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JP2002103836A - 平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷方法

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Publication number
JP2002103836A
JP2002103836A JP2000303680A JP2000303680A JP2002103836A JP 2002103836 A JP2002103836 A JP 2002103836A JP 2000303680 A JP2000303680 A JP 2000303680A JP 2000303680 A JP2000303680 A JP 2000303680A JP 2002103836 A JP2002103836 A JP 2002103836A
Authority
JP
Japan
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group
heat
hydrophilic
layer
acid
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000303680A
Other languages
English (en)
Inventor
Noribumi Inno
紀文 因埜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000303680A priority Critical patent/JP2002103836A/ja
Publication of JP2002103836A publication Critical patent/JP2002103836A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41CPROCESSES FOR THE MANUFACTURE OR REPRODUCTION OF PRINTING SURFACES
    • B41C2210/00Preparation or type or constituents of the imaging layers, in relation to lithographic printing forme preparation
    • B41C2210/16Waterless working, i.e. ink repelling exposed (imaged) or non-exposed (non-imaged) areas, not requiring fountain solution or water, e.g. dry lithography or driography

Landscapes

  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な印刷機上処理により容易に製版可能で
あり、赤外線レーザによる記録可能な感熱性平版印刷版
原版に適用して、湿し水を用いることなく、簡易に、安
定した印刷物を多数枚得ることが可能な平版印刷方法を
提供する。 【解決手段】 親水性表面を有する支持体上に、熱反応
性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを
含有する感熱層を設けた平版印刷版原版に、画像記録を
行った後、油性インク成分と水及び/又は多価アルコー
ルを主成分とする親水性成分とを含有するエマルジョン
インクを用いて印刷することを特徴とする。感熱層上に
は、さらに、エマルジョンインクにより除去可能なオー
バーコート層を有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイレクト感熱性
平版印刷版を用いた印刷方法に関するものである。より
詳しくは、ディジタル信号に基づいた走査露光による画
像記録が可能であり、簡易な印刷機上処理により製版可
能な平版印刷版原版を、湿し水を用いることなく印刷で
き、さらに、安定した印刷が可能な平版印刷方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とからなる。このような平版印刷版として
は、従来から、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層
を設けたPS版が広く用いられている。その製版方法と
して、通常は、リスフイルムなどの原画を通して露光を
行った後、非画像部を現像液によって溶解除去する方法
であり、この方法により所望の印刷版を得ている。
【0003】従来のPS版に於ける製版工程は、露光の
後、非画像部を溶解除去する操作が必要であり、このよ
うな付加的な湿式処理を不要化又は簡易化することが、
従来技術に対して改善が望まれてきた一つの課題であ
る。特に近年は、地球環境への配慮から湿式処理に伴っ
て排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事と
なっているので、この面での改善の要請は一層強くなっ
ている。
【0004】この要望に応じた簡易な製版方法の一つと
して、印刷版原版の非画像部の除去を通常の印刷過程の
中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上
で現像し、最終的な印刷版を得る方法が提案されてい
る。このような方法による平版印刷版の製版方式は機上
現像方式と呼ばれる。具体的方法としては、例えば、湿
し水やインク溶剤に可溶となる画像記録層を使用する方
法、印刷機中の圧胴やブランケット胴との接触によって
画像記録層を力学的除去する方法等が挙げられる。しか
しながら、従来の紫外線や可視光を利用した画像記録方
式の機上現像法は、露光後も、画像記録層が定着されな
いため、例えば、印刷機に装着するまでの間、原版を完
全に遮光状態又は恒温条件で保存する、といった手間の
かかる方法をとる必要があった。
【0005】一方、近年のこの分野のもう一つの動向と
しては、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処
理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及して
きており、このような、ディジタル化技術に対応した、
新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきて
いる。これに伴い、レーザ光のような高収斂性の輻射線
にディジタル化された画像情報を担持してこの光で原版
を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接印
刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注
目されている。それに伴ってこの目的に適応した印刷版
用原版を得ることが重要な技術課題となっている。した
がって、製版作業の簡素化、乾式化、無処理化は、上記
した環境面と、ディジタル化への適合化の両面から、従
来にも増して、強く望まれるようになっている。
【0006】デジタル化技術に組み込みやすい走査露光
による印刷版の製造方法として、最近、半導体レーザ、
YAGレーザ等の固体レーザで高出力のものが安価に入
手できるようになってきたことから、特に、これらのレ
ーザを画像記録手段として用いる製版方法が有望視され
るようになっている。従来方式の製版方法では、感光性
原版に低〜中照度の像様露光を与えて光化学反応による
原版面の像様の物性変化によって画像記録を行っている
が、高出力レーザを用いた高パワー密度の露光を用いる
方法では、露光領域に瞬間的な露光時間の間に大量の光
エネルギーが集中照射して、光エネルギーを効率的に熱
エネルギーに変換し、その熱により化学変化、相変化、
形態や構造の変化などの熱変化を起こさせ、その変化を
画像記録に利用する。つまり、画像情報はレーザー光な
どの光エネルギーによって入力されるが、画像記録は熱
エネルギーによる反応によって記録される。通常、この
ような高パワー密度露光による発熱を利用した記録方式
はヒートモード記録と呼び、光エネルギーを熱エネルギ
ーに変えることを光熱変換と呼んでいる。
【0007】ヒートモード記録手段を用いる製版方法の
大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベルの光
では感光せず、また高照度露光によって記録された画像
は定着が必須ではないことにある。つまり、画像記録に
ヒートモード感材を利用すると、露光前には、室内光に
対して安全であり、露光後にも画像の定着は必須ではな
い。従って、例えば、ヒートモード露光により不溶化若
しくは可溶化する画像記録層を用い、露光した画像記録
層を像様に除去して印刷版とする製版工程を機上現像方
式で行えば、現像(非画像部の除去)は、画像露光後あ
る時間、たとえ室内の環境光に暴露されても、画像が影
響を受けないような印刷システムが可能となる。従って
ヒートモード記録を利用すれば、機上現像方式に望まし
い平版印刷版用原版を得ることも可能となると期待され
る。
【0008】このような機上現像方式の平版印刷版原版
として有望な方法の一つは、親水性バインダーポリマー
中に疎水性熱可塑性ポリマー粒子を分散した親水層を画
像形成感熱層とする感熱性平版印刷版原版である。感熱
層に熱を加えると疎水性熱可塑性ポリマー粒子が融着
し、親水性感熱層表面が親油性画像部に変換することを
利用した方法である。
【0009】例えば、特許第2938397号公報に
は、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合
体の微粒子を分散させた感熱層を親水性支持体上に設け
た平版印刷版原版が開示されている。この公報には、該
平版印刷版原版において、赤外線レーザー露光して熱可
塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体させて画像形
成した後、印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し水及
び/又はインクを供給することにより機上現像できるこ
とが記載されている。
【0010】また、特開平9−127683号公報およ
びWO99−10186号公報にも熱可塑性微粒子を熱
による合体後、機上現像により印刷版を作製することが
記載されている。
【0011】しかしながら、このような熱による微粒子
の合体で画像を作る方法では、微粒子を含有する非画像
部分の感熱層を、湿し水又は油性インクによる機上現像
により、充分に除去することは困難であり、非画像部に
感熱層成分が残存し、印刷において汚れを生じるという
問題があった。
【0012】一方、湿し水を用いない簡易な平版印刷の
方式として、特公昭49−26844号公報、特公昭4
9−27124号公報、特公昭49−27125号公
報、特開昭53−36307号公報、特開昭53−36
308号公報、特公昭61−52867号公報、特開昭
58−2114844号公報、特開昭53−27803
号公報、特開昭53−29807号公報、特開昭54−
146110号公報、特開昭57−212274号公
報、特開昭58−37069号公報、特開昭54−10
6305号公報などには、エマルジョンインクを用いた
平版印刷が提案されている。これら、エマルジョンイン
クは、含水インクのエマルジョンであり、版面上で水と
インクが分離されるため、インクの側から水が供給で
き、したがって、印刷機から湿し水を供給する必要のな
いことが特徴である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のレーザー露光を用いるヒートモードの製版方法の欠点
を解決し、簡易な印刷機上処理により容易に製版可能で
あり、感熱性平版印刷版原版に適用して、湿し水を用い
ることなく、簡易に、安定した印刷物を多数枚得ること
が可能な平版印刷方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に対して、熱反応性官能基を有する化合物を内包するマ
イクロカプセルを含有する感熱層を平版印刷版に適用
し、さらに、印刷においてエマルジョンインクを適用す
ることにより、非画像部の感熱層の除去が印刷機上で効
率的に可能となることを見いだし、この発明を完成する
に至った。
【0015】すなわち、本発明の平版印刷方法は、親水
性表面を有する支持体上に、熱反応性官能基を有する化
合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を設
けた平版印刷版原版に、画像記録を行った後、油性イン
ク成分と水及び/又は多価アルコールを主成分とする親
水性成分とを含有するエマルジョンインクを用いて印刷
することを特徴とする。この方法に用いられる平版印刷
版原版は、前記感熱層上に、さらに、エマルジョンイン
クにより除去可能なオーバーコート層を有していてもよ
い。また、本発明の平版印刷方法においては、平版印刷
版原版をレーザー光によって画像露光し、画像露光後の
平版印刷版原版をそのまま印刷機に取り付けて印刷する
工程、又は、前記平版印刷版原版を印刷機に取り付けた
後に、印刷機上でレーザー光によって画像露光し、その
まま印刷する工程のいずれかを含むことが好ましい態様
である。本発明によれば、熱反応性官能基を有する化合
物、言い換えれば、加熱により硬化反応して疎水性領域
を形成する化合物が、汎用の親水性表面を有するマイク
ロカプセルに内包されて感熱層中に分散されるため、露
光部では赤外線レーザなどの熱により速やかに硬化する
とともに、未露光部では、親水性の表面を有する微粒子
の形態を保持するため、親水性の成分により容易に除去
される。このため、非画像部に残膜などが生じにくく、
特段の現像処理を行なうことなく印刷機上での処理によ
り製版が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0017】本発明の印刷方法が適用される感熱性平版
印刷版原版は、その記録層中に、熱反応性官能基を有す
る化合物を内包するマイクロカプセルを含有するもので
あり、赤外線レーザー照射により発生した熱、あるいは
サーマルヘッド等による加熱により、記録層の露光(加
熱)領域において、マイクロカプセル中の熱反応性官能
基を有する化合物の重合反応或いは架橋形成反応などが
進行し、硬化して疎水性(親インク性)の画像部を形成
するとともに、感熱層に含まれる材料によっては、さら
に、加熱により透過性となったカプセル壁を通じて前記
化合物がカプセル外に分散され、カプセル外でも硬化反
応が進行したり、カプセル同士の融着が行なわれるなど
して、疎水性領域をより強固なものとする。一方、疎水
性領域を形成し得る反応性官能基を有する化合物は親水
性の表面を有するマイクロカプセル内に内包されている
ため、未露光部では、マイクロカプセル壁材表面がもと
もと有している親水性が損なわれず、印刷時に使用する
流体であるエマルジョンインク、特に、エマルジョンイ
ンクに含まれる、以下に詳述する親水性成分により、容
易に溶解あるいは分散除去され、現像工程がなくても良
好な画像が得られることが特徴である。まず、本発明の
平版印刷方法に用いるエマルジョンインクについて説明
する。
【0018】[エマルジョンインク]本発明に用いるエ
マルジョンインクは、油性インク成分に、親水性成分を
加え、乳化したエマルジョンインクであり、W/O(wa
ter in oil)型であっても、O/W(oil in wate
r)型であっても良い。また、本発明に用いるエマルジ
ョンインクは、インク缶内での保存状態及び印刷に適用
した時の印刷機のインク壺内では、安定な乳化状態を保
持し、印刷時、剪断力を受けながらインキングシステム
