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JP2003133689A - 部材パターンの製造方法、及び、配線、回路基板、電子源、画像形成装置の製造方法 - Google Patents

部材パターンの製造方法、及び、配線、回路基板、電子源、画像形成装置の製造方法

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JP2003133689A
JP2003133689A JP2002224350A JP2002224350A JP2003133689A JP 2003133689 A JP2003133689 A JP 2003133689A JP 2002224350 A JP2002224350 A JP 2002224350A JP 2002224350 A JP2002224350 A JP 2002224350A JP 2003133689 A JP2003133689 A JP 2003133689A
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wiring
manufacturing
pattern
exposure
photosensitive paste
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Yoshiki Uda
芳己 宇田
Kazuya Ishiwatari
和也 石渡
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エッジカールの発生を防止し、絶縁性能の向
上をなし得る配線の製造方法を提供する。 【解決手段】 感光性材料と導電性材料とを含有する感
光性ペーストを用い1回もしくは複数回の成膜・露光工
程を経た後、現像工程を実施して導電層パターン19を
形成する工程と、感光性材料と絶縁性材料とを含有する
感光性ペースト膜を用い1回もしくは複数回の成膜・露
光工程を経た後、現像工程を実施して、少なくとも導電
層パターン19上の一部に絶縁層パターン39を形成す
る工程と、これらの導電層パターン19及び絶縁層パタ
ーン39を一括して焼成する焼成工程とを有することを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性ペーストを
用いた、部材パターン、配線、回路基板、電子源、画像
形成装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、画像形成装置等の電子源として応
用される電子放出素子としては、熱電子源と冷陰極電子
源の2種類が知られており、冷陰極電子源には電界放出
型素子(FE型素子)、金属/絶縁層/金属型素子(M
IM素子)、表面伝導型電子放出素子等がある。
【0003】図12に上記表面伝導型電子放出素子の構
成を示す。図12(a)は表面伝導型電子放出素子の平
面模式図、図12(b)は図12(a)におけるB−
B’の断面模式図である。同図において、11は絶縁性
基板、7は電子放出用導電性膜、2,3は電極、8は電
子放出部である。
【0004】図13は、図12に示したような表面伝導
型電子放出素子等の電子放出素子を用いた画像形成装置
としての画像表示装置の一例を示す概略構成図である。
同図において、81は基板、82は外枠、86は画像形
成部材84が配置されたフェースプレートである。外枠
82、基板81、フェースプレート86の各接続部を不
図示の低融点ガラスフリット等の接着剤により封着し、
画像表示装置内部を真空に維持するための外囲器(気密
容器)88が構成されている。
【0005】基板81には、基板11が固定されてい
る。この基板11上には電子放出素子74がn×m個配
列形成されている(n,mは2以上の正の整数であり、
目的とする表示画素数に応じて適宜設定される)。
【0006】また、各電子放出素子74は、配線4,6
に接続されている。図13における配線は、m本の行方
向配線4とn本の列方向配線6からなる(「マトリクス
配線」とも呼ぶ)。なお、行方向配線4と列方向配線6
との交差部には不図示の絶縁層が配置され、行方向配線
4と列方向配線6とが絶縁されている。
【0007】上記画像表示装置を形成するには、行方向
配線4及び列方向配線6を多数配列形成する必要があ
る。
【0008】行方向配線4及び列方向配線6を多数配列
形成する方法として、比較的安価で、真空装置等必要な
く、大面積に対応し得る印刷技術を用いて配線を形成す
ることが特開平8−34110号公報等に開示されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような画像表示
装置等の画像形成装置をより高精細なものとするために
は、各電子放出素子を駆動するため各電子放出素子に給
電を行う配線をより高精度に形成する必要がある。
【0010】そのため、上記配線を形成するにあたり、
感光性ペーストを用いる方法が考えられる。感光性ペー
ストを用いた配線の形成に関しては特開2000−25
1682号公報に開示されている。
【0011】本発明の目的とするところは、エッジカー
ルを低減し得る配線などの部材パターンの製造方法、ま
た、かかる配線の製造方法を応用した回路基板、電子
源、及び画像形成装置の製造方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に、パ
ターニングされた第一の部材と、前記第一の部材上から
基板上に渡ってパターニングされた第二の部材とを備え
る部材パターンの製造方法であって、基板上に第一の感
光性ペーストを付与する工程と、当該第一の感光性ペー
ストを露光し、現像して、前記第一の部材の前駆体パタ
ーンを形成する工程と、前記第一の部材の前駆体パター
ン上から基板上に渡って第二の感光性ペーストを付与す
る工程と、付与された前記第二の感光性ペーストを露光
し、現像して、第二の部材の前駆体パターンを形成する
工程と、前記第一及び第二の部材の前駆体パターンを焼
成する工程とを有することを特徴とする部材パターンの
製造方法である。
【0013】本発明の部材パターンとは、絶縁層のパタ
ーンや導電層のパターンであり、より具体的には、導電
層からなる配線パターンや、複数の導電層と該複数の導
電層間に配置される絶縁層とを有する配線パターンなど
である。
【0014】本発明の配線の製造方法は、感光性材料と
導電性材料とを含有する感光性ペーストを用い1回もし
くは複数回の成膜・露光工程を経た後、現像工程を実施
して導電層パターンを形成する工程と、感光性材料と絶
縁性材料とを含有する感光性ペースト膜を用い1回もし
くは複数回の成膜・露光工程を経た後、現像工程を実施
して、少なくとも前記導電層パターン上の一部に絶縁層
パターンを形成する工程と、前記導電層パターン及び前
記絶縁層パターンを焼成する焼成工程と、を有すること
を特徴とする。
【0015】上記本発明の配線の製造方法は、さらなる
特徴として、「前記導電層パターンもしくは前記絶縁層
パターンを形成する工程は、前記成膜・露光工程を複数
回有し、該複数回の露光工程における各露光パターンを
同一パターンとすること」、「前記絶縁層パターンもし
