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JP2003180754A - 車椅子 - Google Patents

車椅子

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JP2003180754A
JP2003180754A JP2001380613A JP2001380613A JP2003180754A JP 2003180754 A JP2003180754 A JP 2003180754A JP 2001380613 A JP2001380613 A JP 2001380613A JP 2001380613 A JP2001380613 A JP 2001380613A JP 2003180754 A JP2003180754 A JP 2003180754A
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seat
wheelchair
person
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pair
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Katsuji Suzuki
勝二 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リフター機能を有する移乗装置を搭載した車椅
子を提供すること。 【解決手段】キャスターC1、C2と車輪Wとで移動自
在に支持した台座1と、この台座1に立設した一対の支
柱2と、この支柱2に直交し、上下動可能に延設した座
席枠3と、支柱2の上部に枢軸4を介して回動可能に連
結した支持軸5と、この支持軸5に直交して延設したア
ームレスト6と、このアームレスト6の長手方向に移動
可能に装着したボディサポータ7とを備え、座席枠3に
座面部材を開閉可能に装着した車椅子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脚腰の筋力が弱っ
た老人、肢体不自由者等を、ベッドから車椅子、あるい
は便座等へ相互移乗する際に介助者の補助をする機能を
備えた車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の移乗装置としては、でん
部や背中を包持するシートからなる吊り具を、傾動可能
に立設したリフターに係止し、電動にてリフターを上下
動、および回動することにより、老人等をベッドから車
椅子、あるいは便座等に移乗させていた。然しながら、
吊り具による移動中の動揺は被介助者に不安を与えるば
かりでなく、車椅子や便座に座している老人のでん部に
シートをあてがい、左右バランス良く、かつ、弛み箇所
がないように吊り具を装着し、さらに用済み後それを外
す作業は煩雑であり、脱着介助作業も介助者にとっては
体力を要するものであった。さらに、この移乗装置を利
用しての衣服や下着の脱着介助ができず、予め吊り具を
装着する前に事前事後の脱着を余儀なくされていたた
め、老人等、被介助者の自尊心を傷付けるケースも多数
潜在していた。
【0003】こうした課題を解決するものとして、例え
ば、図8乃至図11に示すものがある。この移乗装置
は、キャスターを有する台座50上に設けた主柱51
と、この主柱51の膝高さ相当の位置Oから傾動可能に
設けた枝柱52と、この枝柱52の先に挿入し、上体の
保持具53を一元的に支える継支柱54と、主柱51の
中間点Pに設けたペダル55と、このペダル55と枝柱
52とを連結するリンク56とからなる。
【0004】また、上体の保持具53は、腹当て57
と、ハンドル58の軸心に回動自在に装着したヒンジブ
ロック59と、このヒンジブロック59の端部にピン6
0を介して連結し、略水平八の字に開いた二股状のアー
ムバー61と、このアームバー61に略直交して配し、
アームバー61を下方から支承する滑り金具62と、ア
ームバー61と継支柱54に跨架したアームレスト63
とからなる(特開平5−42183号公報参照)。
【0005】以上の移乗装置を用いて、例えば、ベッド
から車椅子等への移乗は次の手順で行う(図11参
照)。 腰掛姿勢にある被介助者の手前にこの移乗装置を近付
