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JP2004047088A - 磁気テープ - Google Patents

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JP2004047088A JP2003271641A JP2003271641A JP2004047088A JP 2004047088 A JP2004047088 A JP 2004047088A JP 2003271641 A JP2003271641 A JP 2003271641A JP 2003271641 A JP2003271641 A JP 2003271641A JP 2004047088 A JP2004047088 A JP 2004047088A
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Abstract

【課題】同時重層塗布型の磁気テープとして、磁性層の厚みと、磁性層と直下の中層結合層との界面における界面変動を制御することができ、その結果、孤立波形のPW50値の低減と変調ノイズの低減とが図られて良好なC/N特性を示す磁気テープを提供する。
【解決手段】テープ状の非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含有してなる下層非磁性層と、強磁性粉末および結合剤を含有してなる上層磁性層とを有する塗布型の磁気テープにおいて、上層磁性層の直下に、実質的に結合剤だけを含む平均乾燥厚みが10nm以上50nm未満の中層結合層を設ける。上層磁性層の平均乾燥厚みdは5nm以上100nm以下にする。上層磁性層の長手方向の角形比が0.8以上にする。また、本質的に球状ないし楕円状の鉄系磁性粉末や、板状の強磁性粉末を用いる。
【選択図】なし

Description

 本発明は、例えばコンピュータのデータバックアップ用として好適に用いられる塗布型の磁気テープに関する。
 磁気テープには、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化にともない、1巻当たり数10GB〜100GBの記録容量のものが商品化されている。また、今後100GBを超える大容量バックアップテープが提案されており、その高記録密度化は不可欠である。
 このような高記録密度化に対応するため、磁気テープを製造するに際しては、微粒子化しかつ磁気特性を向上させた強磁性粉の使用、強磁性粉のさらなる充填性、分散性の向上が必要であり、また、短波長記録になればなるほど、記録・再生時の反磁場による減磁を小さくするために磁性層厚さを小さくすることが必要となってきている。
 強磁性粉の磁気特性の改善にあたっては、磁性層の残留磁化の大きい方が高出力化に望ましい。このため、磁性粉として、従来の酸化物磁性粉やコバルト含有酸化鉄磁性粉に代わり、強磁性鉄系金属粉を用いることが主流になりつつあり、例えば保磁力(Hc)が119kA/m(1500Oe)以上の強磁性鉄系金属粉も提案されている(特許文献1〜3)。また、軸比(長軸長/短軸長)が1〜2の本質的に球状ないし楕円状の、希土類−鉄−ホウ素系磁性粉末(特許文献4)、希土類−鉄系磁性粉末(特許文献5)のような希土類−鉄系磁性粉末も提案されている。これらの磁性粉末に使用されている希土類元素としては、イットリウム、イッテルビウム、セシウム、プラセオジム、サマリウム、ランタン、ユーロピウム、ネオジム、テルビウムなどから選ばれる少なくとも1種の元素が用いられるが、その中でも、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、イットリウム(Y)が、好ましく使用されている。さらに、Fe162 相を主相としたBET比表面積が10m2 /g以上の本質的に球状(球状や立方体形状)の窒化鉄系磁性粉末(特許文献6)も知られている。これらの本質的に球状ないし楕円状の金属系磁性粉末の保磁力は、80kA/m以上である。
 強磁性粉を用いた磁性層の磁気特性を改善するには、強磁性粉の分散性の向上が効果的である。強磁性粉の分散性を向上させる手段としては、スルホン酸基、リン酸基またはこれらのアルカリ金属塩などの極性官能基を有する結合剤を用いたり、結合剤とともに低分子量の分散剤を併用したり、また磁性塗料の混練分散工程を連続的に行ったり、分散後に潤滑剤を後添加するなどの手段が提案されている(例えば特許文献7〜10参照)。
 また、磁気特性を改善するためには磁性粉の高充填化も必要となる。一般に、磁性層における単位面積当たりの磁性粉充填量はMrt値(磁性層の残留磁束密度と磁性層厚さとの積の値。以下、単に「Mrt」ともいう。)で代表されるが、この値が大きいほど再生出力が高くなる。しかし、Mrtを大きくすると、同時に孤立波形のPW50値(ここで言うPW50値とは、孤立再生波形、すなわち1パルスの記録電流によって磁気記録媒体に記録した信号の再生波形のピーク半値幅を長さ単位で表した値である。以下、単に「PW50」ともいう。)も大きくなってしまう。PW50が大きくなることは信号の分解能が落ちることであるので、高記録密度では記録再生できないことになる。このため、Mrtをいたずらに大きくすることはできない。
 一方、最近のMRヘッド(磁気抵抗効果型素子を利用した再生用の磁気ヘッド)を用いた再生システムの発達により、記録波長の更なる短波長化が進められており、例えばデジタルデータストレージシステムの最新機器においては500nm以下の最短記録波長が採用されている。MRヘッドを採用している場合、各MR素子(磁気抵抗効果型素子)に対する適切なMrt値を超えるとMR素子の飽和が起こり、出力はほとんど増加しないのにもかかわらず、バックグラウンドとして存在するノイズの増加分の方が大きくなる。このため実際の信号再生時に検出されるC/Nの値は小さくなってしまい、良好な電磁変換特性が得られなくなる(例えば特許文献11・12)。このため、残留磁束密度を変化させないとすると、磁性層厚さは最短記録波長の1/3程度以下が必要とされており、上記のような磁気記録再生システムにおいては、磁性層厚さを100nm以下の極めて薄層とする必要がある。
 ところで、上記のような磁性層の高性能化の他に、短波長記録に適した磁気記録媒体の構造とするため、磁性層と非磁性支持体の間に下層非磁性層を設け、磁性層を600nm以下の薄層とすることが提案されている(特許文献13)。これらの磁気記録媒体は、上層磁性層を薄層化することによるMrt値の適切化、自己減磁損失・再生損失の低減とともに、磁性層の薄層化による走行性・耐久性の低下を改善することを目的としている。また、上層磁性層と下層非磁性層との間に中間層を設けることも提案されている(特許文献14)。
 更にMRヘッドを用いたシステムにおいては、磁化反転体積中に含まれる強磁性粉の数が多い方が、低ノイズ化を実現できて高いC/Nが得られ、高記録密度に対して有利となってくる。このため磁性粉の長軸長が100nm以下である超微粒子粉を用いることが必要となってくる。
特開平5−234064号公報 特開平6−25702号公報 特開平6−139553号公報 特開2001−181754号公報 特開2002−56518号公報 特開2000−277311号公報 特開平2−101624号公報 特開平3−216812号公報 特開平3−17827号公報 特開平8−235566号公報 特許第3046579号公報 特開平10−134306号公報 特開平5−234063号公報 特開平5−290353号公報
 しかしながら、上記のような下層非磁性層を設けることによる磁性層薄膜化にも限界がある。実際、100nm以下の磁性層の作製は、膜厚制御及び生産性の観点から難しく、たとえ100nmに近い膜厚で磁性層が作製できたとしても、上層磁性層と下層非磁性層との界面における界面変動を50nm以下に制御することは非常に困難である。この上下層界面の変動が大きいと、変調ノイズ(キャリア周波数近傍ノイズ)が高くなり、良好な電磁変換特性を得ることができなくなる。
 また、先に述べたように特許文献14では上層磁性層と下層非磁性層との間に中間層を設けることが提案されているが、これは上層磁性層を斜めないし垂直方向に配向させることを目的としたもので、厚みが100〜800nmで、上層磁性層と中間層との界面の変動は逆に非常に大きくなるという問題点がある。また、中間層が厚くなると下層非磁性層から潤滑剤を上層磁性層に供給することができなくなるために磁気テープの耐久性が低下する。
 本発明は、上記のような課題に対処するもので、小さいPW50値と高いC/Nを示す、電磁変換性に優れた磁気テープを提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、上層磁性層の直下に実質的に結合剤(バインダ樹脂)だけを含む平均乾燥厚みが10nm以上50nm未満の中層結合層を設けることで、上層磁性層の膜厚を100nm以下に制御し、かつ両者の界面変動を小さく抑えることができ、結果、良好な電磁変換特性が得られることを見い出した。
