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JP2003128906A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および光学用成形品 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および光学用成形品

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Publication number
JP2003128906A
JP2003128906A JP2001330629A JP2001330629A JP2003128906A JP 2003128906 A JP2003128906 A JP 2003128906A JP 2001330629 A JP2001330629 A JP 2001330629A JP 2001330629 A JP2001330629 A JP 2001330629A JP 2003128906 A JP2003128906 A JP 2003128906A
Authority
JP
Japan
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aromatic polycarbonate
polycarbonate resin
resin composition
polymer
component
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001330629A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukinori Ikeda
幸紀 池田
Hironobu Kato
広信 加藤
Kazuhiko Furuya
和彦 古屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性、機械的特性および熱安定性を維持し
つつ、複屈折率を低減し、光学特性と転写性に関してバ
ランスの取れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およ
びそれからの成形品を提供する。 【解決手段】 (A)二価フェノール成分が2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より
実質的になる芳香族ポリカーボネート(ポリマーA)
と、(B)二価フェノール成分が(b−1)1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン(成分b−1)および(b−2)4,
4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノ
ールおよび/または2,2−ビス(3−メチルー4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン(成分b−2)より実質的
になり、成分b−1:成分b−2の割合がモル比で9
9:1〜20:80である二価フェノール成分より構成
された芳香族ポリカーボネート共重合体(ポリマーB)
から実質的になり、ポリマーA:ポリマーBの割合が重
量で95:5〜75:25であることを特徴とする芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物および光学用成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物に関する。更に詳しくは光学特性、成
形性(殊に転写性)および機械的特性の良好な芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物ならびに透明かつ低い複屈折
率を有するそれからの成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン(以下“ビスフェノールA”と略称す
ることがある)にカーボネート前駆体物質を反応させて
得られるポリカーボネート樹脂は透明性、耐熱性、機械
的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニアリ
ングプラスチックとして多くの分野に使されている。特
に透明性に優れることから光学材料としての用途も多
い。しかしながら、かかるポリカーボネート樹脂はベン
ゼン環の光学異方性が大きく、従って成形品の複屈折率
が大きい欠点がある為、従来の透明性、耐熱性、機械的
特性、寸法安定性といった特性を維持しつつ、成形品の
複屈折率を改善した樹脂が求められている。
【0003】一方、特開平2−88634号公報には、
特定構造のジヒドロキシジフェニルアルカンおよびそれ
からの新規な芳香族ポリカーボネートについて記載され
ている。この公報に開示されている代表的例は、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサンを全二価フェノール成分の100
〜2モル%使用した芳香族ポリカーボネートである。具
体的には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを100〜30
モル%の割合で使用したホモ・またはコ・ポリカーボネ
ートが示され、コポリマーの場合の共重合成分として
は、ビスフェノールAが30、50、65、または70
モル%使用されている。上記公報には、得られた前記芳
香族ポリカーボネートは、従来のビスフェノールAから
のポリカーボネートの用途、例えば電器分野、被覆およ
び透明版ガラスの分野において使用され、高い耐熱性に
おいて優れていることが開示されている。しかしなが
ら、かかる芳香族ポリカーボネートは、溶融流動性が悪
く良好な成形品が得られ難い。
【0004】そこで、流動性を改善した例としては、特
開平8−293128号公報で示されているように、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサンと4,4’−(m−フェニ
レンジイソプロピリデン)ジフェノールおよび/または
2,2−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)
プロパンを二価フェノール成分とする共重合ポリカーボ
ネートとすることが考えられる。ところがこの共重合体
の溶融流動性は幾分改善されるものの、より高密度ディ
スク(例えばデジタル・バーサタイル・ディスク(DV
D))用基板を成形した場合、転写精度において必ずし
も十分満足すべきものではなかった。
【0005】また、特開2000−109669号公報
にて、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンと4,4’−(m−
フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールおよび/
または2,2−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンを二価フェノール成分とする共重合ポリ
カーボネート樹脂とビスフェノールAを二価フェノール
成分とするポリカーボネート樹脂が重量比で99.9:
0.1〜40:60の割合である芳香族ポリカーボネー
ト樹脂組成物について示されている。しかしながら、こ
の樹脂組成物を用いて、さらに高密度ディスク用基板
(DVDディスク用基板等)を成形した場合において
は、その転写性は充分とは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを二価フ
ェノール成分とするポリカーボネート樹脂において、成
形性、機械的特性および熱安定性を維持しつつ、複屈折
率を低減し、光学特性と転写性に関してバランスの取れ
た芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからの
成形品を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、光学用成形品、殊に
光ディスク基板の材料として、種々の優れた特性を具備