け、台座50に足を乗せて膝が膝当て64に当る位置ま
で寄せる。 枝柱52を傾斜させて腹当て57を当て、予め開いて
おいたアームバー61を脇の下に当て、滑り金具62上
に乗せる。 両腕は自然の姿勢でアームレスト63に乗せ、必要に
応じて体に合わせて継支柱54を伸縮させる。 介助者はペダル55を踏みながらハンドル58を手前
に引き寄せ、被介助者の体を傾動させて立ち上がらせ、
ロックを掛けベッドから移乗装置に移乗させる。 移乗装置を適宜方向転換し、移動させて車椅子に近付
ける。 その後、ロックを外し、ペダル55を踏みながら被介
助者を車椅子に着座させる。
【0006】然しながら、前述した移乗装置において、
吊り具のシート脱着の煩雑さが解消し、移乗装置を利用
しての衣服や下着の脱着介助が可能になったものの、移
乗の度に脇の下や腹部を圧迫され、下方にずれ落ちない
ように必死にしがみつかねばならないことは、体の弱っ
た病人等には辛いことである。また、汎用の車椅子との
干渉の恐れがあり、さらには車椅子と別体で、キャスタ
ーを有する移乗装置のため、一人の介助者で安全に、か
つ安定した移乗介助をするには未だ課題を残していた。
さらに、病室外の離れた便所の便座に移乗させたい時に
は、被介助者を移乗させた車椅子のみならず、この移乗
装置も便所まで運搬しなければならないため、介助者に
多大な手間をかけることになる。したがって、この移乗
装置は、各室に配備する必要性が生じ、室外への運搬は
不適といえる。
【0007】一方、移乗装置を利用しての衣服や下着の
脱着介助が可能で、かつ、車椅子自体に被介助者の体重
を一時支え、座面が出入りできる装置を有した車椅子も
ある。この車椅子100は、図12、13に示すよう
に、キャスターと車輪で支持し、足乗せ部103と肘掛
け部104と背もたれ部105を有する外枠101に、
座席部108と背部109を有する内枠102を水平ピ
ン110で回転可能に結合すると共に、外枠101の背
もたれ部105と内枠102の背部109とをねじ棒1
11で連結している。
【0008】用便時、この車椅子100に被介助者を着
座させたまま後ろ向きに便座上に進入し、次にねじ棒1
11を回転させて座席部108を持ち上げ、外枠101
の上部連結棒112に設けた体重支持具114を、被介
助者の脇の下に入れて吊った状態にする。そして、ねじ
棒111を回転させて座席部108のみを下げると座席
シート116を後方に引き出すことができる。その後、
座席部108を上げて体重支持具114を被介助者から
外して被介助者の体重を受け、さらに座席部108を下
げることにより、座席シート116を便座に敷いて座る
ことができる。なお、座席シート116の前部は便座の
大きさに楕円穴を切除しているため、座席シート116
を敷いて便座に座わることができる(特開平11−24
4337号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、こうした
車椅子では、内枠102の座席部108を頻繁に上下動
させなければならない上に、体重支持具114で体を吊
り上げることは、腕で挟むようにしがみつかねばならな
いため、一時的であっても脇の下に苦痛や不快感を与
え、腕力や体力の弱った病人等には、衣類脱着介助中に
体重支持部114から腕を滑らせ、ずれ落ちる恐れがあ
る。さらに、車椅子に内蔵した座席シート116を敷い
て便座に座るため、座席シート116を汚染して衛生上
好ましくない。また、被介助者が穴開きの座席シート1
16に着座する方法では、体重支持部114で被介助者
を吊り上げ、座席部108ででん部を浮かしても、ベッ
ドやシャワー椅子等に直接移乗させることは不可能であ
り、介助者が被介助者を抱き上げて移乗させる必要が生
じる。したがって、ベッドからベッドに戻るまでの全過
程において、介助者にかかる労力は完全に解消されてい
ない。
【0010】したがって、前述した従来の移乗装置や車
椅子は未だ充分とは言えず、介護現場における実用化を
妨げ、普及の阻害因子となっている。高齢化が進む近
年、立位歩行障害者の増加が予想される中で、被介助者
の体力増進や精神機能の刺激効果を高め、自立性向上と
人間らしい質的生活環境の確立に寄与し、介助者、被介
助者双方にとって、身体的、心理的負担が極力排除さ
れ、衛生的で、かつ介助者の簡単な操作で、安全で安定
