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JP2002293032A - 相変化光記録媒体 - Google Patents

相変化光記録媒体

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JP2002293032A
JP2002293032A JP2001102049A JP2001102049A JP2002293032A JP 2002293032 A JP2002293032 A JP 2002293032A JP 2001102049 A JP2001102049 A JP 2001102049A JP 2001102049 A JP2001102049 A JP 2001102049A JP 2002293032 A JP2002293032 A JP 2002293032A
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範威 大間知
Naomasa Nakamura
直正 中村
Sumio Ashida
純生 芦田
Keiichiro Yuzusu
圭一郎 柚須
Katsumi Suzuki
克己 鈴木
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】記録層の膜厚を十分薄くしても、非晶質状態で
の熱安定性及び消去率特性に優れ、且つ高感度化が可能
な相変化光記録媒体を提供すること。 【解決手段】この発明の相変化光記録媒体は、組成成分
比がGeyMz(SbxTe1-x)1-y -z(ただし、MはSn及びPbのうち
の少なくとも一方であり、0.60≦x≦0.85、0<y+z≦0.2
0,y≧1/19z)である相変化型記録層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光ビームの照射
により情報の記録・再生・消去が可能な相変化光記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】光ビームを照射して情報の記録再生を行
う光ディスクは、可搬型の大容量・高速アクセス・長寿命
の記録媒体として、画像・音声ファイル、計算機用デー
タファイル等に幅広く応用されており、今後ともその大
容量化が期待されている。光ディスクの中で、相変化光
記録媒体は、レーザ光照射による相変化によって生じる
反射率差または反射光位相差を利用した記録消去可能な
光学的情報記録媒体であり、オーバライトが容易な事、
光学系の構成が単純で低価格の装置が製造しやすい事、
再生専用型光ディスクとの互換性が取りやすい事、など
の特長から、CD-RW,DVD-RAM,DVD-RW等として実用化され
ている。
【0003】相変化媒体の基本的な層構成は、光入射側
から、第一干渉層、記録層、第二干渉層、反射層からな
る。干渉層と反射層は、媒体中での光の多重干渉を利用
して非晶質状態と結晶状態の光学コントラストを助長す
る機能、記録膜の酸化を防止する機能、オーバライト繰
返しによる記録膜の劣化を防止する機能を担う。この基
本構成の改良版の一つとして、記録層の上下に結晶化促
進層を形成する技術が開示されている(特開平10-28947
8)。
【0004】相変化記録媒体の記録層材料としては、カ
ルコゲン化合物が用いられており、Ge-Sb-Te系、Ag-In-
Sb-Te系の合金薄膜等が実用化されている。Ge-Sb-Te系
は、組成により金属間化合物になる場合と共晶になる場
合があるのに対し、Ag-In-Sb-Te系は、いずれの組成域
においても共晶のみである。両系とも共晶は、Sb-Te共
晶を基本としている。このSb-Te共晶では、Sb70Te30
晶組成近傍を利用したものが数多く試みられている。し
かし、共晶点近傍の組成では、結晶化速度は相分離のた
めの原子の拡散速度によって制限されるため、拡散速度
が最大となる融点直下まで加熱しないと結晶化による高
速消去ができない。そのため、Ge-Sb-Te系金属間化合物
であり、現在、広く利用されているGeTe-Sb2Te3擬似二
元合金組成近傍の記録層に比べて、高速の結晶化が可能
な温度範囲が狭く、かつ高温側に偏っている。Sb-Te共
晶系の好ましい組成範囲に関しては、SbxTe1-x(0.6≦x
≦0.85)と開示されており、Sbが多くなると急冷状態で
析出するSbクラスタサイトが増え、結晶核生成が促進さ
れるため非晶質-結晶相変化による記録消去を高速に行
