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JP2002292207A - 水処理装置 - Google Patents

水処理装置

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JP2002292207A
JP2002292207A JP2001102305A JP2001102305A JP2002292207A JP 2002292207 A JP2002292207 A JP 2002292207A JP 2001102305 A JP2001102305 A JP 2001102305A JP 2001102305 A JP2001102305 A JP 2001102305A JP 2002292207 A JP2002292207 A JP 2002292207A
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mixing tank
polymer
tank
organic polymer
inorganic
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Kunio Ebie
邦雄 海老江
Tomoaki Miyanoshita
友明 宮ノ下
Yuichiro Toba
裕一郎 鳥羽
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Japan Organo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機凝集剤および高分子凝集剤を利用して良
好な凝集処理を行う。 【解決手段】 各種の懸濁質、溶存有機物などを含む原
水に対し、無機混和槽10で無機凝集剤が混合され、ポ
リマー混合槽18でポリマーが混合され、その後フロッ
ク形成槽28でフロック形成が促進され、沈殿槽30で
沈殿処理される。沈殿上澄みは、砂ろ過器32でろ過さ
れ処理水は配水される。ここで、原水水温は温度計40
で計測され、またポリマー添加量を示すポリマー添加用
のポンプ24の動作信号がコントローラ42に供給され
る。コントローラ42は、水温およびポリマー添加量に
応じて、撹拌機20によるポリマー混和槽18の撹拌強
度を制御する。また、ポリマー添加量が実質的に0の時
はポリマー混和槽18の撹拌強度をフロック形成槽28
の撹拌強度と同等にし、無機フロックのフロック化を促
進する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機凝集剤と有機
高分子凝集剤(以下ポリマーという)を使用して凝集処
理を行う水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、上下水処理、各種排水処理に
おいて、懸濁質、溶存有機物を除去するために凝集処理
が広く行われている。この凝集処理において、その凝集
剤として硫酸アルミ、PAC(ポリ塩化アルミニウ
ム)、塩化第二鉄などのアルミ系・鉄系の無機金属塩凝
集剤が通常利用されている。
【0003】しかし、処理する原水の水質によっては、
これらの無機凝集剤だけでは、十分大きなフロックが形
成されず、その後の沈殿工程、ろ過工程における固液分
離速度が遅く良好な処理水水質が得られない場合があ
る。
【0004】一方、排水・汚泥処理分野では、従来より
ポリアクリルアミド等のポリマーがフロック形成・沈降
分離を促進するために広く利用されている。上水分野で
は、ポリマー中に有害な不純物(アクリルアミドモノマ
ー等)が含まれる可能性もあるため、これまで使用が認
められていなかった。しかし、これら不純物濃度を十分
低く抑えることは可能であり、日本においては不純物濃
度を基準値以下に抑える条件で平成12年度から使用が
認められるようになった。
【0005】無機凝集剤およびポリマーを併用する凝集
処理は、まず無機混和槽において無機凝集剤の注入混和
を行い、その直後のポリマー混和槽でポリマーを注入混
和する。このポリマー混和槽での撹拌は、無機凝集剤と
原水中の懸濁物質との結合でできた微小なフロックにポ