を転移し、インク付けローラーに達した時点では、乳化
が破壊され親水性成分が分離し、版面上に供給される。
版面においては、非画像部領域に親水性成分が付着し、
液膜を形成し、油性インク成分の付着が防止され、一
方、画像部領域には、油性インク成分が付着する。この
ような機能を有するエマルジョンインクであれば、特に
限定されることなく本発明に使用することができる。ま
た、本発明のエマルジョンインクが上記機能を発現する
ために、インキングシステムに冷却機構の付いた印刷機
を用いることがより好ましい。
【0019】本発明のエマルジョンインクの油性インク
成分と親水性成分の割合は、油性インク成分100重量
部に対し、親水性成分5〜150重量部であり、好まし
くは、10〜120重量部、さらに好ましくは、20〜
100重量部である。本発明のエマルジョンインクの油
性インク成分としては、植物油、合成樹脂ワニスまた
は、天然樹脂ワニス、あるいは、それらの合成ワニス、
高沸点石油系溶剤、顔料、その他添加剤(耐摩擦向上
剤、インクドライヤー、乾燥抑制剤など)からなる通常
の油性インクを用いることができる。本発明のエマルジ
ョンインクの親水性成分としては、水及び/又は多価ア
ルコール類を用いることができる。多価アルコール類と
しては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコー
ル、ソルビトール、ブタンジオール、ペンタンジオール
等が挙げられる。なかでも、グリセリン、、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコールが好ましく使用できる。多
価アルコールは、1種単独で用いても、2種以上を混合
して用いても良く、さらに、水と混合して用いても良
い。本発明の親水性成分中の多価アルコール類の好まし
い含有量は、30〜100重量%であり、より好ましく
は、50〜100重量%である。本発明の親水性成分と
しては、上記以外に、乳化安定性の向上、流動特性の改
良、親水性の向上、親水性成分の蒸発の抑制等を目的と
して、親水性の添加剤を使用することができる。例え
ば、メタノール、エタノール等の1価のアルコール類、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノ
アルコール類、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、
ベタイン系の公知の界面活性剤、グリコール酸、乳酸、
クエン酸等のオキシカルボン酸類、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、アラビアガム、カルボキシメチル
セルロース等の親水性高分子類、リン酸、ケイ酸、硝
酸、及びそれらの塩等の無機酸及び無機塩類等が挙げら
れる。
【0020】[感熱性平版印刷版原版]次に、本発明の
方法に適用される平版印刷版原版の構成について説明す
る。本発明に係る平版印刷版原版は、親水性表面を有す
る支持体上に感熱層を有するものである。[1.親水性
表面を有する支持体]本発明に使用される親水性表面を
有する支持体には、支持体自身が親水性であるもの、支
持体の表面を親水化処理したもの、あるいは、支持体上
に親水性層を備えたものを含む。
【0021】(1−a.支持体基板)本発明の平版印刷
版原版に使用される支持体基板としては、寸度的に安定
な板状物が挙げられ、例えば、紙、プラスチック(例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)
がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウ
ム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二
酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セル
ロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セ
ルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロ
ピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール
等)、顔料が分散された上記プラスチックフィルム、空
洞を有する上記プラスチックフィルム、上記のごとき金
属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラ
スチックフィルム等が含まれる。
【0022】(1−a−1.アルミニウム支持体)本発
明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、ポリ
エステルフィルム又はアルミニウム板が好ましい。その
中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウ
ム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アル
ミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異
元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネー
トもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。
アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、
マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマ
ス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含
有量は高々10重量%以下である。本発明において特に
好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全
に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるの
で、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように
本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定
されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミ
ニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用い
られるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.
6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特
に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0023】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂
処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理
は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗
面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法
および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われ
る。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨
法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用
いることができる。また、電気化学的な粗面化法として
は塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う
方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開
示されているように両者を組み合わせた方法も利用する
ことができる。
【0024】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.
0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗
面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウ
ムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエ
ッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望に
より耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質とし
ては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が
可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるい
はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は
電解質の種類によって適宜決められる。
【0025】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質
の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流
密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0
g/m2であることが好ましく、1.0g/m2より少な
いと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部
に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインクが付
着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処
理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化
処理が施される。本発明に使用される親水化処理として
は、米国特許第2,714,066号、同第3,18
1,461号、第3,280,734号および第3,9
02,734号に開示されているようなアルカリ金属シ
リケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。
この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液
で浸漬処理されるか、または電解処理される。他に特公
昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジル
コン酸カリウムおよび米国特許第3,276,868
号、同第4,153,461号、同第4,689,27
2号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処
理する方法などが用いられる。
【0026】(1−a−2.非導電性支持体)また、本
発明の支持体にポリエステルフィルム等の非導電性のも
のを用いる場合、支持体の感熱層側または反対側、ある
いは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防
止層を支持体と後述の親水性層との間に設けた場合に
は、親水性層の密着性向上にも寄与する。帯電防止層と
しては、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマ
ー層が使用できる。
【0027】帯電防止層に用いられる金属酸化物粒子の
材料としては、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2
Al23、In23、MgO、BaO、MoO3、V2
5及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれらの金属酸
化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることがで
きる。これらは単独で用いてもよく、混合して用いても
よい。金属酸化物としては、SiO2、ZnO、Sn
2、Al23、TiO2、In23、MgOが好まし
い。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してA
lあるいはIn、SnO2に対してSb、Nbあるいは
ハロゲン元素、In23に対してSnなどの異種原子を
30モル%以下、好ましくは10モル%以下の量をドー
プしたものを挙げることができる。金属酸化物粒子は、
帯電防止層中に10〜90重量%の範囲で含まれている
ことが好ましい。金属酸化物粒子の粒子径は、平均粒子
径が0.001〜0.5μmの範囲が好ましい。ここで
いう平均粒子径とは、金属酸化物粒子の一次粒子径だけ
でなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0028】帯電防止層に用いることができるマット剤
としては、、好ましくは平均粒径が0.5〜20μm、
より好ましくは平均粒径が1.0〜15μmの粒径を持
つ無機又は有機の粒子が挙げられる。無機粒子として
は、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化チタン、酸
化亜鉛等の金属酸化物、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の金
属塩等が挙げられる。有機粒子としては、ポリメチルメ
タクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン及びそれ
らの共重合体の架橋粒子が挙げられる。マット剤は、帯
電防止層中に1〜30重量%の範囲で含まれていること
が好ましい。
【0029】帯電防止層に用いることができるポリマー
としては、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク
質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、アセチルセルロース、ジアセチルセルロー
ス、トリアセチルセルロース等のセルロース化合物、デ
キストラン、寒天、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体等の
糖類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリア
クリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリス
チレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、
ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸等の合成ポリマー等が挙げられる。ポリマ
ーは、帯電防止層中に10〜90重量%の範囲で含まれ
ていることが好ましい。帯電防止層の厚みは、0.01
〜1μmであることが好ましい。
【0030】(1−b.支持体の親水性層)支持体の表
面を親水性にするために、本発明の支持体上に設けるこ
とが可能な親水性層としては、例えば、有機親水性ポリ
マーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有
