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JP2003268185A - 水性エマルジョン組成物 - Google Patents

水性エマルジョン組成物

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Publication number
JP2003268185A
JP2003268185A JP2002077501A JP2002077501A JP2003268185A JP 2003268185 A JP2003268185 A JP 2003268185A JP 2002077501 A JP2002077501 A JP 2002077501A JP 2002077501 A JP2002077501 A JP 2002077501A JP 2003268185 A JP2003268185 A JP 2003268185A
Authority
JP
Japan
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aqueous emulsion
weight
emulsion composition
carbon atoms
vinyl
Prior art date
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Pending
Application number
JP2002077501A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiji Tanimoto
征司 谷本
Naokiyo Inomata
尚清 猪俣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2002077501A priority Critical patent/JP2003268185A/ja
Publication of JP2003268185A publication Critical patent/JP2003268185A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性および耐溶剤性に優れ、さらに特に高
温下における貯蔵安定性に優れる水性エマルジョン組成
物を得ること。 【解決手段】 分子内に炭素数4以下のα−オレフィン
単位を1〜20モル%含有し、けん化度90モル%以上
のビニルアルコール系重合体を分散剤とし、炭素数4以
下の脂肪酸のビニルエステル系単量体単位100重量部
に対し、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体単
位0.1〜10重量部および炭素数5以上の脂肪酸のビ
ニルエステル系単量体単位0.1〜15重量部を含有す
る重合体を分散質とする水性エマルジョン(A)および
アルミニウム化合物(B)からなり、pHが2〜5であ
る水性エマルジョン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性エマルジョン
組成物に関し、詳しくは、耐水性および耐溶剤性に優
れ、さらに特に高温下における貯蔵安定性に優れる水性
エマルジョン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリビニルアルコール(以下、P
VAと略記することがある)はエチレン性不飽和単量
体、特に酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系単量
体の乳化重合用保護コロイドとして広く用いられてお
り、これを保護コロイドとして用いて乳化重合して得ら
れるビニルエステル系水性エマルジョンは、紙用、木工
用およびプラスチック用などの各種接着剤、含浸紙用お
よび不織製品用などの各種バインダー、混和剤、打継ぎ
材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野で広く用い
られている。このような水性エマルジョンは、PVA系
重合体のけん化度を調整することにより、一般的に粘度
が低く、ニュートニアン流動に近い粘性を示し、比較的
耐水性の良好なものから、一般的に粘度が高く、比較的
エマルジョン粘度の温度依存性が小さいものまで多様に
得られることから、種々の用途に賞用されてきた。しか
しながら、該水性エマルジョンのあるものは、流動性
(高速塗工性)が不足している、耐水性が悪い、エマル
ジョン粘度の温度依存性が大きい、低温時のエマルジョ
ン粘度の上昇が著しいなどの欠点を有している。この欠
点を改善するため、エチレン単位を含有するビニルアル
コール系重合体が提案され、耐水性と低温放置安定性が
大幅に改善された。
【0003】しかしながら、従来のこれらのビニルエス
テル系重合体は、耐水性が十分でない場合があり、特開
2001−72820号公報において、エチレン変性P
VAを分散剤とし、酢酸ビニル系単量体単位と(メタ)
アクリル酸などのカルボキシル基を含有する単量体単位
からなる重合体を分散質とする水性エマルジョンにアル
ミニウム化合物を配合させた水性エマルジョン組成物が
提案されている。しかし、この提案されているエマルジ
ョン組成物は、特に60℃といった高温下での放置によ
る安定性に未だ課題があることが明らかとなってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、耐水性および耐溶剤性に優れ、さらに特
に高温下における貯蔵安定性に優れた水性エマルジョン
組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する水性エマルジョン組成物を開発すべ
く鋭意研究を重ねた結果、分子内に炭素数4以下のα−
オレフィン単位を1〜20モル%含有し、けん化度90
モル%以上のビニルアルコール系重合体を分散剤とし、
炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル系単量体単位1
00重量部に対し、カルボキシル基含有エチレン性不飽
和単量体単位0.1〜10重量部および炭素数5以上の
脂肪酸のビニルエステル系単量体単位0.1〜15重量
部を含有する重合体を分散質とする水性エマルジョン
(A)およびアルミニウム化合物(B)からなり、pH
が2〜5である水性エマルジョン組成物が目的を満足す
るものであることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の水性エマルジョン組成物
に用いる水性エマルジョン(A)の分散剤として用いら
れる分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜
20モル%含有し、けん化度90モル%以上のビニルア
ルコール系重合体は、ビニルエステルと炭素数4以下の
α−オレフィンとの共重合体をけん化することにより得
ることができる。ここで炭素数4以下のα−オレフィン
単位としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソ
ブチレン単位が挙げられるが、エチレン単位が好適であ
る。
【0007】ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど
が挙げられるが、酢酸ビニルが経済的にみて好ましい。
【0008】炭素数4以下のα−オレフィン単位の含有
量としては、1〜20モル%であることが必要であり、
好ましくは2〜15%、さらに好ましくは3〜10%で
ある。炭素数4以下のα−オレフィン単位の含有量が1
モル%未満の場合には、耐溶剤性、耐水性および放置安
定性を同時に満足する水性エマルジョンが得られず、2
0モル%を越える場合には、水溶性が低下し、安定な水
性エマルジョンが得られないという懸念が生じる。
【0009】また、分散剤に用いられる分子内に炭素数
4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有し、
けん化度90モル%以上のビニルアルコール系重合体
は、本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチ
レン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このよ
うなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、
イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3
−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニ
ウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩
化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデ
ン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニ
ルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム
などが挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプ
ロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニ
ルなどのビニルエステル系単量体を、炭素数4以下のα
−オレフィンと共重合し、得られた共重合体けん化する
ことによって得られる末端変性物も用いることができ
る。
【0010】本発明において、水性エマルジョンの分散
剤として用いる分子内にα−オレフィン単位を1〜20
モル%含有し、けん化度90モル%以上のビニルアルコ
ール系重合体のけん化度は、90モル%以上であること
が必要であり、より好ましくは92モル%以上、さらに
好ましくは93モル%以上である。けん化度が90モル
%未満の場合には、耐溶剤性、耐水性に優れた水性エマ
ルジョン組成物が得られない。ビニルアルコール系重合
体の重合度は、本発明の目的をより好適に達成するため
には、100〜8000の範囲が好ましく、300〜3
000がより好ましい。
【0011】本発明の水性エマルジョン組成物を構成す
る水性エマルジョンにおける分散質を構成する炭素数4
以下の脂肪酸のビニルエステル系単量体としては、ギ酸
ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニル
エステルが挙げられるが、酢酸ビニルが好適に用いられ
る。
【0012】また、本発明においては、水性エマルジョ
ン(A)の分散液がカルボキシル基含有エチレン性不飽
和単量体単位を有する重合体であることが不可欠であ
る。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体として
は特に制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、無水マレイン酸等が挙げられ、特にアクリル
酸、メタクリル酸が好適に用いられる。
【0013】カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量
体は、炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル系単量体
100重量部に対して、0.1〜10重量部用いること
が重要で、好ましくは0.2〜7重量部、より好ましく
は0.25〜5重量部である。カルボキシル基含有エチ
レン性不飽和単量体の使用割合が0.1重量部未満の場
合、得られる水性エマルジョン組成物の耐水性が不足
し、10重量部を越えると、水性エマルジョン組成物の
高温下における貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0014】本発明においては、水性エマルジョン
(A)の分散質が、上記カルボキシル基含有エチレン性
不飽和単量体に加えて炭素数5以上の脂肪酸のビニルエ
ステル系単量体を共重合してなる重合体であることが不
可欠である。炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステル系
単量体は、炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル系単
量体100重量部に対して、0.1〜15重量部用いる
ことが重要であり、好ましくは0.2〜10重量部、よ
り好ましくは0.25〜7重量部である。炭素数5以上
の脂肪酸のビニルエステル系単量体が0.1重量部未満
の場合、水性エマルジョン組成物の高温下における貯蔵
安定性が不足し、15重量部を越えると耐水性が低下す
る場合がある。ここで、炭素数5以上の脂肪酸のビニル
エステル系単量体とは、脂肪酸中の炭素数が5以上の直