リマーがさらに結合するよう急速撹拌による混和が行わ
れる。さらに、その後段で、緩速撹拌を行い、フロック
を成長させる。緩速撹拌は、通常1〜4段の一連の槽で
行われ、後段に行くほど撹拌強度を小さくし、フロック
を破壊させず大きく成長させるような撹拌条件としてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、従来の排水処
理などにおいては、フロックを大きくし、フロックの沈
降速度を高め、沈殿槽を縮小することを主目的としてポ
リマーを使用しており、処理水水質の目標あるいは基準
が緩やかであった。そこで、ポリマー注入を行う場合、
その添加量の制御を行うが、撹拌強度などの他の条件に
ついては、一定の値を採用していた。
【0007】ところが、浄水処理のように、凝集沈殿だ
けでなくろ過まで行い、ろ過水として濁度0.1度以下
といった厳しい水質が要求される場合がでてきた。本発
明者らは、各種の実験を行った結果、ポリマー混和槽に
おける撹拌強度が、要求水質の達成の可否に大きく影響
することを発見した。
【0008】特に、ポリマー溶解液は粘度が高く水中で
の分散性がよくないため、注入率が高いほど、強い強度
で撹拌し、より分散を図らないと、フロックの成長性に
斑が生じたり、微小粒子を除去しきれない場合がある。
凝集沈殿処理水をろ過に通水する場合にも、処理水水質
が悪化する場合がある。逆に、注入率が低い場合には、
高注入率の場合と同様の撹拌強度で撹拌すると、成長し
始めたフロックが破壊されるなどして、フロックが十分
に成長せず、沈殿処理への効果が減小することがある。
【0009】また、水温によっても水・ポリマー溶解液
の粘度が変わり、注入混和時の分散の様子が変わり、処
理効果も変わる。とくに、低水温時には、水・ポリマー
の粘度は高くなるため、分散しにくい。
【0010】また、原水水質が比較的良好で、無機凝集
剤の注入だけでフロック形成・沈降性がよく、沈殿処理
水水質・ろ過水水質が良好かつ安定している場合には、
ポリマーの注入は、必ずしも必要とされない。ポリマー
を注入せず、無機凝集剤のみで処理を行う場合、無機凝
集剤注入・短時間の急速撹拌を行い、その後、緩速撹拌
を行うことが必要となる。したがって、ポリマーを注入
しない場合、ポリマー混和槽における撹拌強度をポリマ
ーを注入する場合と同様に行うと、急速撹拌時間が長く
なりすぎ、フロックが十分大きくならない。その場合、
バイパスラインを設けておいて、ポリマー混和槽を使用
しないという選択もあるが、装置が複雑となり、バルブ
の切り替え操作も必要となる。また、その間、ポリマー
混和槽の一部を遊ばせておくことのみならず、維持管理
・再起動の煩雑さも生じる。
【0011】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、良好な凝集処理を行うことができる水処理装置を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、無機凝集剤を
混和する無機凝集剤混和槽と、この無機凝集剤混和槽か
らの流出水に、有機高分子凝集剤を混和する有機高分子
凝集剤混和槽と、を有し、無機凝集剤と有機高分子凝集
剤を使用して凝集処理を行う水処理装置において、前記
有機高分子凝集剤混和槽における撹拌強度を前段の無機
凝集剤混和槽の撹拌強度よりも大きな値とするととも
に、この有機高分子凝集剤混和槽での撹拌強度を有機高
分子凝集剤注入率および水温に応じて変化させることを
特徴とする。
【0013】このように、本発明によれば、有機高分子
凝集剤混和槽での撹拌強度を、有機高分子凝集剤注入率
および水温に応じて変化させる。そこで、撹拌強度を適
切なものに維持することができ、効果的な凝集処理が行
え、良好な処理水を得ることができる。
【0014】また、本発明は、無機凝集剤を混和する無
機凝集剤混和槽と、この無機凝集剤混和槽からの流出水
に、有機高分子凝集剤を混和する有機高分子凝集剤混和
槽とを有し、無機凝集剤と有機高分子凝集剤を使用して
凝集処理を行う水処理装置において、前記有機高分子凝
集剤混和槽での撹拌強度を前段の無機凝集剤混和槽の撹
拌強度よりも大きな値とするとともに、この有機高分子