する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、前記本発明の目的は、(A)二価フェノール成分が
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成
分a)より実質的になる芳香族ポリカーボネート(ポリ
マーA)と、(B)二価フェノール成分が(b−1)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン(成分b−1)および(b
−2)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデ
ン)ジフェノールおよび/または2,2−ビス(3−メ
チルー4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分b−
2)より実質的になり、成分b−1:成分b−2の割合
がモル比で99:1〜20:80である二価フェノール
成分より構成された芳香族ポリカーボネート共重合体
(ポリマーB)から実質的になり、ポリマーA:ポリマ
ーBの割合が重量で95:5〜75:25であることを
特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物によって
達成される。
【0009】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0010】本発明の樹脂組成物は、実質的に前記ポリ
マーAおよびBより形成され、このポリマーA:ポリマ
ーBの割合は、重量で95:5〜75:25の範囲であ
り、90:10〜75:25の範囲が好ましく、85:
15〜75:25の範囲が最も好ましい。ポリマーBの
割合が5%未満の場合、光弾性定数、複屈折率の低減効
果が小さく光学特性に劣り、一方25%を越えるとポリ
マーAの有する良好な成形性を維持することが困難とな
り、殊に高密度の光ディスク用基板の成形において転写
性が劣り好ましくない。
【0011】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物において、ポリマーBにおける二価フェノール成分中
の成分b−1と成分b−2との割合がモル比で99:1
〜20:80の範囲であり、80:20〜20:80の
範囲が好ましく、80:20〜30:70の範囲がさら
に好ましい。成分b−1の割合が99モル%より多く、
成分b−2の割合が1モル%より少なくなると、得られ
た共重合体の溶融流動性が悪く成形不良を生じ、光学的
に良好な成形品が得られ難くなる。また成分b−1の割
合が20モル%より少なく、成分b−2の割合が80モ
ル%より多くなると、得られた共重合体の光弾性定数が
大きくなり、またガラス転移温度も低下する傾向にある
ので好ましくない。
【0012】本発明のポリマーAとしての芳香族ポリカ
ーボネート樹脂およびポリマーBとしての芳香族ポリカ
ーボネート共重合体は、それぞれ通常の芳香族ポリカー
ボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例え
ば二価フェノール成分にホスゲンや炭酸ジエステルなど
のカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造さ
れる。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡
単に説明する。
【0013】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0014】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重合法または溶融法によって反応させてポリカー
ボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触
媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用
してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の
多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネー
ト樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カル
ボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であ
ってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2
種以上を混合した混合物であってもよい。
【0015】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有
機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進
のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチル
アンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニ
ウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム
化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いるこ
ともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応
時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保
つのが好ましい。
【0016】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、
不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエ
ステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコール
またはフェノールを留出させる方法により行われる。反
応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等
により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。
反応後期には系を1.3×103〜1.3×10Pa程
度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留
出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度であ
る。
【0017】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート
などが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好
ましい。
【0018】また、溶融法において重合速度を速めるた
めに重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒とし
ては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価
フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金
属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化
マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチ
ルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウ
ムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン
等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類
金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金
