JP2002356682A - 石炭ガス化をシミュレーションするためのモデリング方法および石炭ガス化のシミュレーションシステム - Google Patents
石炭ガス化をシミュレーションするためのモデリング方法および石炭ガス化のシミュレーションシステムInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 石炭利用HyPr−RINGプロセスのシミ
ュレーションおよびガス化炉内の諸現象を数値流体解析
により予測、評価する際に、高い精度と信頼性を得るこ
とができるモデリング方法およびこれを組み込んだシミ
ュレーションシステムを提供する。 【解決手段】 石炭、水および二酸化炭素吸収剤を原料
とし、ガス化炉内において600〜700℃、10〜2
5MPaの条件下でガス化させる石炭利用HyPr−R
INGプロセスをシミュレーションするに際して、上記
ガス化において石炭粒子が温度上昇により熱分解するこ
とによって放出される揮発分の成分を、擬似成分CHx
Oyと仮定して上記石炭ガス化をモデリングすることを
特徴とする。
ュレーションおよびガス化炉内の諸現象を数値流体解析
により予測、評価する際に、高い精度と信頼性を得るこ
とができるモデリング方法およびこれを組み込んだシミ
ュレーションシステムを提供する。 【解決手段】 石炭、水および二酸化炭素吸収剤を原料
とし、ガス化炉内において600〜700℃、10〜2
5MPaの条件下でガス化させる石炭利用HyPr−R
INGプロセスをシミュレーションするに際して、上記
ガス化において石炭粒子が温度上昇により熱分解するこ
とによって放出される揮発分の成分を、擬似成分CHx
Oyと仮定して上記石炭ガス化をモデリングすることを
特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭利用HyPr
−RINGプロセスをシミュレーションする際のモデリ
ング方法に関するものである。
−RINGプロセスをシミュレーションする際のモデリ
ング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、石炭を低温ガス化する方法の
一種として、高温高圧水蒸気を利用し、利用価値の高い
水素を選択的に製造するHyPr−RING(Hydr
ogen Production by Reacti
on IntegratedNovel Gasifi
cation)プロセスが知られている。この石炭利用
HyPr−RINGプロセスは、石炭、水およびCaO
等の二酸化炭素吸収剤を原料とし、ガス化炉内において
600〜700℃、10〜25MPaの条件下でガス化
させるものである。
一種として、高温高圧水蒸気を利用し、利用価値の高い
水素を選択的に製造するHyPr−RING(Hydr
ogen Production by Reacti
on IntegratedNovel Gasifi
cation)プロセスが知られている。この石炭利用
HyPr−RINGプロセスは、石炭、水およびCaO
等の二酸化炭素吸収剤を原料とし、ガス化炉内において
600〜700℃、10〜25MPaの条件下でガス化
させるものである。
【0003】ところで、上記石炭ガス化プロセスの実施
にあたっては、事前に、環境安全面での制約条件や製品
品質に対する要求仕様を満足し、最も経済的かつ高効率
的なプロセスシステムを構成するためのプロセスシミュ
レーターを開発する必要がある。加えて、上記プロセス
中の重要なユニットである石炭ガス化炉の最適設計、特
性評価、安全運転条件の検討などを行なうために、炉内
の速度場、温度場、濃度分布、粒子挙動などの炉内現象
を詳細に把握するための数値流体解析(CFD)シミュ
レーターの開発も必要になる。
にあたっては、事前に、環境安全面での制約条件や製品
品質に対する要求仕様を満足し、最も経済的かつ高効率
的なプロセスシステムを構成するためのプロセスシミュ
レーターを開発する必要がある。加えて、上記プロセス
中の重要なユニットである石炭ガス化炉の最適設計、特
性評価、安全運転条件の検討などを行なうために、炉内
の速度場、温度場、濃度分布、粒子挙動などの炉内現象
を詳細に把握するための数値流体解析(CFD)シミュ
レーターの開発も必要になる。
【0004】そして、このような上記石炭ガス化プロセ
スの全体や、ガス化炉内の挙動を精度よくシミュレート
するためには、信頼性の高い物質収支、エネルギー収
支、化学平衡、化学反応速度などのモデリング方法が重
要となる。
スの全体や、ガス化炉内の挙動を精度よくシミュレート
するためには、信頼性の高い物質収支、エネルギー収
支、化学平衡、化学反応速度などのモデリング方法が重
要となる。
【0005】一方、上記HyPr−RINGプロセスの
原料となる石炭は、炭種にもよるが、約300℃程度で
熱分解による揮発分放出を開始する。そして、揮発分の
成分は、炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、
含酸素化合物などからなっている。また、石炭中の揮発
分が放出された後の燃料は、チャーと呼ばれる固定炭素
分のみの残存物である。
原料となる石炭は、炭種にもよるが、約300℃程度で
熱分解による揮発分放出を開始する。そして、揮発分の
成分は、炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、
含酸素化合物などからなっている。また、石炭中の揮発
