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JP2003319722A - 防草機能を有するマルチシート及びその使用方法 - Google Patents

防草機能を有するマルチシート及びその使用方法

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Publication number
JP2003319722A
JP2003319722A JP2002131782A JP2002131782A JP2003319722A JP 2003319722 A JP2003319722 A JP 2003319722A JP 2002131782 A JP2002131782 A JP 2002131782A JP 2002131782 A JP2002131782 A JP 2002131782A JP 2003319722 A JP2003319722 A JP 2003319722A
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JP
Japan
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sheet
weed
woven fabric
moisture
laying
Prior art date
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Pending
Application number
JP2002131782A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeki Tanaka
茂樹 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透湿性および防水性があり、軽量で耐久性があ
る上に防草機能があり、果樹などの栽培において品質改
善を図ることができるとともに、農業従事者の負担が小
さく、環境にやさしい農業用に好適なマルチシートおよ
びその使用方法を提供する。 【解決手段】 繊維径が10〜25μmの長繊維不織布
に透湿防水性膜を積層させてなり、遮光率が95%以上
で、かつ目付が45〜100g/m2であることを特徴
とする防草機能を有するマルチシートであり、さらに、
食用果樹や野菜の糖度アップや早期熟成などのために、
着花後から収穫の1ヶ月前までの間に、防草機能を有す
るマルチシートを果樹の根元に敷設し、該マルチシート
で被覆された土壌部分に生えた雑草を実質的に除去する
ことなく放置する前記の防草機能を有するマルチシート
の使用方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防草機能を有する
マルチシートおよびその使用方法に関するものであり、
さらに詳しくは、透湿防水性膜と長繊維不織布とを複合
した農業用に好適なシートであり、透湿性と防水性のバ
ランスにすぐれ、軽量で取り扱い性が良く、農薬の使用
を大幅に削減したり、追肥の量や手間を減らすなどが可
能なシートである。また、家畜の排泄物を屋外に一次保
管する時に雨水による溶解物の流失を防止するシートと
しても使用可能である。
【0002】
【従来の技術】特開平6−327361号公報には、多
孔性フィルムを用いた土壌被覆材が記載され、食用果樹
の糖度アップや早期熟成、色づきの鮮明化などに適用可
能なものとしている。
【0003】また、ポリオレフィン系のフラッシュ紡糸
された不織布は、透湿性,防水性、機械的特性、及び化
学的特性などに優れており、ミカンなどのマルチシート
として使用されている。しかしながら、フラッシュ紡糸
不織布は、ペーパーライクであり風によりシートがバタ
ついて音が発生するという問題があった。また、表面が
非常に平滑であるためシートに泥や水が付着すると、シ
ートの上を歩行するときに滑りやすいという問題点もあ
った。その対策としてエンボス加工などにより柔軟化処
理されたシートも上市されているが耐久性が低下すると
いう問題点があった。
【0004】また、これらのマルチシートは、シートの
下側で草が生えてきて、その草によりシートが持ち上げ
られることにより、目的とする水分コントロールによる
食用果樹の糖度アップや早期熟成などが困難になる場合
があった。その対策として、マルチシート敷設前に雑草
を刈り取った上で除草剤を撒くなどの対策がとられてき
たが非常に手間がかかり、老齢化する農業従事者の負担