うことが可能であると考えられている。しかしながら、
Sb-Te共晶組成のみでは非晶質状態の熱安定性に問題が
あることから、Sb-Te共晶組成に第三元素を添加し熱安
定性を改善する試みが行われている(特開平9-161316)。
ここで言う熱安定性とは非晶質マークの経時安定性のこ
とである。Geを添加することでSb-Te共晶合金の非晶質
状態における熱的安定性を改善できることが開示されて
いる(特開平10-112028)。
【0005】近年、相変化記録媒体を用いた二層ディス
クの開発が行われている。二層ディスクでは、光入射側
に2層の記録層があり、一層ディスクの層構成を2回繰り
返したような層構成となっている。そのため、二層ディ
スクでは光入射側から奥にある記録層に記録・再生・消
去を行う場合、手前にある記録層をレーザ光が透過する
必要がある。従って、手前にある記録層はできるだけ薄
くし、光透過率を高める必要がある(第12回相変化記録
研究会シンポジウム講演概要集 p90-95)。しかし、一般
的に記録層を薄くすると結晶核が少なくなり結晶成長が
抑制され消去率が低下するという問題がある。また、記
録層を薄くするとエネルギー吸収量が低下してしまうた
め感度の高度化が要求される。
【0006】上記技術(特開平10-112028)では、Sb/Te比
を大きくし、消去率を保持したSb-Te共晶組成にGeを添
加することで共晶合金の非晶質状態での熱安定性を高
め、非晶質マークの経時安定性を高めている。しかし、
我々の研究では、高い消去率が得られるSb/Te比の組成
域は、共晶組成よりもSb/Te比の大きい組成域でしか得
られない事が分かった。そのため、上述したように、記
録層の薄膜化により消去率が低下した場合など、消去率
の改善を必要とする場合にはSb/Te比をさらに大きくす
る必要がある。ところが、Sb/Te比を大きくすると非晶
質マーク形成が困難となってしまい、Ge添加量を調整し
ても十分な非晶質マークを形成する事が不可能である。
また、Sb/Te比を大きくしGe添加量を増やすと結晶化温
度ならびに融点が上昇してしまい、感度が低下してしま
う。この感度低下は、特に、二層ディスクなど記録膜の
薄膜化が必要な際にレーザーパワーを高出力にしなけれ
ばならないなど問題となる。以上説明した通り、記録膜
が薄くない時は、高い消去率が得られる組成域が狭かっ
た。さらに、記録膜が薄い時は、非晶質の安定性と消去
率特性の向上、高感度化を両立するGeSbTe共晶組成は存
在しなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来は、Sb/Te比を大
きくし消去率を保持したSb-Te共晶組成にGeを添加する
ことで共晶合金の非晶質状態での熱安定性を高め、記録
マーク形成を可能にしている。しかし、我々の研究で
は、高い消去率が得られるSb/Te比の組成域は、共晶組
成よりもSb/Te比の大きい組成域でしか得られない事が
分かった。そのため、上述したように、記録層の薄膜化
により消去率が低下した場合など、消去率の改善を必要
とする場合にはSb/Te比をさらに大きくする必要があ
る。ところが、Sb/Te比を大きくすると非晶質マーク形
成が困難となってしまい、Ge添加量を調整しても十分な
非晶質マークを形成する事が不可能である。また、Sb/T
e比を大きくしGe添加量を増やすと結晶化温度ならびに
融点が上昇してしまい、感度が低下してしまう。この感
度低下は、特に、二層ディスクなど記録膜の薄膜化が必
要な際にレーザーパワーを高出力にしなければならない
など問題となる。以上説明した通り、記録膜が薄くない
時は、高い消去率が得られる組成域が狭かった。さら
に、記録膜が薄い時は、非晶質の安定性と消去率特性の
向上、高感度化を両立するGeSbTe共晶組成は存在しな
い、という問題があった。
【0008】例えば、特開平02-147289には、Te-Ge-Sn
にSbを添加して過剰のTeを化合物として固定する技術が
開示されているが、これも上記問題の解決策として十分
なものではない。
【0009】この発明の目的は、上記したような事情に
鑑み成されたものであって、記録層の膜厚を十分薄くし
ても、非晶質状態での熱安定性及び消去率特性に優れ、
且つ高感度化が可能な相変化光記録媒体を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、この発明の相変化光記録媒体は、以下
のように構成されている。
【0011】この発明の相変化光記録媒体は、組成成分
比がGeyMz(SbxTe1-x)1-y-z(ただし、MはSn及びPbの少な
