JP2003199582A - 植物由来のプロモーター - Google Patents
植物由来のプロモーターInfo
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- JP2003199582A JP2003199582A JP2002063742A JP2002063742A JP2003199582A JP 2003199582 A JP2003199582 A JP 2003199582A JP 2002063742 A JP2002063742 A JP 2002063742A JP 2002063742 A JP2002063742 A JP 2002063742A JP 2003199582 A JP2003199582 A JP 2003199582A
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Abstract
−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子のプロモータ
ー、スペルミジン合成酵素遺伝子およびアルギニン脱炭
酸酵素遺伝子のプロモーターがキメラ遺伝子の発現を制
御可能であることを明らかにすること。 【解決手段】 クロダネカボチャのゲノムDNAを、クロ
ダネカボチャのS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺
伝子、クロダネカボチャのスペルミジン合成酵素遺伝
子、クロダネカボチャのアルギニン脱炭酸酵素遺伝子の
DNA配列情報を用いてインバースPCR法によりS−アデノ
シルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子5'上流配列、スペルミ
ジン合成酵素伝子5'上流配列を取得し、これをサブクロ
ーニングし、サイクルシーケンス法によって塩基配列を
決定する。遺伝子組換え植物を用いてGUS活性を検定
し、プロモーターの活性を調べる。
Description
のS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子のプロモ
ーター、スペルミジン合成酵素遺伝子のプロモーターお
よびアルギニン脱炭酸酵素遺伝子のプロモーターに関す
るものであり、該プロモーターは遺伝子組み換えを利用
した植物の新品種の開発や有用物質を生産させる植物の
改変に利用される。
を要する交配によらず、所望の特性を持った植物を作出
することができる極めて有用な技術である。よって、植
物細胞への遺伝子導入法の開発によって、様々な形質転
換植物の作出が可能になってきた。現在このような遺伝
子工学を用いて様々な形質転換植物の開発が盛んに行わ
れており、欧米を始め、日本国内でも実用化されてい
る。
主に農作物の分野であり、アンチセンス技術を利用した
日持ちのよいトマトや除草剤耐性のダイズやナタネ、耐
虫性のバレイショやトウモロコシがあり、このような主
要な食物に対する遺伝子組み換え技術の適用は、食糧問
題を解決する上で計り知れない役割を果たしている。さ
らに、近年は、農作物以外の植物に遺伝子工学的手法を
用いて、物質生産や、環境修復を植物に行わせることも
積極的に試みられている。それらは、今後、エネルギー
問題や環境問題へ大きく寄与することが予想されてい
る。
題は、植物細胞内へ導入した遺伝子を効率よく発現させ
ることがあげられる。プロモーター配列は植物細胞内で
の遺伝子の転写レベルを決定する主要な因子であり、一
般に転写活性の強いプロモーター配列を用いることによ
り、目的遺伝子の発現レベルを向上させることが可能で
ある。しかし、プロモーター配列には、植物種や、器
官、組織や細胞または環境条件ごとに存在するRNAポリ
メラーゼの違いに基づく特異性が存在することが知られ
ており、従って、植物細胞での遺伝子発現を行おうとす
る場合には、目的の条件で機能するプロモーター配列を
用いる必要がある。現在、実用レベルで利用可能なプロ
モーターは限られており、一般的には、カリフラワーモ
ザイクウイルス由来の35Sプロモーターがよく用いら
れている。
塩濃度、乾燥などのストレスを受けるとその体内にポリ
アミン合成酵素群の遺伝子を発現し、ポリアミンを蓄積
することが知られている。ポリアミンとは第1級アミノ
基を2つ以上もつ脂肪族炭化水素の総称で生体内に普遍
的に存在する天然物であり、20種類以上のポリアミン
が見出されている。代表的なポリアミンとしてはプトレ
シン、スペルミジン、スペルミンがある。ポリアミンの
主な生理作用としては、核酸との相互作用による核酸
の安定化と構造変化、種々の核酸合成系への促進作
用、タンパク質合成系の活性化、細胞膜の安定化や
物質の膜透過性抗性の強化などが知られている。
胞増殖や分裂時に核酸、タンパク質生合成の促進効果や
細胞保護が報告されており、環境ストレスに対しては塩
ストレス、酸ストレス(Plant cell physiol., 38(10),
156-1166, 1997)、低温ストレス(Plant Science, 12
2, 111-117, 1997 、Plant Science, 126, 1-10, 199
7、Japan Jour. Crop Sci., 50(3), 411-412, 1981)と
の関わりが主に報告されている。
ン代謝関連酵素としてはアルギニン脱炭酸酵素(AD
C)、オルニチン脱炭酸酵素(ODC)、S−アデノシ
ルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)、スペルミジン
合成酵素(SPDS)、スペルミン合成酵素(SPM
S)等が知られている。これらのポリアミン代謝関連酵
素をコードする遺伝子については植物から既に幾つかが
単離されている。
t., 224, 431-436, 1990)、トマト(Plant Physiol.,
103, 829-834, 1993)、シロイヌナズナ(plant physio
l.,111, 1077-1083, 1996)、エンドウ(Plant Mol. Bi
ol., 28, 997-1009, 1995)、ODC遺伝子はチョウセ
ンアサガオ(Datura)(Biocem. J., 314, 241-248,199
6)、SAMDC遺伝子はジャガイモ(Plant Mol. Bio
l., 26, 327-338, 1994)、ホウレンソウ(Plant Physi
ol., 107, 1461-1462, 1995)、タバコ、SPDS遺伝
子はシロイヌナズナ(Plant cell Physiol., 39(1), 73
-79, 1998)等から単離されている。しかしながら、こ
れらの植物由来のポリアミン代謝関連酵素遺伝子プロモ
ーターについては全く報告されていない。
植物における遺伝子工学的手法を用いて、品種改良など
を行うために必要な遺伝子の制御を行うことができるプ
ロモーターを提供することである。さらには、温度の制
御により、目的遺伝子を制御することが可能なプロモー
ターを提供することである。
植物プロモーターを得るために、すでに、クロダネカボ
チャの生理学の知見による遺伝子レベルでの解明をめざ
し、鋭意研究して、クロダネカボチャよりいくつかのcD
NAを単離した(特開2001-46079)。これらの単離したcD
NAを調査し、さらに、特にS−アデノシルメチオニン脱
炭酸酵素遺伝子、スペルミジン合成酵素遺伝子およびア
ルギニン脱炭酸酵素遺伝子の上流配列をクローニング
し、解析した結果、モデル植物のタバコで発現するプロ
モーターを見出し、本発明を完成するに至った。
伝子のプロモーター領域を含むDNA断片。 項2、以下の(a)または(b)のDNAを含むDNA断片。 (a)配列番号1の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA 項3、以下の(a)または(b)のDNAを含む請求項1記
載のDNA断片。 (a)配列番号1の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA 項4、請求項2または3の塩基配列からなるDNAとスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物プ
ロモーターとして作用する能力を有するDNA断片。 項5、温度により制御可能な請求項1から4のいずれか
1項に記載のDNA断片。項6、請求項1から5のいずれ
か1項に記載のDNA断片を含むベクター。 項7、異種遺伝子が該DNA断片の転写制御下にある請求
項6記載のベクター。 項8、請求項6または7記載のベクターを宿主植物細胞
に導入した形質転換植物。 項9、請求項8記載の形質転換植物から得られた種子及
びその子孫。 項10、植物由来のスペルミジン合成酵素遺伝子のプロ
モーター活性を有するDNA断片。 項11、以下の(a)または(b)のDNAを含むDNA断片。 (a)配列番号13の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA 項12、以下の(a)または(b)のDNAを含む請求項1
0に記載のDNA断片。 (a)配列番号13の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA 項13、請求項11または12の塩基配列からなるDNA
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ
植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA断
片。 項14、請求項10から13のいずれか1項に記載のDN
A断片を含むベクター。 項15、異種遺伝子が該DNA断片の転写制御下にある請
