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JP2003329860A - 光ファイバ素線 - Google Patents

光ファイバ素線

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Publication number
JP2003329860A
JP2003329860A JP2002133689A JP2002133689A JP2003329860A JP 2003329860 A JP2003329860 A JP 2003329860A JP 2002133689 A JP2002133689 A JP 2002133689A JP 2002133689 A JP2002133689 A JP 2002133689A JP 2003329860 A JP2003329860 A JP 2003329860A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
coating layer
primary coating
main body
plasticizer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002133689A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinori Gamo
嘉則 蒲生
Minoru Saito
稔 斉藤
Nobunao Ishii
伸尚 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2002133689A priority Critical patent/JP2003329860A/ja
Publication of JP2003329860A publication Critical patent/JP2003329860A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】光ファイバ本体を損傷することなく被覆層を部
分的に除去することが可能な光ファイバ素線を提供する
こと。 【解決手段】本発明の光ファイバグレーティング形成用
の光ファイバ素線1は、光ファイバ本体2と、前記光フ
ァイバ本体2を被覆し且つ樹脂硬化物と可塑剤とを含有
した一次被覆層3と、前記一次被覆層3を介して前記光
ファイバ本体2を被覆するとともに樹脂硬化物を含有し
且つ前記一次被覆層3よりも高いヤング率を有する二次
被覆層4とを具備したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ素線に
係り、特には、光ファイバグレーティングが形成される
或いは光ファイバグレーティングが形成された光ファイ
バ素線に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の光ファイバ通信技術の進展に伴
い、光通信ネットワークの複雑化や信号波長の多重化な
どが進行し、光通信システムの構成は益々高度化してい
る。そのような状況下、光回路素子の重要性は高まる一
方である。
【0003】光回路素子の中でもファイバ型素子は、小
型で挿入損失が小さく光ファイバとの接続が容易である
などの利点を有している。光ファイバグレーティング
は、ファイバ型素子の1つであり、光ファイバ内を進行
する光のうち特定波長の光成分を反射するものである。
【0004】光ファイバグレーティングは、光ファイバ
素線のコア或いはコア及びクラッドに周期的な屈折率分
布を形成することにより得られる。この屈折率分布,す
なわちグレーティング,は、光ファイバ素線のコア或い
はコア及びクラッドにその側方から上記屈折率分布に対
応したパターンで紫外線を照射することにより形成して
いる。
【0005】ところで、一般に、光ファイバ素線の製造
では、強度劣化を防止する目的で、紡糸直後の光ファイ
バ裸線(或いは、光ファイバ本体)に対して速やかに被
覆を施している。そのような被覆処理を施してなる光フ
ァイバ素線としては、光ファイバ本体をシリコン/ナイ
ロンで被覆した0.9mm径の素線と、紫外線硬化型の
ウレタンアクリレート樹脂で被覆した0.25mm径の
素線とが代表的であり、最近では製造性や高密度化の観
点から後者が主流となっている。
【0006】光ファイバ本体を紫外線硬化型樹脂で被覆
してなる0.25mm径の光ファイバ素線では、その被
覆層を一次被覆層と二次被覆層との積層体で構成してい