くは前記絶縁層パターンを形成する工程は、前記成膜・
露光工程を複数回有し、該複数回の露光工程における各
露光パターンを異なるパターンとすること」、「前記導
電性材料は主成分が金属であり、前記絶縁性材料は主成
分がガラスであること」、「前記導電性材料は、導電性
の粒子からなること」、「前記焼成工程後の配線厚を5
μm以上とすること」、を含む。
【0016】また、本発明は、配線を備えた回路基板の
製造方法であって、上記本発明の配線の製造方法によっ
て前記配線を製造することを特徴とする回路基板の製造
方法である。
【0017】また、本発明は、配線と、該配線に給電さ
れて駆動する電子放出素子と、を備えた電子源の製造方
法であって、上記本発明の配線の製造方法によって前記
配線を製造することを特徴とする電子源の製造方法であ
る。
【0018】また、本発明は、電子源と、該電子源から
放出された電子によって画像を形成する画像形成部材
と、を備えた画像形成装置の製造方法であって、上記本
発明の電子源の製造方法によって前記電子源を製造する
ことを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0019】例えば、対角数十cmにもなる大面積の画
像形成装置を作成する場合には、画像形成装置内部に用
いる配線を、より低抵抗なものとすることが必要であ
る。そのためには、配線の膜厚を厚く形成することが重
要となる。
【0020】しかしながら、単に、膜厚の厚い配線を高
精度に形成する目的で、感光性ペーストを用いた場合に
は、以下のような課題があった。
【0021】一般に、感光性ペーストを用いた場合にお
ける配線の作成工程は、感光性ペーストの成膜→(乾
燥)→露光→現像→焼成の順番で行なわれる。
【0022】しかし、膜厚を厚く形成するために、図1
4に示すように、(a)一度に感光性ペーストを厚く成
膜し、(乾燥)、(b)露光、(c)現像、(c)焼成
工程を順次実施して作成した場合には、次のようなこと
が起こる。尚、図14中、11は基板、12は感光性ペ
ースト、13はマスク、14は露光光、15は潜像、1
9は現像像としての現像パターン、21は完成した配線
パターンである。
【0023】即ち、焼成後の配線パターン21のエッジ
部の反り等のカール(以下、エッジカールと称する)が
増大し、次工程で絶縁層をさらに積層形成する際に、エ
ッジカール部の下側の配線パターン21両脇空間が絶縁
材料で充分に埋まらず、空間を残した状態となる。
【0024】これは、焼成工程(d)により溶媒等が蒸
発することに起因した体積収縮や、感光性ペーストの厚
みが厚いことによる露光時の露光量不足等によるためと
考えられている。
【0025】一方、露光量が不足しているからと言っ
て、露光量を上げると、所謂オーバー露光となり、配線
パターン21のエッジ部のシャープさが失われてしまっ
たり、所望の幅よりも広くパターニングされてしまう場
合があった。
【0026】また、配線の中でも、図13の画像表示装
置に用いられるようなマトリクス配線(行方向配線と列
方向配線)を形成する際には、行方向配線と列方向配線
とを絶縁するために、下側に位置する下層配線を形成し
た後に絶縁層を形成し、その後に上層配線を積層しなく
てはならない。
【0027】そのため、下側の下層配線として上記エッ
ジカール部を持つ配線を用いた場合には、エッジカール
を持つ下層配線上に絶縁層を形成することになる。
【0028】この時、絶縁層を印刷法で形成する際に
は、印刷法に必須な焼成工程により、エッジカール部の
下側の下層配線両脇空間が絶縁層に泡を内包させる要因
となる。
【0029】その結果、絶縁層内の泡によって行方向配
線と列方向配線との絶縁性が悪くなり、最悪の場合、行
方向配線と列方向配線がショートするという問題が生じ
る場合があった。
【0030】さらに、該下層配線を画像形成装置の引出
し配線として真空気密性を必要とする装置内部と装置外
部を電気的に結ぶ気密シール部分に使用した場合、該エ
ッジカール部の下側の下層配線両脇空間によって、気密
性を保つことができない装置となる。
【0031】問題となるエッジカールは、感光性ペース
トの焼成後の膜厚が5μmを超えると顕著に観測され、
また、膜厚が厚くなるほどエッジカールの量が大きくな
っていた。
【0032】例えば、焼成後の図14(d)におけるA
部の膜厚が10μmの場合では、図14(d)における
B部の膜厚であるエッジカールが18〜21μm起きて
いる。
【0033】なお、A部の膜厚は、焼成後の配線パター
ン21端部のエッジカール部分を除いた部分の基板表面
からの高さを示す。B部の膜厚は、配線パターン21端
部のエッジカール部分の高さを示す。
【0034】このため、エッジカール量(B/A)とし
ては約2倍もある。ここで、エッジカール量とは、図1
4(d)における、AとBの比であり、この場合エッジ
カール量約2倍とは、B/A=(18/10)〜(21
/10)≒2ということである。
【0035】絶縁層の膜厚にもよるが、エッジカール量
が、絶縁層の実質一層分の膜厚に匹敵する場合もあり、
そのような場合には、実質的に絶縁層一層分の膜厚がエ
ッジカール分でキャンセルされる。
【0036】そのため、所望の絶縁性能を得ようとする
と、エッジカールを考慮して余分に絶縁層を厚く形成す
る必要が生じてしまう。さらには、絶縁層を形成した後
に上側の上層配線を形成する際、絶縁層を厚く形成した
結果、余分な段差が生じ、上側の上層配線の断線を生じ
る場合があった。
【0037】本発明の部材パターンの製造方法によれ
ば、第一の部材と、第一の部材上から基板上に渡って配
置された第二の部材との間に、空間が形成されるのを極
力防ぐことが可能であり、よって、両部材の基板からの
剥離を防ぐことが可能である。また、上記空間の形成を
極力防げることは、前記部材が気密容器のシール部分に
存在したとしても当該気密容器は良好なシール性能を確
保することができる。
【0038】本発明の配線の製造方法によれば、導電層
パターン(現像パターン)と、少なくとも該導電層パタ
ーン上の一部に形成された絶縁層パターン(現像パター
ン)とを、一括して焼成することにより、絶縁層パター
ンによって覆われている導電層の焼成における収縮挙動
が、絶縁層が無い場合と異なり、導電層の高さ(厚さ)
方向の収縮が支配的になることによって、絶縁層を形成
した部分においてエッジカールの少ない導電層を有する
配線を実現することができる。
【0039】そして、本発明の製造方法で形成した配線
を用いた回路基板及び電子源では、絶縁層への泡の内包
要因がなくなるため、結果として絶縁性能が向上して性
能を満足する様々な用途に使える回路基板及び電子源を
形成することができる。
【0040】さらにまた、本発明の製造方法で形成した
配線を用いた画像形成装置では、エッジカールがほとん
どないために、エッジカールの高さ分、余分に絶縁層を
積層する必要がなく、絶縁層の膜厚を低く押さえること
ができることや、配線の両脇空間がなくなるために、気
密性シール部分での気密を保つことができることなど、
結果として画像形成装置の性能が向上して性能を満足す
る様々な用途に使える画像形成装置を形成することがで
きる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に具体的な実施例に基づい
