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JP2002508969A - 精巣特異的ヒトsvph1−8プロテイナーゼ - Google Patents

精巣特異的ヒトsvph1−8プロテイナーゼ

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Publication number
JP2002508969A
JP2002508969A JP2000540251A JP2000540251A JP2002508969A JP 2002508969 A JP2002508969 A JP 2002508969A JP 2000540251 A JP2000540251 A JP 2000540251A JP 2000540251 A JP2000540251 A JP 2000540251A JP 2002508969 A JP2002508969 A JP 2002508969A
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JP
Japan
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polypeptide
svph1
molecular weight
seq
protein
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2000540251A
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English (en)
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セレッティ,ダグラス,パット
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Immunex Corp
Original Assignee
Immunex Corp
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Publication date
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Withdrawn legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/64Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue
    • C12N9/6421Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
    • C12N9/6489Metalloendopeptidases (3.4.24)

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Abstract

(57)【要約】 SVPH1-8ポリペプチドをコードするDNAおよびコードされた該ポリペプチドの使用方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願の相互参照 本出願は、1998年1月14日出願の米国特許仮出願No.60/071,505の利益を主張す
るものであり、前記出願は参照により本明細書の一部とする。
【0002】発明の分野 本発明は、精製され単離されたSVPH1-8ポリペプチド、前記ポリペプチドをコ ードする核酸、前記ポリペプチドの組換体の製造方法、前記ポリペプチドに対す
る抗体、前記ポリペプチドに由来する断片化ペプチド、前記ポリペプチド及び断
片化ペプチドの分子量マーカーとしての使用、前記ポリペプチド及び断片化ペプ
チドのペプチド断片化のコントロールとしての使用、そのような核酸、ポリペプ
チド及び抗体の細胞及び組織マーカーとしての使用、並びにそのような試薬を含
むキットに関するものである。
【0003】発明の背景 タンパク質の発見及び同定は、現代分子生物学及び生化学の最先端にある。サ
ンプルのタンパク質の一次構造、又は配列の同定は、困難な実験方法の頂点にあ
る。未知のサンプルタンパク質を同定するために、当業者に公知の様々な技術を
用いて、未知のサンプルタンパク質と既知のペプチドとの比較を利用することが
できる。タンパク質は例えば、電気泳動法、遠心沈降法、クロマトグラフィー、
及び質量分析法のような技術を用いて日常的に分析される。
【0004】 未知のタンパク質サンプルと、分子量が既知のポリペプチドとの比較により、
未知のタンパク質サンプルの見かけの分子量を決定することができる (T.D. Bro
ck及びM.T. Madigan, Biology of Microorganisms 76-77 (Prentice Hall, 6d e
d. 1991))。タンパク質の分子量標準は、未知のタンパク質サンプルの分子量を 推定する際の助けとして市販されている (New England Biolabs Inc. Catalog:1
30-131, 1995; J.L. Hartley, 米国特許第5,449,758号)。しかし、分子量標準は
、見かけの分子量の正確な推定を可能とするために十分に未知のサンプルタンパ
ク質に近いサイズではないことがある。
【0005】 化学的又は酵素的手段によって断片化されるタンパク質の場合、分子量の推定
の困難さが更に増す(A.L. Lehninger, Biochemistry 106-108 (Worth Books, 2d
ed: 1981))。化学的断片化は、タンパク質を、例えば臭化シアンのような、メ チオニン残基のカルボキシル側のペプチド結合を切断する化学物質と共にインキ
ュベートすることによって達成することができる(E. Gross. Methods in Enz. 1
1:238-255, 1967)。タンパク質の酵素を用いた断片化は、複数のアミノ酸残基を
切断するプロテアーゼと共にタンパク質をインキュベートすることにより達成さ
れる(D.W. Cleavelandら、J. Biol. Chem. 252:1102-1106, 1977)。タンパク質 の酵素を用いた断片化は、タンパク質を、例えばアクロモバクター(Achromobact
er)プロテアーゼI(F. Sakiyama及びA. Nakata, 米国特許第5,248,599号; T. Mas
akiら, Biochim. Biophys. Acta 660:44-50, 1981; T. Masakiら, Biochim. Bio
phys. Acta 660:51-55, 1981)のような、リシン残基のカルボキシル側のペプチ ド結合を切断するプロテアーゼと共にインキュベートすることによっても達成す
ることができる。断片化ペプチドの分子量は広い範囲にわたり、かつペプチドは
非常に多数存在し得る。断片化の程度を変えることもまた可能である(D. W. Cle
avelandら, J. Biol. Chem. 252:1102-1106, 1977)。
【0006】 特定のアミノ酸成分に関するタンパク質組成のユニークな性質により、そのタ
ンパク質内の切断部位のユニークな位置づけが得られる。化学的又は酵素的切断
によるタンパク質の特異的な断片化の結果、ユニークな「ペプチドフィンガープ
リント」が生ずる(D. W. Cleavelandら, J. Biol. Chem. 252:1102-1106, 1977;
M. Brownら, J. Gen. Virol. 50:309-316, 1980)。その結果、特定部位での切 断によって、所定のタンパク質が正確な分子量のペプチドに再現可能な形で断片
化されることになる。さらに、これらのペプチドはそのペプチドの等電点pHを決
定するユニークな荷電特性を有する。これらのユニークな特性は、様々な電気泳
動技術及び他の技術を用いて利用することができる(T.D. Brock及びM.T. Madiga
n, Biology of Microorganisms 76-77 (Prentice Hall, 6d ed. 1991))。
【0007】 未知のタンパク質のペプチドフィンガープリントが得られる場合、これを既知
のタンパク質のデータベースと比較して、その未知のタンパク質を同定するため
の助けとすることができる(W.J. Henzelら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:50
11-5015, 1993; B. Thiedeら, Electrophoresis 1996, 17:588-599, 1996)。そ のような比較を促進するために、当業者はインターネットを介して様々なコンピ
ュータソフトウェアプログラム、例えばMultiIdent(インターネットサイト: www
.expasy.ch/sprot/multiident.html)、PeptideSearch(インターネットサイト: w
ww.mann.embl-heiedelberg.de…deSearch/FR_PeptideSearchForm. html)、及びP
roFound(インターネットサイト: www.chait-sgi.rockefeller.edu/cgi-bin/prot
-id-frag.html)にアクセスすることができる。これらのプログラムによって、ユ
ーザは開裂剤を特定し、かつ指定された許容誤差の範囲内での断片化ペプチドの
分子量を特定することが可能となる。前記プログラムは、これらの分子量とタン
パク質データベースとを比較して、サンプルタンパク質の正体を解明する助けと
なる。断片化ペプチドの数及びこれらのペプチドの正確な分子量に関する正確な
情報が正確な同定にとって必要である。従って、決定する際に、断片化ペプチド
の数及びそれらのペプチドの正確な分子量の精度を高めることにより、未知のタ
ンパク質の同定が成功する可能性が高くなるだろう。
【0008】 タンパク質の断片化はさらに、アミノ酸組成分析及びタンパク質配列決定のた
めの断片の製造のため(P. Matsudiara, J. Biol. Chem. 262:10035-10038, 1987
; C. Eckerskornら, Electrophoresis 1988, 9:830-838, 1988)、特に「ブロッ クされた」N末端を有するタンパク質からの断片の製造のためにも利用される。 加えて、タンパク質の断片化は、質量分析(W.J. Henzelら, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 90:5011-5015, 1993; B. Thiedeら, Electrophoresis 1996, 17:588-5
99, 1996)、免疫化、アフィニティ選択(R. A. Brown, 米国特許第5,151,412号) 、修飾部位(例えばリン酸化)の決定、生理活性物質の生成(T.D. Brock及びM.T.
Madigan, Biology of Microorganisms 300-301 (Prentice Hall, 6d ed. 1991))
、及び相同タンパク質の区別(M. Brownら, J. Gen. Virol. 50:309-316, 1980) のためのペプチドの調製においても用いることができる。
【0009】 タンパク質研究の継続的な関心、及びタンパク質の構造及び特性の解明の観点
から、当技術分野では、ペプチド断片化の研究及び分子量の測定において利用す
るのに適したポリペプチドが必要とされている。
【0010】発明の概要 本発明は、当技術分野におけるこの必要性を満たす助けとなるものである。本
発明は、配列番号1のDNA配列を含む単離された核酸分子及び配列番号2のアミノ 酸配列をコードする単離された核酸分子を包含する。また本発明は、これらの配
列に相補的な核酸分子を包含する。そのようなものとして、本発明は、配列番号
1のDNA配列を含む二本鎖核酸分子、及び配列番号2のアミノ酸配列をコードする 単離された核酸分子を包含する。一本鎖及び二本鎖のRNA及びDNA SVPH1-8核酸分
子の両方が本発明に包含される。これらの分子を用いて、本発明に包含されるSV
PH1-8の一本鎖及び二本鎖RNA及びDNA変異体の両方を検出することができる。二 本鎖DNAプローブによって、その核酸分子のいずれかの鎖に同等な核酸分子の検 出が可能となる。変性した、配列番号1のDNA配列を含む二本鎖DNA、又は配列番 号2のアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子に、60℃、0.5XSSC、0.1%SD
Sの洗浄条件を用いた、42℃、50%ホルムアミド及び6XSSC中の中程度のストリン ジェンシー条件下でハイブリダイズする単離された核酸分子が本発明に包含され
る。
【0011】 さらに本発明は、in vitro突然変異誘発によって配列番号1から誘導された単 離された核酸分子を包含する。in vitro突然変異誘発には、以下に限定するもの
ではないが、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、in vitro核酸合
成等の当技術分野で公知の様々な技術がある。また本発明は、配列番号1から遺 伝暗号の縮重の結果として生じた単離された核酸分子、ヒトSVPH1-8 DNAの対立 遺伝子変異体であるか、またはSVPH1-8 DNAの種相同体である単離された核酸分 子を包含する。また本発明は、これらの核酸分子の発現を指令する組換えベクタ
ー、及びそれらのベクターで形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞を包
含する。
【0012】 また本発明は、これらの核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチ
ド、例えばSDS-PAGEで測定して分子量が約81kDである単離されたポリペプチド、
及びグリコシル化されていない形の単離されたポリペプチドを包含する。これら
のポリペプチドに結合する単離されたポリクローナル抗体又はモノクローナル抗
体が本発明に包含される。さらに本発明は、発現を促進する条件の下で宿主細胞
を培養し、培養培地からポリペプチドを回収することを含むSVPH1-8ポリペプチ ドの製造方法を包含する。特に、細菌、酵母、植物及び動物の細胞におけるSVPH
1-8ポリペプチドの発現が本発明に包含される。
【0013】 加えて、SVPH1-8ポリペプチドカウンター構造(counter-structure)分子に関連
する活性を有する可能性のあるインヒビターをスクリーニングするためのSVPH1-
8ポリペプチドを利用するアッセイ、及びSVPH1-8ポリペプチドカウンター構造分
子によって媒介される疾病を処置するための治療薬としてSVPH1-8ポリペプチド を用いる方法が本発明に包含される。さらに、SVPH1-8ポリペプチドをそれらの インヒビターを設計する際に用いる方法も本発明の1つの態様である。
【0014】 さらに本発明は、化学的又は酵素的処理によってSVPH1-8ポリペプチドから製 造された断片化ペプチドを包含する。加えて、化学的又は酵素的手段による断片
化のために必要な部位の少なくとも1つの部位を変異させたSVPH1-8ポリペプチド
分子量マーカー及びそれらの断片化ペプチドの形態は本発明の1つの態様である 。
【0015】 また本発明は、電気泳動を用いたSVPH1-8ポリペプチド分子量マーカー及びそ の断片化ペプチドの可視化方法を包含する。さらに本発明は、タンパク質又は断
片化タンパク質サンプルの分子量の推定を可能にする分子量マーカーとしてSVPH
1-8ポリペプチド分子量マーカー及びそれらの断片化ペプチドを使用する方法を 包含する。さらに本発明は、SVPH1-8ポリペプチド及びそれらの断片化ペプチド をマーカーとして使用する方法を包含し、これはサンプルタンパク質の等電点を
決定するのに有用である。また本発明は、SVPH1-8ポリペプチド及びそれらの断 片化ペプチドを、タンパク質サンプルの断片化の程度を決定するためのコントロ
ールとして使用する方法を包含する。
【0016】 さらに本発明に包含されるものとして、SVPH1-8ポリペプチド分子量マーカー 及びそれらの断片化ペプチド、及び化学的又は酵素的手段による断片化のために
必要な部位の少なくとも1つの部位を変異させたSVPH1-8ポリペプチド分子量マー
カーの形態を用いたサンプルタンパク質の分子量の決定に有用なキットがある。
【0017】 さらに、本発明に包含されるものとしては、SVPH1-8核酸、ポリペプチド及び 抗体を、SVPH1-8発現細胞の同定及び精製において細胞及び組織マーカーとして 使用する方法がある。
【0018】発明の開示 ヒトSVPH1-8ポリペプチドをコードするcDNAが単離され、配列番号1に示される
(配列番号1)。
【0019】 SVPH1-8核酸プローブを使用したノーザンブロット分析によっては、SVPH1-8 R
NAの発現は精巣でのみ検出された。故に、SVPH1-8の発現は精巣細胞及び組織に ついてのマーカーとして使用し得る。
【0020】 このヒトSVPH1-8ポリペプチドをコードするcDNAの発見は、SVPH1-8ポリペプチ
ドをコードする核酸配列を含む発現ベクター、前記発現ベクターでトランスフェ
クト又は形質転換した宿主細胞、単離され精製されたタンパク質としての生物学
的に活性なヒトSVPH1-8プロテイナーゼ及びSVPH1-8分子量マーカー、及びSVPH1-
8ポリペプチドと免疫反応性の抗体の作製を可能とするものである。
【0021】 SVPH1-8 DNA(配列番号1)は、SVPH1-8ポリペプチド(配列番号2)をコード
する: (配列番号2)。
【0022】 SVPH1-8ポリペプチド(配列番号2)は、哺乳動物アダマリジン(adamalysin;
ADAM)中に見られる保存ドメイン構造の全て:シグナル配列(配列番号2のアミ
ノ酸1-26)、プロドメイン(配列番号2のアミノ酸27-198)、3つの保存ヒスチ ジン残基を含む触媒ドメイン(配列番号2のアミノ酸199-397)、ディスインテ グリン(disintegrin)ドメイン(配列番号2のアミノ酸398-501)、システイン
リッチドメイン(配列番号2のアミノ酸502-680)、膜貫通ドメイン(配列番号 2のアミノ酸681-707)および細胞質ドメイン(配列番号2のアミノ酸708-722)
を有している。
【0023】 ADAM 1-6は、受精および/または精子発生に関与することが示されている(Bar
ker, H. L., Perry, A. C., Jones, R.,およびHall, L., Biochim Biophys Acta
, 1218, 429-31, 1994; Blobel, C. P., Wolfsberg, T. G., Turck, C. W., Myl
es, D. G., Primakoff, P.,およびWhite, J. M., Nature, 356, 248-252, 1992;
Evans, J. P., Schultz, R. M.,およびKopf, G. S., J. Cell Sci, 108, 3267-
3278, 1995; Perry, A. C., Barker, H. L., Jones, R.,およびHall., L., Bioc
him Biophsy Acta, 1207, 134-137, 1994; Perry, A. C., Gichuhi, P. M., Jon
es, R.,およびHall, L., Biochem J., 307, 843-850, 1995; Perry, A. C., Jon
es, R.,およびHall, L., Biochem J., 312, 239-244, 1995; Wolfsberg, T. G.,
Bazan, J. F., Blobel, C. P., Mules, D. G., Primakoff, P.,およびWhite, J
. M., Proc Natl Acad Sci USA, 90, 10783-10787, 1993; およびWolfsberg, T.
