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JP2002208680A - 磁気薄膜メモリ素子、磁気薄膜メモリおよび情報記録再生方法 - Google Patents

磁気薄膜メモリ素子、磁気薄膜メモリおよび情報記録再生方法

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JP2002208680A
JP2002208680A JP2001003749A JP2001003749A JP2002208680A JP 2002208680 A JP2002208680 A JP 2002208680A JP 2001003749 A JP2001003749 A JP 2001003749A JP 2001003749 A JP2001003749 A JP 2001003749A JP 2002208680 A JP2002208680 A JP 2002208680A
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magnetic layer
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貴司 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁化反転磁界や磁化飽和磁界が大きな磁性体を
用いても、安定した情報の記録および読み出しが可能な
磁気薄膜メモリ素子を提供する。 【解決手段】読み出し層である磁性層1および磁性層3
〜6からなる記録層が非磁性層2を介して積層された磁
気薄膜メモリ素子において、磁性層1は、その磁化方向
が所定の方向に固定され、磁性層3〜6は、それぞれの
磁性層のキュリー温度が、「磁性層5<磁性層3<磁性
層4<磁性層6」の関係にあり、磁性層6の磁化方向が
所定の方向に固定されており、記録温度の高低に応じ
て、磁性層3に1ビットの情報が記録可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果を利
用する磁気薄膜メモリ素子およびそれを用いた磁気薄膜
メモリならびにその情報記録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、固体メモリである半導体メモリは
情報機器に多く用いられ、DRAM(Dynamic RAM(Ran
dom access Memory))、FeRAM(Ferroelectric R
AM)、フラッシュEEPROM(Electrically Erasabl
e Programmable ROM(Read Only Memory))等その種類
も様々である。これら半導体メモリの特性には一長一短
があり、現在の情報機器において要求されるスペックの
すべてを満たすメモリは存在しない。例えば、DRAM
は記録密度が高く書き換え可能回数も多いが、揮発性で
あるため電源を切ると記憶情報は消えてしまう。また、
フラッシュEEPROMは不揮発であるが、消去の時間
が長く、情報の高速処理には不向きである。
【0003】上記のような半導体メモリの現状に対し
て、磁気抵抗効果を用いたメモリ(MRAM)は、記録
時間、読み出し時間、記録密度、書き換え可能回数、消
費電力等において多くの情報機器から求められるスペッ
クをすべて満たすメモリとして有望である。特にスピン
依存トンネル磁気抵抗(TMR)効果を利用したMRA
Mは、大きな読み出し信号が得られることから、高記録
密度化あるいは高速読み出しに有利であり、近年の研究
報告によればMRAMとしての実現性が実証されてい
る。
【0004】MRAMのメモリ素子に用いられる磁気抵
抗効果膜の基本構成は、非磁性層を介して磁性層が隣接
して形成されたサンドイッチ構造である。非磁性膜の材
料としては、CuやAl23が良く用いられる。磁気抵
抗効果膜において非磁性層にCu等のような導体を用い
たものを巨大磁気抵抗効果膜(GMR膜)といい、Al
23などの絶縁体を用いたものをスピン依存トンネル効
果膜(TMR膜)という。TMR膜は、GMR膜に比べ
て大きな磁気抵抗効果を示すので、MRAMのメモリ素
子として好ましい。
【0005】図13は面内磁化膜を用いた磁気抵抗効果
膜の電気抵抗を説明するための図で、(a)は磁気抵抗
効果膜の磁化が平行な状態を模式的に示す断面図、
(b)は磁気抵抗効果膜の磁化が反平行な状態を模式的
に示す断面図である。図13中、矢印は磁化の方向を示
す。この図13の例では、磁気抵抗効果膜は、非磁性層
142を介して二つの磁性層141、143が積層され
たサンドイッチ構造となっている。磁性層141、14
3は、いずれも面内磁化膜である。
【0006】図13(a)に示すように磁性層141、
143の磁化方向が平行であると、磁気抵抗効果膜の電
気抵抗は比較的小さく、図13(b)に示すように磁性
層141、143の磁化方向が反平行であると、電気抵
抗は比較的大きくなる。したがって、磁性層141、1
43のうち一方の磁性層を記録層、他方を読み出し層と
して、上記の性質を利用することで記憶情報の読み出し
が可能である。
【0007】図14は面内磁化膜を用いた磁気抵抗効果
膜における記録再生原理を説明するための図で、(a)
および(b)は、記録情報「1」の読み出しを行う場合
の磁化の状態を模式的に示す断面図、(c)および
(d)は、記録情報「0」の読み出しを行う場合の磁化
の状態を模式的に示す断面図である。図14中、矢印は
磁化の方向を示し、磁気抵抗効果膜の構成は図13に示
したものと同様のため、同じ符号を付している。また、
この例では、非磁性層142の下部に位置する磁性層1
43を記録層、上部に位置する磁性層141を読み出し
層とし、記録層の磁化方向が右向きの場合を「1」、左
向きの場合を「0」とする。
【0008】図14(a)に示すように両磁性層の磁化
方向がともに右向きの場合(平行)は、磁気抵抗効果膜
の電気抵抗は比較的小さくなり、図14(b)に示すよ
うに読み出し層の磁化方向が左向きで、記録層の磁化方
向が右向きである場合(反平行)には、電気抵抗は比較
的大きくなる。また、図14(c)に示すように読み出
し層の磁化方向が右向きで、記録層の磁化方向が左向き
である場合(反平行)は、電気抵抗は比較的大きくな
り、図14(d)に示すように両磁性層の磁化方向がと
もに左向きの場合(平行)には、電気抵抗は比較的小さ
くなる。つまり、読み出し層の磁化方向が右向きに固定
されている場合に、電気抵抗が大きければ、記録層には
「0」が記録されていることになり、電気抵抗が小さけ
れば、「1」が記録されていることになる。また、読み
出し層の磁化方向が左向きに固定されている場合に、電
気抵抗が大きければ、記録層には「1」が記録されてい
ることになり、電気抵抗が小さければ、「0」が記録さ
れていることになる。
【0009】上述したような面内磁化膜を使用したMR
AMにおいては、MRAMの記録密度を高くするために
素子サイズを小さくしていくと、磁性層内部で生じる反
磁界(自己減磁界)あるいは端面の磁化のカーリングと
いった影響から情報を保持できなくなる、という問題が
生じる。この問題を回避する手法としては、例えば磁性
層の形状を長方形にすることが挙げられるが、この場合
は、素子サイズを小さくできないため、記録密度の向上
はあまり期待できない。
【0010】そこで、特開平11-213650号公報で述べら
