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JP2003318413A - 高耐圧炭化珪素ダイオードおよびその製造方法 - Google Patents

高耐圧炭化珪素ダイオードおよびその製造方法

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JP2003318413A
JP2003318413A JP2002297032A JP2002297032A JP2003318413A JP 2003318413 A JP2003318413 A JP 2003318413A JP 2002297032 A JP2002297032 A JP 2002297032A JP 2002297032 A JP2002297032 A JP 2002297032A JP 2003318413 A JP2003318413 A JP 2003318413A
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breakdown voltage
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silicon carbide
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良雄 下井田
Saichiro Kaneko
佐一郎 金子
Hideaki Tanaka
秀明 田中
Masakatsu Hoshi
星  正勝
Tronnamchai Kleison
トロンナムチャイ クライソン
Teruyoshi Mihara
輝儀 三原
Tetsuya Hayashi
林  哲也
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高耐圧な炭化珪素ダイオードおよびその製造方
法を提供する。 【解決手段】第一の半導体基体である炭化珪素半導体基
体100と、炭化珪素半導体基体100とはバンドギャ
ップの異なる第二の半導体層である多結晶シリコン層3
からなるヘテロ接合101とを有し、炭化珪素半導体基
体100の第一主面側に低濃度N型の多結晶シリコン層
3が堆積されており、前記第一主面と対向する前記炭化
珪素半導体基体100の第二主面側に金属電極4が形成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐圧炭化珪素ダ
イオードおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献】“パワーデバイス・パワーICハンドブ
ック 電気学会高性能高機能パワーデバイス・パワーI
C調査専門委員会 編 コロナ社 p.12〜21”。
【0003】従来の炭化珪素を用いた高耐圧のダイオー
ドを得るための接合としては、上記非特許文献に記載さ
れるPN接合と、ショットキー接合とがある。上記非特
許文献では、これらの接合はシリコンを基本に記述して
あるが、炭化珪素においても広く適用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】PN接合を炭化珪素へ
適用し、高耐圧を得るためには、深い拡散領域を形成す
る必要があり、そのためには高エネルギーのイオン注入
による不純物導入が欠かせない。高エネルギーのイオン
注入を行うと炭化珪素中に欠陥が発生し、リーク電流の
増加の原因となりやすい。
【0005】本発明の目的は、上記課題を解決し、高耐
圧な炭化珪素ダイオードおよびその製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、第一の半導体基体である例えば炭化珪素
半導体基体とはバンドギャップの異なる第二の半導体層
からなる接合を有し、該第二の半導体層はシリコン、ア
モルファスシリコン、多結晶シリコンのいずれかである
高耐圧炭化珪素ダイオードを提供する。
【0007】
【発明の効果】本発明によれば、高エネルギーのイオン
注入による不純物導入が不要であり、高耐圧な炭化珪素
ダイオードおよびその製造方法を提供することができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について詳細に説明する。なお、以下で説明する
図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その
繰り返しの説明は省略する。 実施の形態1 本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態1における高耐圧炭化珪素ダイオ
ードの断面構造図である。まず、構成について説明す
る。例えば高濃度N型の炭化珪素(SiC)半導体基板
1上には、低濃度N型の炭化珪素エピタキシャル領域2
が形成されている。炭化珪素基板1としては、例えば抵
抗率が数mから数10mΩcm、厚さが200〜400
μm程度のものを用いることができる。エピタキシャル
領域2としては、例えばN型の不純物濃度が1015
1018cm−3、厚みが数〜数10μmのものを用いる
ことができる。本実施の形態1では、一例として炭化珪
素基板1上にエピタキシャル領域2を形成した基板で説
明するが、抵抗率の大きさに関わらず炭化珪素基板1の
みで形成された基板を使用してもかまわない。また、こ
こで用いられる炭化珪素のポリタイプは、4Hが代表的
であるが、6H、3C等その他のポリタイプでも構わな
い。エピタキシャル領域2の表面の一部には、第二の半
導体層の一例として炭化珪素よりもバンドギャップの小
さい多結晶シリコン層3が堆積されている。多結晶シリ
コン層3には例えば不純物が導入されており、ここでは
N型低濃度にドープされている。他にも多結晶シリコン
層3に不純物が導入されていない所謂ノンドープの場
合、高濃度にドープされている場合、さらにはP型にド
ープされている場合でも同様の効果を得ることが可能で
ある。本実施の形態においては炭化珪素基板1の裏面側
