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JP2002213344A - 風力発電装置を搭載の農水産物栽培装置による農水産物栽培方法 - Google Patents

風力発電装置を搭載の農水産物栽培装置による農水産物栽培方法

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Publication number
JP2002213344A
JP2002213344A JP2001040898A JP2001040898A JP2002213344A JP 2002213344 A JP2002213344 A JP 2002213344A JP 2001040898 A JP2001040898 A JP 2001040898A JP 2001040898 A JP2001040898 A JP 2001040898A JP 2002213344 A JP2002213344 A JP 2002213344A
Authority
JP
Japan
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agricultural
cultivation
tower
marine
marine product
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001040898A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Mihara
俊朗 三原
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GURESSEN JAPAN KK
Original Assignee
GURESSEN JAPAN KK
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Publication date
Application filed by GURESSEN JAPAN KK filed Critical GURESSEN JAPAN KK
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/70Wind energy
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  • Wind Motors (AREA)
  • Cultivation Of Plants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】園芸栽培、栽培漁業、における農水産物栽培方
法において、クリーンな手法で低コストな農水産物を栽
培する方法を提供する。 【解決手段】出力1.5メガワット以上の水平軸大型風
力発電装置を搭載した農水産物栽培装置において、農産
物栽培塔と水産物栽培塔が大型風力発電装置の下部回転
翼支持塔を兼ねるようにし、かつ商用電力網と系統連繋
しないようにして、農水産物を栽培する方法を解決手段
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は栽培装置を利用した
農水産物栽培方法に関する。この技術分野は、農産物栽
培法においては施設園芸栽培法に代表される技術分野で
あり、水産業においては栽培漁業法に代表される技術分
野である。
【0002】
【従来の技術】風力発電エネルギーを農産物栽培、ある
いは水産物栽培に投入することは、最近盛んに行われて
いる。理由は、水平軸型大型風力発電装置の技術が急速
に発展・成熟してきて、原子力発電、火力発電などによ
る従来の主要商用電力の電力コストに対して、風力発電
の電力コストが比肩できる程に低下してきたことが主な
理由である。当然ながら、昨今の、化石エネルギー系使
用(に由来する炭酸ガス、SOx、NOx、微粒子、等
々)、原子力エネルギー使用(に由来する事故時の放射
性物質の漏れ)が引き起こす地球環境汚染問題に関し
て、風力エネルギーの持つクリーン性を生かそうとする
努力がその背景にある。
【0003】先行技術の調査について、次の項目1)〜
5)に関して、それぞれ項目別に記述する。また公知技
術について、次の項目A)、B)に関して、それぞれ項
目別に記述する。 先行技術の調査:。 1)風力発電エネルギーを水産物栽培に投入する技術。 2)風力発電エネルギーを農水産物栽培に投入する技
術。 3)農産物栽培棟に関するシート張りの技術。 4)伸縮基礎脚に関する技術。 5)水産物栽培塔に関する技術。 公知技術の記述:。 A)水平軸型大型風力発電装置の回転翼支持塔の技術。 B)植物工場関連の技術。
【0004】前述の先行技術の調査に関する、項目1)
風力発電エネルギーを水産物栽培に投入する技術、に関
して:代表的なものは特開平2000−213451で
ある。これは、海上に風力発電装置を建設する例であ
る。回転翼支持塔であるタワーを、海底に設置された基
礎ブロックの上に、建設し、タワーの海面下の部分を漁
礁に利用するものである。この先行技術には本発明は抵
触しない。このほか多数、類似の先行技術例があるが、
いずれも本発明が抵触する先行技術例は発見されなかっ
た。
【0005】前述の先行技術の調査に関する、項目2)
風力発電エネルギーを農水産物栽培に投入する技術に関
して:代表的なものは特開平8−26184である。こ
れは、発電台船の上に風力発電装置、水力発電装置など
の発電装置を設置し、電力を、発電台船に設置された、
農産物装置、水産物装置にエネルギーを供給する物であ
る。この先行技術例には本発明は抵触しない。このほか
多数、類似の先行技術例があるが(例えば特開平7−2
55280等々)、いずれも本発明が抵触する先行技術
例は見出されなかった。
【0006】前述の先行技術の調査に関する、項目3)
農産物栽培塔に関するシート張りの技術に関して:本発
明に相当する先行技術例は見出せなかった。殆どがビニ
ールハウスの鉛直方向にシートを巻き上げる、巻き下ろ
すものである。やむを得ず類似的なものを探索した。類
似的には、特開平5−252837、特開平10−18
3754、特開平11−289882などがある。これ
らの先行技術例には本発明は抵触しない。
【0007】前述の先行技術の調査の、項目4)伸縮基
礎脚に関する技術について:本発明に相当する先行技術
は見出せなかった。やむを得ず関連的なものを探索し
た。関連的には、特公平8−19662、特開平10−
205429、特公平8−19661等々があるが、本
発明が抵触するものではない。
【0008】前述の先行技術の調査の、項目5)水産物
栽培塔に関する技術について:調査項目は人工漁礁、生
け簀、種苗育成放流、湧昇流人工発生などであるが、本
発明が抵触する先行技術は見出されなかった。海産物の
栽培漁業の手段である人工魚礁についても、多数出願が
あり、本発明に近いものでは特開2000−21345
1がある。コストの観点からは、いずれの場合も水産物
栽培塔、あるいは水産物栽培塔と同等の機能を果たす構
造物は独自の設備であり、コストがゼロにはならない。
【0009】前述の公知技術の、項目A)水平軸大型風
力発電装置の回転翼支持塔の技術、に関して説明する。
最近の商用の大型風力発電装置の建設台数はいわゆる水
平軸型が圧倒的に多く、サボニウス型、ダリウス型に代
表される垂直軸型の大型風力発電装置は建設例が少な
い。ここで大型とは、2001年初頭現在、商業的に、
安定的に多数建設されていて、最も出力が大きいクラス
である、出力1.5メガワットクラス、あるいは建設例
はまだ少ないが、1.5メガワット以上のクラスを意味
する。
【0010】図7(b)は水平軸大型風力発電装置の模
