JP2003000299A - ターゲット核酸断片の検出方法及びターゲット核酸断片の検出キット - Google Patents
ターゲット核酸断片の検出方法及びターゲット核酸断片の検出キットInfo
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- JP2003000299A JP2003000299A JP2001183494A JP2001183494A JP2003000299A JP 2003000299 A JP2003000299 A JP 2003000299A JP 2001183494 A JP2001183494 A JP 2001183494A JP 2001183494 A JP2001183494 A JP 2001183494A JP 2003000299 A JP2003000299 A JP 2003000299A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 簡便、迅速かつ高感度で小型の装置を用
いて実施することのできるターゲット核酸断片の検出方
法を提供する。また、これらの検出方法を用いたターゲ
ット核酸断片の検出キットを提供する。 【解決手段】 上記課題は、ターゲット核酸断片の特定
の塩基配列に基づくポリメラーゼ伸長反応の際に生成す
るピロ燐酸に対して、酸化酵素を含む酵素反応試薬で処
理し、酸化酵素が作用する際に起こる電子移動を、電気
化学的活性インターカレータの存在下で増幅し、電気化
学的に電流として検出する方法、及びそれらの検出方法
を用いた検出キットよって達成される。
いて実施することのできるターゲット核酸断片の検出方
法を提供する。また、これらの検出方法を用いたターゲ
ット核酸断片の検出キットを提供する。 【解決手段】 上記課題は、ターゲット核酸断片の特定
の塩基配列に基づくポリメラーゼ伸長反応の際に生成す
るピロ燐酸に対して、酸化酵素を含む酵素反応試薬で処
理し、酸化酵素が作用する際に起こる電子移動を、電気
化学的活性インターカレータの存在下で増幅し、電気化
学的に電流として検出する方法、及びそれらの検出方法
を用いた検出キットよって達成される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウイルス、細菌等によ
る感染症の臨床検査、及び個人の遺伝的な特徴による遺
伝的疾患の検査等に有効である、特定の塩基配列を有す
るターゲット核酸断片の存在またはターゲット核酸断片
の塩基配列を検出する方法及び当該方法を使用する核酸
断片の検出キットに関し、特に、ターゲット核酸を鋳型
とするポリメラーゼ伸長反応が進行したか否かを、電気
化学活性インターカレータの存在下に、電極を用いて、
電気化学的に電流を測定して検出することにより、ター
ゲット核酸断片の存在またはターゲット核酸断片の塩基
配列を高感度で検出する方法及び当該方法を使用する核
酸断片の検出キットに関する。
る感染症の臨床検査、及び個人の遺伝的な特徴による遺
伝的疾患の検査等に有効である、特定の塩基配列を有す
るターゲット核酸断片の存在またはターゲット核酸断片
の塩基配列を検出する方法及び当該方法を使用する核酸
断片の検出キットに関し、特に、ターゲット核酸を鋳型
とするポリメラーゼ伸長反応が進行したか否かを、電気
化学活性インターカレータの存在下に、電極を用いて、
電気化学的に電流を測定して検出することにより、ター
ゲット核酸断片の存在またはターゲット核酸断片の塩基
配列を高感度で検出する方法及び当該方法を使用する核
酸断片の検出キットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ウイルス、細菌等による感染
症の臨床検査においては、血液等の体液、糞便、喀痰等
を試料とし検体の培養を行い、ウイルス、細菌等の病原
体を同定することが行われている。しかしながらこれら
の方法は、検体を培養するのに非常に長い時間を必要と
したり、ウイルス、細菌の種類によっては培養自体がう
まく行かないという問題もある。また検体を培養するに
は特別の技術を要する点でも、必ずしも迅速、簡便に満
足のいく結果が得られる方法ではない。
症の臨床検査においては、血液等の体液、糞便、喀痰等
を試料とし検体の培養を行い、ウイルス、細菌等の病原
体を同定することが行われている。しかしながらこれら
の方法は、検体を培養するのに非常に長い時間を必要と
したり、ウイルス、細菌の種類によっては培養自体がう
まく行かないという問題もある。また検体を培養するに
は特別の技術を要する点でも、必ずしも迅速、簡便に満
足のいく結果が得られる方法ではない。
【0003】また、抗原抗体反応を利用してウイルス、
細菌等の病原体を同定する方法も行われている。この方
法は、検査の自動化も可能であり、迅速性、簡便性の点
では良い方法である。しかしながら、病原体を抗原とし
て検出する抗原検出方法においては、試料中に存在する
病原体の量が不足することにより、病原体を検出できな
い場合があり、感度的に問題がある。 また、病原体の
種類に固有な抗原部位を決定することが困難であるとい
う問題もある。一方、病原体の感染により、体内で産生
された抗体を検出する抗体検出法においては、病原体の
感染から抗体が産生されるまでに時間が必要で、その期
間は検出できないという問題がある。
細菌等の病原体を同定する方法も行われている。この方
法は、検査の自動化も可能であり、迅速性、簡便性の点
では良い方法である。しかしながら、病原体を抗原とし
て検出する抗原検出方法においては、試料中に存在する
病原体の量が不足することにより、病原体を検出できな
い場合があり、感度的に問題がある。 また、病原体の
種類に固有な抗原部位を決定することが困難であるとい
う問題もある。一方、病原体の感染により、体内で産生
された抗体を検出する抗体検出法においては、病原体の
感染から抗体が産生されるまでに時間が必要で、その期
間は検出できないという問題がある。
【0004】これらに対して、ウイルス、細菌等の病原
体の種類に固有な塩基配列を持つ核酸断片(ターゲット
核酸断片)を、塩基配列の相補性を利用して検出する方
法は、病原体を直接に同定することを可能にする方法で
あり、DNAプローブ法または、PCR(ポリメラーゼ
チェーンリアクション)法などの遺伝子検査法として普
及している。例えば、HCV(C型肝炎ウイルス)遺伝
子検査法は、C型肝炎のインターフェロン(INF)治
療におけるINF投与の検討、治癒のモニタリングにお
いて、HCV量を直接知ることのできる方法として威力
を発揮している。
体の種類に固有な塩基配列を持つ核酸断片(ターゲット
核酸断片)を、塩基配列の相補性を利用して検出する方
法は、病原体を直接に同定することを可能にする方法で
あり、DNAプローブ法または、PCR(ポリメラーゼ
チェーンリアクション)法などの遺伝子検査法として普
及している。例えば、HCV(C型肝炎ウイルス)遺伝
子検査法は、C型肝炎のインターフェロン(INF)治
療におけるINF投与の検討、治癒のモニタリングにお
いて、HCV量を直接知ることのできる方法として威力
を発揮している。
【0005】今後さらに、ウイルス、細菌等の病原体の
遺伝子的特長(Genotype)が明らかになり、そ
の遺伝子的特徴を利用した新しい治療薬が開発されるこ
とが期待できる。その場合には、病原体の同定のみなら
ず、その病原体の遺伝子的特徴を知ることが非常に重要
である。まさに遺伝子検査法はその需要を満たすことの
できる検査方法である。
遺伝子的特長(Genotype)が明らかになり、そ
の遺伝子的特徴を利用した新しい治療薬が開発されるこ
とが期待できる。その場合には、病原体の同定のみなら
ず、その病原体の遺伝子的特徴を知ることが非常に重要
である。まさに遺伝子検査法はその需要を満たすことの
できる検査方法である。
【0006】一方、病原体の同定に限らず、遺伝子検査
法では個人の遺伝子的な特徴を直接検出することが可能
であるので、遺伝子疾患の原因である遺伝子の変異の検
出、癌や糖尿病などの生活習慣病などの病気にかかりや
すさを左右している遺伝子的要因の検出にも用いること
ができる。特に、ヒトゲノムの全塩基配列が決定された
後は、ポストゲノム研究として、今まで以上に遺伝子的
特長と疾患の関係が明らかにされていき、さらに遺伝子
的特長を利用した治療薬が開発されていくことが期待で
きる。ポストゲノム研究の進展に伴って、今後ますます
遺伝子検査法の需要が大きくなっていくことが予想され
る。
法では個人の遺伝子的な特徴を直接検出することが可能
であるので、遺伝子疾患の原因である遺伝子の変異の検
出、癌や糖尿病などの生活習慣病などの病気にかかりや
すさを左右している遺伝子的要因の検出にも用いること
ができる。特に、ヒトゲノムの全塩基配列が決定された
後は、ポストゲノム研究として、今まで以上に遺伝子的
特長と疾患の関係が明らかにされていき、さらに遺伝子
的特長を利用した治療薬が開発されていくことが期待で
きる。ポストゲノム研究の進展に伴って、今後ますます
遺伝子検査法の需要が大きくなっていくことが予想され
る。
【0007】しかしながら、現在行われている遺伝子検
査法には特殊な技術、複雑な操作、及び特殊な装置等が
必要であり、遺伝子検査法を実施できる施設は、大規模
な検査センターなどに限られている。ウイルス、細菌等
による感染症の検査においても、また個人の遺伝子的特
長の検査においても、診断、治療の指針の決定がその場
で、できるだけ速く、かつ正確に行えればより効力を発
揮する。そのためには、誰でもが簡単な操作で実施で
き、検査結果を迅速に得ることのできる、高感度の新し
い遺伝子検査法が必要である。
査法には特殊な技術、複雑な操作、及び特殊な装置等が
必要であり、遺伝子検査法を実施できる施設は、大規模
な検査センターなどに限られている。ウイルス、細菌等
による感染症の検査においても、また個人の遺伝子的特
長の検査においても、診断、治療の指針の決定がその場
で、できるだけ速く、かつ正確に行えればより効力を発
揮する。そのためには、誰でもが簡単な操作で実施で
き、検査結果を迅速に得ることのできる、高感度の新し
い遺伝子検査法が必要である。
【0008】これまでも簡便性、迅速性の向上を目指し
て、ターゲット核酸断片を鋳型としたポリメラーゼ伸長
反応の進行の検出を利用した遺伝子検査法が開発されて
いる。ターゲット核酸断片の特定核酸領域をPCRによ
り増幅する際、増幅産物の生成の過程を蛍光強度の変化
としてリアルタイムで検出する方法(Real Tim
e PCR法)は、PCR後に増幅産物を電気泳動し、
結果を解析するという工程を必要としないことから迅速
性の点で良い方法であり、TaqManプローブ法(P
E Biosystems社)、およびMolecul
ar Beacon法(Stratagene社)とし
て商品化されている。しかし、これらの方法は、FRE
T(fluorescence resonance e
nergytransfer)を利用した方法で、実施
には蛍光強度の変化を測定することのできる装置と、蛍
光色素とそのクエンチャー(quencher)が組み
合わせて標識された特殊なハイブリダイゼーションプロ
ーブを用意する必要がある点で問題があり、未だ特殊技
術の域を出ていない。
て、ターゲット核酸断片を鋳型としたポリメラーゼ伸長
反応の進行の検出を利用した遺伝子検査法が開発されて
いる。ターゲット核酸断片の特定核酸領域をPCRによ
り増幅する際、増幅産物の生成の過程を蛍光強度の変化
としてリアルタイムで検出する方法(Real Tim
e PCR法)は、PCR後に増幅産物を電気泳動し、
結果を解析するという工程を必要としないことから迅速
性の点で良い方法であり、TaqManプローブ法(P
E Biosystems社)、およびMolecul
ar Beacon法(Stratagene社)とし
て商品化されている。しかし、これらの方法は、FRE
T(fluorescence resonance e
nergytransfer)を利用した方法で、実施
には蛍光強度の変化を測定することのできる装置と、蛍
光色素とそのクエンチャー(quencher)が組み
合わせて標識された特殊なハイブリダイゼーションプロ
ーブを用意する必要がある点で問題があり、未だ特殊技
術の域を出ていない。
【0009】また、インターカレータ性蛍光物質の存在
下でターゲット核酸断片の特定核酸領域をPCRで増幅
し、その際の蛍光強度の変化を検出する方法(IM−P
CR:intercaration monitori
ng PCR法)が「医学のあゆみ Vol.173、N
o.12、1995」に記載されている。この方法は、
Real Time PCR法としては、特別なハイブリ
ダイゼーションプローブを必要としない点で良いが、や
はり実施には蛍光強度の変化を測定することのできる装
置が必要である。また、ターゲット核酸断片の特定核酸
領域のPCR増幅の有無にかかわらず、インターカレー
タ性蛍光物質は系内に存在する核酸断片全てに結合する
ので、特異性の点でも問題がある。
下でターゲット核酸断片の特定核酸領域をPCRで増幅
し、その際の蛍光強度の変化を検出する方法(IM−P
CR:intercaration monitori
ng PCR法)が「医学のあゆみ Vol.173、N
o.12、1995」に記載されている。この方法は、
Real Time PCR法としては、特別なハイブリ
ダイゼーションプローブを必要としない点で良いが、や
はり実施には蛍光強度の変化を測定することのできる装
置が必要である。また、ターゲット核酸断片の特定核酸
領域のPCR増幅の有無にかかわらず、インターカレー
タ性蛍光物質は系内に存在する核酸断片全てに結合する
ので、特異性の点でも問題がある。
【0010】一方、ターゲット核酸断片の特定領域にヌ
クレアーゼ耐性を有するオリゴヌクレオチドプライマー
をハイブリダイズさせ、デオキシヌクレオシド3リン酸
(dNTP)、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼの存
在下で伸長反応、分解反応を繰り返して、生成するピロ
燐酸又はデオキシヌクレオシドモノリン酸を検出する方
法が、特開平7−231799号公報に開示されてい
る。ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成するピロ燐酸を
検出することによるターゲット核酸断片の検出方法は、
ポリメラーゼ伸長反応の副産物である一般化学物質を検
出することで、ターゲット核酸断片の検出を可能にして
いる点で優れている。しかしながら、これまでピロ燐酸
を簡便に、かつ高感度で検出する方法は知られておら
ず、上記公報においても、ピロ燐酸をアデノシン−5’
−ホスホサルフェートおよびアデノシン3燐酸(AT
P)スルフリラーゼと反応させて生ずるアデノシン3燐
酸(ATP)が、ルシフェラーゼの存在下、ルシフェリ
ンとの反応時に生じる発光を検出する方法しか記載され
ていない。この方法では、発光を測定することのできる
装置が必要である点で簡便性の点で問題が残る。また、
ヌクレアーゼ耐性を有するプライマーを使用し、かつD
NAポリメラーゼとヌクレアーゼを併用し、ポリメラー
ゼ反応とヌクレアーゼ反応を繰り返して実施するこで、
実質的に連続して伸長反応が進行しない条件で実施され
る点では本発明とは異なるものである。
クレアーゼ耐性を有するオリゴヌクレオチドプライマー
をハイブリダイズさせ、デオキシヌクレオシド3リン酸
(dNTP)、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼの存
在下で伸長反応、分解反応を繰り返して、生成するピロ
燐酸又はデオキシヌクレオシドモノリン酸を検出する方
法が、特開平7−231799号公報に開示されてい
る。ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成するピロ燐酸を
検出することによるターゲット核酸断片の検出方法は、
ポリメラーゼ伸長反応の副産物である一般化学物質を検
出することで、ターゲット核酸断片の検出を可能にして
いる点で優れている。しかしながら、これまでピロ燐酸
を簡便に、かつ高感度で検出する方法は知られておら
ず、上記公報においても、ピロ燐酸をアデノシン−5’
−ホスホサルフェートおよびアデノシン3燐酸(AT
P)スルフリラーゼと反応させて生ずるアデノシン3燐
酸(ATP)が、ルシフェラーゼの存在下、ルシフェリ
ンとの反応時に生じる発光を検出する方法しか記載され
ていない。この方法では、発光を測定することのできる
装置が必要である点で簡便性の点で問題が残る。また、
ヌクレアーゼ耐性を有するプライマーを使用し、かつD
NAポリメラーゼとヌクレアーゼを併用し、ポリメラー
ゼ反応とヌクレアーゼ反応を繰り返して実施するこで、
実質的に連続して伸長反応が進行しない条件で実施され
る点では本発明とは異なるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特殊な技
術、複雑な操作、および特殊な装置を必要とせずに、誰
でもが簡便かつ迅速に小型の装置を用いて実施すること
のできる、高感度のターゲット核酸断片の検出方法を提
供することを課題とする。また、これらの目的を達成す
るために、省スペースで自動化が可能なターゲット核酸
断片の検出方法の提供も課題とする。更に、これらの検
出方法を用いたターゲット核酸断片の検出キットの提供
も課題とする。
術、複雑な操作、および特殊な装置を必要とせずに、誰
でもが簡便かつ迅速に小型の装置を用いて実施すること
のできる、高感度のターゲット核酸断片の検出方法を提
供することを課題とする。また、これらの目的を達成す
るために、省スペースで自動化が可能なターゲット核酸
断片の検出方法の提供も課題とする。更に、これらの検
出方法を用いたターゲット核酸断片の検出キットの提供