には金属電極4が形成されている。金属電極4は炭化珪
素基板1とオーミック接続されており、金属材料として
は、例えばTi(チタン)5000Åとその上にNi
(ニッケル)3000Åを堆積したもの等を用いること
ができる。このように、本実施の形態1では多結晶シリ
コン層3をアノード、金属電極4をカソードとした縦型
のダイオードを構成する場合について説明する。
【0009】次に、本実施の形態1の動作について説明
する。金属電極4をカソード、多結晶シリコン層3をア
ノードとして両方の間に電圧を印加すると、多結晶シリ
コン層3と炭化珪素エピタキシャル領域2の接合界面に
おいて整流作用が生じ、ダイオード特性が得られる。我
々の行った実験により得られた結果から多結晶シリコン
層3をN型低濃度とし、N型炭化珪素エピタキシャル領
域2を1016cm−3、厚み10μm程度とすると、特
別なエッジターミネーション技術を使っていないにも関
わらず、ダイオードの逆方向耐圧として900V程度が
得られた。図15は、本実施の形態1の高耐圧炭化珪素
ダイオードにおいて、半導体カーブトレーサを用いて測
定した接合の逆方向の電流−電圧特性を示す図である。
横軸に逆方向に印加される電圧の値を示し、縦軸に逆方
向に流れる電流を示す。逆方向に電圧が印加されても、
逆方向の電流はほとんど流れず、リーク電流が少ない特
性となっている。本発明者らの実験では、900V以上
の高電圧を印加した場合に、急激に逆方向電流が流れる
結果が得られた。つまり、接合の逆方向耐圧が900V
以上あることを示している。また、我々のさらなる実験
により、多結晶シリコン層3をN型高濃度、炭化珪素側
を上記と同一条件とした場合にも良好なダイオード特性
が得られた。この場合、ダイオードの逆方向耐圧は10
0V程度となった。このとき、ダイオードの順方向特性
に相当する電圧降下Vfは多結晶シリコン層3の不純物種
類並びに不純物濃度によって変化し、約0.2Vから約
2.0Vの間の任意の値が得られている。
【0010】このように炭化珪素と多結晶シリコンによ
る接合において、あたかもショットキー接合のごときダ
イオード特性を示し、1kV近い高耐圧が得られること
を発見したのは我々の実験が最初である。
【0011】また、我々のさらなる実験により、多結晶
シリコン層3をN型高濃度、炭化珪素側を上記と同一条
件とした場合にも良好なダイオード特性が得られた。こ
の場合、ダイオードの逆方向耐圧は100V程度となっ
た。以上の実験結果をもとに、本発明の動作について図
11〜図14を用いて説明する。図11〜図14は半導
体のバンド構造を示す図である。図11中、左側が多結
晶シリコン、右側が炭化珪素(4H−SiC)のエネル
ギーバンドの状態であり、両者が接触していない状態を
示している。真空準位18に対し多結晶シリコンの電子
親和力をχ1、バンドギャップをEg1とする。同様に
炭化珪素の電子親和力をχ2、バンドギャップをEg2
とすると、それぞれの電子親和力およびバンドギャップ
が異なるため、図11のようなバンド構造が仮定でき
る。多結晶シリコンの伝導帯の底Ec1が炭化珪素の伝
導帯の底E よりも低いエネルギーレベルになり、多
結晶シリコンの価電子帯の上限Ev1が炭化珪素の価電
子帯の上限Ev2より高いエネルギーレベルにある。こ
こで両者を接触させると、図12に示すようになる。図
12は多結晶シリコン中の不純物がN型であるとし、炭
化珪素の不純物もN型であるとする。多結晶シリコンの
フェルミレベルは不純物濃度で決まり、例えば図12に
示すような位置になり、炭化珪素のフェルミレベルも濃
度で決まる図12中のごときレベルとなるとする。両者
が接触した場合にはフェルミレベルEが一致する必要
があり、それぞれ導電帯の底のレベルは図12のごとき
関係になる。ここで、多結晶シリコンの伝導帯の底E
c1と同エネルギーバンド図上のピーク値とのエネルギ
ー差がダイオードとしての順方向の障壁19として存在
する。ここで多結晶シリコン側は接合のビルトインポテ
ンシャルにより電子20が発生し、多結晶シリコン側の
界面に溜まる。その様子を示したのが図13である。炭
化珪素側にはビルトインポテンシャルによる空乏層が広
がっている。ここで炭化珪素側に伸張した空乏層に見合
う電気力線が多結晶シリコン側に終端する必要がある
が、この電子20がその役目を果たしている。つまり、
電気力線は電子20で終端され、多結晶シリコン側は電
界がシールドされる。実質的には多結晶シリコン側にほ
とんど電界が印加されない。次に、ダイオードの逆方向
特性の説明を行う。アノード側(多結晶シリコン側)に
対しカソード側(炭化珪素側)に正の電圧が印加される
と、接合の界面から空乏層が炭化珪素側に伸張する。電
子20はカソード側に引き付けられるが、図12のごと
く界面に障壁19が存在するために、電子20は界面に
溜まる。図14にはカソード側に500Vを印加した場
合のエネルギーバンド図の計算結果を示す。カソードに
高電圧が印加された場合でも多結晶シリコンと炭化珪素
の界面の障壁は残る。そのため、かなりの高電圧がカソ
ードに印加された場合でも先に多結晶シリコンでブレー
クダウンを起こすということは無く、炭化珪素側の機構
により耐圧を決めることが可能になる。以上がN型多結
晶シリコンとN型炭化珪素の組み合わせによりショット
キー接合のごとき高耐圧が得られる理由である。また、
逆方向耐圧が多結晶シリコン中のN型不純物の濃度に依
存しているのは実験事実であり、本発明の構成を用いれ
ば不純物濃度を変えることで、接合の逆方向耐圧、順方
向特性を変えることができるという効果を持つ。以上、
N型多結晶シリコンとN型炭化珪素の場合を代表して説
明した。多結晶シリコンがP型の場合、または炭化珪素
がP型の場合にはそれぞれ異なるバンド構造が仮定でき
る。本実施の別の形態として図2に示すように、P型高
濃度炭化珪素基板1’の上にP型低濃度炭化珪素エピタ
キシャル領域2’を形成し、その上の一部にP型多結晶
シリコン層3を堆積した構成も考えられる。また、この
本実施の別の形態においても、上記N型炭化珪素の場合
と同様に、多結晶シリコン層3に不純物が導入されてい
