JP2004046983A - 光ピックアップ - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を増加させることなく、再生すべき光ディスクの複屈折の影響を低減すること。
【解決手段】半導体レーザ(LD)から出射された直線偏光を持つレーザ光を対物レンズ(OL)によって光ディスク(Disc)の信号記録面に集光する光ピックアップに於いて、対物レンズの手前に、半導体レーザから入射するレーザ光の偏光方向を直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板(WP)を備えている。波長板(WP)は、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角が30°であることが好ましい。波長板(WP)から出射される楕円偏光の楕円長軸角度が76°±3°の範囲にあるのが好ましい。波長板(WP)から出射される楕円偏光の楕円率が0.16±0.1の範囲にあることが好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】半導体レーザ(LD)から出射された直線偏光を持つレーザ光を対物レンズ(OL)によって光ディスク(Disc)の信号記録面に集光する光ピックアップに於いて、対物レンズの手前に、半導体レーザから入射するレーザ光の偏光方向を直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板(WP)を備えている。波長板(WP)は、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角が30°であることが好ましい。波長板(WP)から出射される楕円偏光の楕円長軸角度が76°±3°の範囲にあるのが好ましい。波長板(WP)から出射される楕円偏光の楕円率が0.16±0.1の範囲にあることが好ましい。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置に内蔵され、DVD(digital versatile disc)などの光学的記録媒体(光ディスク)の記録・再生を行なう光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、光ピックアップは、光源である半導体レーザから放射(照射)されたレーザ光を対物レンズによって光ディスクの信号記録面上に集光させることによって、情報の記録(書き込み)や消去を行ったり、その信号記録面からの反射光(戻り光)を光検出手段である光検出器で検出することによって、情報の再生を行う装置である。
【0003】
光学的記録媒体として使用されるDVDは、映画1本分に当たる133分の映像と音声を納められる直径12cmの光ディスクである。DVDでは、CD(compact disc)と同じ直径のディスクに、現行のテレビ放送並みの画質で映画を納められる。DVDの1枚当たりの記録容量はCDの6〜8倍である。光ピックアップの光源に、CD用の赤外半導体レーザ(波長780nm程度)よりも波長の短い赤外半導体レーザ(波長635nm〜650nm)を使い、レーザ光を集光する対物レンズの開口数を高めるなどして記録容量を増やしている。
【0004】
DVDには多数の種類(規格)がある。DVD−ROM(DVD−read only memory)は読み出しのみ可能なDVDである。DVD−R(DVD−recordable)は一度書き込んだデータは消去できない、いわゆる追記型のDVDである。DVD+RW(DVD+ReWritable)は、DVDフォーラムのDVD−RAMやDVD−R/Wとは互換性がなく、DVD−ROMディスクが読める書き換え可能ディスク・ドライブの規格である。DVD−RWはDVDフォーラムがDVD−RAMから派生した規格としてまとめた書き換え可能なDVDの規格で、書き換え回数が1000回までと、DVD−RAMの10万回までよりも少ない。DVD−RAM(DVD−random access memory)は書き込み/読み出しが可能なDVDである。
【0005】
光ピックアップにより上述したDVD全般の再生を行う場合、直線偏光または円偏光を使用する事が、現在一般的である。光ピックアップの中で、直線偏光を円偏光に変換する為の光学部品として、1/4波長板(QWP)が使用されている。因みに、DVDの使用波長は650±20nmである。
【0006】
図1を参照して、従来の光ピックアップについて説明する。図1は従来の光ピックアップの光学系を示す図である。
【0007】
従来の光ピックアップは、半導体レーザ(レーザーダイオード)LDと、回折格子GRTと、偏光ビームスプリッタPBSと、1/4波長板QWPと、対物レンズOLと、光検出器PDとを有する。
