Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP2003238205A - 薄膜形成方法およびその方法で形成した薄膜を備える基体 - Google Patents

薄膜形成方法およびその方法で形成した薄膜を備える基体

Info

Publication number
JP2003238205A
JP2003238205A JP2002293095A JP2002293095A JP2003238205A JP 2003238205 A JP2003238205 A JP 2003238205A JP 2002293095 A JP2002293095 A JP 2002293095A JP 2002293095 A JP2002293095 A JP 2002293095A JP 2003238205 A JP2003238205 A JP 2003238205A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
metal
film
metal oxide
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002293095A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4315363B2 (ja
Inventor
Akira Fujisawa
章 藤沢
Yukio Sueyoshi
幸雄 末吉
Masahiro Hirata
昌宏 平田
Toru Yamamoto
透 山本
Koichiro Kiyohara
康一郎 清原
Kiyotaka Ichiki
聖敬 市來
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2002293095A priority Critical patent/JP4315363B2/ja
Priority to US10/497,367 priority patent/US8093490B2/en
Priority to EP02788704.1A priority patent/EP1462541B1/en
Priority to PCT/JP2002/012620 priority patent/WO2003048411A1/ja
Publication of JP2003238205A publication Critical patent/JP2003238205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4315363B2 publication Critical patent/JP4315363B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱分解法を利用して広い面積に結晶性金属酸
化物薄膜を短時間で形成しても、薄膜の厚さが比較的均
一となる形成方法を提供する。さらには、その薄膜を備
える基体の白濁を防止する、ならびにその薄膜上に形成
される機能性膜に欠点が生じないようにする方法を提供
する。 【解決手段】 基体上に金属含有粒子を配置した後、熱
分解法により金属の塩化物を原料として結晶性金属酸化
物の薄膜を形成する方法。基体上に、熱分解法により金
属の塩化物を原料として、金属含有薄膜と結晶性金属酸
化物薄膜とを形成する方法であって、金属含有薄膜の成
膜速度が結晶性金属酸化物薄膜の成膜速度より遅く、金
属含有薄膜上に結晶性金属酸化物薄膜を直接形成する方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガラス板などの
表面に、熱分解法により結晶性の金属酸化物を主成分と
する薄膜を形成する方法に関する。さらには、この方法
により形成された薄膜を備える基体に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化スズなどの金属酸化物を含む薄膜
は、赤外線反射機能を有する。この薄膜を備えるガラス
板は、全太陽エネルギーの透過率を低下させ、かつ、室
内の熱を屋外に逃がさないので、低放射率ガラスとして
広く市販されている。また、この薄膜は、電磁遮蔽機能
も発揮することができる。このようなガラス板の製造方
法として、高温のガラス表面に化学気相法(CVD法)
または溶液原料もしくは固体原料を噴霧するスプレー法
などの熱分解法を利用して金属化合物の薄膜を形成する
方法が知られている。たとえば、特許文献1には、有機
スズ化合物、フッ化水素、酸素および水を含む気体反応
混合物を高温のガラス表面に供給して酸化スズの薄膜を
形成する方法が記載されている。また、特許文献2に
は、有機スズ化合物の蒸気を、フロート製法におけるフ
ロートバス内のガラスリボン表面に供給して、酸化スズ
の薄膜を形成する方法が記載されている。これら特許公
報に記載の有機スズ化合物を薄膜の原料として使用した
場合、薄膜の厚さを均一に揃え易いという利点がある。
しかしながら、有機スズ化合物は、トリブチルスズ化合
物などのように環境負荷が大きいため、近年では有機ス
ズ化合物に変わる原料の使用が望まれている。一方で、
熱分解法における酸化スズの薄膜の原料としては、塩化
スズが従来から広く使われてきた。たとえば、特許文献
3には、CVD法において塩化第二スズからなる第一の
流れと水蒸気からなる第二の流れとを乱流状態でガラス
上に供給する被膜の形成方法が記載されている。また、
特許文献4には、CVD法において、塩化第二スズと水
とをプレミックスして層流でガラス基板上に供給するこ
とにより、酸化スズの薄膜を均一に成膜する方法が記載
されている。
【0003】このような熱分解法を利用した金属酸化物
を含む薄膜の形成方法は、スパッタリング法などの物理
蒸着法と比べて、膜厚を均一にすることが困難である点
で劣るが、広い面積に比較的均一な厚さの薄膜を短時間
で形成することができるので、工業製品の大量生産には
適した方法である。熱分解法においては、薄膜の原料の
組成成分などにより状況は多少異なるが、一般に反応系
の温度が高いほど成膜速度が速くなる。したがって、工
業的生産工程においては、薄膜の形成温度は高いほど好
ましいように思われる。
【0004】
【特許文献1】特表平11−509895号公報
【特許文献2】特公平6−47482号公報
【特許文献3】特開平2−175631号公報
【特許文献4】特開平9−40442号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記熱分解
法において、金属酸化物が結晶性の場合は、薄膜の形成
がすなわち結晶成長であるので、薄膜が形成される基体
などの表面の状態により、薄膜の結晶成長の状態が著し
く変化する。つまり、基体における薄膜が形成される面
に結晶成長の起点となるものが多く存在すれば、多くの
点から結晶成長が始まるので、その結晶成長すなわち薄
膜の厚さは比較的均一なものとなる。一方で、その面に
結晶成長の起点となるものが少なければ、反応性の早い
原料を使った場合には、結晶核が生成する前に一つ一つ
の結晶が大きく成長するため、膜厚のバラツキが大きく
なる。さらに、結晶が成長し難くなって、成膜速度が遅
くなる。そして、この成膜速度の遅れを補完するため、
薄膜の形成温度を高めれば、さらに膜厚のバラツキが大
きくなる。たとえば、特許文献3の実施例には、ガラス
温度580℃で塩化第二スズを使って酸化スズの薄膜を
形成することが記載されている。この条件で酸化スズの
薄膜を形成した場合、成膜速度が遅い以外は薄膜の性能
上の問題は生じないが、本発明者らが追加実験を行った
ところ、ガラス温度を615℃にまで上げて薄膜を形成
すると、ガラス表面が白濁してみえるようになった。こ