が大きいという問題があった。また、除草剤などの農薬
の使用は環境汚染の問題があり、その使用を可能な限り
抑制することが望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、透湿性およ
び防水性があり、軽量で耐久性がある上に防草機能があ
り、果樹などの栽培において品質改善を図ることができ
るとともに、農業従事者の負担が小さく、環境にやさし
い農業用に好適なマルチシートおよびその使用方法を提
供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる問題点を解決する
ために本発明は以下の手段をとる。すなわち、第1の発
明は、繊維径が10〜25μmの長繊維不織布に透湿防
水性膜を積層させてなり、遮光率が95%以上で、かつ
目付が45〜100g/m 2であることを特徴とする防
草機能を有するマルチシートである。
【0007】第2の発明は、透湿防水性膜がハードセグ
メントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリ
エステルを原料とする厚みが7〜50ミクロンの皮膜で
あり、長繊維不織布がポリエステル系長繊維不織布であ
ることを特徴とする第1の発明に記載の防草機能を有す
るマルチシートである。
【0008】さらに第3の発明は、透湿度が200〜1
0000g/m2・24時間、耐水圧が150〜200
00mmAqであることを特徴とする第1または2の発
明に記載の防草機能を有するマルチシートある。
【0009】また、第4の発明は、食用果樹や野菜の糖
度アップや早期熟成などのために、着花後から収穫の1
ヶ月前までの間に、防草機能を有するマルチシートを果
樹の根元に敷設し、該マルチシートで被覆された地面部
分に生えた雑草を実質的に除去することなく放置するこ
とを特徴とする第1〜3の発明のいずれかに記載の防草
機能を有するマルチシートの使用方法である。
【0010】そして第5の発明は、第1〜3の発明のい
ずれかのマルチシートの下で土壌の上の少なくとも一部
に、植物性繊維またはアクリル系繊維を含む親水性の繊
維集合体を敷設することを特徴とする第4の発明に記載
の防草機能を有するマルチシートの使用方法である。
【0011】また、第6の発明は、7月から8月の夏期
において、地表から10cmの深さの土壌温度が、マル
チシートを敷設することにより、非敷設時より3℃以上
低くなるように、第1〜3の発明のいずれかに記載のマ
ルチシートを敷設することを特徴とするマルチシートの
使用方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるマルチシート
は、繊維径が10〜25μmの長繊維不織布と透湿防水
性膜とが積層されていることが必要である。積層の方法
は特に限定されず、接着剤を用いる方法、熱融着させる
方法、機械的に接合する方法などが挙げられるが、長繊
維不織布に透湿防水性膜を押し出しラミネートすること
により接合する方法が好ましい。
【0013】本発明で用いられる長繊維不織布は、スパ
ンボンド法やトウ開繊法、フラッシュ紡糸法等により製
造された実質的に繊維の切断端がない不織布であれば特
に規定されるものではない。長繊維不織布は強度特性に
すぐれているため、使用時の高い耐久性を実現すること
が可能である。素材もポリエステルやポリオレフィン、
ポリアミドなどの樹脂に適切な耐候剤を用いて耐久性を
持たせたものであればほとんどの素材が使用可能であ
る。該不織布を構成する主な繊維の繊維径は10〜25
μmであることが望ましい。繊維径が10μmより小さ
いと耐候性が低くなり、2〜5年程度継続して使用する
ことができなくなるため問題であり、25ミクロンを超
えると、不織布の繊維量が減るために、光の反射や遮蔽
を実現することが困難になる傾向がある。不織布には、
適量の紫外線安定剤や紫外線吸収剤などを含有させるこ
とが好ましい。
【0014】本発明で用いられる透湿防水性膜は、多孔
フィルムでも無孔フィルムであっても良い。多孔フィル
ムは、レーザーなどによりオレフィン系フィルムやポリ
エステル系フィルム、フッ素系フィルムなどに直接孔を
あけたり、炭酸カルシウム粒子などを練りこんだポリマ
ーを平面上に押し出して後延伸してボイドを発生させた
りするなどの手段により製造されるが、特に限定される
ものではない。無孔フィルムの場合には、ウレタンやポ
リエステルエラストマーなど素材自身が透湿性を持つ必
要があり、必要な透湿性に応じて樹脂組成が選択され
る。
【0015】さらに、本発明のマルチシートは、遮光率
