JP2002200684A - 複合膜 - Google Patents
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Abstract
いてガスが透過しにくく、成層圏等の高高度での厳しい
条件にも形状を安定させることができ、外皮膜や飛行船
の中でHeガスを貯蔵するのに適した容器の材料となる複
合膜を提供する。 【解決手段】繊維布帛(A)にポリエステルエラストマ
ー又はポリエステルエラストマーを含む組成物(B)を
接着剤として、Heガス透過性が600cc/m2/24hr/0.1mm
/atm以下であるフィルム(C)を複合化させた複合
膜。
Description
に、大型飛行船または気球等の宇宙・航空機器において
ガスが透過しにくく、成層圏等の高高度での厳しい条件
にも形状を安定させることができ、外皮膜や飛行船の中
でHeガスを貯蔵するのに適した容器の材料となる複合膜
に関する。
プラスチックフィルムと熱封着を有する低密度ポリエチ
レンからなる二重構造が主体であり、改良されたものの
中には金属含有薄膜層をプラスチックフィルムと一体化
し樹脂層を設けて形成したフィルムなどがあった。
塩化ビニル系樹脂シートやウレタン系樹脂シート、ネオ
プレン系ゴムなどを積層し、更に内面に複数層のポリエ
ステルあるいはポリ塩化ビニリデンなどのフィルムを接
合した多層シートをエンベロープ膜体として船体を構成
し、船体下部に推進機構を備えたゴンドラなどを設けた
ものであった。また、飛行船の製作コストを低減させる
ために、強度のある布地を線形に裁断し、縫着して船体
本体の外皮を作り、塩化ビニル樹脂シートやポリエチレ
ンフィルムなどのガス不透過性プラスチックシートで作
った一層の内皮を船体本体に挿入して作った飛行船が特
開平2-20495号公報で提案されている。
内膜体を有する二重膜構造を用い、エンベロープ膜体が
補強布地を樹脂加工した繊維シートに弾性重合体フィル
ムを積層した膜体で内膜体がエチレンビニルアルコール
共重合体フィルムと弾性フィルムを積層した膜体である
外皮膜もあり、これは特開平6-40397号公報で公開され
ている。
皮膜では空気、水素、Heガスの透過性が低く、さらに目
付が300g/m2以下、引張強度が200N/cm以上といった軽
量で高強度の膜材が得られなかったため、長時間にわた
り浮上を継続せず、途中で破れたりガス抜けが生じるな
ど欠点を有する可能性があった。
上の大型飛行船を空気の薄い成層圏等の高高度まで上げ
ることが求められている。そのため飛行船には、十分な
浮力を得るため軽量化が求められ、飛行船を構成する外
皮膜には、軽量かつ高強度であることが求められる。さ
らに、成層圏等では直射日光を受けるため、外皮膜の表
面温度が100℃、あるいはそれ以上の高温となるため、
耐熱性も要求される。しかしながら、これまでは軽量、
高強度で高い耐熱性能を有する飛行船用外皮膜というも
のはなかった。
または気球等の宇宙・航空機器においてガスが透過しに
くく、成層圏等の高高度での厳しい条件にも形状を安定
させることができ、外皮膜や飛行船の中でHeガスを貯蔵
するのに適した容器の材料となる複合膜を提供すること
にある。
めに本発明は次のような手段をとる。 (1)繊維布帛(A)にポリエステルエラストマー又は
ポリエステルエラストマーを含む組成物(B)を接着剤
として、Heガス透過性が600cc/m2/24hr/0.1mm/atm
以下であるフィルム(C)を複合化させたことを特徴と
する複合膜アラミドフィルム又はエチレン−ビニルアル
コール共重合体フィルム(C)を複合化させたことを特
徴とする複合膜。
物及びハニカム状物から選ばれることを特徴とするこ
と、(3)フィルム(C)がアラミドフィルム又はポリ
イミドフィルム又はポリエステルフィルム又はナイロン
フィルム又はポリフェニレンサルファイドフィルム又は
エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム又はフッ
素フィルムであること、(4)複合膜の目付が300g/m2
以下で、引張強力が150N/cm以上であること、(5)組
成物(B)とフィルム(C)との剥離強度が2.0N/cm以
上であること、(6)繊維布帛の素材がアラミド繊維、
炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、
ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル
繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊
維、ポリビニルアルコール系繊維から選ばれた1種以上
の繊維であることを特徴とすること、(7)複合膜全体
の厚みが20mm以下であること、(8)複合膜2枚の端面