機親水性マトリックスや、ポリアルコキシシラン、チタ
ネート、ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮
合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水
性マトリックスを有する層、あるいは、金属酸化物を含
有する表面を有する無機薄膜が挙げられるが、ゾル−ゲ
ル変換により得られる無機親水性マトリックスあるいは
金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜が好まし
い。
【0031】(1−b−1.有機親水性マトリックス)
本発明の親水性層の有機親水性マトリックス形成に使用
する架橋反応としては、熱または光による共有結合形
成、又は、多価金属塩によるイオン結合形成が可能であ
る。本発明に用いる有機親水性ポリマーとしては、架橋
反応に用いることが可能な官能基を有するポリマーが好
ましい。好ましい官能基としては、例えば、−OH、−
SH、−NH2、−NH−、−CO−NH2、−CO−N
H−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−
CO−OH、−CO−O−、−CO−O−、−CS−O
H、−CO−SH、−CS−SH、−SO3H、−SO2
(O−)、−PO32、−PO(O−)2、−SO2−N
2、−SO2−NH−、−CH=CH2、−CH=CH
−、−CO−C(CH3)=CH2、−CO−CH=CH
2、−CO−CH2−CO−、−CO−O−CO−、及び
以下に示す官能基等が挙げられる。
【0032】
【化1】
【0033】これらの官能基のなかでも、特に、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基が好まし
い。
【0034】このような本発明の有機親水性ポリマーと
しては、公知の水溶性バインダーを用いることが可能で
あり、例えば、ポリビニルアルコール(ケン化度60%
以上のポリビニルアセテート)、カルボキシ変性ポリビ
ニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、澱粉お
よびその誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそ
の塩、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース
誘導体、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体及びそ
の塩、スチレン−マレイン酸共重合体及びその塩、ポリ
アクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、
ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリビ
ニルホスホン酸及びその塩、ポリスチレンスルホン酸及
びその塩、ポリ(メタクリロイロキシプロパンスルホン
酸)及びその塩、ポリビニルスルホン酸及びその塩、ポ
リ(メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム
クロライド)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、
ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリルアミ
ド等が挙げられる。 これらのポリマーは、親水性を損
なわない限りにおいて、コポリマーであっても良く、1
種単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。
その使用量は親水性層の総固形分重量に対して、20重
量%〜99重量%、好ましくは25重量%〜95重量
%、より好ましくは30重量%〜90重量%である。
【0035】本発明においては、有機親水性ポリマーの
架橋を公知の架橋剤により行うことが可能である。公知
の架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物、多官
能エポキシ化合物、多官能アミン化合物、ポリオール化
合物、多官能カルボキシル化合物、アルデヒド化合物、
多官能(メタ)アクリル化合物、多官能ビニル化合物、
多官能メルカプト化合物、多価金属塩化合物、ポリアル
コキシシラン化合物およびその加水分解物、ポリアルコ
キシチタン化合物およびその加水分解物、ポリアルコキ
シアルミニウム化合物およびその加水分解物、ポリメチ
ロール化合物、ポリアルコキシメチル化合物等が挙げら
れ、公知の反応触媒を添加し、反応を促進することも可
能である。その使用量は親水性層の塗布液中の総固形分
重量に対して、1重量%〜50重量%、好ましくは3重
量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜35重量
%である。
【0036】(1−b−2.無機親水性マトリックス)
本発明の親水性層の無機親水性マトリックス形成に使用
することができるゾル−ゲル変換が可能な系は、多価元
素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状構造を
形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ
基も有していて、これらが混在した樹脂状構造となって
いる高分子体であって、アルコキシ基や水酸基が多い段
階ではゾル状態であり、エーテル結合化が進行するのに
伴って網目状の樹脂構造が強固となる。また、水酸基の
一部が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の
表面を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持っ
ている。ゾル−ゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を
有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、
チタン及びジルコニウムなどであり、これらはいずれも
本発明に用いることができるが、以下はもっとも好まし
く用いることのできるシロキサン結合によるゾル−ゲル
変換系について説明する。アルミニウム、チタン及びジ
ルコニウムを用いるゾル−ゲル変換は、下記の説明の珪
素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができ
る。
【0037】すなわち、特に好ましく用いられるのは、
ゾル−ゲル変換が可能な、少なくとも1個のシラノール
基を有するシラン化合物を含んた系である。以下に、ゾ
ル−ゲル変換を利用する系についてさらに説明する。ゾ
ル−ゲル変換によって形成される無機親水性マトリック
スは、好ましくはシロキサン結合およびシラノール基を
有する樹脂であり、少なくとも1個のシラノール基を有
するシラン化合物を含んだゾルの系である塗布液を、塗
布、乾燥、経時する間に、シラノール基の加水分解縮合
が進んでシロキサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進
行することにより形成される。また、このゲル構造のマ
トリックスのなかには、膜強度、柔軟性等の物理的性能
向上や、塗布性の改良、親水性の調整等を目的として、
上記の有機親水性ポリマーや架橋剤などを添加すること
も可能である。ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、
下記一般式(I)で示され、また少なくとも1個のシラ
ノール基を有するシラン化合物は、下記一般式(II)で
示されるシラン化合物の加水分解により得られ、必ずし
も一般式(II)のシラン化合物の部分加水分解物単独で
ある必要はなく、一般には、シラン化合物が部分加水重
合したオリゴマーからなっていてもよく、あるいは、シ
ラン化合物とそのオリゴマーの混合組成であってもよ
い。
【0038】
【化2】
【0039】上記一般式(I)のシロキサン系樹脂は、
下記一般式(II)で示されるシラン化合物の少なくとも
1種の化合物のゾル−ゲル変換によって形成され、一般
式(I)中のR01〜R03の少なくとも一つは水酸基を表
し、他は下記一般式(II)中の記号のR0及びYから選
ばれる有機残基を表す。
【0040】一般式(II) (R0nSi(Y)4-n
【0041】一般式(II)中、R0は、水酸基、炭化水
素基又はヘテロ環基を表す。Yは水素原子、ハロゲン原
子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を
表す)、−OR1、−OCOR2又は、−N(R3
(R4)を表す(R1、R2は、各々炭化水素基を表し、
3、R4は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化
水素基を表す)、nは0,1,2又は3を表す。
【0042】一般式(II)中のR0の炭化水素基又はヘ
テロ環基とは、例えば、炭素数1〜12の置換されても
よい直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシ
ル基、ドデシル基等;これらの基に置換される基として
は、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原
子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スル
ホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR' 基(R' は、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、プロペニル
基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノ
エチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、1−ブロ
モエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシ
プロピル基、ベンジル基等を示す)、−OCOR''基
(R''は、前記R' と同一の内容を表す)、−COO
R''基、−COR''基、−N(R''' )(R''' )基
(R''' は、水素原子又は前記R' と同一の内容を表わ
し、各々同じでも異なってもよい)、−NHCONH
R''基、−NHCOOR''基−Si(R'')3基、−C
ONHR''' 基、−NHCOR''基等が挙げられる。こ
れらの置換基はアルキル基中に複数置換されてもよ
い)、
【0043】炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状
又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペ
ニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オ
クテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基
に置換される基としては、前記アルキル基に置換される
基と同一の内容のものが挙げられる)、炭素数7〜14
の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチル
メチル基、2−ナフチルエチル基等;これらの基に置換
される基としては、前記アルキル基に置換される基と同
一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよ
い)、
【0044】炭素数5〜10の置換されてもよい脂環式
基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基、ノルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置
換される基としては、前記アルキル基の置換基と同一の
内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭
素数6〜12の置換されてもよいアリール基(例えば、
フェニル基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキ
ル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又
複数置換されてもよい)、又は、窒素原子、酸素原子、
イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有す
る縮環してもよいヘテロ環基(例えば、該ヘテロ環とし
ては、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン
環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリ
ジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾー
ル環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒド
ロフラン環等で、置換基を含有してもよい。置換基とし
ては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のも
のが挙げられ、又複数置換されてもよい)を表す。
【0045】一般式(II)中のYの−OR1基、−OC
OR2基又は−N(R3)(R4)基の置換基としては、
例えば、以下の置換基を表す。−OR1基において、R1
は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプ
チル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル
基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メ
トキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル
基、1−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メ
トキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオ
キサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシク
ロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベン
ジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表す。
【0046】−OCOR2基において、R2は、R1と同
一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されても
よい芳香族基(芳香族基としては、前記R中のアリール
基で例示したと同様のものが挙げられる)を表す。又、
−N(R3)(R4)基において、R3、R4は、互いに同
じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜
10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−O
1基のR1と同様の内容のものが挙げられる)を表す。
より好ましくは、R3とR4の炭素数の総和が16個以内
である。一般式(II)で示されるシラン化合物の具体例
としては、以下のものが挙げられるが、これに限定され
るものではない。