式図である。回転翼12は回転翼支持塔11によって支
えられる。回転翼の回転直径φDblは66m程度ある
いはそれ以上であり、ジャンボジェット機の翼長より大
きい。回転翼支持塔(タワーとも呼ばれる)は鋼管製で
直径φDtwはほぼ4m〜6m程度である。その高さは
ほぼハブ高さHhbに等しく60m〜80m程度であ
り、20階建て〜25階建の高層ビルの高さに相当す
る。図7(a)には1990年代初期より以前に建設例
の多い、中型以下の風力発電装置が参考比較のために模
式的に示されている。この場合、回転翼支持塔は送電線
の鉄塔に近似している。
【0011】次に、前述の公知の技術:B)植物工場関
連の技術について説明する。農産物の露地栽培法に対し
て、人工的に栽培環境を整えて、自然環境の不安定さ
(寒暖、風雨、日照、病虫害、等々の不安定さ)を緩和
して、収量を向上させ、高収益を得るための技術が施設
園芸栽培法である。この自然環境の不安定さを緩和させ
る程度によって、種々の段階がある。最も緩和の程度が
低い例としては、野菜のトンネル栽培がある。トンネル
栽培は露地栽培の上にビニールでトンネル状の覆いを設
けるのみの栽培法である。効果は大きく、霜の害を防ぐ
効果、保温効果などがある。投入コスト、投入エネルギ
ーは比較的少ない。反対に100%自然環境の影響を緩
和(即ち、全く自然環境の影響を排除・遮断)して農産
物を栽培する技術に、完全制御型植物工場栽培法があ
る。この場合は、投入コスト、投入エネルギーは多い。
この両極端の緩和の事例の中間段階に、ビニールハウス
栽培法、ガラスハウス栽培法などの、種々の栽培法があ
る。
【0012】植物工場の一般的な定義は、次の2項目で
ある。 (I)完全制御型植物工場の定義:土無し栽培、自然太
陽光無し・人工太陽光(ランプ光)利用、完全密閉・完
全空調(温度・湿度制御)栽培による農産物の栽培装
置。 (II)準完全制御型植物工場の定義:土無し栽培、人
工太陽光・自然太陽光併用、完全密閉・準完全空調栽培
による農産物の栽培装置。 植物工場栽培法は、完全密閉であるので病虫害が無く、
農薬が不要、周年栽培による多回転生産・収穫が可能、
科学的管理が可能、などの要素によって高収益を得るこ
とを狙いとしている。その反面、建設コスト、投入電気
エネルギーコストなどは多い。
【0013】植物工場の生産品目は、葉菜類(レタス、
サラダ菜、ほうれん草、クレソン、等々)、果菜類(ト
マト、イチゴ、メロン、等々)、花卉類(ガーベラ等
々)、薬草類(ジキタリス等々)、菌類(きのこ類)な
どである。このうち、現状の植物工場の主流生産品は葉
菜類、菌類であり、果菜類は主流生産品ではなく実例は
殆ど無い。果菜は主として、密閉空間型でない栽培方
法:ガラスハウス栽培、ビニールハウス栽培、露地栽培
などの栽培法が主流である。
【0014】これは次の事情による。即ち: α)植物工場は2001年初頭現在の技術では光量(即
ち照度)が不足気味である。しかるに果菜類は高照度を
長期間要求する。一方葉菜類は要求照度(要求光量)が
比較的少ない場合が多い。これは技術的に高照度に出来
ないということではなく、単に投入コストが多くなって
採算が取れなくなると言う事情による。投入コストの例
は冷房運転費(照度を高くすることは投入エネルギーを
大にすることであり、密閉空間内に蓄積される熱量を取
り去らなければならない)、冷房装置導入費、ランプ自
身の費用、ランプ電力費用などである。ランプ自身の費
用は次を含む;1.工場建設後の最初の操業時のランプ
費用、2.ランプ寿命毎の交換ランプ費用、3.ランプ
点灯用電源装置の費用、4.ランプ笠(ランプ反射板な
ど)の費用。 β)一般に葉菜類は生育機関が短く、周年回転数(1年
間での、播種、生育、収穫の繰り返し回数)が多く年1
0回程度も回転可能である。一方果菜類は生育機関が長
く回転数が少ない。 植物工場は周年回転数を多くして、少ない立地面積で等
価的に広大な経営面積(即ち等価的な露地換算面積)を
得て、高収益を得るための装置であるから、この意味で
葉菜類が適している。またきのこ類も高い照度を要求し
ないので植物工場に適している。経営面積は次の数式で
表される。*は掛け算記号である。 経営面積(等価的な露地換算面積)=(周年回転数)*
(工場面積)。
【0015】植物工場を立体・高層化することが過去
に、植物工場関係者の間で、繰り返し繰り返し、執拗に
企てられ、チャレンジ、されてきたのは次の数式からも
よくわかる。ここでNは層数(オフィスビルでいえば階
数に相当)である。 経営面積(等価的な露地換算面積)=(周年回転数)*
(工場面積)*N。 即ち、例えば20階建てのオフィスビルならば平屋建て
のオフィスビルより20倍の職員を収容できる。同じく
20層の高層植物工場であれば、平屋建ての植物工場の
20倍も経営面積が増大する。
【0016】一例として、半径20m程度、20層、周
年10回転の、円筒状の立体・高層植物工場は25ヘク
タールの大規模露地農場に相当する。但し露地栽培は年
1回の収穫と仮定している。 経営面積=約25ha(=π*20m*20m*20層
*10回転)、 しかしながら現実的には、植物工場は過去に、スポット
ライトをあびて登場したが、現在退潮気味である。一方
高層植物工場に関する特許の出願は相変わらず多い。こ
れは次ぎの事情によるものと推定される。 i)昨今の地球環境汚染に関する関心の高まりから、農
薬を使用しない植物工場のクリーン性への関心の高さ。 ii)クリーンな電力である風力発電電力のコストが原
子力、火力などの地球環境汚染的な発電電力のコストに
近づきつつある。 iii)上記のi)、ii)の誘発に加えて、敷地面積
の非常に少ない高層植物工場の概念は、実現性と実現コ
スト等の実際面さえ無視すれば、幾何学的な整合性が美
しく、多くの特許考案者になじみやすい。
【0017】次に公知例を記述する。図8に欧州のオー
ストリアのルスナー社の立体式植物栽培装置を図示す
る。この立体式植物栽培装置は多角形断面の柱状(概略
は円筒状タワー)の形状をしていて、その高さHplは
50mにも達する。建設は1970年代である。概略円
筒タワーの側面はガラス張りであり、自然太陽光13を
取り入れている。従ってこれは完全制御型ではない。ル
スナー社はその後、自然太陽光を完全に遮断して、人工
光源のみによる完全制御型栽培法に転進したが、その方
式は結局は消滅(出典:雑誌、施設園芸、1999年1
0月号、ページ48、岩崎正雄氏)した。スウエーデン
のスエグロ社のサラダ菜栽培工場、米国のホイタッカー
社のサラダ菜栽培工場も立体式栽培法である。立体式栽
培法である米国のホイタッカー社も撤退(出典:前述誌
と同じ)した。ヨーロッパにおけるタワー温室、完全人
工光の密閉系植物工場は消え去ったようで世界的に人工
光植物工場のおおきな進展は見られない(出典:前述誌
と同じ)ようになった。
【0018】通常は産業界では、撤退あるいは生産方式
が消滅するということは、収益が上がらず、コスト的に
成り立たず、他の低コストの生産方式に及ばなかったこ
とを、事実が証明・実証している場合が多い。一方立体
・高層式ではなく平屋連棟式ではあるが、人工太陽光
(ランプ)を補助光源とし、実際に稼動・運営している
例は多数あるので、実稼動例をあげる。この例は、植物
の成長に伴う生育空間の調整のトラフ制御に特徴を有す
る(例えば特開平11−127711)、植物工場の事
例である。この植物工場はガラス張りのフェンロー連棟
式である。敷地面積は1700平方m、生産品目はサラ
ダナ、リーフレタス、サラダホーレンソウその他であ
る。なお、この事例は自然太陽光が主で、人工光源は補
助光源(いわゆる補光式と称する)なのでいわゆる完全
制御型植物工場ではない。
【0019】説明の明瞭さの為次の分類をする:a〜h
結局、実用になっている施設園芸栽培方式は次のa〜e
