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JP2003524414A - ストレス誘導タンパク質を検出するための組成物および方法 - Google Patents

ストレス誘導タンパク質を検出するための組成物および方法

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JP2003524414A
JP2003524414A JP2001544300A JP2001544300A JP2003524414A JP 2003524414 A JP2003524414 A JP 2003524414A JP 2001544300 A JP2001544300 A JP 2001544300A JP 2001544300 A JP2001544300 A JP 2001544300A JP 2003524414 A JP2003524414 A JP 2003524414A
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JP
Japan
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seq
hsp70b
antibody
peptide
protein
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001544300A
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English (en)
Inventor
ヘザー エイ. ブ
ジェラルディン エス. ウォン
ヘンリー ロドリゲス
Original Assignee
ストレスジェン バイオテクノロジーズ コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ストレスジェン バイオテクノロジーズ コーポレイション filed Critical ストレスジェン バイオテクノロジーズ コーポレイション
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    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
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    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies

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Abstract

(57)【要約】 ストレス誘導型Hsp70B'タンパク質を検出する組成物および方法を開示する。これらには、Hsp70B'の特定のアミノ酸領域、および領域に対応するペプチド、または抗原的に同等の様々なペプチドに対する抗体が含まれる。明確なエピトープに対して抗Hsp70B'抗体を作製できることによって、インビトロおよびインビボでの多様な使用が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、2000年12月7日に提出された米国特許出願番号第60/169,535号の利
益を主張する。
【0002】 本発明は、ストレス誘導タンパク質Hsp70B'を検出する組成物および方法を特
徴とする。より詳しく述べると、本発明は、Hsp70B'もしくは断片に特異的に結
合する抗体、抗原性同等部分、またはそのエピトープを特徴とする。
【0003】発明の背景 ほとんどの生物の細胞は、その環境の負の変化に対処するために「細胞ストレ
ス応答」として知られるメカニズムを進化させた。反応は普遍的な細胞防御メカ
ニズムであり、それによって、「熱ショック」または「ストレス」タンパク質と
呼ばれる種類のタンパク質の発現が増加する。反応を誘発する条件には:温度の
上昇、低酸素症、放射線照射、栄養欠乏、急激な運動、感染症、または前炎症性
サイトカイン、重金属、アミノ酸類似体、もしくは代謝毒のような代謝障害への
曝露が含まれる(Kellyら、J. Appl. Physiol. 81:2379〜2385、1996;Minowad
aおよびWelch、J. Clin. Invest. 95:3〜12、1995)
【0004】 ストレスタンパク質はまた、正常な細胞機能にとっても必須であり、多くが構
成的に発現されている。それらは細胞周期および細胞の分化の調節、ならびに臓
器発達の重要な段階での細胞の維持に役立つと考えられている(Birnbaum、Spri
nger Semin. Immunopathol. 17:107〜118、1995)。いくつかのストレスタンパ
ク質は、新生ポリペプチドの正確な折り畳みまたは構造を促進して、タンパク質
の細胞内輸送を指示し、タンパク質を変性から保護し、そして折り畳まれていな
いタンパク質の再生を補助する分子シャペロンである(Macario、Int. J. Clin.
Lab. Res. 25:59〜70、1995)。ストレスタンパク質はまた、抗原提示および
核受容体結合に関与し、抗アポトーシス物質として作用する。
【0005】 ストレスタンパク質のHsp70ファミリーには、大きさが66 kDa〜78 kDaの範囲
の非常に関連したタンパク質イソ型をコードする少なくとも11個の異なる遺伝子
が含まれる(Tavariaら、Cell Stress & Chaperones 1:23〜28、1996)。この
ファミリーのメンバーは、タンパク質合成と転位、タンパク質間相互作用、熱耐
性、およびタンパク質分解を調節するために役立つ(Mangurtenら、Cell Stress
& Chaperones 2:168〜174、1997)。
【0006】 ヒトhsp70遺伝子ファミリーのメンバーはまた、構造上および配列上、かなり
の類似性を示す;最も大きい配列の相違は、非翻訳領域とC末端コード領域に存
在する(Leungら、Genomics 12:74〜79、1992)。個々のHsp70ファミリーメン
バーは、基礎発現レベルが異なり、異なる条件で誘導される(Leungら、Genomic
s 12:74〜79、1992)。Hsp70タンパク質イソ型の大部分は構成的に合成される
が、その発現は、環境による障害に曝露された後に上方制御される可能性がある
。これらのタンパク質は、ATP結合カセットを通してそのN末端でATPに結合し、
大きいC末端ペプチド結合ドメインを有する(Maioら、「分子シャペロンとタン
パク質折り畳み触媒のガイドブック(Guidebook to Molecular Chaperones and
Protein-Folding Catalysts)」、サムブルック(Sambrook)およびトゥーズ(T
oose)編、オックスフォード大学出版、1997)。このペプチド結合機能によって
、Hsp70タンパク質は合成後の新生タンパク質の保護および折り畳みにおいて、
膜を通してのタンパク質の転位において、ならびにストレス誘導タンパク質損傷
の保護および修復において、重要な役割を果たすことができる(Minowadaおよび
Welch、J. Clin. Invest. 95:3〜12、1995)。
【0007】 ヒトHsp70タンパク質ファミリーのメンバーは、異なる細胞成分に会合してい
る。主なファミリーメンバーには:i)細胞質および核に存在する構成的なHsc70
(または同源の)タンパク質、ii)細胞質、核、および核小体に存在する非常に
ストレス誘導型のHsp70Aタンパク質(このタンパク質はストレスを受けていない
ヒト細胞において基礎レベルで存在する)、iii)厳密にストレス誘導型のHsp70
B'タンパク質およびその近縁のイソ型であるHsp70B、iv)小胞体内腔に存在する
構成的なグルコース調節78 kDaタンパク質(またはBiP)、ならびにv)ミトコン
ドリアに存在するグルコース調節75 kDaタンパク質(Grp75またはmtHsp 75)が
ある(Tavariaら、Cell Stress & Chaperones 1:23〜28、1996)。
【0008】 基礎レベルで発現されており、発現が高レベルで(すなわち、Grp75およびHep
70A)、かつ構成的なHsp70ファミリーメンバー(例えば、Hsc70、BiP)に誘導さ
れうるHsp70ファミリーメンバーに対する抗体が作製されている。しかし、厳密
に誘導型のHsp70B'タンパク質またはその相同体であるHsp70に特異的に結合する
抗体はない。このように、免疫学に基づくアッセイ法(イムノブロッティング、
EIA、および免疫組織化学等)では、厳密にストレス誘導性でない抗体を用いて
行われている。これらのアッセイ法で得られた結果は、Hsp70ファミリータンパ
ク質がそのように複雑であるために曖昧である。Hsp70AとGrp70とはストレス条
件下で上方制御されることが示されているが、正常組織、新生物組織、および細
胞株において誘導型Hsp70Aタンパク質が有意な基礎レベルで存在する(Bachelet
ら、Cell Stress & Chaperones 3:168〜176、1998;Brattonら、Int. J. Hype
rthermia 13:157〜168、1997;Sztankay、Journal of Autoimmunity 7:219〜2
30、1994)、ならびに非ストレス細胞において基礎レベルが極端に変動する(Po
ckleyら、Immunol. Invest. 27:367〜77、1998)ために、解釈が混乱し、これ
までの研究の有用性が制限される。Hspファミリーの二重の機能もまた問題であ
る。Hsp70は、構成的に(細胞の「ハウスキーピング」機能を行うことによって
)および誘導的に(細胞環境に対する負の変化に応答することによって)タンパ
ク質機能を抑制する。今日まで開発されたアッセイ法は、既に発現されたタンパ
ク質(Hsp70A)の漸増を評価するが、既存の基礎レベルがかなり変動することか
ら、結果を解釈することは難しい。このように、厳密にストレス誘導型Hsp70B'
タンパク質に特異的に結合する抗体が必要である。本発明の新規組成物はこの要
求を満たす。
【0009】発明の概要 本発明は、ヒトHsp70B'タンパク質からの免疫原性ペプチド配列の同定に一部
基づいている。このタンパク質に特異的に結合する抗体を用いて、細胞が正常に
機能している間にストレスに応答する際に発現するHSC70/HSP70タンパク質と、
ストレス(すなわち、細胞または生物の健康にとって有害な物質または事象)に
反応した場合に限って産生されるHsp70B'タンパク質とを区別することができる
。Hsp70B'は、hsp70B' mRNAまたはHsp70B'タンパク質のいずれも非ストレス細胞
には検出されていないために、Hsp70ファミリータンパク質の中では特異である
。したがって、本発明は、細胞(または例えば、細胞培養での、もしくは組織内
の細胞集団)がHsp70B'を発現するか否かを決定する組成物および方法を特徴と
する。Hsp70B'抗体に対する陽性反応は、特定の細胞におけるストレスの証拠を
提供するのみならず、その細胞が存在する(または得られた細胞が由来する)生
物の全般的健康状態の指標を提供する。下記のように、本発明の組成物(例えば
、Hsp70B'タンパク質に特異的に結合する抗体、抗原性断片、またはそのエピト
ープ)を用いて、細胞(例えば、ヒト細胞)、臓器(例えば皮膚または肝臓)、
または生物全体(例えば、ヒト)がストレス誘発物質に曝露されたか否かを決定
することができる。
【0010】 本発明はまた、Hsp70B'タンパク質の領域に対応するか、または抗原的に同等
であるペプチドも特徴とする。ペプチドは、以下のアミノ酸配列のように、Hsp7
0B'タンパク質の5個またはそれ以上(例えば、5個、6個、7個、8個、10個
、または12個)の連続したアミノ酸(第2位、第4位、第6位、または第8位の
残基から始まる)で構成されうる: (1) (配列番号:_)(例えば、 (配列番号:_)および (配列番号:_)); (2) (配列番号:_)(例えば、 (配列番号:_;これらのペプチドがキーホールリンペットヘモシアニン(KLH
)に結合している場合、N末端のシステイン残基を含みうる); (3) (配列番号:_)(例えば、 (配列番号:_)); (4) (配列番号:_;Hsp70B'のN末端に存在し、KLHに結合している場合には、C末端
システイン残基を含む(すなわち、 (配列番号:_)); (5) (配列番号:_)。
【0011】 本発明のペプチドは少なくとも一つのアミノ酸置換を含みうる(例えば、本発
明のペプチドにおける1個、2個、もしくは3個の残基をもう一つのアミノ酸残
基に置換することができる;またはペプチドにおける残基の約50%まで(例えば
、10%、25%、30%、40%、もしくは50%)を置換することができる)。置換は
、保存的アミノ酸置換となりうる。保存的アミノ酸置換には、アラニンとバリン
、バリンとイソロイシン、ロイシンとイソロイシン、アスパラギン酸とグルタミ
ン酸、トレオニンとセリン、および類似の性質(例えば、当初のアミノ酸残基の
中性、陽性、または陰性荷電が維持されている)の他のアミノ酸との互換が含ま
れる。保存的アミノ酸置換は当業者に周知である。好ましくは、置換を含むペプ
チドは自然界に存在するペプチド配列と抗原的に同等であると考えられる(すな
わち、置換を含むペプチドは自然界に存在するペプチドの相対力価指数の半分と
同程度の相対力価指数を有すると考えられる)。本発明のペプチドはまた、その
免疫原性または循環半減期(circulating half-time)を増強する担体(例えば
、KLHまたは卵白アルブミン)に結合させることができる。特に明記していなけ
れば、「タンパク質」とは完全長のタンパク質(例えば、完全長のHsp70B'タン
パク質)であり、「ペプチド」とは、完全長のタンパク質の一部(例えば、Hsp7
0B'タンパク質に存在する5個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基)である
。「ポリペプチド」は、タンパク質またはペプチドのいずれかでありうる。
【0012】 関連する局面において、本発明は、本明細書に開示のHsp70B'またはHsp70B'ペ
プチドの一つに特異的に結合する抗体、およびそれらの抗体を得る方法を特徴と
する。抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体になり得て、当業者
に周知の方法で産生することができる。これらの方法には典型的に、Hsp70B'ま
たはHsp70B'ペプチドで動物を免疫する段階が含まれるが、代わりにHsp70B'また
はHsp70B'ペプチドをコードする核酸分子で動物を免疫することができる。
【0013】 本発明の抗体は、実質的に如何なるイムノアッセイ法(例えば、固定された(
例えば膜もしくはカラムに)または細胞中に存在するHsp70B'タンパク質または
ペプチドに結合することによって(例えば免疫組織化学によって)行われるアッ
セイ法)おいてもHsp70B'に特異的に結合し、それによってHsp70B'を検出するた
めに用いてもよい。したがって、本発明は、Hsp70B'タンパク質またはペプチド
に特異的に結合する抗体を含むキットを特徴とする。キットはまた、Hsp70B'タ
ンパク質またはペプチド(陽性対照として)、無関係タンパク質(すなわち、供
給される抗体が結合しないタンパク質;陰性対照として)、二次抗体、他の試薬
、緩衝液、または溶液、および説明書を選択的に含みうる。
【0014】 本発明の一つまたはそれ以上の態様の詳細を、添付の図面および下記の説明に
気述する。本発明のその他の特徴、目的、および長所は説明および図面、ならび
に特許請求の範囲から明らかになると考えられる。
【0015】詳細な説明 本発明は、Hsp70B'タンパク質に存在する配列であるか、または自然界に存在
するペプチドの抗原性同等性を保持するような限定された方法でHsp70B'タンパ
ク質の配列とは異なる配列である、免疫原性ペプチドを特徴とする。例えば、一
つまたはそれ以上のアミノ酸置換(例えば、一つまたはそれ以上の保存的アミノ
酸置換)を含むHsp70B'タンパク質またはペプチドは、自然界に存在するHsp70B'
タンパク質またはそのペプチド断片と抗原性が同等となりうる。動物に投与した
場合に、Hsp70B'タンパク質に特異的に結合する抗体の産生を誘発するタンパク
質またはペプチドには以下が含まれる: (1) (配列番号:_)(例えば、 (配列番号:_)および (配列番号:_)); (2) (配列番号:_)(例えば、 (配列番号:_;これらのペプチドがキーホールリンペットヘモシアニン(KLH
)に結合している場合、N末端のシステイン残基を含みうる); (3) (配列番号:_)(例えば、 (配列番号:_); (4) (配列番号:_;Hsp70B'のN末端に存在し、KLHに結合している場合には、C末端
システイン残基を含む(すなわち (配列番号:_)); (5) (配列番号:_);およびHsp70B'タンパク質(配列番号:_)。
【0016】 これらのペプチドの如何なる一部もまた、Hsp70B'特異的抗体を作製するため
に用いることができる。より詳しく述べると、5個またはそれ以上連続したアミ
ノ酸残基(すなわち、自然界に存在する配列に現れる順序と同じ配列順序でペプ
チド結合によって互いに結合しているアミノ酸残基)を用いることができる。本
明細書に開示のHsp70B'またはHsp70B'ペプチドの配列内の、最後のアミノ酸残基
から5番目までのいずれかのアミノ酸残基が開始点となりうる。本明細書に開示
の配列に基づくペプチドは、少なくとも、5個、6個、7個、8個、9個、10個
、11個、12個、13個、14個、15個、18個、20個、25個、または28個の連続したア
ミノ酸残基を含みうる。さらに、それらは例えば、本明細書に開示の如何なるペ
プチドにおける第2位、第5位、第9位、第10位、または第12位の残基から始ま
ることができる。
【0017】 Hsp70B'タンパク質または如何なるHsp70B'ペプチドも、その免疫原性を増強す
る担体に結合させることができる。担体は、タンパク質またはペプチドと結合さ
せると、タンパク質またはペプチドに結合させない場合より多くの抗体を産生す
る任意の物質である。担体は、動物に投与した場合に2つの物質が互いに結合し
たままである限り、タンパク質またはペプチドに共有結合または非共有結合によ
って結合させることができる。より詳しく述べると、担体は、キーホールリンペ