 本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものである。すなわち、本発明は、テープ状の非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含有してなる下層非磁性層と、強磁性粉末および結合剤を含有してなる上層磁性層とを有する塗布型の磁気テープにおいて、以下のように構成したものである。
 すなわち、上層磁性層の直下に、実質的に結合剤だけを含む平均乾燥厚みが10nm以上50nm未満の中層結合層を設ける。また中層結合層が湿潤状態にあるうちに上層磁性層を設け、この上層磁性層の平均乾燥厚みdを5nm以上100nm以下にする。さらに上層磁性層の長手方向の角形比を0.8以上にする。なお、中層結合層は、実質的に結合剤だけを含む構成とするが、ここでいう「実質的に」とは、塗料の分散性を高める分子量1000以下の低分子の有機物、および電気伝導度調節用の無機物の合計が乾燥重量比率で3重量%以下であるという意味である。
 中層結合層を構成する結合剤としては、有機溶剤溶性または水溶性の有機高分子を用いることができる(請求項3)。中層結合層は、下層非磁性層が湿潤状態にあるうちか又は下層非磁性層の塗布乾燥後に設ける(請求項4、5)。
 幅方向に沿って測定した、上層磁性層と中層結合層との界面における界面変動の最大値をPVtとしたときに、この値PVtと前記上層磁性層の平均乾燥厚みdとの比(PVt/d)が(PVt/d)<0.5である構成(請求項2)とすると、上層磁性層と中層結合層との界面が平滑になるので好ましい。また、長手方向に沿って測定した、上層磁性層と中層結合層との界面における界面変動の最大値をPVmとしたときに、この値PVmと前記上層磁性層の平均乾燥厚みdとの比(PVm/d)が(PVm/d)<0.5である構成(請求項2)とした場合も、上層磁性層と中層結合層戸の界面が平滑になるので好ましい。
 上層磁性層の表面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.5〜5nmが好ましく、4nm以下がより好ましく、1〜3nmの範囲が最も好ましい。5nm以下が好ましいのは、表面性がこの値を超えると磁気ヘッドと媒体間のスペーシングが大きくなり、十分な再生出力を得ることが出来なくなるためである。また、あまりに表面性が良くなり0.5nm未満になると、磁気ヘッドと媒体間の摩擦係数が高くなり、走行性、耐久性を劣化させてしまうためである。
 また、上層磁性層の残留磁束密度(Br)は、0.1〜0.5Tが好ましく、0.12Tがより好ましく、0.3〜0.5Tがさらに好ましく、0.32T以上がいっそう好ましく、0.35〜0.4Tの範囲であることが最も好ましい。Brが0.1T以上が好ましいのは、これに満たないと磁気記録媒体からの漏れ磁束が小さくなり、十分な再生出力を得ることが出来なくなるためである。また、Brが0.5T(5000G)を超えるものは製造がむずかしくい上、0.5Tを超えるとMrtの値も大きくなるので、PW50値が大きくなってしまうためである。
 なお、Brが0.3T以上のものは、鉄系磁性粉末を使用した場合に得られやすい。
 前記強磁性粉末は、本質的に球状ないし楕円状の、鉄系磁性粉末であることが好ましい。本質的に球状ないし楕円状であると、磁場配向時の磁性粉の乱れにより磁性層と隣の層との界面に乱れを生じることがないので、界面変動量が小さくなるので好ましい。
 前記強磁性粉末は、板状の、強磁性粉末であることが好ましい。板状の六方晶磁性粉末は粒子サイズ(板径)が小さくなっても高保磁力が維持できるため、低ノイズで短波長記録特性に優れる磁気テープが得られるので、好ましい。
 本発明によれば、上層磁性層の厚みを小さくしたうえで、上層磁性層と直下の中層結合層との界面における界面変動を制御することができる。この薄膜かつ均一の磁性層により、狭いPW50値と高いC/Nを示す、電磁変換特性に優れた、コンピュータのデータバックアップ用テープ等として好適な磁気記録媒体が得られる。また、本発明によれば、記録密度および記録容量が一層高い磁気記録媒体が得られる。
 本発明は、主としてデジタル記録用の磁気テープに適用される。本発明磁気テープにおいては、非磁性支持体の少なくとも一方の面に下層非磁性層が設けられており、その上に中層結合層と上層磁性層がこの順番で設けられている。特に高い走行信頼性を必要とする場合には、非磁性支持体の他方の面、つまり前記下層非磁性層と中層結合層と上層磁性層とからなる表層塗布層の形成されている面とは反対側の面に、バックコート層を設けることができる。以下、本発明の磁気テープについてさらに具体的に説明する。
〈非磁性支持体〉
 本発明においては、テープ状の非磁性支持体を使用する。使用する非磁性支持体は、その長手方向のヤング率が5.9GPa(600kg/mm2 )以上で、かつ幅方向のヤング率が3.9GPa(400kg/mm2 )以上であることが好ましく、さらに長手方向のヤング率が9.8GPa(1000kg/mm2 )以上、かつ幅方向のヤング率が7.8GPa(800kg/mm2 )以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が5.9GPa(600kg/mm2 )以上がよいのは、長手方向のヤング率が5.9GPa(600kg/mm2 )未満では、テープ走行が不安定になるためである。非磁性支持体の幅方向のヤング率が3.9GPa(400kg/mm2 )以上がよいのは、幅方向のヤング率が3.9GPa(400kg/mm2 )未満では、テープのエッジダメージが発生しやすくなるためである。
 このような特性を満足する非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、二軸延伸の芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。なお、非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常2〜7μmのものが使用される。より好ましくは2.5〜4.5μmである。非磁性支持体の厚さが2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。また、非磁性支持体の前記一方の面(表層塗布層形成面)の表面中心線平均粗さ(Ra)は2.5nm以上20nm以下が好ましい。20nm以下であれば、下層非磁性層を薄くしても下層非磁性層表面および磁性層表面の凹凸が小さくなるためである。またRaが2.5nm以上がよいのは、2.5nmより小さくなると生産時にベースフィルムを搬送することが困難になり、生産性が悪くなるためである。
〈下層非磁性層〉
 下層非磁性層には、強度を高める目的で非磁性の無機質粉末を含有させる。この無機質粉末としては、金属酸化物、アルカリ土類金属塩等、特に金属酸化物が好ましい。具体的には例えば酸化鉄が好ましく、その粒径は50〜400nmがより好ましく、添加量は、全無機質粉体の重量を基準にして35〜83重量%が好ましい。この範囲の粒径が好ましいのは、粒径50nm未満では均一分散が難しく、400nmを越えると下層非磁性層とその直上の上層磁性層との界面の凹凸が増加するためである。また、前記範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜強度が低下するためである。
 加えて、下層非磁性層にはアルミナ、特にコランダム相を主体とするアルミナを添加することが好ましい。アルミナの添加量は、全非磁性粉体の重量を基準にして2〜30重量%がより好ましく、8〜20重量%がさらに好ましく、11〜20重量%が一層好ましい。アルミナの添加量が2重量%未満では塗料流動特性が不充分となり、30重量%を越えると下層非磁性層とその直上の上層磁性層との界面の凹凸が大きくなるためである。添加するアルミナの粒径は、100nm以下が好ましく、10〜100nmのアルミナ添加がより好ましく、30〜90nmがさらに好ましく、50〜90nmが一層好ましい。100nm以下のアルミナが良いのは、前記一方の面(表層塗布層形成面)の表面粗さが20nm以上の平滑度の低い非磁性支持体を使用し、かつ下層非磁性層の厚さを1.5μm以下と薄くしたような場合に、アルミナの粒径が100nmを越えると、下層非磁性層表面の平滑効果が不充分になるためである。また、前記コランダム相を主体とするアルミナ(α化率:30%以上)が特に良いのは、θ−,δ−やγ−アルミナ等を使用した場合に比べて少量で下層非磁性層のヤング率が高くなり、テープ強度が増すためである。また、テープ強度も高くなることで、テープエッジの波打ち(エッジウイーブ)による出力のばらつきも改善される。