も課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、ターゲット核酸断片の特定の塩基配列
に基づくポリメラーゼ伸長反応の際に生成するピロ燐酸
に対して、酸化酵素を含む酵素反応試薬で処理し、酸化
酵素が作用する際に起こる電子移動を、電気化学的活性
インターカレータの存在下で増幅し、電気化学的に電流
として検出することで、簡便性、迅速性に優れ、かつ高
感度でターゲット核酸断片の検出を行えることを見出
し、本発明を完成するに至った。
解決するために、ターゲット核酸断片の特定の塩基配列
に基づくポリメラーゼ伸長反応の際に生成するピロ燐酸
に対して、酸化酵素を含む酵素反応試薬で処理し、酸化
酵素が作用する際に起こる電子移動を、電気化学的活性
インターカレータの存在下で増幅し、電気化学的に電流
として検出することで、簡便性、迅速性に優れ、かつ高
感度でターゲット核酸断片の検出を行えることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、少なくとも一部の塩基配
列が既知であるターゲット核酸断片に対し、当該ターゲ
ット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライ
マー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸
(dNTP)、及び少なくとも一種のポリメラーゼの存
在下に、前記ターゲット核酸断片を鋳型にして前記プラ
イマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ伸長反応が
連続して進行するか否かにより、前記ターゲット核酸断
片の存在またはターゲット核酸断片の塩基配列を検出す
る方法において、前記ポリメラーゼ伸長反応により生成
するピロ燐酸に対して、少なくとも一種の酸化酵素を含
む酵素反応試薬を作用させ、電気化学活性インターカレ
ータの存在下に、電極を用いて電気化学的に電流を測定
することを特徴とするターゲット核酸断片の検出方法、
及び当該方法を用いた核酸断片の検出キットにある。
列が既知であるターゲット核酸断片に対し、当該ターゲ
ット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライ
マー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸
(dNTP)、及び少なくとも一種のポリメラーゼの存
在下に、前記ターゲット核酸断片を鋳型にして前記プラ
イマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ伸長反応が
連続して進行するか否かにより、前記ターゲット核酸断
片の存在またはターゲット核酸断片の塩基配列を検出す
る方法において、前記ポリメラーゼ伸長反応により生成
するピロ燐酸に対して、少なくとも一種の酸化酵素を含
む酵素反応試薬を作用させ、電気化学活性インターカレ
ータの存在下に、電極を用いて電気化学的に電流を測定
することを特徴とするターゲット核酸断片の検出方法、
及び当該方法を用いた核酸断片の検出キットにある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のターゲット核酸断片検出
方法の好ましい形態は以下の通りである。 (イ) ピロ燐酸に作用する酵素反応試薬が、キサントシ
ンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレ
オシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有
する酵素反応試薬である。 (ロ) 電気化学活性インターカレータが、酸化還元活性
を有する縫い込み型インターカレータである。 (ハ) 電極が、DNA断片が表面に固定されているDN
A修飾電極である。 (ニ) 電気化学的な電流の測定が、サイクリックボルタ
ンメトリーまたはディファレンシャルパルスボルタンメ
トリーである。 (ホ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNA
ポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメ
ラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプター
ゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼであ
る。
方法の好ましい形態は以下の通りである。 (イ) ピロ燐酸に作用する酵素反応試薬が、キサントシ
ンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレ
オシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有
する酵素反応試薬である。 (ロ) 電気化学活性インターカレータが、酸化還元活性
を有する縫い込み型インターカレータである。 (ハ) 電極が、DNA断片が表面に固定されているDN
A修飾電極である。 (ニ) 電気化学的な電流の測定が、サイクリックボルタ
ンメトリーまたはディファレンシャルパルスボルタンメ
トリーである。 (ホ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNA
ポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメ
ラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプター
ゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼであ
る。
【0015】また、本発明の別の形態は、キサントシン
またはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有す
る酵素反応試薬、電気化学活性縫い込み型インターカレ
ータ、及び電極の各要素を含むキットにある。この場
合、電極はDNA修飾電極であることが好ましい。
またはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有す
る酵素反応試薬、電気化学活性縫い込み型インターカレ
ータ、及び電極の各要素を含むキットにある。この場
合、電極はDNA修飾電極であることが好ましい。
【0016】本発明の更に別の形態は、検出するターゲ
ット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライ
マー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸
(dNTP)、少なくとも一種のポリメラーゼを含有す
るポリメラーゼ伸長反応試薬、キサントシンまたはイノ
シン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホ
リラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有する酵素反応
試薬、電気化学活性縫い込み型インターカレータ、及び
電極の各要素を含むキットにある。この場合において
も、電極はDNA修飾電極であることが好ましい。
ット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライ
マー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸
(dNTP)、少なくとも一種のポリメラーゼを含有す
るポリメラーゼ伸長反応試薬、キサントシンまたはイノ
シン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホ
リラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有する酵素反応
試薬、電気化学活性縫い込み型インターカレータ、及び
電極の各要素を含むキットにある。この場合において
も、電極はDNA修飾電極であることが好ましい。
【0017】以下に本発明の実施の形態について詳細に
説明する。
説明する。
【0018】(A) ターゲット核酸断片:本発明におい
て検出の対象となるターゲット核酸断片とは、少なくと
も一部の塩基配列が既知であるポリヌクレオチドであ
り、動物、微生物、細菌、植物などすべての生物から単
離されるゲノミックDNA断片が対象となり得る。また
ウイルスから単離可能なRNA断片またはDNA断片、
およびmRNAを鋳型として合成されたcDNA断片も
対象とすることが可能である。ターゲット核酸断片はで
きる限り精製され、核酸断片以外の余分な成分が取り除
かれていることが望ましい。例えば、動物(例えば人
間)の血液から単離したゲノミックDNA断片を対象と
する場合または血液中に存在する感染細菌やウイルスの
核酸(DNAまたはRNA)断片を対象とする場合、単
離の過程で破壊された白血球細胞膜、赤血球中から溶出
したヘモグロビン、および血液中存在するその他の一般
化学物質は、十分に取り除いておく必要がある。特にヘ
モグロンビンは、続いておこなうポリメラーゼ伸長反応
を阻害する。また血液中に一般生化学物質として存在す
るピロ燐酸や燐酸は、ポリメラーゼ伸長反応により生成
するピロ燐酸の正確な検出の妨害要因になる。
て検出の対象となるターゲット核酸断片とは、少なくと
も一部の塩基配列が既知であるポリヌクレオチドであ
り、動物、微生物、細菌、植物などすべての生物から単
離されるゲノミックDNA断片が対象となり得る。また
ウイルスから単離可能なRNA断片またはDNA断片、
およびmRNAを鋳型として合成されたcDNA断片も
対象とすることが可能である。ターゲット核酸断片はで
きる限り精製され、核酸断片以外の余分な成分が取り除
かれていることが望ましい。例えば、動物(例えば人
間)の血液から単離したゲノミックDNA断片を対象と
する場合または血液中に存在する感染細菌やウイルスの
核酸(DNAまたはRNA)断片を対象とする場合、単
離の過程で破壊された白血球細胞膜、赤血球中から溶出
したヘモグロビン、および血液中存在するその他の一般
化学物質は、十分に取り除いておく必要がある。特にヘ
モグロンビンは、続いておこなうポリメラーゼ伸長反応
を阻害する。また血液中に一般生化学物質として存在す
るピロ燐酸や燐酸は、ポリメラーゼ伸長反応により生成
するピロ燐酸の正確な検出の妨害要因になる。
【0019】(B) ターゲット核酸断片と相補的なプラ
イマー:本発明において使用するターゲット核酸断片と
相補的なプライマーは、ターゲット核酸断片の塩基配列
が既知である目的の部位に対して相補的な塩基配列を有
するオリゴヌクレオチドである。このターゲット核酸断
片と相補的なプライマーがターゲット核酸断片の目的の
部位にハイブリダイゼーションすることで、プライマー
の3’末端を起点に、ターゲット核酸を鋳型としポリメ
ラーゼ伸長反応が進行する。即ち、本発明においてはプ
ライマーがターゲット核酸断片の目的の部位を認識して
特異的にハイブリダイゼーションするか否かがポイント
となる。本発明で使用するプライマーの好ましい塩基数
は5〜60塩基である。特に好ましくは15〜40塩基
である。プライマーの塩基数は少なすぎると、ターゲッ
ト核酸断片の目的の部位との特異的性が低下するだけで
なく、ターゲット核酸断片とのハイブリッド自体が安定
に形成できない。また、プライマーの塩基数は多すぎる
と、プライマー間またはプライマー内で塩基間の水素結
合により2本鎖を形成してしまい、やはり特異性が低下
する。
イマー:本発明において使用するターゲット核酸断片と
相補的なプライマーは、ターゲット核酸断片の塩基配列
が既知である目的の部位に対して相補的な塩基配列を有
するオリゴヌクレオチドである。このターゲット核酸断
片と相補的なプライマーがターゲット核酸断片の目的の
部位にハイブリダイゼーションすることで、プライマー
の3’末端を起点に、ターゲット核酸を鋳型としポリメ
ラーゼ伸長反応が進行する。即ち、本発明においてはプ
ライマーがターゲット核酸断片の目的の部位を認識して
特異的にハイブリダイゼーションするか否かがポイント
となる。本発明で使用するプライマーの好ましい塩基数
は5〜60塩基である。特に好ましくは15〜40塩基
である。プライマーの塩基数は少なすぎると、ターゲッ
ト核酸断片の目的の部位との特異的性が低下するだけで
なく、ターゲット核酸断片とのハイブリッド自体が安定
に形成できない。また、プライマーの塩基数は多すぎる
と、プライマー間またはプライマー内で塩基間の水素結
合により2本鎖を形成してしまい、やはり特異性が低下
する。
【0020】本発明の方法を用いてターゲット核酸断片
の存在を検出する場合、ターゲット核酸断片の異なる部
位に対して、それぞれの部位に相補的なプライマーを複
数使用することも可能である。このようにターゲット核
酸断片を複数の部位で認識することで、ターゲット核酸
断片の存在の検出において、特異性が向上する。また、
ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPCR法)す
る場合には、その増幅法に応じて複数のプライマーを設
計することも可能である。本発明の方法を用いてターゲ
ット核酸断片の塩基配列を検出する場合、特に変異また
は多型の有無を検出する場合は、目的の変異または多型
の部分を含むように、変異または多型に対応する塩基の
種類でプライマーを設計する。そうすることで、ターゲ
ット核酸断片の変異または多型の有無により、ターゲッ
ト核酸断片へのプライマーのハイブリダイゼーションの
有無に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差
異として検出することが可能になる。また、変異または
多型に対応する部分をプライマーの3’末端付近に設定
することでポリメーラーゼの反応部位の認識に差異が生
じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出す
ることも可能である。
の存在を検出する場合、ターゲット核酸断片の異なる部
位に対して、それぞれの部位に相補的なプライマーを複
数使用することも可能である。このようにターゲット核
酸断片を複数の部位で認識することで、ターゲット核酸
断片の存在の検出において、特異性が向上する。また、
ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPCR法)す
る場合には、その増幅法に応じて複数のプライマーを設
計することも可能である。本発明の方法を用いてターゲ
ット核酸断片の塩基配列を検出する場合、特に変異また
は多型の有無を検出する場合は、目的の変異または多型
の部分を含むように、変異または多型に対応する塩基の
種類でプライマーを設計する。そうすることで、ターゲ
ット核酸断片の変異または多型の有無により、ターゲッ
ト核酸断片へのプライマーのハイブリダイゼーションの
有無に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差
異として検出することが可能になる。また、変異または
多型に対応する部分をプライマーの3’末端付近に設定
することでポリメーラーゼの反応部位の認識に差異が生
じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出す
ることも可能である。
【0021】(C) ポリメラーゼ:本発明において使用
するポリメラーゼは、ターゲット核酸がDNAの場合
は、ターゲット核酸断片の一本鎖に変性された部分にプ
ライマーがハイブリダイゼーションすることで形成され
た2本鎖の部分を起点として、5’→3’の方向に、デ
オキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料とし
て、ターゲット核酸断片を鋳型にして相補的な伸長反応
を触媒するDNAポリメーラーゼである。具体的に使用
されるDNAポリメラーゼとしては、DNAポリメラー
ゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst
DNAポリメラーゼ等がある。DNAポリメラーゼは目
的に応じて選択または組み合わせることが可能である。
例えば、ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPC
R法)する場合には、耐熱性に優れたTaq DNAポ
リメラーゼを用いることが有効である。また、「BIO
INDUSTRY,Vol.18,No.2,200
1」に記載されている増幅法(LAMP法:Loop−
mediated Isothermal Amplif
ication of DNA)を用いてターゲット核酸
断片の一部を増幅する場合には、5’→3’方向へのヌ
クレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1
本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖
置換型のDNAポリメラーゼとして、Bst DNAポ
リメラーゼを使用することが有効である。その他、目的
に応じて、3’→5’方向へのヘキソキナーゼ活性を持
つ、DNAポリメラーゼα、T4 DNAポリメラー
ゼ、及びT7 DNAポリメラーゼを併用することも可
能である。
するポリメラーゼは、ターゲット核酸がDNAの場合
は、ターゲット核酸断片の一本鎖に変性された部分にプ
ライマーがハイブリダイゼーションすることで形成され
た2本鎖の部分を起点として、5’→3’の方向に、デ
オキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料とし
て、ターゲット核酸断片を鋳型にして相補的な伸長反応
を触媒するDNAポリメーラーゼである。具体的に使用
されるDNAポリメラーゼとしては、DNAポリメラー
ゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst
DNAポリメラーゼ等がある。DNAポリメラーゼは目
的に応じて選択または組み合わせることが可能である。
例えば、ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPC
R法)する場合には、耐熱性に優れたTaq DNAポ
リメラーゼを用いることが有効である。また、「BIO
INDUSTRY,Vol.18,No.2,200
1」に記載されている増幅法(LAMP法:Loop−
mediated Isothermal Amplif
ication of DNA)を用いてターゲット核酸
断片の一部を増幅する場合には、5’→3’方向へのヌ
クレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1
本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖
置換型のDNAポリメラーゼとして、Bst DNAポ
リメラーゼを使用することが有効である。その他、目的
に応じて、3’→5’方向へのヘキソキナーゼ活性を持
つ、DNAポリメラーゼα、T4 DNAポリメラー
ゼ、及びT7 DNAポリメラーゼを併用することも可
能である。
【0022】また、RNAウイルスのゲノミック核酸ま
たはmRNAがターゲット核酸断片である場合には、逆
転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用
することが可能である。さらにリバーストランスクリプ
ターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用することも
可能である。
たはmRNAがターゲット核酸断片である場合には、逆
転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用
することが可能である。さらにリバーストランスクリプ
ターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用することも
可能である。
【0023】(D) ポリメラーゼ伸長反応:本発明にお
いて対象となるポリメラーゼ伸長反応には、前記(A)
に記載されているようなターゲット核酸断片の1本鎖に
変性された部分の一部に特異的にハイブリダイゼーショ
ンした、前記(B)に記載されているようなターゲット
核酸断片と相補的なプライマーの3’末端を起点とし
て、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料
として、前記(C)に記載されているようなポリメラー
ゼを触媒として、ターゲット核酸断片を鋳型にして進行
する相補的な核酸の伸長反応の全てが含まれる。この相
補的な核酸の伸長反応とは、少なくとも2回(2塩基
分)、連続しての伸長反応が起こることを指している。
いて対象となるポリメラーゼ伸長反応には、前記(A)
に記載されているようなターゲット核酸断片の1本鎖に
変性された部分の一部に特異的にハイブリダイゼーショ
ンした、前記(B)に記載されているようなターゲット
核酸断片と相補的なプライマーの3’末端を起点とし
て、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料
として、前記(C)に記載されているようなポリメラー
ゼを触媒として、ターゲット核酸断片を鋳型にして進行
する相補的な核酸の伸長反応の全てが含まれる。この相
補的な核酸の伸長反応とは、少なくとも2回(2塩基
分)、連続しての伸長反応が起こることを指している。
【0024】以下に、例として代表的なポリメラーゼ伸
長反応、およびポリメラーゼ伸長反応を伴うターゲット
核酸断片の目的部位の増幅反応の例を示す。ターゲット
核酸断片を鋳型にして、5’→3’の方向へのポリメラ
ーゼ伸長反応を一度だけ行う場合が最も単純である。こ
のポリメラーゼ伸長反応は等温の条件で実施することが
できる。この場合には、ポリメラーゼ伸長反応の結果と
して生成するピロ燐酸の量は、最初のターゲット核酸断
片の量に比例する。即ち定量的にターゲット核酸断片の
存在を検出するのに適した方法である。
長反応、およびポリメラーゼ伸長反応を伴うターゲット
核酸断片の目的部位の増幅反応の例を示す。ターゲット
核酸断片を鋳型にして、5’→3’の方向へのポリメラ
ーゼ伸長反応を一度だけ行う場合が最も単純である。こ
のポリメラーゼ伸長反応は等温の条件で実施することが
できる。この場合には、ポリメラーゼ伸長反応の結果と
して生成するピロ燐酸の量は、最初のターゲット核酸断
片の量に比例する。即ち定量的にターゲット核酸断片の
存在を検出するのに適した方法である。
【0025】ターゲット核酸の量が少ない場合は、ポリ
メラーゼ伸長反応を利用した何らかの手段でターゲット
核酸の目的部分を増幅することが好ましい。ターゲット
核酸の増幅には、これまで開発、発明されてきた各種の
方法を使用することができる。ターゲット核酸の増幅法
で最も一般的で普及している方法はPCR(ポリメラー
ゼチェーンリアクション)法である。PCR法では、反
応液の温度の上げ下げを周期的にコントロールすること
により、ディネイチャー(核酸断片を2本鎖から1本鎖
に変性する工程)→アニーリング(1本鎖に変性した核
酸断片にプライマーをハイブイリダイズさせる工程)→
ポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)伸長反応
→ディネイチャーの周期的な工程を繰り返すことで、タ
ーゲット核酸断片の目的部分を増幅する方法である。最
終的に、ターゲット核酸断片の目的部位は初期量の10
0万倍にも増幅し得る。そのためPCR法の増幅過程で
のポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も
多くなり、検出が容易になる。しかしながらPCR法を
用いた場合には、ターゲット核酸断片の目的部位は指数
的に増幅するために、ターゲット核酸断片の初期量を定
量的に検出することは困難である。
メラーゼ伸長反応を利用した何らかの手段でターゲット
核酸の目的部分を増幅することが好ましい。ターゲット
核酸の増幅には、これまで開発、発明されてきた各種の
方法を使用することができる。ターゲット核酸の増幅法
で最も一般的で普及している方法はPCR(ポリメラー
ゼチェーンリアクション)法である。PCR法では、反
応液の温度の上げ下げを周期的にコントロールすること
により、ディネイチャー(核酸断片を2本鎖から1本鎖
に変性する工程)→アニーリング(1本鎖に変性した核
酸断片にプライマーをハイブイリダイズさせる工程)→
ポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)伸長反応
→ディネイチャーの周期的な工程を繰り返すことで、タ
ーゲット核酸断片の目的部分を増幅する方法である。最
終的に、ターゲット核酸断片の目的部位は初期量の10
0万倍にも増幅し得る。そのためPCR法の増幅過程で
のポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も
多くなり、検出が容易になる。しかしながらPCR法を
用いた場合には、ターゲット核酸断片の目的部位は指数
的に増幅するために、ターゲット核酸断片の初期量を定
量的に検出することは困難である。
【0026】特開平5−130870号公報に記載され
ている、エクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッ
セイ法もポリメラーゼ伸長反応を利用した、ターゲット
核酸断片の目的部位の増幅法の一つである。この方法は
ターゲット核酸断片の目的部位に特異的にハイブリダイ
ゼーションしたプライマーを起点とした、ポリメラーゼ
伸長反応とともに、5’→3’エクソヌクレアーゼを作
用させて、プライマーを逆方向から分解する方法であ
る。分解したプライマーの代わりに新たなプライマーが
ハイブリダイゼーションし、再度DNAポリメラーゼに
よる伸長反応が進行する。このポリメラーゼによる伸長
反応と、この先に伸長した鎖を外すエクソヌクレーアゼ
による分解反応が順次、周期的に繰り返される。ここ
で、ポリメラーゼによる伸長反応とエクソヌクレーアゼ
による分解反応は等温条件で実施することが可能であ
る。このサイクリングアッセイ法においても繰り返され
るポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も
多くなり、検出が容易になる。
ている、エクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッ
セイ法もポリメラーゼ伸長反応を利用した、ターゲット
核酸断片の目的部位の増幅法の一つである。この方法は
ターゲット核酸断片の目的部位に特異的にハイブリダイ
ゼーションしたプライマーを起点とした、ポリメラーゼ
伸長反応とともに、5’→3’エクソヌクレアーゼを作
用させて、プライマーを逆方向から分解する方法であ
る。分解したプライマーの代わりに新たなプライマーが
ハイブリダイゼーションし、再度DNAポリメラーゼに
よる伸長反応が進行する。このポリメラーゼによる伸長
反応と、この先に伸長した鎖を外すエクソヌクレーアゼ
による分解反応が順次、周期的に繰り返される。ここ
で、ポリメラーゼによる伸長反応とエクソヌクレーアゼ
による分解反応は等温条件で実施することが可能であ
る。このサイクリングアッセイ法においても繰り返され
るポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も
多くなり、検出が容易になる。
【0027】近年開発されたターゲット核酸断片の目的
部位の増幅法として、前記LAMP法がある。この方法
は、ターゲット核酸断片の少なくとも6個所の特定部位
を相補的に認識する少なくとも4種のプライマーと、
5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型
上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら
伸長反応を触媒する鎖置換型のBst DNAポリメラ
ーゼを使用することで、等温条件でターゲット核酸断片
の目的部位を、特別な構造とって増幅する方法である。
このLAMP法の増幅効率は高く、ポリメラーゼ伸長反
応で生成するピロ燐酸の蓄積量も非常に多くなり、検出
が容易になる。
部位の増幅法として、前記LAMP法がある。この方法
は、ターゲット核酸断片の少なくとも6個所の特定部位
を相補的に認識する少なくとも4種のプライマーと、
5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型
上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら
伸長反応を触媒する鎖置換型のBst DNAポリメラ
ーゼを使用することで、等温条件でターゲット核酸断片
の目的部位を、特別な構造とって増幅する方法である。
このLAMP法の増幅効率は高く、ポリメラーゼ伸長反
応で生成するピロ燐酸の蓄積量も非常に多くなり、検出
が容易になる。
【0028】ターゲット核酸断片がRNA断片の場合
は、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼ
を使用し、RNA鎖を鋳型にして伸長反応を行うことが
可能である。さらにリバーストランスクリプターゼとT
aq DNAポリメラーゼを併用し、RT(リバースト
ランスクリプション)反応に引き続いてPCR反応を行
う、RT−PCR法を用いることができる。このRT反
応またはRT−PCR反応で生成するピロ燐酸を検出す
ることで、ターゲット核酸断片のRNA断片の存在を検
出することができる。この方法は、RNAウイルスの存
在を検出する場合に有効である。
は、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼ
を使用し、RNA鎖を鋳型にして伸長反応を行うことが
可能である。さらにリバーストランスクリプターゼとT
aq DNAポリメラーゼを併用し、RT(リバースト
ランスクリプション)反応に引き続いてPCR反応を行
う、RT−PCR法を用いることができる。このRT反
応またはRT−PCR反応で生成するピロ燐酸を検出す
ることで、ターゲット核酸断片のRNA断片の存在を検
出することができる。この方法は、RNAウイルスの存
在を検出する場合に有効である。
【0029】(E) ピロ燐酸に作用する酵素反応試薬:
本発明においては、前記(D)に示したようなポリメラ
ーゼ伸長反応の際に生成するピロ燐酸に対して作用する
酵素反応試薬を使用する。このような酵素反応試薬は少
なくとも一つの酸化酵素を含んでいる。本発明に適した
ピロ燐酸に作用する酵素反応試薬による酵素反応は、式
(1)または式(2)に示した反応である。
本発明においては、前記(D)に示したようなポリメラ
ーゼ伸長反応の際に生成するピロ燐酸に対して作用する
酵素反応試薬を使用する。このような酵素反応試薬は少
なくとも一つの酸化酵素を含んでいる。本発明に適した
ピロ燐酸に作用する酵素反応試薬による酵素反応は、式
(1)または式(2)に示した反応である。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】式(1)または式(2)に示した酵素反応
は、ピロ燐酸(PPi)をピロホスファターゼで無機燐
酸(Pi)に変換し、プリンヌクレオシドホスホリラー
ゼ(PNP)により無機燐酸(Pi)をキサントシンま
たはイノシンと反応させ、生じたキサンチンまたはヒポ
キサンチンをキサンチンオキシダーゼ(XOD)により
酸化して尿酸を生成させている。
は、ピロ燐酸(PPi)をピロホスファターゼで無機燐
酸(Pi)に変換し、プリンヌクレオシドホスホリラー
ゼ(PNP)により無機燐酸(Pi)をキサントシンま
たはイノシンと反応させ、生じたキサンチンまたはヒポ
キサンチンをキサンチンオキシダーゼ(XOD)により
酸化して尿酸を生成させている。
【0033】式(1)または式(2)に示した酵素反応
において、ピロホスファターゼ(EC3,6,1,1)
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP,EC2.
4.2.1)、及びキサンチンオキシダーゼ(XOD,
EC1.2.3.2)は市販のものを使用することがで
きる。
において、ピロホスファターゼ(EC3,6,1,1)
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP,EC2.
4.2.1)、及びキサンチンオキシダーゼ(XOD,
EC1.2.3.2)は市販のものを使用することがで
きる。
【0034】式(1)または式(2)に示した酵素反応
において、キサンチンまたはヒポキサンチンがキサンチ
ンオキシダーゼ(XOD)により酸化される際に電子移
動が起こる。本発明においては、この電子移動を検出す
る。
において、キサンチンまたはヒポキサンチンがキサンチ
ンオキシダーゼ(XOD)により酸化される際に電子移
動が起こる。本発明においては、この電子移動を検出す
る。
【0035】式(1)または式(2)に示した酵素反応
に、さらにウリカーゼを作用させて、式1または式2酵
素反応で生成した尿酸をさらに酸化し、その際の電子移
動を検出することも可能である。
に、さらにウリカーゼを作用させて、式1または式2酵
素反応で生成した尿酸をさらに酸化し、その際の電子移
動を検出することも可能である。
【0036】(F) 電気化学活性インターカレータ:本
発明で使用する電気化学活性インターカレータは、DN
A断片にインターカレーションし、前記(E)で示し
た、ピロリン酸に対して作用する酵素反応において、酸
化酵素が作用する際に起こる電子移動を増幅する。この
場合、電気化学活性インターカレータがインターカレー
ションするDNA断片は、前記(D)に示したようなポ
リメラーゼ伸長反応により生成する2本鎖DNA断片で
あっても、(H)で後述する、DNA修飾電極の表面に
固定された、ポリメラーゼ伸長反応により生成する2本
鎖核酸断片とは無関係の、DNA断片であっても良い。
発明で使用する電気化学活性インターカレータは、DN
A断片にインターカレーションし、前記(E)で示し
た、ピロリン酸に対して作用する酵素反応において、酸
化酵素が作用する際に起こる電子移動を増幅する。この
場合、電気化学活性インターカレータがインターカレー
ションするDNA断片は、前記(D)に示したようなポ
リメラーゼ伸長反応により生成する2本鎖DNA断片で
あっても、(H)で後述する、DNA修飾電極の表面に
固定された、ポリメラーゼ伸長反応により生成する2本
鎖核酸断片とは無関係の、DNA断片であっても良い。
【0037】このような、電気化学活性インターカレー
タとして好ましいインターカレータは、酸化還元活性を
有する縫い込み型インターカレータである。酸化還元活
性を有する縫い込み型インターカレータとしては、特開
平9−288080号公報および文献(J.Chem.
Soc.Commun.,1111、1998)に記載
のインターカレータを用いることが特に好ましい。
タとして好ましいインターカレータは、酸化還元活性を
有する縫い込み型インターカレータである。酸化還元活
性を有する縫い込み型インターカレータとしては、特開
平9−288080号公報および文献(J.Chem.
