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JP2003089558A - モルタル用軽量骨材 - Google Patents

モルタル用軽量骨材

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JP2003089558A
JP2003089558A JP2001281026A JP2001281026A JP2003089558A JP 2003089558 A JP2003089558 A JP 2003089558A JP 2001281026 A JP2001281026 A JP 2001281026A JP 2001281026 A JP2001281026 A JP 2001281026A JP 2003089558 A JP2003089558 A JP 2003089558A
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mortar
glass
lightweight aggregate
lightweight
organic polymer
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JP2001281026A
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Shozo Suzuki
祥三 鈴木
Masanori Ito
正憲 伊藤
Kenji Hayakawa
健司 早川
Hiroteru Nagano
央照 長野
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Shoei Yakuhin Co Ltd
Tokyu Construction Co Ltd
Original Assignee
Shoei Yakuhin Co Ltd
Tokyu Construction Co Ltd
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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】強度に優れ、かつ耐アルカリ性や耐透水性にも
優れた、モルタル用軽量骨材を提供する。 【解決課題】発泡ガラスに有機ポリマーをコーティング
してなるモルタル用軽量骨材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モルタル用軽量骨
材に関し、より詳細には発泡ガラスを用いたモルタル用
軽量骨材、およびそれを含む軽量モルタルに関するもの
であり、その用途は、軽量裏込モルタル(コンクリー
ト)、軽量吹付けモルタル(コンクリート)、左官用プ
レミックス軽量モルタル(コンクリート)等である。
【0002】
【従来の技術】トンネル覆工コンクリート背面の空隙を
埋めるための軽量裏込め材や、盛土材、間隙充填材等に
は、従来から非セメント系では硬質発泡ウレタンが使用
され、セメント系ではエアモルタルが使用されている。
【0003】これらの材料は一般的に高価であり、裏込
め材等に大量使用する場合には経済性、合理性に著しく
欠けている。その上、圧縮強度も1.5N/mm以下
と十分でない。しかも、発泡ウレタンの場合には、気
温、湿度によって発泡倍率が変化するためウレタンの比
重や強度の管理が難しい。また、ウレタンの原料モノマ
ーを充填口で混合し重合させてポリマーとするため、有
毒性物質である未重合モノマーが残留しやすく、特に流
水箇所等では二次公害を引き起こす可能性があった。
【0004】一方、エアモルタルは、強度が低いことに
加えて、練混ぜ、運搬(ポンプ圧送等)の際にエアが消滅
しやすく比重の管理が難しい。特に水中施工の場合、増
粘剤を使用してもエアが水に溶解して消滅することがあ
り、設計通りの管理ができない。水深によっては、その
圧力で体積減少する等の現象が起こり、単位容積質量の
管理が不安定で強度管理が難しい欠点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】廃ガラスから製造され
る軽量骨材(発泡ガラス)を使用するモルタルおよびコ
ンクリートが、各種の構造物に適用されようとしてい
る。しかし、廃ガラスを使用するモルタルは、長期耐久
