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JP2002328201A - 反射防止膜を有する光学部材 - Google Patents

反射防止膜を有する光学部材

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JP2002328201A
JP2002328201A JP2001130754A JP2001130754A JP2002328201A JP 2002328201 A JP2002328201 A JP 2002328201A JP 2001130754 A JP2001130754 A JP 2001130754A JP 2001130754 A JP2001130754 A JP 2001130754A JP 2002328201 A JP2002328201 A JP 2002328201A
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剛史 三石
Kenichi Niide
謙一 新出
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斉 嘉村
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Hoya Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が良好なプラスチック基板に反射防止
膜を有する光学部材を提供する。 【解決手段】 プラスチック基板と、該プラスチック基
板上に、基板側からλ/4−λ/2−λ/4型またはλ/4−λ
/4−λ/2−λ/4型(λ=500nm) の反射防止膜とを有
する光学部材であって、該λ/2は高屈折率層を有し、屈
折率が1.80〜2.40である3層以上の等価膜であり、該等
価膜の偶数層がSiO2 層である光学部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック基板
に反射防止膜を有する光学部材に関し、特に、良好な耐
熱性を有する、プラスチック基板に反射防止膜を有する
光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、プラスチック基板に、反射防
止膜を形成した光学部材は良く知られている。その例と
して、特開平2−291501号公報には、二酸化チタ
ンを主成分とするλ/2の高屈折率層を有する反射防止膜
を形成した光学部材が開示されている。しかしながら、
一般的に、プラスチック基板に反射防止膜を設けた光学
部材は、蒸着時に加熱することができない等の理由で、
ガラス基板に反射防止膜を設けた光学部材と比較して耐
熱性が良好でない。そこで、更なる耐熱性を向上させた
プラスチック基板に反射防止膜を形成した光学部材が求
められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の課題を
解決するためになされたもので、耐熱性が良好なプラス
チック基板に反射防止膜を有する光学部材を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
を解決すべく鋭意努力した結果、高屈折率層に、低屈折
率物質である二酸化ケイ素からなる層を利用して三層以
上の等価膜にするという斬新的な手段により、光学部材
の耐熱性が顕著に向上することを見出した。従来、λ/2
の高屈折率層は、反射防止特性及び生産効率性を考慮し
て、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタルな
どの高屈折率蒸着物質を用いて一層構成とし、λ/2の高
屈折率層に、低屈折率物質である二酸化ケイ素からなる
層を設けることは、高屈折率層の屈折率を低下させ、反
射防止膜の反射防止特性を低下させる可能性が高いこと
から、このような構成は提案されていなかった。
【0005】すなわち、本発明は、プラスチック基板
と、該プラスチック基板上に、基板側からλ/4−λ/2−
λ/4型またはλ/4−λ/4−λ/2−λ/4型(λ=500n
m) の反射防止膜とを有する光学部材であって、該λ/2
は、屈折率が1.80〜2.40である3層以上の等価膜であ
り、該等価膜の偶数層が二酸化ケイ素層である光学部材
を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、λ/2の高屈折率
層を3層の等価膜にすれば、良好な耐熱性及び反射防止
特性を有する光学部材が得られる。さらに、良好な耐熱
性及び反射防止特性を得る場合には、3層を超える等価
膜にすればよい。
【0007】また、前記λ/2の等価膜における奇数層
は、良好な耐熱性、反射率特性を得る観点から、高屈折
率蒸着物質として知られている酸化チタン、酸化ジルコ
ニウム、酸化タンタル及び酸化ニオブ等の蒸着物質を含
有する層が好ましく、特に、TiO2 、Ta2 O5
及びNb2 O5 の中から選ばれた少なくとも1種
類の蒸着物質からなる層が好ましく、最も好ましくはN
b2 O5 の蒸着物質からなる層である。生産効率性
の観点で、奇数層は、全て同一膜組成にすることが好ま
しい。前記λ/2の高屈折率層の合成屈折率は、1.80〜2.