て、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明
する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品
の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的
な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限
定する趣旨のものではない。
【0042】なお、以下で用いられる用語の内、従来技
術で説明したものはそのままの意義で用いている。
【0043】
【実施例】(実施例1)図1は本実施例に係る配線の製
造工程を示す模式図である。図1(a)は導電性感光性
ペーストの成膜後の状態図、図1(b)は露光時の状態
図、図1(c)は現像後の状態図、図1(d)は絶縁性
感光性ペーストの成膜後の状態図、図1(e)は露光時
の状態図、図1(f)は現像後の状態図、図1(g)は
焼成後の状態図である。
【0044】図1において、11は基板、12及び32
は感光性ペーストを塗付することで形成した膜である
層、13及び33は層12及び32の所望の領域にのみ
光を照射させるためのマスク、14及び17は露光光、
15及び35は露光により形成された潜像、19は現像
像としての導電層パターン、39は現像像としての絶縁
層パターン、20は完成された配線パターン、40は完
成された絶縁パターンである。
【0045】以下に、本実施例における配線の製造方法
を述べる。
【0046】図1(a)において、基板11はソーダ石
灰ガラスを使用し、この基板11上に、感光性材料と導
電性材料とを含有する感光性ペーストを用いて層12を
形成した。
【0047】感光性ペーストは、導電性材料として銀を
主成分とするもので、銀粒子が6〜8割程度含有するほ
か、感光性材料として感光性を有する有機成分、ガラス
フリットおよび溶媒成分を2〜4割程度含有するものを
使用した。この導電性材料を有する感光性ペーストをス
クリーン印刷により基板11上に成膜した。
【0048】版は#150〜400あたりの粗さのもの
を所望の最終膜厚から使い分けるが、この場合は層12
の乾燥後の膜厚を7μm強にするため、#400の粗さ
の版を用い成膜した。
【0049】その後、感光性ペーストを乾燥させる目的
で、80〜150℃程度の乾燥を実施した。層12の乾
燥後の膜厚は、8μm程度であった。
【0050】次に、図1(b)において、所望の配線パ
ターンの開口部を有するマスク13を配置し、感光性ペ
ーストが乾燥した層12を露光した。
【0051】この際、同図のように露光光14がマスク
13の開口部を通過して、感光性ペースト層12を露光
する。15は感光性ペーストの露光された部分である潜
像を示している。
【0052】次に、図1(c)において、高さ8μm程
度の感光性ペーストの層12に対して現像工程を実施し
た。現像は、使用する感光性ペーストによって異なる
が、弱アルカリ性の溶液にて現像した後、純水のリンス
により現像を止め、ブローで乾燥を実施することによ
り、同図のような導電層パターン19を形成した。
【0053】次に、図1(d)において、1回目の成膜
と同様の方法で、感光性材料と絶縁性材料とを含有する
感光性ペーストを用いて層32を形成した。感光性ペー
ストは、絶縁性材料としてガラスを主成分とするもの
で、ガラス系材料及び金属酸化物が4〜8割程度含有す
るほか、感光性材料として感光性を有する有機成分、バ
インダーおよび溶媒成分、その他添加剤を2〜6割程度
含有するものを使用した。この絶縁性材料を有する感光
性ペーストをスクリーン印刷により成膜した。
【0054】版は#150〜400あたりの粗さのもの
を所望の最終膜厚から使い分けるが、この場合は層32
の乾燥後の膜厚を12μm強にするため、#200の粗
さの版を用い成膜した。
【0055】その後、感光性ペーストを乾燥させる目的
で、80〜150℃程度の乾燥を実施した。層32の乾
燥後の膜厚は、13μm程度であった。
【0056】次に、図1(e)において、所望の絶縁パ
ターンの開口部を有するマスク33を配置し、感光性ペ
ーストが乾燥した層32を露光した。該マスク33は下
層の導電層パターン19を所望の部分に対して覆いかぶ
せるような形状になっている。
【0057】この際、同図のように露光光17がマスク
33の開口部を通過して、感光性ペースト層32を露光
する。35は感光性ペーストの露光された部分である潜
像を示している。
【0058】次に、図1(f)において、高さ13μm
程度の感光性ペーストの層32に対して現像工程を実施
した。現像は、使用する感光性ペーストによって異なる
が、弱アルカリ性の溶液にて現像した後、純水のリンス
により現像を止め、ブローで乾燥を実施することによ
り、同図のような絶縁層パターン39を形成した。
【0059】さらに前記工程で実施した導電層パターン
19及び絶縁層パターン39を、図1(g)のように、
焼成することにより、所望の配線パターン20と絶縁パ
ターン40を形成し、これらを総称して目的とする配線
が完成した。このときの焼成は、500℃近傍で実施し
た。焼成後の配線パターン20の膜厚は5μm程度、絶
縁パターン40の膜厚は9μm程度であった。
【0060】この場合、上層に絶縁層が形成されている
図1(g)のような部分の配線パターン20の断面にお
ける膜厚は中央部及び端部共に5μm程度であり、エッ
ジカール量は、1倍程度でエッジカールの無い配線パタ
ーン20を形成することができた。
【0061】このように、下層に導電性ペーストを使用
し現像工程まで実施し、上層に絶縁性ペーストを使用し
現像工程まで実施した状態にて、一括して焼成工程以降
を進めることにより、配線パターン20のエッジカール
をほぼ0にすることができた。このため、配線両脇空間
(配線の幅方向下部の基板側空間)を無くすことが出来
た。
【0062】このように配線パターン20のエッジカー
ルをほぼ0にしたため、マトリクス配線に本実施例の製
造方法を適用した場合、絶縁層内に泡の発生がなくなっ
た。
【0063】また、その上にさらに上層配線を形成して
も、絶縁層の絶縁性が良好であり、ショートとなる欠陥
は非常に少なくなった。
【0064】また、エッジカールが少ないために、後工
程で積層する絶縁層の膜厚を増やすことなく十分な絶縁
性をもつ絶縁層が形成できた。
【0065】また、絶縁層上に上層配線を形成する際に
も、エッジカールが無いために、絶縁層の膜厚を少なく
することが出来、上層配線の段切れなどが生じることも
なかった。
【0066】また、本実施例で製造した配線を画像形成
装置の引き出し配線として装置内部と装置外部を遮断す
る気密シール部分に使用した場合にも、配線両脇空間が
無いため気密性を保つことが可能になった。
【0067】(実施例2)図2は本実施例に係る配線の
製造工程を示す模式図である。図2(a)は導電性感光
性ペーストの成膜後の状態図、図2(b)は露光後の状
態図、図2(c)は導電性感光性ペーストの成膜後の状
態図、図2(d)は露光後の状態図、図2(e)は現像
後の状態図、図2(f)は絶縁性感光性ペーストの成膜
後の状態図、図2(g)は露光後の状態図、図2(h)