ない所謂ノンドープの場合、高濃度にドープされている
場合、さらにはN型にドープされている場合でも同様の
効果を得ることが可能である。なお、本実施の形態1
は、第一の半導体基体(炭化珪素半導体基体100)
と、前記第一の半導体基体(炭化珪素半導体基体10
0)とはバンドギャップの異なる第二の半導体層(多結
晶シリコン層3)からなるヘテロ接合101を有し、例
えば第一の半導体基体が炭化珪素半導体基体からなり、
例えば第二の半導体層がシリコン、アモルファスシリコ
ン、多結晶シリコンの少なくともいずれかである。本実
施の形態1では、第二の半導体層は多結晶シリコン層3
の場合を例示している。以上説明したように、このよう
な構成をとることで、簡易な構造で、高耐圧ダイオード
を得ることが可能になり、高エネルギーのイオン注入の
必要がなく、ダメージによる欠陥等の影響も無く、製造
工程が容易にできる。また、結晶性回復のための160
0℃以上の高温アニールも必要無く、表面モフォロジー
(凹凸形状)の悪化が起きない。
【0012】また、前記第一の半導体基体(炭化珪素半
導体基体100)の第一主面側に前記第二の半導体層
(多結晶シリコン層3)とのヘテロ接合101を有し、
前記第一主面と対向する前記第一の半導体基体(炭化珪
素半導体基体100)の第二主面側に金属電極4が形成
されている。
【0013】このような構成をとることで、一般的な炭
化珪素半導体基板を用いて上記ヘテロ接合101を有す
る集積度の高い縦型の高耐圧ダイオードを実現できる。
また、従来例のショットキー接合とは異なり、多結晶シ
リコン層3中の不純物濃度を変えることで任意に障壁高
さが変えられるという特徴を持つ。このことは、ダイオ
ードのVを自由に制御できるという利点となり、素子
としての応用が広く期待できることは言うまでもない。
【0014】本実施の形態1における図1の高耐圧炭化
珪素ダイオードの製造方法について、図9を用いて説明
する。図9(a)では例えばN型高濃度の炭化珪素半導
体基板上1にN型低濃度の炭化珪素エピタキシャル領域
2が形成された半導体基体100を用意する。まず、エ
ピタキシャル領域2の表面は、例えば薄い犠牲酸化膜の
付け剥がしによる洗浄化の後、一般的なRCA洗浄等の
工程により洗浄される。同(b)には半導体基体100
上に多結晶シリコン層3が堆積される工程が示される。
多結晶シリコン層3の厚みとしては例えば数十から数千
Åが適当である。同(c)には多結晶シリコン層3に所
望の不純物を導入する工程が示される。この多結晶シリ
コン層3への不純物導入工程においては、多結晶シリコ
ン層3の上にさらに堆積され、不純物が高濃度にドーピ
ングされた堆積膜(デポジション膜)から900〜10
00℃程度の熱処理により不純物が多結晶シリコン層3
中に拡散導入されても構わない。または薄い堆積膜を介
してイオン注入により不純物を直接多結晶シリコン層3
中に導入しても構わない。さらに、気相からの不純物の
導入も可能である。この場合には、一般的な気相拡散法
を用いることができる。具体的には、拡散炉において、
不純物をガスとしてキャリアガスとともに導入する。ガ
スの比率は、マスフローコントローラを用いたガス混合
装置により精密に制御できる。キャリアガスは通常アル
ゴンなどの不活性ガスが用いられる。同(d)には多結
晶シリコン層3上にマスク材13がパターニングされる
工程が示される。同(e)にはこのマスク材13でカバ
ーされていない多結晶シリコン層3の部分がエッチング
される工程が示される。さらに、同(f)には多結晶シ
リコン層3上のマスク材13が除去され、半導体基体1
00の裏面に金属電極4が形成される。裏面の金属電極
4と炭化珪素基板1がオーミック接続となるよう、必要
により1000℃程度のRTA(RapidThermal Annea
l)が施される。なお、本実施の形態1における図9
(a)〜(f)に示す製造方法は、前記第一の半導体基
体(炭化珪素半導体基体100)の第一主面側を清浄す
る工程(図9(a))と、前記第一主面上に多結晶シリ
コン層3を堆積する工程(図9(b))と、前記多結晶
シリコン層3に不純物を導入する工程(図9(c))
と、前記多結晶シリコン層3を選択的にエッチングする
工程(図9(d)と(e))とを有する。このような構
成の製造方法によれば、前記のような顕著な効果を有す
る図1、図2に示した高耐圧炭化珪素ダイオードを簡易
に形成できる。
【0015】また、図9(c)の前記不純物を導入する
工程は、高濃度にドープされた堆積膜からの不純物導
入、イオン注入による不純物導入、または気相からの不
純物導入により行われ、前記多結晶シリコン層3の所望
の領域に異なる種類もしくは濃度の不純物を導入する。
このような構成の製造方法によれば、所望の濃度の多結
晶シリコン膜を簡易に形成できる。以上により炭化珪素
と多結晶シリコンの接合を持つダイオードが形成され
る。本実施の形態1による高耐圧炭化珪素ダイオードの
製造方法を用いれば、簡易な製造工程で高耐圧のダイオ
ードが形成可能であり、多結晶シリコンと炭化珪素によ
る接合が形成された後に1000℃程度の熱処理工程が
入ってもダイオード特性が失われることが無いという特
有の効果がある。
【0016】実施の形態2 本発明の実施の形態2について図3を用いて説明する。
図3は本発明の実施の形態2における高耐圧炭化珪素ダ
イオードの断面構造を示す。まず、構成について説明す
る。例えば高濃度N型の炭化珪素半導体基板1上には、
低濃度N型の炭化珪素エピタキシャル領域2が形成され
ている。炭化珪素基板1としては、例えば抵抗率が数m
から数10mΩcm、厚さが200〜400μm程度の
ものを用いることができる。エピタキシャル領域2とし
ては、例えばN型の不純物濃度が1015〜1018
−3、厚みが数〜数10μmのものを用いることがで
きる。本実施の形態2においても、一例として炭化珪素
基板1上にエピタキシャル領域2を形成した基板で説明
するが、抵抗率の大きさに関わらず炭化珪素基板1のみ
で形成された基板を使用してもかまわない。また、ここ
