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JP2002542793A - 多蛍光fishによる遺伝子発現パターンのアッセイ法 - Google Patents

多蛍光fishによる遺伝子発現パターンのアッセイ法

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Publication number
JP2002542793A
JP2002542793A JP2000614428A JP2000614428A JP2002542793A JP 2002542793 A JP2002542793 A JP 2002542793A JP 2000614428 A JP2000614428 A JP 2000614428A JP 2000614428 A JP2000614428 A JP 2000614428A JP 2002542793 A JP2002542793 A JP 2002542793A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target sequence
probe
fluorescent dye
subsequence
hybridization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000614428A
Other languages
English (en)
Inventor
ロバート エイチ. シンガー
Original Assignee
ザ アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン オブ イエシバ ユニバーシティ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン オブ イエシバ ユニバーシティ filed Critical ザ アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン オブ イエシバ ユニバーシティ
Publication of JP2002542793A publication Critical patent/JP2002542793A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6841In situ hybridisation

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
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  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
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  • Biotechnology (AREA)
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  • Biochemistry (AREA)
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  • General Health & Medical Sciences (AREA)
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 細胞における多数の異なる標的配列の転写物の検出および特異的な同定のためのインサイチューハイブリダイゼーション法を開示する。本方法は、標的配列のそれぞれが少なくとも1つの所定の部分配列を含む、少なくとも5つの標的配列に対して異なるバーコードを割り当てることを含む。各バーコードは少なくとも1つの蛍光色素を含み、バーコードの少なくとも1つは少なくとも2つの異なる、分光的に識別しうる蛍光色素を含む。本方法では、各標的配列に対して特異的なプローブセットが提供される。各プローブセットは、標的配列中の各部分配列に対して相補的なハイブリダイゼーション用プローブを含む。各プローブは1つの蛍光色素で標識され、各プローブセットにおける蛍光色素は集団的に、該プローブセットの標的配列に対するバーコードに対応する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願に関する相互参照 本出願は、1999年4月22日に出願された米国仮特許出願第60/130,563号の優先
権を主張するものである。
【0002】連邦政府による研究助成に関する言明 本発明に関する研究は、NIH助成金第GM 54887号による助成を受けてなされた
。このため、連邦政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】発明の背景 差異を伴う遺伝子発現に関する最近の研究では、癌細胞における全体的な遺伝
子発現が、対応する正常細胞における全体的な遺伝子発現と比較されている(Zh
angら、1998、Science 276:1268〜1272)。同様に、異なる発生プログラムが進
んでいる細胞における全体的な遺伝子発現も比較されている(Chuら、1998、Sci
ence 282:699〜705)。このような研究では、極めて多数の遺伝子が差異を伴っ
て発現することが明らかになっている。例えば、癌細胞と正常細胞との対比では
500種を上回る転写物の発現レベルが著しく異なる。癌細胞の場合には、差異を
伴って発現することが同定された配列を、細胞レベルまたは組織レベルで起こる
実際の現象と相関づけることが重要であると考えられる。
【0004】発明の概要 本発明は、細胞における多数の異なる標的配列の転写物の検出および特異的な
同定のためのインサイチューハイブリダイゼーション法を提供する。本方法は、
標的配列のそれぞれが少なくとも1つの所定の部分配列を含む、少なくとも5つの
標的配列に対して異なるバーコードを割り当てることを含む。各バーコードは少
なくとも1つの蛍光色素を含み、バーコードの少なくとも1つは少なくとも2つの
異なる、分光的に識別しうる蛍光色素を含む。本方法では、各標的配列に対して
特異的なプローブセットが提供される。各プローブセットは、標的配列中の各部
分配列に対して相補的なハイブリダイゼーション用プローブを含む。各プローブ
は1つの蛍光色素で標識され、各プローブセットにおける蛍光色素は集団的に、
該プローブセットの標的配列に対するバーコードに対応する。各標的配列に対し
て特異的なプローブセットを含むハイブリダイゼーション液と細胞を接触させる
。インサイチューハイブリダイゼーションの後に、ハイブリダイズしたプローブ
セット上の蛍光色素を検出し、分光的に識別する。これにより、発現する各標的
配列の転写部位が別々に検出される。検出された各転写部位に存在する蛍光色素
をバーコードと関連づけることにより、該転写部位での標的配列が同定される。
【0005】 標的配列は、3種またはそれ以上、例えば4、5、6種もしくは7種の所定の重複
しない部分配列を含みうる。いくつかの態様において、標的配列の少なくとも1
つは、標的配列とハイブリダイズしたプローブ上の蛍光色素のストイキオメトリ
ーを定量的蛍光検出によって決定しうるような長さおよび互いの間隔を有する部
分配列を含む。これは例えば、各部分配列の長さが30〜70ヌクレオチドであって
、すべての部分配列が標的配列の100〜800ヌクレオチドのセグメント内にクラス
ターを形成して存在することによって実現可能である。クラスター形成の領域は
さらに狭い範囲、例えば200〜600ヌクレオチドまたは300〜500ヌクレオチドでも
よい。いくつかの態様において、各部分配列の長さは約50ヌクレオチドであり、
すべての部分配列は標的配列の300ヌクレオチドのセグメント内にクラスターを
形成して存在する。1つの転写部位当たりの総蛍光強度を最大限に高めるために
は、100〜800ヌクレオチドの区域が標的の5'側のほとんど3分の1または5'側のほ
とんど4分の1に存在する必要がある。好ましくは、ハイブリダイゼーション用プ
ローブは、約5〜10ヌクレオチドの間隔で結合した蛍光団によって標識される。
本発明において有用な蛍光色素の例には、Cy2、fluorX、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.