40の範囲であり、良好な物性を得るために、1.85〜2.25
の範囲が特に好ましく、この屈折率の範囲を満たすよう
λ/2の高屈折率層の膜構成がなされる。
【0008】本発明において、λ/2の高屈折率層上に形
成されるλ/4層は、二酸化ケイ素層が形成される。λ/2
の高屈折率層の下に形成されるλ/4層は、良好な反射防
止特性及び耐熱性を得るために2層以上の等価膜にする
ことが好ましい。その膜構成は、二酸化ケイ素層と、酸
化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル及び酸化ニ
オブ等の高屈折率蒸着物質よりなる層からなる2層等価
膜、二酸化ケイ素層と、酸化ニオブよりなる層との2層
等価膜が好ましい。また、生産効率の点から、前記λ/4
の等価膜を作製する蒸着原料と、前記λ/2の等価膜を作
製する蒸着原料とは同じ蒸着原料を用いると好ましい。
【0009】この酸化ニオブ層を形成するには、100%
の酸化ニオブを蒸着物質として使用してイオンアシスト
法により形成する方法又は酸化ニオブ、酸化ジルコニウ
ム及び酸化イットリウムの粉末、又は更に酸化アルミニ
ウムを加えた粉末を焼結し、得られた焼結体から混合酸
化物の蒸気を発生させ、発生した蒸発物を基板上に析出
させる方法で行うと好ましい。また、蒸発物を基板上に
析出させる方法では、焼結体の混合割合は、良好な膜物
性を得るために、蒸着組成物全量を基準にして、酸化ニ
オブが60〜90重量%、酸化ジルコニウムが5〜20
重量%、酸化イットリウムが5〜35重量%であること
が好ましい。さらに、酸化アルミニウムを加える場合に
は、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム及び酸化イットリウ
ム合計に対して0.3〜7.5重量%を添加することが
好ましい。
【0010】本発明の光学部材は、プラスチック基板と
反射防止膜との間に下地層が設けられていると好まし
く、下地層の材質としては、二酸化ケイ素層または金属
ニオブが好ましく、金属ニオブが特に好ましい。また、
膜厚としては、二酸化ケイ素層の場合は、膜強度等の点
から0.1 λ〜5λで、金属ニオブの場合は、膜の透明性
確保等の点から0.005 λ〜0.015 λが好ましい。下地層
の材質を金属ニオブとすると、プラスチック基板と反射
防止膜の密着性、耐熱性、耐衝撃性及び耐摩耗性に優
れ、金属特有の吸収率が少ない等の利点を有している。
この金属ニオブ(Nb層)の形成は、イオンアシスト法で
行なうことが好ましい。前記イオンアシスト法を実施す
る際によるイオン化ガスは、成膜中の酸化防止の点から
アルゴン(Ar)を用いるのが好ましい。これにより膜
質の安定と、光学式膜厚計での制御が可能となる。
【0011】さらに、プラスチック基板と下地層との密
着性確保及び蒸着物質の初期膜形成状態の均一化を図る
ために、下地層を形成する前にイオン銃前処理を行なっ
てもよい。イオン銃前処理におけるイオン化ガスは 酸
素、アルゴンなどを用いることができ、出力で好ましい
範囲は、加速電圧が50V〜200V、加速電流が50
mA〜150mAである。
【0012】本発明の光学部材において、反射防止膜の
形成方法は、通常の真空蒸着法、イオンアシスト法等を
用いることができる。本発明の光学部材に用いるプラス
チック基板としては、特に限定されず、例えば、メチル
メタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1
種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコ
ールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレング
リコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノ
マーとの共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有
共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリウレタン等が挙げられる。
【0013】本発明の光学部材は、前記プラスチック基
板と前記下地層との間に、硬化被膜を有してもよい。硬
化被膜としては、通常、金属酸化物コロイド粒子と有機
ケイ素化合物よりなるコ−ティング組成物を硬化たもの
が一般的に用いられる。前記金属酸化物コロイド粒子と
しては、例えば、酸化タングステン(WO3)、酸化亜
鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニ
ウム(Al2O3)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化
ジルコニウム(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化
ベリリウム(BeO)又は酸化アンチモン(Sb2 O
5)等が挙げられ、単独又は2種以上を併用することが
できる。
【0014】本発明の光学部材において、好ましい態様
としては、例えば以下に示す構成(a)〜(c)が挙げ
られる。