公開・公告特許の領域にのみ存在する方式は次のfとg
比較用に:詳細は後述する本発明の方式は次のhである #・方式名・建物・周囲壁・ランプ・太陽・産物・回転 a)完全式*平屋*遮断壁*人工光*陽無*葉菜*周年 b)完全式*内立*遮断壁*人工光*陽無*葉菜*周年 c)準完全*平屋*ガラス*人工光*太陽*葉菜*周年 d)ハウス*平屋*ガラス*人光無*太陽*全種*少回 e)ハウス*平屋*ビニル*人光無*太陽*全種*1回 f)完全式*高層*壁遮断*人工光*陽無*全種*周年 g)完全式*高層*ガラス*人工光*太陽*全種*周年 h)準完全*高層*シート*人工光*太陽*全種*周年 ここで、略記は次を表す。#=分類番号、方式名:完全
式=完全制御型植物工場、方式名:準完全=準完全制御
型植物工場、方式名:ハウス=ハウス栽培方式、建物:
平屋=平屋の建物、建物:内立=平屋内部で小規模な立
体化栽培方式、建物:高層=高層立体式栽培、周囲壁:
遮断壁=断熱式壁、周囲壁:ガラス=採光ガラス張り構
造、周囲壁:ビニル=採光ビニールシート張りまたは採
光プラスチックシート張り方式、周囲壁:シート=採光
・断熱・多層の柔軟シート張り方式、ランプ:人工光=
人工光源を使用する方式、ランプ:人光無=人工光源を
使用しない方式、太陽:陽無=太陽光を遮断する方式、
太陽:太陽=太陽光を利用する方式、産物:葉菜=主と
して葉菜類のみを生産、産物:全種=葉菜、果菜、花卉
など全種類を生産、回転:周年=周年・多回転、回転:
少回=少数回の回転、回転:1回=年1回または2回の
回転。
【0020】以上の分類に沿って説明する。a)、b)
の完全制御型で低コストの高層式植物工場の実例は無い
(ルスナー社は高コストであり低コストではない、その
ため消滅。)。a)〜c)の植物工場は葉菜の栽培のみ
可能で、果菜の栽培は困難である。果菜の栽培を目的と
するならば、d)方式になる。即ち、植物工場方式は断
念して開放式とし、農薬を使用し、周年栽培を断念し
て、太陽光をガラスハウス栽培温室に取り入れて、果菜
を生産する。周年栽培は断念するので、人工光源による
補光は投資効果が少なく、人工光源は利用しない方式が
かえって採算性が良い。即ちd)の類似方式で、;d
2)人工光源も利用;の方式は採算的には無意味なゆえ
んである。またビニールハウス式の植物工場は存在しな
い。その理由は冷暖房コストと材料強度である。効果な
ガラスを使用しても、断熱性がビニールより良いので採
算的に成り立つからである。また、暴風などによる、破
れ、亀裂、また経年劣化、耐候劣化による破れ、など
が、植物工場の特長かつ大前提である密閉空間の維持、
を不可能にする。密閉性が維持不能になると、病虫害の
侵入の結果、無農薬栽培が維持できず農薬コストを要と
する、空気の漏れによって断熱性能が悪くなり冷暖房コ
ストが増える。現実の圧倒的大多数の施設園芸栽培装置
は前述の、d)、e)方式であり、ごく少数例がa),
b),c)方式であり、f)、g)方式は施設園芸界に
は実存せず、特許領域にのみ存在する。
【0021】以上、実際的な現実面を、主としてコスト
の観点からも説明した。一方特許上の、立体高層式栽培
装置の出願事例は非常に多く、一例として、特開平5−
308860を参照番号として挙げるに止める。なお立
地面の観点からみた特許出願例は、陸上、海上、海中、
空中、地球外、に立地する栽培の出願がある。偏西風の
強い高空に、その風力エネルギーを利用して空中に浮上
立地する提案、月面に立地した植物栽培装置の提案(特
開平7−75452)などもある。当然に、風況の良い
海上の、浮遊式人工島等に立地の農漁業の提案事例も多
い。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
技術ではコストの点で問題があった。本発明が解決しよ
うとする課題は農水産物の生産コストの低コスト化であ
る。農水産物の生産コストの低コスト化の追求は必然的
に、栽培装置を含む栽培法、の改良による農水産物生産
コストの低コスト化の追求に行き着く。本発明が解決し
ようとする課題は、更に具体的に言えば、従来に無い栽
培装置を背景とした、低コストの農水産物栽培方法の追
求である。更に詳しく言えば、農産物栽培装置の一つの
種類である準完全制御型植物工場の、1)建設コスト、
2)冷暖房コスト、3)ガラスコスト、4)運用電力コ
スト、の低コスト化の方法が課題である。同じく水産物
の生産コストの低コスト化は、水産物栽培装置の、5)
建設コスト、6)運用電力コスト、の低コスト化の方法
が課題である。農産物栽培コスト、水産物栽培コスト、
の農・水の両者を併せて農水産物栽培コスト、の低コス
ト化の方法が解決すべき課題である。
【0023】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、本発明は次の方法を選択する。前述の、課題1)
建設コスト、に関しては栽培棟(即ち栽培塔・・・棟と
塔の差異に注意)と回転翼支持塔を同一にして、実質的
なコストをゼロにする手段をとる。課題2)冷暖房コス
ト、に関しては、断熱性能の向上、海水冷熱源の活用の
手段などを取る。課題3)ガラスコスト、に関してはガ
ラスを使用しないでガラス以上の断熱性能と強度を、多
層シートを使用して達成する手段を取る。4)運用電力
コスト、に関しては風力発電装置を搭載する手段を取
り、商用電力網とは系統連繋しない。これらの手段をさ
らに具体的に記述すれば、特許請求項に記述した下記の
手段になる。 1) 手段1:出力1.5メガワット以上の水平軸大型
風力発電装置を搭載した農水産物栽培装置において、農
水産物栽培塔が下部回転翼支持塔を兼ねることを特徴と
して農水産物を栽培する。 2) 手段2:手段1を水上に建設した農水産物栽培装
置に適用する場合に、水上部分の栽培棟が農産物栽培塔
であり水面下の栽培棟が水産物栽培塔である事を特徴と
して農水産物を栽培する。 3) 手段3:手段1,2いずれかにおいて、農産物栽
培塔に、柔軟シートを農産物栽培塔に巻き付けるシート
巻き付け装置を、具備させて農水産物を栽培する。 4) 手段4:手段3において、農産物栽培塔に1時間
以内に柔軟シートを巻き付ける、あるいは農産物栽培塔
から1時間以内に柔軟シートを巻き戻すようにして農水
産物を栽培する。 5) 手段5:手段3あるいは4において、農産物栽培
塔に複数種類の柔軟シートを巻き付けるようにして、農
水産物を栽培する。 6) 手段6:手段1〜5のいずれかにおいて、農水産
物栽培装置を最下部で支える、伸縮基礎脚群が電子的手
段でモニターされ、かつ伸縮駆動制御されるようにし
て、農水産物を栽培する。 本発明は従来技術の問題点であった、農水産物の生産コ
ストの低コスト化を、従来にない、前述の新技術6手段
および後述の手段7で達成するものである。
【0024】地球環境汚染の問題は汚染除去コストの側
面がある。例えば商用電力エネルギーを農水産物栽培装
置に投入することは、結局は地球環境汚染源である火力
発電、原子力発電を含むエネルギーを農水産物の生産に
投入することになる。炭素税負担の議論が示唆するよう
に、地球温暖化、SOx・NOx,農薬、漏洩放射性物
質を筆頭とする地球環境汚染の問題は、農水産物生産企
業者の企業倫理観の観点以外に、コストの観点からも近
い将来に大きな受益者コスト負担になる可能性がある。
一部の例外(商用電力と系統連繋せず孤立系電力であっ
てかつ、太陽光、風力、水力などの再生可能な、発電電
力以外は使用せず、暖房に化石系燃料を用いず、農薬は
用いず、などを基本とする農水産物栽培法)を除き、従
来のほとんどの農水産物栽培法は化石系エネルギー、原
子力エネルギーに依存していて、地球環境汚染源でもあ
る。従って本発明は企業倫理観の観点もさることなが
ら、汚染除去の負担コストの将来的観点をも考慮し、次
の7)を農水産物栽培において、守るべき基準とする。 7) 手段7:系統連繋せず、かつ地球環境を汚染しな
