JP2003243302A - Iii族窒化物半導体結晶、その製造方法、iii族窒化物半導体エピタキシャルウェーハ - Google Patents
Iii族窒化物半導体結晶、その製造方法、iii族窒化物半導体エピタキシャルウェーハInfo
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Abstract
窒化物半導体結晶を成長することを可能とする。 【解決手段】加熱した基板上に、V/III比を100
0以下(V/III比が0の場合を含む)としてIII
族原料を供給し、III族窒化物半導体(III族窒化
物半導体はInGaAlNで表されるものとする。)を
形成し、その後III族原料と窒素原料を用いて、該基
板上にIII族窒化物半導体結晶を気相成長させる。
Description
(LED)、レーザダイオード(LD)、電子デバイス
等の作製に用いられる結晶性の良いIII族窒化物半導
体(以下、III族窒化物半導体はInGaAlNで表
されるものとする。)結晶とその製造方法に関する。特
に結晶性の良いIII族窒化物半導体結晶をサファイア
基板上にエピタキシャル成長させるために好適に用いる
ことができるIII族窒化物半導体結晶の製造方法に関
する。
外光領域に相当するエネルギーの直接遷移型のバンドギ
ャップをもち高効率な発光が可能であるため、LEDや
LDとしての製品化が成されている。また窒化アルミニ
ウムガリウム(AlGaN)と窒化ガリウム(GaN)
とのヘテロ接合界面では、III族窒化物半導体に特徴
的な圧電効果による2次元電子層が発現するなど、電子
デバイスとしても従来のIII−V族化合物半導体では
得られない特性が得られるポテンシャルを持っている。
結晶の育成温度で2000気圧に及ぶ窒素の解離圧があ
るため、単結晶の育成が困難であり、他のIII−V族
化合物半導体のようにエピタキシャル成長に使用する基
板として、そのIII族窒化物半導体の単結晶基板を利
用することは現状では困難である。そこで、エピタキシ
ャル成長に使用する基板としては、サファイア(Al2
O3)単結晶や炭化珪素(SiC)単結晶等の異種の材
質からなる基板が用いられる。
ャル成長させるIII族窒化物半導体結晶の間には大き
な格子不整合が存在する。例えばサファイア(Al
2O3)と窒化ガリウム(GaN)の間には16%、Si
Cと窒化ガリウムの間には6%の格子不整合が存在す
る。一般にこのような大きな格子不整合の存在する場合
には、基板上に結晶を直接エピタキシャル成長させるこ
とが困難であり、成長させても結晶性の良好な結晶は得
られない。そこで、有機金属化学気相成長(MOCV
D)法によりサファイア単結晶基板やSiC単結晶基板
の上にIII族窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長
する場合、特許第3026087号公報や特開平4−2
97023号公報に示されているように、窒化アルミニ
ウム(AlN)やAlGaNで構成される低温バッファ
層と呼ばれる層を基板の上にまず堆積し、その上に高温
でIII族窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させ
る方法が一般に行われてきた。
長方法の他にも、例えば、P.Kung、 et a
l., Applied Physics Lette
rs,66(1995),2958.や特開平9−64
477などのように、900℃から1200℃程度の高
温の温度範囲で成長したAlN層を基板上に形成し、そ
の上に窒化ガリウムを成長させる方法も開示されてい
る。
を用いる場合、上記の低温バッファ層は概略次のように
して形成される。まずサファイア基板をMOCVD法の
成長装置内で1000℃〜1200℃の高温に加熱し、
表面の酸化膜等を除去する。その後、成長装置の温度を
低下させて400〜600℃程度の温度で、基板上にV
/III比を3000〜10000として、有機金属原
料と窒素源を同時に供給して、低温バッファ層を堆積さ
せる。ここでV/III比とは、III−V族化合物半
導体結晶をMOCVD法で成長させる際に、反応炉に流
通するIII族元素を含む分子のモル数と、V族元素を
含む分子のモル数の比率である。例えば、TMGaとア
ンモニアを用いて窒化ガリウムを成長させる場合には、
反応炉内に流通するTMGaのモル数とアンモニアのモ
ル数との比である。その後、有機金属原料の供給を停止
し、成長装置の温度を再度上昇させて低温バッファ層の
結晶化と呼ばれる熱処理を行い、しかる後に目的とする
III族窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させ
る。
〜600℃では、原料として用いられる有機金属原料や
窒素源、特に窒素源として用いられるアンモニアの熱分
解は不充分である。従ってこのような低温で堆積させた
ままの低温バッファ層中には欠陥が多く含まれる。また
低温で原料を反応させる為に、原料の有機金属のアルキ
ル基や未分解の窒素源の間で重合反応を生じて、これら
の反応物などの不純物も低温バッファ層の結晶中に多量
に含まれる。
われるのが、低温バッファ層の結晶化と呼ばれる熱処理
の工程である。バッファ層の結晶化工程は、不純物や欠
陥を多く含む低温バッファ層に、III族窒化物半導体
結晶のエピタキシャル成長温度に近い高温で熱処理を行
い、これらの不純物や欠陥の除去を行う。
方法では、基板温度をサーマルクリーニングの温度であ
る1200℃からバッファ層を成長させる温度である5
00℃近辺まで降温し、続いて500℃近辺からアニー
ルを行う1000℃近い温度領域まで比較的短時間で上
昇させる必要がある。この際、一般的に、冷却に伴う温
度の変更には長い時間を必要とし、急激な温度の上昇に
は多くの量のエネルギーを必要とする。
基板に与えることにより、基板には反りが生じる。更
に、基板は反りによって割れやひびが生じることもあ
る。また、基板の反りはその上に成長する結晶層に影響
を与え、特にLED構造を作製する際には発光波長や発
光強度の基板面内での不均一さを生じる。
成長方法に対し、900℃から1200℃程度の高温の
温度範囲で成長したAlNを基板上に形成し、その上に
窒化ガリウムを成長させる方法も開示されている(例え
ば、P.Kung、 et al., Applied
Physics Letters, 66(199
5),2958. など)。この先行例には、この方法
