JP2003039440A - 凹凸模様を賦形する成形用金型及びその製造方法 - Google Patents
凹凸模様を賦形する成形用金型及びその製造方法Info
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Abstract
形用金型、およびカジリを減少させうる成形用金型を提
供する。 【解決手段】 凹凸模様が形成されている成形用金型の
表面を合成樹脂で被覆することを特徴とする成形品に凹
凸模様を賦形しうる成形用金型である。
Description
品の表面に凹凸状の模様を付与する射出成形、又は、プ
レス成形に使用する成形用金型及びその製造方法に関す
る。
状の模様を付与するに際しては、成形用金型にブラスト
法やエッチング法により、成形用金型表面に凹凸模様を
付与する方法が行われていた。
に鋭角形状の研削材や球状の研磨材を圧縮空気や遠心力
を利用して高速で金型表面に噴射し、その衝撃作用によ
り微細な凹凸模様を刻む方法である。サンドブラスト法
やショットブラスト法を意味し、物理的処理による梨地
加工法である。ブラスト材としては、アルミナ質研削
材、炭化ケイ素質研削材、ガラスビーズ等が使用されて
いる。また、エッチング法とは、成形用金型表面に露出
面と非露出面を形成し、露出面の金属を溶解することに
より、成形用金型の表面に凹凸模様を付与する方法であ
る。
は、上記方法に限らず、たとえば、研削等の機械加工方
法がとられることもある。
面凹凸を付与しようとすれば、時間・コストがかかるう
え、微細部分の加工を行おうとすれば、その微細部に適
した工具を必要とする等の問題がある。
ピンホール、荒傷、硬化層など材料欠陥のない型材を使
用する必要がある。また、ブラスト粒子の大きさが不均
一であれば成形用金型表面の凹凸形状は不均一にならざ
るを得ないため、吹き付ける粒子の素材や大きさを考慮
しなければならず、その選定を誤ると、成形用金型表面
に望ましい表面凹凸を形成しえないという問題がある。
特に、物理的な衝撃処理であるため、金型材の硬さ、じ
ん性により梨地形状および質感が微妙に異なるという問
題もある。
体感に乏しいという欠点を有するものの、加工液に露出
している面は同時加工ができること、また、複雑な曲面
や広い面積を加工しうることから、一般的に使用されて
いる。なお、立体感を付与するためには何度もエッチン
グする必要があり、成形用金型を作成するには時間を要
する。
ことになる。しかし、金属の溶解は化学反応であるがゆ
えに、金属の溶解のコントロールは困難であり、溶解し
ようとする面を均一に溶解することはできない。また、
金型材の金属には固有のエッチング特性があり、化学成
分、組織、結晶粒度の違いに応じてエッチング形状や粗
さ、つやが異なって現れるという問題がある。そして、
金型材の熱処理等による局部的変質で組織や結晶粒子が
変化し、シボむらを生じるという問題もある。さらに、
梨地シボなど細かいパターンには材料欠陥の殆どない金
型材を使用しなければならず、細かいシボは#400〜
#600までの研磨仕上げを行う必要がある。一方、エ
ッチングにおいて一度金属を溶解すると、もはや元に戻
すことはできず、やり直しができないという問題もあ
る。
問題を有しているとはいえ、成形用金型に賦形する方法
としては、一般的に用いられている方法である。しか
し、これらの方法は、成形用金型表面を物理的又は化学
的に処理するものであり、ブラスト法においてはブラス
ト処理後研磨を必要とし、エッチング法においても同様
に研磨処理を必要とする。研磨処理を施さない場合に
は、いわゆる「カジリ」現象が生じるとともに、抜き角
度によっては、成形品を型から抜くことができないとい
う問題を有している。
問題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明に至ったもの
である。この発明の請求項1に記載の成形用金型は、凹
凸状模様に賦形された金型が、合成樹脂にて被覆されて
なることを特徴とする、成形用金型である。この発明の
請求項2に記載の成形用金型は、吹き付け塗工により、
合成樹脂被覆されてなることを特徴とする、請求項1記
載の成形用金型である。この発明の請求項3に記載の成
形用金型は、コーティングにより、合成樹脂被覆されて