分が放出された後の燃料は、チャーと呼ばれる固定炭素
分のみの残存物である。
【0006】この際の上記石炭の熱分解反応は、種々の
反応が同時に進行しており、また熱分解生成物の挙動
は、炭種、温度、圧力、粒径、昇温速度および装置な
ど、非常に多くの条件により左右されるとともに、チャ
ーの反応速度は、揮発分熱分解速度に比較して遅く、粒
径によっては1秒以上かかる場合もあることから、上述
したモデル化を行なうに際しては、これらの煩雑性をい
かに単純化し、一般化できるかという点が非常に重要に
なる。
反応が同時に進行しており、また熱分解生成物の挙動
は、炭種、温度、圧力、粒径、昇温速度および装置な
ど、非常に多くの条件により左右されるとともに、チャ
ーの反応速度は、揮発分熱分解速度に比較して遅く、粒
径によっては1秒以上かかる場合もあることから、上述
したモデル化を行なうに際しては、これらの煩雑性をい
かに単純化し、一般化できるかという点が非常に重要に
なる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、従来に
おいては、上記石炭のガス化、燃焼の性能やプロセスの
物質収支、エネルギー収支をシミュレーションする上で
最も重要となる熱分解反応やチャーの反応をモデル化す
る方法として、主に下記〜の3種類のモデリング方
法が開発されてきた。
おいては、上記石炭のガス化、燃焼の性能やプロセスの
物質収支、エネルギー収支をシミュレーションする上で
最も重要となる熱分解反応やチャーの反応をモデル化す
る方法として、主に下記〜の3種類のモデリング方
法が開発されてきた。
【0008】 実際の石炭の化学構造は複雑である
が、その平均的なモデルとして組成式をCxHyOzと
仮定し、石炭ガス化炉を総括した反応式として、C、
H、Oの収支のみに注目し、下記の簡略化した反応式
(1)によって表すものである。 aCxHyOz+bO2+cH2O→dCO2+eCO+fH2 (1) しかしながら、上記モデリング方法にあっては、上述し
たように揮発分気体反応速度とチャーの固体反応速度が
大きく異なり、しかも反応物や生成物の標準生成自由エ
ネルギーや標準生成熱などが、化学平衡やエネルギー収
支などの計算に大きな影響を与えているにも拘わらず、
これらを簡略化して一体に取り扱っているために、高い
精度および信頼性による物質収支、エネルギー収支、化
学平衡、化学反応速度などのモデリングを行うことがで
きないという問題点があった。
が、その平均的なモデルとして組成式をCxHyOzと
仮定し、石炭ガス化炉を総括した反応式として、C、
H、Oの収支のみに注目し、下記の簡略化した反応式
(1)によって表すものである。 aCxHyOz+bO2+cH2O→dCO2+eCO+fH2 (1) しかしながら、上記モデリング方法にあっては、上述し
たように揮発分気体反応速度とチャーの固体反応速度が
大きく異なり、しかも反応物や生成物の標準生成自由エ
ネルギーや標準生成熱などが、化学平衡やエネルギー収
支などの計算に大きな影響を与えているにも拘わらず、
これらを簡略化して一体に取り扱っているために、高い
精度および信頼性による物質収支、エネルギー収支、化
学平衡、化学反応速度などのモデリングを行うことがで
きないという問題点があった。
【0009】 石炭の燃焼反応過程は、石炭微粒子が
炉内温度上昇に従い、まず乾燥され、水蒸気を放出す
る。その後、熱分解によって、揮発分が放出される。そ
こで、この揮発分の組成式をCHxと仮定し、この仮定
組成式CHxについては、計算する際に必要な全ての物
性定数としてCH4の物性定数を用いるモデリング方法
である。そして、このモデリング方法においては、チャ
ーの燃焼に下記の反応式(2)を用い、揮発分の燃焼に
反応式(3)、(4)を用いている。 C+O2→CO2 (2) CHx+(1/2+x/4)O2→CO+(x/2)H2O (3) CO+(1/2)O2→CO2 (4)
炉内温度上昇に従い、まず乾燥され、水蒸気を放出す
る。その後、熱分解によって、揮発分が放出される。そ
こで、この揮発分の組成式をCHxと仮定し、この仮定
組成式CHxについては、計算する際に必要な全ての物
性定数としてCH4の物性定数を用いるモデリング方法
である。そして、このモデリング方法においては、チャ
ーの燃焼に下記の反応式(2)を用い、揮発分の燃焼に
反応式(3)、(4)を用いている。 C+O2→CO2 (2) CHx+(1/2+x/4)O2→CO+(x/2)H2O (3) CO+(1/2)O2→CO2 (4)
【0010】上記従来のモデリング方法においては、揮
発分とチャーとを分けてモデリングしているものの、揮
発分をCHxに仮定しているので、実際の揮発分中の酸
素量が無視されることになり、よって物質収支(元素収
支)上に問題が生じるという欠点があった。また、CH
xの標準生成熱、標準生成自由エネルギーなどの性質に
ついて、直接CH4の値を用いているため、化学平衡や
エネルギー収支を計算する際に高い精度および信頼性を
得ることができないという問題点もあった。
発分とチャーとを分けてモデリングしているものの、揮
発分をCHxに仮定しているので、実際の揮発分中の酸
素量が無視されることになり、よって物質収支(元素収
支)上に問題が生じるという欠点があった。また、CH
xの標準生成熱、標準生成自由エネルギーなどの性質に
ついて、直接CH4の値を用いているため、化学平衡や
エネルギー収支を計算する際に高い精度および信頼性を
得ることができないという問題点もあった。
