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JP2003254074A - 可変容量ターボチャージャ - Google Patents

可変容量ターボチャージャ

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JP2003254074A
JP2003254074A JP2002049347A JP2002049347A JP2003254074A JP 2003254074 A JP2003254074 A JP 2003254074A JP 2002049347 A JP2002049347 A JP 2002049347A JP 2002049347 A JP2002049347 A JP 2002049347A JP 2003254074 A JP2003254074 A JP 2003254074A
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nozzle
nozzle vane
scroll passage
pivot
vane
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Takao Yokoyama
隆雄 横山
Takeshi Osako
雄志 大迫
Yasuaki Jinnai
靖明 陣内
Yoshimitsu Miura
義光 三浦
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Supercharger (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルベーンに作用するモーメントを開方向
に維持し、ピボット位置をより後縁側に近付けることが
でき、操作性、制御性が良く、ノズルベーンからタービ
ンホイールへの流体特性が良好な可変容量ターボチャー
ジャ。 【解決手段】 タービンホイールを囲んで駆動流体が導
入されるスクロール通路と、スクロール通路の内周側に
周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに回動制御
自在に取付けられた複数のノズルベーンを備え、ノズル
ベーンが隣り合うノズルベーンとの間にスクロール通路
からタービンホイールへ駆動流体が流入するノズルスロ
ートを形成する可変容量ターボチャージャにおいて、ノ
ズルベーンは、流体力学的設計のノズルベーンの翼型に
おいて、同流体力学的設計のノズルベーンの前縁から所
定の距離にわたり後方の負圧面を切削して翼厚を薄くし
た変更形状部を形成してなるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過給機、小型ガス
タービン、エキスパンダタービン等の可変容量ターボチ
ャージャに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の可変容量ターボチャージャにつ
き、図6から図10に基づき説明する。図6は、一般的
な可変容量ターボチャージャの縦断面図であり、図7は
図6中A−A矢視によるノズルベーンの操作説明図、図
8は図7と同じ面を示すノズルベーンにおける圧力作用
の説明図、図9は図7と同じ面を示す従来の流体力学的
設計のノズルベーンの断面説明図であり、(a)はノズ
ルベーンが閉じた状態、(b)はノズルベーンの断面形
状の拡大図である。図10(a)はノズルベーンにおけ
るピボットの位置の説明図、(b)は従来の流体力学的
設計のノズルベーンに作用するピボット回りのモーメン
トの説明図である。
【0003】図6に示すように、一般に可変容量ターボ
チャージャ30は、軸受ハウジング31内に軸受32に
回転支持されたタービンロータ33を挿通させ、タービ
ンロータ33の一端側に取り付けられたコンプレッサホ
イール34を囲んで覆うようにコンプレッサケーシング
35が軸受ハウジング31に取り付けられている。一
方、タービンロータ33の他端側には、タービンホイー
ル36が取り付けられ、タービンホイール36を囲んで
覆うようにタービンケーシング37が軸受ハウジング3
1に取り付けられている。
【0004】タービンケーシング37の内側には、ター
ビンロータ33の回転軸心41回りにタービンホイール
36の外周を囲むようにスクロール通路40が形成され
ている。また、スクロール通路40の外周側には概ねス
クロール通路40の接線方向に沿った排気ガス入口38
が設けられ、タービンロータ33の回転軸心41に沿っ
て排気ガス出口39が設けられている。
【0005】可変容量ターボチャージャ30の駆動流体
としての排気ガスgは、排気ガス入口38からスクロー
ル通路40に入り、スクロール通路40を通り、スクロ
ール通路40の内周側に周方向に等ピッチで設けられた
ノズルベーン1によって流量を可変に調整されてタービ
ンホイール36に流入し、タービンホイール36を回転
駆動し、排気ガス出口39から排出される。一方コンプ
レッサホイール34は、タービンホイール36によって
回転駆動され、空気a等の圧送に用いられる。
【0006】ノズルベーン1はピボット3によってノズ
ルマウント2に回動制御自在に取り付けられており、可
変ノズル機構4によって回動制御され、ノズルベーン1
が隣り合うノズルベーン1との間にスクロール通路40
からタービンホイールへ排気ガスgが流入すノズルスロ
ート5を形成し、ノズルスロート5はその流路の開度が
ノズルベーン1のピボット3回りの回動により制御され
る。
【0007】図6中A−A矢視断面を示す図7に示すよ
うに、ノズルベーン1のピボット3は、回転軸心41回
りのピボットピッチサークル6上に等間隔に位置してお
り、ノズルベーン1はピボット3を回動軸として、排気
ガスgの小流量時には(a)に示すようなノズルスロー
ト5を閉じる方向へ、また、排気ガスgの大流量時には
(b)に示すようなノズルスロート5を開く方向へと回