求項14記載のベクター。 項16、請求項14または15に記載のベクターを宿主
植物細胞に導入した形質転換植物。 項17、請求項16記載の形質転換植物から得られた種
子及びその子孫。 項18、植物由来のアルギニン脱炭酸酵素遺伝子のプロ
モーター活性を有するDNA断片。 項19、以下の(a)または(b)のDNAを含むDNA断片。 (a)配列番号25の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA 項20、以下の(a)または(b)のDNAを含む請求項1
8に記載のDNA断片。 (a)配列番号25の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA
断片。 項21、請求項19または20に記載の塩基配列からな
るDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつ植物プロモーターとして作用する能力を有する
DNA。 項22、温度により制御可能な請求項18から21のいずれ
か1項に記載のDNA断片。 項23、請求項18から22のいずれか1項に記載のDN
A断片を含むベクター。 項24、異種遺伝子が該DNA断片の転写制御下にある請
求項23記載のベクター。 項25、請求項23または24に記載のベクターを宿主
植物細胞に導入した形質転換植物。 項26、請求項25記載の形質転換植物から得られた種
子及びその子孫。
は、植物においてプロモーターとして、作用する能力
(プロモーター機能)を有するDNA断片のことである。
「プロモーター」とは、DNAを鋳型としてmRNA合成酵素
(転写)を開始するDNA上の特定塩基配列を意味し、塩
基の共通配列を有し、これを認識してmRNAを合成する酵
素(RNAポリメラーゼ)がmRNAを合成する。ここで、
「プロモーター機能」とは、RNAポリメラーゼがDNA上の
特異な領域に結合し、転写開始する作用をいう。具体的
には、S-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子、スペ
ルミジン合成酵素遺伝子またはアルギニン脱炭酸酵素遺
伝子のプロモーターであり、または以下の(a)、(b)
または(c)のDNAを含むDNA断片を含む。 (a)配列番号1、13または25の塩基配列からなるD
NA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA (c)(a)又は(b)の塩基配列からなるDNAとストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物プロ
モーターとして作用する能力を有するDNA。
1、13または25記載の塩基配列からなるDNAにおい
て、1もしくは複数のDNAが欠失、置換もしくは付加さ
れた塩基配列からなり、かつ、植物プロモーターとして
作用する能力を有するDNAである。本発明の植物プロモ
ーターには、配列番号1、13または25記載の塩基配
列の3‘または5’末端に、翻訳効率を上げる塩基配列
などを付加したものや、3‘または5’末端をプロモー
ター活性が有る限り、欠失したものが含まれる。
ターをベクターに導入したものであり、ベクターとして
は、大腸菌由来のベクター、例えば、pBluescriptベク
ター、β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を含むプ
ラスミド、pBI101−HmB、シャトルベクター、
ヘルパープラスミド、pRK2013などが挙げられ
る。また、植物ウイルス、例えばカリフラワーモザイク
ウイルスを利用することもできる。ベクターはそれぞれ
の宿主細胞に応じて選択する。植物プロモーターをベク
ターに導入する方法は、通常の遺伝子をベクターに導入
する方法に従う。
ターを宿主植物細胞に導入した形質転換植物である。宿
主植物細胞としては、シロイヌナズナWassilewskija
株、トマト、タバコ、ペチュニア、コムギ、イネ、トウ
モロコシ、カボチャ、キュウリ、ワタなどが挙げられ
る。植物発現ベクターを宿主植物細胞に導入する形質転
換法としては、エレクトロポレーション法、プロトプラ
スト融合法、マイクロインジェクション法、ポリエチレ
ングリコール法あるいはパーティクルガン法などを挙げ
ることができる。さらに、遺伝子を導入した細胞から再
生された形質転換植物体である。再生方法としては、カ
ルス状の形質転換細胞をホルモンの種類、濃度を変えた
培地へ移して培養し、不定胚を形成させ、完全な植物体
を得る方法がある。使用する培地としては、ワタではM
SIC培地(MS塩、0.75% MgCl2, 1.9g/l KNO3, 30g/l
グルコース、2.0g/l ジェランガム、 pH5.8) 、ニン
ジンでは Kamada & Harada培地などが例示される。
程が例示される。 (1) S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子(SAMD
C)、スペルミジン合成酵素遺伝子(SPDS)あるいはア
ルギニン脱炭酸酵素遺伝子(ADC)の上流領域のクロ
ーニング (2) β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)との
融合 (3) プラスミドのアグロバクテリウムへの導入 (4) 無菌タバコの栽培 (5) アグロバクテリウムの感染 (6) 除菌 (7) 形質転換植物の選択 (8) 形質転換植物の再生 (9) 形質転換体の確認 (10) GUS活性の測定 〈1〉SAMDC遺伝子、SPDS遺伝子およびADC遺伝子の
プロモーター領域の単離 クロダネカボチャから得られた遺伝子、S−アデノシル
メチオニン脱炭酸酵素遺伝子SAMDC(特開2001-4607
9)、 スペルミジン合成酵素遺伝子SAMDC(特開2001-46
079)、アルギニン脱炭酸酵素遺伝子ADC(特開2001-460
79)の塩基配列より、合成オリゴヌクレオチドを作製
し、インバースPCR法を行う。クロダネカボチャより
ゲノムDNAを抽出した後、EcoRIなど数種の制限酵素
で切断し、セルフライゲーションさせた後、PCRの鋳
型として使用する。第1プライマー群を用いて、PCR
を行った後、反応産物をさらに第2プライマー群を用い
てPCRを行い、上流領域をクローニングする。アガロ
ースゲル電気泳動で目的の長さのクローンを得た後、T
Aクローニングベクターにサブクローニングして、オー
トシークエンサーを用いて配列決定を行う。得られたP
CR断片の配列の一部がSAMDC、SPDS、ADCの配列と完全
に一致したことから、各々SAMDC、SPDS、ADCの上流(植
物プロモーター)と判断する。 〈2〉SAMDC遺伝子、SPDS遺伝子、ADC遺伝子のプロモー
ター領域の利用 上記方法により得た植物プロモーターを、モデル植物の
タバコにおいて、キメラ遺伝子コンストラクトをつく
り、タンパク質の発現制御に利用することができる。さ
らに、本プロモーターは温度により制御可能であること
から、低温などのストレス耐性遺伝子と接続すると、低
温耐性をはじめとしたストレス耐性等を付与した新規植
物の育種にも応用できる。 〈3〉植物プロモーターのベクターへの導入と宿主植物
細胞の形質転換 植物細胞の形質転換方法としては、プロトプラストに電
気パルス処理してプラスミドを植物細胞へ導入するエレ
クトロポレーション法や、小細胞、細胞、リソソーム等
とプロトプラストとの融合法、マイクロインジェクショ
ン法、ポリエチレングリコール法、あるいは、パーティ
クルガン法等の方法を挙げることができる。また、植物
ウイルスをベクターとして利用することによって、該目
的遺伝子を植物体に導入することができる。利用する植
物ウイルスとしては、例えばカリフラワーモザイクウイ
ルス(CaMV)を用いることができる。すなわち、ま
ず、ウイルスゲノムを一旦、大腸菌由来のベクターなど
に挿入して組換え体を調製した後、ウイルスのゲノム中
にこれらの目的遺伝子を挿入する。このようにして修飾
されたウイルスゲノムを制限酵素により該組換え体から
切り出し、植物体に接種することによって、これらの目
的遺伝子を植物体に挿入することができる〔ホーン(Ho
hn)ら、モレキュラー・バイオロジー・オブ・プラント
・チューモアーズ(Molecular Biology of Plant Tumor
s)、アカデミック・プレス、ニューヨーク(Academic
Press、New York)、第549〜560頁(1982)、米国特許第
4,407,956号〕。
ミドを利用する方法がある、アグロバクテリウム属に属
する細菌が植物に感染すると、それが持っているプラス
ミドDNAの一部を植物ゲノム中に移行させるという性
質を利用して、これらの目的遺伝子を植物体に導入する
こともできる。アグロバクテリウム属に属する細菌のう
ち、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacte
rium tumefaciens) は植物に感染してクラウンゴールと
呼ばれる腫瘍を、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agr
obacterium rhizogenes) は植物に感染して毛状根を引
き起こすが、これらは感染の際にTiプラスミドまたは
Riプラスミドと呼ばれる、それぞれの細菌中に存在す
るプラスミド上のT−DNA領域(Transferred DNA)と
呼ばれる領域が植物中に移行し、植物のゲノム中に組み
込まれることに起因する。さらに、TiまたはRiプラ
スミド上にはT−DNA領域が植物中に移行し、植物の
ゲノム中に組み込まれるために必須であるvir領域と
言われる領域がある。vir領域自身は、植物中に移行