5、Cy7、フルオレセインおよびテキサスレッドがある。本発明のいくつかの態様
においては、分光画像顕微鏡が用いられる。細胞は一般に間期にあるものである
。ハイブリダイゼーション用プローブはオリゴヌクレオチドでも蛋白質核酸(PN
A)でもよい。
【0006】 また、本発明は、プローブセットのパネルも提供する。本パネルは、各プロー
ブセットが、少なくとも1つの部分配列をそれぞれが含む異なる標的配列に対し
て特異的である、少なくとも5つのプローブセットを含む。各プローブセットは
、そのプローブセットが特異的である標的配列中の各部分配列に対して相補的な
ハイブリダイゼーション用プローブを含む。各プローブは、各プローブセットに
おける蛍光色素が集団的にそのプローブセットの標的配列に対するバーコードに
対応するように、1つの蛍光色素で標識される。
【0007】 本明細書で用いる「バーコード」とは、標的配列に対して割り当てられた所定
の一意的な蛍光色素の組み合わせのことを意味する。
【0008】 本明細書で用いる「蛍光色素」とは、個々の色素分子の数とは無関係に、さら
に化学的抱合とも無関係に、Cy3などの特定の蛍光色素のことを意味する。
【0009】 本明細書で用いる「蛍光団」とは、個々の蛍光色素分子または抱合部分のこと
を意味する。
【0010】 別に特記する場合を除き、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語
は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を
持つ。対立が生じた場合には、定義を含め、本出願が支配的であると考えられる
。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文
献は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0011】 本発明の実施または検討のために本明細書に記載したものと同様のまたは同等
の方法および材料を用いることができるが、好ましい方法および材料は以下に説
明するものである。材料、方法および実施例は例示のみを目的としたものであり
、制限を意図したものではない。本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳
細な説明および特許請求の範囲から明らかになると思われる。
【0012】詳細な説明 本発明は、単一細胞における、ある時点での多数の遺伝子の発現を明確に評価
するための方法を提供する。これは、多数の蛍光色素標識プローブを用いた同時
インサイチューハイブリダイゼーションによって達成される。蛍光色の組み合わ
せに基づくコード(「バーコード」)の同定により、本方法は、極めて少数の分
光的に識別しうる蛍光色素標識を用いながら、間期核における多数の標的配列の
同定を可能とする。例えば、1つの標的配列当たり最大5つの異なるハイブリダイ
ゼーション用プローブを用いることにより、各プローブが5種の異なる蛍光色素
のうち1種で標識される場合、定性的蛍光検出システム、すなわち蛍光色素のス
トイキオメトリーを決定できないものを用いて、31種の異なる遺伝子の発現を検
出および同定することが可能である。定量的蛍光検出システム、すなわち蛍光色
素のストイキオメトリーが決定されるものを用いる場合には、わずか5種類の蛍
光色素のみを用い、1つの標的配列当たり最大5つのプローブを用いて、最大232
種の異なる標的配列(遺伝子)の発現を検出および同定することができる。本発
明は、無発現から極めて高レベルの発現までの範囲にわたって、遺伝子発現(転
写)レベルをアッセイするために用いることができる。
【0013】バーコードおよび蛍光色素 比較的少数の分光的に識別しうる蛍光色素を用いることにより、単一の核にお
ける何百種もの異なる転写部位の識別および同定が行われる。各ハイブリダイゼ
ーション用プローブは標的配列内部の部分配列に対して特異的であり、各プロー
ブは1つの蛍光色素によって標識されている。各標的配列に対して1つのプローブ
セットが設計される。プローブセットは単一のプローブからも構成されうる。イ
ンサイチューハイブリダイゼーションの後に、各標的配列の転写部位が、所定の
一意的な色の組み合わせで「発光する(蛍光を発する)」。
【0014】 レーザースキャナで読み取られる通常の白黒のバーコードとは異なり、本発明
の「バーコード」における色(蛍光色素)は、お互いに対して何らかの特定の順
序で表示される必要はない。言い換えれば、コードされる情報は、色の順序では
なく、色の組み合わせ(および選択的には色の強度の比)に存在する。
【0015】 本発明のいくつかの態様において、標的配列とハイブリダイズするプローブ上
の蛍光色素の検出は定性的であり、すなわち定量的ではない。図1は、4種の蛍光
色素を用いた場合に、いかにして15種類の異なるバーコードが作成され、すなわ
ち15種の異なる標的を識別しうるかを模式的に示している。図2は、Tqualに関す
る式、すなわち、所定の数の分光的に識別しうる蛍光色素、および定性的検出を
用いた場合に同定しうる標的配列の数を示している。同じく図2には、Tqualの式
を用いて作成される値の表もある。図2の表は、例えば、5種の蛍光色素および定
性的検出を用いた場合、最大31種の標的配列を識別しうることを示している。
【0016】 本発明のいくつかの態様において、標的配列とハイブリダイズしたプローブ上
の蛍光色素の検出は定量的である。図3は、同じ4種の蛍光色素を用いて定量的検
出を用いた場合に、いかにしてさらに12種類のバーコードが作成され、その結果