を当接し、その当接部の繊維布帛側面に、ポリエステル
エラストマー又はポリエステルエラストマーを含む組成
物(B)と繊維布帛(A)を複合した2層複合膜を積層
して全体を熱融着することを特徴とする製造方法、
(9)飛行船、気球の外皮膜、または気体を貯蔵する容
器として使用することを特徴とすること、である。
い実施の形態とともに詳細に説明する。本発明に係る繊
維布帛(A)を構成する繊維素材としては、高強度繊維
が好ましく、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボ
ロン繊維、セラミック繊維、ポリエチレン繊維、ポリケ
トン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール
(以下、PBOと略す)繊維、全芳香族ポリエステル繊
維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊
維、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)系繊維な
どが挙げられる。また、引張強度が13cN/dtex以上が好
ましく、より好ましくは15cN/dtex以上であり、破断伸
度が15%以下のものが好ましい。このような繊維として
は、アラミド繊維としては東レ・デュポン(株)製“ケ
ブラー”、あるいは帝人(株)製“テクノーラ”、ポリ
エチレン繊維としては東洋紡績(株)製“ダイニー
マ”、全芳香族ポリエステル繊維としては(株)クラレ
製“ベクトラン”、PBO繊維としては東洋紡績(株)製
“ザイロン”、あるいはPVA系繊維としては(株)クラ
レ製“クラロン”K−II等が例示できる。
は、上記した繊維素材を用いてシート状の布帛としたも
のであればいずれのものでも良く、たとえば、3軸布、4
軸布等の多軸織布、平織布、もじり織布、からみ織布な
ど織物や編物、不織布、網状物、およびハニカム状物が
挙げられる。該繊維布帛の重量は用途、例えば飛行船の
大きさ(ガス体積)から適宜決定されるが、通常は30〜20
0g/m2の範囲である。
ポリエステルエラストマーまたはポリエステルエラスト
マーを含む組成物(B)が耐熱性能の点から良く、例え
ば、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル”等が挙げら
れる。また、組成物に配合されるものとしては、ポリウ
レタン樹脂が好ましく、その配合量は10〜60%が好まし
い。
過性が600cc/m2/24hr/0.1mm/atm以下である必要が
ある。ここでいうHeガス透過性は、JIS K 640
4−10に準拠して測定したものである。このHeガス透
過性が600cc/m2/24hr/0.1mm/atmを越えるとHeガス
が複合膜から漏れる可能性が高く好ましくない。
ラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフ
ィルム、ナイロンフィルム、ポリフェニレンサルファイ
ドフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィ
ルム又はフッ素フィルムなどが挙げられる。さらに好ま
しくは、アラミドフィルム、ポリイミドフィルム、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体フィルム又はフッ素フ
ィルムが好ましく、これらはいずれも良好なガスバリア
性を有している。これらのフィルムとしては、アラミド
フィルムとしては東レ(株)製”ミクトロン”、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体フィルムとしてはクラレ
製”エバール”、フッ素フィルムとしてはデュポン製”
テドラー”等が挙げられる。そして、フィルム(C)の
厚みは3.3μm以上のものが複合膜を作成するために好ま
しい。また、フィルム(C)はポリエステルエラストマ
ーとの接着性を向上させるために、コロナ放電等の表面
処理を行うことも望ましい。
て説明する。本発明においては、繊維布帛(A)とフィ
ルム(C)を組成物(B)を接着剤として複合して複合
膜を作成するが、その複合化方法は、複合化するときに
予め組成物(B)はフィルム化したものを用いて、繊維
布帛(A)、フィルム化した組成物(B)、およびフィ
ルム(C)を重ね合わせ、温度160〜240℃の範囲で熱プ
レスロール等を使用して熱融着により複合化する熱ラミ
ネーション方式や、組成物(B)をフィルム化にする際
の溶融状態のものに繊維布帛(A)およびフィルム
(C)を貼り合せるメルトラミネーション方式等が例示
できる。
いが、より好ましくは飛行船として実用化する上で280g
/m2以下がよい。複合膜の目付が300g/m2を超える場合、