ットヘモシアニン(KLH)のようなアミノ酸に基づく物質でありうる。結合手段
にかかわらず、一つまたはそれ以上の基(例えば、化学反応基、または一つもし
くはそれ以上のアミノ酸残基)を用いてタンパク質またはペプチドと担体との結
合を促進することができる。例えば、システイン残基をHsp70B'の末端または本
明細書に開示のHsp70B'ペプチドのいずれかに付加して、担体とのカップリング
を促進することができる。望ましければ、一つ以上の担体を用いることができ、
スペーサー(例えば、一つまたはそれ以上のアミノ酸残基)をタンパク質または
ペプチドと担体との間に加えることができる。
【0018】 抗体は一般的に、当業者に既知の多様な如何なる技術によって調製してもよい
(例えば、HarlowおよびLane、「抗体:実験マニュアル(Antibodies:A Labora
tory Manual)」、コールドスプリングハーバー研究所、1988を参照のこと)。
例えば、Hsp70B'ペプチドを含む免疫原を、一回またはそれ以上の追加免疫を伴
う既定のスケジュールに従って、適した動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ
、ヒツジおよびヤギ)に最初に注射して、血液試料を動物から定期的に採取する
。次に、Hsp70B'ペプチドに対して特異的なポリクローナル抗体を、例えば投与
したペプチドと同じ配列のペプチドを適切な固相支持体にカップリングさせたア
フィニティクロマトグラフィーによって、抗血清から精製することができる。
【0019】 Hsp70B'特異的抗体を得るために、動物を、本明細書に開示のHsp70B'またはHs
p70B'ペプチドの一つによって免疫することができる。「免疫した」という用語
は、少なくとも抗原の初回投与を意味し、選択的に、その後の投与(例えば、2
回目または3回目の投与)およびさらなる定期的な追加免疫が含まれる。免疫に
は典型的に、抗原(すなわち、Hsp70B'タンパク質または免疫応答を誘発するそ
の断片もしくはそのエピトープ)とアジュバントとの投与が含まれる。投与され
るHsp70B'タンパク質またはペプチドは、天然資源から精製するか、化学的に合
成するか、または組換えによって産生することができる。動物を免疫するために
用いるアミノ酸配列の長さにかかわらず、血清(または抗原特異的B細胞、また
はその他の抗体を含む液体)を採取して、抗体反応を、典型的にイムノアッセイ
法によって評価する。高力価の調製物は一般的にプールされ、タンパク質特異的
抗体またはペプチド特異的抗体が、タンパク質またはペプチドが固定されている
イムノアフィニティカラム上で精製される。完全長のHsp70B'タンパク質(また
は本明細書に開示のペプチドより長いタンパク質の任意の部分)を用いて、免疫
するか、または別な方法で抗体を産生する場合、Hsp70B'ペプチド(本明細書に
開示のペプチド)を典型的に用いて抗体を精製する。Hsp70B'内に、Hsp70B'と他
のHsp70ファミリーメンバーとを区別する抗体を産生しうるアミノ酸配列が見出
されたことによって、当業者に既知の多くの方法によって抗体を得ることができ
る。
【0020】 ポリクローナル抗体の他に産生される抗体は、モノクローナル抗体、F(ab')2
、およびFab断片のようなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の断片
、同様に自然界に存在する、または組換えによって産生される結合パートナー(
すなわち、Hsp70B'に特異的に結合する分子)でありうる。Hsp70B'タンパク質ま
たはペプチド(抗原として機能する)の他に、投与する組成物には、免疫原性を
増強する担体溶媒および免疫刺激物質(例えば、アジュバント)を含みうる。担
体溶媒は、アルミニウム塩、油中水型乳剤、生体分解性油性溶媒、水中油型乳剤
、生体分解性マイクロカプセル、およびリポソームを含みうる。免疫刺激物質は
、N-アセチルムラミル-L-アラニン-D-イソグルタミン(MDP)、リポ多糖類(LPS
)、グルカン、IL-12、GM-CSF、γインターフェロン、およびIL-15を含みうる。
【0021】 Hsp70B'ペプチドに対して特異的なモノクローナル抗体は、例えばコーラー(K
ohler)およびミルスタイン(Milstein)、(Eur. J. Immunol. 6:511〜519、1
976)の技術およびその改善方法を用いて調製することができる。簡単に説明す
ると、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、関係するHsp70B'ペプチドと
の反応性)を有する抗体を産生する不死化細胞株の調製を含む。そのような細胞
株は、例えば免疫した動物由来の脾細胞から産生してもよい。次に、脾細胞を例
えば骨髄腫細胞融合パートナー、好ましくは免疫した動物と同系の細胞との融合
によって不死化する。例えば、脾細胞と骨髄腫細胞とを、膜の融合を促進する物
質(例えば、ポリエチレングリコール、または非イオン性洗浄剤)と共に混合し
た後、ハイブリッド細胞の増殖を維持するが、骨髄腫細胞の増殖は維持しない選
択培地に低密度で播種する。選択技術はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン
、チミジン)選択でありうる。十分な期間(典型的に1〜2週間)の後、ハイブ
リッドコロニーを観察する。単一のコロニーを選択して、ポリペプチドに対する
結合活性に関して調べる。高い反応性と特異性とを有するハイブリドーマが好ま
しい。モノクローナル抗体は、増殖したハイブリドーマコロニーの上清から単離
してもよい。したがって、そのようなハイブリドーマおよびそれらが産生するモ
ノクローナル抗体(すなわち、Hsp70B'またはHsp70B'ペプチドに特異的に結合す
るモノクローナル抗体)は、本発明に特に含まれる。
【0022】 抗体の産生量を増加させる技術は当技術分野で既知であり、本発明に関連して
用いることができる。例えば、ハイブリドーマ細胞株を、マウスのような適切な
脊椎動物宿主の腹腔に注射することができ、モノクローナル抗体をその宿主の腹
水または血液から採取してもよい。混入物質はクロマトグラフィー、ゲル濾過、
沈殿、および抽出のような従来の技術によって除去することができる。例えば、
抗Hsp70B'抗体は、標準的な技術を用いて、固定されたプロテインGまたはプロテ
インA上のクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0023】 Hsp70B'またはHsp70B'ペプチドを投与する代わりに、Hsp70B'またはHsp70B'ペ
プチドをコードする核酸分子を投与することによって、動物を間接的に免疫する
ことができる。したがって、本明細書に開示のHsp70B'ペプチドをコードする核
酸分子は、単独または発現に関連して本発明の範囲内であり、そしてそれらの分
子を含む細胞は、本発明の範囲内である。これらの核酸分子は組換えウイルスベ
クター(例えば、レトロウイルス(国際公開公報第90/07936号、国際公開公報第
91/02805号、国際公開公報第93/25234号、国際公開公報第93/25698号、および国
際公開公報第94/03622号を参照のこと)、アデノウイルス(例えば、Berkner、B
iotechniques 6:616〜627、1988;Liら、Hum. Gene Ther. 4:403〜409、1993
;Vincentら、Nat. Genet. 5:130〜134、1993;およびKollsら、Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 91:215〜219、1994)、ポックスウイルス(米国特許第4,769,33
0号および第5,017,487号ならびに国際公開公報第89/01973号を参照のこと)、裸
のDNA(国際公開公報第90/11092号を参照のこと)、ポリ陽イオン分子と複合体
を形成した核酸分子(国際公開公報第93/03709号を参照のこと)、およびリポソ
ームに会合した核酸(Wangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7851、1987を
参照のこと))と共に輸送することができる。DNAは死滅または不活化したアデ
ノウイルスに結合させることができる(Curielら、Hum. Gene. Ther. 3:147〜1
54、1992;Cottonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6094、1992を参照のこ
と)。その他の適切な組成物には、DNAリガンド(Wuら、J. Biol. Chem. 264:1
6985〜16987、1989)、および脂質DNA複合体(例えば、Felgnerら、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 84:7413〜7417、1989)が含まれる。さらに、裸のDNAが細胞
によって取り込まれる効率は、生体分解性のビーズにDNAをコーティングするこ
とによって増加させることができる。
【0024】 場合によっては、抗体の抗原結合断片が好ましい。これらの断片にはFab断片
が含まれ、標準的な技術を用いて調製してもよい(例えば、パパインとの消化に
よってFabおよびFc断片を生じる)。FabおよびFc断片は、標準的な技術を用いて
アフィニティクロマトグラフィー(例えば、固定化プロテインAカラム上で)に
よって分離することができる。例えば、ウェア(Weir, D.M.)、「実験免疫学ハ
ンドブック(Handbook of Experimental Immunology)」、1986、ブラックウェ
ルサイエンティフィック、ボストンを参照のこと。
【0025】 様々なエフェクタータンパク質をコードする配列とインフレームで結合したDN
A配列によってコードされる免疫グロブリンV領域ドメインのために、予め選択し
た抗原に関して特異的結合親和性を有する多機能融合タンパク質は、当技術分野
で既知であり、例えば欧州特許第B1-0318554号ならびに米国特許第5,132,405号
および第5,091,513号および第5,476,786号に開示されている。そのようなエフェ
クタータンパク質には、ビオチン模倣配列(例えば、Luoら、J. Biotechnol. 65
:225、1998、およびそこで引用される参考文献)、検出可能な標識部分をもつ
直接共有結合改変、特異的標識リポーター分子との非共有結合、検出可能な基質
の酵素的改変、または固相支持体上での固定(共有結合もしくは非共有結合)を
含むがこれらに限定しないポリペプチドドメインが含まれ、日常的に実践される
多様な技術のいずれかによって融合タンパク質の結合を検出するために用いるこ
とができる。
【0026】 本明細書に記載の方法において用いることができる一本鎖抗体はまた、ファー
ジディスプレイ(例えば、米国特許第5,223,409号、Schlebuschら、Hybridoma 1
6:47、1997、およびそこで引用されている参考文献)のような方法によって作
成および選択することができる。簡単に説明すると、この方法において、DNA配
列を、M13のような線状ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIに挿入する。多ク
ローニング部位を有するいくつかのベクターが挿入のために開発されている(Mc
Laffertyら、Gene 128:29〜36、1993;ScottおよびSmith、Science 249:386〜
390、1990;SmithおよびScott、Methods Enzymol. 217:228〜257、1993)。挿
入されたDNA配列は、無作為に作製するか、またはHsp70B'ペプチドに対する結合
に関する既知の結合ドメインの変種となりうる。一本鎖抗体は、この方法を用い
て容易に作成することができる。一般的に、インサートはアミノ酸残基5〜20個
をコードする。挿入された配列によってコードされるペプチドは、バクテリオフ
ァージの表面上に表示される。Hsp70B'ペプチドの結合ドメインを発現するバク
テリオファージは固定化Hsp70B'ペプチド、例えば当技術分野で周知の方法を用
いて調製された組換えポリペプチドおよびチャン(Chang)ら、(Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 93:136、1996)またはコジマ(Kojima)ら、(J. Biol. Chem.
270:21984、1995)によって開示された核酸コード配列との結合によって選択さ
れる。結合していないファージを、典型的に10 mMトリス、1mM EDTAを含むが、
塩を含まないか、または塩濃度が低い洗浄液によって除去する。結合したファー
ジは、例えば塩含有緩衝液によって溶出する。NaCl濃度は、全てのファージが溶
出されるまで段階的に増加させる。典型的に、高親和性で結合するファージは、
より高い塩濃度によって放出されるであろう。溶出したファージは細菌宿主にお
いて増殖させる。高親和性で結合するいくつかのファージを選択するために、さ
らなる選択ラウンドを行ってもよい。次に、結合するファージにおけるインサー
トのDNA配列を決定する。結合するペプチドの予想されるアミノ酸配列が判明す
れば、ヒトHsp70B'タンパク質またはペプチドに対して特異的な抗体として用い
るために十分なペプチドを組換え手段または合成のいずれかによって作製するこ
とができる。抗体が融合タンパク質として産生される場合には組換え手段を用い
る。ペプチドはまた、親和性または結合を最大限にするために、2つまたはそれ
以上の類似または類似でないペプチドの直列アレイとして作製することができる
【0027】 Hsp70B'タンパク質(例えば、マウス、ブタ、ウシ、ウマ、またはヒトHsp70B'
タンパク質)に特異的に結合する抗体をインビトロまたはインビボで用いて、特
定の細胞または疾患状態に関して評価、診断、または予後を推測することができ
る。これらの抗体は、ストレス性の環境(例えば、温度が生理的正常値を超えて
増加するような環境、酸素不足、または感染性微生物)または物質(例えば、毒
素、前炎症性サイトカイン、重金属、アミノ酸類似体、または代謝毒)に対する
曝露の分子マーカーである。特に、抗体はストレスの有害な致死下効果のマーカ
ーとして作用することができる。ヒトHsp70B'ペプチドに対して特異的な抗体と
反応する抗原決定基を検出するために、検出試薬は典型的に抗体であり、これは
本明細書に記載のように調製してもよい。当業者に既知の多様なアッセイフォー
マットには、酵素イムノアッセイ法(EIA)、酵素結合イムノソルベントアッセ
イ法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、免疫蛍光測定法、免疫沈降、
平衡透析、免疫拡散およびその他の技術が含まれるがこれらに限定しない。例え
ば、ハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)、「抗体:実験マニュアル(Anti
bodies:A Laboratory Manual)」コールドスプリングハーバー研究所、1988;
ウェア(Weir, D.M.)、「実験免疫学ハンドブック(Handbook of Experimental
Immunology)」、1986、ブラックウェルサイエンティフィック、ボストンを参
照のこと。例えば、アッセイ法は、生体試料からのタンパク質調製物にゲル電気
泳動を行い、適した膜に転写して、抗体と反応させるウェスタンブロットフォー
マットにおいて実施してもよい。次に、当技術分野で周知の下記に記載したよう
に、適切な検出試薬を用いて抗体の存在を検出することができる。
【0028】 アッセイ法はまた、固相支持体(例えば、マイクロタイタープレートにおける
試験ウェル、ニトロセルロースフィルター、または他の適切な膜、ガラス、ファ
イバーガラス、ラテックスのようなビーズまたはディスク、ポリスチレンまたは
ポリ塩化ビニルのようなプラスチック)に固定された抗体を含みうる。固定化抗
体が、標的Hsp70B'ペプチドまたはタンパク質に結合し、それによって実質的に
全ての試料の残りから分離させることができる。次に、結合したポリペプチドを
、異なるポリペプチド抗原性決定基と反応する二次抗体、例えば検出可能なリポ
ーター部分を含む試薬によって検出することができる。例えば、異なる抗原決定
基をそれぞれ認識する固定化抗体と二次抗体とは、2つのモノクローナル抗体で
あってもよい。または、ポリペプチドが検出可能なリポーター部分によって標識
され、固定化抗体を試料と共にインキュベートした後に固定されたポリペプチド
特異的抗体に結合させる、競合的アッセイ法を利用してもよい。試料の成分が抗
体に対する標識したポリペプチドの結合を阻害する程度は、固定化抗体と試料と
の反応性を示し、その結果として、試料中のHsp70B'ポリペプチドのレベルを示
す。
【0029】 場合によっては、試料中のHsp70B'ポリペプチドを検出するために用いられる
アッセイ法は、二抗体サンドイッチアッセイ法である。このアッセイ法は、固相
支持体(一般的にマイクロタイタープレートのウェル)に固定されているHsp70B
'抗体をまず生体試料と接触させることによって行うことができる。試料中に天
然に存在して、抗体と反応する抗原性決定基を有する可溶性分子は、固定化抗体
に結合し、それによって抗原抗体複合体または免疫複合体を形成するであろう。
一般的に複合体形成には室温での30分間のインキュベートで十分である。次に、
試料の未結合成分を、固定化免疫複合体から除去して、Hsp70B'ポリペプチドに
特異的な二次抗体を加える。二次抗体の抗原複合部位は固定化一次抗体の抗原複
合部位の結合を競合的に阻害しない。本明細書に提供されるように二次抗体は、
それが直接検出されるよう、検出可能に標識していてもよい。あるいは、二次抗
体は標識した第二(または「第二段階」)の抗-抗体によって、または本明細書
に提供される特異的検出試薬を用いて間接的に検出してもよい。特に、本発明の
方法は、特定の検出技法に限定される必要はない。イムノアッセイ法を周知する
当業者は、二抗体サンドイッチイムノアッセイ法において特定の抗原を免疫学的
に検出するために多数の試薬および形状が存在することを理解している。
【0030】 二抗体サンドイッチアッセイ法を用いる場合、最初に、Hsp70B'ポリペプチド
に特異的な固定化抗体と、Hsp70B'ポリペプチドに特異的な二次抗体はいずれも