れているように、垂直磁化膜を用いることにより上記問
題を回避しようとする提案がなされている。この方法に
よれば、素子サイズが小さくなっても反磁界は増加しな
いので、面内磁化膜を用いたMRAMよりも小さなサイ
ズの磁気抵抗効果膜が実現可能である。垂直磁気異方性
を示す磁性体としては、遷移金属−貴金属系の合金や多
層膜、CoCr合金あるいは希土類−遷移金属系の合金
や多層膜が挙げられる。
【0011】垂直磁化膜を用いたMRAMも、面内磁化
膜を用いた磁気抵抗効果膜と同様、非磁性層を介して磁
性層が積層されたサンドイッチ構造であり、両磁性層の
磁化方向が平行であると磁気抵抗効果膜の電気抵抗は比
較的小さくなり、磁化方向が反平行であると電気抵抗は
比較的大きくなる。
【0012】図15は垂直磁化膜を用いた磁気抵抗効果
膜における記録再生原理を説明するための図で、(a)
および(b)は、記録情報「1」の読み出しを行う場合
の磁化の状態を模式的に示す断面図、(c)および
(d)は、記録情報「0」の読み出しを行う場合の磁化
の状態を模式的に示す断面図である。図15中、矢印は
磁化の方向を示し、磁気抵抗効果膜の構成は磁性層が垂
直磁化膜である以外は基本的には図13に示したものと
同様であるため、同じ符号を付している。この例では、
非磁性層142の下部に位置する磁性層143を記録
層、上部に位置する磁性層141を読み出し層とし、記
録層の磁化方向が上向きの場合を「1」とし、下向きの
場合を「0」とする。
【0013】図15(a)に示すように両磁性層の磁化
方向がともに上向きの場合は、磁気抵抗効果膜の電気抵
抗は比較的小さく、図15(b)に示すように読み出し
層の磁化方向が下向きで、記録層の磁化方向が上向きの
場合には、電気抵抗は比較的大きい。また、図15
(c)に示すように読み出し層の磁化方向が上向きで、
記録層の磁化方向が下向きである場合は、電気抵抗は比
較的大きく、図15(d)に示すように両磁性層の磁化
方向がともに下向きの場合電気抵抗は比較的小さい。つ
まり、読み出し層の磁化方向が上向きに固定されている
場合に、電気抵抗が大きければ、記録層には「0」が記
録されていることになり、電気抵抗が小さければ、
「1」が記録されていることになる。また、読み出し層
の磁化方向が下向きに固定されている場合に、電気抵抗
が大きければ、記録層には「1」が記録されていること
になり、電気抵抗が小さければ、「0」が記録されてい
ることになる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】MRAMに用いられる
メモリ素子(磁気薄膜メモリ素子)は、記録時や再生時
に磁界を印加した後は、非磁性層を介して隣接して形成
された磁性層のそれぞれの磁化の大きさが飽和している
こと、すなわちそれぞれの磁性層においてすべてのスピ
ンの方向が一方向に揃っていることが好ましい。MRA
Mで多く使用されている磁性材料は、Co、Fe、Ni
Feあるいはこれらの合金である。例えば、Coよりな
る磁性層の保磁力(磁気飽和状態の強磁性体の磁化を0
とする磁場の強さ)は、バルク形のものに於いては1k
A/m程度であるが、数十nmの薄膜に於いては数kA
/m程度になる。また、磁性膜作成条件によっては、飽
和磁界は数十kA/m程度になることもある。さらに微
細加工を施した磁性体薄膜では、飽和磁界がさらに大き
くなることもある。一方、MRAMの情報の記録は、メ
モリ素子の近くに配された導線に電流を流し、これによ
って発生する磁界によって磁性層の磁化方向を反転させ
ることで行われるが、導線に流すことのできる電流に限
界があるため、メモリ素子に印加できる磁界の強さは1
0kA/m程度までである。従って、導線を用いた記録
方法では、磁性層の磁化を完全に反転させることができ
ず、十分な磁気抵抗変化が得られない場合がある。この
ことは、磁性体の組成、成膜条件、膜構成等を限定して
しまう要因、あるいは製造において歩留まりの低下を招
く原因となり得る。
【0015】特に、垂直磁化膜の磁化反転磁界や磁化飽
和磁界は、一般に面内磁化膜よりも大きな値を示すこと
から、MRAMに垂直磁化膜を用いた場合は、その組成
や成膜条件等はさらに限定されることになる。
【0016】本発明の目的は、上記の問題を解決し、磁
化反転磁界や磁化飽和磁界が大きな磁性体を用いても、
安定した情報の記録および読み出しが可能な磁気薄膜メ
モリ素子およびそれを用いた磁気薄膜メモリならびにそ
の情報記録再生方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の磁気薄膜メモリ素子は、読み出し層および
記録層が非磁性層を介して積層された磁気薄膜メモリ素
子において、前記読み出し層は、その磁化方向が所定の
方向に固定され、前記記録層は、隣接する層間で互いに
磁気的に交換結合される複数の磁性層が積層されてお
り、記録温度の高低に応じて、前記非磁性層に隣接する
磁性層の磁化方向が該記録層内で生じる交換結合力によ
って反転可能であることを特徴とする。
【0018】上記の場合、記録層は、少なくとも第1乃
至第4の磁性層が順次積層されており、該第1乃至第4
の磁性層は、それぞれの磁性層のキュリー温度が、 第3の磁性層<第1の磁性層<第2の磁性層<第4の磁
性層 の関係にあり、第4の磁性層の磁化方向が所定の方向に
固定されており、記録温度の高低に応じて前記第1の磁
性層に1ビットの情報が記録可能であるように構成して
もよい。
【0019】上記の場合、高い方の記録温度において所
定の大きさで所定の方向の磁化を持つ、該磁化により発
生する浮遊磁界によって第2の磁性層の磁化の反転が可
能な第5の磁性層をさらに有していてもよい。
【0020】また、第1の磁性層と第2の磁性層との間
に、これら磁性層の磁化方向が反平行である場合に層内
に所定のエネルギーの磁壁が形成される第6の磁性層を
有していてもよい。
【0021】さらに、ネール温度が記録温度より高い反
強磁性層が第4の磁性層に隣接して設けられていてもよ
い。
【0022】さらに、ネール温度が記録温度より高い反
強磁性層が読み出し層に隣接して設けられていてもよ
い。
【0023】本発明の磁気薄膜メモリは、上述のいずれ
かに記載の磁気薄膜メモリ素子が複数設けられ、これら
磁気薄膜メモリ素子を選択的に昇温する加熱手段を備え
ることを特徴とする。
【0024】本発明の情報記録再生方法は、隣接する層
間で互いに磁気的に交換結合される複数の磁性層からな
る記録層と読み出し層とが非磁性層を介して積層された
磁気薄膜メモリ素子の情報記録再生方法であって、前記
読み出し層の磁化を所定の方向に固定し、前記複数の磁
性層のうちの前記非磁性層に隣接する磁性層の磁化方向
を、記録温度の高低に応じて、前記記録層内で生じる交
換結合力によって反転させて1ビットの情報を記録し、
前記読み出し層の磁化方向と前記非磁性層に隣接する磁
性層の磁化方向が平行、反平行のそれぞれの場合におけ
る前記磁気薄膜メモリ素子の磁気抵抗値の違いを前記1
ビットの情報に対応づけて読み出すことを含むこと特徴
とする。
【0025】上記の場合、複数の磁性層として第1乃至
第4の磁性層を用い、該第1乃至第4の磁性層のキュリ
ー温度の関係を、 第3の磁性層<第1の磁性層<第2の磁性層<第4の磁
性層 とするととも、前記第4の磁性層の磁化方向を所定の方
向に固定し、記録層を前記第3の磁性層のキュリー温度
よりも高い第1の記録温度に昇温して、前記第3の磁性