で用いられる炭化珪素のポリタイプは、4Hが代表的で
あるが、6H、3C等その他のポリタイプでも構わな
い。エピタキシャル領域2の表面の一部には、第二の半
導体層の一例として炭化珪素よりもバンドギャップの小
さい多結晶シリコン層3が堆積されている。多結晶シリ
コン層3には例えば不純物が導入されており、ここでは
N型にドープされている。
【0017】炭化珪素基板1の裏面側には金属電極4が
形成されている。金属電極4は炭化珪素基板1とオーミ
ック接続されており、金属材料としては、例えばTi
(チタン)5000Åとその上にNi(ニッケル)30
00Åを堆積したものを用いることができる。ここまで
は実施の形態1の構成と同等である。本実施の形態2に
特徴的なことは、上記多結晶シリコン層3の周囲を取り
囲むように不純物種類もしくは不純物濃度の異なる多結
晶シリコン層5が形成されていることである。具体的な
構成としては、N型の多結晶シリコン層3の周囲に、多
結晶シリコン層3とエピタキシャル領域2とのヘテロ接
合よりも耐圧が高くなる、例えば多結晶シリコン層3よ
り低濃度の多結晶シリコン層5が形成されている。すな
わち、N型多結晶シリコン層3と炭化珪素からなるダイ
オードD1と周辺のN型低濃度の多結晶シリコン層5と
炭化珪素からなるダイオードD2が電気的には並列に接
続されている構成される。次に、動作について説明す
る。基本的なダイオードとしての動作は、実施の形態1
で説明したとおりである。ここでは、本実施の形態2に
特徴的な動作のみ説明する。従来例にあるようなPN接
合やショットキー接合におけるダイオードでは素子領域
の最外周において、電界が集中しやすく、耐圧の低下や
リーク電流の増大の原因になりやすい。しかし、本実施
の形態2では、ダイオードの外周部に図15で示した耐
圧の高いN型低濃度の多結晶シリコン層5が堆積されて
いるため、端部を有するこの部分での耐圧が高くなる。
言い換えると、ダイオードに逆方向の電圧が印加され、
特に最外周におけるヘテロ接合界面の電界が顕著に高く
なっていく場合でも、もともと端部に形成されたヘテロ
接合部の耐圧が高いので、周辺での逆方向リーク電流の
増大が抑えられる。結果的に、N型低濃度の多結晶シリ
コン層5と炭化珪素とのヘテロ接合がエッジターミネー
ションの働きを担うことが可能となり、炭化珪素中での
形成が必要なPN接合等による外周部の特別なエッジタ
ーミネーション技術を必要としないで、簡易に高耐圧の
ダイオードが得られ、製造工程の簡易化が可能であると
いう特有の効果がある。なお、本実施の形態では一例と
して、周辺部のヘテロ接合部にN型低濃度の多結晶シリ
コン層5で説明しているが、中心部のヘテロ接合部と比
べて耐圧が大きくなるノンドープ型もしくはP型の多結
晶シリコン層を用いても良い。また、本実施の形態は、
同一の多結晶シリコン層(3、5)の内部で不純物種類
や不純物濃度の異なる領域を任意に設定できるという本
発明の利点を生かした例であり、素子の応用範囲を広め
ることができる。また、本実施の形態で例示した以外に
も、用途に応じた所望の耐圧を持つ領域を選択的に形成
することが可能であり、例えばそれぞれ任意の不純物種
類や不純物濃度を有する複数の多結晶シリコン層を同一
の炭化珪素基板上に形成する等、応用範囲の広い製品が
製造可能になる。図4には本実施の形態2の他の構成を
示す。基本的な構成は、図3の構成と同様である。異な
る部分を説明すると、N型低濃度炭化珪素エピタキシャ
ル領域2上に堆積した多結晶シリコン層の周辺部(多結
晶シリコン層3よりも低濃度の多結晶シリコン層5)
は、酸化膜7上に乗り上げて形成されている。つまり、
多結晶シリコン層の周辺部で炭化珪素と直接接続してい
る部分がN型低濃度になっている(多結晶シリコン層3
よりも低濃度の多結晶シリコン層5)。本発明において
は、炭化珪素上に多結晶シリコン層を堆積するだけで特
別なエッジターミネーションを必要とせずに高耐圧のダ
イオードが得られることを特徴としているが、このよう
な構成とすることで、非常に簡易な一種のエッジターミ
ネーションとの組み合わせにより、多結晶シリコン層最
外周のエッジ部直下でさらなる電界緩和を行うことも可
能である。本実施の形態2における高耐圧炭化珪素ダイ
オードの製造方法については、実施の形態1に示した製
造方法が適用されるが、図9(c)において、多結晶シ
リコン層3中に所望の濃度になるよう不純物を導入する
工程を設けることで実現できる。具体的には堆積膜また
は気相からの不純物導入を中心部と周辺部で分けて行う
か、イオン注入を多結晶シリコンの中心部と周辺部で打
ち分けることで行うことができる。
【0018】ここまでは、ローカルに不純物種類もしく
は不純物濃度を打ち分けた場合について効果を説明して
きたが、図20に示すように層状に不純物種類もしくは
不純物濃度を変えることで別の効果も得ることができ
る。例えば図20では、ヘテロ接合界面に接する部分に
はN型低濃度の多結晶シリコン層25を配置して、さら
にN型高濃度の多結晶シリコン層26を積層している。
つまり、耐圧の高いN型低濃度の多結晶シリコン層25
でヘテロ接合を形成することで耐圧(逆方向特性)を維
持し、外部電極と接続する表面にはオーミック接続が可
能なN型高濃度の多結晶シリコン層26を形成すること
で、オン抵抗(順方向特性)を向上することが可能とな
る。このように、層状に不純物種類もしくは不純物濃度
を打ち分けた場合についても特有の効果を有する。
【0019】なお、本実施の形態2は、前記第二の半導
体層(多結晶シリコン)が不純物種類もしくは不純物濃
度の異なる領域(多結晶シリコン層3および5)を持
つ。このような構成により、N型低濃度の多結晶シリコ
ン層5と炭化珪素との接合がエッジターミネーションの
働きを担うことが可能となり、炭化珪素中のPN接合等
による周辺の特別なエッジターミネーション技術を必要
としないで、簡易に高耐圧のダイオードが得られ、製造
工程の簡易化が可能である。また、同一の多結晶シリコ
ン層(3、5)の内部もしくは同一基板上に複数形成さ
れた多結晶シリコン層において不純物種類及び不純物濃
