JP2004045784A - 液晶パネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無機材料の斜方蒸着による配向膜を用いたTNモードの液晶パネルにおいて、これに適するプレチルト角を得る。
【解決手段】配向膜が形成された一対の基板W間に液晶層を封止してなる液晶パネルにおいて、その配向膜が、無機材料の斜方蒸着膜からなると共に、第1の蒸着膜4a上に第2の蒸着膜4bを積層してなるもので、各蒸着分子4の配向方向が略垂直となるように積層されている。このうち、第1の蒸着膜4aは、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が垂直に配向される膜で、例えば基板W表面の法線Lvに対して60°程度の角度(蒸着角度θ1)から蒸着分子4を供給する斜方蒸着によって得られる。また第2の蒸着膜4bは、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が平行に配向される膜で、基板W表面の法線Lvに対して85°程度の角度(蒸着角度θ2)からから蒸着分子4を供給する斜方蒸着によって得られる。
【選択図】 図3
【解決手段】配向膜が形成された一対の基板W間に液晶層を封止してなる液晶パネルにおいて、その配向膜が、無機材料の斜方蒸着膜からなると共に、第1の蒸着膜4a上に第2の蒸着膜4bを積層してなるもので、各蒸着分子4の配向方向が略垂直となるように積層されている。このうち、第1の蒸着膜4aは、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が垂直に配向される膜で、例えば基板W表面の法線Lvに対して60°程度の角度(蒸着角度θ1)から蒸着分子4を供給する斜方蒸着によって得られる。また第2の蒸着膜4bは、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が平行に配向される膜で、基板W表面の法線Lvに対して85°程度の角度(蒸着角度θ2)からから蒸着分子4を供給する斜方蒸着によって得られる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶パネルおよびその製造方法に関し、特には投射型の表示装置(液晶プロジェクタ装置)の液晶ライトバルブとして好適に用いられる液晶パネルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置、さらには液晶プロジェクタ装置の液晶ライトバルブとして用いられる液晶パネルは、配向膜が設けられた一対の基板間に液晶層が封止された構成となっている。この液晶パネルの製造において配向膜を形成する場合には、ポリイミドまたはポリアミドのような樹脂膜にラビング処理を施している。
【0003】
ところが、ラビング処理においては、樹脂膜(配向膜)の表面にキズが生じたり、ゴミが付着したり、また処理ムラが生じ易い等の問題があった。また、樹脂からなる配向膜は光照射によって劣化し易いと言う問題もあった。特に、液晶プロジェクタ装置においては、液晶ライトバルブ(液晶パネル)に対して光源から強い光(投射光)が照射されることになるが、この投射光は増加する傾向にあり、樹脂からなる配向膜が劣化して気泡が生じるなどの問題も発生していた。
【0004】
そこで、酸化シリコン等の無機材料によって配向膜を得る方法が提案され、実施されている。この方法では、酸化シリコン等の無機材料の蒸気を、基板の法線に対して所定の斜め方向から供給することにより、当該基板の表面において一方向に蒸着分子(無機材料分子)を揃えた配向膜を得る、いわゆる斜方蒸着法である。このような斜方蒸着によって得た配向膜は、ラビングレスであるため、ゴミの付着やキズの発生、さらには配向のムラがなく、また無機材料を用いることで、光照射による膜質の劣化も無視できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような斜方蒸着法によって得られた配向膜を、TNモードの液晶パネルに用いた場合、次のような課題が生じていた。
すなわち、液晶パネルを駆動させる場合、電圧印加時における液晶分子の立ち上がり方向を揃えるためには、液晶分子を予め基板から所定の角度(プレチルト角)で傾けておく必要がある。
【0006】
