍の延伸を行い、海島型ポリエステル繊維延伸糸を得た。延伸糸は66デシテックス、9フィラメント(720島)のマルチフィラメント糸であり、強度:5.2g/デシテックス、伸度:28%であった。
(2)ポリアミド繊維
酸化チタンを0.2wt%添加した極限粘度0.65のナイロン−6の重合体を紡糸速度3000m/分で溶融紡糸し、延伸倍率1.69倍、延伸速度820m/分の条件で延伸した。延伸糸は78デシテックス、68フィラメントのマルチフィラメント糸であり、強度:5.1g/デシテックス、伸度:36%であった。
<糸加工>
上記ポリアミドマルチフィラメント糸を芯糸とし、上記海島型ポリエステルマルチフィラメント糸にオーバーフィード11%をかけて鞘糸としたタスラン混繊加工を行った。得られた混繊加工糸は151デシテックス、77フィラメントのループ混繊糸であり、加工糸の強度:4.8g/デシテックス、伸度:44%であり、既にやや膨らみ感のある加工糸であった。
<製布>
得られた混繊加工糸を経糸及び緯糸に用い、ウォ−タ−ジェット織機で織物に製布した。この時の織物組織は平組織で、織物の幅は185.0cm、織物の長さは65.0m、織物密度は、経糸密度125本/吋、緯糸密度88本/吋の生機であった。
<染色加工>
得られた生機を精練(95℃×2分、拡布連続精練)し、次いで液流染色機で2.8%苛性ソーダ溶液を用いて、98℃×70分間処理し、水洗した。引き続き、生機を拡布状で、30%ベンジルアルコール溶液に浸漬した後、これをマングルでピックアップ率80%として均一に絞り、引き続き、95℃の熱湯水に投入、5分間浸漬して布帛を連続的に収縮処理した。その後、水洗、乾燥した。
【0050】
次いで175℃の乾熱でピンテンターでセットした。次いでブルーの分散染料と酸性染料を用いて液流染色機で120℃×60分間染色し、仕上げた。
【0051】
なお、この加工におけるアルカリ処理ではポリエステルの海成分が完全に溶解していることを確認した。また、ベンジルアルコール処理による織物の幅収縮率と長さ収縮率は18.8%、13.5%であり、引き続き行った染色と合わせて仕上げの加工収縮率は表1の結果であり、15%以上の加工収縮であった。仕上げ品は幅:127.1cm、長さ:48.4m、経糸密度182本/吋、緯糸密度118本/吋であった。
【0052】
この仕上がり織物についての性能結果を表1に示す。
比較例1
海島型ポリエステルマルチフィラメント糸に替えて通常のポリエステルマルチフィラメント糸(54デシテックス、72フィラメント、単繊維繊度:0.77デシテックス)を用いた以外は実施例1と同様に混繊加工、製布、ベンジルアルコール処理、染色し、仕上げ処理を行った。
比較例2
実施例1において、ベンジルアルコール処理をしない以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
【0053】
比較例1、比較例2により得られた織物の性能結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
注) T:ポリエステル繊維側、 N:ポリアミド繊維側
表1に示すように、本発明は微毛感タッチの良好なソフト性を有しながら、極めて緻密なコンパクト感のある張り、腰のある風合いのブルー色の極細ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用織物であった。また、混繊加工により、海島型ポリエステルと各種のポリアミド繊維との混繊が簡単に行え、風合いの多様性が図れ、効率よく製造できるものであった。
【0056】
更には、原糸の製糸、タスラン混繊加工、製織、海成分の溶解処理、ベンジルアルコール処理、染色など各工程でのトラブルは全くなく、円滑に製造することができた。
【0057】
比較例1では風合いがハードであり、好ましくないものであった。比較例2では 加工収縮が不足しており、扁平な風合いで平凡なものであった。
実施例2
<製糸>
(1)海島型ポリエステル繊維
84デシテックス、36フィラメント(4320島)の延伸されたマルチフィラメント糸を用い、強度:5.4g/デシテックス、伸度:26%であることを除いては、実施例1に準じて製糸、マルチフィラメント延伸糸を得た。
【0058】
(2)ポリアミド繊維
実施例1と同様に製糸し、マルチフィラメント延伸糸を使用した。
<製布>