動制御される。
【0008】図8に示すように、ノズルベーン1とその
間に形成されるノズルスロート5とを挟んで、外周側の
スクロール通路40は駆動流体として送り込まれた排気
ガスgにより高圧側Zpとなり、内周側のタービンホイ
ール36は低圧側Znとなり、ノズルベーン1の周りに
は図中の等圧線7に例示するような静圧分布を生じる。
【0009】したがって、高圧側Zpに接するノズルベ
ーン1の圧力面1pにかかる静圧と、低圧側Znに接す
る負圧面1nにかかる静圧の圧力差によって、ノズルベ
ーン1のピボット3より前縁1a側においては、ノズル
スロート5の閉方向のモーメントM(−)を発生させ、
後縁1b側においては開方向モーメントM(+)が発生
する。
【0010】一方、図9(a)に示すように、ノズルベ
ーン1はノズルスロート5を閉じるために、隣り合うノ
ズルベーン1の前縁1a側と後縁1b側とがノズルベー
ン1の全長Lに対してある程度重なるように設けられて
おり、断面における重なり長さLo は、ノズルベーン1
の長さL、ノズルベーン1 の枚数、ピボットピッチサー
クル6の半径、機種等により異なる。
【0011】例えば、ノズルベーン長さL=16mm、ノ
ズルベーン枚数N=12、ピボットピッチサークル半径R
= 26.26mmの場合、重なり長さLo =(L−2πR/
N)≒0.14L程度である。
【0012】また、従来のノズルベーン1は、図9
(b)に示すように、流体力学的に圧損ができるだけ小
さく効率が高くなるように、前縁1aは流体の剥離を起
こさないために比較的大きな半径で形成され、前縁1a
から後縁1bにかけてノズルベーン1の翼型の反り中心
線8に沿って滑らかに圧力面1hと負圧面1bが形成さ
れるように設計されている。
【0013】図9(b)に示すノズルベーン1は、翼型
の中心線8が曲線のカーブドバックベーンであるが、図
示しない翼型の中心線が直線のストレートベーンの場合
も同様に、通常行なわれる好ましいとされる標準的設計
のノズルベーンのベーン表面形状は、流体力学的に圧損
ができるだけ小さく効率が高くなるように、前縁は流体
の剥離を起こさないために比較的大きな半径で形成さ
れ、前縁から後縁にかけて翼型の中心線に沿って滑らか
に圧力面と負圧面が形成されるように設計されている。
本明細書において、そのような従来の流体力学的に圧損
ができるだけ小さく効率が高くなるように設計したノズ
ルベーンを「流体力学的設計のノズルベーン」という。
【0014】ピポット3の位置を決めるにあたっては、
下流側のタービンホイール36との排気ガスgの流れの
流体特性を好ましく維持するために、ピボット3回りの
回動による後縁1bの移動距離を小さくすることが好ま
しく、通常、後縁1bからピボット3までの距離Lp
が、 0.5L程度あるいは 0.5L以下に設定されることが
多い。
【0015】しかしながら、従来のそのようなピボット
3の位置の流体力学的設計のノズルベーン1において
は、前縁1a側に働く静圧による閉方向のモーメントM
(−)と後縁1b側に働く開方向モーメントM(+)と
のバランスにおいて、閉方向モーメントM(−)が勝る
設定となったり、均衡しいても、ノズルベーン1の開度
により静圧分布やその変動によって、そのバランスが変
動して、トータルのモーメントMの方向が入れ替わるも
のとなった。
【0016】ノズルベーン1に働くモーメントMの方向
が入れ替わるとノズルベーン1を回動制御する可変ノズ
ル機構4の機構的、制御的ヒステリシスのため制御位
置、制御特性が一定とならず、可変容量ターボチャージ
ャのノズル制御の精度に問題を生じる恐れがあった。ま
た、閉方向モーメントM(−)が勝る設定の場合、万一
可変ノズル機構4のアクチュエータ等駆動系の故障が起
きた場合は、ノズル流路が閉鎖され、可変容量ターボチ
ャージャの機能が停止するという問題を生じる恐れもあ
った。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の様な
従来の流体力学的設計のノズルベーン1を備えた可変容
量ターボチャージャにおける問題を解決するためになさ
れたものであり、本発明のために、本発明者によりなさ
れた従来のノズルベーン1に作用するモーメントMの状
態の検討結果を、図10に基づき説明する。
【0018】図10(a)は、従来の流体力学的設計の
ノズルベーン1の形状と、試験的に設定したピボット3
の位置P1 〜P5 を示すものであり、ノズルベーン1の
全長をLとしたとき、ピボット3の位置P1 〜P5 の後
縁1bからの距離Lpは、P1 でLp≒0.17L、P2 で
Lp≒0.37L、P3 でLp≒0.5 L、P4 でLp≒0.63
L、P5 でLp≒0.75Lである。
【0019】なお、前述のノズルベーン1の前縁1aと
後縁1bの重なり長さLo のためピボット3の位置は前
縁1a側も後縁1b側もあまり端部には設けられず、概
ね上記のP1 〜P5 の範囲が考えられるものである。
【0020】図10(b)は、上記の従来のノズルベー
ン1の中程度の開度におけるノズルベーン1に働く、ピ
ボット3(位置P1 〜P5 ) 回りのモーメントの試験結
果のグラフである。
【0021】図10(b)に示されるように、P4 ( L
p≒0.63L) より前縁1a側にピボット3 が位置すれ
ば、モーメントMは正(開方向)となり、ノズルベーン
1には開方向のモーメントが働くことになるが、P4 (
Lp≒0.63L) 近辺では、モーメントMが正負均衡し不
安定の恐れがあり、Lpがそれ以下、例えばP3 ( Lp
≒0.50L) では、モーメントMは常に負(閉方向)とな
り、それぞれ上記のような問題を有することが判明し
た。
【0022】そこで、ピボット3 を、P4 ( Lp≒0.6
3L) より前縁1a側に位置させれば良いが、一方、ピ
ボット3 が後縁1bから離れ過ぎると前述のように下
流側のタービンホイール36との排気ガスgの流れの流
体特性上好ましくない。
【0023】そのため、より後縁1bに近い位置、少な