度の異なる領域を任意に設定できるため、素子の応用範
囲を広めることができる。また、不純物種類もしくは不
純物濃度を層状に変えた場合には、耐圧耐圧(逆方向特
性)を維持しつつ、外部電極との接続はオーミック接続
が可能となり、オン抵抗(順方向特性)を向上すること
ができる。
【0020】また、前記第二の半導体層(多結晶シリコ
ン)中の不純物種類もしくは不純物濃度が中心部と周辺
部とで異なり(多結晶シリコン層3とそれより低濃度の
多結晶シリコン層5)、少なくとも前記周辺部(多結晶
シリコン層5)のヘテロ接合における耐圧が前記中心部
(多結晶シリコン層3)のヘテロ接合に比べて大きくな
るべく形成されている。このような構成により、ダイオ
ードの周辺には例えばN型低濃度の多結晶シリコン層5
が堆積されているため、この部分でのダイオードとして
の耐圧が高くなる。言い換えると、ダイオードに逆方向
の電圧が印加され、特に周辺における界面の電界が顕著
に高くなっていく場合でも、周辺部のヘテロ接合の耐圧
が高いので、周辺での逆方向リーク電流が抑制される。
【0021】実施の形態3 本発明の実施の形態3について図5を用いて説明する。
図5は本発明の実施の形態3における高耐圧炭化珪素ダ
イオードの断面構造を示している。まず、構成について
説明する。本実施の形態3では、例えば高濃度N型の炭
化珪素半導体基板1上には、低濃度N型の炭化珪素エピ
タキシャル領域2が形成されている。炭化珪素基板1と
しては、例えば抵抗率が数mから数10mΩcm、厚さ
が200〜400μm程度のものを用いることができ
る。エピタキシャル領域2としては、例えばN型の不純
物濃度が1015〜1018cm−3、厚みが数〜数1
0μmのものを用いることができる。本実施の形態3に
おいても、一例として炭化珪素基板1上にエピタキシャ
ル領域2を形成した基板で説明するが、抵抗率の大きさ
に関わらず炭化珪素基板1のみで形成された基板を使用
してもかまわない。また、ここで用いられる炭化珪素の
ポリタイプは、4Hが代表的であるが、6H、3C等そ
の他のポリタイプでも構わない。ここまでは実施の形態
1の構成と変わらない。本実施の形態3に特有の構成と
しては、エピタキシャル領域2の表面の一部に溝が形成
され、多結晶シリコン層8が溝14の内部を充填するよ
うに堆積されていることである。図5においては1つの
溝に多結晶シリコンが充填されている場合を例示してい
るが、溝が複数形成されていてもかまわないし、また溝
の側壁もしくは底部の一部にヘテロ接合が形成されてい
れば溝が完全に多結晶シリコンで充填されていなくても
かまわない。また多結晶シリコン層8には例えば不純物
が導入されている。ここでは多結晶シリコン層8はN型
低濃度にドープされているものとして説明を行う。炭化
珪素基板1の裏面側には金属電極4が形成されている。
金属電極4は炭化珪素基板1とオーミック接続されてお
り、金属材料としては、例えばTi(チタン)5000
Åとその上にNi(ニッケル)3000Åを堆積したも
ので構わない。すなわち、本実施の形態3は、前記第一
の半導体基体(エピタキシャル領域2)の第一主面側の
一部に1つもしくは複数の溝を有し、少なくとも前記溝
の底部もしくは側壁に前記ヘテロ接合部101が形成さ
れている。
【0022】次に、基本動作については実施の形態1と
同等であるが、このような構成により、多結晶シリコン
層8と炭化珪素2との接合101が溝14の側壁に沿っ
て形成されているために、炭化珪素の深い部分へもダイ
オードが形成されることである。つまり、実施の形態1
で述べた効果に加え、ヘテロ接合面積を効率よく増やす
ことが容易にできるため、さらに高耐圧ダイオードとし
ての応用範囲が広がるという特有の効果がある。本実施
の形態3の高耐圧炭化珪素ダイオードの製造方法につい
ては図10に示す。図10(a)では例えばN型高濃度
の炭化珪素半導体基板上1にN型低濃度の炭化珪素エピ
タキシャル領域2が形成された半導体基体100を用意
する。同(b)ではエピタキシャル領域2上の一部分に
溝14を開口する工程を示している。ここで表面を清浄
化する工程が行なわれる。同(c)では多結晶シリコン
層15が堆積される工程を示している。同(d)では多
結晶シリコン層15に所望の不純物を導入する工程を示
している。この工程においては、多結晶シリコン層15
の上にさらに堆積された高濃度にドーピングされた堆積
膜から900〜1000℃程度の熱処理により不純物が
多結晶シリコン層15中に拡散導入されても構わない。
またはイオン注入により不純物を直接多結晶シリコン層
15中に導入しても構わない。同(e)では多結晶シリ
コン層15上にマスク材16がパターニングされる工程
を示している。同(f)ではこのマスク材でカバーされ
ていない多結晶シリコン層15の部分がエッチングされ
る工程を示している。さらに同(f)では多結晶シリコ
ン層15上のマスク材16が除去され、半導体基体10
0の裏面に金属電極17が形成される。裏面の金属電極
17と炭化珪素基板1がオーミック接続となるよう、必
要により1000℃程度のRTAが施される。なお、本
実施の形態3における図10(a)〜(f)に示す製造
方法は、前記第一の半導体基体(炭化珪素半導体基体1
00)の第一主面側を清浄する工程の前に、前記第一の
半導体基体(エピタキシャル領域2)の前記第一主面側
の一部に溝部(溝14)を形成する工程を行ない、前記
第一の半導体基体(炭化珪素半導体基体100)の第一
主面側を清浄する工程後、前記第二の半導体層(多結晶
シリコン層8)を前記溝部(溝14)の内部に堆積する
工程を行う。このような構成の製造方法によれば、溝に
沿って高耐圧のダイオードを簡易な工程で形成できる。
なお、前記多結晶シリコン層を堆積する工程の後に、1
300℃以下の熱処理を行う工程は、実施の形態1の図
9(c)や実施の形態3の図10(d)の工程におい
て、多結晶シリコン層3または15の上に堆積され、不
純物が高濃度にドーピングされた堆積膜からの多結晶シ
リコン層3または15への不純物導入工程における90
0〜1000℃程度の熱処理や、裏面の金属電極4また
