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JP2002201274A - ポリアリーレンスルフィドの製造法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造法

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Publication number
JP2002201274A
JP2002201274A JP2000401702A JP2000401702A JP2002201274A JP 2002201274 A JP2002201274 A JP 2002201274A JP 2000401702 A JP2000401702 A JP 2000401702A JP 2000401702 A JP2000401702 A JP 2000401702A JP 2002201274 A JP2002201274 A JP 2002201274A
Authority
JP
Japan
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organic amide
solvent
weight
pas
polyarylene sulfide
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000401702A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Ishii
健 石井
Satoshi Inoue
井上  敏
Osamu Komiyama
治 小味山
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DIC EP Inc
Original Assignee
DIC EP Inc
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Publication date
Application filed by DIC EP Inc filed Critical DIC EP Inc
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Publication of JP2002201274A publication Critical patent/JP2002201274A/ja
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 PAS合成に使用した後の、pHが8.5未
満の有機アミド系溶媒をPAS合成に循環使用しても、
得られるPASの溶融粘度を高く維持することができ、
従って、極めて簡便かつ安価にPASを製造することが
できるところのPAS製造法を提供する。 【解決手段】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させ、得たポリアリー
レンスルフィドスラリーからポリアリーレンスルフィド
を分離し、得られた液体を蒸留して有機アミド系溶媒を
回収し、次いで、該回収された有機アミド系溶媒を上記
反応に循環使用してポリアリーレンスルフィドを製造す
る方法において、該回収された有機アミド系溶媒のpH
が8.5未満(pHは、該溶媒に同重量のイオン交換水
を添加した混合物について測定した値である)である場
合において、該回収された有機アミド系溶媒100重量
部当り0.03〜2.0重量部のアンモニア又はアミン
を、上記反応前又は反応中に反応系に添加することを特
徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィドの製造法に関し、更に詳しくは、回収した有機アミ
ド系溶媒をポリアリーレンスルフィド製造に循環使用す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子機器部品、自動車機器
部品、あるいは化学機器部品用等の材料として、高い耐
熱性を有し、かつ耐化学薬品性を有する熱可塑性樹脂が
要求されてきている。ポリフェニレンスルフィド(以下
ではPPSと略すことがある)に代表されるポリアリー
レンスルフィド(以下ではPASと略すことがある)が
この要求に応える樹脂の一つとして、近年注目されてき
ている。
【0003】該PASの製造において、有機アミド系溶
媒、とりわけ、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下では
NMPと略すことがある)が溶媒として有用である。そ
して工業的には該有機アミド系溶媒を循環使用すること
が、PASの製造コスト低減のために必須である。
【0004】しかし、PASの合成に使用した後の有機
アミド系溶媒、例えば、NMPのpHは使用前と比べて
低下する。例えば、PAS合成に際してチオフェノール
やジフェニルジスルフィド等の不純物が副生することに
