JP2003298025A - 磁気記憶装置 - Google Patents
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Abstract
大を防止でき、かつ安定な記憶保持動作を実現できる磁
気記憶装置を提供する。 【解決手段】 温度によってスイッチング磁界が変化す
る強磁性体で形成され外部磁界により磁化方向が変化す
る記録層、絶縁層、および強磁性体で形成された磁化固
着層を含む接合を持つトンネル磁気抵抗効果素子と、前
記トンネル磁気抵抗効果素子の記録層に積層された温度
制御層と、前記トンネル磁気抵抗効果素子に書き込み用
の電流磁界を与える、互いに交差する方向に配置された
ビット線およびディジット線とを有し、前記トンネル磁
気抵抗効果素子への書き込み時に、読み出し時よりも大
きい電流が通電される磁気記憶装置。
Description
/強磁性層の接合を有し外部磁界によりトンネル抵抗が
変化するトンネル磁気抵抗効果を記憶素子として用いた
高集積の磁気記憶装置に関する。
どの特徴を持つ磁気記憶装置としてトンネル磁気抵抗効
果(TMR:Tunneling Magneto-Resistance effect)
を利用した磁気的ランダムアクセスメモリ(MRAM:
Magnetic Random Access Memory)が提案されている。
その動作原理については、例えば、 S. Tehrani et al.
によって "Recent Developments in Magnetic Tunnel J
unction MRAM" IEEE Trans. Magn., vol. 36, p.2752,
2000 に述べられている。
単に説明する。まず、トンネル磁気抵抗効果を得るため
の主要部分である磁気的トンネル接合(MTJ:Magnet
ic Tunnel Junction)は、絶縁層を2つの強磁性層で挟
んだ構造を有しており、一方の強磁性層を外部磁界によ
り磁化方向が変化する記録層とし、他方の強磁性層を磁
化固着層としている。このMTJは、2つの強磁性層に
おける磁化の向きが互いに平行である場合と互いに反平
行である2通りの場合が安定状態であるような構造に作
られる。
になった場合、MTJ層を通して流れるトンネル電流は
最も大きく、つまりトンネル抵抗は最も小さい。一方、
磁化の向きが上下の強磁性層で互いに反平行になった場
合、トンネル電流は小さく、つまりトンネル抵抗は最も
大きい。このようにある磁界範囲において、トンネル抵
抗が2つの状態を取ることにより、それぞれの状態に
“1”と“0”を記憶させることができる。
に対する変化は、図5に示すようないわゆるヒステリシ
ス曲線となる。このとき、記録層の磁化を反転させるた
めに必要な磁界がスイッチング磁界であり、その大きさ
はMTJ層の構造に大きく依存する。
的に示す。シリコン基板61上にはゲート酸化膜を介し
てゲート電極(ワード線)62が形成されており、ゲー
ト電極62の両側のシリコン基板61表面にはソース/
ドレイン領域63、64が形成されている。ソース領域
63には、グランド線65が接続されている。ドレイン
領域64には接続プラグ66が接続されている。接続プ
ラグ66には下部電極68が接続され、この下部電極6
8上にMTJ層69が形成されている。MTJ層69の
下方には図6の紙面に垂直な方向に延びるディジット線
67が形成され、MTJ層69の上方にはディジット線
67と交差する方向に延びるビット線70が形成されて
いる。
は“0”の情報を書き込むには、互いに交差する方向に
配置された一対のビット線70およびディジット線67
を選択し、これらの両方に電流を流して電流磁界を各々
発生させる。この電流磁界の大きさを適切に選ぶと、ビ
ット線70とディジット線67とのクロスポイントに位
置している選択セルのMTJ層69にかかる磁界のみが
スイッチング磁界を超えるので、目的とする情報がMT
J層69に書き込まれる。
は“0“の情報を読み出すには、選択トランジスタとし
てのMOSFETのゲート電極(読み出し用のワード
線)62に電圧を印加して選択トランジスタをオン状態
とし、ビット線70からMTJ層69を通してグランド
線65に流れる電流値を検出して、異なるTMR素子間
のトンネル抵抗の違いを読み取ることにより、“1”ま
たは“0”の情報の判定が行われる。
層で構成されたMTJ層を有するMRAM構造によって
磁気記憶装置としての動作が得られる。しかし、将来的
にさらなる高集積化を達成するためには幾つかの問題が
ある。
磁気特性に由来するスイッチング磁界強度により、書き