くとも一方であり、0.60≦x≦0.85、0<y+z≦0.20,y≧1/
19z)である相変化型記録層を有する。
【0012】共晶系GeSbTe合金においてGeの一部をSn及
びPbの少なくとも1種で置換する事により記録膜が薄く
ない時は、高い消去率が得られる組成域が広がった。さ
らに、記録膜が薄い時は、非晶質の安定性と消去率特性
の向上、高感度化の両立が可能となった。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。
【0014】図1は、本発明の一例に係る相変化光記録
媒体の断面を示す図である。図1に示すように、相変化
光記録媒体には、基板1、第一干渉層21、記録層3、第二
干渉層22、反射層4などが積層されている。基板1は、ポ
リカーボネート製で、通常グルーブと呼ばれる溝や情報
ピットがあらかじめその表面に形成されている。また、
トラックピッチは片面15GBを可能にするため0.35μmと
した。第一干渉層21、第二干渉層22にはZnS-SiO2を、記
録層3にはGeyMz(SbxTe1-x)1-y-z(ただし、MはSn及びPb
の少なくとも1種)共晶合金を、反射膜4にはAl系よりも
熱伝導率が高く、急冷可能なAg96Pd2Cu2を用いた。記録
層組成はx,y,zをパラメータにして幅広い範囲で細かく
変えながら作製した。また、各層の膜厚も光学的・熱的
な挙動を考慮し数種類変えた。
【0015】各層はマグネトロンスパッタリング法にて
順次積層し、成膜後、対向基板と貼り合せディスクを作
製した。このディスクを初期化後、光ディスク評価装置
(レーザ波長405nm、NA0.65)を用いて評価を行った。マ
ーク長は、8/16変調の11Tに相当する0.92μmとした。線
速は、次世代ビデオレコーディングシステム等に十分な
転送速度である48Mbpsに相当する8m/sを選んだ。評価方
法は、まず0.92μmの単一周波数のマーク列を記録して4
5dB以上のCNR値が得られている事を確認した後、消去パ
ワーを与えDC消去を行い消去前と消去後のキャリアレベ
ル差(消去率:ER)を調べた。また、熱安定性についても
評価を行った。
【0016】本発明の記録層の組成範囲を図2に示す。
記録層として図2の組成範囲を用いて、上記の方法でデ
ィスクを作製、光ディスク評価を行った結果を説明す
る。記録層の膜厚は5nmとした。
【0017】まず、Geの一部をSnで置換した時の結果を
説明する。図3,4は、それぞれGe,Sn組成を一定とした時
の11T-CNR,ERのSb/Te依存性を評価したものである。図3
は、Ge0.15Sn0.05(SbxTe1-x)0.8のxを変化させた時、つ
まりSb/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果である。
0.60≦x≦0.85において11T-CNR,ERともに良好な値が得
られている。しかし、Sb/Te比が増えるに従って、熱的
に不安定になりCNRが低下した。x>0.85ではその傾向が
顕著となり、十分な非晶質マークを形成する事ができな
かった。x<0.60の時には、Sbクラスターの数が不足し、
Snで置換してもERの改善が見られなかった。図4は、Ge
0.03Sn0.02(SbxTe1-x)0.95のxを変化させた時、つまりS
b/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果であるが、こ
ちらも図3同様に0.60≦x≦0.85において11T-CNR,ERとも
に良好な値が得られている。x>0.85では、十分な非晶質
マークを形成する事ができず、x<0.60の時には、Snで置
換してもERの改善が見られなかった。
【0018】図5〜8は、それぞれの組成においてGeの一
部をSnで置換し、その置換量を変化させた時の11T-CNR,
ERの結果である。図5は、Sb/Te比が5.67(85/15)であるG
e0.2(Sb0.85Te0.15)0.8を基準に、GeをSnで置換した場
合の、置換量z(Ge0.2-zSnz(Sb 0.85Te0.15)0.8)とCNRお
よびERの関係を示す図である。Geを置換していない組成
を記録膜に使用した時には、図5のSn置換量0at%のよう
にCNRは高い値を示しているもののERは低くなってい
る。Geの一部をSnで置換していくと置換量1at%でERがか
なり改善され、置換量を2at%とすると良好な結果が得ら
れた。また、Sn置換量を3at%以上に増やすとより一層の