くとP3 ( Lp≒0.50L) にピボット3を設置しても、
モーメントMは常に正(開方向)となりノズルベーン1
に開方向のモーメントが働き、モーメントMが常にノズ
ルベーン1の前縁1aをスクロール通路40側に回動す
る方向に働くようなノズルベーン1を備えた可変容量タ
ーボチャージャ30が望まれる。
【0024】本発明は、かかる知見を得てなされたもの
であって、ノズルベーンに作用するモーメントを正(開
方向)に維持し、ノズルベーンの前縁をスクロール通路
側に回動する方向に働くようにしつつ、ピボット位置を
より後縁側に近付けることができ、ノズルベーンの操作
性、制御性が良く、且つノズルベーンからタービンホイ
ールへの排気ガスの流れの流体特性が良好な可変容量タ
ーボチャージャを提供することを課題とするものであ
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】(1)本発明は、上記の
課題を解決するためになされたものであって、その第1
の手段として、タービンホイールを囲んで駆動流体が導
入されるスクロール通路と、同スクロール通路の内周側
に周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに回動制
御自在に取付けられた複数のノズルベーンを備え、同ノ
ズルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前記スクロ
ール通路から前記タービンホイールへ駆動流体が流入す
るノズルスロートを形成する可変容量ターボチャージャ
において、前記ノズルベーンは、流体力学的設計のノズ
ルベーンの翼型において、同流体力学的設計のノズルベ
ーンの前縁から所定の距離にわたり後方の負圧面を切削
して翼厚を薄くした変更形状部を形成してなることを特
徴とする可変容量ターボチャージャを提供する。
【0026】第1の手段の可変容量ターボチャージャに
よれば、ノズルベーンの負圧面の前縁側の変更形状部に
面するノズルスロートが拡大されるため、ノズルスロー
トにおける駆動流体の流速が遅くなり、静圧が上昇する
ことになり、前縁を押上げる力が増加し、前縁側に働く
閉方向のモーメントを減少させ、ノズルベーンのピボッ
ト回りのトータルなモーメントが正方向に移行する。
【0027】(2)第2の手段としては、タービンホイ
ールを囲んで駆動流体が導入されるスクロール通路と、
同スクロール通路の内周側に周方向に等ピッチで配置さ
れ、ピボット回りに回動制御自在に取付けられた複数の
ノズルベーンを備え、同ノズルベーンが隣り合うノズル
ベーンとの間に前記スクロール通路から前記タービンホ
イールへ駆動流体が流入するノズルスロートを形成する
可変容量ターボチャージャにおいて、前記ノズルベーン
は、流体力学的設計のノズルベーンの翼型において、同
流体力学的設計のノズルベーンの後縁から所定の距離に
わたり前方の圧力面を切削して翼厚を薄くした変更形状
部を形成してなることを特徴とする可変容量ターボチャ
ージャ提供する。
【0028】第2の手段の可変容量ターボチャージャに
よれば、ノズルベーンの圧力面の後縁側の変更形状部に
面するノズルスロートが拡大されるため、ノズルスロー
トにおける駆動流体の流速が遅くなり、静圧が上昇する
ことになり、前縁を押上げる力が増加し、後縁側に働く
開方向のモーメントを増加させ、ノズルベーンのピボッ
ト回りのトータルなモーメントが正方向に移行する。
【0029】(3)また、第3の手段として、タービン
ホイールを囲んで駆動流体が導入されるスクロール通路
と、同スクロール通路の内周側に周方向に等ピッチで配
置され、ピボット回りに回動制御自在に取付けられた複
数のノズルベーンを備え、同ノズルベーンが隣り合うノ
ズルベーンとの間に前記スクロール通路から前記タービ
ンホイールへ駆動流体が流入するノズルスロートを形成
する可変容量ターボチャージャにおいて、前記ノズルベ
ーンは、流体力学的設計のノズルベーンの翼型におい
て、同流体力学的設計のノズルベーンの前縁から所定の
距離にわたり後方の圧力面を切削して翼厚を薄くし折れ
曲がって前後の面と接続させた変更形状部を形成してな
ることを特徴とする可変容量ターボチャージャを提供す
る。
【0030】第3の手段の可変容量ターボチャージャに
よれば、ノズルベーンの圧力面の前縁側の変更形状部に
面するノズルスロートで不連続的な急激な流路拡大が生
じ、駆動流体流れが高速の場合駆動流体の慣性力が高い
ため剥離が生じ、ノズルスロートの静圧が低下すること
になり、前縁を押上げる力が増加して、前縁側に働く閉
方向のモーメントを減少させ、ノズルベーンのピボット
回りのトータルなモーメントが正方向に移行する。
【0031】(4)第4の手段として、タービンホイー
ルを囲んで駆動流体が導入されるスクロール通路と、同
スクロール通路の内周側に周方向に等ピッチで配置さ
れ、ピボット回りに回動制御自在に取付けられた複数の
ノズルベーンを備え、同ノズルベーンが隣り合うノズル
ベーンとの間に前記スクロール通路から前記タービンホ
イールへ駆動流体が流入するノズルスロートを形成する
可変容量ターボチャージャにおいて、前記ノズルベーン
は、流体力学的設計のノズルベーンの翼型において、同
流体力学的設計のノズルベーンの後縁から所定の距離に
わたり前方の負圧面を切削して翼厚を薄くし折れ曲がっ
て前後の面と接続させた変更形状部を形成してなること
を特徴とする可変容量ターボチャージャを提供する。
【0032】第4の手段の可変容量ターボチャージャに
よれば、ノズルベーンの負圧面の後縁側の変更形状部に
面するノズルスロートで不連続的な急激な流路拡大が生
じ、駆動流体流れが高速の場合駆動流体の慣性力が高い
ため剥離が生じ、ノズルスロートの静圧が低下すること
になり、後縁を押下げる力が増加して、後縁側に働く開
方向のモーメントを増加させ、ノズルベーンのピボット
回りのトータルなモーメントが正方向に移行する。
【0033】(5)第5の手段として、第1の手段ない
し第4の手段のいずれかの可変容量ターボチャージャに