属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アル
ミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物
類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物
類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合
物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反
応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることが
できる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み
合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、
原料の二価フェノール1モルに対し、1×10-8〜1×
10-3当量、好ましくは1×10-7〜1×10-3当量、
より好ましくは1×10-6〜5×10-4当量の範囲で選
ばれる。
【0019】芳香族ポリカーボネート樹脂(ポリマーA
およびポリマーB)は、その重合反応において、末端停
止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用す
ることができる。殊にカーボネート前駆物質としてホス
ゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端
停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、ま
た得られたポリマーは、末端が単官能フェノール類に基
づく基によって封鎖されているので、そうでないものと
比べて熱安定性に優れている。
【0020】かかる単官能フェノール類としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用される
ものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アル
キル置換フェノールであって、下記一般式で表される単
官能フェノール類を示すことができる。
【0021】
【化1】
【0022】[式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキ
ル基を示し、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数を示
す。]前記単官能フェノール類の具体例としては、例え
ばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−
クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げ
られる。
【0023】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基或いは脂肪族ポリエステル基を置換基
として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を
使用することができ、これらを用いて芳香族ポリカーボ
ネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止
剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂
の溶融流動性が改良され、成形加工が容易となるばかり
でなく、基板としての物性も改良される。特に樹脂の吸
水率を低くする効果があり、好ましく使用される。これ
らは下記一般式[I−a]〜[I−h]で表される。
【0024】
【化2】
【0025】[各式中、Xは−R−O−、−R−CO−
O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合
または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪
族炭化水素基を示し、Tは単結合または上記Xと同様の
結合を示し、nは10〜50の整数を示す。
【0026】Qはハロゲン原子または炭素数1〜10、
好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示し、p
は0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好ましく
は1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W1は水素
原子、−CO−R13、−CO−O−R14またはR15であ
る、ここでR13、R14およびR15は、それぞれ炭素数1
〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、
炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水
素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価
の芳香族炭化水素基を示す。
【0027】lは4〜20、好ましくは5〜10の整数
を示し、mは1〜100、好ましくは3〜60、特に好
ましくは4〜50の整数を示し、Zは単結合または炭素
数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素
基を示し、W2は水素原子、炭素数1〜10、好ましく
は1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好
ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数
6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素
基を示す。] これらのうち好ましいのは、[I−a]および[I−
b]の置換フェノール類である。この[I−a]の置換
フェノール類としては、nが10〜30、特に10〜2
6のものが好ましく、その具体例としては、例えばデシ
ルフェノール、ドデシルフェノール、テトラテトデシル
フェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフ
ェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール
およびトリアコンチルフェノールなどを挙げることがで
きる。
【0028】また、[I−b]の置換フェノール類とし
てはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化
合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26の
ものが好適であって、その具体例としては、例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0029】前記一般式[I−a]〜[I−g]で示さ
れる置換フェノール類または置換安息香酸クロライドに
おいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ま
しく、その両者の混合物が好ましい。
【0030】前記単官能フェノール類は、得られた芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物の全末端に対して少なく
とも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に
導入されることが望ましく、また単官能フェノール類は
単独でもしくは2種以上混合して使用してもよい。
【0031】また、本発明のポリマーBとしての芳香族
ポリカーボネート共重合体において、成分b−1の1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサンが、全二価フェノール成分の80
モル%以上である場合は、樹脂の流動性が低下すること