Soc.Commun.,1111、1998)に記載
のインターカレータを用いることが特に好ましい。
【0038】さらに、該インターカレータとしては、下
記式(3)で表されるものも好ましく用いることができ
る。下記の式(3)で表されるインターカレータは、印
加電圧が400乃至600mVの範囲にピーク電流値を
有する特徴を持つ。
記式(3)で表されるものも好ましく用いることができ
る。下記の式(3)で表されるインターカレータは、印
加電圧が400乃至600mVの範囲にピーク電流値を
有する特徴を持つ。
【0039】
【化3】
【0040】上記の式(3)において、N−置換−イミ
ノ基は、縫い込み型インターカレータに可溶性を付与す
る基であり、RおよびR1は、互いに独立に、水素原
子、そして、置換基を有していてもよい炭素原子数が1
乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4のアシル
基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および炭素原
子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至23のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もし
くは基を表す。炭素原子数が1乃至3のアルキル基とし
ては、メチル基もしくはエチル基であることが好まし
く、メチル基であることが特に好ましい。炭素原子数が
2乃至4のアシル基としては、アセチル基であることが
好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール基として
は、フェニル基もしくはナフチル基であることが好まし
く、フェニル基であることが特に好ましい。炭素原子数
が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至2
3のアラルキル基としては、ベンジル基であることが好
ましい。RおよびR1は、同一の原子もしくは基である
ことが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
ノ基は、縫い込み型インターカレータに可溶性を付与す
る基であり、RおよびR1は、互いに独立に、水素原
子、そして、置換基を有していてもよい炭素原子数が1
乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4のアシル
基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および炭素原
子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至23のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もし
くは基を表す。炭素原子数が1乃至3のアルキル基とし
ては、メチル基もしくはエチル基であることが好まし
く、メチル基であることが特に好ましい。炭素原子数が
2乃至4のアシル基としては、アセチル基であることが
好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール基として
は、フェニル基もしくはナフチル基であることが好まし
く、フェニル基であることが特に好ましい。炭素原子数
が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至2
3のアラルキル基としては、ベンジル基であることが好
ましい。RおよびR1は、同一の原子もしくは基である
ことが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0041】置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲ
ン原子(F、Cl、Br等)、カルボキシル基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃至6の
アルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロゲン化
アルキル基、炭素原子数が6乃至12のアリール基、お
よび炭素原子数が1乃至6のアルコキシ基からなる群よ
り選ばれる原子もしくは基を挙げることができる。置換
基の数は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原
子数が1乃至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃
至6のハロゲン化アルキル基、あるいは炭素原子数が1
乃至6のアルコキシ基については、1乃至12個である
ことが好ましく、1乃至3個であることさらに好まし
く、1個であることが特に好ましい。炭素原子数が6乃
至12のアリール基については、その数は1乃至7個で
あることが好ましく、1乃至3個であることがさらに好
ましく、1個であることが特に好ましい。
ン原子(F、Cl、Br等)、カルボキシル基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃至6の
アルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロゲン化
アルキル基、炭素原子数が6乃至12のアリール基、お
よび炭素原子数が1乃至6のアルコキシ基からなる群よ
り選ばれる原子もしくは基を挙げることができる。置換
基の数は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原
子数が1乃至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃
至6のハロゲン化アルキル基、あるいは炭素原子数が1
乃至6のアルコキシ基については、1乃至12個である
ことが好ましく、1乃至3個であることさらに好まし
く、1個であることが特に好ましい。炭素原子数が6乃
至12のアリール基については、その数は1乃至7個で
あることが好ましく、1乃至3個であることがさらに好
ましく、1個であることが特に好ましい。
【0042】YおよびY1は、互いに独立に、−NH−
CO−基もしくは−CO−NH−基を表し、−NH−C
O−基であることが好ましい。これらの基のカルボニル
基もしくはイミノ基が、それぞれ、EおよびE1と結合
する。
CO−基もしくは−CO−NH−基を表し、−NH−C
O−基であることが好ましい。これらの基のカルボニル
基もしくはイミノ基が、それぞれ、EおよびE1と結合
する。
【0043】EおよびE1は、互いに独立に、一つの結
合手を有するフェロセンを表す。当該フェロセンは、置
換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有
している場合には、同一であることが好ましい。以下
に、置換基を有するフェロセンの具体例を示す。置換基
の位置は、シクロペンタジエニル基の何れの位置であっ
てもよい。
合手を有するフェロセンを表す。当該フェロセンは、置
換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有
している場合には、同一であることが好ましい。以下
に、置換基を有するフェロセンの具体例を示す。置換基
の位置は、シクロペンタジエニル基の何れの位置であっ
てもよい。
【0044】
【化4】
【0045】XおよびZは、互いに独立に、水素原子、
ハロゲン原子、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキル
基を表すが、水素原子であることが好ましい。炭素原子
数1乃至6のアルキル基の好ましい例としては、前記記
載のR(もしくはR1)と同様である。
ハロゲン原子、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキル
基を表すが、水素原子であることが好ましい。炭素原子
数1乃至6のアルキル基の好ましい例としては、前記記
載のR(もしくはR1)と同様である。
【0046】m、n、kおよびpは、縫い込み型インタ
ーカレータのリンカー部分の長さを決定するものであ
り、各々、1乃至6の整数を表す。但し、mとnとの
和、およびkとpとの和は、各々、4乃至8である。m
とk、およびnとpとは、それぞれ、同一の数であるこ
とが好ましく、m、n、kおよびpは、何れも3である
ことが特に好ましい。
ーカレータのリンカー部分の長さを決定するものであ
り、各々、1乃至6の整数を表す。但し、mとnとの
和、およびkとpとの和は、各々、4乃至8である。m
とk、およびnとpとは、それぞれ、同一の数であるこ
とが好ましく、m、n、kおよびpは、何れも3である
ことが特に好ましい。
【0047】上述の導電性基で標識された縫い込み型イ
ンターカレータは、例えば、特開平9−288080号
に記載の方法によって簡便に収率良く製造することがで
きる。
ンターカレータは、例えば、特開平9−288080号
に記載の方法によって簡便に収率良く製造することがで
きる。
【0048】本発明においては、下記の式(4)で表わ
される酸化還元活性で標識された縫い込み型インターカ
レータを用いることが特に好ましい。下記の式(4)で
表されるインターカレータは、印加電圧100乃至40
0mVの範囲にピーク電流値を有する性質を持つ。
される酸化還元活性で標識された縫い込み型インターカ
レータを用いることが特に好ましい。下記の式(4)で
表されるインターカレータは、印加電圧100乃至40
0mVの範囲にピーク電流値を有する性質を持つ。
【0049】
Ea−La−X−Lb−Eb …… (4)
【0050】ただし、EaおよびEbは、互いに独立に、
酸化還元活性を示し、かつ共役系を含む基を表わし、X
は二価の環状基を表わし、そしてLaおよびLbは、互い
に独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長され
る共役系を形成することのない連結基であって、少なく
とも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する部位
を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換し
得る部位を有する連結基である。
酸化還元活性を示し、かつ共役系を含む基を表わし、X
は二価の環状基を表わし、そしてLaおよびLbは、互い
に独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長され
る共役系を形成することのない連結基であって、少なく
とも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する部位
を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換し
得る部位を有する連結基である。
【0051】上記式(4)において、EaとEb、そして
LaとLbとが、それぞれ、互いに同一の基であることが
好ましい。また、La−X−Lbで表わされる連結部の主
鎖の最短の結合路を構成する原子の数が10乃至100
の間、なかでも15乃至70の間、特に20乃至50の
間にあることが好ましい。なお、この連結部の主鎖の最
短の結合路を構成する原子の数の計算を、前記のフェロ
センカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
に適用すると、その原子の数は32となる。
LaとLbとが、それぞれ、互いに同一の基であることが
好ましい。また、La−X−Lbで表わされる連結部の主
鎖の最短の結合路を構成する原子の数が10乃至100
の間、なかでも15乃至70の間、特に20乃至50の
間にあることが好ましい。なお、この連結部の主鎖の最
短の結合路を構成する原子の数の計算を、前記のフェロ
センカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
に適用すると、その原子の数は32となる。
【0052】また、EaおよびEbは、互いに独立に、そ
れぞれ置換基を有していてもよい、一もしくは二以上の
結合手を持つメタロセン、2,2’−ビピリジン錯体、
シクロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、
1,10−フェナントロリン錯体、トリフェニルホスフ
ィン錯体、カテコールアミンおよびビオローゲンからな
る群より選ばれる酸化還元活性基であることが好まし
い。
れぞれ置換基を有していてもよい、一もしくは二以上の
結合手を持つメタロセン、2,2’−ビピリジン錯体、
シクロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、
1,10−フェナントロリン錯体、トリフェニルホスフ
ィン錯体、カテコールアミンおよびビオローゲンからな
る群より選ばれる酸化還元活性基であることが好まし
い。
【0053】上記式(4)の化合物は、特に下記式
(5)で表わされる化合物であることが好ましい。
(5)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0054】
Ea−L1a−L2a−X−L2b−L1b−Eb …… (5)
【0055】但し、EaおよびEbは、互いに独立に、酸
化還元活性を有し、かつ共役系を含む基を表わし、L1a
およびL1bは、互いに独立に、それぞれがEaおよびEb
の共役系が延長される共役系を形成しない基を表わし、
L2aおよびL2bは、互いに独立に、水溶性を付与する部
位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換
し得る部位を有する連結基を表わし、そしてXは二価の
環状基を表わす。
化還元活性を有し、かつ共役系を含む基を表わし、L1a
およびL1bは、互いに独立に、それぞれがEaおよびEb
の共役系が延長される共役系を形成しない基を表わし、
L2aおよびL2bは、互いに独立に、水溶性を付与する部
位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換
し得る部位を有する連結基を表わし、そしてXは二価の
環状基を表わす。
【0056】L1aおよびL1bは、互いに独立に、置換基
を有していてもよい炭化水素基、特に、置換基を有して
いてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン基あるい
は置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のア
ルケニレン基であることが好ましい。
を有していてもよい炭化水素基、特に、置換基を有して
いてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン基あるい
は置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のア
ルケニレン基であることが好ましい。
【0057】L2aおよびL2bは、互いに独立に、炭素元
素以外の元素(例、N、O、もしくはS)を含む連結基
であることが好ましく、特に、置換基を有していてもよ
い、アミド結合基、エステル結合基、エーテル結合基、
チオエーテル結合基、ジイミド結合基、チオジイミド結
合基、チオアミド結合基、イミノ結合基、カルボニル結
合基、チオカルボニル結合基および1,4−ピペラジニ
ル基からなる群より選ばれる基を含む連結基であること
が好ましい。最も好ましいのは、−NHCO−基、もし
くは−CONH−基である。なお、EaとEb、L1aとL
1b、そしてL2aとL2bとが、それぞれ、互いに同一の基
であることが有利である。
素以外の元素(例、N、O、もしくはS)を含む連結基
であることが好ましく、特に、置換基を有していてもよ
い、アミド結合基、エステル結合基、エーテル結合基、
チオエーテル結合基、ジイミド結合基、チオジイミド結
合基、チオアミド結合基、イミノ結合基、カルボニル結
合基、チオカルボニル結合基および1,4−ピペラジニ
ル基からなる群より選ばれる基を含む連結基であること
が好ましい。最も好ましいのは、−NHCO−基、もし
くは−CONH−基である。なお、EaとEb、L1aとL
1b、そしてL2aとL2bとが、それぞれ、互いに同一の基
であることが有利である。
【0058】上記式(4)および(5)の縫い込み型イ
ンターカレータを用いると、核酸断片の検出操作におい
て電極基板付与する電位として、100乃至400mV
の範囲内の相対的に低い電位が利用できる。
ンターカレータを用いると、核酸断片の検出操作におい
て電極基板付与する電位として、100乃至400mV
の範囲内の相対的に低い電位が利用できる。
【0059】式(4)および式(5)において、Xは、
置換基を有していてもよい二価の環状基を表す。二価の
環状基としては、平面性を有する環状基であることが好
ましく、二つの窒素原子に結合手を有するナフタレンジ
イミド基、2位と6位、もしくは1位と5位(好ましく
は2位と6位)とに結合手を有するアントラセン基、ア
ントラセン基と同じ位置に結合手を有するアントラキノ
ン基、2位と6位とに結合手を有するフルオレン基、2
位と6位とに結合手を有するビフェニレン基、2位と7
位とに結合手を有するフェナントレン基、および2位と
7位とに結合手を有するピレン基からなる群より選ばれ
る環状基であることが好ましく、二つの窒素原子に結合
手を有するナフタレンジイミド基であることが特に好ま
しい。置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(F、
Cl、Br等)、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキ
ル基であることが好ましいが、水素原子であることが好
ましい。炭素原子数1乃至6のアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、もしくはn−プロピル基であること
が好ましい。
置換基を有していてもよい二価の環状基を表す。二価の
環状基としては、平面性を有する環状基であることが好
ましく、二つの窒素原子に結合手を有するナフタレンジ
イミド基、2位と6位、もしくは1位と5位(好ましく
は2位と6位)とに結合手を有するアントラセン基、ア
ントラセン基と同じ位置に結合手を有するアントラキノ
ン基、2位と6位とに結合手を有するフルオレン基、2
位と6位とに結合手を有するビフェニレン基、2位と7
位とに結合手を有するフェナントレン基、および2位と
7位とに結合手を有するピレン基からなる群より選ばれ
る環状基であることが好ましく、二つの窒素原子に結合
手を有するナフタレンジイミド基であることが特に好ま
しい。置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(F、
Cl、Br等)、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキ
ル基であることが好ましいが、水素原子であることが好
ましい。炭素原子数1乃至6のアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、もしくはn−プロピル基であること
が好ましい。
【0060】前記式(4)において、LaおよびLbは、
互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長
される共役系を形成することのない連結基であって、少
なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する
部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変
換し得る部位を有する連結基である。ここで、「水溶性
を付与する部位に変換し得る部位」とは、たとえば、メ
チル基を置換基として有するイミノ基のように、硫酸な
どの酸と接触した場合に、硫酸塩部位に変換され、水溶
性を示すように変化する部位を有する。勿論、「本化合
物に水溶性を付与する部位」に塩部分のような荷電部分
を持っていてもよい。
互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長
される共役系を形成することのない連結基であって、少
なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する
部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変
換し得る部位を有する連結基である。ここで、「水溶性
を付与する部位に変換し得る部位」とは、たとえば、メ
チル基を置換基として有するイミノ基のように、硫酸な
どの酸と接触した場合に、硫酸塩部位に変換され、水溶
性を示すように変化する部位を有する。勿論、「本化合
物に水溶性を付与する部位」に塩部分のような荷電部分
を持っていてもよい。
【0061】LaおよびLbは、互いに独立に、Eaおよ
びEbに隣接する側に、置換基を有していてもよい炭化
水素基(前記式(5)のL1aとL1bに相当する基)を有
し、一方、Xに隣接する側に炭素元素以外の元素を含む
連結基(前記式(5)のL2aとL2bに相当する基)とか
らなる連結基であることが好ましい。従って、Laおよ
びLbは、それぞれ、前記式(5)の−L1a−L2a−、
そして−L2b−L1b−に該当する連結基であることが望
ましい。ここで、L1aとL1bは、互いに独立に、置換基
を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン
基あるいは置換基を有していてもよい炭素原子数が2乃
至6のアルケニレン基であることが好ましく、一方、L
2aとL2bとは、互いに独立に、N、O、もしくはSを含