おいて、前記ノズルベーンは、同ノズルベーンにおける
ピボットの位置を、前記駆動流体が前記スクロール通路
に導入されているとき同駆動流体の静圧により同ノズル
ベーンに働く前記ピボット回りのモーメントが、前記ノ
ズルベーンの前縁を前記スクロール通路側に回動させる
方向に働く位置に設定してなることを特徴とする可変容
量ターボチャージャを提供する。
【0034】第5の手段の可変容量ターボチャージャに
よれば、第1の手段ないし第4の手段のいずれかの作用
に加え、ピボットの後縁からの距離を従来より小さく取
っても駆動流体の静圧によるモーメントの方向が入れ替
わらないようにでき、その場合ノズルベーンの回動制御
における制御位置、制御特性が一定化し、また、万一可
変ノズル機構のアクチュエータ等駆動系の故障が起きた
場合も、ノズル流路が閉鎖され、可変容量ターボチャー
ジャの機能が停止するという問題の恐れがなく、且つ、
ノズルベーンの後縁の移動距離を小さくできタービンホ
イールとの駆動流体の流れの流体特性を好ましく維持で
きる。
【0035】(6)第6の手段として、第5の手段の可
変容量ターボチャージャにおいて、前記ピボットの位置
を、前記ノズルベーンの後縁からの距離が同ノズルベー
ンの翼型断面の全長の50%から75%の範囲としてな
ること特徴とする可変容量ターボチャージャを提供す
る。
【0036】第6の手段の可変容量ターボチャージャに
よれば、第5の手段の作用に加え、ノズルベーンには常
に安定して開方向のモーメントが働くようにでき、ノズ
ルベーンの操作性、制御性が良好となり、可変容量ター
ボチャージャのノズル制御の精度が向上する。
【0037】
【発明の実施の形態】図1に基づき、本発明の実施の第
1形態に係る可変容量ターボチャージャを説明する。図
1は、本実施の形態に係る可変容量ターボチャージャに
備えられるノズルベーンの断面図である。本実施の形態
の可変容量ターボチャージャはノズルベーンの断面形状
が、図6から図10で説明した従来の可変容量ターボチ
ャージャのノズルベーンと異なり、その結果ノズルベー
ンにおけるピボットの位置が移動したものとなるが、他
は同様に構成されており、本実施の形態において、図6
から図10に示されると同様なものは図示を省略し、ま
た説明を省略して、異なる点を主に説明する。
【0038】従って、上記同様な点に関しては本実施の
形態の説明においても同じ名称、同じ符号により図6か
ら図10を参照するものとする。
【0039】なお、このことは後述の他の実施の形態に
おいて同様である。
【0040】図1に示されるように、本実施の形態の可
変容量ターボチャージャのノズルベーン101は、負圧
面101nの前縁101a側に、その断面において前縁
101aから後方L1 の距離にわたる領域を、従来の流
体力学的設計のノズルベーン1の断面の変更前形状1c
に対して、最大T1 の深さを切削し翼厚を薄くした変更
形状部101cを有するものとしている。このことによ
り、変更形状部101cに面するノズルスロート5aが
拡大される。なお、101pは圧力面、101bは後縁
である。
【0041】変更形状部101cの長さL1 は、前述の
前縁と後縁の重なり長さLo によって異なるが、重なり
長さLo の考えられる範囲から、ノズルベーン101の
全長Lに対して、L1 ≒0.1 〜0.3 Lである。また、切
削深さT1 は、翼厚Tに対して、T1 ≒0.1 〜0.5 T程
度である。
【0042】以上のような本実施の形態の可変容量ター
ボチャージャにおいては、従来の変更前形状1cの場合
に対して、ノズルベーン101の負圧面101nの前縁
101a側の変更形状部101cに面するノズルスロー
ト5aが拡大されるため、ノズルスロート5aにおける
排気ガスgの流速が遅くなり、流速が低下した分、静圧
p1 が上昇することになる。
【0043】そのため、前縁101aを押上げる力が増
加し、発生した正のモーメントΔMが、前縁101a側
に働く閉方向のモーメントM(−)を減少させ、ノズル
ベーン101のピボット3回りのトータルなモーメント
Mが正方向に移行するので、モーメントMが正となるピ
ボット3位置をより後縁101b側に近付けることがで
き、ノズルベーン101の操作性、制御性が良く、且つ
ノズルベーン101からタービンホイール36への排気
ガスgの流れの流体特性が良好な可変容量ターボチャー
ジャとなる。
【0044】図2に基づき、本発明の実施の第2形態に
係る可変容量ターボチャージャを説明する。図2は、本
実施の形態に係る可変容量ターボチャージャに備えられ
るノズルベーンの要部断面図である。
【0045】図2に示されるように、本実施の形態の可
変容量ターボチャージャのノズルベーン201は、圧力
面201pの後縁201b側に、その断面において後縁
201bから前方L2 の距離にわたる領域を、従来の流
体力学的設計のノズルベーン1の断面の変更前形状1c
に対して、最大T2 の深さを切削し翼厚を薄くした変更
形状部201cを有するものとしている。このことによ
り、変更形状部201cに面するノズルスロート5bが
拡大される。なお、201nは負圧面である。前縁およ
びピボットは図1同様であり図示省略する。
【0046】変更形状部201cの長さL2 は、前述の
前縁と後縁の重なり長さLo によって異なるが、後縁2
01b側は翼厚が薄いことを考慮して、ノズルベーン2
01の全長Lに対して、L2 ≒0.05〜0.15Lである。
【0047】また、切削深さT2 は、翼厚Tに対して、
T2 ≒0.1 〜0.5 T程度である。
【0048】以上のような本実施の形態の可変容量ター
ボチャージャにおいては、従来の変更前形状1cの場合
に対して、ノズルベーン201の圧力面201pの後縁
201b側の変更形状部201cに面するノズルスロー
ト5bが拡大されるため、ノズルスロート5bにおける
排気ガスgの流速が遅くなり、流速が低下した分、静圧
p2 が上昇することになる。
【0049】そのため、後縁201bを押下げる力が増