があり、そのため前記一般式[I−a]〜[I−g]で
示される置換フェノール類または置換安息香酸クロライ
ド類を末端停止剤として使用することが好ましい。
【0032】本発明の組成物の調整において、ポリマー
AとポリマーBとの混合は、ポリマー溶液、粉粒体、ペ
レット等の成形品の段階が考えられるが、特に規制する
ものではない。また混合の方法については、ポリマー溶
液の段階では、例えば、攪拌機付き容器が主として考え
られ、また、粉粒体、ペレット等の成形品の段階では、
例えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサ
ー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機などで混
合する方法が用いられる。いずれの場合も任意の方法で
使用され、特に規制はないが、混合操作中の異物混入に
対する除去方法の簡便さからポリマー溶液状態での混合
後、任意の目開きのフィルターを通過させるという方法
が好ましい。
【0033】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物はそのポリマー0.7gを100mlの塩化メチレン
に溶解し、20℃で測定した比粘度が0.2〜0.5のも
のが好ましく、0.25〜0.4の範囲のものがより好ま
しい。比粘度が0.2未満では成形品が脆くなり、0.5
より高くなると溶融流動性が悪く、成形不良を生じ、光
学的に良好な成形品が得られ難くなる。
【0034】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、オリゴマー含量が10%以下であることが好まし
く、7%以下がより好ましく、特に5%以下が好まし
い。このオリゴマー含量の値は下記方法およびカラムを
使用して測定された値である。すなわち、東ソー(株)
製、TSKgelG2000HXLとG3000HXL
カラム各1本づつ直列に繋いで溶離液としてクロロホル
ムを用い、流量0.7ml/分で安定化した後、該芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物のクロロホルム溶液を注
入する方法で測定したGPCチャートのリテンションタ
イムが23分以降のオリゴマーピーク面積の合計の全ピ
ーク面積に対する割合がオリゴマー含量であり、この値
が10%以下であることが好ましく、7%以下であるこ
とがより好ましい。オリゴマー含量が7%、殊に10%
を越えると、成形時に金型表面を汚染することがあるの
で望ましくなく、その汚染はオリゴマー含量が多くなる
程顕著になる傾向がある。一方、オリゴマーは芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物の製造過程で生じるものであ
り、完全に零(0)にすることはできない。
【0035】オリゴマーは、前記した含量以下であれば
よく、その値を満足する限り、少割合含有されていても
差支えない。0.1%以上、より好ましくは0.15%以
上の少割合の含量でオリゴマーが存在すると、それ以下
のものと比べて溶融流動性が向上する。そのため、特に
好ましくはオリゴマー含量は0.15〜4%の範囲であ
る。
【0036】芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中のオ
リゴマー含量を前記範囲に制御するには、大量のオリゴ
マーが共重合体中に含まれないように重合を充分に完結
することが必要であり、また触媒および重合条件を適宣
選択することが要求される。もしオリゴマー含量が前記
範囲を越えている場合には、例えばオリゴマーを抽出な
どの手段により除去する処置が採用される。この抽出は
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の溶液(例えば塩化
メチレン溶液)を、その共重合体の貧溶剤または非溶剤
(例えばアセトンまたはメタノール)中に滴下する方
法、或いはその組成物を貧溶媒または非溶媒に浸漬し
て、オリゴマーを抽出する方法などの手段によって実施
することができる。
【0037】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、光学的材料、殊に光ディスク基板として好適に使
用されるため、その中に未溶解粒子が或る一定量以上存
在しないことが望ましい。
【0038】すなわち、かかる芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物は、その20gを塩化メチレン1Lに溶解し
た溶液をハイアックロイコ社製液体パーティクルカウン
ターモデル4100を用いたレーザーセンサー法にて、
散乱光をラテックス粒子の散乱光に換算する方法で求め
た径0.5μm以上の未溶解粒子が、該芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物1g当り25,000個以下、且つ
1μm以上の未溶解粒子が500個以下であることが好
ましい。0.5μm以上の未溶解粒子が25,000個を
超えるか、または1μm以上の未溶解粒子が500個を
超えると光ディスクに書き込まれた情報ピットに悪影響
を及ぼしエラーレートが大きくなるので好ましくない。
さらに好ましくは、0.5μm以上の未溶解粒子が20,
000個以下、且つ1μm以上の未溶解粒子が200個
以下である。また、10μm以上の未溶解粒子は実質的
に存在すべきでない。また5μm以上の未溶解粒子は3
0個/g以下であるのが好ましい。
【0039】芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中にお
ける未溶解粒子の量を前記範囲とするためには、重合過
程および造粒過程において、未溶解粒子が混入しないか
或いは除去し得る手段を採用すべきである。
【0040】そのような手段としては、例えば操作をク
リーンルームで行うこと、未溶解粒子の除去装置の付い
た造粒装置を使用すること(具体的例としては、軸受け
部に異物取り出し口を有する隔離室を設けたニーダーな
ど)或いは摺動部分に樹脂粒子が触れない構造の装置
(例えばスプレードライヤー形式の造粒機)で造粒する
ことなどがある。
【0041】また、未溶解粒子を除去する他の手段とし
て、樹脂の溶液を目開きの小さいフィルター(0.5〜
1μm)によりろ過する方法或いは樹脂を溶融して後、
金属フィルター(10〜40μm)により固体粒子を除
去する方法などが採用される。
【0042】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、その光弾性定数の値が78×10-122/N以
下、好ましくは75×10-122/N以下のものが有利
に利用される。光弾性定数の値が前記値よりも大きい場
合、光学用材料、殊に光ディスクとして適さなくなる。
【0043】芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、そ
のガラス転移点が120℃以上が好ましく、130℃以
上がより好ましく、135℃以上がさらに好ましい。ガ
ラス転移点が低くなると光学用材料、殊にディスク基板
としての耐熱性が不足する。
【0044】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、カーボネート前駆物質としてホスゲンを使用し、
また溶媒として塩化メチレンなどの塩素系溶媒を使用し
た場合、塩素が少なからず残存している。この塩素の含
有量が多いと成形金型が腐食したり、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物の熱安定性が低下したり、また光ディ
スク基板として用いた場合、その金属膜の腐食が起こっ
たりするので望ましくない。従って、塩素の含量は10
ppm以下、好ましくは7ppm以下、特に好ましくは
5ppm以下であるのが推奨される。ここで云う塩素含
量とは、芳香族ポリカーボネート共重合体を三菱化学製
全有機ハロゲン分析装置TOX10型を用いて燃焼法に
より測定された値を意味するものとする。
【0045】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、溶融成形における流動性に優れかつ成形条件の大