【0011】 石炭のガス化反応過程は、炉内に投入
された微粉炭から揮発分が放出される熱分解反応、放出
された揮発分に対する気相反応、および微粉炭の固定炭
素に対するチャーガス化反応からなる。そこで、揮発分
の組成を、メタン、水素、一酸化炭素および水蒸気など
の化学種から構成されるものと仮定し、気相反応として
以下の反応式(5)〜(9)の5つの総括反応を考慮す
るとともに、チャーガス化反応として以下の反応式(1
0)〜(12)の酸素、二酸化炭素、水蒸気による反応
を考慮する方法である。
された微粉炭から揮発分が放出される熱分解反応、放出
された揮発分に対する気相反応、および微粉炭の固定炭
素に対するチャーガス化反応からなる。そこで、揮発分
の組成を、メタン、水素、一酸化炭素および水蒸気など
の化学種から構成されるものと仮定し、気相反応として
以下の反応式(5)〜(9)の5つの総括反応を考慮す
るとともに、チャーガス化反応として以下の反応式(1
0)〜(12)の酸素、二酸化炭素、水蒸気による反応
を考慮する方法である。
【0012】 CH4+2H2O→CO2+4H2 (5) CH4+2O2→CO2+2H2O (6) H2+(1/2)O2→H2O (7) CO+(1/2)O2→CO2 (8) CO+H2O→CO2+H2 (9) C+(1/2)O2→CO (10) C+CO2→2CO (11) C+H2O→CO+H2 (12)
【0013】上記従来のモデリング方法においては、揮
発分の成分がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定しているために、
石炭分析値や炭種によって、揮発分中各成分の割合を決
定することが困難であり、また、上記化学種であるメタ
ン、水素、一酸化炭素の標準生成熱から求めた反応熱
は、実際の石炭揮発分の発熱量と一致しないことが多い
という問題点があった。
発分の成分がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定しているために、
石炭分析値や炭種によって、揮発分中各成分の割合を決
定することが困難であり、また、上記化学種であるメタ
ン、水素、一酸化炭素の標準生成熱から求めた反応熱
は、実際の石炭揮発分の発熱量と一致しないことが多い
という問題点があった。
【0014】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、石炭利用HyPr−RINGプロセスのシミュレ
ーションおよびガス化炉内の諸現象を数値流体解析によ
り予測、評価する際に、高い精度と信頼性を得ることが
できるモデリング方法を提供することを目的とするもの
である。
ので、石炭利用HyPr−RINGプロセスのシミュレ
ーションおよびガス化炉内の諸現象を数値流体解析によ
り予測、評価する際に、高い精度と信頼性を得ることが
できるモデリング方法を提供することを目的とするもの
である。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る石炭ガス化をシミュレーションするためのモデリ
ング方法は、石炭、水および二酸化炭素吸収剤を原料と
し、ガス化炉内において600〜700℃、10〜25
MPaの条件下でガス化させる石炭利用HyPr−RI
NGプロセスをシミュレーションするに際して、上記ガ
ス化において石炭粒子が温度上昇により熱分解すること
によって放出される揮発分の成分を、擬似成分CHxO
yと仮定して上記石炭ガス化をモデリングすることを特
徴とするものである。
に係る石炭ガス化をシミュレーションするためのモデリ
ング方法は、石炭、水および二酸化炭素吸収剤を原料と
し、ガス化炉内において600〜700℃、10〜25
MPaの条件下でガス化させる石炭利用HyPr−RI
NGプロセスをシミュレーションするに際して、上記ガ
ス化において石炭粒子が温度上昇により熱分解すること
によって放出される揮発分の成分を、擬似成分CHxO
yと仮定して上記石炭ガス化をモデリングすることを特
徴とするものである。
【0016】ここで、請求項2に記載の発明は、上記原
料および上記擬似成分CHxOyに基づき、 CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−
y)H2 CO+H2O⇔CO2+H2 CO+3H2→CH4+H2O CH4+2H2O→CO2+4H2 C+H2O→CO+H2 C+CO2→2CO C+2H2→CH4 MO+CO2→MCO3(Mは、アルカリ金属) の全部または一部の反応式を用いて上記石炭利用HyP
r−RINGプロセスをシミュレーションすることを特
徴とするものである。
料および上記擬似成分CHxOyに基づき、 CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−
y)H2 CO+H2O⇔CO2+H2 CO+3H2→CH4+H2O CH4+2H2O→CO2+4H2 C+H2O→CO+H2 C+CO2→2CO C+2H2→CH4 MO+CO2→MCO3(Mは、アルカリ金属) の全部または一部の反応式を用いて上記石炭利用HyP
r−RINGプロセスをシミュレーションすることを特
徴とするものである。
【0017】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
または2に記載の発明において、上記擬似成分CHxO
y中のxおよびyの値を、使用する炭種の工業分析値お