層の磁化を滅磁するとともに、前記第1の磁性層の磁化
反転を容易にし、前記第2の磁性層との交換結合力によ
り前記第1の磁性層の磁化方向を前記第4の磁性層の磁
化方向として第1の情報を記録し、前記記録層を前記第
1の記録温度より高い第2の記録温度に昇温するととも
に、前記第2の磁性層に対して前記第4の磁性層の磁化
方向とは反平行に印加される所定の大きさの磁界を印加
して、前記第2の磁性層の磁化方向を前記磁界の方向に
揃え、該第2の磁性層との交換結合力により前記第1の
磁性層の磁化方向を前記第4の磁性層の磁化方向とは反
平行として第2の情報を記録することを含んでいてもよ
い。
【0026】また、第2の記録温度において所定の大き
さで所定の方向の磁化を持つ第5の磁性層を用い、該第
5の磁性層が発生する浮遊磁界を前記第2の記録温度に
よる情報記録時に印加される所定の大きさの磁界として
用いてもよい。
【0027】さらに、第1の磁性層と第2の磁性層との
間に第6の磁性層を設けて、前記第1の磁性層の磁化方
向と前記第2の磁性層の磁化方向が反平行である場合
に、前記第6の磁性層内に所定のエネルギーの磁壁を形
成するようにしてもよい。
【0028】さらに、ネール温度が記録温度より高い反
強磁性層を用いて第4の磁性層の磁化方向を固定するよ
うにしてもよい。
【0029】さらに、ネール温度が記録温度より高い反
強磁性層を用いて読み出し層の磁化方向を固定するよう
にしてもよい。
【0030】上記のとおりの本発明においては、記録層
は隣接する層間で互いに磁気的に交換結合される複数の
磁性層からなり、非磁性層に隣接する磁性層の磁化方向
を記録温度の高低に応じて反転することで1ビットの情
報が記録されるが、その反転は、外部磁界によらず、記
録層内で生じる交換結合力によって行われる。したがっ
て、従来のように記録層、すなわち非磁性層に隣接する
磁性層に磁化反転磁界や磁化飽和磁界が大きな磁性体が
用いられても、十分な磁気抵抗変化を得ることができ
る。
【0031】具体的には、記録層を構成する複数の磁性
層として第1乃至第4の磁性層が用られ、該第1乃至第
4の磁性層のキュリー温度の関係が、 第3の磁性層<第1の磁性層<第2の磁性層<第4の磁
性層 とされ、第4の磁性層の磁化方向が所定の方向に固定さ
れたものにおいては、第3の磁性層のキュリー温度より
も高く、第1の磁性層の磁化方向が第2の磁性層との交
換結合力により容易に反転する第1の記録温度では、第
3の磁性層の磁化が滅磁するとともに、第1の磁性層の
磁化反転を容易にし、第2の磁性層との交換結合力によ
り第1の磁性層の磁化方向が第4の磁性層の磁化方向と
されて第1の情報が記録され、第1の記録温度より高
く、第2の磁性層の磁化方向が第4の磁性層の磁化方向
とは反平行に印加される所定の大きさの磁界の方向に容
易に揃えられる第2の記録温度においては、第2の磁性
層の磁化方向がその磁界の方向に揃え、該第2の磁性層
との交換結合力により第1の磁性層の磁化方向が第4の
磁性層の磁化方向とは反平行とされて第2の情報が記録
される。
【0032】上記の場合は、磁界の印加は、第2の磁性
層の磁化方向を反転させるために用いられており、情報
記録が行われる第1の磁性層の磁化方向はその磁界によ
っては反転せずに、第2の磁性層との交換結合力によっ
て反転する。
【0033】また、本発明においては、読み出し層の磁
化方向は予め所定の方向に固定されており、この読み出
し層の磁化方向と第1の磁性層の磁化方向とが平行であ
るか、反平行であるかで、当該磁気薄膜メモリ素子の抵
抗値が異なる。したがって、上記のようにして第1の磁
性層に記録された情報を、外部磁界を印加することなく
読み出すことが可能である。
【0034】本発明のうち、第2の記録温度において所
定の大きさの磁化を持つ第5の磁性層を有するものにお
いては、この第5の磁性層が発生する浮遊磁界が第2の
記録温度時に第2の磁性層に印加されることにより情報
記録が行われるので、情報記録時に外部磁界を印加する
必要がなくなる。
【0035】また、本発明のうち、第1の磁性層と第2
の磁性層の間に第6の磁性層が形成されたものにおいて
は、第1の磁性層と第2の磁性層の磁化方向を反平行に
向けることを容易にすることが可能である。この場合、
第2の磁性層に印加される磁界はより小さくて済む。
【0036】さらに、本発明のうち、ネール温度が記録
温度より高い反強磁性層が第4の磁性層に隣接して設け
られているものにおいては、該反強磁性層との交換結合
力により第4の磁性層の磁化方向が固定される。したが
って、第4の磁性層にそれほど保磁力の大きな材料を用
いる必要がなくなり、設計時の第4の磁性層に関する材
料選択の自由度が向上する。
【0037】さらに、本発明のうち、ネール温度が記録
温度より高い反強磁性層が第1の磁性層に隣接して設け
られているものにおいては、該反強磁性層との交換結合
力により第1の磁性層の磁化方向が固定される。したが
って、第1の磁性層にそれほど保磁力の大きな材料を用
いる必要がなくなり、設計時の第1の磁性層に関する材
料選択の自由度が向上する。
【0038】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0039】図1は、本発明の一実施形態である磁気薄
膜メモリ素子に用いられる磁気抵抗効果膜の断面構造図
である。この磁気抵抗効果膜は、磁性層1、非磁性層
2、磁性層3〜6が順次積層されてなる多層膜構造を有
する。磁性層1が読み出し層であり、磁性層3〜6が記
録層(多層膜)である。磁性層3と磁性層4の間、磁性
層4と磁性層5の間、磁性層5と磁性層6の間は、それ
ぞれ磁気的に交換結合されている。磁性層1の磁化方向
は所定の方向に固定されている。図1には示されていな
いが、磁性層1の磁化方向を固定するために、ネール温
度が記録温度よりも高い材料よりなる反強磁性層を設け
て、これと磁性層1とを交換結合させてもよい。
【0040】磁性層3〜6の中では、磁性層6のキュリ
ー温度が最も高く、かつ使用温度(記録温度)範囲内で
は、この磁性層6の磁化方向は固定されている。磁性層
4のキュリー温度が、磁性層6のキュリー温度に次いで
高く、磁性層5のキュリー温度が最も低い。図1には示
されていないが、磁性層6の磁化方向を固定するため
に、ネール温度が記録温度よりも高い材料よりなる反強
磁性層を設けて、これと磁性層6とを交換結合させても
よい。
【0041】上記のような多層膜構造を有する磁気抵抗
効果膜は、昇温による記録が可能である。以下、磁気抵
抗効果膜の各磁性層を面内磁化膜とした場合と、垂直磁
化膜とした場合における情報の記録、再生について詳細
に説明する。
【0042】(1)面内磁化膜の場合 (1−a)情報記録 図2は、図1に示す磁気抵抗効果膜の各磁性層に面内磁
化膜を用いた場合の情報記録プロセスを説明するための
概念図で、(a)は「1」が記録されているときの磁化
方向を示す模式図、(b)は比較的低い記録温度TL
で昇温したときの磁化方向を示す模式図、(c)は比較
的高い記録温度THまで昇温したときの磁化方向を示す
模式図、(d)は「0」が記録されているときの磁化方
向を示す模式図である。図2中、白抜き矢印は磁化の方
向を示し、黒矢印(10)は外部より印加される磁界を
示す。
【0043】図2に示す例では、磁気抵抗効果膜はすべ
ての磁性層1、3〜6が面内磁化膜であり、膜面内左向
きの方向に外部磁界10が印加されるようになってい