によって(0002)面のX線ロッキングカーブにして
30arcsecと非常に良好な結晶を作製することが
可能であることが記載されている。しかしながら、我々
がこの手法を追試した所によれば、この手法で作製した
窒化ガリウム結晶膜はカラム性の非常に高い結晶であ
り、結晶内に多くの粒界を含むことが判った。このよう
な結晶は、基板から表面に向けて発生する貫通転位の密
度が高い。このため、発光素子や電子デバイスなどの素
子構造を作製しても良い特性が得られない。
いた成長方法は、特開平9−64477の中でも述べら
れている。この文献中では作製するIII族窒化物半導
体結晶が結晶性の良好な単結晶であることが望ましいと
されている。我々は実験を重ねたが、上記した文献に記
載された方法と同様に、この文献に記述されたような、
良好な単結晶AlN膜を用いた成長方法では、素子構造
を作製して良好な特性を得られるような結晶を成長する
ことはできなかった。これは、結晶性の良好な単結晶の
層をバッファ層として使用すると、その上にIII族窒
化物半導体を成長させる際、成長初期に付着した原子の
マイグレーションがうまく行われず、2次元成長しにく
いためと考えている。
性のIII族窒化物半導体結晶を得ることができないた
め、高温で成長したAlNバッファ層を用いたIII族
窒化物半導体結晶の成長方法は、現時点ではあまり一般
的ではない。
定する必要のある低温バッファ層を用いる方法や作製さ
れる結晶の品質に問題のある高温AlN層を用いる方法
に替わり、温度変化が比較的少ない工程で高品質のII
I族窒化物半導体結晶を形成することが可能なIII族
窒化物半導体結晶の製造方法を提供する。特に、サファ
イア基板上に高品質のIII族窒化物半導体結晶をエピ
タキシャル成長することが可能なIII族窒化物半導体
結晶の製造方法を提供するものである。また、本発明
は、前記のIII族窒化物半導体結晶の製造方法で製造
した高品質のIII族窒化物半導体結晶と、そのIII
族窒化物半導体結晶を用いたIII族窒化物半導体エピ
タキシャルウェーハである。
(V/III比が0の場合を含む)としてIII族原料
を供給し、III族窒化物半導体(以下、III族窒化
物半導体はInGaAlNで表されるものとする。)を
形成する第1の工程と、その後III族原料と窒素原料
を用いて、該基板上にIII族窒化物半導体結晶を気相
成長させる第2の工程を有するIII族窒化物半導体結
晶の製造方法。 (2)前記基板としてサファイア(Al2O3)を用いる
ことを特徴とする(1)に記載のIII族窒化物半導体
結晶の製造方法。 (3)前記第1の工程で供給するIII族原料が、少な
くともAlを含むことを特徴とする上記(1)または
(2)に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方法。 (4)前記第2の工程で、基板上に気相成長させるII
I族窒化物半導体結晶がGaNからなることを特徴とす
る上記(1)ないし(3)に記載のIII族窒化物半導
体結晶の製造方法。 (5)前記第1の工程または第2の工程の少なくとも一
方において、気相成長を有機金属化学気相成長法(MO
CVD法)で行うことを特徴とする上記(1)ないし
(4)に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方法。 (6)前記第2の工程で、窒素原料としてアンモニア
(NH3)を用いることを特徴とする上記(1)ないし
(5)に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方法。 (7)前記第1の工程で形成したIII族窒化物半導体
が島状結晶塊であることを特徴とする上記(1)ないし
(6)に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方法。 (8)前記第1の工程で形成したIII族窒化物半導体
が柱状結晶であることを特徴とする上記(1)ないし
(7)に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方法。 (9)前記柱状結晶が、その側面が基板面とおおむね垂
直であるように基板上に付着していることを特徴とする
(8)に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方法。
である。
を作製し、その上に第2のIII族窒化物半導体結晶を
作製するIII族窒化物半導体結晶の製造方法におい
て、第1のIII族窒化物半導体が柱状結晶または島状
結晶の集合体であることを特徴とするIII族窒化物半
導体結晶の製造方法。 (11)前記柱状結晶が、その側面が基板面とおおむね
垂直であるように基板上に付着していることを特徴とす
る(10)に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方
法。である。
したIII族窒化物半導体結晶。である。
晶の上に、さらにIII族窒化物半導体結晶層を形成し
たIII族窒化物半導体エピタキシャルウェーハ。であ
る。
晶の製造方法は、加熱した基板上に、V/III比を1
000以下(V/III比が0の場合を含む)としてI
II族原料を供給し、III族窒化物半導体を形成する
第1の工程と、その後III族原料と窒素原料を用い
て、該基板上にIII族窒化物半導体結晶を気相成長さ
せる第2の工程を有する。上記の第1、第2の工程を有
するIII族窒化物半導体結晶の製造方法により、基板
上に結晶性の良いIII族窒化物半導体結晶を形成する
ことが可能となる。なお、本発明でIII族窒化物半導
体とは、InGaAlNで表わされるものとする。
II比の条件で作製したIII族窒化物半導体結晶は、
結晶中のV族元素とIII族元素の化学量論比(ストイ
キオメトリ)が1:1となっておらず、III族元素が
過剰な側にずれて金属過剰になっていると思われる。こ
のようなIII族窒化物半導体結晶層中には、過剰なI
II族元素が金属晶や液滴として存在している。そのた
め、その上にIII族窒化物半導体結晶を成長させると
成長初期のマイグレーションが効率良く進み、横方向の
2次元成長ができるものと思われる。しかし、機構の詳
細については不明である。
のに、小さいV/III比で作製したAlN膜が望まし
いことは、特開平9−64477の中でも述べられてい
る。しかし、この文献中では作製するIII族窒化物半
導体結晶が結晶性の良い単結晶であることが望ましいと
されている。我々は実験と解析を重ねることにより単結
