JP2003104735A - 光学素子成形金型、光学素子及び光学素子成形金型の製造方法 - Google Patents
光学素子成形金型、光学素子及び光学素子成形金型の製造方法Info
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Abstract
合金を、破壊なくダイセットに実装可能とする光学素子
成形金型、及びその光学素子金型により成形される高精
度な光学素子、並びに光学素子成形金型の製造方法を提
供する。 【解決手段】特に応力がかかる光学素子成形金型10を
固定するためのネジ穴8aをインサート部材8で形成
し、それ以外を非晶質合金とするハイブリッド構造を取
ることにより、ネジ穴8aに集中する応力を結晶材料の
延性や結晶粒開の滑り硬化によって吸収して破断を防ぐ
ことができる。一方、その他の非晶質合金からなる部位
については、光学素子の光学面を成形する高精度な光学
成形面は、加熱プレス成形で容易に成形創成し、外周な
どの精密な嵌合を必要とする寸法基準面はダイアモンド
切削などにより精密切削仕上げを行うことができる。
Description
型、光学素子及び光学素子成形金型の製造方法に関す
る。
ファス合金又は金属ガラスともいう)を用いて、加熱プ
レス成形により金属ガラス製の光学素子成形金型を創成
する技術が、本発明者による特願2001−05418
2及び特願2001−054183に詳しく説明されて
いる。かかる非晶質合金は、300℃〜500℃程度の
温度範囲で軟化する特性を有するので、比較的容易に押
圧して所望の形状に成形することができ、特にプラスチ
ックレンズなどの光学素子用の光学素子成形金型材料と
しては、光学素子成形時の硬度も十分に高く、また光学
面や、高精度にダイセットと嵌合させるべき外周などの
寸法基準面を、ダイアモンド切削により極めて良好に創
成できるなど、種々の優れた特徴を有する材料といえ
る。
合金は、通常の切削などの機械加工中に、切り込みが大
きかったり刃物の切れ味が悪いと、容易に割れを生じや
すいという欠点も有している。これは、非晶質合金の組
織が通常の金属と異なり結晶構造をとらず、アモルファ
ス状であるため、どこの部位も均一な組成及び構造であ
るために、応力が発生した場合には高い強度を有する反
面、ひとたび破断すると何ら応力が緩和されることなく
破断部分に集中して、瞬間的に破断が進むことが主要因
といえる。この性質こそが、非晶質合金である所以であ
るが、金型材料として用いるには、以下に示すように困
難な問題を含んでいる。
ら形成した光学素子成形金型をダイセットに固定するた
めに必要なネジ穴を、タップを用いて金型の底面に形成
しようとすると、1リードあたりのタップの切り込み量
が大きいことから、非晶質合金材料がそれに耐えきれず
多くのケースで割れてしまい、せっかく創成した光学成
形面を有する光学素子成形金型を壊してしまうという恐
れがある。また、無事にネジ穴が形成された場合でも、
かかる金型を、プラスチック光学素子などを成形するた
めにダイセットに組み込み固定する際に、ネジ穴に過大
な応力が生じると割れてしまうので、ボルトなどで強く
締結出来ないという問題もある。更に、摺動部のこじれ
や型締め力に起因して生じるダイセットの歪みが、ネジ
穴を介して非晶質合金製の光学素子成形金型に直接伝わ
り、ネジ穴が割れてしまう恐れもある。
トで、緩みや割れにより光学素子成形金型をしっかりと
締結固定できないのでは、成形中に光学素子成形金型が
緩んで金型を破損したり、不良品を成形したりする原因
となって好ましくない。
ものであり、優れた特徴を有するが脆性破壊しやすい非
晶質合金を、破壊なくダイセットに実装可能とする光学
素子成形金型、及びその光学素子成形金型により成形さ
れる高精度な光学素子、並びに光学素子成形金型の製造
方法を提供することを目的とする。
子成形金型は、光学素子を形成するための光学素子成形
金型において、過冷却液体域を有する非晶質合金を素材
とし、更に前記非晶質合金を加熱プレス成形する際に前
記非晶質合金に埋め込んだ金属部材を有するので、埋め
込んだ金属部材を用いて、ダイセットなどに組み込むこ
とで、非晶質合金における応力集中を緩和でき、割れな
どを防止することができる。