【0047】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラn−プロピルシラ
ン、テトラt−ブトキシシラン、テトラn−ブトキシシ
ラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリクロル
シラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプ
ロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチ
ルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチル
トリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチ
ルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシ
シラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピル
トリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、
n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイ
ソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシ
ラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルト
リブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n
−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソ
プロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラ
ン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロ
ムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシル
トリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシ
ラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタ
デシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロム
シラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オ
クタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリ
イソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブト
キシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリ
ブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメチルジクロ
ルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジク
ロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジ
メトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニ
ルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラ
ン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチル
ジエトキシシラン、
【0048】トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒ
ドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキ
シヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニ
ルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリ
フルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロ
ピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエ
トキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキ
シシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0049】本発明の親水性層の無機親水性マトリック
ス形成に用いる一般式(II)で示されるシラン化合物と
ともに、Ti,Zn,Sn,Zr,Al等のゾル−ゲル
変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化合物を併用
することができる。用いられる金属化合物として、例え
ば、Ti(OR54(R5はメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、Ti
Cl4、Ti(CH3COCHCOCH32(OR52
Zn(OR52、Zn(CH3COCHCOCH32
Sn(OR54)、Sn(CH3COCHCOC
34、Sn(OCOR54、SnCl4、Zr(O
54、Zr(CH3COCHCOCH34、Al(O
53、Al(CH3COCHCOCH33等が挙げら
れる。
【0050】更に一般式(II)で示されるシラン化合
物、更には併用する前記の金属化合物の加水分解及び重
縮合反応を促進するために、酸性触媒又は塩基性触媒を
併用することが好ましい。触媒は、酸あるいは塩基性化
合物をそのままか、あるいは水またはアルコールなどの
溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触
媒、塩基性触媒という)を用いる。そのときの濃度につ
いては特に限定しないが、濃度が高い場合は加水分解・
重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩
基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場
合があるため、塩基性触媒の程度は1N(水溶液での濃
度換算)以下が望ましい。
【0051】酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に
限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸
などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水
素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカ
ルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元
素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒とし
ては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルア
ミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0052】上記のゾル−ゲル法のさらに詳細は、作花
済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)
(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能
性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992
年)等の成書等に詳細に記述されている。
【0053】(1−b−3.有機又は無機親水性マトリ
ックスの添加剤)本発明の上記有機又は無機親水性マト
リックスの親水性層中には、上記以外にも、親水性の程
度の制御、親水性層の物理的強度の向上、層を構成する
組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上印刷適性の向
上などの種々の目的の化合物を添加することができる。
例えば、可塑剤、顔料、色素、界面活性剤、親水性の粒
子等が挙げられる。
【0054】親水性の粒子としては、特に限定されない
が、好ましくはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム
等が挙げられる。これらは、親水性を助長したり、皮膜
の強化などに用いることができる。より好ましくは、シ
リカ、アルミナ、酸化チタン又はこれらの混合物であ
る。本発明の上記有機又は無機親水性マトリックスの親
水性層においては、特に、シリカ、アルミナ、酸化チタ
ン等の金属酸化物粒子を含有することが好ましい態様で
ある。
【0055】シリカは、表面に多くの水酸基を持ち、内
部はシロキサン結合(−Si−O−Si−)を構成して
いる。本発明において、好ましく用いることができるシ
リカとしては、コロイダルシリカとも称される、水もし
くは、極性溶媒中に分散した粒子径1〜100nmのシ
リカ超微粒子である。具体的には、加賀美敏郎、林瑛監
修「高純度シリカの応用技術」第3巻、(株)シーエム
シー(1991年)に記載されている。
【0056】また、好ましく用いることができるアルミ
ナとしては、5〜200nmのコロイドの大きさをもつ
アルミナ水和物(ベーマイト系)で、水中の陰イオン
(例えば、フッ素イオン、塩素イオン等のハロゲン原子
イオン、酢酸イオン等のカルボン酸アニオン等)を安定
剤として分散されたものである。又好ましく用いること
ができる酸化チタンとしては、平均一次粒径が50〜5
00nmのアナターゼ型あるいはルチル型の酸化チタン
を、必要に応じ、分散剤を用い、水もしくは、極性溶媒
中に分散したものである。
【0057】本発明において、好ましく用いることがで
きる親水性の粒子の平均一次粒径は、1〜5000nm
であり、より好ましくは、10〜1000nmである。
本発明の親水性層中において、これらの親水性の粒子
は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いても
良い。その使用量は親水性層の総固形分重量に対して、
5重量%〜90重量%、好ましくは10重量%〜70重
量%、より好ましくは20重量%〜60重量%である。
【0058】本発明に用いる上記の有機または無機親水
性マトリックスの親水性層は、例えば、水や、メタノー
ル、エタノール等の極性溶剤等の適当な溶剤の単独又は
これらの混合溶媒に溶解あるいは分散して、支持体上に
塗布、乾燥、硬化される。その塗布重量は乾燥後の重量
で、0.1〜5g/m2が適当であり、好ましくは0.
3〜3g/m2、さらに好ましくは0.5〜2g/m2
ある。親水性層の乾燥後の塗布重量は、0.1g/m2
より低すぎると、エマルジョンインクの親水性成分の保
持性の低下や、膜強度の低下など好ましくない結果を与
え、高すぎると、膜が脆くなり、耐刷性の低下などの好
ましくない結果を与える。
【0059】(1−c.親水性表面を有する金属又は金
属化合物の薄膜)本発明に係る親水性の支持体として
は、前記の如く、支持体基板上に親水性層を設けたもの
の他、親水性の表面を有する金属薄膜を親水性層として
用いることができる。本発明の親水性層に用いる金属酸
化物を含有する表面を有する無機薄膜は、薄膜の表面が
親水性の金属酸化物により構成されておれば特に限定さ
れず、親水性の金属酸化物を表面に有する金属又は金属
化合物の薄膜を含む。本発明の親水性層に使用できる金
属又は金属化合物としては、d−ブロック(遷移)金
属、f−ブロック(ランタノイド)金属、アルミニウ
ム、インジウム、鉛、スズ、又は珪素および合金やそれ
ぞれの金属に対応する金属酸化物、金属炭化物、金属窒
化物、金属ホウ化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物が
挙げられ、これらは、混合(均一な混合膜、不均一な混
合膜及び積層膜を含む)して用いることもできる。なか
でも、金属酸化物薄膜そのものが特に好ましく、金属酸
化物の薄膜としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化
タングステン、酸化マンガン、酸化ケイ素、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の薄膜およ
び混合した薄膜が、本発明の親水性層として好適に用い
ることができる。金属及び金属化合物の薄膜表面は、実
質上、大気中において、高酸化の状態にあり、表面は、
金属酸化物により構成されており、本発明において使用
可能であるが、本発明においては、親水性層の親水性を
確保するために、親水性層である無機薄膜の表面は、金
属酸化物より構成されることが必須である。このため、
薄膜を形成した後、表面の酸化を促進するために、加熱
処理や加湿処理、グロー放電処理等の処理を施しても良
い。さらには、金属酸化物を薄膜表面上に積層しても良
い。
【0060】本発明の親水性層に用いる金属又は金属化
合物の薄膜形成には、真空蒸着法、スパッタ法、イオン
プレーティング法などのPVD法(物理蒸着法)あるい
はCVD法(化学蒸着法)などが適宜用いられる。例え
ば真空蒸着法においては、加熱方式としては、抵抗加
熱、高周誘導加熱、電子ビーム加熱等を用いることがで
きる。また、反応性ガスとして、酸素や窒素等を導入し
たり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反
応性蒸着を用いても良い。
【0061】スパッタ法を用いる場合は、ターゲット材
料として純金属または目的とする金属化合物を用いるこ
とができ、純金属を用いる時は反応性ガスとして酸素や
窒素等を導入する。スパッタ電源としては、直流電源、
パルス型直流電源、高周波電源を用いることができる。
【0062】上記の方法による薄膜形成に先だって、下
層との密着性を向上させるため、基体加熱等による基体
脱ガスや下層表面への真空グロー処理を施してもよい。
例えば、真空グロー処理においては、1〜10mtor
r程度の圧力下で基体に高周波を印加しグロー放電を形
成させ、発生したプラズマによる基板処理を行うことが
できる。また、印加電圧を上げたり、酸素や窒素などの
反応性ガスを導入することにより効果を向上させること
も可能である。
【0063】本発明の親水性層に用いる親水性表面を有
する金属又は金属化合物の薄膜の厚みは、10nm〜3
000nmが好ましい。さらに好ましくは20〜150
0nmである。薄すぎると、湿し水の保持性の低下や、
膜強度の低下など好ましくない結果を与え、厚すぎる
と、薄膜形成に時間を要するため製造適性上好ましくな
い。
【0064】本発明の支持体上に上記の親水性層を設け
る場合には、支持体の親水性層側の表面は、親水性層の
表面積の向上や上層との密着向上の観点から、サンドブ
ラスト処理等による粗面化処理やコロナ処理等による表
面改質処理が施されても良い。
【0065】本発明で使用する支持体は、ブロッキング
を防止する観点から、支持体の裏面の最大粗さ深度(R
t)が少なくとも、1.2μm以上であることが好まし
く、さらに、支持体の裏面(即ち、本発明の平版印刷版
原版の裏面)が本発明の平版印刷版原版の表面上を滑る
時の動摩擦係数(μk)が2.6以下であることが好ま
しい。
【0066】本発明で用いられる上記の支持体の厚みは
およそ0.05mm〜0.6mm程度、好ましくは0.