、計27種類の異なるバーコードが得られるかを模式的に示している。図4は、Tqu
antに関する式、すなわち、所定の数の分光的に識別しうる蛍光色素および定量
的検出を用いた場合に同定しうる標的配列の数を示している。Tquantの式は余剰
なストイキオメトリーが除かれるように記されている。例えば、2:2は、1:1の
倍数であるために用いられてない。同じく図4には、Tquantの式を用いて作成さ
れた値の表もある。図4は例えば、5種の蛍光色素および定量的検出を用いた場合
、最大31種類の標的配列を識別しうることを示している。
【0017】 本発明における定性的検出と定量的検出との違いは、以下の実施例によって示
される。定性的検出では、1つの赤色蛍光色素および1つの緑色蛍光色素を呈して
いる標的配列を、2つの赤色蛍光色素および1つの緑色蛍光色素を呈している標的
配列と識別することはできないと考えられる。すなわち、いずれも赤色と緑色の
組み合わせを呈すると考えられる。定量的検出では、1つの赤色蛍光色素および1
つの緑色蛍光色素を呈している標的配列(赤色:緑色のストイキオメトリー= 1
:1)を、2つの赤色蛍光色素および1つの緑色蛍光色素を呈している標的配列(
赤色:緑色のストイキオメトリー= 2:1)と識別しうると考えられる。すなわち
、標的は赤色蛍光強度と緑色蛍光強度との比が異なることによって識別しうると
考えられる。
【0018】 標識プローブ間の比を決定するためには、常に2つの色が存在しなければなら
ない。絶対的な定量化のみでは十分ではない。例えば、新生RNA鎖のそれぞれと
ハイブリダイズした2つの赤色標識プローブを有する転写部位と、1つの鎖当たり
に1つの標識プローブのみを有する2倍の新生RNA鎖を有する転写部位との間には
差はないと考えられる。同様に、1:1のストイキオメトリーを2:2と識別し、1
:2を2:4と識別するといったこともできないと考えられる。一般に、定量的検
出によって各色の1〜3つのプローブの識別が可能となる場合には、識別しうる標
的配列の数は指数的に増加する(図2および4)。
【0019】 部分配列(蛍光色素がプローブハイブリダイゼーションによって結合する部分
)が標的配列内部に広い間隔で存在する場合には、1つの標的部位で観察される
蛍光色素の強度比は、その標的配列に対する定量的バーコードを正確には反映し
ない可能性がある。例えば、標的配列の5'末端付近とハイブリダイズする単一の
赤色標識プローブ、および標的配列の3'末端付近とハイブリダイズする単一の緑
色標識プローブから、2:1の赤色:緑色比が得られる可能性がある。それぞれの
新生鎖において、赤色標識プローブが結合する5'に位置する部分配列は、緑色標
識プローブが結合する3'に位置する部分配列よりも著しく早い時期に転写される
。この時間的効果の結果は、該標的配列に対するバーコードで赤色:緑色のスト
イキオメトリーが1:1である場合でも、赤色標識プローブが緑色標識プローブと
比べてより多く、例えば2倍も多く結合するといったものでありうる。
【0020】 このプローブ位置効果(時間的効果)は、部分配列のすべてを標的配列の1つ
の領域の内部にクラスターを形成することによって最小限に抑えることができる
。このため、本発明の定量的検出型の態様では、好ましくは、クラスター形成し
た部分配列を用いる。言い換えると、好ましくは、部分配列の間の距離を最小限
に抑えることが好ましい。5つの50ヌクレオチドプローブが、標的配列における2
50ヌクレオチド、300ヌクレオチドまたはさらには400ヌクレオチドの領域内部に
クラスターを形成して存在する場合には、該バーコードにおける蛍光色素のスト
イキオメトリーは位置効果を上回り、最大232種類の標的配列の識別が可能にな
ると考えられる。定性的検出型の態様においても、所定の標的配列、すなわち所
定のバーコードにおいて蛍光色素のそれぞれに関して同程度のシグナル強度を得
るためには、クラスターを形成した部分配列を用いることが有利である可能性が
ある。1つの転写部位当たりの総蛍光シグナル強度を最大にするためには、部分
配列は標的配列の5'部分にクラスターを形成する必要がある。
【0021】 本発明には非常にさまざまな蛍光色素を用いることができる。蛍光色素の選択
は、(1)それらの発光スペクトルが適した波長範囲内にある(典型的には約350
〜850nm);および(2)それらが、それらとともに用いる画像化システムによっ
て互いに分光的に識別可能であるという限りにおいて、決定的に重要ではない。
本発明において有用な市販の分光的に識別しうる蛍光色素の具体例には、Cy2、F
luorX、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7(CyDyes Fluorescent Dyes;Amersha
m Pharmacia Biotech、Piscataway、NJ)がある。これらの例示的な蛍光色素の
発光スペクトルは図5に示されている。本発明において有用な蛍光色素のその他
の例には、6-FAM、HEX、NED、ROX、R110、JOEおよびTAMRA583がある。
【0022】プローブの設計および合成 オリゴヌクレオチドプローブの設計および合成の基本原理は当技術分野で知ら
れている。そのような基本原理は、本発明に用いられるオリゴヌクレオチドプロ
ーブの設計および合成に一般的に適用される。同様に、蛋白質核酸(PNA)プロ
ーブの設計および合成は当技術分野で知られており、本発明に用いられるプロー
ブに適用される。
【0023】 各ハイブリダイゼーション用プローブは、標的配列の部分配列とハイブリダイ