G., Straight, P. D., Genera, R. L., Huovila, A. P., Primakoff, P., Myle
s, D. G.,およびWhite, J. M., Dev Biol, 169, 378-383, 1995)。SVPH1-8が精
巣において特異的に発現されるというノーザン分析による発見もまた、このファ
ミリーメンバーが受精および/または精子発生に関与することを示唆している。 さらに、ADAM 1は精子と卵子の融合に必要であることが見出されているが、ヒト
はこの遺伝子の活性型をもたない。このように、SVPH1-8は、ヒト等価物(equiv
alent)である可能性が考えられる。SVPH1-8触媒ドメインは生物学的活性に必要
である。触媒ドメインのプロテイナーゼ阻害剤は、SVPH1-26活性を阻害するであ
ろうし、産児調節の方法として有用であろう。また、SVPH1-26のディスインテグ
リンドメインの阻害剤は、受精に影響する可能性がある。
【0024】 SVPH1-8プロテイナーゼは、ヘビ毒プロテアーゼファミリーのメンバーであり 、TACEタンパク質に相同性である。TACEは、膜タンパク質(TNFα、p80 TNFR、p
60 TNFR、L-セレクチン、タイプII IL-1R、およびβ-アミロイド前駆体タンパク
質を含む)の放出(shedding)に必要とされるプロテイナーゼである。SVPH1-8 プロテイナーゼはまた、ファーチリンα(fertilin-α、精子の卵子への結合に 必要);メルトリンα(meltrin-α、筋肉細胞への筋芽細胞の融合に必要);レ
プロリシン(reprolysin、ミエリン塩基性タンパク質を切断する);およびクズ
バニアン(kuzbanian、レプロリシンのショウジョウバエ(Drosophila)相同体 で、神経発生および軸索伸長に必要)とホモロジーを示す。
【0025】 このプロテアーゼ活性は、精子/卵子融合に関与している可能性がある。従っ て、阻害剤は避妊薬となる可能性がある。いくつかの相同体のディスインテグリ
ンドメインは、インテグリンと結合することが見出されている。ファーチリンα
およびメルトリンαのディスインテグリンドメインは、精子/卵子融合、及び筋 芽細胞融合にそれぞれ関与していることが示唆されてきている。SVPH1-8のディ スインテグリンドメインをスクリーニングにおいて使用し、避妊薬として有用な
細胞融合のインヒビターを見つけ出すことができよう。
【0026】 本発明のある実施形態においては、組換えSVPH1-8ポリペプチドの発現は、SVP
H1-8ポリペプチドの精製の助けとなる別のポリペプチドをコードする配列とSVPH
1-8ポリペプチドをコードする配列との融合を利用して達成できる。そのような 融合の例としては、SVPH1-8ポリペプチドをコードする配列と、New England Bio
labs, Inc.のpMAL-c2ベクターのmalE遺伝子の産物をコードする配列との融合が ある。かかる融合によって、融合タンパク質をアフィニティ精製し、かつ精製の
後にSVPH1-8ポリペプチドから融合タンパク質のマルトース結合タンパク質部分 を分離することが可能である。当然ながら、SVPH1-8ポリペプチドの発現及び精 製のために多くの異なるベクターや技術を用いることができ、この実施形態が本
発明の範囲を限定するものではないことは理解されよう。
【0027】 SVPH1-8ポリペプチドをコードするDNAのpMAL-c2ベクターへの挿入は、公知の 分子生物学的技術を用いて様々な方法で達成できる。好ましい挿入物の構築は、
SVPH1-8ポリペプチドのカルボキシ末端コドンに隣接する終止コドンを使用する 。さらに、好ましい挿入物の構築は、SVPH1-8ポリペプチドのアミノ末端を、pMA
L-c2ベクター中のXa因子切断部位のカルボキシ末端に直接融合したものをもたら
す。DNA断片は、鋳型DNAとしてSVPH1-8 DNAを用い、2種のオリゴヌクレオチドプ
ライマーを使用するPCRによって生成することができる。オリゴヌクレオチドプ ライマーの使用は、慣用の手段により単離することができるDNAの平滑末端化し た断片を生成する。このPCR産物は、慣用の手段を用いて、(制限エンドヌクレア
ーゼXmn Iで消化した)pMAL-p2に連結することができる。陽性のクローンは慣用 の手段で同定しうる。融合タンパク質の発現の誘導及び精製は、製品の使用説明
書に従って行う。この構築物により、製品の使用説明書に従って簡単なプロテア
ーゼ処理を用いて、融合したマルトース結合タンパク質からSVPH1-8ポリペプチ ドを正確に分離することが容易に行える。このようにして、精製されたSVPH1-8 ポリペプチドを得ることができる。さらに、そのように構築されたベクターを公
知の分子生物学的技術を用いて容易に改変し、別の融合タンパク質を生成するこ
とができる。
【0028】 本発明の別の好ましい実施形態は、ゲル電気泳動法によりサンプルタンパク質
の見かけの分子量を推定するための、SVPH1-8ポリペプチドの分子量マーカーと しての使用である。本発明の単離され精製されたSVPH1-8ポリペプチド分子量マ ーカーはグリコシル化されていない状態で約80,766ダルトンの分子量を有する。
ドデシル硫酸ナトリウムと6-20%濃度のアクリルアミドとを含むゲルの2本の別個
のレーンにおいて、慣用の手段(U. K. Laemmli, Nature 227: 680-685, 1970)に
より変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行うことにより、サンプルタンパク
質と一緒にSVPH1-8ポリペプチドを分離することができる。ゲル上のタンパク質 は慣用の染色方法を用いて可視化することができる。SVPH1-8ポリペプチド分子 量マーカーを、サンプルタンパク質の見かけの分子量の推定において分子量マー
カーとして用いることができる。SVPH1-8のユニークなアミノ酸配列(配列番号2)
は、約80,766ダルトンの分子量を特定する。従って、SVPH1-8ポリペプチド分子 量マーカーは、80,766ダルトンに近い見かけの分子量を有するサンプルタンパク
質の見かけの分子量の推定用の分子量マーカーとして特に役立つ。このポリペプ
チド分子量マーカーを用いると、80,766ダルトンに近い見かけの分子量を有する
サンプルタンパク質の見かけの分子量の決定の精度が向上する。当然ながら、SV
PH1-8ポリペプチドを用いてサンプルタンパク質の分子量の決定を行うために多 くの異なる技術を用いることができ、この実施形態が本発明の範囲を限定するも
のではないことは理解されよう。
【0029】 本発明の別の好ましい実施形態は、SVPH1-8ポリペプチドの化学的断片化によ り生成されたSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーの、ゲル電気泳動法により サンプルタンパク質の見かけの分子量を推定するための分子量マーカーとしての
使用である。単離され精製されたSVPH1-8ポリペプチドは、SVPH1-8ポリペプチド
内のメチオニン残基のカルボキシル側での特異的な加水分解によってSVPH1-8ポ リペプチド分子量マーカーの断片化をもたらす慣用の条件下で臭化シアンにより
処理することができる(E. Gross, Methods in Enz. 11: 238-255, 1967)。SVPH1
-8ポリペプチドのユニークなアミノ酸配列のために、臭化シアンによるSVPH1-8 分子量マーカーの断片化によりSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーのユニー クなセットが生成される。メチオニン残基の分布により各ペプチド中のアミノ酸
の数が決まり、各ペプチドのユニークなアミノ酸組成によりその分子量が決まる
【0030】 SVPH1-8ポリペプチドの臭化シアン処理により生成されたSVPH1-8断片化ペプチ
ド分子量マーカーのユニークなセットは、少なくとも10個のアミノ酸からなるサ
イズを有する14種の断片化ペプチドを含む。配列番号2のアミノ酸2-76によって コードされたペプチドは、約8,205ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミ
ノ酸77-171によってコードされたペプチドは、約10,865ダルトンの分子量を有す
る。配列番号2のアミノ酸172-245によってコードされたペプチドは、約8,568ダ ルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸246-269によってコードされたペ
プチドは、約2,809ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸270-297に よってコードされたペプチドは、約3,253ダルトンの分子量を有する。配列番号2
のアミノ酸298-349によってコードされたペプチドは、約5,573ダルトンの分子量
を有する。配列番号2のアミノ酸350-365によってコードされたペプチドは、約1,
902ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸366-384によってコードさ れたペプチドは、約2,240ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸385-
405によってコードされたペプチドは、約2,355ダルトンの分子量を有する。配列
番号2のアミノ酸406-458によってコードされたペプチドは、約5,747ダルトンの 分子量を有する。配列番号2のアミノ酸459-599によってコードされたペプチドは
、約16,175ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸600-641によってコ
ードされたペプチドは、約4,426ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ
酸642-705によってコードされたペプチドは、約6,898ダルトンの分子量を有する
。配列番号2のアミノ酸706-722によってコードされたペプチドは、約1,847ダル トンの分子量を有する。
【0031】 従って、臭化シアンによる化学的処理でSVPH1-8ポリペプチドを切断すると、S
VPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーのユニークなセットが生成される。これら
のSVPH1-8断片化ペプチドのユニークで既知のアミノ酸配列により、これらの断 片化ペプチド分子量マーカーの分子量を決定することができる。この特定の場合
では、SVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーが、約8,205;10,865;8,568;2,8
09;3,253;5,573;1,902;2,240;2,355;5,747;16,175;4,426;6,898;及び
1,847ダルトンの分子量を有する。
【0032】 ドデシル硫酸ナトリウムと10-20%濃度のアクリルアミドとを含むゲルの2本の 別個のレーンでの、慣用の手段による変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
り、サンプルタンパク質と一緒にSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーを分離 することができる。ゲル上のタンパク質は、慣用の染色方法を用いて可視化する
ことができる。サンプルタンパク質の見かけの分子量を推定する際に、分子量マ
ーカーとしてSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーを用いることができる。SVP
H1-8のユニークなアミノ酸配列は、SVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーの約8
,205;10,865;8,568;2,809;3,253;5,573;1,902;2,240;2,355;5,747;16
,175;4,426;6,898;及び1,847ダルトンの分子量を特定する。従って、SVPH1-8
断片化ペプチド分子量マーカーは、8,205;10,865;8,568;2,809;3,253;5,57
3;1,902;2,240;2,355;5,747;16,175;4,426;6,898;または1,847ダルトン
に近い見かけの分子量を有するサンプルタンパク質の見かけの分子量の推定用の
分子量マーカーとして特に役立つ。従って、これらの断片化ペプチド分子量マー
カーを用いると、8,205;10,865;8,568;2,809;3,253;5,573;1,902;2,240 ;2,355;5,747;16,175;4,426;6,898;または1,847ダルトンに近い見かけの 分子量を有するサンプルタンパク質の見かけの分子量の決定の精度が向上する。
【0033】 さらに別の実施形態においては、サンプルタンパク質とSVPH1-8ポリペプチド を同時に、しかし別々に、サンプルタンパク質及びSVPH1-8ポリペプチド内のメ チオニン残基のカルボキシル側での特異的な加水分解によってサンプルタンパク
質及びSVPH1-8ポリペプチド分子量マーカーの断片化をもたらす慣用の条件の下 で臭化シアンにより処理することができる。上述のように、SVPH1-8ポリペプチ ドを臭化シアンで切断することにより生成されるSVPH1-8断片化ペプチド分子量 マーカーは、約8,205;10,865;8,568;2,809;3,253;5,573;1,902;2,240;2
,355;5,747;16,175;4,426;6,898;及び1,847ダルトンの分子量を有する。
【0034】 ドデシル硫酸ナトリウムと10-20%濃度のアクリルアミドとを含むゲルの2本の 別個のレーンでの、慣用の手段による変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
り、SVPH1-8ポリペプチド及びサンプルタンパク質の両方に由来する断片化ペプ チドを分離することができる。ゲル上の断片化ペプチドは、慣用の染色方法を用
いて可視化することができる。サンプルタンパク質由来の断片化タンパク質の見
かけの分子量を推定する際に、分子量マーカーとしてSVPH1-8断片化ペプチド分 子量マーカーを用いることができる。上述のように、SVPH1-8断片化ペプチド分 子量マーカーは、8,205;10,865;8,568;2,809;3,253;5,573;1,902;2,240 ;2,355;5,747;16,175;4,426;6,898;または1,847ダルトンに近い見かけの 分子量を有する断片化ペプチドの見かけの分子量の推定用の分子量マーカーとし
て特に役立つ。従って、これらのSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーを用い ると、8,205;10,865;8,568;2,809;3,253;5,573;1,902;2,240;2,355;5,
747;16,175;4,426;6,898;または1,847ダルトンに近い見かけの分子量を有す
る断片化ペプチドの見かけの分子量の決定の精度が向上する。さらに、SVPH1-8 ポリペプチドの断片化の程度は、サンプルタンパク質の完全な断片化について予
測される条件を決定するためのコントロールとして用いられる。当然ながら、SV
PH1-8ポリペプチドを断片化するために多くの化学物質を用いることができ、こ の実施形態が本発明の範囲を限定するものではないことは理解されよう。
【0035】 別の実施形態においては、SVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーのユニーク なセットを、特定のアミノ酸残基でポリペプチドを切断する酵素を用いることに
よってSVPH1-8ポリペプチドから生成することができる。SVPH1-8ポリペプチドの
アミノ酸配列のユニークな性質のため、異なるアミノ酸残基での切断によって、
断片化ペプチド分子量マーカーの異なるセットが生成されることになる。
【0036】 単離され精製されたSVPH1-8ポリペプチドは、SVPH1-8ポリペプチド内のリシン
残基のカルボキシル側での特異的な加水分解によってSVPH1-8ポリペプチドの断 片化をもたらす慣用の条件下でアクロモバクタープロテアーゼIにより処理する ことができる(T. Masakiら, Biochim. Biophys. Acta 660:44-50, 1981; T. Mas
akiら, Biochim. Biophys. Acta 660:51-55, 1981)。SVPH1-8ポリペプチドのユ ニークなアミノ酸配列のために、アクロモバクタープロテアーゼIによるSVPH1-8
ポリペプチド分子量マーカーの断片化は、SVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカ ーのユニークなセットを生成する。リシン残基の分布により各ペプチド中のアミ
ノ酸の数が決まり、各ペプチドのユニークなアミノ酸組成によりその分子量が決