 なお、上記粒径のアルミナと共に、全無機質粉体の重量を基準にして3重量%未満の100〜800nmのαアルミナを添加することを排除するものではない。
 下層非磁性層には、導電性向上を目的にカーボンブラック(CB)を添加することができる。添加するカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常は粒径が5〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるからである。カーボンブラックの添加量は、カーボンブラックの粒径によって異なるが、当該下層非磁性層中の全非磁性粉末に対して15〜40重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、40重量%を越えると効果が飽和するためである。粒径15〜80nmのカーボンブラックを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20〜50nmのカーボンブラックを20〜30重量%使用するのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、静電ノイズの発生やテープ走行むらが小さくなる。
 下層非磁性層の厚みは、通常、300〜3000nmに設定する。より好ましくは500〜2000nmである。厚みが300nm未満の下層非磁性層は塗布により形成することが難しく、生産性が悪いためであり、厚みが3000nmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。また、非磁性支持体と下層非磁性層との間には密着性向上のために公知の下塗層を設けてもかまわない。その場合の下塗層の厚みは、10〜2000nmとするのが良く、より好ましくは50〜500nmである。
〈上層磁性層〉
 上層磁性層は、結合剤に強磁性粉末を分散させた構成で、この層が磁気記録層となる。上層磁性層に添加する強磁性粉末としては、強磁性鉄系金属粉、本質的に球状ないし楕円状の鉄系磁性粉末や、板状の強磁性粉末を使用するのが好ましい。強磁性鉄系金属粉や本質的に球状ないし楕円状の鉄系磁性粉末の保磁力は、135〜279kA/m(1700〜3500Oe)が好ましく、飽和磁化量は、90〜200A・m2 /kg(90〜200emu/g)が好ましく、100〜180A・m2 /kg(100〜180emu/g)がより好ましい。板状の強磁性粉末の保磁力は、135〜279kA/m(1700〜3500Oe)が好ましく、飽和磁化量は、30〜75A・m2 /kg(30〜75emu/g)が好ましく、40〜70A・m2 /kg(40〜70emu/g)がより好ましく、40〜60A・m2 /kg(40〜60emu/g)が最も好ましい。なお、これらの強磁性粉末の磁気特性と、上層磁性層の磁気特性(後述する)は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.27MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
 強磁性粉末の粒子径は、通常10〜100nmが好ましく、10〜60nmがより好ましく、10〜30nmが最も好ましい。強磁性粉末の平均粒子径が100nmより大きいと、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、C/N特性を向上させることが困難になる。また、平均粒子径が10nm未満となると保磁力が低下する場合があり、同時に磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になる。なお、上記の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影(倍率は10万倍)した写真から各粒子の最大さしわたしを実測し、100個あたりの平均値により求めたものである。また、この強磁性粉末のBET比表面積は、35〜85m2 /gが好ましく、40〜80m2 /gがより好ましく、50〜70m2 /gが最も好ましい。
 本発明においては、上層磁性層の平均乾燥厚みdを5nm以上100nm以下に設定する。上層磁性層の平均乾燥厚みdが5nm未満では、磁性層を形成することは非常に困難であり、生産性が大変悪くなるためと、磁性層からの漏れ磁界が小さいためにヘッド出力が小さくなり、100nmを越えると、厚み損失によりヘッド出力が小さくなるためとMrtの値も大きくなり、PW50値が大きくなって、高記録密度の磁気記録が出来なくなってしまうためである。上層磁性層の平均乾燥厚みdは、10nm以上90nm以下がより好ましく、さらに好ましいのは 20nm以上60nm以下である。
 上層磁性層の保磁力は、ヘッド走行方向で135〜279kA/m(1700〜3500Oe)、残留磁束密度はテープ長手方向で0.10T(1000G)以上が好ましく、0.30T(3000G)以上がより好ましい。なお、0.5T(5000G)を超えるものは製造がむずかしく、事実上の上限は0.5T(5000G)である。上層磁性層の保磁力が135kA/m未満では、反磁界によって出力が減少し、279kA/mを越えるとヘッドによる書き込みが困難になるためである。残留磁束密度が0.10T(1000G)以上が好ましいのは、0.10T未満では出力が低下するためである。保磁力が159〜239kA/m(2000〜3000Oe)、残留磁束密度が0.12〜0.5T(1200〜5000G)のものはより好ましい。
 MRヘッドを再生ヘッドとして用いるシステムに本発明磁気記録媒体を供する場合には、上層磁性層の長手方向の残留磁束密度と磁性層膜厚との積であるMrt値が72nTm(5.7memu/cm2 )以下であり、角形比が0.80以上であることが好ましい。Mrt値が72nTm以下が好ましいのは、72nTm以上では、ほとんどのMRヘッドで検出される出力が大きくなりすぎて飽和状態となってしまうからである。また、再生出力を大きくするためには2nTm以上が好ましい。さらに、角形比が0.80以上であることが好ましいのは、0.80未満であると熱擾乱による記録減磁が起こるからである。Mrt値は2〜36nTm(0.16〜2.9memu/cm2 )の範囲がより好ましく、角形比は0.90〜0.97の範囲がより好ましい。
 上層磁性層には従来公知の研磨材を添加することができる。これらの研磨材としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など、主としてモース硬度6以上のものが単独でまたは組み合わせで使用される。これらの中でもアルミナは高硬度で少量の添加量でヘッドクリーニング効果に優れるため特に好ましい。研磨材の粒径は、磁性層厚さにもよるが、通常、平均粒径で20〜400nmとすることが好ましく、粒径30〜300nmがより好ましい。添加量は強磁性粉末100重量部に対して5〜20重量部が好ましい。より好ましくは8〜18重量部である。
 さらに、本発明磁気記録媒体における上層磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することができる。このカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常は粒径が5〜200nmのカーボンブラックを使用するが、粒径10〜100nmのものが好ましく、粒径10〜50nmのものがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、粒径が10nm未満になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nmを超えると多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。カーボンブラックの添加量は強磁性粉末100重量部に対して0.2〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜4重量部である。
〈中層結合層〉