よび元素分析値から求め、かつ得られた上記xおよびy
の値から、当該CHxOyの分子量を求めることを特徴
とするものである。
または2に記載の発明において、上記擬似成分CHxO
y中のxおよびyの値を、使用する炭種の工業分析値お
よび元素分析値から求め、かつ得られた上記xおよびy
の値から、当該CHxOyの分子量を求めることを特徴
とするものである。
【0018】さらに、請求項4に記載の発明は、請求項
1〜3のいずれかに記載の発明において、上記石炭の高
位発熱量および固定炭素の高位発熱量を用いて、上記擬
似成分CHxOyの高位発熱量および標準生成熱を求め
ることを特徴とするものである。
1〜3のいずれかに記載の発明において、上記石炭の高
位発熱量および固定炭素の高位発熱量を用いて、上記擬
似成分CHxOyの高位発熱量および標準生成熱を求め
ることを特徴とするものである。
【0019】次いで、請求項5に記載の本発明に係る石
炭ガス化のシミュレーションシステムは、石炭、水およ
び二酸化炭素吸収剤を原料とし、ガス化炉内において6
00〜700℃、10〜25MPaの条件下でガス化さ
せる石炭利用HyPr−RINGプロセスをシミュレー
ションするシステムであって、上記ガス化において石炭
粒子が温度上昇により熱分解することによって放出され
る揮発分の成分を、擬似成分CHxOyと仮定して、請
求項1ないし4のいずれかに記載のモデリング方法を用
いて上記石炭ガス化をモデリングしていることを特徴と
するものである。
炭ガス化のシミュレーションシステムは、石炭、水およ
び二酸化炭素吸収剤を原料とし、ガス化炉内において6
00〜700℃、10〜25MPaの条件下でガス化さ
せる石炭利用HyPr−RINGプロセスをシミュレー
ションするシステムであって、上記ガス化において石炭
粒子が温度上昇により熱分解することによって放出され
る揮発分の成分を、擬似成分CHxOyと仮定して、請
求項1ないし4のいずれかに記載のモデリング方法を用
いて上記石炭ガス化をモデリングしていることを特徴と
するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の石炭ガス化をシ
ミュレーションするためのモデリング方法およびこれを
組み込んだ石炭ガス化のシミュレーションシステムの一
実施形態を示すもので、石炭利用HyPr−RINGプ
ロセスシミュレーションおよびガス化炉の数値流体解析
手法の高精度化を図るために開発されたものである。石
炭微粒子は、粗炭、水、チャーおよび灰分の4部分から
なっており、上記粗炭は、揮発分とチャーとからなって
いる。そして、石炭微粒子、水および二酸化炭素吸収剤
としてのCaOを原料としてガス化炉内に供給した後、
炉内の熱によって加熱すると、先ず石炭微粒子中の水分
が蒸発する。その後、温度の上昇に従って、熱分解によ
り粗炭から揮発分が分解され、600〜700℃、10
〜25MPaの条件下においてチャーのガス化反応およ
び揮発分を含む気相反応を行なう。そこで、本モデリン
グ方法においては、上記揮発分の組成式を擬似成分CH
xOyと仮定した。この結果、揮発分は、水による反応
式(13)〜(16)の気相反応を行ない、揮発分が放
出された後のチャーは、反応式(17)〜(20)の固
−気反応を行なう。
ミュレーションするためのモデリング方法およびこれを
組み込んだ石炭ガス化のシミュレーションシステムの一
実施形態を示すもので、石炭利用HyPr−RINGプ
ロセスシミュレーションおよびガス化炉の数値流体解析
手法の高精度化を図るために開発されたものである。石
炭微粒子は、粗炭、水、チャーおよび灰分の4部分から
なっており、上記粗炭は、揮発分とチャーとからなって
いる。そして、石炭微粒子、水および二酸化炭素吸収剤
としてのCaOを原料としてガス化炉内に供給した後、
炉内の熱によって加熱すると、先ず石炭微粒子中の水分
が蒸発する。その後、温度の上昇に従って、熱分解によ
り粗炭から揮発分が分解され、600〜700℃、10
〜25MPaの条件下においてチャーのガス化反応およ
び揮発分を含む気相反応を行なう。そこで、本モデリン
グ方法においては、上記揮発分の組成式を擬似成分CH
xOyと仮定した。この結果、揮発分は、水による反応
式(13)〜(16)の気相反応を行ない、揮発分が放
出された後のチャーは、反応式(17)〜(20)の固
−気反応を行なう。
【0021】 CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−y)H2(13) CO+H2O⇔CO2+H2 (14) CO+3H2→CH4+H2O (15) CH4+2H2O→CO2+4H2 (16) C+H2O→CO+H2 (17) C+CO2→2CO (18) C+2H2→CH4 (19) CaO+CO2→CaCO3 (20)
【0022】ここで、上記擬似成分CHxOyに関する
各物性値は、下記のようにして求めることができる。 (A)xおよびyの値 使用する炭種の工業分析値および元素分析値から求め
る。 (B)擬似成分CHxOyの分子量M 上記(A)において得られたxおよびyの値および単位
分子量から、M=12.011+1.008x+15.
999yによって求める。
各物性値は、下記のようにして求めることができる。 (A)xおよびyの値 使用する炭種の工業分析値および元素分析値から求め
る。 (B)擬似成分CHxOyの分子量M 上記(A)において得られたxおよびyの値および単位
分子量から、M=12.011+1.008x+15.
