JP2002273898A - インクジェット式記録装置およびそのインク供給方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な印刷を実現することができるととも
に、サブタンク全体の小型化を図ることができるインク
ジェット式記録装置およびそのインク供給方法を提供す
ること。 【解決手段】 印刷データに対応してインク滴を吐出す
る記録ヘッド６と、この記録ヘッド６にインクを供給す
るためのメインタンクと、このメインタンクおよび記録
ヘッド６に接続されそれぞれが互いに連通する上下二つ
のタンク７Ａ，７Ｂを有するサブタンク７とを備え、こ
のサブタンク７の上方タンク７Ａが記録ヘッド６にイン
クを導出するインク導出口３３を有するインクタンクに
よって形成され、下方タンク７Ｂがメインタンク９から
インクをポンプ圧によって導入するインク導入口３９を
有し内部圧力の変化に応じて弾性変形するインクタンク
によって形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドにイン
クを供給するための主副二つのインクタンク（メインタ
ンクおよびサブタンク）を備えたインクジェット式記録
装置およびそのインク供給方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット式記録装置は、一般にキ
ャリッジ上に搭載されて記録用紙の幅方向に移動する記
録ヘッドと、この記録ヘッドの移動方向と直交する方向
に記録用紙を相対的に移動させる紙送り手段とを備えて
いる。このようなインクジェット式記録装置において、
記録用紙に対する印刷は、印刷データに基づいて記録ヘ
ッドよりインク滴を吐出させることにより行われる。そ
して、キャリッジ上に例えばブラック，イエロー，シア
ンおよびマゼンタの各インクを吐出可能な記録ヘッドを
搭載し、ブラックインクによるテキスト印刷ばかりでな
く、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラ
ー印刷を可能としている。

【０００３】このため、記録ヘッドに各インクを供給す
るインクカートリッジが装置本体内に配設されている。
通常のインクジェット式記録装置にあっては、前記ブラ
ック，イエロー，シアンおよびマゼンタのインクが貯留
された各インクカートリッジがキャリッジ上に載置さ
れ、キャリッジと共に移動する。一方、例えばオフィス
向けまたは業務用に提供されるこの種の記録装置におい
ては、比較的大量の印刷に対応させるために、前記した
各インクが貯留された大容量のインクカートリッジがキ
ャリッジ上には配置されず、装置本体側に配置されてい
る。

【０００４】また、装置本体側（カートリッジホルダ）
にインクカートリッジとしてのメインタンクを配置する
とともに、記録ヘッドが搭載されたキャリッジ上にサブ
タンクを配置する形式の記録装置も提供されている。そ
して、各メインタンクから各サブタンクに対してインク
供給チューブを介してそれぞれインクを補給し、さらに
各サブタンクからそれぞれ記録ヘッドに対してインクを
供給するように構成されている。

【０００５】このような記録装置においては、スループ
ットを向上させるために、印刷を実行しながら、各メイ
ンタンクから各サブタンクに対して逐次インクを補給
し、各サブタンクからそれぞれ記録ヘッドに対してイン
クを安定して供給するような機能が求められる。

【０００６】このような機能を充足させるための手段と
しては、例えばメインタンクにおけるインクパックを空
気で加圧することにより、メインタンクからサブタンク
に対してインク流を発生させて、サブタンクに対してイ
ンクの補給を可能にする構成が好適に採用される。加え
て、キャリッジ上に搭載された各サブタンクにおいて
は、記録ヘッドにおけるインクの消費に応じて、メイン
タンクからのインクの受け入れ量が調整できるような構
成を採用することにより、各サブタンクにおいては常に
ほぼ一定量のインクを貯留することが可能となる。