込み配線としてのビット線とディジット線に流す電流量
が決まる。ところが、素子の微細化に伴い記録層として
の強磁性体のサイズが小さくなるにつれてスイッチング
磁界が増大するという特性がある。このため、電流磁界
配線に流す電流量が増大し、MRAMの消費電力が増大
するという問題や高速動作の妨げとなるという問題が生
じる。
磁界の増大を抑えたり、磁性体を併用した複雑な配線構
造により少ない電流でも大きな電流磁界を生じさせる構
造を採用した場合には、電流磁界により目的とするメモ
リセルに隣接するメモリセルにも書き込みがなされると
いうクロストークの問題や、記憶保持動作の長期安定性
が損なわれるという問題がある。
らつきの増大によるスイッチング磁界のばらつきの増大
に対しては、ばらつきを考慮して余分に動作マージンを
取った大きな周辺回路が必要になるなどの問題があり、
高集積化を妨げる要因になる。
層を記憶素子に用いた従来のMRAMでは、将来のさら
なる高集積化の要求に対応して微細化する上で問題があ
った。
イッチング磁界の増大を防止でき、かつ安定な記憶保持
動作を実現できる磁気記憶装置を提供することにある。
気記憶装置(MRAM)は、温度によってスイッチング
磁界が変化する強磁性体で形成され外部磁界により磁化
方向が変化する記録層、絶縁層、および強磁性体で形成
された磁化固着層を含む接合を持つトンネル磁気抵抗効
果素子と、前記トンネル磁気抵抗効果素子に書き込み用
の電流磁界を与える、互いに交差する方向に配置された
ビット線およびディジット線と、前記ビット線と前記ト
ンネル磁気抵抗効果素子との間、または前記ディジット
線と前記トンネル磁気抵抗効果素子との間に設けられた
温度制御層とを有することを特徴とする特徴とする。
る。本発明の実施形態においては、記録層に温度変化に
よってスイッチング磁界が変化する強磁性体を用い、こ
の記録層に対して温度制御層を積層する。温度制御層と
しては発熱抵抗体層や熱電効果半導体層等が用いられ、
記録層の温度を上昇させたり、逆に温度を低下させたり
して記録層のスイッチング磁界を制御する。
録層を磁気的にソフトにして小さなスイッチング磁界で
容易に磁化を反転させることができるようにするととも
に、記憶保持動作時および読み出し時には記録層を磁気
的にハードにして安定性を増大させることが可能とな
る。
形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に
係る磁気記憶装置(MRAM)の1メモリセルを示す断
面図である。
ット線13とが同一のレベルで形成されている。ディジ
ット線13は図1の紙面に垂直な方向に延びている。ワ
ード線12上にはコンタクト層15が形成され、このコ
ンタクト層15に接続して下部電極16が形成されてい
る。前記ディジット線13上方に対応する下部電極16
上にMTJ層17および発熱抵抗体層18が形成されて
いる。MTJ層17は、反強磁性層171、磁化固着層
172、例えば1〜2nm程度のAlOxからなる絶縁
層(トンネルバリア)173、記録層(磁化自由層)1
74を順次積層した接合構造を有する。発熱抵抗体層1
8にはディジット線13と交差する方向に延びるビット
線21が接続されている。
た発熱抵抗体層18をビット線21側に設けた構造であ
るが、発熱抵抗体18およびMTJ層17の上下を逆転
してディジット線13側に発熱抵抗体層18と記録層1
74を設けてもよい。
ってスイッチング磁界が変化する強磁性体で形成されて
おり、この実施例では温度が上昇するほどスイッチング
磁界が低下する強磁性体が用いられている。
報を書き込むには、互いに交差する方向に配置された一
対のビット線21およびディジット線13ならびにワー
ド線12を選択する。すなわち、ビット線21およびデ
ィジット線13の両方に通電して電流磁界を各々発生さ
せるとともに、ビット線21から発熱抵抗体層18、M
TJ層17、ワード線12へ電流を流すことにより発熱
抵抗体層18を発熱させてMTJ層17を加熱する。こ
の結果、MTJ層17の記録層174の磁気特性はソフ
トになりスイッチング磁界が低下するので、ビット線2
1およびディジット線13に低電流を流して低いスイッ
チング磁界で書き込みが可能になり、消費電力の増大を
防止することができる。
には電流が流れるため各セルの発熱抵抗体は発熱する
が、目的とするディジット線による電流磁界が印加され
ないため記録層の磁化は反転しない。また、同じディジ
ット線上に並ぶ各セルにはディジット線からの電流磁界
が及ぶが、記録層は加熱されないためその磁気特性はハ