る。以下の説明では、磁性層3の磁化方向が右向きのと
きを「1」とし、左向きのときを「0」とする。
【0044】いま例えば図2(a)に示すように磁性層
3〜6の磁化方向がすべて右向きで「1」が記録されて
いる状態であったとして、これを比較的低い記録温度T
Lまで昇温する。ただし、この比較的低い記録温度T
Lは、磁性層5のキュリー温度よりも高く、磁性層4と
の交換結合力によって磁性層3の磁化の方向が容易に反
転可能であるような温度である。また、磁性層4は、そ
の比較的低い記録温度T Lまで昇温された状態では、外
部印加磁界10の影響により磁化反転しないような保磁
力を有する。このような条件の下では、比較的低い記録
温度TLまで昇温されると、図2(b)に示すように磁
性層5の磁化が巨視的に消失する(またはその保磁力エ
ネルギーが小さくなる)が、各磁性層3、4、6の磁化
方向はいずれも元の磁化状態(右向き)を維持し、外部
印加磁界10による磁化反転は生じない。
【0045】上記昇温の後、磁気抵抗効果膜が冷却され
る過程において、膜温度が磁性層5のキュリー温度を下
回ると、磁性層5の磁化が磁性層6の磁化方向と同じ方
向で揃い、図2(a)の磁化状態に戻る。
【0046】次いで、図2(a)の状態から比較的高い
記録温度THまで昇温する。この比較的高い記録温度TH
は、磁性層4の磁化方向が外部磁界10の方向に容易に
揃うような温度である。このような条件の下では、比較
的高い記録温度THまで昇温されると、図2(c)に示
すように磁性層5の磁化が巨視的に消失し、外部印加磁
界10により磁性層4の磁化方向が左向きとなり(磁化
反転)、磁性層3の磁化が磁性層4の磁化方向(左向
き)に揃う。ただし、磁性層6は元の磁化状態(右向
き)が維持される。
【0047】上記昇温の後、磁気抵抗効果膜が冷却され
る過程において、膜温度が磁性層5のキュリー温度を下
回ると、磁性層5の磁化が磁性層6の磁化方向(右向
き)に揃い、さらに交換結合力によって磁性層4の磁化
も磁性層6の磁化方向(右向き)に揃う。ただし、この
ときの磁性層3と磁性層4の界面における磁壁エネルギ
ーは、磁性層3の保磁力エネルギーよりも小さくなるよ
うにしておく。このため、磁性層3の磁化方向は、外部
磁界10の方向に揃っており、磁性層3と磁性層4の界
面には磁壁が存在する。
【0048】上記のようにして比較的高い記録温度TH
まで昇温されて、膜温度が磁性層5のキュリー温度を下
回った後の磁気抵抗効果膜の磁化状態が、図2(d)に
示す磁化状態であり、「0」が記録されたことになる。
【0049】次いで、図2(d)の磁化状態、つまり
「0」が記録された状態から比較的低い記録温度TL
で昇温する。比較的低い記録温度TLまで昇温し、その
後の冷却過程において磁性層3の磁化は交換結合力によ
って磁性層4の磁化方向に揃い、図2(b)の磁化状態
となる。膜温度が磁性層5のキュリー温度を下回ると、
磁性層5の磁化が磁性層6の磁化方向と同じ方向で揃
い、図2(a)の磁化状態に戻る。
【0050】次いで、図2(d)の状態から比較的高い
記録温度THまで昇温する。この場合も、図2(a)か
ら比較的高い記録温度THまで昇温した場合と同様に、
磁性層5の磁化は巨視的に消失するため、磁性層4の磁
化方向は外部磁界10の方向に揃い、図2(c)の磁化
状態となる。
【0051】以上のことから明らかなように、初期状態
が「0」と「1」のどちらが記録された状態であって
も、比較的低い記録温度TLまで昇温した場合は、
「0」が記録された状態となり、比較的高い記録温度T
Hまで昇温した場合は、「1」が記録された状態とな
る。この情報記録では、磁性層を昇温し、交換結合力を
用いて記録を行うので、小さな印加磁界で記録を行うこ
とができる。
【0052】(1−b)情報再生 記録情報の読み出しは、磁性層1(読み出し層)の磁化
方向と磁性層3の磁化方向とが平行であるか、反平行で
あるかで、磁気抵抗効果膜の抵抗値が異なることを利用
する。すなわち、磁性層1の磁化方向は予め初期化方向
に固定されており、磁性層3の磁化方向は記録情報が
「0」か「1」かによってその磁化方向が磁性層1の磁
化方向に対して平行、反平行(図2の(a)および
(d)参照)となるので、磁気抵抗効果膜の抵抗値は記
録情報が「0」か「1」かによってその値が異なる。よ
って、磁気抵抗効果膜の抵抗値の大小を検出すること
で、外部磁界を印加することなく記録情報の読み出しを
行うことができる。
【0053】以上説明した磁気抵抗効果膜は外部磁界1
0の印加により情報の記録が行われるようになっている
が、情報記録のための磁界を印加する機能を磁気抵抗効
果膜自体に付加することにより、外部磁界10を印加す
ることなく情報の記録を行うことも可能である。
【0054】図3は、外部磁界なしに情報の記録を行う
ことが可能な磁気抵抗効果膜における磁化方向と浮遊磁
界の方向を模式的に示す断面図である。この磁気抵抗効
果膜は、図1に示した構成に加えて、磁性層6の側に新
たな磁性層7が設けられている。この磁性層7は、情報
記録に必要な浮遊磁界20を発生するもので、記録温度
において大きな磁化を持ち、磁性層6とは直接接しない
ように設けられている。この磁性層7の磁化の向きは固
定されており、その方向は、比較的高い記録温度TH
で昇温したときの磁性層4の磁化の方向に対して反平行
に浮遊磁界20が印加されるような方向である。この磁
気抵抗効果膜においても、外部磁界10に代えて浮遊磁
界20が利用される点が異なるだけで、その情報の記録
は、前述の図2に示した情報の記録と同じである。
【0055】上記図3の例の他に、磁性層4との交換結
合力によって磁性層3の磁化方向が反転して記録情報が
消失することを防ぐために、図4に示すように、磁性層
3と磁性層4の間に、磁壁エネルギーが小さい材料を用
いた磁性層8を形成してもよい。
【0056】以上説明した、面内磁化膜を用いた磁気抵
抗効果膜の構成において、磁性層1、3〜8として、C
o、Fe、Niやこれらの合金を用いることが可能であ
る。さらにはSb、V、Cr、Si、Al、Zn、M
n、Cu、Rh、Ru、Ir、Os、W、Mo、Nb、
Re、Ga、Ge、Sn、Pt、Pd等を適量添加する
ことにより、所望のキュリー温度、磁壁エネルギー、保
磁力等の磁気特性を調整することも可能である。
【0057】さらに、第1の反強磁性層を磁性層6と交
換結合させるように形成し、磁性層6の磁化方向を固定
してもよいし、第2の反強磁性層を磁性層1と交換結合
させるように形成し、磁性層1の磁化方向を固定しても
よい。これら反強磁性層に使用する反強磁性体として
は、ネール温度が高いものが好ましく、例えばα−Fe
23、NiO、MnIr、MnPt、MnCr、CrA
l、CrGa等が使用可能である。
【0058】(2)垂直磁化膜の場合 (2−a)情報記録 図5は、図1に示す磁気抵抗効果膜の各磁性層に垂直磁
化膜を用いた場合の情報記録プロセスを説明するための
概念図で、(a)は「1」が記録されているときの磁化
方向を示す模式図、(b)は比較的低い記録温度TL
で昇温したときの磁化方向を示す模式図、(c)は比較
的高い記録温度THまで昇温したときの磁化方向を示す
模式図、(d)は「0」が記録されているときの磁化方
向を示す模式図である。図5中、白抜き矢印は磁化の方
向を示し、黒矢印(10)は外部より印加される磁界を
示す。
【0059】図5に示す例では、磁気抵抗効果膜はすべ
ての磁性層1、3〜6が垂直磁化膜であり、垂直磁化の