いクリーンな手法によって農水産物の生産コストの低減
をはかる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明に係る農水産物栽培方法を
実施する場合の農水産物栽培装置の立地地点は、代表的
には次の地点である。本発明は前述のようにコストを最
重視する発明であるから、立地点もコストの観点から選
択される。実施の形態の説明は、次の段落に記述する5
分類のうち、aa)近海海上に立地する場合の実施の形
態、bb)遠洋に立地する場合の実施の形態、cc)高
山地帯に立地する場合の実施の形態、の3例について後
述する。なおいずれの形態においても、商用電力網とは
系統連繋しない。また水上は海上と湖水・河川上である
が、説明の簡便さのため、水上は海上で代表する。本発
明は湖水・河川上への適用の可能性を除外するものでは
ない。
【0026】立地点の分類は次の通りである――5分類 近海海上(大陸棚上・沿岸)―――――A――I――i 領海近傍(12海里内外・浮遊式)――A――I――i 海浜(防波堤も含む)――――――――B――III――iii 高山地帯(山岳地帯)――――――――B――II――ii 遠洋(200海里経済水域内外)―――C――I――i 立地点の条件は、風況が良い(風が強い、風向が安定し
ている)こと即ち発電電力が低コストになること、敷地
コストが低いこと、冷房に必要な冷熱源が低コストで利
用できること、が主要な条件である。上記の記号ABC
は風況が良い順番、記号I II IIIは敷地コスト
が低い順番、記号i ii iiiは冷熱源コスト(海
上・海浜ではなるべく深度の深い海水を利用、高山では
外気を利用)が低い順番である。当然この順位付けはご
く概略的なもので諸条件(例えば漁業権の有無、薪炭用
入会権の残存、採草入会権・採草協同組合の有無、海岸
からの距離、等々)によって大きく左右、逆転されるも
のである。さらには、生産した農水産物の流通コストの
観点、公的規制に対処するコストの観点、等々の諸条件
を加味して、立地が決められる。
【0027】風況が良い地域は、海浜地域、近海および
高山地帯が代表的である。海浜地域、近海は風を遮る障
害物が少ない、海風・陸風が顕著である、などの理由に
よって風況が良い。一般的に、風は高所ほど強い(極端
な例:富士山頂3775mの年間平均風速は11.4m
の強風である、地上では無風でも雲は動いている、等々
で直感的にも了解される。経験的には高さのべき乗で表
される数式がある。)ので、高山地帯も風況が良い。平
野部分に関しては、特殊な地形の平野部はダシ、降ろ
し、などの局地風が顕著、大陸の大平野部では卓越風が
顕著など風況の良い地点も少なくはないが、敷地コスト
が一般的には高いので、本発明の代表的な立地点ではな
い。更には、平野部分では低コストの冷熱源が得がた
い。
【0028】それでは前述の立地点aa)の場合につい
て説明する。図1は本発明に係る農水産物栽培方法を近
海海上に立地して実施する場合の模式図である。農水産
物栽培装置10は海底レベルL6の上に立脚している。
農水産物栽培装置のエネルギー担当部分である風力発電
装置の回転翼29A、回転翼に直結している発電機29
Bは上部回転翼支持塔1、下部回転翼支持塔2で支えら
れる。下部回転翼支持塔2は農産物栽培塔3である植物
工場、その下部の水産物栽培塔4で構成されている。水
産物栽培塔4の最下部は伸縮基礎脚5である。下部回転
翼支持塔は鋼管製のフレーム6で構成されている。なお
本発明は図22のような発想とは異質のものである。従
来の技術を示す図7のタワー11に単に栽培空間を追加
した図22は、低コスト化の追求のために(高コストの
クレーン建設重機類を投入し、基礎コンクリート打設量
が膨大になる)タワー11そのものをなくそうとする本
発明とは異質のものである。
【0029】図1では、図の見易さのために、農産物栽
培塔の高層化の層数NはN=11(即ち11階建てに相
当)になっているが、実際はN=20〜50程度であ
る。各層の天井には人工光源(ランプ)が配置・設置さ
れている。各層の床相当部分には栽培ポット、栽培トレ
ーなどの栽培槽相当部品が配置されるのは通常の植物工
場あるいは、施設園芸栽培装置と同様である。フレーム
6は鋼管製でありその構造は図の見易さのため省略的に
図示されているが、例えば断面Y−Yは、図2のような
多角形の概略円状の断面構造をしている。図2において
メンテナンスゾーンは塔内の昇降用空間にも充当され、
図示していない簡易エレベータなどの昇降設備が設備さ
れている。また風力発電装置からの電力配線用空間も兼
ねている。農水産物栽培ゾーンも鋼管によるフレーム構
造になっていて垂直フレーム6A、水平フレーム6Bで
構成されている。なお1階には図示していない、農産物
栽培装置運転制御室、コンピュータ室、農水産物貯蔵
室、農水産物生産技術者の詰め所などが設けられてい
る。デッキゾーンは後述するシート巻き付け装置用のス
ペースである。海面下の空間は全空間が水産物栽培用空
間として使用可能である。
【0030】なおフレーム類6,6A,6Bは断面大き
さが数cm〜10cm程度の鋼管である。従って大型ク
レーン車などの高価な大型建設重機類は不要で建設コス
トが低コストになる。本発明には、風力発電装置の回転
翼取り付けなどに一切大型クレーン車などの大型建設重
機を使用しない先行技術(本発明者と同一発明者、本出
願人と同一の出願人の、2000年後半に特許出願され
た風力発電関連の技術)を使用する。従って本発明に関
連する農水産物栽培装置の全ての建設過程で、大型クレ
ーン車などの大型建設重機を使用せず、低コスト化を実
現している。
【0031】代表的な寸法例は回転翼の回転直径φDb
lが66mあるいは66m以上、植物工場の直径φDp
lが40m程度、水産物栽培塔の直径φDfrが50m
程度である。鉛直方向の寸法は海面レベルL5を基準0
mとして上方をプラス(+)、下方をマイナス(−)と
して、 海底レベル L6=− 30m程度、海面レベル L
5= 0m、デッキレベルL4=+ 18m程度、
植物工場レベルL3=+ 60m程度、ハブレベル L
2=+100m程度、トップレベル L1=+180m
程度、 である。本発明に係る農水産物栽培方法に使用される農
水産物栽培装置の大きさの概略のイメージを得るため
に、図1に植物工場の野菜生産技術者7を図示してい
る。見易さのために、当該野菜生産技術者7の拡大図を
点線の円内に示す。
【0032】ここで当該植物工場の光量関係の計算をし
て、前述の諸数値の妥当性を確認する。妥当性を確認す
べき諸数値とは次の通りである。即ち: 1) 植物工場の直径――――――40m 2) 植物工場の層数――――――20層 3) 大型風力発電装置の出力――1.5メガワット 妥当性は当該植物工場の明るさ(即ち光合成の源泉であ
る照度)が概算で1万ルックス程度以上になるかどうか
である。前述したように、一般的には果菜類の要求照度
は、葉菜類の要求照度より高い。当該植物工場は果菜類
をも栽培可能とするために、飽和光合成照度に少しでも
近い1万ルックス程度を基準とする。
【0033】照度E(単位はルックス)は次の計算式で
計算される。 E=((PW*TG*LG*PG*TH)/(S*D
H))+D,S=N*π*R*R、ここでPWは大型風
力発電装置の出力=1.5メガワット、TGは風力発電
装置の稼働率=30%=0.3とする、LGはランプの
発光効率=150ルーメン/ワットとする、PGは灯具
の器具効率=80%=0.8とする、THは1日の時間
=24時間、Sは高層植物工場の1層の面積、DHは1
日の光合成時間=8時間とする、Dは太陽光の寄与であ
り低めに見積もって=4000ルックスとする、Nは高
層数=20層、π=3.14、Rは植物工場の半径=2