む連結基であることが望ましい。
びEbに隣接する側に、置換基を有していてもよい炭化
水素基(前記式(5)のL1aとL1bに相当する基)を有
し、一方、Xに隣接する側に炭素元素以外の元素を含む
連結基(前記式(5)のL2aとL2bに相当する基)とか
らなる連結基であることが好ましい。従って、Laおよ
びLbは、それぞれ、前記式(5)の−L1a−L2a−、
そして−L2b−L1b−に該当する連結基であることが望
ましい。ここで、L1aとL1bは、互いに独立に、置換基
を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン
基あるいは置換基を有していてもよい炭素原子数が2乃
至6のアルケニレン基であることが好ましく、一方、L
2aとL2bとは、互いに独立に、N、O、もしくはSを含
む連結基であることが望ましい。
【0062】L1aおよびL1bの置換基としては、ヒドロ
キシル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、
シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ホルミルアミノ基、
炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃
至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロ
ゲン化アルキル基、炭素原子数が5乃至7のシクロアル
キルアミノ基、炭素原子数が2乃至12のジアルキルア
ミノ基、炭素原子数が6乃至12のアリール基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至18のアラルキル基、1乃至6のアルキル基を有する
炭素原子数が7乃至18のアラルキルアミノ基、炭素原
子数が2乃至7のアルカノイル基、炭素原子数が2乃至
7のアルカノイルアミノ基、炭素原子数が3乃至10の
N−アルカノイル−N−アルキルアミノ基、アミノカル
ボニル基、炭素原子数が2乃至7のアルコキシカルボニ
ル基、S、NおよびOからなる群より選ばれるヘテロ原
子を1乃至4個含む炭素原子数2乃至10の複素環基、
並びに置換基として炭素原子数1乃至6のアルキル基、
炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、もしくはハロゲン
原子を1乃至5個有していてもよい環構成炭素原子数の
数が6乃至12のアリール基からなる群より選ばれる原
子もしくは基である。置換基の数は、炭素原子数が1乃
至6のアルキレン基では、1乃至12個であることが好
ましく、1乃至3個であることが特に好ましい。炭素原
子数が1乃至6のアルケニレン基については、その数は
1乃至10個であることが好ましく、1乃至3個である
ことが特に好ましい。
キシル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、
シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ホルミルアミノ基、
炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃
至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロ
ゲン化アルキル基、炭素原子数が5乃至7のシクロアル
キルアミノ基、炭素原子数が2乃至12のジアルキルア
ミノ基、炭素原子数が6乃至12のアリール基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至18のアラルキル基、1乃至6のアルキル基を有する
炭素原子数が7乃至18のアラルキルアミノ基、炭素原
子数が2乃至7のアルカノイル基、炭素原子数が2乃至
7のアルカノイルアミノ基、炭素原子数が3乃至10の
N−アルカノイル−N−アルキルアミノ基、アミノカル
ボニル基、炭素原子数が2乃至7のアルコキシカルボニ
ル基、S、NおよびOからなる群より選ばれるヘテロ原
子を1乃至4個含む炭素原子数2乃至10の複素環基、
並びに置換基として炭素原子数1乃至6のアルキル基、
炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、もしくはハロゲン
原子を1乃至5個有していてもよい環構成炭素原子数の
数が6乃至12のアリール基からなる群より選ばれる原
子もしくは基である。置換基の数は、炭素原子数が1乃
至6のアルキレン基では、1乃至12個であることが好
ましく、1乃至3個であることが特に好ましい。炭素原
子数が1乃至6のアルケニレン基については、その数は
1乃至10個であることが好ましく、1乃至3個である
ことが特に好ましい。
【0063】L2aとL2bとは、互いに独立に、それぞ
れ、置換基を有していてもよい、アミド結合基、エステ
ル結合基、エーテル結合基、チオエーテル結合基、ジイ
ミド結合基、チオジイミド結合基、チオアミド結合基、
イミノ結合基、カルボニル結合基、チオカルボニル結合
基および1,4−ピペラジニル基からなる群より選ばれ
る基を一個もしくは複数個含む連結基であることが好ま
しく、特に好ましいのはアミド基(−NHCO−基、も
しくは−CONH−基)である。
れ、置換基を有していてもよい、アミド結合基、エステ
ル結合基、エーテル結合基、チオエーテル結合基、ジイ
ミド結合基、チオジイミド結合基、チオアミド結合基、
イミノ結合基、カルボニル結合基、チオカルボニル結合
基および1,4−ピペラジニル基からなる群より選ばれ
る基を一個もしくは複数個含む連結基であることが好ま
しく、特に好ましいのはアミド基(−NHCO−基、も
しくは−CONH−基)である。
【0064】L2aとL2bの置換基の例としては、炭素原
子数が1乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4の
アシル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および
炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数
が7乃至23のアラルキル基からなる群より選ばれる基
で置換されていてもよい。炭素原子数が1乃至3のアル
キル基としては、メチル基もしくはエチル基であること
が好ましく、メチル基であることが特に好ましい。炭素
原子数が2乃至4のアシル基としては、アセチル基であ
ることが好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール
基としては、フェニル基もしくはナフチル基であること
が好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。炭
素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が
7乃至23のアラルキル基としては、ベンジル基である
ことが好ましい。
子数が1乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4の
アシル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および
炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数
が7乃至23のアラルキル基からなる群より選ばれる基
で置換されていてもよい。炭素原子数が1乃至3のアル
キル基としては、メチル基もしくはエチル基であること
が好ましく、メチル基であることが特に好ましい。炭素
原子数が2乃至4のアシル基としては、アセチル基であ
ることが好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール
基としては、フェニル基もしくはナフチル基であること
が好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。炭
素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が
7乃至23のアラルキル基としては、ベンジル基である
ことが好ましい。
【0065】L2aとL2bがイミノ結合基である場合、そ
の置換基としては、メチル基であることが特に好まし
い。従って、L2aとL2bは、それぞれ独立に、N−メチ
ル−ジ(n−プロピレニル)イミノ基、1,4−ジ(n
−プロピレニル)−ピペラジニル基であることがさらに
好ましく、N−メチル−ジ(n−プロピレニル)イミノ
基であることが特に好ましい。
の置換基としては、メチル基であることが特に好まし
い。従って、L2aとL2bは、それぞれ独立に、N−メチ
ル−ジ(n−プロピレニル)イミノ基、1,4−ジ(n
−プロピレニル)−ピペラジニル基であることがさらに
好ましく、N−メチル−ジ(n−プロピレニル)イミノ
基であることが特に好ましい。
【0066】EaおよびEbは、酸化還元活性を有し、こ
れによって導電性を付与する基であり、互いに独立に、
置換基を有していてもよい、一つ以上の結合手を持つメ
タロセン、2,2’−ビピリジン錯体、シクロブタジエ
ン錯体、シクロペンタジエニル錯体、1,10−フェナ
ントロリン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、カテコ
−ルアミン、あるいはビオロ−ゲンなどであることが好
ましい。置換基を有していてもよい一つの結合手を持つ
フェロセンであることが特に好ましい。EaおよびEbは
互いに同一の基であることが好ましい。次に、置換基を
有するフェロセンの具体例を示す。置換基の位置は、シ
クロペンタジエニル基の何れの位置であってもよい。
れによって導電性を付与する基であり、互いに独立に、
置換基を有していてもよい、一つ以上の結合手を持つメ
タロセン、2,2’−ビピリジン錯体、シクロブタジエ
ン錯体、シクロペンタジエニル錯体、1,10−フェナ
ントロリン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、カテコ
−ルアミン、あるいはビオロ−ゲンなどであることが好
ましい。置換基を有していてもよい一つの結合手を持つ
フェロセンであることが特に好ましい。EaおよびEbは
互いに同一の基であることが好ましい。次に、置換基を
有するフェロセンの具体例を示す。置換基の位置は、シ
クロペンタジエニル基の何れの位置であってもよい。
【0067】
【化5】
【0068】上記の式(4)および(5)の縫い込み型
インターカレータとして有利に用いることのできる化合
物は、例えば、公知のジアミン化合物を原料として、公
知の方法(特開平9−288080号公報)に準じる製
造方法によって簡便に製造することができる。
インターカレータとして有利に用いることのできる化合
物は、例えば、公知のジアミン化合物を原料として、公
知の方法(特開平9−288080号公報)に準じる製
造方法によって簡便に製造することができる。
【0069】また式(4)および(5)の化合物は、公
知のジアミン化合物を出発物質とする下記の式で代表さ
れる合成ルートによっても安価に、かつ収率良く製造す
ることができる。
知のジアミン化合物を出発物質とする下記の式で代表さ
れる合成ルートによっても安価に、かつ収率良く製造す
ることができる。
【0070】
【化6】
【0071】(G) 電極:本発明で使用する電極は通
常、外部に出力する端子を備えているものを用いる。電
極の材料としては、金以外にも、グラファイト、グラシ
ーカーボン等の炭素電極、白金、パラジウム、ロジウム
等の貴金属電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガ
ン、酸化鉛等の酸化物電極、Si、Ge、ZnO、Cd
S等の半導体電極、チタンなどの電子伝導体を挙げるこ
とができるが、金もしくはグラシーカーボンを用いるこ
とが特に好ましい。これらの電子伝導体は、導電性高分
子によって被覆されていても、単分子膜によって被覆さ
れていてもよい。電極は、例えば、電極がグラシーカー
ボンである場合には、電極を過マンガン酸カリウムで処
理するなどの方法で表面処理しておくことが好ましい。
常、外部に出力する端子を備えているものを用いる。電
極の材料としては、金以外にも、グラファイト、グラシ
ーカーボン等の炭素電極、白金、パラジウム、ロジウム
等の貴金属電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガ
ン、酸化鉛等の酸化物電極、Si、Ge、ZnO、Cd
S等の半導体電極、チタンなどの電子伝導体を挙げるこ
とができるが、金もしくはグラシーカーボンを用いるこ
とが特に好ましい。これらの電子伝導体は、導電性高分
子によって被覆されていても、単分子膜によって被覆さ
れていてもよい。電極は、例えば、電極がグラシーカー
ボンである場合には、電極を過マンガン酸カリウムで処
理するなどの方法で表面処理しておくことが好ましい。
【0072】本発明で用いられる電極は、導電性を持た
ない基体上に複数の電極が配置されたものであることが
好ましい。その場合、電極は、導電性を持たない基体上
に、互いに接しないように、かつ規則的に配置されてい
ることが好ましい。例えば、板上の基体上に電極が規則
的に配置された電極を好ましく使用できる。また底面に
電極を備えたウエル(穴)が基体に規則的に配置された
電極、および先端に電極を備えている棒状の基体を規則
的に配置したものも好ましく使用できる。
ない基体上に複数の電極が配置されたものであることが
好ましい。その場合、電極は、導電性を持たない基体上
に、互いに接しないように、かつ規則的に配置されてい
ることが好ましい。例えば、板上の基体上に電極が規則
的に配置された電極を好ましく使用できる。また底面に
電極を備えたウエル(穴)が基体に規則的に配置された
電極、および先端に電極を備えている棒状の基体を規則
的に配置したものも好ましく使用できる。
【0073】導電性を持たない基体としては、電気絶縁
性の疎水性担体、あるいは電気絶縁性の低親水性の担体
であることが好ましい。また、その表面が凹凸を有する
平面性の低いものであっても好ましく用いることができ
る。基板の材質としては、ガラス、セメント、陶磁器等
のセラミックスもしくはニューセラミックス、ポリエチ
レンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフェノール
Aのポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタ
クリレート等のポリマー、シリコン、活性炭、多孔質ガ
ラス、多孔質セラミックス、多孔質シリコン、多孔質活
性炭、織編物、不織布、濾紙、短繊維、メンブレンフィ
ルター等の多孔質物質などを挙げることができるが、各
種ポリマー、ガラスもしくはシリコンであることが特に
好ましい。これは、表面処理の容易さや電気化学的方法
による解析の容易さによるものである。基体の厚さは、
特に限定されないが、板状である場合には、100乃至
10000μmの範囲にあることが好ましい。
性の疎水性担体、あるいは電気絶縁性の低親水性の担体
であることが好ましい。また、その表面が凹凸を有する
平面性の低いものであっても好ましく用いることができ
る。基板の材質としては、ガラス、セメント、陶磁器等
のセラミックスもしくはニューセラミックス、ポリエチ
レンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフェノール
Aのポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタ
クリレート等のポリマー、シリコン、活性炭、多孔質ガ
ラス、多孔質セラミックス、多孔質シリコン、多孔質活
性炭、織編物、不織布、濾紙、短繊維、メンブレンフィ
ルター等の多孔質物質などを挙げることができるが、各
種ポリマー、ガラスもしくはシリコンであることが特に
好ましい。これは、表面処理の容易さや電気化学的方法
による解析の容易さによるものである。基体の厚さは、
特に限定されないが、板状である場合には、100乃至
10000μmの範囲にあることが好ましい。
【0074】導電性を持たない基体上に複数の電極が配
置されたものとしては、導電性を持たない基体の表面を
上記の電子伝導体で処理したものを用いることが好まし
く、金を蒸着したものを用いることが特に好ましい。基
体は、電子伝導体で表面処理をする前に、基体上に電荷
を有する親水性の高分子物質からなる層や架橋剤からな
る層を設けてもよい。このような層を設けることによっ
て基体の凹凸を軽減することができる。また、基体によ
っては、その基体中に電荷を有する親水性の高分子物質
を含ませることも可能であり、このような処理を施した
基体も好ましく用いることができる。
置されたものとしては、導電性を持たない基体の表面を
上記の電子伝導体で処理したものを用いることが好まし
く、金を蒸着したものを用いることが特に好ましい。基
体は、電子伝導体で表面処理をする前に、基体上に電荷
を有する親水性の高分子物質からなる層や架橋剤からな
る層を設けてもよい。このような層を設けることによっ
て基体の凹凸を軽減することができる。また、基体によ
っては、その基体中に電荷を有する親水性の高分子物質
を含ませることも可能であり、このような処理を施した
基体も好ましく用いることができる。
【0075】導電性を持たない基体上に複数の電極が配
置されたものとしては、文献(Sosnowski,
R.G.et al.,Proc.Natl.Aci
d.Sci.USA,94,1119−1123,19
97)に記載の、シリコンチップも好ましく用いること
ができる。また、プリント配線基板のように、複数の電
極が基体上に印刷されてなるものであってもよい。
置されたものとしては、文献(Sosnowski,
R.G.et al.,Proc.Natl.Aci
d.Sci.USA,94,1119−1123,19
97)に記載の、シリコンチップも好ましく用いること
ができる。また、プリント配線基板のように、複数の電
極が基体上に印刷されてなるものであってもよい。
【0076】(H) DNA修飾電極:本発明で使用する
DNA修飾電極は、前記(G)に示したような電極の表
面にDNA断片が固定されている電極である。
DNA修飾電極は、前記(G)に示したような電極の表
面にDNA断片が固定されている電極である。
【0077】本発明で使用するDNA断片修飾電極にお
いて、電極の表面に固定されているDNA断片は、前記
(A)に示したようなターゲットDNA断片の一部、ま
たは前記(D)に示したようなポリメラーゼ伸長反応に
より生成したDNA断片の一部とは、塩基配列において
相補的である必要はない。この点で、本発明に使用する
DNA修飾電極は、特許公報第2573443号または
特開平12−146894号公報において使用されてい
る、ターゲット核酸の一部と相補的な塩基配列を有する
DNA断片を固定した電極とは、異なるものである。
いて、電極の表面に固定されているDNA断片は、前記
(A)に示したようなターゲットDNA断片の一部、ま
たは前記(D)に示したようなポリメラーゼ伸長反応に
より生成したDNA断片の一部とは、塩基配列において
相補的である必要はない。この点で、本発明に使用する
DNA修飾電極は、特許公報第2573443号または
特開平12−146894号公報において使用されてい
る、ターゲット核酸の一部と相補的な塩基配列を有する
DNA断片を固定した電極とは、異なるものである。
【0078】DNA修飾電極の表面に固定するDNA断
片の塩基数は5〜80塩基(または塩基対)であること
が好ましい。特に15〜40塩基(または塩基対)であ
ることが好ましい。このようなDNA断片はオリゴヌク
レオチドとして、容易に合成することができる。
片の塩基数は5〜80塩基(または塩基対)であること
が好ましい。特に15〜40塩基(または塩基対)であ
ることが好ましい。このようなDNA断片はオリゴヌク
レオチドとして、容易に合成することができる。
【0079】DNA修飾電極の表面に固定するDNA断
片は、1本鎖DNA断片であってもよいが、2本鎖DN
A断片であることが、特に好ましい。2本鎖DNA断片
である方が、前記(F)で示したような電気化学活性イ
ンターカレータは安定にインターカレーションする。2
本鎖DNA断片が固定されているDNA修飾電極は、電
極表面に固定した1本鎖DNA断片に、相補的なDNA
断片をハイブリダイゼーションさせることで作製するこ
とができる。また、予め2本鎖に調整されたDNA断片
を固定することでも作製することが可能である。
片は、1本鎖DNA断片であってもよいが、2本鎖DN
A断片であることが、特に好ましい。2本鎖DNA断片
である方が、前記(F)で示したような電気化学活性イ
ンターカレータは安定にインターカレーションする。2
本鎖DNA断片が固定されているDNA修飾電極は、電
極表面に固定した1本鎖DNA断片に、相補的なDNA
断片をハイブリダイゼーションさせることで作製するこ
とができる。また、予め2本鎖に調整されたDNA断片
を固定することでも作製することが可能である。
【0080】このようなDNA修飾電極は、特開平12
−199754号公報に、試料中のアナライトを定量す
る方法に使用するDNA修飾電極として記載されてい
る。しかしながら、特開平12−199754号公報に
記載されている発明は、酸化酵素、DNA修飾電極およ
び電気化学活性縫い込み型インターカレータを用いて、
前記酸化酵素が、その基質であるアナライトを酸化する
際に起こる電子移動を、DNA修飾電極および電気化学
活性縫い込み型インターカレータを用いて増感検出する
ことで、前記アナライトを定量する方法であり、本発明
のひとつの形態である、ターゲット核酸断片を鋳型にし
たポリメラーゼ伸長反応により生成するピロ燐酸に対し
て、酸化酵素を含む酵素試薬を作用させて、その際に起
こる電子移動をDNA修飾電極と電気化学活性縫い込み