改善が見られた。しかし、置換量を多くしすぎると、CN
Rは高い値を示すものの融点が下がり、Sn置換量が19at%
を越えるとCNRが減少してしまった。y+z>0.2の時は、結
晶化温度及び融点が高くなり、十分な非晶質マークを形
成する事ができなかった。図6は、Sb/Te比が5.67(85/1
5)であるGe0.05(Sb0.85Te0.15)0.95を基準に、GeをSnで
置換した場合の、置換量z(Ge0. 05-zSnz(Sb0.85Te0.15)
0.95)とCNRおよびERの関係を示す図である。図5同様
に、Geを置換していない組成を記録膜に使用した時に
は、図6のSn置換量0at%のようにCNRは高い値を示してい
るもののERは低くなっている。Geの一部をSnで置換して
いくと置換量1at%でERがかなり改善され、良好な結果が
得られた。しかし、Sn置換量が5at%付近になるとERは高
い値を示すものの図5同様、融点が下がり、CNRが減少し
てしまった。図7は、Sb/Te比が1.5であるGe0.2(Sb0.6Te
0.4)0.8を基準に、GeをSnで置換した場合の、置換量z(G
e0.2-zSnz(Sb0.6Te0.4)0.8)とCNRおよびERの関係を示す
図である。Geを置換していない組成を記録膜に使用した
時には、図7のSn置換量0at%のようにCNRは高い値を示し
ているもののERは低くなっている。Sb/Te比が4.0の時と
同様の結果が得られ、Geの一部をSnで置換していくと置
換量1at%でERがかなり改善され、置換量を2at%とすると
良好な結果が得られた。また、Sn置換量を3at%以上に増
やすとより一層の改善が見られた。しかし、置換量を多
くしすぎると、CNRは高い値を示すものの融点が下が
り、Sn置換量が19at%を越えるとCNRが減少してしまっ
た。図8は、Sb/Te比が1.5であるGe0.05(Sb0.6Te 0.4)0.8
を基準に、GeをSnで置換した場合の、置換量z(Ge0.05-z
Snz(Sb0.6Te0.4) 0.8)とCNRおよびERの関係を示す図であ
る。Sb/Te比が5.67の時と同様の傾向が見られ、Geを置
換していない組成を記録膜に使用した時には、図8のSn
置換量0at%のようにCNRは高い値を示しているもののER
は低くなっている。Geの一部をSnで置換していくと置換
量1at%でERがかなり改善され、良好な結果が得られた。
しかし、Sn置換量が5at%付近になるとERは高い値を示す
ものの図5同様、融点が下がり、CNRが減少してしまっ
た。
【0019】また、非晶質状態での熱安定性についても
評価を行った。評価方法は、上記の光ディスク評価装置
を用いて3T非晶質マークを形成し、同一部分を1 トラッ
クジャンプ(track jump)により連続1000回再生し、そ
の前後でCNRの劣化を測定した。なお、読み出し時のレ
ーザーパワーPrは0.8mWとした。記録層には熱安定性が
問題となるSb/Te比が大きな組成を用い、膜厚は、5nmと
した。比較した組成は、Ge0.15Sn0.05(Sb0.85Te0.15)
0.08,Ge0.04Sn0.01(Sb0.85Te0.15)0.95,Ge0.2(Sb 0.85Te
0.15)0.08,Ge0.05(Sb0.85Te0.15)0.95である。GeをSnで
置換したディスクでは、読み出し前後でCNRに殆ど変化
は見られなかったのに対し、Snで置換していないディス
クでは、1000回読み出し後に十分なCNRを得る事ができ
なかった。
【0020】次に、Geの一部をPbで置換した時の結果を
説明する。図9,10は、それぞれGe,Pb組成を一定とした
時の11T-CNR,ERのSb/Te依存性を評価したものである。
図9は、Ge0.15Pb0.05(SbxTe1-x)0.8のxを変化させた
時、つまりSb/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果で
ある。0.60≦x≦0.85において11T-CNR,ERともに良好な
値が得られている。しかし、Sb/Te比が増えるに従っ
て、熱的に不安定になりCNRが低下した。x>0.85ではそ
の傾向が顕著となり、十分な非晶質マークを形成する事
ができなかった。x<0.60の時には、Sbクラスターの数が
不足し、Pbで置換してもERの改善が見られなかった。図
10は、Ge0.03Pb0.02(SbxTe1-x)0.95のxを変化させた
時、つまりSb/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果で