性が問題となる。その理由は、ガラスが一般にセメント
中のアルカリ成分により劣化しやすく、また、発泡ガラ
ス自体の吸水率がきわめて高いためである。ガラスの耐
アルカリ性を改善する目的で、発泡ガラスを粘度鉱物で
コーティングしてコンクリートやモルタル中に使用する
ことも提案されているが、発泡ガラスの高吸水率を改善
できていない。このように、発泡ガラスをその耐久性を
向上させた上で使用する方法は開発途上である。
【0006】軽量モルタルには、構造物の要求性能の観
点から、モルタルおよびコンクリート自体に一層の軽量
化と高強度化を必要とする場合がある。例えば、モルタ
ルおよびコンクリートを吹付け工法で打設することが合
理的な施工といえるが、モルタルおよびコンクリート吹
付け工法に使えるような経済的でかつ耐久性に優れた軽
量骨材は開発されていない。
【0007】したがって、強度に優れ、かつ耐アルカリ
性等の耐薬品性や耐透水性にも優れたモルタル用軽量骨
材、ならびにそれを用いた軽量モルタルが要望されてい
る。
【0008】
【発明を解決する手段】本発明者は、上記の課題を鋭意
検討した結果、発泡ガラス軽量骨材を有機ポリマーでコ
ーティングすることにより、発泡ガラス軽量骨材の優れ
た性質を活かすことができることを発見し、強度に優
れ、かつ耐薬品性、耐透水性にも優れた軽量モルタルを
作製することに成功した。
【0009】すなわち、本発明は、発泡ガラスに有機ポ
リマーをコーティングしてなるモルタル用軽量骨材およ
びその製造方法を提供する。さらに、本発明は、前記軽
量骨材を含むモルタルを提供する。なお、本明細書で使
用する「モルタル」という用語はコンクリートを含むこ
とを意図する。
【0010】本発明では、発泡ガラス軽量骨材を有機ポ
リマーでコーティングすることにより、セメントからく
る強アルカリによってガラス中のシリカ成分が溶出する
危険性を回避できる。また、発泡ガラス骨材が有機ポリ
マーでコーティングされることで、耐透水性も改善され
る。具体的には、ガラス骨材を有機ポリマーでコーティ
ングすることによって、骨材の吸水率をコーティング前
の約40%以下に改善することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】上記発泡ガラスの材質には、ガラ
スに使われるものなら広く使用できる。代表例として、
ソーダライムガラス、カリガラス、ホウケイ酸ガラス、
鉛クリスタルガラス、光学ガラス、結晶化ガラス等があ
る。これらの廃ガラスを再利用することが、コスト的に
も環境上の理由からも有利である。本発明によれば、パ
イレックス(登録商標)ガラスのようなガラス溶解温度
が高くリサイクルし難いガラスも再利用可能である。こ
れらのうち、特にソーダライムガラスが、板ガラス、ビ
ンガラス、管球ガラス等の安価な廃棄物から大量に入手
できる点で好ましい。
【0012】上記発泡ガラスの密度は、通常、1g/c
3未満であり、好ましくは0.6〜0.8g/cm3
範囲内にある。発泡ガラスの粒径は、通常、0.05〜
25mmでよく、好ましくは0.1〜10mm、さらに
好ましくは0.2〜5.0mmである。
【0013】発泡ガラスは、微細な独立気泡が集合した
構造をとることが高強度を発現する上で好ましい。この
ような発泡ガラスの製造方法は、当業界に周知である。
例えば、上記ガラス原料を粒径5〜500μmに粉砕
し、篩い分けして粒度をそろえたガラス粉末を、発泡剤
および添加剤と混合し、造粒し、焼成、徐冷することに
より得ることができる。発泡剤には、炭酸カルシウム、
炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭化珪素、ホウ砂、
ホウ酸、酸化ホウ素、カーボン等がある。焼成温度は、
通常、ガラスの軟化点以下の温度であり、ガラス組成に
応じて決まる。具体的には、600〜1200℃の範囲
内である。また、商品名Gライト(クリスタルクレイ
(株)製)等の市販の発泡ガラスを使用してもよい。
【0014】発泡ガラスをコーティングする有機ポリマ
ーには、通常、有機化学の分野で従来公知の天然または
合成の高分子を特に制限なく使用できる。代表的な例と
しては、アクリル樹脂、MMA樹脂、エポキシ樹脂、塩
化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリ
コーン樹脂、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、
酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩
化ビニリデン等の合成樹脂;ロジン、セラック、あまに
油、やし油等の天然樹脂・油;セルロース誘導体;天然
ゴムおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)、塩化ゴム、
シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム等の合成ゴ
ム;ならびにエポキシシラン、アクリルシラン等のシラ
ンカップリング剤が挙げられる。これらの有機ポリマー
は、単独に使用しても二種以上を併用してもよい。特に
アクリル樹脂、MMA樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル
樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム等のうち、なるべく
硬度の高い樹脂を選択することが望ましい。
【0015】ガラス骨材をコーティングする際の有機ポ
リマーの形態は、コーティングを実施する時期や場所に
応じて変化する。すなわち、モルタル施工現場にてガラ
ス骨材をコーティングする場合、ガラス骨材を現場に搬
入する前にコーティング処理する場合等である。モルタ
ル施工現場での発泡ガラスのコーティングは、作業利便
性の点で有利である。
【0016】そこで、モルタル施工現場でガラス骨材を
コーティングする場合、有機ポリマーの形態は、溶剤タ
イプでもエマルションタイプでもよいが、好ましくはエ
マルションタイプ、特に好ましくはセメント混和用ポリ
マーエマルションとして市販されている形態のものであ
る。
【0017】一方、ガラス骨材を現場に搬入する前にコ
ーティング処理する場合、または、特に耐酸性または耐
アルカリ性の化学的耐久性が高度に要求される場合、有
機ポリマーの形態は、溶剤タイプでもエマルションタイ
プでもよいが、特に好ましくは溶剤系のエポキシ樹脂、
あるいはMMA樹脂等の硬度の高い樹脂を選択する。
【0018】前記有機ポリマーが、有機ポリマーとセメ
ント、シリカヒューム、フライアッシュ、スラグ等の水
硬性無機材料との混合物の形態にあってもよい。この混
合物を使用することで、発泡ガラス軽量骨材とモルタル
主成分のセメントとの密着性を向上させることができ
る。この場合、有機ポリマーはエマルションの形態のも
のを使用する。有機ポリマー「P」と水硬性無機材料
「C」との混合比率(質量比(P:C))は、通常、1
00:0.5〜50.0、好ましくは100:1.0〜
20.0の範囲である。水硬性無機材料の混合量が少な
すぎると、前記の効果が得られず、逆に高過ぎると、水
硬性無機材料からのアルカリ成分の侵入によって軽量骨
材の強度低下を招く。
【0019】有機ポリマーの使用量は、有機ポリマーが
エマルションの形態の場合、発泡ガラス骨材の質量に対
して、通常、0.5〜10.0%、好ましくは1.0〜
7.0%である。一方、有機ポリマーが、有機ポリマー
と水硬性無機材料との混合物の形態の場合、発泡ガラス
骨材の質量に対して、通常、1.0〜30.0%、好ま
しくは3.0〜20.0%である。
【0020】本発明の発泡ガラス骨材は、例えば有機ポ
リマーのエマルションまたは溶液を発泡ガラスにコーテ
ィングし、余剰のエマルションまたは溶液を適宜、遠心
分離機等を用いて除去した後、場合により自然乾燥また
は加熱乾燥することにより得られる。コーティングされ
た樹脂が発泡ガラス内に侵入してもよい。また、発泡ガ
ラス同士の接着と塊状化を防止するために、発泡ガラス
の有機ポリマー塗布面にさらに水硬性無機材料等の粉末
を塗してもよい。コーティングされ、適宜乾燥された発
泡ガラス軽量骨材は、現場で施工するまでの間、貯蔵す
ることができる。
【0021】本発明の別の側面は、水硬性無機材料、お
よび前記有機ポリマーをコーティングした発泡ガラス軽
量骨材を含むモルタルに関する。
【0022】本発明のモルタルは、セメントモルタルの
範囲にあるが、密度の小さい細骨材に発泡ガラスを使用
することで、モルタルの単位容積質量を0.7〜1.8
t/m3の範囲にして、従来の発泡ウレタンやエアモル
タルと同様の密度を実現できる。加えて、裏込充填材に
適用する場合には、圧縮強度を従来のエアモルタルの1
0倍程度である20N/mm2以上に高めることが可能であ