 上層磁性層の直下、すなわち上層磁性層と下層非磁性層との間には、中層結合層を設ける。この中層結合層の厚みは、10nm以上50nm未満であることが好ましく、20nm以上40nm未満であることがさらに好ましい。中層結合層と上層磁性層との界面は幅方向、長手方向で測定した界面における厚み変動の最大値(PVt、PVm)と前記上層磁性層厚みdとの比(PVt/d)、(PVm/d)のいずれか一方が、0.5未満であることが好ましい。中層結合層の好ましい乾燥厚みがこの範囲であるのは、乾燥厚みが10nm未満では、通常、下層非磁性層と中層結合層との界面変動量の方がこの値より大きいために、中層結合層が下層非磁性層との界面変動を十分ならすことが困難なためである。乾燥厚みが50nm以上になると、ならし効果が飽和するのみならず、逆に上層磁性層が安定に中層非磁性層上に乗らなくなるからである。また、特許第2666810号公報によれば、中間層を設けなくても条件の最適化によって、界面変動の平均値Δdと磁性層厚みd(先に述べた「Mrt」の「t」に相当する)および界面の標準偏差σに関して、Δd/d≦0.5またはσ≦0.2μmを満たすことが出来ることが開示されているが、本文中の界面変動値PVtおよびPVmは3×Δd、5×σに相当するので、中層結合層を設けることによって上記標記によればΔd/d≦0.17、σ≦0.04μm相当の界面変動を達成出来ることになるので、本発明の技術によれば、特許第2666810号公報で開示されている技術よりもはるかに界面変動の小さな磁性層が得られる。また界面変動値を最大値と最小値の差で表すことで、特異的な界面の乱れを代表することになり、本文の値範囲の記録媒体を実現することで、突発的な電磁変換特性の劣化を排除することが出来る。
〈強磁性粉末〉
 本発明で使用する、本質的に球状ないし楕円状の鉄系磁性粉末には、Mn、Zn、Ni、Cu、Coなどの遷移金属を合金として含ませてもよい。その中でも、Co、Niが好ましく、とくにCoは飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。上記の遷移金属元素の量としては、鉄に対して、5〜50原子%とするのが好ましく、10〜30原子%とするのがより好ましい。また、イツトリウム、セリウム、イツテルビウム、セシウム、プラセオジウム、サマリウム、ランタン、ユ―ロピウム、ネオジム、テルビウムなどから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を含ませても良い(焼結防止剤)。その中でも、セリウム、ネオジムとサマリウム、テルビウム、イツトリウムを用いたときに、形状が良好に保持され、磁性粉表面に均一なセラミック層が形成されるので好ましい。希土類元素の量は鉄に対して0.2〜25原子%、好ましくは0.3〜20原子%、より好ましくは0.5〜15原子%である。
 前記鉄系磁性粉末にホウ素を含ませてもよい。ホウ素の量は、磁性粉末全体中、鉄に対して0.5〜30原子%、好ましくは1〜25原子%、より好ましくは2〜20原子%である。上記両原子%は、蛍光X線分析により測定される値である(参考特許:特開2001−181754号公報)。
 窒化鉄磁性粉は、公知のものを用いることができ,形状は針状の他に球状や立方体形状などの不定形のものを用いることができる。粒子径や比表面積については磁気記録用の磁性粉としての要求特性をクリアするためには,限定した磁性粉末の製造条件とすることが必要である(参考特許:特開2000−277311号公報)。
 前記鉄系磁性粉末および窒化鉄磁性粉の保磁力は、135〜279kA/mが好ましく、飽和磁化量は、90〜200A・m2 /kg(90〜200emu/g)が好ましく、100〜180A・m2 /kg(100〜180emu/g)がより好ましい。
 前記鉄系磁性粉末および窒化鉄磁性粉の平均粒子径としては、10以上、100nm未満が好ましく、10〜60nmがより好ましく、10〜30nmが最も好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満となると、保磁力が低下したり、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中での分散が困難になったり、平均粒子径が100nm以上であると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるためである。また、この強磁性粉末のBET比表面積は、35〜85m2 /gが好ましく、40〜80m2 /gがより好ましく、50〜70m2 /gが最も好ましい。
 さらに、前記鉄系磁性粉末、窒化鉄磁性粉を、Al,Si,P,Y,Zrまたは、これらの酸化物で表面処理(耐食性)して使用してもかまわない。
 本発明に使用する、本質的に球状ないし楕円状の鉄系磁性粉末としては、焼結防止効果、高保磁力化効果、安定性(耐食性)向上効果の高い希土類元素を磁性粉末の外層部分に主体的に存在させた、コアー部分にFe162 相を主相として含む鉄系磁性粉末が好ましい。窒素の含有量は、鉄に対して1.0〜20原子%である。また、上述のように、鉄の一部(50原子%以下)を他の遷移金属元素で置換してもよいが、コバルトを多量に添加すると、窒化反応(コアー部分でのFe162 相の生成反応)に長時間を要するので通常10原子%以下である。また、希土類元素の代わりにアルミニウムおよび/または珪素を含有させても良いが、その場合の、アルミニウムおよび/または珪素の含有量は、Feを基準にして1〜20原子%が好ましく、2〜20原子%がより好ましく、4〜18原子%がさらに好ましい。この場合にも、アルミニウムおよび/または珪素とともに、希土類元素を含有させることがより好ましい。
 板状の強磁性粉末の保磁力は、135〜279kA/mが好ましく、飽和磁化量は、30〜75A・m2 /kg(30〜75emu/g)が好ましい。また,粒径(板面方向の大きさ)は10〜60nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。粒径が10nm未満となると、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中への分散が困難になり、50nmを越えると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。また、板状比(板径/板厚)は2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、BET比表面積は、35〜85m2 /gのものが好ましく用いられる。このような、板状の強磁性粉末の例としては、Ba−フエライト磁性粉などの六方晶−フエライト磁性粉などがある。
 さらに、先述した強磁性鉄系金属粉としては、鉄系針状磁性粉等の従来から公知のものを使用することができる。
 なお、これらの強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.27MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
 また、上記の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から各粒子の最大径(針状粉では長軸径、板状粉では板径)を実測し、100個の平均値により求めたものである。
〈潤滑剤〉
 下層非磁性層には上層磁性層と下層非磁性層に含まれる全粉体に対して0.5〜5.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、ヘッドとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、5.0重量%を越えると下層非磁性層が可塑化してしまい強靭性が失われるおそれがあるからである。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸としては、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。このような脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好ましい。磁性層における脂肪酸の添加量としては、下層非磁性層と磁性層の間で脂肪酸が転移するので、特に限定されるものではなく、磁性層と下層非磁性層を合わせた脂肪酸の添加量を上記の量とすればよい。下層非磁性層に脂肪酸を添加すれば、必ずしも磁性層に脂肪酸を添加しなくてもよい。
 上層磁性層には磁性粉末に対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープ走行時の摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.5重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起りやすく焼き付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生するおそれがあるからである。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数が10以上の脂肪酸アミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係低減効果が小さく、3.0重量%を越えるとヘッドに貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下層非磁性層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