凝集剤混和槽における有機高分子凝集剤の添加量が実質
的に0であるときには、この有機高分子凝集剤混和槽の
撹拌強度を前記無機混和槽の撹拌強度より小さい値にす
ることを特徴とする。
【0015】このように、本発明では、有機高分子凝集
剤混和槽における有機高分子凝集剤の添加量が実質的に
0であるときには、この有機高分子凝集剤混和槽の撹拌
強度を前記無機混和槽の撹拌強度より小さい値にする。
従って、有機高分子凝集剤を添加しない場合には、有機
高分子凝集剤混和槽を後段のフロック形成槽の一部とし
て利用することができる。そこで、バイパス管などが不
要となり、好適な凝集処理を行うことができる。
【0016】また、さらに、前記有機高分子凝集剤混和
槽の流出水を緩速撹拌してフロック形成を助長するフロ
ック形成槽を有し、前記有機高分子凝集剤混和槽におけ
る有機高分子凝集剤の添加量が実質的に0であるときに
は、前記有機高分子凝集剤混和槽の撹拌強度を前記無機
混和槽の撹拌強度より小さい値であって、前記フロック
形成槽における撹拌強度以上の値とすることが好適であ
る。これによって、好適なフロック形成を行うことがで
きる。
【0017】また、前記有機高分子凝集剤混和槽での撹
拌強度を、有機高分子凝集剤注入率と水温に応じて変化
させることが好適である。
【0018】また、有機高分子凝集剤はアクリルアミド
モノマーを原料とするアニオン性またはノニオン性のも
のであり、分子量が1,000,000〜3,000,
000ダルトンであることが好適である。このような有
機高分子凝集剤により、無機凝集剤添加後のフロックの
形成を好適に行うことができる。また、あらかじめイオ
ン性状、分子量の異なる複数種類の凝集剤を用意してお
き、原水水質に応じて最も効果の高い種類を使用するこ
とが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面に基づいて説明する。
【0020】図1は、実施形態の水処理装置の構成を示
す図である。河川水、湖沼水等の表流水からなる原水
は、無機混和槽10に導入される。この無機混和槽10
には、撹拌翼12aと、これを回転させるモータ12b
とからなる撹拌機12が配置されている。また、この無
機混和槽10には、無機凝集剤タンク14内の無機凝集
剤がポンプ16によって供給される。無機凝集剤として
は、例えばPAC(ポリ塩化アルミニウム:Al
10%含有)が利用される。なお、この無機混和槽10
の急速撹拌強度は通常300(S−1)未満、滞留時間
は5分未満であるが、これに限定されない。
【0021】次に、無機凝集剤が混合された水は、ポリ
マー混和槽18に導入される。このポリマー混和槽18
には、撹拌翼20aと、これを回転させるモータ20b
とからなる撹拌機20が配置されており、また高分子凝
集剤タンク22内の高分子凝集剤がポンプ24によって
供給される。高分子凝集剤としては、例えばノニオン性
アクリルアミドポリマーが利用される。また、アニオン
性アクリルアミドポリマーが好適な場合もあるが、これ
らに限定されるものではない。また、あらかじめイオン
性状、分子量の異なる複数種類の凝集剤を用意してお
き、原水水質に応じて最も効果の高い種類を使用するこ
とが好ましい。このポリマー混和槽18の急速撹拌強度
は300(S−1)以上、滞留時間1〜10分程度に設
定されている。
【0022】ポリマー混和槽18からの無機凝集剤およ
び高分子凝集剤が混合された水は、フロック形成槽28
に導入される。このフロック形成槽28は、3槽からな
り、それぞれに横軸パドル式の緩速撹拌機26が設けら
れている。この緩速撹拌機26は、各槽毎に撹拌強度を
設定することが可能であり、通常、撹拌強度は徐々に弱
くなるように設定されている。そして、このフロック形
成槽28において緩速撹拌することによってフロックの
粗大化が図られる。このフロック形成槽28における撹
拌強度は、例えば、入り口側の槽から100−60−4
0(S−1)のように徐々に小さくなるように設定され
る。
【0023】そして、無機凝集剤および高分子凝集剤に
よりフロック形成された水が沈殿槽30に導入され、こ
こで固形物が沈殿する。この沈殿槽30で沈殿した固形
物は汚泥として系外に排除され、上澄み水は、砂ろ過器