加して、発生した正のモーメントΔMが、後縁201b
側に働く開方向のモーメントM(+)を増加させ、ノズ
ルベーン201のピボット3回りのトータルなモーメン
トMが正方向に移行するので、モーメントMが正となる
ピボット3位置をより後縁201b側に近付けることが
でき、ノズルベーン201の操作性、制御性が良く、且
つノズルベーン201からタービンホイール36への排
気ガスgの流れの流体特性が良好な可変容量ターボチャ
ージャとなる。
【0050】図3に基づき、本発明の実施の第3形態に
係る可変容量ターボチャージャを説明する。図3は、本
実施の形態に係る可変容量ターボチャージャに備えられ
るノズルベーンの断面図である。
【0051】図3に示されるように、本実施の形態の可
変容量ターボチャージャのノズルベーン301は、圧力
面301pの前縁301a側に、その断面において前縁
301aから後方L3 の距離にわたる領域を、従来の流
体力学的設計のノズルベーン1の断面の変更前形状1c
に対して、折れ曲がって前後の面と接続する面を形成す
るように最大T3 の深さを切削し翼厚を薄くした変更形
状部301cを有するものとしている。このことによ
り、変更形状部301cに面するノズルスロート5cが
不連続的に急拡大される。なお、301nは負圧面、3
01bは後縁である。
【0052】変更形状部301cの長さL3 は、前述の
前縁と後縁の重なり長さLo 、及び後述の変更形状部3
01cに面するノズルスロート5cでの有効な排気ガス
g流れの剥離挙動によって決められるが、ノズルベーン
301の全長Lに対して、L3 ≒0.1 〜0.3 Lである。
【0053】また、切削深さT3 は、翼厚Tに対して、
T3 ≒0.1 〜0.5 T程度である。
【0054】以上のような本実施の形態の可変容量ター
ボチャージャにおいては、従来の変更前形状1cの場合
に対して、ノズルベーン301の圧力面301pの前縁
301a側の変更形状部301cに面するノズルスロー
ト5cで不連続的な急激な流路拡大が生じ、排気ガスg
流れが高速の場合流体の慣性力が高いため、急激な流路
拡大で流れを転向させると剥離が生じ、ノズルスロート
5cの静圧p3 が低下することになる。
【0055】剥離による静圧低下は、解析の結果の例に
よると、排気ガスgの大流量時(ノズルベーン開度大)
の時には、剥離により、前縁301aから0.345 Lの距
離まで、ノズルスロート5出口部の静圧と同じ 130kP
aの静圧が形成された。このため有効な剥離による静圧
低下域を考慮し、変更形状部301cの長さL3 は、ノ
ズルベーン301の全長Lに対して、L3 ≒0.1 〜0.3
L程度とするものである。
【0056】そのため、前縁301aを押上げる力が増
加して、発生した正のモーメントΔMが、前縁301a
側に働く閉方向のモーメントM(−)を減少させ、ノズ
ルベーン301のピボット3回りのトータルなモーメン
トMが正方向に移行する。
【0057】図4に基づき、本発明の実施の第4形態に
係る可変容量ターボチャージャを説明する。図4は、本
実施の形態に係る可変容量ターボチャージャに備えられ
るノズルベーンの要部断面図である。
【0058】図4に示されるように、本実施の形態の可
変容量ターボチャージャのノズルベーン401は、負圧
面401nの後縁401b側に、その断面において後縁
401bから前方L4 の距離にわたる領域を、従来の流
体力学的設計のノズルベーン1の断面の変更前形状1c
に対して、折れ曲がって前後の面と接続する面を形成す
るように最大T4 の深さを切削し翼厚を薄くした変更形
状部401cを有するものとしている。このことによ
り、変更形状部401cに面するノズルスロート5dが
不連続的に急拡大される。なお、401pは圧力面であ
る。前縁およびピボットは図3同様であり図示省略す
る。
【0059】変更形状部401cの長さL4 は、前述の
前縁と後縁の重なり長さLo 、及び前述と同様の変更形
状部401cに面するノズルスロート5dでの有効な排
気ガスg流れの剥離挙動によるが、後縁401b側は翼
厚が薄いことを考慮して、ノズルベーン401の全長L
に対して、L4 ≒0.05〜0.15Lである。また、切削深さ
T4 は、翼厚Tに対して、T4 ≒0.1 〜0.5 T程度であ
る。
【0060】以上のような本実施の形態の可変容量ター
ボチャージャにおいては、従来の変更前形状1cの場合
に対して、ノズルベーン401の負圧面401nの後縁
401b側の変更形状部401cに面するノズルスロー
ト5dで不連続的な急激な流路拡大が生じ、排気ガスg
流れが高速の場合流体の慣性力が高いので、急激な流路
拡大により流れを転向させると剥離が生じ、ノズルスロ
ート5dの静圧p4 が低下することになる。
【0061】そのため、後縁401bを押下げる力が増
加して、発生した正のモーメントΔMが、後縁401b
側に働く開方向のモーメントM(+)を増加させ、ノズ
ルベーン401のピボット3回りのトータルなモーメン
トMが正方向に移行する。
【0062】以上のように、実施の第1形態ないし第4
形態の何れにおいても、ノズルベーン101ないし40
1のピボット3回りのトータルなモーメントMが正方向
に移行するため、図10(a)で示したと同じピボット
3の位置P1 〜P5 におけるモーメントMは何れも、正
方向に移行する。
【0063】図5は、図10(a)で示したと同様の、
ノズルベーンに作用するピボット回りのモーメントの説
明図であり、黒四角点は従来の流体力学的設計のノズル
ベーン1の場合、白四角点は本発明の実施の第1形態の
ノズルベーン101の場合の解析結果を示す。なお、実
施の第2形態ないし第4形態の何れの場合も同様な結果
である。
【0064】図5に示すように、実施の第1形態のピボ
ット3回りのトータルなモーメントMが正方向にΔM移
行するため、モーメントMが0となるピボット3の位置
(開方向と閉方向のモーメントが均衡し、その位置より
前縁101a側ではノズルベーン101に正(開方向)
のモーメントMがかかった状態となる)は、従来のP4