999yによって求める。
【0023】(C)擬似成分CHxOyの高位発熱量 石炭の高位発熱量=固定炭素分の高位発熱量+CHxO
y分の高位発熱量が成立すると仮定すれば、石炭の高位
発熱量や固定炭素の発熱量は、文献中から調べることが
できるため、 CHxOy分の高位発熱量=石炭の高位発熱量−固定炭
素分の高位発熱量 によって求めることができる。
y分の高位発熱量が成立すると仮定すれば、石炭の高位
発熱量や固定炭素の発熱量は、文献中から調べることが
できるため、 CHxOy分の高位発熱量=石炭の高位発熱量−固定炭
素分の高位発熱量 によって求めることができる。
【0024】(D)擬似成分CHxOyの標準生成熱 既知のCO2、H2O、O2の標準生成熱や上記(C)
において得られる擬似成分CHxOyの高位発熱量Qを
用いて、下記(21)式、(22)式により、CHxO
yの標準生成熱が求められる。 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+(x/2)H2O+Q (21) ΔHr=ΣviΔHfp−ΣviΔHfr (22) ここに、ΔHrは、上記(21)式の標準反応熱であ
り、ΔHfpは、生成物の標準生成熱、ΔHfrは、反
応物の標準生成熱である。また、viは、各化学種の量
論係数である。そして、(21)式および(22)式に
おいては、ΔHr=Qである。
において得られる擬似成分CHxOyの高位発熱量Qを
用いて、下記(21)式、(22)式により、CHxO
yの標準生成熱が求められる。 CHxOy+(1+x/4−y/2)O2→CO2+(x/2)H2O+Q (21) ΔHr=ΣviΔHfp−ΣviΔHfr (22) ここに、ΔHrは、上記(21)式の標準反応熱であ
り、ΔHfpは、生成物の標準生成熱、ΔHfrは、反
応物の標準生成熱である。また、viは、各化学種の量
論係数である。そして、(21)式および(22)式に
おいては、ΔHr=Qである。
【0025】(E)上記反応式(21)における標準エ
ントロピー変化ΔSr 標準状態下の気体を理想気体と仮定すると、エントロピ
ー変化ΔSと圧力変化の関係は、下式で表される。 ΔS=−Rln(P2/P1) (23) ここに、Rは気体定数、Pは圧力である。上記反応式
(21)において、標準エントロピー変化ΔSrは、以
下の(24)式が成立すると仮定することにより、(2
1)式の標準エントロピー変化が求められる。 ΔSr=−Rln{(1+x/2)/(1+1+x/4−y/2)} (24)
ントロピー変化ΔSr 標準状態下の気体を理想気体と仮定すると、エントロピ
ー変化ΔSと圧力変化の関係は、下式で表される。 ΔS=−Rln(P2/P1) (23) ここに、Rは気体定数、Pは圧力である。上記反応式
(21)において、標準エントロピー変化ΔSrは、以
下の(24)式が成立すると仮定することにより、(2
1)式の標準エントロピー変化が求められる。 ΔSr=−Rln{(1+x/2)/(1+1+x/4−y/2)} (24)
【0026】(F)上記反応式(21)における標準自
由エネルギー変化ΔGr 標準反応熱ΔHr(式(21)については、ΔHr=
Q)および標準エントロピー変化ΔSrは、上述したよ
うに得られるために、これらを用いて、下記(25)式
により標準自由エネルギー変化ΔGrを求めることがで
きる。 ΔGr=ΔHr−TΔSr (25) ここで、Tは温度であり、値は298.15Kである。
由エネルギー変化ΔGr 標準反応熱ΔHr(式(21)については、ΔHr=
Q)および標準エントロピー変化ΔSrは、上述したよ
うに得られるために、これらを用いて、下記(25)式
により標準自由エネルギー変化ΔGrを求めることがで
きる。 ΔGr=ΔHr−TΔSr (25) ここで、Tは温度であり、値は298.15Kである。
【0027】(G)CHxOyの標準生成自由エネルギ
ー 式(21)におけるO2、CO2、H2Oの標準生成自
由エネルギー(ΔGf)と、標準自由エネルギー変化Δ
Grとを用いて、下記式(26)によりCHxOyの標
準生成自由エネルギーが求められる。 ΔGr=ΣviΔGfp−ΣviΔGfr (26) ここで、ΔGfpは、生成物の標準生成自由エネルギ
ー、ΔHfrは、反応物の標準生成自由エネルギーであ
り、viは、各化学種の量論係数である。
ー 式(21)におけるO2、CO2、H2Oの標準生成自
由エネルギー(ΔGf)と、標準自由エネルギー変化Δ
Grとを用いて、下記式(26)によりCHxOyの標
準生成自由エネルギーが求められる。 ΔGr=ΣviΔGfp−ΣviΔGfr (26) ここで、ΔGfpは、生成物の標準生成自由エネルギ
ー、ΔHfrは、反応物の標準生成自由エネルギーであ
り、viは、各化学種の量論係数である。
【0028】(H)CHxOyの絶対エントロピー 式(21)におけるO2、CO2、H2Oの絶対エント
ロピーおよび標準エントロピー変化を用いて、下記式
(27)によりCHxOyの絶対エントロピーを求める
ことができる。 ΔSr=ΣviΔSip−ΣviΔSir (27) ここで、ΔSrは、標準エントロピー変化、ΔSi
pは、生成物の絶対エントロピー、ΔSirは、反応物
の絶対エントロピーであり、viは、各化学種の量論係
数である。
ロピーおよび標準エントロピー変化を用いて、下記式
(27)によりCHxOyの絶対エントロピーを求める
ことができる。 ΔSr=ΣviΔSip−ΣviΔSir (27) ここで、ΔSrは、標準エントロピー変化、ΔSi
pは、生成物の絶対エントロピー、ΔSirは、反応物
の絶対エントロピーであり、viは、各化学種の量論係
数である。
【0029】(I)上記反応式(13)における標準反
応熱 反応器を設計するためには、反応速度以外に、各反応か
ら発生する熱量が非常に重要になる。この熱は、生成物
質と反応物質とが持つ各熱量に基づいて生じるものであ
る。そして、標準反応熱は、標準生成熱から直接求める
ことができる。したがって、上記方法によりCHxOy
の標準生成熱を求めれば、(13)式の標準反応熱を
(22)式より求めることができる。
応熱 反応器を設計するためには、反応速度以外に、各反応か
ら発生する熱量が非常に重要になる。この熱は、生成物
質と反応物質とが持つ各熱量に基づいて生じるものであ
る。そして、標準反応熱は、標準生成熱から直接求める