32に供給される。この砂ろ過器32は、内部にろ材層
を有し、このろ材層によって残留する浮遊性固形物をろ
過分離する。これによって、水道水として配水できる水
質のろ過処理水が安定して得られる。なお、ろ材層は、
例えば、アンスラサイト、ケイ砂の二層アンスラサイ
ト、ケイ砂、ガーネットの三層等で形成される。
【0024】ろ過処理水は、処理水タンク34に貯留さ
れ、消毒された後配水される。また、処理水タンク34
内の処理水は、逆洗ポンプ36によって、砂ろ過器32
の底部に供給できるようになっており、これによって砂
ろ過器32を逆洗できる。また、砂ろ過器32の底部に
はブロア38からの空気も供給することができるように
なっており、これによって空気逆洗も行われる。
【0025】そして、原水の無機混和槽10への流入経
路には温度計40が設けられており、原水水温が測定さ
れる。なお、この温度は、各槽において余り変化がない
ため、無機混和槽10、ポリマー混和槽18、フロック
形成槽28などのいずれの槽に設けてもよい。特に、ポ
リマー混和槽18内の水温は重要であり、このポリマー
混和槽18に温度計を設けることが好適である。
【0026】この温度計40の検出結果は、コントロー
ラ42に供給される。このコントローラ42には、高分
子凝集剤を添加するポンプ24の流量についての信号も
供給されている。そして、このコントローラ42が水温
高分子凝集剤の添加量に基づいて、モータ20bの回転
を制御して、撹拌機20の撹拌強度を制御する。
【0027】なお、無機凝集剤の注入率、高分子凝集剤
の注入率、高分子凝集剤の種類などは、原水についての
ジャーテストなどによって、最適条件を決定し、原水濁
度などによって変更するようになっている。
【0028】なお、本実施形態では、無機凝集剤にPA
Cを用いているが、硫酸バンド、塩化第二鉄、硫酸第二
鉄、ポリ硫酸アルミニウム・鉄等の鉄やアルミニウムを
原料とするものであれば、特に限定する必要はない。ま
た凝集助剤として、硫酸、塩酸、炭酸、水酸化ナトリウ
ム、消石灰等を加えることも好ましい。
【0029】次に、ポリマー混和槽18における撹拌機
20の撹拌強度の設定について説明する。
【0030】本実施形態では、ポリマー注入率が0.0
1mg/L以上の場合、ポリマー混和槽18での撹拌強
度を、ポリマー注入率と水温に応じて変化させる。すな
わち、温度、ポリマー注入率に応じて適切なG値を算出
し、撹拌機20におけるG値または撹拌機20の回転数
を制御する。なお、このポリマー混和槽18における撹
拌強度G2は前段の無機混和槽10の撹拌強度G1より
も大きな値とし、G1値が300S−1未満の場合G2
値をG値で300(S−1)以上とする。
【0031】一方、ポリマー注入率が0mg/Lの場
合、ポリマー混和槽18の撹拌強度G2を前段の無機混
和槽10の撹拌強度G1よりも小さくし、緩速撹拌槽の
一つとして機能させる。これによって、ポリマー混和槽
18において、無機フロックの粗大化が促進される。
【0032】まず、撹拌強度G2値については、ポリマ
ー注入濃度が高くなるほど、大きくする。また使用する
ポリマー原液の濃度が高くなるほど、大きくすることが
好適である。例えば、G2を注入率に比例させた制御を
行う場合、
【数1】 G2(S−1)= Ga×d+Gb ・・・ (1) ここで、d:ポリマー注入率(mg/L)、Ga、Gb
は定数であり、Ga、Gbは、予め実験機を用いた実験
またはジャーテストで決定しておく。
【0033】また、水温が低いとポリマーが混合しにく
くなる。そこで、温度が低くなるに従って、撹拌強度を
大きくする。
【数2】 G2(S−1)= Ga×d+Gb+Gc(T0−T)・・・ (2) ここで、Gcは、所定の定数、T0は標準温度、Tはそ
のときの水温である。この式(2)により、水温T0の
時には水温についての左辺第3項は、ゼロであるが、水
温TがT0より高くなると所定値マイナス、低くなると
所定値プラスされる。従って、この式(2)により、ポ
リマー注入量だけでなく、そのときの水温を考慮して、
撹拌強度G2を決定することができる。ここで、定数G
cも各種温度におけるジャーテストによって決定する。