ズするように設計される。好ましくは、各プローブと対応する部分配列との間の
配列相補性は100%であるが、これは必要ではない。いくつかの態様においては
、100%未満、例えば90%の相補性で有用な感度および特異性が得られると考え
られる。好ましくは、プローブが類似した熱安定性を有するように、すべてのプ
ローブのG/C含量を適合させる。ハイブリダイゼーション用プローブの長さの選
択には広い許容範囲がある。プローブ長の選択における検討事項には、標的配列
の全長、標的配列に沿って適応させる異なるプローブの数、プローブのストイキ
オメトリーの観察に対する位置効果、バックグラウンド擬似蛍光および蛍光検出
感度が含まれる。いくつかの態様において、例えば、5つの重複しないプローブ
を、標的配列の単一の250〜500ヌクレオチド領域の内部にタンデムにハイブリダ
イズさせる態様において、適したプローブ長は約50ヌクレオチドである。いくつ
かの態様においては、1つのプローブセット内の異なるプローブが、同じ長さお
よび1つのプローブ分子当たり同数の蛍光色素部分を有すると考えられるが、こ
のような均一性は必要ではない。部分配列のクラスターの内部で、部分配列は互
いに短いヌクレオチド、例えば10〜約50ヌクレオチドの一続きの部分を隔てて分
かれていることが好ましい。
【0024】 本発明において有用なオリゴヌクレオチドプローブを含む、DNAを一般的に合
成する方法は当技術分野で知られている。オリゴヌクレオチド合成に関する一般
的考察については、カルザース(Caruthers)、「オリゴヌクレオチドおよびオ
リゴヌクレオチド類似体の合成(Synthesis of Oligonucleotides and Oligonuc
leotide Analogs)」、Topics in Molecular and Structural Biology、Vol. 12
:オリゴデオキシヌクレオチド(Oligodeoxynucleotides)(Cohen編)、MacMil
lan Press、London、pp. 9〜24を参照されたい。DNA自動合成用の装置は市販さ
れており、適したプローブの作成に用いることができる。
【0025】 一般に、本発明に用いられるオリゴヌクレオチドプローブは2段階の工程で得
られる。第1の段階は、蛍光団が望まれるヌクレオチド配列中の各位置に修飾塩
基を含むオリゴヌクレオチドの合成である。第2の段階は、各修飾塩基への蛍光
団の共有結合である。
【0026】 修飾塩基は、蛍光団がオリゴヌクレオチドと共有結合するための官能基を提供
する。修飾塩基上の官能基は任意の適した官能基、例えば、一級アミノ基であっ
てよい。官能基はスペーサーアーム部分の末端に位置することができる。
【0027】 オリゴヌクレオチドの合成中に、修飾塩基上の官能基には一般に保護基、例え
ば、トリフルオロアセトアミド基が施される。当業者は、官能基を蛍光団の結合
のために用いる前には適した化学反応によって保護基を除去する必要があること
を理解すると考えられる。
【0028】 アミノ修飾塩基の調製については、例えば、ジャブロンスキー(Jablonski)
ら、Nucleic Acids Res. 14:6115〜6128(1986)およびルース(Ruth)、DNA 3
:123(1984)を参照されたい。ある適した修飾塩基は、DNA自動合成に用いられ
るデオキシチミジン類似体に組み込まれ、「Amino-Modifier C6dT」(Glen Rese
arch、Sterling、VA)として市販されている。プローブ上の蛍光団の総数および
間隔はさまざまでありうる。ある好ましい間隔は、5〜10塩基毎に1つの蛍光団が
存在するというものである。蛍光団をアミノ基に結合させる従来の方法について
は、アグラワル(Agrawal)ら、Nucleic Acids Res. 14:6227〜6245(1986)を
参照されたい。
【0029】インサイチューハイブリダイゼーション 本発明において有用なインサイチューハイブリダイゼーション法は当技術分野
で周知である。例えば、シンガー(Singer)ら、1986、「同位元素検出法および
非同位元素検出法を用いたインサイチューハイブリダイゼーションの最適化(Op
timization of in situ hybridization using isotopic and nonisotopic detec
tion methods)」、Biotechniques 4:230〜250;ローレンス(Lawrence)ら、1
989、「インサイチューハイブリダイゼーションによって可視化された間期核内
部の特異的転写物の高度に局在的な軌跡(Highly localized tracks of specifi
c transcripts within interphase nuclei visualized by in situ hybridizati
on)」、Cell 57:493〜502;キスラウスキス(Kislauskis)ら、1993、J. Cell
Biol. 123:165;および米国特許第5,866,331号を参照されたい。
【0030】 いくつかの態様においては、単一のプローブを複数の蛍光色素で標識する。例
えば、2つの蛍光色素で標識された単一の比較的長いプローブは、それぞれ単一
の蛍光色素で標識された2つの比較的短い、隣接してハイブリダイズするプロー
ブの代わりになる。
【0031】画像の取得および処理 当業者は、市販の蛍光顕微鏡装置、すなわち光学装置、デジタル画像化ハード
ウエア、コンピュータハードウエアおよびコンピュータソフトウエアを用いて、