る。一次被覆層は外力が光ファイバ本体に及ぶのを抑制
するために設けており、その材料としてはヤング率の低
いソフト樹脂を使用している。他方、二次被覆層は光フ
ァイバ本体や一次被覆層を損傷から保護するために設け
ており、その材料としてはヤング率が高いハード樹脂を
使用している。
【0007】これら一次及び二次被覆層は、光ファイバ
グレーティングの形成に使用するレーザビームに対する
透過率が低く、また、レーザビーム照射により容易に劣
化してしまう。そのため、それら被覆層上からレーザビ
ームを照射してグレーティングを形成するにはレーザの
出力レベルを被覆層の劣化が生じない程度にまで低くす
る必要があるが、この場合、レーザの出力レベルの低下
に応じて露光時間を長くする必要があり、生産性の点で
現実的ではない。したがって、グレーティングを形成す
る際には、光ファイバ素線の中間部で一次及び二次被覆
層を除去し、光ファイバ裸線を部分的に露出させる必要
がある。
【0008】しかしながら、紫外線硬化型樹脂を用いて
形成した被覆層を光ファイバ本体から除去することは容
易ではない。すなわち、被覆層は架橋性高分子で構成さ
れているため、例えば、有機溶剤中への浸漬により被覆
層を膨潤させて除去しようとしても、有機溶剤では膨潤
する程度で流動性を持たせるには至らない。そのため、
被覆層の除去に機械的な手法を採用した場合には、被覆
層を除去する際に光ファイバ本体の表面を傷つけ易い。
光ファイバ本体の表面が傷つくと、その機械的強度が低
下し、その結果、信頼性が低下してしまう。
【0009】そのような光ファイバ本体表面の損傷を防
止する方法として、特開平6−144880号公報に
は、有機溶剤で膨潤させた2つの面の間に光ファイバを
挟んでその樹脂被覆層を膨潤させるとともに、光ファイ
バを走行させることにより樹脂被覆層を剥離する方法が
記載されている。この方法は、被覆の除去長が長く且つ
除去したのちに速やかに金属等をコーティングする場合
には適しているが、除去長が短く且つ被覆部分の中間部
を除去する場合への適用は難しい。
【0010】また、特開平3−186806号公報に
は、加熱した硫酸中に光ファイバ素線を浸漬して被覆層
を部分的に除去する方法が記載されている。この方法で
は、高温の濃硫酸を使用するため危険である。また、こ
の方法では、化学的手法を利用しているため光ファイバ
本体の表面を機械的に損傷するおそれはないが、被覆層
の除去端部で樹脂が変質し、光ファイバ本体を保護する
ためのリコートを施す際に不具合が生じる等の問題があ
る。
【0011】このように、被覆層の除去には様々な方法
を利用可能であるが、上述した方法の何れも必ずしも満
足できるものではない。そこで、現在では、以下の方法
により被覆層の除去を行っている。すなわち、まず、光
ファイバ素線に対し、一次被覆層にまで至る一対のキズ
を周方向に設ける。次いで、被覆層のそれらキズに挟ま
れた領域に対し、上記一対のキズの一方から他方に向け
て延在した帯状の除去部を設け、その除去部で光ファイ
バ本体を露出させる。その後、光ファイバ素線のキズや
除去部を設けた部分をアセトン等の有機溶剤中に浸漬す
る。この有機溶剤中への浸漬により、被覆層が膨潤する
のに加え、有機溶剤が光ファイバ本体と一次被覆層との
界面に侵入する。その結果、被覆層はキズの位置で切
れ、被覆層の上記一対のキズの間に位置した部分の殆ど
は光ファイバ本体から脱落する。
【0012】この方法では、被覆層が上記一対のキズの
間に位置した部分で残った場合、その残留部はピンセッ
トなどで除去する。しかしながら、ピンセットで被覆層
を除去すると、光ファイバ本体の破断強度が低下するこ
とがある。これは、光ファイバ本体の被覆層と密着して
いる部分に応力が集中し、そこに微細なキズが発生する
ためであると推測される。また、アセトンへの浸漬を利
用した上記方法では、光ファイバ本体と被覆層との界面
の密着力が高い場合、浸漬時間を長く取らなければなら
い。そのため、高い作業効率を実現することが難しい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光フ
ァイバ本体を損傷することなく被覆層を部分的に除去す
ることが可能な光ファイバ素線を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、光ファイバ本体と、前記光ファイバ本体
を被覆し且つ樹脂硬化物と可塑剤とを含有した一次被覆
層と、前記一次被覆層を介して前記光ファイバ本体を被