は17と炭化珪素基板1がオーミック接続となるような
1000℃程度のRTAに対応する。すなわち、接合形
成後にも1300℃程度までの熱処理が可能となり、デ
バイス応用範囲の広いダイオードが形成可能である。
【0023】以上により炭化珪素と多結晶シリコンの接
合を持つダイオードが形成される。本実施の形態3によ
る高耐圧炭化珪素ダイオードの製造方法を用いれば、簡
易な製造工程で高耐圧のダイオードが形成可能であると
いう特有の効果がある。
【0024】以上述べてきた実施の形態1〜3において
は、裏面電極をカソード、多結晶シリコンをアノードと
した2端子のダイオードとして説明してきた。多結晶シ
リコン層の電位を固定するには、さらに該多結晶シリコ
ン層上にオーミック接続となる金属が形成されることが
考えられる。本発明の本質にはあまり影響しないが、具
体的実施の形態としていくつか例をあげておく。図6は
その一例であり、図1の多結晶シリコン層3の上に直接
金属層9が形成されている。この場合、多結晶シリコン
層3と金属層9が直接オーミック接続となるように、多
結晶シリコンが高濃度である必要がある。また、金属層
9が直接炭化珪素に接触することが無いよう、金属層9
の大きさは多結晶シリコン層3より小さくしておく必要
がある。さらに、図7に示すような構成が考えられる。
図7では多結晶シリコン層3の最外周部が酸化膜上に乗
り上げた構成になっている。このような構成において
は、金属層9が直接炭化珪素と接触することが無いの
で、多結晶シリコン層3の大きさに対して金属層9の大
きさを大きくすることが可能である。また、図8に示す
構成も考えられる。図8はダイオードを上面から見た平
面レイアウト図になっており、ダイオードは四角形の多
結晶シリコン層3の直下で形成されている。多結晶シリ
コン層3の形状は円形でも構わない。多結晶シリコン層
3は多結晶シリコン層3のランナー部10により、パッ
ド領域11に直接接続されている。金属層12がパッド
領域11上に形成される。パッド領域11の多結晶シリ
コン層が高濃度になっていれば、金属層12と多結晶シ
リコン層との間で低抵抗なオーミック接続を実現するこ
とが可能である。そのため、実際のデバイスにおいて、
あるダイオード領域と離れた部分で金属層12と多結晶
シリコン層がオーミック接続されるため、ダイオード部
である多結晶シリコン層3の不純物濃度は所望の濃度に
自由に設定することが可能になる。なお、図8の構成で
は、細いランナー部10にしているが、ダイオードの用
途として大きな電流を流す必要がある場合には太くして
おくか、別の金属で裏打ちをしておけば良い。
【0025】実施の形態4 図16は、本発明の第4の実施の形態を示している。図
16は、図6で例示した、低濃度N型炭化珪素エピタキ
シャル領域2と多結晶シリコン層3が接触し、かつ多結
晶シリコン層3の上に第一の表面電極9が形成された部
分に対応した断面図である。前記図6との相違点は、炭
化珪素半導体基体100中に、多結晶シリコン層3が形
成されているヘテロ接合101の近傍に例えばP型炭化
珪素からなる電界緩和領域22が形成されており、その
P型炭化珪素からなる電界緩和領域22は多結晶シリコ
ン層3の近傍に配置されている。また、電界緩和領域2
2は所定の間隔で配置されている。すなわち、低濃度N
型炭化珪素エピタキシャル領域2の第一主面に接するよ
うに電界緩和領域22を有し、電界緩和領域22は前記
第二の半導体層の周辺に配置されている。本実施の形態
においては、電界緩和領域22をP型炭化珪素で形成し
た場合を例示しているが、酸化ケイ素等の誘電体材料を
配置しても以下で説明する効果を得ることができる。
【0026】なお、電界緩和領域22をP型炭化珪素で
形成する場合には、低濃度N型炭化珪素エピタキシャル
領域2へ高エネルギーのイオン注入によりP型不純物導
入をすることで形成することになるが、このP型不純物
導入によるリーク電流の増加は生じない。これは、高エ
ネルギーのイオン注入によって炭化珪素に欠陥が発生す
るものの、形成した高耐圧ダイオードを流れる電流経路
(多結晶シリコン層3と低濃度N型炭化珪素エピタキシ
ャル領域2との接触部分)とは異なる部分にしか炭化珪
素の欠陥が発生しないためである。
【0027】次に、動作について説明する。例えば第一
の表面電極9を接地電位とし、裏面金属電極4に正電位
を印加した所謂ダイオードの逆バイアス状態において
は、低濃度N型の炭化珪素エピタキシャル領域2には多
結晶シリコン層3との接合101界面から空乏層が伸張
するとともに、電界緩和領域22とのPN接合界面から
も空乏層が伸張する。このとき、低濃度N型炭化珪素エ
ピタキシャル領域2を挟んで対面する電界緩和領域22
同士の距離が小さい場合、それぞれの電界緩和領域22
から伸びた空乏層によって、多結晶シリコン層3と接す
る低濃度N型炭化珪素エピタキシャル領域2が空乏化さ
れる。すなわち、図6で示した第3の実施の形態に比べ
て、接合101界面にかかる電界を電界緩和領域22か
ら伸びた空乏層によって緩和することができるため、逆
バイアス状態における漏れ電流を低減し、さらに遮断性
を向上することができる。
【0028】なお、図16では電界緩和領域22が接合
101面にて多結晶シリコン層3と全面接触している例
を示しているが、例えば図17に示すように電界緩和領
域22の一部が第一の表面電極と接触していれば、電界
緩和領域22の電位はほぼ第一の表面電極9の電位に固
定されるため、より安定した電界緩和効果が発揮され
る。また、図16および図17で例示した実施の形態に
おいては、多結晶シリコン層3が電界緩和領域22と接
している例を示したが、多結晶シリコン層3が電界緩和
領域22とは接していなくても上記と同様の効果を有す
る。
【0029】実施の形態5 図18は、本発明の第5の実施の形態を示しており、図
17で例示した構造に対応する断面図である。図17と
の相違点は、電界緩和領域22に接して、低濃度N型炭
化珪素エピタキシャル領域2には接しないように、多結
晶シリコン層3並びに第一の表面電極9と接触した高濃
