Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP2003171307A - マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 - Google Patents

マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤

Info

Publication number
JP2003171307A
JP2003171307A JP2002280632A JP2002280632A JP2003171307A JP 2003171307 A JP2003171307 A JP 2003171307A JP 2002280632 A JP2002280632 A JP 2002280632A JP 2002280632 A JP2002280632 A JP 2002280632A JP 2003171307 A JP2003171307 A JP 2003171307A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
reishi
mmp
ganoderma lucidum
black
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002280632A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3984522B2 (ja
Inventor
Koji Hattori
幸治 服部
Hiroshi Mizutani
宏 水谷
Kazuhisa Osumi
和寿 大隅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nonogawa Shoji Ltd
Original Assignee
Nonogawa Shoji Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nonogawa Shoji Ltd filed Critical Nonogawa Shoji Ltd
Priority to JP2002280632A priority Critical patent/JP3984522B2/ja
Publication of JP2003171307A publication Critical patent/JP2003171307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3984522B2 publication Critical patent/JP3984522B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】マトリックスメタロプロテアーゼ亢進性疾患の
予防、抑制、症状の改善に有効な剤を提供する。 【解決手段】 本発明はマンネンタケの溶媒抽出物を含
有することを特徴とするマトリックスメタロプロテアー
ゼ(MMP)に関する。本発明のマンネンタケの溶媒抽
出物は、MMPの阻害作用を有し、ガンの転移、潰瘍形
成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎、皮膚の老
化等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防、抑
制または症状の改善に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マトリックスメタ
ロプロテアーゼ(MMP)阻害剤に関し、詳しくは、ガ
ンの転移、潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、
歯周炎、皮膚の老化等、MMPの亢進が原因で起こる各
種疾患の予防、抑制または症状の改善に効果が期待で
き、かつ安全性の高いMMP阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ガンは、ほとんどの先進諸国における主
要死亡原因の1つであり、我国では、およそ3割の人が
ガンで亡くなってい状況である。近年の外科療法、放射
線療法の発達により、ガンの原発巣自体はほぼ取り除け
るようになったが、それでも尚死亡率が高いのは、ガン
が転移を起こす性質を有しているためと考えられてお
り、転移が多発するようになったガンを治療することは
現状では非常に困難であると言わざるをえない。従っ
て、従来の原発巣の治療法に加えて、転移を抑制する方
法を確立することが、ガン治療の大きな目的の1つであ
ると考えられる。このような現況の中、徐々にではある
が転移のメカニズムが分子レベルで明らかになりつつあ
り、最近では、その転移プロセスの1つとして細胞外基
質の分解系が注目されている。
【0003】ガンの転移とは、原発部位から離脱したガ
ン細胞が血流に乗って全身に散布され、他の臓器に生着
し、その組織で再び増殖をはじめることである。一般
に、腫瘍組織は、密な細胞外基質に囲まれているため、
ガン細胞が原発部位からの移動を行うためには細胞外基
質の酵素分解を必要とする。細胞外基質はコラーゲン、
エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグ
リカン等の多様な高分子によって構成されており、これ
ら細胞外基質の分解に関わる主要な酵素群が、MMPで
ある。MMPは、ガン組織中で血管が新生される際ある
いはガンが転移する際に、発現量が上昇したり酵素の活
性化が起こることが、例えば下記非特許文献1に記載さ
れている。従って、これらの酵素の発現量の低下や活性
阻害は、ガン細胞の浸潤性を抑制し、転移を抑えること
に繋がると考えられる。
【0004】
【非特許文献1】「腫よう湿潤およびマトリックスメタ
ロプロティナーゼ合成のレチノイド仲介阻害」(Sch
oenermark M P等、『Annals Ne
w York Academy of Science
s』、Vol.878、第466−486頁、1999
年)
【0005】ガン細胞による高分子群の浸潤過程におい
て、とりわけコラーゲンの分解は重要なステップであ
る。例えば、ガン細胞が血管内へ侵入、および血管外へ
脱出するためには、血管の基底膜に存在するIV型コラ
ーゲンを分解する必要があるが、Liottaらはガン