そして、TNモードの液晶パネルの場合、このプレチルト角は5°〜12°程度の範囲が適しており、ラビング処理された配向膜を用いた場合のプレチルト角は2°〜7°程度になる。ところが、酸化シリコンの斜方蒸着によって得た配向膜では、蒸着角度にもよるが、プレチルト角が20°から30°と高すぎたり、また0°と全く角度が付かない場合もある。このため、無機材料の斜方蒸着による配向膜を用いたTNモードの液晶パネルにおいては、電圧印加時における液晶分子の立ち上がり方向を十分に揃えることができず、したがって電圧印加時に表示欠陥が発生すると言った問題が生じていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するための本発明の液晶パネルは、配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封止してなる液晶パネルにおいて、その配向膜が、無機材料の斜方蒸着膜からなると共に、第1の蒸着膜上に第2の蒸着膜を積層してなるもので、各蒸着分子の配向方向が略垂直となるように積層されている。このうち、第1の蒸着膜は、蒸着分子の配向方向に対して液晶分子が垂直に配向される膜であり、例えば基板表面の法線に対して60°程度の角度(蒸着角度)から蒸着分子を供給する斜方蒸着によって得られる。また第2の蒸着膜は、蒸着分子の配向方向に対して液晶分子が平行に配向される膜であり、基板表面の法線に対して85°程度の角度(蒸着角度)からから蒸着分子を供給する斜方蒸着によって得られる。
【0008】
また本発明は、このような構成の液晶パネルの製造方法でもあり、斜方蒸着により、第1の蒸着膜を基板上に形成する第1工程と、この第1の蒸着膜上に第2の蒸着膜を形成する第2工程とを行う。特に第2工程では、第1工程の斜方蒸着に対して、基板表面への蒸着分子の供給方向を90°程度ずらす。
【0009】
このような構成の液晶パネルおよび製造方法では、蒸着分子に対する液晶分子の配向状態が90°異なる第1の蒸着膜と第2の蒸着膜とを、それぞれの蒸着分子の配向方向が略垂直となるように積層して配向膜としており、このような配向膜においては、第1の蒸着膜の膜厚に対して第2の蒸着膜の膜厚を調整することで、液晶分子のプレチルト角に所望の角度が得られることが確認された。図1にはその一例として、第1の蒸着膜(蒸着角度60°)を膜厚40nm程度で形成した場合の、第2の蒸着膜(蒸着角度85°)の膜厚と液晶分子のプレチルト角との相関図を示す。この図1に示すように、液晶分子のプレチルト角は、第2の蒸着膜の膜厚に比例しており、例えばTNモードの液晶パネルに適しているとされるプレチルト角は5°〜12°程度を得るには、第2の蒸着膜の膜厚を0.1nm〜0.5nm程度に設定すれば良いことがわかる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶パネルおよびその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。ここでは、TNモードの液晶パネルを得る場合を例示し、製造方法の実施形態から順に説明を行う。
【0011】
先ず、一対のガラスからなる基板を用意する。そして、一方の基板の一主面側に、薄膜トランジスタおよびこれに接続された信号線、走査線および画素電極を形成し、これをTFT基板とする。また、他方の基板の一主面側には、共通電極を形成しこれを対向基板とする。尚、画素電極および共通電極は、透明電極であることとする。
【0012】
次に、これらの基板の一主面側、すなわちTFT基板および対向基板における電極形成面側に、斜方蒸着によって酸化シリコン(SiO2,SiOx)のような無機材料からなる配向膜を形成する。この斜方蒸着においては、図2に示すように、基板Wの一主面側に対し、蒸着源1から蒸発させた無機材料2の蒸気を斜め方向から供給する。この際、基板Wの一主面の法線Lvに対して、無機材料の蒸気の入射角度(蒸着角度)を所定の蒸着角度θ1,θ2に保った2段階の斜方蒸着を行う。
【0013】
すなわち、第1段階(第1工程)の斜方蒸着においては、図3(1)に示すように、基板W上における蒸着分子4の配向方向(斜方蒸着カラムの配向方向)に対して、後に説明する液晶分子6が垂直に配向されるような蒸着膜が形成されるように、つまり蒸着分子4の長軸に沿って液晶分子6の長軸が配向するような蒸着膜が形成されるように、第1の蒸着角度θ1からの斜方蒸着を行う。この第1の蒸着角度θ1は、上記のような蒸着膜が形成されれば、特に限定されることはないが、60°程度であることとする。第1の蒸着角度θ1が60°程度であれば、蒸着膜厚に依存せずに上述した特性の蒸着膜が得られる。そして、この斜方蒸着により、膜厚10nm〜320nmの範囲、例えば膜厚40nmの第1の蒸着膜4aを形成する。
【0014】
次いで、第2段階(第2工程)の斜方蒸着においては、図3(2)に示すように、基板W上における蒸着分子4の配向方向に対して、上記液晶分子6が平行に配向されるような蒸着膜が形成されるように、つまり蒸着分子4の長軸と垂直に液晶分子6の長軸が配向するような蒸着膜が形成されるように、第2の蒸着角度θ2からの斜方蒸着を行う。この第2の蒸着角度θ2は、上記のような蒸着膜が得られれば特に限定されることはないが、85°程度であることとする。第2の蒸着角度θ2が85°程度であれば、第1の蒸着角度θ1=60°で形成した第1の蒸着膜4a上に積層形成した場合に、膜厚の調整することで、後述するように広範囲のプレチルト角が得られる。そして、この斜方蒸着により第2の蒸着膜4bを形成する。この第2の蒸着膜の膜厚は、第1の蒸着膜の膜厚によって適宜選択された範囲に設定されることとし、一例としてここでは、TNモードの液晶パネルの作製を目的としているため、第1の蒸着膜の膜厚が40nmである場合、膜厚0.1nm〜0.5nm程度の範囲の膜厚に設定されることとする。尚、以上の図3(1),(2)においては、蒸着分子4が単層として各蒸着膜4a,4bを示したが、実際には各蒸着膜4a,4bの蒸着分子4は積層状態であることは言うまでもない。