が95%以上である。遮光率が95%以上あると優れた
防草機能を発現することが可能となり、好ましくは98
%以上、特に好ましくは99%以上である。遮光率を所
望の値にするためには、以下の手段をとることが好まし
い。その一つは、長繊維不織布あるいは透湿防水膜にカ
ーボンなどの顔料を材料に添加することで光の吸収を行
う方法である。また別の手段としては、SUSやアルミ
ニウムなどの金属をどちらかに蒸着あるいはスパッタリ
ング処理することである。膜自身に透湿性がない場合
は、蒸着などの処理の後、微小な孔をあけても遮光率は
大きく変わらない。本発明では、遮光率が100%でな
くても防水性があるため植物にストレスを与えることが
可能であり防草効果が発現される。
【0016】マルチシートの目付は、45〜100g/
2であることが好ましく、特に好ましくは50〜80
g/m2である。適当な機械的特性や耐久性を保持する
ためには45g/m2以上であることが必要であり、炎
天下作業や斜面作業など敷設時の労力など作業性を考慮
すると100g/m2以下であることが好ましいことが
フィールド試験の結果で明らかとなった。
【0017】本発明で必要とする透湿度を無孔フィルム
状態で達成するためには、樹脂層の膜厚みが7〜50ミ
クロンの間にあることが好ましい。膜厚みが50ミクロ
ンより厚いと耐水圧を高くすることが可能であるが透湿
性に劣るという問題点を生じやすい。一方、膜厚みが7
ミクロンより薄いと水圧がかかった際に膜の破壊が生じ
るために耐水圧を高く取ることが困難となる。また、膜
が薄すぎるとハンドリング時や使用状態において膜の破
壊が起こりやすいという問題がある。
【0018】本発明において、無孔フィルムを用いる場
合には、ハードセグメントとソフトセグメントよりなる
ブロック共重合ポリエステルを用いることが好ましい。
該ポリエステルは、融点150〜180℃であり、メル
トフローレート(MFR:JIS K 7210法に準
拠)が230℃で30〜150g/10分であることが
好ましい。ブロック共重合ポリエステルの融点は、ソフ
トセグメントの構造と構成比率により決定されるが、発
明者の検討の範囲では、耐水圧や透湿度を所望の値に設
定するためにはこの温度域にあることが好ましかった。
【0019】また、MFRが230℃で30〜150g
/10分であることが膜の厚みや幅の変動を小さくする
ために好ましい。本発明で使用される共重合ポリエステ
ルは230℃前後で加工することが膜の加工性の観点か
ら特に好ましい。MFRが150g/10分より高くな
るとサージングなどの影響により端部が波打って幅の変
動が大きくなる傾向があり、MFRが30g/10分よ
り小さくなりすぎると膜を本発明の目的とする薄さに成
形することが困難になる傾向がある。
【0020】本発明におけるブロック共重合ポリエステ
ルにより形成される膜には、補強材として類似の素材で
あるポリエステル系の不織布が接合されることが接着性
の観点から特に好ましい。膜と不織布が押し出しラミネ
ートにより接着される場合には、不織布の繊維径が3〜
20ミクロンであることが好ましく、特に好ましくは5
〜16ミクロンである。繊維径を細くすることで膜の破
壊を生じにくくすることが可能となる。発明者の経験で
は、膜の厚みが平均繊維径の1/2より薄くなると、膜
が破れたりあるいは繊維層から剥離するという問題を生
じやすい傾向があった。一方、繊維径が3ミクロンより
細い場合には補強効果が小さくなるという問題を生じや
すかった。なお、繊維径は平均値を代表値として考える
ことが、嵩高性や伸縮性を出すためにそれより太い繊維
を重量分率で30%程度までなら混合しても本発明の目
的をあまり阻害しない。従って,平均繊維径は全体の繊
維のなかで細い方から70%だけを取り出して計算すれ
ばよい。
【0021】ハードセグメントとソフトセグメントより
なるブロック共重合ポリエステル膜に押し出しラミネー
トにより好適に接着されるポリエステル系不織布とはポ
リエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートからなる群より選
ばれるホモポリマーまたは繰り返し単位の一部にこれら
の群の何れかが存在する共重合物あるいはブレンド物を
いう。本発明者らの検討の結果、ポリエステル系不織布
は共重合ポリエステル膜との接着性が良く、接合の前に
特別な表面処理をして接着性を改善するなどの必要がな
いため特に好ましい。ポリオレフィン系の不織布では接
着性が悪く、使用中に剥離を生じる問題が生じて好まし
くなかった。
【0022】ポリエステル系不織布は、必要に応じてコ