0m、である。照度Eを計算するとE=約10400ル
ックスになる。
【0034】従って前述の諸数値の組み合わせ(20層
の高層植物工場、1.5メガワットの大型風力発電装
置、植物工場の直径40m・半径20m)は妥当であ
る。また風力発電装置は2001年現在、商用的に実用
になっている風力発電装置では最も大型クラスである
1.5メガワット以上の大型風力発電装置でなければな
らず、1メガワットでは光量不足になり、光合成に支障
をきたす。
【0035】飽和光合成照度の高い栽培植物では数万ル
ックス以上のものも多くあり、さらに大出力の大型風力
発電装置があれば光合成量の増大が期待され、生産コス
トの更なる低減が期待される。但し、適切な除熱手段を
用いないと、ランプが発生する熱によって、栽培植物の
葉焼けが起こる。植物工場の照度の観点からは風力発電
装置の出力は大きいほど良い。なお農水産物栽培装置の
運転に配分すべき電力は相対的に小さいので本計算のよ
うな概算の段階では省略される。また貯蔵系エネルギー
の変換効率も概算段階では省略される。またメンテナン
スゾーンは照明が不要、かつ栽培面積でもないが補正は
省略する。また自然太陽光の寄与は以上の省略事項も考
慮して、低めの4000ルックスとした。太陽高度の高
い夏至の晴天時には屋外照度は10万ルックス(100
000ルックス)に達すること、曇天、雨天でも日中の
屋外照度は数千ルックスに達することを考慮すれば、前
述の寄与照度設定は低めであることが了解される。
【0036】要求照度の低い葉菜類専用の栽培では20
層より多層の植物工場が可能であり、要求照度が前述の
計算値では不足する栽培品目の場合は20層のうちに、
休止層をもうけて、少ない層数に照明電力を投入して、
明るい照度を得て栽培を運用するなどの手法が考えられ
る。
【0037】伸縮基礎脚について説明する。伸縮基礎脚
は農水産物栽培装置の建設時の傾斜の吸収、建設後の海
底地盤沈下による不等沈下、平等沈下の吸収を行う。一
般に海底の傾斜は大陸棚縁辺に達するまでは緩やかな傾
斜をなし、大陸棚縁辺から急激な傾斜をなすことが知ら
れている。傾斜を例えば1000分の5とし、大陸棚縁
辺深度を200mとすれば、比例計算によって、大陸棚
縁辺は沿岸から25kmの距離になる。また水産物栽培
塔の直径φDfrを50mとすれば伸縮基礎脚が吸収す
べき寸法は、比例計算によって25cmになる。
【0038】図9は伸縮基礎脚の模式図である。伸縮基
礎脚5は油圧シリンダーのように、鋼管の二重管構造状
であり、伸縮動力はモーター、油圧、空圧などである。
伸縮機構は油圧、空圧、モータと長ねじ機構(ボールね
じ機構、台形ねじ機構など)の組み合わせ、等々のいず
れかである。前述の吸収すべき寸法25cmは、例えば
ごく一般的な小型の油圧シリンダーのストロークで充分
賄える。
【0039】伸縮基礎脚には図示していないロードセル
(歪ゲージとも呼ばれている)とストロークゲージが装
着されていて、電子的に、伸縮基礎脚が負担している負
荷荷重および伸縮基礎脚のストローク長が検出される。
伸縮基礎脚群の各負荷荷重、各ストローク長は、図示し
ていない信号線を軽油して、図示していない農水産物栽
培装置制御室内のコンピュータに送られる。コンピュー
タは農水産物栽培装置に多数配置された、図示していな
い電子式水平度センサからの水平度情報も受信する。更
に図示していない、風速計、風向計、からの情報も受信
する。
【0040】コンピュータは、これらの情報群から、不
等沈下量(建設初期のストロークデータを記憶しておけ
ば建設後の沈下量がわかる)、風の強さの変動によって
農水産物栽培装置が受ける転倒モーメント(図10
(a)に転倒モーメントと記されている。塔のように、
水平断面積が小さく、高さが高い構造物に働く力であっ
て、構造物を転倒させる力、図10(b)参照、を意味
している)、などを演算し判断し、適切な処置をする。
不等沈下に対しては、図9のストロークアクチュエータ
5Aに制御信号を送信して、ストローク調整させる処置
を行う。またカットアウト風速(風が強すぎて、発電機
出力が過大になり発電機が焼損するのを防ぐために強制
的にブレーキをかけて回転翼を停止させる風速をカット
アウト風速と言う)を大幅に越える暴風に際しては転倒
モーメント軽減のため、図11に示す様に、伸縮基礎脚
のストローク調整をして農水産物栽培装置全体を僅かに
風上に向かって傾け、逆モーメントを発生させて、転倒
モーメントの軽減処置を行うこともできる。図11は分
かり易さのために傾斜を誇張して描いてある。
【0041】なお極端な暴風時には、回転翼の破損を防
ぐために、図示していない回転翼取り外し装置(本発明
者、本出願人と同一の出願によって、風力発電装置に関
して、2000年後半に特許出願された技術)を適用し
て回転翼を取り外して図2のメンテナンスゾーンに格納
することも出来る。さらには植物工場の栽培を一時的に
停止する。図10aに示す様に補強ワイヤロープ8を一
時的に仮設する、後述の防風機能(シート巻き付け装置
がこの機能を有している)を作動させる、等々の手段を
取ることが出来る。
【0042】図1において水産物栽培塔には生け簀4
A,中層浮き魚礁4B、湧昇流発生装置4C、定置網4
Dなど栽培漁獲用装置が設置されている。また水産物栽
培塔のフレーム構造自体が沈設魚礁、浮き魚礁、中層浮
き魚礁、藻礁の多重の役割を果たす。更には、魚礁機能
以外にも、生け簀の繋留用、生け簀の監視デッキ用、定
置網の繋留用などの多重機能を果たす。
【0043】なお前述の先行技術特許、特開2000−
213451のコンクリートタワーは単に魚類の誘致用
(い集用)魚礁の単機能であるのに対して大きな相違で
ある。更には面積規模が質的に異質である。即ち本発明
の水産物栽培ゾーン(図2)の直径50m程度に対し
て、前述の特開2000−213451のタワーはその
性質上直径数m(仮に最大限に多く見積もっても直径7
mを超えない)であり、両者の面積比率は100倍以上
になり、両者は全く質的に異質である。
【0044】図3に示す様に農産物栽培塔3には柔軟シ
ート9を巻き付ける。巻き付け方法は図に示す様に螺旋
状に連続的に巻く場合と不連続に段階的に巻く場合があ
る。図4(a)はシート巻き付け方法の模式図である。
シート巻き付け装置14はデッキレベル上の2本のデッ
キレール15Aの上を走行する。シート巻き付け装置は
農産物栽培塔の周囲を周回走行できる。図4(b)は図
4(a)のV−V矢視図である。植物工場レベルにはガ
イドレール15Bが敷かれていて、デッキレール15A
上を周回走行するシート巻き付け装置14が走行する際
の案内、補強、の機能を持つ。
【0045】図5(a)はシート巻き付け装置の平面断
面の模式図である。柔軟シート3は、シート巻き付け装
置が周回走行するにつれて、柔軟シートが巻かれたシー
トロール17から引き出される。この際柔軟シートに張
力を与えるために図示していない電磁パウダーブレーキ
を作動させる。電磁パウダーブレーキはコンバータ業
界、プラスチックシート業界、シートフィルム業界で標
準的に使用されているもので良い。この張力のために柔
軟シートは農産物栽培塔の完全密閉性を保つように緊密
に巻きつけることが出来る。従って、シートロールには
大きな力が加わる為に、巻き付け補強フレーム19が強
度補強のために配置されている。QQ矢視図が図5
(b)である。図5(b)はシート巻き付け装置の詳細
模式図でもある。シート巻き付け装置14は車輪21を
介してレール上を走行する。柔軟シートが巻かれたシー
トロール17はロール枠18に収納されていて、3本の
枠ガイドシャフト16に沿ってブロック矢印に示すよう
に上下に移動できる。この上下移動用にロール昇降ワイ
ヤ32があり、図示していないロール昇降モータによっ
て巻き上げ、巻き降ろし駆動される。シート巻き付け装