方向に外部磁界10が印加されるようになっている。こ
こでは、磁性層3の磁化方向が上向きのときを「1」と
し、下向きのときを「0」とする。この磁気抵抗効果膜
における記録プロセスは、前述の図2に示した面内磁化
膜を用いた場合と同様であり、やはり比較的低い記録温
度TLまで昇温(図5(b)の状態)した場合は、
「1」が記録され(図5(a)の状態)、比較的高い記
録温度THまで昇温(図5(c)の状態)した場合に
は、「0」が記録される(図5(d)の状態)。
【0060】本例の垂直磁化膜を用いた磁気抵抗効果膜
においても、前述の面内磁化膜を用いた場合と同様に、
磁気抵抗効果膜に磁界を印加する機能を磁気抵抗効果膜
自体に付加することにより、記録時に外部磁界10を印
加することなく情報の記録が可能である。
【0061】図6は、外部磁界なしに情報の記録を行う
ことが可能な磁気抵抗効果膜における磁化方向と浮遊磁
界の方向を模式的に示す断面図である。この磁気抵抗効
果膜は、図5に示した磁気抵抗効果膜の構成に加えて、
磁性層6の側に新たな磁性層7が設けられている。この
磁性層7は、情報記録に必要な浮遊磁界20を発生する
もので、記録温度において大きな磁化を持ち、磁性層6
とは直接接しないように設けられている。この磁性層7
の磁化の向きは固定されており、その方向は、比較的高
い記録温度THまで昇温したときの磁性層4の磁化の方
向に対して反平行に浮遊磁界20が印加されるような方
向である。この磁気抵抗効果膜においても、外部磁界1
0に代えて浮遊磁界20が利用される点が異なるだけ
で、その情報の記録は、前述の図5に示した情報の記録
と同じである。
【0062】上述した垂直磁化膜を用いた磁気抵抗効果
膜において、各磁性層1、3〜7に用いられる材料とし
ては、Tb、Dy、Gd、Nd等の希土類金属の中から
選ばれた少なくとも一元素とFe、Co、Ni等の遷移
金属の中から選ばれた少なくとも一元素からなる希土類
遷移金属合金、Pt/Co、Pd/Co等の遷移金属と
貴金属からなる合金や人工格子多層膜、CoCr合金
等、キュリー温度が室温よりも高く垂直磁化を示すもの
であれば使用可能であるが、特に希土類遷移金属合金
は、その組成を調整することによって所望の磁気特性を
得ることが容易であるので好ましい。また、大きな磁気
抵抗変化を得るためには、磁性層1と磁性層3にスピン
分極率の大きな材料を用いることが好ましい。
【0063】以上説明した磁気抵抗効果膜により構成さ
れる本形態の磁気薄膜メモリ素子において、磁気抵抗効
果膜を加熱する方法は特に限定するものではないが、例
えば、磁気抵抗効果膜の近くに発熱体を形成して熱伝導
により加熱する方法がある。この場合、発熱体としては
ニッケルクロム合金や鉄クロムアルミニウム合金等が使
用可能である。
【0064】磁気薄膜メモリでは、磁気薄膜抵抗膜と発
熱体とを有する磁気薄膜メモリ素子が複数配置され、選
択的に発熱体に電流を流すことで、磁気薄膜メモリ素子
の磁気薄膜抵抗膜を加熱して情報を記録する。選択的に
発熱体に電流を流す回路として、周知のMRAMの選択
回路を使用することができる。
【0065】磁気薄膜メモリ素子の磁気薄膜抵抗膜を効
率よく昇温するためには、発熱体と磁気薄膜抵抗膜は極
力近い場所に配置する必要がある反面、両者は電気的に
独立している必要がある。したがって、発熱体と磁気抵
抗効果膜は熱伝導率の高い絶縁層を介して隣接して形成
されていることが好ましい。このような絶縁体として
は、BeOが挙げられる。また、熱伝導率が著しく高い
材料でなくても電気抵抗率が高く、かつ絶縁破壊が起き
にくい材料であれば、膜厚を薄くすることにより使用可
能である。そのような材料としては、例えばAl23
Si34等が挙げられる。
【0066】発熱体や磁気抵抗効果膜を半導体と電気的
に接続する場合は、半導体の熱的ダメージを低減するた
め、または熱効率を高めるために、発熱体または磁気抵
抗効果膜を電気抵抗が低く、かつ、熱伝導率が小さい導
体によって形成された層を介して半導体に接続すること
が好ましい。そのような材料としては、例えばTiが挙
げられる。
【0067】なお、磁気抵抗効果膜の昇温は、上記発熱
体による加熱の他、発光体から発せられた光を磁気抵抗
効果膜に照射して直接加熱する方法によっても可能であ
る。
【0068】
【実施例】次に、本発明の磁気薄膜メモリ素子について
具体例を挙げてその構成を説明する。
【0069】(実施例1)図7は、本発明の第1の実施
例の磁気薄膜メモリ素子の概略構成を示す断面図、図8
は、その磁気薄膜メモリ素子に用いられる磁気抵抗効果
膜の断面図である。
【0070】この磁気薄膜メモリ素子は、基板21とし
てSiウエハーが用いられており、その表面を酸化処理
することで、約1μmのSiO2膜22が形成されてい
る。SiO2膜22上部には、膜厚50nmのAl50
50膜によりなるワード線23が形成され、さらにその
上部にn型半導体24、p型半導体25、熱遮断膜26
が順次積層されている。熱遮断膜26には、膜厚100
nmのTiを用いている。
【0071】熱遮断膜26の上部には磁気抵抗効果膜4
0、膜厚50nmのAl50Cu50膜よりなるビット線2
7が形成されており、さらにその上部に絶縁膜28、下
部電極29、発熱体30が形成されている。発熱体30
は、磁気抵抗効果膜40を昇温するためのもので、磁気
抵抗効果膜40上にビット線27上部の電気絶縁膜28
を介して形成されており、その下部において膜厚50n
mのAl50Cu50膜よりなる下部電極29と電気的に接
続されている。ここでは、発熱体30に膜厚100nm
のNi75Cr23Mn2を用いている。
【0072】発熱体30の上部には、膜厚100nmの
Ti膜よりなる熱遮断膜31が形成され、さらにその上
にp型半導体32、n型半導体33、膜厚50nmのA
50Cu50膜よりなる上部電極34が形成されている。
上部電極34の上部には、記録情報再生時に外部より磁
界を印加するために、絶縁層35を介して膜厚100n
mのAlよりなる導線36が形成されている。
【0073】磁気抵抗効果膜40は、前述の図1に示し
た磁気抵抗効果膜を基本とするもので、図8に示すよう
に反強磁性層50、磁性層41、非磁性層42、磁性層
43〜46、48、反強磁性層49が順次積層されてな
る多層膜構造を有する。磁性層41、非磁性層42、磁
性層43〜46がそれぞれ図1に示した磁性層1、非磁
性層2、磁性層3〜6に対応する。また、磁性層48は
図4に示した磁性層8に対応する。反強磁性層49は、
磁性層46の磁化方向を固定するためのもので、その一
方向異方性の方向は固定されており、磁性層46と交換
結合されている。反強磁性層50は、磁性層1の磁化方
向を固定するためのもので、その磁化方向は固定されて
おり、磁性層1と交換結合されている。
【0074】本例では、反強磁性層50は膜厚5nmの
Mn70Ir30膜、磁性層41は膜厚10nmのCo50
50膜、非磁性層42は膜厚2nmのAl23膜、磁性
層43は膜厚5nmのCo50Fe50膜、磁性層44は膜
厚2nmのCo膜、磁性層45は膜厚3nmのNi92
8膜、磁性層46は膜厚5nmのCo膜、磁性層48
は膜厚5nmのFe80Cr20膜、反強磁性層49は膜厚
5nmのMn70Ir30膜とした。また、各磁性層を成膜
する際には、右方向に磁界を印加し、磁性層に一軸異方
性を誘起させるとともに、磁性層1と磁性層6の磁化方
向を右方向に固定している。