本発明を行うことができる。蛍光色素の高感度の定量的検出のために好ましい画
像技術は、フェミノ(Femino)ら、1998、「インサイチューでの単一のRNA転写
物の可視化(Visualization of Single RNA Transcripts in Situ)」、Science
280:585〜590;およびシンガー(Singer)ら、米国特許第5,866,331号に記載
されている。
【0032】 いくつかの態様に用いられる画像技術は、単一のmRNA分子の可視化が可能であ
るが、単一分子レベルの感度は必要ではない。これは、任意の活発に発現されて
いる遺伝子で多くの新生RNA転写物が産生されるためである。新生RNA転写物は標
的配列の高度に限局的な増幅をもたらす。遺伝子発現の程度はその部位での総蛍
光強度によって示される。総蛍光強度はハイブリダイズしたプローブの数と正に
相関し、それは新生RNA鎖の数に依存する。
【0033】 蛍光色素バーコードがかかわるインサイチューハイブリダイゼーションがなさ
れた転写部位の分光特性は、任意の適した技術を用いて決定しうる。分光特性決
定のための1つの有用なアプローチは、従来の光学帯域フィルターに基づく。も
う1つのアプローチ(以下に考察)は分光画像顕微鏡である。
【0034】 本発明は、遺伝子転写部位が極めてわずかな体積、すなわち約5ボクセル(1ボ
クセル=0.1μm×0.1μm×0.25μm=0.0025μmである)を占めるという事実を
有利な形で利用する。
【0035】 直径10μmの核は約500μm、すなわち4/3πrの体積を含む。したがって、
核1つの体積はほぼ200,000ボクセルと等しい。1つの転写部位は核体積のほぼ1/
40,000を占める(図6)。このため、各転写部位には明確な位置がある。2つの転
写部位が非常に近接している場合には、蛍光密度中心を規定する超分解能アルゴ
リズム(Carringtonら、1995、Science 268:1483〜1487)によって転写を1ボク
セルに圧縮することができる。これにより、核内部に40,000個もの転写部位をマ
ッピングすることが可能になる。この種の技術の空間的分解能の高さにより、ヒ
ト細胞におけるすべての遺伝子の発現を識別することが可能である。個々の細胞
はいかなる瞬間でも5,000種を上回る遺伝子を発現する可能性は低いと考えられ
るため、このレベルの空間的分解能が必要となる可能性は低いと思われる。
【0036】 本発明において有用なもう1つの画像技術は、分光画像顕微鏡(Schrockら、19
96、Science 273:494〜497)である。この技術は、試料の発光スペクトルのす
べての箇所を同時に測定するために、フーリエ分光法、電荷結合素子(CCD)画
像法および光学顕微鏡を組み合わせたものである。分光画像顕微鏡(Applied Sp
ectral Imaging, Inc.;Carlsbad、CA)には、二次元画像における個々のピクセ
ルのそれぞれの分光特性を引き出せる能力がある。
【0037】 インサイチューでの単一RNA転写物の可視化に用いられる三次元アルゴリズム
(Feminoら、1998、Science 280:585〜590)を分光画像顕微鏡とともに用いる
ことにより、一連の三次元画像における各転写部位の分光特性を分析することが
できる。このアプローチでは、単一の離散的分光シグナルが、細胞試料中および
組織試料中に存在する自家蛍光バックグラウンドから有利な形で識別される。さ
らに、これによって高い空間的分解能、すなわち、15nmの分解能が達成される。
これにより、同時に用いうる蛍光色素の数が増す。さらに、分光画像顕微鏡では
、シグナルの識別のために狭帯域フィルターが必要となるバリアーフィルターと
比べて、1つの蛍光色素当たりにより多くの出力光を収集することが可能である
【0038】発明の用途 一般に、本発明は、臨床的診断検査のために、ならびに細胞生物学および分子
遺伝学における研究ツールとして有用である。例えば、正常対照細胞と比較して
癌細胞で差異を伴って発現する遺伝子を同定することによって癌を診断するため
にこれを用いることができる。さらに、特定の種類の癌を同定するため、癌の由
来組織を突き止めるため、それが転移性であるか否かを予測するため、または特
定の薬剤に対する癌の感受性を予測するために、特定の遺伝子群に対するプロー
ブセットを用いることもできる。同様に、ある遺伝病に対するプローブセットを
用いて、特定の遺伝病が存在するかどうか決定することができる。伝染病に対す
るプローブを用いて、ウイルス、例えばHIVまたはヘルペスの活性を検出するこ
ともできる。ホルモン失調を示す遺伝子発現を検出するためにプローブセットを
用いることもできる。研究ツールとしての応用の例としては、本発明は、DNAマ
イクロアレイ(チップ)上に抽出されたRNAを試験することによって得られたデ
ィファレンシャル配列発現データを単一細胞レベルで確認するために有用である
【0039】 以下の実施例によって本発明をさらに例示する。実施例は例示のみを目的とし
て提供される。それらは任意の形で本発明の範囲または内容を限定するものとみ
なされるべきではない。
【0040】実施例 実施例1:定性的検出 本発明の定性的検出型の態様の実証は、ヒト結腸直腸腫瘍に由来する培養結腸
直腸(CR)細胞系からの細胞を用いて行う。これらの細胞を選択した理由には以
下のものが含まれる:それらは光学的に最適なモデルを提供する。培養中拡がっ
た細胞における核は幾分平坦化しているが、それは良好なX-Y空間的識別をもた
らす。これらの細胞に関する以前の研究から、かなりの分子遺伝学的特徴が得ら