ポリクローナル抗体となりうる。または、Hsp70B'ポリペプチドに特異的な最初
の固定化抗体がモノクローナル抗体となり、Hsp70B'ポリペプチドに特異的な二
次抗体がポリクローナル抗体となり得、およびその逆も同様となりうる。しかし
、最初が固定化抗体であり、第二の抗Hsp70B'抗体がモノクローナル抗体である
アッセイ法を行うことが好ましい。さらに他の形状において、最初に固定化抗体
、および/または二次抗体は、当技術分野で既知の如何なる種類の抗体であって
もよい(例えば、Fab断片、F(ab')2断片、免疫グロブリンV領域融合タンパク質
または一本鎖抗体)。当業者は本発明が他の抗体の型、断片、誘導体等によって
実践できることを認識すると考えられる。
【0031】 二次抗体は、酵素、色素、放射性核種、発光基、蛍光基またはビオチン等検出
可能なリポーター部分または標識を含んでもよい。次に、固相支持体上に結合し
たままである二次抗体の量を、特異的に検出可能なリポーター部分または標識に
とって適当な方法を用いて決定する。放射活性基に関して、シンチレーション計
数またはオートラジオグラフィー法が一般的に適当である。抗体酵素接合体は、
多様なカップリング技術を用いて調製してもよい(論評に関しては、例えばScou
ten, W.H.、Methods in Enzymology 135:30〜65、1987)。分光光度法を用いて
、色素(例えば、酵素反応の発色産物を含む)、発光基および蛍光基を検出して
もよい。異なるリポーター基(一般的に放射活性基もしくは蛍光基または酵素)
にカップリングさせたアビジンまたはストレプトアビジンを用いてビオチンを検
出してもよい。酵素リポーター基は一般的に、基質を加えた後に(一般的に、一
定期間)、反応産物の分光法、分光光度法または他の分析によって検出してもよ
い。標準物質および標準添加物質を用いて、周知の技術を用いて、試料中のHsp7
0B'ポリペプチドのレベルを決定してもよい。
【0032】 上記のように、明確なエピトープに対する抗Hsp70B'抗体を作製することがで
きれば、多様なインビトロおよびインビボでの使用が可能となる。例えば、抗Hs
p70B'抗体を用いて、ヒト細胞株を用いるインビトロバイオアッセイ法において
、化学化合物の毒性を評価するために、特異的な、感受性のある、天然の生物マ
ーカー(Hsp70B')のタンパク質レベルをモニターしてもよい。Hsp70B'上の明確
なエピトープおよびHsp70Bタンパク質に対する抗体を用いることによって、これ
らのタンパク質の特異的なモニタリングが可能となる。その他の使用には、高血
圧症、腫瘍学、臓器移植、虚血および外傷、感染症、炎症および発熱、心疾患、
自己免疫障害、神経変性疾患、脊髄損傷のモニタリング、神経精神評価、および
慢性疾患状態のような特異的疾患状態の評価、診断、予後、および継続的なモニ
タリングが含まれる。
【0033】 本発明のアプローチの長所は、Hsp70B'のレベルをインビボでモニターするこ
とによって恒常性の乱れをモニターできる点である。Hsp70B'タンパク質はまた
臓器移植および細胞保護の分野において生物マーカーとして用いることができる
。これによって、個体が特定の病態に関して明確な診断を受けていない場合でも
、生理的な乱れを特定することができ、または既知もしくは未知原因の症状(例
えば、慢性疲労症候群)を示す患者をモニターすることができる。そのようなモ
ニタリングは、疾患の重症度を評価し、患者の進行を追跡し、介入が必要となる
時期を決定する医療従事者にとって役立つと考えられる。ストレス応答(Hsp70B
'発現によって明らかになる)を評価することは、自己免疫疾患、慢性病態また
は新生物から寛解期にある患者の治療において;羊水または胎盤試料を評価する
ため;およびリスクを有する新生児(例えば早産のため)を評価するために有用
となる可能性がある。Hsp70B'のモニタリングはまた、健康な個体の適応度を評
価するために有用である(例えば、能力の高い運動選手のトレーニングプログラ
ムを評価するために用いることができる)。なお他の応用において、本発明の組
成物および方法を用いて、様々な治療化合物がストレス状態に反対できるか否か
を、インビボ診断的造影(例えば、患者における創傷、炎症、または病態を評価
するための)と関連して評価することができる。
【0034】 以下の実施例は本発明を説明するためであって制限するためではない。
【0035】実施例 表記の製造元から以下の材料を得た:アニソール(カタログ番号、A4405、シ
グマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、本明細書において「シグマ社(Sigma
)」と呼ぶ、St. Louis、MO);2,2'-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンズチアゾリン-
スルホン酸)(ABTS)(カタログ番号A6499、Molecular Probes Eugene、OR);
活性化マレイミドキーホールリンペットシアニン(カタログ番号77106、Pierce
Chemical Co.、Rockford、IL);ビオチン(カタログ番号B2643、Sigma);ホウ
酸(カタログ番号B0252、Sigma);Sepharose(登録商標)4B(カタログ番号17-
0120-01、LKB/Pharmacia、Uppsala、Sweden);ウシ血清アルブミン(LP)(カ
タログ番号100 350、Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN);臭化シアン(
カタログ番号C6388、Sigma、St. Louis、MO);透析チューブスペクトラ/Por(
登録商標)膜MWCO:6〜8,000(カタログ番号132 665、Spectrum Industries Inc
.、Laguna Hills、CA);ジメチルホルムアミド(DMF)(カタログ番号22705-6
、Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WI);DIC(カタログ番号BP 592-500
、Fisher);エタンジチオール(カタログ番号39,802-0、Aldrich Chemicals、M
ilwaukee、WI);エーテル(カタログ番号TX 1275-3、EM Sciences);エチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)(カタログ番号BP 120-1、Fisher Scientific、Springf
ield、NJ);1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド、HCL(
EDC)(カタログ番号341-006、Calbiochem、San Diego、CA);フロイント完全
アジュバント(カタログ番号M-0638-59B、Lee Laboratories、Grayson、GA);
フロイント不完全アジュバント(カタログ番号M0639-50B、Lee Laboratories)
;フリット化クロマトグラフィーカラム(カラム部分番号12131011;フリット部
分番号12131029、Varian Sample Preparation Products、Harbor City、CA);
ウシ皮膚ゼラチン(カタログ番号G9382、Sigma);グリシン(カタログ番号BP38
1-5、Fisher);ビオチン標識ヤギ抗ウサギIgG(カタログ番号A0418、Sigma);
HOBt(カタログ番号01-62-0008、Calbiochem-Novabiochem、San Diego、CA);
ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)(カタログ番号814 393、Boehring
er Mannheim社);HRP-ストレプトアビジン(カタログ番号S 5512、Sigma);塩
酸(カタログ番号71445-500、Fisher);30%w/w過酸化水素(カタログ番号H100
9、Sigma);メタノール(カタログ番号A412-20、Fisher);96ウェルマイクロ
タイタープレート(カタログ番号2595、Corning-Coster Pleasanton、CA);N-
α-Fmoc保護アミノ酸(Calbiochem-Novabiochem、San Diego、CA;1997〜1998年
カタログ1〜45頁を参照のこと);ワン(Wang)樹脂結合N-αFmoc保護アミノ酸
(Calbiochem-Novabiochem、San Diego、CA;1997〜1998年カタログ161〜164頁
を参照のこと);NMP(カタログ番号CAS 872 50-4、Burdick and Jackson、Musk
egon、MI);ペプチド(Research Genetics, Inc.製造、下記参照);ピペリジ
ン(カタログ番号80640、Fluka、Sigmaを通じて入手);重炭酸ナトリウム(カ
タログ番号BP328-1、Fisher);ホウ酸ナトリウム(カタログ番号B9876、Sigma
);炭酸ナトリウム(カタログ番号BP-357-1、Fisher);塩化ナトリウム(カタ
ログ番号BP 358-10、Fisher);水酸化ナトリウム(カタログ番号SS 255-1、Fis
her);ストレプトアビジン(カタログ番号1 520、Boehringer Mannheim);チ
オアニソール(カタログ番号T-2765、Sigma);トリフルオロ酢酸(カタログ番
号、TX 1275-3、EM Sciences);ツイーン20(カタログ番号BP 377-500、Fisher
);およびウェットボックス(Rubbermaid Rectangular Servin' Saver(商標)
パート番号3862、Wooster、OH)。
【0036】 以下の一般的な溶液を調製した:(1)25 mMホウ酸ナトリウム(Borax)、100
mMホウ酸、75 mM NaCl、および5mM EDTAを含み、蒸留水にEDTAを溶解したホウ
酸緩衝生理食塩水溶液−BBS(HClまたはNaOHによってpH 8.2〜8.4)、;(2)濃
塩酸(8.3 ml/0.917 L蒸留水)および0.154M NaClを含み、0.1 N HClの生理食塩
水溶液;(3)0.1 Mグリシンと0.154 M NaClを含む蒸留水に溶解して所望の閾値
に調節したグリシン(pH 2.0およびpH 3.0);(4)0.11 M NaCl、60 mMホウ酸
ナトリウム、および250 mMホウ酸を含む、5×ホウ酸1×塩化ナトリウムの蒸留
水溶液;ならびに(5)クエン酸50〜100 mMを含み、水酸化ナトリウムによってp
H 4.0に調節した蒸留水の基質緩衝液。
【0037】 以下のペプチド合成溶液を調製した:(1)HOBtをNMPに溶解して(NMP1L中に
HOBt 8.8 g)、Fmoc-N-a-アミノを0.53 Mの濃度で加えたAA溶液;(2)DIC1に
対してNMP3であるDIC溶液;(3)ピペリジン1に対してDMF3である脱保護溶液
ならびに(4)アニソール2に対してエタンジチオール3、チオアニソール5、
およびトリフルオロ酢酸90である試薬R。
【0038】 以下の装置を用いた:MRXプレートリーダー(Dynatech Inc.、Chantilly、VA
);ハミルトンエクリプス(Hamilton Instruments、Reno、NV);ベックマンTJ
-6冷蔵型遠心器(モデル番号TJ-6、Beckman Instruments、Fullerton、CA);チ
ャートレコーダー(レコーダー1部品番号18-1001-40、Pharmacia LKB Biotechn
ology);UVモニター(ユビコードSII部品番号18-1004-50、Pharmacia LKB Biot
echnology);アミコン攪拌細胞濃縮器(モデル8400、Amicon Inc.、Beverly、M
A);分子量30 kDaカットオフフィルター(カタログ番号YM-30膜、カタログ番号
13742、Amicon Inc.、Beverly、MA);多チャンネル自動ピペッター(カタログ
番号4880、Corning Coster Inc.、Cambridge、MA);pHメーター(コーニング24
0;Corning Science Products、Corning Glassworks、Corning、NY);ACT396ペ
プチド合成機(Advanced ChemTech、Louisville、KY);真空乾燥器(箱はLabco
nco製、Kansas City、MO;ポンプはAlcatel製、Laurel、MD);凍結乾燥器(フ
リーズモービル12を直列したユニトップ600sl、いずれもVirtis製、Gardiner、N
Y)。
【0039】 方法: Hsp70B'抗体は以下のように産生した。Hsp70B'抗体はウサギ、ヤギ、およびマ
ウスにおいて合成ペプチドまたは組換えHsp70B'タンパク質のいずれかを免疫原
として産生した。8個のペプチドをヒトHsp70B'アミノ酸配列から選択した。Hsp
70B'ペプチドの一つであるNTペプチド (配列番号:_)は、N末端断片に対応する。他の7個の断片はHsp70B'タンパク
質のC末端半分に由来し、これにはCCペプチド (配列番号:_)、CAペプチド (配列番号:_)、CDペプチド (配列番号:_)、CBペプチド (配列番号:_)、ECBペプチド (配列番号:_)、TCBペプチド (配列番号:_)、およびCEペプチド (配列番号:_)が含まれた。CBペプチドはまた、別の機会に再度合成して、こ
れをCB2と命名した。ペプチドは全て、KLHに化学的にカップリングさせ、動物を
ペプチド接合体によって免疫した。組換えヒトHsp70B'タンパク質を〜90%まで
均一となるように精製し、これも免疫原として用いた。一次免疫は、フロイント
の完全アジュバントと共に行い、その後の追加免疫はフロイントの不完全アジュ
バントと共に行った。動物は免疫して月1回追加免疫した。血清を様々な時点で
回収して、免疫するタンパク質またはペプチドに対する抗体の応答は、間接的な
酵素イムノアッセイ法(EIA)によって評価した。力価は、試験試料における吸
光度が0.2吸光度単位に等しい希釈倍率として確立した。場合によっては、各組
の動物からの高力価抗血清をプールして、抗原特異的抗体をペプチド免疫アフィ
ニティカラム上で精製した。
【0040】 ペプチドは以下のように合成した。事象技法には、インキュベーション段階(
これは、適当な溶液に樹脂を含浸させる)を含み、全てのインキュベーション段
階は、混合、洗浄(DMF2mlを加えて5分間インキュベートして、洗浄溶液を除
去する)、洗浄サイクル(洗浄5回からなる)と共に行った。機械で合成するた
めに、ペプチドの配列をペプチド合成機に加えた。C末端残基を決定し、適当な
ワン樹脂を反応容器に結合させた。ペプチドは、合成サイクルの際に一つのアミ
ノ酸を一度に加えることによってC末端からN末端へと合成した。ペプチドに加え
るために選択したアミノ酸残基は、合成機のデータベースに入力されたペプチド
の配列によって制御される。
【0041】 合成自体は、樹脂が膨張する(DMF2mlを30分間加えて、その後除去した)第
一段階、ペプチドを脱保護して(脱保護溶液1mlを反応容器に加えて、20分間イ
ンキュベートする)、洗浄、およびカップリングする(アミノ酸溶液750 mlとDI
C溶液250 mlとを反応容器に30分間加えた後、洗浄する)第二段階が含まれた。
カップリング段階は、さらなる洗浄サイクルの前に1回繰り返す。第二段階は、
ペプチドの全長にわたって繰り返し、アミノ酸溶液はペプチド合成機のデータベ
ースに記載された配列の指示通りに変更した。第三段階では、最終的な脱保護が
起こる(合成サイクルの際に起こる脱保護および洗浄は、最後に1回行う)。樹
脂は、メタノール5mlによって2回すすぎ、メタノール5ml中で5分間インキュ
ベートして、メタノール5ml中ですすぎ、次に真空乾燥することによって解膨潤
させる。
【0042】 ペプチドを、試薬R中で2時間インキュベートすることによって樹脂から除去
し、次にエーテルに沈殿させた。次に、ペプチドをエーテル中で洗浄して、真空
乾燥させ、重水中で再度溶解して、凍結し、一晩凍結乾燥した。この時点で、ペ
プチドを以下のようにKLHに接合させることができる。ペプチド(6mg)をPBS(
6ml)に溶解して、マレイミド活性化KLH担体6mgのPBS溶液6mlと混合して、総
容量を12 mlとした。溶液全体を2時間混合して、PBS1Lに対して透析し、凍結
乾燥した。
【0043】 動物を以下のようにペプチド接合体によって免疫した。ニュージーランドホワ
イトウサギ3羽にペプチドKLH接合体250 μgをフロイントの完全アジュバントと
共に背側皮下部位3〜4箇所に注射した。追加投与(100 μg)をフロイントの
不完全アジュバントと共に投与した。各注射の総容量は1mlであった。
【0044】 ウサギ免疫スケジュールは以下の通りであった:0日目、「免疫前採血」を行
って、一次免疫を行った;2週目、最初の追加免疫を行った;4週目に血液試料
を採取した;6週目、二回目の追加免疫を行った;8週目、2回目の血液試料を
得て、3回目の追加免疫を行った;10週目、3回目の血液試料を得た;12週目、
4回目の追加免疫を行った;および14週目、4回目と最終の血液試料を得た。
【0045】 ヤギに、ウサギに投与した量と同じ用量のペプチド接合体を、フロイントのア
ジュバントと共に注射した。免疫スケジュールは、12週目で追加免疫を行わなか
ったこと、そして14週目に血液試料を採取しなかったことを除いて同じであった
【0046】 BALB/cマウスに、0日目にペプチド50 μgとフロイントの完全アジュバントと
の接合体を腹腔内に免疫し、フロイントの不完全アジュバントと共に2、5およ
び8週目に免疫した。マウスの試験採血は、7週目および10週目に行った。
【0047】 ウサギに対しても組換えヒトHsp70B'タンパク質を免疫した。より詳しく述べ
ると、0日目に、ニュージーランドホワイトウサギ3羽を精製組換えヒトHsp70B
'タンパク質とフロイント完全アジュバントとによって免疫した。追加免疫(100
μg)を3週目、4週目、6週目および8週目に行って、血液試料を5週目、7
週目、9週目および10週目に採取した。血清を得るために血液試料を処理して、
得られた抗体を70B' WPと命名した。
【0048】 ウサギ血清を回収するために、ウサギの心房動脈から採血した(30〜50 ml)
。血液を室温で15分間凝固させ、IEC DPR-6000遠心機を用いて5000×gで遠心し
