JP2003138356A - ろう付け性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法 - Google Patents
ろう付け性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法Info
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- JP2003138356A JP2003138356A JP2001334139A JP2001334139A JP2003138356A JP 2003138356 A JP2003138356 A JP 2003138356A JP 2001334139 A JP2001334139 A JP 2001334139A JP 2001334139 A JP2001334139 A JP 2001334139A JP 2003138356 A JP2003138356 A JP 2003138356A
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Abstract
に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの製造方法を提供する。 【解決手段】少なくともMnを含むアルミニウム合金芯
材を温度:560〜630℃で均質化処理したのち、こ
の均質化処理したアルミニウム合金芯材の片面あるいは
両面にAl−Si系ろう材を重ね合わせ、この重ね合せ
素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材の片面あるい
は両面にAl−Si系ろう材層が圧接した仕上り温度:
360〜450℃を有する熱間クラッド素材を成形した
のち冷却速度:10〜150℃/時で冷却し、この冷却
した熱間クラッド素材を最終圧延率が20〜80%にな
るように冷間圧延し、この冷間圧延クラッド素材を連続
焼鈍炉を用いて昇温速度:2〜300℃/sで温度:2
00〜500℃に昇温しこの温度で3分以下保持する最
終焼鈍を施す。
Description
ータ用プレート、ラジエータやヒータコアなどのヘッダ
ープレートやタンクなど自動車の熱交換器用構造部材を
作るために用いる高いろう付け性、成形性および耐エロ
ージョン性を有する高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの製造方法に関するものである。
は、アルミニウム合金ブレージングシートを張出し加工
および絞り加工して得られた一対のプレート材により冷
媒流通部となる管路を形成させ、熱交換を促進するフィ
ンと共にろう付けして製造される。また、ラジエータや
ヒータコアなどのヘッダープレートやタンクもアルミニ
ウム合金ブレージングシートを張出し加工や絞り加工な
どを施した後、チューブなどと組合せてろう付けするこ
とにより製造される。したがって、熱交換器に使用され
るこのアルミニウム合金ブレージングシートは前述のご
とく張出し加工や絞り加工を行なう必要があるところか
ら、成形性が良くなければならない。
などのヘッダープレートやタンクは、芯材にろう材を被
覆したアルミニウム合金ブレージングシートを予め成形
して得られた各種成形体をろう付けして組み立てられる
ので、ろうを圧接部へ十分に供給する必要から優れたろ
う付け性が要求される。さらに、溶融したろう材はブレ
ージングシートの芯材を侵食する性質(以下、エロージ
ョン性という)を有し、このエロージョンを受けた部分
は耐食性が低下するとともにろうの流動性を低下させる
ところから、芯材はエロージョンし難い特性(以下、こ
の特性を耐エロージョン性という)を兼ね備えていなけ
ればならない。エロージョンの原因には2種類あると言
われており、その一つは、わずかに歪が導入された部分で
はろう付けを行なっても再結晶化が完了せず、亜結晶粒
が残存するためにこの亜結晶粒界からろうの侵入が起こ
ることによるものであり、もう一つは大きな歪が導入さ
れた部分では再結晶が促進されるために再結晶粒が微細
となって結晶粒界からろうの侵食が起こることによるも
のであると言われている。
性を有するアルミニウム合金ブレージングシートを製造
するために、質量%で、Mn:0.3〜2.0%、C
u:0.1〜1.0%,Fe:0.3%以下を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するA
l−Mn系合金を均質化処理し、均質化処理されたAl
−Mn系合金を芯材とし、この芯材の片面または両面
に、少なくともSiを含む通常4000系と呼ばれるA
l−Si系合金ろう材を重ね合わせて重ね合わせ素材を
作製し、この重ね合わせ素材を熱間圧延したのち冷間圧
延を施し、次いで、昇温速度:200℃/時以下、温
度:350〜500℃で1〜20時間保持したのち冷却
する最終焼鈍を施すことを特徴とするろう付け性および
耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウ
ム合金ブレージングシートの製造方法が提案されている
(特開平3−381761号公報参照)。
器は軽量化による省エネルギー化、環境問題の解決、コ