ロナ処理などを行うことにより、さらに接着性を改善す
ることも推奨される。また、ポリエステル系不織布に
は、適当な酸化防止剤や耐候材、滑材、着色剤などを混
合することも可能である。特にハウスラップ用途など太
陽光が直接あたる用途では、紫外線などによる劣化を防
止するために紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤
を総量で0.1〜15%程度、好ましくは0.5〜12
%、特に好ましくは3〜10%程度付与することが好ま
しい。
【0023】また、押し出しラミネートする場合のポリ
エステル系不織布の目付は、5〜50g/m2のポリエ
ステル系不織布であることが好ましい。目付けが小さす
ぎると補強効果が十分得られにくく、目付けが高すぎる
と本発明の目的である薄くて軽量な透湿防水シートとな
らないだけでなく、シートが硬くなりすぎて折り曲げ時
に骨立ちが生じて、透湿膜層の破壊が起こりやすいとい
う問題点が生じやすい。
【0024】また、本発明で使用される不織布は熱エン
ボス加工処理されており、厚みが0.05〜0.35m
mであることが好ましい。熱エンボスされることで、シ
ート強度を大幅に向上させることができる。繊維の交絡
を上げるためにニードルパンチ加工や水流交絡加工を行
うことも好ましい形態のひとつであるが、不織布表面が
あまり毛羽立つと膜との接着性が悪くなるのであまり好
ましくない。樹脂などのバインダーにより繊維接着性を
上げることも可能であるが、ポリエステル共重合物との
接着性を考慮する必要がある。シートの厚みは厚すぎる
と膜との接着性が悪くなり、薄すぎるとペーパーライク
の風合いになる。
【0025】本発明の透湿防水シートの特性としては、
透湿度が200〜10000g/m 2・24時間、耐水
圧が150〜5000mmAqであることが好ましい。
透湿度が前記の値であると、たとえばハウスラップ用途
に用いた際に湿度が上がりすぎて結露を生じるという問
題がなく、衣料用途など人体と接触する用途では着用時
に蒸し暑いなどの問題がなく好ましい。透湿度が100
00g/m2・24時間を超えてもあまり問題はない
が、耐久性、耐候性などが低下しやすい傾向がある。ま
た、耐水圧が150〜20000mmAqであると雨な
どが表面に付着しても内部に水が浸入することがない。
耐水圧が5000mmAqを超えることはあまり問題な
いが、膜がもろくなったり風合いが硬くなる場合が多く
なると考えられる。
【0026】本発明で実施する押し出しラミネートは、
Tダイより透湿性の樹脂を補強不織布とほぼ同じ幅で押
し出してフィルム状の膜にして5〜30cmくらいのオ
フセットで補強不織布と接触させた後に、ローラで挟み
込んで接着をさせると同時に、膜を冷却する方法をい
う。本発明で用いる共重合ポリエステルは、粘着性が高
いためにロールからの剥離性が悪くなり、工程通過性が
悪くなる場合があるため、少なくとも膜と接触させるロ
ールは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など
の離型性の良い樹脂でコーティングされていること、あ
るいはマット加工されていることが好ましい。
【0027】また、本発明におけるマルチシートの皮膜
層は、結晶構造を安定化させて伸長回復性を改善する目
的で、100〜180℃の温度で1〜30分程度熱処理
を行うことも好ましい。これにより引っ張り変形などを
受けた際の膜の伸長回復性や形態安定性を改善させるこ
とが可能である。
【0028】本発明における不織布は、食用果樹や野菜
などの糖度アップや早期熟成などを目的として、着花後
から収穫の1ヶ月前までの間に防草機能を有するマルチ
シートを果樹の根元に敷設するにあたり、マルチシート
が展張される部分に生えた雑草は実質的に除去すること
なく展張することが好ましい。防草機能を有さないマル
チシートを用いると、マルチシート下側で草が生えてき
て、その草によりシートが持ち上げられることにより、
目的とする水分コントロールによる食用果樹の糖度アッ
プや早期熟成などの効果の発現が困難になる場合があっ
た。その対策として、マルチシート敷設前に雑草を刈り
取った上で除草剤を撒くなどの対策がとられてきたが、
非常に手間がかかり、老齢化する農業従事者の負担が大
きいという問題があった。また、除草剤などの農薬の使
用は環境汚染の問題があり、その使用を可能な限り抑制
することが必要である。本発明のマルチシートは、防草
機能を有するために、除草剤などの農薬の使用がかなり
抑制される。また、枯れた草が腐敗して養分となるた
