JP2003201253A - 臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症の予防及び/又は治療剤 - Google Patents
臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症の予防及び/又は治療剤Info
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- JP2003201253A JP2003201253A JP2002320881A JP2002320881A JP2003201253A JP 2003201253 A JP2003201253 A JP 2003201253A JP 2002320881 A JP2002320881 A JP 2002320881A JP 2002320881 A JP2002320881 A JP 2002320881A JP 2003201253 A JP2003201253 A JP 2003201253A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 単球遊走因子−1(MCP−1)機能阻
害剤を有効成分とする臓器移植後拒絶反応としての移植
後動脈硬化症又は自家・同種動静脈グラフト移植後内膜
肥厚の予防及び/又は治療剤。 【効果】 MCP−1機能阻害剤を投与することによ
り、臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症(内
膜肥厚)及び自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚
を防止又は治療できる。
害剤を有効成分とする臓器移植後拒絶反応としての移植
後動脈硬化症又は自家・同種動静脈グラフト移植後内膜
肥厚の予防及び/又は治療剤。 【効果】 MCP−1機能阻害剤を投与することによ
り、臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症(内
膜肥厚)及び自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚
を防止又は治療できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臓器移植後拒絶反
応としての移植後動脈硬化症又は自家・同種動静脈グラ
フト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤、並びに臓
器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・
同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治
療方法に関する。
応としての移植後動脈硬化症又は自家・同種動静脈グラ
フト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤、並びに臓
器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・
同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治
療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】臓器(心臓、腎臓、血管など)移植後、
移植後拒絶反応として、移植(臓器内の)血管の炎症が
早期に生じ、後期には動脈硬化病変(内膜肥厚)が形成
される。この移植後動脈硬化の発生は移植臓器の機能不
全ならびに生着率の低下につながることから臨床上大き
な問題である。拒絶反応の治療・防止のために種々の免
疫抑制剤が用いられているが、その効果は充分ではな
く、副作用も少なくない。したがって、病態の発生機序
にそった新しい治療法の開発が求められている(非特許
文献1参照)。同様に、自家・同種動静脈グラフト移植
後内膜肥厚にも同様の炎症性変化が関与すると考えられ
る。
移植後拒絶反応として、移植(臓器内の)血管の炎症が
早期に生じ、後期には動脈硬化病変(内膜肥厚)が形成
される。この移植後動脈硬化の発生は移植臓器の機能不
全ならびに生着率の低下につながることから臨床上大き
な問題である。拒絶反応の治療・防止のために種々の免
疫抑制剤が用いられているが、その効果は充分ではな
く、副作用も少なくない。したがって、病態の発生機序
にそった新しい治療法の開発が求められている(非特許
文献1参照)。同様に、自家・同種動静脈グラフト移植
後内膜肥厚にも同様の炎症性変化が関与すると考えられ
る。
【0003】最近の血管生物学的研究からこれらの難治
性疾患の発生機序に共通に炎症が関与する可能性が示唆
されている(非特許文献2参照)。白血球は生体外から
侵入した異物の処理機能を有し、また組織が損傷を受け
た場合には損傷部位に集まり、組織の修復に関与する。
炎症反応は、白血球の自己防衛能が過剰に働くことによ
り、かえって自己組織を損傷する場合であり、例えば、
心臓移植後の冠動脈硬化の発生は、主に過剰な自己防衛
反応により炎症が惹起されることによると考えられる。
これは、脂質の浸潤とそれを貪食するマクロファージの