幅な制限が改善されている。従って成形条件にその巾が
広くなるので成形の操作が容易となる。すなわち、本発
明の樹脂組成物は溶融時(260℃)における流動性
(MFR値)が20〜45g/10min、好ましくは
23〜35g/10minであって、流動特性に優れて
いる。
【0046】本発明で使用するポリカーボネート樹脂組
成物は、ASTM D−0570によって測定した吸水
率が0.2重量%以下であることが好ましく、0.18
量%以下であることがより好ましい。吸水率が0.2重
量%を超えると、本発明のポリカーボネート共重合体よ
り成形される光ディスク基板の表面上に金属膜を形成さ
せた光ディスクが吸水によって反りを生じ易くなり、ト
ラッキングエラーを起こし易くなるので好ましくない。
【0047】さらに本発明の樹脂組成物から形成された
成形品、殊に光ディスク基板は、優れた光学特性値を有
している。すなわち、本発明の樹脂組成物は光弾性定数
が50×10-122/N〜78×10-122/N、好適
には55×10-122/N〜75×10-122/Nの範
囲である。
【0048】また、シリンダー設定温度380℃、金型
温度130℃、冷却時間10秒にて直径120mm、厚
さ0.6mmのディスクを成形した場合の半径50mm
部分における垂直複屈折率とディスク半径方向に対して
垂直になるような斜め入射(30度)複屈折率の差の絶
対値(ΔR)が25〜40nm、好適には27〜35n
mの範囲であって、光ディスク基板としての目的に優れ
た特性を有している。
【0049】本発明において、前記芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物に、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜
ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択
された少なくとも1種のリン化合物が、その共重合体に
対して0.0001〜0.05重量%の割合で配合するこ
とができる。このリン化合物を配合することにより、か
かる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性が向
上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止
される。
【0050】かかるリン化合物としては、リン酸、亜リ
ン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステ
ルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合
物であり、好ましくは下記一般式(1)〜(4)よりな
る群から選択された少なくとも1種のリン化合物であ
る。
【0051】
【化3】
【0052】ここで、R1〜R12は、それぞれ独立し
て、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、
ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1
〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなど
の炭素数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネ
チルなどの炭素数7〜18のアラルキル基を表してい
る。また1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する
場合は、その2つのアルキル基は互いに結合して環を形
成していてもよい。
【0053】上記(1)式で示されるリン化合物として
は、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフ
ェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホス
ファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオク
チルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフ
ェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイ
ト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチル
ジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t
ert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペ
ンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペン
タエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、上記
(2)式で示されるリン化合物としては、例えばトリブ
チルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェ
ニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニ
ルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェ
ート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフ
ェートなどが挙げられ、上記(3)式で示されるリン化
合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトな
どが挙げられ、また上記(4)式で示される化合物とし
ては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン
酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げ
れる。なかでも、ジステアリルペンタエリスリトールジ
ホスファイト、トリエチルホスフェート、ベンゼンホス
ホン酸ジメチルが好ましく使用される。
【0054】かかるリン化合物の配合量は、該芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物に対して0.0001〜0.0
5重量%であり、0.0005〜0.02重量%が好まし
く、0.001〜0.01重量%が特に好ましい。配合量
が0.0001重量%未満では上記効果が得られ難く、
0.05重量%を超えると、逆に該芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物の熱安定性に悪影響を与え、また耐加水
分解性も低下するので好ましくない。
【0055】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添
加することができる。その例としてはフェノール系酸化
防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレ
ングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、
トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−
ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]
エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,
5)ウンデカンなどが挙げられる。これら酸化防止剤の
好ましい添加量の範囲は芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物に対して、0.0001〜0.05重量%である。
【0056】さらに本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物には、必要に応じて一価または多価アルコール