【0015】
ここで、図4に示すように、第2の蒸着角度θ2での第2段階の斜方蒸着は、第1の蒸着角度θ1での第1段階の斜方蒸着に対し、基板W表面への蒸着分子の供給方向を90°程度ずらした方向から行うこととする。つまり、先の図2に示した斜方蒸着において、第1の蒸着角度θ1での第1段階の斜方蒸着が終了した後、基板Wをその面内において90°回転させた状態で、蒸着角度を第2の蒸着角度θ2に設定して行われることとなる。
【0016】
以上の2段階の斜方蒸着の具体的な一例としては、蒸着源1となる「るつぼ」内に蒸着原料となる無機材料2としてSiO2(純度99.9%)の粉末を投入する。そして、対角90インチの基板Wの中央部と蒸着源1との距離を600nm程度に設定した状態で、上述した第1段階(第2段階)の蒸着角度および方向に基板を設置する。この状態で、蒸着室内を8.5×10Pa以下に保つ。そして、電子ビームの照射により無機材料2を加熱し、蒸着源1の上方に配置された基板Wに蒸着分子を拡散供給し、第1の蒸着膜および第2の蒸着膜を形成する。尚、これらの斜方蒸着において、次に説明するシール剤が設けられる基板Wの表面位置には、蒸着膜が形成されないようなマスクを配置しておくこととする。また、このような2段階の斜方蒸着終了後には、脱ガスおよび膜質を安定化させるために、200℃で1時間のアニール処理を施す。
【0017】
以上のようにして、2枚の基板W上に2層構造の配向膜を形成した後、図5に示すように、これらの基板W、すなわちTFT基板W1と対向基板W2を用いて液晶パネルを組み立てる。
【0018】
この際先ず、TFT基板W1における画素電極7および上述の配向膜10の形成面側、または対向基板W2における共通電極9および上述の配向膜10の形成面側に、スペーサを散布すると共にその周囲にシール剤を土手状に形成する(図示省略)。その後、これらのTFT基板W1と対向基板W2とを、配向膜10を対向させた状態で配置する。この際、TFT基板W1と対応基板W2における配向膜10の配向方向を、90°ずらした状態にする。
【0019】
このような状態で、シール剤の開口部からTFT基板W1と対向基板W2との間に液晶分子6を含む液晶層11を充填する。この際、TFT基板W1と対向基板W2との間に狭持されたスペーサによって保持される液晶層11の厚みdと、液晶層13の複屈折率Δnとの積(Δn×d)が、使用温度において所定値となるように、液晶層11およびスペーサを選択することとする。例えば、TNモードの液晶パネルの作製を目的とした場合、Δn×d=0.35〜0.50となるように液晶層11およびスペーサを選択することで、基板W1,W2の配向膜10間において90°連続的に液晶分子6がねじれた透過率が最大となる液晶パネルが得られる。具体的な一例としては、液晶層11の厚みdをd=2μm〜4μmとし、複屈折率Δn=0.1366、Δε=10.4の液晶層13を用いることとする。尚、シール剤にも、厚みdを制御するためのファイバー(3.2μm径)を含有させても良い。
【0020】
以上の後、シール剤の開口部を塞ぎ、TNモードの液晶パネル15を完成させる。このようにして得られた液晶パネル15は、その配向膜10が、次のような特徴的な積層構造となっている。すなわち、配向膜10は、図3(1)に示したように、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が垂直に配向される第1の蒸着膜4aと、図3(2)に示したように、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が平行に配向される第2の蒸着膜4bとで構成され、各蒸着分子4の配向方向が略90°を成すように、第1の蒸着膜4a上に第2の蒸着膜4bが積層された構成となっている。
【0021】
以上の製造方法およびこれによって得られた液晶パネルでは、上述した構成の配向膜を備えており、このような配向膜においては、第1の蒸着膜4aの膜厚に対して第2の蒸着膜4bの膜厚を調整することで、液晶分子6のプレチルト角に所望の角度が得られる。
【0022】
すなわち、先の図1に一例として示したように、第1の蒸着膜(蒸着角度60°)を膜厚40nm程度で形成した場合の、第2の蒸着膜(蒸着角度85°)の膜厚と液晶分子のプレチルト角との関係から、上述した本構成の配向膜では、液晶分子のプレチルト角は、第2の蒸着膜4bの膜厚に比例するようになり、例えばTNモードの液晶パネルに適しているとされるプレチルト角(5°〜12°程度)を得るには、第2の蒸着膜の膜厚を0.1nm〜0.5nm程度に設定すれば良いことがわかる。これにより、電圧印加時の立ち上がり方向を右旋回または左旋回に揃えることができる。