泡沫化により生じる、通常の動脈硬化とは発生メカニズ
ムを明らかに異にする。
性疾患の発生機序に共通に炎症が関与する可能性が示唆
されている(非特許文献2参照)。白血球は生体外から
侵入した異物の処理機能を有し、また組織が損傷を受け
た場合には損傷部位に集まり、組織の修復に関与する。
炎症反応は、白血球の自己防衛能が過剰に働くことによ
り、かえって自己組織を損傷する場合であり、例えば、
心臓移植後の冠動脈硬化の発生は、主に過剰な自己防衛
反応により炎症が惹起されることによると考えられる。
これは、脂質の浸潤とそれを貪食するマクロファージの
泡沫化により生じる、通常の動脈硬化とは発生メカニズ
ムを明らかに異にする。
【0004】本発明の目的は、臓器移植時において生じ
る移植動脈への白血球の浸潤・集積と、白血球の活性化
による種々のサイトカイン、ケモカインの産生を防止す
ることによって、臓器移植後の動脈硬化及び内膜肥厚の
発症を防ぐ方策を見出すことにある。
る移植動脈への白血球の浸潤・集積と、白血球の活性化
による種々のサイトカイン、ケモカインの産生を防止す
ることによって、臓器移植後の動脈硬化及び内膜肥厚の
発症を防ぐ方策を見出すことにある。
【0005】ところで、ケモカインは、白血球やリンパ
球に対して、遊走活性を有する一群の蛋白質である。ケ
モカインは、その構造から大きく4種類に分けられ、1
番目と2番目のシステインが連続して配置されているも
のは、CCケモカインと称されている。
球に対して、遊走活性を有する一群の蛋白質である。ケ
モカインは、その構造から大きく4種類に分けられ、1
番目と2番目のシステインが連続して配置されているも
のは、CCケモカインと称されている。
【0006】CCケモカインのひとつである単球遊走因
子−1(MCP−1)は、それ自身が蛋白として報告さ
れ、またほぼ同時期にcDNA配列も明らかになった
(非特許文献3〜5参照)。
子−1(MCP−1)は、それ自身が蛋白として報告さ
れ、またほぼ同時期にcDNA配列も明らかになった
(非特許文献3〜5参照)。
【0007】MCP−1を認識する受容体はすでに同定
され、またcDNAもクローニングされている(非特許
文献6、7参照)。現在、CCケモカイン受容体として
11種類の受容体が知られており、MCP−1受容体は
CCR2と呼ばれている。
され、またcDNAもクローニングされている(非特許
文献6、7参照)。現在、CCケモカイン受容体として
11種類の受容体が知られており、MCP−1受容体は
CCR2と呼ばれている。
【0008】ロリンズらは、MCP−1蛋白のアミノ酸
変異体を各種作成し、そのうちいくつかは細胞遊走活性
が消失することを報告した(非特許文献8参照)。これ
らの変異体のうち、N末端から数えて2から8番目のア
ミノ酸を欠失させた変異体7ND−MCP−1は、CC
R2に対する結合能はあるが、細胞遊走を惹起しない、
又はドミナントネガティブ(dominant negative)とし
て野生型MCP−1とダイマーを形成し、MCP−1の
機能を阻害した。また、ケモカインのN末端欠失が、ケ
モカインの対応する内在性単量体とのヘテロ2量体を形
成することによるケモカイン受容体の相互作用の有力な
ドミナントネガティブ阻害剤になり得、このものが関節
リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、肺繊維症など
の慢性肺炎等の炎症、自己免疫疾患等の治療に有効であ
ることが知られている(特許文献1参照)。
変異体を各種作成し、そのうちいくつかは細胞遊走活性
が消失することを報告した(非特許文献8参照)。これ
らの変異体のうち、N末端から数えて2から8番目のア
ミノ酸を欠失させた変異体7ND−MCP−1は、CC
R2に対する結合能はあるが、細胞遊走を惹起しない、
又はドミナントネガティブ(dominant negative)とし
て野生型MCP−1とダイマーを形成し、MCP−1の
機能を阻害した。また、ケモカインのN末端欠失が、ケ
モカインの対応する内在性単量体とのヘテロ2量体を形
成することによるケモカイン受容体の相互作用の有力な
ドミナントネガティブ阻害剤になり得、このものが関節
リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、肺繊維症など
の慢性肺炎等の炎症、自己免疫疾患等の治療に有効であ
ることが知られている(特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特表平11−506005号公報
【非特許文献1】Transplantation 72 (6 Suppl):S16-
9, 2001
9, 2001
【非特許文献2】N. Engl. J. Med. 340, 115-126, 199
9
9
【非特許文献3】J. Exp. Med. 169, 1449-1459, 1989
【非特許文献4】J. Exp. Med. 169, 1485-1490, 1989
【非特許文献5】FEBS lett, 244, 487-493, 1989
【非特許文献6】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 27
52-2756, 1994
52-2756, 1994