【０００７】ところで、最近の記録装置においては、記
録速度の向上を図る目的から、キャリッジの移動を高速
で行うようになってきている。このような記録装置にお
いては、キャリッジの加減速に伴うインク供給チューブ
の伸張・屈曲によってその内部インクに圧力変動が生じ
てしまい、記録ヘッドからのインク滴の吐出を不安定に
する。このため、サブタンクを大気中に開放させ、この
開放口から前記した変動圧力を逃がし、サブタンク内に
貯留されたインクをその水頭差によって記録ヘッドに供
給する開放型のインク供給方式が採用される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、インク供給方
式が開放型であることは、次に示すような問題を抱えて
いる。すなわち、サブタンクが大気中に開放するため、
インク供給時にサブタンク内でインクに気泡が含まれて
しまい、記録ヘッドに供給されるインクの脱気度を保証
することができず、良好な印刷を実現することができな
いという問題である。また、サブタンクから記録ヘッド
へのインクの供給がサブタンク内におけるインクの水頭
差によって行われているため、サブタンクの高さ寸法を
十分に確保する必要が生じ、サブタンク全体が大型化す
るという問題もある。

【０００９】本発明は、このような技術的な課題を解決
するためになされたものであり、良好な印刷を実現する
ことができるとともに、サブタンク全体の小型化を図る
ことができるインクジェット式記録装置およびそのイン
ク供給方法を提供することを目的とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記した目的を達成する
ためになされた本発明に係るインクジェット式記録装置
は、往復可能なキャリッジと、このキャリッジに装着さ
れ印刷データに対応してインク滴を吐出する記録ヘッド
と、この記録ヘッドにインクを供給するためのメインタ
ンクと、このメインタンクおよび前記記録ヘッドに接続
されかつ前記キャリッジに装着されそれぞれが互いに連
通する上下二つのタンクを有するサブタンクとを備え、
このサブタンクの上方タンクが前記記録ヘッドにインク
を導出するインク導出口を有するインクタンクによって
形成され、下方タンクが前記メインタンクからインクを
導入するインク導入口を有し内部圧力の変化に応じて弾
性変形するインクタンクによって形成されていることを
特徴とする。

【００１１】このように構成されているため、インク供
給時にメインタンク内のインクがポンプ圧によってサブ
タンクの下方タンク内に流動し、さらにこの下方タンク
から上方タンクに流動した後、この上方タンクから記録
ヘッドに供給される。この際、下方タンク内（メインタ
ンクとサブタンクとを接続するインク供給チューブ内の
インク）に圧力変動が生じると、内部圧力（容積）の変
化に応じて下方タンクが弾性変形し、この圧力（容積）
変化が吸収される。

【００１２】したがって、密閉型のインク供給方式によ
ってメインタンクからのインクを記録ヘッドに供給する
ことができるため、従来のようにインク供給時にサブタ
ンク内でインクに気泡が含まれず、インクの脱気度を保
証して良好な印刷を実現することができる。また、サブ
タンクから記録ヘッドへのインクの供給が記録ヘッド側
で発生する負圧によって行うことができるため、サブタ
ンクの高さ寸法を短縮することができ、サブタンク全体
の小型化を図ることもできる。

【００１３】この場合、前記下方タンクにおけるタンク
壁の一部が、弾性膜からなることが望ましい。このよう
に構成されているため、下方タンク内に圧力変動が生じ
ると、タンク壁の一部が下方タンク内の圧力変化に応じ
て弾性変形する。

【００１４】そして、前記弾性膜が、柔軟性，耐インク
性および水分・ガス非透過性を有する材料によって形成
されている構成とされる。このように構成されているた
め、水分およびガスが透過せず、かつ柔軟性および耐イ
ンク性にすぐれた弾性膜をもつサブタンクを得ることが
できる。

【００１５】また、前記上方タンク内に、前記記録ヘッ
ド側において負圧を発生させることにより開放する逆止
弁が配置されていることが望ましい。このように構成さ
れているため、記録ヘッド側において負圧を発生させて
逆止弁を開弁状態とし、メインタンクから記録ヘッドへ
のインクの供給がサブタンクを介して可能となる。

【００１６】そして、前記サブタンク内のインク量をそ
の弾性変形量によって検出するインク量検出手段を有す
ることが望ましい。このように構成されているため、イ
ンク量検出手段によってサブタンクの弾性変形量を検出
し、サブタンク内のインク量が管理される。