【0023】
したがって、上述した実施形態のようにして得られた液晶パネルにおいては、光照射による劣化のない無機材料からなる配向膜を有しながらも、この配向膜を構成する2層の蒸着膜の膜厚の設定によって、例えば上述したようなTNモードに適するプレチルト角を得ることができるのである。
この結果、長期信頼性に優れ、電圧印加時における表示欠陥の出現が抑えられ、応答速度の速いTNモードの液晶パネルを得ることが可能になる。
【0024】
また、図6には、以上の実施形態のようにして得た配向膜の分光透過率▲1▼を示した。また比較として、従来の有機材料からなる配向膜の分光透過率▲2▼を合わせて示した。この図に示すように、本構成の配向膜は、有機材料からなる配向膜と同程度、特に波長460nm付近および560nm付近の光に対しては有機材料からなる配向膜よりも良好な分光透過率が得られ、液晶パネルに用いた場合の光損失が充分に抑えられることが確認された。尚、本構成の配向膜の分光透過率は、第1の蒸着膜単層の分光透過率と同程度であった。
【0025】
このような液晶パネル15は、光照射による配向膜の劣化がないため、液晶プロジェクタ装置の液晶ライトバルブとして好適に用いられる。図7には、液晶パネル15を液晶ライトバルブとして用いた液晶プロジェクタの構成を示す。
【0026】
この液晶プロジェクタ20には、光源21を備えており、光源21からの光の出射方向には、第1の全反射ミラー22、第1のダイクロイックミラー23、第2の全反射ミラー24が順に配置されている。そして、第1のダイクロイックミラー23による光の反射方向には、第2のダイクロイックミラー25、さらに第3の全反射ミラー26、第4の全反射ミラー27が順に配置されている。
【0027】
そして、第2の全反射ミラー24による光の反射方向にR(赤色)用の液晶ライトバルブ15Rが、第2のダイクロイックミラー25による光の反射方向にはG(緑色)用の液晶ライトバルブ15Gが、第4の全反射ミラー27による光の反射方向にはB(青色)用の液晶ライトバルブ15Bが、それぞれ配置されている。これらの液晶ライトバルブ15R,15G,15Bは、2枚直交する偏向板で狭持された状態で配置されている。
【0028】
また、各々の液晶ライトバルブ15R,15G,15Bに囲まれる領域には、ダイクロイックプリズム28が配置されている。そして、このダイクロイックプリズム28の光出射方向には投射レンズ29が配置されて液晶プロジェクタ装置20が構成されている。
【0029】
このような構成の液晶プロジェクタ装置20においては、光源21から出射された光が、各ミラー22〜27で反射されて液晶ライトバルブ15R,15G,15Bに入射し、これらを透過したR,G,Bの光がダイクロイックプリズム28に入射して一つの光学画像を生成し、投射レンズ29で拡大されてスクリーン(図示省略)に投影される。
【0030】
このため、液晶ライトバルブ15R,15G,15Bには、光源21からの強い光(投射光)が照射されるが、これらのこの液晶ライトバルブ15R,15G,15Bに上述した構成のTNモードの液晶パネル15を用いることで、この光照射による配向膜の劣化が抑えられ、長期信頼性にすぐれた液晶プロジェクタ装置20を構成することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の液晶パネルおよびその製造方法によれば、光照射による劣化のない無機材料からなる配向膜を有しながらも、この配向膜を構成する2層の蒸着膜の膜厚の設定によって、例えばTNモードに適するプレチルト角を有する液晶パネルを得ることが可能になる。この結果、長期信頼性に優れ、電圧印加時においての表示欠陥の出現がなく応答速度の速い液晶パネルを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の蒸着膜(蒸着角度85°)の膜厚と液晶分子のプレチルト角との相関図である。
【図2】基板Wに対する斜方蒸着を説明するための図である。
【図3】各斜方蒸着で形成された第1および第2の蒸着膜においての、蒸着分子に対する液晶分子の配向状態を説明する図である。
【図4】第1段階の斜方蒸着と第2段階の斜方蒸着との関係を説明する図である。
【図5】実施形態の液晶パネルの構成を説明する断面図である。
【図6】実施形態で形成した配向膜の分光透過率図である。
【図7】実施形態の液晶パネルを液晶ライトバルブとして用いた液晶プロジェクタの構成図である。
【符号の説明】
2…無機材料、4…蒸着分子、4a…第1の蒸着膜、4b…第2の蒸着膜、6…液晶分子、10…配向膜、11…液晶層、15…液晶パネル、Lv…法線、W…基板、W1…TFT基板、W2…対向基板、θ1,θ2…蒸着角度