置の強度補強のために、巻き付け補強フレーム19が必
要箇所に配置されている。なお図の見易さのためにシー
トロールは1本のみ図示されているが、後述の巻き付け
所要時間を短縮するために、上下方向に複数本のシート
ロールを配置し、複数本のシートロールを同時に昇降さ
せることも出来る。
【0046】シート状物を農産物栽培塔側面の全面にわ
たって、密閉状に巻き付ける時間について説明する。シ
ート巻き付け装置はデッキレールを介して電力を供給さ
れた、図示していないモータによって走行する。シート
巻きつけ所要時間の概算値、Twは次の式で計算され
る。但しS=毎分10mは走行スピード、H=50m、
D=40mはそれぞれ農産物栽培塔の高さ、および直
径、W=4mはシート幅、R=5本は同時に巻き付ける
ロール本数とする。また概算計算のために、密閉度を保
つための上下方向のオーバーラップ量は省略する。な
お、W=4m、S=10mはシート業界、コンバータ業
界、あるいはフィルム業界では大幅に水準以下の数値で
あり、十分な余裕がある。 Tw=(π*D*H)/(W*S*R)=約32分、 なお、巻き戻しも同じ計算が適用されるのは幾何学的に
当然である。
【0047】更に巻きつけ時間を短縮するために、図1
3の1回巻き方式の概念図に示す様に、農産物栽培塔1
0の高さ方向全長をカバーするのに必要な数のシートロ
ール17をシート巻き付け装置内に設置し、シート巻き
付け装置の周回数が1周のみで柔軟シートの巻き付けが
完了するようにも出来るのは当然である。この場合には
ロール昇降機能は不要になる。なお図13はオーバーラ
ップ巻きの例を示す。図14は図13の平面断面の模式
図である。ロール巻き付け装置14内部に設置されたシ
ートロール17から柔軟シートが繰り出される。
【0048】参考までに、従来栽培技術であるビニール
ハウス栽培法のビニールハウスに、ビニールを全面積に
密閉して張り巡らすのに要する時間は、ビニールハウス
の規模にもよるが、本発明の農産物栽培塔と同程度のビ
ニール面積(ビニールハウスの高層式は存在しないので
平屋連棟温室のビニール面積)と仮定すれば、数日を要
するであろう。後述のように本発明では可能である、毎
日の朝夕ごとのビニールの着脱などは、前述のように着
脱に数日を要するので、不可能かつ労力コスト的にも問
題外である。更に連棟式のごとき複雑形状の構造物に気
密性を保ってシートを巻き付けるのは、至難の技である
ことは容易に分かる。
【0049】図6は農産物栽培塔に柔軟シート3を複数
種類巻き付けた状態を示す。図6には内層柔軟シート3
A、中間層柔軟シート3B、外層柔軟シート3Cの3種
類を巻きつけた状態が模式的に示されている。なお柔軟
シートの巻き付けは張力を与えて緊密に巻き付けるの
で、図に示すような隙間は存在しないが、図の見易さの
ためにこのように模式的に図示した。
【0050】柔軟シートの代表的な役割分担は次の通り
である。I)内層柔軟シート:常時巻き付けられてい
る。透明性が良いシートが選ばれて、太陽光線の可視光
波長領域を良く透過させて、栽培植物に光合成をさせ
る。シートの耐久寿命になるまで数年間巻きつけられた
ままの場合が多い。また農産物栽培塔の密閉性を維持す
る役割がある。II)中間層柔軟シート:寒冷時に臨時
的に巻き付けられる。滞留空気層を多く含む発泡プラス
チックシート、発泡スチレンシート、あるいは近赤外・
遠赤外線遮断型ラミネートフィルム等々、断熱性(保温
性)の良いシートが選ばれて、寒冷時における農産物栽
培塔内の保温に寄与する。III)外層柔軟シート:暴
風時に臨時的に巻き付けられる。破断強度の強いシート
が選ばれて、台風などの暴風から農産物栽培塔を保護す
る。
【0051】なお以上に柔軟シートの巻き付け例を示し
たが、本発明はこの巻き付け例にのみに限定されない。
例えば、1)シート構成を、内層柔軟シート層の外側に
1層追加して合計4層にし、紫外線の強い日にはこの追
加シートを巻きつけて、耐候性を増す、植物に有害な紫
外線を遮断する、の2効果を狙う、2)断熱シートを農
産物栽培塔の下部のみに巻き付けて保温効果を下部のみ
高め、高温空気が滞留しやすい農産物栽培塔の上部と、
低温空気が滞留しやすい農産物栽培塔の下部の温度差を
少なくする。3)図12に示す様に、柔軟シートの一つ
の種類である接着テープ9D、を巻きつけた接着テープ
ロールをシート巻き付け装置に装着し、オーバーラップ
しない柔軟シート9の巻き付けの境目に接着シートを巻
き付ける、または図示しない、オーバーラップ巻き付け
した場合の柔軟シート、のオーバーラップ端、などに接
着テープを巻き付ける、等々の巻き付けの応用ができ
る。その結果農産物栽培塔の密閉性が更に向上する。
【0052】複数種類の柔軟シートを、農産物栽培塔の
ように大面積の栽培塔に対して、1時間以内に1層の短
時間工程で、巻き付けることが可能である。一例を挙げ
る。春秋の夕方に農産物栽培塔に断熱シート(例えば前
述の発泡シートなど)を巻き付け、冷涼な夜間は農産物
栽培塔を保温する。朝日が充分昇った時点でこの断熱シ
ートを巻き戻して取り外し、透明な採光シート(内層シ
ート)のみにして、栽培植物の光合成に必要な太陽光線
を農産物栽培塔内に取り込む。夕方になって陽が翳った
ら、再び断熱シートを巻き付ける。即ち、外気温が大幅
に低い春秋の夜間は断熱性が良いため暖房コストが低減
し、外気温がやや低い春秋の日中は採光シートの放熱性
が良いので冷房が不要になる。滞留空気を大量に含む発
泡シートを断熱シートとして使えばガラスより熱伝導率
が低いのは説明を要しないであろう。このように、季
節、寒暖、風雨、日照の変化に応じて最大のコスト低減
効果をもたらす、柔軟シートの組み合わせ、を選択する
ことが可能になる。
【0053】更に、一例を挙げる。台風の接近は、気象
予報技術の発達、マスコミニュケーションの発達、イン
ターネットの発達などによって、時々刻々分かるように
なってきた。暴風から農産物栽培塔を防護するには、僅
かな時間があれば防護シートを巻き付けて、防護対策が
完了する。(台風の接近は少なくとも2日前には危険性
が予想可能である。一方農産物栽培塔に防護シートを2
層巻く場合には僅か2時間、1層で良ければ1時間の余
裕さえあれば良い)。突風なども例えば春の嵐、木枯ら
し第一号、などのように経験的に僅かな注意を天気予報
に払っておけば良い場合が多い。無論、前触れも前兆も
無く、気象注意報も出されず、1時間以内に突然突風が
吹き荒れることは、竜巻を除いては、有り得ない。従っ
て暴風の前兆が現れてから、暴風対策を行っても充分間
に合う。
【0054】当然ながら危険の到来の1時間前に警報を
発する自動警報化を行っても良い。即ち、例えば時経的
な風速、風向、気圧、湿度、温度、波浪などの変動をセ
ンサを介して農水産物栽培装置の運転制御用のコンピュ
ータに送信し、危険の襲来を自動予知させれば良い。こ
れは単純なコンピュータソフトウエアで予知可能であ
る。一例を挙げる。台風の接近(当該農水産物栽培装置
に接近のこと)を2日前に予知するのは膨大なソフトウ
エアとセンサ情報とデータベースを要する。台風はその
時点では例えば1000kmも離れているからである。
ところが接近の1時間前に予知することは、前述のセン
サ出力に接近の前兆があきらかに出るので、簡単であ
る。即ち、台風は当該農水産物から数十km離れている
(台風の進行速度は数kmから数十kmなので)のみで
ある。
【0055】シート巻き付け装置は防風機能を兼ねてい
る。図15は風の流れを可視的に示した概念図である。
シート巻き付け装置14を風上に対向するようにデッキ
上を回転移動させて配置すれば、図のように風の流れが
滑らかになって乱流成分が減少し、層流成分が増加す
る。層流成分が増加するに伴って、暴風時において、農
産物栽培塔に加わる外力が減少する。従って柔軟シート