鎖状または分岐状脂肪酸のビニルエステル系単量体を意
味する。直鎖状脂肪酸のビニルエステル系単量体として
は、たとえばラウリン酸ビニルエステル、ステアリン酸
ビニルエステルが挙げられる。分岐状脂肪酸のビニルエ
ステルとしては、第2級および第3級脂肪酸のビニルエ
ステルが挙げられ、炭素数5のピバリン酸ビニル、とく
に炭素数9〜11のバーサチック酸ビニルなどの第3級
脂肪酸のビニルエステルが好適である。
【0015】また、水性エマルジョン(A)の分散質で
ある共重合体を調製するに際して、カルボキシル基含有
エチレン性不飽和単量体および炭素数5以上の脂肪酸の
ビニルエステル系単量体の添加方法については特に制限
されないが、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量
体および炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステル系単量
体を炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル系単量体に
均一に混合して使用する、あるいは、重合初期に投入す
る単量体のなかにカルボキシル基含有エチレン性不飽和
単量体および炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステル系
単量体の全量を投入する方法などが挙げられる。
【0016】本発明の水性エマルジョン組成物を構成す
る水性エマルジョンは、前述した炭素数4以下のα−オ
レフィン単位を有するビニルアルコール系重合体(以後
α−オレフィン変性PVAと略記することがある)の水
溶液を分散剤に用いて、従来公知の重合開始剤(例;過
酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなど)
の存在下に、炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル系
単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体お
よび炭素数5以上の脂肪酸のビニルエステル系単量体を
含有する単量体を一時又は連続的に添加して、乳化重合
することにより得られる。また、炭素数4以下の脂肪酸
のビニルエステル系単量体、カルボキシル基含有エチレ
ン性不飽和単量体および炭素数5以上の脂肪酸のビニル
エステル系単量体を、予めα−オレフィン変性PVA水
溶液を用いて乳化させ、これを連続的に重合反応系に添
加する乳化重合法も採用できる。また、乳化重合する
際、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な
エチレン性不飽和単量体を使用することもできる。この
ようなエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プ
ロピレン、イソブチレンなどのオレフィン、塩化ビニ
ル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフ
ルオリドなどのハロゲン化オレフィン、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメ
タクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの
四級化物、さらには、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム
塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−スチレンスルホン酸およびナトリウ
ム、カリウム塩などのスチレン系単量体、その他N−ビ
ニルピロリドンなど、また、ブタジエン、イソプレン、
クロロプレンなどのジエン系単量体が挙げられ、これら
は単独あるいは二種以上混合して用いられる。該α−オ
レフィン変性PVAの使用量については特に制限はない
が、炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル系単量体、
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体および炭素
数5以上の脂肪酸のビニルエステル系単量体の重合体
(分散質)100重量部に対して好ましくは1〜30重
量部、より好ましくは2〜20重量部の範囲である。該
使用量が1重量部未満および30重量部を越える場合に
は、重合安定性が低下したり、水性エマルジョン組成物
の耐水性が低下することがある。本発明において水性エ
マルジョンとしては、上記の方法で得られる水性エマル
ジョンをそのまま用いることができるが、必要があれ
ば、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種
エマルジョンを添加して用いることができる。なお、本
発明に用いる水性エマルジョンにおける分散剤として
は、α−オレフィン変性PVAが用いられるが、必要に
応じて、従来公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカ
チオン性の界面活性剤や、PVA系重合体、ヒドロキシ
エチルセルロースなどを併用することもできる。
【0017】本発明に用いられるアルミニウム化合物
(B)としては特に制限はないが、水溶性アルミニウム
化合物が好適に用いられ、具体的には塩化アルミニウ
ム、硝酸アルミニウムおよびその水和物、硫酸アルミニ
ウム(硫酸バンド)などが好ましく用いられる。なかで
も、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムがより好まし
く用いられる。
【0018】本発明の水性エマルジョン組成物におい
て、アルミニウム化合物(B)の水性エマルジョンに対
する配合量は、水性エマルジョン(A)100重量部
(固形分)に対して、0.01〜5重量部であることが
好ましく、0.02〜3重量部、さらには0.03〜
2.5重量部であることがより好ましい。アルミニウム
化合物(B)の配合比率が0.01重量部未満の場合、
水性エマルジョン組成物の耐水性、耐溶剤性が低下し、
5重量部を越えると水性エマルジョン組成物の高温下に
おける貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0019】また、本発明の水性エマルジョン組成物は
pHが2〜5であることが重要であり、好ましくは2.