は絶縁性感光性ペーストの成膜後の状態図、図2(i)
は露光後の状態図、図2(j)は現像後の状態図、図2
(k)は焼成後の状態図である。
【0068】図2において、11は基板、12及び16
及び32及び36は感光性ペーストを塗付することで形
成した膜である層、15及び18及び35及び38は露
光により形成された潜像、19は現像像としての導電層
パターン、39は現像像としての絶縁層パターン、20
は完成された配線パターン、40は完成された絶縁パタ
ーンである。
【0069】以下に、本実施例における配線の製造方法
を述べる。
【0070】図2(a)において、基板11はソーダ石
灰ガラスを使用し、この基板11上に、感光性材料と導
電性材料とを含有する感光性ペーストを用いて層12を
形成した。
【0071】感光性ペーストは、導電性材料として銀を
主成分とするもので、銀粒子が6〜8割程度含有するほ
か、感光性材料として感光性を有する有機成分、ガラス
フリットおよび溶媒成分を2〜4割程度含有するものを
使用した。この導電性材料を有する感光性ペーストをス
クリーン印刷により基板11上に成膜した。
【0072】版は#150〜400あたりの粗さのもの
を所望の最終膜厚から使い分けるが、この場合は層12
の乾燥後の膜厚を7μm強にするため、#400の粗さ
の版を用い成膜した。
【0073】その後、感光性ペーストを乾燥させる目的
で、80〜150℃程度の乾燥を実施した。層12の乾
燥後の膜厚は、8μm程度であった。
【0074】次に、図2(b)において、所望の配線パ
ターンの開口部を有する不図示のマスクを配置し、感光
性ペーストが乾燥した層12を露光した。この際、露光
光がマスクの開口部を通過して感光性ペースト層12を
露光する。15は感光性ペーストの露光された部分であ
る潜像を示している。
【0075】次に、図2(c)において、高さ8μm程
度の感光性ペーストの層12に対して、さらに感光性ペ
ーストの成膜工程を実施した。感光性ペーストは、層1
2と同様の感光性材料と導電性材料とを含有する感光性
ペーストを用い、スクリーン印刷により成膜して層16
を形成した。版は#150〜400あたりの粗さのもの
を所望の最終膜厚から使い分けるが、この場合は層12
と同様に乾燥後の膜厚を7μm程度にするため、#40
0の粗さの版を用い成膜した。
【0076】その後、感光性ペーストを乾燥させる目的
で、80〜150℃程度の乾燥を実施した。層16の乾
燥後の膜厚は、7μm程度、トータルの膜厚は基板面か
ら15μm程度であった。
【0077】次に、図2(d)において、図2(b)と
同様の不図示のマスクを配置し、感光性ペーストが乾燥
した層16を露光した。この際、露光光がマスクの開口
部を通過して感光性ペースト層16を露光する。18は
感光性ペーストの露光された部分である潜像を示してい
る。
【0078】次に、図2(e)において、高さ15μm
程度の感光性ペーストの層12と16に対して現像工程
を実施した。現像は、使用する感光性ペーストによって
異なるが、弱アルカリ性の溶液にて現像した後、純水の
リンスにより現像を止め、ブローで乾燥を実施すること
により、同図のような導電層パターン19を形成した。
【0079】次に、図2(f)において、1回目の成膜
と同様の方法で、感光性材料と絶縁性材料とを含有する
感光性ペーストを用いて層32を形成した。感光性ペー
ストは、絶縁性材料としてガラスを主成分とするもの
で、ガラス系材料及び金属酸化物が4〜8割程度含有す
るほか、感光性材料として感光性を有する有機成分、バ
インダーおよび溶媒成分、その他添加剤を2〜6割程度
含有するものを使用した。この絶縁性材料を有する感光
性ペーストをスクリーン印刷により成膜した。
【0080】版は#150〜400あたりの粗さのもの
を所望の最終膜厚から使い分けるが、この場合は層32
の乾燥後の膜厚を12μm強にするため、#200の粗
さの版を用い成膜した。
【0081】その後、感光性ペーストを乾燥させる目的
で、80〜150℃程度の乾燥を実施した。層32の乾
燥後の膜厚は、13μm程度であった。
【0082】次に、図2(g)において、所望の絶縁パ
ターンの開口部を有する不図示のマスクを配置し感光性
ペーストが乾燥した層32を露光した。該マスクは下層
の現像パターンを所望の部分に対して覆いかぶせるよう
な形状になっている。
【0083】この際、露光光がマスクの開口部を通過し
て、感光性ペースト層32を露光する。35は感光性ペ
ーストの露光された部分である潜像を示している。
【0084】次に、図2(h)において、高さ13μm
程度の感光性ペーストの層32に対して、さらに感光性
ペーストの成膜工程を実施した。感光性ペーストは、層
32と同様の感光性材料と絶縁性材料とを含有する感光
性ペーストを用い、スクリーン印刷により成膜して層3
6を形成した。版は#150〜400あたりの粗さのも
のを所望の最終膜厚から使い分けるが、この場合は層3
2と同様に乾燥後の膜厚を12μm程度にするため、#
200の粗さの版を用い成膜した。
【0085】その後、感光性ペーストを乾燥させる目的
で、80〜150℃程度の乾燥を実施した。層36の乾
燥後の膜厚は、12μm程度、トータルの膜厚は基板面
から25μm程度であった。
【0086】次に、図2(i)において、図2(g)と
同様の不図示のマスクを配置し、感光性ペーストが乾燥
した層36を露光した。この際、露光光がマスクの開口
部を通過して感光性ペースト層36を露光する。38は
感光性ペーストの露光された部分である潜像を示してい
る。
【0087】次に、図2(j)において、高さ25μm
程度の感光性ペーストの層32と36に対して現像工程
を実施した。現像は、使用する感光性ペーストによって
異なるが、弱アルカリ性の溶液にて現像した後、純水の
リンスにより現像を止め、ブローで乾燥を実施すること
により、同図のような絶縁層パターン39を形成した。
【0088】さらに前記工程で実施した導電層パターン
19及び絶縁層39を、図2(k)のように、一括して
焼成することにより、所望の配線パターン20と絶縁パ
ターン40を形成しこれらを総称して目的とする配線が
完成した。このときの焼成は、500℃近傍で実施し
た。焼成後の配線パターン20の膜厚は8μm程度、絶
縁パターン40の膜厚は16μm程度であった。
【0089】この場合、上層に絶縁層が形成されている
図2(k)のような部分の配線パターン20の断面にお
ける膜厚は中央部及び端部共に8μm程度であり、エッ
ジカール量は、1倍程度でエッジカールの無い配線パタ
ーン20を形成することができた。
【0090】このように、下層に導電性ペーストを使用
し、成膜工程と露光工程を複数回実施したのち現像工程
まで実施し、上層に絶縁性ペーストを使用し成膜工程と
露光工程を複数回実施したのち現像工程まで実施した状
態にて、一括して焼成工程以降を進めることにより、配
線パターン20のエッジカールをほぼ0にすることがで
きた。このため、配線両脇空間(配線の幅方向下部の基
板側空間)を無くすことが出来た。
【0091】このように配線パターン20のエッジカー
ルをほぼ0にしたため、マトリクス配線に本実施例の製
造方法を適用した場合、絶縁層内に泡の発生がなくなっ
た。
【0092】また、その上にさらに上層配線を形成して