【0008】
このような構成の光学ピックアップ装置において、左側に配置されている半導体レーザLDから水平右方向へ出射された1本の直線偏光のレーザ光は、回折格子GRTで3本のレーザ光に分離され、偏光ビームスプリッタPBSで直角に折り曲げられて鉛直上方向へ進む。この鉛直上方向へ進むレーザ光は、1/4波長板QWPによりその偏光方向が直線偏光から円偏光に変換された後、対物レンズOLを介して回転駆動される光ディスクDiscの信号記録面へ集光(照射)される。これにより、光ディスクDiscに対して情報の書き込み(記録)や消去を行うことができる。
【0009】
一方、この光ディスクDiscの信号記録面からの反射光(戻り光)は、鉛直下方向へ進み、対物レンズOLを通過し、1/4波長板QWPでその偏光方向が円偏光から直線偏光に変換された後、ビームスプリッタBSを通して光検出器PDで検出される。これにより、光ディスクDiscに記憶(記録)された情報の再生を行うことができる。
【0010】
尚、図1に示した従来の光ピックアップは、円偏光を使用する場合の例を示しているが、直線偏光を使用する場合には、1/4波長板QWPを省略すれば良い。
【0011】
とにかく、従来の光ピックアップでは、図2に示されるように、直線偏光(図2の▲1▼)または円偏光(図2の▲2▼)を使用している。尚、図2に示されるように、1/4波長板QWPに入射する直線偏光の方向と1/4波長板QWPの光学軸との間の夾角が45°のときに、1/4波長板QWPから出射されるレーザ光が円偏光になる。逆に言えば、直線偏光の方向と光学軸との間の夾角が45°である波長板のことを1/4波長板QWPと呼ぶ。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の光ピックアップでは、偏光方向として直線偏光或いは円偏光を使用している。しかしながら、光ディスクDiscの複屈折の影響により、光ディスクDiscからの戻り光の光量の内、光検出器PDへ戻る検出光量が減少し、半導体レーザLD側に戻る光量が増大してしまう。その結果、ジッタ(戻り光ノイズ)が増大し、DVDの再生特性が劣化してしまうという問題がある。
【0013】
この問題を解決するため、特開平10−83552号公報では、集光レンズ(対物レンズ)と1/4波長板との間に偏光方向を変化させる素子を設けた「光ヘッド装置」を開示している。そのような素子としては、液晶旋光素子やファラデー回転素子や波長板が使用されている。光ディスクの反射光量(複屈折量)に応じて光検出器での受光量が最大となるように、上記素子の偏光方向を調整している。
【0014】
しかしながら、この公報では、1/4波長板とは別に上記偏光方向を変化させる素子が必要となるので、部品点数が増加するという問題がある。
【0015】
それ故に本発明の課題は、部品点数を増加させることなく、再生すべき光ディスクの複屈折の影響を低減することができる光ピックアップを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様によれば、半導体レーザ(LD)から出射された直線偏光を持つレーザ光を対物レンズ(OL)によって光ディスク(Disc)の信号記録面に集光する光ピックアップに於いて、前記対物レンズの手前に、前記半導体レーザから入射するレーザ光の偏光方向を前記直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板(WP)を備えたことを特徴とする光ピックアップが得られる。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、直線偏光を持つレーザ光を出射する半導体レーザ(LD)と、該半導体レーザから出射された1本のレーザ光を3本のレーザ光に分離する回折格子(GRT)と、該回折格子からのレーザ光を反射する偏光ビームスプリッタ(PBS)と、該偏光ビームススプリッタで反射されたレーザ光を光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズ(OL)とを有する光ピックアップに於いて、前記偏光ビームスプリッタと前記対物レンズとの間に、前記偏光ビームスプリッタで反射されて入射するレーザ光の偏光方向を前記直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板(WP)を備えたことを特徴とする光ピックアップが得られる。
【0018】