細胞が分泌するIV型コラーゲン分解酵素の作用がガン
の転移能を決定する重要な因子であることを、下記非特
許文献2において示している。MMPに属するゼラチナ
ーゼは、線維芽細胞や内皮細胞、ガン細胞等が産生する
酵素であり、IV型コラーゲン、ゼラチン、エラスチン
等の基質を分解する。従って、例えばゼラチナーゼに対
して阻害活性を有する物質は、ガン組織における血管新
生やガンの転移を抑制する効果が期待され、ガン疾患の
予防、治療に有用であると考えられる。
【0006】
【非特許文献2】「転移可能性と基底膜コラーゲン酵素
分解との相関」(Liotta LA等、『Natur
e』、Vol.284、第67−68頁、1980年)
【0007】MMPはガン疾患のみならず、潰瘍形成、
慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等の種々の病態
での細胞外基質の分解に中心的な役割を果たすことが、
以下の非特許文献3に報告されている。さらに皮膚にお
いては、紫外線等の外部刺激によって活性の亢進したM
MPが皮膚の構造維持に重要な成分を分解することか
ら、紫外線によって活性化する老化促進因子として最近
特に注目されている。
【0008】
【非特許文献3】「組織破壊性プロテアーゼとしてのマ
トリックスメタロプロテアーゼ」(中田光俊、岡田保典
『呼吸』、Vol.18、No.4、第365−37
1頁、1999年)
【0009】それゆえMMPの阻害剤は、MMPの亢進
が原因で起こる上記疾患の治療及び改善に有用であると
考えられることから、各方面で盛んにスクリーニングが
行われてきた。こうした阻害剤については、下記の文献
に記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開平9−40552号公報
【特許文献2】特開平11−147833号公報
【特許文献3】特開2000−226311号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明において
は、高転移性悪性腫瘍細胞株により産生されるMMPに
対して阻害活性を有し、ガンの転移等、MMPの亢進が
原因として起こる疾患を予防及び改善しうるMMP阻害
剤を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、安全性の
高い植物抽出物に素材を求め、MMP阻害活性のスクリ
ーニングを行った。その結果、マンネンタケの溶媒抽出
物が優れたMMP阻害効果を有し、また実験的肺転移モ
デルを用いた動物実験においても、高いガン転移抑制効
果を有していることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、上述の課題の少なくとも一つは、マンネ
ンタケの溶媒抽出物を有効成分とすることを特徴とする
MMP阻害剤によって達成される。
【0013】また、本発明は、マンネンタケの溶媒抽出
物を含有することを特徴とするMMP亢進性疾患の予
防、抑制、または症状の改善などを目的とした医薬品、
医薬部外品、化粧品または食品としても把握することが
できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、詳細に説明する。本発明に用いられるマンネンタケ
は、生薬「霊芝」に用いられる担子菌であり、マンネン
タケ科(Ganodermataceae)、マンネン
タケ属(Ganoderma)に属し、霊芝(赤芝)、
黒霊芝(黒芝)、紫芝等が含まれる。その学名は、文献
[Acta Microbiologica Sini
ca、19(3)、265−279、1979]による
と、霊芝(赤芝)(学名:Ganoderma luc
idum)、黒霊芝(学名:Ganoderma at
rum)、紫芝(学名:Ganoderma sine
nse)に分類されているが、それに限定されるもので
はない。本発明に用いられるマンネンタケは、広く中国
や日本市場で流通されているものを用いることができ
る。また、マンネンタケの中でも、霊芝(赤芝)及び黒
霊芝が好ましく、黒霊芝が最も好ましい。
【0015】抽出する溶媒としては、例えば、水、低級
1価アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブ
タノール等)、液状多価アルコール(1、3−ブチレン
グリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、
ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセト
ニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、
炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、
エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プ
ロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、上
記低級アルコール類及びケトン類等の極性溶媒が良い。
これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いても良
い。また、内服に用いる場合は、この中から内服に適し
た溶媒を選択できる。
【0016】マンネンタケの溶媒抽出物の配合量は特に
限定されないが、MMP亢進性疾患の予防改善医薬品、
医薬部外品、化粧品または食品の全量中、乾燥物として
0.0005〜10.0重量%、好ましくは0.005
〜5.0重量%である。0.0005重量%未満である
と本発明の効果が十分に発揮されにくく、10.0重量
%以上配合しても効果の増強はみられにくく不経済であ
る。
【0017】マンネンタケの溶媒抽出物は、抽出した溶
液のまま用いても良く、必要に応じて濃縮、希釈、濾過
等の処理及び活性炭等による脱色、脱臭処理をして用い
ても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾
燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良
い。
【0018】本発明のMMP阻害剤は、MMP亢進性疾
患の予防、抑制あるいは症状の改善を目的とする医薬