ストダウンなどのために従来のアルミニウム合金ブレー
ジングシートよりも一層薄くかつろう付け性、成形性お
よび耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金ブレー
ジングシートが求められている。しかし、従来の製造方
法ではろう付け性、成形性および耐エロージョン性が十
分に優れたアルミニウム合金ブレージングシートは得ら
れなかった。
う付け性、成形性および耐エロージョン性が一層優れた
アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法を開発
すべく研究を行った。その結果、(イ)熱間圧延して得
られた少なくともMnを含むアルミニウム合金芯材の片
面あるいは両面にAl−Si系ろう材層を有する熱間ク
ラッド素材の仕上り温度が360〜450℃の範囲内に
有るように制御し、引き続いてこの熱間クラッド素材を
冷却速度:10〜150℃/時で冷却し、さらに冷却し
た熱間クラッド素材を最終圧延率が20〜80%となる
ように冷間圧延したのち最終焼鈍し、この最終焼鈍を昇
温速度:2〜300℃/s、温度:200〜500℃で
この温度で3分以下保持する条件で行なうと、一層ろう
付け性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換
器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートが得ら
れる、(ロ)しかし、熱間圧延して得られた少なくとも
Mnを含むアルミニウム合金芯材の片面あるいは両面に
Al−Si系ろう材層を有する熱間クラッド素材の仕上
り温度が360〜450℃の範囲から外れることがあ
り、かかる温度範囲から外れた温度を有する熱間クラッ
ド素材は、温度:300〜360℃未満で1〜10時間
保持したのち、冷却速度:10〜150℃/時で冷却
し、さらに冷却したクラッド素材を最終圧延率が20〜
80%となるように冷間圧延したのち最終焼鈍し、この
最終焼鈍を昇温速度:2〜300℃/s、温度:200
〜500℃でこの温度で3分以下保持する条件で行なう
と、一層ろう付け性、成形性および耐エロージョン性に
優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージング
シートが得られる、などの研究結果が得られたのであ
る。
されたものであって、(1)少なくともMnを含むアル
ミニウム合金芯材を温度:560〜630℃、8〜30
時間保持の条件で均質化処理したのち、この均質化処理
したアルミニウム合金芯材の片面あるいは両面にAl−
Si系ろう材を重ね合わせて重ね合せ素材を作製し、こ
の重ね合せ素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材の
片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層が圧接した厚
さ:6.5〜10mmおよび仕上り温度:360〜45
0℃を有する熱間クラッド素材を成形した後ただちに冷
却速度:10〜150℃/時で冷却し、この冷却した熱
間クラッド素材を最終圧延率が20〜80%になるよう
に冷間圧延して冷間圧延クラッド素材を形成し、この冷
間圧延クラッド素材を連続焼鈍炉を用いて昇温速度:2
〜300℃/sで温度:200〜500℃に昇温し、こ
の温度で3分以下保持する最終焼鈍を施すろう付け性、
成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強
度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法、
(2)少なくともMnを含むアルミニウム合金芯材を温
度:560〜630℃、8〜30時間保持の条件で均質
化処理したのち、この均質化処理したアルミニウム合金
芯材の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材を重ね合
わせて重ね合せ素材を作製し、この重ね合せ素材を熱間
圧延してアルミニウム合金芯材の片面あるいは両面にA
l−Si系ろう材層が圧接した厚さ:6.5〜10mm
を有する熱間クラッド素材を成形し、この熱間クラッド
素材を温度:300〜360℃未満、1〜10時間保持
したのち冷却速度:10〜150℃/時で冷却し、この
冷却した熱間クラッド素材を最終圧延率が20〜80%
になるように冷間圧延して冷間圧延クラッド素材を形成
し、この冷間圧延クラッド素材を連続焼鈍炉を用いて昇
温速度:2〜300℃/sで温度:200〜500℃に
昇温し、この温度で3分以下保持する最終焼鈍を施すろ
う付け性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交
換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製
造方法、に特徴を有するものである。
むアルミニウム合金芯材」は、質量%で、Mn:1.0
〜1.5%、Cu:0.05〜0.8%、Fe:0.1
〜0.7%を含有し、さらに必要に応じて、Si:0.
1〜0.8%,Zr:0.01〜0.2%,Ti:0.