なお、この式(2)は、水温TがT0を下回ったときの
みに適用してもよい。
【0034】原水水質に応じて、高分子凝集剤の種類を
最も効果の高いものに切り換える場合、あらかじめ各種
類について、上記数式の定数Ga,Gb,Gcを決定し
ておき切り換えた時点で使用する凝集剤の定数および注
入率水温の条件から撹拌強度を算出することが好まし
い。
【0035】このように、本実施形態によれば、ポリマ
ー混和槽18での撹拌強度をポリマー注入率と水温に応
じて適正な値に変化させる。これによって、ポリマーの
凝集効果が効果的に発揮され、良好な処理水水質が得ら
れる。
【0036】一方、条件によっては、無機凝集剤による
凝集だけで、十分な処理水水質が得られる場合もある。
このような場合には、ポリマーを添加する必要はない。
ところがポリマー添加をやめた場合、ポリマー混和槽1
8で強い撹拌を行うと、フロックが細かくなってしまい
処理水水質を十分なものにできない。従って、バイパス
配管を設け、ポリマー混和槽18をバイパスしてフロッ
ク形成槽28に導入することが考えられる。ところが、
このようなバイパス配管を設ける場合、その切り換え制
御のための装置を設けなければならず、さらにポリマー
の添加を再開する際に、問題が生じる。
【0037】本実施形態では、ポリマーを使用しない場
合も、撹拌強度を変えるだけでフロックの形成を阻害す
ることがないだけではなく、より形成を促進することが
できる。すなわち、例えば、ポリマー混和槽18におけ
る撹拌強度を100(S−1)程度と、フロック形成槽
28の第1槽における撹拌強度と同等の値にする。これ
によって、ポリマー混和槽18をバイパスさせて使用し
ない場合より、良い処理水水質が得られる。また、撹拌
強度を変更するだけであるため、装置が簡素化され運転
管理も容易になるという効果も得られる。
【0038】従って、本実施形態では、ポリマー添加量
が0.1mg/L以上の場合は、上述の式(2)に基づ
いて、撹拌機20を制御し、ポリマー添加量が0.1m
g/L以下である実質的に0mg/Lと見なせる場合に
は、撹拌強度をフロック形成槽28の撹拌強度(特に第
1槽の撹拌強度)と同等の値にする。これによって、常
に良好な処理水が得られるような処理を行うことができ
る。
【0039】
【実施例】本発明の効果を確認するため、ある湖沼の水
を原水として下記実験装置にて処理実験を6ヶ月間行っ
た。
【0040】1.実験条件 (1)比較例の凝集沈殿ろ過装置 ・原水流量:1,000m/時 ・無機混和槽:滞留時間3分、撹拌強度200
(S−1) ・ポリマー混和槽:滞留時間5分 撹拌強度400(S
−1) ・フロック形成槽:横軸パドル3段式、滞留時間30分 G値・滞留時間、1段目100(S−1)・10分、2
段目60(S−1)・10分、3段目40(S−1)・
10分 (なお、無機混和槽とフロック形成槽の間にはポリマー
混和槽をバイパスできる配管およびそれに付随するバル
ブなどを有する。) ・沈殿槽:上向流式傾斜板付き沈殿槽、滞留時間40
分、上昇速度3m/時 ・砂ろ過器:アンスラサイト400mm 有効径1.0
mm 均等係数1.4、ケイ砂400mm 有効径0.
5mm 均等係数1.3、ろ過速度200m/日、48
時間に一度逆流洗浄 ・無機凝集剤:PAC(ポリ塩化アルミニウム)、注入
率 40〜60mg/l ・ポリマー:ノニオン性ポリアクリルアミド、溶解液濃
度1000mg/L
【0041】(2)本発明の凝集沈殿ろ過装置 本発明の装置では、(i)ポリマー混和槽の撹拌強度が
自動制御されること、(ii)ポリマー混和槽をバイパ
スする管を有せず、その分簡素な装置であること、が比
較例の装置と異なるが、その他の点では、比較例の装置
構成・処理条件は同じである。
【0042】撹拌強度の自動制御についての詳細は以下
のとおりである。 ・撹拌装置は、フラッシュミキサー方式で回転数が可変
である。撹拌強度はG値で制御し、そのG値に対応した
回転数に自動で変更する。 ・撹拌強度は、ポリマー注入率に合わせG値を一次比例
させる。G値決定条件式は、
【数3】 G(S−1)= 500×d+350 ・・・ (3) である。ここで、d:ポリマー注入率(mg/L)であ
り、この式は上述の式(1)に対応し、定数であるGa