近傍の図中P01の位置から、P3 とP2 の間の図中P02
の位置へ移行する。
【0065】従って、実施の第1形態の可変容量ターボ
チャージャにおいては、モーメントMが、正(開方向)
となり、ノズルベーン101の前縁101aをスクロー
ル通路40側の回動する方向に働くピボット3の後縁1
01bからの距離Lpを、0.5 L以下とすることがで
き、Lp=0.5 〜0.75Lの範囲にピボット3 を位置させ
れば、ノズルベーン101には常に安定して開方向のモ
ーメントが働くようにでき、万一可変ノズル機構4のア
クチュエータ等駆動系の故障が起きた場合にも、ノズル
流路が閉鎖され、可変容量ターボチャージャの機能が停
止するという事故を回避でき、且つノズルベーンの操作
性、制御性が良好なものとでき、可変容量ターボチャー
ジャのノズル制御の精度を向上できる。
【0066】また、ノズルベーン101に常に開方向の
モーメントが働く状態が得られるようにする場合でも、
ピボット3を従来の流体力学的設計のノズルベーン1に
於けるよりはるかに後縁101b側、例えばLp=0.5
の位置(P3 )に位置させることができ、その結果、ノ
ズルベーン101からタービンホイール36への排気ガ
スgの流れの流体特性を良好に維持でき、可変容量ター
ボチャージャの効率を高く維持できる。
【0067】なお、実施の第1形態を例に説明したが、
上述のことは実施の第2形態ないし第4形態の何れにお
いても同様である。
【0068】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本
発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよ
いことはいうまでもない。
【0069】例えば、従来例、実施の形態はともに、ノ
ズルベーンの翼型の中心線8が曲線のカーブドバックベ
ーンを示して説明したが、図示しない翼型の中心線が直
線のストレートベーンの場合においても同様の作用効果
を奏することができる。
【0070】
【発明の効果】(1)請求項1の発明によれば、可変容
量ターボチャージャを、タービンホイールを囲んで駆動
流体が導入されるスクロール通路と、同スクロール通路
の内周側に周方向に等ピッチで配置され、ピボット回り
に回動制御自在に取付けられた複数のノズルベーンを備
え、同ノズルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前
記スクロール通路から前記タービンホイールへ駆動流体
が流入するノズルスロートを形成する可変容量ターボチ
ャージャにおいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設
計のノズルベーンの翼型において、同流体力学的設計の
ノズルベーンの前縁から所定の距離にわたり後方の負圧
面を切削して翼厚を薄くした変更形状部を形成してなる
ように構成したので、ノズルベーンの負圧面の前縁側の
変更形状部に面するノズルスロートが拡大されるため、
ノズルスロートにおける駆動流体の流速が遅くなり、静
圧が上昇することになり、前縁を押上げる力が増加し、
前縁側に働く閉方向のモーメントを減少させ、ノズルベ
ーンのピボット回りのトータルなモーメントが正方向に
移行するので、モーメントが正となるピボット位置をよ
り後縁側に近付けることができ、ノズルベーンの操作
性、制御性が良く、且つノズルベーンからタービンホイ
ールへの駆動流体の流れの流体特性が良好な可変容量タ
ーボチャージャとなる。
【0071】(2)請求項2の発明によれば、可変容量
ターボチャージャを、タービンホイールを囲んで駆動流
体が導入されるスクロール通路と、同スクロール通路の
内周側に周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに
回動制御自在に取付けられた複数のノズルベーンを備
え、同ノズルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前
記スクロール通路から前記タービンホイールへ駆動流体
が流入するノズルスロートを形成する可変容量ターボチ
ャージャにおいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設
計のノズルベーンの翼型において、同流体力学的設計の
ノズルベーンの後縁から所定の距離にわたり前方の圧力
面を切削して翼厚を薄くした変更形状部を形成してなる
要に構成したので、ノズルベーンの圧力面の後縁側の変
更形状部に面するノズルスロートが拡大されるため、ノ
ズルスロートにおける駆動流体の流速が遅くなり、静圧
が上昇することになり、前縁を押上げる力が増加し、後
縁側に働く開方向のモーメントを増加させ、ノズルベー
ンのピボット回りのトータルなモーメントが正方向に移
行するので、モーメントが正となるピボット位置をより
後縁側に近付けることができ、ノズルベーンの操作性、
制御性が良く、且つノズルベーンからタービンホイール
への駆動流体の流れの流体特性が良好な可変容量ターボ
チャージャとなる。
【0072】(3)請求項3の発明によれば、可変容量
ターボチャージャを、タービンホイールを囲んで駆動流
体が導入されるスクロール通路と、同スクロール通路の
内周側に周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに
回動制御自在に取付けられた複数のノズルベーンを備
え、同ノズルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前
記スクロール通路から前記タービンホイールへ駆動流体
が流入するノズルスロートを形成する可変容量ターボチ
ャージャにおいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設
計のノズルベーンの翼型において、同流体力学的設計の
ノズルベーンの前縁から所定の距離にわたり後方の圧力