糸加工で混繊加工することなく、上記延伸糸の海島型ポリエステル繊維を単独に用いて経糸に、ポリアミド繊維を単独に用いて緯糸に交織織物にした。この時の織物組織は綾(2/2ツイル)組織で、織物の幅は190.4cm、織物の長さは66.4m、織物密度は、経糸密度144本/吋、緯糸密度90本/吋の生機であった。
<染色加工>
得られた生機をグレーの分散染料と酸性染料を用いて液流染色機で染色したことを除いて実施例1に準じて、アルカリ処理、ベンジルアルコール処理、染色し仕上げた。
【0059】
なお、この加工におけるアルカリ処理ではポリエステルの海成分が完全に溶解していることを確認した。また、ベンジルアルコール処理による織物の幅収縮率と長さ収縮率は20.2%、14.9%であり、引き続き行った染色と合わせて、仕上げの加工収縮率は表2に示したとおりであり、15%以上の加工収縮であった。仕上げ品は幅:125.5cm、長さ:54.1m、経糸密度218本/吋、緯糸密度110本/吋であった。
【0060】
この仕上がり織物の性能結果を表2に示す。
【0061】
比較例3
海島型ポリエステルマルチフィラメント糸に替えて通常のポリエステルマルチフィラメント糸(86デシテックス、96フィラメント単繊維繊度:0.89デシテックス)を用いた以外は実施例2と同様に製布、ベンジルアルコール処理、染色し、仕上げた。
【0062】
比較例3のより得られた織物の性能結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表2に示すように、本発明は微毛感タッチの良好なソフト性を有しながら、極めて緻密なコンパクト感のある張り、腰のある、素晴らしい風合いのグレー色の極細ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用綾織物であつた。なお、原糸の製糸〜製織〜海成分の溶解処理〜ベンジルアルコール処理〜染色を通じてトラブルは全くなく、スムーズに製造することができた。
【0065】
比較例3では風合いがハードであり、膨らみ感に欠け、扁平な風合いで平凡な織物であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、微毛感タッチの良好なソフト性を有しながら、極めて緻密なコンパクト感のある張り、腰のある風合いを兼備し、且つ簡単に風合いの多様性が図れるポリエステル繊維とポリアミド織物との混用した染色布帛を提供することができた。
Claims (10)
- 海成分が易アルカリ溶解性ポリエステルであり、島成分が単繊維繊度0.5〜0.05デシテックスのポリエステルである海島型ポリエステル繊維とポリアミド繊維とを混用してなる布帛を形成した後に、ポリエステル繊維の海成分の少なくとも一部を溶解し、ベンジルアルコール溶液で収縮処理することにより、単繊維繊度が5.0〜0.5デシテックスのポリアミド繊維とした後、染色仕上げする染色布帛の製造方法。
- ポリエステル繊維とポリアミド繊維とがマルチフィラメントの混繊糸である請求項1に記載の染色布帛の製造方法。
- 布帛の表面に露出しているポリエステル繊維が少なくとも60%以上である請求項1または2記載の染色布帛の製造方法。
- ポリエステル繊維とポリアミド繊維のどちらか一方を織物の経糸あるいは緯糸として交織されている請求項1記載の染色布帛の製造方法。
- 布帛形成後にポリアミド繊維がベンジルアルコール溶液処理と染色とにより、少なくとも15%に収縮されている請求項1〜4のいずれかに記載の染色布帛の製造方法。
- ベンジルアルコール溶液による収縮処理が、加熱処理である請求項1〜5のいずれかに記載の染色布帛の製造方法。
- 海島型ポリエステル繊維とポリアミド繊維がマルチフィラメントであり、これにエアー混繊、仮撚り混繊、タスラン混繊から選ばれる加工により混繊されている請求項1〜6のいずれかに記載の染色布帛の製造方法。
- ベンジルアルコール溶液で80℃以上に加熱しながら収縮処理し、次いで90℃〜130℃の温度で染色することにより、布帛を少なくとも15%収縮させる請求項6または7記載の染色布帛の製造方法。
- 布帛を拡布状で、ベンジルアルコール溶液に浸漬した後、これをマングルで均一に絞り、引き続き、80℃〜98℃の熱湯水に投入、浸漬し、布帛に連続的に収縮処理をする請求項6〜8のいずれかに記載の染色布帛の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により製造された染色布帛。
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