【非特許文献7】Biochem. Biophys. Res. Commun. 20
2, 1156-1162, 1994
2, 1156-1162, 1994
【非特許文献8】J. Bio. Chem. 269, 15918-15924, 19
94
94
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、臓器
移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・同
種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療
剤、更には、臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬
化症又は自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予
防又は/治療方法を提供することである。
移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・同
種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療
剤、更には、臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬
化症又は自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予
防又は/治療方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、7ND−
MCP−1遺伝子を含む発現ベクター(pcDNA3)
をモデル動物(マウス)の大腿部に筋肉注射し、ベクタ
ープラスミドが導入された筋肉細胞で産生される7ND
−MCP−1が移植心臓の動脈硬化進展(内膜肥厚)を
有意に抑制することを確認し、MCP−1機能阻害剤
が、移植後動脈硬化症又は自家・同種動静脈グラフト移
植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤として有用である
ことを見出し、本発明を完成した。
MCP−1遺伝子を含む発現ベクター(pcDNA3)
をモデル動物(マウス)の大腿部に筋肉注射し、ベクタ
ープラスミドが導入された筋肉細胞で産生される7ND
−MCP−1が移植心臓の動脈硬化進展(内膜肥厚)を
有意に抑制することを確認し、MCP−1機能阻害剤
が、移植後動脈硬化症又は自家・同種動静脈グラフト移
植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤として有用である
ことを見出し、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、単球遊走因子−1
(MCP−1)機能阻害剤を有効成分とする臓器移植後
拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・同種動静
脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤を提
供するものである。また本発明は、単球遊走因子−1
(MCP−1)機能阻害剤の有効量を投与することを特
徴とする臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症
又は自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及
び/又は治療方法を提供するものである。
(MCP−1)機能阻害剤を有効成分とする臓器移植後
拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・同種動静
脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤を提
供するものである。また本発明は、単球遊走因子−1
(MCP−1)機能阻害剤の有効量を投与することを特
徴とする臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症
又は自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及
び/又は治療方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係るMCP−1機能阻害
剤は、生体におけるMCP−1の機能を阻害できるもの
であれば特に限定されるものではない。具体的には、抗
MCP−1抗体(ポリクローナル及びモノクローナルを
含む)、MCP−1アンタゴニスト(蛋白及び非蛋白低
分子化合物を含む)、MCP−1ドミナントネガティブ
(蛋白及び非蛋白低分子化合物を含む)、及びMCP−
1機能を阻害するものが蛋白の場合は、それらをコード
する遺伝子をも挙げることができる。これらの抗体、ア
ンタゴニスト、ドミナントネガティブ及びこれらをコー
ドする遺伝子はすでに種々のものが知られており、また
公知の手法により得ることが可能なものを本発明におい
ては用いることができる。
剤は、生体におけるMCP−1の機能を阻害できるもの