されることはなく、またこのvir領域はT−DNA領
域が存在するのと異なったプラスミド上にあっても機能
しうる〔Nature,303,179,(1983)〕。
領域中に、植物ゲノム中に組込みたいDNAを挿入して
おけば、アグロバクテリウム属の細菌が植物体に感染す
る際に目的とするDNAを植物ゲノム中に組込むことが
できる。ここで、TiまたはRiプラスミドのT−DN
A中のクラウンゴール、又は毛状根を引き起こす部分
を、目的とする移行機能を損なうことなく取り除き、得
られたものをベクターとして使用することもできる。本
発明においてはこのような種々のベクターを用いること
ができる。例えば、バイナリーベクターと呼ばれるpB
I101(クロンテック社)等のベクターに、本発明の
プロモーターに繊維形成および伸長に関与する遺伝子を
センスまたはアンチセンス方向で接続したものを挿入し
て、これらを植物細胞に導入することができる。なお、
これらのベクターは前出のvir領域を有しておらず、
該ベクターを導入して用いるアグロバクテリウム属の細
菌は、vir領域を有している他のプラスミドを含有し
ている必要がある。
ウム属の細菌だけではなく、大腸菌中でも増幅すること
ができるシャトルベクターであり、したがって、Tiプ
ラスミドの組換え操作は、大腸菌を用いて行うことがで
きる。更に、これらのベクターは、抗生物質耐性遺伝子
を含んでおり、大腸菌、アグロバクテリウム属の細菌ま
たは植物細胞等を形質転換する際に、形質転換体を容易
に選別することができる。また、これらのベクターには
カリフラワーモザイクウイルス、CaMVの35Sプロ
モーターが存在しており、これらのベクターに挿入され
た遺伝子を植物ゲノム中に組み込んだ後、非調節的に発
現させることが可能となる。 〈4〉形質転換植物細胞から植物体の再生 以下に、タバコにおける、アグロバクテリウムによる目
的遺伝子の導入および形質転換細胞の植物体への再生法
を詳述する。タバコの種子を常法に従って、MSプレー
トに播種し、無菌的に栽培する。本発明の植物プロモー
ターに目的遺伝子を接続し、カナマイシン及びハイグロ
マイシン耐性遺伝子を有するプラスミドにより形質転換
したアグロバクテリウムを培養し、希釈したものをチュ
ーブに分注し、1cm角に切断したタバコの葉を浸し、数
日間、液体MS培地中で共存培養する。アグロバクテリウ
ムが肉眼で観察できるまで十分に増殖したら、除菌操作
を行ない、MSプレート上で数日間、培養を行う。これら
の葉片を最終的に発芽に必要なホルモンを含むMSプレー
ト上で培養し、1週間ごとに新しいプレートに移植を繰
り返す。形質転換した葉片は増殖を続け、シュートが現
れてくる。完全なシュートの形状を示すようになった
ら、シュートの根元のカルス部分を含まないようにメス
で切り取り、発根に必要なホルモンを含むMSプレートに
移植し、発根が確認されるまで無菌培養を行い、形質転
換体を得る。この形質転換体より、常法に従ってDNA
を抽出し、プロモーター部分およびGUS遺伝子部分にプ
ライマーを設計し、PCRを行い、形質転換の有無を確認
することができる。
法に従ってRNAを抽出し、キメラ遺伝子のセンスまた
はアンチセンス配列を有するプローブを作成し、これら
のプローブを用いてノザンハイブリザイゼーションを行
ない、目的遺伝子の発現の状態を調べることができる。エレメント決定方法 本発明のプロモーター上にあるエレメント部位を決定す
る方法としては、例えばJoseph Sambrook,David W. Rus
sell Molecular Cloning 第3版のChapter13に書かれ
ているデリーション法やPCRを用いて長さを調節したプ
ロモーターを作製し、植物細胞等に形質転換後、目的の
条件でのプロモーター活性をレポーター遺伝子を用いて
調査する方法がある。さらに詳細にエレメント配列を決
定する場合は、Joseph Sambrook,David W. Russell Mo
lecular Cloning 第3版のChapter13に書かれているよ
うにプロモーター上にDNA変異を導入して、またはPCR法
を利用した変異の変異の導入により、上記と同様に、植
物細胞等に形質転換後、プロモーター活性を調査し、も
っとも重要なエレメント配列を決定する方法がある。具
体例としては、アラビドプシスDREエレメントの決定(T
he Plant Cell 6:251-264(1994) )などが参考になる。
は、公知の35SプロモーターにSAMDC遺伝子を接続したも
のでは、形質転換体ができず、誘導性のプロモーターに
変更することで形質転換体が可能になったことを報告し
ており、本発明のプロモーターは、35Sプロモーターよ
りも形質転換体を得るのに有利である。た。
ターのエレメントをタンデムに接続したり、タバコモザ
イクウイルスのΩ配列を接続するなどの種々の方法によ
り活性が変化したプロモーターを得ることができる(Pl
ant cell physiol 37(1):49-59(1996)、Efficient Pro
moter Cassettes for Enhanced Expression of Foreign
Genes in Dicotyledonous and Monocotyledonous Plan
t、特開 2000-166577)。
ましい遺伝子として、下記のものが例示される。 (i)Genes encoding enzymes that synthesize osmoprot
ectants
related genes
rones
ation with a gene forcholine oxidase enhances the
cold tolerance of Arabidopsis during germination a
nd early growth. Plant Cell Envir 21: 232-239. ・Bowler C, Slooten L, Vandenbranden S, Rycke RD,
Botterman J, Sybesma C, Van MM, and Inze D (1991)
Manganese superoxide dismutase can reduce cellular
damage mediated by oxygen radicals in transgenic
plants. EMBO J 10: 1723-1732 ・Capell T, Escobar C, Liu H, Burtin D, Lepri O, a
nd Christou P (1998) Overexpression of the oat arg
inine decarboxylase cDNA in transgenic rice(Oryza
sativa L.) affects normal development patterns in
vitro and results in putrescine accumulation in tr
ansgenic plants. Theor Appl Genet 97:246-254 ・De Ronde JA, Spreeth MH, and Cress WA (2000) Eff
ect of antisense L-Delta(1)-pyrroline-5-carboxylat
e redutase transgenic soybean plants subjected to
osmotic and drought stress. Plant Growth Regul 32:
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く植物で使われているGUS遺伝子を本発明のプロモー
ターの3’末端に連結して使用すると、GUS活性を調
べることで、簡単にプロモーターの強さを評価できる。
レポーター遺伝子としては、GUS遺伝子に限らず、ル
シフェラーゼ、グリーンフルオレセイントプロテインも
使用することができる。SAMDC遺伝子、SPDS遺伝子およ
びADC遺伝子は、ポリアミン合成遺伝子酵素群の一つの
遺伝子であり、まだ、未知の機能を持っているポリアミ
ンの発現の時期、発現の組織などを本発明のプロモータ
ーを利用して同定し、ポリアミンの機能を明らかにする
ためにも有用である。
PDS遺伝子およびADC遺伝子、すなわちポリアミン合成酵
素群に関与するプロモーターであり、植物のポリアミン
合成シグナル経路を解明するためのシス因子やトランス
因子の単離に利用することができ、かつ、温度による遺
伝子制御が可能であることから、既知の温度による遺伝
子制御可能なプロモーターと比較研究し、植物のストレ
ス応答システムを研究する技術分野においてもきわめて
有用である。
るタンパクをコードしている塩基配列と、本発明の植物
プロモーターを結合したキメラ遺伝子を作製して、特定
の環境条件の時のみに目的の遺伝子の発現を行うことが
でき、植物に負担が少ないストレス耐性形質転換植物を
作製することが出来る。また、一般にカリフラワーモザ
イクウイルスの35Sプロモーターを用いることによっ
て、植物の器官全体に生活環の全過程を通して形態変化
をもたらすことができるが、本発明プロモーターを用い
れば、生育環境に応じて、その形態が変化しうる植物体
を作製することができる。
する。 実施例1 SAMDCの上流領域を持つ形質転換タバコの作
製 (1) S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子、SAMD
Cの上流領域 (SAMDCpro)のクローニング クロダネカボチャ(Cucurbita ficifolia Bouche)の播種
後、1ヶ月育成した幼植物体を用いて、Plant DNAZOL(G
IBCO BRL社)を用いてゲノムDNAを抽出し、インバー