晶膜よりも柱状結晶や島状結晶の集合体である方がより
よいバッファ層として機能することを見出した。これ
は、柱状結晶や島状結晶からなる層の中に存在している
粒界に金属晶や液滴が入り込むことで、より金属過剰的
な結晶を生じやすいためと考えている。しかし、詳細に
ついては不明である。
る方法に比較して温度の昇降が少ないので、プロセスが
短く、電力消費量が少ない。このことにより、製造プロ
セスの短縮、省コスト化が可能である。また、温度の変
化が少ないことにより,基板の反りを最小限に抑えるこ
とができ、素子特性の均一性が良好となる。また、これ
まで開示されている高温で成長したAlN層を用いる成
長方法に比較して良好な素子特性を示す結晶を作製する
ことが可能である。
Si、GaAs、サファイアなどを用いることができ
る。ここで、本発明では特に、前記基板がサファイア
(Al2O3)であることが望ましい。基板がサファイア
であると高品質な基板が安価に入手可能であるという利
点がある。サファイア基板の面方位としては、m面、a
面、c面等が使えるが、なかでもc面((0001)
面)が好ましく、さらに基板表面の垂直軸が<0001
>方向から特定の方向に傾斜していることが望ましい。
また本発明に用いる基板は、第1の工程に用いる前に有
機洗浄やエッチングのような前処理を行うと基板表面の
状態を一定の状態に保つことができるため好ましい。
族原料としてトリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、ターシャリブチルアルミニウム、トリメチル
ガリウム、トリエチルガリウム、ターシャリブチルガリ
ウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、
ターシャリブチルインジウム、シクロペンタジエニルイ
ンジウム、などを用いることが出来る。また、トリメチ
ルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ターシャリ
ブチルアルミニウム、などのようにIII族原料が少な
くともAlを含むと、アルミニウムを含む窒化物は分解
温度が高いため、高温でも分解や昇華を起こしにくく、
基板に結晶が成長しやすいという効果を有するため特に
好ましい。
料と同時にアンモニア、アルキルアミン類、ヒドラジン
類、等のV族原料を供給することにより、III族窒化
物半導体を形成する。本発明では、第1の工程において
III族原料を供給する際のV/III比を1000以
下とする。さらに好ましくは500以下とし、更に好ま
しくは100以下とする。V/III比をこのように設
定することにより、より金属過剰の化合物半導体結晶を
生じやすいという効果がある。
なわちV族原料の供給量が0であっても良い。但しこの
場合、意図して供給するV族原料が0であっても、反応
炉の壁面や天板やサセプタなどに付着した付着物の分解
から供給される窒素によりIII族窒化物半導体が形成
されることが必要である。この場合、反応炉の壁面や天
板やサセプタなどに付着した付着物の組成や量を適正に
制御する必要がある。具体的には、成長終了後の反応炉
のベーキング時間や温度を調節したり、行うこと自体を
停止したりする。また、低温バッファ法を用いた成長に
は一般的な技術であるサーマルクリーニングと呼ばれる
工程も、時間や温度を調節したり、行うこと自体を停止
したりする。一例を述べると、前回の成長を行ったあと
ベーキングを行わず、サーマルクリーニングを600℃
において10分間行った後で、第1の工程として基板を
1000℃として金属含有化合物のみを流通させ、その
後第2の工程である結晶成長を行ったところ、良好なI
II族窒化物半導体結晶を作製することができた。
0としても良好なIII族窒化物半導体結晶が得られる
もうひとつの条件としては、キャリアガスにN2を用い
て、1000℃近い温度でのN2のわずかな分解によっ
て生じる窒素(N)原子を窒素源として用いる方法があ
る。
て、水素、希ガス、窒素等の単独ガスまたは混合ガスを
用いることが出来る。上に述べたように、雰囲気ガスと
して窒素を用いた場合には窒素ガスは原料ガスとしても
機能している場合がある。
は1000〜1×105Paとすることが出来る。望ま
しくは、1×105Pa以下とし、更に望ましくは1×
104Pa以下とする。第1の工程における圧力が低い
と、作製される金属過剰のIII族窒化物半導体層の表
面が平坦となり、その上に成長する第2のIII族窒化
物半導体層の表面も平坦化しやすいという効果がある。
板の温度と第2の工程を行う際の基板の温度は特に規定
しないが、第1の工程を行い際の基板の温度は次の第2
の工程を行う際の基板の温度と同じか、またはより高い
ことが望ましい。第1の工程を第2の工程を行う際の基
板の温度と同じか、またはより高い温度で行うと、II
I族原料ガスである有機金属化合物分子の分解が効率良
く行われ、形成される結晶内に未分解のアルキル基など
による不純物が混入されないという利点がある。
化物半導体は、島状結晶塊となるようにする。すなわ
ち、幅が1nmから500nm、高さが5nmから10
0nm程度の島状の粒子塊が密集した島状結晶塊の集合
とする。III族窒化物を島状結晶とすることにより、
結晶層に粒界を多く生じるため金属晶や液滴がそこに残
留しやすくなり、より金属過剰な層として機能するとい
う効果が得られると考えられる。また、島状結晶の分布
があまり密ではなく、結晶塊と結晶塊の間に基板表面が
見えるような構造であっても構わない。この場合、結晶
成長速度の異なる領域が表面に混在するので、選択成長
の効果により貫通転位の密度が少なくなり、より良好な
結晶が作製できる。
II族窒化物半導体は、柱状結晶となるようにする。す
なわち、幅が0.1nmから100nm、高さが10n
mから500nm程度の柱状の粒子が集合した柱状結晶
とする。III族窒化物を柱状結晶とすることにより、
結晶層に粒界を多く生じるため金属晶や液滴がそこに残
留しやすくなり、より金属過剰な層として機能するとい
う効果が得られると考えられる。
料と窒素原料を用いて、第1の工程でIII族窒化物を
形成した基板上にIII族窒化物半導体結晶を気相成長
させる。成長させるIII族窒化物半導体結晶がGaN
であると、GaNはIII族窒化物半導体の中でも、2
次元成長しやすいため平坦な結晶膜としやすく好まし
い。GaNによって、一旦平坦で良好な結晶膜を作製さ
せておくと、その上に様々な組成のIII族窒化物半導