る。さらに,吹付け工法、左官用プレミックスモルタル
として用いた場合には、40N/mm2程度の高強度が得ら
れる。
【0023】水硬性無機材料は、普通ポルトランドセメ
ント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランド
セメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトラ
ンドセメント等のポルトランドセメント、超速硬性セメ
ント、アルミナセメント、セメント系膨張材、石膏等か
ら選択される。
【0024】前記モルタルには、水硬性無機材料を35
0〜800kg/m3で使用し、そして軽量骨材を20
0〜550kg/mの範囲で使用する。水硬性無機材
料と水の混合比率は、通常、質量比で100:30〜5
5である。
【0025】本発明のモルタルには、水硬性無機材料、
前記軽量骨材、水および空気粒の他に、本発明以外の軽
量骨材、混和材、混和剤等を、本発明の効果を妨げない
範囲で添加することができる。混和材としては、例えば
シリカヒューム、フライアッシュ、スラグ粉末等の人工
微粉末、ならびに石粉等の非水硬性微粉末が挙げられ
る。混和剤には、AE剤、減水剤、硬化促進剤、硬化遅
延剤、急結剤、防水剤、分離低減剤、発泡剤、防錆剤、
流動化剤等が挙げられる。
【0026】モルタルに酸性土壌等に対する耐薬品性が
要求される場合、モルタルにセメント混和用ポリマーエ
マルションを添加してもよい。その使用量は、水硬性無
機材料100重量部に対してポリマーエマルションを4
〜27重量部(ポリマーエマルションの樹脂固形分濃度
を45%とする)、すなわち水硬性無機材料100重量
部に対してポリマーエマルション樹脂固形分を2〜12
重量部とする。これらの適正の配合割合は、目的とする
軽量モルタルの耐薬品性、透水係数等を考慮して、当業
者の通常レベルの技術範囲内で適宜決定できる。
【0027】本発明のモルタルに、通常のエアモルタル
のエアを体積で30%程度混入することで、比重1.0
以下の超軽量で強度の高いモルタルを作製することも可
能である。
【0028】トンネルの背面等の空洞に裏込め材を充填
する場合、必要のない部分へ材料を充填することは、設
計上、コスト等を考慮すると問題となる。分離低減剤、
流動化剤、水硬性無機材料等の配合条件を変化させるこ
とにより、充填する範囲を限定できる適度な流動性を持
った揺変性のある充填材料を作製することができる。
【0029】軽量骨材の密度が水よりも小さ過ぎて分離
して浮き上がる場合には、分離低減剤を使用する。分離
低減剤には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース等のセルロース系、PWA
(ポリニトリルビニリデンアクリレート)系、ポリアクリ
ルアミド、多糖類等の高分子材料がある。分離低減剤の
使用量は、目的とする軽量モルタルの充填箇所が水中で
ある場合、セルフレベリング性を要求される場合といっ
た施工条件で変わる。通常、セルロース系の場合、水硬
性無機材料:分離低減剤の質量比100:0.1〜0.
5で使用し、またPWA(固形分濃度2%)の場合、10
0:0.1〜0.3の範囲で使用する。両分離低減剤を
併用してもよい。
【0030】本発明のモルタルに、ガラス繊維、鋼繊
維、合成繊維、セルロース繊維、炭素繊維等の補強繊維
を追加することによって、厚付け断面修復材として施工
することも可能である。また、水硬性無機材料に作用す
る硬化促進剤をノズルで混合することによって、難燃性
耐火被覆モルタルの吹付施工も可能である。
【0031】本発明のモルタルは、上記の各成分を公知
の方法および装置を用いて混練することにより得られ
る。混練装置として、具体的には、ドラムミキサー、可
倒式ミキサー等の重量式ミキサー;パン型ミキサー、パ
グ型ミキサー等の強制練りミキサー;オムニミキサー等
を用いる。混練時間その他の混練条件は、モルタルの試
し練りによる練り上がり状態を見ながら適宜調整すれば
よい。
【0032】本発明の軽量骨材を使用したモルタルは、
強度が従来のものより高く、しかも、本発明のモルタル
は、気泡剤等を使用してエアを混入するといった軽量化
方法をとらずに、それ自体軽量である骨材を使用するた
めに、練混ぜ、運搬、打込み中に密度が変化する等の性
状が変化することがない。したがって、本発明の軽量骨
材は、軽量裏込め材、軽量盛土材、間隙充填材、厚付け