あるが、こちらも図9同様に0.60≦x≦0.85において11T-
CNR,ERともに良好な値が得られている。x>0.85では、十
分な非晶質マークを形成する事ができず、x<0.60の時に
は、Pbで置換してもERの改善が見られなかった。
【0021】図11〜14は、それぞれの組成においてGeの
一部をPbで置換し、その置換量を変化させた時の11T-CN
R,ERの結果である。図11は、Sb/Te比が5.67(85/15)であ
るGe 0.2(Sb0.85Te0.15)0.8を基準に、GeをPbで置換した
場合の、置換量z(Ge0.2-zPbz(Sb0.85Te0.15)0.8)とCNR
およびERの関係を示す図である。Geを置換していない組
成を記録膜に使用した時には、図5同様にCNRは高い値を
示しているもののERは低くなっている。Geの一部をPbで
置換していくと置換量1at%でERがかなり改善され、置換
量を2at%とすると良好な結果が得られた。また、Pb置換
量を3at%以上に増やすとより一層の改善が見られた。し
かし、置換量を多くしすぎると、CNRは高い値を示すも
のの融点が下がり、Pb置換量が19at%を越えるとCNRが減
少してしまった。図12は、Sb/Te比が5.67(85/15)である
Ge0.05(Sb0.85Te0.15)0.95を基準に、GeをPbで置換した
場合の、置換量z(Ge0.05-zPbz(Sb0.85Te0.15)0.95)とCN
RおよびERの関係を示す図である。図5同様に、Geを置換
していない組成を記録膜に使用した時には、CNRは高い
値を示しているもののERは低くなっている。Geの一部を
Pbで置換していくと置換量1at%でERがかなり改善され、
良好な結果が得られた。しかし、Pb置換量が5at%付近に
なるとERは高い値を示すものの、融点が下がり、CNRが
減少してしまった。図13は、Sb/Te比が1.5であるGe
0.2(Sb0.6Te0.4) 0.8を基準に、GeをPbで置換した場合
の、置換量z(Ge0.2-zPbz(Sb0.6Te0.4)0.8)とCNRおよびE
Rの関係を示す図である。Geを置換していない組成を記
録膜に使用した時には、CNRは高い値を示しているもの
のERは低くなっている。Sb/Te比が1.5の時と同様の結果
が得られ、Geの一部をPbで置換していくと置換量1at%で
ERがかなり改善され、置換量を2at%とすると良好な結果
が得られた。また、Pb置換量を3at%以上に増やすとより
一層の改善が見られた。しかし、置換量を多くしすぎる
と、CNRは高い値を示すものの融点が下がり、Pb置換量
が19at%を越えるとCNRが減少してしまった。図14は、Sb
/Te比が1.5であるGe0.05(Sb0.6Te0.4)0.8を基準に、Ge
をPbで置換した場合の、置換量z(Ge0.05-zPbz(Sb0.6Te
0.4)0.8)とCNRおよびERの関係を示す図である。Sb/Te比
が5.67の時と同様の傾向が見られ、Geを置換していない
組成を記録膜に使用した時には、CNRは高い値を示して
いるもののERは低くなっている。Geの一部をPbで置換し
ていくと置換量1at%でERがかなり改善され、良好な結果
が得られた。しかし、Pb置換量が5at%付近になるとERは
高い値を示すものの図8同様、融点が下がり、CNRが減少
してしまった。
【0022】また、非晶質状態での熱安定性についても
評価を行った。評価方法は、Sn添加と同様である。記録
層には熱安定性が問題となるSb/Te比が大きな組成を用
い、膜厚は、5nmとした。比較した組成は、Ge0.15Pb
0.05(Sb0.85Te0.15)0.08,Ge0.04Pb0.01(Sb0.85Te0.15)
0.95,Ge0.2(Sb0.85Te0.15)0.08,Ge0.05(Sb0.85Te0.15)
0.9 5である。GeをPbで置換したディスクでは、読み出し
前後でCNRに殆ど変化は見られなかったのに対し、Pbで
置換していないディスクでは、1000回読み出し後に十分
なCNRを得る事ができなかった。
【0023】以上、Geの一部をSnあるいはPbで置換し、
記録層の膜厚を5nmとした時の結果を示したが、Geの一
部をSn,Pb両元素で置換した場合も同様の結果が得られ
た。また、記録層の膜厚を10nm,15nm,20nmとした時も同
様の結果が得られた。
【0024】このような効果が得られた理由は、Sn,Pb
はGeと同族であり、両元素とも非晶質の安定化に効果が
ある事、また、非晶質マークを結晶化させる際には、Sn