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例1〜6における光学部材は、以下
に示す試験方法により、諸物性を測定した。 (1)視感透過率 プラスチックレンズの視感透過率Yは、両面に反射防止
膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立
分光光度計U−3410を用い測定した。 (2)視感反射率 プラスチックレンズの視感反射率Zは、両面に反射防止
膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立
分光光度計U−3410を用い測定した。 (3)密着性 プラスチックレンズの表面に剃刀にて1mm×1mmの
升目を100個作成し、升目上にセロハンテープを貼
り、一気にテープをはがし、残った升目の数で評価し
た。表中、残った升目の数/100で記載した。 (4)耐摩耗性 プラスチックレンズの表面にスチールウールにて1kg
f/cm2 の荷重をかけ、20ストローク擦り、表面状
態により以下の基準で評価した。 UA:殆ど傷なし A:細い傷数本あり B:細い傷多数、太い傷数本あり C:細い傷多数、太い傷多数あり D:殆ど膜はげ状態
【0018】(5)耐熱性 プラスチックレンズをドライオーブンで1時間加熱し、
クラックの発生温度を測定した。加熱温度は、50℃よ
り始め、5℃づつ上げて、クラックを発生する温度を調
べた。 (6)耐アルカリ性 プラスチックレンズをNaOH水溶液10%に1時間浸
漬し、表面状態により以下の基準で評価した。 UA:殆ど変化なし A:点状の膜はげ数個あり B:点状の膜はげが全面にあり C:点状のはげが全面、面状のはげ数個あり D:殆ど全面膜はげ (7)耐衝撃性 中心厚2.0mmで、レンズ度数0.00のレンズを作
製してFDAで定められているドロップボールテストを
行い、○:合格、×:不合格とした。
【0019】実施例1〜6基板A及びハ−ドコ−ト層A層の作製 ガラス製容器に、コロイダルシリカ(スノ−テックス−
40、日産化学)90重量部、有機ケイ素化合物のメチ
ルトリメトキシシラン81.6重量部、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン176重量部、0.5N
塩酸2.0重量部、酢酸20重量部、水90重量を加え
た液を、室温にて8時間攪拌後、室温にて16時間放置
して加水分解溶液を得た。この溶液に、イソプロピルア
ルコ−ル120重量部、n−ブチルアルコ−ル120重
量部、アルミニウムアセチルアセトン16重量部、シリ
コ−ン系界面活性剤0.2重量部、紫外線吸収剤0.1
重量部を加え、室温にて8時間攪拌後、室温にて24時
間熟成させコ−ティング液を得た。アルカリ水溶液で前
処理したプラスチックレンズ基板(素材:ジエチレング
リコ−ルビスアリルカ−ボネ−ト、屈折率1.50、中
心厚2.0mm、レンズ度数0.00、これを以下、
「基板A」という場合がある。)を、前記コーティング
液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20cm
/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で2時
間加熱して硬化膜を形成した。その後、表1〜6に記載
したイオン加速電圧、照射時間の条件でArガスを用い
て、イオン銃処理を行いイオンアシスト法にて硬化被膜
としてハードコート層(以下、「A層」と記載する場合
がある)を形成した。
【0020】下地層及び反射防止膜の作製 次に、ハードコートA層の上に、表1〜3に示した条件
のイオンアシスト法にて、表1〜3に示した第1層〜第
8層からなる機能膜を形成し、プラスチックレンズを得
た。得られたプラスチックレンズについて上記(1)〜
(7)を評価し、それらの結果を表1〜6に示した。
尚、表中、λは照射光の波長で、λ=500nmを示
す。なお、実施例1〜6におけるλ/4及びλ/2の合成屈
折率は、表8に記載した。
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】
【表6】
【0024】実施例7〜24及び比較例1〜6 実施例7〜24及び比較例1〜6に関しては、以下の評
価方法で物性を評価した。 (1)蒸着組成物の溶融状態 蒸着時の溶融状態を次の基準で判定した。 UA:スプラッシュの発生が無い A:スプラッシュの発生が少ない B:スプラッシュが頻繁に発生する C:スプラッシュが常時発生する (2)微細粒子の付着状態 スプラッシュ等によるレンズ面の微細粒子の付着状態を
次の基準で判定した。 UA:全く認められず A:1〜5箇所以内 B:6〜10箇所 C:11箇所以上 (3)耐アルカリ性試験 NaOH10重量%水溶液にレンズを入れ、30分後、60
分後にその表面の膜ハゲやレンズ面の荒れの発生を以下
の基準にて判定した。 UA:点状ハゲがほとんどない A:全体的に小さな0.1mm以下の点状ハゲ又は直径0.3mm
程度の点状ハゲが少しある。 B:Aよりもハゲの密度が高く、大き目のハゲの割合が
高い C:全体的に0.3mm程度のハゲが占めるか、小さいハゲ
の密度が高い D:一目見て全体が白いと感じる程度にハゲが密に出て