まる。
【0037】 SVPH1-8ポリペプチドをアクロモバクタープロテアーゼIで処理することにより
生成されたユニークなSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーのセットは、少な くとも10個のアミノ酸からなるサイズを有する20種の断片化ペプチドを含む。こ
のようなSVPH1-8ポリペプチドの酵素処理による20種の断片化ペプチドの生成は 、SVPH1-8ポリペプチドの臭化シアン処理による14種の断片化ペプチドの場合と 比較すると、断片化ペプチド分子量マーカーのサイズがSVPH1-8ポリペプチドの 断片化に用いた断片化処理によって変化することを明らかに示している。これら
の断片のサイズ及び数はいずれも、SVPH1-8ポリペプチドのアミノ酸配列によっ て指令される。当然の結果として、断片化ペプチドの数もまた、SVPH1-8ポリペ プチドの断片化に使用された断片化処理によって変化するであろう。
【0038】 配列番号2のアミノ酸1-47によってコードされたペプチドは、約5,130ダルトン
の分子量を有する。配列番号2のアミノ酸57-71によってコードされたペプチドは
、約1,665ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸81-137によってコー
ドされたペプチドは、約6,451ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸
138-160によってコードされたペプチドは、約2,702ダルトンの分子量を有する。
配列番号2のアミノ酸161-178によってコードされたペプチドは、約2,023ダルト ンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸179-198によってコードされたペプチ
ドは、約2,316ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸199-230によっ てコードされたペプチドは、約3,794ダルトンの分子量を有する。配列番号2のア
ミノ酸231-283によってコードされたペプチドは、約6,173ダルトンの分子量を有
する。配列番号2のアミノ酸284-300によってコードされたペプチドは、約1,966 ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸301-374によってコードされた
ペプチドは、約8,112ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸375-385 によってコードされたペプチドは、約1,325ダルトンの分子量を有する。配列番 号2のアミノ酸386-407によってコードされたペプチドは、約2,468ダルトンの分 子量を有する。配列番号2のアミノ酸408-453によってコードされたペプチドは、
約4,882ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸457-505によってコー ドされたペプチドは、約5,629ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸
506-520によってコードされたペプチドは、約1,855ダルトンの分子量を有する。
配列番号2のアミノ酸532-552によってコードされたペプチドは、約2,308ダルト ンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸553-608によってコードされたペプチ
ドは、約6,474ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸624-642によっ てコードされたペプチドは、約2,061ダルトンの分子量を有する。配列番号2のア
ミノ酸649-679によってコードされたペプチドは、約3,314ダルトンの分子量を有
する。配列番号2のアミノ酸680-714によってコードされたペプチドは、約3,877 ダルトンの分子量を有する。
【0039】 従って、アクロモバクタープロテアーゼIによる酵素処理でSVPH1-8ポリペプチ
ドを切断すると、SVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーのユニークなセットが 生成される。これらの断片化ペプチドのユニークで既知のアミノ酸配列により、
これらのSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーの分子量を決定することができ る。この特定の場合では、これらのSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーは、 約5,130;1,665;6,451;2,702;2,023;2,316;3,794;6,173;1,966;8,112;
1,325;2,468;4,882;5,629;1,855;2,308;6,474;2,061;3,314及び3,877ダ
ルトンの分子量を有する。
【0040】 前述の場合と同様に、ドデシル硫酸ナトリウムと10-20%濃度のアクリルアミド
とを含むゲルの2本の別個のレーンでの、慣用の手段による変性ポリアクリルア ミドゲル電気泳動により、サンプルタンパク質と一緒にSVPH1-8断片化ペプチド 分子量マーカーを分離することができる。ゲル上のタンパク質は、慣用の染色方
法を用いて可視化することができる。サンプルタンパク質の見かけの分子量を推
定する際に、分子量マーカーとしてSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーを用 いることができる。上記のSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーは、 5,130; 1
,665; 6,451; 2,702; 2,023; 2,316; 3,794; 6,173; 1,966; 8,112; 1,325; 2,4
68; 4,882; 5,629; 1,855; 2,308; 6,474; 2,061; 3,314;または3,877; ダルト ンに近い見かけの分子量を有するタンパク質の見かけの分子量の推定用の分子量
マーカーとして特に役立つ。これらの断片化ペプチド分子量マーカーを用いると
、5,130; 1,665; 6,451; 2,702; 2,023; 2,316; 3,794; 6,173; 1,966; 8,112;
1,325; 2,468; 4,882; 5,629; 1,855; 2,308; 6,474; 2,061; 3,314;または3,87
7; ダルトンに近い見かけの分子量を有するサンプルタンパク質の見かけの分子 量の決定の精度が向上する。
【0041】 さらに別の実施形態においては、サンプルタンパク質とSVPH1-8ポリペプチド を、同時に、しかし別々にサンプルタンパク質及びSVPH1-8ポリペプチド内のリ シン残基のカルボキシル側での特異的な加水分解によってサンプルタンパク質及
びSVPH1-8ポリペプチドの断片化をもたらす慣用の条件下でアクロモバクタープ ロテアーゼIにより処理することができる。ドデシル硫酸ナトリウムと10-20%濃 度のアクリルアミドとを含むゲルの2本の別個のレーンでの、慣用の手段による 変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、サンプルタンパク質に由来する断
片化ペプチド及びSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーを分離することができ る。ゲル上の断片化ペプチドは、慣用の染色方法を用いて可視化することができ
る。サンプルタンパク質の見かけの分子量を推定する際に、分子量マーカーとし
てSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーを用いることができる。SVPH1-8断片化
ペプチド分子量マーカーは、5,130; 1,665; 6,451; 2,702; 2,023; 2,316; 3,79
4; 6,173; 1,966; 8,112; 1,325; 2,468; 4,882; 5,629; 1,855; 2,308; 6,474;
2,061; 3,314;または3,877; ダルトンに近い見かけの分子量を有する断片化ペ プチドの見かけの分子量の推定用の分子量マーカーとして特に役立つ。これらの
SVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーを用いると、5,130; 1,665; 6,451; 2,70
2; 2,023; 2,316; 3,794; 6,173; 1,966; 8,112; 1,325; 2,468; 4,882; 5,629;
1,855; 2,308; 6,474; 2,061; 3,314;または3,877; ダルトンに近い見かけの分
子量を有する断片化ペプチドの見かけの分子量の推定における精度が向上する。
さらに、SVPH1-8ポリペプチドの断片化の程度は、サンプルタンパク質の完全な 断片化について予測される条件を決定するためのコントロールとして用いられる
。当然ながら、SVPH1-8ポリペプチドを断片化するために多くの酵素を用いるこ とができ、この実施形態が本発明の範囲を限定するものではないことは理解され
よう。
【0042】 別の態様においては、SVPH1-8ポリペプチドに対するモノクローナル及びポリ クローナル抗体を生成することができる。Balb/cマウスに、RIBIアジュバント(R
IBI Corp., Hamilton, Montana)の存在下で、10μgの単離され精製されたSVPH1-
8ポリペプチド又はSVPH1-8ポリペプチドのアミノ酸配列に基づくペプチドを、3 週間間隔で2回、腹腔内注射することができる。次にマウスの血清を慣用のドッ トブロット技術又は抗体捕捉(ABC)によってアッセイし、融合に最も適した動物 が何れであるかを決定する。3週間後に、滅菌PBSに懸濁したSVPH1-8ポリペプチ ド又はペプチドの3μgを、静脈内に追加免疫する。3日後にマウスを屠殺し、確 立されたプロトコルに従って脾細胞をAg8.653ミエローマ細胞(ATCC)と融合する 。概要を説明すると、Ag8.653細胞を無血清培地で数回洗浄し、脾細胞3に対して
ミエローマ細胞1の比でマウス脾細胞に融合する。融合剤は、50% PEG: 10% DMSO
(Sigma)である。融合物を、HAT補充DMEM培養液を含む20枚の96穴平底プレート(
Corning)にプレーティングし、8日間増殖させる。得られたハイブリドーマから 上清を回収し、初めにヤギ抗マウスIgをコーティングした96穴プレートに加えて
60分間置く。洗浄の後、125I-SVPH1-8ポリペプチド又はペプチドを各ウェルに加
え、室温で60分間インキュベートし、4回洗浄する。次いで、Kodak X-Omat Sフ ィルムを用いた-70℃でのオートラジオグラフィーにより、陽性のウェルを検出 することができる。陽性のクローンは大量培養において増殖させることができ、
次に上清をProtein Aカラム(Pharmacia)を通して精製する。当然ながら、SVPH1-
8ポリペプチド及びそれらの断片化ペプチドに対する抗体を生成するために多く の技術を用いることができ、この態様が本発明の範囲を限定するものではないこ
とは理解されよう。
【0043】 別の態様においては、SVPH1-8及びその断片化ペプチドに対して産生された抗 体を、SVPH1-8ポリペプチド又は断片化ペプチド分子量マーカーと組合せて用い ることにより、サンプルタンパク質の見かけの分子量及び等電点を決定するため
にこれらの分子量マーカーを用いる場合の精度を高めることができる。SVPH1-8 ポリペプチド又は又は断片化ペプチド分子量マーカーは、モル過剰量のサンプル
タンパク質と混合することができ、その混合物は慣用の手段により二次元電気泳
動法で分離することができる。ポリペプチドは、例えばニトロセルロースのよう
な適切なタンパク質結合メンブランに慣用の手段によって移すことができる。
【0044】 メンブラン上のポリペプチドは、サンプルタンパク質と分子量マーカーとの間
の区別を可能にする2種類の異なる方法を用いて可視化することができる。これ らのマーカーに対して産生された抗体及び慣用の免疫ブロット技術を用いて、SV
PH1-8ポリペプチド又は断片化ペプチド分子量マーカーを可視化することができ る。この検出は、サンプルタンパク質を検出することにならないような慣用の条
件下で行う。小さいペプチドは免疫原性エピトープを有していないことがあるた
め、全てのSVPH1-8ポリペプチド断片に対して抗体を生成することができないこ とがあることは理解されよう。さらに、このアッセイでは全ての抗体が機能する
わけではないが、SVPH1-8ポリペプチド又は断片に結合し得る抗体は慣用の技術 を用いて容易に決定できることが理解されよう。
【0045】 このサンプルタンパク質は慣用の染色法を用いて可視化する。慣用の染色法で
前記サンプルタンパク質が主として検出されるように、SVPH1-8ポリペプチド又 は断片化ペプチド分子量マーカーに対してモル過剰量のサンプルタンパク質が用
いられる。SVPH1-8ポリペプチド又は断片化ペプチド分子量マーカーのレベルは 、例えば慣用の染色法によってこれらのマーカーは殆ど又は全く検出されないよ
うにできるようなレベルである。SVPH1-8ポリペプチド分子量マーカーに対する サンプルタンパク質の好ましいモル過剰量は、2〜100,000倍の範囲である。より
好ましくは、SVPH1-8ポリペプチド分子量マーカーに対するサンプルタンパク質 の好ましいモル過剰量は、10〜10,000倍の範囲、特に100〜1,000倍の範囲である
【0046】 SVPH1-8ポリペプチド又は断片化ペプチド分子量マーカーを、サンプルタンパ ク質の見かけの分子量及び等電点の推定において、分子量及び等電点マーカーと
して用いることができる。SVPH1-8ポリペプチド又は断片化ペプチド分子量マー カーは、SVPH1-8ポリペプチド又は断片化ペプチド分子量マーカーの見かけの分 子量及び等電点に近い見かけの分子量及び等電点を有するサンプルタンパク質の
見かけの分子量及び等電点の推定用の分子量及び等電点マーカーとして特に役立
つ。同一条件の下でSVPH1-8ポリペプチド又は断片化ペプチド分子量マーカー及 びサンプルタンパク質を同時に分離する能力によって、サンプルタンパク質の見
かけの分子量及び等電点の決定の精度を高めることができる。このことは、例え
ば二次元電気泳動法のような、マーカーがいずれもサンプルタンパク質と同時に
分離されなければならないという性質をもつ技術において、特に有用である。
【0047】 別の態様においては、サンプルタンパク質の切断剤による処理によって得られ
た断片化ペプチドの見かけの分子量及び等電点の推定において、SVPH1-8ポリペ プチド又は断片化ペプチド分子量マーカーを、分子量及び等電点マーカーとして
用いることができる。当然ながら、SVPH1-8ポリペプチド分子量マーカー及びそ のペプチド断片を用いてサンプルタンパク質及び断片化ペプチドの分子量及び等
電点の決定を行うために多くの異なる技術を用いることができ、この態様が本発
明の範囲を限定するものではないことは理解されよう。
【0048】 本発明に包含されるSVPH1-8ポリペプチド分子量マーカーは、それらが発現さ れる宿主細胞に応じて分子量が変化し得る。様々な細胞の種類でのSVPH1-8ポリ ペプチド分子量マーカー及びそのペプチド断片のグリコシル化により、修飾の程
度に応じた、それらのマーカーの分子量の変化が生じ得る。SVPH1-8ポリペプチ ド分子量マーカーのサイズは、前記ポリペプチドの細胞外の部分に由来するSVPH
1-8ポリペプチドの断片において最も不均質となり得る。一貫性のある分子量マ ーカーは、膜貫通領域及び細胞質内領域にその全体が由来するポリペプチドを用
いるか、N-グリカナーゼで前処理することにより糖鎖結合を取り除くか、又は細
菌の宿主で前記ポリペプチドを発現させることによって得ることができる。
【0049】 SVPH1-8とその対向構造物との相互作用により、SVPH1-8とSVPH1-8対向構造物 との会合を妨げ、かつSVPH1-8又はその対向構造物の活性を阻害する小分子をス クリーニングすることができる。例えば、SUNYで開発された酵母2ハイブリッド システム(Fieldsらに付与された米国特許第5,283,173号に記載されている)を用 いて、以下のようにSVPH1-8のインヒビターをスクリーニングすることができる 。SVPH1-8及びその対向構造物、またはそれらの相互作用の原因となるそれらの 部分を、Gal4 DNA結合ドメイン及びGal 4転写活性化ドメインにそれぞれ融合し 、ヒスチジンを欠くプレート上での増殖についてGal4の活性に依存する菌株に導
入することができる。IL-1インヒビターを同定するために、増殖を妨げる化合物
をスクリーニングすることができる。あるいは、SVPH1-8とSVPH1-8対向構造物と