覆するとともに樹脂硬化物を含有し且つ前記一次被覆層
よりも高いヤング率を有する二次被覆層とを具備したこ
とを特徴とする光ファイバグレーティング形成用の光フ
ァイバ素線を提供する。
【0015】また、本発明は、光ファイバ本体と、前記
光ファイバ本体を被覆し且つ樹脂硬化物と可塑剤とを含
有した一次被覆層と、前記一次被覆層を介して前記光フ
ァイバ本体を被覆するとともに樹脂硬化物を含有し且つ
前記一次被覆層よりも高いヤング率を有する二次被覆層
とを具備し、前記光ファイバ本体は前記一次被覆層と前
記二次被覆層との積層体から部分的に露出し、その露出
部に光ファイバグレーティングが形成されていることを
特徴とする光ファイバ素線を提供する。
【0016】本発明において、一次被覆層は、可塑剤と
して、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びアジピン
酸ジイソデシルの少なくとも一方を含有していてもよ
い。
【0017】本発明に係る光ファイバ素線は、光ファイ
バ本体の10mm長を5mm/minの引張速度で引き
抜くプルアウト試験に供した場合に1N以下のプルアウ
ト力を示すものであってもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発
明の一実施形態に係る光ファイバ素線を概略的に示す断
面図である。図1に示す光ファイバ素線1は、光ファイ
バ本体2を備えている。この光ファイバ本体2は、一次
被覆層3及び二次被覆層4で順次被覆されている。
【0019】光ファイバ本体2は、例えば、高屈折率の
コアとそれを被覆した低屈折率のクラッドとで構成され
たステップインデクス型ファイバである。或いは、光フ
ァイバ本体2は、屈折率がファイバの断面内でその半径
rの関数として緩やかに変化しているグレーデッドイン
デックス型ファイバであってもよい。光ファイバ本体2
は、例えば、ガラスで構成することができる。
【0020】一次被覆層3は、外力が光ファイバ本体2
に及ぶのを抑制するために設けている。一次被覆層3
は、紫外線硬化型樹脂のような光硬化型樹脂を用いて形
成することができ、例えば1MPa乃至10MPaのヤ
ング率を有し得る。
【0021】二次被覆層4は、光ファイバ本体2や一次
被覆層3を損傷から保護するために設けている。二次被
覆層4は、紫外線硬化型樹脂のような光硬化型樹脂を用
いて形成することができる。二次被覆層4のヤング率
は、一次被覆層3のヤング率よりも高く、例えば100
MPa乃至1000MPa程度である。
【0022】図2(a)乃至(e)は、図1に示す光フ
ァイバ素線1に光ファイバグレーティングを形成する方
法を概略的に示す図である。
【0023】図2(a)乃至(e)に示す方法では、ま
ず、図2(a)に示す光ファイバ素線1を準備する。な
お、図2(a)では、図1の光ファイバ素線1を側方か
ら描いている。
【0024】次に、図2(b)に示すように、二次被覆
層4に対し、一次被覆層3にまで至る一対のキズ5a,
5bを周方向に設ける。これらキズ5a,5bは、光フ
ァイバ素線1まで達しないように設ける。
【0025】次いで、図2(c)に示すように、被覆層
3,4のキズ5a,5bに挟まれた領域に対し、キズ5
a,5b間で光ファイバ素線1の長手方向に延在した帯
状の除去部6を設け、その除去部6で光ファイバ本体2
を露出させる。
【0026】さらに、光ファイバ素線1のキズ5a,5
bや除去部6を設けた部分をアセトン等の有機溶剤中に
浸漬する。この有機溶剤中への浸漬により、一次被覆層
3が膨潤するのに加え、有機溶剤が光ファイバ本体2と
一次被覆層3との界面に侵入する。その結果、一次被覆
層3はキズ5a,5bの位置で切れ、被覆層3,4の上
記一対のキズ5a,5b間に位置した部分は光ファイバ
本体2から脱落する。すなわち、図2(d)に示すよう
に、光ファイバ素線1の中間部で光ファイバ本体2が露
出する。
【0027】その後、光ファイバ本体2の露出部に対
し、所定のパターンで光を照射する。これにより、図2
(e)に示すように、光ファイバ本体2に、光ファイバ
グレーティング10として、屈折率が互いに異なる領域
2a,2bを交互に配列してなる縞状の屈折率分布を形
成する。
【0028】なお、このグレーティング10を形成する
のに利用可能な光としては、例えば、アルゴンレーザや
炭酸ガスレーザから出力される波長240nm乃至27
0nmの紫外線を挙げることができる。また、グレーテ
ィング10を形成するためのパターン露光には、二光束
干渉法やフェーズマスク法を利用することができる。さ