の白濁状態の部分を電子顕微鏡で観察したところ、直径
2μmにも達する巨大結晶粒と、その横に結晶粒が存在
しない部分とが観察された。これは、ガラス表面上に結
晶核が均一に生成する前に、初めに生成した核が急激に
成長して、ガラス表面に大きな凹凸が形成され、巨視的
にはヘイズ率が非常に高くなったからであると考えられ
る。
【0006】また、特許文献4の実施例25には、フロ
ート法によるガラス板の製造工程において、CVD法を
用いてガラスリボン上に酸化ケイ素の下地膜を成膜し、
つづけて成膜速度6,234nm/minで酸化スズの薄膜を
形成したと記載されている。しかし、酸化ケイ素の下地
膜は表面が極めて平滑であるから、そこに何の処理も施
すことなく成膜速度6,234nm/minもの速さで酸化ス
ズの薄膜を成膜すると、巨大結晶粒が生成し、白濁が生
じることは明らかである。ちなみに、特許文献4には、
実施例25のガラス基板の表面状態についての記載はな
い。
【0007】この発明は、上記のような問題点に着目し
て完成されたものである。その目的とするところは、熱
分解法を利用して広い面積に結晶性金属酸化物薄膜を短
時間で形成しても、前記薄膜の厚さが比較的均一となる
形成方法を提供することにある。さらには、前記薄膜を
備える基体の白濁を防止する、ならびにその薄膜上に形
成される機能性膜に欠点が生じないようにすることにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明の薄膜形成方法は、基体上
に金属含有粒子を配置した後、熱分解法により金属の塩
化物を原料として結晶性金属酸化物の薄膜を形成するも
のである。
【0009】請求項2に記載の発明の薄膜形成方法は、
基体上に、熱分解法により金属の塩化物を原料として、
金属含有薄膜と結晶性金属酸化物薄膜とを形成する方法
であって、金属含有薄膜の成膜速度が結晶性金属酸化物
薄膜の成膜速度より遅く、金属含有薄膜上に結晶性金属
酸化物薄膜を直接形成するものである。
【0010】請求項3に記載の発明の薄膜形成方法は、
請求項1または2に記載の発明において、結晶性金属酸
化物薄膜の原料として、金属の四塩化物を使用するもの
である。
【0011】請求項4に記載の発明の薄膜形成方法は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、結
晶性金属酸化物薄膜の酸化原料として、水蒸気を使用す
るものである。
【0012】請求項5に記載の発明の薄膜形成方法は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、結
晶性金属酸化物薄膜の成膜速度が3,500nm/min以上
であるものである。
【0013】請求項6に記載の発明の薄膜形成方法は、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、基
体がフロート法におけるガラスリボンであって、結晶性
金属酸化物薄膜をフロートバス内で形成するものであ
る。
【0014】請求項7に記載の発明の薄膜形成方法は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、基
体がアルカリ成分を含有するガラスまたはガラスリボン
であって、金属含有粒子を配置する前に、または金属含
有薄膜を形成する前に、酸化ケイ素を主成分とする下地
膜を形成するものである。
【0015】請求項8に記載の発明の薄膜形成方法は、
請求項7に記載の発明において、下地膜の表面が平坦で
ないものである。
【0016】請求項9に記載の発明の薄膜形成方法は、
請求項8に記載の発明において、結晶性金属酸化物薄膜
の成膜速度が6,300nm/min以上であるものである。
【0017】請求項10に記載の発明の基体は、請求項
1〜9のいずれか1項に記載の方法で薄膜形成したもの
である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、詳細に説明する。なお、以下の実施の形態に限定
するものではない。
【0019】この発明は、基体上に熱分解法を用いて結
晶性金属酸化物薄膜を形成する方法であって、前記薄膜
の原料として金属の塩化物を使用し、基体上の前記薄膜
を形成する面に、予め金属含有粒子を配置するか、ある
いは前記薄膜に接するように予め結晶性金属酸化物薄膜
よりも遅い成膜速度で金属含有薄膜を形成することを特
徴とする。ここで、「金属含有粒子」とは、亜鉛、ジル
コニウム、インジウム、スズもしくはチタンなどの金属
を含有するものであって、粒径がナノメートルからサブ
ミクロンメートルオーダーの塊を指す。金属含有粒子
は、窒化物、酸化物、酸窒化物もしくは錯体のいずれで
あってもよく、またその形状もとくに限定されるもので
はない。「金属含有薄膜」とは、熱分解法により金属の
塩化物を原料として形成される薄膜であって、その膜物
質として金属が存在するものをいう。膜物質として存在
する金属とは、前記金属含有粒子であってもよいし、薄
膜の組成成分として包含されるものでもよい。また、
「結晶性金属酸化物薄膜」とは、酸化スズまたは酸化チ
タンなどの結晶性を有する金属酸化物を主成分とする薄
膜をいう。「主成分」とは、慣用に従い、組成成分の含
有率が50質量%以上であることをいう。薄膜の特性
は、主成分によって凡そ定まるので、主成分を以って薄
膜の特性を判断することが妥当と考えられる。
【0020】本発明者らは、基体の表面状態により結晶
性金属酸化物薄膜の結晶成長の状態が変化することに着
目して鋭意研究を重ねた結果、結晶性金属酸化物薄膜の
形成前に、基体上に予め結晶成長の起点となりうるもの
を存在させておくことにより、金属酸化物の結晶成長を
薄膜全体で比較的均一にできることを見出した。この結
晶成長の起点となりうるものが、上記金属含有粒子また
は金属含有薄膜である。これらが存在することにより、
金属酸化物の結晶成長の起点が飛躍的に増加し、多数の
個所からほぼ同時に結晶成長が始まるため、結晶性金属
酸化物薄膜の巨大結晶粒の生成が抑制され、その結果前
記薄膜の厚さが比較的均一になる。
【0021】結晶性金属酸化物薄膜は、一般にその形成
温度が高いほど結晶成長速度すなわち成膜速度が速くな
るため、工業的生産効率の観点からすれば、その形成温
度は高いほど好ましいことになる。しかしそうすると、
結晶性金属酸化物薄膜の厚さが著しく不均一になり、基
体が透明であれば白濁などの外観上の問題が、その上に
機能性膜を形成する場合はピンホールと呼ばれる粒状の
欠点の生成など性能上の問題が生じる。一方で、結晶性
金属酸化物薄膜の形成温度を低くすれば、成膜速度は遅
くなるものの、その膜厚は比較的均一になるという利点
がある。したがって、形成温度が高い場合の利点と、形
成温度が低い場合の利点とを組み合わせる手段が見出せ
れば、結晶性金属酸化物薄膜の成膜速度を高く保ちつ
つ、その膜厚を比較的均一にできることになる。本発明
者らは、このような手段について鋭意検討した結果、こ
の発明に想達した。この発明は、結晶性金属酸化物薄膜
の成膜速度が速い場合、とくに反応系の温度が高い場合
に、ピンホールおよび白濁状態の面積が広がることを効
果的に抑制する。
【0022】金属含有粒子は、基体上に存在してそこに
凸部を構成し、結晶成長の起点として機能する。また、
金属含有薄膜は、金属含有粒子を含有する場合は、薄膜
表面に前記粒子に由来する凸部を備えるので、同粒子を
含有しない場合は、薄膜の構成成分として含有される金
属が結晶性の金属酸化物を誘引して結晶成長を促進する
ので、結晶成長の起点として機能する。
【0023】金属含有粒子は、結晶成長の核として機能
し、かつ、結晶性金属酸化物薄膜の巨大結晶粒の発生を
抑制するために、その平均粒径は5〜500nmである
ことが好ましい。また、金属含有粒子を基体上に配置す
る方法は、とくに限定されるものではないが、基体上で