の相互作用が増殖を阻害し、その相互作用の阻害によって増殖を生じさせること
ができるようにスクリーニングを改変することができる。SVPH1-8の阻害をスク リーニングする別のin vitroの方法は、化合物の一方(SVPH1-8かその対向構造物
の何れか)をマイクロタイタープレートのウェルに固定し、かつもう一方の化合 物に容易に検出される指示薬を結合する方法である。その相互作用のインヒビタ
ーは、検出可能な指示薬が存在しないことによってウェルから同定する。
【0050】 さらに本発明のSVPH1-8ポリペプチドは、SVPH1-8インヒビターの構造をベース
にした設計のために有用である。そのような設計は、そのようなSVPH1-8ポリペ プチドの三次元構造を決定する過程と、その三次元構造を基質の結合する可能性
のある部位について分析する過程と、推定上の反応性部位を有する分子を合成す
る過程と、その分子の阻害活性を測定する過程とを含む。
【0051】 これにより、SVPH1-8ポリペプチドに免疫反応性の抗体、特にSVPH1-8ポリペプ
チドに対するモノクローナル抗体が本発明により利用可能となる。そのような抗
体は、in vivoでのSVPH1-8ポリペプチド活性の阻害、及びサンプル中のSVPH1-8 ポリペプチドの存在の検出のために有用であり得る。
【0052】 本明細書において、用語「SVPH1-8ポリペプチド」は、配列番号2のアミノ酸配
列1-722を有するタンパク質、及びそのようなアミノ酸配列と高度な類似性(少な
くとも90%の同一性)を有するタンパク質で生物学的に活性なものを包含するポリ
ペプチドの属である。加えて、SVPH1-8ポリペプチドは、配列番号1のヌクレオチ
ド1-2196の遺伝子産物である。
【0053】 本発明の単離され精製されたSVPH1-8ポリペプチドは、グリコシル化されてい ない場合、約80,766ダルトンの分子量を有する。SVPH1-8ポリペプチドのアミノ 末端及びカルボキシ末端の両方に追加のペプチド配列を融合することにより、SV
PH1-8ポリペプチドの分子量を変化させ得ることは理解されよう。SVPH1-8ポリペ
プチドのアミノ末端及びカルボキシ末端への追加のペプチド配列の融合は、SVPH
1-8ポリペプチドの発現を増加させるため、又は前記タンパク質の精製の助けと するために用いることができる。
【0054】 SVPH1-8ポリペプチドのアミノ末端及びカルボキシ末端への追加のペプチド配 列の融合によって、酵素又は化学的処理によって生成されたSVPH1-8ポリペプチ ドの断片化ペプチドの、通常は全てではなく一部が変化するということが理解さ
れよう。
【0055】 また、分子生物学上の日常的な公知の技術を用いてSVPH1-8ポリペプチドに突 然変異を導入することができるということが理解されよう。さらに、特異的な酵
素によってタンパク質分解により切断される部位、又は化学的に誘発される特異
的な断片化方法によって切断される部位を取り除くように突然変異を設計するこ
とができることが理解されよう。また、そのような部位の除去によって、特異的
な酵素又は化学的方法で断片化するときにSVPH1-8ポリペプチドのペプチドフィ ンガープリントが変化するということも理解されよう。
【0056】 本明細書において使用する用語「単離され精製された」は、SVPH1-8ポリペプ チド分子量マーカー又はその断片が、例えば組換え宿主細胞培養物の精製産物と
して、又は非組換え体起源の精製産物として、他のタンパク質又はポリペプチド
と実質的に会合していない状態にあることを意味する。本明細書において使用す
る用語「実質的に精製された」は、SVPH1-8ポリペプチド分子量マーカー又はそ の断片を含み、特異的な抗体を用いて除去できる既知のタンパク質の存在を除い
て他のタンパク質又はポリペプチドと実質的に会合していない混合物をいい、実
質的に精製されたSVPH1-8ポリペプチド又はその断片は分子量マーカーとして用 いることができる。用語「精製された」は、いずれも本明細書に記載したような
、「単離され精製された」形態のSVPH1-8ポリペプチド、又は「実質的に精製さ れた」形態のSVPH1-8ポリペプチドのいずれかである。
【0057】 「ヌクレオチド配列」は、実質的に精製された形態に少なくとも一旦単離され
た(即ち内在性の物質で汚染されていない)DNA又はRNAに由来する、独立した断片
の形態又はより大きい核酸構築物の成分として、標準的な生化学的方法(例えば 、その概略がSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed.,
Cold Spring harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)に記載され ているような方法)によってその成分ヌクレオチド配列の同定、操作、及び回収 が可能となる量または濃度のポリヌクレオチド分子である。そのような配列は、
通常真核生物の遺伝子に存在する内部非翻訳配列、即ちイントロンによって中断
されないオープンリーディングフレームの形態で提供されるのが好ましい。非翻
訳DNAの配列は、それがコード領域の操作又は発現を妨げることがないようにオ ープンリーディングフレームの5'末端又は3'末端側に存在し得る。
【0058】 本明細書でいうSVPH1-8ポリペプチド「変異体」は、元のSVPH1-8ポリペプチド
に実質的に相同であるが、1個又は複数の欠失、挿入、又は置換のために天然のS
VPH1-8ポリペプチド(ヒト、マウス、又は他の哺乳動物種)の配列とは異なるアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドである。変異体アミノ酸配列は、好ましくは天然
のSVPH1-8ポリペプチドアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性、最も好ましくは
少なくとも90%同一性を有するものである。同一性のパーセンテージは、例えば 、University of Wisconsin Genetics Computer Group (UWGCG)から入手できる 、Devereuxら(Nucl. Acids Res. 12:387, 1984)によって書かれたGAPコンピュー
タプログラム、バージョン6.0を用いて配列情報を比較することにより決定する ことができる。GAPプログラムは、Smith及びWaterman(Adv. Appl. Math 2:482,
1981)によって改良された、Needleman及びWunsch(J. Mol. Biol. 48:443, 1970)
のアラインメント方法を利用する。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメ ータとしては、(1) ヌクレオチドの単一比較マトリックス(一致について1の値、
不一致について0の値を有する)、及びSchwartz及びDayhoff, eds., Atlas of Pr
otein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, p
p.353-358, 1979に記載された、Gribskov及びBurgess, Nucl. Acids Res. 14:67
45, 1986の加重比較マトリックス、(2) 各ギャップに対する3.0のペナルティ、 及び各ギャップの各シンボルに対する追加の0.10のペナルティ、(3) エンドギャ
ップに対してペナルティ無し、というパラメータが挙げられる。
【0059】 変異体は保存的に置換された配列を有していることがあり、これは所与のアミ
ノ酸残基が、類似の生理化学的な特性を有する残基で置換されたことを意味する
。保存的な置換の例としては、ある脂肪族残基から別の脂肪族残基への置換、例
えばIle、Val、Leu、もしくはAlaからその中の別のものへの置換、又はある極性
残基から別の極性残基への置換、例えばLysとArgとの間の置換、GluとAspとの間
の置換、又はGlnとAsnとの間の置換等が挙げられる。他のそのような保存的置換
、例えば、類似の疎水性の特性を有する全領域の置換もよく知られている。天然
のSVPH1-8変異体も本発明に包含される。そのような変異体の例としては、選択 的mRNAスプライシング事象又はSVPH1-8ポリペプチドのタンパク質分解性の切断 によって生じたタンパク質等が挙げられる。タンパク質分解に起因する変化とし
ては、例えばSVPH1-8ポリペプチドからの1個又は複数の末端アミノ酸(通常は1個
〜5個の末端アミノ酸)のタンパク質分解による除去に起因する、異なる種類の宿
主細胞における発現時のN末端又はC末端の相違が挙げられる。
【0060】 上述のように、本発明は、組換え体あるいは非組換え体の、単離され精製され
た、即ち均質なSVPH1-8ポリペプチドを提供する。分子量マーカーとして使用可 能な天然のSVPH1-8ポリペプチドの変異体及び誘導体は、天然SVPH1-8ポリペプチ
ドをコードするヌクレオチド配列を変異させることによって得ることができる。
天然のアミノ酸配列の変更は様々な慣用の方法の何れかによって達成することが
できる。変異は、天然配列の断片への連結を可能にする制限部位が隣接した、変
異した配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することによって特定の遺伝子座に
導入することができる。連結の後、得られた再構築配列は、所望のアミノ酸の挿
入、置換、又は欠失を含む類似体をコードする。
【0061】 あるいは、オリゴヌクレオチドを用いる部位特異的突然変異誘発法を利用して
遺伝子の変更を導入し、所定のコドンが置換、欠失、又は挿入によって変化し得
るものとすることができる。上述のような変異を生じさせる方法の例はWalderら
(Gene 42:133, 1986); Bauerら(Gene 37:73, 1985); Craik (BioTechnique, Jan
uary 1985, 12-19); Smithら(Genetic Engineering: Principles and Methods,
Plenum Press, 1981); Kunkel (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488. 1985); K
unkelら(Methods in Enzymol. 154:367, 1987)及び米国特許第4,518,584号及び 第4,737,462号に記載されており、これら全ては引用により本明細書の一部とす る。
【0062】 SVPH1-8ポリペプチドを、例えばグリコシル基、ポリエチレングリコール(PEG)
基、脂質、リン酸、アセチル基等のような他の化学基との共有結合又は凝集性コ
ンジュゲートを形成することによって修飾し、SVPH1-8ポリペプチド誘導体を生 成することができる。SVPH1-8ポリペプチドの共有結合性の誘導体は、SVPH1-8ポ
リペプチドのアミノ酸側鎖上、又はSVPH1-8ポリペプチドのN末端又はC末端、又 はその細胞外ドメイン上の官能基に化学基を結合させることによって調製できる
。本発明の範囲内の他のSVPH1-8ポリペプチドの誘導体としては、例えばN末端又
はC末端への融合のような組換え体培養物における合成による、他のタンパク質 又はポリペプチドとSVPH1-8ポリペプチド又はペプチド断片との共有結合又は凝 集性コンジュゲートがある。例えば、そのようなコンジュゲートは、SVPH1-8ポ リペプチドのN末端におけるシグナル又はリーダーポリペプチド配列(例えばサッ
カロミセス(Saccharomyces)のα因子リーダー)を含み得る。シグナル又はリーダ
ーペプチドは、翻訳と同時又は翻訳後に、そのコンジュゲートをその合成の部位
から、細胞膜又は細胞壁の内側又は外側の部位への移動を誘導する。
【0063】 SVPH1-8ポリペプチドコンジュゲートは、SVPH1-8ポリペプチドの精製及び同定
を促進するために付加されたペプチドを有し得る。そのようなペプチドとしては
、例えば、米国特許第5,011,912号及びHoppら, Bio/Technology 6:1204, 1988に
記載されているようなポリHis又は抗原性同定用ペプチド等が挙げられる。
【0064】 さらに本発明は、関連する天然のグリコシル化パターンを有するか、又は有し
ていないSVPH1-8ポリペプチドを包含する。酵母又は哺乳動物の発現系(例えばCO
S-1又はCOS-7細胞)において発現されるSVPH1-8ポリペプチドは、発現系の選択に
応じて、分子量及びグリコシル化パターンについて天然SVPH1-8ポリペプチドと 類似しているか、あるいは有意に異なっているものであり得る。例えば大腸菌(E
.coli)のような細菌の発現系でSVPH1-8ポリペプチドを発現させることによって 、非グリコシル化分子が得られる。グリコシル基は、慣用の方法、具体的にはグ
リコペプチダーゼを用いる方法によって取り除くことができる。通常、グリコシ
ル化SVPH1-8ポリペプチドは、モル過剰量のグリコペプチダーゼ(Boehringer Man
nheim)と共にインキュベートすることができる。
【0065】 アミノ酸残基もしくは配列の様々な付加もしくは置換、又は末端もしくは内部
の残基もしくは配列の様々な欠失をコードする等価なDNA構築物が本発明に包含 される。例えば、SVPH1-8ポリペプチドの細胞外ドメインにおけるNグリコシル化
部位を、グリコシル化を防止するように改変して、哺乳動物又は酵母の発現系に
おける炭水化物類似体低減された発現を可能にすることができる。真核生物のポ
リペプチドにおけるNグリコシル化部位は、アミノ酸トリプレットAsn-X-Yにより
特徴付けられ、ここでXはPro以外のあらゆるアミノ酸であり、YはSer又はThrで ある。これらのトリプレットをコードするヌクレオチド配列に対して適切な置換
、付加、又は欠失を与えることによって、Asn側鎖における炭水化物残基の付加 を防止することができる。例えばAsnが異なるアミノ酸で置換されるように選択 された、単一ヌクレオチドの変異は、Nグリコシル化部位を不活性化するために 十分である。タンパク質におけるNグリコシル化部位を不活性化するための公知 の方法としては、米国特許第5,071,972号及び欧州特許第276,846号に記載された
方法が挙げられ、これらは引用により本明細書の一部とする。
【0066】 別の例では、生物学的活性のために必須ではないCys残基をコードする配列を 改変し、Cys残基を除去するか他のアミノ酸で置換して、再生時に正しくない分 子内ジスルフィド架橋を形成することを防止することができる。KEX2プロテアー
ゼ活性が存在する酵母系における発現を促進するために、隣接する二塩基性のア
ミノ酸残基の修飾によって他の等価物を調製することができる。欧州特許第212,
914号には、タンパク質におけるKEX2プロテアーゼプロセシング部位を不活性化 するために部位特異的突然変異誘発を利用することが開示されている。KEX2プロ
テアーゼプロセシング部位は、残基を欠失、付加、又は置換させることによって
不活性化され、Arg-Arg、Arg-Lys、及びLys-Arg対を改変して隣接する塩基性残 基の発生を排除する。Lys-Lys対はKEX2による切断を非常に受け難く、またArg-L
ys又はLys-ArgからLys-Lysへの変換は、保存的で、KEX2部位を不活性化するため
に好ましい方法である。
【0067】 さらに本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列に由来する単離された断片及 びオリゴヌクレオチドを包含する。ヌクレオチド1-78, 79-594, 595-1191, 1192
-1503, 1504-2040, 2041-2121,および2122-2166を含む。また本発明は、これら の断片及びオリゴヌクレオチドでコードされるポリペプチドを包含する。
【0068】 本発明の範囲内の核酸配列として、ここに開示した元のSVPH1-8ヌクレオチド 配列と中程度又は高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、かつSVPH1-
8ポリペプチドをコードする、単離されたDNA及びRNA配列がある。本明細書にお いて、当業者に公知で、SambrookらMolecular Cloning: A Laboratory Manual,
2 ed. Vol. 1, pp. 1.101-104, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989)
によって定義されている、中程度のストリンジェンシーの条件としては、ニトロ
セルロースフィルタ用の予洗溶液、5X SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA (pH8.0)と、
42℃で50%ホルムアミド、6X SSCのハイブリダイゼーション条件(又は42℃で50% ホルムアミドに入れた、例えばスタークス溶液のような他の類似のハイブリダイ
ゼーション溶液)と、約60℃、0.5X SSC、0.1% SDSの洗浄条件との使用を含む。 高ストリンジェンシー条件は、上述のハイブリダイゼーション条件に、約68℃、