面を切削して翼厚を薄くし折れ曲がって前後の面と接続
させた変更形状部を形成してなるようにしたので、ノズ
ルベーンの圧力面の前縁側の変更形状部に面するノズル
スロートで不連続的な急激な流路拡大が生じ、駆動流体
流れが高速の場合駆動流体の慣性力が高いため剥離が生
じ、ノズルスロートの静圧が低下することになり、前縁
を押上げる力が増加して、前縁側に働く閉方向のモーメ
ントを減少させ、ノズルベーンのピボット回りのトータ
ルなモーメントが正方向に移行するので、モーメントが
正となるピボット位置をより後縁側に近付けることがで
き、ノズルベーンの操作性、制御性が良く、且つノズル
ベーンからタービンホイールへの駆動流体の流れの流体
特性が良好な可変容量ターボチャージャとなる。
【0073】(4)請求項4の発明によれば、可変容量
ターボチャージャを、タービンホイールを囲んで駆動流
体が導入されるスクロール通路と、同スクロール通路の
内周側に周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに
回動制御自在に取付けられた複数のノズルベーンを備
え、同ノズルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前
記スクロール通路から前記タービンホイールへ駆動流体
が流入するノズルスロートを形成する可変容量ターボチ
ャージャにおいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設
計のノズルベーンの翼型において、同流体力学的設計の
ノズルベーンの後縁から所定の距離にわたり前方の負圧
面を切削して翼厚を薄くし折れ曲がって前後の面と接続
させた変更形状部を形成してなるようにしたので、ノズ
ルベーンの負圧面の後縁側の変更形状部に面するノズル
スロートで不連続的な急激な流路拡大が生じ、駆動流体
流れが高速の場合駆動流体の慣性力が高いため剥離が生
じ、ノズルスロートの静圧が低下することになり、後縁
を押下げる力が増加して、後縁側に働く開方向のモーメ
ントを増加させ、ノズルベーンのピボット回りのトータ
ルなモーメントが正方向に移行するので、モーメントが
正となるピボット位置をより後縁側に近付けることがで
き、ノズルベーンの操作性、制御性が良く、且つノズル
ベーンからタービンホイールへの駆動流体の流れの流体
特性が良好な可変容量ターボチャージャとなる。
【0074】(5)請求項5の発明によれば、請求項1
ないし請求項4のいずれかに記載の可変容量ターボチャ
ージャにおいて、前記ノズルベーンは、同ノズルベーン
におけるピボットの位置を、前記駆動流体が前記スクロ
ール通路に導入されているとき同駆動流体の静圧により
同ノズルベーンに働く前記ピボット回りのモーメント
が、前記ノズルベーンの前縁を前記スクロール通路側に
回動させる方向に働く位置に設定してなるように構成し
たので、請求項1ないし請求項4のいずれかの効果に加
え、ピボットの後縁からの距離を従来より小さく取って
も駆動流体の静圧によるモーメントの方向が入れ替わら
ないようにでき、その場合ノズルベーンの回動制御にお
ける制御位置、制御特性が一定化し、可変容量ターボチ
ャージャのノズル制御の精度が向上する。また、万一可
変ノズル機構のアクチュエータ等駆動系の故障が起きた
場合も、ノズル流路が閉鎖され、可変容量ターボチャー
ジャの機能が停止するという問題の恐れがなくなり、且
つ、ノズルベーンの後縁の移動距離を小さくできてとタ
ービンホイールとの駆動流体の流れの流体特性を好まし
く維持でき可変容量ターボチャージャの効率を高く維持
できる。
【0075】(6)請求項6の発明によれば、請求項5
に記載の可変容量ターボチャージャにおいて、前記ピボ
ットの位置を、前記ノズルベーンの後縁からの距離が同
ノズルベーンの翼型断面の全長の50%から75%の範
囲としてなるようにしたので、請求項5の発明の効果に
加え、ノズルベーンには常に安定して開方向のモーメン
トが働くようにでき、ノズルベーンの操作性、制御性が
良好となり、ノズル制御の精度の高い可変容量ターボチ
ャージャとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係る可変容量ターボ
チャージャに備えられるノズルベーンの断面図である。
【図2】本発明の実施の第2形態に係る可変容量ターボ
チャージャに備えられるノズルベーンの要部断面図であ
る。
【図3】本発明の実施の第3形態に係る可変容量ターボ
チャージャに備えられるノズルベーンの断面図である。
【図4】本発明の実施の第4形態に係る可変容量ターボ
チャージャに備えられるノズルベーンの要部断面図であ
る。
【図5】図10(b)で示したと同様の、ノズルベーン
に作用するピボット回りのモーメントの説明図である。
【図6】一般的な可変容量ターボチャージャの縦断面図
である。
【図7】図6中A−A矢視によるノズルベーンの操作説
明図である。
【図8】図7と同じ面を示すノズルベーンにおける圧力
作用の説明図である。
【図9】図7と同じ面を示す従来のノズルベーンの断面
説明図であり、(a)はノズルベーンが閉じた状態、
(b)はノズルベーンの断面形状の拡大図である。
【図10】(a)はノズルベーンにおけるピボットの位
置の説明図、(b)は従来の流体力学的設計のノズルベ
ーンに作用するピボット回りのモーメントの説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ノズルベーン 1c 変更前形状 2 ノズルマウント 3 ピボット 4 可変ノズル機構 5 ノズルスロート 5a、5b、5c、5d ノズルス
ロート 6 ピボットピッチサークル 30 可変容量ターボチャージャ 33 タービンロータ 36 タービンホイール 37 タービンケーシング 38 排気ガス入口 39 排気ガス出口 40 スクロール通路 41 回転軸心 101、201、301、401 ノズルベ
ーン 101a、301a 前縁 101b、201b、301b、401b 後縁 101c、201c、301c、401c 変更形状