型において、特に応力がかかる金型を固定するためのネ
ジ穴等を前記金属部材で形成し、それ以外を非晶質合金
とするハイブリッド構造を取ることにより、ネジ穴等に
集中する応力を、金属部材を構成する結晶材料の延性や
結晶粒界の滑り効果によって吸収して破断を防ぐことが
できる。一方、その他の非晶質合金からなる部位につい
ては、光学素子の光学面を成形する高精度な光学成形面
を、加熱プレス成形で容易に成形創成し、外周などの精
密な嵌合を必要とする寸法基準面を、ダイアモンド切削
などにより精密切削仕上げを行うことができる。従っ
て、高精度な光学素子を成形するために非晶質合金を素
材として用いているにも関わらず、ダイセットに実装固
定できる光学素子成形金型を提供できるのである。
記金属部材にネジ穴を形成すれば、これを用いること
で、上述したごときダイセットへの取り付けを行うこと
が可能となる。
記金属部材の外周に、くぼみ又は突起を有すると、その
くぼみ又は突起により、非晶質合金から前記金属部材が
抜け出ることを防止できる。
記金属部材の線膨脹係数と、前記非晶質合金の線膨張係
数との差を、3×10−6以内にすると、加熱プレス成
形後に冷却されたときも、前記金属部材と非晶質合金と
の間にスキマができたり、割れなどが生じることを抑制
できる。
至4のいずれかに記載の光学素子成形金型を用いて成形
されると、回折輪帯のごとき微細な形状を容易に形成で
きるので好ましい。
と好ましい。
方法は、過冷却液体域を有する非晶質合金を加熱プレス
成形する工程と、前記加熱プレス成形の際に、前記非晶
質合金に金属部材を埋め込む工程と、を有するので、埋
め込んだ金属部材を用いて、ダイセットなどに組み込む
ことで、ネジ穴加工時等における非晶質合金の応力集中
を緩和でき、割れなどを防止することができる。
方法は、前記非晶質合金が固化した後、前記金属部材に
後加工を施す工程を更に含むと、非晶質合金に対して直
接後加工を施すことによる応力集中を抑制できるので好
ましい。
方法は、前記後加工はタッピング加工であると、ネジ穴
加工時等における非晶質合金の応力集中を緩和できるの
で好ましい。
造方法は、前記加熱プレス成形の際に前記非晶質合金の
材料を押圧するプランジャーに、前記金属部材を取り付
ける工程と、前記非晶質合金が固化した後、前記プラン
ジャーより前記金属部材を取り外す工程を更に含むと、
加熱プレス成形と前記金属部材の埋め込みとを同時に行
うことができるため、製造効率が増大する。
造方法は、前記金属部材の前記プランジャーへの取り付
けはネジを用いて行うと、前記金属部材の前記プランジ
ャーへの取り付け・取り外しが容易であるので好まし
い。
子(例えばレンズ)の光学面表面に、光軸を中心とする
略同心状の輪帯として形成されたレリーフを設けて、回
折によって光束を集光あるいは発散させる作用を持たせ
た回折面のことをいう。例えば、光軸を含む平面でその
断面をみれば各輪帯は鋸歯のような形状が知られている
が、そのような形状を含むものである。又、回折輪帯を
ここでは回折溝ともいう。
実施の形態について説明する。図1は、光学素子成形金
型を製作する工程を示す図である。まず、図1(a)に
示すように、光学素子の一例であるレンズの非球面に対
応した母非球面1aを形成したマスター型材1に、支柱
5を取り付け、且つボルト3を用いて円筒状のブランク
型2を組み付ける。又、中空のプランジャー6の下面に
設けた中央開口6aに挿通させたボルト7により、金属
部材であるインサート部品8をプランジャー6の下面に
取り付けている。ステンレスや鋼などから形成できるイ
ンサート部品8は円筒状であって、ボルト7に螺合する
ネジ穴8aを有する。
型材1及びブランク型2をヒーターHにより予備加熱し
ておき、過冷却液体域間で加熱し軟化させた非晶質合金
MGを、急激な固化を抑制しつつブランク型2内に挿入
し、プランジャー6で加圧する。その際にブランク型2
内の空気は、エアベント(ブランク型2の端面に形成さ
れた溝2a)を介して外部へと流出する。
けられたインサート部品8(同様に加熱されている)
が、非晶質合金MG内に侵入するが、非晶質合金MG
は、溶融した樹脂と同様に柔軟性があるため、わずかな
加圧であっても、インサート部品8の侵入を許容し、且
つブランク型2の内形状に一致するように変形し、又、