【００１７】一方、本発明に係るインクジェット式記録
装置のインク供給方法は、往復可能なキャリッジと、こ
のキャリッジに装着され印刷データに対応してインク滴
を吐出する記録ヘッドと、この記録ヘッドにポンプ圧に
よってインクを供給するためのメインタンクと、このメ
インタンクおよび前記記録ヘッドに接続されかつ前記キ
ャリッジに装着されそれぞれが互いに連通する上下二つ
のタンクを有するサブタンクとを備え、このサブタンク
を介して前記記録ヘッドに前記メインタンクからインク
を供給する方法であって、前記メインタンクから前記記
録ヘッドにインクを供給するにあたり、前記下方タンク
を内部圧力の変化に応じて弾性変形させることを特徴と
する。

【００１８】このような方法であるため、密閉型のイン
ク供給方式によってメインタンクからのインクを記録ヘ
ッドに供給することができるため、従来のようにインク
供給時にサブタンク内でインクに気泡が含まれず、イン
クの脱気度を保証して良好な印刷を実現するインクジェ
ット式記録装置を得ることができる。また、サブタンク
から記録ヘッドへのインクの供給が記録ヘッド側での発
生する負圧によって行うことができるため、サブタンク
の高さ寸法を短縮することができ、サブタンク全体の小
型化が図れるインクジェット式記録装置を得ることもで
きる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明が適用されたインク
ジェット式記録装置およびそのインク供給方法につき、
図に示す実施の形態に基づいて説明する。先ず、インク
ジェット式記録装置につき、図１を用いて説明する。図
１は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装
置の基本構成を示す平面図である。図中符号１で示すキ
ャリッジは、キャリッジモータ２によって駆動されるタ
イミングベルト３に装着されている。そして、ガイド部
材４に案内されて紙送り部材５の長手方向、すなわち記
録用紙の幅方向である主走査方向に往復移動されるよう
に構成されている。また、このキャリッジ１の下面部に
は、図１には示されていないが、インクジェット式の記
録ヘッド６（図２に図示）が前記紙送り部材５に対向し
て装着されている。

【００２０】さらに、前記キャリッジ１には、前記記録
ヘッド６にメインタンク（後述）からのインクを供給す
るためのサブタンク７ａ〜７ｄが搭載されている。これ
らサブタンク７ａ〜７ｄは、その内部において各インク
を一時的に貯留するために、ブラック，イエロー，マゼ
ンタおよびシアンの各インクに対応して四個具備されて
いる。そして、装置本体に配置されたカートリッジホル
ダ８に装填されたインクカートリッジとしてのメインタ
ンク９ａ〜９ｄから、可撓性材料からなるインク供給チ
ューブ１０，１０，…を介して各インクが供給されるよ
うに構成されている。

【００２１】なお、前記したインクカートリッジとして
の各メインタンク９ａ〜９ｄは、その外郭形状が偏平状
に形成されている。そして、前記カートリッジホルダ８
において、偏平状の面がそれぞれ鉛直面に対向するよう
に、いわゆる縦置き状態で配置されている。

【００２２】一方、前記キャリッジ１の移動経路上にお
ける非印字領域（ホームポジション）には、前記記録ヘ
ッド６のノズル形成面を封止することができるキャッピ
ング手段１１が配置されている。このキャッピング手段
１１の上面部には、前記記録ヘッド６のノズル形成面を
封止し得るゴム等の可撓性素材により形成されたキャッ
プ部材１１ａが配置されている。そして、前記キャリッ
ジ１がホームポジションに移動したときに、前記キャッ
プ部材１１ａによって前記記録ヘッド６のノズル形成面
を封止し得るように構成されている。

【００２３】このキャップ部材１１ａは、記録装置の休
止期間中において前記記録ヘッド６のノズル形成面を封
止し、ノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能す
る。また、このキャップ部材１１ａには、図には示され
ていないが、吸引ポンプ（チューブポンプ）におけるチ
ューブの一端が接続され、吸引ポンプによる負圧を前記
記録ヘッド６に作用させて、この記録ヘッド６からイン
クを吸引排出させるクリーニング動作が実行されるよう
に構成されている。そして、前記キャッピング手段１１
の印字領域側に隣接してゴムなどの弾性素材によるワイ
ピング部材１２が配置され、必要に応じて記録ヘッド６
のノズル形成面を払拭して清掃し得るように構成されて
いる。