〈結合剤等〉
 下層非磁性層と上層磁性層とに使用する結合剤としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどの中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂との組み合わせをあげることができる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を変容するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。これらの結合剤は、上層磁性層では強磁性粉末100重量部に対して、また下層非磁性層では全非磁性粉末100重量部に対して、それぞれ、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いることができる。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
 官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 〔これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す〕、−OH、−NR12 、−N+345 〔これらの式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 は水素または炭化水素基を示す〕、エポキシ基を有する、高分子からなる結合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
 これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
 中層結合層を形成する結合剤には、有機溶剤溶性樹脂と水溶性樹脂のいずれかを使用する。中層結合層の成分は実質的に高分子樹脂だけで構成される。但し、塗料の分散性を高める低分子の有機物及び電気伝導度調節用の無機物を、合計で3重量%以下添加することができる。
 上記の有機溶剤溶性樹脂としては、先に述べた下層非磁性層と上層磁性層とに使用されるものと同様に、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂との組み合わせたものを使用することができる。具体的には、塩化ビニル樹脂として、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどをあげることができる。またポリウレタン樹脂としては、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどをあげることができる。特にこれらの結合剤は、全結合剤100重量部に対して、塩化ビニル系樹脂50〜95重量部と、ポリウレタン樹脂5〜50重量部とを、複合して用いるのが好ましい。
 また、中層結合層においても、官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 〔これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す〕、−OH、−NR12 、−N+345 〔これらの式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 は水素または炭化水素基を示す〕、エポキシ基を有する、高分子からなる結合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、樹脂どうしの分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
 上記の有機溶剤溶性樹脂を用いて中層結合層用塗料を作製するに当たっては、溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等の有機溶剤を、単独で又は任意の比率で混合して使用できる。
 先に述べたように中層結合層を形成する結合剤としては水溶性樹脂を用いることもできる。このような水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダなどが挙げられる。溶剤としては水が使用される。また、他の溶剤として、エタノールやメチルエチルケトンなどを単独で若しくは水と混合して使用することができる。この場合には、アクリル酸系重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、脂肪酸アクリレート、グリセリン、ポリエチレングリコールなどの水溶性樹脂が使用される。更に、必要に応じて、LiNO3 、LiClなどの電気伝導度調節剤が併用される。
 これらの有機溶剤溶性及び水溶性結合剤とともに、熱硬化性の架橋剤を併用することが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
〈バックコート層〉
 非磁性支持体の他方の面(表層塗布層形成面とは反対側の面)には、走行性向上や帯電防止等を目的としてバックコート層を設けることができる。バックコート層の厚さは、200〜800nmが好ましい。この範囲が良いのは、200nm未満では、走行性向上効果が不充分で、800nmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記録容量が小さくなるためである。バックコート層は、例えばグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ダイ塗布など、従来公知の塗布方式で形成することができる。
 バックコート層には、走行性向上や帯電防止等を目的に通常はカーボンブラック(CB)を添加する。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンとしては、粒径が5〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm未満になるとカーボンブラックの分散が難しく、粒径が100nmを超えると多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。小粒径カーボンブラックの5〜15重量%の割合で、粒径200〜400nmの大粒径カーボンを併用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックの合計添加量は、バックコート層中の無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。バックコート層表面の中心線平均粗さRaは3〜12nmが好ましく、4〜8nmがより好ましい。
 また、バックコート層には、強度向上を目的に酸化鉄を添加するのが好ましい。添加する酸化鉄の粒径は100〜600nmが好ましく、200〜500nmがより好ましい。酸化鉄の添加量は、無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。また、粒径が100〜600nmのアルミナを無機粉体重量を基準にして0.5〜5重量%添加すると、さらにバックコート層の強度が向上する。
〈製造方法〉
 上層磁性層の直下に実質的に結合剤だけを含む中層結合層を設けることによって、上層磁性層の平均乾燥厚みを5〜100nmの任意の厚みで界面変動を小さく、かつ生産性良く形成することができる。ただし、この重層構成を得るに当たっては、中層結合層が湿潤状態にあるうちに上層磁性層を重畳して塗布する、いわゆるウェット・オン・ウェット同時重層塗布方式を用いる必要がある。その際、塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つのダイ塗布ヘッドにより、中層結合層と上層磁性層をほぼ同時に塗布する。塗布の安定性をあげるために、中層結合層に用いる溶媒の表面張力が、上層磁性層に用いる溶媒の表面張力より高いことが好ましい。表面張力の高い溶媒としてはシクロヘキサノン、ジオキサンなどがある。
 更に塗布時における上層磁性層用の塗布液と、中層結合層用の塗布液との剪断速度104-1における上下層の粘度の比が、中間結合層粘度/上層磁性層粘度が3を超えるように調整することが好ましい。更にはこの比が5〜10の範囲にあることがより好ましい。このように調整した塗布液を同時重層塗布することによって、中層結合層と上層磁性層との、幅方向および/または長手方向で測定した界面における界面変動の最大値(PVtおよび/またはPVm)を、先に述べた特定の範囲に制御することができる。