て、血清を凝血から分離した。細胞不含血清を静かにデカントして、きれいな試
験管にとり、アフィニティ精製用に−20℃で保存した。
【0049】 抗ペプチド力価を以下のように決定した。溶液は、洗浄溶液を除き、全て液体
取り扱いディスペンサー(ハミルトンエクリプス)によって加えた。ウサギ、ヤ
ギ、およびマウスにおける抗ペプチド力価を、ペプチドを固相に結合したELISA
によって決定した。BBSによって希釈したペプチド(100 μl、1μg/ウェル)で
柔軟な高結合ELISAプレートを受動的にコーティングし、プレートを4℃の湿潤
ボックス中で一晩インキュベートした(湿潤綿球を加えた密封容器)。プレート
を空にして、半自動プレートウォッシャーを用いて添加と除去を繰り返し、0.1
%ツイーン20を含むBBS(BBS-TW)で3回洗浄した。1%BSAおよび0.1%ゼラチ
ンを含むBBS-TW(BBS-TW-BG)で各ウェルを完全に満たし、室温で2時間インキ
ュベートすることによって、プレートをブロッキングした。プレートを空にして
、免疫前血清および免疫後血清の双方をウェルに加えた。最初のウェルは血清の
50倍BBS希釈液を含んだ。次に、血清をプレートに対して1:1の比でさらに11
回連続的に滴定し、最終(12回目)希釈204,800倍を得た。プレートを4℃で一
晩インキュベートした。プレートを空にして、記載のように3回洗浄した。
【0050】 ビオチン標識二次抗体(100 μl)を各マイクロタイタープレートの試験ウェ
ルに加えて、室温で4時間インキュベートした。プレートを空にして3回洗浄し
た。ホースラディッシュペルオキシダーゼ接合ストレプトアビジン(BBS-TW-BG
で10,000倍希釈液100 μl)を各ウェルに加えて、室温で2時間インキュベート
した。プレートを空にして3回洗浄した。ABTSは、クエン酸緩衝液(pH4.0で0.1
M)10 ml、保存液(15 mg/ml水溶液)0.2 mlおよび30%H2O2 10 μlを混合する
ことによって保存液から新しく調製した。ABTS溶液(100 μl)を各ウェルに加
えて、室温でインキュベートした。基質を加えた20分後にプレートを414λで読
み取った。試験試料が吸光度0.2に等しくなる希釈倍数の逆数として力価を確立
した。
【0051】 抗Hsp70B'タンパク質力価は、固相上のHsp70B'による間接的ELISAによって決
定した。ヌンクマキシソルプELISAプレートを精製組換えヒトHsp70B'のPBS希釈
液(100 μl、100 ng/ウェル)によって4℃で一晩受動的にコーティングした。
プレートを0.05%ツイーン20(Bio-Rad)を含むPBSで6回洗浄した後、200 μl/
ウェルのブロット(5%脱脂乳(Carnation)、0.05%ツイーン20、0.02%チメ
ロサル(Fisher Scientific)のPBS溶液)によって、室温でブロッキングした。
プレートを洗浄し、ブロットで1000倍希釈した抗血清をウェルに加えた。希釈し
た抗血清をブロットにおいて1:3の比で連続的に5回滴定して243000倍の最終
希釈液を得た。プレートを室温で1時間インキュベートした後、上記のように洗
浄した。ブロットで25000倍希釈したペルオキシダーゼ接合抗ウサギIgG(SAB-30
0を100 μl/ウェル、StressGen Biotechnologies)をウェルに加えて、プレート
を室温で1時間インキュベートした。プレートを記述のように洗浄して、テトラ
メチルベンザジン(TMB、BioFx))によって室温で5〜10分間発色させた。酸停
止溶液(BioFx)を加えることによって発色を停止させた。各ウェルの吸光度は
、KC3ソフトウェアをインターフェースで連結したEL808マイクロプレートリーダ
ー(BioTech)において450 nmで測定した。力価は、試験試料が吸光度0.2と等し
くなる希釈倍数の逆数として確立した。
【0052】 ペプチドアフィニティ精製カラムは、ペプチド5mgを臭化シアン活性化セファ
ロース4B 10 mlに、そしてペプチド5mgをヒドラジンセファロース4Bに接合させ
ることによって調製した。簡単に説明すると、DMF 100 μlをペプチド(5mg)
に加えて内容物が完全に湿潤するまで混合物を攪拌した。次に水(900 μl)を
加えて、ペプチドが溶解するまで内容物を攪拌した。0.1 Mホウ酸緩衝生理食塩
水、pH 8.4(BBS)中の臭化シアン活性化セファロース4B 10 ml、および過剰量
のEDCクエン酸緩衝液溶液pH 6.0を用いてpH 4.5に調節した0.1 M炭酸緩衝液中の
ヒドラジンセファロース4B 10 mlを含む異なるチューブに、溶解したペプチド(
500 μl)の半分(500 μl)をそれぞれ加えた。接合反応は室温で一晩進行させ
た。接合したセファロースをプールして、フリット化カラムにローディングして
、BBS 10 mlで洗浄し、1Mグリシン10 mlでブロッキングして、HClによってpH 2
.5となるように調節した0.1 Mグリシン10 mlで洗浄し、BBSで再度中和した。カ
ラムは、280λでの吸光度が基準値に達するように十分な容量で洗浄した。
【0053】 抗体をアフィニティ精製するために、ペプチドアフィニティカラムをUVモニタ
ーおよびチャートレコーダーに接続した。滴定したウサギ抗血清を融解してプー
ルした。血清をBBS1容量によって希釈して、カラムを10 ml/分で通過させた。2
80λでの吸光度が基準値に達するまで、非ペプチド免疫グロブリンおよび他のタ
ンパク質を、過剰量のBBSでカラムから洗浄した。カラムを外し、アフィニティ
精製カラムはpH 7.0〜pH 1.0の段階的pH勾配を用いて溶出した。溶出は280 nMで
モニターし、抗体を含む分画(pH 3.0〜pH 1.0)を過剰量の0.5 M BBSに直接採
取した。回収チューブにおける過剰量の緩衝液(0.5 M BBS)は、pH勾配の酸性
分画において回収された抗体を中和する働きをした。
【0054】 抗体を最大限に回収できるように、技法全体を「枯渇した」血清について繰り
返した。溶出した材料を細胞攪拌装置と分子量カットオフ値30 kDの膜を用いて
濃縮した。最終調製物の濃度は、280 nMでの吸光度の読みを用いて決定した。濃
度は、以下の式を用いて決定した:mg/ml=OD280/1.4
【0055】 抗体力価は、抗ペプチド抗体および抗Hsp70B'抗体に関して先に記述したよう
に、間接的EIAによって測定した。簡単に説明すると、ヌンクマキシソルプELISA
プレートを、組換えヒトHsp70B'、組換えヒトHsp70A(SPP-755、StressGen Biot
echnologies)、組換えウシHsc70(SPP-751、StressGen Biotechnologies)、組
換えハムスターGrp78(SPP-765、StressGen Biotechnologies)、大腸菌DnaK(S
PP-630、StressGen Biotechnologies)、および組換え結核菌(M. tuberculosis
)Hsp71(StressGen Biotechnologies)のPBS希釈液100 ng/ウェルによって受動
的にコーティングした。同様に、非結合CB2、ECB、TCB、およびCEペプチドをPBS
で希釈して、0.5 μg/ウェルでコーティングした。プレートをPBS溶液中のカゼ
インブロッキング緩衝液(Pierce)200 μl/ウェルによって室温で2時間ブロッ
キングした。試験および陰性対照抗体は、スタビルザイムセレクト(SurModics
)において、アフィニティ精製抗体の場合は開始濃度/希釈1μg/mlに、そして
血清抗体の場合は1000倍に希釈した。希釈した抗体をプレートのウェルに加えて
、1:3の比で5回連続滴定してさらに希釈し、最終濃度/希釈4.1 ng/ml(精
製抗体の場合)および243000倍(血清抗体の場合)を得た。プレートを希釈した
一次抗体と共に室温で1時間インキュベートした後、スタビルザイムセレクトに
て25000倍希釈したペルオキシダーゼ接合抗ウサギIgG(SAB-300、StressGen Bio
technologies)と共に室温でさらに1時間インキュベートした。プレートをTMB
(BioFx)によって室温で5〜10分間発色させて、酸停止溶液(BioFx)によって
反応を停止させた。各ウェルの吸光度を、KC3ソフトウェアをインターフェース
で接続したEL808マイクロプレートリーダーにおいて450 nmで測定した。抗体の
力価は、吸光度0.2が得られた抗体の濃度または希釈倍数の逆数として表記した
【0056】 相対的な力価の指数は、陰性対照抗体に対する試験抗体の力価を比較するため
に確立した。アフィニティ精製抗体の場合、指数値は、陰性対照抗体の力価を試
験抗体の力価で割ることで算出した。血清抗体の場合、指数値は、試験抗体の力
価を陰性対照抗体の力価で割ることで算出した。
【0057】 競合的EIA ヌンクマキシソルプELISAプレート(一次プレート)を、PBSで希釈した精製組
換えヒトHsp70B' 100 ng/ウェルによって4℃で一晩受動的にコーティングした
。0.05%ツイーン20を含むPBSによって6回洗浄した後、一次プレートをPBS溶液
中のスーパーブロックブロッキング緩衝液(Pierce)200 μl/ウェルと共に室温
でインキュベートした。
【0058】 一次プレートをブロッキングしている間に、遊離の抗原:抗体混合物を96ウェ
ルヌンクポリプロピレンプレート(二次プレート)において調製した。第一に、
Hsp70B'標準物質およびHsp70タンパク質相同体(すなわち、交叉反応体:組換え
ヒトHsp70A、組換えウシHsc70、組換えハムスターGrp78、大腸菌DnaK、および結
核菌(M. tuberculosis)Hsp71)をそれぞれ、BSA希釈液(0.12%BSA(Sigma)
、0.05%ツイーン20(Bio-Rad)、1:1000プロクリン200(Supelco)のPBS溶液
)によって開始濃度10 μg/mlおよび500 μg/mlに希釈した。希釈したタンパク
質を二次プレートに加えて、BSA希釈液中で1:5の比で連続的に4回滴定してH
sp70B'の濃度範囲0.016〜10 μg/ml、相同体の濃度範囲0.8〜500 μg/mlを最終
容量100 μl/ウェル中に得た。BSA希釈液のみを0μg/mlの点とした。
【0059】 ウサギCB2アフィニティ精製抗体、CEおよび70B' WP血清抗体をそれぞれ、BSA
希釈液において0.06 μg/ml、10,000倍および16,000倍希釈した。希釈した抗体
の等量(100 μl/ウェル)を、BSA希釈液および様々な濃度のHsp70B'および相同
体と共に二次プレートのウェルに加えた。二次プレートを室温で1.75時間インキ
ュベートした後、遊離の抗原:抗体混合物100 μlを、ブロッキングして洗浄し
た一次プレートに移した。一次プレートを室温で1時間インキュベートした後、
BSA希釈液によって希釈したペルオキシダーゼ接合抗ウサギIgG二次抗体(SAB-30
0、StressGen Biotechnologies)と共に室温で1時間インキュベートした。一次
プレートをTMB(BioFx)によって発色させて、酸停止溶液(BioFx)で10分後に
停止させた。各ウェルの吸光度は、450 nmに設定したバイオテックEl808マイク
ロプレートリーダーによって読みとった。最高吸光度(すなわちAmax;遊離のHs
p70B'または相同体0μg/mlでの抗体結合の最高量)を決定して、これを用いて
それぞれのHsp70B'または相同体競合濃度において%A/Amaxを計算した。遊離のH
sp70B'または相同体の濃度に対して%A/Amaxをプロットすることによって抗体置
換曲線を作製した。
【0060】 組換えヒトHsp70B'のクローニングと発現 ヒトHsp70B'を熱ショックHeLa細胞からクローニングして、大腸菌に組換えし
て発現させた。簡単に説明すると、HeLa細胞2×107個に44℃で2時間熱ショッ
クを与えた後、直ちに回収した。mRNA単離キット(Boehringer Mannheim社)に
よって熱ショックHeLa細胞からポリ(A+)RNAを単離して、これを用いてRT-PCR
によってヒトHsp70B' cDNAを合成した。RT-PCR反応混合物51 μlは、10 mM dNTP
(Perkin Elmer)1μl、100 mM DTT(Boehringer Mannheim社)2.5 μl、40単
位/μl RNA分解酵素阻害剤(Boehringer Mannheim社)0.25 μl、7.5 mM MgCl2
およびDMSO(Boehringer Mannheim社)を含む5×RT-PCR緩衝液10 μl、エクス
パンドハイフィデルティ(Expand High Fidelity)酵素混合物とAMV逆転写酵素
とを含む酵素混合液(Boehringer Mannheim社)1μl、熱ショックHeLa細胞から
のポリ(A+)RNA 0.87 μg、ならびにプライマー (配列番号:_)およびプライマー (配列番号:_)各1μgで構成された。
【0061】 プライマー配列は、ヒトHsp70B'ヌクレオチド配列(Leungら、1990)に由来し
、開始コドンの上流にNdeI制限部位、そして停止コドンの下流にXhoI制限部位を
導入するように設計した。cDNAは反応混合物を50℃で30分間インキュベートし、
94℃で2分の後に、94℃で30秒、60℃で30秒、および68℃で2分を10サイクル、
ならびに94℃で30秒、60℃で30秒、および68℃で2.5分を15サイクル行うように
、最後の伸長段階を68℃で7分間行うようにプログラムしたパーキンエルマージ
ーンアンプPCRシステム2400におけるPCRによって増幅することで合成した。反応
産物をアガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイド染色によって分析し
た。ヒトHsp70B' cDNAをNdeI(New England BioLabs)およびXhoI(New England
BioLabs)によって消化して、同様に消化したpET24a(Novagen)発現ベクター
にライゲーションした。ヒトHsp70B'を有する得られた発現プラスミドを、大腸
菌BLR(DE3)およびBL21(DE3)細胞に形質転換した。細菌抽出物を調製するた
めに、30 μg/mlカナマイシン(Sigma)を含むLB培地(Difco)において細胞を3
7℃で増殖させた。細胞のOD595が0.5に達したら、1mMイソプロピルβ-D-チオガ
ラクトピラノシド(Amersham)を培地に加えて、培養物を37℃でさらに2.5時間
インキュベートした。細胞ペレットを溶解緩衝液(50 mMトリスpH 7.5(BDH)、
150 mM NaCl(BDH)、0.1 mMフッ化フェニルメチルスルホニル(Sigma)、1μg
/mlロイペプチン(Sigma)、および1μg/mlアプロチニン(Sigma))に再浮遊
させて、超音波によって破壊した。ブラッドフォードアッセイ(Bio-Rad)法を
用いて、抽出物のタンパク質濃度を決定した。抽出物をSDS-PAGE試料緩衝液(40
mMトリス塩酸pH 6.8(BDH)、1%SDS(Bio-Rad)、50 mM DTT(ICN)、7.5%
グリセロール(Anachemia)、および0.003%ブロモフェノールブルー(Sigma)
)において希釈し、SDS-PAGEおよびイムノブロッティング用に調製するために5
分間沸騰させた。
【0062】 組換えHis6-ヒトHsp70B(断片)のクローニングおよび発現 ヒトHsp70Bのアミノ末端領域の一部をコードする741 bpの断片を、ヒトHsp70B
ストレス遺伝子プローブ(StressGen Biotechnologies)であるSPD-925から得た
。SPD-925は3.15 kbの5'非転写Hsp70B遺伝子配列、119 bpのRNAリーダー領域お
よび741 bpのタンパク質コード領域を含むプラスミドとして供給される。タンパ
ク質のコード領域は、HindIIIで消化してSPD-295から切除することができるが、
制限部位の改変は、PCRによって導入した。PCR反応混合物50 μlは、1.25 mM dN
TP(New England BioLabs社)8μl、10×エクスパンドハイフィデルティPCR緩
衝液(Boehringer Mannheim社)5μl、3.5単位/μlエクスパンドハイフィデル
ティDNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim社)0.5μl、SPD-925 0.05 μg、お
よびプライマー1 (配列番号:_)およびプライマー2 (配列番号:_) の各1μgから構成された。
【0063】 プライマー配列はヒトHsp70Bヌクレオチド配列(Voellmyら、1985)に由来し
た。プライマー1は、開始コドンの上流にNdeI制限部位を導入するように設計さ
れ、プライマー2は停止コドンとHindIII制限部位とを導入するように設計され
た。PCR反応は、94℃で2分の後、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分を10サ
イクル、および94℃で30秒、60℃で30秒、および72℃で1.25分を15サイクル行い
、最後の伸長段階を72℃で7分間行うようにプログラムしたパーキンエルマージ
ーンアンプPCRシステム2400において実施した。反応産物をアガロースゲル電気
泳動およびエチジウムブロマイド染色によって分析した。ヒトHsp70B PCR産物は
NdeI(New England BioLabs社)およびHindIII(New England BioLabs社)によ
って消化して、同様に消化したpET28a(Novagen)発現ベクターにライゲーショ
ンした。His6-ヒトHsp70Bを有する得られた発現プラスミドを大腸菌BLR(DE3)
細胞に形質転換した。細菌抽出物を調製するため、細胞を30 μg/mlカナマイシ
ン(Sigma)を含むLB培地(Difco)において37℃で増殖させた。細胞のOD595が0
.5に達したら、1mMイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(Amersham)を
培地に加えて、培養物を37℃でさらに2.5時間インキュベートした。細胞ペレッ
トをSDS-PAGE試料緩衝液に再浮遊させて、超音波処理し、SDS-PAGEおよびイムノ
ブロッティング用に調製するために5分間沸騰させた。