であれば特に限定されるものではない。具体的には、抗
MCP−1抗体(ポリクローナル及びモノクローナルを
含む)、MCP−1アンタゴニスト(蛋白及び非蛋白低
分子化合物を含む)、MCP−1ドミナントネガティブ
(蛋白及び非蛋白低分子化合物を含む)、及びMCP−
1機能を阻害するものが蛋白の場合は、それらをコード
する遺伝子をも挙げることができる。これらの抗体、ア
ンタゴニスト、ドミナントネガティブ及びこれらをコー
ドする遺伝子はすでに種々のものが知られており、また
公知の手法により得ることが可能なものを本発明におい
ては用いることができる。
【0014】例えば、抗MCP−1抗体は、J. Immunol
ogy, 147, 2229-2233, 1991に記載の方法により得るこ
とができ、MCP−1アンタゴニスト及びMCP−1ド
ミナントネガティブは、特表平11−506005号公
報等で知られている。
ogy, 147, 2229-2233, 1991に記載の方法により得るこ
とができ、MCP−1アンタゴニスト及びMCP−1ド
ミナントネガティブは、特表平11−506005号公
報等で知られている。
【0015】本発明においては、蛋白としてのMCP−
1機能阻害剤を生体へ投与するよりも、MCP−1機能
阻害剤をコードする遺伝子を導入する方が、遺伝子を生
体(血)中で長く存在させることができるため好まし
い。
1機能阻害剤を生体へ投与するよりも、MCP−1機能
阻害剤をコードする遺伝子を導入する方が、遺伝子を生
体(血)中で長く存在させることができるため好まし
い。
【0016】本発明においては、MCP−1アンタゴニ
スト又はMCP−1ドミナントネガティブが好ましく、
中でも7ND−MCP−1が好ましい。更には、MCP
−1アンタゴニスト又はMCP−1ドミナントネガティ
ブをコードする遺伝子が好ましく、中でも7ND−MC
P−1をコードする遺伝子が好ましい。7ND−MCP
−1をコードする遺伝子としては、配列番号1に示され
る塩基配列を有するDNAが用いられる。このDNA
は、それ自体公知の遺伝子工学的手法によって作成する
ことができる。すなわち、配列番号2で示される野生型
MCP−1をコードするDNAの塩基配列より、合成プ
ライマーを用いたPCR法を用いて作成すればよい。
スト又はMCP−1ドミナントネガティブが好ましく、
中でも7ND−MCP−1が好ましい。更には、MCP
−1アンタゴニスト又はMCP−1ドミナントネガティ
ブをコードする遺伝子が好ましく、中でも7ND−MC
P−1をコードする遺伝子が好ましい。7ND−MCP
−1をコードする遺伝子としては、配列番号1に示され
る塩基配列を有するDNAが用いられる。このDNA
は、それ自体公知の遺伝子工学的手法によって作成する
ことができる。すなわち、配列番号2で示される野生型
MCP−1をコードするDNAの塩基配列より、合成プ
ライマーを用いたPCR法を用いて作成すればよい。
【0017】遺伝子を生体内で発現させるために用いる
発現ベクターとしては、その機能を発揮するものであれ
ば特に限定されるものではなく、例えばpcDNA3、
pEF−BOS、pXT1などのプラスミドベクターや
アデノウイルス、センダイウイルスなどのレトロウイル
スベクターを挙げることができる。また、発現ベクター
を構築する際にはプロモーターやエンハンサーを用いて
もよく、プロモーターやエンハンサーは、宿主(生体)
内で機能するものであれば特に限定されるものではな
い。プロモーターとしては、例えばSV40プロモータ
ー、CMVプロモーター、HSV−TK、SRα、RS
Vなどを挙げることができる。
発現ベクターとしては、その機能を発揮するものであれ
ば特に限定されるものではなく、例えばpcDNA3、
pEF−BOS、pXT1などのプラスミドベクターや
アデノウイルス、センダイウイルスなどのレトロウイル
スベクターを挙げることができる。また、発現ベクター
を構築する際にはプロモーターやエンハンサーを用いて
もよく、プロモーターやエンハンサーは、宿主(生体)
内で機能するものであれば特に限定されるものではな
い。プロモーターとしては、例えばSV40プロモータ
ー、CMVプロモーター、HSV−TK、SRα、RS
Vなどを挙げることができる。
【0018】また、遺伝子を宿主(生体)内で発現させ
るためには、リポソームも用いることができる。この場
合、遺伝子はリポソームの内部、またリポソームを構成
する脂質二重膜の内部もしくは膜の外側に存在していて
もよい。遺伝子を宿主(生体)内で発現させることが可
能なリポソームの組成は、種々のものが知られている。
るためには、リポソームも用いることができる。この場
合、遺伝子はリポソームの内部、またリポソームを構成
する脂質二重膜の内部もしくは膜の外側に存在していて
もよい。遺伝子を宿主(生体)内で発現させることが可
能なリポソームの組成は、種々のものが知られている。
【0019】導入された7ND−MCP−1遺伝子より
7ND−MCP−1蛋白が生産されていることの確認
は、蛋白が血清中に存在するか否かをELISA法によ
り検出すればよい。
7ND−MCP−1蛋白が生産されていることの確認
は、蛋白が血清中に存在するか否かをELISA法によ
り検出すればよい。
【0020】本発明の医薬の適応対象となる疾患として