より、あるいは任意的に重合触媒の使用又は酸の添加に
より、使用前の有機アミド系溶媒のpHが8.5以上で
あるのに対し、使用後では8.5未満となることがあ
る。このようなpHが8.5未満の有機アミド系溶媒を
PASの合成に循環使用すると、脱水工程において、ア
ルカリ金属硫化物の一部が硫化水素となって水と共に除
去されて、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物と
のモル比に変動を生ずると言う問題、反応中間体である
例えばクロロベンゼンナトリウムメルカプチドの生成が
抑制されてPAS収率が減少すると言う問題、とりわ
け、重合反応が不安定になり、得られるPASの分子量
及び溶融粘度が低下するという問題が生ずる。
【0005】従って、従来、循環使用に当っては蒸留等
により、PASを合成した後の有機アミド系溶媒中に含
まれるチオフェノール等の不純物を除去していたが、有
機アミド系溶媒のpHの調整も含め効率の良い方法がな
くPASのコスト高を招いていた。
【0006】特許第2641501号公報には、少なく
とも、チオフェノール又は、ジフェニルジスルフィドの
いずれか一方を含有するNMPにポリハロゲン化芳香族
化合物及びアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金
属炭酸塩を添加し、加熱処理した後、蒸留分離すること
を特徴とするNMPの精製方法が開示されている。該方
法においては、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカ
リ金属炭酸塩を添加した後、蒸留によりNMPを分離す
る前に加熱処理を施すことが必須であり、加熱処理をせ
ずに直接蒸留を実施すればチオフェノールを殆ど除去す
ることができない。該方法では、かかる加熱処理に相当
の時間を要することから効率的ではなく、コスト高をも
招く。
【0007】本出願人は既に、N‐メチル‐2‐ピロリ
ドン溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物
とを反応させて得たポリアリーレンスルフィドのスラリ
ーからN‐メチル‐2‐ピロリドンを回収精製する方法
において、該スラリーからポリアリーレンスルフィドを
分離した後のN‐メチル‐2‐ピロリドンを主成分とす
る液体に、該液体100重量部に対して0.001〜1
重量部のアンモニア又はアミンを添加して蒸留すること
によりN‐メチル‐2‐ピロリドンを回収精製する方法
を出願した(特願2000−181616号)。該方法
は、PASの合成に使用した後のNMPのpHを上げる
と共に、極めて高い収率でNMPを回収し得るものであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PAS合成
に使用した後の、蒸留して得たpHが8.5未満の有機
アミド系溶媒をPAS合成に循環使用しても、得られる
PASの溶融粘度を高く維持することができ、従って、
極めて簡便かつ安価にPASを製造することができると
ころのPAS製造法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく種々の検討を行った。その結果、下記所定
量のアンモニア又はアミンをPAS合成の反応系に添加
すれば、PAS合成に使用した後の、蒸留して得たpH
が8.5未満の有機アミド系溶媒をPAS合成に循環使
用しても、得られるPASの溶融粘度が低下しないこと
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、(1)有機アミド系溶媒
中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応
させ、得たポリアリーレンスルフィドスラリーからポリ
アリーレンスルフィドを分離し、得られた液体を蒸留し
て有機アミド系溶媒を回収し、次いで、該回収された有
機アミド系溶媒を上記反応に循環使用してポリアリーレ
ンスルフィドを製造する方法において、該回収された有
機アミド系溶媒のpHが8.5未満(pHは、該溶媒に
同重量のイオン交換水を添加した混合物について測定し
た値である)である場合において、該回収された有機ア
ミド系溶媒100重量部当り0.03〜2.0重量部の
アンモニア又はアミンを、上記反応前又は反応中に反応
系に添加することを特徴とする方法である。
【0011】PASの製造において、所定の構造を有す
るアミノ基含有芳香族ハロゲン化物を共存させて重合す
ることが知られている(特開平2−296829号公報
及び特公昭45−3368号公報)。しかし、該公報記
載の発明と本願発明とでは技術思想が全く異なる。即
ち、該公報記載の方法は、反応性に富んだPASを製造
するために、PASの末端又は側鎖中にアミノ基を導入
するものである。これに対して、本願発明の方法は、p
Hが8.5未満の有機アミド系溶媒の循環使用を可能に
するものである。上記公報記載の方法には、pHが8.