ス(inverse) PCR法でゲノムDNAのクローニングを
行った。すなわち、制限酵素NcoI、BamHI、SphI、Dra
I、AIW44I で1μgのゲノムDNAを切断した後、Liga
tion high(東洋紡社)でセルフライゲーションさせ
た。ライゲーションしたDNA 300ngを鋳型にしてPC
R試薬キット(LA-PCR キット、宝酒造)を用いて、SAMDC
の5‘上流域を増幅させた。該反応は、配列番号2およ
び3に示した核酸配列を有する第1プライマー群を用
い、94℃、15秒間および65℃、12分間を28サ
イクル実施した。次に、このPCR産物を用いて、配列
番号4および5に示した塩基配列を有する第2プライマ
ー群を用いて、同様の条件でPCRを行った。このPC
R産物を電気泳動で量および長さを確認し、得られたD
NA断片をAdvanTAge PCR Cloning Kit(Clontech社)を
用いて、ベクターpTAdvに導入し、大腸菌JM109
を形質転換して、クローニングした。その後、ABI PRIS
M 310 Genetic Analyzer(ABI社)を用いて、SAMDCの5
‘上流域塩基配列を決定した。該塩基配列はプライマー
の配列よりcDNAと全て一致し、cDNAに対応する
ゲノム領域であることが確認できた。さらに、転写阿開
始点から約1000bpになるように、両端に制限酵素サイト
(XbaI、BamHI)を付加した配列番号6および7のプラ
イマーを設計し、pBluescriptのMCSへ挿入し、pSAMDC10
00proと名付けた。この塩基配列を配列番号1に示す。
さらに同様に転写阿開始点から500bpになるものも配列
番号8および9により作製し、pSAMDC500proと名付け
た。この塩基配列を配列番号10に示す。 (2) β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)との
融合 β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を含むプラスミ
ド、pBI221(Clontech社)を制限酵素、BamHIおよびEco
RIで切断した後、アガロースゲル電気泳動を行って、該
プラスミド中のGUS遺伝子を取り出した。このGUS
遺伝子をプラスミド、上記のベクターpSAMDC1000proとp
SAMDC500proのpBluescript上の制限酵素、BamHIおよびE
coRIサイトに挿入して、プラスミド、pSAMDCpro1000:
GUSとpSAMDCpro500:GUSを得た。
限酵素、XbaI およびBamHIで切断し、電気泳動後、XbaI
-BamHI断片をプラスミド、pBI101−HmB(奈良
先端大学、新名淳彦教授から入手)の制限酵素、XbaIお
よびBamHIサイトに挿入して、新規なプラスミド、pB
I101-SAMDCpro1000:GUSとpBI101-SAMDCpro500:GUS
を得た。次いで、該プラスミド、pBI101-1000:GUS
とpBI101-500:GUSで大腸菌JM109を形質転換して、
Escherichia coli JM109/pBI101-SAMpro1000:GUSおよび
Escherichia coli JM109/pBI101-SAMpro500:GUSを得
た。この工程を図1に示す。 (3) プラスミドのアグロバクテリウムへの導入 (2)で得られた大腸菌、Escherichia coli JM109/pBI1
01-SAMDCpro1000:GUSおよびEscherichia coli JM109/pB
I101-SAMDCpro500:GUSを、それぞれ59mg/Lのカナ
マイシンを含むLB培地で、37℃で一晩、培養し、そ
れぞれの大腸菌からプラスミドを抽出した。抽出したプ
ラスミド2μlとELECTOROMAX A.tumefaciens LBA4404ce
ll(GIBCO BRL社)50μlを混ぜ、ジーンパルサーIIエレ
クトロポレーションシステム(BIO-RAD社)により、Cuv
ett Gap 0.2cm、Voltage 2.5KV、Field strength 12.5K
V/cm、Capacity 25μF、Resistor200Ωの条件でエレク
トロポレーションを行った。その後、SOC培地で2時
間、28℃で培養を行い、50mg/lカナマイシンYEP
培地上に塗布した。28℃で2日間培養した後、単一コ
ロニーを選択した。得られた形質転換体をLBA4404/pBI1
01-SAMDCpro1000:GUS、LBA4404/pBI101-SAMDCpro500:GU
Sと命名した。 (4) 無菌タバコの栽培 タバコの種子(奈良先端大学、新名惇彦教授から入手)
数10粒を1.5mlチューブに入れ、70%エタノー
ル1mlを加え、3分間放置した。続いて、滅菌液(5%
次亜塩素酸ナトリウム、0.02%TritonX-100)に3分間浸
し、滅菌水で5回洗浄した後に、MSプレート(1リットル
あたりでムラシゲ−スクーグ無機塩類4.3g、ショ糖30g
、ミオイノシトール0.1g、ジェランガム2.5g、pH5.7)
に置床した。このプレートを25℃の植物インキュベータ
ー(サンヨー製、MLR-350HT)中で、約2週間培養し
た。発芽後、上記と同様のMS培地を含む植物培養用ポッ
トに移植し、約1ヶ月育成した。 (5) アグロバクテリウムの感染 前記(4) で1ヶ月培養したタバコの葉を、メスで約1.
0cm程度に切りそろえ、液体MS培地上に浮遊させ、
上記(3)にて得た形質転換体、LBA4404/ pBI101-SAMDCpr
o1000:GUSとLBA4404/ pBI101-SAMDCpro500:GUSを28℃、
2日間培養した培養液50μLを添加し、それぞれ別のシ
ャーレ中で2日間、25℃、暗黒化で共存培養を行った。 (6) 除菌 共存培養後の葉片を、滅菌水で数回洗浄した。 (7) 形質転換植物の選択 除菌済みのタバコ葉片をカナマイシン(100mg/L)、ハ
イグロマイシン(20mg/L)、カルベニシリン(250mg/
L)、ナフタレン酢酸(0.02mg/L)、ベンジルアミノプ
リン(1mg/L)を含むMS培地に静置し、光強度4000
ルクスで培養した。以後、1週間毎に新しいMSプレー
トに移植した。形質転換した葉片は増殖を続け、ドーム
状に盛り上がったカルス状のものから、約1カ月後、シ
ュートが形成された。 (8) 形質転換植物の再生 シュートとなった植物体の根元を、カルス部分を含まな
いように剃刃もしくはメスで切り取り、MS培地を含む植
物培養用ポットに軽く乗せるように挿して、25℃、16時
間の光照射、8時間の暗黒化の条件で育成した。 (9) 形質転換体の確認 前記(8)で育成した植物体から、1枚の葉を切り出
し、Plant DNAZOL(GIBCO BRL社)を用いてでゲノムDN
Aを抽出し、配列番号11および12のプライマーを用いて
PCRを行うことにより、目的のDNA断片が含まれることを
確認した。 実施例2:CaMV35Sプロモーターを持つ形質転換タバコ
の作製 (1) β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)と
の融合 CaMV35Sプロモーター(35S)を含むプラスミド、pBI22
1(Clontech社)を制限酵素、XbaIおよびHindIIIで切断
した後、アガロースゲル電気泳動を行って、該プラスミ
ド中の35Sプロモーターを取り出した。この35Sプロモー
ターをプラスミド、pBI101−HmB(奈良先端大
学、新名淳彦教授から入手)の制限酵素、XbaIおよびHi
ndIIIサイトに挿入して、新規なプラスミド、pBI35
S:GUSを得た。次いで、該プラスミド、pBI35S:
GUSで大腸菌JM109を形質転換して、Escherichi
a coli JM109/pBI101-35S:GUSを得た。この工程を図1
に示す。 (2) プラスミドのアグロバクテリウムへの導入 (1)で得られた大腸菌、Escherichia coli JM109/pBI
101-35S:GUSを、それぞれ59mg/Lのカナマイシンを
含むLB培地で、37℃で一晩、培養し、それぞれの大
腸菌からプラスミドを抽出した。抽出したプラスミド2
μlとELECTOROMAX A.tumefaciens LBA4404cell(GIBCO
BRL社)50μlを混ぜ、ジーンパルサーIIエレクトロポ
レーションシステム(BIO-RAD社)により、Cuvett Gap
0.2cm、Voltage 2.5KV、Field strength 12.5KV/cm、Ca
pacity 25μF、Resistor200Ωの条件でエレクトロポレ
ーションを行った。その後、SOC培地で2時間、28℃で
培養を行い、50mg/lカナマイシンYEP培地上に塗
布した。28℃で2日間培養した後、単一コロニーを選
択した。得られた形質転換体をLBA4404/pBI101-35S:GUS
と命名した。 (3) 無菌タバコの栽培 タバコの種子(奈良先端大学、新名惇彦教授から入手)
数10粒を1.5mlチューブに入れ、70%エタノー
ル1mlを加え、3分間放置した。続いて、滅菌液(5%
次亜塩素酸ナトリウム、0.02%TritonX-100)に3分間浸
し、滅菌水で5回洗浄した後に、MSプレート(1リットル
あたりでムラシゲ−スクーグ無機塩類4.3g、ショ糖30g
、ミオイノシトール0.1g、ジェランガム2.5g、pH5.7)
に置床した。このプレートを25℃の植物インキュベータ
ー(サンヨー製、MLR-350HT)中で、約2週間培養し
た。発芽後、上記と同様のMS培地を含む植物培養用ポッ
トに移植し、約1ヶ月育成した。 (4) アグロバクテリウムの感染 前記(4) で1ヶ月培養したタバコの葉を、メスで約1.
