JP2002277632A - 光学補償シートとその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置 - Google Patents
光学補償シートとその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置Info
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Abstract
欠陥が少なく、そして視野角特性に優れる液晶表示装置
を提供する。 【解決手段】 面内レターデーションの値が20乃至7
0nmの範囲にあって、かつ厚み方向のレターデーショ
ンの値が70乃至400nmの範囲にあるポリマーフイ
ルムからなり、該ポリマーフイルムの少なくとも一方の
表面の引掻き強度が1g以上である光学補償シートを液
晶表示装置に利用する。
Description
その製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置に関する。
ト(位相差フイルム)としては、ポリカーボネートフイ
ルムや、ポリスルホンフイルム、ポリスチレンフイル
ム、ポリビニルアルコールフイルムなどのようなレター
デーション値が高い合成ポリマーフイルムが広く用いら
れている。それに対してセルロースアセテートフイルム
は、上記ポリマーフイルムと比較して光学的等方性が高
いことが知られており、レターデーション値を高くする
ことは困難であった。従って、光学的等方性が要求され
る用途、例えば偏光板には、セルロースアセテートフイ
ルムを用いることが普通であった。しかし、欧州特許0
911656A2号明細書に、従来の一般的な原則を覆
して、光学的異方性が要求される用途にも使用できる高
いレターデーション値を有するセルロースアセテートフ
イルムが開示されている。このセルロースアセテートフ
イルムを偏光板と液晶セルの間に挿入することにより表
示品位の高い液晶表示装置の得られることが記載されて
いる。
ートに用いられるポリマーフイルムの製造工程におい
て、フイルムに擦り傷が生じる問題があった。また、フ
イルムから擦り傷に由来するゴミが発生して、そのゴミ
がフイルムに付着するなどの問題もあった。そしてこの
ような擦り傷とゴミの発生そして付着を防止するために
ウェブハンドリングがしにくいという問題があった。ま
た、ポリマーフイルムからなる光学補償シートは、通
常、偏光板と貼り合わされた後、液晶表示装置に偏光板
と共に貼り合わされる。このような貼り合わせ工程にお
いても、フイルムロール搬送時に擦り傷が発生したりゴ
ミが付着したりする問題があった。擦り傷や付着したゴ
ミは、液晶表示装置上で欠陥として見えるという問題が
あった。本発明の目的は、擦り傷の発生と、ゴミの発生
や付着が抑えられる光学補償シート、およびそれを用い
た偏光板と液晶表示装置を提供することである。
ートに用いられるポリマーフイルムの表面の引掻き強度
を1g以上とすることで、ポリマーフイルムに生じる擦
り傷を防止し、ゴミの発生や付着が防止できることを見
出した。引掻き強度を1g以上とする方法の詳細につい
ては後述する。本発明の目的は、下記(1)〜(7)の
光学補償シート、下記(8)および(9)の光学補償シ
ートの製造方法、下記(10)の偏光板、下記(11)
〜(13)の液晶表示装置により達成された。 (1)面内レターデーションの値が20乃至70nmの
範囲にあって、かつ厚み方向のレターデーションの値が
70乃至400nmの範囲にあるポリマーフイルムから
なり、該ポリマーフイルムの少なくとも一方の表面の引
掻き強度が1g以上であることを特徴とする光学補償シ
ート。なお、ポリマーフイルムの面内レターデーション
および厚み方向のレターデーションはそれぞれ下記
(I)式および下記(II)式により定義される。 (I)Re=(nx−ny)×d (II)Rth={(nx+ny)/2−nz}×d 式中、nxおよびnyは、透明フイルムの面内屈折率で
あり、nzは、厚み方向の屈折率であり、そしてdは、
透明フイルムの厚さである。そして引掻き強度の値は、
円すい頂角が90度で、先端の直径が0.25mmのサ
ファイア針を用いて光学補償シートの表面を引掻き、引
掻跡が目視で認められた時の加重(g)を意味する。
擦係数が0.40以下であることを特徴とする(1)に
記載の光学補償シート。 (3)ポリマーフイルムの少なくとも一方の面に、表面
抵抗率が1012Ω/□以下である透明導電層が設けら
れ、そして透明導電層を有するポリマーフイルムのヘイ
ズが2.0%以下であることを特徴とする(1)もしく
は(2)に記載の光学補償シート。 (4)ポリマーフイルムが、酢化度が57.0乃至6
1.5%の範囲にあるセルロースアセテートからなるこ
とを特徴とする(1)乃至(3)のうちのいずれかに記
載の光学補償シート。
に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化
合物が0.01乃至20質量部の範囲で含まれているこ
とを特徴とする(4)に記載の光学補償シート。 (6)ポリマーフイルムが、3乃至100%の範囲の倍
率で延伸された延伸物であることを特徴とする(4)に
記載の光学補償シート。 (7)芳香族化合物が、少なくとも一つの1,3,5−
トリアジン環を有することを特徴とする(5)に記載の
光学補償シート。
至70nmの範囲にあって、かつ厚み方向のレターデー
ションの値が70乃至400nmの範囲にあるポリマー
フイルムからなり、該ポリマーフイルムの一方の表面の
引掻き強度が1g以上である光学補償シートを製造する
方法であって、該ポリマーフイルムを共流延法または逐
次流延法により製膜することで、該ポリマーフイルムを
ポリマーからなるポリマー層とその少なくとも一方の面
にポリマーと平均粒子径が1.0μm以下の微粒子を含
む表面層とから構成されるフイルムとして、該表面層が
設けられた側のポリマーフイルムの表面の引掻き強度を
1g以上とする光学補償シートの製造方法。 (9)さらに該ポリマー層に平均粒子径が1.0μm以
下の微粒子が添加され、表面層におけるポリマーに対す
る微粒子の添加量が、ポリマー層におけるポリマーに対
する微粒子の添加量より多いことを特徴とする(8)に
記載の光学補償シートの製造方法。
た二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護
膜の一方が、(1)乃至(7)のうちのいずれかに記載
の光学補償シートであり、さらに光学補償シートの遅相
軸と偏光膜の透過軸とが実質的に平行になるように配置
されていることを特徴とする偏光板。 (11)液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏
光板からなる液晶表示装置であって、液晶セルと少なく
とも一方の偏光板との間に、(1)乃至(7)のうちの
いずれかに記載の光学補償シートが配置されており、さ
らに該光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とが実
質的に平行になるように配置されていることを特徴とす
る液晶表示装置。
れた二枚の偏光板からなり、偏光板のうち少なくとも一
方が、(10)に記載の偏光板であることを特徴とする
液晶表示装置。 (13)液晶セルが、OCBモード、VAモードまたは
TNモードの液晶セルである(11)もしくは(12)
に記載の液晶表示装置。なお、本明細書において、「実
質的に平行」とは、厳密な角度よりも±3゜未満の範囲