均一に、かつ、重畳させないために、高温加熱した基体
に対して粉末スプレー法で定着させる方法が好ましい。
金属含有粒子は、基体上で単層の最密充填構造をとるこ
とが望ましいが、結晶成長の核として機能すればよいこ
とから、粒子間に多少の隙間があってもかまわない。こ
の粒子間の隙間が100μm以下であれば、結晶性金属
酸化物薄膜の均一化に寄与できる。
【0024】金属含有粒子の金属ないし金属含有薄膜の
金属と、結晶性金属酸化物薄膜の金属とは、異種の金属
でもよいが、同種の金属であることが好ましい。これら
が同種の金属であれば、結晶成長がより誘導されるの
で、金属含有粒子の粒径を小さくまたは少なく、あるい
は金属含有薄膜におけるその金属の含有率を下げること
ができる。たとえば、金属含有薄膜としてルチル構造を
示す酸化スズまたは酸化チタンからなる薄膜を形成する
場合には、結晶性金属酸化物薄膜に同じルチル構造をと
る酸化スズまたは酸化チタン、あるいはルチル構造とよ
く似た構造であるアナターゼ構造の酸化チタンからなる
薄膜を形成することが望ましい。
【0025】金属含有薄膜は、基体上に直接形成しても
よいし、基体上に下地膜を設け、その上に形成してもよ
い。この下地膜は、たとえば基体がガラスの場合、ガラ
スに含まれるアルカリ成分が金属含有薄膜および結晶性
金属酸化物薄膜に熱拡散することを防止するために設け
られる、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素
または酸炭化ケイ素などを主成分とする緻密な薄膜であ
ってもよいし、あるいは基体と金属含有薄膜との付着強
度が低い場合、基体と金属含有薄膜とのどちらの成分も
含有してその親和力によって付着強度を高めるバッファ
層であってもよい。この下地膜が存在することにより、
金属含有薄膜ないし結晶性金属酸化物薄膜は、基体に十
分な強度で付着することができ、かつ、その特性が劣化
し難くなる。
【0026】また、下地膜は1層でもよいし、2層で構
成されていてもかまわない。たとえば、下地膜が2層で
構成される場合、基体に近い方の第1層には厚さ20〜
80nmの酸化スズもしくは酸化チタンを主成分とする
薄膜を、第2層には同程度の厚さの酸化ケイ素もしくは
酸化アルミニウムを主成分とする薄膜を用いることが好
ましい。このような2層構成にすることにより、結晶性
金属酸化物薄膜の干渉色を低減させることができる。
【0027】第1下地層が酸化スズまたは酸化チタンを
主成分とする薄膜である場合、これらは結晶性の薄膜で
あるため、その表面には微小な凹凸が形成される。基体
がアルカリ成分を含有するガラスである場合、第1下地
層を熱分解法で形成する際に、金属の塩化物を原料とし
て利用すれば、原料の熱分解に伴ってアルカリ塩化物の
粒子を発生させることができる。この粒子を第1下地層
中に取り込むことにより、第1下地層に突出した凸部を
形成でき、あるいは発生した粒子を熱で消失させること
により、第1下地層に大きな凹部を形成することができ
る。第1下地層の表面凹凸、ならびに前記凸部および前
記凹部は、酸化ケイ素などの非晶質の第2下地層の表面
形状にそのまま反映される。この第2下地層の表面形状
は、金属含有粒子もしくは金属含有薄膜が結晶性金属酸
化物薄膜の結晶成長の起点として機能するように、金属
含有薄膜の結晶成長の起点として機能しうる。すなわ
ち、下地膜の表面が平坦でなければ、金属含有薄膜の成
膜速度を速めることができる。ここで、「下地膜の表面
が平坦でない」とは、ガラス板に直接非晶質の下地膜を
形成した場合と明らかに区別できる状態を指し、具体的
には下地膜の表面に1nm以上の振幅があることをい
う。
【0028】一方で、基体がガラスであっても、アルカ
リ成分を含有しないアルミノシリケートガラス、ホウケ
イ酸ガラスまたは石英ガラスなどであれば、下地膜は必
ずしも要求されない。ただし、上記のようにアルカリ成
分の拡散防止以外の目的で下地膜が必要な場合もあり、
アルカリ成分を含有しないガラスに下地膜を設けること
を排除するものではない。
【0029】アルカリ成分を含有しないガラスは、アル
カリ成分を含有するソーダライムガラスよりもガラス転
移点などの熱特性が高く、より高温での結晶性金属酸化
物薄膜の形成が可能である。また、基体であるガラスは
非晶質のためその表面は平滑であり、酸化ケイ素を主成
分とする下地膜も非晶質で、その表面は平滑である。平
滑な表面上には、結晶成長の起点となる凸部が存在しな
いため、金属含有粒子を配置し、あるいは金属含有薄膜
を形成して、結晶成長の起点を設ける必要がある。した
がって、この発明は、アルカリ成分を含有しないガラス
基体上またはその上の非晶質の下地膜上に、結晶性金属
酸化物薄膜を形成する場合に、その効果がとくに有効に
発揮される。
【0030】金属含有薄膜の形成方法は、熱分解法であ
ればとくに限定されるものではなく、たとえばCVD法
または溶液原料を加熱した基体に噴霧する溶液スプレー
法などが挙げられる。金属含有薄膜と結晶性金属酸化物
薄膜との形成方法が同じであれば、これらを一連の工程
で短時間に形成できるので、工業的生産効率の点からす
れば、これらを同一の方法で形成することが好ましい。
【0031】金属含有薄膜は、結晶性金属酸化物薄膜の
結晶成長の起点として機能しなければならないので、基
体または下地膜表面にムラなく、望ましくはその表面に
一定間隔で凸部を備えて、形成される必要がある。その
ため、金属含有薄膜の成膜速度は、結晶性金属酸化物薄
膜の成膜速度よりも遅くなる。具体的には、20〜2,
500nm/minの成膜速度が好ましい。ただし、成膜速度
が600nm/minを超える場合は、下地膜(第2下地層)
の表面に凹凸が形成されている方が好ましい。
【0032】金属含有薄膜の成膜速度を結晶性金属酸化
物薄膜の成膜速度より遅くする手段としては、基体また
は下地膜の表面温度を低めに設定して金属含有薄膜を形
成し、その後再度加熱してから結晶性金属酸化物薄膜を
形成する手段、あるいは反応性の低い原料を使用する手
段などが例示される。ただし、フロート法におけるガラ
スリボン上に連続的に下地膜、金属含有薄膜および結晶
性金属酸化物薄膜をCVD法により形成する場合は、金
属含有薄膜形成時の反応系温度の方が、結晶性金属酸化
物薄膜形成時の反応系温度よりも高くなる。この場合、
結晶性金属酸化物薄膜の反応系温度の方を高くするため
に、金属含有薄膜の形成後にバーナーなどを用いてガラ
スリボンを再加熱することも考えられるが、そうすると
ガラスリボンに温度ムラが生じて、ガラスの形成性が損
なわれるおそれがある。そこでこの場合は、原料の種類
を変えて反応性を低下させる、または金属含有薄膜を薄
くして、成膜速度を低下させることが望ましい。なお、
金属の塩化物としては、環境負荷を軽減するために、塩
化第一スズ、塩化第二スズ、塩化チタン、塩化亜鉛また
は塩化インジウムなど有機物を含有しないものが好適で
ある。
【0033】金属含有薄膜は、金属含有粒子を含有する
ものでもよく、またその組成成分として金属を含有する
ものでもよい。たとえば、CVD法において酸化スズや
酸化チタンなどの結晶性の金属酸化物を主成分とする薄
膜を形成した場合、その薄膜には、他の部分と明らかに
区別できる凸部が形成される場合もあるが、薄膜の表面
に微小な凹凸が形成され、その凹凸の頂点を凸部と解釈
する場合もある。つまり、金属含有粒子について万人が
認める凸部といえるのか、容易に判断できないこともあ
る。この発明では、金属含有薄膜が結晶成長の起点とし
て機能すればよく、表面凹凸の頂点か凸部か明確に区別
できなくても、前記機能を満足する限り、そのこと自体
は大きな問題ではない。また、金属含有薄膜の表面に明
確な凸部が形成されなくても、結晶性金属酸化物薄膜の
結晶成長を誘引できる場合は、その結晶成長の起点とし