体結晶層を使った半導体デバイス構造を作製することが
容易となる。
程、あるいはその両方の工程において、気相成長法とし
ては有機金属化学気相成長法(MOCVD法)や気相エピ
タキシー法(VPE法)を用いることができる。この内M
OCVD法は、III族原料の分解の速度を調節でき、
成長速度も適当である、などの理由により好ましい。ま
た、MOCVD法によれば、平坦化した基板を反応炉の
外に取り出すことなく結晶上に良好な特性を有する様々
な素子構造を作製することができる。
物半導体結晶を成長する際の基板の温度は、950℃か
ら1200℃、雰囲気の圧力は1000Paから1×1
05Paとするのが好ましい。
ては、アンモニア(NH3)が気体であって取り扱いが
容易であり、市場に多数流通していて価格も安価である
ため好ましい。III族原料としては、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、ターシャリブチル
アルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウ
ム、ターシャリブチルガリウム、トリメチルインジウ
ム、トリエチルインジウム、ターシャリブチルインジウ
ム、シクロペンタジエニルインジウム、を用いることが
できる。また、第2の工程でIII族窒化物半導体結晶
を成長する際のV/III比は、500〜20000と
するのが好ましい。
するIII族窒化物半導体結晶の製造方法により、短時
間、省電力のプロセスにより、基板上に均一性が高く、
結晶性の良いIII族窒化物半導体結晶を形成すること
ができる。従って上記のIII族窒化物半導体結晶の上
に、さらにIII族窒化物半導体結晶層を形成すること
により、発光ダイオードやレーザダイオード、或いは電
子デバイス等の作製に用いられる積層構造を有するII
I族窒化物半導体エピタキシャルウェーハを作製するこ
とが出来る。
明する。 (実施例1)本発明に係わる、窒化ガリウム系化合物半
導体結晶の製造方法を説明する。本実施例1では、サフ
ァイア基板上に第1の工程として、トリメチルアルミニ
ウム(TMAl)の蒸気とトリメチルガリウム(TMG
a)の蒸気をモル比にして1:2で混合した気体を含む
気体と、アンモニア(NH3)を含む気体を流通する処
理を施し、第2の工程としてTMGaとアンモニアを流
通して窒化ガリウムを成長させ、サファイア基板上に窒
化ガリウム結晶からなるGaN層を作製した。第1の工
程で用いた条件でのV/III比は、約85である。
CVD法を用いて以下の手順で行った。まず、サファイ
ア基板を導入する前に、同じ装置で行った前回の成長で
反応炉内部に付着した付着物を、アンモニアと水素を含
むガス中で加熱して窒化して、これ以上分解しにくいよ
うにした。反応炉が室温まで降温するのを待ち、続いて
サファイア基板を誘導加熱式ヒータのRFコイルの中に
設置された石英製の反応炉の中に導入した。サファイア
基板は、窒素ガス置換されたグローブボックスの中で、
加熱用のカーボン製のサセプタ上に載置した。試料を導
入後、窒素ガスを流通して反応炉内をパージした。窒素
ガスを10分間に渡って流通した後、誘導加熱式ヒータ
を作動させ、10分をかけて基板温度を1170℃に昇
温した。基板温度を1170℃に保ったまま、水素ガス
と窒素ガスを流通させながら9分間放置して、基板表面
のサーマルクリーニングを行った。サーマルクリーニン
グを行っている間に、反応炉に接続された原料であるト
リメチルガリウム(TMGa)の入った容器(バブラ)
およびトリメチルアルミニウム(TMAl)の入った容
器(バブラ)の配管に水素キャリアガスを流通して、バ
ブリングを開始した。各バブラの温度は、温度を調整す
るための恒温槽を用いて一定に調整しておいた。バブリ
ングによって発生したTMGaおよびTMAlの蒸気
は、成長工程が始まるまでは、キャリアガスと一緒に除
害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して系外へ放
出した。サーマルクリーニングの終了後、窒素キャリア
ガスのバルブを閉とし、反応炉内へのガスの供給を水素
のみとした。
1150℃に降温させた。1150℃で温度が安定した
のを確認した後、アンモニア配管のバルブを開き、アン
モニアの炉内への流通を開始した。続いてTMGaとT
MAlの配管のバルブを同時に切り替え、TMGaとT
MAlの蒸気を含む気体を反応炉内へ供給して、サファ
イア基板上にIII族窒化物半導体を付着させる第1の
工程を開始した。供給するTMGaとTMAlの混合比
は、バブリングする配管に設置した流量調節器でモル比
率で2:1となるように調節し、アンモニアの量はV/
III比が85となるように調節した。6分間の処理の
後、TMGaとTMAlの配管のバルブを同時に切り替
え、TMGaとTMAlの蒸気を含む気体を反応炉内へ
供給を停止した。続いてアンモニアの供給も停止し、そ
のまま3分間保持した。
配管のバルブを切り替え、炉内にアンモニアガスの供給
を再び開始した。そのまま4分間アンモニアを流通させ
た。その間に、TMGaの配管の流量調整器の流量を調
節した。4分の後、TMGaのバルブを切り替えてTM
Gaの炉内への供給を開始し、GaNの成長を開始し
た。約1時間に渡って上記のGaN層の成長を行ったあ
と、TMGaの配管のバルブを切り替え、原料の反応炉
への供給を終了して成長を停止した。GaN層の成長を
終了した後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基
板の温度を室温まで20分をかけて降温した。降温中
は、反応炉内の雰囲気を成長中と同じようにアンモニア
と窒素と水素から構成したが、基板の温度が300℃と
なったのを確認後、アンモニアと水素の供給を停止し
た。その後、窒素ガスを流通しながら基板温度を室温ま
で降温し、試料を大気中に取り出した。
状構造を持つ金属過剰のIII族窒化物半導体層を形成
し、その上にアンドープで2μmの膜厚のGaN層を形
成した試料を作製した。取り出した基板は多少金属のよ
うな黒味がかった色を呈しており、基板との界面に形成
したIII族窒化物半導体層が金属過剰なストイキオメ
トリのものであることを示していた。成長面は鏡面であ
った。
プGaN層のX線ロッキングカーブ(XRC)測定を行
った。測定には、Cuβ線X線発生源を光源として用い
て、対称面である(0002)面と非対称面である(1
0−12)面で行った。一般的に、窒化ガリウム系化合