内であることを意味する。この範囲は、±2゜未満であ
ることが好ましく、±1゜未満であることがさらに好ま
しい。
るポリマーフイルムの引掻き強度を1g以上とするこ
と、さらに好ましくは透明導電層を設けることで、擦り
傷の発生、およびゴミの発生や付着が防止され、液晶セ
ルを(ゴミに由来する表示欠陥なく)光学的に補償する
ことに成功した。ポリマーフイルム(好ましくはセルロ
ースアセテートフイルム)への添加剤(具体的には、二
つの芳香族環を有する芳香族化合物)の種類と量あるい
は製造条件(例えば、フイルムの延伸条件)を調節する
ことによって、Reレターデーション値が20乃至70
nmの範囲にあり、Rthレターデーション値が70乃至
400nmの範囲にあるポリマーフイルムが得られる。
このポリマーフイルムは、液晶セルを光学的に補償する
ために充分な光学的異方性を有しており、光学補償シー
トとして用いることができる。本発明においては、光学
補償シートに用いられるポリマーフイルムに、1.0μ
m以下の平均粒子径を有する微粒子を添加することで、
ヘイズが2.0%以下であり、かつ表面の動摩擦係数が
0.40以下である、引掻き強度に優れ、ゴミ付着のな
い光学補償シートを得ている。
アセテートフイルムを用いる場合、酢化度が57.0%
未満のセルロースアセテートを使用すると、上記の光学
的異方性を容易に達成できるが、セルロースアセテート
フイルムとしての物性が低下する。本発明では、酢化度
が57.0乃至61.5%であるセルロースアセテート
を使用し、他の手段(上記の添加剤や製造条件の調節)
で上記のレターデーション値を達成することにより、光
学的異方性と物性との双方が優れたセルロースアセテー
トフイルムを得ている。偏光板の保護膜は、一般にセル
ロースアセテートフイルムからなる。上記のポリマーフ
イルム(好ましくはセルロースアセテートフイルム)か
らなる光学補償シートを偏光板の一方の保護膜として用
いると、偏光板の構成要素の数を増加することなく、偏
光板に光学補償機能を追加することができる。上記のポ
リマーフイルム(好ましくはセルロースアセテートフイ
ルム)からなる光学補償シートおよび上記のセルロース
アセテートフイルムを保護膜として用いた偏光板は、V
A(Vertically Aligned)型、OCB(Optically Comp
ensated Bend)、またはTN(Twisted Nematic)型の液
晶表示装置に、特に有利に用いることができる。
ション]フイルムのReレターデーション値およびRth
レターデーション値は、それぞれ、下記式(I)および
(II)で定義される。 (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d 式(I)および(II)において、nxは、フイルム面内
の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であ
る。式(I)および(II)において、nyは、フイルム
面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率
である。式(II)において、nzは、フイルムの厚み方
向の屈折率である。式(I)および(II)において、d
は、単位をnmとするフイルムの厚さである。
ーデーション値を20乃至70nmの範囲に、そしてR
thレターデーション値を70乃至400nmの範囲に調
節する。液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフ
イルムを使用する場合、フイルムのRthレターデーショ
ン値は70乃至250nmであることが好ましい。液晶
表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフイルムを使用
する場合、フイルムのRthレターデーション値は150
乃至400nmであることが好ましい。なお、ポリマー
フイルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00
025乃至0.00088であることが好ましい。ま
た、ポリマーフイルムの厚み方向の複屈折率{(nx+
ny)/2−nz}は、0.00088乃至0.005
であることが好ましい。さらに、面内の遅相軸方向の屈
折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよ
び厚み方向の屈折率nzが、1≦(nx−nz)/(n
x−ny)≦2の関係を満足する位相差板であることが
好ましい。
面内における遅相軸の角度は、ロール状フイルムの幅方
向を基準線(0°)とし、遅相軸と基準線のなす角度で
定義する。時計回りを+とする。遅相軸角度の平均値の
絶対値は3°以下であることが好ましく、2°以下であ
ることがさらに好ましく、1°以下であることが最も好
ましい。遅相軸角度の平均値の方向を遅相軸の平均方向
と定義する。また、遅相軸角度の標準偏差は1.5°以
下であることが好ましく、0.8°以下であることがに
さら好ましく、0.4°以下であることが最も好まし
い。
用いられるポリマーとしては、ポリカーボネートや、ポ
リスルホン、ポリスチレン、ポリビニルアルコールなど
のような合成ポリマーや天然物に由来するセルロース誘
導体が用いられる。その中でも、セルロースエステルが
好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好
ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸
を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテー
ト)、3(セルロースプロピオネート)または4(セル
ロースブチレート)であることが好ましい。セルロース
アセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロ
ピオネートやセルロースアセテートブチレートのような
混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテ
ートの酢化度は、57.0乃至61.5%であることが
好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結
合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817
−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるア
セチル化度の測定および計算に従う。セルロースアセテ
ートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であるこ
とが好ましく、290以上であることがさらに好まし
い。また、本発明に使用するセルロースアセテートは、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/
Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の
分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mn
の値としては、例えばクロロホルム溶液中において、
1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至
1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.