01〜0.25%,Mg:0.05〜0.5%のうち1
種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成を有するアルミニウム合金芯材であ
り、「Al−Si系ろう材」はSi:5〜15%を有
し、さらに必要に応じてZn:0.1〜5%,In:
0.001〜0.05%,Sn:0.01〜0.2%,
Mg:0.1〜1.5%のうち一種または二種以上を含
有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有
するAl−Si系ろう材であることが好ましい。
び耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニ
ウム合金ブレージングシートの製造条件を上述のごとく
限定した理由を述べる。 (A)均質化処理条件 この発明のろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシートの
製造方法において、少なくともMnを含むアルミニウム
合金芯材を560〜630℃で均質化処理するのは、鋳
造時に過飽和に固溶したMnを析出させ、最終焼鈍時お
よびろう付け時の特に低ひずみ導入部位の再結晶を促進
し、最終焼鈍後の結晶粒径を微細にして成形加工性を十
分なものとするとともに、ろう付け時の芯材へのろうへ
の侵食を抑制する作用を有するが、その温度が560℃
未満では所望の効果が得られず、一方、630℃を越える
と、局部溶融の可能性が高まるとともに、一層の効果が望
めないので生産性の低下をもたらすので好ましくない。
したがって、均質化処理温度は560〜630℃に定め
た。また、前記温度で8時間未満保持しても十分な均質
化効果が得られないので均質化処理時間は8時間以上で
あることが好ましいが、30時間を越えて保持しても一
層の効果が望めないので、均質化処理時間は8〜30時
間に定めた。
に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシートの
製造方法において、熱間圧延後の熱間クラッド素材の仕
上り温度または保持温度を360〜450℃の範囲内に
有るように制御したのは、熱間圧延終了後の冷却時にマ
トリックス中に固溶しているMnを析出させ、最終焼鈍
時およびろう付け時の特に低ひずみ導入部位の再結晶を
促進し、最終焼鈍後の結晶粒径を微細にして成形加工性
を十分なものとするとともに、ろう付け時の芯材へのろ
うへの侵食を抑制する作用を有するが、その温度が36
0℃未満では所望の効果が得られず、一方、450℃を越
えると、Mnがマトリックス中へ固溶して再結晶を遅延
させるので好ましくない。したがって、熱間圧延後の熱
間クラッド素材の仕上り温度または保持温度は360〜
450℃(一層好ましくは、380〜420℃)に定め
た。また、厚さ:6.5〜10mmおよび仕上げ温度:
300〜360℃未満となるように制御して熱間クラッ
ド素材を作製し、300〜360℃未満に1〜10時間
保持するとマトリックス中に固溶しているMnを析出さ
せることができる。さらに所定の温度で熱間圧延して熱
間クラッド素材を作製し、熱間クラッド素材が冷却途中
で300〜360℃未満になった時点で300〜360
℃未満に1〜10時間保持するとマトリックス中に固溶
しているMnを析出させることができる。したがって、
温度:300〜360℃未満に1〜10時間保持した熱
間クラッド素材に中間焼鈍を施すことなく冷間圧延し、
最終焼鈍することができる。 (ii)冷却速度 この発明のろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシートの
製造方法において、熱間圧延後の仕上り温度が360〜
450℃に制御した熱間クラッド素材の冷却速度を10
〜150℃/時の範囲内に有るように制御することがこ
の発明の特徴の一つであり、マトリックス中に固溶して
いるMnの析出を促進させるために熱間クラッド素材の
冷却速度を制御するものであるが、仕上り温度:360
〜450℃を有する熱間クラッド素材の冷却速度を10
℃/時未満にするとMnの析出を促進させる作用の一層
の効果が得られない上、生産性が低下する。一方、15
0℃/時を越えるとマトリックス中にMnが固溶し、ろ
う付け時の再結晶を遅延させるので好ましくない。した
がって、熱間圧延後の仕上り温度を360〜450℃を
有する熱間クラッド素材の冷却速度は10〜150℃/
時(一層好ましくは、20〜80℃/時)の範囲内に定
めた。 (iii)熱間クラッド素材の厚さ 熱間圧延後の熱間クラッド素材の仕上り厚さを通常より