該複合膜を用いて飛行船等を作成しても、複合膜の重量
が重いため成層圏等の上空で飛行船が十分な浮力を得る
ことができない。
あることが望ましい。ここでいう複合膜の引張強力は、
JIS K 6404−3 ストリップ法に準拠して測
定したものである。複合膜の引張り強力が、150N/cm未
満の場合、飛行船等に搭載する機材等の重さで複合膜が
破断し使用に耐えることができない。
あることが好ましく、より好ましくは10mm以下がよい。
さらには、飛行船に使用する場合は厚みが約100μmが好
ましい。
ルエラストマーを含む組成物(B)とフィルム(C)あ
るいは繊維布帛(A)との剥離強力度は2.0N/cm以上で
あることが望ましい。ここでいう剥離強度は、JIS
K 6404−5に準拠して測定したものであり、測定
した剥離強度の最小値のことである。
が製造されるのが普通である。しかし、実際に、例えば
飛行船を製作する場合、複合膜を継ぎ合わさなければな
らない。この継ぎ合わせ方に関し、本発明では、複合膜
2枚の端面を当接し、その当接部の繊維布帛側の面に組
成物(B)と繊維布帛(A)を複合したものを積層して
全体を熱融着することが望ましい。
1は本発明の複合膜の断面説明図であり、1が繊維布帛
(A)、2が樹脂組成物(B)、3がフィルム(C)で
ある。図2は本発明の複合膜をつなぎ合わせた状態を示
す断面説明図であり、図1に示した2枚の複合膜の端面
を当接し、その当接部の繊維側面に樹脂組成物2と繊維
布帛1が積層されている。
に、より好ましくは複合膜の外側にさらにもう1層、紫
外線防護層を設けることが望ましい。紫外線防護層の材
料としては、フッ素フィルムやアルミ、銅、銀、金等の
金属箔を貼り合せることや、アルミ、銅、銀、金等を蒸
着すること等が挙げられる。
の外皮膜、He等の気体を貯蔵する容器として使用される
ことが好ましい。
る。実施例の各評価は次のように行った。 (1)引張強力:JIS K 6404−3 ストリッ
プ法に準拠し、島津製作所オートグラフAg5000Hを用
い、サンプル幅30mm、チャック間距離100mm、引張速度1
00mm/minの条件で行った。
5に準拠し、島津製作所オートグラフAg5000Hを用い、
サンプル幅25mm、剥離速度100mm/minの条件で行った。
曲線から破断伸度を求めた。
6に準拠し、スコットもみ試験機を用い、サンプルサイ
ズ25mm幅×100mm長でつかみ間隔15mm、つかみ具移動距
離20mmで50回往復させた。なお、試験結果は、○:若干
剥離、△:部分的に剥離、×かなりの部分が剥離、×
×:ほとんどが剥離を示す。
パラ系アラミド繊維“ケブラー”(東レ・デュポン
(株)製)の織組織が平織の織物を用いた。ポリエステ
ルエラストマー(B)として、目付35.8g/m2の“ハイ
トレル”(東レ・デュポン(株)製)、フィルム(C)とし
て厚み12.5μmのアラミドフィルム“ミクトロン”(東
レ(株)製)を用いた。なお、“ミクトロン”は、接着
性を高めるため、接着面にコロン放電処理したものを用
いた。上記“ミクトロン”のHeガス透過性は78cc/m2/24
hr/0.1mm/atmである。そして、繊維布帛(A)とポリエ
ステルエラストマー(B)とアラミドフィルム(C)を
図1のように重ね合わせ、熱プレスにより複合膜を作成
した。
0分予備加熱した後、熱プレス温度を175℃、プレス圧力
196N/cm2にて10分間熱プレスした後、プレス圧力を保
持した状態で熱プレス温度を100℃まで冷却して複合膜
を作成した。
して複合膜を作成した。
ーを含む組成物(B)に、目付40g/m2のポリウレタン樹
脂を50%配合した“ハイトレル”を用いたほかは、実施
例2と同様にして複合膜を作成した。
ルコール共重合体フィルム“エバール”((株)クラレ
製)を用いたほかは、実施例1と同様にして複合膜を作
成した。なお、エチレンビニルアルコール共重合体フィ
ルムのHeガス透過性は約32cc/m2/24hr/0.1mm/atmであ
る。
ラ系アラミド繊維“ケブラー”の織組織が平織の織物を
用いたほかは、実施例4と同様にして複合膜を作成し
た。
ドラー”(デュポン社製)を用いたほかは、実施例1と同
様にして複合膜を得た。なお、フッ素フィルムのHeガス
透過性は約581cc/m2/24hr/0.1mm/atmである。
族ポリエステル繊維“ベクトラン”((株)クラレ社製)
の平織の織物を用いたほかは、実施例3と同様にして複
合膜を作成した。
繊維“ザイロン”(東洋紡績(株)社製)の織組織が平織
の織物を用いたほかは、実施例3と同様にして複合膜を
作成した。
パラ系アラミド繊維“ケブラー”(東レ・デュポン
(株)製)の織組織が平織の織物を、ポリエステルエラ
ストマー(B)の代わりとしてエポキシ樹脂を用い、フ
ィルム(C)として厚みが12.5μmのアラミドフィルム