て機能しうる。
【0034】また、CVD法で金属含有薄膜を形成する
場合、その原料となる混合ガス中における金属含有ガス
の濃度を下げると、成膜速度を速く、かつ、膜厚を厚く
しても、白濁を生じないことが確認された。これは、金
属含有ガスの濃度を下げれば、高濃度の金属含有ガスが
局所的に滞留することによって生じる急激な結晶成長が
抑制されるからであると考えられる。
【0035】金属含有薄膜は、厚さが10〜250nm
で、その表面に高さ10〜200nmの凸部が多数形成
された状態が好ましい。厚さが10nm未満の場合は、
下地膜が完全に覆われないおそれがあり、一方250n
mを超えると、凸部が大きく、かつ、高くなりすぎて、
結晶性金属酸化物薄膜に巨大結晶粒が生成するおそれが
高くなる。金属含有薄膜のさらに好ましい厚さは、30
〜200nmである。
【0036】上記の手段により、金属含有粒子を配置
し、または金属含有薄膜を形成した後、熱分解法を用い
て結晶性金属酸化物薄膜を形成する。結晶性金属酸化物
薄膜は、金属含有粒子または金属含有薄膜の存在によ
り、多数の起点から結晶成長が始まるので、その膜厚に
バラツキが生じ難い。したがって、この発明の方法によ
れば、結晶性金属酸化物薄膜の成膜速度を速くしても、
巨大結晶粒が生成されないので、生産効率を高めつつ、
欠陥のない高品質な薄膜を形成することができる。
【0037】結晶性金属酸化物薄膜の原料である金属の
塩化物は、基体近傍において気体状態であることが望ま
しい。したがって、基体近傍まで供給する途中経路で
は、液体状態であってもかわまない。すなわち、金属の
塩化物を含有する媒体を気体状態で供給するCVD法が
望ましいが、途中経路が液体である溶液スプレー法であ
っても、固体状態である粉末スプレー法であってもかま
わない。また、CVD法においては、気体状態の金属の
塩化物と酸化原料などとが基体近傍で反応するように、
個々の原料を別々の経路で供給することが望ましい。一
方、原料を供給経路途中でプレミックスする場合には、
低い形成温度で結晶性金属酸化物薄膜の広い面積に白濁
状の高ヘイズ状態が発生し易い。プレミックスすると、
気体状態の原料が基体近傍に達する前に反応してしま
い、基体に結晶成長の起点が少ない場合には、巨大結晶
粒が生成し易くなるからである。したがって、この発明
は、原料をプレミックスする場合にその効果がより有効
に発揮される。
【0038】結晶性金属酸化物薄膜の形成方法は、熱分
解法であればとくに限定されるものではないが、金属含
有粒子の配置または金属含有薄膜の形成を一連の工程で
行える方法が好ましい。たとえば、CVD法を用いて金
属含有薄膜を形成した後、連続的に結晶性金属酸化物薄
膜を形成する方法が挙げられる。ただしこの場合は、金
属含有薄膜形成時に比べて形成温度が低くなるので、結
晶性金属酸化物薄膜の原料に反応性の良いもの、たとえ
ば四塩化物などを利用することが望ましい。さらに、酸
化原料として、酸素を排除し水蒸気を主原料にすれば、
金属の塩化物の分解を促進することができ、成膜速度を
速めることができる。
【0039】なお、結晶性金属酸化物薄膜を複数回に分
けて形成する場合、たとえばCVD法において複数のコ
ータを用いて徐々に成膜する場合は、いずれか一つのコ
ータから供給された原料による成膜速度が、金属含有薄
膜の成膜速度より速ければ、この発明の効果は奏され
る。
【0040】基体上に金属含有粒子を配置または金属含
有薄膜を形成すれば、結晶性金属酸化物薄膜の成膜速度
を2,700nm/min以上、さらには3,500nm/min以
上にまで高めることができる。とくに、フロート法にお
けるガラスリボンを基体として、フロートバス内でCV
D法により下地膜、金属含有薄膜および結晶性金属酸化
物薄膜をこの順で形成する方法(以下、「オンラインC
VD法」と称する)においては、結晶性金属酸化物薄膜
形成時の反応系温度(直前のガラスリボンの表面温度)
を615℃以上、さらには620℃〜750℃にまで高
めることができ、650℃以上であれば成膜速度は6,
300〜20,000nm/minにも達する。この成膜速
度で結晶性金属酸化物薄膜を形成しても、このガラス基
体には白濁が生じない。
【0041】熱分解法において、金属含有薄膜および結
晶性金属酸化物薄膜の原料としては、スズおよびチタン
の化合物を使用することが好ましい。スズ原料として
は、塩化第二スズ、ジメチルスズジクロライド、ジブチ
ルスズジクロライド、テトラメチルスズ、テトラブチル
スズ、ジオクチルスズジクロライド、モノブチルスズト
リクロライド、ジブチルスズジアセテートなどが挙げら
れ、とくに、塩化第二スズを原料とした場合に、上述の
効果が有効に奏される。スズ原料から酸化スズを形成す
るために用いられる酸化原料としては、酸素、水蒸気ま
たは乾燥空気などが挙げられる。また、結晶性金属酸化
物薄膜として酸化スズを主成分とする薄膜を形成する場
合は、その導電性を向上させるために、原料中にアンチ
モンやフッ素の化合物を添加してもかまわない。アンチ
モンの化合物としては、三塩化アンチモンや五塩化アン
チモンなどが、フッ素の化合物としては、フッ化水素、
トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタンおよび/
またはクロロジフルオロメタンなどが挙げられる。
【0042】熱分解法により下地膜を形成する場合、下
地膜として好適な酸化ケイ素の原料としては、モノシラ
ン、ジシラン、トリシラン、モノクロロシラン、ジクロ
ロシラン、1,2-ジメチルシラン、1,1,2-トリメチルジシ
ラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、テトラメチルオ
ルソシリケート、テトラエチルオルソシリケートなどが
挙げられる。また、この場合の酸化原料としては、酸
素、水蒸気、乾燥空気、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸
化窒素またはオゾンなどが挙げられる。なお、シランを
使用した場合にガラス表面に到達するまでにシランの反
応を防止する目的で、エチレン、アセチレンまたはトル
エンなどの不飽和炭化水素ガスを併用してもかまわな
い。同じく下地膜として好適な酸化アルミニウムを成膜
する場合のアルミニウム原料としては、トリメチルアル
ミニウム、アルミニウムトリイソポプロポキサイド、塩
化ジエチルアルミニウム、アルミニウムアセチルアセト
ネートまたは塩化アルミニウムなどが挙げられる。ま
た、この場合の酸化原料としては、酸素、水蒸気または
乾燥空気などが挙げられる。
【0043】基体は、その種類や形状を限定されるもの
ではない。従来から結晶性金属酸化物薄膜を備えるもの
であれば、そのまま利用することができる。たとえばガ
ラスなどの透明基体上に結晶性金属酸化物薄膜を形成す
れば、その薄膜には巨大結晶粒が存在しないので、ガラ
ス基体のヘイズ率が小さくなる。したがって、この薄膜
を備えるガラス製品は、白濁などの問題を生じることな
く、結晶性金属酸化物薄膜に由来する電磁遮蔽機能、熱
線反射機能および導電性薄膜としての機能などを有効に
発揮することができる。
【0044】以下、オンラインCVD法による実施の形
態について、さらに詳細に説明する。オンラインCVD
法で使用する装置では、図1に示すように、熔融炉(フ
ロート窯)11からフロートバス12内に流れ出し、ス
ズ浴15上を帯状に移動するガラスリボン10の表面か
ら所定距離を隔て、所定個数のコータ16(図示した形
態では3つのコータ16a,16b,16c)がスズフ
ロート槽内に配置されている。これらのコータからは、
ガス状の原料が供給され、ガラスリボン10上に連続的
に下地膜、金属含有薄膜および結晶性金属酸化物薄膜が
形成されていく。また、図示しないが、さらに多くのコ