厚い厚さの6.5〜10mmに調整することにより、そ
の後施される冷間圧延の圧延率を大きくして最終焼鈍時
の再結晶化を促進し、これにより最終焼鈍後の結晶粒径
を微細に成形して成形加工性を十分なものとする。した
がって、熱間圧延後の熱間クラッド素材の仕上り厚さを
6.5mm未満とすると十分な効果が得られず、一方、1
0mmを越えると、冷間加工工程を増加させる必要があ
り、生産性が増加するにもかかわらず一層の効果が得ら
れないので好ましくないので、熱間圧延後の熱間クラッ
ド素材の仕上り厚さは6.5〜10mmに定めた。
制御し、成形性と耐エロ−ジョン性を両立するための範
囲を十分広いものとする必要があるが、最終圧延率が8
0%を越えると成形性及び耐エロ−ジョン性が両立でき
るような焼鈍条件の範囲が著しく狭くなり、現実的には
ほとんど制御できなくなるので好ましくなく、一方、最終
圧延率が20%未満では最終焼鈍時の昇温速度を十分速
くするか、温度を高くしなければならず、仮にこのような
条件とした場合でも格別な効果が望めないので、最終圧
延率は20〜80%に定めた。なお、最終圧延率を20
〜80%にするまでには必要に応じて中間焼鈍を行なっ
ても良い。
ものとするとともに、成形時に加工の導入されない部分
におけるろうの侵食を抑制する作用を有するが、その昇
温速度が300℃/sを越えると再結晶が遅延されるた
め残留歪が大きくなって成形性が低下すると共に結晶粒
径が粗大化して加工性が低下するので好ましくなく、一
方、昇温速度が2℃/s未満では最終焼鈍後の結晶粒径
が微細になりすぎて成形時に加工の導入されない部分で
ろうの侵食が著しく大きくなるので好ましくない。した
がって、最終焼鈍における昇温速度は2〜300℃/s
(一層好ましくは、20〜200℃/s)に定めた。 (ii)保持温度 冷間圧延板を軟化させ、ろう付け性、成形性を向上させる
には、200〜500℃の範囲内に3分以下(0分も含
む)保持する必要があるが、その保持温度が200℃未満
では十分な効果が得られず、一方、500℃を越えて保
持すると、Mnがマトリックス中へ固溶してろう付け時
の再結晶を遅延させるので好ましくない。また、結晶粒
が微細になりすぎて、歪が導入されない部分では結晶粒
界からのろうの侵食が激しくなる。したがって、保持温
度を200〜500℃(一層好ましくは、300〜45
0℃)の範囲内に定めた。
う付け後の強度を向上させ、芯材の電位を貴にして耐エ
ロージョン性を改善する作用を有するが、その含有量が
1.0%未満では所望の効果が得られず、一方、1.5
%を越えて含有すると圧延などの加工性が低下するとこ
ろから、芯材に含まれるMn量は1.0〜1.5%に定
めた。Mnの含有量の一層好ましい範囲は1.1〜1.
3%である。 Cu:Cuは固溶してろう付け後の強度を向上させると
ともに、芯材の電位を貴にして芯材の耐エロージョン性
を向上する作用を有するが、その含有量が0.05%未
満では所望の効果が得られず、一方、0.8%を越えて
含有すると融点が低下し、ろう付け時に芯材が溶融する
ようになるので好ましくない。そたがって、芯材に含ま
れるCu量は0.05〜0.8%に定めた。Cuの含有
量の一層好ましい範囲は0.1〜0.6%である。 Fe:Feは、金属間化合物として晶出または析出して
ろう付け後の強度を向上させ、最終焼鈍時の再結晶を促
進する作用を有するが、その含有量が0.1%未満では
所望の効果が得られず、一方、0.7%を越えて含有す
ると腐食速度が速くなりすぎ、最終焼鈍後の再結晶粒が
細かくなりすぎて成形時に加工の導入されない部分でろ
うによる侵食が著しく大きくなるので好ましくない。し
たがって、芯材に含まれるFe量は0.1〜0.7%に
定めた。Feの含有量の一層好ましい範囲は0.2〜
0.5%である。 Si,Zr、Ti、Mg:これら成分は、いずれも金属
間化合物として晶出または析出してろう付け後の強度を
向上させる作用を有するので、必要に応じてSi,Z
r、Ti、Mgの内の1種または2種以上を添加する
が、Si:0.1%未満、Zr:0.01%未満,T
i:0.01%未満、Mg:0.05%未満では所望の
効果が得られず、一方、Si:0.8%を越え、Zr:
0.2%を越え、Ti:0.25%を越えて含有すると
圧延などの加工性が低下するので好ましくなく、Mg:
0.5%を越えて含有すると加工性およびろう付け性が
低下するので好ましくない。従って、Si、Zr、T
i、Mgの含有量は、それぞれSi:0.1〜0.8
%、Zr:0.01〜0.2%、Ti:0.01〜0.