マスター型材1の母非球面1aの形状に一致するように
変形する。すなわち、マスター型材1の母非球面1aに
対応する光学成形面(後述する10a)は、非球面形状
に形成されることとなる。非晶質合金MGを軟化させて
成形することで、マスター型4の損耗を抑制し、その寿
命を延長することができる。
型4とプランジャー6とを一体で、冷却水が満たされた
容器S内に沈下させることで、非晶質合金MGを急冷さ
せる。尚、かかる冷却は自然放冷であっても良い。それ
により、十分な強度で非晶質合金MGとインサート部品
8とを一体化出来る。その後、容器Sから取り出したマ
スター型4に対して、プランジャー6を固化した非晶質
合金MGと一体で離隔させる。更に、図1(d)に示す
ように、ボルト7をゆるめることで、プランジャー6か
ら非晶質合金MGすなわち光学素子成形金型10(図
2)を分離させることができる。
ための金型を示す断面図である。上述のようにして非晶
質合金MGから形成した光学素子成形金型10のインサ
ート部品8に、ボルト15を螺合させることによって、
光学素子成形金型10は、可動部材16に取り付けられ
ている。一方、同様にして形成した光学素子成形金型1
1のインサート部品8’に、ボルト17を螺合させるこ
とによって、光学素子成形金型11は、固定部材18に
取り付けられている。
れぞれ光学成形面10a、11a同士を対向させるよう
にして、ダイセット金型13,14に挿入し、溶融した
プラスチック材料PLを光学素子用金型10,11間に
射出し、更に冷却することで、所望の形状のレンズを得
ることができる。
に、予め非貫通のネジ穴8aを形成しているので、かか
るネジ穴8aを用いて、プランジャー6の下面に固定で
きるので、プレス成形中にインサート部品8のずれ防止
を図ることができる。また、何らかのズレ防止策を講じ
れば、例えば中実のインサート部品を接着などの形で、
プランジャー6の下面に取り付けた状態で加熱プレスす
ることができる。かかる場合、加熱プレス成形により、
非晶質合金に埋め込まれたインサート部品に対して、ネ
ジ穴加工(タッピング)などの後加工を行えば、非晶質
合金を破壊することがなく、容易に加工出来る。更に、
このようなインサート部品を埋め込むことで、ダイセッ
ト内に光学素子成形金型を固定した際に生じる応力を、
このインサート部品によって緩和するので、光学素子成
形金型の破損を招くことなく、光学素子の成形を行うこ
とができる。
属部材の軟化温度よりも極めて低いため、非晶質合金と
金属部材は基本的に固溶しないし濡れない。そのため、
インサート部品8”の外周部に、図3に示すように、菱
目ローレットなどのくぼみと突起を形成しておけば、加
熱プレス成形により埋め込まれた際に、非晶質合金がし
っかりとインサート部品8”を保持することができるの
で、非晶質合金内でガタが起きたり回ったりすることが
無い。尚、くぼみもしくは突起は、ローレットに限らな
い。又、インサート部品の外形は円筒状でなくとも良
く、4角柱や6角柱など種々の形状であっても良い。
は、線膨張係数を非晶質合金のそれに近づけることであ
る。これは、外力が加わった際の非晶質合金の変形によ
る応力緩和を殆ど期待できないことから、線膨張係数の
差に起因して、成形に伴う温度変化時にインサート部品
から、それを内包する非晶質合金に対して大きな力を伝
達させないようにするためである。例えば、非晶質合金
の線膨張係数がインサート部品材料よりも許容範囲を超
えて大きい場合は、加熱プレス成形された後室温まで冷
却される際に、インサート部品を締め付ける力が働き、
臨界を超えれば破断する。これに対し、非晶質合金の線
膨張係数がインサート部品材料よりも許容範囲を超えて
小さい場合は、もともと固溶はしていない非晶質合金と
インサート部品との境界が、冷却収縮により剥離して、
ガタが生じるなどインサート部品の保持状態が劣化する
ため、この観点からもインサート部品と非晶質合金との
線膨張係数は近い方が望ましい。両者の線膨張係数の差
の好ましい範囲は、3×10 −6以内である。
温度は、おおよそ250℃程度。Pd系やZr系の非晶
質合金の線膨張係数は、おおよそ8〜10×10−6で
ある。インサート部品の大きさにもよるが、インサート
部品に用いる材料は、8〜13×10−6程度が好まし