6であることが最も好ましい。
ルム(好ましくはセルロースアセテートフイルム)のレ
ターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香
族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤と
して使用することが好ましい。芳香族化合物は、ポリマ
ー(好ましくはセルロースアセテート)100質量部に
対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用する。芳
香族化合物は、ポリマー100質量部に対して、0.0
5乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、
0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好
ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加え
て、芳香族性ヘテロ環を含む。
ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ
環は、5員環、6員環または7員環であることが好まし
く、5員環または6員環であることがさらに好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原
子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、
オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、
イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フ
ラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピ
リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,
5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベン
ゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサ
ゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾー
ル環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および
1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環およ
び1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族
化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環
を有することが特に好ましい。
乃至20であることが好ましく、2乃至12であること
がより好ましく、2乃至8であることがさらに好まし
く、2乃至6であることが最も好ましい。二つの芳香族
環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)
単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合
する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は
形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれ
でもよい。
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、イン
ドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾ
チオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール
環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベン
ゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメ
ン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キ
ナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジ
ン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、
フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フ
ェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン
環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、ア
ズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベン
ゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリア
ゾール環およびキノリン環が好ましい。(b)の単結合
は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好
ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、
二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環
を形成してもよい。
原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O
−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせである
ことが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下
に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆に
なってもよい。 c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
いてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファ
モイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル
基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族
置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換
スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香
族性複素環基が含まれる。
ることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル
基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボ
キシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有して
いてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例
には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2
−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メト
キシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれ
る。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であること
が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基
の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。
アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセ
ニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至
8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖
状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が
特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有して
いてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブ
チニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪
族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含ま
れる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至
8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例
には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドお
よびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置
換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノ
が含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数
は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カル
バモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチ
ルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル
基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂
肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモ
イルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族
置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であること
が好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウ
レイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペ
リジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション
上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ま
しい。レターデーション上昇剤の例として、特開200
0−111014号および特開2000−275434
号の各明細書に記載の化合物を挙げることができる。
ルムの製造を、ポリマーフイルムとして好ましいセルロ
ースアセテートフイルムを例にして説明する。ソルベン
トキャスト法によりセルロースアセテートフイルムを製
造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポ
リマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフ
イルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3乃至1
2のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素
原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃
至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むこと
が好ましい。ハロゲン化炭化水素は製造環境適性から含
まないことが好ましく、その場合エーテル、ケトン、エ
ステル、またはこれらの有機溶媒を混合した溶媒を含む
ことがより好ましい。エーテル、ケトンおよびエステル
は、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンお
よびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−お
よび−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物
も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、
アルコール性水酸基のような他の官能基を有していても
よい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、そ
の炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規
定範囲内であればよい。
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に
10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器
に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以
上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪
拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好まし
くは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃
至110℃である。
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセル
ロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶
解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果があ
る。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロ
ースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロ
ースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質
量%含まれるように調整することが好ましい。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は
固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ま
しく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12
℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速
いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限で
あり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして1
00℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、
冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷
却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間
で割った値である。
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加
温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始して
から最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値で
ある。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り
返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視によ
り溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒
により異なる。
プ)は、ゴミや不溶解物を除去するため、フイルム製造
前にフィルタを用いてろ過することが好ましい。ろ過に
は濾紙や金属焼結フィルタ等、光学補償シートとして使
用した場合に確認できる異物よりも小さな孔径のフィル
タで溶媒に溶解しない素材でできたフィルタであればい
ずれも好ましく用いることができるが、好ましくはフィ
ルタの保留粒子径は20μm以下、さらに好ましくは1
0μm以下である。フィルタが濾紙の場合は、濾水時間
が20秒以上の濾紙であることが好ましい。
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセ
テートフイルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバ
ンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成す
る。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%とな
るように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたは
バンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法
については、米国特許2336310号、同23676
03号、同2492078号、同2492977号、同
2492978号、同2607704号、同27390
69号、同2739070号、英国特許640731
号、同736892号の各明細書、特公昭45−455
4号、同49−5614号、特開昭60−176834
号、同60−203430号、同62−115035号
の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以
下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好まし
い。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取
り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高
温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以
上の方法は、特公平5−17844号公報に記載があ
る。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を
短縮することが可能である。この方法を実施するために
は、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてド
ープがゲル化することが必要である。
ムの破砕した材を原料として混入し、原料の再利用によ
ってコストダウンをはかることもできる。ろ過されて異
物の減少したフイルムを原料として再利用することによ
り、ろ過フィルターの寿命をのばすこともでき有利であ
る。原料に対する混入率は0〜100質量%のいずれで
も好適におこなえるが、連続行程としては10〜70質
量%の混入がより好ましい。
物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、ポリマーの量の5乃至30質量%であるこ
とが好ましく、5乃至20質量%であることがさらに好
ましく、5乃至15質量%であることが最も好ましい。
化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル
禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加し
てもよい。劣化防止剤については、特開平3−1992
01号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ま
しく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好
ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防
止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%
を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードア
ウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好まし
い劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げる
ことができる。
延伸方向に張力を付与することによる、延伸処理により
レターデーションを調整することができる。延伸倍率
は、3乃至100%であることが好ましい。セルロース
エステルフイルムは、さらに延伸処理により屈折率(面
内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方
向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nz)を調整す
ることが好ましい。固有複屈折率が正であると、ポリマ
ー鎖が配向した方向に屈折率が高くなる。このような固
有複屈折率が正のポリマーを延伸すると、通常、屈折率
は、nx>ny≧nzとなる。これは、面内の方向に配
向したポリマー鎖が、延伸によってx成分が多くなり、
z成分が最も小さくなるためである。これにより、1≦
(nx−nz)/(nx−ny)の関係を満足すること
ができる。さらに、(nx−nz)/(nx−ny)≦