度多結晶シリコン層23が形成されている点である。高
濃度多結晶シリコン層23は多結晶シリコン層3より不
純物濃度が高く、第一の表面電極9とはオーミック接続
している。すなわち、電界緩和領域22が前記第二の半
導体層と接しており、かつ、電界緩和領域22と接する
一部の前記第二の半導体層の不純物濃度が他の部分に比
べて高くなっている。
【0030】次に、動作について説明する。例えば第一
の表面電極9を接地電位とし、裏面金属電極4に正電位
を印加した所謂ダイオードの逆バイアス状態において、
低濃度N型炭化珪素エピタキシャル領域2には多結晶シ
リコン層3との接合101界面から空乏層が伸張すると
ともに、電界緩和領域22とのPN接合界面からも空乏
層が伸張する。このとき、本実施の形態5においては、
高濃度多結晶シリコン層23が炭化珪素エピタキシャル
領域2には接しないように形成されているため、高濃度
多結晶シリコン層23には逆バイアス時の電界が直接か
からないようになっている。つまり、上記実施の形態1
から実施の形態4で例示した場合と同様に、接合101
での耐圧を維持したまま、第一の表面電極9と多結晶シ
リコンがオーミック接続している。このことから、ロー
カルな不純物種類もしくは不純物濃度の打ち分けで、容
易に製造工程で順方向導通時の抵抗を低減することがで
きる。
【0031】実施の形態6 図19は、本発明の第6の実施の形態を示しており、図
1で例示した構造に対応する断面図である。図1との相
違点は、エピタキシャル領域2に接して多結晶シリコン
層3に接しないように第二の表面電極24が形成されて
おり、多結晶シリコン層3をアノード、第二の表面電極
24をカソードとした横型のダイオードの場合を示して
いる。すなわち、前記第一の半導体基体の第一主面側に
前記第二の半導体層との接合を有し、さらに、前記第二
の半導体層とは接しないように、前記第一の半導体基体
の第一主面側に金属電極が形成されている。
【0032】動作については、実施の形態1で説明した
図1の縦型ダイオードと同様であり、第二の表面電極4
をカソード、多結晶シリコン層3をアノードとして両方
の間に電圧を印加すると、多結晶シリコン層3と炭化珪
素エピタキシャル領域2の接合界面において整流作用が
生じ、ダイオード特性が得られる。つまり、本実施の形
態のように横型のダイオードの構成としても上記実施の
形態1から実施の形態5で例示した構成を実現すること
が可能であり、それぞれと同様の動作並びに効果を得る
ことができる。また、本実施の形態のような横型ダイオ
ードとすることで、同一基板上に不純物種類や不純物濃
度を変えた多結晶シリコン層3を複数形成することや、
同一基板上に他のデバイス構成と併せて複数の構成を形
成する所謂インテリジェント化が可能となり、その応用
範囲を広げることができる。
【0033】上記実施の形態4から実施の形態6におい
ても、炭化珪素のポリタイプは4Hタイプ、6H、3C
等その他のポリタイプでも構わないし、第二の半導体層
として多結晶シリコンを用いて説明しているが、炭化珪
素とヘテロ接合を形成する半導体材料であればどの材料
でもかまわない。さらに、上記実施の形態4から実施の
形態6においても、低濃度N型炭化珪素エピタキシャル
領域2としてN型の炭化珪素を、多結晶シリコン層3と
してN型の多結晶シリコンを用いて説明しているが、N
型の炭化珪素とP型の多結晶シリコン、P型の炭化珪素
とP型の多結晶シリコン、P型の炭化珪素とN型の多結
晶シリコン、さらにはノンドープ多結晶シリコンを用い
た場合の如何なる組み合わせでもよい。
【0034】また、本実施の形態1から本実施の形態6
において、第一の半導体基体として炭化珪素半導体基体
を一例に説明してきたが、炭化珪素以外にもシリコン、
ガリウムヒ素、ガリウムナイトライド、ダイヤモンドな
どの高耐圧ダイオードを形成可能な半導体材料を用いて
もよい。
【0035】以上本発明を実施の形態に基づいて具体的
に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変
更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のデバイスの断面構造図
【図2】本発明の実施の形態1における他の構成を有す
るデバイスの断面構造図
【図3】本発明の実施の形態2のデバイスの断面構造図
【図4】本発明の実施の形態2における他の構成を有す
るデバイスの断面構造図
【図5】本発明の実施の形態3のデバイスの断面構造図
【図6】本発明の各実施の形態に共通した電極形成方法
を示す断面構造図
【図7】本発明の各実施の形態に共通した電極形成方法
を示す断面構造図
【図8】本発明の各実施の形態に共通した電極形成方法
を示す平面レイアウト図
【図9】本発明の実施の形態1、2における製造方法を
示す断面構造図
【図10】本発明の実施の形態3における製造方法を示
す断面構造図
【図11】本発明の動作原理を説明するエネルギーバン
ド図
【図12】本発明のN型高濃度多結晶シリコンと炭化珪
素の接合のエネルギーバンド図
【図13】本発明のN型高濃度多結晶シリコンと炭化珪
素の接合のエネルギーバンド図
【図14】本発明のN型低濃度多結晶シリコンと炭化珪
素の接合のエネルギーバンド図
【図15】実験結果で得られたダイオードの逆方向I−
V特性図
【図16】本発明の第4の実施の形態を示す断面図
【図17】本発明の第4の別の実施の形態を示す断面図
【図18】本発明の第5の実施の形態を示す断面図
【図19】本発明の第6の実施の形態を示す断面図
【図20】本発明の第3の別の実施の形態を示す断面図
【符号の説明】
1…高濃度N型炭化珪素基板 2…低濃度N型炭化珪素エピタキシャル領域 3…多結晶シリコン層 4…裏面金属電極 5…多結晶シリコン層 6…一部が酸化膜上に乗り上げた多結晶シリコン層 7…酸化膜 8…溝内部の多結晶シリコン層 9…第一の表面電極 10…多結晶シリコン層のランナー 11…パッド接続用の多結晶シリコン領域 12…パッド電極 13…マスク材 14…溝(トレンチ) 15…多結晶シリコン層 16…マスク材 17…金属電極 18…真空準位 19…障壁 20…電子 21…障壁 22…電界緩和領域 23…高濃度多結晶シリコン層 24…第二の金属電極 25…多結晶シリコン層(下層側) 26…多結晶シリコン層(上層側) 100…炭化珪素半導体基体 101…ヘテロ接合