れる。いくつかの培養CR細胞系およびCR一次組織の遺伝子発現プロファイルの間
には高度の類似性が存在することが報告されている(Zhangら、1997、Science 2
76:1268〜1272)。例えば、正常組織と対比して原発腫瘍で過剰発現されている
ことがSAGE(遺伝子発現の連続分析)によって同定された遺伝子の約半数は、あ
る種の結腸直腸細胞系でも増加していることが報告されている。
【0041】 最初の一連の実験では、正常対照細胞と対比して結腸直腸細胞系において過剰
発現することがSAGE分析によって以前に同定されている配列の中から、31種類の
標的配列を選択する。このうち20種類の標的配列を選択した理由は、それらが二
元性の発現パターンを呈する、すなわち、10種類は腫瘍細胞ではオフ、正常細胞
ではオンであり、10種類は腫瘍細胞ではオン、正常細胞ではオフであると考えら
れるためである。11種類の標的配列を選択した理由は、それらが癌細胞および正
常細胞において構成性に発現すると考えられるためである。
【0042】 合計5種の分光的に識別しうる蛍光色素を用いると、所定のバーコードにおい
て所定の蛍光色素を複数回用いずに、31種類の異なるバーコードが作成される。
5種の蛍光色素を用いて31種類のバーコードが作成されることは、4種の蛍光色素
を用いて15種類の定性的バーコードが作成される、図1に示したスキームの敷衍
である。31種類のバーコードのそれぞれは、31種類の標的配列のそれぞれに対し
て割り付けられる。
【0043】 各標的配列の5'末端付近にクラスター形成している1〜5種の50ヌクレオチド部
分配列を選択する。DNA自動合成装置および市販の試薬を供給者の指示に従って
用いて、各部分配列に対して相補的な50ヌクレオチドプローブを化学合成する。
各プローブは10ヌクレオチド間隔で存在する5つのアミノ修飾塩基を含む。
【0044】 市販のシアニン蛍光色素を、蛍光色素の供給者の指示に従って、各プローブ上
のアミノ修飾塩基に共有結合させる。各プローブに結合させる蛍光色素は、各標
的配列に対する5つのプローブのセットが集合的に、その標的配列に割り当てら
れたバーコードに存在する同じ蛍光色素(群)の組み合わせを正確に含むように
選択する。
【0045】 間期細胞の固定およびFISHの手順は、ハイブリダイゼーション液が、31種類の
標的配列中のすべての部分配列に対する、蛍光色素で標識されたハイブリダイゼ
ーション用プローブを含むことを除き、本質的にはフェミノ(Femino)ら(Scie
nce 280:585〜590)に記載された通りである。
【0046】 FISH手順が完了した後、本質的にはスパイカー(Speicher)ら、1996、Nature
Genetics 12:368〜375によって記載された通りの光学フィルターを用いて、間
期の核を蛍光顕微鏡下で観察する。観察する核のほぼすべてにおいて、蛍光性の
21個の対象、または伸長した軌跡が検出される。いくつかの核では、2つの対象
が重複して認められる。一部の場合には、重複が大きすぎるために2つの対象の
空間的分解能が得られない。対象および軌跡の大きさおよび強度はかなりさまざ
まであるが、最も小さく弱い対象または軌跡であっても転写部位での多数の新生
RNA鎖からの複合シグナルを表している。観察する核のほとんどでは、分光分析
により、対象または軌跡のそれぞれを、高いレベルの信頼度で31種類のバーコー
ドのいずれか1つに対応づけることができる。
【0047】実施例2:定量的検出 第2の一連の実験を行う。第2のシリーズでは、5種の分光的に識別しうる蛍光
色素を用いて232種類の異なるバーコードを作成する。バーコードの多くは、組
み合わせの内部における蛍光色素の比を考慮した場合にはじめて他のバーコード
と識別される。5種の蛍光色素を用いて232種類のバーコードが作成されることは
、4種の蛍光色素を用いて27種類の定量的バーコードが作成される、図3に示した
スキームの敷衍である。232種類のバーコードのそれぞれは、232種類の標的配列
のそれぞれに対して割り付けられる。
【0048】 細胞材料、部分配列の選択、プローブ合成、細胞固定およびFISHは、上記の最
初の一連の実験と同じように行う。
【0049】 FISH手順が完了した後、間期の核を蛍光顕微鏡下で観察する。この一連の実験
に用いる蛍光顕微鏡は、フェミノ(Femino)ら(Science 280:585〜590)およ
びシンガー(Singer)ら(米国特許第5,866,331号)の方法をシュロック(Schro
ck)ら(Science 273:494〜497)の分光画像法と組み合わせたものである。ハ
イブリダイズしたプローブからの蛍光情報の収集および処理のためのこのアプロ
ーチにより、ほとんどの転写部位で蛍光色素のストイキオメトリーを確認するの
に十分な空間的分解能およびシグナル量が得られる。さらに、このアプローチに
より、核体積内部で232種類の転写部位を互いに分解するために必要な程度をは
るかに上回る三次元的な空間的分解能も提供される。
【0050】実施例3:FISHデータとDNAマイクロアレイデータとの相関づけ 培養結腸細胞系および正常対照細胞系から単離したRNAのマイクロアレイ分析
によって得られたデータを用いて、差異を伴って発現する31種類の標的配列を同
定する。すべて本質的には実施例1の記載(上記)と同じように、部分配列を選
択し、定性的バーコードを作成し、標識プローブを合成し、インサイチューハイ
ブリダイゼーションを行って、蛍光顕微鏡による観察を行う。FISHデータを用い
て、31種類の標的配列の相対的発現レベルの特徴を明らかにする。