【0064】 組換えヒトHsp70B'タンパク質の精製 完全長のヒトHsp70B'の発現プラスミドを有する大腸菌BL21(DE3)細胞を、30
μg/mlカナマイシン(Sigma)を含むLB培地において37℃で250 rpmで振とうさ
せながら増殖させた。OD595が0.5〜0.6に達したら、組換えタンパク質の発現を
1mMイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG;Calbiochem)によって
誘導して、細胞を3時間後に遠心によって回収した。細菌ペレットを溶解緩衝液
(25 mMトリス塩酸pH 7.5(BDH)、5mM EDTA(Sigma)、0.3 mg/mlライソザイ
ム(Sigma)、5mM p-アミノベンザミジン(Sigma)、15 mMβ-メルカプトエタ
ノール(BME;Sigma)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF;Sigma)
、1μg/mlアプロチニン(Sigma)、1μg/mlロイペプチン(Sigma))に再浮遊
させて、超音波によって破壊した。細菌浮遊液を遠心して、上清をQセファロー
ス(Amersham Pharmacia)イオン交換カラムにローディングした。結合したタン
パク質を0〜300 mMのNaCl勾配によって溶出した後、300 mM NaCl洗浄液によっ
て洗浄した。Q-セファロース分画をクーマシー染色SDS-PAGEゲル上で分析して、
Hsp70B'含有分画をプールした。MgCl2(Sigma)を最終濃度3mMとなるように加
えて、プールをATPアガロース(Fluka)カラムにローディングした。500 mM NaC
lおよび20 mM NaClによって洗浄した後、結合したHsp70B'タンパク質をATP寒天
溶出緩衝液(10 mMトリス塩酸、pH 7.5、3mM MgCl2、10 mM ATP(Sigma)、15
mM BME、0.1 mM PMSF、1μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン)によっ
て溶出した。Hsp70B'含有分画をプールして、酢酸ナトリウム(Mallinckrodt)p
H 5.5を最終濃度40 mMとなるように加えた。プールを酢酸(Fisher Scientific
社)によってpH 5.5に調節して、SPハイトラップ(Amersham Pharmacia)イオン
交換カラムにローディングした。タンパク質を0〜1M NaCl勾配で溶出した。Hs
p70B'含有分画をプールして、タンパク質調製物を透析して、10 mMトリス塩酸pH
7.5、150 mM NaCl緩衝液において保存した。タンパク質濃度はブラッドフォー
ド(Bradford)アッセイ(Bio-Rad)法によって決定し、純度は0.5μg、1.0μg
、および1.5μgのHsp70B'によるクーマシー染色SDSゲルの密度測定スキャンによ
って評価した。
【0065】 細胞培養は以下のように実施した。HeLa(ヒト上皮様子宮頚癌、ATCC CCL-2)
細胞を、0.1 mM非必須アミノ酸(Gibco)、2mM L-グルタミン(Gibco)、10%
ウシ胎児血清(Gibco)、50 μg/ml硫酸ゲンタマイシン(Gibco)、および1mM
ピルビン酸ナトリウム(Gibco)を添加したアール塩(ICN)を含むイーグル最小
基本培地において増殖させた。ジャーカット(Jurkat)(クローンE6-1、ヒト急
性T-細胞白血病、ATCC TIB-152)細胞は、10%ウシ胎児血清(Gibco)、2mM L-
グルタミン(Gibco)、1.5 g/L重炭酸ナトリウム(ICN)、10 mM HEPES(Gibco
)、4.5 g/Lグルコース(Sigma)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、およ
び50 μg/ml硫酸ゲンタマイシン(Gibco)、および1.5 g/L重炭酸ナトリウム(I
CN)を添加したRPMI1640培地(Gibco)において増殖させた。ベロ(Vero)(ア
フリカミドリザル正常腎上皮細胞、ATCC CCL-81)細胞は、2mM L-グルタミン(
Gibco)、0.1 mM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco
)、0.1 mM非必須アミノ酸、50 μg/ml硫酸ゲンタマイシン(Gibco)、および10
%ウシ胎児血清(Gibco)を添加したアール塩(ICN)を含むイーグル最小基本培
地において増殖させた。CHO-K1(チャイニーズハムスター卵巣上皮細胞、ATCC C
CL-61)細胞は、2mM L-グルタミン、10 mM HEPES(Gibco)、50 μg/ml硫酸ゲ
ンタマイシン(Gibco)、および5%ウシ胎児血清(Gibco)を添加したダルベッ
コ改変イーグル培地(Gibco)において増殖させた。MDBK(ウシ正常腎上皮、ATC
C CCL-22)細胞は、2mM L-グルタミン(Gibco)、0.1 mM非必須アミノ酸(Gibc
o)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、50 μg/ml硫酸ゲンタマイシン(Gib
co)、および10%ウマ血清(Gibco)を添加したアール塩(ICN)を含むイーグル
最小基本培地において増殖させた。HeLa細胞、ジャーカット細胞、ベロ細胞、CH
O細胞、およびMDBK細胞は、水を含むインキュベータ内で5%CO2、37℃でインキ
ュベートした。A-431細胞も同様に37℃で維持したが、10%CO2であった。
【0066】 金属、アゼチジンおよび熱による処置 90%コンフルエントの、HeLa細胞、A-431細胞、およびジャーカット細胞を、1
00 μM CdCl2(Sigma)または250 μM ZnCl2(Sigma)と共に37℃で2時間イン
キュベートし、CdCl2またはZnCl2を含まない培地における5時間の回復期間の後
に回収した。細胞は、プロリン類似体である、L-アゼチジン-2-カルボン酸(Sig
ma)5mMによって同様に5時間処置して、2時間の回復期間の後に回収した。細
胞はまた、37℃で5時間回復させた後、44℃で20分または2時間熱ショックを与
えた。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動およびイムノブロット分析用に細胞
溶解物を調製した。
【0067】 ベロ細胞、CHO細胞、およびMDBK細胞にも熱ストレスを与えた。ベロ細胞は、4
2℃で1.5時間、熱ストレスを与え、37℃で18時間回復させてから回収した。CHO
細胞は42℃で2時間熱ストレスを与え、37℃で18時間回復させてから回収した。
MDBK細胞は44℃で1.5時間熱ストレスを与え、37℃で18時間回復させてから回収
した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動およびイムノブロット分析用に細胞
溶解物を調製した。
【0068】 HeLa細胞の熱処理 HeLa細胞は90%コンフルエントまで増殖させ、37℃、38.5℃、40℃、41.5℃、
43℃、および44.5℃で2時間加熱した。37℃で5時間回復させた後に、細胞を回
収してSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動およびイムノブロット分析用に調製
した。
【0069】 熱処理したHeLa細胞の回復 HeLa細胞を90%コンフルエントまで増殖させ、44.5℃で2時間加熱した。細胞
を37℃で0時間、2.5時間、5時間、16時間および24時間回復させた後に回収し
た。対照細胞は37℃で維持して同じ回収時間に同様に回収した。細胞溶解物をSD
Sポリアクリルアミドゲル電気泳動およびイムノブロット用に調製した。
【0070】 SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動とイムノブロット 適当な回復期間の後、カルシウムおよびマグネシウム(ICN)を含まないダル
ベッコリン酸緩衝生理食塩水によって細胞を洗浄して、細胞用へらによって回収
した。回収した細胞を溶解緩衝液(カルシウムおよびマグネシウム(ICN)を含
まず、0.05%トライトンX-100(Sigma)、0.1 mMフッ化フェニルメチルスルホニ
ル(Sigma)、1μg/mlロイペプチン(Sigma)、および1μg/mlアプロチニン(
Sigma)を含むダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)に再浮遊させて、超音波によ
って破壊した。細胞抽出物のタンパク質含有量をブラッドフォード法(Bio-Rad
)によって決定した。抽出物を40 mMトリス塩酸pH 6.8(BDH)、1%SDS(Bio-R
ad)、50 mM DTT(ICN)、7.5%グリセロール(アナケミア社)、および0.003%
ブロモフェノールブルー(Sigma)を含むSDS緩衝液において希釈し、70℃で5分
間加熱した。細胞抽出物を12.5%SDSポリアクリルアミドゲルにおいて分離し、2
5 mMトリス(BDH)、192 mMグリシン(Fisher Scientific社)、20%(v/v)メ
タノール(Fisher Scientific社)転写用緩衝液を用いて、トランスブロット装
置(Bio-Rad)において、分離したタンパク質をニトロセルロース膜(ゲルマン
サイエンシズ)に100 Vで1時間電気的にブロッティングした。ブロットを5%
カーネーション脱脂乳、0.05%ツイーン20(Bio-Rad)、0.02%NaN3(Fisher Sc
ientific社)、またはチメロサル(Fisher Scientific社)のリン酸緩衝生理食
塩水(15.4 mM Na2HPO4(Mallinckrodt)、4.6 mM NaH2PO4(Mallinckrodt)、1
20 mM NaCl(BDH))溶液においてブロッキングした。ブロットは、誘導型Hsp70
AおよびHsp70B'に特異的なマウスモノクローナル抗体(StressGen Biotechnolog
ies、SPA-810)、誘導型Hsp70Aに対して特異的なウサギポリクローナル抗体(St
ressGen Biotechnologies、SPA-812)、同源のHsc70に対して特異的なラットモ
ノクローナル抗体(StressGen Biotechnologies、SPA-815)、Hsp110に対するウ
サギポリクローナル抗体(StressGen Biotechnologies、SPA-1101)、Grp75に対
して特異的なマウスモノクローナル抗体(StressGen Biotechnologies、SPA-825
)、小胞体KDEL保持シグナルペプチドに対して特異的なマウスモノクローナル抗
体(StressGen Biotechnologies、SPA-827)、大腸菌DnaKに対して特異的なマウ
スモノクローナル抗体(StressGen Biotechnologies、SPA-880)、結核菌(M. t
uberculosis)Hsp71に対して特異的なマウスモノクローナル抗体(StressGen Bi
otechnologies、SPA-885)、および直鎖状ヒトHsp70B'配列または精製組換えヒ
トHsp70B'に由来する合成ペプチドのパネルのいずれかに対して作製したポリク
ローナル抗体をプローブとして調べた。ブロットは、ブロッキング緩衝液によっ
て希釈した第一抗体と共に室温にて1時間インキュベートした。アルカリホスフ
ァターゼまたはペルオキシダーゼ接合二次抗体(StressGen Biotechnologies)
をそれぞれ、ブロッキング緩衝液で1000倍および5000倍希釈して、ブロットと共
に室温で1時間インキュベートした。アルカリホスファターゼ結合二次抗体を用
いて、ブロットを0.15 mg/mlの5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(
Sigma)、および0.3 mg/mlニトロブルーテトラゾリウム(Sigma)のアルカリホ
スファターゼ緩衝液(100 mMトリス塩酸、pH 9.5(BDH)、150 mM NaCl(BDH)
、10 mM MgCl2(Fisher Scientific))溶液によって発色させた。発色させたブ
ロットを脱イオン水によって洗浄して、発色反応を停止させた。ペルオキシダー
ゼ接合二次抗体を用いて、ブロットを増強化学発光法(ECL、Amersham)によっ
て展開させた。
【0071】 マウスハイブリドーマの作製 BALB/cマウスを、本質的に先に記述した通りにHsp70B'ペプチドKLH接合体によ
って免疫した。試験血を抗ペプチドおよび抗Hsp70B'タンパク質血清力価に関し
て間接的EIAによって分析し、高いHsp70B'力価を有するマウスを融合のために選
択した。脾臓切除を行う4日前に、選択したマウスをアジュバントの非存在下で
抗原を追加免疫した。マウスの脾臓を無菌的に摘出して、鉗子によって細切し、
ふるいにかけた。細胞をIMDM培地によって2回洗浄し、血球計算盤によって計数
した。脾細胞をマウス骨髄腫P3×63Ag8.653細胞と5:1の比率(脾臓:骨髄腫
細胞)で混合して、遠心した。細胞のペレットを50%PEG(分子量1450)1mlに
再浮遊させて、30秒間かけて滴下した。再浮遊した細胞をピペットを用いて30秒
間緩やかに混合した後、さらに30秒間放置した。IMDM培地5mlを90秒間かけて加
え、直後にさらに5mlを加えた。得られた細胞浮遊液を5分間放置した後、細胞
を沈降させて、HAT培地(10%FBS、2mM L-グルタミン、0.6% 2-メルカプトエ
タノール、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンおよび10%オリゲン増殖
因子を含むIMDM)において細胞を5×105個/mlで再浮遊させた。細胞は96ウェル
プレートに105個/mlで播種した。プレートを37℃で湿度100%の7%CO2大気にお
いてインキュベートした。融合の7日後、培地を除去して10%FBS、2mM L-グル
タミン、0.6%2-メルカプトエタノール、ヒポキサンチンおよびチミジンを含むI
MDMに交換した。融合の10〜14日後、増殖しつつあるハイブリドーマコロニーを
有するウェルから上清を採取して、間接的EIAによって抗ペプチド抗体および抗
タンパク質抗体に関してスクリーニングした。陽性ウェルからのハイブリドーマ
細胞を96ウェルにおいて0.25個/ウェルまたはウェル4個毎に1個の密度で限界
希釈法によってクローニングした。増殖したコロニーは、ハイブリドーマを最初
に選択するために用いた同様のアッセイ法を用いて10〜14日後に調べた。陽性ク
ローンを増殖させて凍結した。
【0072】結果 ペプチド配列8個、すなわちヒトHsp70B'タンパク質のN末端エピトープ1個と
、カルボキシル末端からのエピトープ7個を選択した。ペプチド配列は、他のHS
P70ファミリーメンバーとの最小の同一性および相同性、ならびに親水性(Kyte-
Doolittle)、抗原性(Jameson-Wolf)および表面確率(Emini)に関するアルゴ
リズム予測に基づいて選択した。これらの配列は、そのそれぞれの残基数(ゲン
バンク配列#P17066)およびエピトープの名称を表1に記載する。CBおよびCB2配
列は、CB2ペプチドが別の機会に合成されることを除いては同一である。
【0073】
【表1】 異なるHsp70B'エピトープの免疫原性の要約 は、その後ペプチドイムノアフィニティクロマトグラフィーによって精製した
抗血清を示す。
【0074】 ペプチドを合成してKLHと結合させ、これを用いてウサギ、ヤギ、またはマウ
スを免疫した。免疫するペプチドに対する特異的抗体反応は、間接的ペプチドEI
Aによって評価すると、あらゆる動物において検出された(表1)。次に、ウサ
ギの抗ペプチド抗血清9個中6個をペプチドイムノアフィニティクロマトグラフ
ィーによって精製した。抗体調製物を、一連のストレスを受けたおよびストレス
を受けていないヒトおよび哺乳類細胞溶解物と共にHSP70タンパク質相同体のパ
ネルに対する結合の特異性に関して調べた(表2〜6)。
【0075】 組換えヒトHsp70B'タンパク質によるHsp70B'抗体産生 ペプチド免疫経路によってHsp70B'抗体を作製することの他に、Hsp70B' WPと
呼ばれるHsp70B'抗体を、精製(すなわち、〜90%均一)組換えヒトHsp70B'を免
疫原として用いてウサギにおいて産生した。ペプチド産生細胞と同様に、免疫し
たタンパク質に対する抗体反応は、間接的EIAによって各ウサギに検出された(
表1)。血清をプールして、精製HSP70相同体のパネルに対して間接的EIA(表2
)および競合的EIA(表3)によって特異性を調べた。抗血清はまた、対照およ
び熱ストレス細胞溶解物によるイムノブロッティングによっても評価した(表5
および6)。
【0076】 相対力価指数による抗体特異性の決定 選択したHsp70B'抗体の特異性を間接的EIAによって決定し、無関係または陰性
対照抗体に対する抗体力価指数として表記した(表2)。力価は、吸光度0.2が
得られる抗体濃度(精製抗体の場合)または希釈倍数の逆数(非精製抗血清の場
合)として定義する。このカットオフ値はアッセイ法のバックグラウンド+3標
準偏差の吸光度をほぼ表している。これは95%で信頼できる最低の識別可能な陽
性シグナルである。
【0077】 相対的力価指数は、Hsp70B'抗体の力価を無関係な抗体の力価と直接比較する
。したがって、これは、非特異的結合以上の特定のタンパク質またはペプチドに
対する抗体反応性の測定である。指数値は抗体の反応性に正比例する。このよう
に、相対指数が高ければ、特定のタンパク質またはペプチドに対する抗体の反応
性はより大きくなる。指数1は、陰性対照抗体と同じ反応性を表し、無視できる
結合であるとみなされる。1より大きい指数は結合を示している。抗体がタンパ
ク質またはペプチド1個のみと反応することが判明すれば(例えば、抗体が唯一
のタンパク質またはペプチドに対して>1の指数を有する)、特異性は、調べた
タンパク質またはペプチドの意味において定義することができる。
【0078】 表2の絶対指数値に基づいて、CB2抗体、CE抗体、ECB抗体、およびTCB抗体は
、他のHSP70タンパク質相同体に対してそれぞれ177倍、48倍、41倍および29倍選
択的に反応した。これらのアッセイ条件を用いて、CB2抗体、CE抗体、ECB抗体、
およびTCB抗体はHsp70B'タンパク質に対して特異的であった。