いる。これ以下は全てDとする。 (4)耐擦傷性試験 ♯0000のスチールウールにより表面を往復回数で1
0回こすって耐擦傷性を次の基準で判定した。 UA:殆ど傷なし A:わずかに傷がつく B:多く傷がつく C:膜の脹れが生じる
【0025】(5)密着性試験 JIS―Z―1522に従い、ゴバン目を10×10個
作りセロファン粘着テープにより剥離試験を3回行い、
残ったゴバン目を数えた。 (6)視感反射率 日立製作所製U−3410型自記分光光度計を用い、視
感反射率Yを求めた。 (7)視感透過率 日立製作所製U−3410型自記分光光度計を用い、視
感透過率Zを求めた。 (8)吸収率 100%より視感透過率と視感反射率を引いた値を吸収
率として求めた。 (9)耐熱性試験 蒸着膜形成直後の反射防止膜を有する光学部材をオーブ
ンで1時間加熱し、クラックの発生の有無を調べた。加
熱温度は、50℃より始め、5℃づつ上げて、クラック
が発生する温度を調べた。また、経時的な耐熱性試験
を、蒸着膜形成直後の反射防止膜を有する光学部材を2
ケ月間屋外暴露し、その後、前記した耐熱性試験と同じ
方法により評価を行った。
【0026】基板A及びハ−ドコ−トA層の作製 実施例1〜6と同様の方法で基板A及びハ−ドコ−ト層
Aを作製した。基板B及びハ−ドコ−トB層の作製 ガラス製容器に、有機ケイ素化合物のγ−グリシドキシ
プロピルメトキシシラン142重量部を加え、撹拌しな
がら、0.01N塩酸1.4重量部、水32重量部を滴
下した。滴下終了後、24時間撹拌を行いγ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシランの加水分解溶液を得
た。この溶液に、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合
体ゾル(メタノール分散、全金属酸化物31.5重量
%、平均粒子径10〜15ミリミクロン)460重量
部、エチルセロソルブ300重量部、さらに滑剤として
シリコーン系界面活性剤0.7重量部、硬化剤としてア
ルミニウムアセチルアセトネート8重量部を加え、充分
に撹拌した後、濾過を行ってコーティング液を得た。さ
らに、アルカリ水溶液で前処理したプラスチックレンズ
基板〔HOYA(株)製、眼鏡用プラスチックレンズ
(商品名:EYAS)、屈折率1.60以下、この基板
を「基板B」と言う場合がある。〕を、前記コーティン
グ液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20c
m/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で2
時間加熱してハ−ドコ−ト層(以下この層を「B層」と
言う場合がある)を形成した。
【0027】基板C及びハ−ドコ−トC層の作製 ガラス製容器に有機ケイ素化合物のγ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン100重量部を加え、撹拌し
ながら0.01規定塩酸1.4重量部、水23重量部を
添加した。その後、24時間撹拌を行いγ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランの加水分解物を得た。次
に微粒子状無機物として、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化ケイ素を主体とする複合体微粒子ゾル(メタノ
ール分散、全固形分20重量%、平均粒子径5〜15ミ
リミクロン、核微粒子の原子比Ti/Si=10、被覆
部分の核部分に対する重量比0.25)を用い、その2
00重量部をエチルセロソルブ100重量部、滑剤とし
てのシリコーン系界面活性剤0.5重量部、硬化剤とし
てのアルミニウムアセチルアセトネート3.0重量部と
混合した後、前述したγ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランの加水分解物に加え、充分に撹拌した後、
濾過を行ってコーティング液を作製した。さらに、アル
カリ水溶液で前処理したプラスチックレンズ基板〔HO
YA(株)製、眼鏡用プラスチックレンズ(商品名:テ
スラリッド)、屈折率1.71、以下この基板を「基板
C」と言う場合がある〕を、前述の方法で作製したコー
ティング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度
20cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120
℃で2時間加熱してハードコート層(以下、このハ−ド
コ−ト層を「C層」と言う場合がある)を形成した。
【0028】下地層及び反射防止膜の作製 次に、ハードコートA層、B層又はC層の上に、表4〜
表7に示した条件で、表4〜表7に示した多層膜からな
る機能膜を形成し、プラスチックレンズを得た。得られ
たプラスチックレンズについて上記(1)〜(7)を評
価し、それらの結果を同表に示した。なお、表中、λは
照射光の波長で、λ=500nmを示す。実施例7〜1
2に関しては、表中の組成物Aに関し、イオンアシスト
法を用いずに膜を形成した。また、実施例13〜18に
おける蒸着組成物Aより形成された膜及び実施例19〜