0.2X SSC、0.1% SDSの洗浄を加えたものと定義される。温度及び洗浄溶液の塩濃
度は、例えばプローブの長さのような因子に基づき必要に応じて変えることがで
きるということが当業者には理解されよう。
【0069】 同一のアミノ酸を2種類以上のコドンがコードし得るという、公知の遺伝暗号 の縮重のため、DNA配列は、配列番号1に示すものとは異なるが、依然として配列
番号2のアミノ酸配列を有するSVPH1-8ポリペプチドをコードするものであり得る
。そのような変異体DNA配列は、(例えばPCR増幅の際に生ずる)サイレント変異か
ら得られ、又は意図的な元の配列での変異誘発の産物であり得る。
【0070】 従って、本発明は、(a) 天然の哺乳動物のSVPH1-8遺伝子のコード領域に由来 するDNA、(b) 配列番号1のヌクレオチド配列1-2169を含むcDNA、(c) 中程度のス
トリンジェンシーの条件の下で(a)のDNAとハイブリダイズし得、かつSVPH1-8ポ リペプチドをコードするDNA、及び(d) (a)、(b)、又は(c)に定義されたDNAの遺 伝暗号が縮重し、かつSVPH1-8ポリペプチドをコードするDNA、から選択された、
SVPH1-8ポリペプチドをコードする等価で単離されたDNA配列を提供する。そのよ
うなDNA等価物の配列によってコードされるSVPH1-8ポリペプチドは、本発明に包
含される。
【0071】 配列番号1のDNA配列と等価なDNAは、配列番号2のアミノ酸配列1-722を含むポ リペプチドをコードする二本鎖の天然DNA配列と、中程度のストリンジェンシー 条件下でハイブリダイズする。そのようなDNAによってコードされるSVPH1-8ポリ
ペプチドの例としては、以下に限定するものではないが、上述のような、不活性
化Nグリコシル化部位、不活性化プロテアーゼプロセシング部位、又は保存的ア ミノ酸置換を含むSVPH1-8ポリペプチド断片及びSVPH1-8ポリペプチド等が挙げら
れる。配列番号1のDNAに相補的な分子にハイブリダイズする、他の哺乳動物種由
来のDNAによってコードされるSVPH1-8ポリペプチドも包含される。
【0072】 本発明の抗SVPH1-8ポリペプチド抗体のようなSVPH1-8ポリペプチドに結合する
タンパク質を、その表面上においてSVPH1-8ポリペプチドを発現する細胞の同定 、分離、又は精製に適した、カラムクロマトグラフィーマトリックス又は類似の
基質のような固相に結合することができる。例えば、精巣でのSVPH1-8の発現は 、抗SVPH1-8ポリペプチド抗体を用いて従来の技術により、精巣細胞を同定、分 離または精製できることを示す。SVPH1-8ポリペプチド結合タンパク質の固相接 触面への付着は任意の手段によって達成することができ、例えば磁性微粒子をSV
PH1-8ポリペプチド結合タンパク質でコーティングし、磁場によってインキュベ ーション用容器に保持することができる。細胞混合物の懸濁液を、その上にSVPH
1-8ポリペプチド結合タンパク質を有する固相と接触させる。その表面上にSVPH1
-8ポリペプチドを有する細胞は、固定されたSVPH1-8ポリペプチド結合タンパク 質に結合し、次に結合しない細胞を洗い流す。そのようなSVPH1-8ポリペプチド を発現する細胞を溶液から精製、スクリーニング、又は分離するために、このア
フィニティ結合法が役立つ。固相から陽性として選択された細胞を切り離す方法
は公知であり、例えば酵素を用いる方法がある。そのような酵素は、その細胞に
対して非毒性かつ非傷害性であるものが好ましく、細胞表面結合パートナーの切
断を誘導するものが好ましい。
【0073】 あるいは、初めにSVPH1-8ポリペプチド発現細胞を含む可能性のある細胞混合 物を、ビオチン標識したSVPH1-8ポリペプチド結合タンパク質と共にインキュベ ートすることができる。インキュベーション時間は、一般的には、SVPH1-8ポリ ペプチドへの十分な結合を確実にするための時間として少なくとも1時間である 。次に得られた混合物をアビジンをコーティングしたビーズを詰めたカラムに通
すことにより、アビジンに対するビオチンの高い親和性により、SVPH1-8ポリペ プチド結合細胞のビーズへの結合が生ずる。アビジンをコーティングしたビーズ
を用いることは公知である。Berensonら、J. Cell. Biochem., 10D:239 (1986) を参照されたい。結合していない材料の洗浄及び結合した細胞の放出は、慣用の
方法を用いて行う。
【0074】 上述の方法において、適切なSVPH1-8ポリペプチド結合タンパク質は、抗SVPH1
-8ポリペプチド抗体、及びSVPH1-8ポリペプチドが高い親和性で結合し得る他の タンパク質である。好ましいSVPH1-8ポリペプチド結合タンパク質は、抗SVPH1-8
ポリペプチドモノクローナル抗体である。
【0075】 SVPH1-8ポリペプチドは、例えば共有結合又は非共有結合で結合した二量体又 は三量体のようなオリゴマーとして存在し得る。オリゴマーは、異なるSVPH1-8 ポリペプチド上のシステイン残基間に形成されたジスルフィド結合によって結合
され得る。本発明のある態様においては、SVPH1-8ポリペプチドを抗体(例えばIg
G1)のFc領域にSVPH1-8ポリペプチドの生物学的活性を妨げないように融合するこ
とによってSVPH1-8ポリペプチド二量体を形成する。Fcポリペプチドは、(細胞外
ドメインのみを含む)可溶性SVPH1-8ポリペプチドのC末端に融合するのが好まし い。(Fcドメインを含む)抗体由来のポリペプチドの様々な部分に融合された異種
ポリペプチドを含む融合タンパク質の一般的な調製については、例えばAshkenaz
iら(PNAS USA 88:10535, 1991)及びByrnら(Nature 344:677, 1990)に記載されて
おり、これらの文献はこの引用により本発明の一部とする。SVPH1-8ポリペプチ ド:Fc融合タンパク質をコードする遺伝子融合物は、適当な発現ベクターに挿入 する。SVPH1-8ポリペプチド:Fc融合タンパク質は抗体分子に非常によく似た形態
で組立られることができ、鎖間ジスルフィド結合がFcポリペプチド間に形成され
、二価のSVPH1-8ポリペプチドが生成される。融合タンパク質が抗体の重鎖及び 軽鎖の両方で形成されている場合、4つものSVPH1-8ポリペプチド細胞外領域を有
するSVPH1-8ポリペプチドオリゴマーを形成することが可能である。あるいは、 ペプチドリンカーで2つの可溶性SVPH1-8ポリペプチドドメインを結合することが
できる。
【0076】 SVPH1-8ポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターは、周 知の方法を用いて作製することができる。前記発現ベクターは、例えば哺乳動物
、微生物、ウイルス、又は昆虫の遺伝子に由来するもののような、適当な転写又
は翻訳調節ヌクレオチド配列に機能可能なように結合されたSVPH1-8 DNA配列を 含む。調節配列の例としては、転写プロモーター、オペレーター、又はエンハン
サー、mRNAリボソーム結合部位、ならびに転写及び翻訳の開始及び終結を調節す
る適当な配列等が挙げられる。ヌクレオチド配列は、その調節配列がSVPH1-8 DN
A配列に機能的に関連している場合、「機能可能なように結合」されたものとす る。従って、プロモーターヌクレオチド配列がSVPH1-8 DNA配列の転写を調節す る場合、そのプロモーターヌクレオチド配列は、SVPH1-8 DNA配列に機能可能な ように結合されている。複製起点によって通常与えられる所望の宿主細胞におい
て複製する能力、及びそれによって形質転換体が同定される選択遺伝子をさらに
発現ベクターに導入することができる。
【0077】 さらに、SVPH1-8ポリペプチドと天然には結合していない適当なシグナルペプ チドをコードする配列を、発現ベクターに導入することができる。例えば、シグ
ナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列をフレーム内でSVPH1-8ヌクレオチド配列
に融合し、SVPH1-8ポリペプチドが、最初はそのシグナルペプチドを含む融合タ ンパク質として翻訳されるようにすることができる。目的の宿主細胞において機
能を発揮するシグナルペプチドは、SVPH1-8ポリペプチドの細胞外分泌を増加さ せる。このシグナルペプチドは、SVPH1-8ポリペプチドの細胞からの分泌時にSVP
H1-8ポリペプチドから切り離され得る。
【0078】 SVPH1-8ポリペプチドの発現のための適当な宿主細胞としては、原核生物、酵 母、又は高等な真核生物の細胞等が挙げられる。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動
物の細胞の宿主と共に用いるために適したクローニング・発現用ベクターは、例
えばPouwelsら、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, New York,
(1985)に記載されている。ここに開示されるDNA構築物に由来するRNAを用いてS
VPH1-8ポリペプチドを生成するために、無細胞の翻訳系を用いることもできる。
【0079】 原核生物としては、例えば大腸菌(E.coli)又はバチルス(Bacilli)のようなグ ラム陰性又はグラム陽性の微生物が挙げられる。形質転換のための適当な原核生
物の宿主細胞としては、例えば大腸菌(E.coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、 サルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)、及びシュードモナス(Pse
udomonas)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、及びブドウ球菌(Staphyloco
ccus)属中の他の様々な種等が挙げられる。大腸菌(E.coli)のような原核生物の 宿主細胞において、SVPH1-8ポリペプチドは、その原核生物の宿主細胞における 組換えポリペプチドの発現を促進するN末端メチオニン残基を有し得る。そのN末
端Metは、発現された組換えSVPH1-8ポリペプチドから切断することができる。
【0080】 原核生物の宿主細胞で使用するための発現ベクターは、1個又は複数の表現型 選択マーカー遺伝子を含む。表現型選択マーカー遺伝子は、例えば、独立栄養要
求性を与えるか、抗生物質耐性を与えるタンパク質をコードする遺伝子である。
原核生物の宿主細胞のために有用な発現ベクターの例としては、例えばクローニ
ングベクターpBR322 (ATCC 37017)のような市販のプラスミドに由来するものが 挙げられる。pBR322は、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性のための遺伝子
を有し、従って形質転換された細胞を同定するための簡単な手段を提供している
。pBR322を用いて発現ベクターを構築するため、pBR322ベクターに適当なプロモ
ーター及びSVPH1-8 DNA配列を挿入する。他の市販のベクターとしては、例えばp
KK223-3 (Pharmacia Fine Chemicals, Uppsala, Sweden)及びpGEM1 (Promega Bi
otec, Madison, WI, USA)等が挙げらえる。他の市販のベクターとしては、タン パク質の発現のために特別に設計されたもの、即ちマルトース結合タンパク質に
融合されたタンパク質の発現のために用いられるpMAL-p2及びpMAL-c2ベクター(N
ew England Biolabs, Beverly, MA, USA)がある。
【0081】 組換え原核生物の宿主細胞発現ベクターのために一般的に用いられるプロモー
ター配列としては、βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター
システム(Changら, Nature 275:615, 1978; 及びGoeddelら, Nature 281:544, 1
979)、トリプトファン(trp)プロモーターシステム(Goeddelら, Nucl. Acids Res
. 8:4057, 1980; 及びEP-A-36776)、ならびにtacプロモーター(Maniatis, Molec
ular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, p. 412
, 1982)等が挙げられる。特に有用な原核生物の宿主細胞発現系は、ファージλP L プロモーター及びcI857ts不耐熱性リプレッサー配列を用いたものである。λPL プロモーターの誘導体を導入した、American Type Culture Collectionから入手
可能なプラスミドベクターとしては、プラスミドpHUB2(大腸菌(E.coli)株JMB9 (
ATCC 37092)に存在)、及びpPLc28(大腸菌(E.coli)RR1 (ATCC 53082)に存在)が挙
げられる。
【0082】 SVPH1-8 DNAは、通常の細菌性発現ベクターの複数のクローニング部位にフレ ーム内にクローン化することができる。理想的には、前記ベクターは、クローニ
ング部位の上流に誘導性プロモーターを有し、インデューサーを添加することに
よって、研究者による選択時に組換えタンパク質の高レベルの産生が生ずること
になる。いくつかのタンパク質の場合には、プロモーターと目的の遺伝子との間
に融合パートナー(例えばヘキサヒスチジン)をコードするコドンを導入すること
によって発現レベルを高めてもよい。得られる「発現プラスミド」は、様々な大
腸菌(E.coli)株において増殖させることができる。
【0083】 組換えタンパク質の発現のため、細菌細胞を、所定の光学密度に達するまで増
殖培地において増殖させる。次にその組換えタンパク質の発現を、例えばlacオ ペレーター/プロモーターを含むプラスミドからのタンパク質の発現を活性化す
るIPTG (イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド)を加えることによって誘 導する。誘導(一般的には1-4時間)の後、例えば4℃で20分間、5,000 x Gで遠心 分離してペレット化することにより細胞を回収する。
【0084】 発現されたタンパク質の回収のためには、ペレット化細胞を、10倍量の50 mM
Tris-HCl (pH 8)/1 M NaClに再懸濁し、次にフレンチプレスに2、3回通すことが
できる。最も高レベルで発現された組換えタンパク質は、封入体として知られる
不溶性の凝集塊を形成する。封入体は、4℃で20分間、5,000 x Gで遠心分離して
ペレット化することにより、可溶性タンパク質から分離精製することができる。
封入体ペレットを、50 mM Tris-HCl (pH 8)/1% Triton X-100で洗浄し、次に50
mM Tris-HCl (pH 8)/8 M尿素/ 0.1 M DTTに溶解する。溶解され得ない全ての物 質は、遠心分離(20℃で20分間、10,000 x G)によって除去する。目的のタンパク
質は、大抵の場合、得られた上清において最も豊富に存在するタンパク質である
。このタンパク質を、50 mM Tris-HCl (pH 8)/5 mM CaCl2/5 mM Zn(OAc)2/1 mM
GSSG/0.1 mM GSHに対して透析することによって活性な立体構造に「再折り畳み 」させることができる。再折り畳みの後、例えばイオン交換又はゲル濾過のよう
な様々なクロマトグラフィー法によって精製を行うことができる。いくつかのプ
ロトコルでは、最初の精製を再折り畳みの前に行うことがある。一例として、ヘ
キサヒスチジン標識した融合タンパク質を固定化ニッケル上で部分的に精製する
ことができる。
【0085】 上述の精製及び再折り畳み方法では、タンパク質が封入体から最もよく回収さ
れることを仮定しているが、多くの組換えタンパク質が細胞溶解物の溶解性分画
から最もよく精製されるということはタンパク質精製分野の当業者には理解され
よう。これらの場合には、再折り畳みは不要であることが多く、標準的なクロマ
トグラフィー法によって直接精製を行うことができる。
【0086】 別法では、SVPH1-8ポリペプチドを、好ましくはサッカロミセス属(例えばサッ
カロミセスセレビシエ)由来の酵母宿主細胞において発現させることができる。 酵母の他の属、例えばピチア属、クルイベロミセスラクチス(Kluyveromyces lac
tis)属、又はクライベロミセス属を用いることもできる。酵母ベクターは、多く
の場合、2μ酵母プラスミドからの複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモー
ター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、及び選択マー
カー遺伝子を含む。酵母ベクターのための適当なプロモーター配列としては、特
に、メタロチオネイン、3-ホスホグリセレートキナーゼ(Hitzemanら, J. Biol.