ことができる。したがって、上記方法によりCHxOy
の標準生成熱を求めれば、(13)式の標準反応熱を
(22)式より求めることができる。
【0030】(J)上記反応式(13)における平衡係
数K 熱力学を用いると、標準反応熱の算出以外に、平衡定数
の計算や予め設定した温度、圧力、出発混合物の組成等
の条件における最大到達転化率も決定することができ
る。そして、平衡定数Kは、反応の標準自由エネルギー
変化ΔGrより求めることができる。 ΔGr=−RTlnK (28) この標準自由エネルギー変化は、(26)式より各化学
種の標準生成自由エネルギーから求められる。
数K 熱力学を用いると、標準反応熱の算出以外に、平衡定数
の計算や予め設定した温度、圧力、出発混合物の組成等
の条件における最大到達転化率も決定することができ
る。そして、平衡定数Kは、反応の標準自由エネルギー
変化ΔGrより求めることができる。 ΔGr=−RTlnK (28) この標準自由エネルギー変化は、(26)式より各化学
種の標準生成自由エネルギーから求められる。
【0031】(K)ガス化炉の熱収支 ガス化炉の熱収支は、図2に示す反応経路によって計算
することができる。 (1)反応物を状態1から参考状態に変化させる場合の
エンタルピー変化(H2−H1)を計算する。 (2)炉内各反応の標準反応熱により、総標準反応熱Σ
ΔHrを計算する。 (3)生成物を参考状態から状態2に変化させる場合の
エンタルピー変化(H4−H3)を計算する。 そして、ガス化炉の熱負荷=(H2−H1)+ΣΔHr
+(H4−H3)になる。また、各反応における標準反
応熱は、(22)式によって、各化学種の標準生成熱か
ら計算する。
することができる。 (1)反応物を状態1から参考状態に変化させる場合の
エンタルピー変化(H2−H1)を計算する。 (2)炉内各反応の標準反応熱により、総標準反応熱Σ
ΔHrを計算する。 (3)生成物を参考状態から状態2に変化させる場合の
エンタルピー変化(H4−H3)を計算する。 そして、ガス化炉の熱負荷=(H2−H1)+ΣΔHr
+(H4−H3)になる。また、各反応における標準反
応熱は、(22)式によって、各化学種の標準生成熱か
ら計算する。
【0032】以上の構成からなる石炭ガス化をシミュレ
ーションするためのモデリング方法または石炭ガス化の
シミュレーションシステムは、当該モデリング方法のソ
ースコードを汎用のプロセスシミュレーションツール
(例えば、米国Simulation Science
Inc.社のPRO/II、米国Aspen Tec
hnology Inc.社のASPEN―Plusな
ど)、汎用数値流体解析ツール(例えば、英国Conc
entration Heat and Moment
um Limited社のPHOENICS、米国Fl
uent Inc.社のFLUENTなど)および自社
開発のプロセスシミュレーションツールや数値流体解析
ツールなどと組み合わせることによって、石炭利用Hy
Pr−RINGプロセスガス化炉の物質収支、エネルギ
ー収支、化学平衡、化学反応速度などの種々のシミュレ
ーションを行うことができる。
ーションするためのモデリング方法または石炭ガス化の
シミュレーションシステムは、当該モデリング方法のソ
ースコードを汎用のプロセスシミュレーションツール
(例えば、米国Simulation Science
Inc.社のPRO/II、米国Aspen Tec
hnology Inc.社のASPEN―Plusな
ど)、汎用数値流体解析ツール(例えば、英国Conc
entration Heat and Moment
um Limited社のPHOENICS、米国Fl
uent Inc.社のFLUENTなど)および自社
開発のプロセスシミュレーションツールや数値流体解析
ツールなどと組み合わせることによって、石炭利用Hy
Pr−RINGプロセスガス化炉の物質収支、エネルギ
ー収支、化学平衡、化学反応速度などの種々のシミュレ
ーションを行うことができる。
【0033】そして、上記モデリング方法またはシミュ
レーションシステムによれば、石炭を揮発分、チャー、
水分、灰分などに分けて考慮しているので、従来の前記
に挙げたモデリング方法のように、石炭全体をCxH
yOzに簡略化して仮定したものと比較して、性質が大
きく異なっている揮発分やチャーについて各自の反応速
度式、標準生成自由エネルギーおよび標準生成熱などを
持つことができ、化学平衡、化学反応速度およびエネル
ギー収支などの計算精度を大幅に改善することができ
る。
レーションシステムによれば、石炭を揮発分、チャー、
水分、灰分などに分けて考慮しているので、従来の前記
に挙げたモデリング方法のように、石炭全体をCxH
yOzに簡略化して仮定したものと比較して、性質が大
きく異なっている揮発分やチャーについて各自の反応速
度式、標準生成自由エネルギーおよび標準生成熱などを
持つことができ、化学平衡、化学反応速度およびエネル
ギー収支などの計算精度を大幅に改善することができ
る。
【0034】また、揮発分の組成式に付いては、CHx
Oyという擬似成分に仮定しているので、前記に示し
た従来のモデリング方法のように、揮発分中の酸素量を
無視して揮発分をCHxに仮定し、かつこのCHxに直
接CH4 の物性値を用いた方法と比べて、実際の揮発
分中の酸素量が無視されることがなく、よって化学平
衡、物質収支およびエネルギー収支の計算精度を改善す
ることができる。
Oyという擬似成分に仮定しているので、前記に示し
た従来のモデリング方法のように、揮発分中の酸素量を
無視して揮発分をCHxに仮定し、かつこのCHxに直
接CH4 の物性値を用いた方法と比べて、実際の揮発
分中の酸素量が無視されることがなく、よって化学平
衡、物質収支およびエネルギー収支の計算精度を改善す
ることができる。
【0035】加えて、上記揮発分の組成式については、
CHxOyという擬似成分に仮定しているので、当該揮
発分の組成がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定した上記従来のモ
デリング方法と比べて、石炭分析値や炭種によって揮
発分中各成分の割合を決定することが困難であった問題
や、化学種であるメタン、水素、一酸化炭素の標準生成
熱から求めた標準反応熱が、実際の石炭揮発分の発熱量