ータを利用してもよく、下地膜を2層としたり、結晶性
金属酸化物薄膜を複数のコータから原料を供給して形成
してもよい。結晶性金属酸化物薄膜が形成されたガラス
リボン10は、ローラ17により引き上げられて、徐冷
炉13へと送り込まれる。なお、徐冷炉13で徐冷され
たガラスリボンは、図示を省略する切断装置により、所
定の大きさのガラス板へと切断される。なお、結晶性金
属酸化物薄膜の形成には、フロートバス12から出てき
たガラスリボンに対してスプレー法を、フロートバス内
でのCVD法と併用して行ってもよい。
【0045】オンラインCVD法においても、原料をガ
ラスリボンの表面近傍で混合するように、コータ内を別
々の経路で搬送することが望ましいが、この発明によれ
ば、プレミックスして使用することも可能になる。原料
をプレミックスして使用すると、コータ内の早い段階で
反応が始まり、結晶性金属酸化物薄膜に巨大結晶粒が形
成され易くなる。実際、従来のオンラインCVD法で
は、金属の塩化物として四塩化物を使用する場合、原料
をプレミックスして使用すると、ガラスリボンの表面温
度が600℃程度で白濁が生じていた。しかし、この発
明によれば、表面温度620〜750℃のガラスリボン
にプレミックスした原料を供給しても、ガラスに白濁は
生じない。また、原料をプレミックスすれば、コータに
供給するまでの温度管理が簡便になるなど、工業的生産
工程において利点が多い。
【0046】
【実施例】以下、実施例により、この発明を具体的に説
明する。ただし、以下の実施例に限定するものではな
い。
【0047】(実施例1)150×150mmに切断し
た厚さ4mmのソーダライムガラス板をメッシュベルト
に乗せて加熱炉を通過させ、約600℃にまで加熱し
た。この加熱したガラス板をさらに搬送しながら、搬送
路上方に設置したコータから、モノシラン、酸素および
窒素からなる混合ガスを供給し、ガラス板上に膜厚25
nmの酸化ケイ素からなる薄膜(下地膜)を形成した。
このガラス板を徐冷した後に、再度メッシュベルトに載
せて加熱炉を通過させ、約620℃にまで加熱した。こ
の加熱したガラス板をさらに搬送しながら、搬送路上方
に設置したコータから、塩化第二スズ(蒸気)、酸素、
水蒸気および窒素からなる混合ガスを供給し、下地膜上
に膜厚30nmの酸化スズ(SnO)からなる薄膜(金属
含有薄膜)を成膜速度50nm/minで形成した。このガラ
ス板を徐冷した後に、再度メッシュベルトに載せて加熱
炉を通過させ、約620℃にまで加熱した。この加熱し
たガラス板をさらに搬送しながら、搬送路上方に設置し
たコータから、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒素お
よびフッ化水素からなる混合ガスを供給し、金属含有薄
膜上に、膜厚800nmのフッ素含有酸化スズ(SnO:
F)からなる透明導電膜(結晶性金属酸化物薄膜)を成膜
速度670nm/minで形成した。なお、コータとガラス板
の間隔を10mmにし、さらに排気部の横に窒素ガスを
カーテン状に供給して透明導電膜の形成中にコータ内部
に外気が混入しないようにした。このガラス板は、ヘイ
ズ率が22%であったが、白濁は見られなかった。
【0048】(実施例2)実施例1において、つぎの点
を変更した以外は同様にして、結晶性金属酸化物薄膜を
形成し、ガラス板を評価した。下地膜の厚さを20nm
に、金属含有薄膜に関し、その厚さを100nm、か
つ、成膜速度を160nm/minに、結晶性金属酸化物薄膜
に関し、その原料に酸素を加え、厚さを710nm、か
つ、成膜速度を470nm/minに変更した。このガラス板
は、ヘイズ率が17%で、白濁は見られなかった。
【0049】(実施例3)実施例1において、つぎの点
を変更した以外は同様にして、結晶性金属酸化物薄膜を
形成し、ガラス板を評価した。アルカリ成分を含有しな
いアルミノシリケートガラスをガラス板に使用し、金属
含有薄膜に関し、金属の塩化物として塩化チタン(蒸
気)を原料に使用し、厚さ20nmの酸化チタンからな
る薄膜を成膜速度30nm/minで形成した。また、結晶性
金属酸化物薄膜に関し、その原料に酸素およびメチルア
ルコールを加え、厚さを900nm、かつ、成膜速度を
1,000nm/minに変更した。このガラス板は、ヘイズ
率29%であったが、白濁は見られなかった。
【0050】(実施例4)実施例1において、つぎの点
を変更した以外は同様にして、結晶性金属酸化物薄膜を
形成し、ガラス板を評価した。金属含有薄膜に関し、酸
化原料としての酸素を除去し、成膜速度50nm/minで膜
厚30nmまで形成した。また、結晶性金属酸化物薄膜
に関し、その原料に酸素を加え、成膜速度330nm/min
で、厚さ400nmまで成膜した。このガラス板は、ヘ
イズ率が6%で、白濁は見られなかった。
【0051】(実施例5)オンラインCVD法を利用し
て、ガラスリボン上に下地膜、金属含有薄膜および結晶
性金属酸化物薄膜をこの順で形成した。具体的には、フ
ロートバス内がバス外よりもやや高圧に維持されるよう
に、フロートバス空間内に98体積%の窒素と2体積%
の水素とを供給した。フロートバス内を非酸化性雰囲気
に保持した状態で、最上流側に位置する第1のコータか
ら、ジメチルスズジクロライド(蒸気)、酸素、窒素お
よびヘリウムからなる混合ガスを供給し、ガラスリボン
上に厚さ35nmの酸化スズ薄膜(第1下地層)を形成
した。引き続き、第2のコータから、モノシラン、エチ
レン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、酸化
スズ薄膜上に厚さ25nmの酸化ケイ素薄膜(第2下地
層)を形成した。さらに、第3のコータから、ジメチル
スズジクロライド(蒸気)、酸素、水蒸気および窒素か
らなる混合ガスを供給し、表面温度680℃の第2下地
層上に、厚さ100nmの酸化スズ(SnO)からなる薄
膜(金属含有薄膜)を成膜速度2,500nm/minで形成
した。さらに下流側に設置したコータを使って、表面温
度630℃の金属含有薄膜上に、塩化第二スズ(蒸
気)、水蒸気、窒素、ヘリウムおよびフッ化水素からな
る混合ガスを供給し、膜厚670nmのフッ素含有酸化
スズ(SnO:F)からなる透明導電膜(結晶性金属酸化物
薄膜)を成膜速度16,700nm/minで形成した。この
ガラス板は、ヘイズ率17%で、白濁は見られなかっ
た。
【0052】(実施例6)実施例5において、つぎの点
を変更した以外は同様にして、結晶性金属酸化物薄膜を
形成し、ガラス板を評価した。金属含有薄膜の表面温度
を660℃に設定し、膜厚380nmの結晶性金属酸化
物薄膜を成膜速度9,500nm/minで形成した。このガ
ラス板は、ヘイズ率6%で、白濁は見られなかった。
【0053】(実施例7)実施例5において、第1のコ
ータから、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒素および
ヘリウムからなる混合ガスを供給し、ガラスリボン上に
厚さ45nmの酸化スズ薄膜(第1下地層)を形成し
た。また第3のコータから、塩化第二スズ(蒸気)、酸
素、水蒸気および窒素からなる混合ガスを供給し、表面
温度680℃の第2下地層上に、厚さ90nmの酸化ス
ズ(SnO)からなる薄膜(金属含有薄膜)を成膜速度
1,830nm/minで形成した。さらに下流側に設置した
コータを使って、表面温度630℃の金属含有薄膜上
に、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒素、ヘリウムお
よびフッ化水素からなる混合ガスを供給し、膜厚691
nmのフッ素含有酸化スズ(SnO:F)からなる透明導電
膜(結晶性金属酸化物薄膜)を成膜速度7,030nm/m
inで形成した。なお、明記しない点は、実施例7と同様