0cm程度に切りそろえ、液体MS培地上に浮遊させ、
上記(3)にて得た形質転換体、LBA4404/pBI35S:GUSを28
℃、2日間培養した培養液50μLを添加し、それぞれ別
のシャーレ中で2日間、25℃、暗黒化で共存培養を行っ
た。 (5) 除菌 共存培養後の葉片を、滅菌水で数回洗浄した。 (6) 形質転換植物の選択 除菌済みのタバコ葉片をカナマイシン(100mg/L)、ハ
イグロマイシン(20mg/L)、カルベニシリン(250mg/
L)、ナフタレン酢酸(0.02mg/L)、ベンジルアミノプ
リン(1mg/L)を含むMS培地に静置し、光強度4000
ルクスで培養した。以後、1週間毎に新しいMSプレー
トに移植した。形質転換した葉片は増殖を続け、ドーム
状に盛り上がったカルス状のものから、約1カ月後、シ
ュートが形成された。 (7) 形質転換植物の再生 シュートとなった植物体の根元を、カルス部分を含まな
いように剃刃もしくはメスで切り取り、MS培地を含む植
物培養用ポットに軽く乗せるように挿して、25℃、16時
間の光照射、8時間の暗黒化の条件で育成した。 (8) 形質転換体の確認 前記(8)で育成した植物体から、1枚の葉を切り出
し、Plant DNAZOL(GIBCO BRL社)を用いてでゲノムDN
Aを抽出し、配列番号11および12のプライマーを用いて
PCRを行うことにより、目的のDNA断片が含まれることを
確認した。 実施例3:GUS活性の測定 (1)パーティクルガンによるプロモーター活性の評価 前記実施例1(2)で得られたpSAMDCpro1000:GUSと
pBI221を野生型タバコの葉を用いて、パーティクルガン
(Bio-Rad社)による一過性発現での、GUS活性を観察し
た。植物サンプルの準備として、タバコの葉を、0.25%
のゲランガムを含む培地状に並べた。撃ち込む粒子は、
金粒子60mgを計量し、1mlの70%エタノールを加え、ボル
テックスで5分間撹拌した。15分静置後、10000rpm5秒
間遠心し、上清を除去後、以下の作業を3回繰り返す。
1mlの滅菌水を加え、1分間ボルテックス、1分間静
置、10000rpm2秒間遠心、上清除去。繰り返した後、1m
lの滅菌水を加え、50μlづつ分注し、−20℃で保存し、
金粒子を5分間ボルテックスを行った。ボルテックスを
しながら、5μl DNA (1mg/1ml )、50μl 2.5M CaCl2
、20μl 0.1M spermidineを加え、さらに3分間ボルテ
ックスを行い、1分間静置し、微粒子を沈殿させた。10
000rpm,10秒間遠心し、上清を除去し、ペレットを乱さ
ないように250μlの100%エタノールを加え、ボルテック
スでしっかりと撹拌させた後、遠心を行い上清を除去し
た。30μl 100%エタノールを添加し、ボルテックスで
しっかりと撹拌して、金粒子へpSAMDCpro1000:GUS
とPBI221を吸着させた。その後、キャリアーディスクを
1枚づつ70%エタノール中で洗浄し、十分に乾燥させ、
そのキャリアーの中心部分に上記で準備した金粒子を5
マイクロμlづつ添加し、乾燥させることにより、パー
ティクルガンの準備を行った。
m圧力1350psi、発射口から距離3段でそれぞれ2回ずつ
撃ち込んだ。染色は、GUS染色液(50mM リン酸バッフ
ァー、0.5Mフェリシアン化カリウム、0.5Mフェロシアン
化カリウム、1mM X-Gluc)に浸し、真空装置で吸引して
溶液を試料内部までよく染み込ませ、37℃で一晩イン
キュベートして、GUSのスポットを確認した。(図2,
3) (2)形質転換タバコの染色によるプロモーター活性の
確認 前記実施例1(9)および実施例2(8)で得られたLB
A4404/pBI101-SAMDCpro1000:GUSとLBA4404/pBI101-SAMD
Cpro500:GUSとLBA4404/pBI101-35S:GUSによる形質転換
タバコを、4℃、暗黒化、4日間の低温処理に続き、25
℃、暗黒化、1日間の処理を行ったあと、GUS染色液
(50mM リン酸バッファー、0.5Mフェリシアン化カリウ
ム、0.5Mフェロシアン化カリウム、1mM X-Gluc)に浸
し、真空装置で吸引して溶液を試料内部までよく染み込
ませ、37℃で一晩インキュベートして、クロロフィル
を除くため、50%エタノールに10分間、100%エ
タノールに10時間浸した。特にLBA4404/pBISAMpro100
0:GUSとLBA4404/pBI35S:GUSにおいて、GUSよる染色が見
られた (図4,6)。また、LBA4404/pBISAMpro500:GUS
では、GUSによる染色が見られなかった。(図5)。 (3)形質転換タバコの定量的GUS活性の測定 前記実施例1(9)および実施例2(8)で得られたLB
A4404/pBI101-SAMDCpro1000:GUSとLBA4404/pBI101-SAMD
Cpro500:GUSとLBA4404/pBI35S:GUSによる形質転換タバ
コを、4℃、暗黒化、4日間の低温処理に続き、25℃、
暗黒化、1日間の処理を行ったものと、25℃、暗黒化、
同期間の処理を行ったものを準備した。GUS 活性は、4
−メチルウンベリフェリルグルクロナイド(4-MUG )を
分解して、4ーメチルウンベリフェロン(4-MU)を生成
する反応を指標として測定した。処理を行った葉、約1
00mgを500μlの緩衝液(50mM リン酸ナトリウム
(pH7.0), 10mM EDTA, 0.1% Triton X-100, 0.1% サル
コシル)中で、乳鉢と乳棒を用いて磨砕し、磨砕液を遠
心分離し、上清を得た。このうち10μlに90μlの1m
Mの4−メチルウンベリフェリルグルクロナイド(4-MU
G )を加え、37℃で反応を行い、1時間後に、900μ
lの0.2M炭酸ナトリウムを加え反応を停止した。そ
の反応液中に生じた4−メチルアンベリフェロン(4-M
U)の蛍光(365nm励起、455nm発光)を測定し、G
US-活性を算出した。また、得られた抽出液のタンパク
質濃度の定量は、Protein assay reagent (BIO-RAD
社)を用いた方法で行った。それぞれの形質転換タバコ
について、GUS 活性を測定した結果を下記表1に示す。
数字は、1mgの抽出液のタンパク質量あたり、1分間に
生成する4-MUの量として示してある。特にLBA4404/pBI1
01-35S:GUSでは、温度処理に関係なく、常に強いプロ
モーター活性が見られた。LBA4404/pBI101-SAMDC1000:G
USでは、低温処理を与えたものに特に強いプロモーター
活性が見られた。また、LBA4404/pBI101-SAMDCpro500:G
USでは、プロモーター活性がほとんど見られなかった。
(図7、8) これらの結果より、本発明のDNAは、温度により、キ
メラ遺伝子を約5〜10倍多く発現させるように制御でき
ることが分かった。実施例4 SPDSの上流領域を持つ形
質転換タバコの作製 (1) スペルミジン合成酵素遺伝子、SPDSの上流領域 (SP
DS pro)のクローニング クロダネカボチャ(Cucurbita ficifolia Bouche)の播種
後、1ヶ月育成した幼植物体を用いて、Plant DNAZOL(G
IBCO BRL社)を用いてでゲノムDNAを抽出し、インバ
ース(inverse) PCR法でゲノムDNAのクローニング
を行った。すなわち、制限酵素NcoI、BamHI、SphI、Dra
I、AIW44I で1μgのゲノムDNAを切断した後、Liga
tion high(東洋紡社)でセルフライゲーションさせ
た。ライゲーションしたDNA 300ngを鋳型にしてPC
R試薬キット(LA-PCR キット、宝酒造)を用いて、SPDS
の5‘上流域を増幅させた。該反応は、配列番号14お
よび15に示した核酸配列を有する第1プライマー群を
用い、94℃、15秒間および65℃、12分間を28
サイクル実施した。次に、このPCR産物を用いて、配
列番号16および17に示した塩基配列を有する第2プ
ライマー群を用いて、同様の条件でPCRを行った。こ
のPCR産物を電気泳動で量および長さを確認し、得ら
れたDNA断片をAdvanTAge PCR Cloning Kit(Clontech
社)を用いて、ベクターpTAdvに導入し、大腸菌JM
109を形質転換して、クローニングした。その後、AB
I PRISM 310 Genetic Analyzer(ABI社)を用いて、SPD
Sの5‘上流域塩基配列を決定した。該塩基配列はプラ
イマーの配列よりcDNAと全て一致し、cDNAに対
応するゲノム領域であることが確認できた。さらに、転
写阿開始点から約1000bpになるように、両端に制限酵素
サイト(XbaI、BamHI)を付加した配列番号18および
19のプライマーを設計し、pBluescriptのMCSへ挿入
し、p SPDS 1000proと名付けた。この塩基配列を配列番
号13に示す。さらに同様に転写阿開始点から500bpに
なるものも配列番号20および21により作製し、pSPD