上記光ピックアップにおいて、前記波長板(WP)は、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角が10°以上45°未満であって良い。前記夾角が30°であることが好ましい。また、前記波長板から出射される前記楕円偏光の楕円長軸角度が70°〜80°の範囲にあることが好ましく、より好ましくは76°±3°の範囲にあるのが良い。さらに、前記波長板(WP)から出射される前記楕円偏光の楕円率が0.16±0.1の範囲にあることが好ましい。
【0019】
尚、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る光ピックアップについて説明する。図1は本実施の形態に係る光ピックアップの光学系を示す図である。図示の光ピックアップは、1/4波長板QWPの代わりに後述するような特殊な波長板WPを用いた点を除いて、図1に図示したものと同様の構成を有する。したがって、図1に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照を付し、それら説明については、説明の簡略化のためおよび重複した説明を避けるために、省略する。
【0022】
波長板WPは、図4に示されるように、入射する直線偏光を後述する特定の形状の楕円偏光に変換するための光学部品である。
【0023】
図2を参照して説明したように、1/4波長板QWPは、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角(以下、単に「夾角」と呼ぶ。)が45°であって、入射する直線偏光を円偏光として出射する。これに対して、波長板WPは、この光学軸を後述するように所定の角度だけ傾けることによって、上記夾角を変えて、入射する直線偏光を楕円偏光として出射する。すなわち、本発明では、波長板WPの光学軸を傾けて楕円偏光を積極的に活用する。
【0024】
次に、具体的な楕円偏光の形状や上記夾角について説明する。
【0025】
図5にジッタと夾角との間の関係を示す。図5において、横軸が夾角を示し、縦軸がジッタを示す。尚、使用した光ディスクDiscはDVD−Rである。
【0026】
図5から明らかなように、夾角が0°の場合(すなわち、入射した直線偏光をそのまま直線偏光として出射する場合)がジッタが最も大きいことが分かる。夾角が45°の場合(すなわち、入射した直線偏光を円偏光に変更して出射する場合)の方が、夾角が0°の場合よりもジッタが小さくなっている。さらに、夾角が10°の場合の方が、夾角が45°の場合よりもジッタがやや小さくなっている。そして、夾角が20°、30°になるにつれて、ジッタが小さくなっていることが分かる。
【0027】
すなわち、図5に示す例では、夾角が30°の場合に、ジッタが最も小さくなっている。従って、夾角が10°以上45°未満である波長板WPを使用して、入射する直線偏光を楕円偏光に変換すれば、直線偏光や円偏光を使用する場合よりも、ジッタを小さくできる。このことから直線偏波や円偏波よりも楕円偏波を使用する方が、ジッタを減少でき、DVD再生特性を向上できることが分かる。
【0028】
次に、楕円偏光の好ましい形状について説明する。本実施の形態では、楕円偏光の形状のパラメータとして楕円長軸角度と楕円率とを用いる。ここで、楕円長軸角度とは、楕円の長軸が入射する直線偏光の偏光方向と平行である場合を0°とした場合の傾き角である。また、楕円率とは、楕円短軸の電場の振幅と楕円長軸の電場の振幅との比、すなわち、(楕円短軸の電場の振幅)/(楕円長軸の電場の振幅)である。
【0029】
本発明者らは実験の結果、次のように楕円長軸角度及び/又は楕円率を選択したときにジッタを減少できることを確認している。
【0030】
楕円長軸角度は70°〜80°の範囲であることが好ましい。より好ましくは、楕円長軸角度は76°±3°であるのが良い。一方、楕円率は0.16±0.1の範囲にあることが好ましい。
【0031】
次に、図3を参照して、本実施の形態による光ピックアップの動作について説明する。ここでは、光ディスクDiscが複屈折を持つDVDであるとして説明する。
【0032】
左側に配置されている半導体レーザLDから水平右方向へ出射された1本の直線偏光のレーザ光は、回折格子GRTで3本のレーザ光に分離され、偏光ビームスプリッタPBSで直角に折り曲げられて鉛直上方向へ進む。この鉛直上方向へ進むレーザ光は、波長板WPによりその偏光方向が直線偏光から楕円偏光に変換された後、対物レンズOLを介して回転駆動される光ディスクDiscの信号記録面へ集光(照射)される。これにより、光ディスクDiscに対して情報の書き込み(記録)や消去を行うことができる。
【0033】
一方、この光ディスクDiscの信号記録面からの反射光(戻り光)は、鉛直下方向へ進み、対物レンズOLを通過し、波長板WPでその偏光方向が楕円偏光から直線偏光に変換された後、ビームスプリッタBSを通して光検出器PDで検出される。これにより、光ディスクDiscに記憶(記録)された情報の再生を行うことができる。