品、医薬部外品、化粧品または食品には、上記抽出物を
そのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範
囲内で、通常の医薬品、医薬部外品、化粧品、食品に用
いられる成分である賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、
崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステ
ル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香
料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化
防止剤、美白剤、キレート剤、油脂類、ロウ類等の成分
を配合することもできる。
【0019】本発明の剤型としては、例えば、散剤、丸
剤、錠剤、注射剤、座剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、
液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナ
ーデ剤等を含む)、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、
エアゾール剤、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーシ
ョン、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラ
スター剤、エッセンス、錠菓、飲料等が挙げられる。
【0020】次に本発明を詳細に説明するため実施例を
挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実
施例に示す配合量の部とは重量部を示す。
【0021】製造例1 黒霊芝の熱水抽出物 黒霊芝の乾燥物20gに400mLの精製水を加え、9
5〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を
濃縮し、凍結乾燥して黒霊芝の熱水抽出物を1.4g得
た。
【0022】製造例2 黒霊芝の50%エタノール抽出
物 黒霊芝の乾燥物100gに900mLの50%エタノー
ルを加えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾
液を濃縮乾固して、黒霊芝の50%エタノール抽出物を
1.9g得た。
【0023】製造例3 黒霊芝のエタノール抽出物 黒霊芝の乾燥物100gに900mLのエタノールを加
えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃
縮乾固して、黒霊芝のエタノール抽出物を1.5g得
た。
【0024】製造例4 霊芝(赤芝)の熱水抽出物 霊芝(赤芝)の乾燥物20gに400mLの精製水を加
え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その
濾液を濃縮し、凍結乾燥して霊芝(赤芝)の熱水抽出物
を2.0g得た。
【0025】製造例5 霊芝(赤芝)の50%エタノー
ル抽出物 霊芝(赤芝)の乾燥物100gに900mLの50%エ
タノールを加えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、
その濾液を濃縮乾固して、霊芝(赤芝)の50%エタノ
ール抽出物を3.1g得た。
【0026】製造例6 霊芝(赤芝)のエタノール抽出
物 霊芝(赤芝)の乾燥物100gに900mLのエタノー
ルを加えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾
液を濃縮乾固して、霊芝(赤芝)のエタノール抽出物を
2.5g得た。
【0027】 実施例1 散剤1 処方 配合量 1.黒霊芝の熱水抽出物(製造例1) 2.0部 2.乾燥コーンスターチ 38.0 3.微結晶セルロース 60.0 [製法]成分1〜3を混合し、散剤1とする。
【0028】実施例2 散剤2 実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を黒霊芝の50
%エタノール抽出物(製造例2)に置き換えたものを散
剤2とする。
【0029】実施例3 散剤3 実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を霊芝(赤芝)
の熱水抽出物(製造例4)に置き換えたものを散剤3と
する。
【0030】実施例4 散剤4 実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を黒霊芝の熱水
抽出物(製造例1)と霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造
例4)の等量混合物に置き換えたものを散剤4とする。
【0031】比較例1 散剤A(マンネンタケの溶媒抽
出物未配合の散剤) 実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を乾燥コーンス
ターチに置き換えたものを散剤Aとする。
【0032】 実施例5 錠剤 処方 配合量 1.黒霊芝のエタノール抽出物(製造例3) 5.0部 2.乾燥コーンスターチ 25.0 3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0 4.微結晶セルロース 40.0 5.ポリビニルピロリドン 7.0 6.タルク 3.0 [製法]成分1〜4を混合し、次いで成分5の水溶液を
結合剤として加えて顆粒成形する。成形した顆粒に成分
6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
【0033】 実施例6 錠菓 処方 配合量 1.霊芝(赤芝)の50%エタノール抽出物(製造例5) 2.0部 2.乾燥コーンスターチ 50.0 3.エリスリトール 40.0 4.クエン酸 5.0 5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0 6.香料 適量 7.水 適量 [製法]成分1〜4及び7を混合し、顆粒成形する。成
形した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.