2の関係を満足するためには、一軸延伸の延伸倍率を制
御するか、あるいはアンバランスな二軸延伸を実施して
屈折率を調整すればよい。具体的には、最大の延伸倍率
SAと、その延伸方向に垂直な方向の延伸倍率SBと
が、1<SA/SB≦3の関係を満足するように、一軸
延伸またはアンバランス二軸延伸を実施すればよい。延
伸倍率は、延伸する前の長さを1とする場合の相対的な
値である。SBは、1未満の値となる(言い換えると収
縮する)場合もある。上記式の関係を満足すれば、SB
は1未満の値であってもよい。延伸処理は、同時処理で
あっても、逐次処理であってもよい。
70質量%以下であることが好ましい。含有率が多いと
ハンドリング困難であり、また延伸配向しにくく延伸の
効率が悪化する。一方、含有率が少ないと延伸の際の見
かけ弾性率や、延伸応力が大きくなるため、おおがかり
な設備が必要となり、設備コスト的に不利となる他、延
伸時に切断しやすく、不利である。具体的には、延伸時
の該フイルムの溶媒含有率は、延伸開始時に1質量%以
上70質量%以下、延伸終了時に0.1質量%以上20
質量%以下であることが好ましい。延伸張力は巾あたり
の荷重が1t/m以下であることが好ましい。
乃至140μmであることが好ましく、70乃至120
μmであることがさらに好ましい。
セルロースアセテートフイルム)には、1.0μm以下
の平均粒子径を有する微粒子を添加することが好まし
い。ポリマーフイルムに微粒子が含有する形態に特に制
限はなく、ポリマーフイルム中に微粒子が均一に含まれ
ていても良いしポリマーフイルムが、その少なくとも一
方の面にポリマーと1.0μm以下の平均粒子径を有す
る微粒子を含む表面層を有していても良い。
の動摩擦係数を改善し、引掻き強度を改善する。微粒子
としては、無機化合物を用いることが好ましい。無機化
合物の例には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アル
ミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カ
ルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸
カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムが含ま
れる。二酸化ケイ素、二酸化チタンおよび酸化ジルコニ
ウムが好ましく、二酸化ケイ素が特に好ましい。無機化
合物の微粒子は、表面処理により粒子表面にメチル基を
導入することができる。例えば、酸化ケイ素の微粒子を
ジクロロジメチルシランやビス(トリメチルシリル)ア
ミンで処理すればよい。
いる(例、アエロジルR972TM、R972DTM、R9
74TM、R812TM、日本アエロジル(株)製)。ま
た、酸化ジルコニウムの微粒子にも市販品がある(例、
アエロジルR976TM、R811TM、日本アエロジル
(株)製)。微粒子の平均粒径は、1.0μm以下であ
ることが好ましい。平均粒径は0.1乃至1.0μmで
あることがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmであ
ることが最も好ましい。微粒子は、ポリマー(好ましく
はセルロースアセテート)に対して、0.001乃至
0.3質量%の量で使用することが好ましく、0.00
1乃至0.1質量%の量で使用することがさらに好まし
い。
ルムは、ポリマーフイルムを共流延法または逐次流延法
により製膜することで、該ポリマーフイルムをポリマー
からなるポリマー層とその少なくとも一方の面にポリマ
ーと平均粒子径が1.0μm以下の微粒子を含む表面層
とから構成することで形成することができる。さらにポ
リマー層に平均粒子径が1.0μm以下の微粒子が添加
され、表面層におけるポリマーに対する微粒子の添加量
が、ポリマー層におけるポリマーに対する微粒子の添加
量より多いことが好ましい。また、ポリマーと微粒子を
含む溶液を塗布することにより、微粒子を含む表面層を
設けても良い。流延するための装置としては、共流延法
の場合には、内部合流ダイ、先端合流ダイなどを用いる
ことができ、逐次流延法の場合には、エクストルージョ
ンダイなどを用いることができる。本発明におけるフイ
ルムのヘイズは2.0%以下であることが好ましい。
面層に微粒子が添加されていれば、ポリマー層には微粒
子を添加しなくても構わない。ポリマー層の微粒子の添
加量は、ポリマー(好ましくはセルロースアセテート)
の量に対して0.001乃至0.05質量%の範囲にあ
ることが好ましく、0.001乃至0.01質量%の範
囲にあることがさらに好ましい。表面層の微粒子の添加
量は、ポリマー層の微粒子の添加量よりも多いことが好
ましい。表面層の微粒子の添加量は、ポリマー(好まし
くはセルロースアセテート)の量に対して0.001乃
至0.05質量%の範囲にあることが好ましく、0.0
01乃至0.02質量%の範囲にあることがさらに好ま
しい。ポリマー層と表面層のポリマーの種類は同じであ
っても構わないし、異なっていても構わない。表面層の
厚みは0.2乃至50μmの範囲にあることが好まし
く、0.5乃至20μmの範囲にあることがさらに好ま
しく、0.5乃至5μmの範囲にあることが特に好まし
い。
とも一方の表面の動摩擦係数は、0.40以下であるこ
とが好ましい。動摩擦係数は、0.35以下であること
がより好ましく、0.30以下であることがさらに好ま
しく、0.25以下であることが最も好ましい。動摩擦
係数は、低いほど好ましいが0.10程度が下限値であ
る。動摩擦係数は、JISやASTMが規定する方法に
従い、鋼球を用いて容易に測定できる。
イルムの、少なくとも一方の表面の引掻き強度は1g以
上の値をとる。これによりフイルムを取り扱う際の擦り
傷の発生やゴミの発生などの種々の問題を解決すること
ができる。この引掻き強度の値は大きいほど好ましい
が、100g以下の値であるのが一般的である。引掻き
強度の値は1.5乃至50gの範囲にあることが更に好
ましい。引掻き強度の値は、円すい頂角が90度で、先
端の直径が0.25mmのサファイア針を用いて光学補
償シートの表面を引掻き、引掻跡が目視で認められた時
の加重(g)で評価する。
面活性剤や導電性微粒子分散物などを用いて、透明導電
膜を設けても構わないし、ポリマーフイルム全体または
一部分に導電性が付与されていても構わない。帯電防止
性付与のためには、透明導電膜を設ける方がより好まし
い。透明導電膜は、塗布によって設けても構わないし、
フイルム流延時に共流延することによって設けても構わ
ない。また、スパッタリング、真空蒸着法、イオンプレ
ーティング法などの真空成膜法によって透明導電膜を成
膜しても構わない。フイルムの片面に透明導電膜を設け
ても構わないし、両面に設けても構わない。また、これ
らの方法を併用することも可能である。さらに前述の微
粒子を含む表面層と併用(あるいは兼用)しても構わな
い。前記のポリマー層や表面層に導電性微粒子を添加し
てもよい。微粒子を含む表面層と透明導電膜の積層順序
に特に制限はないが、最表層に微粒子を含む表面層を設
けることが、引掻き強度を付与するために好ましい。本
発明においては、接着剤層または易接着層として透明導
電膜を形成するところに特徴があり、これによってゴミ
が付着しにくく、かつ接着性が良好な光学補償シートを
得ることができる。
性(アニオン、カチオン、ベタイン)いずれも使用でき
る。さらにフッ素系界面活性剤も有機溶媒中での塗布剤
としたり、帯電防止剤として好ましく用いられる。本発
明に用いられる界面活性剤は、界面活性剤の応用(幸書
房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)に記載されてい
る。本発明においては、好ましい界面活性剤はその使用
量において特に限定されず、目的とする界面活性特性が
得られる量であればよい。なお、これらな界面活性剤の
塗設量は、1m2 当り0.02〜1000mgが好まし
く、0.05〜200mgが好ましい。
は、基本的には少なくとも1種以上の金属および、また
は金属酸化物、金属窒化物からなる微粒子を含有する層
を塗布などの方法を用いて形成できる。1種以上の金属
からなる微粒子としては、金、銀、銅、アルミニウム、
鉄、ニッケル、パラジウム、プラチナ等の金属あるいは
これらの合金が挙げられる。特に銀が好ましく、さらに
耐候性の観点からパラジウムと銀の合金が好ましい。パ
ラジウムの含有量としては5〜30質量%が好ましく、
パラジウムが少ないと耐候性が悪く、パラジウムが多く
なると導電性が低下する。金属微粒子の作製方法として
は、低真空蒸発法による微粒子の作製方法や金属塩の水
溶液を鉄(II)、ヒドラジン、ボロンハイドライド、ヒ
ドロキシエチルアミン等のアミン等の還元剤で還元する
金属コロイド作製方法が挙げられる。金属酸化物として
はIn2 O3 系(Snなどドープ品含む)、SnO2 系
(F、Sbなどドープ品含む)、ZnO系(Al、Ga
などのドープ品含む)、TiO2 、Al2 O3 、SiO
2 、MgO、BaO、MoO3 、V2 O5 、またはこれ
らの複合品などが挙げられる。金属窒化物としてはTi
Nなどが挙げられる。
700nmが好ましく、2.0〜300nmが更に好ま
しく、5.0〜100nmが最も好ましい。粒径が大き
すぎると、導電性微粒子による光の吸収が大きくなり、
このために粒子層の光透過率が低下すると同時にヘイズ
が大きくなる。また、これら導電性微粒子の平均粒径が
1nm未満の場合には微粒子の分散が困難になること、
微粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、ゴミの付
着を防止できる程度の低抵抗値を有する被膜を得ること
ができない。
する際にはその表面をフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、
シリコン系樹脂、プロピレン系樹脂、ビニル系樹脂など
の高分子や、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、SnO2
などの無機物でコートすることが好ましい。コートする
膜厚としては10nm以上100μm以下が好ましく、
さらに好ましくは10nm以上50μm以下であり、特
に好ましくは10nm以上10μm以下である。スパッ
タなどの際には基板を冷却することが好ましい。好まし
くは−30℃以上30℃以下であり、さらに好ましくは
−30℃以上20℃以下であり、特に好ましくは−30
℃以上10℃以下である。スパッタ法により酸化インジ
ウムを主として含む膜を成膜する方法としては、インジ
ウムを主成分とする金属ターゲット、または酸化シンジ
ウムを主成分とする焼結体であるターゲットを用いた反
応性スパッタリングを行うことができる。反応の制御
上、後者が好ましい。反応性スパッタリング法において
はスパッタリングガスとしては、アルゴンなどの不活性
ガスを用い、反応性ガスとしては酸素を用いる。放電形
式としてはDCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロ
ンスパッタなどが利用できる。また、酸素の流量を制御
する方法としてはプラズマエミッションモニター法で行
うことが好ましい。
以上であることが好ましく、60%以上であることがさ
らに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、
80%以上であることが最も好ましい。ヘイズは2%以
下が好ましく、1.5%以下が更に好ましく、1.0%
以下が最も好ましい。ヘイズの値は低いほど好ましいが