【００２４】次に、このように構成された記録装置のイ
ンク供給システムにつき、図１および図２を用いて説明
する。図２は図１の記録装置におけるインク供給システ
ムの構成を模式的に示す断面図で、同図において図１と
同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は
省略する。図２において、符号２１は空気加圧ポンプを
示す。この空気加圧ポンプ２１により加圧された空気
は、圧力調整弁２２に供給され、さらに圧力検出器２３
を介して前記した各メインタンク９ａ〜９ｄ（図２にお
いては代表して符号９で示す。）にそれぞれ供給される
ように構成されている。

【００２５】なお、前記圧力調整弁２２は、空気加圧ポ
ンプ２１によって加圧された空気圧が所定以上に達した
時に、閉弁状態として各メインタンク９ａ〜９ｄに加わ
る空気圧を所定の範囲に維持させる機能を有している。

【００２６】また、前記圧力検出器２３は、空気加圧ポ
ンプ２１によって加圧された空気圧を検知し、空気加圧
ポンプ２１の駆動を制御するように機能する。すなわ
ち、空気加圧ポンプ２１によって加圧された空気圧が所
定の圧力に達したことを検出した場合には、空気加圧ポ
ンプ２１の駆動を停止させる。また、圧力検出器２３に
よって空気圧が定められた圧力以下となったことを検出
した場合には、空気加圧ポンプ２１を駆動させる。した
がって、この繰り返しによって前記した各メインタンク
９ａ〜９ｄに加わる空気圧は所定の範囲に維持される。

【００２７】前記メインタンク９（インクカートリッ
ジ）の外郭ケース内には、図２に示すように、インクを
封入した可撓性素材により形成されたインクパック２４
が収納されている。そして、メインタンク９とインクパ
ック２４とで形成される空間が圧力室２５を構成してお
り、この圧力室２５内に前記圧力調整弁２２，圧力検出
器２３を介した空気加圧ポンプ２１からの加圧空気が供
給されるように構成されている。

【００２８】この構成により、前記各メインタンク９ａ
〜９ｄ内に収納された各インクパック２４は、それぞれ
加圧空気による圧力を受け、各メインタンク９ａ〜９ｄ
から各サブタンク７ａ〜７ｄに対して所定の圧力による
インク流が発生するようになされる。

【００２９】なお、前記各メインタンク９ａ〜９ｄにお
いて加圧されたインクは、各インク補給バルブ２６，２
６，…および各インク供給チューブ１０，１０，…を介
して、キャリッジ１に搭載された各サブタンク７ａ〜７
ｄ（図２においては代表して符号７で示す。）に供給さ
れる。

【００３０】次に、本発明の要部であるサブタンクにつ
き、図１乃至図４を用いて説明する。図３（ａ）〜
（ｄ）は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記
録装置のサブタンクを示す左側面図，正面図，断面図お
よび右側面図である。図４（ａ）〜（ｃ）は、図３に示
すサブタンク内のインク量を検出するインク量検出手段
の動作を説明するために示す平面図である。図１乃至図
４に示す前記サブタンク７は、それぞれが互いに連通す
る上下二つのタンク７Ａ，７Ｂを有し、前記メインタン
ク９にインク供給チューブ１０を介して接続されてい
る。

【００３１】前記タンク７Ａは、右側方に開放する円形
窓３１ａを有する箱状のタンク本体３１およびこのタン
ク本体３１の円形窓口３１ａを閉塞する平面円形状のタ
ンク壁３２からなり、前記記録ヘッド６の上方位置に配
置されている。この上方タンク７Ａには、前記記録ヘッ
ド６にインクを導出するインク導出口３３およびこのイ
ンク導出口３３に連通する円柱状のインク室３４が設け
られている。また、タンク７Ａには、前記インク導出口
３３の下方に位置し、かつ前記インク室３４に連通する
流通口３５が設けられている。そして、前記タンク７Ａ
内には、前記インク室３４内に突出する弁座５０を有
し、前記記録ヘッド６側において負圧を発生させること
により開弁状態とする逆止弁３６が配置されている。