Chem. 255:2073, 1980)、又は例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸
デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフ
ルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ム ターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、グルコー
スリン酸イソメラーゼ、及びグルコキナーゼのような他の糖分解酵素(Hessら, J
. Adv. Enzyme Reg. 7:149, 1968; 及びHollandら, Biochem. 17:4900, 1978)等
のプロモーターが挙げられる。酵母での発現において使用するための他の適当な
ベクター及びプロモーターはさらにHitzeman, EPA-73,657又はFleerら, Gene, 1
07:285-195 (1991); 及びvan den Bergら, Bio/Technology, 8:135-139 (1990) に記載されている。他には、Russellら(J. Biol. Chem. 258:2674, 1982)及びBe
ierら(Nature 300:724, 1982)に記載のグルコース抑制性ADH2プロモーターがあ る。酵母と大腸菌の両方で複製可能なシャトルベクターは、大腸菌における複製
及び選択のためにpBR322からのDNA配列(Ampr遺伝子及び複製起点)を上述の酵母 ベクターに挿入することによって作製できる。
【0087】 SVPH1-8ポリペプチドの分泌を誘導するために、酵母α因子リーダー配列を用 いることができる。α因子リーダー配列は、多くの場合、プロモーター配列と構
造遺伝子配列との間に挿入される。例えば、Kurjanら, Cell 30:933, 1982; Bit
terら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:5330, 1984; 米国特許第4,546,082号;
及びEP 324,274を参照されたい。酵母宿主からの組換えポリペプチドの分泌を促
進するのに適した他のリーダー配列は当業者によく知られている。リーダー配列
は、その3’末端近傍を1個又は複数の制限部位を含むように改変することができ
る。これによって、リーダー配列の構造遺伝子への融合が容易になる。
【0088】 酵母の形質転換のプロトコルは当業者に公知である。そのようなプロトコルの
1つが、Hinnenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1929, 1978に記載されてい る。Hinnenらのプロトコルでは、0.67%の酵母窒素塩基、0.5%のカザミノ酸、2% のグルコース、10μg/mlのアデニン、及び20μg/mlのウラシルからなる選択培地
においてTrp+形質転換体を選択する。
【0089】 ADH2プロモーター配列を含むベクターによって形質転換された酵母宿主細胞は
、「リッチな」培地における発現の誘導のために増殖させることができる。リッ
チな培地の例としては、80μg/mlのアデニン及び80μg/mlのウラシルを加えた、
1%の酵母抽出物、2%のペプトン、及び1%のグルコースからなるものがある。ADH2
プロモーターの抑制解除は、グルコースが培地から無くなったときに起こる。
【0090】 組換えSVPH1-8ポリペプチドを発現させるために、哺乳動物又は昆虫宿主細胞 培地系を用いることもできる。昆虫細胞における異種のタンパク質の産生のため
のバキュロウイルス系は、Luckow及びSummers, Bio/Technology 6:47 (1988)に おいて概説されている。哺乳動物を起源とする確立された細胞系を用いることも
できる。適当な哺乳動物の宿主細胞系の例としては、サル腎細胞のCOS-7系(ATCC
CRL 1651)(Gluzmanら, Cell 23:175, 1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC
CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、及びBHK(ATCC CR
L 10)細胞系や、McMahanら(EMBO J. 10: 2821, 1991)に記載のようなアフリカミ
ドリザル腎臓細胞系CVI (ATCC CCL 70)に由来するCV-1/EBNA-1細胞系(ATCC CRL
10478)等が挙げられる。
【0091】 DNAを哺乳動物細胞に導入するための確立された方法は、(Kaufman, R.J., Lar
ge Scale Mammalian Cell Culture, 1990, pp. 15-69)に記載されている。例え ばリポフェクトアミン(Lipofectamine) (Gibco/BRL)又はリポフェクトアミン プラス(LopofectaminePlus)のような市販の試薬を用いる別のプロトコルを用 いて、細胞をトランスフェクトすることができる(Felgnerら, Proc. Natl. Acad
. Sci. USA 84:7413-7417, 1987)。さらに、例えばSambrookら Molecular Cloni
ng: A Laboratory Manual, 2 ed. Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory P
ress, 1989に記載のような慣用の方法により、エレクトロポレーションを用いて
哺乳動物細胞をトランスフェクトすることができる。安定的な形質転換体の選択
は、選択の方法として細胞傷害性薬剤に対する耐性を利用して行うことができる
。Kaufmanら, Meth. in Enzymology 185:487-511, 1990には、例えばジヒドロ葉
酸還元酵素(DHFR)耐性のようないくつかの選択方式について記載されている。DH
FR選択のために適当な宿主菌株は、DHFRを欠く、CHO株DX-B11であり得る(Urlaub
及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)。DHFR cDNAを 発現するプラスミドを、菌株DX-B11に導入することができ、かつそのプラスミド
を含む細胞のみが適当な選択培地で増殖することができる。発現ベクターに導入
することができる他の選択マーカーとして、例えばG418及びハイグロマイシンB のような抗生物質に対する耐性を与えるcDNAが挙げられる。そのベクターを含む
細胞を、それらの化合物に対する耐性に基づいて選択することができる。
【0092】 哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写及び翻訳調節配列は、ウイルスの
ゲノムから切り出すことができる。一般的に用いられるプロモーター配列及びエ
ンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス4
0(SV40)、及びヒトサイトメガロウイルスに由来するものである。SV40ウイルス のゲノムに由来するDNA配列、例えばSV40複製起点、初期及び後期プロモーター 、エンハンサー、及びスプライス部位、及びポリアデニル化部位を用いて、哺乳
動物宿主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝子エレメントを提
供することができる。ウイルスの初期及び後期プロモーターは、両者が、ウイル
スのゲノムからウイルスの複製起点も含み得る断片として容易に得られることか
ら特に有用である(Fiersら, Nature 273:113, 1978; Kaufman, Meth. in Enzymo
logy, 1990)。より小さい又はより大きいSV40断片も、SV40ウイルス複製起点に 位置するHind III部位からBgl I部位まで延びる約250bpの配列が含まれている限
り用いることができる。
【0093】 哺乳動物の発現ベクターからの異種遺伝子の発現を改善することが示されてい
る別の調節配列としては、例えばCHO細胞に由来する発現増強配列エレメント(EA
SE) (Morrisら, Animal Cell Technology, 1997, pp. 529-534)や、アデノウイ ルス2に由来するVA遺伝子RNA及び3部分構造のリーダー(TPL) (Gingerasら, J. B
iol. Chem. 257:13475-13491, 1982)のようなエレメントが挙げられる。ウイル ス起源の内部リボソーム侵入部位(IRES)の配列によって、ジシストロン性mRNAが
効率的に翻訳され得るようになる(Oh及びSarnow, Current Opinion in Genetics
and Development 3:295-300, 1993; Rameshら, Nucleic Acids Research 24:26
97-2700, 1996)。異種cDNAをジシストロン性mRNAの一部として発現させ、次に選
択マーカー(例えばDHFR)の遺伝子を発現させることにより、宿主トランスフェク
ト能及び異種cDNAの発現が向上することが分かった(Kaufman, Meth. in Enzymol
ogy, 1990)。ジシストロン性mRNAを用いる典型的な発現ベクターとしては、Moss
erら, Biotechniques 22:150-161, 1997に記載のpTR-DC/GFP、及びMorrisら, An
imal Cell Technology, 1997, pp. 529-534に記載のp2A5Iがある。
【0094】 有用な高レベル発現用ベクターpCAVNOTは、Mosleyら, Cell 59:335-348, 1989
に記載されている。哺乳動物宿主細胞において用いるための他の発現ベクターは
、Okayama及びBerg (Mol. Cell. Biol. 3:280, 1983)に記載のように構築するこ
とができる。C127マウス乳腺上皮細胞における哺乳動物のcDNAの安定的な高レベ
ルの発現のために有用な系は、実質的にCosmanら (Mol. Immunol. 23:935, 1986
)に記載されたように構築することができる。Cosmanら, Nature 312:768, 1984 に記載の有用な高レベル発現ベクターPMLSV N1/N4は、ATCC 39890として寄託さ れている。別の有用な哺乳動物用発現ベクターは、EP-A-0367566、及び1991年5 月16日出願の米国特許出願第07/701,415号に記載されており、これらは引用によ
り本明細書の一部とする。ベクターは、レトロウイルスに由来するものであり得
る。天然のシグナル配列の代わりに、異種のシグナル配列、例えば米国特許第4,
965,195号に記載のIL-7のシグナル配列、Cosmanら, Nature 312:768(1984)に記 載のIL-2受容体のシグナル配列、EP367,566に記載のIL-4シグナルペプチド、米 国特許第4,968,607号に記載のI型IL-1受容体シグナルペプチド、及びEP 460,846
に記載のH型IL-1受容体シグナルペプチド等を付加することができる。
【0095】 本発明の単離され精製されたSVPH1-8ポリペプチド分子量マーカーは、上述の ような組換え発現系から製造するか、又は天然の細胞から精製することができる
。SVPH1-8ポリペプチドは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)に
よって分析したとき単一のタンパク質バンドによって示されるように、実質的に
精製することができる。
【0096】 SVPH1-8ポリペプチドの製造のための方法の1つにおいては、SVPH1-8ポリペプ チドの発現を促進するに十分な条件の下でSVPH1-8ポリペプチドをコードするDNA
配列を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養する。次に、用いられた
発現系に応じて、SVPH1-8ポリペプチドを培地又は細胞抽出物から回収する。当 業者に公知のように、組換えタンパク質を精製する方法は、例えば使用される宿
主細胞の種類などの要素や、その組換えタンパク質が培地に分泌されるか否かと
いうことに応じて変わってくる。例えば、その組換えタンパク質を分泌する発現
系を用いる場合、初めに培地を、例えばAmicon又はMillipore Pellicon限外濾過
ユニットのような市販のタンパク質濃縮フィルタを用いて濃縮することができる
。濃縮ステップの後、濃縮物をゲル濾過媒体のような精製マトリックスにアプラ
イすることができる。あるいは、例えば側基のジエチルアミノエチル(DEAE)基を
有するマトリックス又は基材のような、陰イオン交換樹脂を用いることができる
。マトリックスは、タンパク質の精製において一般的に用いられる、アクリルア
ミド、アガロース、デキストラン、セルロース又は他の種類のマトリックスであ
り得る。あるいは、陽イオン交換法を用いることができる。適当な陽イオン交換
体としては、スルホプロピル基又はカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マト
リックスがある。好ましいのはスルホプロピル基である。最後に、疎水性の逆相
高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)用媒質(例えば側基のメチル基又は他の脂
肪族基を有するシリカゲル)を用いる1回又は複数回のRP-HPLCステップにより、S
VPH1-8ポリペプチドをさらに精製することができる。上述の精製過程のいくつか
又は全てを様々に組合せることは公知であり、それを用いて単離され精製された
組換えタンパク質を提供することができる。
【0097】 発現されたSVPH1-8ポリペプチドをアフィニティ精製するために、例えばSVPH1
-8ポリペプチドに対して産生されたモノクローナル抗体のようなSVPH1-8ポリペ プチド結合タンパク質を含むアフィニティカラムを用いることができる。SVPH1-
8ポリペプチドは、例えば高塩濃度の溶出バッファーにて慣用の技術を使用して アフィニティカラムから溶出させ、その後使用のためより低い塩濃度のバッファ
ーに透析するか、又は使用するアフィニティマトリックスに応じてpHもしくは他
の成分を変えることによってアフィニティカラムから溶出させることができる。
【0098】 細菌の培養において製造された組換えタンパク質は、通常は、初めに宿主細胞
を破砕し、遠心分離し、不溶性ポリペプチドの場合には細胞ペレットから、可溶
性ポリペプチドの場合には上清から抽出し、次に1回又は複数回の濃縮、塩析、 イオン交換、アフィニティ精製又はサイズ排除クロマトグラフィ法を行うことに
よって単離する。最後に、最終的な精製過程としてRP-HPLCを用いることができ る。微生物細胞は、凍結解凍サイクル、超音波処理、機械的破砕、又は細胞溶解
剤の使用等の慣用の方法の何れかによって破砕することができる。
【0099】 精製を簡単にするために、形質転換された酵母宿主細胞を用い、分泌ポリペプ
チドとしてSVPH1-8ポリペプチドを発現させることが好ましい。酵母宿主細胞の 発酵物から分泌された組換えポリペプチドは、Urdalら(J. Chromatog. 296:171,
1984)に記載の方法に類似の方法によって精製することができる。Urdalらは、 分離用HPLCカラム上で組換えヒトIL-2を精製するための2回連続の逆相HPLC法に ついて記している。
【0100】 SVPH1-8ポリペプチド分子量マーカーは、沈降法、ゲル電気泳動法、クロマト グラフィー、及び質量分析法等の方法により分析することができる。SVPH1-8ポ リペプチドは分子量マーカーとして機能し得、そのような分析技術を用いてサン
プルタンパク質の分子量を決定する際の助けとなる。サンプルタンパク質の分子
量の決定はそのサンプルタンパク質を同定する助けとなる。
【0101】 SVPH1-8ポリペプチドを、化学的及び酵素的手段によってペプチドに断片化す ることができる。化学的断片化としては、メチオニン残基において特異的な切断
が生ずるように、中性又は酸性の条件の下で臭化シアンを用いて切断する方法が
挙げられる(E. Gross, Methods in Enz. 11:238-255, 1967)。この方法には、例
えばシステイン残基を非反応性の種に転換するためのカルボキシメチル化段階な
どの更なる段階を含めることができる。酵素による断片化としては、例えばアス
パラギニルエンドペプチダーゼ、アルギニルエンドペプチダーゼ、アクロモバク
タープロテアーゼI、トリプシン、黄色ブドウ球菌(Staphlococcus aureus)V8プ ロテアーゼ、エンドプロテイナーゼAsp-N、又はエンドプロテイナーゼLys-Cのよ