ードのままであり、ディジット線からの電流磁界では磁
化が反転しない。したがって、記録層の加熱によるソフ
ト磁性化と電流磁界印加が同時に行われるクロスポイン
トにあるメモリセルのみでスイッチング動作がなされ
る。
読み出すには、ワード線12を選択してビット線21か
ら発熱抵抗体層18、MTJ層17、ワード線12へセ
ンス電流を流し、トンネル抵抗を検出する。ここで、図
1のメモリセルの構成はスイッチング素子を持たない単
純マトリックス構造であるが、ワード線12とディジッ
ト線13を分離することにより、簡単な周辺回路構成で
参照セルとの比較を行うことによって読み出しが可能に
なっている。このとき、MTJ層17に生じる磁気抵抗
変化を有効に検出するためには、発熱抵抗体18の抵抗
値はMTJ層17の抵抗値と同程度以下であることが望
ましい。
AMでは、読み出し時だけでなく書き込み時にもMTJ
層17に通電する点が従来のMRAMとは異なる。そし
て、書き込みにMTJ層17に通電される電流値を、読
み出しMTJ層17に通電される電流値よりも大きくな
るように設定する。すなわち、書き込み時にはMTJ層
17が発熱抵抗体層18の発熱によって十分加熱される
ようにして書き込みを容易にする。一方、読み出し時に
は磁気抵抗変化を検出できる程度の低いセンス電流を流
す。これは、読み出し時に大電流を流すと、発熱抵抗体
層18の発熱によってMTJ層17が加熱されすぎて、
既に記録されている磁化情報が消去されるおそれがある
ためである。
各構成部材について、より詳細に説明する。
含む多くの強磁性合金は、温度上昇によってスイッチン
グ磁界が減少するため、適用可能である。また、記録層
の材料としては、読み出し時の記録層の温度におけるス
イッチング磁界が比較的大きく、かつ書き込み時の記録
層の温度よりもやや高いキュリー温度を持ち、温度に対
するスイッチング磁界の変化が大きいものが好ましい。
気的相転移を起こして強磁性が消失する材料も用いるこ
とができる。この場合、記録層を加熱して強磁性を消失
させた後、冷却して強磁性を生じさせる際に、ディジッ
ト線による電流磁界を印加することにより、メモリセル
に情報を書き込むことができる。
ているため、実効的な磁気抵抗変化量を大きくとるには
なるべく小さい抵抗値が好ましいが、逆に発熱量を大き
くするには大きい抵抗値が好ましい。これらの兼ね合い
として、発熱抵抗体の抵抗値をMTJ層と例えば同程度
とする。
場合のMTJ層のサイズは幅0.1μm×長さ0.1μ
m程度であり、望ましい接合抵抗のRAは1kΩμm2
程度であるから、そのときの接合抵抗は約100kΩと
なる。発熱抵抗体の抵抗を、接合抵抗と同じ100kΩ
とするためには、MTJ層に直接つながる発熱抵抗体の
サイズを幅0.1μm×長さ0.1μm×厚さ0.05
μm程度と仮定して、2Ωcm程度の比抵抗を有する材
料が選択される。このような数Ωcm程度の比抵抗値を
有する材料としては、1019cm-3程度の高濃度にドー
プしたポリSiなどの半導体材料、TiOxNyやTaO
xNyなどの金属酸化窒化膜、カルコゲナイドなどが挙げ
られる。
は、主に直列に接続されたMTJ層の耐圧によって制限
される。Al2O3バリアを用いた二重接合のMTJ層の
耐圧は3V以上あるから、1重接合の動作範囲を1.5
Vとすると、同じ抵抗値を持つ発熱抵抗体にかかる電圧
も同じ1.5V程度である。
の材料で作製した場合、発熱抵抗体で消費される電力は
1.5V印加時に15μWである。上記サイズのポリS
i発熱抵抗体に15μWの電力を印加した場合、通電加
熱による発熱抵抗体の温度上昇ΔTは、電力パルスの印
加時間を50ns、熱の逃げが無いと仮定して、約88
0Kとなる。この熱が主として発熱抵抗体の上下に伝導
するので(横方向は熱伝導率の低いSiOxに囲まれて
いるため)、発熱抵抗体に接するMTJ層の記録層の温
度を、十分にスイッチング磁界が低下するまで上昇させ
ることができる。
ア/固着層という層構造では、発熱抵抗体から流れる熱
が記録層を加熱する際に、その下の熱伝導率の低いAl
2O3トンネルバリア層が熱バリアとして働くため、より
効果的に記録層を加熱することが可能である。
MRAMの動作の特徴は、書き込み動作時は発熱抵抗体
が十分に発熱し記録層の温度を上昇させるように大電流
を流し(バイアス電圧を高く設定)、読み出し動作時は
高速読み出しに必要な出力電圧が得られる程度の電流を
小さくする(バイアス電圧を低く設定)。
は、読み出し時のバイアス電圧は800mV程度とな
る。書き込み時のバイアス電圧はMTJ層の耐圧以内
で、読み出し時のバイアス電圧よりも高く、例えば1.