した移乗動作が可能な移乗装置の開発が望まれていた。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、介護現場のニーズに対応し、リフター機能を
有する移乗装置を搭載した車椅子を提供することを目的
としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明のうち請求項1記載の発明は、キャスターと
車輪とで移動自在に支持した台座と、この台座に立設し
た一対の支柱と、この支柱に直交し、上下動可能に凸設
した一対の座席枠と、前記支柱の上部に枢軸を介して回
動可能に連結した支持軸と、この支持軸に直交して凸設
した一対のアームレストと、このアームレストの長手方
向に移動可能に装着したボディサポータとを備え、前記
座席枠に座面部材を開閉可能に装着した構成を採用し
た。
【0013】このように、車椅子にリフター機能と、上
下動可能な座席枠に座面部材を開閉可能な機能を有する
移乗装置を搭載したので、介助者の簡単な操作で、安全
で安定した移乗動作が可能となり、被介助者に不快感や
不安感を与えることなく、ボディサポータに身を預ける
がごとくに寄りかかるだけで、楽に移乗が達成でき、仮
性寝たきり老人等の早期床離れを促し、体力増進や精神
機能の刺激効果を高めると共に、自立性と人間らしい質
的生活環境の確立に寄与することができる。
【0014】さらに、請求項2に記載の発明のように、
ボディサポータを前記アームレストに対して着脱可能と
したので、例えば、被介助者がベッドから車椅子に移乗
する際、このボディサポータを予め取り外して開放空間
を確保し、無理なく移乗することができる他、バックレ
ストとして活用することができる。
【0015】また、請求項3に記載の発明のように、座
席部材が、前記一対の座席枠の少なくとも一方に回転自
在に装着したロールと、このロールに巻回したシートと
を備えていれば、被介助者がでん部を僅かに浮かすのみ
で出し入れすることができ、かつ便座に直接シートを接
触させないため衛生的である。
【0016】また、請求項4に記載の発明のように、座
席部材が、前記一対の座席枠に回動自在に装着した一対
のセパレートシートを備えていれば、簡単な構造で、か
つ電動による自動化が容易にできる。
【0017】また、請求項5に記載の発明のように、座
席部材が、前記一対の座席枠の前後方向に進退自在に装
着した蛇腹状シートを備えていれば、座面シートの剛性
を高めることができ、被介助者の体形に合った座面も適
宜設定することが可能で、電動による自動化も容易であ
る。
【0018】また好ましくは、請求項6に記載の発明の
ように、キャスターを前記車椅子の前後に一対装着する
ことにより、車椅子を小さな力で容易に前後左右、自由
に方向転換させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る車輪
用軸受装置の実施形態を示す側面図、図2は図1のA矢
視図である。
【0020】図1は、本発明に係る車椅子を通常の移動
用として使用する場合の状態を示している。この車椅子
は、キャスターC1、C2と車輪Wとで移動自在に支持
した台座1と、この台座1に立設した一対の支柱2と、
この支柱2に直交し、上下動可能に凸設した一対の座席
枠3と、支柱2の上部に枢軸4を介して回動可能に連結
した支持軸5と、この支持軸5に直交して凸設した一対
のアームレスト6と、このアームレスト6の長手方向に
移動可能に装着したボディサポータ7と、着脱可能なハ
ンドル9、およびバックベルト12を備えている。
【0021】前輪は左右独立式のストッパー(図示せ
ず)を有したキャスターC1をなし、後輪も同じく前後
左右首振り自在なキャスターC2をなしている。台座1
の略中間に位置する車輪Wは、空気入りタイヤからな
り、走行を安定させると共に、ベッド下の空間に台座1
が潜り込めるように小径に設定している。この車輪W
は、床面の凹凸に対応できるよう、支軸W1は揺動板W
2を介して台座1に上下揺動可能に取り付けている。ま
た、走行中の衝撃を緩和するために、この揺動板W2と
台座1との間にスプリング(図示せず)を介在させてい
る。さらに、この車輪Wには、左右連動式のフートブレ
ーキ(図示せず)、または、レバー式のハンドブレーキ
(図示せず)を装着している。
【0022】台座1は、略H型をなし、中央に図示しな
いバッテリー等を搭載することができる空間を有してい