=500、Gb=350である。この条件は、事前に行
ったジャーテストの結果をもとに決定した。
【0043】また、6ヶ月目以降水温15度未満では、
水温が1度下がる毎にG値を(3)式の値に5
(S−1)加えた値とした。なお、この式(4)は、水
温が15度を下回ったときにのみ適用した。すなわち、
【数4】 G(S−1)=500×d+350+5×(15−T)・・・ (4) とする。この式(4)は、上述の式(2)に対応し、定
数であるGc=5、T0=15である。この条件は、事
前に行ったジャーテストの結果をもとに決定した。
【0044】さらに、ポリマーの注入を行わない場合
は、G値100(S−1)とした。
【0045】この実験では、ポリマーを添加しないか、
添加する場合には、添加量0.1mg/L以上とた。
【0046】2.実験原水 ・実験開始1ヶ月:濁度平均20度程度で、藻類が20
00個/mL程度発生した。水温は20〜25度であっ
た。 実験開始2ヶ月〜3ヶ月:濁度平均30度で、藻類が1
万〜2万個/mLと大繁殖した。水温は25〜30度で
あった。 ・実験開始3ヶ月〜4ヶ月目:濁度10度程度で、藻類
数は大幅に減少し500個/mL程度であった。また、
水温は25〜20度であった。 ・実験開始5ヶ月目:再び濁度は20度に上昇した。水
温は20〜15度であった。また、藻類数500個/m
L程度であった。 ・実験開始6ヶ月目:濁度20度程度で、水温15〜1
0度であった。
【0047】3.実験結果 ・実験開始から1ヶ月:ポリマーを0.1mg/L注入
した処理を行った。比較装置・本発明装置とも撹拌強度
はG値400(S−1)と同じ値とした。処理結果は、
両装置とも同等で、沈殿処理水濁度0.3〜0.4度、
ろ過水濁度0.03度で推移した。
【0048】・2〜3ヶ月目:原水中に凝集性の悪い藻
類(藍藻)が増殖し、ポリマー注入率0.1mg/Lで
は沈殿処理水濁度・ろ過水濁度ともに十分な水質が得ら
れず、特にろ過水濁度は処理目標の0.1度を安定して
達成できない。
【0049】このため、注入率を0.3mg/Lに上げ
た。それに伴って、本発明の装置は、ポリマー混和槽の
撹拌強度を条件式(4)に従い、自動的にG値500
(S )に上昇させた。比較装置の撹拌強度は400
(S−1)のままである。沈殿処理水濁度は比較装置の
方が0.4〜0.7度でやや不安定に推移したのに対
し、本発明装置の方は0.3〜0.4度で安定して推移
した。また、ろ過水濁度は、比較装置の方が0.04度
で推移したのに対し、本発明装置の方は0.03度であ
り、最初の1ヶ月と同等の処理効果が得られた。
【0050】・4ヶ月目:原水中の藻類の発生はおさま
り、原水濁度も低下し、比較的処理のしやすい水となっ
たので、ポリマーの注入を停止することにした。沈殿処
理水濁度は、注入を行う場合よりもやや高くなるが、ろ
過では十分な処理が行い得るとの判断からポリマーの注
入を停止した。
【0051】本発明装置では、自動的にポリマー混和槽
の撹拌G値を100(S−1)に下げ、フロック形成槽
の1槽とした。比較装置は、ポリマー混和槽には通水せ
ず、バイパス管にて無機混和槽からフロック形成槽に直
接通水した。沈殿処理水濁度は、比較装置が0.9〜
1.1度で推移したのに対し、本発明装置の方が0.8
〜1.0度で推移した。本発明装置の方が、凝集が長く
行われることで、沈殿処理水濁度は若干良好であった。
ろ過水濁度は、比較装置が0.04〜0.05度、本発
明装置は0.04度で比較装置よりも良好であった。
【0052】・5ヶ月目:再び原水濁度の上昇が見られ
たため、ポリマーを0.1mg/L注入することにし
た。本発明装置では、注入開始後、ポリマー混和槽の撹
拌G値を上げるだけで、沈殿処理水濁度は1.0度→
0.4度へ徐々に良好になっていった。それに対し、比
較装置では、約1ヶ月使われていなかったポリマー混和
槽に通水しての凝集沈殿処理は、混和槽に滞留していた
水の影響で、沈殿処理水濁度は一時的に1.2度まで上
がるなど不安定となり、安定するまでに約4時間を要し
た。
【0053】6ヶ月目:原水水温が15度を下回ったた
め、水温補正を加えた条件式(3)に従って撹拌強度を
自動調整するような機構とした。ポリマー注入率は0.