い。従って、オーステナイト系のステンレスや低膨張合
金などは避ける方が無難である。
学素子成形金型のブランク形状をPd40Cu 30Ni
10P20の非晶質合金を加熱プレス成形して、同時に
底面に線膨張係数が非晶質合金とほぼ等しいS45C材
のインサート部品を埋め込んだ。かかるインサート部品
には、予め非貫通のM4ネジ穴を形成している。インサ
ート部品はプランジャーにM4ネジで固定して、加熱プ
レス成形中にインサート部品がずれないようにした。ま
た、光学成形面形状は、この加熱プレス成形時に創成
し、外周の精密嵌合部は成形後にダイアモンド切削で±
1μmの精度で仕上げた。この光学素子成形金型6個を
一つのダイセット内に組み込んで、M4ネジによりバッ
クプレートに十分なトルクで固定して、プラスチックレ
ンズの成形を行った。約3ヶ月間連続で、計86,00
0ショット以上を成形したが、光学素子成形金型の破損
はなかった。また、光学素子金型のバックプレートに対
する固定ネジの緩みもなかった。
の組成の非晶質合金を用いることができる。 Pd40Ni10Cu30P20 Zr55Cu30Al10Ni5 Pd53Cu28Ni10P9 Pd76Cu17Si7
してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈さ
れるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることは
もちろんである。たとえば、インサート部品は、光学素
子成形金型の固定のみならず、その加工時にワークを支
持する部分としても用いることができる。
脆性破壊しやすい非晶質合金を、破壊なくダイセットに
実装可能とする光学素子成形金型、及びその光学素子金
型により成形される高精度な光学素子、並びに光学素子
成形金型の製造方法を提供することができる。
す図である。
す図である。
である。
Claims (11)
- 【請求項1】 光学素子を形成するための光学素子成形
金型において、過冷却液体域を有する非晶質合金を素材
とし、更に前記非晶質合金を加熱プレス成形する際に前
記非晶質合金に埋め込んだ金属部材を有することを特徴
とする光学素子成形金型。 - 【請求項2】 前記金属部材にネジ穴を形成したことを
特徴とする請求項1に記載の光学素子成形金型。 - 【請求項3】 前記金属部材の外周に、くぼみ又は突起
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学
素子成形金型。 - 【請求項4】 前記金属部材の線膨脹係数と、前記非晶
質合金の線膨張係数との差を、3×10−6以内にした
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光
学素子成形金型。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の光学
素子成形金型を用いて成形されたことを特徴とする光学
素子。 - 【請求項6】 前記光学素子がレンズであることを特徴
とする請求項5に記載の光学素子。 - 【請求項7】 過冷却液体域を有する非晶質合金を加熱
プレス成形する工程と、 前記加熱プレス成形の際に、前記非晶質合金に金属部材
を埋め込む工程と、を有することを特徴とする光学素子
成形金型の製造方法。 - 【請求項8】 前記非晶質合金が固化した後、前記金属
部材に後加工を施す工程を更に含むことを特徴とする請
求項7に記載の光学素子成形金型の製造方法。 - 【請求項9】 前記後加工はタッピング加工であること
を特徴とする請求項8に記載の光学素子成形金型の製造
方法。 - 【請求項10】 前記加熱プレス成形の際に前記非晶質
合金の材料を押圧するプランジャーに、前記金属部材を
取り付ける工程と、 前記非晶質合金が固化した後、前記プランジャーより前
記金属部材を取り外す工程を更に含むことを特徴とする
請求項7乃至9のいずれかに記載の光学素子成形金型の
製造方法。 - 【請求項11】 前記金属部材の前記プランジャーへの
取り付けは、ネジを用いて行うことを特徴とする請求項
10に記載の光学素子成形金型の製造方法。
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