の高級脂肪酸エステルを加えることもできる。この一価
または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを配合する
ことにより、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の
成形時の金型からの離型性が改良され、ディスク基板の
成形においては、離型荷重が少なく離型不良によるディ
スク基板の変形、ピットずれを防止できる。また、芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物の溶融流動性が改善され
る利点もある。
【0057】かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素
原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子
数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エ
ステルであるのが好ましい。
【0058】また、かかる一価または多価アルコールと
飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとして
は、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソ
ルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリス
リトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテト
ラステアレート、プロピレングリコールモノステアレー
ト、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテー
ト、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロ
ピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートな
どが挙げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリ
ド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好まし
く用いられる。
【0059】かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステ
ルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に
対して0.01〜2重量%であり、0.015〜0.5重
量%が好ましく、0.02〜0.2重量%がより好まし
い。配合量が0.01重量%未満では上記効果が得られ
ず、2重量%を越えると金型表面の汚れの原因ともな
る。
【0060】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤な
どの添加剤を透明性を損なわない範囲で加えることがで
きる。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を上
記添加剤を混合するには、任意の方法で行うことができ
る。例えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキ
サー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機などで
混合する方法が適宜用いられる。この芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物は、例えば射出成形法、圧縮成形法、
押出成形法、溶液キャスティング法など任意の方法によ
り成形される。
【0061】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、成形性および熱安定性に優れているので種々の成
形品として利用することができる。殊に光学ディスク、
光学レンズ、液晶パネル、光カード、シート、フィル
ム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射
鏡、ディスプレーなどの光学部品の構造材料または機能
材料用途に適した光学用成形品として有利に使用するこ
とができる。これらのうち、光ディスク基板として特に
有利に使用することができる。
【0062】本発明の光ディスク基板は、その片面に金
属薄膜を形成させることにより光ディスクが得られる。
この金属としては、アルミニウム、Tb、Fe、Co、
Gd、SiN、ZnS−SiO2、GeSbTe、Zn
Sおよびアルミニウム合金等があり、アルミニウムが適
している。また薄膜は、スパッタリング、蒸着等の手段
で形成させることができる。これらの金属薄膜の形成手
段は、それ自体知られた方法で行うことができる。
【0063】本発明の光ディスクとしては、オーディオ
用のコンパクトディスク(直径12cmのディスク当り
約650MBの記録密度)から高密度のディスクまでを
対象とする。例えば、最近再生専用では容量4.7GB
のDVD−ROM、記録再生可能なDVD−R、DVD
−RW、DVD−RAMにおいても容量4.7GBが実
現されつつある。また、MOディスクでは5.25”サ
イズでは両面で5.2GB、3.5”では片面で1.3G
Bの光学情報記録媒体が上市されているが、デジタル高
画質放送などに対応する直径12cmのディスクに換算
して片面約6.5GB以上、殊に10GB以上の高密度
光学記録媒体が要望され、本発明の光ディスク基板はこ
れらのものにも十分に適応できる特性を有する。
【0064】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお実施例中の部は重量部である。なお、評価は下
記の方法によった。
【0065】(1)比粘度 ポリマー0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し
20℃の温度で測定した。
【0066】(2)ガラス転移点(Tg) ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)社製
2910型DSCを使用し、昇温速度10℃/minに
て測定した。
【0067】(3)流動性(MFR) JIS K−7210に準拠して、東洋精機製セミオー
トメルトインデクサーを用いて、260℃、荷重2.1
6kgで10分間に流出したポリマー量(g)で示し
た。
【0068】(4)オリゴマー含量 東ソー製GPCカラムTSKgelG2000HXLと
TSKgelG3000HXLを用い、溶離液としてク
ロロホルムを流量0.7ml/分で流しながら試料50
mgをクロロホルム5mlに溶解した溶液を20μl注
入する方法で求めたGPCチャートのリテンションタイ
ムが23分以降のオリゴマー成分のピーク面積の全ピー
ク面積に対する割合を%で示した。
【0069】(5)塩化メチレン未溶解粒子 該芳香族ポリカーボネート樹脂20gを塩化メチレン1
Lに溶解した溶液をハイアックロイコ社製液体パーティ
クルカウンターモデル4100を用いたレーザーセンサ
ー法にて散乱光をラテックス粒子の散乱光に換算する方
法で求めた。
【0070】(6)全光線透過率およびヘーズ ASTM D−1003に準拠して日本精密工業(株)
SEP−H−2を用いて測定した。(ヘーズ=散乱光線
透過率/全光線透過率×100(%))
【0071】(7)光弾性定数 理研計器(株)製の光弾性測定装置PA−150により
測定した。
【0072】(8)吸水率 ASTM D−0570に従い23℃、24時間水浸積
後の吸水率を測定した。
【0073】(9)ΔR値 射出成形機(名機製作所 M35−D−DM)とキャビ
ティ厚0.6mmt直径120mmの金型およびグルー
ブ深さ86nm、グルーブ幅0.76μmの溝が刻まれ
た15GB以上の容量を持つHD−DVD−RAM基板
用スタンパーを用いて、シリンダー設定温度380℃、
金型温度130℃、型締め力15トン、冷却時間10秒
でディスク基板を成形した。このディスク基板について
オ−ク製ADR200B自動複屈折測定装置を用い、デ