うなプロテアーゼを、慣用の条件の下で用いて、特異的なアミノ酸残基における
切断を生じさせる方法がある。アスパラギニルエンドペプチダーゼは、SVPH1-8 ポリペプチド内に存在するアスパラギン残基のカルボキシル末端側を特異的に切
断することができる。アルギニルエンドペプチダーゼは、SVPH1-8ポリペプチド 内に存在するアルギニン残基のカルボキシル末端側を特異的に切断することがで
きる。アクロモバクター(Achrombobacter)プロテアーゼIは、SVPH1-8ポリペプチ
ド内に存在するリシン残基のカルボキシル末端側を特異的に切断することができ
る(Sakiyama及びNakat, 米国特許第5,248,599号; T. Masakiら, Biochim. Bioph
ys. Acta 660:44-50, 1981; T. Masakiら, Biochim. Biophys. Acta 660: 51-55
, 1981)。トリプシンは、SVPH1-8ポリペプチド内に存在するアルギニン残基及び
リシン残基のカルボキシル末端側を特異的に切断することができる。黄色ブドウ
球菌V8プロテアーゼは、SVPH1-8ポリペプチド内に存在するアスパラギン酸残基 及びグルタミン酸残基のカルボキシル末端側を特異的に切断することができる(D
. W. Cleveland, J. Biol. Chem. 3:1102-1106, 1977)。エンドプロテイナーゼA
sp-Nは、SVPH1-8ポリペプチド内に存在するアスパラギン残基のアミノ末端側を 特異的に切断することができる。エンドプロテイナーゼLys-Cは、SVPH1-8ポリペ
プチド内に存在するリシン残基のカルボキシル末端側を特異的に切断することが
できる。SVPH1-8ポリペプチドを特異的なペプチド分子量マーカーのユニークな セットに特異的に断片化するために、他の酵素処理及び化学的処理も同様に用い
ることができる。
【0102】 得られた断片化ペプチドを、沈降法、電気泳動法、クロマトグラフィー、及び
質量分析法等の方法で分析することができる。SVPH1-8ポリペプチドに由来する 断片化ペプチドは、そのような分析技術を用いることによって、サンプルタンパ
ク質の分子量の決定の助けとなる分子量マーカーとしての役目を果たすことがで
きる。そのような分子量の決定はそのサンプルタンパク質を同定する助けとなる
。SVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーは、10個〜721個のアミノ酸からなるサ
イズであるのが好ましい。より好ましくは、SVPH1-8断片化ペプチド分子量マー カーは、10個〜100個のアミノ酸からなるサイズである。さらに好ましくは、SVP
H1-8断片化ペプチド分子量マーカーは、10個〜50個のアミノ酸からなるサイズ、
特に10個〜35個のアミノ酸からなるサイズである。最も好ましいのは、10個〜20
個のアミノ酸からなるSVPH1-8断片化ペプチド分子量マーカーである。
【0103】 さらに、例えば断片化反応の時間又は温度を変えることによる、SVPH1-8ポリ ペプチドの特異的なペプチドへの漸進的断片化の分析(D. W. Clevelandら, J. B
iol. Chem. 252:1102-1106, 1977)を、サンプルタンパク質の切断の程度の対照 として利用することができる。例えば、同一の条件下で同一の量のSVPH1-8ポリ ペプチドとサンプルタンパク質とを切断することにより、断片化の程度を直接比
較することが可能となる。SVPH1-8ポリペプチドの完全な断片化を生ずる条件に よって、サンプルタンパク質の完全な断片化を生じさせることができる。
【0104】 さらに、SVPH1-8ポリペプチド及びその断片化ペプチドは、ユニークな荷電特 性を有しており、従って、等電点電気泳動等の技術を用いてサンプルタンパク質
又は断片化ペプチドの等電点を決定する際の助けとなる特異的なマーカーとして
の役目を果たし得る。等電点電気泳動の技術は、例えばゲル電気泳動法等の他の
技術を組合せて、分子量と電荷とに基づいてタンパク質を同時に分離することが
できる。そのような組合せの一例としては、二次元電気泳動法(T.D. Brock及びM
.T. Madigan, Biology of Microorganisms 76-77(Prentice Hall, 6d ed. 1991)
)の組合せがある。SVPH1-8ポリペプチド及びその断片化ペプチドを、そのような
分析においてマーカーとして用いて、サンプルタンパク質又は断片化ペプチドの
等電点及び分子量の両方を決定する際の助けとすることができる。
【0105】 サンプルタンパク質の見かけの分子量及び等電点の決定に役立つキットを、SV
PH1-8ポリペプチド及びそのペプチド断片から構成することができる。キットは 、サンプルタンパク質の断片化の程度を評価するのにも役立つ。そのようなキッ
トの構成成分は変更することができるが、一般的にはSVPH1-8ポリペプチド及び 断片化ペプチド分子量マーカーを含む。また、そのようなキットは断片化に必要
な部位を取り除いたSVPH1-8ポリペプチドを含み得る。さらに、前記キットは化 学的又は酵素的切断によるSVPH1-8及びサンプルタンパク質の特異的切断のため の試薬を含み得る。さらにキットは、SVPH1-8ポリペプチド又はその断片に対し て誘導される抗体を含み得る。
【0106】 標的SVPH1-8 mRNA配列と結合して二重鎖を形成し、あるいは二本鎖DNAらせん 中のSVPH1-8配列に結合して三重らせんを形成し得る、RNA又はDNA何れかの一本 鎖核酸配列を含むアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを、本発明により
製造することができる。本発明のアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは
、SVPH1-8 cDNA(配列番号1)のコード領域の断片を含む。そのような断片は、通 常、少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14〜約30ヌクレオチドを含む。
所定のタンパク質のcDNA配列に基づいてアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオ
チドを生成する能力については、例えばStein及びCohen, Cancer Res. 48:2659,
1988及びvan der Krolら, BioTechniques 6:958, 1988)に記載されている。
【0107】 アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への結合により、
二重鎖の分解促進や転写又は翻訳の早期の終結等のいくつかの手段の1つ又は他 の手段によって翻訳(RNA)又は転写(DNA)を阻害する複合体が形成される。従って
、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてSVPH1-8ポリペプチドの発現をブロ ックすることができる。さらにアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、
修飾された糖鎖−ホスホジエステル骨格鎖(又は例えばWO91/06629に記載されて いるような他の糖鎖結合)を有するオリゴヌクレオチドを含み、そのような糖鎖 結合は内在性ヌクレアーゼに対する耐性を有する。そのような耐性糖鎖結合を有
するオリゴヌクレオチドは、in vivoで安定(即ち酵素による分解に対して耐性を
有する)であり、標的ヌクレオチド配列に結合し得る配列特異性を有する。セン ス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例としては、例えばWO90/10448に
記載されているもののような有機部分、及び例えばポリ(L-リシン)のような該オ
リゴヌクレオチドの標的核酸配列への親和性を高める他の成分に、共有結合で結
合したオリゴヌクレオチド等がある。さらに、エリプチシンのようなインターカ
レート剤、及びアルキル化剤又は金属錯体を、センス又はアンチセンスオリゴヌ
クレオチドに付着させて、そのアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標
的ヌクレオチド配列に対する結合特異性を改変することができる。
【0108】 アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを、例えばCaPO4-媒介DNAトラン スフェクション、エレクトロポレーション等の遺伝子導入方法、又はエプスタイ
ン・バーウイルスのような遺伝子導入ベクターを用いることによって標的核酸配
列を含む細胞内に導入することができる。好ましくは、アンチセンス又はセンス
オリゴヌクレオチドは、そのアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを適当
なレトロウイルスベクターに挿入し、次にin vivo又はex vivoの何れかで、挿入
された配列を含むレトロウイルスベクターと細胞とを接触させることにより、標
的核酸配列を含む細胞に導入する。適当なレトロウイルスベクターとしては、以
下に限定するものではないが、マウスレトロウイルスM-MuLV、N2(M-MuLVに由来 するレトロウイルス)、又はDCT5A、DCT5B、及びDCT5Cと指称される二重コピーベ
クター(PCT出願US90/02656参照)等が挙げられる。
【0109】 センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO91/04753に記載のように、
リガンド結合分子とのコンジュゲート形成によって標的ヌクレオチド配列を含む
細胞に導入することもできる。適当なリガンド結合分子としては、以下に限定す
るものではないが、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、又は細胞表
面受容体に結合する他のリガンド等が挙げられる。リガンド結合分子のコンジュ
ゲート化は、そのリガンド結合分子が対応する分子又は受容体に結合する能力を
実質的に妨げたり、又はセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその結
合した形態の細胞への移入を阻害しないことが好ましい。
【0110】 あるいは、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを、WO90/10448に記載
のように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により、標的核酸配列を含む
細胞に導入することができる。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂
質複合体は、内在性リパーゼによって細胞内で分離されることが好ましい。
【0111】 また、単離され精製されたSVPH1-8ポリペプチド又はその断片はIL-1及びTNFシ
グナル伝達を阻害する治療薬としてそれ自体有用であり得る。SVPH1-8ポリペプ チドは、例えばそのタンパク質をリポソームに封入したり、そのタンパク質を特
異的な種類の細胞を標的とするモノクローナル抗体に結合する等の公知の手段に
よって細胞内環境に導入することができる。
【0112】 SVPH1-8 DNA、SVPH1-8ポリペプチド、及びSVPH1-8ポリペプチドに対する抗体 を、様々な研究プロトコルにおいて試薬として用いることができる。そのような
研究プロトコルのサンプルは、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratotry
Manual, 2 ed. Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989)に記
載されている。
【0113】 例えば、これらの試薬は、RNA又はタンパク質の細胞特異的又は組織特異的な 発現に対するマーカーとしての役目を果たし得る。SVPH1-8 RNAが精巣のみで発 現することから、精巣由来細胞系または精巣組識におけるSVPH1-8 RNAおよびポ リペプチドの発現を本発明の試薬を用いて直接検出できることが示される。した
がって、これらの試薬を細胞特異的または組織特異的発現に対するマーカーとし
て使用することができる。このようなマーカーは、特定の細胞型の検出および精
製、ならびに精巣と関連する種々の疾患の解析に用いることができる(Schmollら
, Semin Oncol 25:174-185, 1998. Wahrenら, J. Natl. Cancer Inst 58:489-98
; 1977; Beckstead, J.H., Am J. Surg Pathol 7:341-9, 1983; Burkeら, Mod P
athol 1:475-479, 1988; Rajpert-De Meytsら, Int J. Androl 17:85-92, 1994;
Meadら, J. Clin Oncol 10:85-94, 1992)。ある実施形態では、本発明の試薬に
よる精巣生検材料中の精巣細胞の同定によって、精巣癌の発見と予後が容易にな
る。例えば、ノーザンブロットおよびin situ RNAハイブリダイゼーション(Jin ら, J. Clin Lab Anal 11:2-9, 1997; McNicolら, j. Pathol 182:250-261, 199
7; Lukeら, Cell Vis 5:49-53, 1998に概説されている)などの従来技術を用いて
、SVPH1-8核酸プローブにより精巣細胞を検出することができる。SVPH1-8発現細
胞の同定および精製のためには異なる多くの技術を用いることができること、ま
たこの実施形態がいかようにも本発明の範囲を限定するものではないことは、当
然理解されることである。
【0114】 同様に、これらの試薬は、SVPH1-8 RNA又はポリペプチドの構成性および一過 性の発現を研究するために用いることができる。SVPH1-8 DNAは、SVPH1-8 DNAの
染色体上の位置を決定するため、及びこの染色体上の位置に関連して遺伝子をマ
ッピングするために用いることができる。また、SVPH1-8 DNAは、例えば遺伝子 フィンガープリント法のような技術を用いることによって遺伝子の異質性及び遺
伝を調べたり、遺伝病に関連するリスクを同定するためにも用いることができる
。さらに、SVPH1-8 DNAを用いて、SVPH1-8 DNAに関連する追加的遺伝子を同定し
たり、配列の比較に基づいて進化系統樹を確立することができる。例えばサザン
ブロット法やイムノブロッティングのようなポジティブスクリーニング法及びサ
ブトラクションのようなネガティブスクリーニング法によって、SVPH1-8 DNA又 はポリペプチドと相同的な遺伝子やタンパク質を選択するために、SVPH1-8 DNA 及びポリペプチドを用いることができる。
【0115】 SVPH1-8プロテイナーゼは、プロテイナーゼの基質特異性および活性を他のプ ロテイナーゼと比較する解析において、試薬として用いることができる。キメラ
プロテイナーゼはSVPH1-8プロテイナーゼの断片を他のプロテイナーゼと交換す ることによって作製し得る。このようなキメラプロテイナーゼは改変した活性お
よび特異性について解析できる。
【0116】 SVPH1-8のプロテイナーゼ活性は、タンパク質成分を有する染色剤を除去する ための洗浄添加剤として用いることができるが、これは米国特許第5,599,400号 および米国特許第5,650,315号に記載されたプロテイナーゼの使用と同様である 。洗浄組成物には、他の公知の洗浄剤成分、例えば界面活性剤、発泡促進剤、充
填剤、酵素安定化剤、塩素漂白補集剤、他のタンパク質分解酵素、殺菌剤、色素
、香料、希釈剤、溶媒、および他の従来成分を含めることができる。洗浄組成物
は好ましくは0.001%〜10%のSVPH1-8プロテイナーゼを含む。SVPH1-8プロテイ ナーゼは洗浄組成物に含有させることもできるし、または添加剤として使用時に
他の成分と組み合わせることもできる。洗浄添加剤は、液体状、粉末状、顆粒状
、スラリー状、または洗浄添加剤の他の従来形態にて配合することができる。
【0117】 また、SVPH1-8ポリペプチドを試薬として用いて、(a) SVPH1-8ポリペプチドが
調節するあらゆるタンパク質、及び(b) それが相互作用し得る他のタンパク質を
同定することができる。SVPH1-8ポリペプチドは、組換えタンパク質をアフィニ ティマトリックスに結合することにより、又はそれを2ハイブリッド系において ベイト(bait)として用いることによって使用することができる。