なることを特徴とする、請求項1記載の成型用金型であ
る。この発明の請求項4に記載の成形用金型は、成型用
金型であって、当該金型がブラスト処理された金型であ
ることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記
載の成形用金型である。この発明の請求項5に記載の成
形用金型は、成形用金型であって、当該金型がエッチン
グ処理された金型であることを特徴とする、請求項1な
いし3のいずれかに記載の成形用金型である。この発明
の請求項6に記載の成形用金型は、合成樹脂が、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタ
レート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、
フッソ樹脂から選択される、1種以上の樹脂であること
を特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の成
形用金型である。この発明の請求項7に記載の成形品
は、請求項1ないし6に記載のいずれかの成形用金型
で、成形されたことを特徴とする、成形品である。この
発明の請求項8に記載の成形用金型の製造方法は、凹凸
模様が形成された成形用金型において、合成樹脂を吹き
付けることを特徴とする、成形用金型の製造方法であ
る。この発明の請求項9に記載の成形用金型は、凹凸模
様が形成された成形用金型において、合成樹脂をコーテ
ィングすることを特徴とする、成形用金型の製造方法で
ある。
を参照して行う以下における発明の実施の形態の詳細な
説明から一層明らかとなろう。
凸状模様に賦形された成形用金型の表面に、合成樹脂層
を設けてなることを特徴とする。ここで、凹凸状模様に
賦形されたとは、皮シボ、梨地シボ等の凹凸状模様に賦
形されていることをいう。皮シボとは、皮革表面に見ら
れるしわ模様のことをいい、自動車の内装等、たとえ
ば、ステアリングハンドル、コンソールボックス、メー
ターパネル、ダッシュボード、サイドモール等の成形品
に賦形される。梨地シボとは、梨の表面にみられるよう
な微小な凹凸をいい、梨地シボを施した製品としては、
家庭電化製品の外装等、たとえば、テレビ、クーラーパ
ネルグリル、冷蔵庫パネル、洗濯機パネル等の成形品に
賦形される。図1に、本発明における一実施の形態であ
る成形用金型の断面概念図を示す。凹凸状の表面を有す
る金型101上に形成された合成樹脂層20により、成
形品の表面に、合成樹脂層20に対応する表面形状が付
与される。なお、金型102の表面が樹脂で被覆されて
いてもよい。また、成形用金型全体が樹脂で被覆されて
いてもよい。即ち、合成樹脂層を凸形とみれば、成形品
にはそれに対応する凹形の表面形状が付与されることに
なる。なお、凹凸の表面形状は全面に施されていてもよ
く、一部の面のみに凹凸形状が施されていても良い。こ
の凹凸面の形状により、皮シボ、梨地シボ等と称され
る。
表面が合成樹脂で被覆されることによりなされる。特
に、エッチングにより賦形する場合には、複数回数の型
貼りと酸処理を必要とするが、本発明によれば、エッチ
ング回数が少なくても、同様の賦形をすることができ
る。また、研磨処理を必要としないから、成形用金型の
作成時間を減少することができる。
存在し、樹脂の伝熱係数は金属に比し低いこと、融解し
ている被成形樹脂が、直接に金属である成形用金型と接
触することはないことから、被成形樹脂の温度低下はゆ
るやかであり、ウェルドが発生しにくい。
覆することから、成形用金型表面の酸化を防止すること
ができる。仮に、被覆樹脂にピンホールが存在するとし
ても、樹脂で成形用金型表面を被覆していることから、
当該樹脂による修復が容易である。また、当該樹脂を溶
剤等で容易に除去しうることから、成形用金型の再生使
用が可能である。
よっては影響をうけることもある。しかし、耐熱限界温
度近傍での使用においても、金属のごとく溶融すること
は無く、樹脂が柔軟になり、変形することが容易になる
ことから、カジリを生じにくい。
性、離形性、金型素材との接着性、耐磨耗性等が要求さ
れる。耐熱性としては、少なくとも150℃において溶
融しないものが望ましい。耐磨耗性としては、射出成形