 非磁性支持体の一面に下層非磁性層と中層結合層と上層磁性層とを設けた三層構造の磁気記録媒体は、以下のような方法で実現できる。まず磁性塗料の塗布方式として一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ダイ塗布装置等により下層を塗布し、乾燥、カレンダー処理する。その後に同時重層塗布装置により中層結合層と上層磁性層を塗布する。
 また、三層を同時塗布することによって、上記のような三層構造の表層塗布層を作成することができる。この同時塗布方式には、初め下層非磁性層を塗布した後に湿潤状態で可及的速やかにその上に中層結合層と上層磁性層を同時塗布する、いわゆる逐次塗布方式と、塗布液通液スリットを三つ内蔵する一つのダイ塗布ヘッドにより、三層を同時に塗布する方式の2つがある。
 表層塗布層を塗布・乾燥した後に、金属ロールどうしでカレンダー処理することで、中層結合層と上層磁性層との界面における厚み変動の抑制、上層磁性層厚みのバラツキの抑制といった効果を高めることができる。また、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチック製のロールをカレンダーロールとして使用することもできる。カレンダー時の処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。またカレンダー時の線圧力は好ましくは147kN/m(150kg/cm)、さらに好ましくは196kN/m(200kg/cm)以上、その速度は20m/分〜700m/分の範囲である。80℃以上の温度で294kN/m(300kg/cm)以上の線圧とすることにより、先に述べた効果を一層高めることができる。
 中層結合層を設けない場合、カレンダー処理により上層磁性層の表面を平滑にすることは従来より可能であったが、その場合上層磁性層と下層非磁性層との界面は平滑化できなかった。その結果、上層磁性層の表面は平滑で上層磁性層と下層非磁性層との界面はうねりを持っているために、それが上層磁性層の厚み変動として表れていた。本発明の中間結合層を設けると、もともと塗布の際に下層非磁性層の表面のうねりをならす効果があるのに加えて、中間層はフィラー類を実質的に含まないために、加熱による変形自由度が高いために、カレンダー時には下層非磁性層のうねりの穴埋め効果が生じ上層磁性層を平滑化するとともに、上層磁性層、と中間結合層との界面も平滑になり、上層磁性層の厚み変動を極めて小さくすることができる。また、本発明の磁気記録媒体のように中層結合層を設けることで、同一のカレンダー条件でも上層磁性層の飽和磁束密度を高くし、表面粗さを小さくすることができる。
 バックコート層は、表層塗布層の塗布とカレンダー処理の前後又は間のいずれかの工程で塗布する。また表層塗布層とバックコート層の塗布、及びカレンダー処理の後、表層塗布層、バックコート層の硬化を促進するために、40〜80℃のエージング処理を施してもかまわない。
 下層非磁性層と中層結合層と上層磁性層とを積層してなる表層塗布層のヤング率は、非磁性支持体の長手方向と幅方向のヤング率の平均値の50〜200%であることが好ましい。この範囲に表層塗布層のヤング率を制御すると、テープの耐久性が大きく、且つテープ−ヘッド間のタッチがよくなる。上記の比率は、70〜180%の範囲がより好ましく、80〜160%の範囲がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは50%未満では塗布膜の耐久性が小さくなり、200%を越えるとテープ−ヘッド間のタッチが悪くなるためである。なお、本発明では上記表面塗布層のヤング率を制御する方法の一つとしてカレンダー条件による制御法を用いた。
 さらに、下層非磁性層のヤング率は、上層磁性層のヤング率の60〜99%が好ましい。中層結合層のヤング率は、上層磁性層のヤング率の10〜60%であることが好ましい。中層結合層と下層非磁性層の各ヤング率が磁性層のそれより低い方がよいのは、中層結合層と下層非磁性層が、カレンダー処理時に一種のクッションの作用をするためである。
 本発明の磁気記録媒体における表層塗布層面、及びその反対側のバックコート層面のステンレス鋼に対する動摩擦係数は、0.5以下、さらに0.3以下が好ましい。また表層塗布層の表面固有抵抗(JISでいう表面抵抗率)は104 〜1011オーム/sq(JIS表示では104 〜1011Ω)、バックコート層の表面電気抵抗は103 〜109 オーム/sq(JIS表示では103 〜109 Ω)が好ましい。前記の要領で作製した磁気記録媒体をテープカートリッジ(カセットともいう)に組み込んだ磁気テープカートリッジ(カセットテープ)は、1巻当たりの記録容量が大きく、信頼性も高く、コンピュータ等のデータバックアップ用テープとして、特に優れている。
 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における「部」は、特に断らない限り「重量部」を意味する。
実施例1:
《上層磁性層用塗料成分》
(1)
 ・強磁性鉄系金属粉                         100部
  (Co/Fe:30at%、Y/(Fe+Co):8at%、
   Al/(Fe+Co):5wt%、σs :155A・m2 /kg、
   Hc:188kA/m、pH:9.5、平均長軸長:100nm)
 ・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体         10部
  (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
 ・ポリエステルポリウレタン樹脂                     4部
  (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
 ・α−アルミナ(平均粒径:0.2μm)                 15部
 ・カーボンブラック                           2部
  (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
 ・メチルアシッドホスフェート                      2部
 ・パルミチン酸アミド                         1.5部
 ・ステアリン酸n−ブチル                       1.0部
 ・テトラヒドロフラン                         65部
 ・メチルエチルケトン                        245部
 ・トルエン                              85部
(2)
 ・ポリイソシアネート                          4部
 ・シクロヘキサノン                         167部
《中層結合層用塗料成分》
(1)
 ・塩化ビニル共重合体                         50部
  (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
 ・ポリエステルポリウレタン樹脂                    25部
  (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
 ・シクロヘキサノン                         125部
 ・メチルエチルケトン                         40部
 ・トルエン                              10部
(2)
 ・ポリイソシアネート                         25部
 ・シクロヘキサノン                          10部
 ・メチルエチルケトン                         15部
 ・トルエン                              10部
《下層非磁性層用塗料成分》
(1)
 ・酸化鉄粉末(平均粒径:110×20nm)              68部
 ・アルミナ(α化率:50%、平均粒径:70nm)            8部
 ・カーボンブラック(平均粒径:25nm)               24部
 ・ステアリン酸                             2部
 ・塩化ビニル共重合体                         10部
  (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
 ・ポリエステルポリウレタン樹脂                    4.5部
  (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
 ・シクロヘキサノン                          25部
 ・メチルエチルケトン                         40部