-Te相あるいはPb-Te相がいち早く生成しこれらが結晶の
核となり、結晶成長が起こり非常に高速の消去が可能に
なったためである。このため、共晶系GeSbTe合金におい
てGeの一部をSnあるいはPbの少なくとも1種で置換する
事により記録膜が薄くない場合には高い消去率が得られ
る組成域が広がった。さらに、記録膜が薄い場合も非晶
質の安定性と消去率特性の向上、高感度化の両立が可能
となった。
【0025】本発明は、干渉層としてはZnS-SiO2使用し
たが、Ta-O,Si-N,Al-O,Al-N等を使用する事も可能であ
る。反射膜もAgPdCu以外にAlTi,AlMo等を用いても本発
明を適用すれば同等の効果が得られる。
【0026】また、本発明では特に媒体各層の膜厚を限
定していないが、記録時に結晶成長の起こる温度帯を速
やかに通過すると共に、消去時に核生成の起こる温度帯
に長く保持される上では、光入射面側からの順番で、記
録膜厚が5-30nm、第二干渉膜厚が40nm以下とするのが良
い。この様にする事で特に記録時の過度な結晶成長を効
率良く防止する事が出来る。さらに好ましくは、記録膜
厚が5-20nm、第二干渉膜厚を5-40nmとするのが良く、こ
の様にする事で効率良く核生成温度帯での保持時間を長
くでき、EERを高い値に保持可能となる。これにより、
例えば、5-10nmのような極めて薄い記録膜厚のものを実
用化できる。
【0027】本発明は、基本的に相変化記録媒体の好適
な記録層の組成範囲を規定するものであり、上記実施例
では記録層以外には、干渉層と反射層とを具備する実施
形態について説明したが、これらの他に、結晶化を促進
させる為の層、吸収率比を調整する為の層などが付与さ
れていても構わない。
【0028】なお、本願発明は、上記実施形態に限定さ
れるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない
範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施
形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、そ
の場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形
態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複
数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発
明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成
要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解
決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明
の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、
この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得
る。
【0029】
【発明の効果】この発明によれば、記録層の膜厚を十分
薄くしても、非晶質状態での熱安定性及び消去率特性に
優れ、且つ高感度化が可能な相変化光記録媒体を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る相変化光記録媒体の断面を
示す図である。
【図2】本発明の一例に係る相変化光記録媒体の記録層
の組成範囲を示す図である。
【図3】Ge0.15Sn0.05(SbxTe1-x)0.8のxを変化させた
時、つまりSb/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果を
示す図である。
【図4】Ge0.03Sn0.02(SbxTe1-x)0.95のxを変化させた
時、つまりSb/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果を
示す図である。
【図5】Sb/Te比が5.67(85/15)であるGe0.2(Sb0.85Te
0.15)0.8を基準に、GeをSnで置換した場合の、置換量z
(Ge0.2-zSnz(Sb0.85Te0.15)0.8)とCNRおよびERの関係を
示す図である。
【図6】Sb/Te比が5.67(85/15)であるGe0.05(Sb0.85Te