1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜
0.3mmである
【0067】(1−d.下塗り層)本発明の平版印刷版
原版は、支持体の親水性表面上に本発明の感熱層を設け
たものであるが、必要に応じて支持体上に、例えばホウ
酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層、又は有機
下塗層を設けることができる。有機下塗層成分としては
種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチ
ルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミ
ノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸
類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチ
ルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン
酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸
などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニル
リン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセ
ロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェ
ニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホ
スフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホス
フィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、
およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ
基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上
混合して用いてもよい。
【0068】この下塗層は次のような方法で設けること
ができる。即ち、水またはメタノール、エタノール、メ
チルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合
溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液を支持体の親
水性表面上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメ
タノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機
溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶
解させた溶液に、支持体を浸漬して上記化合物をその親
水性表面に吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥
して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、
上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶
液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶
液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05
〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましく
は25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、
好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、ア
ンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩
基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1
〜12の範囲に調整することもできる。下塗層の被覆量
は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5
〜100mg/m2である。
【0069】(2.感熱層)以下に、本発明に係る平版
印刷版原版の感熱層を構成する成分について述べる。こ
の感熱層は、熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセルを含有する。 (2−a.熱反応性官能基を有する化合物)本発明の方
法に適用可能な化合物が有する熱反応性官能基として
は、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アク
リロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基な
ど)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロッ
ク体、その反応相手である活性水素原子を有する官能基
(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基
など)、同じく付加反応を行うエポキシ基、その反応相
手であるアミノ基、カルボキシル基又はヒドロキシル
基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシル基も
しくはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ
基もしくはヒドロキシル基などを挙げることができる。
しかし、加熱により化学結合が形成される機能を有する
ものであれば、どのような反応を行う官能基でも良い。
【0070】本発明に用いられる熱反応性官能基を有す
る化合物は感熱層中ではマイクロカプセル内包された形
態で存在している。この熱反応性官能基を有する化合物
としては、先に述べた機能を有する官能基、即ち、重合
性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボ
キシレート基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、イ
ソシアナート基、及びブロック化したイソシアナート基
等を分子内に有する化合物を挙げることができる。
【0071】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えばアクリロイル基、メタク
リロイル基、ビニル基、アリル基などを少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この
様な化合物群は当該産業分野において広く知られるもの
であり、本発明においては、これらを特に限定なく用い
ることができる。これらは、化学的形態としては、モノ
マー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオ
リゴマー、またはそれらの混合物、及びそれらの共重合
体である。
【0072】例として、不飽和カルボン酸(例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステル、不飽
和カルボン酸アミドが挙げられ、好ましくは、不飽和カ
ルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不
飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが挙げら
れる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基
等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルま
たは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官能の
イソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、およ
び単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応
物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエ
ポキシ基などの親電子性置換基を有する不飽和カルボン
酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のア
ルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、さら
に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有
する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能
もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオールとの
置換反応物も好適である。また、別の好適な例として、
上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸又はクロ
ロメチルスチレンに置き換えた化合物を挙げることがで
きる。
【0073】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである重合性化合物の具体例としては、以
下の化合物が挙げられる。アクリル酸エステルとして、
エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリ
コールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアク
リレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、
プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキ
シプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアク
リレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−
シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレ
ングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジ
アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペン
タエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリト
ールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソル
ビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアク
リレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリス
(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリ
エステルアクリレートオリゴマー等を挙げることができ
る。
【0074】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕
ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシ
エトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等を挙げることが
できる。
【0075】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等を挙
げることができる。
【0076】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等を挙げることがで
きる。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリ
コールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイ
ソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート
等を挙げることができる。マレイン酸エステルとして
は、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリ
コールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、
ソルビトールテトラマレート等を挙げることができる。
【0077】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号、
特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系
エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−
5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系
骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のア
ミノ基を含有するもの等を挙げることができる。
【0078】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等を挙げることができる。その他の好ましいアミド系
モノマーの例としては、特公昭54−21726号記載
のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができ
る。
【0079】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(A)で示される水酸基を有する不飽和
モノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性不飽
和基を含有するウレタン化合物等が挙げられる。
【0080】一般式(A) CH2=C(Rm)COOCH2CH(Rn)OH (ただし、RmおよびRnは、HまたはCH3を示す。)
【0081】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−4
9860号、特公昭56−17654号、特公昭62−
39417号、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なも
のとして挙げることができる。
【0082】さらに、特開昭63−277653号、特
開昭63−260909号、特開平1−105238号
に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を
有するラジカル重合性化合物を好適なものとして挙げる
ことができる。
【0083】その他の好適なものの例としては、特開昭
48−64183号公報、特公昭49−43191号公
報、同52−30490号公報の各公報に記載されてい
るようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と
(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート
類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げる
ことができる。また、特公昭46−43946号公報、
特公平1−40337号公報、同1−40336号公報
記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号
公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も好適なもの
として挙げることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル
基を含有する化合物も好適に使用される。さらに日本接
着協会誌、20巻7号、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも好適に使用することができる。
【0084】エチレン性不飽和化合物の共重合体の好適
なものとしては、アリルメタクリレートの共重合体を挙
げることができる。例えば、アリルメタクリレート/メ
タクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメ
タクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチル
メタクリレート共重合体などを挙げることができる。
【0085】好適なエポキシ化合物としては、グリセリ
ンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノ
ール類もしくはポリフェノール類又はそれらの水素添加
物のポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0086】好適なイソシアネート化合物としては、ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシ
アネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、又
は、それらをアルコールもしくはアミンでブロックした
化合物を挙げることができる。
【0087】好適なアミン化合物としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポ
リエチレンイミンなどが挙げられる。
【0088】好適なヒドロキシル基を有する化合物とし
ては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリス
リトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリ
フェノール類などを挙げることができる。好適なカルボ
キシル基を有する化合物としては、ピロメリット酸、ト
リメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、
アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられ
る。好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられ
る。
【0089】(2−b.マイクロカプセル) (2−b−1.マイクロカプセルの形成)前記熱反応性
官能基を有する化合物をマイクロカプセル化する方法と
しては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプ
セルの製造方法としては、米国特許2800457号、
同2800458号にみられるコアセルベーションを利
用した方法、英国特許990443号、米国特許328
7154号、特公昭38−19574号、同42−44
6号、同42−711号にみられる界面重合法による方
法、米国特許3418250号、同3660304号に
みられるポリマーの析出による方法、米国特許3796
669号に見られるイソシアネートポリオール壁材料を
用いる方法、米国特許3914511号に見られるイソ
シアネート壁材料を用いる方法、米国特許400114
0号、同4087376号、同4089802号にみら
れる尿素―ホルムアルデヒド系もしくは尿素ホルムアル
デヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米
国特許4025445号にみられるメラミン−ホルムア
ルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる
方法、特公昭36−9163号、同51−9079号に
みられるモノマー重合によるin situ法、英国特
許930422号米国特許3111407号にみられる
スプレードライング法、英国特許952807号、同9
67074号にみられる電解分散冷却法などがあるが、
これらに限定されるものではない。
【0090】(2−b−2.マイクロカプセル壁材)本
発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次
元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するもの
であり、好ましくは親水性表面を有するものである。こ
のような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウ
レア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特
に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。マイク
ロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入し
ても良い。また、マイクロカプセル表面を親水性にする
方法としては、公知の表面親水化方法を適用できるが、
例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコー
ル等の親水性ポリマー又はオリゴマー、或いは、親水性
低分子化合物をマイクロカプセル表面に吸着させる方法
を挙げることができる。
【0091】上記のマイクロカプセルの平均粒径は、
0.01〜20μmが好ましいが、中でも0.05〜
2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが
特に好ましい。この範囲内で、良好な解像度と経時安定
性が得られる。このようなマイクロカプセルは、カプセ
ル同志が熱により溶融し、合体してもよいし、合体しな
くとも良い。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗
布時、或いは加熱時にカプセル表面もしくはマイクロカ
プセル外に滲み出したもの、又は、マイクロカプセル壁
に浸入したものが、熱により化学反応を起こせば良い。
添加された親水性樹脂、又は、添加された低分子化合物
と反応してもよい。また2種類以上のマイクロカプセル
に、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官
能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士を
反応させてもよい。従って、熱によってマイクロカプセ
ル同志が、熱で溶融合体することは画像形成上好ましい
ことであるが、必須ではない。
【0092】マイクロカプセルの感熱層への添加量は、
固形分換算で、好ましくは50重量%以上、さらに好ま
しくは60〜95重量%である。この範囲内で、良好な
機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られ
【0093】(2−b−3.マイクロカプセル中の溶
剤)マイクロカプセルを感熱層に添加する場合、内包物