型インターカレータを用いて増感検出することで、ター
ゲット核酸断片の存在またはターゲット核酸断片の塩基
配列を検出する方法とは異なるものである。
−199754号公報に、試料中のアナライトを定量す
る方法に使用するDNA修飾電極として記載されてい
る。しかしながら、特開平12−199754号公報に
記載されている発明は、酸化酵素、DNA修飾電極およ
び電気化学活性縫い込み型インターカレータを用いて、
前記酸化酵素が、その基質であるアナライトを酸化する
際に起こる電子移動を、DNA修飾電極および電気化学
活性縫い込み型インターカレータを用いて増感検出する
ことで、前記アナライトを定量する方法であり、本発明
のひとつの形態である、ターゲット核酸断片を鋳型にし
たポリメラーゼ伸長反応により生成するピロ燐酸に対し
て、酸化酵素を含む酵素試薬を作用させて、その際に起
こる電子移動をDNA修飾電極と電気化学活性縫い込み
型インターカレータを用いて増感検出することで、ター
ゲット核酸断片の存在またはターゲット核酸断片の塩基
配列を検出する方法とは異なるものである。
【0081】DNA断片を電極表面に固定する方法は、
表面がカチオニック(陽イオン性)になるように処理さ
れたの電極に、アニオニック(陰イオン性)であるDN
A断片を静電的に固定する方法を用いることができる。
この場合は、DNA断片はDNA断片上の多点で電極表
面に固定される。
表面がカチオニック(陽イオン性)になるように処理さ
れたの電極に、アニオニック(陰イオン性)であるDN
A断片を静電的に固定する方法を用いることができる。
この場合は、DNA断片はDNA断片上の多点で電極表
面に固定される。
【0082】本発明で使用するDNA修飾電極において
は、電極表面にDNA断片をその末端で固定する方法が
好ましく用いられる。この場合は、DNA断片は末端の
1点で電極表面に固定されていて、DNA断片のDNA
鎖自体は電極表面に束縛されていない。
は、電極表面にDNA断片をその末端で固定する方法が
好ましく用いられる。この場合は、DNA断片は末端の
1点で電極表面に固定されていて、DNA断片のDNA
鎖自体は電極表面に束縛されていない。
【0083】電極表面にDNA断片をその末端で固定す
るには、末端(5’末端)が反応性基で修飾されている
DNA断片を用い、その反応性基を介してDNA断片を
電極表面に固定する。電極表面に2本鎖DNA断片をそ
の末端で固定するには、末端(5’末端)が反応性基で
修飾された1本鎖DNA断片を用いて、まずその1本鎖
DNA断片を電極表面に固定し、続いて電極表面に固定
したDNA断片に相補的なDNA断片をハイブリダイゼ
ーションすることで行うことができる。また、2本鎖の
一方の末端(5’末端)のみが反応性基で修飾された、
2本鎖に予め調整されたDNA断片を用いることも可能
である。
るには、末端(5’末端)が反応性基で修飾されている
DNA断片を用い、その反応性基を介してDNA断片を
電極表面に固定する。電極表面に2本鎖DNA断片をそ
の末端で固定するには、末端(5’末端)が反応性基で
修飾された1本鎖DNA断片を用いて、まずその1本鎖
DNA断片を電極表面に固定し、続いて電極表面に固定
したDNA断片に相補的なDNA断片をハイブリダイゼ
ーションすることで行うことができる。また、2本鎖の
一方の末端(5’末端)のみが反応性基で修飾された、
2本鎖に予め調整されたDNA断片を用いることも可能
である。
【0084】電極表面にDNA断片をその末端で固定す
るには、電極が金電極の場合には、末端(5’末端)が
メルカプト基(−SH)で修飾されているDNA断片を
用い、その水溶液またはバッファー溶液を金電極表面に
点着し、液が乾燥しないように放置することで、DNA
断片を金電極表面に固定することができる。通常、DN
A断片の末端(5’末端)をメルカプト基で修飾するに
は、アルキル鎖をリンカーにして修飾する。金電極表面
へのDNA断片の固定方法の最も一般的な方法は、メル
カプトヘキシル基で5’末端が標識されたDNA断片を
用いる固定方法である。
るには、電極が金電極の場合には、末端(5’末端)が
メルカプト基(−SH)で修飾されているDNA断片を
用い、その水溶液またはバッファー溶液を金電極表面に
点着し、液が乾燥しないように放置することで、DNA
断片を金電極表面に固定することができる。通常、DN
A断片の末端(5’末端)をメルカプト基で修飾するに
は、アルキル鎖をリンカーにして修飾する。金電極表面
へのDNA断片の固定方法の最も一般的な方法は、メル
カプトヘキシル基で5’末端が標識されたDNA断片を
用いる固定方法である。
【0085】また、予め電極表面に反応性基を導入して
おき、当該反応性基と反応し得る反応性基で修飾された
DNA断片を用い、電極表面に修飾された反応性基とD
NA断片に修飾された反応性基とを反応させ、共有結合
を形成することで、電極表面にDNA断片をその末端で
固定することができる。
おき、当該反応性基と反応し得る反応性基で修飾された
DNA断片を用い、電極表面に修飾された反応性基とD
NA断片に修飾された反応性基とを反応させ、共有結合
を形成することで、電極表面にDNA断片をその末端で
固定することができる。
【0086】電極表面にDNA断片を固定する好ましい
方法は、ジビニルスルホン化合物を介して、DNA断片
を電極に共有結合により固定する方法である。この場
合、電極の表面には、ジビニルスルホン化合物と反応す
ることができる反応性基、例、アミノ基(−NH2)、
メルカプト基(−SH)を導入する。
方法は、ジビニルスルホン化合物を介して、DNA断片
を電極に共有結合により固定する方法である。この場
合、電極の表面には、ジビニルスルホン化合物と反応す
ることができる反応性基、例、アミノ基(−NH2)、
メルカプト基(−SH)を導入する。
【0087】このような、ジビニルスルホン化合物と反
応することができる反応性基、例、アミノ基(−N
H2)、メルカプト基(−SH)を電極表面に導入する
には、電極が金から形成されている場合は、炭素数が6
乃至18のアルキル鎖の、一方の末端がメルカプト基
(−SH)で修飾されていて、他方の末端がジビニルス
ルホン化合物と反応することができる反応性基、例、ア
ミノ基(−NH2)で修飾されている化合物を用いて、
ジビニルスルホン化合物と反応することができる反応性
基を電極表面に導入することができる。
応することができる反応性基、例、アミノ基(−N
H2)、メルカプト基(−SH)を電極表面に導入する
には、電極が金から形成されている場合は、炭素数が6
乃至18のアルキル鎖の、一方の末端がメルカプト基
(−SH)で修飾されていて、他方の末端がジビニルス
ルホン化合物と反応することができる反応性基、例、ア
ミノ基(−NH2)で修飾されている化合物を用いて、
ジビニルスルホン化合物と反応することができる反応性
基を電極表面に導入することができる。
【0088】アルキル鎖の、一方の末端がメルカプト基
(−SH)で修飾されていて、他方の末端がジビニルス
ルホン化合物と反応することができない、もしくは反応
性の低い反応性基、例、メチレン基(−CH3)、ヒド
ロキシル基(−OH)で修飾されている化合物と、前記
の、アルキル鎖の、一方の末端がメルカプト基(−S
H)で修飾されていて、他方の末端がジビニルスルホン
化合物と反応することができる反応性基、例、アミノ基
(−NH2)で修飾されている化合物の両方を、その混
合比を調整して用いることで、電極表面に導入される、
ジビニルスルホン化合物と反応することができる反応性
基の密度をコントロールすることができる。
(−SH)で修飾されていて、他方の末端がジビニルス
ルホン化合物と反応することができない、もしくは反応
性の低い反応性基、例、メチレン基(−CH3)、ヒド
ロキシル基(−OH)で修飾されている化合物と、前記
の、アルキル鎖の、一方の末端がメルカプト基(−S
H)で修飾されていて、他方の末端がジビニルスルホン
化合物と反応することができる反応性基、例、アミノ基
(−NH2)で修飾されている化合物の両方を、その混
合比を調整して用いることで、電極表面に導入される、
ジビニルスルホン化合物と反応することができる反応性
基の密度をコントロールすることができる。
【0089】こうすることで、ジビニルスルホン基を介
して、共有結合により固定されるDNA断片の密度をコ
ントロールすることができる。
して、共有結合により固定されるDNA断片の密度をコ
ントロールすることができる。
【0090】反応性基が導入された電極は、ジビニルス
ルホン化合物と接触することによって、その反応性基と
ジビニルスルホン化合物とが反応し、共有結合が形成さ
れ、電極の反応性基部分が延長され、その先端もしくは
先端附近にビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆
体基を持つ反応性鎖が形成される。ここで、電極表面に
導入されるビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆
体基と連結基との連結体は、下記の式(6)により表わ
されるものであることが望ましい。
ルホン化合物と接触することによって、その反応性基と
ジビニルスルホン化合物とが反応し、共有結合が形成さ
れ、電極の反応性基部分が延長され、その先端もしくは
先端附近にビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆
体基を持つ反応性鎖が形成される。ここで、電極表面に
導入されるビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆
体基と連結基との連結体は、下記の式(6)により表わ
されるものであることが望ましい。
【0091】
−L−SO2−X …… (6)
【0092】上記の式(6)において、Xは、−CR1
=CR2R3または−CHR1−CR2R3Y(反応性前駆
体基)を表わす。R1、R2およびR3は、それぞれ互い
に独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、あるいは炭
素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子
が7乃至26のアラルキル基を表わす。炭素原子数が1
乃至6のアルキル基の例としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ヘキシル
基を挙げることができ、メチル基であることが特に好ま
しい。アリール基としては、フェニル基及びナフチル基
を挙げることができる。R1、R2及びR3は共に水素原
子であることが好ましい。
=CR2R3または−CHR1−CR2R3Y(反応性前駆
体基)を表わす。R1、R2およびR3は、それぞれ互い
に独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基、炭素原子数が6乃至20のアリ−ル基、あるいは炭
素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子
が7乃至26のアラルキル基を表わす。炭素原子数が1
乃至6のアルキル基の例としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ヘキシル
基を挙げることができ、メチル基であることが特に好ま
しい。アリール基としては、フェニル基及びナフチル基
を挙げることができる。R1、R2及びR3は共に水素原
子であることが好ましい。
【0093】Yは、−OH、−OR0、−SH、NH3、
NH2R0(但し、R0は、水素原子を除く、アルキル基
などの基である)などの求核試薬によって置換される
基、あるいは塩基によって「HY」として脱離する基を
表わし、その例としては、ハロゲン原子、−OSO2R
11、−OCOR12、−OSO3M、あるいは四級ピリジ
ニウム基を表わす(R11は、炭素原子数が1乃至6のア
ルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、ある
いは炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭
素原子数が7乃至26のアラルキル基を表わし;R
12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基あるいは炭素
原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基を表わし;M
は、水素原子、アルカリ金属原子あるいはアンモニウム
基を表わす)を挙げることができる。
NH2R0(但し、R0は、水素原子を除く、アルキル基
などの基である)などの求核試薬によって置換される
基、あるいは塩基によって「HY」として脱離する基を
表わし、その例としては、ハロゲン原子、−OSO2R
11、−OCOR12、−OSO3M、あるいは四級ピリジ
ニウム基を表わす(R11は、炭素原子数が1乃至6のア
ルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、ある
いは炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭
素原子数が7乃至26のアラルキル基を表わし;R
12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基あるいは炭素
原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基を表わし;M
は、水素原子、アルカリ金属原子あるいはアンモニウム
基を表わす)を挙げることができる。
【0094】Lは、電極もしくは電極に結合している連
結基と、上記−SO2−X基とを連結している二価もし
くはそれ以上の連結基を表わす。ただし、Lは単結合で
あってもよい。二価の連結基としては、炭素原子数が1
乃至6のアルキレン基、炭素原子数が3乃至16の脂肪
族環基、炭素原子数が6乃至20のアリーレン基、N、
SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1乃至
3個含む炭素原子数が2乃至20の複素環基、−O−、
−S−、−SO−、−SO2−、−SO3−、−NR
11−、−CO−およびこれらの組み合わせから群より選
ばれる基を一つあるいは複数個組み合わせてなる基であ
ることが好ましい。R11は、水素原子、炭素原子数が1
乃至15のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ
ール基、あるいは炭素原子数が1乃至6のアルキル基を
有する炭素原子が7乃至21のアラルキル基であること
が好ましく、水素原子もしくは炭素原子数が1乃至6の
アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、メ
チル基もしくはエチル基であることが特に好ましい。
結基と、上記−SO2−X基とを連結している二価もし
くはそれ以上の連結基を表わす。ただし、Lは単結合で
あってもよい。二価の連結基としては、炭素原子数が1
乃至6のアルキレン基、炭素原子数が3乃至16の脂肪
族環基、炭素原子数が6乃至20のアリーレン基、N、
SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1乃至
3個含む炭素原子数が2乃至20の複素環基、−O−、
−S−、−SO−、−SO2−、−SO3−、−NR
11−、−CO−およびこれらの組み合わせから群より選
ばれる基を一つあるいは複数個組み合わせてなる基であ
ることが好ましい。R11は、水素原子、炭素原子数が1
乃至15のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ
ール基、あるいは炭素原子数が1乃至6のアルキル基を
有する炭素原子が7乃至21のアラルキル基であること
が好ましく、水素原子もしくは炭素原子数が1乃至6の
アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、メ
チル基もしくはエチル基であることが特に好ましい。
【0095】Lが−NR11−、−SONR11−、−CO
NR11−、−NR11COO−、および−NR11CONR
11−からなる群より選ばれる基を二個以上組み合わせて
なる基である場合には、それらのR11同士が結合して環
を形成していてもよい。
NR11−、−NR11COO−、および−NR11CONR
11−からなる群より選ばれる基を二個以上組み合わせて
なる基である場合には、それらのR11同士が結合して環
を形成していてもよい。
【0096】R11のアルキル基、R11のアリール基、お
よびR11のアラルキル基は、置換基を持っていてもよ
い。このような置換基としては、水酸基、炭素原子数が
1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至6のアル
ケニル基、炭素原子数が2乃至7のカルバモイル基、炭
素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が2乃至
7のアラルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール
基、スルファモイル基(もしくはそのNa塩、K塩
等)、スルホ基(もしくはそのNa塩、K塩等)、カル
ボン酸基(もしくはそのNa塩、K塩等)、ハロゲン原
子、炭素原子数が1乃至6のアルケニレン基、炭素原子
数が6乃至20のアリーレン基、スルホニル基、および
これらの組み合わせからなる群より選ばれる原子もしく
は基を挙げることができる。
よびR11のアラルキル基は、置換基を持っていてもよ
い。このような置換基としては、水酸基、炭素原子数が
1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至6のアル
ケニル基、炭素原子数が2乃至7のカルバモイル基、炭
素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が2乃至
7のアラルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール
基、スルファモイル基(もしくはそのNa塩、K塩
等)、スルホ基(もしくはそのNa塩、K塩等)、カル
ボン酸基(もしくはそのNa塩、K塩等)、ハロゲン原
子、炭素原子数が1乃至6のアルケニレン基、炭素原子
数が6乃至20のアリーレン基、スルホニル基、および
これらの組み合わせからなる群より選ばれる原子もしく
は基を挙げることができる。
【0097】上記「−X」基の好ましい具体例を以下に
示す。また、「−L−SO2−X」として使用できる基
の例についても、その後に示す。
示す。また、「−L−SO2−X」として使用できる基
の例についても、その後に示す。
【0098】
【化7】
【0099】
【化8】
【0100】「−X」は、上記具体例中、(X1)、
(X2)、(X3)、(X4)、(X7)、(X8)、
(X13)、あるいは(X14)であることが好まし
く、(X1)あるいは(X2)であることがさらに好ま
しい。特に好ましいのは(X1)で表わされるビニル基
である。
(X2)、(X3)、(X4)、(X7)、(X8)、
(X13)、あるいは(X14)であることが好まし
く、(X1)あるいは(X2)であることがさらに好ま
しい。特に好ましいのは(X1)で表わされるビニル基
である。
【0101】Lの好ましい具体例を以下に示す。但し、
aは、1乃至6の整数であり、1もしくは2であること
が好ましく、1であることが特に好ましい。bは、0乃
至6の整数であり、2もしくは3であることが好まし
い。
aは、1乃至6の整数であり、1もしくは2であること
が好ましく、1であることが特に好ましい。bは、0乃
至6の整数であり、2もしくは3であることが好まし
い。
【0102】
【化9】
【0103】Lとしては、上記記載の二価の連結基の他
に、上記式のアルキレン基の水素原子が−SO2CH=
CH2基によって置換されてなる基も好ましい。
に、上記式のアルキレン基の水素原子が−SO2CH=
CH2基によって置換されてなる基も好ましい。
【0104】前記の式(6)で表わされるビニルスルホ
ニル基もしくは反応性前駆体基が共有結合により固定さ
れた電極を得るために利用される二官能反応性化合物と
しては、下記の式(7)で表わされるジスルホン化合物
が有利に利用できる。
ニル基もしくは反応性前駆体基が共有結合により固定さ
れた電極を得るために利用される二官能反応性化合物と
しては、下記の式(7)で表わされるジスルホン化合物
が有利に利用できる。
【0105】
X1−SO2−L2−SO2−X2 …… (7)
【0106】上記の式において、X1およびX2は互いに
独立に、−CR1=CR2R3、または−CHR1−CR2
R3Y(反応性前駆体基)を表わし;R1、R2及びR
3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6
のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、
及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭
素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選
ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、
−OSO2R11、−OCOR12、−OSO3M、及び四級
ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基
を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原
子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が