断面修復材、軽量二次製品、吹付工法による難燃性耐火
被覆材、吹付けコンクリート(モルタル)、左官用コン
クリート(モルタル)等、多目的の用途に利用できる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をより詳細に
説明する。なお、特記しない限り、部は重量部を意味す
る。 〔実施例1〕−発泡ガラス骨材のプレコーティングと吸
水率測定− 市販の発泡ガラス(商品名Gライト2号(クリスタルクレ
イ社製))を所定量計り取り、袋状のネットに入れた
後、このネットを、アクリルエマルション(商品名TJ乳
剤、武田薬品工業社製、固形分濃度45%)を充分量入
れてある容器に2分間程度の期間浸した。その後、ネッ
トを取り出し、余分なポリマーエマルションを取り除
き、次いで遠心分離機に5分間かけた。こうして得られ
た軽量骨材には、軽量骨材に対して質量比6%のポリマ
ーエマルションがプレコーティングされた。処理前に
0.65g/cmあった軽量骨材の密度は、処理後に
0.68g/cmとなった。
【0034】コートされた発泡ガラス骨材自体の24時
間吸水率を、JIS A 1134に準拠して測定し
た。比較のためにポリマーエマルションでコーティング
しない骨材の吸水率も測定した。ポリマーエマルション
による表理処理前に11.2%あった吸水率は、処理に
より4.9%と約半分の吸水率となった。
【0035】〔実施例2〕−コーティングされた発泡ガ
ラス軽量骨材の加圧吸水試験− 軽量骨材のコーティングによる吸水特性の変化を調べる
ために、発泡ガラス軽量骨材を有機ポリマーでコーティ
ングした後、加圧吸水率を測定した。有機ポリマーに
は、アクリル樹脂エマルション(全固形分濃度45%)、
溶剤系エポキシ樹脂、アクリルエマルション(P)と水硬
性無機材料(C)とを混合したポリマーセメントミルク
(P:C=2:1)の3種類を用いた。まず、実施例1の
プレコーティングと同様の手順に従って、上記の有機ポ
リマーを表1に示すコーティング樹脂/骨材となるよう
に塗布した。次いで、加水圧力1kgf/cm、圧力保持時
間10分間とし、非排水状態の容器に軽量骨材を投入し
て、吸水率試験を実施した。表1に各材料でコーティン
グした場合の吸水率の測定結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】図1は、表1の結果をグラフ化したもので
ある。図1を見てわかるように、吸水率は、コーティン
グ樹脂量が多くなるに従って低下する傾向にある。
【0038】〔実施例3〕−コーティングされた発泡ガ
ラス軽量骨材の耐アルカリ性試験− 軽量骨材をコーティングすることによって、耐アルカリ
性がどの程度改善されるのかを確認するため、コーティ
ングした軽量骨材を5%NaOH水溶液に浸し、所定期
間たった後の質量減少率を測定した。コーティングに
は、アクリルエマルションを使用した。質量減少率は、
所定期間浸漬後、水溶液中から骨材を取り出し、150
μmのふるいの上で水洗いし、残った骨材の表面水を拭
き取り、その時の質量を測定することにより算出した。
表2に、5%NaOH水溶液に浸漬した軽量骨材の質量
減少率の測定結果を示す。
【0039】
【表2】
【0040】図2は、表2の結果をグラフ化したもので
ある。図2を見てわかるように、コーティング樹脂の対
骨材質量比が大きくなるに従い、アルカリ環境下での質
量減少率が小さくなる。
【0041】〔実施例4〜7〕−モルタル製造試験− 実施例4〜7のそれぞれにおいて、本発明の発泡ガラス
軽量骨材を用いてモルタルを調製し、その評価試験を行
った。まず、実施例1で得たプレコーティング済み発泡
ガラス軽量骨材を、表3の配合成分表に示す早強ポルト
ランドセメント、水、高性能減水剤、消泡剤および分離
低減剤と混合することによりモルタルを調製した。この
とき、モルタルの配合条件として、水セメント比(W/
C)を40〜48%、軽量骨材(S)とセメント(C)の混
合比をS:C=0.67〜0.75:1.0、減水剤(A
)対セメントの質量比を0.3〜1.0の間で変更
した。また、消泡剤(Ad)および分離低減剤(Ad
)は、セメント質量比でそれぞれ0.15%および
0.25%一定となるように添加した。水セメント比を
変化させたときに、所要の流動性を確保するため、高性
能減水剤(商品名:レオビルドSP8S、(株)ポゾリ
ス物産製)をセメント質量に対する比率で0.3〜1.