時の樹脂、たとえばポリプロピレン樹脂やABS樹脂
(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)
等の溶融物の流れに対し、耐性が充分にあるものが望ま
しい。たとえば、成形に際し、1000ショット以上の
成形に耐え得るものが望ましい。成形品製造にあって
は、同一金型で数多くの成形品を製造することとなるか
らである。これらに適した合成樹脂としては、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フ
ッソ樹脂等があり、本発明にはこれらの合成樹脂から選
択される1種又はこれらを組み合わせた樹脂が用いられ
る。なお、好ましくは、エポキシ樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、フッソ樹脂又はこれらの混
合物である。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA
型、ノボラックを用いたもの、シクロペンタジエンやシ
クロヘキセン誘導体を用いたもの等がある。ポリイミド
樹脂としては、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイ
ミド−トリアジン樹脂等がある。ポリアミドイミド樹脂
としては、トリメリット酸、ピロメリット酸から合成さ
れるもの等がある。フッソ樹脂としては、ポリフルオロ
エチレン、フッ化エチレン−プロピレンコポリマー、ポ
リ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等があ
る。
る、各種の添加剤が添加されていてもよい。たとえば、
離形性を向上するための離形剤や、合成樹脂層の強度を
向上させるためのフィラーが当該合成樹脂に添加されて
いてもよい。添加剤としては離形剤、架橋剤、帯電防止
剤、硬化剤等が使用される。フィラーとしてはアルミナ
や炭化珪素ウィスカー、顔料等が使用される。
は、合成樹脂を吹き付け塗工する方法、コーティングす
る方法、刷毛等で塗付する方法、樹脂液中に金型を浸漬
させ被覆する方法等が存するが、これらに限定されるも
のではない。生産性の観点からは、吹き付け塗工法、コ
ーティング法が望ましい。金型の製作が容易になされる
からである。吹き付け塗工法やコーティング法による合
成樹脂被覆層は、10μmから100μmの厚みを有す
るが、好ましくは10μmから50μmである。10μ
m以下であれば、全面を被覆する場合において全面を被
覆することが困難であり、100μm以上であると凹凸
形状が変化することがあることによる。
ドン鋼、焼入鋼、析出硬化鋼、ステンレス鋼等の鋼材の
みならず、亜鉛合金、アルミ合金、ベリリウム銅合金等
の非鉄金属があるが、本発明においてはこれらに限定さ
れるものではない。
されていると、アンカー効果により合成樹脂の接着性は
向上する。また、金型の表面処理としてコロナ放電、紫
外線照射、放射線照射等が成されていても良い。これら
の処理により、接着性の向上等を図ることができる。
っては、成形品の表面が塗装されたのと同様の表面性状
を示すことから、当該成形品につき、さらに塗装を行う
必要がない。即ち、成形品表面が、エッチング等の擬似
パターンそのものからの反転とは異なり、樹脂塗装され
た表面性状をそのまま反映することとなる。このため、
表面性状は、樹脂そのもの持つ特性を保持するととも
に、樹脂を塗工したときの手触り感をも同時に保有する
ことができる。また、塗装を必要としないことから、本
成形品には塗料成分等を含まず、リサイクルも容易であ
る。
ては、合成樹脂を溶剤により溶解し、硬化剤と混合した
後、適度な粘度とした上で、吹き付け塗工法やコーティ
ング法により、当該金型を合成樹脂で被覆することによ
りなされる。
化剤等の混合した溶液(粘度10000〜100000
センチポイズ)を、吹き付け圧1〜7kg/cm2の範
囲でスプレーガンにてスプレーすることにより、吹き付
け塗工がなされる。
化剤等を混合した溶液(粘度10000〜100000
センチポイズ)を、バーコーター等の装置を用いてコー
ティングが行われる。
成形用金型は、合成樹脂の硬化を確実に行うため、加熱