【0034】
本発明は上述した実施の形態に限定せず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更・変形が可能なのは勿論である。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、対物レンズの手前に直線偏光を所定の形状の楕円偏光に変換する波長板を配置したので、再生すべき光ディスクの複屈折の影響を低減できる。これにより、DVD再生特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光ピックアップの光学系を示す図である。
【図2】図1に示す従来の光ピックアップにおける直線偏光方式と円偏光方式を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施の形態による光ピックアップの光学系を示す図である。
【図4】図3に示す光ピックアップにおける楕円偏光方式を説明するための図である。
【図5】ジッタと夾角との間の関係を示す図である。
【符号の説明】
LD 半導体レーザ(レーザダイオード)
GRT 回折格子
PBS 偏光ビームスプリッタ
WP 波長板
OL 対物レンズ
PD 光検出器
Disc 光ディスク
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置に内蔵され、DVD(digital versatile disc)などの光学的記録媒体(光ディスク)の記録・再生を行なう光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、光ピックアップは、光源である半導体レーザから放射(照射)されたレーザ光を対物レンズによって光ディスクの信号記録面上に集光させることによって、情報の記録(書き込み)や消去を行ったり、その信号記録面からの反射光(戻り光)を光検出手段である光検出器で検出することによって、情報の再生を行う装置である。
【0003】
光学的記録媒体として使用されるDVDは、映画1本分に当たる133分の映像と音声を納められる直径12cmの光ディスクである。DVDでは、CD(compact disc)と同じ直径のディスクに、現行のテレビ放送並みの画質で映画を納められる。DVDの1枚当たりの記録容量はCDの6〜8倍である。光ピックアップの光源に、CD用の赤外半導体レーザ(波長780nm程度)よりも波長の短い赤外半導体レーザ(波長635nm〜650nm)を使い、レーザ光を集光する対物レンズの開口数を高めるなどして記録容量を増やしている。
【0004】
DVDには多数の種類(規格)がある。DVD−ROM(DVD−read only memory)は読み出しのみ可能なDVDである。DVD−R(DVD−recordable)は一度書き込んだデータは消去できない、いわゆる追記型のDVDである。DVD+RW(DVD+ReWritable)は、DVDフォーラムのDVD−RAMやDVD−R/Wとは互換性がなく、DVD−ROMディスクが読める書き換え可能ディスク・ドライブの規格である。DVD−RWはDVDフォーラムがDVD−RAMから派生した規格としてまとめた書き換え可能なDVDの規格で、書き換え回数が1000回までと、DVD−RAMの10万回までよりも少ない。DVD−RAM(DVD−random access memory)は書き込み/読み出しが可能なDVDである。
【0005】
光ピックアップにより上述したDVD全般の再生を行う場合、直線偏光または円偏光を使用する事が、現在一般的である。光ピックアップの中で、直線偏光を円偏光に変換する為の光学部品として、1/4波長板(QWP)が使用されている。因みに、DVDの使用波長は650±20nmである。
【0006】
図1を参照して、従来の光ピックアップについて説明する。図1は従来の光ピックアップの光学系を示す図である。
【0007】
従来の光ピックアップは、半導体レーザ(レーザーダイオード)LDと、回折格子GRTと、偏光ビームスプリッタPBSと、1/4波長板QWPと、対物レンズOLと、光検出器PDとを有する。
【0008】
このような構成の光学ピックアップ装置において、左側に配置されている半導体レーザLDから水平右方向へ出射された1本の直線偏光のレーザ光は、回折格子GRTで3本のレーザ光に分離され、偏光ビームスプリッタPBSで直角に折り曲げられて鉛直上方向へ進む。この鉛直上方向へ進むレーザ光は、1/4波長板QWPによりその偏光方向が直線偏光から円偏光に変換された後、対物レンズOLを介して回転駆動される光ディスクDiscの信号記録面へ集光(照射)される。これにより、光ディスクDiscに対して情報の書き込み(記録)や消去を行うことができる。