ィスクの中心から半径50mm部分における垂直入射複
屈折率とディスク半径方向に対して垂直になるような斜
め入射(30度)複屈折率の差の絶対値(ΔR)を測定
した。
【0074】(10)転写性 前記ΔR値と同様の手法により成形したディスク基板の
半径50mm部分における溝部の深さを原子間力顕微鏡
(セイコー電子工業 SPI3700)にて測定し、溝
形状の再現率(=100×ディスクの溝深さ/スタンパ
ーの溝深さ(%))を求めた。
【0075】(11)引張り試験法 ASTM D−638に準拠して、東洋ボールドウィン
社製UTM2.5Tを用いて測定した。
【0076】[実施例1] [A] ビスフェノールAからのポリカーボネート単独
重合体(ポリマーA)の合成;温度計、攪拌機及び還流
冷却器付き反応器にイオン交換水11057.0部、4
8%水酸化ナトリウム水溶液1559.9部を仕込み、
これにビスフェノールA2133.9部及びハイドロサ
ルファイト2.12部を溶解した後、塩化メチレン64
45.3部を加え、攪拌下15〜20℃でホスゲン10
05.6部を60分要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終
了後p−tert−ブチルフェノール92.3部及び4
8%水酸化ナトリウム水溶液829.9部を加え、撹拌
して乳化させた後トリエチルアミン0.09部を加え、
28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。反応終
了後生成物溶液を多孔板付遠心抽出機[(株)日立製作
所製ウルトレックスEP−02]にてイオン交換水流量
1,000ml/分、反応生成物溶液流量1,500ml
/分、回転数3,500rpmの条件で遠心分離した
後、塩化メチレン相を塩酸酸性にし、更に同様の条件で
遠心分離操作を繰返し、水相の導電率がイオン交換水と
殆ど同じになったところで、軸受部に異物取出口を有す
る隔離室を設けたニーダーにより塩化メチレンを蒸発し
て、比粘度が0.269である粉粒状の無色のポリカー
ボネート樹脂2,400部(収率92%)を得た。
【0077】[B] ポリマーBの共重合体の合成;温
度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水9
29.2部、48%水酸化ナトリウム水溶液61.3部を
入れ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分a−1:以下
“ビスフェノールTMC”と略称することがある)39
部、4,4’−(成分a−2:m−フェニレンジイソプ
ロピリデン)ジフェノール(以下“ビスフェノールM”
と略称することがある)43.6部およびハイドロサル
ファイト0.17部を溶解した後、p−tert−ブチ
ルフェノール1.51部と塩化メチレン637.9部を加
えトリエチルアミン0.09部を添加した後攪拌下15
〜25℃でホスゲン32.4部を40分を要して吹き込
んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウ
ム水溶液15.6部を加え、28〜33℃で1時間攪拌
して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレ
ンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相
の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、
軸受け部に異物取り出し口を有する隔離室を設けたニー
ダーにて塩化メチレンを蒸発して、ビスフェノールTM
CとビスフェノールMの比がモル比で50:50の比粘
度が0.271である無色のポリマー86.4部を得た
(収率97%)。
【0078】[C] 樹脂組成物の調整 [A]で合成したビスフェノールAの単独重合体(ポリ
マーA)の塩化メチレン溶液と[B]で合成したポリマ
ーBの共重合体の塩化メチレン溶液とを溶液中のポリマ
ー重量比(ポリマーA:ポリマーB)が80:20とな
るようにそれぞれ攪拌機付容器に投入した後、攪拌して
混合した。混合後、目開き0.3μmのフィルターを通
過させた後、軸受部に異物取出口を有する隔離室を設け
たニーダーにこの混合溶液を投入して塩化メチレンを蒸
発することにより該ポリカーボネート樹脂粉粒体を得
た。
【0079】このポリカーボネート樹脂粉粒体にトリス
ノニルフェニルフォスフェートを0.005%、トリメ
チルフォスフェートを0.003%、ステアリン酸モノ
グリセリドを0.030%加えて、ベント付きφ30m
m二軸押出機を用いて、ペレット化した後、名機製作所
(株)製M35−D−DMを用いて120mmφ、0.
6mm厚みのディスク基板に射出成形した。このものの
塩化メチレン未溶解粒子は0.5μm以上が17,000
個/g、1μm以上が180個/gであった。結果を表
1に示す。
【0080】[実施例2]実施例1の[A]で合成した
ビスフェノールAの単独重合体(ポリマーA)溶液と
[B]で合成したポリマーBの共重合体溶液とを溶液中
のポリマーA:ポリマーBの重量比が90:10となる
ようにそれぞれ攪拌機付容器に投入した以外は実施例1
と同様の操作をおこなった。結果を表1に示す。
【0081】[実施例3]実施例1の[A]で合成した
ビスフェノールAの単独重合体(ポリマーA)溶液と
[B]で合成したポリマーBの共重合体溶液とを溶液中
のポリマーA:ポリマーBの重量比が75:25となる
ようにそれぞれ攪拌機付容器に投入した以外は実施例1
と同様の操作をおこなった。結果を表1に示す。
【0082】[実施例4] [D] ポリマーBの共重合体の合成;温度計、攪拌
機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水965.1、
48%水酸化ナトリウム水溶液63.6部を入れ、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン(成分a−1)16.2部、2,
2−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン(以下“ビスフェノールC”と略称することがあ
る)53.6部およびハイドロサルファイト0.18部
を溶解した後、塩化メチレン662.5部を加え、攪拌
下15〜25℃でホスゲン32.4部を40分を要して
吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−
ブチルフェノール2部と48%水酸化ナトリウム水溶液
16.2部を加え乳化後、トリエチルアミン0.09部
を添加して、28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了
した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水
洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオ
ン交換水と殆ど同じになったところで、軸受け部に異物
取り出し口を有する隔離室を設けたニーダーにて塩化メ
チレンを蒸発して、ビスフェノールTMCとビスフェノ
ールCの比がモル比で20:80の比粘度が0.302
である無色のポリマー74.9部を得た(収率95
%)。
【0083】[E] 樹脂組成物の調整 [A]で合成したビスフェノールAの単独重合体(ポリ
マーA)の塩化メチレン溶液と[D]で合成したポリマ
ーBの共重合体の塩化メチレン溶液とを溶液中のポリマ
ー重量比(ポリマーA:ポリマーB)が80:20とな
るようにそれぞれ攪拌機付容器に投入した後、攪拌して
混合した。混合後、目開き0.3μmのフィルターを通
過させた後、軸受部に異物取出口を有する隔離室を設け
たニーダーにこの混合溶液を投入して塩化メチレンを蒸
発することにより該ポリカーボネート樹脂粉粒体を得
た。
【0084】このポリカーボネート樹脂粉粒体にトリス
ノニルフェニルフォスフェートを0.005%、トリメ
チルフォスフェートを0.003%、ステアリン酸モノ
グリセリドを0.030%加えて、ベント付きφ30m
m二軸押出機を用いて、ペレット化した後、名機製作所
(株)製M35−D−DMを用いて120mmφ、0.