24における酸化ニオブ層に関しては、膜形成の際、酸
素:アルゴンが9:1の割合で、320A及び140m
Aの条件でイオンアシストを使用した。また、実施例2
5〜27に関しては、高屈折率として酸化チタンを用
い、イオンアシスト法を用いずに膜を形成した。
【0029】表4及び5における実施例7〜18に記載
されている組成物Aとは、Nb2O5粉末、ZrO2
粉末、Y2 O3 粉末を混合し、300kg/cm2
でプレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られ
た3成分系蒸着組成物A(重量%、Nb2 O5:Zr
O2:Y2 O3 =76%〜90%:16.6%〜5
%:7.4%〜5%)を用いてなる膜を意味する。実施
例1〜27に関する等価膜のλ/4、λ/2の合成屈折率
は、表8に記載した通りである。
【0030】比較例1及び2は、高屈折率蒸着物質とし
て酸化タンタルを用い、二酸化ケイ素からなる下地層、
酸化タンタル層及び二酸化ケイ素層よりなるλ/4の二層
等価膜、λ/2の酸化タンタル層、λ/4の二酸化ケイ素層
を形成した。比較例3は、基板C、ハードコート層C
を、さらに、高屈折率蒸着物質として酸化タンタルを用
い、二酸化ケイ素からなる第3層、酸化タンタル層及び
二酸化ケイ素層よりなるλ/4の二層等価膜、λ/2の酸化
タンタル層、λ/4の二酸化ケイ素層を形成した。
【0031】比較例4及び5は、高屈折率蒸着物質とし
て酸化チタンを用い、二酸化ケイ素からなる下地層、酸
化チタン層及び二酸化ケイ素層よりなるλ/4の二層等価
膜、λ/2の酸化チタン層、λ/4の二酸化ケイ素層を形成
した。比較例6は、基板C、ハードコート層Cを、さら
に、高屈折率蒸着物質として酸化チタンを用い、二酸化
ケイ素からなる第3層、酸化チタン層及び二酸化ケイ素
層よりなるλ/4の二層等価膜、λ/2の酸化チタン層、λ
/4の二酸化ケイ素層を形成した。これら比較例1〜6に
関しては、イオンアシスト法は用いずに膜を形成した。
その結果、比較例1は、実施例22と比べ、比較例2は
実施例23と比べ、比較例3は実施例24と比べ耐熱性
に劣るものだった。
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
【表10】
【0036】
【表11】
【0037】
【表12】
【0038】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の反
射防止膜を有する光学部材は、良好な視感反射率、視感
透過率、密着性、耐摩耗性、耐アルカリ性及び耐衝撃性
を維持しつつ、さらに耐熱性が向上している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嘉村 斉 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA02 AA06 AA09 AA15 BB11 CC03 CC09 CC42 DD03 DD07 4F100 AA17C AA17D AA17E AA20B AA20C AA20E AA21D AA21E AH02B AH06B AK01A AK45A AR00B AS00C AT00A BA05 BA07 BA10A BA10E EJ53B GB90 JJ03 JK12B JN18C JN18D JN18E JN30 JN30C JN30D JN30E YY00C YY00D YY00E

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基板と、該プラスチック基
    板上に、基板側からλ/4−λ/2−λ/4型またはλ/4−λ
    /4−λ/2−λ/4型(λ=500nm) の反射防止膜とを
    有する光学部材であって、該λ/2の層は、屈折率が1.80
    〜2.40である3層以上の等価膜であり、該等価膜の偶数
    層が二酸化ケイ素層である反射防止膜を有する光学部
    材。
  2. 【請求項2】 前記λ/2の等価膜の奇数層は、酸化チタ
    ン、酸化ニオブ及び酸化タンタルの中から選ばれた少な
    くとも1種類の金属酸化物からなる層である請求項1記
    載の反射防止膜を有する光学部材。
  3. 【請求項3】 前記λ/2の等価膜の奇数層は、酸化ニオ
    ブからなる層である請求項1記載の反射防止膜を有する
    光学部材。
  4. 【請求項4】 前記λ/2の層の下に形成されるλ/4層
    が、2層以上の等価膜である請求項1〜請求項3のいず
    れか1項記載の反射防止膜を有する光学部材。
  5. 【請求項5】 前記λ/4の層は、前記λ/2の層の奇数層
    及び偶数層で用いる金属酸化物層より構成される請求項
    4記載の反射防止膜を有する光学部材。
  6. 【請求項6】 前記λ/4の等価膜が、酸化ニオブからな
    る層と、二酸化ケイ素層とから構成される請求項4記載
    の反射防止膜を有する光学部材。
  7. 【請求項7】 プラスチック基板と反射防止膜との間に
    下地層が設けられた請求項1〜6のいずれか1項記載の
    反射防止膜を有する光学部材。
  8. 【請求項8】 前記下地層が、金属ニオブからなる請求