5未満の有機アミド系溶媒を循環使用すると言う技術思
想は全くなく、また、該公報中には、pHが8.5未満
の有機アミド系溶媒を循環使用するということは記載も
示唆もされていない。実際、上記公報記載の方法におい
て、pHが8.5未満の有機アミド系溶媒を循環使用し
て反応させれば、PASの末端又は側鎖中にアミノ基を
導入すると言う該発明本来の効果を達成できなくなる。
【0012】好ましい態様として、(2)上記の回収さ
れた有機アミド系溶媒のpHが3.0以上8.5未満
(pHは、該溶媒に同重量のイオン交換水を添加した混
合物について測定した値である)であるところの上記
(1)記載の方法、(3)上記の回収された有機アミド
系溶媒のpHが4.0〜8.0(pHは、該溶媒に同重
量のイオン交換水を添加した混合物について測定した値
である)であるところの上記(1)記載の方法、(4)
アンモニア又はアミンの添加量が、上記有機アミド系溶
媒100重量部当り0.04〜1.6重量部であるとこ
ろの上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の方法、
(5)アンモニア又はアミンの添加量が、上記有機アミ
ド系溶媒100重量部当り0.12〜1.2重量部であ
るところの上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の
方法、(6)アミンが第一級脂肪族アミン及び/又は第
二級脂肪族アミンであるところの上記(1)〜(5)の
いずれか一つに記載の方法、(7)アンモニア又はアミ
ンが、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との反
応前に行われる、有機アミド系溶媒とアルカリ金属硫化
物とを含む混合物からの脱水処理前、脱水処理中、若し
くは脱水処理後、又は上記の反応中に添加されるところ
の上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方法、
(8)アンモニア又はアミンが、アルカリ金属硫化物と
ジハロ芳香族化合物との反応前に行われる、有機アミド
系溶媒とアルカリ金属硫化物とを含む混合物からの脱水
処理前に添加されるところの上記(1)〜(6)のいず
れか一つに記載の方法、(9)有機アミド系溶媒がN‐
メチル‐2‐ピロリドンであるところの上記(1)〜
(8)のいずれか一つに記載の方法、(10)反応後の
スラリーからポリアリーレンスルフィドを分離した後に
行われる蒸留が、減圧蒸留であるところの上記(1)〜
(9)のいずれか一つに記載の方法を挙げることができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において循環使用される溶
媒は、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハ
ロ芳香族化合物とを反応させ、得たポリアリーレンスル
フィドを含むスラリーからポリアリーレンスルフィドを
分離し、得られた液体を蒸留して回収された有機アミド
系溶媒である。ポリアリーレンスルフィドを含むスラリ
ーからポリアリーレンスルフィドを分離する方法として
は、当業者にとって公知の後処理法、例えば、ろ過、常
圧若しくは減圧フラッシング等が挙げられる。また、上
記のようにして分離した後の未精製のPASを非酸化性
雰囲気下において加熱した際に生ずる揮発分、あるいは
分離後の未精製PASを温水洗浄等した際に生ずる廃水
から水を分離した後の油分等も有機アミド系溶媒を含ん
でおり、これらは単独で又は上記の有機アミド系溶媒に
混合されて使用され得る。ポリアリーレンスルフィドを
分離した後に得られた液体の蒸留は、常圧蒸留又は減圧
蒸留いずれであってもよい。
【0014】反応後のスラリーからポリアリーレンスル
フィドを分離した後、得られた有機アミド系溶媒を主と
して含む液体を蒸留して回収された有機アミド系溶媒の
pHは、上限が8.5未満、好ましくは8.0であり、
下限に特に制限はないが、好ましくは3.0、特に好ま
しくは4.0である。上記上限を超えては、新品の有機
アミド系溶媒又は蒸留等により完全に精製した有機アミ
ド系溶媒のpHと変るところがなく、アンモニア又はア
ミンを添加する効果がなく、上記下限未満では、アンモ
ニア又はアミンを多量に添加する必要があり経済性に劣
る。ここで、pHは、該回収された有機アミド系溶媒に
同重量のイオン交換水を添加した混合物について測定し
た値である。
【0015】有機アミド系溶媒は、PAS重合のために
公知であり、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン(N
MP)、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメ
チルアセトアミド、N‐メチルカプロラクタム等、及び
これらの混合物を挙げることができ、NMPが好まし
い。
【0016】本発明におけるアンモニア又はアミンの添
加量は、上記の回収された有機アミド系溶媒100重量
部に対して、上限が2.0重量部、好ましくは1.6重
量部、より好ましくは1.2重量部、かつ下限が0.0
3重量部、好ましくは0.04重量部、より好ましくは
0.12重量部、更に好ましくは0.2重量部である。
上記下限未満では、添加効果が小さく、得られるPAS
の溶融粘度を十分に高めることができず、上記上限を超
えては、重合中に副反応が生じてPAS収率が低下し、