を破壊するあるいは吹き破る風力を緩和され、柔軟シー
トを暴風力から保護できる。必要に応じて風下側に、シ
ート巻き付け装置と同等形状の整風装置31を設けて、
風下に発生する乱流および渦流を減少させて更に層流化
性能を向上させても良いのは当然である。
【0056】次に柔軟シートとガラスの重量とコストの
概略比較をする。ガラスは比重が約2.4である。植物
工場に使用する、ガラスの厚さは数mm(仮に5mmと
する)である。一方柔軟シートはプラスチックが主材料
であるから比重は約1.0程度である。柔軟シートの厚
さは、採光用透明シートでは数10ミクロン(仮に50
ミクロン・・・0.05mmとする)である。断熱用シ
ートの厚さは(発泡シートの場合は、重量計算であるの
で計算上等価的に空気層をつぶしたとして)200ミク
ロン程度である。防護用シートなども同様とする。4層
の合計厚さは最大限に厚く見積もっても1mm以下であ
る。従って両者の面積が同一とすれば、(柔軟シート4
層の重量):(ガラス重量)=(比重1*厚さ1m
m):(比重2.4*厚さ5mm)=1:12となって
ガラス式は柔軟シート式にくらべて約12倍(桁違い
に)重い。またガラスコストはプラスチックコストより
高価なのは説明不要(たとえば、ポリエチレンシートは
使い捨てゴミ袋に、ペットシートは飲料用使い捨てペッ
トボトルに、使用されている)であろう。更にガラス式
は、専用の窓枠コスト、窓枠部の気密シールゴムのコス
ト重量物運搬コストがかかる。
【0057】以上まとめて、この新技術は、控えめに見
積もっても、少なくとも次の効果を生じる。 1) 断熱効果 ・・・農産物栽培塔の冷暖房コストの低減、 2) 放熱効果 ・・・冷房コストの低減、 3) 補強効果 ・・・暴風時の保護、 4) ガラス不要効果・・・建設コストの低減、 5) 軽量効果 ・・・建設コストの低減、 6) 軽量効果 ・・・農水産物栽培塔の軽量化、
【0058】次に、第二番目の発明の実施の形態、即ち
前述のbb)遠洋に立地する場合について説明する。図
16に示す様に、遠洋立地の場合は、農水産物栽培装置
10をトラス道路22、(その構造は図18に模式的に
トラス道路22として模式的に示されている)を介し
て、3棟連結して連棟農水産物栽培装置20とする。図
17に示す様に多数の連棟農水産物栽培装置をトラス道
路22で連結して海上農漁村30を形成する。トラス道
路は図18に示す様に、車両21、または人間の通路用
である。
【0059】前述の連棟農水産物栽培装置は沿岸海上
(深度の浅い大陸棚上)で建設される。連棟農水産物栽
培装置は建設後に多数のフロート23を取り付けられ、
フロートに空気を注入して、浮上させられる。図19に
フロート23を取り付けて連棟農水産物栽培装置を浮上
させた様子を模式的に示す。なおトラス道路22は長ス
パンになるので、複数の浮き橋脚25で支えられる。浮
き橋脚には橋脚フロート24が取り付けられていて、浮
力を発生している。この橋脚フロートにはコンピュータ
制御された量の空気量が注入される。コンピュータには
図示していないロードセルと傾斜センサからの、負荷荷
重信号と傾斜度の信号が送信されてくる。コンピュータ
はこの情報から、最適浮力を常時リアルタイムで計算し
空気の注入命令、空気の排出命令を、図示していないア
クチュエータに送信している。
【0060】農水産物栽培装置は海上に浮遊しているの
で、図20に示す様に高低差を生じる(上下に浮動す
る)。従ってトラス道路22は、傾斜の吸収、スパン伸
縮の吸収の両機能を持つ装置に、接続されることが必要
である。エントランス装置27はこの目的のために設け
られる。エントランス装置はヒンジ機構で傾斜を吸収
し、スライド機構で伸縮を吸収する、などの通常の機構
が採用される。
【0061】連棟農水産物栽培装置は所定の海域に曳航
され、碇などで繋留される。多数の連棟農水産物栽培装
置は所定の海域において、順次トラス道路で連結されて
海上農漁村を形成する。エネルギーの安定供給のため
に、この海上農漁村はエネルギー棟を持つ。この海上農
漁村の非貯蔵系エネルギーは風力エネルギーが主、太陽
熱および太陽光が従エネルギーであり、貯蔵系エネルギ
ーの媒体は水素、貯蔵系エネルギー発生装置は燃料電池
である。
【0062】エネルギー棟は、同じく大型風力発電装置
を搭載していて、農水産物栽培装置と同等の形状をして
いる。農産物栽培塔の側面には柔軟シートは巻き付けら
れず、代わりに、太陽電池パネル等が取り付けられる。
エネルギー棟は農水産物の栽培は行わず、その風力発電
電力を利用して水素の製造、貯蔵、供給を行う。図21
は海上農漁村内部の水素流通系統図である。エネルギー
棟28内にある、ソーラーコレクタ28COLは回転放
物面を集光手段とする三次元型太陽熱集光装置である。
海水を汲み上げてソーラーコレクタの焦点を通過させ、
沸騰させて、蒸留水に近い純度の、純水を得る。純水は
メイン純水タンク28WTAに貯蔵される。純水は電気
分解の原理を応用した、SPE水電解装置(固体高分子
電解質型の水電解装置)、に風力発電装置からの電力を
投入して水素を発生させる。なお晴天時には太陽電池ア
レイを並べた、太陽光発電装置28SLCからの発電電
力も投入する。得られた水素はメイン水素タンクに貯蔵
される。以上はエネルギー棟内で行われる。
【0063】メイン水素タンク、メイン純水タンクには
それぞれ水素配管網28HPN、純水配管網28WNT
が接続されていて、この配管網を介して、それぞれ水素
をローカル水素タンク10LTK群に、純水をローカル
純水タンク10LTW群に、供給している。個々の農水
産物栽培装置10には、前述のローカル純水タンク、ロ
ーカル水素タンク以外に、ローカル水素製造装置10L
HG、ローカル燃料電池10LPWが装備されている。
風力が強く余剰電力が生じる場合は発電電力をローカル
水素製造装置に投入し水素を製造する。風力が弱く、栽
培に要する電力が不足する場合は貯蔵された水素をロー
カル燃料電池に投入して発電し電力を得る。ローカル燃
料電池はPAFC型(リン酸型)燃料電池である。
【0064】ローカル水素タンクへは結局、エネルギー
棟から供給される水素とローカル水素製造装置からの水
素と、二通りの方法で、水素が供給され、水素供給シス
テムの安定性が実現されている。このようにして、不安
定な非貯蔵系エネルギーである風力を、水素を貯蔵媒体
として貯蔵し、安定的な電力供給を実現して、安定的な
農水産物栽培を可能にしている。なお水素関連のエネル
ギー貯蔵方法は第一例(近海海上立地)の本発明の実施
の形態の項目に応用しても良い。
【0065】近海海上に立地の場合も含めて、海上に立
地する場合は海水を冷熱源として利用できることは前述
した通りである。深度の深い部分から海水を汲み上げて
熱交換器に一次側冷熱源として供給し、二次側の循環水
を冷却する。二次側の循環水は農産物栽培塔内に配管さ
れ、農産物栽培塔内を冷房する。
【0066】次に、第三番目の発明の実施の形態、c
c)高山地帯に立地する場合について説明する。ここで
高山地帯とは冷涼な外気を冷熱源に利用できる、標高1
000m〜1500m程度前後の山岳である。標高が高
ければ高いほど風が強いが、外気温が冷涼すぎる場合も
ある。また、日照、積雪を考慮する必要もある。寒冷地
農業が例外を除けば標高1100m程度が限界であるの
で、土地コストは農業の束縛が無く、比較的安価であ
る。但し、保安林、公園、国有林、森林などの制約条件
も多い。立地点の判断はこれらをもコストに換算して考
慮条件とする。
【0067】高山に風力発電装置を建設する際に常に問
題となる、ガスト(突風などの乱れ)は、本発明におい
ては余り問題にならない。本発明ではタワー方式に見ら
れるような、ハブ高さの限定要素は少ないからである。
適宜ハブ高さを高くすることが、顕著なコスト増加を招
かずに、出来ることは、(前述の、本発明者、本出願人