0.15)0.95を基準に、GeをSnで置換した場合の、置換量z
(Ge0.05-zSnz(Sb0.85Te0.15)0.95)とCNRおよびERの関係
を示す図である。
【図7】Sb/Te比が1.5であるGe0.2(Sb0.6Te0.4)0.8を基
準に、GeをSnで置換した場合の、置換量z(Ge0.2-zSnz(S
b0.6Te0.4)0.8)とCNRおよびERの関係を示す図である。
【図8】Sb/Te比が1.5であるGe0.05(Sb0.6Te0.4)0.8
基準に、GeをSnで置換した場合の、置換量z(Ge0.05-zSn
z(Sb0.6Te0.4)0.8)とCNRおよびERの関係を示す図であ
る。
【図9】Ge0.15Pb0.05(SbxTe1-x)0.8のxを変化させた
時、つまりSb/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果を
示す図である。
【図10】Ge0.03Pb0.02(SbxTe1-x)0.95のxを変化させ
た時、つまりSb/Te比を変えたときの11T-CNRとERの結果
を示す図である。
【図11】Sb/Te比が5.67(85/15)であるGe0.2(Sb0.85Te
0.15)0.8を基準に、GeをPbで置換した場合の、置換量z
(Ge0.2-zPbz(Sb0.85Te0.15)0.8)とCNRおよびERの関係を
示す図である。
【図12】Sb/Te比が5.67(85/15)であるGe0.05(Sb0.85T
e0.15)0.95を基準に、GeをPbで置換した場合の、置換量
z(Ge0.05-zPbz(Sb0.85Te0.15)0.95)とCNRおよびERの関
係を示す図である。
【図13】Sb/Te比が1.5であるGe0.2(Sb0.6Te0.4)0.8
基準に、GeをPbで置換した場合の、置換量z(Ge0.2-zPbz
(Sb0.6Te0.4)0.8)とCNRおよびERの関係を示す図であ
る。
【図14】Sb/Te比が1.5であるGe0.05(Sb0.6Te0.4)0.8
を基準に、GeをPbで置換した場合の、置換量z(Ge0.05-z
Pbz(Sb0.6Te0.4)0.8)とCNRおよびERの関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…基板 21…第一干渉層 3…記録層 22…第二干渉層 4…反射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦田 純生 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 柚須 圭一郎 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 鈴木 克己 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町事業所内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA23 EA36 EA39 FA01 FB05 FB06 FB09 FB12 FB30 5D029 JA01 JB35 JC17 JC20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組成成分比がGeyMz(SbxTe1-x)1-y-z(ただ
    し、MはSnであり、0.60≦x≦0.85,0<y+z≦0.20,y≧1/19
    z)である相変化型記録層を有することを特徴とする相変
    化光記録媒体。
  2. 【請求項2】組成成分比がGeyMz(SbxTe1-x)1-y-z(ただ
    し、MはPbであり、0.60≦x≦0.85、0<y+z≦0.20,y≧1/1
    9z)である相変化型記録層を有することを特徴とする相
    変化光記録媒体。
  3. 【請求項3】組成成分比がGeyMz(SbxTe1-x)1-y-z(ただ
    し、MはSnかつPbであり、0.60≦x≦0.85、0<y+z≦0.20,
    y≧1/19z)である相変化型記録層を有することを特徴と
    する相変化光記録媒体。
  4. 【請求項4】前記相変化型記録層の膜厚を5nm〜10nmに
    設定したことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載
    の相変化記録媒体。
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