0.5%以上であるのが一般的である。
フイルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、ポ
リマーフイルムを表面処理することが好ましい。表面処
理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処
理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施
する。酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロース
アセテートに対するケン化処理を実施することが特に好
ましい。
側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護
膜として、上記のポリマーフイルムを用いることができ
る。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフイ
ルムを用いてもよい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二
色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があ
る。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリ
ビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。ポリマ
ーフイルムの遅相軸と偏光膜の透過軸が実質的に平行と
なるように配置することが好ましい。即ち、ポリマーフ
イルムの遅相軸と偏光膜の透過軸のなす角度は3°以下
になるように配置することが好ましく、2°以下になる
ように配置することがさらに好ましく、1°以下になる
ように配置することが最も好ましい。
からなる光学補償シート、または上記のポリマーフイル
ムを用いた偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表
示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液
晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からな
る。偏光板は偏光膜とその両側に配置された二枚の透明
保護膜からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液
晶を担持している。光学補償シートは、液晶セルと一方
の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セル
と双方の偏光板との間に二枚配置する。光学補償シート
の遅相軸とと偏光膜の透過軸とは実質的に平行となるよ
うに配置することが好ましい。偏光板では、液晶セルと
偏光膜との間に配置される透明保護膜として、上記のポ
リマーフイルムを用いる。一方の偏光板の(液晶セルと
偏光膜との間の)透明保護膜のみ上記のポリマーフイル
ムを用いるか、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏
光膜との間の)二枚の透明保護膜に、上記のポリマーフ
イルムを用いる。光学補償シートの遅相軸とと偏光膜の
透過軸とは実質的に平行となるように配置することが好
ましい。液晶セルは、OCBモード、VAモードまたは
TNモードであることが好ましい。
に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VA
モードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無
印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的
に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開
平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野
角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(M
VAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tec
h. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配
向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させる
モード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論
会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)
SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインター
ナショナル98で発表)が含まれる。
子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対
称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用い
た液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同
5410422号の各明細書に開示されている。棒状液
晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向して
いるため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補
償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB
(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれ
る。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速
いとの利点がある。OCBモードの液晶表示装置の場
合、本発明の光学補償シートは、ポリマーフイルム(好
ましくはセルロースアセテートフイルム)上に円盤状化
合物、もしくは棒状液晶化合物を含む光学異方性層を有
していても良い。光学異方性層は、円盤状化合物(もし
くは棒状液晶化合物)を配向させ、その配向状態を固定
することにより形成する。円盤状化合物は、一般に大き
な複屈折率を有する。また、円盤状化合物には、多様な
配向形態がある。従って、円盤状化合物を用いること
で、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない
光学的性質を有する光学補償シートを製造することがで
きる。円盤状化合物を用いた光学補償シートについて
は、特開平6−214116号公報、米国特許5583
679号、同5646703号、西独特許公報3911
620A1号の各明細書に記載がある。
に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60乃
至120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セ
ルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用さ
れており、多数の文献に記載がある。
テートフイルム(光学補償シート)について、エリプソ
メーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、
波長550nmにおけるReレターデーション値および
Rthレターデーション値を測定した。 (引掻き強度)温湿度25℃、60%RH条件下で引掻
き強度を測定した。このうち実用に耐えるものは、引掻
き強度が1gを越えるものである。
ンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解
し、セルロースアセテート溶液を調製した。該溶液を保
留粒子径4μm、濾水時間35秒の濾紙( No.63、アド
バンテック製)を5kg/cm2 以下で用いてろ過し
た。
ーション上昇剤16質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒
径:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド
80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱
しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液(かつ
微粒子分散液)を調製した。セルロースアセテート溶液
474質量部に該レターデーション上昇剤溶液25質量
部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レター
デーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート1
00質量部に対して、3.5質量部、微粒子添加量は同
じく0.0175質量部であった。
流延した。残留溶剤量が15質量%のフイルムを、13
0℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横
延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後
クリップを外してセルロースアセテートフイルムを作製
した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、さら
に乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満としてフイル
ムを作製した。
0.2μmになるように塗布し、115℃で30秒間乾
燥した。なお、下記質量部は固形分質量を示す。
償シート)の厚さは80μmであった。また、ヘイズが
1.2%であった。そしてフイルムの透明導電膜とは反
対側の面の動摩擦係数は0.38であった。作製したセ
ルロースアセテートフイルム(光学補償シート)X−1
について、エリプソメーター(M−150、日本分光
(株)製)を用いて、波長550nmにおけるReレタ
ーデーション値およびRthレターデーション値を測定
し、さらにフイルムの透明導電膜とは反対側の面の引掻
き強度を測定したところ、Re=40nm、Rth=13
0nm、引掻き強度1.5gであった。フイルムの透明
導電膜側の表面抵抗率は0.6×1012Ω/□であっ
た。また、フイルム原料として実施例1で作製したフイ
ルムを50質量%用い、フイルムに含有される各成分を
その質量分減じた他は実施例1と同様にして溶液を調整
し、フイルムを作製したところ、得られたReレターデ
ーション値およびRthレターデーション値、引掻き強
度、表面抵抗率は実施例1と変わりなく同等であった。
74質量部にレターデーション上昇剤溶液56質量部を
混合してドープを調製し(セルロースアセテート100
質量部に対して、レターデーション上昇剤7.8質量部
を使用し)、延伸倍率を14%に変更した以外は、実施
例1と同様にして(透明導電膜を有する)セルロースア
セテートフイルム(光学補償シート)を作製した。作製
した光学補償シートのヘイズは1.2%であり、かつフ
イルムの透明導電膜とは反対側の面の動摩擦係数は0.