は、臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症(内
膜肥厚)及び自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚
が挙げられる。本発明の臓器移植後動脈硬化症又は自家
・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は
治療剤の有効成分であるMCP−1機能阻害剤の生体へ
の投与は、経口的又は非経口的に行えばよい。なお、M
CP−1機能阻害剤が蛋白の場合は、非経口的に投与す
ることが望ましい。非経口的投与の方法としては、注射
によるものを挙げることができ、注射部位は特に限定さ
れるものではなく、動脈、静脈、筋肉、皮膚、皮下等移
植臓器又はグラフト以外の部位に行えばよい。MCP−
1機能阻害剤を注射するための製剤(剤形)としては、
注射剤を挙げることができ、このものは公知の製剤化技
術により製することができる。注射剤を製するに際して
は、公知の製剤添加物を配合することができ、例えば、
等張化剤、緩衝剤、保存剤、賦形剤、無痛化剤等を挙げ
ることができる。なお、患者への投与量は、患者の症
状、年齢、性別、体重等により適宜検討すればよいが、
例えば、蛋白の場合は、0.1〜1000mgを、遺伝子
の場合は、0.01〜100mgを、2〜4週間に1回投
与すればよい。
は、臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症(内
膜肥厚)及び自家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚
が挙げられる。本発明の臓器移植後動脈硬化症又は自家
・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は
治療剤の有効成分であるMCP−1機能阻害剤の生体へ
の投与は、経口的又は非経口的に行えばよい。なお、M
CP−1機能阻害剤が蛋白の場合は、非経口的に投与す
ることが望ましい。非経口的投与の方法としては、注射
によるものを挙げることができ、注射部位は特に限定さ
れるものではなく、動脈、静脈、筋肉、皮膚、皮下等移
植臓器又はグラフト以外の部位に行えばよい。MCP−
1機能阻害剤を注射するための製剤(剤形)としては、
注射剤を挙げることができ、このものは公知の製剤化技
術により製することができる。注射剤を製するに際して
は、公知の製剤添加物を配合することができ、例えば、
等張化剤、緩衝剤、保存剤、賦形剤、無痛化剤等を挙げ
ることができる。なお、患者への投与量は、患者の症
状、年齢、性別、体重等により適宜検討すればよいが、
例えば、蛋白の場合は、0.1〜1000mgを、遺伝子
の場合は、0.01〜100mgを、2〜4週間に1回投
与すればよい。
【0021】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。 (1)7ND−MCP−1の構築と発現 7ND−MCP−1をコードするベクタープラスミド
は、MCP−1をコードするpcDNA3ベクタープラ
スミドを鋳型にして、組換えPCR法を用いて作成し
た。すべての変異は、両方向からのDNAシークエンス
解析により確認した。得られた7ND−MCP−1をコ
ードするPCR産物をpcDNA3ベクタープラスミド
のマルチクローニング部位に組込んだ後、大腸菌にトラ
ンスフォームし、キアゲン社プラスミドギガキットを用
いてプラスミドDNAを精製した。
するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。 (1)7ND−MCP−1の構築と発現 7ND−MCP−1をコードするベクタープラスミド
は、MCP−1をコードするpcDNA3ベクタープラ
スミドを鋳型にして、組換えPCR法を用いて作成し
た。すべての変異は、両方向からのDNAシークエンス
解析により確認した。得られた7ND−MCP−1をコ
ードするPCR産物をpcDNA3ベクタープラスミド
のマルチクローニング部位に組込んだ後、大腸菌にトラ
ンスフォームし、キアゲン社プラスミドギガキットを用
いてプラスミドDNAを精製した。
【0022】(2)マウス異所性心臓移植モデル
雄性6週令B10.D2マウスの両側大腿筋に7ND−MCP
−1遺伝子/pcDNA3(n=9;以下、7ND治療
群と略す。)もしくはコントロールとして、Green Flou
rescent Protein遺伝子/pcDNA3(n=9;以下、
コントロール群と略す。)50μgを筋肉注射した(右25
μg/25μl Tris/EDTA buffer 、左25μg/25μl Tris/
EDTA buffer)。直後にAihara & Miyazaki (Nature Bio
tech vol16. 867-870. 1998)の方法で100V6回の通電を
行なった。
−1遺伝子/pcDNA3(n=9;以下、7ND治療
群と略す。)もしくはコントロールとして、Green Flou
rescent Protein遺伝子/pcDNA3(n=9;以下、
コントロール群と略す。)50μgを筋肉注射した(右25
μg/25μl Tris/EDTA buffer 、左25μg/25μl Tris/