が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル
分散媒中に添加することができる。このような溶剤によ
って、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マ
イクロカプセル外への拡散が促進される。このような溶
剤としては、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセ
ル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市
販されている溶剤から容易に選択することができる。例
えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性
マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、
アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール
類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
【0094】具体的化合物としては、メタノール、エタ
ノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒ
ドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケ
トン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
モノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドな
どがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を
2種以上用いても良い。
【0095】マイクロカプセル分散液には溶解しない
が、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることが
できる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるもの
であるが、通常、塗布液の5〜95重量%が好ましく、
より好ましい範囲は、10〜90重量%、特に好ましい
範囲は15〜85重量%である。
【0096】(2−b−4.マイクロカプセル中の添加
剤)本発明の感熱層には、このように熱反応性官能基を
有する化合物を内包するマイクロカプセルを用いるの
で、必要に応じてこれらの反応を開始又は促進する化合
物を添加してもよい。反応を開始又は促進する化合物と
しては、熱によりラジカル又はカチオンを発生するよう
な化合物を挙げることができ、例えば、ロフィンダイマ
ー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジ
アゾニウム塩又はジフェニルヨードニウム塩などを含ん
だオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナート
などが挙げられる。これらの化合物は、感熱層固形分の
1〜20重量%の範囲で添加することができる。好まし
くは3〜10重量%の範囲である。この範囲内で、機上
現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得ら
れる。
【0097】(2−c.親水性樹脂)本発明の感熱層に
は親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹脂を添加する
ことにより機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自
体の皮膜強度も向上する。親水性樹脂としては、例えば
ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒド
ロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピ
ル、カルボキシメチルなどの親水基を有するものが好ま
しい。
【0098】親水性樹脂の具体例として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセ
テート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン
酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、
ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸
類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルア
クリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリ
マー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー
およびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートの
ホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアク
リレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレ
ングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポ
リビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくと
も60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の加水
分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリル
アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルア
ミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールア
クリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げ
ることができる。
【0099】親水性樹脂の感熱層への添加量は、感熱層
固形分の5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%
がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と
皮膜強度が得られる。
【0100】(2−d.光熱変換剤)本発明の平版印刷
版原版は、感熱層あるいは、それに隣接する層(親水性
層、下塗層または後述のオーバーコート層)内に、光熱
変換剤を含有させることにより、レーザー光照射等によ
る画像記録が可能となる。かかる光熱変換剤としては、
レーザー光源の波長を吸収して発熱する物質であればよ
く、種々の顔料、染料および金属微粒子を用いることが
できる。特に、700〜1200nmの少なくとも一部
に吸収帯を有する光吸収物質であることが好ましい。
【0101】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系
顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオ
キサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロ
ン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。
【0102】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法に
は親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面
活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカ
ゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ
化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結合さ
せる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金
属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」
(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの顔料中、赤外線を吸収するものが、赤外線を発
光するレーザでの利用に適する点で好ましい。かかる赤
外線を吸収する顔料としてはカーボンブラックが好まし
い。顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲にあるこ
とが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範囲にある
ことが更に好ましい。
【0103】染料としては、市販の染料および文献(例
えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の
「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市
場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)又
は特許に記載されている公知の染料が利用できる。具体
的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ
染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カル
ボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シ
アニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0104】さらに、例えば、特開昭58−12524
6号、特開昭59−84356号、特開昭60−787
87号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−
173696号、特開昭58−181690号、特開昭
58−194595号等に記載されているメチン染料、
特開昭58−112793号、特開昭58−22479
3号、特開昭59−48187号、特開昭59−739
96号、特開昭60−52940号、特開昭60−63
744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開
昭58−112792号等に記載されているスクワリリ
ウム染料、英国特許434,875号記載のシアニン染
料や米国特許第4,756,993号記載の染料、米国
特許第4,973,572号記載のシアニン染料、特開
平10−268512号記載の染料、特開平11−23
5883号記載のフタロシアニン化合物を挙げることが
できる。
【0105】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開
昭58−181051号、同58−220143号、同
59−41363号、同59−84248号、同59−
84249号、同59−146063号、同59−14
6061号に記載されているピリリウム系化合物、特開
昭59−216146号記載のシアニン染料、米国特許
第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリ
リウム塩等や特公平5−13514号、同5−1970
2号公報に記載されているピリリウム化合物等、市販品
としては、エポリン社製エポライトIII−178、エポ
ライトIII−130、エポライトIII−125等も好まし
く用いられる。これらの色素中、下記(I)式で示され
る水溶性のシアニン色素が、特に好適に用いられる。
【0106】
【化3】
【0107】(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6
は置換又は未置換のアルキル基を表し、Z1及びZ2は置
換もしくは未置換のフェニル基又はナフタレン基を表
す。Lは置換又未置換のメチン基でであり、置換基を有
する場合、該置換基は、炭素数8以下のアルキル基、ハ
ロゲン原子又はアミノ基であるか、該メチン基がその2
つのメチン炭素上の置換基が相互に結合して形成された
置換基を有していても良いシクロヘキセン環またはシク
ロペンテン環を含むものであってもよく、該置換基は炭
素数6以下のアルキル基またはハロゲン原子を表す。X
-はアニオン基を表す。nは1又は2;そしてR1
2、R3、R4、R5、R6、Z1及びZ2のうち少なくと
も一つは酸性基又は酸性基のアルカリ金属塩基又はアミ
ン塩基を有する置換基を示す。
【0108】下記に(I)式で示される水溶性のシアニ
ン色素の具体的な化合物〔例示化合物(I−1)〜(I
−32)〕を列記するが、本発明はこれらに制限される
ものではない。
【0109】
【化4】
【0110】
【化5】
【0111】
【化6】
【0112】
【化7】
【0113】
【化8】
【0114】
【化9】
【0115】
【化10】
【0116】
【化11】
【0117】上記の有機系の光熱変換剤は、感熱層中に
30重量%まで添加することができる。好ましくは5〜
25重量%であり、特に好ましくは7〜20重量%であ
る。この範囲内で、良好な感度が得られる。
【0118】本発明の感熱層には、光熱変換剤として金
属微粒子も用いることができる。金属微粒子の多くは光
熱変換性であって、かつ自己発熱性であるが、好ましい
金属微粒子として、Si、Al、Ti、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、
Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、T
e、Pb、Ge、Re、Sbの単体もしくは合金、又
は、それらの酸化物または硫化物の微粒子が挙げられ
る。これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好まし
い金属は、光照射時に熱による合体をし易い、融点がお
よそ1000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に吸
収をもつ金属、例えば、Re、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、PbおよびSnである。また、特に好
ましいのは、融点も比較的低く、赤外線に対する吸光度
も比較的高い金属の微粒子、例えば、Ag、Au、C
u、Sb、GeおよびPbで、最も好ましい元素として
は、Ag、AuおよびCuが挙げられる。
【0119】また、例えばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、Pb、Snなどの低融点金属の微粒子
と、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Geなどの自
己発熱性金属の微粒子とを混合使用するなど、2種以上
の光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、
Pt、Pdなど微小片としたときに光吸収が特に大きい
金属種の微小片と他の金属微小片を組み合わせて用いる
ことも好ましい。
【0120】これらの粒子の粒径は、好ましくは10μ
m以下、より好ましくは0.003〜5μm、特に好ま
しくは0.01〜3μmである。この範囲内で、良好な
感度と解像力が得られる。
【0121】本発明において、これらの金属微粒子を光
熱変換剤として用いる場合、その添加量は、好ましくは
感熱層固形分の10重量%以上であり、より好ましくは
20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上で用い
られる。この範囲内で高い感度が得られる。
【0122】(2−e.低分子化合物)本発明の平版印
刷版用原版の感熱層には、さらに、上記マイクロカプセ
ルに含有される熱反応性官能基を有する化合物と反応す
ることができる官能基およびその保護基を有する低分子
化合物を含有することができる。これらの化合物の添加
量は、感熱層中5重量%〜40重量%が好ましく、特に
5重量%〜20重量%が好ましい。これより少ないと架
橋効果が少なく耐刷性が不十分となり、これより多いと
経時後の機上現像性が悪くなってしまう。このような化
合物の具体例としては、前記マイクロカプセルに内包さ
れる熱反応性官能基を有する化合物の具体例と同様のも
のを挙げることができる。
【0123】(2−f.その他の添加剤)本発明の感熱
層には、さらに必要に応じて上記以外に種々の化合物を
添加してもよい。例えば、画像形成後、画像部と非画像
部の区別をつきやすくするため、可視光域に大きな吸収
を持つ染料を画像の着色剤として使用することができ
る。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエ
ロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーン
BG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オ
イルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラッ
クT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビ
クトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI
42555)、メチルバイオレット(CI4253
5)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145
170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、
メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62
−293247号に記載されている染料を挙げることが
できる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸
化チタン等の顔料も好適に用いることができる。添加量
は、感熱層塗布液全固形分に対し0.01〜10重量%
が好ましい。
【0124】また、本発明においては、感熱層塗布液の
調製中又は保存中においてエチレン性不飽和化合物の不
要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添
加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハ
イドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコ
ール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニ
トロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム
塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物
の重量に対して約0.01〜5重量%が好ましい。
【0125】また必要に応じて、酸素による重合阻害を
防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級
脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程
で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその
誘導体の添加量は、感熱層固形分の約0.1〜約10重
量%が好ましい。
【0126】さらに、本発明の感熱層には、必要に応
じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えるこ
とができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン
酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、
フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリ
クレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オ
レイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0127】(2−g.感熱層の形成)本発明の感熱層
は、必要な上記各成分を溶剤に分散あるいは溶解して塗
布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤として
は、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチル
エチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メト
キシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテー
ト、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキ
シエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラ
メチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホ
キシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、
水等を挙げることができるが、これに限定されるもので
はない。これらの溶剤は、単独または混合して使用され
る。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%
である。
【0128】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感
熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般
的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲より
塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画
像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。塗
布する方法としては、種々の方法を用いることができ
る。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗
布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、
ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0129】感熱層塗布液には、塗布性を良化するため
の界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号に
記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加するこ
とができる。好ましい添加量は、感熱層全固形分の0.