0%添加した。実施例4〜7の最終的な配合比を、表4
にまとめて示す。表面処理した軽量骨材の1mに占め
る容積率Svは50%以上であった。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】得られたモルタルの性状を確認するため
に、フロー、水中不分離性、空気量、単位容積質量、お
よび圧縮強度の測定試験を実施した。フロー測定試験
は、JIS R 5201(セメントの強さ試験)に準拠
した。実施例6では、経時的な流動性の変化(フローロ
ス)を確認するために、軽量モルタルを練り混ぜ30分
及び60分静置後のフロー試験も実施した。水中分離性
の確認は、所定容積の透明容器にモルタル試料を投下し
て目視で行った。不分離性が良好なものを○とし、不良
のものを×とした。空気量測定試験および単位容積質量
測定試験はJIS A 1116(まだ固まらないコン
クリートの単位容積質量及び空気量の重量による試験方
法(重量方法)に準拠した。圧縮強度測定試験は、JI
S A 1115(まだ固まらないコンクリートの試料
採取方法)、JIS A 1132(コンクリートの強
度試験用供試体の作り方)、およびJIS A 110
8(コンクリートの圧縮強度試験方法)に準拠した。
【0045】表5に、本発明のモルタルの測定試験結果
を示す。水セメント比を40〜48%に設定した軽量モ
ルタルは、いずれも良好な流動性を示した。フロー試験
による結果は150mm程度であった。流動性の経時的
な変化も、図3のグラフに示すようにほとんど確認され
なかった。水中不分離性に関し、水中に投下した場合で
も、セメント粒子等が洗い出されることはなく、充分な
水中不分離性が確保されていた。
【0046】
【表5】
【0047】図4に、水セメント比に対する単位容積質
量および材齢28日圧縮強度の変化をグラフ化したもの
を示す。本発明の軽量モルタルの単位容積質量は、1.
1〜1.2t/mの範囲にあった。これは、トンネル
背面の空隙に注入した場合でも、材料は自然流下せず、
かつ、覆工コンクリートに対して有害な圧力等が加わる
ことのないものである。本発明のモルタルの強度発現性
状(材齢28日圧縮強度)については、常に20N/m
以上の強度が得られ、従来の軽量空隙充填材料、軽
量盛土、問隙充填材料に比べて10倍以上の高強度が確
保されていた。
【0048】本発明のモルタルの間隙への充填特性の特
徴として、設定した間隔以下の隙間には材料が充填され
ないことがある。これにより、設計段階での合理的な材
料設計が可能になる。そこで、間隙通過性の試験を、図
5に示す試験装置を用いて確認した。この試験装置は、
適用箇所を想定した材料の流下角度(傾斜角度)を変化さ
せることが可能なものであり、設定可能な傾斜角度は最
大30°の範囲である。
【0049】この試験装置を用いて本発明の軽量モルタ
ルの間隙通過性を試験した結果、傾斜角度20°におい
て、隙間約2cm×幅20cmで材料の流下が完全に停
止した。
【0050】〔実施例8〕−吹付け工法による軽量モル
タルの断面修復材としての使用例− 実施例1で得たプレコーティング済み発泡ガラス軽量骨
材を、表6の配合成分表に示す普通ポルトランドセメン
ト、水、減水剤、セメント混和用ポリマーエマルション
と混合してモルタルを調製し、吹付け施工により各種の
評価試験を実施した。このとき、モルタルの配合条件と
して、水セメント比(W/C)を33%、軽量骨材(S)と
セメント(C)の混合比を0.5:1.0、減水剤(A
1)対セメントの質量比を0.8%とした。また、ノズ
ルにて混合した急結剤(Ad2)対セメントの質量比を1
5.0%とした。配合表を表7に示す。表面処理した軽
量骨材の1m3中に示す容積Svは50%以上であった。
表中のP/Cは、セメント(C)とセメント混和用ポリマ
ーエマルション(P)との混合比率である。
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】吹付けモルタルの物性確認のために、以下
の項目の試験をした。フロー試験は、JIS R 52
01(セメントの強さ試験)に準拠した。単位容積質量試
験は、JIS A 1161(まだ固まらないコンクリ
ートの単位容積質量及び空気量の重量による試験方法
(重量方法))に準拠した。圧縮強度試験および長さ変化
率試験用の供試体は、JSCE F−561(吹付けコ
ンクリートの圧縮強度用供試体の作り方)に基本的に準
拠して作製した。圧縮強度試験は、直径75mm、高さ
150mmの円柱コア試験体を対象として、JIS A
1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)に準拠し
た。また、長さ変化率は、JIS A 1129(モル
タル及びコンクリートの長さ変化率試験方法)に準拠し
て実施した。また、付着強度試験として、乾燥状態にし
た30cm×30cm×6cmの平板に本軽量モルタル
を吹付け施工し、材齢28日において図6に示す方法で
付着強度試験を実施した。具体的には、モルタル表面に
上部引張用ジグを接着し、モルタルにジグ側面に沿って
基板に達する切り込みを入れ、上部引張用ジグをモルタ
ル面に対して垂直に引き上げた。そして、モルタルが基
板から剥離した時点での引張り荷重を測定した。
【0054】表8に、本発明のモルタルを吹付け施工し
たときの評価試験結果を示す。結果のとおり、本発明の
モルタルは、吹付け工法施工可能な軽量モルタルとして
満足のゆくものであった。また、フロー220mmが得
られたモルタルの圧送性は良好であり、仕上げ性も良好
であった。
【0055】
【表8】
【0056】〔実施例9〕−左官工法による軽量モルタ
ルの断面修復材としての使用例− 実施例1の手順と同様であるが、粒径1.2mmのガラ
スを使用し、処理後の密度が0.78g/cmとなる
ようにアクリルエマルションでプレコーティングした発
泡ガラス軽量骨材を、表9の配合成分表に示す速硬性セ
メント、水、珪砂、減水剤、再乳化型粉末樹脂であるセ
メント混和用ポリマー、収縮低減剤、消泡剤、繊維と混
合してモルタルを調製し、左官工法により試験体を作製
した後、各種の評価試験を実施した。このとき、モルタ
ルの配合条件として、水セメント比(W/C)を38%、
軽量骨材(S)と珪砂(SS)との混合比を0.6:0.