25%、Mg:0.05〜0.5%の範囲内に定めた。
ョン性に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシ
ートの製造方法において用いるAl−Si系ろう材は、
Si:5〜15%を含有し、さらに必要に応じてZn:
0.1〜5%、In:0.001〜0.05%、Sn:
0.01〜0.2%、Mg:0.1〜1.5%のうち1
種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避不
純物からなる組成を有するAl−Si系ろう材であるこ
とが好ましい。
ゴットを製造し、このインゴットを600℃、15時間
保持の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ:1
60mmの熱延板とし、芯材a〜jを作製した。
溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴット
を600℃、15時間保持の条件で均質化処理後、熱間
圧延を行い、厚さ:20mmの熱延板とし、ろう材ア〜
ケを作製した。
示す成分組成のろう材ア〜ケを表3に示す組み合わせで
重ね合わせて、重ね合わせ素材A〜Rを作製し、この重
ね合わせ素材A〜Rを表4〜5に示す条件で熱間圧延す
ることにより熱間クラッド素材を作製し、続いて熱間ク
ラッド素材を表4〜5に示す最終圧延率で板厚が0.5
mmとなるように冷間圧延を行い、次いで表4〜表5に
示す条件で連続焼鈍炉を用いて最終焼鈍を行なうことに
より本発明アルミニウム合金ブレージングシートの製造
方法(以下、本発明法という)1〜18を実施した。
せ素材A〜Rを表6〜7に示す条件で熱間圧延すること
により熱間クラッド素材を作製し、続いてこれら熱間ク
ラッド素材に中間焼鈍を施したのち冷間圧延する操作を
繰り返し施すことにより板厚が0.5mmとなるまで冷
間圧延を行い、次いで表6〜表7に示す条件で最終焼鈍
を行なうことにより従来アルミニウム合金ブレージング
シートの製造方法(以下、従来法という)1〜18を実
施した。
18で作製したブレージングシートについて、ろう付け
性および耐エロージョン性を評価するために下記のドロ
ップ試験を行ない、さらに成形性を評価するために下記
の深絞り試験を行なった。
0.5mmのブレージングシートを縦:100mm、
横:25mmの寸法に切断して試験片を作製した。さら
に、成形加工をシュミレーションするために最終焼鈍後
にさらに5%の圧延加工を施した試験片も作製した。こ
れは通常のブレージングシートに5%程度低加工を加え
たブレージングシートはろうの侵食が激しくなることは
一般に知られているので、本発明法1〜18および従来
法1〜18で作製した板厚:0.5mmのブレージング
シートについて5%の圧延加工を施した試験片を作製
し、これをドロップ試験することによりろう付け性およ
び耐エロージョン性を評価するためである。図1は、ド
ロップ試験前の試験片の断面図であり、図1において、
1は芯材、2はろう材、3は試験片である。この試験片
3を長手方向に吊り下げた状態で温度:600℃、5分
間保持の条件でろう付けを想定した熱処理、即ちドロッ
プ試験を行なった。図2はドロップ試験後の試験片の断
面図であり、図2において1bはドロップ試験後の試験
片の芯材、2bはドロップ試験後の試験片のろう材であ
る。図2に示されるように、ドロップ試験後の試験片は
上部のろう材が溶けて垂れ下がって下部に貯まり、ろう
材の膨らみが形成されている。そこで、ドロップ試験後
の試験片を、図2に示されるように、a:b=3:1と
なるようにS−S線で切断し、S−S線より下の部分の
試験片重量をWB、ドロップ試験前の図1における試験
片の重量をW0、流動係数をKdとすると、下記の式: Kd=(4WB−W0)/3W0×クラッド率 から流動係数Kd求め、その結果を表4〜表7に示し
た。
試験片における芯材の厚さをt0、図2に示されるドロ
ップ試験後の試験片における芯材の残存厚さをtb、ろ
う侵食率をEとすると、下記の式: E=((t0−tb)/t0)×100(%) からろう侵食率Eを求め、その結果を表4〜表7に示し
た。
ージングシートを、パンチ角半径:4.5mmを有する
平底パンチおよびダイス肩半径:4.3mmを有する平
面ダイスを備えた工具を用い、絞り速度:20m/mi
nで絞り得るブレージングシートの最大直径をD0max、
パンチ直径をdpとすると、LDR(限界絞り比)=D
0max/dpを求め、その結果を表4〜表7に示した。
法1と従来法1とでは同じ重ね合わせ素材Aを使用して
いるが、本発明法1で得られたブレージングシートは従
来法1で得られたブレージングシートに比べて、流動係
数Kdが大きいところからろう付け性に優れ、ろう侵食
率Eが小さいところから耐エロージョン性に優れている
ことが分かる。さらに本発明法1で得られたブレージン
グシートは従来法1で得られたブレージングシートに比
べてLDR(限界絞り比)が大きいところから成形性に
優れていることが分かる。
ブレージングシートは従来法2〜18で得られたブレー
ジングシートに比べて、流動係数Kdが大きいところか
らろう付け性に優れ、ろう侵食率Eが小さいとことから
耐エロージョン性に優れていることが分かる。さらに本
発明法2〜18で得られたブレージングシートは従来法
2〜18で得られたブレージングシートに比べてLDR
(限界絞り比)が大きいところから成形性に優れている