“ミクトロン”(東レ(株)製)を用いて複合膜を作成
した。複合膜の作成方法は、まずフィルム(C)にエポ
キシ樹脂をコーティングし90℃の乾燥機中で10分間
乾燥させたものに、繊維布帛(A)を重ね合わせ、温度
100℃の熱プレスで10分間プレスさせた後、プレス
温度を昇温して160℃で30分間プレスして複合膜を
作成した。なおエポキシ樹脂は、油化シェルエポキシ
(株)製“エピコート”828ELを100重量部に対して、同
社ポリヘミアセタールエステル硬化剤YLH853を165重量
部、触媒として同社Lcat-1を12重量部の割合で配合した
ものを用いた。
いて、引張強力、剥離強度、破断伸度およびもみ試験を
実施した結果を表1に示す。また、実施例3、7および
8について、複合膜自体と接合部の室温(21℃)、5
0℃、および80℃中での引張強力を測定した結果を表
2に示す。なお、接合部は、図2に示すようなものであ
り、2枚の複合膜自体の端部を突合せ、該突合せ部分に
複合膜に用いたポリエステルエラストマー又はポリエス
テルエラストマーを含む組成物の幅2cmのフィルム状
物を突合せ部分を中心に2層、および最外層に複合膜に
用いた繊維布帛を1層重ね合わせて、複合膜作成時と同
様の熱プレス条件にて貼り合せ接合部とした。
は、軽量で高強度で剥離強度が高く、大型飛行船用外皮
膜としての要求性能を満たすものである。
合膜は、高温下での複合膜、および複合膜接合部の引張
強力低下が小さく耐熱性を有するため、本発明に係る複
合膜を飛行船用外皮膜として作成した大型飛行船や気球
は、成層圏等の高高度での厳しい条件下においても外皮
膜に破損等なく形状を保持することが可能となる。
ガス透過性の低く、さらに耐熱性の高い複合膜であり、
この複合膜を用いて飛行船等を作成することにより、成
層圏等の高高度へ上げることが可能となる。
す概略断面図である。
Claims (9)
- 【請求項1】繊維布帛(A)にポリエステルエラストマ
ー又はポリエステルエラストマーを含む組成物(B)を
接着剤として、Heガス透過性が600cc/m2/24hr/0.1mm
/atm以下であるフィルム(C)を複合化させたことを
特徴とする複合膜。 - 【請求項2】繊維布帛(A)が、繊維束、織物、編物、
不織布、網状物及びハニカム状物から選ばれることを特
徴とする請求項1記載の複合膜。 - 【請求項3】フィルム(C)がアラミドフィルム、ポリ
イミドフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフィ
ルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、エチレン
−ビニルアルコール共重合体フィルム又はフッ素フィル
ムである請求項1または2記載の複合膜 - 【請求項4】複合膜の目付が300g/m2以下で、引張強力
が150N/cm以上であることを特徴とする請求項1〜3の
いずれかに記載の複合膜。 - 【請求項5】組成物(B)とフィルム(C)との剥離強
度が2.0N/cm以上であることを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載の複合膜。 - 【請求項6】繊維布帛の素材がアラミド繊維、炭素繊
維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、ポリエ
チレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラフェニレンベン
ゾビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、
ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポ
リビニルアルコール系繊維から選ばれた1種以上の繊維
であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
の複合膜。 - 【請求項7】膜全体の厚みが20mm以下であることを特徴
とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合膜。 - 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の複合膜2
枚の端面を当接し、その当接部の繊維布帛側面に、ポリ
エステルエラストマー又はポリエステルエラストマーを
含む組成物(B)と繊維布帛(A)を複合した2層複合
膜を積層して全体を熱融着することを特徴とする複合膜
の接合方法。 - 【請求項9】飛行船、気球の外皮膜、または気体を貯蔵
する容器として使用することを特徴とする請求項1〜7
のいずれかに記載の複合膜。
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