る。台座1の前部には、折り畳み式のフートレスト8を
装着している。このフートレスト8は、キャスターC1
や台座1から被介助者の足を保護するためにその側壁8
aを高く設定している。
【0023】台座1に立設する一対の支柱2は、外筒2
aと昇降軸2bとからなり、この昇降軸2bを外筒2a
内に上下動可能に挿入して高さ調整ができるようになっ
ている。この昇降軸2bの位置決め固定は簡単なセット
ピン(図示せず)としているが、電動シリンダ等で自動
化することもできる。また、外筒2aの内側位置には被
介助者が移乗する時の障害にならないよう、角度と前後
調整可能に、また、後述する座席枠3に連動して上下動
可能にレッグレスト13(図3参照)を備えている。
【0024】一対の座席枠3は、支柱2の昇降軸2bに
直交して凸設している。したがって、台座1に対してこ
の座席枠3は上下動可能となっており、ベッドや便座等
の設備の空間に適応して高さ調整することができる。こ
の座席枠3には後述する座面シート14を内蔵してお
り、状況に応じて出し入れすることができる。
【0025】支持軸5は、支柱2の上部に設けた枢軸4
を介して回動可能に支柱2と連結している。回動範囲
は、後述する被介助者の体重を支持する座面シートの種
類によってことなるが、垂直位置を基点として、最大前
方に60°、後方に5°程度回動できるように設定して
いる。
【0026】この支持軸5に直交して一対のアームレス
ト6を凸設し、先端部にはハンドル9と後述するボディ
サポータ(以下BSという)7を着脱自在に装着してい
る。このハンドル9には凸状の係止部(図示せず)を一
体に形成しており、アームレスト6の先端面に形成した
凹部(図示せず)に係止し、適宜なロック機構によって
固定している。また、ハンドルに9は、介助者が握り易
く、けがをしないように楕円形、あるいはまゆ形の孔を
形成しており、介助の際に外した手前のハンドル9を反
対側のハンドル9にかけておくのに便利である。
【0027】アームレスト6の長手方向には長孔6aを
形成し、連結ブロック10を装着している。この連結ブ
ロック10は断面ロの字形をしており、その一辺10a
が長孔6aに係合し、連結ブロック10がアームレスト
6の長手方向に移動するのを許容している。また、連結
ブロック10にはBS7が係合する連結部10bを一体
に有し、BS7を着脱可能に固定する。BS7の着脱に
は、適宜なロック機構(図示せず)、例えば、上部7a
の中央部を介助者が握る等、簡単な操作で係合部が進退
しロック解除できるようにしている。
【0028】BS7は、車椅子を通常の移動用として使
用する場合は、車椅子後部に装着して背もたれとして使
用し、ベッド等から車椅子へ移乗する場合には、車椅子
の前部に装着し、被介助者の上体を支持する部材として
使用する。このBS7は、被介助者の胸背部を支持する
上部7aと、被介助者の腹腰部を支持する下部7bと、
これら上部7aと下部7bとを屈曲自在に連結する継手
部7cとからなる。上部7aは、被介助者に違和感を生
じさせないよう、その体形に合せて湾曲した凹所を形成
している。一方、下部7bは、先端部が開口した略コの
字状をなしている。またこの下部7bには被介助者ので
ん部を安定よく保持するための側壁7dを一体に有して
いる。さらに、この下部7bの開口部には、被介助者の
腰部に異物感を与えないように、布製の腰部支持バンド
11を装着することができる。
【0029】継手7cによって、上部7aと下部7bの
角度を無段階に調整することができる。例えば、伸展0
°を基点に、屈曲15°までの範囲と、過伸展10°の
範囲を5°幅で適宜なロック機構で段階的に角度調整す
ることもできる。被介助者を移乗させる時は、この上部
7aの方向に下部7bを屈曲し、半分に折り畳んでコン
パクト化し、移乗介助がしやすくなるように構成してい
る。また、被介助者の胸部と下腹部(骨盤前部)の体型
に適合するように、下部7bの角度を調整し、BS7を
バックレストとして使用する際も、被介助者の背腰部の
カーブに適合する角度に設定して、快適に身を預けるた
めの構成としている。
【0030】図3は本発明に係る車椅子を、例えば、被
介助者が用便時に車椅子から便座へ移乗する際、移乗装
置として使用する場合の状態を示す平面図である。予め
連結ブロック10をアームレスト6に沿って後部から前
部に移動させ、BS7を被介助者の背もたれとして支持