5〜4、より好ましくは2.7〜3.5である。水性エ
マルジョン組成物のpHが2より低い場合、高温下にお
ける貯蔵安定性が低下し不適である。pHが5より高い
場合、水性エマルジョン組成物の粘度が異常に高くな
り、また耐水性にも劣るため不適である。
【0020】水性エマルジョン組成物のpHの調整に用
いる化合物は特に限定されず、アンモニア水、苛性ソー
ダ、トリエタノールアミン等のアルカリ化合物により適
宜調整可能である。また、アルカリ化合物および、前記
アルミニウム化合物の添加方法についても特に限定され
ないが、アルカリ化合物により水性エマルジョン組成物
のpHを調整後、アルミニウム化合物を添加する方法が
好ましく用いられる。
【0021】本発明の水性エマルジョン組成物は、必要
に応じて、その乾燥性、セット性、粘度、造膜性などを
調整するために、トルエン、パークレン、ジクロロベン
ゼン、トリクロロベンゼンなどの各種有機溶剤、でんぷ
ん、変性でんぷん、酸化でんぷん、アルギン酸ソーダ、
カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、無水
マレイン酸/イソブテン共重合体、無水マレイン酸/ス
チレン共重合体、無水マレイン酸/メチルビニルエーテ
ル共重合体などの水溶性高分子や尿素/ホルマリン樹
脂、尿素/メラミン/ホルマリン樹脂、フェノール/ホ
ルマリン樹脂などの熱硬化性樹脂、さらに、クレー、カ
オリン、タルク、炭酸カルシウム、木粉などの充填剤、
小麦粉などの増量剤、酸化チタンなどの顔料あるいはそ
の他、可塑剤、消泡剤、凍結防止剤、防腐剤、防錆剤な
どの各種添加剤を含有することもできる。可塑剤として
は、フタル酸ジブチル、エチレングリコールモノフェニ
ルエーテル、テキサノールなどが挙げられる。本発明の
水性エマルジョン組成物は、耐水性、耐溶剤性に優れ、
かつ高温下における貯蔵安定性に優れるという特徴を生
かして、耐水性、耐溶剤性の要求される接着剤用途、例
えばエマルジョンを接着剤として使用して得た集成材の
表面を有機溶剤系塗料で塗布するような接着剤用途、そ
の他木工用接着剤、紙加工用接着剤、塗料、繊維処理剤
等の各種用途において用いられる。なお、本発明におい
て、耐溶剤性の「溶剤」としては、アセトン、トルエ
ン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ノル
マルプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチルなどの有機
溶剤が挙げられる。
【0022】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例
において「部」および「%」は、特に断らない限り重量
基準を意味する。
【0023】水性エマルジョン製造例1 還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた
1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300
g、PVA−1(重合度1000、けん化度99モル
%、エチレン変性量7モル%)26g、酢酸ナトリウム
0.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解し
た。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、20
0rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸
ナトリウムの20%水溶液15gおよび5%過酸化水素
水30gを2.5時間かけて連続的に滴下しつつ、酢酸
ビニル26gおよびアクリル酸0.26g、バーサチッ
ク酸ビニル{シエル化学社製の「ベオバ(Veova)
10」}0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始
30分後に初期重合終了を確認した。次に、酢酸ビニル
234gおよびアクリル酸2.34g、バーサチック酸
ビニル2.34gを2時間にわたって連続的に添加し、
重合を完結させ、pH2、固形分濃度49%のポリ酢酸
ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル単位100重量部に
対しアクリル酸、バーサチック酸ビニルをそれぞれ1重
量部含有)が得られた。このエマルジョン100重量部
(固形分)に対してジブチルフタレート10部を添加混
合した(Em−1)。
【0024】水性エマルジョン製造例2 水性エマルジョン製造例1において、PVA−1を用い
る代わりにPVA−2(重合度1700、けん化度95