【００３２】なお、前記逆止弁３６は、通孔５１ａを中
心部に有する平面円形状の弁体５１（薄膜）およびこの
弁体５１に前記通孔５１ａを閉塞するような方向に弾撥
力を常時付与する圧縮コイルスプリング５２を備えてい
る。そして、記録ヘッド６からのインクの吐出時に弁体
５１が圧縮コイルスプリング５２の弾撥力に抗して通孔
５１ａを開放する（弁座５０から離間する）方向に移動
し得るように構成されている。また、前記タンク壁３２
は、耐インク性および水分・ガス非透過性を有する平面
円形状の剛性膜によって形成されている。

【００３３】一方、前記タンク７Ｂは、前記円形窓３１
ａと同様に右側方に開放する円形窓３７ａを有する箱状
のタンク本体３７およびこのタンク本体３７の円形窓３
７ａを閉塞する平面円形状のタンク壁３８からなり、前
記タンク７Ａの下方に配置されている。この下方タンク
７Ｂには、前記メインタンク９から前記インク供給チュ
ーブ１０を介してインクを導入するインク導入口３９お
よびこのインク導入口３９に連通する円柱状のインク室
４０（所定量のインクが貯留）が設けられている。ま
た、タンク７Ｂには、前記インク導入口３９の上方に位
置し、かつインク室４０に連通する流通口４１が設けら
れている。なお、前記インク室４０内には、インク中の
塵埃等を捕捉するフィルタ（図示せず）が前記流通口４
１を閉塞するように配置されている。

【００３４】前記両タンク７Ａ，７Ｂにおける左側端面
の幅方向中央部には、前記両流通口３５，４１に連通
し、かつ鉛直方向に延在する第一インク流路４２が設け
られている。また、前記両タンク７Ａ，７Ｂには、前記
インク導出口３３および前記記録ヘッド６に連通し、水
平・鉛直方向に延在する第二インク流路４３が設けられ
ている。なお、前記両インク流路４２，４３は、その流
路壁の一部が透明プラスチックフィルム４２ａ，４３ａ
によって形成されている。

【００３５】前記タンク壁３８は、柔軟性，耐インク性
およびガス・水分非透過性を有し、前記インク室４０に
おける内部圧力の変化によって弾性変形する平面円形状
の薄膜によって形成されている。そして、前記インク供
給チューブ１０内のインクに圧力変動があると、前記タ
ンク７Ｂ内の圧力（容積）変化によってタンク壁３８が
弾性変形し、この圧力（容積）変化を吸収するように構
成されている。

【００３６】また、前記タンク７Ｂにおける右側端面前
方端部には、前記タンク壁３８の円中心を通って水平方
向に延在する検出片４４が弾性保持されている。この検
出片４４には、図４（ａ）〜（ｃ）に示すように、前記
サブタンク７の外側でマグネット４５を保持するマグネ
ット保持部４４ａおよび前記タンク壁３８の中心部に接
着する変形量伝達部４４ｂが設けられている。そして、
前記タンク７Ｂにおける左側端面後方端部には、前記マ
グネット４５に対応するホール素子等の磁電変換素子４
６が素子取付片４７を介して配置されている。

【００３７】これにより、タンク壁３８の弾性変形量に
したがったマグネット４５による磁力線量に応じて、磁
電変換素子４６により電気的出力を発生するインク量検
出手段を構成している。したがって、サブタンク７内の
インク量が少なくなった場合には、図４（ａ）に示すよ
うにタンク壁３８が下方タンク７Ｂの内側に弾性変形
し、これに伴い検出片４４が同図（ｂ）に示す位置から
同図（ａ）に示すように弾性変形し、マグネット４５が
磁電変換素子４６に近づく。一方、サブタンク７内のイ
ンク量が多くなった場合には、図４（ｃ）に示すように
タンク壁３８が下方タンク７Ｂの外側に弾性変形し、こ
れに伴い検出片４４が同図（ｂ）に示す位置から同図
（ｃ）に示すように弾性変形し、マグネット４５が磁電
変換素子４６から遠ざかる。このため、マグネット４５
の移動による磁電変換素子４６の電気的出力は、サブタ
ンク７内のインク量として検出することができる。