する支持部材に使用することになる。この時、BS7を
外して表裏を反転させる方が、被介助者の体にBS7が
馴染むので好ましい。また、ハンドル9とバックベルト
12は、介助者側を外して反対側にかけておき、バック
ベルト12を開放する。また、ベッド等から車椅子に移
乗する時は、一時このBS7を外しておくか、装着した
状態でBS7の下部7bを折り畳んでおくと、開放空間
が広くなるため、被介助者の不自由な脚の介助や脱衣準
備、あるいは着衣介助に便利である。なお、外したBS
7は、被介助者の脚を所定の位置に保持する等、必要な
介助が終わった後、アームレスト6の前方に移している
連結ブロック10に装着すれば良い。
【0031】ベッド等から便所まで移動する場合は、車
椅子に移乗させた後、バックベルト12とハンドル9を
装着し、BS7に寄りかかっている被介助者の腰部支持
バンド11を外して上体を起こし、バックベルト12に
寄りかかった腰掛け姿勢で便所等に進行する。
【0032】次に図4を用いて、ベッド等から便所まで
の移動、および用便時の動作と操作説明を行なう。 1.ベッドから被介助者を起こす前に、車椅子を予め次
の手順で準備しておく。 車輪Wのブレーキを掛けず、車椅子の位置を適宜変更
できるようにしておく。 被介助者の体重を支える座面シート14は、座席枠3
内に収納し、ベッドの高さに合わせ、昇降軸2bを上下
動させ高さ調整しておく。 アームレスト6を水平位置0°にし、BS7をアーム
レスト6の最前部に移動して、前傾50〜60°の範囲
内で選定しロックする。次いでBS7の上部7a方向に
下部7bを折り畳んでおく。 フートレスト8を引き出し、BS7の腰部支持バンド
11を広げ、バックベルト12とハンドル9は、介助者
側を外して反対側のハンドル9にかけ、バックベルト1
2を開放しておく。 被介助者を腰掛ける位置を予測し、車椅子を被介助者
の足側のベッドサイドにバックして横付けする。 2.被介助者をベッドサイドに腰掛けさせたら、介助者
は被介助者側の手で体を支え、転落等の不安を感じさせ
ないように注意し、バランス良く保持する。 3.他方の手で車椅子を正面から静かに引き寄せ、被介
助者の脚を片方ずつフートレスト8に仮置きした後、車
椅子をベッドの奥まで押し入れ、左右連動式のフートブ
レーキを掛ける。 4.被介助者の体を支えながら、予め外しておいたバッ
クベルト12とハンドル9を装着し、それに被介助者を
寄りかからせる。ここで、被介助者を支えていた手は完
全に離せるため、靴を履かせ、床に脚を降ろす。次い
で、予め上方に折り畳んでおいたBS7の下部7bを広
げてロックする。 5.BS7を手動、または電動操作によって下部7bの
下端が被介助者の下腹部(骨盤前部)に適合する位置ま
で接近させる。次いで、被介助者の両腕をBS7、また
はアームレスト6に仮置きする。 6.BS7の下部7bが被介助者の下腹部に正しくセッ
トされているか確認すると共に、被介助者をBS7に上
体を預けるように寄りかからせる。両腕は、上体の重心
を前方に充分移動させるために、BS7の両側から回し
て前方に降ろし、腕を組むようにして自分の膝を抱える
ような体勢を取らせる。続いて、腰部支持バンド11を
腰部に装着する。被介助者が半身不随であっても、健康
な手で麻痺側の腕を抱えることが可能である。この体勢
は、アームレスト6が傾動するにしたがって、BS7と
被介助者の上体も水平位に近付き、BS7で受ける下腹
部と胸部に加わる圧力は分散されるため、脇の下や腹部
には苦痛や不快感を与えることなく、快適に身を預ける
ことができる。 7. 支持軸5とアームレスト6を手動、または電動に
て傾斜させ、BS7に身を預けている被介助者のでん部
を浮上させる。 8.でん部が僅かに浮上している間に、介助者の反対側
に装着した後述する座面シート14を座席枠3から引き
出し、介助者側のロック装置(図示せず)をロックす
る。 9.前記7項の逆操作で、でん部を静かに座面シート1
4上に降ろし、被介助者を腰掛けさせた後、車輪Wのブ
レーキを解除して便所に向う。 10.バックして便所に入り、便座の上に座面シート1
4が適合する位置で車輪Wにブレーキを掛ける。次い
で、昇降軸2bを下降させ、座面シート14を便座の高
さで停止する。 11.フートレスト8から脚を床に降ろし、両脚の前面
をやや前傾位置に設定したレッグレスト13にセット