7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を
表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基お
よび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基から
なる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アル
カリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ば
れる原子もしくは基を表わし;そして、L2は連結基を
表わす。
独立に、−CR1=CR2R3、または−CHR1−CR2
R3Y(反応性前駆体基)を表わし;R1、R2及びR
3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6
のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、
及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭
素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選
ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、
−OSO2R11、−OCOR12、−OSO3M、及び四級
ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基
を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原
子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が
7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を
表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基お
よび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基から
なる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アル
カリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ば
れる原子もしくは基を表わし;そして、L2は連結基を
表わす。
【0107】すなわち、上記の式(2)で表わされるジ
スルホン化合物を、前記の反応性基を備えた電極と、例
えば水性雰囲気にて接触させることによって、本発明の
反応性電極を容易に製造することができる。
スルホン化合物を、前記の反応性基を備えた電極と、例
えば水性雰囲気にて接触させることによって、本発明の
反応性電極を容易に製造することができる。
【0108】好ましく用いるジスルホン化合物の代表例
を下記に示す。なお、ジスルホン化合物は、二種類以上
を混合して用いてもよい。
を下記に示す。なお、ジスルホン化合物は、二種類以上
を混合して用いてもよい。
【0109】
【化10】
【0110】
【化11】
【0111】上記の式(7)で表わされるジスルホン化
合物の代表的な例としては、1,2−ビス(ビニルスル
ホニルアセトアミド)エタン[上記のS1に相当する]
を挙げることができる。
合物の代表的な例としては、1,2−ビス(ビニルスル
ホニルアセトアミド)エタン[上記のS1に相当する]
を挙げることができる。
【0112】ジスルホン化合物の合成法については、た
とえば、特公昭47−2429号、同50−35807
号、特開昭49−24435号、同53−41551
号、同59−18944号等の各種公報に詳細が記載さ
れている。
とえば、特公昭47−2429号、同50−35807
号、特開昭49−24435号、同53−41551
号、同59−18944号等の各種公報に詳細が記載さ
れている。
【0113】上記のようにして得られた、表面にビニル
スルホニル基が導入された電極に対して、末端(5’末
端)がビニルスルホニル基と反応することができる反応
性基、例えばアミノ基(−NH2)、メルカプト基(−
SH)で修飾されているDNA断片を接触させること
で、ジビニルスルホン化合物を介して、共有結合によ
り、DNA断片が表面に固定されている、DNA修飾電
極を作製することができる。
スルホニル基が導入された電極に対して、末端(5’末
端)がビニルスルホニル基と反応することができる反応
性基、例えばアミノ基(−NH2)、メルカプト基(−
SH)で修飾されているDNA断片を接触させること
で、ジビニルスルホン化合物を介して、共有結合によ
り、DNA断片が表面に固定されている、DNA修飾電
極を作製することができる。
【0114】このようなDNA修飾電極は、その表面に
固定されたDNA断片に、前記(F)で示したような、
電気化学活性インターカレータがインターカレーション
した状態で、前記(E)で示したような、ピロリン酸に
対して作用する酵素反応において、酸化酵素が作用する
際に起こる電子移動を増幅する。図1は、電極111上
に固定されている2本鎖DNA断片121にインターカ
レーションした電気化学活性インターカレータ131
が、酸化酵素141と電極111の間の電子移動を仲介
している模式図である。電極111上に固定された2本
鎖核酸断片121に、電気化学活性インターカレータ1
31が二つのフェロセン分子を2本鎖の外側に突き出し
た状態で結合(インターカレーション)している。酸化
酵素141が作用する際に発生する電子がフェロセン分
子の方向に流れると電流は増幅される。即ち、電気化学
活性インターカレータ131は、酸化酵素141と電極
111の間の電子移動反応を仲介している。
固定されたDNA断片に、前記(F)で示したような、
電気化学活性インターカレータがインターカレーション
した状態で、前記(E)で示したような、ピロリン酸に
対して作用する酵素反応において、酸化酵素が作用する
際に起こる電子移動を増幅する。図1は、電極111上
に固定されている2本鎖DNA断片121にインターカ
レーションした電気化学活性インターカレータ131
が、酸化酵素141と電極111の間の電子移動を仲介
している模式図である。電極111上に固定された2本
鎖核酸断片121に、電気化学活性インターカレータ1
31が二つのフェロセン分子を2本鎖の外側に突き出し
た状態で結合(インターカレーション)している。酸化
酵素141が作用する際に発生する電子がフェロセン分
子の方向に流れると電流は増幅される。即ち、電気化学
活性インターカレータ131は、酸化酵素141と電極
111の間の電子移動反応を仲介している。
【0115】(I) キット:本発明のターゲット核酸の
検出は、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファタ
ーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチン
オキシダーゼを含有する酵素反応試薬、電気化学活性縫
い込み型インターカレータ、及びDNA修飾電極の各要
素を含む、本発明に係るキットを用いて好ましく実施す
ることができる。
検出は、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファタ
ーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチン
オキシダーゼを含有する酵素反応試薬、電気化学活性縫
い込み型インターカレータ、及びDNA修飾電極の各要
素を含む、本発明に係るキットを用いて好ましく実施す
ることができる。
【0116】上記のキットは、キサントシンまたはイノ
シン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホ
リラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有する酵素反応
試薬、電気化学活性縫い込み型インターカレータを保持
し、及びDNA修飾電極を備えているカートリッジ(容
器)であっても良い。
シン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホ
リラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有する酵素反応
試薬、電気化学活性縫い込み型インターカレータを保持
し、及びDNA修飾電極を備えているカートリッジ(容
器)であっても良い。
【0117】このキットを用いてターゲット核酸の検出
を行う場合は、ターゲット核酸断片、ターゲット核酸断
片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少な
くとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNT
P)、及び少なくとも一種のポリメラーゼにより、予め
ポリメラーゼ伸長反応を行った反応液を、上記のキット
に供給することで、ターゲット核酸断片の検出を行う。
を行う場合は、ターゲット核酸断片、ターゲット核酸断
片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少な
くとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNT
P)、及び少なくとも一種のポリメラーゼにより、予め
ポリメラーゼ伸長反応を行った反応液を、上記のキット
に供給することで、ターゲット核酸断片の検出を行う。
【0118】上記のポリメラーゼ反応を、キサントシン
またはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有す
る酵素反応試薬、および電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータを保持し、DNA修飾電極を備えている、前
記カートリッジ(容器)の中で実施することも可能であ
る。
またはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有す
る酵素反応試薬、および電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータを保持し、DNA修飾電極を備えている、前
記カートリッジ(容器)の中で実施することも可能であ
る。
【0119】また、キットの別の形態として、少なくと
も一部の塩基配列が既知であるターゲット核酸断片を含
む液体を供給することのできる開口部、ターゲット核酸
断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少
なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNT
P)、及び少なくとも一種のポリメラーゼを保持するこ
とのできる少なくとも一つの反応セル部、キサントシン
またはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有す
る酵素反応試薬、および電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータを保持し、DNA修飾電極を備えている検出
部、及びそれら前記開口部、反応セル部、検出部の間を
連結し、液体を移動させることのできる細管または溝を
備えているカートリジを用いて実施することも可能であ
る。
も一部の塩基配列が既知であるターゲット核酸断片を含
む液体を供給することのできる開口部、ターゲット核酸
断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少
なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNT
P)、及び少なくとも一種のポリメラーゼを保持するこ
とのできる少なくとも一つの反応セル部、キサントシン
またはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオ
シドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼを含有す
る酵素反応試薬、および電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータを保持し、DNA修飾電極を備えている検出
部、及びそれら前記開口部、反応セル部、検出部の間を
連結し、液体を移動させることのできる細管または溝を
備えているカートリジを用いて実施することも可能であ
る。
【0120】図2には、本発明に係るカートリッジ形態
のキットの一例を示した。キット10において、開口部
31からターゲット核酸を含有する試料液を供給するこ
とができる。開口部31は細管41によって、反応セル
32と連結されている。反応セル32には、予めターゲ
ット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライ
マー81、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リ
ン酸(dNTP)82、及び少なくとも一種のポリメラ
ーゼ83が保持されている。さらに、反応セル32は細
管42によって、検出部33と連結されている。検出部
33には予めキサントシンまたはイノシン、ピロホスフ
ァターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサン
チンオキシダーゼを含有する酵素反応試薬84、および
電気化学活性縫い込み型インターカレータ85が保持さ
れ、DNA修飾電極51が備えられている。反応セル3
2でポリメラーゼ伸長反応が進行した試料液は、細管4
2を移動して、検出部33に供給される。検出部33に
供給された試料液中の、ポリメラーゼ伸長反応により生
成したピロ燐酸に対して酵素反応試薬84が作用し、そ
の際に起こる電子移動を、電気化学活性縫い込み型イン
ターカレータ85を介して、DNA修飾電極51で電流
として検出する。上記キット10において、開口部31
と反応セル32の間、及び反応セル32と検出部33の
間の液体の移動は、遠心力、電気泳動または電気浸透な
どを用いることが可能である。また、反応セル32、細
管41及び42、検出部33は、基体21と蓋22によ
って密封されていることが望ましい。
のキットの一例を示した。キット10において、開口部
31からターゲット核酸を含有する試料液を供給するこ
とができる。開口部31は細管41によって、反応セル
32と連結されている。反応セル32には、予めターゲ
ット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライ
マー81、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リ
ン酸(dNTP)82、及び少なくとも一種のポリメラ
ーゼ83が保持されている。さらに、反応セル32は細
管42によって、検出部33と連結されている。検出部
33には予めキサントシンまたはイノシン、ピロホスフ
ァターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサン
チンオキシダーゼを含有する酵素反応試薬84、および
電気化学活性縫い込み型インターカレータ85が保持さ
れ、DNA修飾電極51が備えられている。反応セル3
2でポリメラーゼ伸長反応が進行した試料液は、細管4
2を移動して、検出部33に供給される。検出部33に
供給された試料液中の、ポリメラーゼ伸長反応により生
成したピロ燐酸に対して酵素反応試薬84が作用し、そ
の際に起こる電子移動を、電気化学活性縫い込み型イン
ターカレータ85を介して、DNA修飾電極51で電流
として検出する。上記キット10において、開口部31
と反応セル32の間、及び反応セル32と検出部33の
間の液体の移動は、遠心力、電気泳動または電気浸透な
どを用いることが可能である。また、反応セル32、細
管41及び42、検出部33は、基体21と蓋22によ
って密封されていることが望ましい。
【0121】図2に示したようなキット10を使用する
場合、図3に示したように、反応セル32および検出部
33の温度をコントロールすることのできる部分61及
び62と、DNA修飾電極51上の電子移動を、電気化
学的に電流として検出する部分71を備えている装置を
合わせて使用することが望ましい。
場合、図3に示したように、反応セル32および検出部
33の温度をコントロールすることのできる部分61及
び62と、DNA修飾電極51上の電子移動を、電気化
学的に電流として検出する部分71を備えている装置を
合わせて使用することが望ましい。
【0122】本発明で使用することのできるカートリッ
ジ形態のキットは、図2に示されているものに限られな
い。ポリメラーゼ伸長反応に必要な試薬はそれぞれ別の
スペースに保持されていても良い。その場合は、反応時
にそれぞれの試薬が反応セルに移動してくるようにすれ
ば良い。酵素反応試薬と電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータが別々に、検出部以外のスペースに保持され
ていても良い。その場合も、検出時にそれぞれの試薬が
検出部に移動してくるようにすれば良い。
ジ形態のキットは、図2に示されているものに限られな
い。ポリメラーゼ伸長反応に必要な試薬はそれぞれ別の
スペースに保持されていても良い。その場合は、反応時
にそれぞれの試薬が反応セルに移動してくるようにすれ
ば良い。酵素反応試薬と電気化学活性縫い込み型インタ
ーカレータが別々に、検出部以外のスペースに保持され
ていても良い。その場合も、検出時にそれぞれの試薬が
検出部に移動してくるようにすれば良い。
【0123】また、1つのカートリッジ上に「開口部−
細管−反応セル−細管−検出部」の組を平行に並べて、
または同心円の半径方向に並べて、複数組設置すること
も可能である。この場合、例えば反応セルに保持するタ
ーゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプ
ライマーの塩基配列を、ターゲットとする核酸の種類に
応じて変更することで、同時に複数種のターゲット核酸
を検出することが可能なキットを提供できる。
細管−反応セル−細管−検出部」の組を平行に並べて、
または同心円の半径方向に並べて、複数組設置すること
も可能である。この場合、例えば反応セルに保持するタ
ーゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプ
ライマーの塩基配列を、ターゲットとする核酸の種類に
応じて変更することで、同時に複数種のターゲット核酸
を検出することが可能なキットを提供できる。
【0124】以下、実施例にて本発明を詳細に説明す
る。しかしながら、本実施例により本発明の技術的範囲
が限定されるものではない。
る。しかしながら、本実施例により本発明の技術的範囲
が限定されるものではない。
【0125】
【実施例】実施例1 Y染色体短腕上のSRY遺伝子関
連部位の検出 (1) ターゲット核酸断片試料液の調整 男性、女性、各々1人づつから採取した血液検体に対し
て、市販の核酸抽出、精製キット(QIAGEN社製、
QIAamp DNA Blood Mini Kit)を
用いて、抽出、精製したゲノミック核酸断片を1mLの
精製蒸留水中に回収することで、ターゲット核酸断片試
料液を調整した。
連部位の検出 (1) ターゲット核酸断片試料液の調整 男性、女性、各々1人づつから採取した血液検体に対し
て、市販の核酸抽出、精製キット(QIAGEN社製、
QIAamp DNA Blood Mini Kit)を
用いて、抽出、精製したゲノミック核酸断片を1mLの
精製蒸留水中に回収することで、ターゲット核酸断片試
料液を調整した。
【0126】(2) プライマーの調整
プライマーは、Y染色体短腕上のSRY遺伝子を特異的
に認識できるように設計した塩基配列を持つ、オリゴヌ
クレオチドのプライマーのセット(プライマー1、プラ
イマー2)として合成した。
に認識できるように設計した塩基配列を持つ、オリゴヌ
クレオチドのプライマーのセット(プライマー1、プラ
イマー2)として合成した。
【0127】
【化12】
【0128】(3) ポリメラーゼ伸長反応によるターゲ
ット核酸断片の増幅 以下に示す反応液の組成で、PCRによるターゲット核
酸断片の増幅を実施した。PCRは、[デネイチャー:
94℃・30秒、アニーリング:65℃・30秒、ポリ
メラーゼ伸長反応:72℃・1分]を30サイクル繰り
返することで実施した。
ット核酸断片の増幅 以下に示す反応液の組成で、PCRによるターゲット核
酸断片の増幅を実施した。PCRは、[デネイチャー:
94℃・30秒、アニーリング:65℃・30秒、ポリ
メラーゼ伸長反応:72℃・1分]を30サイクル繰り
返することで実施した。
【0129】
<反応液の組成>
精製水 36.5μL
10×PCRバッファー 5μL
2.5mM dNTP 4μL
Taq FP(ニッポンジーン社製) 0.5μL
20μM プライマー 2μL
30ng/μL ターゲット核酸断片試料液 2μL
【0130】(4) 電気化学的電流測定
前記(3)のポリメラーゼ伸長反応によるターゲット核
酸断片の増幅反応に、ターゲット核酸断片を含まない試
料液を用いた場合(コントロール)、男性から採取した
血液から調整したターゲット核酸試料液を用いた場合
(サンプルM)、及び女性から採取した血液から調整し
たターゲット核酸試料液を用いた場合(サンプルF)
の、各々の反応後の液を用いて、以下に示す組成の検出
液を調整した。
酸断片の増幅反応に、ターゲット核酸断片を含まない試
料液を用いた場合(コントロール)、男性から採取した
血液から調整したターゲット核酸試料液を用いた場合