と同一、の発明者、出願人の2000年後半の特許出願
の技術を適用して)回転翼の製造が、下部回転翼支持塔
内部で行われ、回転翼の取り付けも何らクレーン車など
の建設重機を使用せずに行えるからである。
【0068】高山地帯に立地する場合は近海に立地する
場合と同じく傾斜地立地である。従来の風力発電装置の
建設の場合に行われる、地盤強化のためのコンクリート
打設は、本発明の場合は行わない。中型の風力発電装置
の場合でもコンクリート打設量は1000トンを超え
る。平地立地ならばともかく、高山地帯に大量のコンク
リートを運び上げることは、一般的に、道路事情の極度
に悪い高山地域ではコスト高に直結する。従って本発明
の伸縮基礎脚が建設時に有効に働く。更に建設後の地盤
不等沈下がある場合にも有効に働く事情は近海立地の場
合と同じである。従って、農水産物栽培装置の全体形状
は、近海に立地の場合と同じである。但しハブ高さは、
すでに説明したように、適宜高くする場合がある。
【0069】近海立地の場合と異なるのは、海産物栽培
装置を付帯させるか否かである。漁業の採算性がある高
山地域ならば(即ち生産した水産物の販売・流通が有利
な地域ならば)、適宜水槽等を設けて、高山栽培漁業を
行い、漁業の採算性に疑問がある高山地域では、海産物
栽培装置部分を農産物栽培装置に転用(模様替え)すれ
ば良いことは、エネルギー事情が許すので、当然に可能
である。
【0070】高山立地の場合は、冷熱源は外気(高山地
域は冷涼である)を利用するのは既に説明した。この場
合の熱交換器は一次側が空気で、二次側は循環水あるい
は不凍液である。クーリングタワー式の熱交換器は厳寒
期に凍結の恐れがあるので適当ではない。熱交換器は海
上立地の場合とはかなり異なる。高山地域は厳寒期用の
適切な配慮が必要である。風力発電装置の回転翼につい
ては、経験的に結氷、着氷、着雪の害は殆ど無いことが
知られている。
【0071】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の結果、
当初の目的であった、地球環境を汚染しないクリーンな
手法によって、農産物、水産物の生産コストの低下が達
成される。結論を再度簡潔にまとめると: 1)風力発電電力の利用なのでクリーンであり、地球環
境を汚染しない。 2)系統連繋しないので地球環境汚染源でもある商用電
力を使用せず、従ってクリーンな手法である。 3)系統連繋しないので、系統連繋に必要なコストが不
要である。 4)農水産物栽培塔が下部回転翼支持塔を兼ねるので、
風力発電装置の建設における、回転翼支持塔のコストが
削減できる。 5)ガラスを使用しないので、低コストである。 6)土地コストの高い平地部に立地しないので低コスト
である。 7)水産物栽培塔が各種水産物栽培装置の構造物の一部
として利用できるのでその分低コストである。 8)低コストの冷熱源が利用できるので、冷房コストが
削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 近海海上に立地の場合の模式図である。
【図2】 図1の模式的なY−Y矢視図である。
【図3】 柔軟シート巻き付けの概念図である。
【図4】(a)シート巻き付け装置の概念図である。 (b)図4aのV−V矢視図である。
【図5】(a)シート巻き付け装置の平面断面の模式図
である。 (b)図5aのQQ矢視の模式図である。
【図6】 柔軟シート巻き付け状況の概念図である。
【図7】(a)旧型で中型以下の風力発電装置の模式図
である。 (b)水平軸大型風力発電装置の模式図である。
【図8】 高層栽培装置の実例の模式図である。
【図9】 伸縮基礎脚の模式図である。
【図10】(a)農水産物栽培装置が受ける転倒モーメ
ントの模式図である。 (b)転倒モーメントの概念図である。
【図11】 転倒モーメントの緩和を示す概念図であ
る。
【図12】 接着テープ巻き付けの概念図である。
【図13】 1回巻き付け方式の概念図である。
【図14】 図13の平面断面の模式図である。
【図15】 風の流れを可視的に示した概念図である。
【図16】 連棟農水産物栽培装置の概念図である
【図17】 海上農漁村の概念図である。
【図18】 トラス道路の概念図である。
【図19】 連棟農水産物栽培装置の浮上の概念図であ
る。
【図20】 エントランス装置の概念図である。
【図21】 水素流通系統図である。
【図22】 従来技術のタワーの小変更の概念図であ
る。
【符号の説明】 1 ・・・・・上部回転翼支持塔 2 ・・・・・下部回転翼支持塔 3 ・・・・・農産物栽培棟 4 ・・・・・水産物栽培塔 5 ・・・・・伸縮基礎脚 6 ・・・・・フレーム 6A・・・・・垂直フレーム 6B・・・・・水平フレーム 7 ・・・・・野菜生産技術者 8 ・・・・・補強ワイヤロープ 9 ・・・・・柔軟シート 9A・・・・・内層柔軟シート 9B・・・・・中間層柔軟シート 9C・・・・・外層柔軟シート 9D・・・・・粘着シート 10・・・・・農水産物栽培装置 10LHG・・ローカル水素発生装置 10LPW・・ローカル燃料電池 10LTK・・ローカル水素タンク 10LTW・・ローカル純水タンク 11・・・・・タワー 12・・・・・回転翼 13・・・・・太陽光線 14・・・・・シート巻き付け装置 15A・・・・デッキレール 15B・・・・ガイドレール 16・・・・・枠ガイドシャフト 17・・・・・シートロール 18・・・・・ロール枠 19・・・・・巻き付け補強フレーム 20・・・・・連棟農産物栽培装置 21・・・・・車輪 22・・・・・トラス道路 23・・・・・フロート 24・・・・・橋脚フロート 25・・・・・浮き橋脚 26・・・・・車両 27・・・・・エントランス装置 28・・・・・エネルギー棟 28COL・・ソーラーコレクタ 28MHG・・メイン水素発装置 28MTK・・メイン水素タンク 28SLC・・太陽光発電装置 28WTA・・メイン純水タンク 28HPN・・水素配管網 28WNT・・純水配管網 29A・・・・回転翼 29B・・・・発電機 30・・・・・海上農漁村 31・・・・・整風装置 32・・・・・ロール昇降ワイヤ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】出力1.5メガワット以上の水平軸大型風
    力発電装置を搭載した農水産物栽培装置において、農水
    産物栽培塔が、大型風力発電装置の下部回転翼支持塔を
    兼ねることを特徴とする農水産物栽培方法。
  2. 【請求項2】水上に建設された農水産物栽培装置におい
    て、水上部分の栽培塔が農産物栽培塔であり、かつ、水
    面下部分が水産物栽培塔であることを特徴とする、請求
    項1記載の農水産物栽培方法。
  3. 【請求項3】農水産物栽培塔が、柔軟シートを農産物栽
    培塔の側面に巻き付けるシート巻き付け装置を、具備し
    たことを特徴とする、請求項1、2いずれかに記載の農
    水産物栽培方法。
  4. 【請求項4】農産物栽培塔に1時間以内で柔軟シートを
    巻き付ける、あるいは農産物栽培塔から1時間以内に柔
    軟シートを巻き戻すことを特徴とする、請求項3に記載
    の農水産物栽培方法。
  5. 【請求項5】農産物栽培塔に複数種類の柔軟シートを巻
    き付けることを特徴とする、請求項3、4いずれかに記
    載の農水産物栽培方法。
  6. 【請求項6】農水産物栽培装置を最下部で支える、多数
    の伸縮基礎脚群が、電子的手段でそのストロークをモニ
    ターされ、かつ伸縮駆動制御されることを特徴とする、
    請求項1〜5いずれかに記載の農水産物栽培方法。
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