し、予め脱衣の準備を行なう。 12.前記6、7項の操作を繰り返し、被介助者のでん
部が浮上したところで座面シート14を座席枠3に収納
し、脱衣介助する。 13.その後、被介助者のでん部を静かに降ろし、直接
便座上に正しく腰掛けさせる。用便後は、前記した逆操
作を行なう。
【0033】アームレスト6の回転軸である枢軸4を被
介助者の膝関節運動軸に略一致する位置に設けることに
より、被介助者の大腿部はアームレスト6と略平行して
傾動する。その時、被介助者の上体はBS7と共に上体
の重心も頭側に移動する。被介助者の上体が略水平に近
付くにつれ、骨盤前部(下腹部)と前胸部に加わる重力
は均等化するため、被介助者はBS7に身を預けるだけ
で楽にでん部が浮上する。
【0034】人体の重心は骨盤のほぼ中央に位置する仙
骨岬角の前部にあることから、下腹部でその仙骨岬角前
部に最も近い部分が骨盤前部両側の腸骨棘付近(左右の
腰骨を結ぶ線と恥骨と臍を結ぶ線の交点と略一致する)
にあたる。したがって、BS7の下部7bの先端をこの
骨盤前部に適合するように、中央部を凹型にし、下腹部
の圧迫を回避し、その両側を凸型にして骨盤前部の両側
が適合するようにしている。このように、BS7による
上体支持機構は、人体の重心に最も近い骨盤前部で支持
するようにしたため、脇の下でアームレスト6にしがみ
つく必要がなく、胸郭(肋骨で囲まれた籠状の部分で、
胸背部周辺を指す)を締め付けるバンド類も不要とな
る。したがって、腕力が低下した重度立位歩行困難な被
介助者にも適用することができる。また、腰部支持バン
ド11についても、骨盤部やでん部を安定して保持する
程度に使用するだけで良く、むしろ起動中に被介助者が
体勢を変えたりしないように安全上装着するものであ
る。
【0035】以下、移乗目的がシャワー室、あるいは食
堂や手作業でテーブルに対応させたい時の説明を行う。
例えば、シャワー専用車椅子に着座させたい時は、前述
の便座に直接腰掛けさせる要領で行い、座面枠3に座面
シート14を収納したまま、ハンドル9とバックベルト
12を外して車椅子を室外に出し、シャワー介助の邪魔
にならないようにしておく。また、食事や手作業等でテ
ーブルに着けたい時は、昇降軸2Bでアームレスト6を
テーブルの下に入り込むところまで下降させ、デスクタ
イプ車椅子として用いることができる。このように、被
介助者が移乗装置にある一定の時間着座する場合は、脱
着可能なBS7をアームレスト6の最後部に移し、バッ
クレストとして活用できるようにしたため、この車椅子
に着座した被介助者の腹側は開放され、BS7が食事や
手作業の邪魔にならない。
【0036】次に、本発明に係る車椅子に装備した座面
シートの実施形態を図5〜図7に基き詳細に説明する。
図5はロール式の座面シート14で、ロール15に巻回
した状態で一対の座席枠3の一方に収納している。軸受
を介してこのロール15を回転自在に支承し、手動で回
転可能なように座席枠3から端部を突出させてつまみと
している。なお、電動で回転駆動させる場合は、このロ
ール15の他端部にモータ(図示せず)を接続すれば良
い。なお、一対の座席枠3の両方にロール15を収納
し、一方を巻き取り用として駆動させるようにしても良
い。
【0037】座面シート14は布やレザー等、柔軟で強
度の高い材質を使用し、その一端はロール15に固着
し、他端にロック棒16を固着している。被介助者をこ
の座面シート14に着座させる場合は、ロール15を逆
回転させて座面シート14を引き出すか、座面シート1
4を直接引き出すかして対向する座席枠3に掛け渡し、
座席枠3の他側に設けた係止溝(図示せず)にロック棒
16を装着する。なお、ロール15にラチェット等のワ
ンウェイクラッチ機構(図示せず)を設けることによ
り、座面シート14を適宜な位置でロック可能にすれ
ば、張り具合を調整することもでき、さらには、電動、
手動に係わらず、巻き取り減速機等を付設してその速度
を適宜設定することも可能である。
【0038】安全のため、ロック棒16を係止溝に装着
した際、ロック音と共に、係止溝に設けたマグネットで
吸引し、確実にロックすることができる。さらに、ロッ
ク棒16に中央に座席枠3から差し渡したフック(図示
せず)を係止させることにより、二重のロック構造を装
備している。ここで、座面シート14を引き出してから
ロックが完了するまでの間、警告ランプ(図示せず)が