0gとする。
【0034】 実施例7 飲料 処方 配合量 1.霊芝(赤芝)のエタノール抽出物(製造例6) 1.0部 2.ステビア 0.05 3.リンゴ酸 5.0 4.香料 0.1 5.水にて全量を100とする [製法]成分2及び3を少量の水に溶解する。次いで、
成分1、4及び5を加えて混合する。
【0035】次に、本発明の効果を詳細に説明するた
め、実験例を挙げる。
【0036】実験例−1 MMP阻害試験 ゼラチンザイモグラフィーを用いて、マンネンタケの溶
媒抽出物のゼラチナーゼ活性に対する阻害試験を行っ
た。すなわち、0.6mg/mLのゼラチンを含む10
%SDS−PAGEゲル(1mm厚)を作製し、B16
マウスメラノーマ細胞の培養上清0.014mLを非還
元条件下で電気泳動した。その後ゲルを2.5%Tri
tonX−100(SIGMA社製)の溶液にて室温で
30分間2回洗浄してSDSを除去し、200mM塩化
ナトリウム、5mM塩化カルシウム、0.01%bri
j−35(SIGMA社製)を含む30mMトリス塩酸
緩衝液(pH7.6)中にて37℃で24時間インキュ
ベートした。この際、黒霊芝の熱水抽出物(製造例
1)、霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)または黒
霊芝の熱水抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等量混
合物をゲルを浸した緩衝液中に添加した。反応終了後ゲ
ルを0.2%クマシーブリリアントブルーR(マクシー
社製)の溶液にて染色し、5%メタノール−7.5%酢
酸溶液にて脱色した。青色のゲル上で染色されないバン
ドとして検出されるゼラチナーゼ活性をデンシトメータ
ー(アトー社製、アトーデンシトグラフ、AE−690
5)にて定量化し、阻害率を算出した。阻害率(単位は
%)の計算は、この例では、用いたデシントメータの数
値を利用して、次式(1)により計算した。その結果、
表1に示すように、マンネンタケの溶媒抽出物はB16
マウスメラノーマ細胞の産生するゼラチナーゼを濃度依
存的に阻害した。
【0037】 阻害率={1−(A/B)}×100 …(1) A:マンネンタケの溶媒抽出液を添加した場合のデシン
トメータの数値 B:マンネンタケの溶媒抽出液を添加しない場合のデシ
ントメータの数値
【0038】
【表1】
【0039】実験例−2 MMP阻害試験 また、同様の阻害試験を、霊芝(赤芝)の50%エタノ
ール抽出物(製造例5)、霊芝(赤芝)のエタノール抽
出物(製造例6)、黒霊芝の50%エタノール抽出物
(製造例2)、黒霊芝のエタノール抽出物(製造例3)
を用いて行なった。この結果を、表2に示した。なお、
この4つの例では反応中の終濃度は、いずれも0.03
%と、極めて低濃度であった。にもかかわらず、エタノ
ールを用いて抽出したマンネンタケの抽出物は、B16
マウスメラノーマ細胞の産生するゼラチナーゼを、熱水
抽出物より低濃度で効果的に阻害した。
【0040】
【表2】
【0041】実験例−2 ガン転移抑制試験 C57BL/6マウスに対し、黒霊芝の熱水抽出物(製
造例1)、霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)また
は黒霊芝の熱水抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等
量混合物を1日1回、100mg/kgとなるように腹
腔経路にて1週間連続投与を行った。対照群には生理食
塩水を腹腔内投与した。動物の例数は一群8匹とした。
次いで、B16マウスメラノーマ細胞をマウス1匹あた
り1x105 個となるように尾静脈より注入した。その
後も試料の投与は継続し、ガン細胞の接種から3週間後
に肺を摘出し、10%ホルマリン溶液中で固定した。ホ
ルマリン固定した肺を5葉に分割し、表面に形成された
転移巣の数をカウントした。その結果、表3に示すよう
に、マンネンタケの溶媒抽出物の投与により転移巣の形
成は対照群と比較して有意に抑制され、十分な抗転移効
果を有することがわかった。
【0042】
【表3】
【0043】以上より、黒霊芝の熱水抽出物(製造例
1)、霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)及び黒霊
芝の熱水抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等量混合
物は、MMP阻害作用とガン転移抑制効果に優れてい
た。また、黒霊芝と霊芝(赤芝)の50%エタノール抽
出物及びエタノール抽出物(製造例2,3,5及び6)
についても試験を行ったところ、同様にMMP阻害作用
とガン転移抑制効果に優れていた。
【0044】実験例−3 ガン転移抑制試験 市販の飼料(オリエンタル酵母工業製:マウス・ラット
飼育用−MF)に、黒霊芝の熱水抽出物(製造例1)、
黒霊芝の50%エタノール抽出物(製造例2)、霊芝
(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)または黒霊芝の熱水
抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等量混合物をそれ
ぞれ配合した本発明の散剤1〜4(実施例1〜4)をそ
れぞれ5.0%添加した飼料を調製し、自由に摂取させ
た。同様に、マンネンタケの抽出物未配合の散剤A(比
較例1)を5.0%添加した飼料を調製し、自由に摂取
させた(対照群)。動物の例数は一群8匹とした。散剤
添加飼料による飼育開始から2週間後、実験例2の場合
と同様にガン細胞の移植を行い、3週間後に転移巣の数
をカウントした。その結果、表4に示すように、飼料に
マンネンタケの溶媒抽出物を含む散剤を混合することに
より、転移巣の形成は対照群(比較例)と比較して有意
に抑制され、ガン転移の抑制に効果的であることが示さ