01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重
量%である。
【0130】(3.感熱性平版印刷版原版のその他の
層) (3−a.オーバーコート層)本発明の平版印刷版原版
は、感熱層表面の親油性物質による汚染防止や傷防止の
ため、感熱層上に、オーバーコート層を設けることがで
きる。本発明に使用されるオーバーコート層は印刷時エ
マルジョンインクにより容易に除去できるものであり、
親水性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有す
る。ここで用いる親水性の有機高分子化合物としては、
塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有する
もので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し加水分解率
65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金
属塩もしくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、その
アルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、
そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル
酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポ
リアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチ
ルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合
体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル
/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド
−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ
金属塩もしくはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−
2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのア
ルカリ金属塩もしくはアミン塩、アラビアガム、繊維素
誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボ
キシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変
性体 、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エ
ーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、
目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いる
こともできる。
【0131】また、オーバーコート層には、前記の親水
性光熱変換剤を添加しても良い。さらに、オーバーコー
ト層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の
場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。オーバーコー
ト層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好まし
い。この範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚
れなどの親油性物質による感熱層表面の良好な汚染防止
や傷の防止ができる。
【0132】[画像形成及び製版]本発明の平版印刷版
原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘ
ッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査
露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤
外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜12
00nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレー
ザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適であ
る。画像露光された本発明の平版印刷版原版は、それ以
上の処理なしに印刷機に装着し、エマルジョンインクを
用いて印刷することができる。また、これらの平版印刷
版原版は、日本特許第2938398号に記載されてい
るように、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷
機に搭載されたレーザーにより露光することも可能であ
る。
【0133】エマルジョンインクを用いて印刷を開始す
ると、版上に供給されたエマルジョンインク(特に、親
水性成分)により、非画像部分の感熱層が溶解あるいは
分散除去され、その部分において親水性表面が露出す
る。エマルジョンインクの親水性成分は、露出した親水
性表面上に付着し、油性インク成分は、画像部(加熱
部)の感熱層に着肉し印刷が開始される。
【0134】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0135】マイクロカプセルの合成 (合成例1:熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセル1の合成)油相成分としてキシレンジ
イソシアネート40g、トリメチロールプロパンジアク
リレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタク
リレートの共重合体(モル比 60/40)10g、パ
イオニンA41C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチル
60gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラ
レ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分およ
び水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpm
で乳化した。その後、水を40g添加し、室温で30分
さらに40度で3時間攪拌した。このようにして得られ
たマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平
均粒径は0.5μmであった。
【0136】(合成例2:熱反応性官能基を有する化合
物を内包するマイクロカプセル2の合成)油相成分とし
てイソホロンジイソシアネート30g、ヘキサメチレン
ジイソシアネート10g、ジエチレングリコールジグリ
シジルエーテル20g、パイオニンA41C(竹本油脂
製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分
としてPVA205(クラレ製)の4%水溶液120g
を作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザー
を用いて10000rpmで乳化した。その後、水を4
0g添加し、室温で30分さらに40度で3時間攪拌し
た。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形
分濃度は20%であり、平均粒径は0.7μmであっ
た。
【0137】(合成例3:熱反応性官能基を有する化合
物を内包するマイクロカプセル3の合成)油相成分とし
てD−110N(武田薬品工業製)30g、カレンズM
OI(昭和電工製)(2−メタクリロイルオキシエチル
イソシアネート)10g、トリメチロールプロパントリ
アクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメ
タクリレートの共重合体(モル比60/40)10g、
パイオニンA41C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチ
ル60gに溶解した。水相成分としてPVA205(ク
ラレ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分お
よび水相成分をホモジナイザーを用いて10000rp
mで乳化した。その後、水を40g添加し、室温で30
分さらに40度で3時間攪拌した。このようにして得ら
れたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、
平均粒径は0.5μmであった。
【0138】(合成例4:熱反応性官能基を有する化合
物を内包するマイクロカプセル4の合成)油相成分とし
てD−110N(武田薬品工業製)40g、ジエチレン
グリコールジグリシジルエーテル20g、パイオニンA
41C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチル60gに溶
解した。水相成分としてPVA205(クラレ製)の4
%水溶液120gを作成した。油相成分および水相成分
をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化し
た。その後、水を40g添加し、室温で30分さらに4
0度で3時間攪拌した。このようにして得られたマイク
ロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は
0.7μmであった。
【0139】〔実施例1〕 (支持体及び親水性層の形成)厚さ175μmのポリエ
チレンテレフタレートの両面に、コロナ処理を施し、さ
らに、両面に、下記の塗布液を塗布、加熱乾燥(180
℃、30秒)し、乾燥膜厚0.5g/m2の帯電防止層
を形成した。 −帯電防止層塗布液− ・アクリル樹脂水分散液 (ジュリマーET−410、固形分20重量%、日本純薬(株)製) 20g ・酸化スズ−酸化アンチモン水分散物 (平均粒径:0.1μm、17重量%) 30g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル (ノニポール100、三洋化成工業(株)製) 0.6g ・アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩水溶液 (サンデットBL、濃度40重量%、三洋化成工業(株)製) 0.6g ・メラミン化合物 (スミテックスレジンM−3、有効成分濃度80重量%、 住友化学工業(株)製) 0.2g ・シリカゲル20%水分散液 (スノーテックスC(日産化学工業(株)製、平均粒子径約10nm) 17g ・水 42.4g
【0140】次いで、上記のポリエチレンテレフタレー
トの片側に、下記の親水性層塗布液を塗布し、加熱乾燥
(100℃、10分)することにより、乾燥重量2g/
2の親水性層を形成した。 −親水性層塗布液− ・酸化チタン20%/ポリビニルアルコール10%水分散液 8g (酸化チタン(和光純薬(株)製、ルチル型、平均粒径200nm) /PVA117(クラレ(株)製)=2/1重量比) ・メタノールシリカ 8g (日産化学製:10nm〜20nmのシリカ粒子を30重量%含有する メタノール溶液からなるコロイド) ・ゾル−ゲル調製液(下記組成) 4.7g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル (ノニポール100、三洋化成工業(株)製) 0.025g ・水 15g ・メタノール 5g
【0141】(ゾル−ゲル調製液の作成)下記組成の液
を室温において、1時間熟成してゾル−ゲル調製液を作
成した。 ・テトラエトキシシラン 8.5g ・メタノール 1.8g ・水 15.0g ・リン酸 0.015g
【0142】(感熱層の形成)上記親水性層上に、下記
組成の感熱層塗布液1を塗布、乾燥(90℃,2分)す
ることにより、乾燥塗布重量0.6g/m2の感熱層を
形成して平版印刷版原版を得た。
【0143】 −感熱層塗布液1− ・合成例1で得たマイクロカプセル1の分散液 25g ・ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g ・p−ジアゾフェニルアミンの硫酸塩 0.3g ・光熱変換剤(前記例示化合物I−32) 0.3g ・水 70g ・1−メトキシ−2−プロパノール 30g
【0144】このようにして得た平版印刷版原版を、水
冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製
Trendsetter3244VFSにて、出力9
W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー1
00mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光
した後、処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機
SOR−M(ローラー冷却温度15℃)のシリンダーに
装着し、下記組成のエマルジョンインクを用いて印刷し
たところ、刷り出し初期に、レーザー非露光部の感熱層
は速やかに印刷機上において、版面より除去され、非画
像部の汚れがなく、画像部の耐刷性も問題のない2万枚
の良好な印刷物が得られた。このように本発明の方法に
よれば、平版印刷版原版を、多数の損紙を出すこともな
く、残膜に起因する非画像部の汚れもなく、容易に機上
現像することができ、さらに、少なくとも2万枚の非画
像部に汚れのない良好な印刷物が得られることから、得
られた平版印刷版の耐刷性も実用上問題のない良好なレ
ベルであることが確認された。
【0145】 (エマルジョンインク組成1) [エマルジョンインクの調製] (1)ワニスの調製 (以下、部は、重量部を示す。) ワニスA :マレイン化石油樹脂 (ネオポリマー120:日本石油(株)製) 47部 スピンドル油 53部 ゲルワニスB:ロジン変性フェノール樹脂 (タマノール354:荒川化学工業(株)製) 34部 マシン油 31部 スピンドル油 31部 アルミニウムステアレート 4部 ワニスC :ギルソナイト 25部 マシン油 75部 (2)油性インク成分の調製: カーボンブラッック 14部 炭酸カルシウム(白艶華DD:白石工業(株)製) 5部 ワニスA 27部 ゲルワニスB 7部 ワニスC 11部 アマニ油 4部 マシン油 6部 スピンドル油 24部 シアニンブルー 1部 (3)親水性成分の調製: 精製水 10部 プロピレングリコール 55部 グリセリン 34部 界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、 リポノックスNCE:ライオン油脂(株)製) 1部 (2)項の油性インク成分100重量部と(3)項の親