と一致しないなどの問題を解決することもできる。
CHxOyという擬似成分に仮定しているので、当該揮
発分の組成がメタン、水素、一酸化炭素および水蒸気な
どの化学種から構成されていると仮定した上記従来のモ
デリング方法と比べて、石炭分析値や炭種によって揮
発分中各成分の割合を決定することが困難であった問題
や、化学種であるメタン、水素、一酸化炭素の標準生成
熱から求めた標準反応熱が、実際の石炭揮発分の発熱量
と一致しないなどの問題を解決することもできる。
【0036】さらに、熱力学理論を用い、石炭高位発熱
量や固定炭素の高位発熱量から石炭揮発分の高位発熱
量、標準生成熱および標準生成自由エネルギーなどの物
性を求めることにより、実際に扱う炭種の実際の性質を
反映することができ、理論的にも実用的にも信頼性が高
く、かつ精度に優れる石炭利用HyPr−RINGプロ
セスのシミュレーションを行うことが可能になる。しか
も、上記揮発分を、擬似成分CHxOyと仮定している
結果、上記(A)〜(K)のステップを用いることによ
り、全ての炭種について適用することができる。
量や固定炭素の高位発熱量から石炭揮発分の高位発熱
量、標準生成熱および標準生成自由エネルギーなどの物
性を求めることにより、実際に扱う炭種の実際の性質を
反映することができ、理論的にも実用的にも信頼性が高
く、かつ精度に優れる石炭利用HyPr−RINGプロ
セスのシミュレーションを行うことが可能になる。しか
も、上記揮発分を、擬似成分CHxOyと仮定している
結果、上記(A)〜(K)のステップを用いることによ
り、全ての炭種について適用することができる。
【0037】
【実施例】(実施例1)石炭中における揮発分の物性の
計算 上記実施の形態に示したモデリング方法を用いて、表1
に示す炭種について、石炭の揮発分の擬似成分組成式C
HxOy中のxおよびyの値、擬似成分CHxOyの分
子量、高位発熱量、標準生成熱、標準生成自由エネルギ
ーおよび反応式(21)の標準エントロピー変化を計算
した。表2は、その結果を示すものである。
計算 上記実施の形態に示したモデリング方法を用いて、表1
に示す炭種について、石炭の揮発分の擬似成分組成式C
HxOy中のxおよびyの値、擬似成分CHxOyの分
子量、高位発熱量、標準生成熱、標準生成自由エネルギ
ーおよび反応式(21)の標準エントロピー変化を計算
した。表2は、その結果を示すものである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】(実施例2)石炭利用HyPr−RING
プロセスのガス化炉物質収支および熱収支シミュレーシ
ョン 実施例1において表1に示した炭種および計算された物
性値を用いて、石炭利用HyPr−RINGプロセスの
ガス化炉物質収支および熱収支シミュレーションを行な
った。表3は、計算条件および結果と試験値との比較を
示すものである。また、図3は、上記シミュレーション
によって得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率および
ガス化炉熱負荷の関係を示すものであり、図4は、ガス
化炉入口CaO/Coal比と冷ガス効率およびガス化
炉熱負荷の関係を示すものである。
プロセスのガス化炉物質収支および熱収支シミュレーシ
ョン 実施例1において表1に示した炭種および計算された物
性値を用いて、石炭利用HyPr−RINGプロセスの
ガス化炉物質収支および熱収支シミュレーションを行な
った。表3は、計算条件および結果と試験値との比較を
示すものである。また、図3は、上記シミュレーション
によって得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率および
ガス化炉熱負荷の関係を示すものであり、図4は、ガス
化炉入口CaO/Coal比と冷ガス効率およびガス化
炉熱負荷の関係を示すものである。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜5のい
ずれかに記載の本発明によれば、石炭利用HyPr−R
INGプロセスをシミュレーションするに際して、石炭
を揮発分、チャー、水分、灰分などに分けて考慮し、か
つ揮発分の組成式をCHxOyという擬似成分として仮
定しているので、性質が大きく異なる揮発分やチャーに
ついて、各自の反応速度式、標準生成自由エネルギーお
よび標準生成熱などを得ることができ、この結果化学平
衡、化学反応速度、物質収支およびエネルギー収支など
の計算精度を大幅に改善することができるため、実際に
扱う炭種の実際の性質を反映した理論的にも実用的にも
信頼性が高く、かつ精度に優れるシミュレーションを行
うことができる。
ずれかに記載の本発明によれば、石炭利用HyPr−R
INGプロセスをシミュレーションするに際して、石炭
を揮発分、チャー、水分、灰分などに分けて考慮し、か
つ揮発分の組成式をCHxOyという擬似成分として仮
定しているので、性質が大きく異なる揮発分やチャーに
ついて、各自の反応速度式、標準生成自由エネルギーお
よび標準生成熱などを得ることができ、この結果化学平
衡、化学反応速度、物質収支およびエネルギー収支など
の計算精度を大幅に改善することができるため、実際に
扱う炭種の実際の性質を反映した理論的にも実用的にも
信頼性が高く、かつ精度に優れるシミュレーションを行
うことができる。
【図1】本発明のモデリング方法およびこれを組み込ん
だシミュレーションシステムの一実施形態を示す概念図
である。
だシミュレーションシステムの一実施形態を示す概念図
である。
【図2】本発明の一実施形態におけるガス化炉の熱収支
の計算方法を説明するための概念図である。
の計算方法を説明するための概念図である。
【図3】本発明の実施例2のシミュレーションによって
得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率およびガス化炉
熱負荷の関係を示すグラフである。
得られたガス化炉出口温度と冷ガス効率およびガス化炉
熱負荷の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例2のシミュレーションによって
得られたガス化炉入口CaO/Coal比と冷ガス効率
およびガス化炉熱負荷の関係を示すグラフである。