モル%、エチレン変性量3モル%)を用いた他は水性エ
マルジョン製造例1と同様にし、pH1.9、固形分濃
度48.9%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られ
た。このエマルジョン100重量部(固形分)に対して
ジブチルフタレート10部を添加混合した(Em−
2)。
【0025】水性エマルジョン製造例3 水性エマルジョン製造例1において、アクリル酸を用い
る代わりにメタクリル酸を用いた他は水性エマルジョン
製造例1と同様にし、pH2.1、固形分濃度48.9
%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエ
マルジョン100重量部(固形分)に対してジブチルフ
タレート10部を添加混合した(Em−3)。
【0026】水性エマルジョン製造例4 水性エマルジョン製造例1において、Veova10を
用いなかった他は水性エマルジョン製造例1と同様に
し、pH2.1、固形分濃度49%のポリ酢酸ビニル系
エマルジョンが得られた。このエマルジョン100重量
部(固形分)に対してジブチルフタレート10部を添加
混合した(Em−4)。
【0027】水性エマルジョン製造例5 水性エマルジョン製造例1において、PVA−1を用い
る代わりにPVA−3(クラレ製PVA−117;重合
度1700、けん化度98.5モル%)を用いた以外は
水性エマルジョン製造例1と同様にして、水性エマルジ
ョン(Em−5)を得た。
【0028】実施例1 水性エマルジョン製造例1で得られた「Em−1」のp
Hをアンモニア水によりpH5.2に調整後、該エマル
ジョン100重量部(固形分)に対して、硝酸アルミニ
ウム9水和物を1重量部配合して水性エマルジョン組成
物を調製したところpHは3.1であった。得られた水
性エマルジョン組成物の皮膜の耐水性、耐溶剤性および
高温下における貯蔵安定性を下記の要領で評価した。結
果を表1に示す。
【0029】(エマルジョン組成物の評価) 皮膜の耐水性 得られた水性エマルジョン組成物を20℃65%RH下
で、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記
する)上に流延し、7日間乾燥させて厚さ500μmの
乾燥皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmに打ち抜
き、それを試料として煮沸水に4時間浸漬した場合の、
皮膜の吸水率、溶出率を求めた。 溶出率(%):{1−(浸漬後の皮膜絶乾重量/浸漬前の
皮膜絶乾重量)}×100 吸水率(%):{(浸漬後の皮膜吸水重量/浸漬前の皮膜
絶乾重量)−1}×100 *浸漬前の皮膜絶乾重量;浸漬前の皮膜重量(含水)−
(浸漬前の皮膜重量(含水)× 皮膜含水率(%)/10
0) *皮膜含水率;皮膜(煮沸水に浸漬するサンプルとは別
のサンプル)を、105℃、4時間で絶乾し、皮膜の含水
率をあらかじめ求める。 *浸漬後の皮膜絶乾重量;浸漬後の皮膜を105℃、4時
間で絶乾した重量。 浸漬後の皮膜吸水重量;浸漬後の皮膜を水から引き上げ
た後、皮膜についた水をガーゼで拭き取り秤量した重
量。 (2)耐溶剤性 得られた水性エマルジョン組成物を20℃65%RH下
で、PET上に流延し、7日間乾燥させて厚さ500μ
mの乾燥皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmに打ち
抜き、それを試料としてアセトンに24時間浸漬した場
合の、皮膜の吸液率、溶出率を求めた。 溶出率(%):{1−(浸漬後の皮膜絶乾重量/浸漬前の
皮膜絶乾重量)}×100 吸液率(%):{(浸漬後の皮膜吸液重量/浸漬前の皮膜
絶乾重量)−1}×100 *浸漬前の皮膜絶乾重量;浸漬前の皮膜重量(含水)−
(浸漬前の皮膜重量(含水)× 皮膜含水率(%)/10
0) *皮膜含水率;皮膜(アセトンに浸漬するサンフ゜ルとは別
のサンフ゜ル)を、105℃、4時間で絶乾し、皮膜の含水率を
あらかじめ求める。 *浸漬後の皮膜絶乾重量;浸漬後の皮膜を105℃、4時
間で絶乾した重量。 浸漬後の皮膜吸液重量;浸漬後の皮膜をアセトンから引
き上げた後、皮膜についたアセトンをガーゼで拭き取り
秤量した重量。 (3)高温下における貯蔵安定性 エマルジョン組成物を60℃で4週間放置した後の状態
を観察した。
【0030】実施例2 実施例1において硝酸アルミニウム9水和物1重量部の
代わりに塩化アルミニウムを0.5重量部用いた他は実
施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に
示す。
【0031】比較例1 実施例1において硝酸アルミニウム9水和物を用いなか