    項7記載の反射防止膜を有する光学部材。
  9. 【請求項9】 プラスチック基板上に、下地層と、λ/4
    −λ/2−λ/4型の反射防止膜とが設けられ、下地層(第
    1層)及びλ/4(第2〜3層)−λ/2(第4〜6層)−
    λ/4(第7層)の第1〜7層からなる構成で、 第1層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第2層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第3層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第4層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第5層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第6層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第7層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層であり、
    λ/4(第2〜3層)の合成屈折率が1.65〜1.80、λ/2
    (第4〜6層)の合成屈折率が1.85〜2.25であり、前記
    高屈折率層が、酸化チタン、酸化ニオブ及び酸化タンタ
    ルの中から選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物より
    構成される反射防止膜を有する光学部材。
  10. 【請求項10】 プラスチック基板上に、下地層と、λ
    /4−λ/2−λ/4型の反射防止膜とが設けられ、下地層
    (第1層)及びλ/4(第2〜3層)−λ/2(第4〜8
    層)−λ/4(第9層)の第1〜9層からなる構成で、 第1層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第2層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第3層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第4層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第5層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第6層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第7層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第8層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第9層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層であり、
    λ/4(第2〜3層)の合成屈折率が1.65〜1.80、λ/2
    (第4〜8層)の合成屈折率が1.85〜2.25であり、前記
    高屈折率層が、酸化チタン、酸化ニオブ及び酸化タンタ
    ルの中から選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物より
    構成される反射防止膜を有する光学部材。
  11. 【請求項11】 プラスチック基板上に、下地層と、λ
    /4−λ/2−λ/4型の反射防止膜とが設けられ、下地層
    (第1層)及びλ/4(第2〜4層)−λ/2(第5〜7
    層)−λ/4(第8層)の第1〜8層からなる構成で、 第1層が、膜厚0.005λ〜0.015λ、屈折率1.40〜1.47の
    金属ニオブ層、 第2層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第3層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第4層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第5層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第6層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層、 第7層が、屈折率2.04〜2.37の高屈折率層、 第8層が、屈折率1.43〜1.47の二酸化ケイ素層であり、
    λ/4(第2〜4層)の合成屈折率が1.65〜1.80、λ/2
    (第5〜7層)の合成屈折率が1.85〜2.25であり、前記
    高屈折率層が、酸化チタン、酸化ニオブ及び酸化タンタ
    ルの中から選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物より
    構成される反射防止膜を有する光学部材。
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