(サンプルM)、及び女性から採取した血液から調整し
たターゲット核酸試料液を用いた場合(サンプルF)
の、各々の反応後の液を用いて、以下に示す組成の検出
液を調整した。
【0131】
<検出液の組成>
ポリメラーゼ伸長反応後の液 100μL
キサントシン 0.82g
ピロホスファターゼ 250U
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ 100U
キサンチンオキシダーゼ 200U
電気化学活性縫い込み型インターカレータ(下記式(8)) 0.025mg
0.1M塩化カリウム−0.1M酢酸緩衝液(pH6.0) 400μL
【0132】
【化13】
【0133】上記検出液に、DNA断片を固定していな
い電極(面積1.0mm2)を浸漬し、印加電圧100
乃至700mVの範囲で、ディファレンシャル・パルス
・ボルタンメトリー(DPV)測定を行った。次いで、
印加電圧260mVでの応答電流値を求めたところ、コ
ントロール、サンプルM、サンプルFについて、各々−
0.4μA、−2.5μA、及び−0.4μAであっ
た。DPV測定は、パルス振幅50mV、パルス幅50
mSおよびスキャン速度100mV/秒にて行った。
い電極(面積1.0mm2)を浸漬し、印加電圧100
乃至700mVの範囲で、ディファレンシャル・パルス
・ボルタンメトリー(DPV)測定を行った。次いで、
印加電圧260mVでの応答電流値を求めたところ、コ
ントロール、サンプルM、サンプルFについて、各々−
0.4μA、−2.5μA、及び−0.4μAであっ
た。DPV測定は、パルス振幅50mV、パルス幅50
mSおよびスキャン速度100mV/秒にて行った。
【0134】実施例1は、男性に特有に存在するY染色
体短腕上のSRY遺伝子関連部位を特異的に検出できる
ことを示している。この実施例1の結果より、本発明の
ポリメラーゼ伸長反応の進行により生成するピロ燐酸に
対して、少なくとも一種の酸化酵素を含む酵素反応試薬
を作用させ、電気化学活性インターカレータの存在下
に、電極を用いて電気化学的に電流を測定する方法によ
り、ターゲット核酸断片の存在を検出することが可能で
あることがわかる。
体短腕上のSRY遺伝子関連部位を特異的に検出できる
ことを示している。この実施例1の結果より、本発明の
ポリメラーゼ伸長反応の進行により生成するピロ燐酸に
対して、少なくとも一種の酸化酵素を含む酵素反応試薬
を作用させ、電気化学活性インターカレータの存在下
に、電極を用いて電気化学的に電流を測定する方法によ
り、ターゲット核酸断片の存在を検出することが可能で
あることがわかる。
【0135】実施例2 DNA修飾電極を用いたY染色
体短腕上のSRY遺伝子関連部位の検出 (1) DNA修飾電極の作製 面積が1.0mm2の金電極に、6−アミノ−1ヘキサ
ンチオール(0.014mM)とnヘキサンチオール
(1mM)の混合水溶液(2μL)を滴下、混合水溶液が
乾燥しないように、45℃で2時間放置して得られた金
電極に、3%の1,2−ビス(ビニルスルホニルアセト
アミド)エタンのホウ酸緩衝液(pH8.5)溶液を滴
下した後、室温で2時間放置して、自由端部にビニルス
ルホニル基を持つ反応性金電極を作製した。次いで、こ
のスペーサ基付き反応性金電極表面に、5’末端にアミ
ノヘキシル基を有するアデニンの20量体(2HN−D
NA−A20)と、5’末端が修飾されていないチミンの
20量体(DNA−T20)を、5×SSC溶液中で混合
(10-10モル/1μL)して、室温で30分放置した
溶液(2μL)を滴下し、室温で1時間放置した後、超
純水で洗浄し、次いで乾燥することにより、DNA修飾
電極を作製した。
体短腕上のSRY遺伝子関連部位の検出 (1) DNA修飾電極の作製 面積が1.0mm2の金電極に、6−アミノ−1ヘキサ
ンチオール(0.014mM)とnヘキサンチオール
(1mM)の混合水溶液(2μL)を滴下、混合水溶液が
乾燥しないように、45℃で2時間放置して得られた金
電極に、3%の1,2−ビス(ビニルスルホニルアセト
アミド)エタンのホウ酸緩衝液(pH8.5)溶液を滴
下した後、室温で2時間放置して、自由端部にビニルス
ルホニル基を持つ反応性金電極を作製した。次いで、こ
のスペーサ基付き反応性金電極表面に、5’末端にアミ
ノヘキシル基を有するアデニンの20量体(2HN−D
NA−A20)と、5’末端が修飾されていないチミンの
20量体(DNA−T20)を、5×SSC溶液中で混合
(10-10モル/1μL)して、室温で30分放置した
溶液(2μL)を滴下し、室温で1時間放置した後、超
純水で洗浄し、次いで乾燥することにより、DNA修飾
電極を作製した。
【0136】(2) DNA修飾電極を用いた電気化学的
電流測定 実施例1において、DNA断片を固定していない電極を
使用する代わりに、上記(1)で作製したDNA修飾電
極を使用する以外は、実施例1と同様にして、ターゲッ
ト核酸断片試料液の調整、プライマーの調整、ポリメラ
ーゼ伸長反応によるターゲット核酸断片の増幅、及び電
気化学的電流測定を行い、印加電圧260mVでの応答
電流値を求めたところ、コントロール、サンプルM、サ
ンプルFについて、各々−0.2μA、−4.8μA、
及び−0.2μAであった。
電流測定 実施例1において、DNA断片を固定していない電極を
使用する代わりに、上記(1)で作製したDNA修飾電
極を使用する以外は、実施例1と同様にして、ターゲッ
ト核酸断片試料液の調整、プライマーの調整、ポリメラ
ーゼ伸長反応によるターゲット核酸断片の増幅、及び電
気化学的電流測定を行い、印加電圧260mVでの応答
電流値を求めたところ、コントロール、サンプルM、サ
ンプルFについて、各々−0.2μA、−4.8μA、
及び−0.2μAであった。
【0137】実施例2は、DNA修飾電極を用いること
で、男性に特有に存在するY染色体短腕上のSRY遺伝
子関連部位を特異的に検出を、より感度良く行えること
を示している。
で、男性に特有に存在するY染色体短腕上のSRY遺伝
子関連部位を特異的に検出を、より感度良く行えること
を示している。
【0138】実施例3 DNA修飾電極を用いたアルデ
ヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2遺伝子)関連部位の
1塩基多型(SNPs)検出 (1) ターゲット核酸断片試料液の調整 予め塩基配列のシーケンシングにより、ALDH2遺伝
子関連部位の特定の1塩基種が異なることにより、AL
DH2活性型またはALDH2不活性型であることが既
知である、各々1人から採取した血液検体をもとに、実
施例1の(2)に記載されている方法と同様にして、タ
ーゲット核酸断片試料液を、各々サンプルALDH2活
性型、及びサンプルルALDH2不活性型として調整し
た。
ヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2遺伝子)関連部位の
1塩基多型(SNPs)検出 (1) ターゲット核酸断片試料液の調整 予め塩基配列のシーケンシングにより、ALDH2遺伝
子関連部位の特定の1塩基種が異なることにより、AL
DH2活性型またはALDH2不活性型であることが既
知である、各々1人から採取した血液検体をもとに、実
施例1の(2)に記載されている方法と同様にして、タ
ーゲット核酸断片試料液を、各々サンプルALDH2活
性型、及びサンプルルALDH2不活性型として調整し
た。
【0139】(2) プライマーの設計
プライマーは、12番染色体上のALDH2遺伝子関連
部位のなかで、ALDH2の活性を決定する特定部分に
ついて、ALDH2活性型の塩基配列に特異的なプライ
マーとして設計した塩基配列を持つ、オリゴヌクレオチ
ドのプライマー(プライマー1)と、前記特定部位の下
流の塩基配列に特異的なプライマーとして設計した塩基
配列を持つ、オリゴヌクレオチドのプライマー(プライ
マー2)のセットとして合成した。
部位のなかで、ALDH2の活性を決定する特定部分に
ついて、ALDH2活性型の塩基配列に特異的なプライ
マーとして設計した塩基配列を持つ、オリゴヌクレオチ
ドのプライマー(プライマー1)と、前記特定部位の下
流の塩基配列に特異的なプライマーとして設計した塩基
配列を持つ、オリゴヌクレオチドのプライマー(プライ
マー2)のセットとして合成した。
【0140】
【化14】
【0141】(3) DNA修飾電極を用いた電気化学的
電流測定 DNA修飾電極の作製は実施例2の(1)に、ポリメラ
ーゼ伸長反応によるターゲット核酸断片の増幅(PC
R)は実施例1の(3)に、及びポリメラーゼ伸長反応
を行った後の反応液のDNA修飾電極を用いての電気化
学的電流測定は、DNA断片を固定していない電極を使
用する代わりにDNA修飾電極を使用する以外は、実施
例1の(4)に記載されている方法と同様にして、印加
電圧260mVでの応答電流値を求めたところ、コント
ロール、サンプルALDH2活性型、及びサンプルAL
DH2不活性型について、各々−0.2μA、−3.2
μA、及び−0.2μAであった。
電流測定 DNA修飾電極の作製は実施例2の(1)に、ポリメラ
ーゼ伸長反応によるターゲット核酸断片の増幅(PC
R)は実施例1の(3)に、及びポリメラーゼ伸長反応
を行った後の反応液のDNA修飾電極を用いての電気化
学的電流測定は、DNA断片を固定していない電極を使
用する代わりにDNA修飾電極を使用する以外は、実施
例1の(4)に記載されている方法と同様にして、印加
電圧260mVでの応答電流値を求めたところ、コント
ロール、サンプルALDH2活性型、及びサンプルAL
DH2不活性型について、各々−0.2μA、−3.2
μA、及び−0.2μAであった。
【0142】実施例3は、12番染色体上のALDH2
遺伝子関連部位のなかで、ALDH2の活性を決定する
特定部分の塩基配列違いを特異的に検出できることを示
している。この実施例3の結果より、本発明のポリメラ
ーゼ伸長反応の進行により生成するピロ燐酸に対して、
少なくとも一種の酸化酵素を含む酵素反応試薬を作用さ
せ、電気化学活性インターカレータの存在下に、電極を
用いて電気化学的に電流を測定する方法により、ターゲ
ット核酸断片の塩基配列を検出することが可能であるこ
とがわかる。
遺伝子関連部位のなかで、ALDH2の活性を決定する
特定部分の塩基配列違いを特異的に検出できることを示
している。この実施例3の結果より、本発明のポリメラ
ーゼ伸長反応の進行により生成するピロ燐酸に対して、
少なくとも一種の酸化酵素を含む酵素反応試薬を作用さ
せ、電気化学活性インターカレータの存在下に、電極を
用いて電気化学的に電流を測定する方法により、ターゲ
ット核酸断片の塩基配列を検出することが可能であるこ
とがわかる。
【0143】
【発明の効果】本発明によれば、ウイルス、細菌等によ
る感染症の臨床検査、及び個人の遺伝的な特徴による遺
伝的疾患の検査等に有効な、特定の塩基配列を有するタ
ーゲット核酸断片の検出の、簡便かつ迅速な方法および
キットが提供される。
る感染症の臨床検査、及び個人の遺伝的な特徴による遺
伝的疾患の検査等に有効な、特定の塩基配列を有するタ
ーゲット核酸断片の検出の、簡便かつ迅速な方法および
キットが提供される。
【図1】 本発明の一の実施形態を説明する概念図であ
る。
る。
【図2】 本発明のカートリッジ形態でのキットの例を
示す斜視図である。
示す斜視図である。
【図3】 本発明のカートリッジ形態でのキットを使用
する場合のシステム構成例を示す斜視図である。
する場合のシステム構成例を示す斜視図である。
10…キット
21…基体
22…蓋
31…開口部
32…反応セル
33…検出部
41…細管
42…細管
51…DNA修飾電極
61…温度コントロール部
62…温度コントロール部
71…電気化学的電流検出部
81…プライマー
82…dNTP
83…ポリメラーゼ
84…酵素反応試薬
85…電気化学活性縫い込み型インターカレータ
111…電極
121…2本鎖DNA断片
131…電気化学活性インターカレータ
141…酸化酵素
フロントページの続き
(72)発明者 阿部 義彦
埼玉県朝霞市泉水三丁目11番46号 富士写
真フイルム株式会社内
Fターム(参考) 4B063 QA01 QA13 QQ42 QR32 QR62
QS25 QX05
Claims (10)
- 【請求項1】 少なくとも一部の塩基配列が既知である
ターゲット核酸断片に対し、当該ターゲット核酸断片の
一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくと
も一種のデオキシヌクレオシド3リン酸、及び少なくと
も一種のポリメラーゼの存在下に、前記ターゲット核酸
断片を鋳型にして前記プライマーの3’末端を起点とす
るポリメラーゼ伸長反応が連続して進行するか否かによ
り、前記ターゲット核酸断片の存在またはターゲット核
酸断片の塩基配列を検出する方法において、前記ポリメ
ラーゼ伸長反応により生成するピロ燐酸に対して、少な
くとも一種の酸化酵素を含む酵素反応試薬を作用させ、
電気化学活性インターカレータの存在下に、電極を用い
て電気化学的に電流を測定することを特徴とするターゲ
ット核酸断片の検出方法 - 【請求項2】 ピロ燐酸に作用する酵素反応試薬が、キ
サントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリ
ンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダー
ゼを含有する酵素反応試薬であることを特徴とする請求
項1に記載のターゲット核酸断片の検出方法 - 【請求項3】 電気化学活性インターカレータが、酸化
還元活性を有する縫い込み型インターカレータであるこ
とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のターゲ
ット核酸断片の検出方法 - 【請求項4】 電極が、DNA断片が表面に固定されて
いるDNA修飾電極であることを特徴とする請求項1、
2または請求項3のいずれかに記載のターゲット核酸断
片の検出方法 - 【請求項5】 DNA修飾電極に固定されているDNA
断片が、予め二本鎖に調整されたDNA断片であること
を特徴とする請求項4に記載の、ターゲット核酸断片の
検出方法 - 【請求項6】 電気化学的な電流の測定が、サイクリッ
クボルタンメトリーまたはディファレンシャルパルスボ
ルタンメトリーであることを特徴とする請求項1、2、
3、4または請求項5のいずれかに記載のターゲット核
酸断片の検出方法 - 【請求項7】 ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼ
I、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst D
NAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランス
クリプターゼ)からなるグループから選択される請求項
1、2、3、4、5または請求項6のいずれかに記載の
ターゲット核酸断片の検出方法 - 【請求項8】 キサントシンまたはイノシン、ピロホス
ファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサ
ンチンオキシダーゼを含有する酵素反応試薬、電気化学
活性縫い込み型インターカレータ、及び電極の各要素を
含むターゲット核酸断片の検出キット - 【請求項9】 検出するターゲット核酸断片の一部と相
補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種の
デオキシヌクレオシド3リン酸、及び少なくとも一種の
ポリメラーゼを含有するポリメラーゼ伸長反応試薬を更
に含む請求項8に記載のターゲット核酸断片の検出キッ
ト - 【請求項10】 電極がDNA修飾電極である請求項8
または請求項9に記載のターゲット核酸断片の検出キッ
ト
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001183494A JP2003000299A (ja) | 2001-06-18 | 2001-06-18 | ターゲット核酸断片の検出方法及びターゲット核酸断片の検出キット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001183494A JP2003000299A (ja) | 2001-06-18 | 2001-06-18 | ターゲット核酸断片の検出方法及びターゲット核酸断片の検出キット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003000299A true JP2003000299A (ja) | 2003-01-07 |
Family
ID=19023440
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001183494A Pending JP2003000299A (ja) | 2001-06-18 | 2001-06-18 | ターゲット核酸断片の検出方法及びターゲット核酸断片の検出キット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003000299A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003078655A1 (fr) * | 2002-03-19 | 2003-09-25 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Procede de detection d'acide phosphorique inorganique, acide pyrophosphorique et acide nucleique et typage de sequences de polymorphisme de nucleotide (psn) simple d'adn |
WO2005003750A1 (ja) * | 2003-07-02 | 2005-01-13 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | ピロリン酸検出センサ、核酸の検出方法、および塩基種判別方法 |
JP2007037483A (ja) * | 2005-08-04 | 2007-02-15 | Eiken Chem Co Ltd | 酵素反応の有無の検出方法 |
JP2008233050A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-10-02 | Hitachi Ltd | Dna分析方法および分析装置 |
WO2009034842A1 (ja) | 2007-09-11 | 2009-03-19 | Kaneka Corporation | 核酸検出方法、および核酸検出キット |
CN102758003A (zh) * | 2012-01-10 | 2012-10-31 | 河南科技大学 | 小鼠黄嘌呤氧化酶转录水平定量用pcr引物组合及pcr方法 |
-
2001
- 2001-06-18 JP JP2001183494A patent/JP2003000299A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003078655A1 (fr) * | 2002-03-19 | 2003-09-25 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Procede de detection d'acide phosphorique inorganique, acide pyrophosphorique et acide nucleique et typage de sequences de polymorphisme de nucleotide (psn) simple d'adn |
WO2005003750A1 (ja) * | 2003-07-02 | 2005-01-13 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | ピロリン酸検出センサ、核酸の検出方法、および塩基種判別方法 |
CN100453651C (zh) * | 2003-07-02 | 2009-01-21 | 松下电器产业株式会社 | 焦磷酸检测传感器、核酸检测方法以及碱基种类判断方法 |
JP2007037483A (ja) * | 2005-08-04 | 2007-02-15 | Eiken Chem Co Ltd | 酵素反応の有無の検出方法 |
JP2008233050A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-10-02 | Hitachi Ltd | Dna分析方法および分析装置 |
US8246810B2 (en) | 2007-03-23 | 2012-08-21 | Hitachi, Ltd. | DNA analysis method and DNA analyzer |
WO2009034842A1 (ja) | 2007-09-11 | 2009-03-19 | Kaneka Corporation | 核酸検出方法、および核酸検出キット |
US9063130B2 (en) | 2007-09-11 | 2015-06-23 | Kaneka Corporation | Nucleic acid detection method and nucleic acid detection kit |
CN102758003A (zh) * | 2012-01-10 | 2012-10-31 | 河南科技大学 | 小鼠黄嘌呤氧化酶转录水平定量用pcr引物组合及pcr方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20061208 |