【0009】
一方、この光ディスクDiscの信号記録面からの反射光(戻り光)は、鉛直下方向へ進み、対物レンズOLを通過し、1/4波長板QWPでその偏光方向が円偏光から直線偏光に変換された後、ビームスプリッタBSを通して光検出器PDで検出される。これにより、光ディスクDiscに記憶(記録)された情報の再生を行うことができる。
【0010】
尚、図1に示した従来の光ピックアップは、円偏光を使用する場合の例を示しているが、直線偏光を使用する場合には、1/4波長板QWPを省略すれば良い。
【0011】
とにかく、従来の光ピックアップでは、図2に示されるように、直線偏光(図2の▲1▼)または円偏光(図2の▲2▼)を使用している。尚、図2に示されるように、1/4波長板QWPに入射する直線偏光の方向と1/4波長板QWPの光学軸との間の夾角が45°のときに、1/4波長板QWPから出射されるレーザ光が円偏光になる。逆に言えば、直線偏光の方向と光学軸との間の夾角が45°である波長板のことを1/4波長板QWPと呼ぶ。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の光ピックアップでは、偏光方向として直線偏光或いは円偏光を使用している。しかしながら、光ディスクDiscの複屈折の影響により、光ディスクDiscからの戻り光の光量の内、光検出器PDへ戻る検出光量が減少し、半導体レーザLD側に戻る光量が増大してしまう。その結果、ジッタ(戻り光ノイズ)が増大し、DVDの再生特性が劣化してしまうという問題がある。
【0013】
この問題を解決するため、特開平10−83552号公報では、集光レンズ(対物レンズ)と1/4波長板との間に偏光方向を変化させる素子を設けた「光ヘッド装置」を開示している。そのような素子としては、液晶旋光素子やファラデー回転素子や波長板が使用されている。光ディスクの反射光量(複屈折量)に応じて光検出器での受光量が最大となるように、上記素子の偏光方向を調整している。
【0014】
しかしながら、この公報では、1/4波長板とは別に上記偏光方向を変化させる素子が必要となるので、部品点数が増加するという問題がある。
【0015】
それ故に本発明の課題は、部品点数を増加させることなく、再生すべき光ディスクの複屈折の影響を低減することができる光ピックアップを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様によれば、半導体レーザ(LD)から出射された直線偏光を持つレーザ光を対物レンズ(OL)によって光ディスク(Disc)の信号記録面に集光する光ピックアップに於いて、前記対物レンズの手前に、前記半導体レーザから入射するレーザ光の偏光方向を前記直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板(WP)を備えたことを特徴とする光ピックアップが得られる。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、直線偏光を持つレーザ光を出射する半導体レーザ(LD)と、該半導体レーザから出射された1本のレーザ光を3本のレーザ光に分離する回折格子(GRT)と、該回折格子からのレーザ光を反射する偏光ビームスプリッタ(PBS)と、該偏光ビームススプリッタで反射されたレーザ光を光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズ(OL)とを有する光ピックアップに於いて、前記偏光ビームスプリッタと前記対物レンズとの間に、前記偏光ビームスプリッタで反射されて入射するレーザ光の偏光方向を前記直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板(WP)を備えたことを特徴とする光ピックアップが得られる。
【0018】
上記光ピックアップにおいて、前記波長板(WP)は、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角が10°以上45°未満であって良い。前記夾角が30°であることが好ましい。また、前記波長板から出射される前記楕円偏光の楕円長軸角度が70°〜80°の範囲にあることが好ましく、より好ましくは76°±3°の範囲にあるのが良い。さらに、前記波長板(WP)から出射される前記楕円偏光の楕円率が0.16±0.1の範囲にあることが好ましい。
【0019】