【0079】 希釈倍数が低い場合、70B' WP抗体は、Hsp70A、DnaKに対する何らかの交叉反
応性がほとんどなく、Hsc70およびHsp71についても同様であった。しかし、70B'
WP抗体はなおもHsp70AおよびDnaKと比較してHsp70B'に対して90倍以上高い反応
性を示した。SPA-812は、組換えヒトHsp70Aタンパク質に対して産生されたウサ
ギポリクローナル抗体である。Hsp70Aに反応するのみならず、SPA-812はまた、
低い希釈倍数ではHsp70B'と交叉反応した(同様にHsc70およびDnaKとも交叉反応
した)。これらの全タンパク質抗体の双方に関して、それぞれの抗原との反応性
は高かった(指数>100)。したがって、より高い希釈倍数での抗体を用いるこ
とによって、交叉反応性は「希釈される」可能性があり、意図するタンパク質と
の反応性はなおも保持される可能性がある。これは本質的に関係抗原上の特異的
エピトープを認識する親和性がより高い集団を選択する。
【0080】 70B' WP抗体は、CE、ECB、およびTCB血清抗体と比較してHsp70B'タンパク質に
4〜6倍高く反応した。しかし、70B' WP抗体も同様に、他の相同体との交叉反
応性を示したが、ペプチド抗体は示さなかった。これは、70B' WP抗体がおそら
く、分子の表面全体を通して異なるHsp70B'エピトープを認識するいくつかの抗
体集団からなるために、予想外ではない。これらのエピトープのいくつかは他の
相同体とエピトープを共有するか、または相同なエピトープを有する可能性があ
る。ペプチド抗体はおそらく、Hsp70B'を認識するいくつかの抗体集団からなる
が、エピトープは免疫するペプチド配列に限定されず、このように交叉反応性を
制限する。このことによって、特異的Hsp70B'ポリクローナル抗体が必要である
場合に、タンパク質全体の免疫に対するペプチドアプローチが支持される。意図
するタンパク質に対するペプチドポリクローナル抗体の反応性はまた、精製CB2
抗体によって示されるように、アフィニティ精製によって増強することができる
。これらのアッセイ条件を用いて、この抗体はHsp70B'に関して高い指数値(す
なわち>100)を有し、Hsp70B'に対して特異的であった。当然、70B' WPも同様
に特異性を増強するためにアフィニティ精製することができ、このように低い希
釈倍数が必要である場合に、この抗体の有用性を増加させることができると考え
られる。
【0081】 CB2抗体およびECB抗体は、免疫するペプチドの逆数と反応した。これは、ECB
がCB2の単なる伸長物であることから予想外ではなかった。同様に、CB2抗体およ
びECB抗体は、CB2の切断型であるTCBペプチドと反応すると予想された。しかし
、CB2抗体はTCBペプチドと反応せず、ECB抗体はアッセイの下限を超えてTCBペプ
チドと何らかの反応性を示した。70B' WPはまた、TCBペプチドと反応しなかった
がCB2ペプチド、ECBペプチド、およびCEペプチドに対して何らかの反応性を示し
た。このことは、Hsp70B'タンパク質上のより抗原性の強いエピトープが70B' WP
の反応性に関係していることを示唆している。TCB抗体は、免疫するペプチドお
よびCB2ペプチドとECBペプチドの双方と反応した。
【0082】
【表2】 Hsp70B'抗体の相対力価指数 非特異的結合を評価するために用いた無関係な抗体を灰色の影をつけて示す。精
製抗体に関して、指数値は、無関係な抗体の力価を試験抗体の力価で割ることで
算出した。血清抗体の場合、指数値は、試験抗体の力価を無関係な抗体の力価で
割ることで算出した。 実際の力価を測定すれば>1であると予想される。
【0083】 競合的EIAによる抗体特異性の決定 選択したHsp70B'抗体を、抗体特異性をアッセイするもう一つの方法として競
合的EIAにおいて評価した。この競合的EIAは、交叉反応性の計算に関して50%置
換方法に基づく(Abraham, G.E.、J. Clin. Endocrinol. Metab. 29:866〜870
、1969)。アブラハム(Abraham)によって記述されるように、一定量の抗体と
標識標準物質(S)を様々な用量の非標識Sまたは交叉反応物質(CR)の存在下で
インキュベートする。非標識SまたはCRは、抗体結合部位に関して標識Sと競合す
る「置換体」である。次に、結合した標識Sを非標識SまたはCRの各用量で定量す
る。置換曲線は非標識SまたはCRの用量に対して%B/B0をプロットすることによ
って作製する。Bは、加えた非標識Sの存在下での結合した標識Sの量であり、B0
は加えた非標識Sの非存在下で結合した標識Sの量である(すなわち最大結合標識
標準物質)。50%置換法において、交叉反応性とは、結合した標識Sの50%置換
を生じるCRの用量に対する非標識Sの比を百分率で表記した値である。
【0084】 競合的EIAは、選択したHsp70B'抗体の特異性を決定するために開発された。標
識標準物質は、アブラハム(Abraham)によって記述される競合反応にとって必
要である。しかし、標識Hsp70B'タンパク質は本研究では入手できなかった。そ
の代わりに、様々な量の遊離のSまたはCRの存在下で、固相に結合した一定量のS
に対する抗体結合量を測定するように競合反応を改変した。置換曲線は、遊離の
置換体の用量に対して%A/Amaxをプロットすることによって作製し、式中Aは置
換体の存在下で結合した抗体の量であり、Amaxは置換体の非存在下で結合した抗
体量であった。アブラハム(Abraham)の方法と同様に、交叉反応性は、結合し
た抗体の50%置換(A/Amax)が起こる遊離の標準物質用量と交叉反応物質用量と
の比として定義された。
【0085】 CB2(図1A、精製ウサギ抗体)、CE(図1B)、および70B' WP(図1C)抗体の置
換曲線は、Hsp70B'タンパク質(S)ならびにHSP70相同体5個(CR):Hsp70A、H
sc70、Grp78、DnaK、およびHsp71について作製した。遊離のHsp70B'タンパク質
の濃度範囲は0.016〜10 μg/mlであったのに対し、交叉反応体の範囲は0.8〜500
μg/mlであった。3つ全てのHsp70B'抗体に関して、最高用量では50倍多い交叉
反応体を用いたにもかかわらずHsp70B'と比較した場合に、交叉反応体による明
確な競合を認めなかった。これらのアッセイ条件では、交叉反応体の濃度全体に
及ぶ%A/Amaxの平均値が93〜100%の範囲であったために、50%置換濃度は交叉
反応体に関して得られなかった。アッセイの変動が、真の競合よりはむしろ置換
のレベルが原因であるために、50%置換カットオフを5%(すなわち、95%の%
A/Amax)に再度定義することは不適であった。いずれにせよ、より正確に評価す
るためには、500 μg/mlを越える高い交叉反応体濃度が必要である。
【0086】 表3において、HSP70相同体との交叉反応性の割合をCB2抗体、CE抗体、および
70B' WP抗体に関して示す。交叉反応体の50%置換用量を得ることができなかっ
たため、>500 μg/mlと報告し、500 μg/mlを用いて交叉反応性を計算した。し
たがって、交叉反応性の割合は報告された絶対値より実際には低い。このデータ
に基づき、そしてこれらのアッセイ条件において、CB2抗体、CE抗体、および70B
' WP抗体は、調べたHSP70相同体に対してそれぞれ、少なくとも758倍、142倍、
および263倍、Hsp70B'に対して反応した。CB2抗体はCEおよび70B' WP抗体よりHs
p70B'に対する反応性が高かった。これは、CB2抗体がアフィニティ精製されたの
に対し、CEおよび70B' WPは抗血清であったためである可能性がある。CB2抗体は
少量の遊離の標準物質と競合し、この調製物はCE抗体および70B' WP抗体と比較
して高親和性抗体を含む比率がより高いことを示唆している。
【0087】 CB2抗体およびCE抗体は、相対力価指数に関して表記するとHsp70B'に対して特
異的であると見なされた(表2)。競合的EIA条件では、これらの2つの抗体は
また、Hsp70B'に対しても特異的であると見なすことができる。しかし、70B' WP
抗体は、低い希釈倍数では(例えば2000倍)相対力価指数によってHsp70B'に対
して特異的ではなかった。競合アッセイ法は70B' WPを16倍高い希釈倍数で使用
した。このことは、この抗体に関して本質的に交叉反応性を「希釈して除く」こ
とができ、おそらく特異性を最大限にするためにより大きい希釈倍数で用いるべ
きであることを示している。
【0088】 ウサギHsp70B'抗体の置換曲線:CB2(A)、CE(B)、および70B' WP(C)。HS
P70相同体はCB2抗体、CE抗体、および70B' WP抗体の固相Hsp70B'への結合を有意
に置換することができなかった。これらのアッセイ条件では、CB2、CEおよび70B
' WPは、Hsp70B'に対して特異的である。
【0089】
【表3】 Hsp70相同体との交叉反応性に関する選択したHsp70B'抗体の特異性
【0090】 交叉反応性は、遊離の標準物質の濃度を50%A/Amaxでの交叉反応物質の濃度で
割ることで算出した。次に、比を百分率として表記した。
【0091】 イムノブロッティングによる抗体特異性の決定 Hsp70B'抗体はそれぞれ、合成ペプチド、ペプチドKLH接合体、組換えHsp70B'
タンパク質と共に培養細胞溶解物に存在する天然のHsp70B'タンパク質における
それぞれのエピトープを検出した。細胞溶解物における天然のHsp70B'タンパク
質に対する抗体の結合は、イムノブロッティングによって測定した。これらの実
験において、アッセイと誘導条件とを有効にするためにいくつかの対照抗体を含
めた。対照抗体の反応性プロフィールを表4〜6に要約する。抗Hsc70抗体(SPA
-815;クローン1B5)は、CHO(ハムスター)Hsc70タンパク質に対して当初産生
されたラットモノクローナル抗体である。この抗体はHsc70タンパク質に限って
反応することが認められ、如何なる誘導型のイソ型、すなわちGrp78、DnaK、ま
たはHsp71に対する反応性も検出されなかった。抗Hsp70A(SPA-812)特異的抗体
は、精製組換えヒトHsp70Aタンパク質に対して産生されたウサギポリクローナル
抗体である。この抗体は、Hsp70Aタンパク質に限って反応し、イムノブロットに
おいてHsp70B'、Hsp70B断片、Hsc70、Grp78、大腸菌DnaK、および結核菌(M. tu
berculosis)Hsp71タンパク質に対する反応性は検出されなかった。第三の対照
抗体は、当初、HeLa細胞から精製されたヒトHsc70/Hsp70タンパク質に対して産
生されたマウスモノクローナル抗体(SPA-810;クローンC92F3A-5)である。こ
の抗体はHsp70Aと組換えHsp70B'とに反応するが、Hsc70、Hsp70Bタンパク質断片
、Grp78、DnaK、またはHsp71とは反応しないことが判明した。その他の対照抗体
には、ウサギHsp110ポリクローナル抗体(SPA-1101)、マウスGrp75モノクロー
ナル抗体(SPA-825;クローン30A5)、ER保持シグナルペプチドKDELに対して特
異的なマウスモノクローナル抗体(SPA-827;クローン10C3)、マウスDnaKモノ
クローナル抗体(SPA-880;クローンXXX)、およびマウスHsp71モノクローナル
抗体(SPA-885;クローン5A8)が含まれた。Hsp110抗体とGrp75抗体はHsp70A、H
sp70B'、Hsc70、Grp78、DnaK、またはHsp71タンパク質とは反応しなかった。KDE
L抗体はGrp78タンパク質と反応したが、Hsp70A、Hsp70B'、Hsc70、DnaK、または
Hsp71タンパク質とは反応しなかった。DnaK抗体およびHsp71抗体は、DnaKタンパ
ク質およびHsp71タンパク質とそれぞれ反応したが、Hsp70A、Hsp70B'、Hsc70、
またはGrp78タンパク質とは反応しなかった。これらの対照抗体を用いて、Hsp11
0、Grp75、Hsc70、およびKDELタンパク質を正常および熱ストレスヒトA431細胞
、サルベロ細胞、ハムスターCHO細胞およびウシMDBK細胞において検出した(表
6)。Hsp70Aは、対照A431細胞、ベロ細胞、およびMDBK細胞において検出された
。対照CHO細胞ではこれは検出されなかった。Hsp70Aは、熱ストレスを受けたA43
1細胞、ベロ細胞、CHO細胞、およびMDBK細胞において上昇したレベルで検出され
た。
【0092】
【表4】 異なるHSP70ファミリーメンバーに対する抗HSP70抗体反応性プロフィ
ールの要約
【0093】 Hsp70B'エピトープに対して作製したウサギ抗ペプチド抗体9個は、ウェスタ
ンブロット分析においてHsp70B'組換えタンパク質に反応した(表4)。抗体は
また、ヒト細胞株から調製したストレスを受けた細胞溶解物に限ってHsp70B'タ
ンパク質を検出した(表5および6)。
【0094】 免疫アフィニティ精製したウサギ抗CB抗体および抗CB2抗体調製物(エピトー
プ残基:624〜638残基)は、Hsp70B'タンパク質に対して特異的であることが判
明した;単一の69 kDaタンパク質のみが、総ヒト細胞溶解物からの複合タンパク
質混合物を用いたウェスタンブロット分析において検出された。強い反応性は天
然のHsp70B'および組換えHsp70B'の双方に認められたが、組換えおよび/または
天然のHsc70、Hsp70A、DnaK、Hsp71、Hsp110、Grp75、Grp78、およびその他のKD
ELタンパク質との反応性を認めなかった(表4〜6)。
【0095】 個々のマウスからの代表的なCB2血清試料は、イムノブロッティングによって
評価すると、溶解物中の天然のHsp70B'タンパク質に対する特異性を示した(表
5)。しかし、CB2免疫マウス10例中3例は天然のHsp70B'を検出しなかったか、
または溶解物中の他の未知のタンパク質と弱い反応を示した。ヤギCB2抗血清は
また、抗CB2ペプチド力価が低いにもかかわらず、天然のHsp70B'タンパク質を特
異的に検出した。しかし、ヤギ抗血清の天然のHsp70B'との反応性は、ウサギお
よびマウスCB2抗体と比較すると低かった(表5)。
【0096】 いずれにせよ、CB/CB2は、Hsp70B'特異的抗体を産生するために再現よく用い
ることができる(すなわち、異なる際に異なる動物で)固有のエピトープである
。このエピトープを用いて、すばらしい特異性と有用な親和性を有するモノクロ
ーナル抗体のような抗体を作製してもよい。CB/CB2エピトープは既にCB/CB2ペプ
チドと反応するマウスハイブリドーマを作製するために用いられている。Hsp70A
とHsp70B'タンパク質とのハイブリドーマの反応性は現在評価中である。理想的
には、モノクローナル抗体(複数)は、ポリクローナルCB抗体と同じ特異性を示
し、Kaが104〜1012 M-1の範囲で、ペプチド、組換えおよび天然のHsp70B'に結合
するであろう。このエピトープに対して作製された抗体は、迅速なスクリーニン
グアッセイ法を確立するために含まれる優れた候補物質である。
【0097】 ECB抗体およびTCB抗体に対するペプチド免疫原は、CB/CB2エピトープに基づい
た。ECBペプチドは、CB/CB2のN末端でのアミノ酸6個の伸長型である。個々のウ
サギ3羽からのECB血清をイムノブロットによって分析すると、ウサギ3羽は全
て、溶解物における精製組換えHsp70B'(表4)および天然のHsp70B'(表5)に
対して極めて良好に反応する抗体を産生した。しかし、溶解物においてHsp70B'
を特異的に検出したのは3例中1例の抗血清であった。残りの抗血清2例は、溶
解物中の他の未知の非誘導型タンパク質と非常に弱い反応を示した。しかし、こ
の抗体(ウサギ3羽中3羽)は、天然のHsp70A、Hsc70、Hsp110、Grp78、または
その他のKDELタンパク質と反応しなかった。未知の溶解物タンパク質との如何な
る弱い結合もおそらく「希釈して除去する」ことができるか、または特異性を改
善するために抗体をアフィニティ精製することができる。成功すれば、ECB抗体
は、イムノアッセイ法を開発するために、CE、CA、またはCCのような他のHsp70B
'抗体と共に用いることができる。ECBエピトープはまた、モノクローナル抗体開
発のための良好な候補物質となるであろう。
【0098】 抗TCBは、C末端でアミノ酸3個が切断されたCB/CB2ペプチドによって作製した
。ウサギ3羽中3羽からのTCB抗血清は、免疫するペプチドに対して良好に反応
したが(表1)、イムノブロットにおいて組換え(表4)および天然のHsp70B'
(表5)、ならびに未知の非誘導型の40 kDaタンパク質と反応した抗体を産生し
たのはウサギ3羽中1羽に過ぎなかった。非誘導型タンパク質との反応性は、お
そらく「希釈して除去する」ことができ、または特異性を改善するために抗体を
精製することができる。他の2つのTCB免疫ウサギからの血清は、組換えHsp70B'
と反応して、天然型とは反応せず(表5)、このことは、組換えと天然のタンパ
ク質との間に、タンパク質折り畳みおよび表面曝露に差があることを示唆してい
る。これらの2つの抗血清はまた、他の未知の非誘導型タンパク質と反応した。
ウサギ3羽からの抗血清は全て、Hsp70AおよびHsc70と反応しなかった。TCBペプ
チドに対する成功率がより低かったこと(すなわち、ウサギ3羽中1羽が天然の
Hsp70B'を検出した)は、CB/CB2およびECBエピトープ上に存在する省略された3
つのGPIアミノ酸の重要性を示唆する。相対力価指数に基づいて、CB2抗体、70B'
WP抗体およびECB抗体はTCBペプチドと反応性を示さないか、低い反応性を示し
たが(表2)、これらの3つの抗体は組換えHsp70B'と天然のHsp70B'の双方と反
応した。このことは、低い抗原性と表面確率の予測にもかかわらず、Hsp70B'抗
体産生に関するGPI残基が重要であることの根拠となる。併せて考慮すると、天
然のHsp70B'を認識するTCBポリクローナル抗体は、工業的なイムノアッセイ法で
使用するために産生して、再供給することが難しいかも知れない。
【0099】 抗「CA」抗体(エピトープ残基:561〜573残基)は、Hsp70B'タンパク質を認
識するが、Hsc70は認識せず、Hsp70A、またはHsp70B(断片)精製タンパク質を
認識しない。しかし、この抗体は、より低いおよびより高い分子量の他の既知の