とした。このガラス板は、ヘイズ率20%で、白濁は見
られなかった。
【0054】(実施例8)オンラインCVD法を利用し
て、ガラスリボン上に下地膜、金属含有薄膜および結晶
性金属酸化物薄膜をこの順で形成した。具体的には、フ
ロートバス内がバス外よりもやや高圧に維持されるよう
に、フロートバス空間内に98体積%の窒素と2体積%
の水素とを供給した。フロートバス内を非酸化性雰囲気
に保持した状態で、最上流側に位置する第1のコータか
ら、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からなる混
合ガスを供給し、ガラス上に厚さ25nmの酸化ケイ素
薄膜(下地膜)を形成した。さらに、第2のコータか
ら、塩化第二スズ(蒸気)、酸素、水蒸気および窒素か
らなる混合ガスを供給し、表面温度680℃の下地膜上
に、厚さ25nmの酸化スズ(SnO)からなる薄膜(金
属含有薄膜)を成膜速度510nm/minで形成した。さら
に下流側に設置したコータを使って、表面温度630℃
の金属含有薄膜上に、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、
窒素、ヘリウムおよびフッ化水素からなる混合ガスを供
給し、膜厚950nmのフッ素含有酸化スズ(SnO:F)
からなる透明導電膜(結晶性金属酸化物薄膜)を成膜速
度5,430nm/minで形成した。このガラス板は、ヘイ
ズ率18%で、白濁は見られなかった。
【0055】(実施例9)オンラインCVD法を利用し
て、ガラスリボン上に下地膜、金属含有薄膜および結晶
性金属酸化物薄膜をこの順で形成した。具体的には、フ
ロートバス内がバス外よりもやや高圧に維持されるよう
に、フロートバス空間内に98体積%の窒素と2体積%
の水素とを供給した。フロートバス内を非酸化性雰囲気
に保持した状態で、最上流側に位置する第1のコータか
ら、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒素およびヘリウ
ムからなる混合ガスを供給し、ガラスリボン上に厚さ3
5nmの酸化スズ薄膜(第1下地層)を形成した。引き
続き、第2のコータから、モノシラン、エチレン、酸素
および窒素からなる混合ガスを供給し、酸化スズ薄膜上
に厚さ25nmの酸化ケイ素薄膜(第2下地層)を形成
した。さらに、第3のコータから、塩化第二スズ(蒸
気)、酸素、水蒸気および窒素からなる混合ガスを供給
し、表面温度680℃の第2下地層上に、厚さ140n
mの酸化スズ(SnO )からなる薄膜(金属含有薄膜)を
成膜速度2,850nm/minで形成した。さらに下流側に
設置したコータを使って、表面温度630℃の金属含有
薄膜上に、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒素、ヘリ
ウムおよびフッ化水素からなる混合ガスを供給し、膜厚
636nmのフッ素含有酸化スズ(SnO:F)からなる透
明導電膜(結晶性金属酸化物薄膜)を成膜速度6,47
0nm/minで形成した。このガラス板は、ヘイズ率27%
で、白濁は見られなかった。
【0056】(比較例1)実施例1において、金属含有
薄膜を形成せず、下地膜上に直接結晶性金属酸化物薄膜
を形成した以外は同様にして、ガラス板上に薄膜を形成
した。このガラス板は、一見して擦りガラスと思われる
ほどの白濁が見られた。
【0057】(比較例2)実施例1において、金属含有
薄膜の成膜速度を900nm/minに変更した以外は同様に
して、ガラス板上に下地膜、金属含有薄膜および結晶性
金属酸化物薄膜を形成した。このガラス板は、比較例1
のガラスよりも白濁が著しかった。
【0058】(比較例3)実施例5において、つぎの点
を変更した以外は同様にして、オンラインCVD法によ
り結晶性金属酸化物薄膜を形成し、ガラス板を評価し
た。第3のコータを止めて金属含有薄膜を形成せずに、
膜厚600nmの透明導電膜を成膜速度15,000nm
/minで第2下地層上に直接形成した。このガラス板は、
比較例1より白濁が著しかった。これは、オンラインC
VD法では、630℃という高温のガラスリボン上に結
晶性金属酸化物薄膜を形成したためであると考えられ
る。
【0059】(比較例4)実施例5において、つぎの点
を変更した以外は同様にして、オンラインCVD法によ
り結晶性金属酸化物薄膜を形成し、ガラス板を評価し
た。表面温度690℃の第2下地層上に、成膜速度1
5,000nm/minで厚さ600nmの金属含有薄膜を形
成した。さらに、表面温度650℃の金属含有薄膜上
に、膜厚300nmの結晶性金属酸化物薄膜を成膜速度
7,500nm/minで形成した。このガラス板には、白濁
が見られた。
【0060】(参考例1)実施例1において、下地膜を
形成しない以外は同様にして、ガラス板上に金属含有薄
膜および結晶性金属酸化物薄膜を形成した。このガラス
板は、ヘイズ率が35%で、やや白濁が見られた。
【0061】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
ることから、つぎの効果を奏する。この発明によれば、
結晶性金属酸化物薄膜の成膜速度を速くしても、巨大結
晶粒の生成が抑制される。そのため、この薄膜を透明基
体上に形成しても白濁が生じ難く、またこの薄膜上に機
能性膜を形成しても欠陥が生じ難くなる。したがって、
この発明の薄膜形成方法を用いれば、高品質の結晶性金
属酸化物薄膜を備える基体を効率よく製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オンラインCVD法に使用する装置の略図であ
る。
【符号の説明】
10 ガラスリボン 11 熔融炉 12 フロートバス 13 徐冷炉 16 コータ 17 ローラ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年12月26日(2002.12.
26)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】(実施例7)実施例5において、第1のコ
ータから、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒素および
ヘリウムからなる混合ガスを供給し、ガラスリボン上に
厚さ45nmの酸化スズ薄膜(第1下地層)を形成し
た。また第3のコータから、塩化第二スズ(蒸気)、酸
素、水蒸気および窒素からなる混合ガスを供給し、表面
温度680℃の第2下地層上に、厚さ90nmの酸化ス
ズ(SnO)からなる薄膜(金属含有薄膜)を成膜速度
1,830nm/minで形成した。さらに下流側に設置した
コータを使って、表面温度630℃の金属含有薄膜上
に、塩化第二スズ(蒸気)、水蒸気、窒素、ヘリウムお
よびフッ化水素からなる混合ガスを供給し、膜厚691
nmのフッ素含有酸化スズ(SnO:F)からなる透明導電
膜(結晶性金属酸化物薄膜)を成膜速度7,030nm/m
inで形成した。なお、明記しない点は、実施例と同様
とした。このガラス板は、ヘイズ率20%で、白濁は見
られなかった。
フロントページの続き (72)発明者 平田 昌宏 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 山本 透 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 清原 康一郎 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 市來 聖敬 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 4G059 AA01 AB14 AC06 AC12 EA02 EA05 EB01 GA01 GA02 GA04 GA12