【0118】 治療薬として用いる場合、SVPH1-8ポリペプチドは、公知の方法によって医薬 組成物に製剤化することができる。SVPH1-8ポリペプチドを、単体の活性物質と して又は他の公知の活性物質と共に、医薬上許容される希釈剤(例えばTris-HC1 、酢酸塩、リン酸塩)、保存剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコール、パラ
ベン)、乳化剤、可溶化剤、アジュバント、及び/又は担体と混合して組合せる ことができる。適当な担体及びそれらの剤形は、Remington’s Pharmaceutical
Sciences, 16th ed. 1980, Mack Publishing Coに記載されている。加えて、そ のような組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと複合体化したS
VPH1-8ポリペプチド、又はポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル等のような
重合化合物に組み込んだSVPH1-8ポリペプチド、リポソーム、マイクロエマルジ ョン、ミセル、単膜リポソーム又は多重膜リポソーム、赤血球ゴースト、又はス
フェロプラストに導入したSVPH1-8ポリペプチドを含み得る。そのような組成物 は、SVPH1-8ポリペプチドの物理的状態、溶解度、安定度、in vivoでの放出速度
、in vivoでのクリアランス速度に影響を及ぼす。
【0119】 本発明のある態様においては、SVPH1-8ポリペプチド、及びSVPH1-8のアミノ酸
配列に基づいたペプチドを用いて、SVPH1-8ポリペプチドに特異的に結合する抗 体を調製することができる。用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクロー
ナル抗体、F(ab’)2及びFabフラグメントなどのそれらの断片、及び任意の組換 えによって製造された結合相手を含んで意味する。抗体は、それらがSVPH1-8ポ リペプチドに約107 M-1以上のKaで結合する場合、特異的に結合するものと定義 される。結合のパートナー又は抗体の親和性は、例えばScatchardら, Ann. N.Y
Acad. Sci., 51:660(1949)に記載のような従来の技術を用いることによって容易
に決定できる。
【0120】 ポリクローナル抗体は、例えばウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、
ウサギ、マウス、又はラット等の様々な起源から、当技術分野で公知の方法を用
いて容易に生成することができる。通常、精製されたSVPH1-8ポリペプチド、又 は適切にコンジュゲートされた、SVPH1-8ポリペプチドのアミノ酸配列に基づい たペプチドを、一般的には非経口的注射によって宿主動物に投与する。SVPH1-8 ポリペプチドの免疫原性は、例えばフロイント完全アジュバント又はフロイント
不完全アジュバントのようなアジュバントを用いることによって高めることがで
きる。追加免疫の後、少量の血清サンプルを回収し、SVPH1-8ポリペプチドに対 する反応性を試験する。そのような測定のために役立つ様々なアッセイの例とし
ては、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow及びLane(eds.), Cold Spring
Harbor Laboratory Press, 1988に記載されているアッセイ、並びに向流免疫電
気泳動法(CIEP)、放射性免疫検定法、放射免疫沈降法、酵素結合抗体免疫吸着ア
ッセイ(ELISA)、ドットブロットアッセイ、及びサンドイッチアッセイ等の方法 等が挙げられる。米国特許第4,376,110号及び第4,486,530号を参照されたい。
【0121】 モノクローナル抗体は、公知の方法を用いて容易に調製することができる。例
えば、米国特許RE 32,011、第4,902,614号、第4,543,439号、及び第4,411,993号
; Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analy
ses, Plenum Press, Kennett, Mckearn, 及びBechtol (eds.), 1980に記載の方 法を参照されたい。概略を説明すると、例えばマウスのような宿主の動物に、単
離され精製されたSVPH1-8ポリペプチド又はコンジュゲート化したSVPH1-8ポリペ
プチドを、所望に応じてアジュバントと共に、少なくとも1回、好ましくは約3週
間間隔で少なくとも2回、腹腔内に注射する。次にマウス血清を、慣用のドット ブロット技術又は抗体捕捉法(ABC)によってアッセイし、何れの動物が最もよく 融合するものかを決定する。約2〜3週間後に、そのマウスにSVPH1-8ポリペプチ ド又はコンジュゲート化したSVPH1-8ポリペプチドの静脈内追加免疫を施す。そ の後マウスを屠殺し、確立されたプロトコルに従って、脾細胞を、例えばAg8.65
3(ATCC)のような市販のミエローマ細胞に融合させる。概略を説明すると、その ミエローマ細胞を、培養液内で数回洗浄し、約3個の脾細胞に1個のミエローマ細
胞の比でマウス脾細胞に融合する。融合剤は、例えばポリエチレングリコール(P
EG)のような、当技術分野で用いられる任意の適当な薬剤であり得る。融合物を 、融合した細胞の選択的増殖が可能な培養液を含むプレートに播く。次にその融
合した細胞を、約8日間にわたって増殖させる。得られたハイブリドーマから上 清を収集し、予めヤギ抗マウスIgでコーティングしたプレートに加える。洗浄の
後、例えば 125Iで標識したSVPH1-8ポリペプチドを各ウェルに加えて、インキュ
ベートする。次にオートラジオグラフィーによって陽性のウェルを検出する。陽
性のクローンは大量の培養液中で増殖させることができ、次いで上清をProtein
Aカラム(Pharmacia)で精製する。
【0122】 本発明のモノクローナル抗体は、例えばAlting-Meesら, “Monoclonal Antibo
dy Expression Libraries: A Rapid Alternative to Hybridomas”, Strategies
in Molecular Biology 3:1-9(1990)に記載のような別の技術を用いて製造する ことができる。上記文献は引用により本明細書の一部とする。同様に、結合相手
は、組換えDNA技術を用いて、特異的に結合する抗体をコードする遺伝子の可変 領域を導入することによって作製することができる。そのような技術は、Larric
kら, Biotechnology, 7:394(1989)に記載されている。
【0123】 その他の種類の「抗体」は、当技術分野での通常の知識と組合せて、本明細書
に開示された情報を用いて製造することができる。例えば、SVPH1-8ポリペプチ ドに特異的に結合し得るヒト抗体のエレメントを含むように組換えた抗体も本発
明に包含される。
【0124】 一旦単離され精製されると、SVPH1-8ポリペプチドに対する抗体は、確立され たアッセイのプロトコルを用いてサンプル中のSVPH1-8ポリペプチドの存在を検 出するために用いることができる。例えば、SVPH1-8ポリペプチドに対する抗体 を用いて、精巣細胞などのSVPH1-8発現細胞を従来技術により検出または精製す ることができる。さらに、本発明の抗体を治療的に用い、SVPH1-8ポリペプチド に結合させ、in vivoでその活性を阻害することができる。
【0125】 本発明の精製されたSVPH1-8ポリペプチドにより、SVPH1-8ポリペプチドのイン
ヒビターの発見が容易になる。SVPH1-8ポリペプチドのインヒビターである可能 性のあるものをスクリーニングする際に精製されたSVPH1-8ポリペプチドを使用 することは重要であり、これによって混入物質による反応妨害の可能性を排除あ
るいは減少させることができる。
【0126】 さらに、SVPH1-8ポリペプチドをSVPH1-8ポリペプチド-インヒビターの構造に 基づく設計のために用いることができる。そのような構造に基づく設計は、「合
理的薬剤設計」としても知られている。SVPH1-8ポリペプチドは、例えば、何れ もよく知られた方法であるX線結晶構造解析、核磁気共鳴、又はホモロジーモデ リングによって三次元的に分析することができる。インヒビターの設計及びイン
ヒビター−SVPH1-8ポリペプチド相互作用を支援するために分子モデリングソフ トウェアシステムにおいてSVPH1-8ポリペプチドの構造情報を使用することも、 本発明に包含される。そのようなコンピュータ支援モデリングおよび薬剤設計で
は、例えば化学的立体構造分析、分子の静電ポテンシャル、タンパク質の折り畳
み等のような情報を利用することができる。例えば、金属プロテアーゼのクラス
特異的インヒビターの設計では、大抵の場合、触媒作用的な亜鉛原子をキレート
化又はそれに結合する試みに焦点が合わせられてきた。通常、合成インヒビター
は、特定のプロテアーゼの特異性ポケットに適合するべく設計された一連の他の
基が結合した、負に荷電した成分を含むように設計される。本発明の特定の方法
では、基質に結合する可能性の高い部位についてSVPH1-8ポリペプチドの三次元 構造を分析し、予想される反応部位を導入した新たな分子を合成し、かつその新
たな分子を上述のようにアッセイする。
【0127】 本明細書は、その中の引用例の教示に照らして最もよく理解される。引用例は
、その引用により本明細書の一部とする。本明細書に記載の実施例は、発明の形
態を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
当業者であれば、多くの他の形態が、請求の範囲に記載の本発明に包含されると
いうことが理解されよう。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月7日(2000.9.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/64 G01N 33/53 D 4H045 C12Q 1/68 C12P 21/08 G01N 27/447 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 A // C12P 21/08 G01N 27/26 311Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4B024 AA11 BA14 BA42 CA01 HA11 4B050 CC03 DD11 EE10 LL03 4B063 QA01 QA12 QA18 QQ79 QQ96 QR16 QR48 QS02 QS15 QS28 QS36 QX02 4B064 AG01 AG27 CA02 CA06 CA10 CA11 CA19 CC24 DA13 4B065 AA93Y CA33 CA46 4H045 AA10 BA10 CA40 DA89 EA50

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の核酸分子: (a) 配列番号1のDNA配列、 (b) 配列番号2の配列を含むアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子、 (c) 上記(a)または(b)の核酸配列を含む変性した二本鎖DNAのいずれかの鎖に 、60℃、0.5XSSC、0.1%SDSの洗浄条件を用いた42℃、50%ホルムアミドおよび6XS
    SC中の中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする単離された核酸
    分子、 (d) 配列番号1からin vitro突然変異誘発により誘導される単離された核酸分
    子、 (e) 配列番号1から遺伝暗号の縮重の結果として生じる単離された核酸分子、
    および (f) ヒトSVPH1-8 DNA、ヒトSVPH1-8 DNAの対立遺伝子変異体、およびSVPH1-8
    DNAの種相同体からなる群より選択される単離された核酸分子、 からなる群より選択される単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の核酸分子の発現を指令する組換えベクター。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の核酸分子によりコードされる単離されたポリ
    ペプチド。
  4. 【請求項4】 SDS-PAGEで測定したとき約81kDの分子量を有する、請求項3
    記載の単離されたポリペプチド。
  5. 【請求項5】 グリコシル化されていない形の請求項3記載の単離されたポ
    リペプチド。
  6. 【請求項6】 請求項3記載のポリペプチドに結合する単離された抗体。
  7. 【請求項7】 モノクローナル抗体である、請求項6記載の単離された抗体
  8. 【請求項8】 請求項2記載のベクターによりトランスフェクトまたは形質
    導入された宿主細胞。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の宿主細胞を、発現を促進する条件下で培養し
    、該培地からSVPH1-8ポリペプチドを回収することを含んでなる、SVPH1-8ポリペ
    プチドの生産方法。
  10. 【請求項10】 前記宿主細胞が細菌細胞、酵母細胞、植物細胞および動物
    細胞からなる群より選択される、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 サンプルタンパク質の分子量を請求項3記載のポリペプチ
    ドの分子量と比較することを含むサンプルタンパク質の分子量の測定方法であっ
    て、 該分子量の比較が、サンプルタンパク質と該ポリペプチドとをアクリルアミド
    ゲルにアプライし、電流を用いてサンプルタンパク質と該ポリペプチドとを分離
    し、サンプルタンパク質と該ポリペプチドとを染色する検出試薬をゲルに添加す
    ることを含んでなる、上記方法。
  12. 【請求項12】 サンプルタンパク質のペプチド断片の分子量を測定するた
    めのキットであって、 容器、 請求項3記載のポリペプチド、 アスパラギニルエンドペプチダーゼ、アルギニルエンドペプチダーゼ、アクロ
    モバクタープロテアーゼI、トリプシン、黄色ブドウ球菌V8プロテアーゼ、エン
    ドプロテイナーゼAsp-N、およびエンドプロテイナーゼLys-Cからなる群より選択
    される酵素少なくとも1種、 選択された酵素による酵素切断の部位が除去された、in vitro突然変異誘発に
    より該ポリペプチドから誘導された変異型ポリペプチド、および 選択された酵素での酵素切断により該ポリペプチドから誘導された断片化ペプ
    チド、 を含んでなり、 該ポリペプチドとサンプルタンパク質に選択されたプロテアーゼを接触させ、
    該タンパク質、ポリペプチドおよび断片化ペプチドをアクリルアミドゲルにアプ
    ライし、電流を用いて該タンパク質、ポリペプチドおよび断片化ペプチドを分離
    し、該タンパク質、ポリペプチドおよび断片化ペプチドを染色する検出試薬をゲ
    ルに添加することにより該タンパク質、ポリペプチドおよび断片化ペプチドを可
    視化するものである、上記キット。
  13. 【請求項13】 精巣細胞を検出する方法であって、 細胞を用意し、 該細胞を請求項1記載の核酸分子から誘導されたプローブと共にインキュベー
    トし、 該細胞を洗浄して未結合プローブを除去し、 該プローブが結合している細胞を検出する、 ことを含んでなる上記方法。
  14. 【請求項14】 精巣細胞を検出する方法であって、 細胞を用意し、 該細胞を請求項6記載の抗体と共にインキュベートし、 該細胞を洗浄して未結合抗体を除去し、 該抗体が結合している細胞を検出する、 ことを含んでなる上記方法。
  15. 【請求項15】 次のアミノ酸配列: (a) 配列番号2のアミノ酸1〜397、 (b) 配列番号2のアミノ酸1〜501、 (c) 配列番号2のアミノ酸1〜680、 (d) 配列番号2のアミノ酸27〜397、 (e) 配列番号2のアミノ酸27〜501、 (f) 配列番号2のアミノ酸27〜680、 (g) 配列番号2のアミノ酸199〜397、 (h) 配列番号2のアミノ酸199〜501、 (i) 配列番号2のアミノ酸199〜680、 (j) 配列番号2のアミノ酸398〜501、 (k) 配列番号2のアミノ酸398〜680、および (l) 配列番号2のアミノ酸502〜680、 からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むSVPH1-8ポリペプチド。
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