も、絶縁層の絶縁性が良好であり、ショートとなる欠陥
は非常に少なくなった。
【0093】また、エッジカールが少ないために、後工
程で積層する絶縁層の膜厚を増やすことなく十分な絶縁
性をもつ絶縁層が形成できた。
【0094】また、絶縁層上に上層配線を形成する際に
も、エッジカールが無いために、絶縁層の膜厚を少なく
することが出来、上層配線の段切れなどが生じることも
なかった。
【0095】また、本実施例で製造した配線を画像形成
装置の引き出し配線として装置内部と装置外部を遮断す
る気密シール部分に使用した場合にも、配線両脇空間が
無いため気密性を保つことが可能になった。
【0096】さらにまた、導電性ペーストを複数層積層
するために、導電層の膜厚を上げ配線抵抗を少なくする
ことも可能であった。
【0097】(実施例3)図3は本実施例に係る配線の
製造工程を示す模式図である。図3(a)は導電性感光
性ペーストの成膜後の状態図、図3(b)は露光後の状
態図、図3(c)は導電性感光性ペーストの成膜後の状
態図、図3(d)は露光後の状態図、図3(e)は現像
後の状態図、図3(f)は絶縁性感光性ペーストの成膜
後の状態図、図3(g)は露光後の状態図、図3(h)
は絶縁性感光性ペーストの成膜後の状態図、図3(i)
は露光後の状態図、図3(j)は現像後の状態図、図3
(k)は焼成後の状態図である。
【0098】図3において、11は基板、12及び16
及び32及び36は感光性ペーストを塗付することで形
成した膜である層、15及び18及び35及び38は露
光により形成された潜像、19は現像像としての導電層
パターン、39は現像像としての絶縁層パターン、20
は完成された配線パターン、40は完成された絶縁パタ
ーンである。
【0099】本実施例においては、図3(b)と図3
(d)において使用する不図示のマスクが異なり、ま
た、図3(g)と図3(i)において使用する不図示の
マスクが異なる。具体的には、開口幅が図3(b)と図
3(d)にて使用するマスクで異なり図3(d)のマス
クの方が狭いものを用い、また、開口幅が図3(g)と
図3(i)にて使用するマスクで異なり図3(i)のマ
スクの方が狭いものを用いた以外、実施例2の方法と同
様に製作し、最終的に、導電性の感光性ペーストでは図
3(e)のように上下で線幅の異なる導電層パターン1
9を作製し、また、絶縁性の感光性ペーストでは図3
(j)のように上下でパターン幅の異なる絶縁層パター
ン39を作製した。
【0100】さらに、図3(k)のように、導電層パタ
ーン19と絶縁層パターン39とを一括して焼成するこ
とにより、所望の配線パターン20と所望の絶縁パター
ン40を形成しこれらを総称して目的とする配線が完成
した。このときの焼成は、500℃近傍で実施した。焼
成後の配線パターン20の膜厚は8μm程度、絶縁パタ
ーンの膜厚は16μm程度であった。
【0101】この場合、上層に絶縁層が形成されている
図3(k)のような部分の配線パターン20の断面にお
ける膜厚は中央部及び端部共に8μm程度であり、エッ
ジカール量は、1倍程度でエッジカールの無い配線パタ
ーン20を形成することができた。
【0102】このように、下層に導電性ペーストを使用
し、成膜工程と露光工程を複数回実施したのち現像工程
まで実施し、上層に絶縁性ペーストを使用し成膜工程と
露光工程を複数回実施したのち現像工程まで実施した状
態にて、一括して焼成工程以降を進めることにより、配
線パターン20のエッジカールをほぼ0にすることがで
きた。このため、配線両脇空間(配線の幅方向下部の基
板側空間)を無くすことが出来た。
【0103】このように配線パターン20のエッジカー
ルをほぼ0にしたため、マトリクス配線に本実施例の製
造方法を適用した場合、絶縁層内に泡の発生がなくなっ
た。
【0104】また、その上にさらに上層配線を形成して
も、絶縁層の絶縁性が良好であり、ショートとなる欠陥
は非常に少なくなった。
【0105】また、エッジカールが少ないために、後工
程で積層する絶縁層の膜厚を増やすことなく十分な絶縁
性をもつ絶縁層が形成できた。
【0106】また、導電性ペーストを複数層積層するた
めに、導電層の膜厚を上げ配線抵抗を少なくすることも
可能であった。
【0107】さらにまた、絶縁層上に上層配線を形成す
る際にも、エッジカールが無いために、絶縁層の膜厚を
少なくすることが出来、上層配線の段切れなどが生じる
こともなく、加えて、上層に行くほどそれぞれの積層パ
ターンが、狭くなるために、上層配線の段切れが、より
生じにくくなった。
【0108】さらにまた、本実施例で製造した配線を画
像形成装置の引き出し配線として装置内部と装置外部を
遮断する気密シール部分に使用した場合にも、配線両脇
空間が無いため気密性を保つことが可能になり、加え
て、上層に行くほどそれぞれの積層パターンが、狭くな
るために、気密シールのためのシール剤の使用にあたっ
て、シール剤がシール部になじみやすく、気密の信頼性
がよりアップした。
【0109】(実施例4)本実施例では、実施例3で使
用した基板であるソーダ石灰ガラスに代えて、PD20
0ガラスを基板11に使用した例を示す。PD200ガ
ラスはソーダ石灰ガラスに対して主にNa成分を減らし
たガラスで画像形成装置であるプラズマディスプレイに
よく使用されている。基板の熱膨張係数等はほぼ同等で
あるために、実施例3で使用したペーストと同じ物を使
用し、実施例3と同様の方法で配線を作製した。さら
に、完成した配線基板を平板状画像形成装置の基板とし
て用いた。
【0110】本実施例のようなPD200ガラス基板上
に配線を作製したところ、実施例3と同様、配線パター
ン20のエッジカールをほぼ0にすることができた。こ
のため、配線両脇空間(配線の幅方向下部の基板側空
間)を無くすことが出来た。
【0111】このように配線パターン20のエッジカー
ルをほぼ0にしたため、マトリクス配線に本実施例の製
造方法を適用した場合、絶縁層内に泡の発生がなくなっ
た。
【0112】また、その上にさらに上層配線を形成して
も、絶縁層の絶縁性が良好であり、ショートとなる欠陥
は非常に少なくなった。
【0113】また、エッジカールが少ないために、後工
程で積層する絶縁層の膜厚を増やすことなく十分な絶縁
性をもつ絶縁層が形成できた。
【0114】また、導電性ペーストを複数層積層するた
めに、導電層の膜厚を上げ配線抵抗を少なくすることも
可能であった。
【0115】また、絶縁層上に上層配線を形成する際に
も、エッジカールが無いために、絶縁層の膜厚を少なく
することが出来、上層配線の段切れなどが生じることも
なく、加えて、上層に行くほどそれぞれの積層パターン
が、狭くなるために、上層配線の段切れが、より生じに
くくなった。
【0116】また、本実施例で製造した配線を画像形成
装置の引き出し配線として装置内部と装置外部を遮断す
る気密シール部分に使用した場合にも、配線両脇空間が
無いため気密性を保つことが可能になり、加えて、上層
に行くほどそれぞれの積層パターンが、狭くなるため
に、気密シールのためのシール剤の使用にあたって、シ
ール剤がシール部になじみやすく、気密の信頼性がより
アップした。
【0117】さらにまた、PD200ガラス基板上にも
ソーダ石灰ガラスと同等の工程で良好な配線を作製でき