【0075】以上のように構成される本例の磁気薄膜メ
モリ素子において、情報の記録は、上部電極34と下部
電極29を介して、磁気抵抗効果薄膜40の上部に形成
された発熱体30に電流を流して磁気抵抗効果薄膜40
を適当に昇温することにより行われる。磁気抵抗効果薄
膜40の温度は、発熱体30に流す電流の大きさを調整
することで所望の温度とすることができる。情報記録の
際には、磁気抵抗効果薄膜40の膜面内左方向に磁界を
印加する。
【0076】記録された情報の読み出しは、ワード線2
3およびビット線27に定電流を流し、磁気薄膜メモリ
素子にかかる電圧を検出することで行う。このようにし
て検出される電圧値は、磁気抵抗効果薄膜40に記録さ
れた情報を伴った値を示す。
【0077】発熱体30による加熱により、磁気抵抗効
果薄膜40を比較的高い記録温度T Hまで昇温した後、
ワード線23およびビット線27に定電流を流して磁気
薄膜メモリ素子にかかる電圧を測定し、次いで磁気抵抗
効果薄膜40を比較的低い記録温度TLまで昇温した
後、ワード線23およびビット線27に定電流を流して
磁気薄膜メモリ素子にかかる電圧を測定した結果、比較
的高い記録温度THまで昇温した場合の電圧値は、比較
的低い記録温度TLまで昇温した場合の電圧値よりも高
い値を示した。この結果から、記録温度の違い(高低)
に応じて1ビットの情報を記録できることが分かる。
【0078】図9は、図7に示した磁気薄膜メモリ素子
を複数有する磁気薄膜メモリの概略構成を示す回路図で
ある。図9中、図7に示した構成と同じものには、同じ
符号を付している。
【0079】この磁気薄膜メモリは、ワード線23、ビ
ット線27が縦横に複数設けられ、それらの各交差部に
磁気薄膜メモリ素子100が設けられている。ワード線
23に沿って磁界印加用の導線36および上部電極34
が設けられ、ビット線27に沿って下部電極29が設け
られている。磁気薄膜メモリ素子100は行列状に複数
配置されているが、いずれも同じ構成であるので、ここ
では図9の右上に位置する磁気薄膜メモリ素子を例にと
ってその構成を詳細に説明する。
【0080】磁気薄膜メモリ素子100は、図7に示し
た構造のもので、磁気抵抗効果膜40、発熱体30、ダ
イオードD1(n型半導体24およびp型半導体2
5)、ダイオードD2(n型半導体33およびp型半導
体32)を有する。磁気抵抗効果膜40は、一端がダイ
オードD1を介してワード線23と接続され、他端がビ
ット線27と接続されている。発熱体30は、一端がダ
イオードD2を介して上部電極34と接続され、他端が
下部電極29と接続されている。
【0081】ワード線23の一端はトランジスタTr3
の一方の端子と接続されている。トランジスタTr3の
他方の端子は固定抵抗Rの一端に接続されるとともに、
センスアンプSAの一方の入力端子に接続されている。
固定抵抗Rの他端は、電源101を介して接地されてい
る。ビット線27の一端はトランジスタTr4、Tr5
の一方の端子にそれぞれ接続されている。トランジスタ
Tr5の他方の端子は接地され、トランジスタTr4の
他方の端子は電源102を介して接地されている。
【0082】上部電極34の一端はトランジスタTr1
の一方の端子に接続されている。トランジスタTr1の
他方の端子は、電源103を介して接地されている。下
部電極29の一端はトランジスタTr6を介して接地さ
れ、導線36の一端はトランジスタTr2を介して接地
されている。
【0083】次に、この磁気薄膜メモリの情報記録動作
について説明する。
【0084】トランジスタTr1、Tr6をそれぞれオ
ンにすることにより、上部電極34と下部電極29を介
して発熱体30に所望の大きさの電流を流すことがで
き、これにより、磁気抵抗効果薄膜40を所望の記録温
度に昇温して情報を記録することができる。情報記録時
には、トランジスタTr2をオンとして、導線36に所
定の方向に所定の大きさの電流を流し、該導線36にて
発生する磁界を磁気薄膜メモリ素子100の磁気抵抗効
果薄膜40に対して印加する。本例では、磁気薄膜メモ
リ素子100が行列状に複数配置されており、各上部電
極34に設けられているトランジスタTr1、各下部電
極29に設けられているトランジスタTr6、各導線3
6に設けられているトランジスタTr2をそれぞれオン
・オフ制御することにより、特定の磁気薄膜メモリ素子
100の発熱体30に選択的に電流を流すことができ、
その磁気抵抗効果薄膜40に対して磁界を印加すること
ができる。
【0085】続いて、記録情報の読み出し動作について
説明する。
【0086】まず、選択する磁気薄膜メモリ素子10
0に接続されているビット線27のトランジスタTr5
をオンにし、トランジスタTr4をオフにする。これ以
外のビット線については、その逆の状態、すなわちトラ
ンジスタTr5をオフにし、トランジスタTr4をオン
にする。また、選択する磁気薄膜メモリ素子100に接
続されているワード線23のトランジスタTr3をオン
にする。ここで、ワード線23に電源電圧(電源10
1)はビット線27に接続されている電源電圧(電源1
02)よりも若干低い値であり、その電圧の差は磁気薄
膜メモリ素子100を構成するダイオードD1のツェナ
ー電圧よりも小さくなるように設定されている。このた
め、選択する磁気薄膜メモリ素子100の磁気抵抗効果
膜40の一端はダイオードD1を介してプラスの電圧が
印加され、他端はグランドに落ちた状態になり、その磁
気抵抗効果膜40に定電流が流れる。なお、その他の磁
気薄膜メモリ素子では、トランジスタTr4がオンとさ
れているためにビット線側に高い電圧が印加されること
となり、ダイオードの働きにより磁気抵抗効果膜には電
流は流れない。
【0087】上記のようにして選択された磁気薄膜メ
モリ素子100の磁気抵抗効果膜40に定電流を流した
状態で、導線36に所定の方向に電流を流して磁界を発
生させる。選択された磁気薄膜メモリ素子100の磁気
抵抗効果膜40の非磁性層を介して積層されている読み
出し層(磁性層41(磁化方向は固定))および記録層
(磁性層43)の磁化方向が反平行か、平行かで磁気抵
抗効果膜40の抵抗が異なる。
【0088】選択された磁気薄膜メモリ素子100の
磁気抵抗効果膜40と固定抵抗Rは直列に接続されてい
るので、それぞれの抵抗にかかる電位差はそれらの抵抗
値の比率に比例し、それらの抵抗にかかる電位差の和は
2つの電源(101、102)の電圧の差で一定であ
る。したがって、磁気抵抗効果膜40の抵抗値が異なる
と、この磁気抵抗効果膜40にかかる電位差も異なるこ
とになる。この電位差の大小をセンスアンプSAで検出
することにより、記録情報を読み出す。
【0089】(実施例2)図10は、本発明の第2の実
施例の磁気薄膜メモリ素子の概略構成を示す断面図、図
11は、その磁気薄膜メモリ素子に用いられる磁気抵抗
効果膜の断面図である。
【0090】この磁気薄膜メモリ素子は、導線36およ
び絶縁層35が無いこと、磁気抵抗効果膜40の構成が
異なること以外は上述の第1の実施例のものと同様のも
のである。
【0091】磁気抵抗効果膜40は、前述の図6に示し
た磁気抵抗効果膜を基本とするもので、図11に示すよ
うに磁性層41、非磁性層42、磁性層43、48、4
4〜46が順次積層され、さらに磁性層46の側に該磁
性層46とは接しないように磁性層47が設けられた多
層膜構造を有する。磁性層41、非磁性層42、磁性層