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶パネルおよびその製造方法に関し、特には投射型の表示装置(液晶プロジェクタ装置)の液晶ライトバルブとして好適に用いられる液晶パネルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置、さらには液晶プロジェクタ装置の液晶ライトバルブとして用いられる液晶パネルは、配向膜が設けられた一対の基板間に液晶層が封止された構成となっている。この液晶パネルの製造において配向膜を形成する場合には、ポリイミドまたはポリアミドのような樹脂膜にラビング処理を施している。
【0003】
ところが、ラビング処理においては、樹脂膜(配向膜)の表面にキズが生じたり、ゴミが付着したり、また処理ムラが生じ易い等の問題があった。また、樹脂からなる配向膜は光照射によって劣化し易いと言う問題もあった。特に、液晶プロジェクタ装置においては、液晶ライトバルブ(液晶パネル)に対して光源から強い光(投射光)が照射されることになるが、この投射光は増加する傾向にあり、樹脂からなる配向膜が劣化して気泡が生じるなどの問題も発生していた。
【0004】
そこで、酸化シリコン等の無機材料によって配向膜を得る方法が提案され、実施されている。この方法では、酸化シリコン等の無機材料の蒸気を、基板の法線に対して所定の斜め方向から供給することにより、当該基板の表面において一方向に蒸着分子(無機材料分子)を揃えた配向膜を得る、いわゆる斜方蒸着法である。このような斜方蒸着によって得た配向膜は、ラビングレスであるため、ゴミの付着やキズの発生、さらには配向のムラがなく、また無機材料を用いることで、光照射による膜質の劣化も無視できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような斜方蒸着法によって得られた配向膜を、TNモードの液晶パネルに用いた場合、次のような課題が生じていた。
すなわち、液晶パネルを駆動させる場合、電圧印加時における液晶分子の立ち上がり方向を揃えるためには、液晶分子を予め基板から所定の角度(プレチルト角)で傾けておく必要がある。
【0006】
そして、TNモードの液晶パネルの場合、このプレチルト角は5°〜12°程度の範囲が適しており、ラビング処理された配向膜を用いた場合のプレチルト角は2°〜7°程度になる。ところが、酸化シリコンの斜方蒸着によって得た配向膜では、蒸着角度にもよるが、プレチルト角が20°から30°と高すぎたり、また0°と全く角度が付かない場合もある。このため、無機材料の斜方蒸着による配向膜を用いたTNモードの液晶パネルにおいては、電圧印加時における液晶分子の立ち上がり方向を十分に揃えることができず、したがって電圧印加時に表示欠陥が発生すると言った問題が生じていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するための本発明の液晶パネルは、配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封止してなる液晶パネルにおいて、その配向膜が、無機材料の斜方蒸着膜からなると共に、第1の蒸着膜上に第2の蒸着膜を積層してなるもので、各蒸着分子の配向方向が略垂直となるように積層されている。このうち、第1の蒸着膜は、蒸着分子の配向方向に対して液晶分子が垂直に配向される膜であり、例えば基板表面の法線に対して60°程度の角度(蒸着角度)から蒸着分子を供給する斜方蒸着によって得られる。また第2の蒸着膜は、蒸着分子の配向方向に対して液晶分子が平行に配向される膜であり、基板表面の法線に対して85°程度の角度(蒸着角度)からから蒸着分子を供給する斜方蒸着によって得られる。
【0008】
また本発明は、このような構成の液晶パネルの製造方法でもあり、斜方蒸着により、第1の蒸着膜を基板上に形成する第1工程と、この第1の蒸着膜上に第2の蒸着膜を形成する第2工程とを行う。特に第2工程では、第1工程の斜方蒸着に対して、基板表面への蒸着分子の供給方向を90°程度ずらす。
【0009】
このような構成の液晶パネルおよび製造方法では、蒸着分子に対する液晶分子の配向状態が90°異なる第1の蒸着膜と第2の蒸着膜とを、それぞれの蒸着分子の配向方向が略垂直となるように積層して配向膜としており、このような配向膜においては、第1の蒸着膜の膜厚に対して第2の蒸着膜の膜厚を調整することで、液晶分子のプレチルト角に所望の角度が得られることが確認された。図1にはその一例として、第1の蒸着膜(蒸着角度60°)を膜厚40nm程度で形成した場合の、第2の蒸着膜(蒸着角度85°)の膜厚と液晶分子のプレチルト角との相関図を示す。この図1に示すように、液晶分子のプレチルト角は、第2の蒸着膜の膜厚に比例しており、例えばTNモードの液晶パネルに適しているとされるプレチルト角は5°〜12°程度を得るには、第2の蒸着膜の膜厚を0.1nm〜0.5nm程度に設定すれば良いことがわかる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶パネルおよびその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。ここでは、TNモードの液晶パネルを得る場合を例示し、製造方法の実施形態から順に説明を行う。