 ・トルエン                              10部
(2)
 ・ステアリン酸ブチル                          1部
 ・シクロヘキサノン                          70部
 ・メチルエチルケトン                         50部
 ・トルエン                              20部
(3)
 ・ポリイソシアネート                         4.5部
 ・シクロヘキサノン                          10部
 ・メチルエチルケトン                         15部
 ・トルエン                              10部
 上記の上層磁性層用塗料成分(1)をニーダで混練したのち、サンドミルでビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを用いて滞留時間を45分として分散し、これに上層磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾過・超音波分散後、上層磁性層用塗料とした。これとは別に、上記の中層結合層用塗料成分において(1)を攪拌の後、これに(2)を加え攪拌・濾過した後、中層結合層用塗料とした。更にこれらとは別に、上記の下層非磁性層用塗料成分において(1)をニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下層非磁性層用塗料とした。この下層非磁性層用塗料を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ6μm、長手方向のヤング率MD=5.9GPa、幅方向のヤング率TD=3.9GPa、東レ社製)からなる非磁性支持体上に、乾燥・カレンダー処理後の厚さが1100nmとなるように塗布、90℃でのカレンダー処理し、この下層非磁性層上に、さらに磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の上層磁性層の厚さが60nm、中間結合層の厚さが10nmとなるように、上記の上層磁性層用塗料と中層結合層を同時重層塗布し、磁場配向処理後、乾燥することにより、非磁性支持体の一面に下層非磁性層と中層結合層と上層磁性層とを積層してなる磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(0.5T)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(0.5T)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
《バックコート層用塗料成分》
 ・カーボンブラック(平均粒径:25nm)               80部
 ・カーボンブラック(平均粒径:370nm)              10部
 ・酸化鉄(平均粒径:400nm)                   10部
 ・ニトロセルロース                          45部
 ・ポリエステルポリウレタン樹脂                    30部
  (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
 ・シクロヘキサノン                         260部
 ・トルエン                             260部
 ・メチルエチルケトン                        525部
 上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの他方の面(磁性層等が形成されている側とは反対側の面)に、乾燥、カレンダー処理後の厚みが500nmとなるように塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダーで、温度100℃、線圧147N/mm(150kg/cm)の条件でカレンダー処理し、磁気シートをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら上層磁性層表面に対してラッピングテープ研磨、ブレード研磨さらには表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ社製トレシー(商品名)を用い、走行テンション0.29N(30gf)で処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープを単リール型のカートリッジに組み込み、コンピュータ用の磁気テープカートリッジ(以下、単にコンピュータ用テープともいう)を作製した。
実施例2〜5:
 中層用塗料の溶剤、上層用塗料と中層用塗料との粘度差(上層用塗料に用いる超音波分散機の条件変更)、下層の塗布方式、カレンダー温度の各条件を表1の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例2〜4のコンピュータ用テープを作製した。
実施例6:
 上層磁性層に用いる磁性粉を、鉄系針状超微粒子磁性粉(Co/Fe:30at%、Y/(Fe+Co):8at%、Al/(Fe+Co):5wt%、σs :155A・m2 /kg、Hc:188kA/m、pH:9.5、平均長軸長:60nm)に変更したことを除き、実施例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
実施例7:
 上層磁性層に用いる磁性粉を、下記のように合成した実質的に球状であるY−N−Fe系超微粒子球状磁性粉末(Y/Fe:5.3原子%、N/Fe:10.8原子%、σs:135.2Am2 /kg(135.2emu/g)、Hc:227kA/m(2,850Oe)、平均軸長:20nm、平均軸比:1.2)に変更したことを除き、実施例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
〈超微粒子球状磁性粉末の合成〉
 希土類―窒化鉄系磁性粉末を合成した。合成例として、希土類としてイットリウムを用いた例について、以下に説明する。
 0.419モルの硫酸鉄(II)七水塩と0.974モルの硝酸鉄(III)九水塩を1500gの水に溶解した。次に、3.76モルの水酸化ナトリウムを1500gの水に溶解した。次に、3.76モルの水酸化ナトリウムを1500gの水に溶解した。この2種類の鉄塩の水溶液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加し、20分間攪拌し、マグネタイト粒子を生成させた。
 このマグネタイト粒子をオートクレーブに入れ、200℃で4時間加熱した。水熱処理後水洗した。このマグネタイト粒子は、粒子サイズが25nmの球状ないし楕円状であった。
 このマグネタイト粒子10gを500ccの水に、超音波分散機を用いて、30分間分散させた。この分散液に2.5gの硝酸イットリウムを加えて溶解し、30分間撹拌した。これとは別に、0.8gの水酸化ナトリウムを100ccの水に溶解した。この水酸化ナトリウム水溶液を上記の分散液に約30分間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間攪拌した。この処理により、マグネタイト粒子表面にイットリウムの水酸化物を被着析出させた。これを水洗し、ろ過後、90℃で乾燥して、マグネタイト粒子の表面にイットリウムの水酸化物を被着形成した粉末を得た。
 このようにマグネタイト粒子の表面にイットリウムの水酸化物を被着形成した粉末を水素気流中450℃で2時間加熱還元して、イットリウム−鉄系磁性粉末を得た。つぎに、水素ガスを流した状態で、約1時間かけて、150℃まで降温した。150℃に到達した状態で、ガスをアンモニアガスに切り替え、温度を150℃に保った状態で、30時間窒化処理を行った。その後、アンモニアガスを流した状態で、150℃から90℃まで降温し、90℃で、アンモニアガスから酸素と窒素の混合ガスに切り替え、2時間安定化処理を行った。
 ついで、混合ガスを流した状態で、90℃から40℃まで降温し、40℃で約10時間保持したのち、空気中に取り出した。
 このようにして得られたイットリウム−窒化鉄系磁性粉末(前記Y−N−Fe系超微粒子球状磁性粉末)は、そのイットリウムと窒素の含有量を蛍光X線により測定したところ、それぞれ5.3原子%と10.8原子%であった。また、X線回折パターンより、Fe162 相を示すプロファイルを得た。このイットリウム−窒化鉄系磁性粉末のX線回折パターンにおいて、Fe162 に基づく回折ピークと、α−Feに基づく回折ピークが観察され、このイットリウム−窒化鉄系磁性粉末がFe162 相とα−Fe相との混合相から成り立っていることがわかった。
 さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが20nmであることがわかった。また、BET法により求めた比表面積は、53.2m2 /gであった。
 また、この磁性粉末について、1274kA/m(16kOe)の磁界を印加して測定した飽和磁化は135.2Am2 /kg(135.2emu/g)、保磁力は226.9kA/m(2850Oe)であった。さらに、この磁性粉末を60℃,90%RH下で1週間保存したのちに、上記同様に飽和磁化を測定した結果、118.2Am2 /kg(118.2emu/g)となり、保存前の飽和磁化の維持率が87.4%であった。なお磁性塗料作製に当たって、希土類―窒化鉄系磁性粉末は、本実施例の作製方法を100倍にスケールアップして作製したものを使用した。
実施例8:
 上層磁性層に用いる磁性粉を、超微粒子板状磁性粉(Ba−フェライト)(平均粒径(板径)=30nm、BET=67m2 /g、Hc=222kA/m(2790Oe)、σs=51.5A・m2 /kg(51.5emu/g))に変更したことを除き、実施例3と同様にしてコンピュータ用テープを作製した。
比較例1〜8:
 上層磁性層の厚み(塗料吐出量により調整)、中層結合層の厚み(塗料吐出量により調整)、上層用塗料と中層用塗料との粘度差(上層用塗料に用いる超音波分散機の条件変更)、上層作成用の配向機の有り無し、下層の塗布方式、カレンダー温度の各条件を表1の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして比較例1〜8のコンピュータ用テープを作製した。
Figure 2004047088
〈特性の評価〉
 特性の評価は、以下のような方法で行った。磁気記録媒体を長手方向もしくは幅方向にわたって、フォーカストイオンビーム(FIB)で断面加工し、走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率50,000で観察し、その写真撮影を行った。その後、上層磁性層と中層結合層の界面を目視判断して黒くふちどり、かつ上層磁性層表面も同様に黒く縁取りをした。この際、界面上に存在する無機フィラーは上層磁性層に所属しないとして縁取りを行った。その後OPTIMAS社製の画像解析装置OPTIMASTMで画像解析を行い、上層磁性層厚みの平均値を求めた。中間結合層の厚みの平均値も同様にして求めた。
 上層磁性層と中層結合層との界面における、幅方向および長手方向の各界面変動の最大値PVtおよびPVmは、以下のようにして測定した。長さ4μmの視野中で、前記ふちどりをした上層磁性層と中層結合層の界面が形成する山の頂きと谷の底部のうち、厚さ方向に差が最大であるものを求める。この差を視野を変えて5ヵ所以上測定し、その幅方向および長手方向の平均値をそれぞれPVtおよびPVmとした。
 上層磁性層表面の中心線平均粗さRaは、光学式表面粗さ計(Zygo社製、型式Maxim・3D5700)により、ミラウレンズを使用し、視野250×250μmで10点測定し、その平均値を採用した。磁気特性は磁気テープを所定寸法に切り出し、東英工業社製VSMを用い外部磁場1.27MA/m(16kOe)にて測定した。
 テープの電磁変換特性測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.2ミクロン)とMRヘッド(トラック幅8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気テープはカートリッジに巻き込んだ状態から適切な量を引き出して廃棄し、更に60cmを切り出し、更に4mm幅に加工して回転ドラムの外周に巻き付けた。
 PW50は、ファンクションジェネレータにより波長10000nmつまり10μmの矩形波を書き込み、MRヘッドの出力をデジタルオシロスコープに読み込んだ。この出力される孤立波の半値幅を長さに換算した値をPW50とし、リファレンスとして用いているDDS4テープの値との相対値を求めた。
 出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより波長200nmつまり0.2μmの矩形波を書き込み、MRヘッドの出力をスペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。また0.2μmの矩形波を書き込んだときに、記録波長0.2μm以上に相当するスペクトルの成分から、出力及びシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。更に両者の比をとってC/Nとし、CおよびC/Nともにリファレンスとして用いているDDS4テープの値との相対値を求めた。
 以上の評価結果を表2に示す。 
Figure 2004047088
 表2に示す結果から明らかなように、実施例の磁気テープ(本発明品)は、比較例の磁気テープに比してPW50が狭いものであることが判る。実施例2の磁気テープは、PW50の値が比較例4・5の磁気テープのそれらと略同じであるが、CおよびC/Nの特性が比較例4・5のものに比べて優れている。特に上層磁性層と中層結合層との界面が平滑になる実施例3・4の磁気テープでは、C/Nが高くなっている。また、上層磁性層に添加する強磁性粉末として、超微粒子サイズのものが得られる、球状粉や板状粉を用いると、さらに高いC/Nが得られる。

Claims (9)

  1.  非磁性支持体と、非磁性支持体上に設けられた、非磁性粉末および結合剤を含有してなる下層非磁性層と、強磁性粉末および結合剤を含有してなる上層磁性層とを有する塗布型の磁気テープであって、
     上層磁性層の直下に、実質的に結合剤だけを含む中層結合層が設けられており、
     上層磁性層は、中層結合層が湿潤状態にあるうちに設けられたものであり、
     上層磁性層の平均乾燥厚みdが5nm以上100nm以下であり、中層結合層の平均乾燥厚みが10nm以上50nm未満であり、上層磁性層の長手方向の角形比が0.8以上であることを特徴とする磁気テープ。
  2.  幅方向に沿って測定した、上層磁性層と中層結合層との界面における界面変動の最大値をPVt、長手方向に沿って測定した、上層磁性層と中層結合層との界面における界面変動の最大値をPVmとしたときに、このPVt、PVmと前記上層磁性層の平均乾燥厚みdとの比(PVt/d)、(PVm/d)のいずれか一方が、0.5未満であるである、請求項1に記載の磁気テープ。
  3.  中層結合層に用いられる結合剤は、有機溶剤溶性または水溶性の有機高分子である、請求項2に記載の磁気テープ。
  4.  中層結合層は、下層非磁性層が湿潤状態にあるうちに設けられたものである、請求項3記載の磁気テープ。
  5.  中層結合層は、下層非磁性層の塗布乾燥後に設けられたものである、請求項3記載の磁気テープ。
  6.  上層磁性層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が5nm以下である、請求項4または5に記載の磁気テープ。
  7.  上層磁性層の残留磁束密度(Br)が0.3T(3000G)以上であることを特徴とする、請求項6に記載の磁気テープ。
  8.  非磁性支持体と、非磁性支持体上に設けられた、非磁性粉末および結合剤を含有してなる下層非磁性層と、強磁性粉末および結合剤を含有してなる上層磁性層とを有する塗布型の磁気テープであって、
     上層磁性層の直下に、実質的に結合剤だけを含む中層結合層が設けられており、
     上層磁性層は、中層結合層が湿潤状態にあるうちに設けられたものであり、
     上層磁性層の平均乾燥厚みdが5nm以上100nm以下であり、中層結合層の平均乾燥厚みが10nm以上50nm未満であり、上層磁性層の長手方向の角形比が0.8以上であり、
     前記強磁性粉末が、本質的に球状ないし楕円状の鉄系磁性粉末であることを特徴とする磁気テープ。
  9.  非磁性支持体と、非磁性支持体上に設けられた、非磁性粉末および結合剤を含有してなる下層非磁性層と、強磁性粉末および結合剤を含有してなる上層磁性層とを有する塗布型の磁気テープであって、
     上層磁性層の直下に、実質的に結合剤だけを含む中層結合層が設けられており、
     上層磁性層は、中層結合層が湿潤状態にあるうちに設けられたものであり、
     上層磁性層の平均乾燥厚みdが5nm以上100nm以下であり、中層結合層の平均乾燥厚みが10nm以上50nm未満であり、上層磁性層の長手方向の角形比が0.8以上であり、
     前記強磁性粉末が、板状の強磁性粉末であることを特徴とする磁気テープ。
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