ることがわかった。
【0118】(実施例5)本実施例では、実施例3で使
用した基板であるソーダ石灰ガラスに代えて、無アルカ
リガラスを基板11に使用した例を示す。無アルカリガ
ラスはソーダ石灰ガラスやPD200ガラスに対してア
ルカリ分が非常に少なくこのため熱膨張係数はおおよそ
半分程度(30〜50×10-7/K前後)のガラスであ
る。このため、ガラスペーストも熱膨張係数を基板に可
能な限り近づけたペーストを使用し、実施例3と同様の
方法で配線を作製した。さらに、完成した配線基板を平
板状画像形成装置の基板として用いた。
【0119】本実施例のような無アルカリガラス基板上
に配線を作製したところ、実施例3と同様、配線パター
ン20のエッジカールをほぼ0にすることができた。こ
のため、配線両脇空間(配線の幅方向下部の基板側空
間)を無くすことが出来た。
【0120】このように配線パターン20のエッジカー
ルをほぼ0にしたため、マトリクス配線に本実施例の製
造方法を適用した場合、絶縁層内に泡の発生がなくなっ
た。
【0121】また、その上にさらに上層配線を形成して
も、絶縁層の絶縁性が良好であり、ショートとなる欠陥
は非常に少なくなった。
【0122】また、エッジカールが少ないために、後工
程で積層する絶縁層の膜厚を増やすことなく十分な絶縁
性をもつ絶縁層が形成できた。
【0123】また、導電性ペーストを複数層積層するた
めに、導電層の膜厚を上げ配線抵抗を少なくすることも
可能であった。
【0124】また、絶縁層上に上層配線を形成する際に
も、エッジカールが無いために、絶縁層の膜厚を少なく
することが出来、上層配線の段切れなどが生じることも
なく、加えて、上層に行くほどそれぞれの積層パターン
が、狭くなるために、上層配線の段切れが、より生じに
くくなった。
【0125】また、本実施例で製造した配線を画像形成
装置の引き出し配線として装置内部と装置外部を遮断す
る気密シール部分に使用した場合にも、配線両脇空間が
無いため気密性を保つことが可能になり、加えて、上層
に行くほどそれぞれの積層パターンが、狭くなるため
に、気密シールのためのシール剤の使用にあたって、シ
ール剤がシール部になじみやすく、気密の信頼性がより
アップした。
【0126】さらにまた、無アルカリガラス基板上にも
ソーダ石灰ガラスやPD200ガラスと同等の工程で良
好な配線を作製できることがわかった。
【0127】(実施例6)本実施例では、実施例2の配
線の製造方法を用いて電子源及び画像形成装置を形成し
た。
【0128】先ず、図2、図4〜図10を用いて本実施
例の電子源の製造方法を説明する。
【0129】(工程1)スパッタ法によりソーダ石灰ガ
ラスの表面にSiO2を0.5μmの厚みで形成したリ
アプレートである基板11を用意した。
【0130】(工程2)SiO2を形成した面上に、一
対の電極2,3をX方向に1000組、Y方向に500
0組形成した(図4)。なお、図4では説明を簡単にす
るため、X方向に3組、Y方向に3組の合計9組の電極
2,3を示している。
【0131】本実施例では、電極2,3の材料としてP
tを用いた。また、電極2,3は、フォトリソグラフィ
法を用いて形成した。電極2と電極3との間隔を20μ
mとした。
【0132】(工程3)電極2,3を形成したリアプレ
ートの基板11上全面に導電性の感光性ペーストを実施
例2と同様にして塗付し、感光性ペーストからなる層1
2を形成した(図2(a)参照)。
【0133】なお、本実施例で用いた感光性ペーストと
しては、実施例2で用いたものと同様で、導電性材料と
してAg粒子と、紫外線に反応して硬化する感光性有機
材料であるアクリル系樹脂と、そのほかに、ガラスフィ
ラ等を加えたものを用いた。
【0134】(工程4)その後、感光性ペーストからな
る層12を乾燥させ、ストライプ状の開口を複数持つ不
図示の遮光マスクを用いて、乾燥させた層12に紫外線
の露光光を照射(露光)した(図2(b)参照)。
【0135】(工程5)次に、露光領域15と未露光領
域とを有する層12上に、前記工程3で用いた感光性ペ
ーストをさらに塗付し、感光性ペーストからなる層16
を形成した(図2(c)参照)。
【0136】(工程6)その後、層16を乾燥させ、前
記工程4で用いたストライプ状の開口を複数持つ遮光マ
スクを用いて、乾燥させた層16に紫外線の露光光を照
射(露光)した(図2(d)参照)。なお、この工程6
では、層16の露光した領域18が前記工程4で露光し
た領域15と実質的に重なるように露光を行なった。
【0137】(工程7)続いて、弱アルカリ性の溶液に
てリアプレートの基板11を洗浄することで、層12及
び層16の未露光部を一括して除去(現像)し、図5の
ような導電層パターン19及び19’を形成した(図2
(e)参照)。
【0138】(工程8)さらに、導電層パターン19及
び19’を形成したリアプレートの基板11上全面に絶
縁性の感光性ペーストを実施例2と同様にして塗付し、
絶縁性の感光性ペーストからなる層32を形成した(図
2(f)参照)。
【0139】なお、本実施例で用いた感光性ペーストと
しては、実施例2で用いたものと同様で、絶縁性材料と
してガラス系及び金属酸化物の粒子と、紫外線に反応し
て硬化する感光性有機材料であるアクリル系樹脂と、そ
のほかに、溶剤や添加剤等を加えたものを用いた。
【0140】(工程9)その後、感光性ペーストからな
る層32を乾燥させ、所望の開口を複数持つ不図示の遮
光マスクを用いて、乾燥させた層32に紫外線の露光光
を照射(露光)した(図2(g)参照)。このとき、露
光パターンは図6のように、後の工程で形成する行方向
配線と既に形成した列方向配線(導電層パターン19)
との各交差部に絶縁層パターン39が形成されるよう
に、また、各導電層パターン19’を横切る絶縁層パタ
ーン39’が形成されるようにした。
【0141】(工程10)次に、露光領域35と未露光
領域とを有する層32上に、前記工程8で用いた感光性
ペーストをさらに塗付し、感光性ペーストからなる層3
6を形成した(図2(h)参照)。
【0142】(工程11)その後、層36を乾燥させ、
前記工程9で用いた所望の開口を複数持つ遮光マスクを
用いて、乾燥させた第2層36に紫外線の露光光を照射
(露光)した(図2(i)参照)。このとき、層36の
露光した領域38が前記工程9で露光した領域35と実
質的に重なるように露光を行った。
【0143】(工程12)続いて、弱アルカリ性の溶液
にてリアプレートの基板11を洗浄することで、層32
及び層36の未露光部を一括して除去(現像)し、図6
のような絶縁層パターン39及び39’を形成した(図
2(j))。
【0144】(工程13)さらに、リアプレートの基板
11を焼成することで、図2(k)に示す配線パターン
20として、幅50μmの列方向配線6を180μmピ
ッチで5000本形成し(図7)、図2(k)に示す絶
縁パターン40として、列方向配線6と後工程にて形成
される行方向配線4とのクロス部に絶縁層5を形成した
(図7)。なお、図7において、6’は後工程で形成さ
れる行方向配線4に接続される引き出し配線部であり、
5’は気密シール部に相当する部分に形成された絶縁層
である。この工程により、電極3と列方向配線6とが接
続された。
【0145】(工程14)スクリーン印刷法を用いて、