点滅する装置等を付設して視聴覚による安全対策を施し
ている。
【0039】図6に座面シートの他の実施形態を示す。
この座面シート17は、セパレート型で、一対のシート
部材17a、17aからなる。シート部材17aは回動
軸17bを一体に設け、図示しない軸受を介して座席枠
(図示せず)に回動自在に装着している。また、回動軸
17bは水平位置0°から100°程度まで自動、また
は手動操作で開閉するようになっており、自動の場合
は、回動軸17bを電動モータ(図示せず)と連結させ
る。なお、シート部材17aが水平になった時に、ロッ
ク音を発して回動軸17bをロックする。また、シート
部材17aは水平位置から下方には動かず、二重ロック
構造の安全対策を施している。
【0040】図7に座面シートの他の実施形態を示す。
この座面シート18は、シャッター式で、蛇腹状の座面
シート18を台座1の収納箱18a内に収納する。座面
シート18を開放するには、収納箱18aに内蔵した巻
取り軸(図示せず)を減速機付きモータ18bで回転さ
せ、また閉じるには、この座面シート18の先端に係止
したワイヤー(図示せず)を図示しない巻取り装置で巻
き取ればできる。
【0041】座席枠3’の内壁には長手方向に延びるガ
イド溝3aを形成している。一方、座面シート18の側
面には軸受(図示せず)を配し、このガイド溝3a上を
滑らかに滑動するようにしている。また、座面シート1
8の中央部に被介助者のでん部に適合する湾曲部を形成
すれば、特に長時間車椅子を使用する場合等に快適性を
与えるのに有効である。なお、ここではワイヤーを座席
枠3’の先端に装着した滑車(図示せず)に掛け渡し、
巻き取る電動式を例示したが、これに限らず、手動によ
って座面シート18を開閉しても良い。
【0042】被介助者が座面シート18に腰掛けている
時や、被介助者の体の一部がこの座面シート18に接触
している時、あるいは、座面シート18を開放した時
に、このシャッター式の座面シート18が誤動作しない
ように、ロック装置(図示せず)を設けてモータが作動
しないようにしている。
【0043】ロック装置としては、座面シート18に圧
力センサ、座面シート18にリミットスィッチ等を設け
るのが好ましい。また、座面シート18がベッドや便座
面に接触しないように、ギャップセンサ等を設け、支柱
2の下降を停止させるようにすると良い。ここでもロッ
ク不良や作動中を知らせる警告ランプ類を付設するよう
にすれば安全性の面で好ましい。
【0044】前述した車椅子は、座面シート14、1
7、18を開いて座席枠3に開放空間を設けることがで
きるため、車椅子一体の移乗装置として用いる以外に、
アームレスト6を昇降軸2bで被介助者の身長に応じた
高さに調整して握らせ、やや前傾した立位姿勢でBS7
に上体を預けるようにすると、要介護レベルの人の歩行
訓練機として適用できる。また、ベッドサイドにおける
簡便な立位訓練機としても充分活用でき、多彩な機能を
有している。
【0045】以上、本発明の実施の形態について説明を
行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定され
るものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨
を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実
施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特
許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の
範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更
を含む。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る車椅
子は、車椅子にリフター機能を有する移乗装置を搭載し
たので、介助者の簡単な操作で、安全で安定した移乗動
作が可能となり、被介助者に不快感や不安感を与えるこ
となく、体力増進や精神機能の刺激効果を高めて人間ら
しい質的生活環境を確立することができる。また、ボデ
ィサポータを取り外して開放空間を確保し、無理なく移
乗することができるだけでなく、座面シートを開くだけ