5V程度に設定する。このとき、発熱抵抗体の温度上昇
の量を、書き込み時には記録層のスイッチング磁界が十
分に低下するように、また読み出し時にはスイッチング
磁界があまり低下しないように設計する。発熱抵抗体の
温度上昇量は、発熱抵抗体材料の抵抗、体積、比熱を制
御し、回路的には印加電圧、印加パルス幅を制御して設
計することができる。
磁気メモリ素子に加熱手段を設けることにより、小さな
動作磁界で、かつ隣接セルへの影響を低減させて情報の
記録再生を行うことが記載されている。この公知文献に
おいては、シート状の抵抗発熱層の上下にクロスポイン
ト型に発熱用の配線を設け、選択した配線の交差部を加
熱する方式となっている。また、メモリ素子の記録層は
磁界印加用の配線の上に配置されており、抵抗発熱層と
は配線をはさんだ反対側に位置する。しかし、このよう
な構造では有効に記録層を加熱することが難しい。つま
り、電流磁界配線は大電流を必要とするため、一般に配
線の厚みが大きく、しかも比抵抗の小さい金属材料が用
いられる。比抵抗の小さい金属材料は熱伝導率も高いた
め、このように厚い電流磁界配線の下側を加熱しても、
その熱はほとんど電流磁界配線を流れて逃げてしまい、
目的とするセルの記録層は十分に加熱されないと考えら
れる。逆に、記録層が十分に加熱されるような電力を印
加した場合には、発熱は周辺のセルまで及んでクロスト
ークを招くと考えられる。
AMでは、記録層に接して発熱抵抗体を配置し通電加熱
するので、熱の逃げを最小限に抑えて、有効に記録層を
加熱することができる。
や上記公知文献に対する、本発明の実施形態に係るMR
AMの構成上の特徴は以下の点にある。すなわち、 (1)記録層と発熱抵抗体を接して直列に設けているこ
と (2)発熱抵抗体の抵抗値を接合抵抗と同程度とするこ
と (3)通常の配線金属材料より比抵抗の高い材料を用い
ること (4)書き込み時と読み出し時に接合を介して印加する
電圧パルス(または電流パルス)の大きさを変化させる
こと、である。
AMの製造方法を説明する。まず、図2(a)に示すよ
うに、周辺回路を有する下部基板上に、層間絶縁膜とし
てのSiO2からなる第1の絶縁膜11を形成し、CM
P(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化
する。この第1の絶縁膜上にスパッタ法により配線とな
る200nm厚程度のAl−Cu膜を堆積する。フォト
リソグラフィにより形成したレジストマスクを用いて、
RIE(Reactive Ion Etching)法によりAl−Cu膜
をエッチングし、ワード線12およびディジット線13
を形成する。このとき周辺回路とのコンタクト領域(図
示せず)では、ワード線およびディジット線に対するコ
ンタクトも同時に形成される。全面に第2の絶縁膜14
を堆積し、フォトリソグラフィにより形成したレジスト
マスクを用いて、RIE法により第1のコンタクト層形
成用の溝を深さ約150nmとなるように形成する。M
OCVD(Metal Organic Chemical Vapor Depositio
n)法を用いて、溝内に例えばWを埋め込み、このWを
CMP法で平坦化して第1のコンタクト層15を形成す
る。
法により全面に第2のコンタクト層(下部電極)16、
MTJ層17、発熱抵抗体層18を形成し、さらに低温
プラズマCVD法によりマスク材としてのDLC(Diam
ond Like Carbon)層19を形成する。ここで、MTJ
層17は、反強磁性層171、磁化固着層172、例え
ば1〜2nm程度のAlOxからなる絶縁層(トンネル
バリア)173、記録層(磁化自由層)174を順次積
層した接合構造をなしている。次に、DLC層19をパ
ターニングした後、DLCパターンをマスクとして発熱
抵抗体層18およびMTJ層17をエッチングする。
ズマアッシングによりマスク材としてのDLCパターン
を除去した後、全面に第3の絶縁層20を堆積し、エッ
チバック法により第3の絶縁層20を薄膜化する。レジ
ストマスクを用いたエッチングにより第3の絶縁層20
および第2のコンタクト層16のパターニングを行う。