【００３８】次に、本実施形態におけるインクジェット
式記録装置のインク供給方法（メインタンクから記録ヘ
ッドへのインク供給）につき、図２および図５（ａ），
（ｂ）を用いて説明する。図５（ａ）および（ｂ）は、
本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置にお
けるサブタンクの動作を説明するために示す断面図であ
る。先ず、図２において、メインタンク９内のインクパ
ック２４が空気加圧ポンプ２１によって加圧されると、
インクパック２４内のインクがインク供給チューブ１０
を通過してサブタンク７における下方タンク７Ｂ（イン
ク室４０）内にインク導入口３９から流入する。

【００３９】この場合、インク供給チューブ１０内のイ
ンクに圧力変動があると、この変動圧力に応じてタンク
壁３８が弾性変形し、下方タンク７Ｂの容積が変化す
る。すなわち、インクの圧力変動が大きいと、図５
（ａ）に示すように、タンク壁３８がインク室４０の内
部容積（圧力）を大きくする側（外側）に弾性変形し、
この容積（圧力）変化が吸収される。一方、インクの圧
力変動が小さいと、図５（ｂ）に示すように、タンク壁
３８がインク室４０の内部容積を小さくする側（内側）
に弾性変形し、この容積変化が吸収される。これによ
り、インク供給チューブ１０内のインクに生じた圧力変
動が記録ヘッド６からのインク滴の吐出に影響を与える
ことがない。

【００４０】次に、記録ヘッド６内にメニスカスを形成
するために負圧を発生させると、逆止弁３６が開弁状態
となり、インク室４０内のインクが流通口４１から第一
インク流路４２内に流動し、この第一インク流路４２内
のインクが流通口３５から上方タンク７Ａのインク室３
４内に流入する。そして、インク室３４内のインクが通
孔５１ａを通過してインク導出口３３から第二インク流
路４３内に流動し、この第二インク流路４３から記録ヘ
ッド６に流入する。このようにして、メインタンク９か
らインク供給チューブ１０およびサブタンク７を介して
記録ヘッド６にインクが供給される。

【００４１】したがって、本実施形態においては、密閉
型のインク供給方式によってインクを記録ヘッド６に供
給することができるため、従来のようにインク供給時に
サブタンク７内でインクに気泡が含まれず、インクの脱
気度を保証して良好な印刷を実現することができる。ま
た、本実施形態においては、サブタンク７から記録ヘッ
ド６へのインクの供給が記録ヘッド側で発生する負圧に
よって行うことができるため、サブタンク７の高さ寸法
を短縮することができ、サブタンク全体の小型化を図る
ことができる。

【００４２】この他、本実施形態において、メインタン
ク９からのインクがポンプ圧によってサブタンク７に供
給され、かつサブタンク７からのインクが記録ヘッド６
に直接（チューブを介さず）供給される構造としたこと
は、メインタンク９に対する記録ヘッド６の高さ位置を
厳密に考慮する必要がないため、部品配置上の自由度を
高めることができる。また、本実施形態において、記録
ヘッド６の高さ位置を厳密に考慮する必要がないこと
は、チューブ（インク供給チューブ）引き回しの制約が
少なくなるため、チューブ外形寸法（長さ寸法および径
寸法）設定上の自由度を高めることもできる。また、本
実施形態においては、インク量の検出がホール素子を用
いて行われる場合について説明したが、本発明はこれに
限定されず、位置（距離）センサ等を用いても行われ得
る。

【００４３】なお、本実施形態においては、メインタン
ク９からサブタンク７へのインクの供給がインク供給チ
ューブ１０外の空気加圧ポンプ２１によって行われる場
合について説明したが、本発明はこれに限定されず、イ
ンク供給チューブ１０の途中部に配置されるポンプ（図
示せず）によって行われるものでもよい。

【００４４】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
係るインクジェット式記録装置およびそのインク供給方
法によると、良好な印刷を実現することができるととも
に、サブタンク全体の小型化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係るインクジェット式記録
装置の基本構成を示す平面図である。