得られたガス化炉入口CaO/Coal比と冷ガス効率
およびガス化炉熱負荷の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三橋 雄志 東京都文京区小石川1−3−25 小石川大 国ビル 三菱マテリアル株式会社システム 事業センター内 (72)発明者 梅村 昭男 東京都文京区小石川1−3−25 小石川大 国ビル 三菱マテリアル株式会社システム 事業センター内
Claims (5)
- 【請求項1】 石炭、水および二酸化炭素吸収剤を原料
とし、ガス化炉内において600〜700℃、10〜2
5MPaの条件下でガス化させる石炭利用HyPr−R
INGプロセスをシミュレーションするに際して、上記
ガス化において石炭粒子が温度上昇により熱分解するこ
とによって放出される揮発分の成分を、擬似成分CHx
Oyと仮定して上記石炭ガス化をモデリングすることを
特徴とする石炭ガス化をシミュレーションするためのモ
デリング方法。 - 【請求項2】 上記原料および上記擬似成分CHxOy
に基づき、 CHxOy+(1−y)H2O→CO+(1+x/2−
y)H2 CO+H2O⇔CO2+H2 CO+3H2→CH4+H2O CH4+2H2O→CO2+4H2 C+H2O→CO+H2 C+CO2→2CO C+2H2→CH4 MO+CO2→MCO3(Mは、アルカリ金属) の全部または一部の反応式を用いて上記石炭利用HyP
r−RINGプロセスをシミュレーションすることを特
徴とする請求項1に記載の石炭ガス化をシミュレーショ
ンするためのモデリング方法。 - 【請求項3】 上記擬似成分CHxOy中のxおよびy
の値を、使用する炭種の工業分析値および元素分析値か
ら求め、かつ得られた上記xおよびyの値から、当該C
HxOyの分子量を求めることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載の石炭ガス化をシミュレーションするため
のモデリング方法。 - 【請求項4】 上記石炭の高位発熱量および固定炭素の
高位発熱量を用いて、上記擬似成分CHxOyの高位発
熱量および標準生成熱を求めることを特徴とする請求項
1ないし3のいずれかに記載の石炭ガス化をシミュレー
ションするためのモデリング方法。 - 【請求項5】 石炭、水および二酸化炭素吸収剤を原料
とし、ガス化炉内において600〜700℃、10〜2
5MPaの条件下でガス化させる石炭利用HyPr−R
INGプロセスをシミュレーションするシステムであっ
て、 上記ガス化において石炭粒子が温度上昇により熱分解す
ることによって放出される揮発分の成分を、擬似成分C
HxOyと仮定して、請求項1ないし4のいずれかに記
載のモデリング方法を用いて上記石炭ガス化をモデリン
グしていることを特徴とする石炭ガス化のシミュレーシ
ョンシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001163000A JP2002356682A (ja) | 2001-05-30 | 2001-05-30 | 石炭ガス化をシミュレーションするためのモデリング方法および石炭ガス化のシミュレーションシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001163000A JP2002356682A (ja) | 2001-05-30 | 2001-05-30 | 石炭ガス化をシミュレーションするためのモデリング方法および石炭ガス化のシミュレーションシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002356682A true JP2002356682A (ja) | 2002-12-13 |
Family
ID=19006043
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001163000A Pending JP2002356682A (ja) | 2001-05-30 | 2001-05-30 | 石炭ガス化をシミュレーションするためのモデリング方法および石炭ガス化のシミュレーションシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002356682A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008529757A (ja) * | 2005-01-14 | 2008-08-07 | アルファ・ラヴァル・ヴィカール | 開放プレート型反応器における化学反応の最適化 |
JP2008268377A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Central Res Inst Of Electric Power Ind | 微粉炭燃焼シミュレーション方法及び微粉炭燃焼シミュレーション装置 |
WO2015019404A1 (ja) * | 2013-08-05 | 2015-02-12 | 三菱日立パワーシステムズ株式会社 | 石炭燃焼計算方法および石炭燃焼計算装置 |
-
2001
- 2001-05-30 JP JP2001163000A patent/JP2002356682A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008529757A (ja) * | 2005-01-14 | 2008-08-07 | アルファ・ラヴァル・ヴィカール | 開放プレート型反応器における化学反応の最適化 |
JP2008268377A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Central Res Inst Of Electric Power Ind | 微粉炭燃焼シミュレーション方法及び微粉炭燃焼シミュレーション装置 |
WO2015019404A1 (ja) * | 2013-08-05 | 2015-02-12 | 三菱日立パワーシステムズ株式会社 | 石炭燃焼計算方法および石炭燃焼計算装置 |
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