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に金属含有粒子を配置した後、熱
    分解法により金属の塩化物を原料として結晶性金属酸化
    物の薄膜を形成する方法。
  2. 【請求項2】 基体上に、熱分解法により金属の塩化物
    を原料として、金属含有薄膜と結晶性金属酸化物薄膜と
    を形成する方法であって、 金属含有薄膜の成膜速度が結晶性金属酸化物薄膜の成膜
    速度より遅く、 金属含有薄膜上に結晶性金属酸化物薄膜を直接形成する
    方法。
  3. 【請求項3】 上記結晶性金属酸化物薄膜の原料とし
    て、金属の四塩化物を使用する請求項1または2に記載
    の薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 上記結晶性金属酸化物薄膜の酸化原料と
    して、水蒸気を使用する請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 上記結晶性金属酸化物薄膜の成膜速度が
    3,500nm/min以上である請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 上記基体がフロート法におけるガラスリ
    ボンであって、結晶性金属酸化物薄膜をフロートバス内
    で形成する請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜形
    成方法。
  7. 【請求項7】 上記基体がアルカリ成分を含有するガラ
    スまたはガラスリボンであって、金属含有粒子を配置す
    る前に、または金属含有薄膜を形成する前に、酸化ケイ
    素を主成分とする下地膜を形成する請求項1〜6のいず
    れか1項に記載の薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】 上記下地膜の表面が平坦でない請求項7
    に記載の薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】 上記結晶性金属酸化物薄膜の成膜速度が
    6,300nm/min以上である請求項8に記載の薄膜形成
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    方法を用いて形成した薄膜を備える基体。
JP2002293095A 2001-12-03 2002-10-04 薄膜形成方法 Expired - Lifetime JP4315363B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002293095A JP4315363B2 (ja) 2001-12-03 2002-10-04 薄膜形成方法
US10/497,367 US8093490B2 (en) 2001-12-03 2002-12-03 Method for forming thin film, substrate having transparent electroconductive film and photoelectric conversion device using the substrate
EP02788704.1A EP1462541B1 (en) 2001-12-03 2002-12-03 Method for forming thin film.
PCT/JP2002/012620 WO2003048411A1 (en) 2001-12-03 2002-12-03 Method for forming thin film, substrate having transparent electroconductive film and photoelectric conversion device using the substrate