第4の絶縁層を堆積した後、CMP法により平坦化を行
う。この絶縁膜にコンタクトホールを形成した後、スパ
ッタ法により配線となるAl−Cu層を堆積し、レジス
トマスクを用いてAl−Cu層のRIEを行うことによ
り、ビット線21を形成する。これにより発熱抵抗体層
18による加熱層を持つMRAM構造が完成する。
は、特に接合の近傍に発熱抵抗体を設けなくても、MT
J層自体で発熱できる可能性もある。図4に示すよう
に、Al 2O3のトンネルバリア層44中を流れるトンネ
ル電子はほとんどエネルギー消費がなく、ホットエレク
トロンとして固着層45から記録層43に流れ込む。記
録層43に流れ込んだ電子は、二重接合のバリア層4
4、42で挟まれた記録層43中で散乱を繰り返し、バ
イアス電圧として印加されたエネルギーを記録層43中
に放出する。記録層43中でホットエレクトロンから放
出されたエネルギーは熱に変換され、記録層43の温度
上昇に寄与する。記録層43中での電子の散乱が十分に
大きければ、印加したバイアス電圧とトンネル抵抗で決
まる電流量から導かれる印加エネルギーの大部分は熱エ
ネルギーに変換される。このため、それによる温度上昇
は上記の通電加熱と同様に考えることができる。ただし
この場合には、記録層43を直接通電加熱していること
になる。このとき、記録層43は熱伝導率の低いAl2
O3バリア層44、42で上下を挟まれている(横方向
は熱伝導率の低いSiOxに囲まれている)ために、熱
の逃げは小さく、より有効に記録層43が加熱されると
考えられる。
実施形態に係るMRAMのメモリセルの断面図を示す。
図3(a)と図3(b)とは互いに直交する面で切断し
た断面図である。
は、図1の発熱抵抗体層18の代わりに、コンタクト層
31および熱電半導体層32が設けられている。図3
(b)に示すように、熱電半導体層32としてはN型半
導体およびP型半導体が用いられており、2つの熱電半
導体層32はコンタクト層31をはさんで2本のビット
線21の間に接続されて、熱電効果素子(ペルチェ素
子)を構成している。
対する温度制御層として熱電半導体層32を用い、2種
の半導体層を接合させて構成される熱電効果素子に流す
電流の方向を変えることにより、加熱も冷却も可能にな
っている。加熱する場合には、図1のMRAMと同様
に、記録層174に温度上昇とともに保磁力が低下する
強磁性体を用いればよい。逆に、冷却する場合には、冷
却によって強磁性体から反強磁性体へと磁気相転移を起
こすFeRhなどの材料を用いればよい。
子を微細化しても、スイッチング磁界の増大を防止で
き、かつ安定な記憶保持動作を実現できる磁気記憶装置
を提供することができる。
図。
Claims (5)
- 【請求項1】温度によってスイッチング磁界が変化する
強磁性体で形成され外部磁界により磁化方向が変化する
記録層、絶縁層、および強磁性体で形成された磁化固着
層を含む接合を持つトンネル磁気抵抗効果素子と、前記
トンネル磁気抵抗効果素子に書き込み用の電流磁界を与
える、互いに交差する方向に配置されたビット線および
ディジット線と、前記ビット線と前記トンネル磁気抵抗
効果素子との間、または前記ディジット線と前記トンネ
ル磁気抵抗効果素子との間に設けられた温度制御層とを
有することを特徴とする磁気記憶装置。 - 【請求項2】 前記温度制御層が、発熱抵抗体で形成さ
れた加熱層であることを特徴とする請求項1に記載の磁
気記憶装置。 - 【請求項3】 前記トンネル磁気抵抗効果素子への書き
込み時に、読み出し時よりも大きい電流が通電されるこ
とを特徴とする請求項2に記載の磁気記憶装置。 - 【請求項4】 前記温度制御層が、熱電効果を有する層
であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装
置。 - 【請求項5】 前記記録層が、磁気相転移を起こす強磁
性体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4
のいずれかに記載の磁気記憶装置。
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