4、減水剤(Ad1)対セメントの質量比を0.3%,収
縮低減剤(Ad2)対セメントの質量比を3.0%,消泡
剤(Ad3)対セメントの質量比を0.5%とした。ま
た、繊維混入率はモルタルの容積比率で0.3%とし
た。配合表を表10に示す。表面処理した軽量骨材の1
m3中に示す容積Svは27%程度であった。表10中の
P2/Bはセメント(C+V)と再乳化型粉末樹脂(P2)
との混合比率である。
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】吹付けモルタルの物性確認のために、フロ
ー、単位容積質量、圧縮強度、長さ変化率の測定を実施
例8と同様の手順で実施した。表11に、本発明のモル
タルを左官施工した場合の評価試験結果を示す。フロー
131mmが得られた本発明のモルタルの仕上げ性は良
好であった。
【0060】
【表11】
【0061】
【効果】本発明によれば、軽量かつ高強度であるととも
に、耐薬品性、耐透水性等にも優れたモルタル用軽量骨
材が得られる。発泡ガラス原料に廃ガラスを使用すれ
ば、製造コストを低減でき、かつ環境問題の解決策とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡ガラス軽量骨材の樹脂コーティン
グ率と吸水率の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の発泡ガラス軽量骨材の耐アルカリ性を
示すグラフである。
【図3】本発明のモルタルのフロー試験値の経時変化を
示すグラフである。
【図4】水セメント比に対する単位容積質量および材齢
28日圧縮強度の変化を示したグラフである。
【図5】流動性試験装置の概略図である。
【図6】吹付けモルタル付着強度測定装置の概略図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 正憲 東京都渋谷区渋谷1丁目16番14号 東急建 設株式会社内 (72)発明者 早川 健司 東京都渋谷区渋谷1丁目16番14号 東急建 設株式会社内 (72)発明者 長野 央照 東京都中央区日本橋大伝馬町7番地6号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡ガラスに有機ポリマーをコーティング
    してなる、モルタル用軽量骨材。
  2. 【請求項2】発泡ガラスが、廃ガラスを発泡させたもの
    である、請求項1記載のモルタル用軽量骨材。
  3. 【請求項3】前記有機ポリマーが、アクリル樹脂、エポ
    キシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、MMA
    樹脂および合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも
    一種である、請求項1または2に記載のモルタル用軽量
    骨材。
  4. 【請求項4】前記有機ポリマーが、ポリマーエマルショ
    ンの形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の
    モルタル用軽量骨材。
  5. 【請求項5】前記有機ポリマーが、有機ポリマーと水硬
    性無機材料との混合物の形態にある、請求項4に記載の
    モルタル用軽量骨材。
  6. 【請求項6】有機ポリマーのエマルションまたは溶液を
    発泡ガラスにコーティングし、余剰のエマルションまた
    は溶液を除去した後、場合により乾燥することからな
    る、モルタル用軽量骨材の製造方法。
  7. 【請求項7】前記コーティングをモルタル施工現場で行
    う、請求項6に記載のモルタル用軽量骨材の製造方法。
  8. 【請求項8】水硬性無機材料、および請求項1〜5のい
    ずれか一項に記載の軽量骨材を含むモルタル。
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