かつPASの溶融粘度が低下するため好ましくない。ア
ンモニア又はアミンはそのまま添加することもできる
が、好ましくはアンモニア又はアミンの溶液、特に好ま
しくはアンモニア又はアミンの水溶液の形態で添加する
ことができる。
【0017】アンモニア又はアミンとして、好ましく
は、アンモニア、第一級アミン(R1NH2)又は第二級
アミン(R23NH)が使用される。ここで、R1、R2
及びR3は好ましくは、夫々独立してC1〜4のアルキル
基、フェニル基、ベンジル基又は水酸基である。第一級
アミン及び第二級アミンとしては、例えば、モノメチル
アミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、
モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミ
ン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、t-ブチルア
ミン等のアルキルアミン、モノフェニルアミン、ジフェ
ニルアミン等の芳香族アミン、ヒドロキシルアミンが挙
げられる。より好ましくは、アンモニア、第一級脂肪族
アミン又は第二級脂肪族アミンが使用される。特に好ま
しくは、アンモニア又はモノメチルアミンが使用され
る。
【0018】本発明において、アンモニア又はアミン
は、回収したpHが8.5未満の有機アミド系溶媒をア
ルカリ金属硫化物、ジハロ芳香族化合物等と混合する前
に、該有機アミド系溶媒に添加することができ、あるい
は回収した該有機アミド系溶媒をアルカリ金属硫化物、
ジハロ芳香族化合物等と混合した後、例えば、反応前に
行われる、有機アミド系溶媒とアルカリ金属硫化物とを
含む混合物からの脱水処理前、脱水処理中、若しくは脱
水処理後に添加されることができ、又はアルカリ金属硫
化物とジハロ芳香族化合物との反応中に添加されること
ができる。好ましくは、有機アミド系溶媒とアルカリ金
属硫化物とを含む混合物からの脱水処理前の時点で添加
される。また、該添加の温度に特に制限はない。これに
より、脱水工程において、アルカリ金属硫化物の一部が
硫化水素となって水と共に除去されて、アルカリ金属硫
化物とジハロ芳香族化合物とのモル比に変動を生ずると
言う問題、反応中間体である例えばクロロベンゼンナト
リウムメルカプチドの生成が抑制されてPAS収率が減
少すると言う問題、及び重合反応が不安定になり、得ら
れるPASの分子量及び溶融粘度が低下するという問題
を効果的に回避することができる。
【0019】本発明において、有機アミド系溶媒中でア
ルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させて
PASスラリーを製造する方法は特に制限されない。例
えば、特公昭45‐3368号公報に記載の方法、特公
昭52‐12240号公報記載のアルカリ金属カルボン
酸塩を使用する方法、米国特許第4038263号明細
書に記載のハロゲン化リチウム等の重合助剤を使用する
方法、特公昭54‐8719号公報に記載のポリハロ芳
香族化合物等の架橋剤を使用する方法、特公昭63‐3
3775号公報に記載の異なる水の存在量下、多段階反
応を使用する方法等を使用し得る。好ましくは、特許第
2604673号公報に記載された、有機アミド系溶媒
中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応
させてPASを製造する方法において、反応中に反応缶
の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部
を凝縮させ、これを液相に還流せしめる方法により製造
することができる。
【0020】ここで、アルカリ金属硫化物は公知であ
り、たとえば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カ
リウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混
合物である。これらの水和物及び水溶液であっても良
い。また、これらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和
物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用いるこ
とができる。安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0021】ジハロ芳香族化合物も公知であり、例えば
特公昭45‐3368号公報記載のものから選ぶことが
できるが、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。ま
た、少量(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジ
フェニルスルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオル
トジハロ物を1種類以上用いて共重合体を得ることがで
きる。例えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐ジクロロベ
ンゼン、p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,
p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロ
ロジフェニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニル
スルホン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、
m,m´‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジ
クロロビフェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、
m,m´‐ジクロロビフェニルである。
【0022】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物、又はチオフェノー
ル、ジフェニルジスルフィド等の分子量調節剤を併用す
ることもできる。
【0023】更に、必要によりPAS合成に際して重合
触媒を使用することもできる。該重合触媒としては、例
えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩、又
は塩化リチウム、炭酸リチウム等のリチウム化合物が挙
げられる。PAS合成に重合触媒を使用すると重合後に
NMPのpHをより低下させることがある。
【0024】また、得られたPASスラリーに酸を添加
することができる。これにより、PAS中の金属が取除
かれ、結晶化温度を高くでき、成形サイクルが短縮可能
となる。ここで使用する酸は、有機酸として、例えば、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン
酸、モノクロロ酢酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、クロ
トン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、安息香酸、フタ
ル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、蓚酸、マレイ
ン酸、フマル酸等のジカルボン酸、あるいはメタンスル
ホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸等が挙
げられ、無機酸として、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸、
硝酸、亜硝酸又はリン酸等が挙げられる。また、水素塩
としては、例えば、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素二
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用し得る。実機
での使用においては、金属部材への腐蝕が少ない有機酸
が好ましい。
【0025】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0026】
【実施例】実施例において、pHは、いずれも測定試料
に同重量のイオン交換水を加えた混合物について測定し
た。PPSの溶融粘度V6は、島津製作所製フローテス
ターCFT500Cにより、温度300℃、荷重1.9
6MPa、ダイL/D=10/1で予熱6分後に測定し
た値である。
【0027】
【参考例1】150リットルのオートクレーブに、フレ
ーク状硫化ソーダ(60.65重量%Na2S)15.
440kg(120モル)とNMP(新品、pH:1
0.8)44.00kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌し
ながら209℃まで昇温して、水3.750kgを留出
させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃ま
で冷却し、パラジクロロベンゼン(以下ではp‐DCB
と略すことがある)17.3kg[Na2S/p‐DC
B(モル比)=1.000]及びNMP(新品、pH:
10.8)18.00kgをを仕込んだ。液温150℃
で窒素ガスを用いて9.8×104Paに加圧して昇温
を開始した。液温260℃で2時間攪拌しつつ反応を進
め、次いで室温まで降温した。
【0028】得られたスラリーをろ過してPPSを分離
し、淡黄色のろ液(a1)を得た。このろ液のpHは
8.9であった。
【0029】一方、ろ過ケーキは、窒素気流中、220
℃で約6時間加熱されて溶媒を除去した。得られたポリ
マー粉末を定法に従って7回水洗浄、ろ過を繰返した
後、120℃において約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥
し、白色粉末状のPPSを得た。得られたPPS(PR
−1)の溶融粘度V6は、500ポイズであった。
【0030】
【参考例2】150リットルのオートクレーブに、フレ
ーク状硫化ソーダ(60.4重量%Na2S)19.3
81kgとNMP(新品、pH:10.8)45.0k
gを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇
温して、水4.640kgを留出させた(残存する水分
量は硫化ソーダ1モル当り1.12モル)。その後、オ
ートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、p‐DC
B21.609kg及びNMP(新品、pH:10.