部 101p、201p、301p、401p 圧力面 101n、201n、301n、401n 負圧面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陣内 靖明 神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工 業株式会社汎用機・特車事業本部内 (72)発明者 三浦 義光 神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工 業株式会社汎用機・特車事業本部内 Fターム(参考) 3G005 EA04 EA15 EA16 FA05 FA43 GA04 GB24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タービンホイールを囲んで駆動流体が導入
    されるスクロール通路と、同スクロール通路の内周側に
    周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに回動制御
    自在に取付けられた複数のノズルベーンを備え、同ノズ
    ルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前記スクロー
    ル通路から前記タービンホイールへ駆動流体が流入する
    ノズルスロートを形成する可変容量ターボチャージャに
    おいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設計のノズル
    ベーンの翼型において、同流体力学的設計のノズルベー
    ンの前縁から所定の距離にわたり後方の負圧面を切削し
    て翼厚を薄くした変更形状部を形成してなることを特徴
    とする可変容量ターボチャージャ。
  2. 【請求項2】タービンホイールを囲んで駆動流体が導入
    されるスクロール通路と、同スクロール通路の内周側に
    周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに回動制御
    自在に取付けられた複数のノズルベーンを備え、同ノズ
    ルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前記スクロー
    ル通路から前記タービンホイールへ駆動流体が流入する
    ノズルスロートを形成する可変容量ターボチャージャに
    おいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設計のノズル
    ベーンの翼型において、同流体力学的設計のノズルベー
    ンの後縁から所定の距離にわたり前方の圧力面を切削し
    て翼厚を薄くした変更形状部を形成してなることを特徴
    とする可変容量ターボチャージャ。
  3. 【請求項3】タービンホイールを囲んで駆動流体が導入
    されるスクロール通路と、同スクロール通路の内周側に
    周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに回動制御
    自在に取付けられた複数のノズルベーンを備え、同ノズ
    ルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前記スクロー
    ル通路から前記タービンホイールへ駆動流体が流入する
    ノズルスロートを形成する可変容量ターボチャージャに
    おいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設計のノズル
    ベーンの翼型において、同流体力学的設計のノズルベー
    ンの前縁から所定の距離にわたり後方の圧力面を切削し
    て翼厚を薄くし折れ曲がって前後の面と接続させた変更
    形状部を形成してなることを特徴とする可変容量ターボ
    チャージャ。
  4. 【請求項4】タービンホイールを囲んで駆動流体が導入
    されるスクロール通路と、同スクロール通路の内周側に
    周方向に等ピッチで配置され、ピボット回りに回動制御
    自在に取付けられた複数のノズルベーンを備え、同ノズ
    ルベーンが隣り合うノズルベーンとの間に前記スクロー
    ル通路から前記タービンホイールへ駆動流体が流入する
    ノズルスロートを形成する可変容量ターボチャージャに
    おいて、前記ノズルベーンは、流体力学的設計のノズル
    ベーンの翼型において、同流体力学的設計のノズルベー
    ンの後縁から所定の距離にわたり前方の負圧面を切削し
    て翼厚を薄くし折れ曲がって前後の面と接続させた変更
    形状部を形成してなることを特徴とする可変容量ターボ
    チャージャ。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれかに記載
    の可変容量ターボチャージャにおいて、前記ノズルベー
    ンは、同ノズルベーンにおけるピボットの位置を、前記
    駆動流体が前記スクロール通路に導入されているとき同
    駆動流体の静圧により同ノズルベーンに働く前記ピボッ
    ト回りのモーメントが、前記ノズルベーンの前縁を前記
    スクロール通路側に回動させる方向に働く位置に設定し
    てなることを特徴とする可変容量ターボチャージャ。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の可変容量ターボチャージ
    ャにおいて、前記ピボットの位置を、前記ノズルベーン
    の後縁からの距離が同ノズルベーンの翼型断面の全長の
    50%から75%の範囲としてなること特徴とする可変
    容量ターボチャージャ。
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