タンパク質を同定する。イムノブロットにおけるこの抗体の結合反応性の解釈が
60〜80 kDaの範囲に限定される限り、この抗体は、Hsp70B'タンパク質のイムノ
ブロット分析における感度のよい特異的プローブとして作用するであろう。この
抗体に関してイムノブロット上に認められる他のタンパク質のいずれも、これら
の実験条件においてストレス誘導型ではない。非Hsp70B7タンパク質は、ストレ
スおよび非ストレス細胞溶解物の双方において等しく良好に検出される。この抗
体は、Hsp70B'タンパク質を特異的に検出するためのイムノブロット分析におい
て用いることができるが、この抗体が他の細胞タンパク質に交叉反応することか
ら、イムノアッセイ迅速スクリーニング試験における抗体の有用性は低下する。
しかし、「CB」のような他の特異的抗体と組み合わせると、この抗体は、イムノ
アッセイ法における有用な成分となる可能性がある。
【0100】 抗「CD」抗体(エピトープ残基:561〜576残基)は、組換えおよび天然のHsp7
0B'の双方を認識すると共に構成的Hsc70タンパク質を認識する。誘導型Hsp70Aタ
ンパク質はまた、この抗体によって弱く認識される。さらに、この抗体はイムノ
ブロット分析において、他の未知の低分子量の構成的に発現されたタンパク質を
検出するであろう。「CA」抗体および「CD」抗体における大きい変動は、これら
の抗体を作製するために用いるペプチドが非常に類似していたために意外である
。「CD」ペプチドは以下の3つを除き、「CA」ペプチドと同一である:(a)KLH
と「CA」ペプチドとのカップリングを促進するために用いられるさらなるN末端
システイン残基を、「CD」ペプチドは欠損する、(b)KLHに対するカップリング
は、カルボキシ末端での天然のシステイン配列を通じてカップリングするように
改変された、および(c)さらなる3個の残基(DKC)が「CD」エピトープのカル
ボキシ末端に付加された。これらの3個のさらなる残基はHsc70、Hsp70Aと共にH
sp70B'配列において保存されており、エミニ(Emini)分析において抗原性であ
ると予測される疎水性領域内に存在すると予測される。タンパク質3個の分子量
は異なるため、Hsp70B'、Hsp70A、およびHsc70タンパク質の分子量はそれぞれ69
、72、および73であり、異なるHspの発現パターンはイムノブロット分析におい
てこの抗体に関して多様であるかも知れない。しかし、この抗体が他のHspファ
ミリーメンバーのみならず他の細胞タンパク質とも交叉反応することから、この
抗体は迅速なスクリーニングイムノアッセイ法において有用ではないと思われる
【0101】 抗「CC」抗体(エピトープ残基:546〜559残基)は、Hsp70B(断片)およびHs
p70B'組換えタンパク質の双方を認識する。この抗体はHsc70の同源のタンパク質
またはストレス誘発性のHsp70Aタンパク質のいずれも認識しない。この抗体に関
しては、いくつかのさらなる未知のより高いおよびより低い分子量のタンパク質
がイムノブロットにおいて検出されるが、これらのタンパク質もまた、これらの
条件において誘導型ではなく、評価される60〜80 kDaの範囲内に入らない。した
がって、この抗体は、イムノブロット分析において有用であるが、他の細胞タン
パク質との交叉反応性のために、イムノアッセイ分析におけるこの抗体の有用性
は低下する。しかし、「CB」のような別の特異的抗体と組み合わせると、この抗
体はイムノアッセイ法において有用な成分であるかも知れない。
【0102】 CE抗体は、C末端のCCから7個のアミノ酸、およびN末端のCAから7個のアミノ
酸とをロイシン残基によって結合させたペプチドで構成された。特異的Hsp70B'
結合は、イムノブロットにおいてウサギ3羽中1羽からのCE抗血清について認め
られた(表5)。Hsp70A、Hsc70、Hsp110、Grp75、DnaK、Hsp71、Grp78または他
のKDELタンパク質との反応性を認めなかった。CAおよびCC抗体はいずれも、Hsp7
0Bの他に非誘導型タンパク質を検出した;この特定のウサギからのCE抗血清は非
誘導型タンパク質を検出しなかった。CB2抗体と同様に、このウサギからのCE抗
血清のみが溶解物中のヒトHsp70B'を検出した。サル、ハムスター、またはウシ
細胞溶解物において如何なるタンパク質とも反応性を示さなかった。別のウサギ
からのCE抗血清は組換えHsp70B'と反応し、天然のHsp70B'との反応は程度が低か
ったが(表5)、他の非誘導型タンパク質とも弱く反応した。興味深いことに、
より特異的なCE抗血清は、非特異的CE抗血清よりも8倍低い抗CEペプチド力価を
有した(表1)。残りのウサギからのCE抗血清は、溶解物においていくつかの非
誘導型タンパク質と反応し、組換えHsp70B'との反応は非常に小さかった。この
抗血清の天然のタンパク質との反応性は、予想される70 kDa分子量範囲に多くの
タンパク質が検出されたために結論が得られなかった。CE抗体は成功率が低いが
、モノクローナル抗体は特異的ポリクローナル抗体と同じ反応性を示せば有用と
なる可能性がある。CEとCB/CB2またはECBペプチドの位置は異なるために、これ
らのエピトープに対する特異的モノクローナル抗体は、二部位イムノアッセイ法
を開発するために選択される成分となると考えられる。
【0103】 「NT」抗体(エピトープ残基:1〜12残基)は、Hsp70ファミリー内で相対的
配列相同性配列領域である。このエピトープは、他のHSP70ファミリーメンバー
との全体的な相同性が50%未満であるが、配列同一性領域は連続的である。抗「
NT」抗体はHSP70ファミリーマーカーとして有用であるが、異なるHsp70ファミリ
ーメンバーを示差的に検出する場合には有用ではない。
【0104】 70B' WP抗体は、イムノブロットにおいて組換えおよび天然のHsp70B'の双方を
特異的に検出した。抗体をより高い希釈倍率(すなわち20000倍)で用いた場合
、他のHSP70相同体または他の溶解物タンパク質との交叉反応性を認めなかった
。この抗体は、より高い希釈倍率で精製して用いると、またはCB/CB2、ECB、も
しくはCEのような別の特異的抗体と共に用いると、イムノアッセイ法における有
用な成分となる可能性がある。この抗体はCB、ECB、TCB、およびCEペプチドに関
して力価の指数値が比較的低かったが、Hsp70B'に関する値は高かった(表2)
。このことは、全タンパク質免疫を利用するために必要なHsp70B'モノクローナ
ル抗体を産生するために、他の特異的エピトープ、おそらく構造的エピトープが
存在することを示唆する。
【0105】 Hsp70B'抗体の特異性の要約 表7は、実施した3つの方法に関してウサギHsp70B'抗体に関する特異性の評
価を要約する:相対力価指数、競合的EIA、およびイムノブロッティング。唯一
の抗体であるCB2は、3つ全ての評価方法においてHsp70B'に対して特異的である
と見なされた。CBは同じペプチド配列によって作製されたために、この抗体が3
つ全ての評価方法に関してHsp70B'特異的であると見なされる可能性がある。ECB
、CE、および70B' WP抗体は特異性を最大限にするために、精製するか、または
より高い希釈倍数で用いられる可能性がある。CDおよびNT抗体は、Hsp70B'と他
のHSP70相同体とを区別するために有用ではなく、Hsp70B'抗体を作製するために
ペプチドアプローチが100%成功ではないことを示している。
【0106】
【表5】 ストレスを受けていないヒト細胞溶解物および熱ストレスを受けたヒ
ト細胞溶解物由来の68 kDa(Hsp70B')タンパク質とHsp70B'、Hsp70AおよびHsc7
0抗体との反応性
【0107】
【表6】 Hsp抗体と対照および熱ストレスを受けた哺乳類細胞溶解物との反応
反応性レベルを、溶解物10〜20 mgのイムノブロッティング分析によって評価し
た。抗原特異的バンドの強度は、0=シグナルなし、および3=非常に強いシグ
ナル、の相対尺度で採点した。” 相対反応性レベルは個々の動物からのプール
していない血清抗体に関して報告されている。§ 相対反応性レベルはマウス10
匹中5匹について報告されている。 相対反応性レベルはプールした血清抗体
に関して報告されている。影をつけた領域は、Hsp70B'に対する結論を得ない結
合を表す。動物数の欄におけるN/Aは精製抗体を示す。
【0108】
【表7】 ウサギHsp70B'抗体特異性の要約 相対反応性レベルを、総細胞溶解物10 μgのウェスタンブロッティング分析によ
って評価した。イムノブロットはHsp70B'抗体、CB2、CE、および70B' WPと共にH
sp110、Hsp70A、Hsc70、Grp75、KDEL、DnaK、およびHsp71に対して特異的な抗Hs
p抗体をプローブとして調べた。本研究のために用いたCE抗体は、ウサギ1羽か
らのHsp70B'に対して特異的な血清であった。イムノブロットはECLによって展開
した。抗原特異的バンドの強度は、0=シグナルなし、および3=非常に強いシ
グナル、の相対尺度で採点した。
【0109】 Hsp70B'タンパク質:分布と誘導条件 表5、表6、および表8に見ることができるように、Hsp70B'抗体(NT、CA、C
B、CC、CD、ECB、TCB、CB2、CEおよび70B' WP)は、ストレスを受けたヒト組織
に限ってHsp70B'を検出し、非ストレス細胞または組織では反応性は検出されな
い。
【0110】
【表8】 多様な異なる組織源と異なる種からの異なる細胞溶解物のパネルに対
する抗Hsp70B'「CB」抗体の反応性
【0111】 表3および表4からわかるように、Hsp70B'抗体(NT、CA、CB、CCおよびCD)
は、ストレスを受けたヒト組織に限ってGsp70B7タンパク質を検出し、非ストレ
ス細胞または組織では反応性は検出されない。異なる正常ヒト組織8例、正常ヒ
ト起源に由来する細胞株溶解物試料27例、新生物組織5例、および他の哺乳類種
7例に由来する細胞株溶解物試料を、Hsp70B'タンパク質の発現に関して評価し
た。Hsp70B'タンパク質は、「正常」または「非ストレス」細胞から得た試料48
例において抗Hsp70B'抗体「CB」によって検出されなかった。これらの細胞を上
昇した温度に曝露すると、Hsp70B'タンパク質は、評価した全ての熱ショックヒ
ト細胞株において発現される。これらの結果は、特異的オリゴヌクレオチドプロ
ーブを用いたmRNAレベルでの初期の知見と一致する(Leungら、Biochem. J. 267
:125〜132、1990;Leungら、Genomics 12:74〜79、1992)。これらの試験は、
非ストレス細胞ではいかなるhsp70B' mRNAの存在も検出しなかった。
【0112】 熱処理した後、37℃で0時間、2.5時間、5時間、16時間および24時間回復さ
せた後のHeLa細胞におけるHsp70B'発現の温度閾値を調べた。本研究において、H
sp70B'タンパク質の発現レベルは16時間(+2)の時点で最大であった。したが
って、Hsp70B'タンパク質の有意なレベルが検出された場合、これは、調べた細
胞または個体が、有意なストレス誘発物質に現在または最近曝露されたのであっ
て、かなり以前にストレスの多い状況が存在したことが原因ではなかったことを
意味する。しかし、ストレス反応は、診断プローブとしておそらく有用となる十
分な長さで持続する。ストレス後の細胞におけるHsp70B'タンパク質の持続は、
末梢血白血球を回収する際のHsp70Aタンパク質について記述された結果と類似で
ある(Brattonら、Int. J. Hyperthermia 13(2):157〜168、1997)。これらの
試験者は、Hsp70Aタンパク質が少なくとも48時間持続し、12時間で最高発現に達
することを見出した。
【0113】
【表9】 異なる誘導条件でのヒト細胞株におけるHsc70、Hsp70A、およびHsp70
B'タンパク質の誘導試験 総細胞溶解物20 μgのウェスタンブロッティング分析によって評価した相対
的タンパク質レベル。抗原特異的バンドの強度は、0=シグナルは検出されない
、および3=非常に強いシグナルのように相対尺度上で採点した。 イムノブロットは、以下の抗体を用いて実施した:SPA-815(Hsc70)、SPA-
810(Hsp70AおよびHsp70B')、SPA-812(Hsp70A、Hsp70B')、およびCB(Hsp70B
')。CAおよびCC Hsp70B'エピトープに対するポリクローナル抗体についても、
これらの条件でこれらの細胞株に関する反応性をチェックした。これらの抗体に
ついて測定したHsp70B'タンパク質の相対レベルは、抗CB抗体によるイムノブロ
ットにおいて認められたプロフィールと全ての例において一致する。
【0114】
【表10】 異なる温度で熱ストレスを与えたHeLa細胞におけるヒトHsp70ファ
ミリーメンバーの相対的誘導を示す用量反応曲線 総細胞溶解物20 μgのウェスタンブロッティング分析によって評価した相対
的なタンパク質レベル。抗原特異的バンドの強度は、0=シグナルは検出されな
い、および3=非常に強いシグナルのように相対尺度上で採点した。
【0115】 異なる条件でのHsc70、Hsp70A、およびHsp70B'タンパク質の相対的誘導をHeLa
細胞、ジャーカット細胞、およびA-431ヒト細胞株において評価した(表9およ
び表10)。Hsp70B'タンパク質の誘導は他のHSP70イソ型について認められる誘導
とは異なっていたことがわかる。Hsp70B'タンパク質は非ストレス細胞には存在
せず、細胞ストレスに対して反応した場合に限って誘導された。構成的Hsc70タ
ンパク質の発現は、プロリン類似体であるアゼチジン、重金属CdCl2もしくはZnC
l2、または温度上昇に対する曝露によって影響を受けない。誘導型Hsp70Aストレ
スタンパク質は、他の研究者によってこれまでに見出されているように、非スト
レス細胞において高いレベルの基礎レベルで発現されるように思われる(Turman
ら、Biochemical and Molecular Medicine 60:49〜58、1997)。Hsp70Aタンパ
ク質発現レベルの変化は、このタンパク質発現の基礎レベルが高いために、これ
らの調査では曖昧であることが判明した。ストレス処置の結果としての誘導は、
公表されている知見と一致する。Hsp70A発現が熱ショックによって誘導される程
度は、Hsp70Aの初期レベルと反比例する(Turmanら、Biochemical and Molecula
r Medicine 60:49〜58、1997)。したがって、ヒト細胞では、Hsp70Aの基礎発
現が高ければ、熱ショック後のHSP70のさらなる誘導を妨害する可能性がある。
【0116】 Hsp70B'タンパク質は非ストレス細胞には存在しなかった。40℃までのわずか
な温度上昇では、反応を誘発しなかった。41.5℃の閾値に達すると、3つ全ての
ヒト細胞株(HeLa細胞、ジャーカット細胞、およびA-431細胞)は、Hsp70B'タン
パク質を発現することによって反応した。Hsp70B'発現のこの誘導閾値は、特異
的オリゴヌクレオチドを用いてhsp70B' mRNAレベルを測定したこれまでに記述さ
れた閾値とは異なっている(Leungら、Biochem. J. 267:125〜132、1990)。こ
れらの研究者らは、hsp70B' mRNAが45℃で強く誘導されたが、42℃の処置後では
検出されなかったことを報告した。さらに、彼らは、本明細書において報告した
タンパク質データとは対照的に、CdCl2処置後のhsp70B' mRNAはごく微量である
ことを見出した(表5)。Hsp70B'タンパク質は、いずれもストレスタンパク質
の既知の誘導物質であるプロリン類似体であるアゼチジンと共に重金属CdCl2
よびZnCl2によって誘導されることが示された。ゲノムレベルとタンパク質レベ
ルで測定した誘導閾値の相違は、二つの技術における固有の技術的な差による可
能性がある。hsp70Aおよびhsc70遺伝子の調節を調べるこれまでの研究は、一貫
した結果を生じなかった(Hansenら、Exp. Cell Research 192:587〜596、1991
;Mangurtenら、Cell Stress & Chaperones 2(3):168〜174、1997)。特定の
系およびどのレベルの発現を調べたかによって、hsc70発現は分化を誘導する物
質による処置後に増加または減少されうる。創傷治癒におけるHsp70Aの示差的な
発現の研究において、hsp70A mRNAは、創傷に有意な相関を示さなかったが、良
好に治癒している創傷とHsp70Aタンパク質の発現との間に強い相関を認めること
が判明した(Oberringerら、Biochemical and Biophysical Research Communica
tions 214(3):1009〜1014、1995)。タンパク質反応は持続するのに対し、mR
NAは半減期が非常に短いことが報告されているために、タンパク質を測定するこ
とが好ましいであろう(Brattonら、Int. J. Hyperthemia 13(2):157〜168、
1997)。
【0117】 転写レベルでは、非ストレス条件でhsp70Aタンパク質は、HSF以外の転写因子
によって調節され、したがって、Hsp70Aタンパク質は生理的状態においても検出
される(Hansenら、Exp. Cell Research 192:587〜596、1991)。hsp70B'遺伝
子はHSFおよび熱ショックエレメントとの会合によって独占的に調節され、構成
的に発現されない(Suzukiら、Radiation Research 149:195〜201、1998)。hs
p70B'およびhsp70B遺伝子のプロモーター領域は、それらがHsp70Aの基礎発現に
関与すると考えられているTATAおよびCAATボックスを欠損するという点において
、hsp70A遺伝子とは大きく異なる(Wuら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83(3)
:629〜633、1986;Greeneら、Mol. Cell Biol. 7(10):3646〜55、1987)。
2つのhsp70B DNA相同体は、その5'領域における差のみならず、重要なプロモー
ター配列においてもいくつかの変化を示す。hsp70B'遺伝子は、hsp70B遺伝子に
おいて19個のヌクレオチド残基挿入を有し、それはhsp70B DNA配列の熱ショック