43〜47はそれぞれ図6に示した磁性層1、非磁性層
2、磁性層3〜7に対応する。また、磁性層48は、磁
性層44との交換結合力によって磁性層43の磁化方向
が反転して記録情報が消失することを防ぐために設けら
れたもので、図4に示した磁性層8と同様の働きをす
る。
【0092】本例では、磁性層41に膜厚10nmのG
26Co74膜、非磁性層42に膜厚2nmのAl2
3膜、磁性層43に膜厚10nmのTb22Fe75Co
3膜、磁性層44に膜厚20nmのDy20Fe62Co18
膜、磁性層45に膜厚3nmのTb 17Fe83膜、磁性層
46に膜厚30nmのTb22Co78、磁性層47に膜厚
20nmのTb18Fe41Co41膜、磁性層48に膜厚5
nmのGd32Co68膜を用いた。情報を保持する磁性層
43の保磁力は、ここでは6MA/m以上と著しく大き
くした。
【0093】上述した条件で作製した磁気薄膜メモリ素
子を200℃まで加熱し、同時に磁気抵抗効果薄膜40
に対して膜面法線方向上向きに1.6MA/mの大きさ
の磁界を印加し、磁性層46の磁化方向を上向きに向け
た後、室温において膜面法線方向下向きに1MA/mの
大きさの磁界を印加して磁性層47の磁化方向を下向き
に向けた。
【0094】上記のような処理を施した磁気薄膜メモリ
素子において、上述の第1の実施例の場合と同様に、発
熱体30による加熱により、磁気抵抗効果薄膜40を比
較的高い記録温度THまで昇温した後、ワード線23お
よびビット線27に定電流を流して磁気薄膜メモリ素子
にかかる電圧を測定し、次いで磁気抵抗効果薄膜40を
比較的低い記録温度TLまで昇温した後、ワード線23
およびビット線27に定電流を流して磁気薄膜メモリ素
子にかかる電圧を測定した結果、比較的高い記録温度T
Hまで昇温した場合の電圧値は、比較的低い記録温度TL
まで昇温した場合の電圧値よりも高い値を示した。この
結果から、記録温度の違い(高低)に応じて1ビットの
情報を記録できることが分かる。
【0095】図12は、図10に示した磁気薄膜メモリ
素子を複数有する磁気薄膜メモリの概略構成を示す回路
図である。この磁気薄膜メモリは、導線36およびトラ
ンジスタTR2が無いこと、磁気薄膜メモリ素子100
の構成が異なること以外は、上述の図9に示したものと
同じである。図12中、図9に示した構成と同じものに
は、同じ符号を付している。
【0096】この磁気薄膜メモリは、磁気薄膜メモリ素
子100として図10に示した磁気薄膜メモリ素子が用
いられている。情報記録は、図9に示した磁気薄膜メモ
リにおける動作と基本的には同じであるが、情報記録時
に印加される磁界として、導線36にて発生する磁界に
代えて、磁気薄膜メモリ素子100を構成する磁性層4
7にて発生する浮遊磁界が用られる。よって、本例の磁
気薄膜メモリにおける記録動作では、図9に示した磁気
薄膜メモリにおける記録動作で必要であった、「トラン
ジスタTr2をオンとして、導線36に所定の方向に所
定の大きさの電流を流し、該導線36にて発生する磁界
を磁気薄膜メモリ素子100の磁気抵抗効果薄膜40に
対して印加する」という動作が必要なくなる。これ以外
の記録動作は、図9に示した磁気薄膜メモリにおける動
作と同じである。
【0097】また、記録情報の読み出しについても、導
線36にて発生する磁界に代えて磁気薄膜メモリ素子1
00を構成する磁性層47にて発生する浮遊磁界が用ら
れるので、図9に示した磁気薄膜メモリにおける読み出
し動作〜のうち、の動作が必要なくなる。したが
って、動作の後に、動作に移って、磁気抵抗効果膜
40にかかる電位差の大小がセンスアンプSAで検出さ
れ、記録情報が読み出される。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基本的には記録層内で生じる交換結合力によって情報の
記録が行われるので、小さな印加磁界によって磁化の方
向を反転することが困難な磁性体を用いた場合であって
も、印加磁界を大きくすることなく記録が可能である。
よって、記録層の磁性体の組成、成膜条件、膜構成等の
選択性を向上させることができ、結果的に、製造におけ
る歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気薄膜メモリ素子に用いらる磁気抵
抗効果膜の一実施形態を示す断面構造図である。
【図2】図1に示す磁気抵抗効果膜を用いた場合の情報
記録プロセスを説明するための概念図で、(a)は
「1」が記録されているときの磁化方向を示す模式図、
(b)は比較的低い記録温度TLまで昇温したときの磁
化方向を示す模式図、(c)は比較的高い記録温度TH
まで昇温したときの磁化方向を示す模式図、(d)は
「0」が記録されているときの磁化方向を示す模式図で
ある。
【図3】図1に示す磁気抵抗効果膜の一変形例である、
外部磁界なしに情報の記録を行うことが可能な磁気抵抗
効果膜における磁化方向と浮遊磁界の方向を模式的に示
す断面図である。
【図4】図1に示す磁気抵抗効果膜の一変形例を示す図
である。
【図5】図1に示す磁気抵抗効果膜の各磁性層に垂直磁
化膜を用いた場合の情報記録プロセスを説明するための
概念図で、(a)は「1」が記録されているときの磁化
方向を示す模式図、(b)は比較的低い記録温度TL
で昇温したときの磁化方向を示す模式図、(c)は比較
的高い記録温度THまで昇温したときの磁化方向を示す
模式図、(d)は「0」が記録されているときの磁化方
向を示す模式図である。
【図6】図1に示す磁気抵抗効果膜の一変形例である、
外部磁界なしに情報の記録を行うことが可能な磁気抵抗
効果膜における磁化方向と浮遊磁界の方向を模式的に示
す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例の磁気薄膜メモリ素子の
概略構成を示す断面図である。
【図8】図7に示す磁気薄膜メモリ素子に用いられる磁
気抵抗効果膜の断面図である。
【図9】図7に示した磁気薄膜メモリ素子を複数有する
磁気薄膜メモリの概略構成を示す回路図である。
【図10】本発明の第2の実施例の磁気薄膜メモリ素子
の概略構成を示す断面図である。
【図11】図10に示す磁気薄膜メモリに用いられる磁
気抵抗効果膜の断面図である。
【図12】図10に示す磁気薄膜メモリ素子を複数有す
る磁気薄膜メモリの概略構成を示す回路図である。
【図13】面内磁化膜を用いた従来の磁気抵抗効果膜の
電気抵抗を説明するための図で、(a)は磁気抵抗効果
膜の磁化が平行な状態を模式的に示す断面図、(b)は
磁気抵抗効果膜の磁化が反平行な状態を模式的に示す断
面図である。
【図14】面内磁化膜を用いた従来の磁気抵抗効果膜に
おける記録再生原理を説明するための図で、(a)およ
び(b)は、記録情報「1」の読み出しを行う場合の磁
化の状態を模式的に示す断面図、(c)および(d)
は、記録情報「0」の読み出しを行う場合の磁化の状態
を模式的に示す断面図である。
【図15】垂直磁化膜を用いた従来の磁気抵抗効果膜に
おける記録再生原理を説明するための図で、(a)およ
び(b)は、記録情報「1」の読み出しを行う場合の磁
化の状態を模式的に示す断面図、(c)および(d)
は、記録情報「0」の読み出しを行う場合の磁化の状態
を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1、3〜8、41、43〜48、141、143 磁性