S500proと名付けた。この塩基配列を配列番号22に示
す。 (2) β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)との
融合 β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を含むプラスミ
ド、pBI221(Clontech社)を制限酵素、BamHIおよびEco
RIで切断した後、アガロースゲル電気泳動を行って、該
プラスミド中のGUS遺伝子を取り出した。このGUS
遺伝子をプラスミド、上記のベクターp SPDS 1000proと
p SPDS 500proのpBluescript上の制限酵素、BamHIおよ
びEcoRIサイトに挿入して、プラスミド、pSPDSpro100
0:GUSとpSPDSCpro500:GUSを得た。この工程を図
9に示す。また、p SPDS 1000proとp SPDS 500proを制
限酵素、XbaI およびBamHIで切断し、電気泳動後、XbaI
-BamHI断片をプラスミド、pBI101−HmB(奈良
先端大学、新名淳彦教授から入手)の制限酵素、XbaIお
よびBamHIサイトに挿入して、新規なプラスミド、pB
I101- SPDS pro1000:GUSとpBI101- SPDS pro500:G
USを得た。次いで、該プラスミド、pBI101-SPDS1000:
GUSとpBI101-SPDS500:GUSで大腸菌JM109を形質
転換して、Escherichia coli JM109/pBI101-SPpro1000:
GUSおよびEscherichia coli JM109/pBI101-SPpro500:GU
Sを得た。この工程を図14に示す。 (3) プラスミドのアグロバクテリウムへの導入 (2)で得られた大腸菌、Escherichia coli JM109/pBI1
01-SPDSpro1000:GUSおよびEscherichia coli JM109/pBI
101-SPDSpro500:GUSを、それぞれ59mg/Lのカナマ
イシンを含むLB培地で、37℃で一晩、培養し、それ
ぞれの大腸菌からプラスミドを抽出した。抽出したプラ
スミド2μlとELECTOROMAX A.tumefaciensLBA4404cell
(GIBCO BRL社)50μlを混ぜ、ジーンパルサーIIエレク
トロポレーションシステム(BIO-RAD社)により、Cuvet
t Gap 0.2cm、Voltage 2.5KV、Field strength 12.5KV/
cm、Capacity 25μF、Resistor200Ωの条件でエレクト
ロポレーションを行った。その後、SOC培地で2時間、2
8℃で培養を行い、50mg/lカナマイシンYEP培地上
に塗布した。28℃で2日間培養した後、単一コロニー
を選択した。得られた形質転換体をLBA4404/pBI101- SP
DS pro1000:GUS、LBA4404/pBI101- SPDS pro500:GUSと
命名した。 (4) 無菌タバコの栽培 タバコの種子(奈良先端大学、新名惇彦教授から入手)
数10粒を1.5mlチューブに入れ、70%エタノー
ル1mlを加え、3分間放置した。続いて、滅菌液(5%
次亜塩素酸ナトリウム、0.02%TritonX-100)に3分間浸
し、滅菌水で5回洗浄した後に、MSプレート(1リットル
あたりでムラシゲ−スクーグ無機塩類4.3g、ショ糖30g
、ミオイノシトール0.1g、ジェランガム2.5g、pH5.7)
に置床した。このプレートを25℃の植物インキュベータ
ー(サンヨー製、MLR-350HT)中で、約2週間培養し
た。発芽後、上記と同様のMS培地を含む植物培養用ポッ
トに移植し、約1ヶ月育成した。 (5) アグロバクテリウムの感染 前記(4) で1ヶ月培養したタバコの葉を、メスで約1.
0cm程度に切りそろえ、液体MS培地上に浮遊させ、
上記(3)にて得た形質転換体、LBA4404/ pBI101- SPDS p
ro1000:GUSとLBA4404/ pBI101- SPDS pro500:GUSを28
℃、2日間培養した培養液50μLを添加し、それぞれ別
のシャーレ中で2日間、25℃、暗黒化で共存培養を行っ
た。 (6) 除菌 共存培養後の葉片を、滅菌水で数回洗浄した。 (7) 形質転換植物の選択 除菌済みのタバコ葉片をカナマイシン(100mg/L)、ハ
イグロマイシン(20mg/L)、カルベニシリン(250mg/
L)、ナフタレン酢酸(0.02mg/L)、ベンジルアミノプ
リン(1mg/L)を含むMS培地に静置し、光強度4000
ルクスで培養した。以後、1週間毎に新しいMSプレー
トに移植した。形質転換した葉片は増殖を続け、ドーム
状に盛り上がったカルス状のものから、約1カ月後、シ
ュートが形成された。 (8) 形質転換植物の再生 シュートとなった植物体の根元を、カルス部分を含まな
いように剃刃もしくはメスで切り取り、MS培地を含む植
物培養用ポットに軽く乗せるように挿して、25℃、16時
間の光照射、8時間の暗黒化の条件で育成した。 (9) 形質転換体の確認 前記(8)で育成した植物体から、1枚の葉を切り出
し、Plant DNAZOL(GIBCO BRL社)を用いてでゲノムDN
Aを抽出し、配列番号23および24のプライマーを用
いてPCRを行うことにより、目的のDNA断片が含まれるこ
とを確認した。 実施例5:GUS活性の測定 (1)パーティクルガンによるプロモーター活性の評価 前記実施例4(2)で得られたpSPDS pro1000:GUSと
pBI221を野生型タバコの葉を用いて、パーティクルガン
(Bio-Rad社)による一過性発現での、GUS活性を観察し
た。植物サンプルの準備として、タバコの葉を、0.25%
のゲランガムを含む培地状に並べた。撃ち込む粒子は、
金粒子60mgを計量し、1mlの70%エタノールを加え、ボル
テックスで5分間撹拌した。15分静置後、10000rpm5秒
間遠心し、上清を除去後、以下の作業を3回繰り返す。
1mlの滅菌水を加え、1分間ボルテックス、1分間静
置、10000rpm2秒間遠心、上清除去。繰り返した後、1m
lの滅菌水を加え、50μlづつ分注し、−20℃で保存し、
金粒子を5分間ボルテックスを行った。ボルテックスを
しながら、5μl DNA (1mg/1ml )、50μl 2.5M CaCl2
、20μl 0.1M spermidineを加え、さらに3分間ボルテ
ックスを行い、1分間静置し、微粒子を沈殿させた。10
000rpm,10秒間遠心し、上清を除去し、ペレットを乱さ
ないように250μlの100%エタノールを加え、ボルテック
スでしっかりと撹拌させた後、遠心を行い上清を除去し
た。30μl 100%エタノールを添加し、ボルテックスで
しっかりと撹拌して、金粒子へpSPDSpro1000:GUSと
PBI221を吸着させた。その後、キャリアーディスクを1
枚づつ70%エタノール中で洗浄し、十分に乾燥させ、そ
のキャリアーの中心部分に上記で準備した金粒子を5マ
イクロμlづつ添加し、乾燥させることにより、パーテ
ィクルガンの準備を行った。
m圧力1350psi、発射口から距離3段でそれぞれ2回ずつ
撃ち込んだ。染色は、GUS染色液(50mM リン酸バッフ
ァー、0.5Mフェリシアン化カリウム、0.5Mフェロシアン
化カリウム、1mM X-Gluc)に浸し、真空装置で吸引して
溶液を試料内部までよく染み込ませ、37℃で一晩イン
キュベートして、GUSのスポットを確認した。(図1
0,11) (2)形質転換タバコの染色によるプロモーター活性の
確認 前記実施例4(9)で得られたLBA4404/pBI101-SPDSpro
1000:GUSによる形質転換タバコを、4℃、暗黒化、4日
間の低温処理に続き、25℃、暗黒化、1日間の処理を行
ったあと、GUS染色液(50mM リン酸バッファー、0.5M
フェリシアン化カリウム、0.5Mフェロシアン化カリウ
ム、1mM X-Gluc)に浸し、真空装置で吸引して溶液を試
料内部までよく染み込ませ、37℃で一晩インキュベー
トして、クロロフィルを除くため、50%エタノールに
10分間、100%エタノールに10時間浸した。LBA4
404/pBISPDSpro1000:GUSにおいて、GUSよる染色が見ら
れた(図12)。 実施例6 アルギニン脱炭酸酵素の上流領域を持つ形質
転換タバコの作製 (1) アルギニン脱炭酸酵素遺伝子、ADCの上流領域 (ADC
Cpro)のクローニング クロダネカボチャ(Cucurbita ficifolia Bouche)の播種
後、1ヶ月育成した幼植物体を用いて、Plant DNAZOL(G
IBCO BRL社)を用いてでゲノムDNAを抽出し、インバ
ース(inverse) PCR法でゲノムDNAのクローニング
を行った。すなわち、制限酵素EcoRV、SacI、SphI、で
1μgのゲノムDNAを切断した後、Ligation high
(東洋紡社)でセルフライゲーションさせた。ライゲー