で座席枠に開放空間を作ることができる台座や支柱構造
であるため、多彩な機能性を有する車椅子を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車椅子の実施形態を示す側面図
【図2】図1のA矢視図
【図3】本発明に係る車椅子を移乗装置として使用する
場合の状態を示す平面図
【図4】移乗動作を説明するための説明図
【図5】本発明に係る車椅子における座面シートの実施
形態を示す斜視図
【図6】同上座面シートの他の実施形態を示す斜視図
【図7】同上
【図8】従来の移乗装置を示す側面図
【図9】同上平面図
【図10】図8のB−B線に沿った矢視図
【図11】従来の移乗装置の動作説明図
【図12】従来の車椅子の側面図
【図13】同上背面図
【符号の説明】
1・・・・・・・・台座 2・・・・・・・・支柱 2a・・・・・・・外筒 2b・・・・・・・昇降軸 3、3’・・・・・座席枠 3a・・・・・・・ガイド溝 4・・・・・・・・枢軸 5・・・・・・・・支持軸 6・・・・・・・・アームレスト 6a・・・・・・・長孔 7・・・・・・・・ボディサポータ 7a・・・・・・・上部 7b・・・・・・・下部 7c・・・・・・・継手部 7d・・・・・・・側当て 8・・・・・・・・フートレスト 8a・・・・・・・側壁 9・・・・・・・・ハンドル 10・・・・・・・連結ブロック 10a・・・・・・一辺 10b・・・・・・連結部 11・・・・・・・腰部支持バンド 12・・・・・・・バックベルト 13・・・・・・・レッグレスト 14、17、18・座面シート 17a・・・・・・シート部材 17b・・・・・・回動軸 18a・・・・・・収納箱 18b・・・・・・減速機付きモータ C1、C2・・・・キャスタ W・・・・・・・・車輪 W1・・・・・・・支軸 W2・・・・・・・揺動板 50・・・・・・・台座 51・・・・・・・主柱 52・・・・・・・枝柱 53・・・・・・・保持具 54・・・・・・・継支柱 55・・・・・・・ペダル 56・・・・・・・リンク 57・・・・・・・腹当て 58・・・・・・・ハンドル 59・・・・・・・ヒンジブロック 60・・・・・・・ピン 61・・・・・・・アームバー 62・・・・・・・滑り金具 63・・・・・・・アームレスト 64・・・・・・・膝当て 100・・・・・・車椅子 101・・・・・・外枠 102・・・・・・内枠 103・・・・・・足乗せ部 104・・・・・・肘掛け部 105・・・・・・背もたれ部 108・・・・・・座席部 109・・・・・・背部 110・・・・・・水平ピン 111・・・・・・ねじ棒 112・・・・・・上部連結部 114・・・・・・体重支持具 116・・・・・・座席シート O・・・・・・・・膝高さ位置 P・・・・・・・・中間点

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャスターと車輪とで移動自在に支持した
    台座と、この台座に立設した一対の支柱と、この支柱に
    直交し、上下動可能に凸設した一対の座席枠と、前記支
    柱の上部に枢軸を介して回動可能に連結した支持軸と、
    この支持軸に直交して凸設した一対のアームレストと、
    このアームレストの長手方向に移動可能に装着したボデ
    ィサポータとを備え、前記座席枠に座面部材を開閉可能
    に装着したことを特徴とする車椅子。
  2. 【請求項2】前記ボディサポータを前記アームレストに
    対して着脱可能とした請求項1に記載の車椅子。
  3. 【請求項3】前記座席部材が、前記一対の座席枠の少な
    くとも一方に回転自在に装着したロールと、このロール
    に巻回したシートとを備えている請求項1または2に記
    載の車椅子。
  4. 【請求項4】前記座席部材が、前記一対の座席枠に回動
    自在に装着した一対のセパレートシートを備えている請
    求項1または2に記載の車椅子。
  5. 【請求項5】前記座席部材が、前記座席枠の長手方向に
    進退自在に装着した蛇腹状シートを備えている請求項1
    または2に記載の車椅子。
  6. 【請求項6】前記キャスターを前記車椅子の前後に一対
    装着した請求項1乃至5いずれかに記載の車椅子。
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