Ag粒子とガラスバインダと樹脂とを含むペーストをラ
イン状のパターンで塗布し、焼成して行方向配線4を1
000本形成した(図8)。この工程で、電極2と行方
向配線4とが接続され、行方向配線4と引き出し配線部
6’も接続された。なお、行方向配線4は幅が150μ
mであり、間隔ピッチが500μmとなるように形成し
た。
【0146】(工程15)次に、Pdを含有する水溶液
を、全ての電極2と電極3とのギャップ部に付与した。
そして、350℃の大気中で焼成することで、PdOか
らなる電子放出用導電性膜7を形成した(図9)。
【0147】本実施の形態では、上記インクの付与に、
インクジェット法の一つであるピエゾ方式のインクジェ
ット装置を用いた。本実施の形態では、Pdを含有する
インクとして、有機Pd化合物:0.15%、イソプロ
ピルアルコール:15%、エチレングリコール:1%、
ポリビニルアルコール:0.05%の水溶液を用いた。
【0148】以上の工程により、フォーミング前の電子
源基板(リアプレート)を形成した。
【0149】(工程16)前述の工程で作成したフォー
ミング前の電子源基板を真空チャンバ内に配置し、チャ
ンバ内を10-4Paまで排気後、水素を導入した状態
で、各列方向配線6は0Vとし、行方向配線4にパルス
状の電圧を順次印加する「フォーミング工程」を行っ
た。この工程により、各電子放出用導電性膜7に電流を
流し、各電子放出用導電性膜7の一部に間隙を形成し
た。
【0150】なお、フォーミング工程では、5Vの定電
圧パルスを繰り返し印加した。電圧波形のパルス幅とパ
ルス間隔はそれぞれ1msec、10msecとした三
角波とした。通電フォーミング処理の終了は、電子放出
用導電性膜7の抵抗値が1MΩ以上とした。
【0151】(工程17)フォーミング工程を終えた素
子に活性化工程と呼ばれる処理を施した。具体的には、
フォーミング後の電子源基板が配置された真空チャンバ
内を10-6Paまで排気後、ベンゾニトリルを1.3×
10-4Pa導入し、各列方向配線6を0Vとし、行方向
配線4にパルス状の電圧を順次繰り返し印加する「活性
化工程」を行った。この工程により、フォーミング工程
で形成した電子放出用導電性膜7の間隙の内側及び間隙
近傍の膜上にカーボン膜を形成し、電子放出部8を形成
した(図10)。
【0152】なお、活性化工程では、各素子にパルス波
高値15V、パルス幅1msecパルス間隔10mse
cとした矩形波のパルス電圧を印加した。
【0153】以上の工程により、図10に示す電子放出
素子74が複数配置された電子源(リアプレート)の基
板11を作成した。
【0154】この電子源基板の電気特性の評価を行なっ
たところ、列方向配線6と行方向配線4との絶縁性が十
分確保されていた。
【0155】次に、以上のようにして作成した電子源
(基板11)を用いて図11に示すような画像形成装置
を製造した。同図において、82は外枠、86は画像形
成部材84が配置されたフェースプレートである。
【0156】以下、本実施例の画像形成装置の製造方法
を説明する。
【0157】(工程18)まず、リアプレートの基板1
1と同一の材料からなるフェースプレート基板83を十
分に洗浄・乾燥させた。その後、ホトリソグラフィ法を
用いて、黒色部材を、基板83上に形成した。ここで、
黒色部材は、各色蛍光体が配置される部分に対応して開
口を有する様に格子状に形成した。黒色部材のY方向の
ピッチは、列方向配線6のピッチと同じであり、また、
X方向のピッチは行方向配線4のピッチと同じになるよ
うに形成した。
【0158】(工程19)黒色部材の開口部に赤、青、
緑の各色蛍光体を、スクリーン印刷法を用いて形成し
た。
【0159】(工程20)さらに、黒色部材及び蛍光体
上に、フィルミング層を形成する。フィルミング層の材
料としては、ポリメタクリレート系の樹脂を有機溶剤に
溶解させたものをスクリーン印刷法で塗布し、乾燥させ
た。
【0160】(工程21)次に、フィルミング層上にA
lを蒸着法により形成した。
【0161】(工程22)その後、基板83を加熱する
ことで、蛍光体ペースト内に含まれていた樹脂及びフィ
ルミング層を除去し、蛍光体と黒色部材からなる蛍光体
層である画像形成部材84と、Alからなるメタルバッ
ク85が基板83上に形成されたフェースプレート86
を得た。
【0162】(工程23)以上の工程により形成された
リアプレートの基板11とフェースプレート86との間
に、表面に高抵抗な膜を有するスペーサ(不図示)及
び、気密シール部分に接合部材を予め設けた外枠82を
配置した。
【0163】(工程24)そして、フェースプレート8
6とリアプレートの基板11との位置合わせを十分に行
った状態で、真空中で加熱及び加圧することで、接合部
材を軟化させて各部材を接合した。この封着工程によ
り、内部が高真空に維持された画像形成装置としての図
11に示した外囲器(表示パネル)88を得た。
【0164】なお、スペーサの表面に設けた高抵抗膜
は、スペーサ表面に電子が照射される等して、スペーサ
表面に蓄積される電荷を、行方向配線4、あるいはメタ
ルバック85に逃がすためである。
【0165】また、スペーサを行方向配線(走査信号が
印加される配線)4と当接させるのは、電子放出素子7
4から放出される電子ビームの軌道を遮らないようにす
るためである。また、さらには、スペーサとのアライメ
ントを行う際の容易さからである。
【0166】以上のようにして得られた表示パネル88
の内部から導出された取り出し配線部に、フレキを介し
て駆動回路を接続し、線順次走査により動画を表示し
た。なお、本実施例では、配線の断面積が広い行方向配
線4に走査信号を印加し、列方向配線6には変調信号を
印加した。
【0167】このようにして表示パネル88で動画を表
示したところ、非常に高精細で、高輝度な画像が長時間
に渡って得られた。また、フレキを行方向配線4及び列
方向配線6の取り出し部に接続しても配線の欠けなどを
生じなかった。また、放電現象が原因と見られる画素欠
陥も生じなかった。
【0168】なお、表示パネル88は、図15に示す従
来技術のように、基板11と別に基板11を固定するリ
アプレートの基板81を用いる構成であってもよい。
【0169】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の配線の製
造方法によれば、絶縁層を形成した部分においてエッジ
カールのほとんどない配線を作製することが可能となっ
た。このため、本発明の製造方法で形成した配線を用い
た回路基板及び電子源では、絶縁層への泡の内包要因が
なくなるため、結果として絶縁性能が向上して性能を満
足する様々な用途に使える回路基板及び電子源が実現さ
れる。
【0170】また、本発明の製造方法で形成した配線を
用いた画像形成装置では、従来のようにエッジカールの
高さ分、余分に絶縁層を積層する必要がなく、絶縁層の
膜厚を低く押さえることができることや、配線の両脇空
間がなくなるために、気密性シール部分での気密を保つ
ことができることなど、結果として画像形成装置の性能
が向上して性能を満足する様々な用途に使える画像形成
装置が実現される。
【0171】このため、電子放出素子を備えた大画面で
平板型の画像形成装置においても、ショート欠陥の減