め、追肥の必要性が低いという利点がある。
【0029】マルチシートの敷設時期は、着花後から収
穫の1ヶ月前までの間であることが好ましい。花が咲く
時期である着花前であると、着花状態がよくない場合が
ある。また、収穫の1ヶ月前以降では、植物に適切なス
トレスを与えることが難しくなり、果実の色付きは若干
改善されるが糖度を改善するための十分な時間を得るこ
とができない。マルチシートを敷くことで枯死した雑草
などの植物は、後述の水保持体としての親水性繊維集合
体として利用することが可能である。また、本発明のマ
ルチシートは光の反射率が高いため、着花後の害虫の忌
避効果を発現させることもでき、この効果の積極的利用
も好ましい実施態様である。
【0030】なお、マルチシートは果物や野菜などの作
物の収穫後は撤去して、地面を直接空気にさらすことが
好ましい。空気を入れることで地面を活性化させること
が可能となり、次年度以降の植物の育成を良好な物とす
ることができる。本発明のマルチシートを使用した場合
には、春になって気温が上昇して雑草が生えやすい環境
になっても、雑草が生え始める時期が約1ヶ月程度遅く
なり、除草の問題が小さいことも判明した。
【0031】本発明のマルチシートの下の地面には、植
物性繊維あるいはアクリル系繊維などを含む親水性の繊
維集合体を少なくとも一部に敷くことが好ましい。これ
らの親水性繊維は、水を保水することが可能であり、降
雨量が長期にわたって連続的に少ない場合などの水分不
足が過酷となる場合において、潅水など特別な処理を行
わなくても、植物の生命を維持する必要最小限の水分を
保持することが容易となる。また、植物性繊維の場合に
は経時的に分解されて植物肥料として用いることも可能
であり、特に好ましい。植物性繊維は、マルチシートに
より枯死した雑草でもある程度の効果があるが、ジュー
トや麻、綿、ケナフ、竹、レーヨンなどの繊維集合体を
マルチシートの下に追加して置くことが好ましい。アク
リル系繊維の場合は、カルボン酸塩基などの親水性基の
導入によって、保水性を高めるようにポリマー改質した
ものであることが好ましく、例としてはランシール(東
洋紡績社製)、ベルオアシス(カネボウ社製)などが挙
げられる。
【0032】マルチシートは、敷設により7月から8月
の夏期において、地表から10cmの深さの土壌温度
が、非敷設時より3℃以上低下するように遮光率と通気
度を調整することが好ましい。7月から8月の日中は、
地面温度が上昇し、該温度が上がりすぎて果樹の根が痛
むという問題を生じやすいが、本発明のマルチシートを
用いると、昼間の温度が30℃以上になる一番暑い時期
でも、マルチシートを使用しない場合に比べて、3〜7
℃程度の地面温度の低下が確認され、植物の樹勢の低下
は認められなかった。
【0033】
【実施例】次に本発明を具体的な実施例で説明するが本
発明は何らこれらに限定されるものではない。本発明で
使用される測定法は以下のとおりである。 (透湿度)JIS L 1099の[4.1.1(A−
1法)塩化カルシウム使用、φ70mm]に準拠して測
定した。 (耐水圧)JIS L 1902の[5.1 B法(高
水圧法)]に準拠して測定した。
【0034】(繊維径)走査型電子顕微鏡により適当な
倍率で写真撮影を行い、ランダムに繊維を20〜200
程度選んで各繊維の側面間の距離を測定した。撮影倍率
より換算して円断面を仮定して繊維径を測定した。繊維
径の分布は一般的に釣り鐘型の正規分布に準じた形とな
るが、異なった繊維径の繊維が混合された場合などはピ
ークが複数存在するため、繊維径が細いほうから70%
に相当する分だけ選択して平均値を計算した。
【0035】(実施例1)東洋紡績社製ペルプレン樹脂
GP−550(230℃のMFR34、融点174℃)
を230℃でTダイにより押し出し、15cmのオフセ
ットをおいて20g/m2の東洋紡績社製ポリエステル
製黒色スパンボンド不織布(エクーレ6401AD、平
均繊維径14ミクロン)と接触させて平均12ミクロン
の厚みになるようにして貼り合わせた。得られたシート
は、透湿度8400g/m2・24時間、耐水圧150
0mmAqと非常に優れた性能を示した。マルチシート
をミカン畑で約2ヶ月使用したところ、マルチシートを
使用しない隣接のミカンの木に比べて糖度が約1.7高
い値を示し、色づき効果も申し分なかった。使用2週間
後には、雑草がほぼ枯死しており防草効果が確認され
た。翌年度の生産においても樹勢などに問題がないこと
がわかった。外気温度が35℃の昼間に、地面10cm
深さの温度を測定したところ、28℃になっており地温