らに、このグレーティング10は、領域2a,2bを一
定の周期で配列させたユニフォームグレーティングであ
ってもよく、或いは、領域2a,2bの周期を光ファイ
バ素線1の長手方向に変化させたチャープトグレーティ
ングであってもよい。
【0029】さて、本発明者らは、光ファイバ素線1の
中間部における一次被覆層3及び二次被覆層4の除去容
易性や除去後の光ファイバ本体2の破断強度を改善すべ
く鋭意研究を行った。その結果、上記の除去容易性や破
断強度は、光ファイバ本体2と一次被覆層3との間の密
着力に左右されること、具体的には、その密着力が小さ
いほど除去容易性に優れ且つ破断強度が低下する割合が
小さくなることを見出した。また、本発明者らは、光フ
ァイバ本体2と一次被覆層3との間の密着力は、一次被
覆層3の組成と深く関係しており、特に、一次被覆層3
を形成するのに使用する光硬化型樹脂に可塑剤をより多
く添加するほど小さくなることを見出した。
【0030】そこで、本実施形態では、可塑剤を添加し
た光硬化型樹脂を使用して一次被覆層3を形成して、光
ファイバ本体2と一次被覆層3との密着力を低下させ
る。これにより、アセトンなどの溶剤中への浸漬後に被
覆層3,4の除去すべき部分が残留していたとしても、
その残留部をピンセットで引き取る際に光ファイバ本体
1に加わる力が小さくなり、被覆除去後の破断強度低下
を抑制することが可能となる。なお、そのような材料を
用いて形成した一次被覆層3は、主として樹脂硬化物で
構成されるが、当然、可塑剤も含有している。
【0031】上記の通り、本実施形態では、光ファイバ
本体2と一次被覆層3との間の密着力を適宜制御する。
この密着力は、例えば、以下に説明するピール力試験や
プルアウト試験などを利用して測定或いは推定すること
ができる。
【0032】ピール力試験は、光ファイバ素線1の光フ
ァイバ本体2と一次被覆層3との間の密着力を推定する
方法である。この方法では、まず、光ファイバ本体2の
表面と同じ組成の表面を有する基板,例えば石英基板,
上に、一次被覆層3と同じ組成の薄膜を形成する。次
に、この薄膜を基板から一定速度で剥離し、その剥離に
要する力(ピール力)を測定する。ピール力は上記の密
着力と密接に関係しており、したがって、このピール力
試験を実施することにより上記の密着力を推定すること
ができる。
【0033】他方、プルアウト試験では、光ファイバ素
線1から所定の長さの光ファイバ本体2を一定速度で引
き抜き、それに要する力を測定する。光ファイバ本体2
を引き抜く際、その初期では、光ファイバ本体2は一次
被覆層3との密着状態を維持したまま変位し、引張力が
閾値を超えると、光ファイバ本体2は一次被覆層3から
剥離する。この閾値は上記密着力の指標であり、ここで
はプルアウト力と呼ぶこととする。
【0034】従来の光ファイバ素線は、光ファイバ素線
から10mm長の光ファイバ本体を5mm/minの引
張速度で引き抜くプルアウト試験に供した場合、7N乃
至16Nのプルアウト力を示す。これに対し、本実施形
態に係る光ファイバ素線1は、可塑剤を添加した光硬化
型樹脂を使用して一次被覆層3を形成しているため、同
様のプルアウト試験に供した場合に1N以下のプルアウ
ト力を示し得る。
【0035】本実施形態に係る光ファイバ素線1は、上
記条件下でプルアウト試験を行った場合に、1N以下の
プルアウト力を示すことが好ましく、0.6N以下のプ
ルアウト力を示すことがより好ましい。この場合、光フ
ァイバ素線1の中間部で一次被覆層3及び二次被覆層4
を容易に除去することができる。また、本実施形態に係
る光ファイバ素線1は、上記条件下でプルアウト試験を
行った場合に、0.2N以上のプルアウト力を示すこと
がより好ましい。この場合、光ファイバ本体2と一次被
覆層3との間の剥離に起因して伝送特性に問題を生じる
おそれが低い。
【0036】本実施形態において、一次被覆層3を形成
するのに使用可能な材料としては、例えば、エポキシア
クリレート系やウレタンアクリレート系などのように紫
外線重合性二重結合を有するオリゴマー及び/またはモ
ノマーと可塑剤とを含有した組成物を挙げることができ
る。この可塑剤としては、例えば、フタル酸ジウンデシ
ル、トリメリット酸トリオクチル、フタル酸ジイソノニ
ル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、
ジプロピレングリコールジペンゾエート、ステアリン酸
メチル、リン酸トリオクチル、エポキシ化大豆油などを
使用することができる。
【0037】光ファイバ素線の伝送損失は光ファイバ本