尚、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る光ピックアップについて説明する。図1は本実施の形態に係る光ピックアップの光学系を示す図である。図示の光ピックアップは、1/4波長板QWPの代わりに後述するような特殊な波長板WPを用いた点を除いて、図1に図示したものと同様の構成を有する。したがって、図1に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照を付し、それら説明については、説明の簡略化のためおよび重複した説明を避けるために、省略する。
【0022】
波長板WPは、図4に示されるように、入射する直線偏光を後述する特定の形状の楕円偏光に変換するための光学部品である。
【0023】
図2を参照して説明したように、1/4波長板QWPは、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角(以下、単に「夾角」と呼ぶ。)が45°であって、入射する直線偏光を円偏光として出射する。これに対して、波長板WPは、この光学軸を後述するように所定の角度だけ傾けることによって、上記夾角を変えて、入射する直線偏光を楕円偏光として出射する。すなわち、本発明では、波長板WPの光学軸を傾けて楕円偏光を積極的に活用する。
【0024】
次に、具体的な楕円偏光の形状や上記夾角について説明する。
【0025】
図5にジッタと夾角との間の関係を示す。図5において、横軸が夾角を示し、縦軸がジッタを示す。尚、使用した光ディスクDiscはDVD−Rである。
【0026】
図5から明らかなように、夾角が0°の場合(すなわち、入射した直線偏光をそのまま直線偏光として出射する場合)がジッタが最も大きいことが分かる。夾角が45°の場合(すなわち、入射した直線偏光を円偏光に変更して出射する場合)の方が、夾角が0°の場合よりもジッタが小さくなっている。さらに、夾角が10°の場合の方が、夾角が45°の場合よりもジッタがやや小さくなっている。そして、夾角が20°、30°になるにつれて、ジッタが小さくなっていることが分かる。
【0027】
すなわち、図5に示す例では、夾角が30°の場合に、ジッタが最も小さくなっている。従って、夾角が10°以上45°未満である波長板WPを使用して、入射する直線偏光を楕円偏光に変換すれば、直線偏光や円偏光を使用する場合よりも、ジッタを小さくできる。このことから直線偏波や円偏波よりも楕円偏波を使用する方が、ジッタを減少でき、DVD再生特性を向上できることが分かる。
【0028】
次に、楕円偏光の好ましい形状について説明する。本実施の形態では、楕円偏光の形状のパラメータとして楕円長軸角度と楕円率とを用いる。ここで、楕円長軸角度とは、楕円の長軸が入射する直線偏光の偏光方向と平行である場合を0°とした場合の傾き角である。また、楕円率とは、楕円短軸の電場の振幅と楕円長軸の電場の振幅との比、すなわち、(楕円短軸の電場の振幅)/(楕円長軸の電場の振幅)である。
【0029】
本発明者らは実験の結果、次のように楕円長軸角度及び/又は楕円率を選択したときにジッタを減少できることを確認している。
【0030】
楕円長軸角度は70°〜80°の範囲であることが好ましい。より好ましくは、楕円長軸角度は76°±3°であるのが良い。一方、楕円率は0.16±0.1の範囲にあることが好ましい。
【0031】
次に、図3を参照して、本実施の形態による光ピックアップの動作について説明する。ここでは、光ディスクDiscが複屈折を持つDVDであるとして説明する。
【0032】
左側に配置されている半導体レーザLDから水平右方向へ出射された1本の直線偏光のレーザ光は、回折格子GRTで3本のレーザ光に分離され、偏光ビームスプリッタPBSで直角に折り曲げられて鉛直上方向へ進む。この鉛直上方向へ進むレーザ光は、波長板WPによりその偏光方向が直線偏光から楕円偏光に変換された後、対物レンズOLを介して回転駆動される光ディスクDiscの信号記録面へ集光(照射)される。これにより、光ディスクDiscに対して情報の書き込み(記録)や消去を行うことができる。
【0033】
一方、この光ディスクDiscの信号記録面からの反射光(戻り光)は、鉛直下方向へ進み、対物レンズOLを通過し、波長板WPでその偏光方向が楕円偏光から直線偏光に変換された後、ビームスプリッタBSを通して光検出器PDで検出される。これにより、光ディスクDiscに記憶(記録)された情報の再生を行うことができる。
【0034】
本発明は上述した実施の形態に限定せず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更・変形が可能なのは勿論である。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、対物レンズの手前に直線偏光を所定の形状の楕円偏光に変換する波長板を配置したので、再生すべき光ディスクの複屈折の影響を低減できる。これにより、DVD再生特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光ピックアップの光学系を示す図である。