れた。
【0045】
【表4】
【0046】実施例5の錠剤及び実施例6の錠菓につい
ては、乳鉢で粉末化した試料を用いて散剤と同様の試験
を行った。また、実施例7の飲料については、試料0.
3mLを胃ゾンデを用いて1日1回経口投与し、同様に
ガン転移に対する効果を調べた。その結果、実施例5〜
7についても同様のガン転移抑制効果が認められた。
【0047】
【発明の効果】以上より、マンネンタケの溶媒抽出物は
ガン細胞の産生するMMPに対する阻害効果を有し、M
MPが関与して起こるガンの転移に対しても抑制効果を
示した。本発明のMMP阻害剤は、ガンの転移、潰瘍形
成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎、皮膚の老
化等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防、抑
制、症状の改善に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/16 A61P 17/16 19/10 19/10 29/00 101 29/00 101 35/04 35/04 43/00 111 43/00 111 C12N 9/99 C12N 9/99 (72)発明者 大隅 和寿 名古屋市西区鳥見町2丁目7番 日本メナ ード化粧品株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4B018 MD84 ME08 ME10 ME14 MF01 4C083 AA111 AA112 AC302 CC01 EE12 FF01 4C088 AA06 AC16 BA08 BA09 BA10 CA04 CA05 CA06 CA08 NA14 ZA67 ZA68 ZA89 ZA97 ZB15 ZB26 ZC20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マンネンタケの溶媒抽出物を含有すること
    を特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
  2. 【請求項2】黒霊芝の溶媒抽出物を含有することを特徴
    とするマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
  3. 【請求項3】抽出溶媒が水、低級アルコール、液状多価
    アルコールから一種または二種以上選ばれる溶媒による
    抽出物であることを特徴とする請求項1または請求項2
    記載のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
  4. 【請求項4】マンネンタケの溶媒抽出物を含有すること
    を特徴とし、ガンの転移、潰瘍形成、慢性関節リュウマ
    チ、骨粗鬆症、歯周炎及び皮膚の老化に関わるマトリッ
    クスメタロプロテアーゼ亢進性疾患に対する予防、抑制
    または症状の改善を目的とする医薬品、医薬部外品、化
    粧品または食品。
JP2002280632A 2001-09-27 2002-09-26 マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 Expired - Lifetime JP3984522B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002280632A JP3984522B2 (ja) 2001-09-27 2002-09-26 マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-297672 2001-09-27
JP2001297672 2001-09-27
JP2002280632A JP3984522B2 (ja) 2001-09-27 2002-09-26 マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003171307A true JP2003171307A (ja) 2003-06-20
JP3984522B2 JP3984522B2 (ja) 2007-10-03

Family

ID=26623123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002280632A Expired - Lifetime JP3984522B2 (ja) 2001-09-27 2002-09-26 マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3984522B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005029493A (ja) * 2003-07-10 2005-02-03 Nonogawa Shoji Kk エストロゲンレセプター傷害抑制剤
JP2005035898A (ja) * 2003-07-16 2005-02-10 Univ Nihon 発癌予防剤
JP2005298391A (ja) * 2004-04-09 2005-10-27 Nippon Menaade Keshohin Kk マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤
JP2007045713A (ja) * 2005-08-05 2007-02-22 Iskra Ind Co Ltd 霊芝胞子抽出物及び霊芝胞子製剤
JP2008255057A (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Noda Shokukin Kogyo Kk 抗癌剤、抗癌剤の製造方法、及び飲食品