上昇防止効果が確認できた。作業性はまったく問題無か
った。
【0036】(実施例2)透湿防水性のある多孔ポリエ
チレンフィルムと東洋紡績社製ポリエステル製黒色スパ
ンボンド不織布(エクーレ6401AD、平均繊維径1
4ミクロン)とをアクリル系接着剤により貼り合わせ
た。得られたシートは、透湿度9100g/m 2・24
時間、耐水圧5300mmAqと優れた性能を示した。
同様にマルチシートを約2ヶ月使用したところ、使用し
ない隣接の果樹に比べて糖度が約1.5高い値を示し
た。使用2週間後には、雑草がほぼ枯死しており防草効
果が確認された。実施例1と同様、約7℃の地温上昇抑
制効果が確認された。作業性はまったく問題無かった。
【0037】(比較例1)市販の高密度ポリエチレン性
フラッシュ紡糸法で製造された透湿防水性を有する白色
マルチシートを敷設した。このシートは、透湿度730
0g/m2・24時間、耐水圧1500mmAqであっ
た。マルチシートをミカン畑で約2ヶ月使用したとこ
ろ、使用しない隣接のミカンの木に比べて糖度が約1.
4高い値を示し、色づき効果も申し分なかった。しかし
ながら、敷設後1ヵ月後に調査した際、雑草によりシー
トが持ち上げられており、台風などが来ると風で吹き飛
ばされる可能性があった。また、オーバーラップ部より
水が入り込んだ形跡があり、過剰水分の抑制の効果が部
分的に機能しなかったと推定される。作業性は、夏場に
敷設時など照り返しが厳しく目が非常に疲れるという問
題があった。また、降雨後にシートの上を歩くと滑りや
すい問題もあった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、透湿性および防水性が
あり、軽量で耐久性がある上に防草機能があることで、
果樹の栽培において品質改善を図ることができるととも
に、農業従事者の負担が小さく、環境にやさしい農業用
に好適なマルチシートおよびその使用方法を提供するこ
とが可能である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維径が10〜25μmの長繊維不織布
    に透湿防水性膜を積層させてなり、遮光率が95%以上
    で、かつ目付が45〜100g/m2であることを特徴
    とする防草機能を有するマルチシート。
  2. 【請求項2】 透湿防水性膜がハードセグメントとソフ
    トセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルを原
    料とする厚みが7〜50ミクロンの皮膜であり、長繊維
    不織布がポリエステル系長繊維不織布であることを特徴
    とする請求項1に記載の防草機能を有するマルチシー
    ト。
  3. 【請求項3】 透湿度が200〜10000g/m2
    24時間、耐水圧が150〜20000mmAqである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防草
    機能を有するマルチシート。
  4. 【請求項4】 食用果樹や野菜の糖度アップや早期熟成
    などのために、着花後から収穫の1ヶ月前までの間に、
    防草機能を有するマルチシートを果樹の根元に敷設し、
    該マルチシートで被覆された地面部分に生えた雑草を実
    質的に除去することなく放置することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の防草機能を有するマルチシ
    ートの使用方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかのマルチシート
    の下で土壌の上の少なくとも一部に、植物性繊維または
    アクリル系繊維を含む親水性の繊維集合体を敷設するこ
    とを特徴とする請求項4に記載の防草機能を有するマル
    チシートの使用方法。
  6. 【請求項6】 7月から8月の夏期において、地表から
    10cmの深さの土壌温度が、マルチシートを敷設する
    ことにより、非敷設時より3℃以上低くなるように、請
    求項1〜3のいずれかに記載のマルチシートを敷設する
    ことを特徴とするマルチシートの使用方法。
JP2002131782A 2002-05-07 2002-05-07 防草機能を有するマルチシート及びその使用方法 Pending JP2003319722A (ja)

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