38であった。作製したセルロースアセテートフイルム
(光学補償シート)X−2について、光学特性を測定
し、さらにフイルムの透明導電膜とは反対側の面の引掻
き強度を測定したところ、Re=50nm、Rth=24
0nm、引掻き強度1.7gであった。また、フイルム
の透明導電膜側の表面抵抗率は0.7×1012Ω/□で
あった。
に延伸倍率を8%に変更した以外は、実施例2と同様に
してセルロースアセテートフイルムを作製した。セルロ
ースアセテートフイルムの一方の面に、実施例1と同様
に透明導電膜(ゼラチン下塗り層)を塗設した。さら
に、ゼラチン下塗り層の上に下記組成の塗布液を7cc
/m2 塗布乾燥した。このようにしてフイルムに透明導
電膜を塗設した。
厚さは80μmであった。また、ヘイズが1.7%であ
り、かつフイルムの透明導電膜とは反対側の面の動摩擦
係数は0.37であった。フイルムの透明導電膜側の表
面抵抗率は0.8×1012Ω/□であった。作製したセ
ルロースアセテートフイルム(光学補償シート)につい
て、光学特性を測定し、さらに透明導電膜とは反対側の
面の引掻き強度を測定したところ、Re=20nm、R
th=220nm、引掻き強度1.6gであった。このセ
ルロースアセテートフイルムの透明導電膜とは反対側の
面に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコー
ターで28ml/m2 塗布した。60℃の温風で60
秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セ
ルロースアセテートフイルムの遅相軸(波長632.8
nmで測定)と45゜の方向に、形成した膜にラビング
処理を実施した。
の円盤状(ディスコティック)液晶性化合物41.01
g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパント
リアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)
4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB
551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90
g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−
1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開
始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.
35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬
(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケト
ンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーで塗布し
た。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中
で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、1
30℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間U
V照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで
放冷した。このようにして、光学異方性層を形成した。
この光学補償シートをX−6とする。波長546nmで
測定した光学異方性層のReレターデーション値は38
nmであった。また、円盤面と第1透明支持体面との間
の角度(傾斜角)は平均で40゜であった。
を、そのままドープとして使用し、延伸処理を実施しな
かった以外は、実施例1と同様にセルロースアセテート
フイルム(光学補償シート)Y−1を作製した。微粒子
は添加しなかった。評価結果は第1表に示す。
および比較例1で作製した光学補償シートの評価結果を
第1表に示す。
ルフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリ
ビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で作製し
たセルローストリアセテートフイルムX−1を偏光膜の
片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフ
イルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム
(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール
系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光
膜の透過軸と実施例1で作製したセルロースアセテート
フイルムの遅相軸とは平行になるように配置した。偏光
膜の透過軸と市販のセルローストリアセテートフイルム
の遅相軸とは、直交するように配置した。このようにし
て偏光板を作製した。
スアセテートフイルムX−2を用いた以外は、実施例4
と同様にして、偏光板を作製した。
ルフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリ
ビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例3で作製し
た光学異方性層付きセルローストリアセテートフイルム
X−6を偏光膜の片側に貼り付けた。この際、光学異方
性層が偏光膜とは反対の側に来るように配置した。市販
のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD
80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を
行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜
の反対側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と実施例3で作
製したセルロースアセテートフイルムX−3の遅相軸と
は平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と市販の
セルローストリアセテートフイルムの遅相軸とは、直交
するように配置した。このようにして偏光板を作製し
た。
た液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)
に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シ
ートを剥がし、代わりに実施例4で作製した偏光板を、
実施例1で作製したセルロースアセテートフイルムX−
1が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側
およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側
の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト
側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニ
コル配置とした。作製した液晶表示装置について、測定
機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用い
て、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で
視野角を測定した。結果を第2表に示す。
た液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)
に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シ
ートを剥がし、代わりに実施例5で作製した偏光板を、
実施例2で作製したセルロースアセテートフイルムX−
2が液晶セル側となるように粘着剤を介して一枚、観察
者側に貼り付けた。また、バックライト側には、市販の
偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ
製)を一枚貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上
下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が
左右方向になるように、クロスニコル配置とした。作製
した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast1
60D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)か
ら白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結
果を第2表に示す。
た液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)
について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDI
M社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)
までの8段階で視野角を測定した。結果を第2表に示
す。
基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラ
ビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビ
ング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャッ
プを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.13
96の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を
注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。作製したベン
ド配向セルを挟むように、実施例6で作製した楕円偏光
板を二枚貼り付けた。楕円偏光板の光学異方性層がセル
基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面す
る光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように
配置した。液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加し
た。白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモー
ドとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラス
ト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELD
IM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L
8)までの8段階で視野角を測定した。結果を第3表に
示す。
液晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設け
られている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例4で
作製した偏光板を、実施例1で作製したセルロースアセ
テートフイルムX−1が液晶セル側となるように粘着剤
を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼
り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト
側の偏光板の透過軸とは、直交となるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contra
st160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L
1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定し
た。結果を第4表に示す。
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)につい
て、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社
製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)まで
の8段階で視野角を測定した。結果を第4表に示す。
0.9%のセルロースアセテート120質量部、実施例
1のレターデーション上昇剤4質量部、トリフェニルホ
スフェート11.7質量部、ビフェニルジフェニルホス
フェート5.85質量部、メチレンクロリド538.2
質量部、メタノール46.8質量部を混合して溶液(ド
ープA)を調整した。
ロースアセテート120質量部、実施例1のレターデー
ション上昇剤4質量部、実施例1の微粒子0.021質
量部、トリフェニルホスフェート11.7質量部、ビフ
ェニルジフェニルホスフェート5.85質量部、トリベ
ンジルアミン2.0質量部、メチレンクロリド538.