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-368662 2001-12-03
JP2001368662 2001-12-03
JP2002293095A JP4315363B2 (ja) 2001-12-03 2002-10-04 薄膜形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003238205A true JP2003238205A (ja) 2003-08-27
JP4315363B2 JP4315363B2 (ja) 2009-08-19

Family

ID=27790416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002293095A Expired - Lifetime JP4315363B2 (ja) 2001-12-03 2002-10-04 薄膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4315363B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006015332A (ja) * 2004-06-03 2006-01-19 Canon Inc 成膜方法、及びそれを用いたスペーサと薄型フラットパネルディスプレイの製造方法
JP2010532819A (ja) * 2007-07-06 2010-10-14 ピルキントン グループ リミテッド 蒸着法
WO2014112482A1 (ja) * 2013-01-16 2014-07-24 旭硝子株式会社 積層膜付きガラス基板及びその製造方法
TWI483291B (zh) * 2007-04-27 2015-05-01 Applied Materials Inc 減小曝露於含鹵素電漿下之表面腐蝕速率的方法與設備
JP2015514664A (ja) * 2013-03-01 2015-05-21 ナンチャン オー−フィルム テック カンパニー リミテッド 導電性ガラス基板及びその製造方法
CN110208997A (zh) * 2019-05-31 2019-09-06 广东旗滨节能玻璃有限公司 一种智能变色玻璃及其制备方法和应用

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006015332A (ja) * 2004-06-03 2006-01-19 Canon Inc 成膜方法、及びそれを用いたスペーサと薄型フラットパネルディスプレイの製造方法
TWI483291B (zh) * 2007-04-27 2015-05-01 Applied Materials Inc 減小曝露於含鹵素電漿下之表面腐蝕速率的方法與設備
JP2010532819A (ja) * 2007-07-06 2010-10-14 ピルキントン グループ リミテッド 蒸着法
WO2014112482A1 (ja) * 2013-01-16 2014-07-24 旭硝子株式会社 積層膜付きガラス基板及びその製造方法
JP2015514664A (ja) * 2013-03-01 2015-05-21 ナンチャン オー−フィルム テック カンパニー リミテッド 導電性ガラス基板及びその製造方法
CN110208997A (zh) * 2019-05-31 2019-09-06 广东旗滨节能玻璃有限公司 一种智能变色玻璃及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4315363B2 (ja) 2009-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080038541A1 (en) Method of forming thin film, substrate having thin film formed by the method, photoelectric conversion device using the substrate
JP4290993B2 (ja) アンチモン・ドープ金属酸化物の化学蒸着
KR101464061B1 (ko) 기재 상에 니오븀-도핑된 티타니아 필름을 침착시키는 방법 및 이로써 제조된 코팅된 기재
JPH02504612A (ja) ガラス被覆方法と被覆ガラス
GB2355467A (en) Glass sheet with conductive film
US7320827B2 (en) Glass substrate and method of manufacturing the same
EP1230188A1 (en) Glass sheet with metal oxide film, method of manufacturing the same, and double-glazing unit using the same
EP1608793B1 (en) Titania coatings
US8093490B2 (en) Method for forming thin film, substrate having transparent electroconductive film and photoelectric conversion device using the substrate
JP4315363B2 (ja) 薄膜形成方法
JP2007254192A (ja) 抗菌膜付きガラス板とその製造方法、及びそのガラス板を有する物品
JP2004362842A (ja) 透明導電膜付き透明基体、その製造方法、および光電変換素子用基板ならびに光電変換素子
JP2001036117A (ja) 光電変換装置用基板
JP2003231968A (ja) 基板、基板の製造方法および基板を用いた光電変換装置
US20040200238A1 (en) Low emissivity glass and method for production thereof
JP2002316837A (ja) ガラス板およびそれを用いた太陽電池
US20230202912A1 (en) Method of making a reflective coated glass article
WO2003065461A1 (fr) Substrat pour dispositif de conversion photoelectrique
JP2004323321A (ja) 透明導電膜付き基板の製造方法
JP2007022839A (ja) 調光ガラスの製造方法
JP2002348145A (ja) 近赤外線遮断ガラス
JP2002094083A (ja) 光電変換装置用基板
WO2016132131A1 (en) A chemical vapour deposition process for depositing an iron doped tin oxide coating and a coated glass article formed thereby

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050819

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080812

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081007

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20081007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090513

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090515

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4315363

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120529

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120529

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130529

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140529

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term