層 2、42、142 非磁性層 49、50 反強磁性層 10 外部磁界 20 浮遊磁界 21 基板 22 SiO2膜 23 ワード線 24、33 n型半導体 25、32 p型半導体 26、31 熱遮断膜 27 ビット線 28、35 絶縁膜 29 下部電極 30 発熱体 34 上部電極 36 導線 40 磁気抵抗効果膜 100 磁気薄膜メモリ素子 Tr1〜Tr6 トランジスタ 101〜103 電源 SA センスアンプ R 固定抵抗 D1、D2 ダイオード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/08 G01R 33/06 R

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 読み出し層および記録層が非磁性層を介
    して積層された磁気薄膜メモリ素子において、 前記読み出し層は、その磁化方向が所定の方向に固定さ
    れ、 前記記録層は、隣接する層間で互いに磁気的に交換結合
    される複数の磁性層が積層されており、記録温度の高低
    に応じて、前記非磁性層に隣接する磁性層の磁化方向が
    該記録層内で生じる交換結合力によって反転可能である
    ことを特徴とする磁気薄膜メモリ素子。
  2. 【請求項2】 記録層は、少なくとも第1乃至第4の磁
    性層が順次積層されており、該第1乃至第4の磁性層
    は、それぞれの磁性層のキュリー温度が、 第3の磁性層<第1の磁性層<第2の磁性層<第4の磁
    性層の関係にあり、第4の磁性層の磁化方向が所定の方
    向に固定されており、 記録温度の高低に応じて前記第1の磁性層に1ビットの
    情報が記録可能であることを特徴とする請求項1に記載
    の磁気薄膜メモリ素子。
  3. 【請求項3】 高い方の記録温度において所定の大きさ
    で所定の方向の磁化を持ち、該磁化により発生する浮遊
    磁界によって第2の磁性層の磁化の反転が可能な第5の
    磁性層をさらに有することを特徴とする請求項2に記載
    の磁気薄膜メモリ素子。
  4. 【請求項4】 第1の磁性層と第2の磁性層との間に、
    これら磁性層の磁化方向が反平行である場合に層内に所
    定のエネルギーの磁壁が形成される第6の磁性層を有す
    ることを特徴とする請求項2に記載の磁気薄膜メモリ素
    子。
  5. 【請求項5】 ネール温度が記録温度より高い反強磁性
    層が第4の磁性層に隣接して設けられていることを特徴
    とする請求項2に記載の磁気薄膜メモリ素子。
  6. 【請求項6】 ネール温度が記録温度より高い反強磁性
    層が読み出し層に隣接して設けられていることを特徴と
    する請求項1に記載の磁気薄膜メモリ素子。
  7. 【請求項7】 読み出し層および記録層を構成する磁性
    層が面内磁化膜であることを特徴とする請求項1に記載
    の磁気薄膜メモリ素子。
  8. 【請求項8】 読み出し層および記録層を構成する各磁
    性層が垂直磁化膜であることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気薄膜メモリ素子。
  9. 【請求項9】 垂直磁化膜が希土類と遷移金属の合金か
    らなることを特徴とする請求項8に記載の磁気薄膜メモ
    リ素子。
  10. 【請求項10】 読み出し層および記録層を構成する磁
    性層がスピン依存トンネル効果膜であることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁気薄膜メモリ素子。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    磁気薄膜メモリ素子が複数設けられ、これら磁気薄膜メ
    モリ素子を選択的に昇温する加熱手段を備えることを特
    徴とする磁気薄膜メモリ。
  12. 【請求項12】 隣接する層間で互いに磁気的に交換結
    合される複数の磁性層からなる記録層と読み出し層とが
    非磁性層を介して積層された磁気薄膜メモリ素子の情報
    記録再生方法であって、 前記読み出し層の磁化を所定の方向に固定し、 前記複数の磁性層のうちの前記非磁性層に隣接する磁性
    層の磁化方向を、記録温度の高低に応じて、前記記録層
    内で生じる交換結合力によって反転させて1ビットの情
    報を記録し、 前記読み出し層の磁化方向と前記非磁性層に隣接する磁
    性層の磁化方向が平行、反平行のそれぞれの場合におけ
    る前記磁気薄膜メモリ素子の磁気抵抗値の違いを前記1
    ビットの情報に対応づけて読み出すことを含むこと特徴
    とする情報記録再生方法。
  13. 【請求項13】 複数の磁性層として第1乃至第4の磁
    性層を用い、該第1乃至第4の磁性層のキュリー温度の
    関係を、 第3の磁性層<第1の磁性層<第2の磁性層<第4の磁
    性層とするととも、前記第4の磁性層の磁化方向を所定
    の方向に固定し、 記録層を前記第3の磁性層のキュリー温度よりも高い第
    1の記録温度に昇温して、前記第3の磁性層の磁化を滅
    磁するとともに、前記第1の磁性層の磁化反転を容易に
    し、前記第2の磁性層との交換結合力により前記第1の
    磁性層の磁化方向を前記第4の磁性層の磁化方向として
    第1の情報を記録し、 前記記録層を前記第1の記録温度より高い第2の記録温
    度に昇温するとともに、前記第2の磁性層に対して前記
    第4の磁性層の磁化方向とは反平行に印加される所定の
    大きさの磁界を印加して、前記第2の磁性層の磁化方向
    を前記磁界の方向に揃え、該第2の磁性層との交換結合
    力により前記第1の磁性層の磁化方向を前記第4の磁性
    層の磁化方向とは反平行として第2の情報を記録するこ
    とを含むことを特徴とする請求項12に記載の情報記録
    再生方法。
  14. 【請求項14】 第2の記録温度による情報記録時に印
    加される所定の大きさの磁界として外部磁界を用いるこ
    とを特徴とする請求項13に記載の情報記録再生方法。
  15. 【請求項15】 第2の記録温度において所定の大きさ
    で所定の方向の磁化を持つ第5の磁性層を用い、該第5
    の磁性層が発生する浮遊磁界を前記第2の記録温度によ
    る情報記録時に印加される所定の大きさの磁界として用
    いることを特徴とする請求項13に記載の情報記録再生
    方法。
  16. 【請求項16】 第1の磁性層と第2の磁性層との間に
    第6の磁性層を設けて、前記第1の磁性層の磁化方向と
    前記第2の磁性層の磁化方向が反平行である場合に、前
    記第6の磁性層内に所定のエネルギーの磁壁を形成する
    ことを特徴とする請求項13に記載の情報記録再生方
    法。
  17. 【請求項17】 ネール温度が記録温度より高い反強磁
    性層を用いて第4の磁性層の磁化方向を固定することを
    特徴とする請求項13に記載の情報記録再生方法。
  18. 【請求項18】 ネール温度が記録温度より高い反強磁
    性層を用いて読み出し層の磁化方向を固定することを特
    徴とする請求項13に記載の情報記録再生方法。
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