8)18.00kgをを仕込んだ。液温150℃で窒素
ガスを用いて9.8×104Paに加圧して昇温を開始
した。液温260℃で2時間攪拌しつつ反応を行った。
反応後、冷却して150℃になった時、酢酸0.432
g(硫化ソーダ1モルに対して6.0モル%)を加え、
150℃で30分間攪拌した後、冷却した。
【0031】得られたスラリーをろ過してPPSを分離
し、淡黄色のろ液(a2)を得た。このろ液のpHは
5.0であった。
【0032】一方、ろ過ケーキは、窒素気流中、220
℃で約6時間加熱されて溶媒を除去した。得られたポリ
マー粉末を定法に従って7回水洗浄、ろ過を繰返した
後、120℃において約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥
し、白色粉末状のPPSを得た。得られたPPS(PR
−2)の溶融粘度V6は530ポイズであった。
【0033】
【実施例1】参考例2で得られたろ液(a2)を3.3
×103Paで減圧蒸留し該ろ液からフェノール分、油
分を除去した。得られた留出液[NMPを主成分とする
液体、(A1)]のpHは4.6であった。新品のNM
P(pH=10.8)に代えて、溶媒として留出液(A
1、pH=4.6)を使用し、かつ、留出液(A1)1
00重量部に対して、40重量%モノメチルアミン(M
MA)水溶液0.1重量部(モノメチルアミンとして
0.04重量部)を、フレーク状硫化ソーダとNMPと
一緒にオートクレーブに仕込んだ以外は、参考例1と同
一に実施した。得られたPPS(P−1)の溶融粘度V
6は、550ポイズであった。なお、得られたスラリー
をろ過してPPSを分離した後のろ液のpHは9.0で
あった。
【0034】
【実施例2】溶媒としての留出液(A1)100重量部
に対して、40重量%モノメチルアミン水溶液1.0重
量部(モノメチルアミンとして0.4重量部)を、フレ
ーク状硫化ソーダとNMPと一緒にオートクレーブに仕
込んだ以外は、実施例1と同一に実施した。得られたP
PS(P−2)の溶融粘度V6は、510ポイズであっ
た。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを分離し
た後のろ液のpHは9.2であった。
【0035】
【実施例3】溶媒としての留出液(A1)100重量部
に対して、40重量%モノメチルアミン水溶液4.0重
量部(モノメチルアミンとして1.6重量部)を、フレ
ーク状硫化ソーダとNMPと一緒にオートクレーブに仕
込んだ以外は、実施例1と同一に実施した。得られたP
PS(P−3)の溶融粘度V6は、500ポイズであっ
た。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを分離し
た後のろ液のpHは9.4であった。
【0036】
【実施例4】溶媒としての留出液(A1)100重量部
に対して、40重量%モノメチルアミン水溶液0.3重
量部(モノメチルアミンとして0.12重量部)を、フ
レーク状硫化ソーダとNMPと一緒にオートクレーブに
仕込んだ以外は、実施例1と同一に実施した。得られた
PPS(P−4)の溶融粘度V6は、530ポイズであ
った。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを分離
した後のろ液のpHは9.2であった。
【0037】
【実施例5】溶媒としての留出液(A1)100重量部
に対して、40重量%モノメチルアミン水溶液0.5重
量部(モノメチルアミンとして0.2重量部)を、フレ
ーク状硫化ソーダとNMPと一緒にオートクレーブに仕
込んだ以外は、実施例1と同一に実施した。得られたP
PS(P−5)の溶融粘度V6は、520ポイズであっ
た。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを分離し
た後のろ液のpHは9.2であった。
【0038】
【実施例6】溶媒としての留出液(A1)100重量部
に対して、40重量%モノメチルアミン水溶液3.0重
量部(モノメチルアミンとして1.2重量部)を、フレ
ーク状硫化ソーダとNMPと一緒にオートクレーブに仕
込んだ以外は、実施例1と同一に実施した。得られたP
PS(P−6)の溶融粘度V6は、510ポイズであっ
た。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを分離し