ションしたDNA 300ngを鋳型にしてPCR試薬キット
(LA-PCR キット、宝酒造)を用いて、ADCの5‘上流域を
増幅させた。該反応は、配列番号27および28に示した核
酸配列を有する第1プライマー群を用い、94℃、15
秒間および65℃、12分間を28サイクル実施した。
次に、このPCR産物を用いて、配列番号26および29に
示した塩基配列を有する第2プライマー群を用いて、同
様の条件でPCRを行った。このPCR産物を電気泳動
で量および長さを確認し、得られたDNA断片をAdvanTA
ge PCR Cloning Kit(Clontech社)を用いて、ベクター
pTAdvに導入し、大腸菌JM109を形質転換して、
クローニングした。その後、ABI PRISM 310 Genetic An
alyzer(ABI社)を用いて、ADCの5‘上流域塩基配列を
決定した。該塩基配列はプライマーの配列よりcDNA
と全て一致し、cDNAに対応するゲノム領域であるこ
とが確認できた。さらに、転写阿開始点から約1000bpに
なるように、両端に制限酵素サイト(XbaI、BamHI)を
付加した配列番号30および31のプライマーを設計し、PC
Rにより増幅し、TAKARA BKL Kitを用いてPUC118のMCSへ
挿入し、pADC1000proと名付けた。この塩基配列を配列
番号25に示す。 (2) β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)との
融合 β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を含むプラスミ
ド、pBI221(Clontech社)を制限酵素、で切断した後、
アガロースゲル電気泳動を行って、該プラスミド中のG
US遺伝子を取り出した。このGUS遺伝子をプラスミ
ド、上記のベクターpADC1000proのpBluescript上の制限
酵素、BamHIおよびEcoRIサイトに挿入して、プラスミ
ド、pADCpro1000:GUSを得た。この工程を図13に示
す。また、pADC1000proを制限酵素、XbaI およびBamHI
で切断し、電気泳動後、XbaI-BamHI断片をプラスミド、
pBI101−HmB(奈良先端大学、新名淳彦教授か
ら入手)の制限酵素、XbaIおよびBamHIサイトに挿入し
て、新規なプラスミド、pBI101-ADCpro1000:GUS
を得た。次いで、該プラスミド、pBI101-ADC1000:GU
Sで大腸菌JM109を形質転換して、Escherichia co
li JM109/pBI101-ADCpro1000:GUSを得た。この工程を図
14に示す。 (3) プラスミドのアグロバクテリウムへの導入 (2)で得られた大腸菌、Escherichia coli JM109/pBI1
01-ADCpro1000:GUSを、それぞれ59mg/Lのカナマイ
シンを含むLB培地で、37℃で一晩、培養し、それぞ
れの大腸菌からプラスミドを抽出した。抽出したプラス
ミド2μlとELECTOROMAX A.tumefaciens LBA4404cell
(GIBCO BRL社)50μlを混ぜ、ジーンパルサーIIエレク
トロポレーションシステム(BIO-RAD社)により、Cuvet
t Gap 0.2cm、Voltage 2.5KV、Field strength 12.5KV/
cm、Capacity 25μF、Resistor200Ωの条件でエレクト
ロポレーションを行った。その後、SOC培地で2時間、2
8℃で培養を行い、50mg/lカナマイシンYEP培地上
に塗布した。28℃で2日間培養した後、単一コロニー
を選択した。得られた形質転換体をLBA4404/pBI101-ADC
pro1000:GUSと命名した。 (4) 無菌タバコの栽培 タバコの種子(奈良先端大学、新名惇彦教授から入手)
数10粒を1.5mlチューブに入れ、70%エタノー
ル1mlを加え、3分間放置した。続いて、滅菌液(5%
次亜塩素酸ナトリウム、0.02%TritonX-100)に3分間浸
し、滅菌水で5回洗浄した後に、MSプレート(1リットル
あたりでムラシゲ−スクーグ無機塩類4.3g、ショ糖30g
、ミオイノシトール0.1g、ジェランガム2.5g、pH5.7)
に置床した。このプレートを25℃の植物インキュベータ
ー(サンヨー製、MLR-350HT)中で、約2週間培養し
た。発芽後、上記と同様のMS培地を含む植物培養用ポッ
トに移植し、約1ヶ月育成した。 (5) アグロバクテリウムの感染 前記(4) で1ヶ月培養したタバコの葉を、メスで約1.
0cm程度に切りそろえ、液体MS培地上に浮遊させ、
上記(3)にて得た形質転換体、LBA4404/ pBI101-ADCpro1
000:GUSを28℃、2日間培養した培養液50μLを添加し、
それぞれ別のシャーレ中で2日間、25℃、暗黒化で共存
培養を行った。 (6) 除菌 共存培養後の葉片を、滅菌水で数回洗浄した。 (7) 形質転換植物の選択 除菌済みのタバコ葉片をカナマイシン(100mg/L)、ハ
イグロマイシン(20mg/L)、カルベニシリン(250mg/
L)、ナフタレン酢酸(0.02mg/L)、ベンジルアミノプ
リン(1mg/L)を含むMS培地に静置し、光強度4000
ルクスで培養した。以後、1週間毎に新しいMSプレー
トに移植した。形質転換した葉片は増殖を続け、ドーム
状に盛り上がったカルス状のものから、約1カ月後、シ
ュートが形成された。 (8) 形質転換植物の再生 シュートとなった植物体の根元を、カルス部分を含まな
いように剃刃もしくはメスで切り取り、MS培地を含む植
物培養用ポットに軽く乗せるように挿して、25℃、16時
間の光照射、8時間の暗黒化の条件で育成した。 (9) 形質転換体の確認 前記(8)で育成した植物体から、1枚の葉を切り出
し、Plant DNAZOL(GIBCO BRL社)を用いてでゲノムDN
Aを抽出し、配列番号23および24のプライマーを用いて
PCRを行うことにより、目的のDNA断片が含まれることを
確認した。 実施例7 GUS活性の測定 (1)パーティクルガンによるプロモーター活性の評価 前記実施例6(2)で得られたpADCpro1000:GUSとpB
I221を野生型タバコの葉を用いて、パーティクルガン
(Bio-Rad社)による一過性発現での、GUS活性を観察し
た。植物サンプルの準備として、タバコの葉を、0.25%
のゲランガムを含む培地状に並べた。撃ち込む粒子は、
金粒子60mgを計量し、1mlの70%エタノールを加え、ボル
テックスで5分間撹拌した。15分静置後、10000rpm5秒
間遠心し、上清を除去後、以下の作業を3回繰り返す。
1mlの滅菌水を加え、1分間ボルテックス、1分間静
置、10000rpm2秒間遠心、上清除去。繰り返した後、1m
lの滅菌水を加え、50μlづつ分注し、−20℃で保存し、
金粒子を5分間ボルテックスを行った。ボルテックスを
しながら、5μl DNA (1mg/1ml )、50μl 2.5M CaCl2、
20μl 0.1M spermidineを加え、さらに3分間ボルテッ
クスを行い、1分間静置し、微粒子を沈殿させた。1000
0rpm,10秒間遠心し、上清を除去し、ペレットを乱さな
いように250μlの100%エタノールを加え、ボルテックス
でしっかりと撹拌させた後、遠心を行い上清を除去し
た。30μl 100%エタノールを添加し、ボルテックスで
しっかりと撹拌して、金粒子へpSAMDCpro1000:GUS
とPBI221を吸着させた。その後、キャリアーディスクを
1枚づつ70%エタノール中で洗浄し、十分に乾燥させ、
そのキャリアーの中心部分に上記で準備した金粒子を5
マイクロμlづつ添加し、乾燥させることにより、パー
ティクルガンの準備を行った。
m圧力1350psi、発射口から距離3段でそれぞれ2回ずつ
撃ち込んだ。染色は、GUS染色液(50mM リン酸バッフ
ァー、0.5Mフェリシアン化カリウム、0.5Mフェロシアン
化カリウム、1mM X-Gluc)に浸し、真空装置で吸引して
溶液を試料内部までよく染み込ませ、37℃で一晩イン
キュベートして、GUSのスポットを確認した。 (2)形質転換タバコの定量的GUS活性の測定 前記実施例6(9)および実施例2(8)で得られたLB
A4404/pBI101-ADCpro1000:GUSとLBA4404/pBI35S:GUSに
よる形質転換タバコを、4℃、暗黒下、5日間の低温処
理に続き、25℃、暗黒下、1日間の処理を行ったもの
と、25℃、暗黒下、同期間の処理を行ったものと、4
℃、光あり、5日間の低温処理に続き、25℃、光あり、
1日間の処理を行ったものと、25℃、光有り、同期間の
処理を行ったものを準備した。GUS 活性は、4−メチル
ウンベリフェリルグルクロナイド(4-MUG )を分解し
て、4ーメチルウンベリフェロン(4-MU)を生成する反
応を指標として測定した。処理を行った葉、約100m
gを500μlの緩衝液(50mM リン酸ナトリウム(pH7.