EDTA buffer)。直後にAihara & Miyazaki (Nature Bio
tech vol16. 867-870. 1998)の方法で100V6回の通電を
行なった。
【0023】遺伝子導入3日後のB10.D2マウスの腹部
に、雄性6週令のDBA2マウスの心臓をFurukawaらの方法
(Circulation. 1996, 93, 333-339)で移した。すなわ
ち、DBA2マウスから心臓を取り出し直ちにB10.D2マウス
の腹部動静脈に吻合し心臓移植を実施した。8週後に移
植心を摘出し、フォルマリンで固定した。パラフィン包
埋後、各心臓より、500μmおきに5切片を作製した。ヘ
マトキシリン−エオシン染色後、10冠動脈の断面を無
作為に選出し形態学的計測を行なった。
に、雄性6週令のDBA2マウスの心臓をFurukawaらの方法
(Circulation. 1996, 93, 333-339)で移した。すなわ
ち、DBA2マウスから心臓を取り出し直ちにB10.D2マウス
の腹部動静脈に吻合し心臓移植を実施した。8週後に移
植心を摘出し、フォルマリンで固定した。パラフィン包
埋後、各心臓より、500μmおきに5切片を作製した。ヘ
マトキシリン−エオシン染色後、10冠動脈の断面を無
作為に選出し形態学的計測を行なった。
【0024】(3)結果
新生内膜/中膜比が、コントロール群では0.84/
0.07であるのに対し、7ND治療群では0.54/
0.09であり、7ND治療群は、コントロール群と比
較して有意に新生内膜形成が抑制されていた。
0.07であるのに対し、7ND治療群では0.54/
0.09であり、7ND治療群は、コントロール群と比
較して有意に新生内膜形成が抑制されていた。
【0025】したがって、MCP−1機能阻害剤を投与
することにより、移植後動脈硬化症の予防及び/又は治
療に有効であることが明らかとなった。その作用機序
は、レシピエント炎症細胞のグラフト血管への浸潤、付
着を抑制するためであると考えられる。
することにより、移植後動脈硬化症の予防及び/又は治
療に有効であることが明らかとなった。その作用機序
は、レシピエント炎症細胞のグラフト血管への浸潤、付
着を抑制するためであると考えられる。
【0026】
【発明の効果】MCP−1機能阻害剤は、臓器移植後拒
絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・同種動静脈
グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤、更に
は臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自
家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又
は治療方法として有用である。
絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・同種動静脈
グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療剤、更に
は臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症又は自
家・同種動静脈グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又
は治療方法として有用である。
【0027】
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> EGASHIRA KENSUKE
DAIICHI PHARMACEUTICAL CO., LTD
<120> Preventing and/or therapeutic agent for artery disease as rejectio
n after organ transplantation
<130> P05021411
<140>
<141>
<150> JP P2001-337861
<151> 2001-11-02
<160> 2
<170> PatentIn Ver. 2.1
<210> 1
<211> 279
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
atgaaagtct ctgccgccct tctgtgcctg ctgctcatag cagccacctt cattccccaa 60
gggctcgctc aggtcacctg ctgttataac ttcaccaata ggaagatctc agtgcagagg 120
ctcgcgagct atagaagaat caccagcagc aagtgtccca aagaagctgt gatcttcaag 180
accattgtgg ccaaggagat ctgtgctgac cccaagcaga agtgggttca ggattccatg 240
gaccacctgg acaagcaaac ccaaactccg aagacttga 279
<210> 2
<211> 300
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<300>
<301> Yoshimura, T.