【図２】図１に示す記録装置におけるインクカートリッ
ジから記録ヘッドに至るインク供給システムを示す模式
図である。

【図３】（ａ）〜（ｄ）は、本発明の実施形態に係るイ
ンクジェット式記録装置のサブタンクを示す左側面図，
正面図，断面図および右側面図である。

【図４】（ａ）〜（ｃ）は、図３に示すサブタンク内の
インク量を検出するインク量検出手段の動作を説明する
ために示す平面図である。

【図５】（ａ）および（ｂ）は、本発明の実施形態に係
るインクジェット式記録装置におけるサブタンクの動作
を説明するために示す断面図である。

【符号の説明】

１ キャリッジ ２ キャリッジモータ ３ タイミングベルト ４ ガイド部材 ５ 紙送り部材 ６ 記録ヘッド ７（７ａ，７ｂ，７ｃ，７ｄ） サブタンク ７Ａ 上方タンク ７Ｂ 下方タンク ８ カートリッジホルダ ９（９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ） メインタンク（インク
カートリッジ） １０ インク供給チューブ ２１ 空気加圧ポンプ ２２ 圧力調整弁 ２３ 圧力検出器 ２４ インクパック ２５ 圧力室 ２６ インク補給バルブ ３１ タンク本体 ３１ａ 円形窓 ３２ タンク壁 ３３ インク導出口 ３４ インク室 ３５ 流通口 ３６ 逆止弁 ３７ インク本体 ３７ａ 円形窓 ３８ タンク壁 ３９ インク導入口 ４０ インク室 ４１ 流通口 ４２ 第一インク流路 ４３ 第二インク流路 ４４ 検出片 ４４ａ マグネット保持部 ４４ｂ 変形量伝達部 ４５ マグネット ４６ 磁電変換素子 ４７ 素子取付片 ５１ 弁体 ５１ａ 通孔 ５２ 圧縮コイルスプリング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2C056 EA15 EA23 EB17 EB21 EB34 EB53 EC18 EC32 EC64 FA10 KA08 KB05 KB09 KB27 KB35 KB37 KC14 KC24

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 往復可能なキャリッジと、 このキャリッジに装着され、印刷データに対応してイン
   ク滴を吐出する記録ヘッドと、 この記録ヘッドにインクを供給するためのメインタンク
   と、 このメインタンクおよび前記記録ヘッドに接続され、か
   つ前記キャリッジに装着され、それぞれが互いに連通す
   る上下二つのタンクを有するサブタンクとを備え、 このサブタンクの上方タンクを、前記記録ヘッドにイン
   クを導出するインク導出口を有するインクタンクによっ
   て形成し、 下方タンクを、前記メインタンクからのインクをポンプ
   圧によって導入するインク導入口を有し、内部圧力の変
   化に応じて弾性変形するインクタンクによって形成した
   ことを特徴とするインクジェット式記録装置。
2. 【請求項２】 前記下方タンクにおけるタンク壁の一部
   が、弾性膜からなることを特徴とする請求項１に記載さ
   れたインクジェット式記録装置。
3. 【請求項３】 前記弾性膜が、柔軟性，耐インク性およ
   び水分・ガス非透過性を有する材料によって形成されて
   いることを特徴とする請求項２に記載されたインクジェ
   ット式記録装置。
4. 【請求項４】 前記上方タンク内に、前記記録ヘッド側
   において負圧を発生させることにより開放する逆止弁が
   配置されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３
   のいずれかに記載されたインクジェット式記録装置。
5. 【請求項５】 前記サブタンク内のインク量をその弾性
   変形量によって検出するインク量検出手段を有すること
   を特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載さ
   れたインクジェット式記録装置。
6. 【請求項６】 往復可能なキャリッジと、 このキャリッジに装着され、印刷データに対応してイン
   ク滴を吐出する記録ヘッドと、 この記録ヘッドにインクを供給するためのメインタンク
   と、 このメインタンクおよび前記記録ヘッドに接続され、か
   つ前記キャリッジに装着され、それぞれが互いに連通す
   る上下二つのタンクを有するサブタンクとを備え、 このサブタンクを介して前記記録ヘッドに前記メインタ
   ンクからインクを供給する方法であって、 前記メインタンクから前記記録ヘッドにインクを供給す
   るにあたり、前記下方タンクを内部圧力の変化に応じて
   弾性変形させることを特徴とするインクジェット式記録
   装置のインク供給方法。