少、気密不良の低減、層構成膜厚の低減、段差部の導通
不良等が原因と見られる各種欠陥も生じず、高性能で信
頼性の高い画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る配線の製造方法を示す
工程図である。
【図2】本発明の実施例2に係る配線の製造方法を示す
工程図である。
【図3】本発明の実施例3に係る配線の製造方法を示す
工程図である。
【図4】本発明の実施例6に係る電子源の製造方法を示
す工程図である。
【図5】本発明の実施例6に係る電子源の製造方法を示
す工程図である。
【図6】本発明の実施例6に係る電子源の製造方法を示
す工程図である。
【図7】本発明の実施例6に係る電子源の製造方法を示
す工程図である。
【図8】本発明の実施例6に係る電子源の製造方法を示
す工程図である。
【図9】本発明の実施例6に係る電子源の製造方法を示
す工程図である。
【図10】本発明の実施例6に係る電子源の製造方法を
示す工程図である。
【図11】本発明の実施例6に係る画像形成装置を示す
概略構成図である。
【図12】表面伝導型電子放出素子の一例を示す模式図
である。
【図13】従来の画像形成装置を示す概略構成図であ
る。
【図14】従来技術の配線の製造方法を示す工程図であ
る。
【符号の説明】
2,3 電極 4 行方向配線 5 絶縁層 6 列方向配線 7 電子放出用導電性膜 8 電子放出部 11 基板(電子源) 12,16,32、36 層 13,33 マスク 14,17 露光光 15,18,35,38 潜像 19 導電層パターン 39 絶縁層パターン 20 配線パターン 40 絶縁パターン 74 電子放出素子 81 基板 82 外枠 83 フェースプレート基板 84 画像形成部材 85 メタルバック 86 フェースプレート 88 表示パネル(外囲器)
フロントページの続き Fターム(参考) 5C127 AA01 BA09 CC12 DD42 EE15 EE20 5E314 AA27 BB01 CC01 FF01 GG03 5E339 AB02 BD07 BE05 CE19 CF16 CF17 DD02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、パターニングされた第一の部
    材と、前記第一の部材上から基板上に渡ってパターニン
    グされた第二の部材とを備える部材パターンの製造方法
    であって、基板上に第一の感光性ペーストを付与する工
    程と、当該第一の感光性ペーストを露光し、現像して、
    前記第一の部材の前駆体パターンを形成する工程と、前
    記第一の部材の前駆体パターン上から基板上に渡って第
    二の感光性ペーストを付与する工程と、付与された前記
    第二の感光性ペーストを露光し、現像して、第二の部材
    の前駆体パターンを形成する工程と、前記第一及び第二
    の部材の前駆体パターンを焼成する工程とを有すること
    を特徴とする部材パターンの製造方法。
  2. 【請求項2】 感光性材料と導電性材料とを含有する感
    光性ペーストを用い1回もしくは複数回の成膜・露光工
    程を経た後、現像工程を実施して導電層パターンを形成
    する工程と、 感光性材料と絶縁性材料とを含有する感光性ペースト膜
    を用い1回もしくは複数回の成膜・露光工程を経た後、
    現像工程を実施して、少なくとも前記導電層パターン上
    の一部に絶縁層パターンを形成する工程と、 前記導電層パターン及び前記絶縁層パターンを焼成する
    焼成工程と、を有することを特徴とする配線の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記導電層パターンを形成する工程は、
    前記成膜・露光工程を複数回有し、該複数回の露光工程
    における各露光パターンを同一パターンとすることを特
    徴とする請求項2に記載の配線の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記導電層パターンを形成する工程は、
    前記成膜・露光工程を複数回有し、該複数回の露光工程
    における各露光パターンを異なるパターンとすることを
    特徴とする請求項2に記載の配線の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記絶縁層パターンを形成する工程は、
    前記成膜・露光工程を複数回有し、該複数回の露光工程
    における各露光パターンを同一パターンとすることを特
    徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の配線の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記絶縁層パターンを形成する工程は、
    前記成膜・露光工程を複数回有し、該複数回の露光工程
    における各露光パターンを異なるパターンとすることを
    特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の配線
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記導電性材料は主成分が金属であり、
    前記絶縁性材料は主成分がガラスであることを特徴とす
    る請求項2乃至6のいずれか一項に記載の配線の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記導電性材料は、導電性の粒子からな
    ることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記
    載の配線の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記焼成工程後の配線厚を5μm以上と
    することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に
    記載の配線の製造方法。
  10. 【請求項10】 配線を備えた回路基板の製造方法であ
    って、請求項2乃至9のいずれか一項に記載の製造方法
    によって前記配線を製造することを特徴とする回路基板
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 配線と、該配線に給電されて駆動する
    電子放出素子と、を備えた電子源の製造方法であって、
    請求項2乃至9のいずれか一項に記載の製造方法によっ
    て前記配線を製造することを特徴とする電子源の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 電子源と、該電子源から放出された電
    子によって画像を形成する画像形成部材と、を備えた画
    像形成装置の製造方法であって、請求項11に記載の製
    造方法によって前記電子源を製造することを特徴とする
    画像形成装置の製造方法。
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