Yuhki, N.
Moore, S.K.
Appella, E.
Lerman, M.I.
Leonard, E.J.
<302> Human monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1): full
length DNA cloning, expression in mitten-stimulated
blood mononuclear leukocytes, and sequence similarity
to mouse competence gene JE.
<303> FEBS Lett.
<304> 244
<305> 2
<306> 487-493
<307> 1989-02
<400> 2
atgaaagtct ctgccgccct tctgtgcctg ctgctcatag cagccacctt cattccccaa 60
gggctcgctc agccagatgc aatcaatgcc ccagtcacct gctgttataa cttcaccaat 120
aggaagatct cagtgcagag gctcgcgagc tatagaagaa tcaccagcag caagtgtccc 180
aaagaagctg tgatcttcaa gaccattgtg gccaaggaga tctgtgctga ccccaagcag 240
aagtgggttc aggattccat ggaccacctg gacaagcaaa cccaaactcc gaagacttga 300
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 竹下 彰
福岡県大野城市平野台2丁目19番15号
(72)発明者 佐田 政隆
東京都豊島区西池袋4−40−17−503
Fターム(参考) 4C084 AA13 AA17 BA35 CA53 NA14
ZA45
4C085 AA14 CC04 CC29 EE01
Claims (8)
- 【請求項1】 単球遊走因子−1(MCP−1)機能阻
害剤を有効成分とする臓器移植後拒絶反応としての移植
後動脈硬化症又は自家・同種動静脈グラフト移植後内膜
肥厚の予防及び/又は治療剤。 - 【請求項2】 MCP−1機能阻害剤が、抗MCP−1
抗体、MCP−1アンタゴニスト、MCP−1ドミナン
トネガティブ及びそれらをコードする遺伝子から選ばれ
る1種又は2種以上のものである請求項1記載の予防及
び/又は治療剤。 - 【請求項3】 MCP−1ドミナントネガティブをコー
ドする遺伝子が、配列番号1で表わされるものである請
求項2記載の予防及び/又は治療剤。 - 【請求項4】 単球遊走因子−1(MCP−1)機能阻
害剤の有効量を投与することを特徴とする臓器移植後拒
絶反応としての移植後動脈硬化症又は自家・同種動静脈
グラフト移植後内膜肥厚の予防及び/又は治療方法。 - 【請求項5】 MCP−1機能阻害剤が、抗MCP−1
抗体、MCP−1アンタゴニスト、MCP−1ドミナン
トネガティブ及びそれらをコードする遺伝子から選ばれ
る1種又は2種以上のものである請求項4記載の予防及
び/又は治療方法。 - 【請求項6】 MCP−1ドミナントネガティブをコー
ドする遺伝子が、配列番号1で表わされるものである請
求項5記載の予防及び/又は治療方法。 - 【請求項7】 遺伝子を移植臓器又はグラフト以外の部
位に投与するものである請求項6記載の予防及び/又は
治療方法。 - 【請求項8】 投与部位が筋肉である請求項7記載の予
防及び/又は治療方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002320881A JP2003201253A (ja) | 2001-11-02 | 2002-11-05 | 臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症の予防及び/又は治療剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001337861 | 2001-11-02 | ||
JP2001-337861 | 2001-11-02 | ||
JP2002320881A JP2003201253A (ja) | 2001-11-02 | 2002-11-05 | 臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症の予防及び/又は治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003201253A true JP2003201253A (ja) | 2003-07-18 |
Family
ID=27666840
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002320881A Pending JP2003201253A (ja) | 2001-11-02 | 2002-11-05 | 臓器移植後拒絶反応としての移植後動脈硬化症の予防及び/又は治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003201253A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013117081A (ja) * | 2011-12-05 | 2013-06-13 | Toray Ind Inc | サイジング剤塗布炭素繊維の製造方法 |
-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002320881A patent/JP2003201253A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013117081A (ja) * | 2011-12-05 | 2013-06-13 | Toray Ind Inc | サイジング剤塗布炭素繊維の製造方法 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050526 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20080805 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081209 |