体に加わる外力に対して敏感である。一次被覆層は、本
来、曲げ等による外力を緩衝する役目を果たすべきであ
るが、低温下では柔軟性を失って外力を緩衝する役目を
果たさなくなる。その結果、外力は光ファイバ本体にま
で伝わり、伝送損失が大きくなる。これに対し、本実施
形態に係る光ファイバ素線1では、一次被覆層3に可塑
剤を含有させるため、柔軟性,特には低温下での柔軟
性,を高めることができる。そのため、低温下での伝送
特性を向上させることができる。
【0038】一次被覆層3の柔軟性を高める効果は使用
する可塑剤の種類に応じて異なり、一般的に、分子中に
フェニル基を含んだ可塑剤や、アルキル鎖長が短い可塑
剤や、アルキル鎖の分岐が多い可塑剤は低温での柔軟性
向上の効果は低い傾向にある。したがって、可塑剤とし
ては、分子内にフェニル基を含んでいないアジピン酸や
フマル酸やマレイン酸のアルコールエステル類であっ
て、アルキル基の鎖長が長く且つ分岐が少ないものを使
用することが望ましい。そのような可塑剤としては、例
えば、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルやアジピン酸
ジイソデシルを挙げることができる。
【0039】本実施形態において、一次被覆層3は、樹
脂硬化物及び可塑剤に加え、溶剤や添加物をさらに含有
することができる。但し、一次被覆層3に対し、それに
含まれる樹脂硬化物と可塑剤との総量は、60重量%以
上とすることが好ましく、80重量%乃至98重量%と
することがより好ましい。
【0040】また、本実施形態において、一次被覆層3
に対する可塑剤の濃度は、10重量%乃至35重量%と
することが好ましい。通常、可塑剤の濃度が10重量%
より低いと、光ファイバ本体2と一次被覆層3との間の
密着力を低下させる効果はあまり期待できず、アセトン
浸漬時間短縮の効果も小さい。可塑剤の濃度が35重量
%よりも高くなると、上記密着力が低下してアセトン浸
漬時間は短縮できるものの、光ファイバ本体2と一次被
覆層3とがそれらの界面で剥離し易くなることがある。
また、この場合、一次被覆層3のヤング率が0.5MP
a未満となり、光ファイバ素線1の機械特性が低下する
ことがある。
【0041】一次被覆層3は、例えば、以下の方法によ
り形成することができる。まず、オリゴマーやモノマー
などの重合性成分と可塑剤とを適当量配合し、必要に応
じて、光開始剤、重合抑制剤、老化防止剤等をさらに適
宜配合して一次被覆用組成物を調製する。次いで、この
一次被覆用組成物を室温乃至80℃の温度に加熱してそ
の粘度を調整し、その状態に維持した組成物中に光ファ
イバ本体2を通過させる。これにより、光ファイバ本体
2の表面に厚さ20μm乃至40μmの塗膜を形成す
る。その後、この塗膜に放射線を照射して硬化させ、さ
らに、二次被覆層4及び必要に応じてその上に着色層を
形成する。これにより、光ファイバ素線1を得る。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1に示す光ファイバグレーティング形成用の光ファイバ
素線1を以下の方法により製造した。
【0043】まず、直径が125μmとなるように光フ
ァイバ本体2を溶融紡糸した。次いで、紡糸直後の光フ
ァイバ本体2を一次被覆用組成物中に通過させて表面に
塗膜を形成し、続いて、この塗膜に放射線を照射して硬
化させることにより、一次被覆層3を形成した。なお、
一次被覆層3は、光ファイバ本体2と一次被覆層3との
複合体の直径が195μmとなるように形成した。
【0044】その後、この複合体を二次被覆用組成物中
に通過させて表面に塗膜を形成し、続いて、この塗膜に
放射線を照射して硬化させることにより、二次被覆層4
を形成した。なお、二次被覆層4は、光ファイバ本体2
と一次被覆層3と二次被覆層4の複合体の直径が245
μmとなるように及びそのヤング率が700MPaとな
るように形成した。
【0045】以上のようにして、光ファイバグレーティ
ング形成用のシングルモード光ファイバ素線1を得た。
なお、ここでは、上記の方法により、使用した一次被覆
用組成物が互いに異なる複数種の光ファイバ素線1を作
製した。これら光ファイバ素線1をサンプル[1]乃至
[9]とする。また、これらサンプル[1]乃至[9]
に使用した一次被覆用組成物の組成と一次被覆層3のヤ
ング率とを以下の表に示す(表中、オリゴマーA,Bは
互いに種類が異なるウレタンアクリレート系樹脂を示し
ている)。
【0046】
【表1】