物半導体の場合、(0002)面のXRCスペクトル半
値幅は結晶の平坦性(モザイシティ)の指標となり、
(10−12)面のXRCスペクトル半値幅は転位密度
(ツイスト)の指標となる。この測定の結果、本発明の
方法で作製したアンドープGaN層は、(0002)面
の測定では半値幅230秒、(10−12)面では半値
幅350秒を示した。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。その結
果、表面には成長ピットは見られず、良好なモフォロジ
ーの表面が観察された。
M)で観察したところ、サファイア基板と窒化ガリウム
層との界面には、基板面と略垂直方向に多数の粒界を持
つAlN膜が観察された。膜厚は60nm程度であり、
粒界と粒界の距離は5nmから50nmであった。この
層は、縦長の柱状結晶の集合体からなる層であると思わ
れる。元素分析によれば、この膜は20%程度のGaを
含んでいた。
とんど同じ工程で、第1の工程でIII族窒化物半導体
の成長を2分とすることだけが異なる条件を用いて実験
を行った。この場合にも取り出したウエハの表面は鏡面
状であった。色は、無色透明であった。
M)で観察したところ、サファイア基板と窒化ガリウム
層との界面には、島状のAlN結晶塊が存在しているこ
とが確認された。元素分析によれば、この結晶塊は15
%程度のGaを含んでいた。
い、窒化ガリウム層の成長の前にプロセスを停止して成
長炉から取り出した試料を作製し、その表面のモフォロ
ジーを原子間力顕微鏡(AFM)にて観察したところ、
サファイア表面には、上から見た形状が丸みを帯びた六
角形状で、断面が台形状の形状を有する窒化アルミニウ
ム結晶塊が散在していた。
の後、成長を行う前のベーキングを実施せずにサファイ
ア基板を反応炉に導入し、第1の工程として、トリメチ
ルアルミニウム(TMAl)の蒸気を含む気体を流通
し、第2の工程としてTMGaとアンモニアを流通して
窒化ガリウムを成長させ、サファイア基板上に窒化ガリ
ウム結晶からなるGaN層を作製した。本実施例での意
図したV/III比は0であるが、反応炉の壁面や天板
に付着した付着物の分解などにより、基板上には少量の
N原子が供給されている。
CVD法を用いて以下の手順で行った。まず、サファイ
ア基板を誘導加熱式ヒータのRFコイルの中に設置され
た石英製の反応炉の中に導入した。サファイア基板は、
窒素ガス置換されたグローブボックスの中で、加熱用の
カーボン製サセプタ上に載置した。試料を導入後、窒素
ガスを流通して反応炉内をパージした。窒素ガスを10
分間に渡って流通した後、誘導加熱式ヒータを作動さ
せ、10分をかけて基板温度を600℃に昇温した。基
板温度を600℃に保ったまま、水素ガスを流通させな
がら9分間放置した。その間に、反応炉に接続された原
料であるトリメチルガリウム(TMGa)の入った容器
(バブラ)およびトリメチルアルミニウム(TMAl)
の入った容器(バブラ)の配管に水素キャリアガスを流
通して、バブリングを開始した。各バブラの温度は、温
度を調整するための恒温槽を用いて一定に調整しておい
た。バブリングによって発生したTMGaおよびTMA
lの蒸気は、成長工程が始まるまでは、キャリアガスと
一緒に除害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して
系外へ放出した。その後、窒素キャリアガスのバルブを
閉として、反応炉内へ水素ガスの供給を開始した。
1150℃に昇温させた。1150℃で温度が安定した
のを確認した後、TMAlの配管のバルブを切り替え、
TMAlの蒸気を含む気体を反応炉内へ供給した。この
際、反応炉の壁面や天板に付着した付着物の分解によ
り、TMAlと同時に少量のNが基板へ供給されたと考
えている。9分間の処理の後、TMAlの配管のバルブ
を同時に切り替え、TMAlの蒸気を含む気体を反応炉
内へ供給を停止し、そのまま3分間保持した。
配管のバルブを切り替え、炉内にアンモニアガスの供給
を開始した。そのまま4分間アンモニアを流通させた。
その間に、TMGaの配管の流量調整器の流量を調節し
た。4分の後、TMGaのバルブを切り替えてTMGa
の炉内への供給を開始し、GaNの成長を開始した。約
1時間に渡って上記のGaN層の成長を行ったあと、T
MGaの配管のバルブを切り替え、原料の反応炉への供
給を終了して成長を停止した。GaN層の成長を終了し
た後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板の温
度を室温まで20分をかけて降温した。降温中は、反応
炉内の雰囲気を成長中と同じようにアンモニアと窒素と
水素から構成したが、基板の温度が300℃となったの
を確認後、アンモニアと水素の供給を停止した。その
後、窒素ガスを流通しながら基板温度を室温まで降温
し、試料を大気中に取り出した。
1の工程で柱状構造を持つ金属過剰のIII族窒化物半
導体層を形成し、その上にアンドープで2μmの膜厚の
GaN層を形成した試料を作製した。取り出した基板は
実施例1と同様に、多少金属のような黒味がかった色を
呈しており、基板との界面に形成したIII族窒化物半
導体が金属過剰なストイキオメトリのものであることを
示していた。成長面は鏡面であった。
プGaN層のXRC測定を行った。測定には、Cuβ線
X線発生源を光源として用いて、対称面である(000
2)面と非対称面である(10−12)面で行った。測
定の結果、本発明の方法で作製したアンドープGaN層
は、(0002)面の測定では半値幅200秒、(10
−12)面では半値幅330秒を示した。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。その結
果、表面には成長ピットは見られず、良好なモフォロジ
ーの表面が観察された。
M)で観察したところ、サファイア基板と窒化ガリウム
層との界面には、基板面と略垂直方向に多数の粒界を持
つAlN膜が観察された。膜厚は20nm程度であり、
粒界と粒界の距離は10nmから50nmであった。こ
の層は、縦長の柱状結晶の集合体からなる層であると思
われる。元素分析によれば、この膜は5%程度のGaを
含んでいた。
基板上に第1の工程として、トリメチルアルミニウム
(TMAl)の蒸気とトリメチルインジウム(TMI
n)の蒸気をモル比にして2:1で混合した気体を含む
気体を、キャリアガスとして窒素を用いて流通する処理
を施し、第2の工程としてTMGaとアンモニアを流通