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 秀明 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 星 正勝 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 クライソン トロンナムチャイ 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 三原 輝儀 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 林 哲也 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4M104 AA01 AA03 AA04 AA05 AA07 AA10 BB01 BB14 BB39 CC01 CC03 DD23 DD79 DD80 DD81 FF01 FF02 FF10 FF11 FF27 FF35 GG02 GG03 GG18 HH18

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一の半導体基体と、前記第一の半導体基
    体とはバンドギャップの異なる第二の半導体層からなる
    ヘテロ接合を有することを特徴とする高耐圧ダイオー
    ド。
  2. 【請求項2】前記第一の半導体基体が炭化珪素半導体基
    体から成ることを特徴とする請求項1記載の高耐圧ダイ
    オード。
  3. 【請求項3】前記第二の半導体層が単結晶シリコン、ア
    モルファスシリコン、多結晶シリコンの少なくともいず
    れかであることを特徴とする請求項1または2記載の高
    耐圧ダイオード。
  4. 【請求項4】前記第一の半導体基体の第一主面側に前記
    第二の半導体層とのヘテロ接合を有し、前記第一主面と
    対向する前記第一の半導体基体の第二主面側に金属電極
    が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載
    の高耐圧ダイオード。
  5. 【請求項5】前記第一の半導体基体の第一主面側に前記
    第二の半導体層とのヘテロ接合を有し、さらに、前記第
    二の半導体層とは接しないように、前記第一の半導体基
    体の第一主面側に金属電極が形成されていることを特徴
    とする請求項1乃至3記載の高耐圧ダイオード。
  6. 【請求項6】前記第二の半導体層中に少なくとも不純物
    種類もしくは不純物濃度の異なる領域を持つことを特徴
    とする請求項1乃至5記載の高耐圧ダイオード。
  7. 【請求項7】前記第二の半導体層中の不純物種類もしく
    は不純物濃度が中心部と周辺部とで異なり、少なくとも
    前記周辺部のヘテロ接合における耐圧が前記中心部のヘ
    テロ接合における耐圧に比べ大きくなるべく形成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至6記載の高耐圧ダイ
    オード。
  8. 【請求項8】前記第一の半導体基体の第一主面側の一部
    に1つもしくは複数の溝を有し、少なくとも前記溝の底
    部もしくは側壁に沿って前記ヘテロ接合が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至7記載の高耐圧ダイオ
    ード。
  9. 【請求項9】前記第一主面に接するように電界緩和領域
    を有し、前記電界緩和領域は前記ヘテロ接合の周辺もし
    くは前記ヘテロ接合接するように配置されていることを
    特徴とする前記請求項1乃至8記載の高耐圧ダイオー
    ド。
  10. 【請求項10】前記電界緩和領域が前記第二の半導体層
    と接しており、かつ、前記電界緩和領域と接する一部の
    前記第二の半導体層の不純物濃度が他の部分に比べて高
    いことを特徴とする請求項9記載の高耐圧ダイオード。
  11. 【請求項11】請求項1乃至10のいずれかに記載の高
    耐圧ダイオードの製造方法において、前記第一の半導体
    基体の第一主面側を清浄する工程と、前記第一主面上に
    多結晶シリコン層を堆積する工程と、前記多結晶シリコ
    ン層に不純物を導入する工程と、前記多結晶シリコン層
    を選択的にエッチングする工程とを有することを特徴と
    する高耐圧ダイオードの製造方法。
  12. 【請求項12】前記多結晶シリコン層を堆積する工程の
    後に、1300℃以下の熱処理を行う工程を有すること
    を特徴とする請求項11記載の高耐圧ダイオードの製造
    方法。
  13. 【請求項13】前記第一の半導体基体の第一主面側を清
    浄する工程の前に、前記第一の半導体基体の前記第一主
    面側の一部に溝部を形成する工程を行ない、前記第一の
    半導体基体の第一主面側を清浄にする工程後、前記多結
    晶シリコン層を前記溝部の内部に堆積する工程を行うこ
    とを特徴とする請求項11または12記載の高耐圧ダイ
    オードの製造方法。
  14. 【請求項14】前記不純物を導入する工程において、高
    濃度にドープされた堆積膜からの不純物導入、イオン注
    入による不純物導入、または気相からの不純物導入によ
    り選択的に行われ、前記多結晶シリコン層の所望の領域
    に異なる種類もしくは濃度の不純物を導入することを特
    徴とする請求項11乃至13記載の高耐圧ダイオードの
    製造方法。
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