水性成分70重量部、を攪拌混合してW/O型エマルジ
ョンインクを調製した。
【0146】〔実施例2〜4〕感熱層塗布液中のマイク
ロカプセル分散液を上記の合成したマイクロカプセル
2、3及び4の分散液に各々変える以外は、実施例1と
同様にして、各々の平版印刷版原版を得た。次いで、実
施例1と同様にして、画像露光及び印刷を行ったとこ
ろ、刷り出し初期に、レーザー非露光部の感熱層は速や
かに印刷機上において、版面より除去され、非画像部の
汚れがなく、画像部の耐刷性も問題のない2万枚の良好
な印刷物が得られた。
【0147】〔実施例5〕前記実施例1において用いた
感熱層塗布液1に変えて以下の感熱層塗布液2を用いた
以外は、実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得
た。次いで、実施例1と同様にして、画像露光及び印刷
を行ったところ、刷り出し初期に、レーザー非露光部の
感熱層は速やかに印刷機上において、版面より除去さ
れ、非画像部の汚れがなく、画像部の耐刷性も問題のな
い2万枚の良好な印刷物が得られた。
【0148】 −感熱層塗布液2− ・合成例1のマイクロカプセル1の分散液 25g ・ポリアクリル酸 0.5g (重量平均分子量25000) ・ソルビトールトリアクリレート 1.0g ・光熱変換剤(例示化合物I−31) 0.3g ・t−ブチルジフェニルヨードニウムの硫酸塩 0.3g ・水 70g ・1−メトキシ−2−プロパノール 30g
【0149】〔実施例6〕感熱層塗布液中のマイクロカ
プセル分散液を、前記合成例3のマイクロカプセル3の
分散液に変える以外は、実施例5と同様にして、平版印
刷版原版を得た。次いで、実施例5と同様にして、画像
露光及び印刷を行ったところ、刷り出し初期に、レーザ
ー非露光部の感熱層は速やかに印刷機上において、版面
より除去され、非画像部の汚れがなく、画像部の耐刷性
も問題のない2万枚の良好な印刷物が得られた。
【0150】〔実施例7〕前記実施例1において用いた
感熱層塗布液1に変えて以下の感熱層塗布液3を用いた
以外は、実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得
た。次いで、実施例1と同様にして、画像露光及び印刷
を行ったところ、刷り出し初期に、非画像部の感熱層
は、速やかに印刷機上において、版面より除去され、非
画像部の汚れがなく、画像部の耐刷性も問題のない2万
枚の良好な印刷物が得られた。
【0151】 −感熱層塗布液3− ・合成例2で得られたマイクロカプセル2の分散液 25g ・ポリアクリル酸 0.5g (重量平均分子量25000) ・ジエチレントリアミン 1.0g ・光熱変換剤(例示化合物I−31) 0.3g ・t−ブチルジフェニルヨードニウムの硫酸塩 0.3g ・水 70g ・1−メトキシ−2−プロパノール 30g
【0152】〔実施例8〕感熱層塗布液3中のマイクロ
カプセル2の分散液を上記の合成例4で得られたマイク
ロカプセル4の分散液に変える以外は、実施例7と同様
にして、平版印刷版原版を得た。次いで、実施例7と同
様にして、画像露光及び印刷を行ったところ、刷り出し
初期に、レーザー非露光部の感熱層は速やかに印刷機上
において、版面より除去され、非画像部の汚れがなく、
画像部の耐刷性も問題のない2万枚の良好な印刷物が得
られた。
【0153】〔実施例9〜16〕実施例1〜8で用いた
支持体上の親水性層に変えて、支持体上に下記の方法に
より金属酸化物薄膜からなる親水性層を形成したものを
用いた以外は、各々実施例1〜8と同様にして、平版印
刷版原版を得た。次いで、実施例1と同様にして、画像
露光及び印刷を行ったところ、刷り出し初期に、レーザ
ー非露光部の感熱層は速やかに印刷機上において、版面
より除去され、非画像部の汚れがなく、画像部の耐刷性
も問題のない2万枚の良好な印刷物が得られた。
【0154】(親水性層の形成)帯電防止層上に、バッ
チ式スパッタ成膜装置(芝浦エレテック製 CFS−1
0−EP70)を用い下記条件で厚さ100nmになる
よう酸化ケイ素を成膜し、親水性層を形成した。 ターゲット材:酸化ケイ素 雰囲気 :アルゴン 成膜時圧力 :5mtorr パワー :RF1kW(電源は日本電子製JRF−3000) なお、成膜前には帯電防止層表面を下記条件でグロー処
理した。 雰囲気 :アルゴン 処理時圧力 :5.0mtorr パワー :Rf3kW (電源は日本電子製JRF−3000) 時間 :2.5分
【0155】〔実施例17〜24〕支持体として、親水
性層を形成した非導電性支持体に変えて、下記のように
表面を親水化処理したアルミニウム支持体を用い、その
上に感熱層を形成する以外は、各々実施例1〜8と同様
にして、平版印刷版原版を得た。次いで、実施例1と同
様にして、画像露光及び印刷を行ったところ、刷り出し
初期に、レーザー非露光部の感熱層は速やかに印刷機上
において、版面より除去され、非画像部の汚れがなく、
画像部の耐刷性も問題のない2万枚の良好な印刷物が得
られた。
【0156】(アルミニウム支持体の作成)99.5重
量%アルミニウムに、銅を0.01重量%、チタンを
0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケイ素を0.1重
量%含有するJISA1050アルミニウム材(熱伝導
率0.48cal/cm・sec・℃)の厚み0.24
mm圧延板を、400メッシュのパミストン(共立窯業
製)の20重量%水性懸濁液と、回転ナイロンブラシ
(6,10−ナイロン)とを用いてその表面を砂目立て
した後、よく水で洗浄した。これを15重量%水酸化ナ
トリウム水溶液(アルミニウム4.5重量%含有)に浸
漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2になるようにエ
ッチングした後、流水で水洗した。更に、1重量%硝酸
で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム
0.5重量%含有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、
陰極時電圧9.3ボルトの矩形波交番波形電圧(電流比
r=0.90、特公昭58−5796号公報実施例に記
載されている電流波形)を用いて160クローン/dm
2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。水洗後、
35℃の10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し
て、アルミニウム溶解量が1g/m2になるようにエッ
チングした後、水洗した。次に、50℃、30重量%の
硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、水洗した。
さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液(アルミニウム
0.8重量%含有)中で直流電流を用いて、多孔性陽極
酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密度13A/dm
2で電解を行い、電解時間の調節により陽極酸化皮膜重
量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、70℃
のケイ酸ナトリウムの0.2重量%水溶液に30秒間浸
漬処理し、水洗乾燥した。
【0157】〔実施例25〕実施例1で用いた支持体の
親水性層上に、下記の下塗層を形成する以外は、実施例
1と同様にして、平版印刷版原版を得た。次いで、実施
例1と同様にして、画像露光及び印刷を行ったところ、
刷り出し初期に、レーザー非露光部の感熱層は速やかに
印刷機上において、版面より除去され、非画像部の汚れ
がなく、画像部の耐刷性も問題のない2万枚の良好な印
刷物が得られた。
【0158】(下塗り層の形成)親水性層上に、下記の
下塗層塗布液を塗布、加熱乾燥(100℃,1分)する
ことにより、乾燥塗布量0.05g/m2の下塗層を形
成した。 −下塗層塗布液− ・アラビアガム 1g ・水 1000g
【0159】〔実施例26〕感熱層上に、下記のオーバ
ーコート層を形成する以外は、実施例1と同様にして、
平版印刷版原版を得た。次いで、実施例1と同様にし
て、画像露光及び印刷を行ったところ、刷り出し初期
に、オーバーコート層及び非画像部の感熱層は、速やか
に印刷機上において、版面より除去され、非画像部の汚
れがなく、画像部の耐刷性も問題のない2万枚の良好な
印刷物が得られた。
【0160】(オーバーコート層の形成)感熱層上に、
下記オーバーコート層塗布液を塗布、加熱乾燥(100
℃、2分)することにより、乾燥塗布重量0.3g/m
2のオーバーコート層を形成し、平版印刷版原版を得
た。 −オーバーコート層塗布液− ・アラビアガム 1g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール 0.025g ・水 19g
【0161】〔実施例27〕ポリエチレンテレフタレー
トの両面に、中心線平均粗さRaが0.3μmとなるよ
うにサンドブラスト処理を施した以外は、実施例1と同
様にして平版印刷版原版を得た。次いで、実施例1と同
様にして、画像露光及び印刷を行ったところ、刷り出し
初期に、レーザー非露光部の感熱層は速やかに印刷機上
において、版面より除去され、非画像部の汚れがなく、
画像部の耐刷性も問題のない2万枚の良好な印刷物が得
られた。
【0162】〔実施例28〜54〕エマルジョンインク
の組成を下記に変える以外は、各々実施例1〜27と同
様にして、印刷を行ったところ、刷り出し初期に、レー
ザー非露光部の感熱層は速やかに印刷機上において、版
面より除去され、非画像部の汚れがなく、画像部の耐刷
性も問題のない2万枚の良好な印刷物が得られた。
【0163】 (エマルジョンインク組成2) [エマルジョンインクの調製] (1)ワニスの調製 (以下、部は、重量部を示す。) 以下の配合により、200℃、1時間加熱ゲル化し、ゲルワニスDを得た。 ロジン変性フェノール樹脂 (ヒタノール270T:日立化成(株)製) 42部 低粘度アマニ油重合ワニス(2ポイズ) 30部 スピンドル油 27部 エチルアセトアセト・アルミニウム・ジイソプロピレート 1部 (2)油性インク成分の調製: ゲルワニスD 66部 フタロシアニンブルー 20部 低粘度アマニ油重合ワニス(2ポイズ) 5部 ポリエチレンワックスコンパウンド 3部 コバルトドライヤ 1部 スピンドル油 5部 (3)親水性成分の調製: エチレングリコール 100部 (2)項の油性インク成分100重量部と(3)項の親
水性成分45重量部、を攪拌混合してW/O型エマルジ
ョンインクを調製した。
【0164】〔実施例55〜60〕エマルジョンインク
の親水性成分を下記表1の組成に変更した以外は、実施
例28と同様にして、印刷を行ったところ、刷り出し初
期に、レーザー非露光部の感熱層は速やかに印刷機上に
おいて、版面より除去され、非画像部の汚れがなく、画
像部の耐刷性も問題のない2万枚の良好な印刷物が得ら
れた。本発明の方法によれば、エマルジョンインク中に
含まれる親水性成分の組成を変えても、同様の効果が得
られることがわかった。
【0165】
【表1】
【0166】〔比較例1〕印刷時に前記のエマルジョン
インク1を用いる代わりに、湿し水不要平版印刷用イン
クであるアクアレスエコー墨LZ(東洋インキ製造
(株)製)を印刷インクとして用いた以外は、実施例1
と同様にして印刷を行ったところ、レーザー非露光部の
感熱層は印刷機上において、版面より除去されず、非画
像部が汚れ、良好な印刷物を得ることができなかった。
親水性成分を含まないインクを用いた場合、良好な機上
現像性は達成できなかった。
【0167】〔比較例2〕印刷時に前記のエマルジョン
インク1を用いる代わりに、湿し水として、EU−3
(富士写真フイルム(株)製)を1体積%、イソプロパ
ノールを10体積%添加した水溶液を使用し、インクと
して、GEOS−G墨(大日本インキ化学工業(株)
製))を使用した以外は、実施例1と同様にして印刷を
行ったところ、エマルジョンインク1の親水性成分に比
べ、湿し水によるレーザー非露光部の感熱層の分散除去
性が劣るため、印刷機上において、刷り出し初期にレー
ザー非露光部の感熱層を版面より除去するのに時間を要
し、実施例1に比較して損紙が増大した。
【0168】
【発明の効果】本発明によれば、ヒートモード記録を利
用した機上現像方式の平版印刷版原版を、湿し水を用い
ることなく、良好に機上現像することが可能であり、簡
易に、安定した印刷が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/11 503 G03F 7/11 503 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB03 AC08 AD01 AD03 CC20 DA02 DA10 DA36 2H084 AA14 AA32 AA38 AE05 BB04 BB16 CC06 2H096 AA00 AA07 BA20 CA05 CA20 EA04 2H114 AA05 AA22 AA24 AA29 AA30 BA01 DA08 DA11 DA12 DA15 DA25 DA32 DA38 DA52 DA56 DA59 DA73 DA78 EA01 EA04 FA16 GA34 GA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を有する支持体上に、熱反応
    性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを
    含有する感熱層を設けた平版印刷版原版に、画像記録を
    行った後、油性インク成分と水及び/又は多価アルコー
    ルを主成分とする親水性成分とを含有するエマルジョン
    インクを用いて印刷することを特徴とする平版印刷方法
  2. 【請求項2】 前記平版印刷版原版が、感熱層上に、さ
    らに、エマルジョンインクにより除去可能なオーバーコ
    ート層を有することを特徴とする請求項1に記載の平版
    印刷方法。
  3. 【請求項3】 前記平版印刷版原版をレーザー光によっ
    て画像露光し、画像露光後の平版印刷版原版をそのまま
    印刷機に取り付けて印刷する工程、又は、前記平版印刷
    版原版を印刷機に取り付けた後に、印刷機上でレーザー
    光によって画像露光し、そのまま印刷する工程のいずれ
    かを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の平版印刷方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006524146A (ja) * 2003-04-14 2006-10-26 コダック グラフィック コミュニケーションズ カナダ カンパニー 印刷版における新規な層、印刷版、および印刷版の使用方法

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