【0047】次に、これらサンプル[1]乃至[9]に
ついて、プルアウト試験を行った。このプルアウト試験
に際しては、光ファイバ本体の引抜長を10mm、引張
速度を5mm/minとし、サンプル[1]乃至[9]
のそれぞれについて20回の測定を行った。この結果も
上記表に併せて示す。
【0048】また、これらサンプル[1]乃至[9]に
対し、図2(a)乃至(d)に示す方法により被覆層
3,4を部分的に除去した。具体的には、図2(b)に
示すキズ5a,5bは、市販のファイバストリッパ(K
LEN TOOLS Inc.製のMicro−Stri
p:刃の内径は152μm)を用いて形成した。図2
(c)に示すようにキズ5a,5b間に除去部6を形成
したのち、キズ5a,5bや除去部6を形成した部分を
アセトン中に浸漬した。被覆層3,4のキズ5a,5b
間に位置した部分が剥離したことを目視により確認し、
その時点でアセトン中への浸漬を終了した。その際、浸
漬開始から剥離までの時間を浸漬時間として記録した。
以上のようにして、図2(d)に示すように、光ファイ
バ本体2の中間部を露出させた。なお、アセトン中への
浸漬によりキズ5a,5bの位置で被覆層3が切れなか
ったものについては、被覆層3,4のキズ5a,5b間
に位置した部分をピンセットで摘んで除去した。
【0049】また、図2(a)に示す構造について、光
ファイバ本体2と一次被覆層3との界面における剥離の
有無及び低温での伝送損失を調べた。これら結果と上記
の浸漬時間とを上記表に併せて示す。
【0050】さらに、上記の方法により図2(d)に示
す構造としたサンプル[1]乃至[9]のそれぞれにつ
いて、引張速度50mm/minの条件で光ファイバ破
断強度測定を行った。また、図2(b)乃至(d)に示
す処理を施す前のサンプルについても同条件で光ファイ
バ破断強度測定を行った。なお、この破断強度測定は、
それぞれのサンプルについて20回づつ行った。図3
に、その結果を示す。
【0051】図3は、本発明の実施例に係る光ファイバ
素線1の破断強度を示すグラフである。図中、横軸は光
ファイバ素線1に加えた張力を示し、縦軸はその張力の
もとで破断した割合を示している。また、図中、「処理
前」は図2(b)乃至(d)に示す処理を施す前のサン
プルについて得られたデータを示し、「サンプル
[1]」乃至「サンプル[9]」は図2(d)に示す構
造としたサンプル[1]乃至[9]について得られたデ
ータを示している。
【0052】図3のデータと上記表との比較から明らか
なように、図2(b)乃至(d)に示す処理を施した光
ファイバ素線1の破断強度とプルアウト力とは極めて高
い相関を有している。したがって、プルアウト力が所定
値以下となるように一次被覆層3を形成することによ
り、図2(b)乃至(d)に示す処理に伴う破断強度の
低下を抑制することができる。
【0053】また、図3に示すように、サンプル[1]
乃至[4]及び[7]乃至[9]では、サンプル[5]
及び[6]に比べ、図2(b)乃至(d)に示す処理に
伴う破断強度の低下が抑制されている。この結果は、一
次被覆用組成物への可塑剤の添加が図2(b)乃至
(d)に示す処理に伴う破断強度の低下を抑制するうえ
で有効であることを示している。
【0054】さらに、図3に示すように、サンプル
[1]乃至[4],[8]及び[9]では、サンプル
[5]乃至[7]に比べ、図2(b)乃至(d)に示す
処理に伴う破断強度の低下が著しく抑制されている。こ
の結果は、一次被覆用組成物への可塑剤の添加量が少な
いと、上記の破断強度の低下を抑制する効果が小さいこ
とを示している。
【0055】また、上記表から明らかなように、一次被
覆用組成物への可塑剤の添加量が多いサンプル[9]で
は、プルアウト力が極めて小さく、光ファイバ本体2と
一次被覆層3との界面での剥離を生じている。加えて、
光ファイバ素線1の機械特性の観点からは一次被覆層3
のヤング率は0.5MPa以上であることが望まれる
が、サンプル[9]ではヤング率が0.5MPa未満と
小さな値となっている。以上から、プルアウト力が所定
値以上となるように一次被覆層3を形成することにより
或いは可塑剤の添加量を所定値以下とすることにより、
光ファイバ本体2と一次被覆層3との界面での剥離を防
止することや、高い機械特性を実現することが可能とな
ることが分かる。
【0056】また、上記表から明らかなように、サンプ
ル[1]乃至[4]及び[7]乃至[9]では、サンプ
ル[5]及び[6]に比べて浸漬時間が短い。特に、サ
ンプル[1]乃至[4],[8]及び[9]では、サン