ことが分かる。上述のように、この発明は、一層優れた
熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシート
を提供することができ、産業の発展に大いに貢献し得る
ものである。
した試験片の断面説明図である。
ージングシートの試験片の断面説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】少なくともMnを含むアルミニウム合金芯
材を温度:560〜630℃、8〜30時間保持の条件
で均質化処理したのち、この均質化処理したアルミニウ
ム合金芯材の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材を
重ね合わせて重ね合せ素材を作製し、 この重ね合せ素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材
の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層が圧接した
厚さ:6.5〜10mmおよび仕上り温度:360〜4
50℃を有する熱間クラッド素材を成形した後ただちに
冷却速度:10〜150℃/時で冷却し、 この冷却した熱間クラッド素材を最終圧延率が20〜8
0%になるように冷間圧延して冷間圧延クラッド素材を
形成し、 この冷間圧延クラッド素材を連続焼鈍炉を用いて昇温速
度:2〜300℃/sで温度:200〜500℃に昇温
し、この温度で3分以下保持する最終焼鈍を施すことを
特徴とするろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの製造方法。 - 【請求項2】少なくともMnを含むアルミニウム合金芯
材を温度:560〜630℃、8〜30時間保持の条件
で均質化処理したのち、この均質化処理したアルミニウ
ム合金芯材の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材を
重ね合わせて重ね合せ素材を作製し、 この重ね合せ素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材
の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層が圧接した
厚さ:6.5〜10mmを有する熱間クラッド素材を成
形し、この熱間クラッド素材を温度:300〜360℃
未満、1〜10時間保持したのち冷却速度:10〜15
0℃/時で冷却し、 この冷却した熱間クラッド素材を最終圧延率が20〜8
0%になるように冷間圧延して冷間圧延クラッド素材を
形成し、 この冷間圧延クラッド素材を連続焼鈍炉を用いて昇温速
度:2〜300℃/sで温度:200〜500℃に昇温
し、この温度で3分以下保持する最終焼鈍を施すことを
特徴とするろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの製造方法。 - 【請求項3】前記少なくともMnを含むアルミニウム合
金芯材は、質量%で、Mn:1.0〜1.5%、Cu:
0.05〜0.8%、Fe:0.1〜0.7%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有す
るアルミニウム合金芯材であり、かつ前記Al−Si系
ろう材はSi:5〜15%を有し、残部がAlおよび不
可避不純物からなる組成を有するAl−Si系ろう材で
あることを特徴とする請求項1または2記載のろう付け
性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用
高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方
法。 - 【請求項4】前記少なくともMnを含むアルミニウム合
金芯材は、質量%で、Mn:1.0〜1.5%、Cu:
0.05〜0.8%、Fe:0.1〜0.7%を含有
し、 さらに、Si:0.1〜0.8%,Zr:0.01〜
0.2%,Ti:0.01〜0.25%,Mg:0.0
5〜0.5%のうち1種または2種以上を含有し、残り
がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミ
ニウム合金芯材であり、かつ前記Al−Si系ろう材は
Si:5〜15%を有し、残部がAlおよび不可避不純
物からなる組成を有するAl−Si系ろう材であること
を特徴とする請求項1または2記載のろう付け性、成形
性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度ア
ルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。 - 【請求項5】前記Al−Si系ろう材はSi:5〜15
%を有し、さらにZn:0.1〜5%,In:0.00
1〜0.05%,Sn:0.01〜0.2%,Mg:
0.1〜1.5%のうち一種または二種以上を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するA
l−Si系ろう材であることを特徴とする請求項3また
は4記載のろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの製造方法。
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