2質量部、メタノール46.8質量部を混合して溶液
(ドープB)を調整した。得られた各ドープを、ドープ
Aを内層(ポリマー層)、ドープBを外層(表面層)と
して、ステンレス製バンド上に内部合流型ダイで共流延
し、内層の両面に外層を設けた。自己支持性を持つまで
フイルムを乾燥した後バンドから剥ぎ取った。その時の
残留揮発分は30質量%であった。その後、130℃で
流延方向と垂直な方向に延伸した。延伸後、そのままの
状態で120℃で30分間乾燥した後、延伸フイルムを
取り出した。延伸後の溶剤残留量は0.1質量%であっ
た。こうして得られたセルロースアセテートフイルム
に、下記組成の塗布液を28cc/m2 塗布乾燥し、
0.1μmのゼラチン層を塗設した。
性共重合体塗布液を7cc/m2 塗布乾燥した。このよ
うにしてフイルムに透明導電膜を塗設した。さらに上記
と反対側の層に下記組成の塗布液を25cc/m2 塗布
乾燥し、バック層を設けた。 ──────────────────────────────────── バック層塗布液組成 ──────────────────────────────────── セルロースジアセテート(酢化度55%) 0.656質量部 シリカ系マット剤(平均粒径1μ) 0.065質量部 アセトン 67.9質量部 メタノール 10.4質量部 ────────────────────────────────────
体の厚みは、80μmであり、内層の厚みは70μm、
外層の厚みはそれぞれ5μmであった。また、光学特性
を測定し、さらにフイルムの透明導電膜とは反対側の表
面の引掻き強度等測定したところ、Re=20nm、R
th=120nm、引掻き強度1.9gであった。また得
られたフイルムのヘイズは1.9%であり、かつフイル
ムの透明導電膜とは反対側の表面の動摩擦係数は0.3
4であった。そして、フイルムの透明導電膜側の表面抵
抗率は0.5×1012Ω/□であった。得られたフイル
ムを光学補償シートとする以外は、実施例4、8と同様
にして偏光板、液晶表示装置を作製したところ、実施例
4,8と同様の良好な視野角特性が得られた。また、実
施例7〜11で作製した液晶表示装置を作製する際には
擦り傷の発生と、ゴミの発生や付着が防止された。ま
た、作製した液晶表示装置の表示画面において目視で観
察できるゴミに由来する欠陥は無かった。
Claims (13)
- 【請求項1】 面内レターデーションの値が20乃至7
0nmの範囲にあって、かつ厚み方向のレターデーショ
ンの値が70乃至400nmの範囲にあるポリマーフイ
ルムからなり、該ポリマーフイルムの少なくとも一方の
表面の引掻き強度が1g以上であることを特徴とする光
学補償シート。 - 【請求項2】 ポリマーフイルムの当該表面の動摩擦係
数が0.40以下であることを特徴とする請求項1に記
載の光学補償シート。 - 【請求項3】 ポリマーフイルムの少なくとも一方の面
に、表面抵抗率が1012Ω/□以下である透明導電層が
設けられ、そして透明導電層を有するポリマーフイルム
のヘイズが2.0%以下であることを特徴とする請求項
1もしくは2に記載の光学補償シート。 - 【請求項4】 ポリマーフイルムが、酢化度が57.0
乃至61.5%の範囲にあるセルロースアセテートから
なることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか
の項に記載の光学補償シート。 - 【請求項5】 セルロースアセテート100質量部に対
して、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物
が0.01乃至20質量部の範囲で含まれていることを
特徴とする請求項4に記載の光学補償シート。 - 【請求項6】 ポリマーフイルムが、3乃至100%の
範囲の倍率で延伸された延伸物であることを特徴とする
請求項4に記載の光学補償シート。 - 【請求項7】 芳香族化合物が、少なくとも一つの1,
3,5−トリアジン環を有することを特徴とする請求項
5に記載の光学補償シート。 - 【請求項8】 面内レターデーションの値が20乃至7
0nmの範囲にあって、かつ厚み方向のレターデーショ
ンの値が70乃至400nmの範囲にあるポリマーフイ
ルムからなり、該ポリマーフイルムの一方の表面の引掻
き強度が1g以上である光学補償シートを製造する方法
であって、該ポリマーフイルムを共流延法または逐次流
延法により製膜することで、該ポリマーフイルムをポリ
マーからなるポリマー層とその少なくとも一方の面にポ
リマーと平均粒子径が1.0μm以下の微粒子を含む表
面層とから構成されるフイルムとして、該表面層が設け
られた側のポリマーフイルムの表面の引掻き強度を1g
以上とする光学補償シートの製造方法。 - 【請求項9】 さらに該ポリマー層に平均粒子径が1.
0μm以下の微粒子が添加され、表面層におけるポリマ
ーに対する微粒子の添加量が、ポリマー層におけるポリ
マーに対する微粒子の添加量より多いことを特徴とする
請求項8に記載の光学補償シートの製造方法。 - 【請求項10】 偏光膜およびその両側に配置された二
枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の
一方が、請求項1乃至7のうちのいずれかの項に記載の
光学補償シートであり、さらに光学補償シートの遅相軸
と偏光膜の透過軸とが実質的に平行になるように配置さ
れていることを特徴とする偏光板。 - 【請求項11】 液晶セルおよびその両側に配置された
二枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、液晶セル
と少なくとも一方の偏光板との間に、請求項1乃至7の
うちのいずれかの項に記載の光学補償シートが配置され
ており、さらに該光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透
過軸とが実質的に平行になるように配置されていること
を特徴とする液晶表示装置。 - 【請求項12】 液晶セルおよびその両側に配置された
二枚の偏光板からなり、偏光板のうち少なくとも一方
が、請求項10に記載の偏光板であることを特徴とする
液晶表示装置。 - 【請求項13】 液晶セルが、OCBモード、VAモー
ドまたはTNモードの液晶セルである請求項11もしく
は12に記載の液晶表示装置。
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