【0051】 FISHによって得られた各標的配列の相対的発現レベルを、マイクロアレイによ
って得られた同じ配列の相対的発現レベルと比較する。多くの標的配列の発現産
物の実体が知られていなくても、FISHデータとマイクロアレイデータとの正の相
関は確立されている。
【0052】 この比較により、特定の種類の細胞で特定の発現レベルを有することがマイク
ロアレイ分析によって示された配列の大部分が、示されたレベルで細胞を問わず
一貫して発現することが示される。しかし、この比較により、特定の発現レベル
を有することがマイクロアレイ分析によって示された一部の配列は、実際には細
胞によって非常にさまざまなレベルで発現することも示される。このように差を
伴って発現する配列は、予測的意義または診断的な意義が相対的に低いものとし
て同定される。
【0053】実施例4:培養細胞における8種類の遺伝子の同時バーコード検出 培養ヒト結腸癌細胞(DLD-1系)および培養ヒト包皮線維芽細胞を用いた。転
写部位を増強させるために、細胞に調製前に血清パルスおよびシクロヘキシミド
で誘発した。プローブセット、すなわち、各標的遺伝子のために3種の重複しな
いアンチセンスプローブを、従来の方法および市販のDNA合成装置を用いて、各
標的遺伝子に対して合成した。後に蛍光団を結合させるために、プローブ合成時
に市販の修飾ヌクレオチド(アミノ修飾C6-DT;Glenn Research、Sterling、VA
)を組み込んだ。各プローブの長さは50ヌクレオチドであり、5種類の蛍光団で
標識した。
【0054】 50ヌクレオチドの各プローブ分子は単一の種類の蛍光色素で標識した。例えば
、β-アクチン遺伝子または遺伝子転写物に対するプローブセット(バーコード
:FITC、cy3、cy5)は以下のものを含んでいた:(1)β-アクチン転写物におけ
る第1の50ヌクレオチドの部分配列に対して相補的であり、5種類のFITC蛍光団で
標識された50ヌクレオチドのプローブ;(2)β-アクチン転写物における第2の5
0ヌクレオチドの部分配列に対して相補的であり、5種類のcy3蛍光団で標識され
た50ヌクレオチドのプローブ;および(3)β-アクチン転写物における第3の50
ヌクレオチドの部分配列に対して相補的であり、5種類のcy5蛍光団で標識された
50ヌクレオチドのプローブ。プローブの標識およびバーコードの作成には以下の
蛍光色素をさまざまな組み合わせで用いた:FITC、cy3、Cy5およびcy7(表1)。
【表1】
【0055】 培養細胞をカバーガラス上で増殖させ、TRITON X-100(登録商標)で処理し、
4%パラホルムアルデヒドで30分間固定した後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で
洗浄した。プローブハイブリダイゼーション(各プローブセットにおいて30ngの
DNA)は標準的な条件下で、すなわち50%ホルムアミド、2×SSC、37℃で3時間行
った。ハイブリダイズしなかったプローブを洗浄(50%ホルムアミド、2×SSC)
によって除去した後、蛍光顕微鏡による観察のために、細胞をDAPIを含むグリセ
ロール/フェニリンジアミン(phenylinediamine)中にてスライドグラスに載せ
た。細胞の画像化は60倍対物レンズおよびCCDカメラ(Photometrics)を用いて
行った。各蛍光色素に適したフィルターセットを用いた。転写部位での重複する
色を分析しうるように、各フィルターセットからの画像を擬似カラー処理し、1
つの画像に合成した。核はDAPIシグナルによって同定した。
【0056】 標的遺伝子の転写部位は、弱いシグナルを除去するための検出閾値を設定する
ことによって同定した。転写部位は視野において最も輝度の高いシグナルであっ
た。陽性確認は、特定の部位に少なくとも2つの色が存在することによって行っ
た。指定したサイズおよび疑似カラー同定によって高輝度シグナル領域を取り出
すことによって転写部位を同定するためのコンピュータプログラムを作成した。
このプログラムにより、蛍光バーコードデータのみによって、結腸癌細胞の単一
試料標本の内部の8種類の標的遺伝子のそれぞれの転写が検出および識別された
。線維芽細胞でも同様の結果が得られた。
【0057】 その他の態様は以下の請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 分光的に識別しうる4種の蛍光色素を用いた、15種類の定性的バ
ーコードの作成を例示した模式図である。
【図2】 蛍光色素の数が1〜9種であって、定性的検出を用いた場合に可能
なバーコード(識別しうる標的)の数(Tqual)を示した表である。Tqualに関す
る式も示している。
【図3】 分光的に識別しうる4種の蛍光色素、および1つの標的配列当たり
最大3つのプローブ(および部分配列)を用いた、27種類の定性的バーコードの
作成を例示した模式図である。
【図4】 蛍光色素の数が1〜7種であって、1つの標的配列当たりのプロー
ブ(および部分配列)の最大数が3である場合に可能なバーコード(識別しうる
標的)の数(Tqual)を示した表である。Tqualに関する式も示している。
【図5】 本発明に用いうる7種類の蛍光色素(fluorochrome)(蛍光色素(fl
uorescent dye)の発光スペクトルを示したグラフである。示されている発光ス
ペクトルはCy2、FluorX、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7のものである。