1mg/Lである。水温が20度→15度に下がった期
間、本装置のG値は400→425(S−1)に変化し
た。一方比較装置のG値は、400(S−1)のままで
ある。この期間、沈殿処理水濁度は、本発明装置0.5
〜0.6度で安定して推移したのに対し、比較装置0.
5〜0.7度で推移し、本発明装置の方が良好であっ
た。
【0054】これら実験結果を総合すると、 (i)ポリマー注入率に合わせポリマー混和槽の撹拌強
度を自動的に変える本発明装置の処理水水質は、比較装
置よりも絶えず良好かつ安定であった。 (ii)ポリマーを注入しない処理の場合も、ポリマー
混和槽を凝集槽の1槽とする本装置の方が、処理水水質
も良く、かつ、ポリマー注入処理への移行が容易であっ
た。 (iii)水温に応じても撹拌強度を変える本発明装置
の処理水水質は、比較装置よりも良好であったといえ
る。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
有機高分子凝集剤混和槽での撹拌強度を、有機高分子凝
集剤注入率および水温に応じて変化させる。そこで、撹
拌強度を適切なものに維持することができ、効果的な凝
集処理が行え、良好な処理水を得ることができる。
【0056】また、本発明では、有機高分子凝集剤混和
槽における有機高分子凝集剤の添加量が実質的に0であ
るときには、この有機高分子凝集剤混和槽の撹拌強度を
前記無機混和槽の撹拌強度より小さい値にする。従っ
て、有機高分子凝集剤を添加しない場合には、有機高分
子凝集剤混和槽を後段のフロック形成槽の一部として利
用することができる。そこで、バイパス管などを不要と
して、好適な凝集処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の水処理装置の全体構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 無機混和槽、18 ポリマー混和槽、20 撹拌
装置、28 フロック形成槽、30 沈殿槽、32 砂
ろ過器、40 温度計、42 コントローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥羽 裕一郎 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 Fターム(参考) 4D015 BA21 BA24 BB09 BB12 DA04 DB02 DC06 DC08 EA06 EA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機凝集剤を混和する無機凝集剤混和槽
    と、この無機凝集剤混和槽からの流出水に、有機高分子
    凝集剤を混和する有機高分子凝集剤混和槽と、を有し、
    無機凝集剤と有機高分子凝集剤を使用して凝集処理を行
    う水処理装置において、 前記有機高分子凝集剤混和槽における撹拌強度を前段の
    無機凝集剤混和槽の撹拌強度よりも大きな値とするとと
    もに、この有機高分子凝集剤混和槽での撹拌強度を有機
    高分子凝集剤注入率および水温に応じて変化させる水処
    理装置。
  2. 【請求項2】 無機凝集剤を混和する無機凝集剤混和槽
    と、この無機凝集剤混和槽からの流出水に、有機高分子
    凝集剤を混和する有機高分子凝集剤混和槽とを有し、無
    機凝集剤と有機高分子凝集剤を使用して凝集処理を行う
    水処理装置において、 前記有機高分子凝集剤混和槽での撹拌強度を前段の無機
    凝集剤混和槽の撹拌強度よりも大きな値とするととも
    に、この有機高分子凝集剤混和槽における有機高分子凝
    集剤の添加量が実質的に0であるときには、この有機高
    分子凝集剤混和槽の撹拌強度を前記無機混和槽の撹拌強
    度より小さい値にする水処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の装置において、 さらに、前記有機高分子凝集剤混和槽の流出水を緩速撹
    拌してフロック形成を助長するフロック形成槽を有し、
    前記有機高分子凝集剤混和槽における有機高分子凝集剤
    の添加量が実質的に0であるときには、前記有機高分子
    凝集剤混和槽の撹拌強度を前記無機混和槽の撹拌強度よ
    り小さい値であって、前記フロック形成槽における撹拌
    強度以上の値とする水処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の装置におい
    て、 前記有機高分子凝集剤混和槽での撹拌強度を、有機高分
    子凝集剤注入率と水温に応じて変化させる水処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つに記載の装
    置において、 有機高分子凝集剤はアクリルアミドモノマーを原料とす
    るアニオン性またはノニオン性のものである水処理装
    置。
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