【0011】
先ず、一対のガラスからなる基板を用意する。そして、一方の基板の一主面側に、薄膜トランジスタおよびこれに接続された信号線、走査線および画素電極を形成し、これをTFT基板とする。また、他方の基板の一主面側には、共通電極を形成しこれを対向基板とする。尚、画素電極および共通電極は、透明電極であることとする。
【0012】
次に、これらの基板の一主面側、すなわちTFT基板および対向基板における電極形成面側に、斜方蒸着によって酸化シリコン(SiO2,SiOx)のような無機材料からなる配向膜を形成する。この斜方蒸着においては、図2に示すように、基板Wの一主面側に対し、蒸着源1から蒸発させた無機材料2の蒸気を斜め方向から供給する。この際、基板Wの一主面の法線Lvに対して、無機材料の蒸気の入射角度(蒸着角度)を所定の蒸着角度θ1,θ2に保った2段階の斜方蒸着を行う。
【0013】
すなわち、第1段階(第1工程)の斜方蒸着においては、図3(1)に示すように、基板W上における蒸着分子4の配向方向(斜方蒸着カラムの配向方向)に対して、後に説明する液晶分子6が垂直に配向されるような蒸着膜が形成されるように、つまり蒸着分子4の長軸に沿って液晶分子6の長軸が配向するような蒸着膜が形成されるように、第1の蒸着角度θ1からの斜方蒸着を行う。この第1の蒸着角度θ1は、上記のような蒸着膜が形成されれば、特に限定されることはないが、60°程度であることとする。第1の蒸着角度θ1が60°程度であれば、蒸着膜厚に依存せずに上述した特性の蒸着膜が得られる。そして、この斜方蒸着により、膜厚10nm〜320nmの範囲、例えば膜厚40nmの第1の蒸着膜4aを形成する。
【0014】
次いで、第2段階(第2工程)の斜方蒸着においては、図3(2)に示すように、基板W上における蒸着分子4の配向方向に対して、上記液晶分子6が平行に配向されるような蒸着膜が形成されるように、つまり蒸着分子4の長軸と垂直に液晶分子6の長軸が配向するような蒸着膜が形成されるように、第2の蒸着角度θ2からの斜方蒸着を行う。この第2の蒸着角度θ2は、上記のような蒸着膜が得られれば特に限定されることはないが、85°程度であることとする。第2の蒸着角度θ2が85°程度であれば、第1の蒸着角度θ1=60°で形成した第1の蒸着膜4a上に積層形成した場合に、膜厚の調整することで、後述するように広範囲のプレチルト角が得られる。そして、この斜方蒸着により第2の蒸着膜4bを形成する。この第2の蒸着膜の膜厚は、第1の蒸着膜の膜厚によって適宜選択された範囲に設定されることとし、一例としてここでは、TNモードの液晶パネルの作製を目的としているため、第1の蒸着膜の膜厚が40nmである場合、膜厚0.1nm〜0.5nm程度の範囲の膜厚に設定されることとする。尚、以上の図3(1),(2)においては、蒸着分子4が単層として各蒸着膜4a,4bを示したが、実際には各蒸着膜4a,4bの蒸着分子4は積層状態であることは言うまでもない。
【0015】
ここで、図4に示すように、第2の蒸着角度θ2での第2段階の斜方蒸着は、第1の蒸着角度θ1での第1段階の斜方蒸着に対し、基板W表面への蒸着分子の供給方向を90°程度ずらした方向から行うこととする。つまり、先の図2に示した斜方蒸着において、第1の蒸着角度θ1での第1段階の斜方蒸着が終了した後、基板Wをその面内において90°回転させた状態で、蒸着角度を第2の蒸着角度θ2に設定して行われることとなる。
【0016】
以上の2段階の斜方蒸着の具体的な一例としては、蒸着源1となる「るつぼ」内に蒸着原料となる無機材料2としてSiO2(純度99.9%)の粉末を投入する。そして、対角90インチの基板Wの中央部と蒸着源1との距離を600nm程度に設定した状態で、上述した第1段階(第2段階)の蒸着角度および方向に基板を設置する。この状態で、蒸着室内を8.5×10Pa以下に保つ。そして、電子ビームの照射により無機材料2を加熱し、蒸着源1の上方に配置された基板Wに蒸着分子を拡散供給し、第1の蒸着膜および第2の蒸着膜を形成する。尚、これらの斜方蒸着において、次に説明するシール剤が設けられる基板Wの表面位置には、蒸着膜が形成されないようなマスクを配置しておくこととする。また、このような2段階の斜方蒸着終了後には、脱ガスおよび膜質を安定化させるために、200℃で1時間のアニール処理を施す。
【0017】
以上のようにして、2枚の基板W上に2層構造の配向膜を形成した後、図5に示すように、これらの基板W、すなわちTFT基板W1と対向基板W2を用いて液晶パネルを組み立てる。
【0018】
この際先ず、TFT基板W1における画素電極7および上述の配向膜10の形成面側、または対向基板W2における共通電極9および上述の配向膜10の形成面側に、スペーサを散布すると共にその周囲にシール剤を土手状に形成する(図示省略)。その後、これらのTFT基板W1と対向基板W2とを、配向膜10を対向させた状態で配置する。この際、TFT基板W1と対応基板W2における配向膜10の配向方向を、90°ずらした状態にする。