った他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併
せて表1に示す。
【0032】実施例3 実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られた
「Em−1」の代わりに水性エマルジョン製造例2で得
られた「Em−2」を用いた他は実施例1と同様にして
試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0033】実施例4 実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られた
「Em−1」の代わりに水性エマルジョン製造例3で得
られた「Em−3」を用いた他は実施例1と同様にして
試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0034】比較例2 実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られた
「Em−1」の代わりに水性エマルジョン製造例4で得
られた「Em−4」を用いた他は実施例1と同様にして
試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0035】比較例3 実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られた
「Em−1」の代わりに水性エマルジョン製造例5で得
られた「Em−5」を用いた他は実施例1と同様にして
試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0036】比較例4 実施例1において水性エマルジョンのpHを調整せずに
硝酸アルミニウム9水和物を添加した他は実施例1と同
様にして試験を行った。水性エマルジョン組成物のpH
は1.8であった。結果を併せて表1に示す。
【0037】比較例5 実施例1において水性エマルジョンのpHをアンモニア
水によりpH7.5に調整後、同様に硝酸アルミニウム
9水和物を添加した他は実施例1と同様にして試験を行
った。水性エマルジョン組成物のpHは5.5であっ
た。結果を併せて表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明の水性エマルジョン組成物は、耐
水性、耐溶剤性に優れ、さらに高温下における貯蔵安定
性に優れており、木工用接着剤、合板用接着剤、紙加工
剤、塗料、繊維加工剤などに幅広く好適に用いられる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に炭素数4以下のα−オレフィン
    単位を1〜20モル%含有し、けん化度90モル%以上
    のビニルアルコール系重合体を分散剤とし、炭素数4以
    下の脂肪酸のビニルエステル系単量体単位100重量部
    に対し、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体単
    位0.1〜10重量部および炭素数5以上の脂肪酸のビ
    ニルエステル系単量体単位0.1〜15重量部を含有す
    る重合体を分散質とする水性エマルジョン(A)および
    アルミニウム化合物(B)からなり、pHが2〜5であ
    る水性エマルジョン組成物。
  2. 【請求項2】 炭素数4以下のα−オレフィン単位がエ
    チレン単位である請求項1記載の水性エマルジョン組成
    物。
  3. 【請求項3】 アルミニウム化合物(B)が、塩化アル
    ミニウム、硝酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウムか
    ら選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項1また
    は2記載の水性エマルジョン組成物。
  4. 【請求項4】 カルボキシル基含有エチレン性不飽和単
    量体がアクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる少な
    くとも一種の化合物である請求項1〜3のいずれかに記
    載の水性エマルジョン組成物。
  5. 【請求項5】 炭素数4以下の脂肪酸のビニルエステル
    系単量体が酢酸ビニルであり、炭素数5以上の脂肪酸の
    ビニルエステル系単量体が第3級脂肪酸のビニルエステ
    ルである請求項1〜4のいずれかに記載の水性エマルジ
    ョン組成物。
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