【図2】図1に示す従来の光ピックアップにおける直線偏光方式と円偏光方式を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施の形態による光ピックアップの光学系を示す図である。
【図4】図3に示す光ピックアップにおける楕円偏光方式を説明するための図である。
【図5】ジッタと夾角との間の関係を示す図である。
【符号の説明】
LD 半導体レーザ(レーザダイオード)
GRT 回折格子
PBS 偏光ビームスプリッタ
WP 波長板
OL 対物レンズ
PD 光検出器
Disc 光ディスク
Claims (12)
- 半導体レーザから出射された直線偏光を持つレーザ光を対物レンズによって光ディスクの信号記録面に集光する光ピックアップに於いて、
前記対物レンズの手前に、前記半導体レーザから入射するレーザ光の偏光方向を前記直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板を備えたことを特徴とする光ピックアップ。 - 前記波長板は、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角が10°以上45°未満である、請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記夾角が30°である、請求項2に記載の光ピックアップ。
- 前記波長板から出射される前記楕円偏光の楕円長軸角度が70°〜80°の範囲にある、請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記楕円長軸角度が76°±3°の範囲にある、請求項4に記載の光ピックアップ。
- 前記波長板から出射される前記楕円偏光の楕円率が0.16±0.1の範囲にある、請求項1に記載の光ピックアップ。
- 直線偏光を持つレーザ光を出射する半導体レーザと、該半導体レーザから出射された1本のレーザ光を3本のレーザ光に分離する回折格子と、該回折格子からのレーザ光を反射する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームススプリッタで反射されたレーザ光を光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズとを有する光ピックアップに於いて、
前記偏光ビームスプリッタと前記対物レンズとの間に、前記偏光ビームスプリッタで反射されて入射するレーザ光の偏光方向を前記直線偏光から所定の楕円偏光に変換する波長板を備えたことを特徴とする光ピックアップ。 - 前記波長板は、それに入射する直線偏光の方向とその光学軸との間の夾角が10°以上45°未満である、請求項7に記載の光ピックアップ。
- 前記夾角が30°である、請求項8に記載の光ピックアップ。
- 前記波長板から出射される前記楕円偏光の楕円長軸角度が70°〜80°の範囲にある、請求項7に記載の光ピックアップ。
- 前記楕円長軸角度が76°±3°の範囲にある、請求項10に記載の光ピックアップ。
- 前記波長板から出射される前記楕円偏光の楕円率が0.16±0.1の範囲にある、請求項7に記載の光ピックアップ。
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Cited By (3)
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JP2008084467A (ja) * | 2006-09-28 | 2008-04-10 | Asahi Glass Co Ltd | 位相差素子および光ヘッド装置 |
EP2037457A2 (en) * | 2007-09-13 | 2009-03-18 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Optical pickup |
EP2363855A3 (en) * | 2010-02-25 | 2011-12-07 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Optical beam forming apparatus |
-
2002
- 2002-07-12 JP JP2002204190A patent/JP2004046983A/ja active Pending
Cited By (4)
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