0), 10mM EDTA, 0.1% Triton X-100, 0.1% サルコシ
ル)中で、乳鉢と乳棒を用いて磨砕し、磨砕液を遠心分
離し、上清を得た。このうち10μlに90μlの1mMの
4−メチルウンベリフェリルグルクロナイド(4-MUG )
を加え、37℃で反応を行い、1時間後に、900μlの
0.2M炭酸ナトリウムを加え反応を停止した。その反
応液中に生じた4−メチルアンベリフェロン(4-MU)の
蛍光(365nm励起、455nm発光)を測定し、GUS-活
性を算出した。また、得られた抽出液のタンパク質濃度
の定量は、Protein assay reagent (BIO-RAD社)を用
いた方法で行った。それぞれの形質転換タバコについ
て、GUS 活性を測定した結果を下記表1に示す。数字
は、1mgの抽出液のタンパク質量あたり、1分間に生成
する4-MUの量として示してある。特にLBA4404/pBI101-3
5S:GUSでは、温度処理に関係なく、常に強いプロモー
ター活性が見られた。LBA4404/pBI101-ADC1000:GUSで
は、低温処理を与えたものに特に強いプロモーター活性
が見られた。(図15,16) これらの結果より、本発明のDNAは、光にほとんど左
右されることなく、温度により、キメラ遺伝子を約2〜
4倍多く発現させるように制御できることが分かった。
GUS、pSAMDCpro500:GUSおよびpBI101-SAMDCpro1000:GU
S、 pBI101-SAMDCpro1000:GUS 、pBI101-35S:GUSの構築
工程を表す図である。
一過性発現を確認した図である。
認した図である。
転換タバコをGUS染色した図である。
換タバコをGUS染色した図である。
転換タバコをGUS染色した図である。
のGUS酵素の発現量を定量的に測定し、25℃の活性を1.0
とした場合の4℃の活性を相対的に表した図である。前
記実施例に記載のLBA4404/pBI101-SAMDCpro1000:GUSとS
AMDCpro1000が対応し、LBA4404/pBI101-SAMDCpro500:GU
SとSAMDCpro500が対応し、LBA4404/pBI101-35S:GUSと35
Sが対応する。それぞれ独立の2ラインを反復数2回で
行い、その平均値を表している。
のGUS酵素の発現量を定量的に測定した。前記実施例に
記載のLBA4404/pBI101-SAMDCpro1000:GUSとSAMDCpro100
0が対応し、LBA4404/pBI101-SAMDCpro500:GUSとSAMDCpr
o500が対応し、LBA4404/pBI101-35S:GUSと35Sが対応す
る。それぞれ独立の2ラインを反復数2回で行い、その
平均値を表している。
US、pSPDSpro500:GUSの構築工程を表す図である。
で一過性発現を確認した図である。
確認した図である。
転換タバコをGUS染色した図である。
00:GUSの構築工程を表す図である。
0と pBI101-ADCpro1000:GUSの構築工程を表す図であ
る。
コのGUS酵素の発現量を定量的に測定し、25℃の活性を
1.0とした場合の4℃の活性を相対的に表した図であ
る。前記実施例に記載のLBA4404/pBI101-ADCpro1000:GU
SとSAMDCpro1000が対応し、LBA4404/pBI101-35S:GUSと3
5Sが対応する。darkは暗黒下で処理を行ったサンプル、
lightは光がある条件で処理を行ったサンプルである。
それぞれ独立の2ラインを反復数2回で行い、その平均
値を表している。
コのGUS酵素の発現量を定量的に測定した。前記実施例
に記載のLBA4404/pBI101-ADCpro1000:GUSとSAMDCpro100
0が対応し、LBA4404/pBI101-35S:GUSと35Sが対応する。
darkは暗黒下で処理を行ったサンプル、lightは光があ
る条件で処理を行ったサンプルである。それぞれ独立の
2ラインを反復数2回で行い、その平均値を表してい
る。
Claims (26)
- 【請求項1】植物由来S−アデノシルメチオニン脱炭酸
酵素遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片。 - 【請求項2】以下の(a)または(b)のDNAを含むDNA断
片。 (a)配列番号1の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA - 【請求項3】以下の(a)または(b)のDNAを含む請求
項1記載のDNA断片。 (a)配列番号1の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA - 【請求項4】請求項2または3の塩基配列からなるDNA
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ
植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA断
片。 - 【請求項5】温度により制御可能な請求項1から4のい
ずれか1項に記載のDNA断片。 - 【請求項6】請求項1から5のいずれか1項に記載のDN
A断片を含むベクター。 - 【請求項7】異種遺伝子が該DNA断片の転写制御下にあ
る請求項6記載のベクター。 - 【請求項8】請求項6または7記載のベクターを宿主植
物細胞に導入した形質転換植物。 - 【請求項9】請求項8記載の形質転換植物から得られた
種子及びその子孫。 - 【請求項10】植物由来のスペルミジン合成酵素遺伝子
のプロモーター活性を有するDNA断片。 - 【請求項11】以下の(a)または(b)のDNAを含むDNA
断片。 (a)配列番号13の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA - 【請求項12】以下の(a)または(b)のDNAを含む請
求項10に記載のDNA断片。 (a)配列番号13の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA - 【請求項13】請求項11または12の塩基配列からな
るDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつ植物プロモーターとして作用する能力を有する
DNA断片。 - 【請求項14】請求項10から13のいずれか1項に記
載のDNA断片を含むベクター。 - 【請求項15】異種遺伝子が該DNA断片の転写制御下に
ある請求項14記載のベクター。 - 【請求項16】請求項14または15に記載のベクター
を宿主植物細胞に導入した形質転換植物。 - 【請求項17】請求項16記載の形質転換植物から得ら
れた種子及びその子孫。 - 【請求項18】植物由来のアルギニン脱炭酸酵素遺伝子
のプロモーター活性を有するDNA断片。 - 【請求項19】以下の(a)または(b)のDNAを含むDNA
断片。 (a)配列番号25の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA - 【請求項20】以下の(a)または(b)のDNAを含む請
求項18に記載のDNA断片。 (a)配列番号25の塩基配列からなるDNA (b)(a)の塩基配列において1もしくは複数の塩基配
列が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、
かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA
断片。 - 【請求項21】請求項19または20に記載の塩基配列
からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし、かつ植物プロモーターとして作用する能力を有
するDNA。 - 【請求項22】温度により制御可能な請求項18から21の
いずれか1項に記載のDNA断片。 - 【請求項23】請求項18から22のいずれか1項に記
載のDNA断片を含むベクター。 - 【請求項24】異種遺伝子が該DNA断片の転写制御下に
ある請求項23記載のベクター。 - 【請求項25】請求項23または24に記載のベクター
を宿主植物細胞に導入した形質転換植物。 - 【請求項26】請求項25記載の形質転換植物から得ら
れた種子及びその子孫。
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2002
- 2002-03-08 JP JP2002063742A patent/JP3772974B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US8884101B2 (en) | 2009-07-29 | 2014-11-11 | Japan Tobacco Inc. | Method of gene introduction into Triticum plant using Agrobacterium, and a method of producing transformed Triticum plant |
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