た後のろ液のpHは9.4であった。
【0039】
【比較例1】40重量%モノメチルアミン水溶液を添加
しなかった以外は、実施例1と同一に実施した。得られ
たPPS(PC−1)の溶融粘度V6は、240ポイズ
であった。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを
分離した後のろ液のpHは7.2であった。
【0040】
【比較例2】溶媒としての留出液(A1)100重量部
に対して、40重量%モノメチルアミン水溶液0.05
重量部(モノメチルアミンとして0.02重量部)を、
フレーク状硫化ソーダとNMPと一緒にオートクレーブ
に仕込んだ以外は、実施例1と同一に実施した。得られ
たPPS(PC−2)の溶融粘度V6は、240ポイズ
であった。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを
分離した後のろ液のpHは7.2であった。
【0041】
【比較例3】溶媒としての留出液(A1)100重量部
に対して、40重量%モノメチルアミン水溶液6.0重
量部(モノメチルアミンとして2.4重量部)を、フレ
ーク状硫化ソーダとNMPと一緒にオートクレーブに仕
込んだ以外は、実施例1と同一に実施した。得られたP
PS(PC−3)の溶融粘度V6は、320ポイズであ
った。なお、得られたスラリーをろ過してPPSを分離
した後のろ液のpHは7.4であった。
【0042】上記の結果を表1及び表2にまとめた。
【表1】 実施例 溶媒のpH 4.6 4.6 4.6 4.6 4.6 4.6 MMA添加量 0.04 0.4 1.6 0.12 0.2 1.2 (重量部) PPSの溶融粘度V6 550 510 500 530 520 510 (ポイズ)
【0043】
【表2】 比較例 参考例 溶媒のpH 4.6 4.6 4.6 10.8*1 10.8*1 MMA添加量 0 0.02 2.4 0 0 (重量部) PPSの溶融粘度V6 240 240 320 500 530 (ポイズ) *1:溶媒として新品のNMPを使用したものである。
【0044】参考例1及び2は、新品のNMPを使用し
てPPSを製造したものである。PPSの溶融粘度V6
は夫々500ポイズ及び530ポイズと高かった。実施
例1〜6は、本発明の範囲のpHを有する回収溶媒を使
用し、かつモノメチルアミンの添加量を本発明の範囲内
で増加させたものである。いずれのPPSも参考例1及
び2と同様に高い溶融粘度V6を有していた。一方、比
較例1は、モノメチルアミンを添加しなかったものであ
り、比較例2は、モノメチルアミンの添加量が本発明の
範囲未満のもである。いずれもPPSの溶融粘度V6は
著しく低いものであった。また、比較例3は、モノメチ
ルアミンの添加量が本発明の範囲を超えたものである。
PPSの溶融粘度V6は著しく低いものであった。
【0045】
【発明の効果】本発明は、PAS合成に使用した後の、
pHが8.5未満の有機アミド系溶媒をPAS合成に循
環使用しても、得られるPASの溶融粘度を高く維持す
ることができ、従って、極めて簡便かつ安価にPASを
製造することができるところのPAS製造法を提供する
ものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
    物とジハロ芳香族化合物とを反応させ、得たポリアリー
    レンスルフィドスラリーからポリアリーレンスルフィド
    を分離し、得られた液体を蒸留して有機アミド系溶媒を
    回収し、次いで、該回収された有機アミド系溶媒を上記
    反応に循環使用してポリアリーレンスルフィドを製造す
    る方法において、該回収された有機アミド系溶媒のpH
    が8.5未満(pHは、該溶媒に同重量のイオン交換水
    を添加した混合物について測定した値である)である場
    合において、該回収された有機アミド系溶媒100重量
    部当り0.03〜2.0重量部のアンモニア又はアミン
    を、上記反応前又は反応中に反応系に添加することを特
    徴とする方法。
  2. 【請求項2】 上記の回収された有機アミド系溶媒のp
    Hが3.0以上8.5未満であるところの請求項1記載
    の方法。
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