【0019】
このような状態で、シール剤の開口部からTFT基板W1と対向基板W2との間に液晶分子6を含む液晶層11を充填する。この際、TFT基板W1と対向基板W2との間に狭持されたスペーサによって保持される液晶層11の厚みdと、液晶層13の複屈折率Δnとの積(Δn×d)が、使用温度において所定値となるように、液晶層11およびスペーサを選択することとする。例えば、TNモードの液晶パネルの作製を目的とした場合、Δn×d=0.35〜0.50となるように液晶層11およびスペーサを選択することで、基板W1,W2の配向膜10間において90°連続的に液晶分子6がねじれた透過率が最大となる液晶パネルが得られる。具体的な一例としては、液晶層11の厚みdをd=2μm〜4μmとし、複屈折率Δn=0.1366、Δε=10.4の液晶層13を用いることとする。尚、シール剤にも、厚みdを制御するためのファイバー(3.2μm径)を含有させても良い。
【0020】
以上の後、シール剤の開口部を塞ぎ、TNモードの液晶パネル15を完成させる。このようにして得られた液晶パネル15は、その配向膜10が、次のような特徴的な積層構造となっている。すなわち、配向膜10は、図3(1)に示したように、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が垂直に配向される第1の蒸着膜4aと、図3(2)に示したように、蒸着分子4の配向方向に対して液晶分子6が平行に配向される第2の蒸着膜4bとで構成され、各蒸着分子4の配向方向が略90°を成すように、第1の蒸着膜4a上に第2の蒸着膜4bが積層された構成となっている。
【0021】
以上の製造方法およびこれによって得られた液晶パネルでは、上述した構成の配向膜を備えており、このような配向膜においては、第1の蒸着膜4aの膜厚に対して第2の蒸着膜4bの膜厚を調整することで、液晶分子6のプレチルト角に所望の角度が得られる。
【0022】
すなわち、先の図1に一例として示したように、第1の蒸着膜(蒸着角度60°)を膜厚40nm程度で形成した場合の、第2の蒸着膜(蒸着角度85°)の膜厚と液晶分子のプレチルト角との関係から、上述した本構成の配向膜では、液晶分子のプレチルト角は、第2の蒸着膜4bの膜厚に比例するようになり、例えばTNモードの液晶パネルに適しているとされるプレチルト角(5°〜12°程度)を得るには、第2の蒸着膜の膜厚を0.1nm〜0.5nm程度に設定すれば良いことがわかる。これにより、電圧印加時の立ち上がり方向を右旋回または左旋回に揃えることができる。
【0023】
したがって、上述した実施形態のようにして得られた液晶パネルにおいては、光照射による劣化のない無機材料からなる配向膜を有しながらも、この配向膜を構成する2層の蒸着膜の膜厚の設定によって、例えば上述したようなTNモードに適するプレチルト角を得ることができるのである。
この結果、長期信頼性に優れ、電圧印加時における表示欠陥の出現が抑えられ、応答速度の速いTNモードの液晶パネルを得ることが可能になる。
【0024】
また、図6には、以上の実施形態のようにして得た配向膜の分光透過率▲1▼を示した。また比較として、従来の有機材料からなる配向膜の分光透過率▲2▼を合わせて示した。この図に示すように、本構成の配向膜は、有機材料からなる配向膜と同程度、特に波長460nm付近および560nm付近の光に対しては有機材料からなる配向膜よりも良好な分光透過率が得られ、液晶パネルに用いた場合の光損失が充分に抑えられることが確認された。尚、本構成の配向膜の分光透過率は、第1の蒸着膜単層の分光透過率と同程度であった。
【0025】
このような液晶パネル15は、光照射による配向膜の劣化がないため、液晶プロジェクタ装置の液晶ライトバルブとして好適に用いられる。図7には、液晶パネル15を液晶ライトバルブとして用いた液晶プロジェクタの構成を示す。
【0026】
この液晶プロジェクタ20には、光源21を備えており、光源21からの光の出射方向には、第1の全反射ミラー22、第1のダイクロイックミラー23、第2の全反射ミラー24が順に配置されている。そして、第1のダイクロイックミラー23による光の反射方向には、第2のダイクロイックミラー25、さらに第3の全反射ミラー26、第4の全反射ミラー27が順に配置されている。
【0027】
そして、第2の全反射ミラー24による光の反射方向にR(赤色)用の液晶ライトバルブ15Rが、第2のダイクロイックミラー25による光の反射方向にはG(緑色)用の液晶ライトバルブ15Gが、第4の全反射ミラー27による光の反射方向にはB(青色)用の液晶ライトバルブ15Bが、それぞれ配置されている。これらの液晶ライトバルブ15R,15G,15Bは、2枚直交する偏向板で狭持された状態で配置されている。
【0028】