して窒化ガリウムを成長させ、サファイア基板上の窒化
ガリウム結晶からなるGaN層を作製した。第1の工程
において、キャリアガスである窒素ガスがわずかに分解
し、少量の窒素原子を供給しているものと思われる。
CVD法を用いて以下の手順で行った。まず、サファイ
ア基板を導入する前に、同装置で行った前回の成長で反
応炉内部に付着した付着物を、アンモニアと水素を含む
ガス中で加熱して窒化して、分解しないようにした。反
応炉が室温まで降温するのを待ち、続いてサファイア基
板を誘導加熱式ヒータのRFコイルの中に設置された石
英製の反応炉の中に導入した。サファイア基板は、窒素
ガス置換されたグローブボックスの中で、加熱用のカー
ボン製サセプタ上に載置した。試料を導入後、窒素ガス
を流通して反応炉内をパージした。窒素ガスを10分間
に渡って流通した後、誘導加熱式ヒータを作動させ、1
0分をかけて基板温度を1170℃に昇温した。基板温
度を1170℃に保ったまま、水素ガスを流通させなが
ら9分間放置して、基板表面のサーマルクリーニングを
行った。サーマルクリーニングを行っている間に、反応
炉に接続された原料であるトリメチルガリウム(TMG
a)の入った容器(バブラ)およびトリメチルアルミニ
ウム(TMAl)の入った容器(バブラ)およびトリメ
チルインジウム(TMIn)の入った容器(バブラ)の
配管に水素キャリアガスを流通して、バブリングを開始
した。各バブラの温度は、温度を調整するための恒温槽
を用いて一定に調整しておいた。バブリングによって発
生したTMGaおよびTMAlおよびTMInの蒸気
は、成長工程が始まるまでは、キャリアガスと一緒に除
害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して系外へ放
出した。サーマルクリーニングの終了後、水素キャリア
ガスのバルブを閉とし、変わって窒素ガスの供給バルブ
を開として、反応炉内へのガスの供給を窒素とした。
1150℃に降温させた。1150℃で温度が安定した
のを確認した後、TMInとTMAlの配管のバルブを
同時に切り替え、TMInとTMAlの蒸気を含む気体
を反応炉内へ供給して、第1の工程としてサファイア基
板上にIII族窒化物半導体を付着させる処理を開始し
た。供給するTMInとTMAlの混合比は、バブリン
グする配管に設置した流量調節器でモル比率で1:2と
なるように調節した。6分間の処理の後、TMInとT
MAlの配管のバルブを同時に切り替え、TMInとT
MAlの蒸気を含む気体を反応炉内へ供給を停止し、そ
のまま3分間保持した。
配管のバルブを切り替え、炉内にアンモニアガスの供給
を開始した。そのまま4分間アンモニアを流通させた。
その間に、TMGaの配管の流量調整器の流量を調節し
た。4分の後、TMGaのバルブを切り替えてTMGa
の炉内への供給を開始し、GaNの成長を開始した。約
1時間に渡って上記のGaN層の成長を行ったあと、T
MGaの配管のバルブを切り替え、原料の反応炉への供
給を終了して成長を停止した。GaN層の成長を終了し
た後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板の温
度を室温まで20分をかけて降温した。降温中は、反応
炉内の雰囲気を成長中と同じようにアンモニアと窒素と
水素から構成したが、基板の温度が300℃となったの
を確認後、アンモニアと水素の供給を停止した。その
後、窒素ガスを流通しながら基板温度を室温まで降温
し、試料を大気中に取り出した。
状構造を持つ金属過剰のIII族窒化物半導体層を形成
し、その上にアンドープで2μmの膜厚のGaN層を形
成した試料を作製した。取り出した基板は無色透明であ
った。成長面は鏡面であった。
プGaN層のXRC測定を行った。測定には、Cuβ線
X線発生源を光源として用いて、対称面である(000
2)面と非対称面である(10−12)面で行った。こ
の測定の結果、本発明の方法で作製したアンドープGa
N層は、(0002)面の測定では半値幅350秒、
(10−12)面では半値幅400秒を示した。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。その結
果、表面には成長ピットは見られず、良好なモフォロジ
ーの表面が観察された。
M)で観察したところ、サファイア基板と窒化ガリウム
層との界面には、基板面と略垂直方向に多数の粒界を持
つAlInN膜が観察された。膜厚は10nm程度であ
り、粒界と粒界の距離は5nmから50nmであった。
この層は、縦長の柱状結晶の集合体からなる層であると
思われる。
II窒化物半導体結晶の製造方法を用いた、窒化ガリウ
ム系化合物半導体発光素子の製造方法について説明す
る。本実施例5では、実施例3と同じ条件を用いて平坦
な低SiドープGaN結晶を作製し、さらにその上にI
II族窒化物半導体結晶層を形成して最終的に図1に示
す半導体発光素子用のエピタキシャル層構造を有するエ
ピタキシャルウェーハを作製した。つまりエピタキシャ
ルウェーハは、c面を有するサファイア基板9上に、実
施例3に記載したのと同じ成長方法によって柱状の構造
を持つ金属過剰のAlN層8を形成したのち、基板側か
ら順に、1×1017cm-3の電子濃度を持つ2μmの低
SiドープGaN層7、1×1019cm-3の電子濃度を
持つ1.8μmの高SiドープGaN層6、1×1017
cm-3の電子濃度を持つ100ÅのIn0.1Ga0.9Nク
ラッド層5、GaN障壁層に始まりGaN障壁層に終わ
る、層厚を70Åとする6層のGaN障壁層3と、層厚
を20Åとする5層のノンドープのIn0.2Ga0.8N井
戸層4とからなる多重量子井戸構造20、30Åのノン
ドープのAl0.2Ga0.8N拡散防止層2、8×1017c
m-3の正孔濃度を持つ0.15μmのMgドープGaN
層1、を積層した構造を有する。また、本実施例5で作
製した半導体発光素子の電極構造の平面図を図2に示
す。
ル層を有するウェーハの作製は、MOCVD法を用いて
以下の手順で行った。サファイア基板上に柱状の構造を
持つAlN層8を形成するまでは、実施例3で記述した
のと同じ手順を用いた。サファイア基板上に柱状の構造
を持つAlN層8を形成した後、アンモニアの流通を続
けながら、TMGaの配管の流量調整器の流量を調節し
た。また、Si2H6の配管への流通を開始した。低Si
ドープのGaN層の成長が始まるまでの間、Si2H6は
キャリアガスと一緒に除害装置への配管へ流通させ、除