6mm厚みのディスク基板に射出成形した。このものの
塩化メチレン未溶解粒子は0.5μm以上が19,000
個/g、1μm以上が200個/gであった。結果を表
1に示す。
【0085】[比較例1]実施例1において、[A]で
合成したビスフェノールAの単独重合体(ポリマーA)
溶液のみを、目開き0.3μmのフィルターを通過させ
た後、軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けたニ
ーダーにこの溶液を投入して塩化メチレンを蒸発するこ
とにより該ポリカーボネート樹脂粉粒体を得た以外は実
施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0086】[比較例2]実施例1において、[B]で
合成した成分Bの共重合体溶液のみを、目開き0.3μ
mのフィルターを通過させた後、軸受部に異物取出口を
有する隔離室を設けたニーダーにこの混合溶液を投入し
て塩化メチレンを蒸発することにより該ポリカーボネー
ト樹脂粉粒体を得た以外は実施例1と同様の操作を行っ
た。結果を表1に示す。
【0087】[比較例3]実施例1の[A]で合成した
ビスフェノールAの単独重合体(ポリマーA)溶液と
[B]で合成したポリマーBの共重合体溶液とを溶液中
のポリマーA:ポリマーBの重量比が60:40となる
ようにそれぞれ攪拌機付容器に投入した以外は実施例1
と同様の操作をおこなった。結果を表1に示す。
【0088】[比較例4]実施例1の[A]で合成した
ビスフェノールAの単独重合体(ポリマーA)溶液と
[B]で合成したポリマーBの共重合体溶液とを溶液中
のポリマーA:ポリマーBの重量比が20:80となる
ようにそれぞれ攪拌機付容器に投入した以外は実施例1
と同様の操作をおこなった。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂
は、成形性、機械的特性、光学特性、熱安定性に優れて
いるので種々の成形品として利用することができる。殊
に、複屈折率が低く、光学特性と転写性に関してバラン
スの取れた光ディスク基板、特に高密度光ディスク基板
用の材料として好適に用いられ、その奏する工業的効果
は格別なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古屋 和彦 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CG001 CG002 GP00 GS02 4J029 AA09 AB01 AB07 AC02 AD09 AD10 AE01 AE05 BB13B BB16A BD09C HC01 HC05 5D029 KA07 KC05 KC20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)二価フェノール成分が2,2−ビ
    ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より
    実質的になる芳香族ポリカーボネート(ポリマーA)
    と、(B)二価フェノール成分が(b−1)1,1−ビ
    ス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチ
    ルシクロヘキサン(成分b−1)および(b−2)4,
    4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノ
    ールおよび/または2,2−ビス(3−メチルー4−ヒ
    ドロキシフェニル)プロパン(成分b−2)より実質的
    になり、成分b−1:成分b−2の割合がモル比で9
    9:1〜20:80である二価フェノール成分より構成
    された芳香族ポリカーボネート共重合体(ポリマーB)
    から実質的になり、ポリマーA:ポリマーBの割合が重
    量で95:5〜75:25であることを特徴とする芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分b−1:成分b−2の割合がモル比
    で80:20〜20:80である請求項1記載の芳香族
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリマーA:ポリマーBの割合が、重量
    で90:10〜75:25である請求項1記載の芳香族
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 本文に定義された方法によって測定され
    た垂直入射複屈折率とディスク半径方向に対して垂直に
    なるような斜め入射(30度)複屈折率の差の絶対値
    (ΔR)が、25〜40nmである請求項1記載の芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 光弾性定数が50×10-12〜78×1
    -122/Nである請求項1記載の芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 本文に定義された吸水率が0.2重量%
    以下である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート
    樹脂組成物より形成された光学用成形品。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート
    樹脂組成物より形成された高記録密度の光ディスク基
    板。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の光ディスク基板の片面に
    金属薄膜を形成させた光ディスク。
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