JP2010504339A (ja) * 2006-09-21 2010-02-12 アカデミア シニカ ヒト組織前駆細胞の接着および分化の、レイシ媒介増強
JP2010083795A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Sun Medical Co Ltd 酵素阻害作用または酵素阻害作用と抗菌作用とを有する歯科用組成物
JP2016155789A (ja) * 2015-02-26 2016-09-01 日本メナード化粧品株式会社 外用剤及び内用剤

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005029493A (ja) * 2003-07-10 2005-02-03 Nonogawa Shoji Kk エストロゲンレセプター傷害抑制剤
JP2005035898A (ja) * 2003-07-16 2005-02-10 Univ Nihon 発癌予防剤
JP4625921B2 (ja) * 2003-07-16 2011-02-02 学校法人日本大学 発癌予防剤
JP2005298391A (ja) * 2004-04-09 2005-10-27 Nippon Menaade Keshohin Kk マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤
JP4607484B2 (ja) * 2004-04-09 2011-01-05 日本メナード化粧品株式会社 ガン転移抑制剤
JP2007045713A (ja) * 2005-08-05 2007-02-22 Iskra Ind Co Ltd 霊芝胞子抽出物及び霊芝胞子製剤
JP2010504339A (ja) * 2006-09-21 2010-02-12 アカデミア シニカ ヒト組織前駆細胞の接着および分化の、レイシ媒介増強
JP2008255057A (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Noda Shokukin Kogyo Kk 抗癌剤、抗癌剤の製造方法、及び飲食品
JP2010083795A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Sun Medical Co Ltd 酵素阻害作用または酵素阻害作用と抗菌作用とを有する歯科用組成物
JP2016155789A (ja) * 2015-02-26 2016-09-01 日本メナード化粧品株式会社 外用剤及び内用剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP3984522B2 (ja) 2007-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006124350A (ja) Nmf産生促進剤
KR102346895B1 (ko) Pdrn추출방법
JP3984522B2 (ja) マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤
KR100644357B1 (ko) 매트릭스메탈로프로테아제 저해제
JP6803110B2 (ja) 特定の波長域を有する光を照射して栽培したナスタチウムの抽出物を含有する皮膚外用剤や内用剤
JP5101769B2 (ja) 生体の酸化防止または予防剤
JP2009280514A (ja) 抗酸化作用を示す有機酸ペプチド結合ルテオリン誘導体及びその製造方法
JP6247847B2 (ja) 皮膚のしわ形成防止・改善剤、ヒアルロン酸生成促進剤、コラーゲン生成促進剤及びmmp阻害剤
JP6468595B2 (ja) 皮膚外用剤
JP2005298391A (ja) マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤
JP6469476B2 (ja) 外用剤及び内用剤
JP6281761B2 (ja) ヒダカミセバヤエキスを含有する外用剤又は内用剤
JP2005139141A (ja) コラーゲン合成促進剤及び皮膚外用剤
JP7557192B2 (ja) 皮膚外用剤及び内用剤
JP2012236801A (ja) 紫外線抵抗性増強剤
JP2006182695A (ja) マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
JP2021095371A (ja) 皮膚外用剤及び内用剤
JP6646534B2 (ja) 塩基性線維芽細胞増殖因子産生促進剤
JP2021088519A (ja) メラニン生成抑制剤、コラーゲン産生促進剤及び抗酸化剤
JP5690150B2 (ja) 外用剤又は内用剤
JP2024027641A (ja) 皮膚外用剤及び内用剤
JP6345537B2 (ja) 皮膚外用剤または内用剤
JP2021080212A (ja) 細胞増殖促進剤、mmp−2阻害剤、皮膚外用剤、医薬品及び内用剤
JP2023077751A (ja) コラーゲン産生促進剤、mmp阻害剤、細胞増殖促進剤及び内用剤
KR20190125120A (ko) 홍해삼 추출물을 포함하는 피부재생 촉진용 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20041117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070706

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3984522

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130713

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term