害装置を通して系外へ放出した。その後TMGaとSi
2H6のバルブを切り替えてTMGaとSi2H6の炉内へ
の供給を開始し、低ドープのGaNの成長を開始し、約
1時間15分に渡って上記のGaN層の成長を行った。
SiH4の流通させる量は事前に検討してあり、低Si
ドープGaN層の電子濃度が1×1017cm-3となるよ
うに調整した。このようにして、2μmの膜厚を成す低
SiドープGaN層7を形成した。
Siドープのn型GaN層6を成長した。低Siドープ
のGaN層を成長後、1分間に渡ってTMGaとSi2
H6の炉内への供給を停止した。その間、Si2H6の流
通量を変更した。流通させる量は事前に検討してあり、
高SiドープGaN層の電子濃度が1×1019cm-3と
なるように調整した。アンモニアはそのままの流量で炉
内へ供給し続けた。1分間の停止の後、TMGaとSi
2H6の供給を再開し、1時間に渡って成長を行った。こ
の操作により、1.8μmの膜厚を成す高SiドープG
aN層を形成した。
MGaとSi2H6のバルブを切り替えて、これらの原料
の炉内への供給を停止した。アンモニアはそのまま流通
させながら、バルブを切り替えてキャリアガスを水素か
ら窒素へ切り替えた。その後、基板の温度を1160℃
から800℃へ低下させた。炉内の温度の変更を待つ間
に、Si2H6の供給量を変更した。流通させる量は事前
に検討してあり、SiドープInGaNクラッド層の電
子濃度が1×1017cm-3となるように調整した。アン
モニアはそのままの流量で炉内へ供給し続けた。また、
あらかじめトリメチルインジウム(TMIn)とトリエ
チルガリウム(TEGa)のバブラへのキャリアガスの
流通を開始しておいた。Si2H6ガス、およびバブリン
グによって発生したTMInおよびTEGaの蒸気は、
クラッド層の成長工程が始まるまでは、キャリアガスと
一緒に除害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して
系外へ放出した。その後、炉内の状態が安定するのを待
って、TMInとTEGaとSi2H6のバルブを同時に
切り替え、これらの原料の炉内への供給を開始した。約
10分間に渡って供給を継続し、100Åの膜厚を成す
SiドープIn0.1Ga0.9Nクラッド層5を形成した。
その後、TMIn、TEGaおよびSi2H6のバルブを
切り替え、これらの原料の供給を停止した。
Ga0.8Nよりなる井戸層4で構成される多重量子井戸
構造20を作製した。多重量子井戸構造の作製にあたっ
ては、SiドープIn0.1Ga0.9Nクラッド層5上に、
始めにGaN障壁層3を形成し、そのGaN障壁層上に
In0.2Ga0.8N井戸層4を形成した。この構造を5回
繰り返し積層したのち、5番目のIn0.2Ga0.8N井戸
層上に、6番目のGaN障壁層を形成し、多重量子井戸
構造20の両側をGaN障壁層3から構成した構造とし
た。すなわち、SiドープIn0.1Ga0.9Nクラッド層
の成長終了後、30秒間に渡って停止したのち、基板温
度や炉内の圧力、キャリアガスの流量や種類はそのまま
で、TEGaのバルブを切り替えてTEGaの炉内への
供給を行った。7分間に渡ってTEGaの供給を行った
後、再びバルブを切り替えてTEGaの供給を停止して
GaN障壁層の成長を終了した。これにより、70Åの
膜厚を成すGaN障壁層3を形成した。
設備への配管に流していたTMInの流量を、クラッド
層の成長の時と比較して、モル流量にして2倍になるよ
うに調節しておいた。GaN障壁層の成長終了後、30
秒間に渡ってIII族原料の供給を停止したのち、基板
温度や炉内の圧力、キャリアガスの流量や種類はそのま
まで、TEGaとTMInのバルブを切り替えてTEG
aとTMInの炉内への供給を行った。2分間に渡って
TEGaとTMInの供給を行った後、再びバルブを切
り替えてTEGaとTMInの供給を停止してIn0.2
Ga0.8N井戸層の成長を終了した。これにより20Å
の膜厚を成すIn0.2Ga0.8N井戸層4を形成した。
0秒間に渡ってIII族原料の供給を停止したのち、基
板温度や炉内の圧力、キャリアガスの流量や種類はその
ままで、TEGaの炉内への供給を開始し、再びGaN
障壁層の成長を行った。このような手順を5回繰り返
し、5層のGaN障壁層と5層のIn0.2Ga0.8N井戸
層を作製した。更に、最後のIn0.2Ga0.8N井戸層上
にGaN障壁層を形成した。
構造20上に、ノンドープのAl0.2Ga0.8N拡散防止
層2を作製した。あらかじめトリメチルアルミニムウム
(TMAl)のバブラへのキャリアガスの流通を開始し
ておいた。バブリングによって発生したTMAlの蒸気
は、拡散防止層の成長工程が始まるまでは、キャリアガ
スと一緒に除害装置への配管へ流通させ、除害装置を通
して系外へ放出した。
aとTMAlのバルブを切り替え、これらの原料の炉内
への供給を開始した。その後、約3分間に渡って成長を
行ったあと、TEGaとTMAlの供給を停止し、ノン
ドープのAl0.2Ga0.8N拡散防止層の成長を停止し
た。これにより、30Åの膜厚を成すノンドープのAl
0. 2Ga0.8N拡散防止層2を形成した。
止層上に、MgドープのGaN層1を作製した。TEG
aとTMAlの供給を停止して、ノンドープのAl0.2
Ga0.8N拡散防止層の成長が終了した後、2分間をか
けて、基板の温度を1060℃に上昇した。更に、キャ
リアガスを水素に変更した。また、あらかじめビスシク
ロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)のバブラ
へのキャリアガスの流通を開始しておいた。バブリング
によって発生したCp 2Mgの蒸気は、MgドープGa
N層の成長工程が始まるまでは、キャリアガスと一緒に
除害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して系外へ
放出した。
るのを待って、TMGaとCp2Mgのバルブを切り替
え、これらの原料の炉内への供給を開始した。 Cp2M
gを流通させる量は事前に検討してあり、MgドープG
aNクラッド層の正孔濃度が8×1017cm-3となるよ
うに調整した。その後、約6分間に渡って成長を行った
あと、TMGaとCp2Mgの供給を停止し、Mgドー
プのGaN層の成長を停止した。これにより、0.15
μmの膜厚を成すMgドープGaN層1が形成された。
誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板の温度を室
温まで20分をかけて降温した。成長温度から300℃
までの降温中は、反応炉内のキャリアガスを窒素のみか
ら構成し、容量にして1%のNH3を流通した。その
後、基板温度が300℃となったのを確認した時点でN
H3の流通を停止し、雰囲気ガスを窒素のみとした。基
板温度が室温まで降温したのを確認して、ウェーハを大
気中に取り出した。
用のエピタキシャル層構造を有するエピタキシャルウェ
ーハを作製した。ここでMgドープGaN層はp型キャ
リアを活性化するためのアニール処理を行わなくてもp
型を示した。
キシャル層構造が積層されたエピタキシャルウェーハを
用いて半導体発光素子の一種である発光ダイオードを作
製した。作製したウェーハについて、公知のフォトリソ
グラフィーによってMgドープGaN層の表面14上
に、表面側から順にチタン、アルミニウム、金を積層し
た構造を持つp電極ボンディングパッド12とそれに接
合したAuのみからなる透光性p電極13を形成し、p
側電極を作製した。更にその後ウェーハにドライエッチ
ングを行い、高SiドープGaN層のn側電極を形成す
る部分11を露出させ、露出した部分にNi、Al、T
i、Auの4層よりなるn電極10を作製した。これら
の作業により、ウエーハ上に図2に示すような形状を持
つ電極を作製した。
成したウェーハについて、サファイア基板の裏面を研
削、研磨してミラー状の面とした。その後、該ウェーハ
を350μm角の正方形のチップに切断し、電極が上に
なるように、リードフレーム上に載置し、金線でリード
フレームへ結線して発光素子とした。上記のようにして
作製した発光ダイオードのp側およびn側の電極間に順
方向電流を流したところ、電流20mAにおける順方向
電圧は3.0Vであった。また、p側の透光性電極を通
して発光を観察したところ、発光波長は470nmであ
り、発光出力は6cdを示した。このような発光ダイオ
ードの特性は、作製したウェーハのほぼ全面から作製さ
れた発光ダイオードについて、ばらつきなく得られた。
造方法を用いると、温度の昇降が少ないので、プロセス
に必要な時間が短く、電力消費量が少ない。このことに
より、製造プロセスの短縮、省コスト化が可能である。
また、温度の変化が少ないことにより,基板の反りを最
小限に抑えることができ、結晶特性の均一性が良好とな
る。その結果、本発明のIII族窒化物半導体結晶の製
造方法を用いて、窒化ガリウム系化合物半導体を用いた
半導体発光素子を製造すると、高輝度でウェーハ面内で
ほぼ均一な特性を有する発光ダイオードを作製すること
ができる。
来の高温成長したAlNを用いた方法に比較してコラム
性が小さく転位密度が小さく、その上に作製した素子構
造が良好な素子特性を示す結晶を作製することができ
る。
エピタキシャル層構造を有するエピタキシャルウェーハ
の断面を示す模式図である。
極構造を示す平面図である。
Claims (13)
- 【請求項1】加熱した基板上に、V/III比を100
0以下(V/III比が0の場合を含む)としてIII
族原料を供給し、III族窒化物半導体(以下、III
族窒化物半導体はInGaAlNで表されるものとす
る。)を形成する第1の工程と、その後III族原料と
窒素原料を用いて、該基板上にIII族窒化物半導体結
晶を気相成長させる第2の工程を有するIII族窒化物
半導体結晶の製造方法。 - 【請求項2】前記基板としてサファイア(Al2O3)を
用いることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化
物半導体結晶の製造方法。 - 【請求項3】前記第1の工程で供給するIII族原料
が、少なくともAlを含むことを特徴とする請求項1ま
たは2に記載のIII族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 【請求項4】前記第2の工程で、基板上に気相成長させ
るIII族窒化物半導体結晶がGaNからなることを特
徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のII
I族窒化物半導体結晶の製造方法。 - 【請求項5】前記第2の工程で、窒素原料としてアンモ
ニア(NH3)を用いることを特徴とする請求項1ない
し4のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶
の製造方法。 - 【請求項6】前記第1の工程または第2の工程の少なく
とも一方において、気相成長を有機金属化学気相成長法
(MOCVD法)で行うことを特徴とする請求項1ない
し5のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶
の製造方法。 - 【請求項7】前記第1の工程で形成したIII族窒化物
半導体が島状結晶塊であることを特徴とする請求項1な
いし6のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結
晶の製造方法。 - 【請求項8】前記第1の工程で形成したIII族窒化物
半導体が柱状結晶であることを特徴とする請求項1ない
し7のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶
の製造方法。 - 【請求項9】前記柱状結晶が、その側面が基板面とおお
むね垂直であるように基板上に付着していることを特徴
とする請求項8に記載のIII族窒化物半導体結晶の製
造方法。 - 【請求項10】加熱した基板上に第1のIII族窒化物
半導体を作製し、その上に第2のIII族窒化物半導体
結晶を作製するIII族窒化物半導体結晶の製造方法に
おいて、第1のIII族窒化物半導体が柱状結晶または
島状結晶の集合体であることを特徴とするIII族窒化
物半導体結晶の製造方法。 - 【請求項11】前記柱状結晶が、その側面が基板面とお
おむね垂直であるように基板上に付着していることを特
徴とする請求項10に記載のIII族窒化物半導体結晶
の製造方法。 - 【請求項12】請求項1ないし11のいずれか1項に記
載の方法で製造したIII族窒化物半導体結晶。 - 【請求項13】請求項12に記載のIII族窒化物半導
体結晶の上に、さらにIII族窒化物半導体結晶層を形
成したIII族窒化物半導体エピタキシャルウェーハ。
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