炉において、100〜180℃、1〜2時間、加熱処理
される。
28重量部とを混練りし、樹脂内に残存する気泡を脱泡
処理により取り除いたものを塗工用樹脂として用いた。
次に、図3に示す、凹凸模様をエッチングにより賦形し
た金型に、塗工用樹脂をエアーガンで吹き付け、当該樹
脂を塗工し、乾燥することにより、金型表面52を凹凸
模様状に当該樹脂で被覆した。なお、樹脂塗工前、金型
を溶剤で洗浄することにより、金型表面に付着する油や
埃等を除去した。その後、加熱炉において加熱処理し、
樹脂を硬化させた。そして、仕上げ検査の後、成形用金
型を得た。この様にして得られた成形用金型の凹部の平
均深さは112.8μmであった。
エッチング処理により、凹凸状模様を付与した成形用金
型を作成した。この様にして得られた成形用金型の凹部
の平均深さは102.0μmであった。
製し、常法による成形加工を行い、皮シボを有する成形
品を得た。しかし、実施例1においては、抜き角度が3
度であっても、カジらずに抜くことができたが、エッチ
ングによるものは、カジリがひどく、場合によっては成
形品を抜くことができなかった。結果を表1に示す。ま
た、吹き付け塗工法により成形用金型の製作に要した時
間は3時間であったにもかかわらず、エッチング処理に
よる場合はその製作に5時間を要し、成形用金型の作製
時間を大幅に短縮することができた。
する。 「○」:カジリは認められなかった。 「△」:一部にカジリの箇所が認められたが、抜くこと
はできた。 「×」:カジリがひどく、抜くことができなかった。
に、エポキシ樹脂を主剤とし、アミン硬化剤を所定割合
で配合したコーティング液を塗工し、コーティング層を
有する成形用金型を得た。コーティング前後の表面形状
を図2に示す。図2から明らかなように、マクロ的な形
状は同様であるが、ミクロ的には一部の微細孔が樹脂で
充填されている。従って、本成形用金型での成形品にお
いてはカジリが少ないと考えられるが、本金型での成形
品においても実施例1同様カジリは認められなかった。
形しうる成形用金型を得ることができる。また、当該金
型により表面が塗装されたのと同様の表面形状の成形品
を得ることができる。
の概念断面図である。
型の表面形状を示す図である。
略図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 凹凸状模様に賦形された金型が、合成樹
脂にて被覆されてなることを特徴とする、成形用金型。 - 【請求項2】 吹き付け塗工により、合成樹脂被覆され
てなることを特徴とする、請求項1記載の成形用金型。 - 【請求項3】 コーティングにより、合成樹脂被覆され
てなることを特徴とする、請求項1記載の成形用金型。 - 【請求項4】 成形用金型であって、当該金型がブラス
ト処理された金型であることを特徴とする、請求項1な
いし3のいずれかに記載の成形用金型。 - 【請求項5】 成形用金型であって、当該金型がエッチ
ング処理された金型であることを特徴とする、請求項1
ないし3のいずれかに記載の成形用金型。 - 【請求項6】 合成樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイ
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッソ樹脂から選択
される、1種以上からなる樹脂であることを特徴とす
る、請求項1ないし5のいずれかに記載の成形用金型。 - 【請求項7】 請求項1乃至6に記載のいずれかの成形
用金型で、成形されたことを特徴とする、成形品。 - 【請求項8】 凹凸模様が形成された成形用金型に、合
成樹脂を吹き付けることを特徴とする、成形用金型の製
造方法。 - 【請求項9】 凹凸模様が形成された金型に、合成樹脂
をコーティングすることを特徴とする、成形用金型の製
造方法。
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JP2001229980A JP2003039440A (ja) | 2001-07-30 | 2001-07-30 | 凹凸模様を賦形する成形用金型及びその製造方法 |
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