プル[5]乃至[7]に比べて浸漬時間が著しく短い。
この結果は、一次被覆用組成物への可塑剤の添加により
浸漬時間を短縮できること、及び、一次被覆用組成物に
添加する可塑剤の添加量を所定値以上とすることにより
浸漬時間を著しく短縮可能であることを示している。
【0057】さらに、上記表から明らかなように、サン
プル[1]乃至[4]では、サンプル[5]乃至[9]
に比べ、低温での伝送損失が抑制されている。サンプル
[5]乃至[7]で低温での伝送損失が大きいのは、サ
ンプル[5]乃至[7]では一次被覆用組成物中に可塑
剤を添加していないか或いはその添加量が少なかったた
め、低温下での一次被覆層3の柔軟性が低いことに起因
していると推定される。また、サンプル[1]乃至
[4]ではサンプル[8]に比べて低温での伝送損失が
抑制されているのは、アジピン酸ジイソデシルやアジピ
ン酸ジ−2−エチルヘキシルはフタル酸ジ−2−エチル
ヘキシルに比べて低温下での一次被覆層3の柔軟性を維
持する効果が高いためである。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、一次
被覆層に可塑剤を含有させて光ファイバ本体と一次被覆
層との密着力を低下させるため、光ファイバ素線の中間
部で一次被覆層及び二次被覆層を除去することに伴う破
断強度の低下を抑制することができる。すなわち、本発
明によると、光ファイバ本体を損傷することなく被覆層
を部分的に除去することが可能な光ファイバ素線が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ファイバ素線を概
略的に示す断面図。
【図2】(a)乃至(e)は、図1に示す光ファイバ素
線に光ファイバグレーティングを形成する方法を概略的
に示す図。
【図3】本発明の実施例に係る光ファイバ素線の破断強
度を示すグラフ。
【符号の説明】
1…光ファイバ素線 2…光ファイバ本体 2a,2b…領域 3…一次被覆層 4…二次被覆層 5a,5b…キズ 6…除去部 10…光ファイバグレーティング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 伸尚 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 2H050 AC82 AC84 BA03 BA18 BB05Q BB07Q BB14Q BB33W BC03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ本体と、前記光ファイバ本体
    を被覆し且つ樹脂硬化物と可塑剤とを含有した一次被覆
    層と、前記一次被覆層を介して前記光ファイバ本体を被
    覆するとともに樹脂硬化物を含有し且つ前記一次被覆層
    よりも高いヤング率を有する二次被覆層とを具備したこ
    とを特徴とする光ファイバグレーティング形成用の光フ
    ァイバ素線。
  2. 【請求項2】 光ファイバ本体と、前記光ファイバ本体
    を被覆し且つ樹脂硬化物と可塑剤とを含有した一次被覆
    層と、前記一次被覆層を介して前記光ファイバ本体を被
    覆するとともに樹脂硬化物を含有し且つ前記一次被覆層
    よりも高いヤング率を有する二次被覆層とを具備し、前
    記光ファイバ本体は前記一次被覆層と前記二次被覆層と
    の積層体から部分的に露出し、その露出部に光ファイバ
    グレーティングが形成されていることを特徴とする光フ
    ァイバ素線。
  3. 【請求項3】 前記一次被覆層は、前記可塑剤として、
    アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びアジピン酸ジイ
    ソデシルの少なくとも一方を含有したことを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の光ファイバ素線。
  4. 【請求項4】 前記光ファイバ本体の10mm長を5m
    m/minの引張速度で引き抜くプルアウト試験に供し
    た場合に1N以下のプルアウト力を示すことを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光ファイ
    バ素線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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