【図6】 ボクセルおよびその核体積との関係を例示した模式図である。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞における多数の異なる標的配列の転写物の検出および特
    異的な同定のためのインサイチューハイブリダイゼーション法であって、 各バーコードが少なくとも1つの蛍光色素を含み、バーコードの少なくとも1つが
    少なくとも2つの異なる分光的に識別しうる蛍光色素を含み、標的配列のそれぞ
    れが少なくとも1つの所定の部分配列を含む、少なくとも5つの標的配列に対して
    異なるバーコードを割り当てること、 各プローブが、標的配列の各部分配列に相補的なハイブリダイゼーション用プロ
    ーブを含み、蛍光色素で標識され、各プローブセットの蛍光色素が該プローブセ
    ットの標的配列に対するバーコードに集団的に対応する、各標的配列に特異的な
    プローブセットを提供すること、 各標的配列に対して特異的なプローブセットを含むハイブリダイゼーション液と
    細胞を接触させること、 検出が異なる蛍光色素を分光的に識別することを含み、各標的配列から転写され
    たRNAとハイブリダイズするプローブ上の蛍光色素を検出し、存在する場合には
    、それによって転写部位を別々に検出すること、および 検出された各転写部位で蛍光色素をバーコードと関連づけることを含む方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つの標的配列が、3種またはそれ以上の所定の重
    複しない部分配列を含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも1つの標的配列が、標的配列とハイブリダイズし
    たプローブ上の蛍光色素のストイキオメトリーを定量的蛍光検出によって決定し
    うるような長さおよび互いの間隔を有する部分配列を含む、請求項2記載の方法
  4. 【請求項4】 各部分配列の長さが30〜70ヌクレオチドであり、すべての部
    分配列が標的配列の100〜800ヌクレオチドのセグメント内にクラスターを形成し
    て存在する、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 部分配列が標的配列の200〜600ヌクレオチドのセグメント内
    にクラスターを形成して存在する、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 部分配列が標的配列の300〜500ヌクレオチドのセグメント内
    にクラスターを形成して存在する、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 各部分配列の長さが約50ヌクレオチドであり、すべての部分
    配列が標的配列の500ヌクレオチドのセグメント内にクラスターを形成して存在
    する、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 各部分配列の長さが30〜70ヌクレオチドであり、すべての部
    分配列が標的配列の全長の約10%であるヌクレオチドセグメント内にクラスター
    を形成して存在する、請求項3記載の方法。
  9. 【請求項9】 100〜800ヌクレオチドのセグメントが標的配列の5'側のほと
    んど3分の1にある、請求項4記載の方法。
  10. 【請求項10】 100〜800ヌクレオチドのセグメントが標的配列の5'側のほ
    とんど4分の1にある、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 ハイブリダイゼーション用プローブが、5〜10ヌクレオチ
    ドの間隔で結合した多数の蛍光団によって標識される、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 蛍光色素がCy2、fluorX、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、
    フルオレセインおよびテキサスレッドからなる群から選択される、請求項1記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 蛍光色素が分光画像顕微鏡を用いて検出される、請求項1
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 細胞が間期にある、請求項1記載の方法。
  15. 【請求項15】 ハイブリダイゼーション用プローブがオリゴヌクレオチド
    である、請求項1記載の方法。
  16. 【請求項16】 ハイブリダイゼーション用プローブが蛋白質核酸(PNA)
    である、請求項1記載の方法。
  17. 【請求項17】 細胞が組織試料の一部である、請求項1記載の方法。
  18. 【請求項18】 少なくとも5つのプローブセットを含むプローブセットの
    パネルであって、各プローブセットが異なる標的配列に対して特異的であり、各
    標的配列が少なくとも1つの部分配列を含み、各プローブセットが、該プローブ
    セットが特異的である標的配列中の各部分配列に対して相補的なハイブリダイゼ
    ーション用プローブを含み、各プローブが、各プローブセットにおける蛍光色素
    が集団的に該プローブセットの標的配列に対するバーコードに対応するように1
    つの蛍光色素で標識されている、プローブセットのパネル。
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