また、各々の液晶ライトバルブ15R,15G,15Bに囲まれる領域には、ダイクロイックプリズム28が配置されている。そして、このダイクロイックプリズム28の光出射方向には投射レンズ29が配置されて液晶プロジェクタ装置20が構成されている。
【0029】
このような構成の液晶プロジェクタ装置20においては、光源21から出射された光が、各ミラー22〜27で反射されて液晶ライトバルブ15R,15G,15Bに入射し、これらを透過したR,G,Bの光がダイクロイックプリズム28に入射して一つの光学画像を生成し、投射レンズ29で拡大されてスクリーン(図示省略)に投影される。
【0030】
このため、液晶ライトバルブ15R,15G,15Bには、光源21からの強い光(投射光)が照射されるが、これらのこの液晶ライトバルブ15R,15G,15Bに上述した構成のTNモードの液晶パネル15を用いることで、この光照射による配向膜の劣化が抑えられ、長期信頼性にすぐれた液晶プロジェクタ装置20を構成することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の液晶パネルおよびその製造方法によれば、光照射による劣化のない無機材料からなる配向膜を有しながらも、この配向膜を構成する2層の蒸着膜の膜厚の設定によって、例えばTNモードに適するプレチルト角を有する液晶パネルを得ることが可能になる。この結果、長期信頼性に優れ、電圧印加時においての表示欠陥の出現がなく応答速度の速い液晶パネルを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の蒸着膜(蒸着角度85°)の膜厚と液晶分子のプレチルト角との相関図である。
【図2】基板Wに対する斜方蒸着を説明するための図である。
【図3】各斜方蒸着で形成された第1および第2の蒸着膜においての、蒸着分子に対する液晶分子の配向状態を説明する図である。
【図4】第1段階の斜方蒸着と第2段階の斜方蒸着との関係を説明する図である。
【図5】実施形態の液晶パネルの構成を説明する断面図である。
【図6】実施形態で形成した配向膜の分光透過率図である。
【図7】実施形態の液晶パネルを液晶ライトバルブとして用いた液晶プロジェクタの構成図である。
【符号の説明】
2…無機材料、4…蒸着分子、4a…第1の蒸着膜、4b…第2の蒸着膜、6…液晶分子、10…配向膜、11…液晶層、15…液晶パネル、Lv…法線、W…基板、W1…TFT基板、W2…対向基板、θ1,θ2…蒸着角度
Claims (4)
- 表面に配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封止してなる液晶パネルにおいて、
前記配向膜は、
無機材料の斜方蒸着膜からなり、
蒸着分子の配向方向に対して前記液晶層を構成する液晶分子が垂直に配向される第1の蒸着膜と、蒸着分子の配向方向に対して前記液晶層を構成する液晶分子が平行に配向される第2の蒸着膜とで構成され、
前記各蒸着分子の配向方向が略垂直となるように、前記第1の蒸着膜上に前記第2の蒸着膜を積層してなる
ことを特徴とする液晶パネル。 - 請求項1記載の液晶パネルにおいて、
前記第1の蒸着膜は、前記基板表面の法線に対して60°程度の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着によって得られ、
前記第2の蒸着膜は、前記基板表面の法線に対して85°程度の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着によって得られた
ことを特徴とする液晶パネル。 - 表面に配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封止してなる液晶パネルの製造方法であって、
斜方蒸着により、蒸着分子の配向方向に対して前記液晶層を構成する液晶分子が垂直に配向される第1の蒸着膜を基板上に形成する第1工程と、
前記第1工程の斜方蒸着に対して前記基板表面への蒸着分子の供給方向を90°程度ずらした斜方蒸着により、蒸着分子の配向方向に対して前記液晶層を構成する液晶分子が平行に配向される第2の蒸着膜を前記第1の蒸着膜上に形成する工程とを行い、
前記第1の蒸着膜上に第2の蒸着膜を積層してなる配向膜を得る
ことを特徴とする液晶パネルの製造方法。 - 請求項3記載の液晶パネルの製造方法において、
前記第1工程では、前記基板表面の法線に対して60°程度の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着を行い、
前記第2工程では、前記基板表面の法線に対して85°程度の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着を行う
ことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
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