エレメント内に存在することが示されている(Leungら、Genomics 12:74〜79、
1992)。mRNAレベルの上昇は、転写および/または転写後レベルでの調節のため
に、翻訳されたタンパク質レベルの増加に必ずしも結びつかない(Oberringerら
、Biochemical and Biophysical Research Communications 214(3):1009〜10
14、1995)。したがって、免疫化学試験技法において抗Hsp70B'抗体を用いれば
、mRNAレベルを評価するために特異的オリゴヌクレオチドを用いて認められた場
合より感度がよく、より長く持続的なHsp70B'タンパク質レベルの定量的評価が
可能となる。
【0118】 Hsp70B'タンパク質は、このストレスが、熱の上昇、または重金属もしくは毒
性化学物質に対する曝露によって引き起こされるか否かによらず、細胞または生
物に対する有意なストレスの後に限って発現されることが示されている。本発明
のHsp70B'抗体は、これらの自然界に存在する生物マーカーを用いて系に及ぼす
ストレスを評価する独自の機会を提供する。ストレスの性質を知る必要はない。
Hsp70B'生物マーカーのモニタリングは、細胞または生物の全般的「健康」の予
後的指標を提供し、有意な乱れが起こる時期を示す。生物マーカーとして、Hsp
は、毒性に関する感度のよい初期警告を提供して、おそらく問題のより初期のよ
り扱いやすい段階での介入を可能にする。
【0119】 本明細書において言及した全ての出版物および特許出願は、個々の出版物また
は特許出願が特にそして個々に参照として本明細書に組み入れられるのと同じ程
度に参照として本明細書に組み入れられる。前述から、本発明の特定の態様は説
明する目的で本明細書に記載されるが、様々な改変を行ってもよく、それらは本
発明の精神および範囲に含まれることが明らかであると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Hsp70B'標準物質とHSP70相同体の存在下でHsp70B'抗体に関する
置換曲線を示す一連のプロットである。(A)は、CB2置換曲線であり、(B)はC
D置換曲線、そして(C)は、70B' WP置換曲線である。
【図2】 ヒトHsp70B'アミノ酸配列(配列番号:_)の図である。
【手続補正書】
【提出日】平成15年3月12日(2003.3.12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】 本発明はまた、Hsp70B'タンパク質の領域に対応するか、または抗原的に同等
であるペプチドも特徴とする。ペプチドは、以下のアミノ酸配列のように、Hsp7
0B'タンパク質の5個またはそれ以上(例えば、5個、6個、7個、8個、10個
、または12個)の連続したアミノ酸(第2位、第4位、第6位、または第8位の
残基から始まる)で構成されうる: (1) (配列番号:1)(例えば、 (配列番号:2)および (配列番号:3)); (2) (配列番号:4)(例えば、 (配列番号:5;これらのペプチドがキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)
に結合している場合、N末端のシステイン残基を含みうる); (3) (配列番号:6)(例えば、 (配列番号:7)); (4) (配列番号:8;Hsp70B'のN末端に存在し、KLHに結合している場合には、C末端
システイン残基を含む(すなわち、 (配列番号:9)); (5) (配列番号:10)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】詳細な説明 本発明は、Hsp70B'タンパク質に存在する配列であるか、または自然界に存在
するペプチドの抗原性同等性を保持するような限定された方法でHsp70B'タンパ
ク質の配列とは異なる配列である、免疫原性ペプチドを特徴とする。例えば、一
つまたはそれ以上のアミノ酸置換(例えば、一つまたはそれ以上の保存的アミノ
酸置換)を含むHsp70B'タンパク質またはペプチドは、自然界に存在するHsp70B'
タンパク質またはそのペプチド断片と抗原性が同等となりうる。動物に投与した
場合に、Hsp70B'タンパク質に特異的に結合する抗体の産生を誘発するタンパク
質またはペプチドには以下が含まれる: (1) (配列番号:1)(例えば、 (配列番号:2)および (配列番号:3)); (2) (配列番号:4)(例えば、 (配列番号:5;これらのペプチドがキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)
に結合している場合、N末端のシステイン残基を含みうる); (3) (配列番号:6)(例えば、 (配列番号:7); (4) (配列番号:8;Hsp70B'のN末端に存在し、KLHに結合している場合には、C末端
システイン残基を含む(すなわち (配列番号:9)); (5) (配列番号:10);およびHsp70B'タンパク質(配列番号:11)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】 方法: Hsp70B'抗体は以下のように産生した。Hsp70B'抗体はウサギ、ヤギ、およびマ
ウスにおいて合成ペプチドまたは組換えHsp70B'タンパク質のいずれかを免疫原
として産生した。8個のペプチドをヒトHsp70B'アミノ酸配列から選択した。Hsp
70B'ペプチドの一つであるNTペプチド (配列番号:9)は、N末端断片に対応する。他の7個の断片はHsp70B'タンパク
質のC末端半分に由来し、これにはCCペプチド (配列番号:7)、CAペプチド (配列番号:5)、CDペプチド (配列番号:4)、CBペプチド (配列番号:2)、ECBペプチド (配列番号:1)、TCBペプチド (配列番号:3)、およびCEペプチド (配列番号:10)が含まれた。CBペプチドはまた、別の機会に再度合成して、こ
れをCB2と命名した。ペプチドは全て、KLHに化学的にカップリングさせ、動物を
ペプチド接合体によって免疫した。組換えヒトHsp70B'タンパク質を〜90%まで
均一となるように精製し、これも免疫原として用いた。一次免疫は、フロイント
の完全アジュバントと共に行い、その後の追加免疫はフロイントの不完全アジュ
バントと共に行った。動物は免疫して月1回追加免疫した。血清を様々な時点で
回収して、免疫するタンパク質またはペプチドに対する抗体の応答は、間接的な
酵素イムノアッセイ法(EIA)によって評価した。力価は、試験試料における吸
光度が0.2吸光度単位に等しい希釈倍率として確立した。場合によっては、各組
の動物からの高力価抗血清をプールして、抗原特異的抗体をペプチド免疫アフィ
ニティカラム上で精製した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】 組換えヒトHsp70B'のクローニングと発現 ヒトHsp70B'を熱ショックHeLa細胞からクローニングして、大腸菌に組換えし
て発現させた。簡単に説明すると、HeLa細胞2×107個に44℃で2時間熱ショッ
クを与えた後、直ちに回収した。mRNA単離キット(Boehringer Mannheim社)に
よって熱ショックHeLa細胞からポリ(A+)RNAを単離して、これを用いてRT-PCR
によってヒトHsp70B' cDNAを合成した。RT-PCR反応混合物51 μlは、10 mM dNTP
(Perkin Elmer)1μl、100 mM DTT(Boehringer Mannheim社)2.5 μl、40単
位/μl RNA分解酵素阻害剤(Boehringer Mannheim社)0.25 μl、7.5 mM MgCl2
およびDMSO(Boehringer Mannheim社)を含む5×RT-PCR緩衝液10 μl、エクス
パンドハイフィデルティ(Expand High Fidelity)酵素混合物とAMV逆転写酵素
とを含む酵素混合液(Boehringer Mannheim社)1μl、熱ショックHeLa細胞から
のポリ(A+)RNA 0.87 μg、ならびにプライマー (配列番号:12)およびプライマー (配列番号:13)各1μgで構成された。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】 組換えHis6-ヒトHsp70B(断片)のクローニングおよび発現 ヒトHsp70Bのアミノ末端領域の一部をコードする741 bpの断片を、ヒトHsp70B
ストレス遺伝子プローブ(StressGen Biotechnologies)であるSPD-925から得た
。SPD-925は3.15 kbの5'非転写Hsp70B遺伝子配列、119 bpのRNAリーダー領域お
よび741 bpのタンパク質コード領域を含むプラスミドとして供給される。タンパ
ク質のコード領域は、HindIIIで消化してSPD-295から切除することができるが、
制限部位の改変は、PCRによって導入した。PCR反応混合物50 μlは、1.25 mM dN
TP(New England BioLabs社)8μl、10×エクスパンドハイフィデルティPCR緩
衝液(Boehringer Mannheim社)5μl、3.5単位/μlエクスパンドハイフィデル
ティDNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim社)0.5μl、SPD-925 0.05 μg、お
よびプライマー1 (配列番号:12)およびプライマー2 (配列番号:14) の各1μgから構成された。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 Hsp70B'標準物質とHSP70相同体の存在下でHsp70B'抗体に関する
置換曲線を示す一連のプロットである。(A)は、CB2置換曲線であり、(B)はC
D置換曲線、そして(C)は、70B' WP置換曲線である。
【図2】 ヒトHsp70B'アミノ酸配列(配列番号:11)の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/42 C07K 19/00 19/00 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/08 5/10 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ロドリゲス ヘンリー カナダ国 ブリティッシュ コロンビア州 ノース サーニッシュ クロマーティー ロード 642 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA44 BA80 CA04 DA02 DA05 DA06 DA11 EA04 GA04 GA05 GA11 HA08 HA09 4B064 AG01 AG27 CA10 CA20 CA50 CC24 CE12 DA13 4B065 AA01X AA26X AA57X AA87X AA93Y AB01 AB02 AC01 BA01 CA23 CA24 CA46 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA09 BA54 CA40 DA75 DA76 EA50 FA10 FA20 FA72 FA73 FA74

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のアミノ酸配列: (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);または (配列番号:_)の一つにおける5個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基か
    らなるペプチド。
  2. 【請求項2】 8個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基からなる、請求
    項1記載のペプチド。
  3. 【請求項3】 10個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基からなる、請求
    項1記載のペプチド。
  4. 【請求項4】 5個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基が、アミノ酸配
    列の一つにおける第2位、第4位、第6位、または第8位の残基から始まる、請
    求項1記載のペプチド。
  5. 【請求項5】 ペプチドの免疫原性を増強する担体、および選択的にペプチ
    ドと担体との間のリンカーをさらに含む、請求項1記載のペプチド。
  6. 【請求項6】 担体がキーホールリンペットヘモシアニンまたは卵白アルブ
    ミンであって、リンカーが存在する場合にはリンカーがアミノ酸残基を含む、請
    求項5記載のペプチド。
  7. 【請求項7】 リンカーがシステイン残基である、請求項6記載のペプチド
  8. 【請求項8】 アミノ酸配列 (配列番号:_)からなる、請求項1記載のペプチド。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のペプチドをコードする核酸分子。
  10. 【請求項10】 発現ベクターの配列をさらに含む、請求項9記載の核酸分
    子。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の核酸分子を含む細胞。
  12. 【請求項12】 以下のアミノ酸配列: (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);または (配列番号:_)、 (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);および (配列番号:_)の一つからなる、請求項1記載のペプチド。
  13. 【請求項13】 ペプチドの免疫原性を増強する担体、および選択的にペプ
    チドと担体との間のリンカーをさらに含む、請求項12記載のペプチド。
  14. 【請求項14】 担体がキーホールリンペットヘモシアニンまたは卵白アル
    ブミンであって、リンカーが存在する場合にはリンカーがアミノ酸残基を含む、
    請求項13記載のペプチド。
  15. 【請求項15】 リンカーがシステイン残基である、請求項14記載のペプチ
    ド。
  16. 【請求項16】 請求項12記載のペプチドをコードする核酸分子。
  17. 【請求項17】 発現ベクターの配列をさらに含む、請求項16記載の核酸分
    子。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の核酸分子を含む細胞。
  19. 【請求項19】 Hsp70B'に特異的に結合する抗体。
  20. 【請求項20】 モノクローナル抗体である、請求項19記載の抗体。
  21. 【請求項21】 1より大きい相対力価指数を有する、請求項19記載の抗体
  22. 【請求項22】 以下のアミノ酸配列: (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);または (配列番号:_)の一つにおける5個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基か
    らなるHsp70B'ペプチドに特異的に結合する抗体。
  23. 【請求項23】 モノクローナル抗体である、請求項22記載の抗体。
  24. 【請求項24】 以下のアミノ酸配列: (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);または (配列番号:_)、 (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);および (配列番号:_)の一つからなるペプチドに特異的に結合する抗体。
  25. 【請求項25】 モノクローナル抗体である、請求項24記載の抗体。
  26. 【請求項26】 以下のアミノ酸配列: (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);または (配列番号:_)の一つにおける5個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基か
    らなるHsp70B'ペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を含む、Hsp70B'
    の発現を分析するためのキット。
  27. 【請求項27】 請求項26記載のモノクローナル抗体に特異的に結合するHs
    p70B'タンパク質、Hsp70B'ペプチド、または二次抗体をさらに含む、請求項26記
    載のキット。
  28. 【請求項28】 以下のアミノ酸配列: (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);または (配列番号:_)の一つにおける5個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基か
    らなるペプチドを動物に投与する段階を含む、Hsp70B'に特異的に結合する抗体
    を得る方法。
  29. 【請求項29】 ペプチドが以下のアミノ酸配列: (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);または (配列番号:_)、 (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_); (配列番号:_);および (配列番号:_)の一つからなる、請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 ペプチドが、ペプチドの免疫原性を増強する担体、および
    選択的にペプチドと担体との間のリンカーをさらに含む、請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項28記載の方法。
  32. 【請求項32】 細胞中のタンパク質または細胞から抽出したタンパク質を
    Hsp70B'に特異的に結合する抗体に曝露するイムノアッセイ法を行う段階を含む
    、細胞がストレス性の環境またはストレス性の物質に曝露されているか否かを決
    定する方法。
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